JP2009530385A - うつ病の治療のためのケタミンの鼻内投与 - Google Patents

うつ病の治療のためのケタミンの鼻内投与 Download PDF

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Abstract

治療抵抗性うつ病の治療のための方法と組成物を述べる。より詳細には、本発明は、ケタミンの鼻内投与が、現在のエピソードで1つの抗うつ薬の適切な試用に応答せず、再発性または慢性抑うつ症状(>2年間)を有している患者においてうつ病の症状を改善するために有効であることを明らかにする。特定実施形態では、本発明は、それゆえ、ケタミンを含有する組成物を、治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量でヒト患者に鼻内投与することを含む、治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法を提供する。より特定の実施形態では、ケタミンは医薬的に許容される担体中に存在し、および約0.1mg/kg/日から約3.0mg/kg/日の用量で投与される。

Description

本願は、2006年3月22日に出願された米国仮特許出願第60/785/108号の利益を請求する。米国仮特許出願第60/785/108号の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
本発明は、National Institute of Healthによって資金援助されたグラント番号1Z01MH002857−01、およびDepartment of Veterans AffairsによるMerit Review Grant、NIMHプログラムグラントの下で、政府の支援によってなされた。米国合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
(発明の分野)
本発明は、うつ病の治療のための方法及び組成物に関する。より詳細には、本発明は、治療抵抗性うつ病を治療するためのケタミンの鼻内、静脈内および経皮投与に関する。
(発明の背景)
うつ病は、すべての疾患のうちで最も生活障害性であるものの1つであり、生涯有病率は約17%に上る[1]。しばしば人生の早期に発現し、慢性経過をたどることがあり、冠動脈疾患、糖尿病および骨粗しょう症などの他の内科的疾患の予後に有害な影響を及ぼし得る。
うつ病は、抑うつ気分および活動への興味または喜びの著しい減退によって特徴づけられる。他の症状は、重大な体重減少または体重増加、食欲の低下または亢進、不眠症または過眠症、精神運動性激越または精神運動制止、疲労感またはエネルギーの喪失、無価値感もしくは過度のまたは不適切な罪悪感、思考力または集中力の低下もしくは優柔不断、死についての思考の反復、自殺念慮または自殺企図を含む。様々な身体症状も存在し得る。抑うつ感情は、特に人生において挫折を経験したあとには、一般的であるが、症状が閾値に達し、少なくとも2週間継続するときにのみうつ病と診断される。うつ病は、軽度から非常に重篤なものまで重症度は様々であり得る。ほとんどは一過性であるが、再発性または慢性の場合もある。一部の人々は1回のエピソードだけを経験し、発病前の機能に完全に回復する。しかし、最初に1回の重大なうつ病エピソードを経験した人々の50%以上は、最終的に再びエピソードを発現する。
うつ病は男性よりも女性においてより一般的である。単極性うつ病エピソードの点有病率は、男性については1.9%、女性については3.2%と推定され、男性の5.8%および女性の9.5%が12ヶ月の間にうつ病エピソードを経験する。これらの有病率の数字は集団によって異なり、一部の集団ではより高い場合もある。世界保健機構の調査は、うつ病が障害共存年数の主要な世界的原因であり、障害調整生存年数の4番目の主要原因であることを報告した。障害調整生存年数は、個人の生産的人生年数の減少を指し、早期死亡を考慮に入れた測定である[2]。
うつ病の治療は、約半世紀前にモノアミンオキシダーゼ阻害剤および三環系抗うつ薬の偶然の発見によって一変した。そのとき以来、数多くのより良好な副作用プロフィールを備えたより新しい薬剤の使用可能性が、重要なパーセンテージの患者を安全に治療する我々の能力を大きく上昇させた。しかし、新しい薬剤は主として、モノアミンのシナプス内レベルを上昇させて一次生化学作用を及ぼすことにより、単に既存薬剤の作用を高めるまたは増強する薬剤である。
残念ながら、うつ病の治療のための現在の薬剤は、十分な作用を達成するために数週間から数カ月を要し、その間にも、患者は自らの症状に苦しみ続け、自傷行為ならびに私的および職業的生活への被害の危険度は高いままである。実際に、伝統的な抗うつ薬の数週間の作用発現の遅延期間は重要な制限として認識されており、特に抗うつ薬の開始の最初の9日間にかなりの死亡率と自殺行動の高い危険度を生じさせている[3]。数時間以内または数日以内の抗うつ作用の迅速な発現を有し、持続される薬理学的戦略は、それゆえ公衆衛生に大きな影響を及ぼすであろう。
近年、抗うつ薬の遅延治療作用を理解するための「開始と適応(initiation and adaptation)」の理論的枠組が提案された[4]。このパラダイムは、急性薬剤投与の作用は最初の直接標的タンパク質変動(たとえばモノアミン輸送体に結合し、それによってモノアミン再取込みの阻害を生じさせる)によって媒介され、反復投与により、同じ初期事象が、経時的に、重要な神経回路網の持続的な適応変化へと導き、それによって安定な長期的抗うつ作用をもたらすと指摘する。そこで、このパラダイムは、既存の薬理学的物質の治療作用の遅延は、それらが、最初に、標的遺伝子のかなり上流にあって、最終的に抗うつ作用の役割を担うタンパク質に作用するという事実に起因すると指摘している。これに関して、抗うつ薬の遅延適応作用を媒介すると主張されてきた重要な系は、神経栄養シグナル伝達カスケードおよびグルタミン酸作動系である[5]。
神経栄養シグナル伝達カスケードへの抗うつ薬の作用は多くのグループによって論じられてきた[6−8]。本出願の内容は、[12]において総説されている、抗うつ薬の作用におけるグルタミン酸作動系、特にNMDA系の役割に関する[9−11]。NMDA受容体拮抗薬は、うつ病の学習性無力感モデル、および慢性軽度ストレス処置に暴露した動物における、回避できないストレス因子の適用である強制水泳試験および尾懸垂による不動化試験を含む、うつ病の多くの動物モデルにおいて抗うつ作用を有する[13−18]。雄性WistarラットにおけるNMDA拮抗薬、ケタミンの単回投与は、その投与後10日間まで絶望行動の誘導を妨げる[19]。加えて、種々のクラスの抗うつ薬の反復投与−遅延治療作用と一致する時間枠で−は、うつ病の病態生理学に関与する脳の領域におけるNMDAサブユニットmRNAの発現[20]およびこれらの受容体への放射性リガンドの結合に変化を生じさせる[9]。
いくつかの系統の証拠も、グルタミン酸作動系の機能障害がうつ病の病態生理学において重要な役割を果たし得ることを示唆する[21、22において総説されている]。特に、Sanacoraらによる最近の試験は、28名の年齢と性別を適合させた健常対照と比較して、単極性大うつ病を有する29名の非薬剤服用被験者では、後頭皮質におけるグルタミン酸レベルが有意に高いことを示した[23]。合わせて考慮すると、これらのデータは、気分障害におけるグルタミン酸作動性シグナル伝達の局所変化という仮説を裏付ける。最後に、臨床試験において、グルタミン酸作動性調節剤、ラモトリギンおよびリルゾール(どちらもグルタミン酸放出の阻害剤)は抗うつ特性を有することが認められた[24−26]。
ケタミンは、慢性疼痛患者での突出痛(BTP)の治療において使用されてきた。そのような患者では、ケタミン10−50mgが、90秒ごとに10mg用量ずつ漸増して鼻内経路によって投与されてきた。ケタミンの鼻内投与の作用として、プラセボと比較して鼻内ケタミンを摂取した患者ではより低いBTPが存在した。そのような投与に関する副作用はほとんどなかった(非特許文献1[47])。
ケタミンの経皮投与も、難治性神経因性疼痛の治療のために使用されてきた(非特許文献2[87])。結果は、75mgの用量を投与された被験者が、疼痛の生活障害、および主観的身体および精神機能の有意の改善を示すことを示唆した。Azevedoら(非特許文献3[88])は、リドカインの硬膜外ブロックを使用した腹部の婦人科小手術後の、経皮送達システムにおいてラセミ体ケタミンを使用する無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告している。手術手技の終了時に、ケタミン(25mg/24時間)またはプラセボのいずれかを含有する制御送達経皮パッチが適用された。救急鎮痛薬までの時間は、プラセボ群(94±54分)に比べてケタミン群(230±112分)における方が長かった。
Carr DBら、Pain 2004;108:17−27 Vranken JHら、Pain 2005 Nov;118(1−2):224−31 Azevedo VMら、Anesth Anal.2000;91(6):1479−82
疾患寛解を維持する上での限界は、治療抵抗性うつ病の標準治療に関してますます明らかになりつつある。「実世界(real world)」患者におけるその種の最大の有効性試験である、STARD試験の第I相は、うつ病を有する外来患者においてSSRI、シタロプラムの効果を測定した(n=2,876)。寛解率は28%であり、標準無作為化プラセボ対照急性効果試験において達成されたのと同様の寛解率であった[48]。残存症状の存在は回帰または再発の強い予測因子であるので[49]、将来の治療戦略は、おそらく核となる病態生理学的過程に対処することによって、寛解を達成し、維持することに集中する必要がある。それゆえ、治療に抵抗性である慢性大うつ病の治療のために新しい方法が求められていることは明らかである。
(発明の要旨)
治療抵抗性うつ病の治療のための方法及び組成物を述べる。より詳細には、本発明は、ケタミンの鼻内投与が治療抵抗性うつ病の症状を改善するために有効であることを明らかにする。特定実施形態では、本発明は、それゆえ、ケタミンを含有する組成物を、治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量でヒト患者に鼻内投与することを含む、治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法を提供する。より特定の実施形態では、ケタミンは医薬的に許容される担体中に存在し、および約0.1mg/kg/日から約3.0mg/kg/日の用量で投与される。
特定実施形態では、治療抵抗性うつ病の症状は、ケタミンの鼻内投与から2時間以内に緩和される。
本発明の方法は、ケタミンの単回用量の鼻内投与を含む方法を通して達成され得る。あるいは、ケタミンの多回用量が投与され得る。特定実施形態では、ケタミンの単回鼻内投与は、7日間、および一部の場合はより長期間、うつ病の影響を緩和するために十分である。
本発明の他の態様では、前記方法は、医薬的に有効な用量の2番目の薬剤を投与することをさらに含んでもよく、2番目の薬剤は抗うつ薬である。追加薬剤は、いかなる追加抗うつ薬であってもよい。そのような抗うつ薬の例は、リチウム、医薬抗うつ薬、ハーブ抗うつ薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンの少なくとも1つのメンバーを含むが、これらに限定されない。
また、1またはそれ以上の成分をその中に密に閉じ込めて含有し、ケタミンを鼻内経路で送達するための担体を含むキットもここで考慮され、a)第一成分はケタミンを含み;およびb)第二成分はうつ病の治療において有用な向精神薬を含む。本発明のさらなる態様では、第二成分は、リチウム、医薬抗うつ薬、ハーブ抗うつ薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンから成る群より選択される。
また、ケタミンのエアロゾルスプレー製剤および医薬的に許容される分散剤を含有する鼻スプレー吸入器を含む、ケタミンの患者による自己投与のための装置も本発明において提供され、装置は、うつ病を緩和するために有効なケタミンの用量を含有するが、ケタミンの用量は、不快気分または精神病を引き起こすレベルより下であるように医師または医療提供者によって決定される、スプレーを形成することによって一定量のエアロゾル製剤を分散するように定量される。
選択的実施形態では、ケタミンの静脈内および経皮投与が考慮される。1つの選択的実施形態では、本発明は、それゆえ、ケタミンを含有する組成物を、治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量で患者に静脈内投与することを含む、治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法を提供する。もう1つの選択的実施形態では、本発明は、それゆえ、ケタミンを含有する組成物を、治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量で患者に経皮投与することを含む、治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法を提供する。より特定の実施形態では、ケタミンは、医薬的に許容される担体中に存在し、約0.1mg/kg/日から約3.0mg/kg/日の用量で投与される。
特定実施形態では、治療抵抗性うつ病の症状は、ケタミンの投与から2時間以内に緩和される。
本発明の方法は、ケタミンの多回用量の静脈内または経皮投与を含む方法を通して達成され得る。特定実施形態では、ケタミンは、14日間に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回投与される。他の実施形態では、ケタミンは、21日間に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回投与される。
本発明の他の態様では、前記方法は、医薬的に有効な用量の2番目の薬剤を投与することをさらに含んでもよく、2番目の薬剤は抗うつ薬である。追加薬剤は、いかなる追加抗うつ薬であってもよい。そのような抗うつ薬の例は、リチウム、医薬抗うつ薬、ハーブ抗うつ薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンの少なくとも1つのメンバーを含むが、これらに限定されない。
また、ケタミンの製剤および医薬的に許容される担体を含有する経皮パッチを含む、ケタミンの患者による自己投与のための装置が本発明において提供され、装置は、うつ病を緩和するために有効なケタミンの用量を含有するが、ケタミンの用量は、不快気分を引き起こすレベルより下であるように医師または医療提供者によって決定される、製剤の一定量を分散するように定量される。
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、詳細な説明および特定実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の精神および範囲内で様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、単に説明として与えられることが了解されるべきである。
(発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
大うつ病の既存治療は作用発現に数週間の遅れがあり、かなりの死亡率と自殺行動の高い危険度を生じさせている。数日以内に抗うつ作用を迅速に開始し、持続される薬理学的戦略を探索することは、患者のケアに多大の影響を及ぼす。一連の証拠を合わせると、気分障害の病態生理学および治療におけるグルタミン酸作動系の役割が示唆される。
前臨床および予備臨床試験に基づき、発明人は、NMDA受容体複合体が伝統的なモノアミン作動性に基づく抗うつ薬の遅延治療作用を媒介すると考えられ、およびさらに、NMDA受容体を直接標的することは迅速な抗うつ作用を生じさせると仮定した。実際に、大うつ病を有する7名の被験者の予備試験において、高親和性NMDA受容体拮抗薬、ケタミンの単回静脈内投与が迅速で短命な抗うつ作用を生じさせたことが報告された[27]。本発明において、発明人は、ケタミンが比較的抗療性の集団において実際に迅速な抗うつ作用を及ぼすかどうか、およびさらに、ケタミンの単回投与のこれらの作用が持続されるかどうかを判定するための試験を実施した。
ここで提供する例示データは、DSM−IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版; DSM−IV)の治療抵抗性大うつ病を有する患者に関する無作為化プラセボ対照二重盲検交差試験から得られた。「治療抵抗性大うつ病」という用語は、それまでに2つの適切な抗うつ薬試用(抗うつ薬試用の適切性は「抗うつ薬治療歴書式(Antidepressant Treatment History Form)」で決定された)に対して応答しなかった被験者によって経験されるうつ病を指す。治療抵抗性大うつ病は、臨床診療の現場では比較的一般的に発生し、患者の50−60%が抗うつ薬治療後に十分な応答を達成しない[52]。少なくとも、治療抵抗性うつ病は、最適に送達された1またはそれ以上の治療に対して満足し得るほど応答しない単極性うつ病を含む[53]。うつ病が、現在のエピソードにおいて異なるクラスからの薬剤の少なくとも2つの適切な試用から恩恵を受けなかった場合、臨床的に有意の抵抗性が存在する[54]。抵抗性の程度を「段階分けする(stage)」ためのいくつかのスキームが提案されてきた。最も広く受け入れられているスキームは、ThaseとRush[55]のステージングシステムを使用する。抵抗性の段階は以下のとおりである:
ステージI:1つの主要クラスの抗うつ薬の少なくとも1つの適切な試用の失敗;
ステージII:ステージIの抵抗性+ステージIで使用されたものとは明らかに異なるクラスの抗うつ薬の適切な試用の失敗;
ステージIII:ステージIIの抵抗性+TCAの適切な試用の失敗;
ステージIV:ステージIIIの抵抗性+MAOIの適切な試用の失敗;
ステージV:ステージIVの抵抗性+一連の両側ECTの失敗。
このように、上記のスキームから、当業者は、治療抵抗性うつ病患者が抗うつ薬の1つの適切な試用に応答しなかった患者(ステージI)を含むことを理解し得る。
もう1つのステージングシステムは、失敗した試用の数ならびに各々の試用の強さ/最適化の両方を考慮し、抗うつ薬クラスの階層に関する仮定は行わない。Massachusetts General Hospital(MGH)の治療抵抗性うつ病を分類するためのステージング法(Staging Method to Classify Treatment−Resistant Depression):
(1)市販の抗うつ薬の各々の適切な(少なくとも6週間の適切な用量の抗うつ薬)試用に対する無応答は、抵抗性の全体スコアを生じる(各試用につき1ポイント);
(2)用量の最適化、期間の最適化、および各々の試用の増加/併用(MGHまたは抗うつ薬治療応答質問表に基づく)は全体スコアを上昇させる(最適化/戦略につき各試用当たり0.5ポイント);
(3)ECTは全体スコアを3ポイント上昇させる;ECT、電気痙攣療法。
最後に、多くの研究者は、抗うつ薬治療歴書式(ATHF,Sackeim 2001,Neuropsychopharmacology 25:713−728)によって提案されたガイドラインを使用する。抗うつ薬治療歴書式は、用量と期間の両方について連続体としての治療の適切性を定義し、0から4までに評定されるカテゴリーを提供する。ATHFは、種々のレベルの抵抗性を提供する。たとえばフルオキセチンに関する抵抗性のレベル3の程度は、少なくとも4週間の少なくとも20g/日のフルオキセチンを必要とする。それらはいくぶん恣意的であるが、これらの指標は、過去の治療試用の間の妥当な臨床的区別を反映する。このアプローチの有効性確認は、電気痙攣療法(ECT)および迷走神経刺激(VNS)に対する急性期治療応答に関して達成されている。
そこで、本発明によって治療されるべき患者集団は、上記スキームの1またはそれ以上に従って定義され得る。2週間の断薬期間後、治療抵抗性うつ病を有する典型的被験者に、1週間の間隔を置いた2回の試験日に、塩酸ケタミン(0.5mg/kg)またはプラセボの静脈内注入を行った。被験者を基線時および注入後40分、80分、110分、230分および1、2、3および7日目に評価した。治療の結果を、21項目のハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)を測定する一次効果に関してのスコアの変化を使用して測定した。これらの試験から、ケタミンを投与された被験者は、注入後110分以内にプラセボと比較してうつ病の有意の改善を示し、その翌週全体を通じて有意のままであった。薬剤相違に関する効果サイズは、24時間後に大きく(d=1.46,95%C.I.0.91−2.01)、1週間後には中等度から大きかった(d=0.68,95%C.I.0.13−1.23))。ケタミンで治療された患者のうちで、ケタミン注入の翌日に71%が応答に適合し、29%が寛解判定基準に合致した。被験者の35%は少なくとも1週間応答を維持した。これらのデータから、NMDA拮抗薬の単回静脈内投与から堅固で迅速な抗うつ作用が生じ得ると結論できる;改善の開始は注入後2時間以内に明らかであり、1週間有意なまま持続した。
本発明は、ケタミンの鼻内投与を使用した治療抵抗性うつ病を治療するための方法及び組成物を対象とする。そのような治療は、単独で投与され得るかまたは以下で述べるような他の抗うつ薬治療を補足され得る。
ケタミンの静脈内投与を治療抵抗性大うつ病の治療のためにも使用した。その試験では、0.5mg/kgの静脈内注入を40分間かけて実施した。うつ病の改善は注入後2時間以内に認められ、1週間まで持続した。重篤な有害事象は存在せず、注入後80分以内に消失した(多幸感、血圧上昇、リビドーの上昇、知覚障害;Zarateら、2006)。
疼痛のために使用される鼻内(IN)ケタミン血漿レベルは、うつ病での静脈内(IV)ケタミン試験よりも3−4倍低い[27、78−86]。ケタミンの緩やかな注入は、注入期間中徐々に血漿レベルを上昇させる。用量に関しては、手術導入のための典型的ケタミン用量は1.0−2.0mg/kgであり、麻酔を持続するために追加のケタミンが使用される。麻酔では、標的ケタミン血中レベルは、1分間で0.2−0.26mg/kgのケタミンボーラス用量で達成されるので、麻酔のための用量はIV用量よりも約5倍低い。麻酔を生じさせるために必要なレベルに対して抗うつ応答を生じさせるケタミン血漿レベルのための用量は、40分間で0.5mg/kgの範囲内である。Carrの試験および他の疼痛試験における解離の報告は、これらの試験で鼻内投与によって達成されたケタミンレベルがはるかに低かったため、MDDでのIV試験よりも有意に少なかった。疼痛のために使用される鼻内用量(50mg)は、0.1mg/kg i.v.のケタミンにほぼ等しい。
本発明において、述べられている方法は、50mgまでのケタミンを鼻内投与するうつ病の治療のためのものである。そのような投与は、1時間かけてまたはそれ以上またはそれ以下の期間で投与され得る。うつ病は維持治療を必要とする慢性疾病であるので、鼻内製剤の慢性投与は、応答に依存して、毎日から週に1回までの範囲にわたって、必要に応じて使用され得る。50mgのIN用量がうつ病を有効に治療するのに不十分であることが明らかになった場合は、IV試験における0.5mg/kg用量での使用の相対的等価量を確立するために、増加用量、たとえば合計約100mg、約150mg、約200mg、約250mgのケタミンを鼻内投与する。
ケタミンの鼻内投与は、使用される用量で良好に耐容される。効果に関して、IV経路の投与を使用したうつ病の治療で認められた陽性結果が鼻内投与でも認められると考えられる。
一部の実施形態では、鼻内ケタミン製剤は、治療抵抗性とみなされるうつ病患者の外来患者群のために使用される。鼻内製剤は、患者が静脈内投与のために病院または診療所を訪れる必要性を排除する。患者は自らの家で鼻内ケタミンを服用することができ、注射針は必要ない。それゆえ、患者にとっての治療の受容性はIVケタミンより良好である。患者は、うつ病症状の迅速で安全な軽減のための新しい選択肢を求めている、少なくとも中等度に治療抵抗性である患者であり得る。医師は、外来患者として患者を観察し、経口投与薬剤の場合のように用量を調節することができる。
ケタミン((2−(2−クロロフェニル)−2−(メチルアミノ)−シクロヘキサノン)は、麻酔医、獣医および研究者によって使用される一般的な麻酔薬である。眼手術のために鎮静を達成するため、および健常小児における待機手術の前に麻酔を導入するためのケタミンおよびミダゾラムの鼻内投与が報告されている[50、51]。通常、ケタミンは麻酔を導入するために筋肉内(i.m.)または静脈内(i.v.)投与される。しかし、ケタミンの鼻内用組成物も、たとえばJavelin Pharmaceuticalsより入手可能である。
ケタミンはまた、鎮痛特性を有することが知られてきた[56];痛覚脱失は麻酔用量以下のケタミンで達成され得る[57、58]。薬剤は、i.v.、i.m.、尾、髄腔内および皮下(s.c.)を含む様々な経路によって投与される。ケタミンの皮下投与は、手術後の疼痛を治療するためおよび末期癌に関連して使用されてきた[たとえば59参照]。皮下カニューレによって投与された塩酸ケタミンは、幻肢痛を成功裏に治療することが報告された[60]。
上記で説明したように、治療抵抗性うつ病の管理は複雑であり、しばしば成功しない。本発明では、ケタミンのような非競合的N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬が、鼻経路を通して投与された場合、治療抵抗性うつ病に対して第一線の防御を形成することが示される。
本発明は、治療抵抗性うつ病を治療するための方法を広く対象とする。より詳細には、発明人は、ケタミンの一定用量の鼻経路による投与が、治療抵抗性うつ病に罹患している患者においてうつ病を緩和するために有効であることを発見した。さらなる実施形態では、本発明は、吸入によるケタミンの肺投与を提供する。ケタミンの抗うつ用量の鼻内投与は、好都合にも患者による薬剤の自己投与を可能にし、これは外来患者ベースでのうつ病の管理を提供する。さらに、鼻スプレーと吸入器でのケタミン投与は概して社会的に容認される。
本発明のもう1つの利点は、治療抵抗性うつ病の治療のための第二の抗うつ薬のより低い量の投与を可能にすることである。一部の実施形態では、ケタミンの鼻内投与は、それ自体、もう1つ別の抗うつ薬と併用投与したとき相加作用を有し得る。
ケタミンは、重要な有害副作用を伴わない、安価で容易に入手可能な薬剤である。それゆえ本発明は、過度な負担を抱える医療システムに対する付加的な救済を考慮する。この薬剤の鼻投与は迅速であり、薬剤の速やかな作用を可能にし、医学的な教育を受けていない患者によって容易に達成される。
1つの態様では、ケタミンのうつ病緩和用量は約0.01−約1mg/kg体重である。より好ましい態様では、ケタミンの用量は約0.05−約0.7mg/kg体重である。もう1つの態様では、鼻内投与あたりのケタミンの総用量は約1−約250mgの範囲である。
本発明の特定態様では、ケタミンの用量は、治療抵抗性うつ病に罹患している患者においてうつ病を緩和するために有効である。特定態様では、ケタミンの鼻投与は、1またはそれ以上の付加的な抗うつ薬の投与を含むうつ病管理レジメンにおける補助療法であり得る。そのような付加的な薬剤は、鼻経路を通してまたはもう1つ別の経路を通して投与され得る。付加的な薬剤は、ケタミンと同時にまたはケタミン投与の前または後に投与され得る。
ケタミンは、不快または幻覚に結びつくレベルよりも十分に低い定量で提供され得る。他の態様では、2番目の抗うつ薬の用量は、ケタミンと共にうつ病を緩和するために有効な量で与えられる;好ましくは、2番目の抗うつ薬はケタミンと共に粘膜経路によって投与される。
本発明は、ケタミンの患者による自己投与のための装置を提供し、装置は、ケタミンのエアロゾル製剤および医薬的に許容される分散剤を含有する鼻吸入器を含み、うつ病を緩和するために有効なケタミンの用量を含有するエアロゾル製剤の量を分散するように定量される。分散剤は、たとえばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの、しかしこれらに限定されない、界面活性剤であり得る。リン脂質に基づく界面活性剤も使用し得る。
他の実施形態では、ケタミンのエアロゾル製剤は、ケタミンが微細に分割された粉末としてその中に存在する乾燥粉末エアロゾル製剤として提供される。乾燥粉末製剤は、ラクトース、ソルビトール、スクロース及びマンニトールなどの、しかしこれらに限定されない、増量剤をさらに含み得る。
もう1つの特定実施形態では、エアロゾル製剤は、滅菌水、生理食塩水、緩衝生理食塩水およびデキストロース溶液などの、しかしこれらに限定されない、医薬的に許容される希釈剤をさらに含む液体エアロゾル製剤である。
さらなる実施形態では、エアロゾル製剤は、装置によって分散されるエアロゾル製剤の計量された量が、ケタミンと併用して使用されたときうつ病の症状を改善するために有効な計量された量で2番目の抗うつ薬の一定用量を含むような濃度で2番目の抗うつ薬をさらに含有する。
そこで、本発明は、治療抵抗性うつ病の外来患者治療のための自己投与方法を提供する。そのような投与は、病院内で、診療所内で、もしくは病院外または診療所外で、ケタミンの鼻内自己投与のために非医療従事者によって使用され得る。
本発明は、ケタミンの鼻投与が慢性の治療抵抗性うつ病の症状を改善し得るという驚くべき予想外の発見に基づく。それゆえ、以前に抗うつ薬での治療に対して抗療性であった患者が、0.13−0.53mg/kg体重に相当する、ケタミン8−32mgの鼻投与によってより満足し得るうつ病管理を実現することができた。しかし、250mgまでのケタミンをうつ病の治療のために鼻内投与し得ると考えられる。1つの好ましい実施形態では、0.5mg/kgのケタミン用量が、これまでに治療抵抗性うつ病の症状を示した患者において40分後から7日目まで気分を改善するために有効であった。本発明は、単回投与さえも、NMDA拮抗薬、ケタミンに対する堅固で迅速な(鼻内投与後数時間以内)比較的持続性の(1週間続く作用)応答を示す。特に、鼻内ケタミンで治療された被験者は2時間以内に(110分後)プラセボより良好であり、7日目まで良好なままであった。加えて、本発明はまた、ケタミンのIV投与が慢性治療抵抗性うつ病の症状を緩和し得ることを示す。すなわち、以前に抗うつ薬での治療に対して抗療性であった患者が、ケタミンのIV投与によってより満足し得るうつ病管理を達成することができた。やはり、IVケタミンで治療された被験者は2時間以内に(110分後)プラセボより良好であり、7日目まで良好なままであった。
いかなる慢性治療抵抗性うつ病もここで述べる方法によって治療され得る。そのようなうつ病は、大うつ病、単一エピソード、再発性大うつ病障害―単極性うつ病、季節性感情障害−冬季うつ病、双極性気分障害−双極性うつ病、一般身体疾患による気分障害−大うつ病様エピソードを伴う、または一般身体疾患による気分障害−うつ病特徴を伴う、のいずれかを含み得るが、これらに限定されず、それらの疾患は所与の患者において治療に対して抵抗性である。そこで、それらの障害の1つを示し、現在のエピソードにおいて1つの抗うつ薬の適切な試用に対して応答せず、2年間以上にわたって再発性または慢性うつ病症状を有する患者は、本発明の方法によって治療され得る。躁うつ病はGoodwinら[61]においても記述されている。
当技術分野において一般的に特性決定されている3つのタイプのうつ病、大うつ病、気分変調性障害または気分変調、および特定不能のうつ病性障害がある。大うつ病は、極度のうつ病のピークエピソードによって特徴づけられる。ピークエピソードの間、患者は、抑うつ気分および活動に対する興味または喜びの著しい低下に悩まされ得る。他の症状は、重大な体重減少または体重増加、食欲の低下または亢進、不眠症または過眠症、精神運動性激越または精神運動制止、疲労感またはエネルギーの喪失、無価値感もしくは過度のまたは不適切な罪悪感、思考力または集中力の低下もしくは優柔不断、死についての思考の反復、自殺念慮または自殺企図を含む。症状は少なくとも2週間続き、重要な機能領域における重大な苦痛または障害を引き起こす。
気分変調は、少なくとも2年間の抑うつ気分、ならびに食欲不振または過食、不眠症または過眠症、エネルギー低下または疲労、自尊心低下、集中力低下または決定を下すことの困難さおよび絶望感のような他の症状によって特徴づけられる。精神医学分野において認識されるように、うつ病はまた、季節性感情障害、日内気分変動、または閉経に関連するうつ病を含むがこれらに限定されない、様々な形態を含み得るおよび/または様々な形態で発現し得る。気分変調および大うつ病、ならびに季節性感情障害、日内気分変動および閉経に関連するうつ病についての診断基準は、米国精神医学会(American Psychiatric Association)によって公表されている精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM IV)において、またはICD(ICD−10:疾病および関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)(第10回改定版)または他の精神医学分類システムによってより詳細に説明されている。
季節性感情型または季節性感情障害(以下「SAD」と称する)を有するうつ病は、キャビン熱(閉所性発熱)、イブニングブルー、および日光欠乏症候群(sun deprivation syndrome)としても知られる。「季節性感情障害」または「季節型特定語」という用語は、DSM−IVの中でうつ病に関連する特徴をより正確に特徴づける特定語または形容詞として定義されている。SADの特徴は、うつ病が冬季に定期的に発生することである。
SADを有する患者の大部分は、気分反応性(実際のまたは潜在的な肯定的事象に応答して気分が明るくなる)に関連する冬季の非定型型うつ病ならびに体重増加または食欲亢進、過眠、鉛様の麻痺(腕または脚の鉛のように重い感覚)、対人関係における拒絶過敏性の長期的パターンによって特徴づけられる。
うつ病の診断は、通常、精神科医または他の精神衛生の専門家による臨床的評価に従う。大うつ病および他の抑うつ性障害または気分障害に関する2組の最も広く認められている診断判定基準は、米国精神医学会によって公表されているDSM、精神疾患の診断・統計マニュアル、第4版(DSM IV)およびICD(ICD−10:世界保健機構によって定期的に発表される、疾病および関連保健問題の国際統計分類−第10回改定版)または他の精神医学分類システムに概説されている。
うつ病状態の存在及び重症度はまた、当技術分野において周知のハミルトンスコアのような構造化および半構造化面接および質問表でも判定され得る[62]。従って、本発明は、ケタミンの鼻投与によって外来患者ベースで治療抵抗性うつ病を緩和するための方法およびケタミンの鼻自己投与のための非医療従事者によって使用可能な装置を対象とする。
ケタミンは、好ましくは鼻投与のための適切な製剤または医薬組成物に製造される。適切な製剤を以下で詳細に論じる。さらなる実施形態では、ケタミンは、薬剤の送達を促進する粘膜透過促進剤と共に製剤され得る。製剤はまた、溶解度、薬剤安定性、鼻粘膜を通しての吸収、および他の考慮事項に合わせて最適化されたpHで製造され得る。
本発明は、ケタミンの治療有効用量、すなわち治療抵抗性うつ病を緩和するために有効な用量の投与を提供する。実際の用量は、患者の体重、うつ病の重症度、投与経路、同時に投与される薬剤の性質、1日に投与される用量の数、および薬剤の投与において医師によって一般的に考慮される他の因子に依存して異なる。特定実施形態では、治療抵抗性うつ病に罹患している患者に投与されるケタミンの量は、麻酔を誘導するために使用される量の約10%〜約20%である。もう1つの特定実施形態では、ケタミンの用量は約0.01mg/kg体重(0.01mg/kg)〜約1mg/kg、好ましくは約0.05mg/kg〜約0.7mg/kgである。さらにもう1つの実施形態では、用量は約1mg〜約250mgの範囲である。これらの2つの数の間のいかなる整数の用量も考慮される。それゆえ、たとえば1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mgの総鼻内、経皮、静脈内、皮内または皮下用量をそれぞれ含有する鼻内、経皮、静脈内、皮内または皮下製剤が特に考慮される。好ましくは、有効用量は、特定適用のための最適用量が正確に決定されるように、医師または医療提供者の監視の下で滴定される。それゆえ、本発明は各々の個別患者に適合された用量を提供する。
ひとたび用量範囲が確立されれば、本発明の利点は、患者が必要に応じて用量−効果関係に基づいてケタミンを投与できることである。それゆえ、投与の頻度は患者の管理下にある。しかし、各々の投与に関する比較的低い用量が乱用の可能性を低減する。
本発明のさらにもう1つの特定利点は、ケタミンの鼻投与が非侵襲性であることであり、i.v.投与とほぼ同じくらい速やかな、口周囲の投与よりもはるかに速い血流への導入を提供する。
より重要な点として、鼻投与は、投与期間全体を通してうつ病の変化を埋め合わせるために使用される薬剤の用量と効果に対して厳密な制御を提供するので、患者は抗うつ薬の投与を制御することができる。ケタミンの鼻投与は、薬剤の用量対効果関係に基づく投与を最適に提供する。
「鼻投与」という用語は、そのすべての文法的形態において、薬剤の全身送達のための鼻粘膜を通しての血流への薬剤の投与を指す。薬剤送達のための鼻投与の利点は、注射器と針を使用する注射を必要とせず、薬剤のi.m.投与に付随し得る壊死を回避することであり、また薬剤の経粘膜投与は自己投与に極めて適合させやすい。
本発明は、吸入器を通しての肺投与を考慮する。
ケタミンは、「粘膜透過促進剤」、すなわち胆汁酸、脂肪酸、界面活性剤またはアルコールなどの、しかしこれらに限定されない、ケタミンの経粘膜透過の速度または容易さを高める試薬と共に製剤され得る。特定実施形態では、透過促進剤は、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸塩、グリコール酸ナトリウム、ジメチルスルホキシドまたはエタノールであり得る。
薬剤の「治療有効量」は、薬剤の所望活性を発揮するために有効な量である。本発明によれば、ケタミンの治療有効量は、治療抵抗性うつ病患者の症状を緩和する、すなわち著明に低減するために有効な量である。
当業者は、疼痛を治療するためのケタミンの鼻投与を十分に認識する(その全体が参照によりここに組み込まれる、米国特許第5,543,4354号参照)。ケタミンおよびここで論じるようなうつ病を治療するためにケタミンと併用投与できる付加的な治療活性薬剤または物質のそのような鼻および肺投与を通して。
本発明は、気道、好ましくは鼻腔への医薬組成物および治療製剤の送達用に設計された多種多様な装置における使用のためのケタミンを含有する製剤を考慮する。本発明の好ましい投与経路は、鼻吸入のためのエアロゾルスプレーである。分散剤と組み合わせたケタミンは、粉末製剤としてエアロゾル製剤中でまたは希釈剤を含む溶液または懸濁液中で投与され得る。
ここで使用するとき、「エアロゾル」という用語は空気中の懸濁液を指す。特に、エアロゾルは、本発明の製剤の粒子化または噴霧化およびその空気中の懸濁液を指す。本発明によれば、エアロゾル製剤は、鼻吸入または肺投与のためのケタミンを含有する製剤である。
ここで使用するとき、「吸入器」という用語は、たとえば溶液、粉末等としての、薬剤の鼻投与および肺投与のための装置を指す。たとえば「吸入器」という用語は、急性喘息発作に対して抗ヒスタミン薬を投与するために使用されるような、推進薬駆動性吸入器、およびうっ血除去薬を投与するために使用されるような、プラスチック・スプレー・ボトルを包含することが意図されている。
ここで使用するとき、「分散剤」という用語は、ケタミンのエアロゾル化または粘膜組織におけるケタミンの吸収またはその両方を助ける物質を指す。特定態様では、分散剤は粘膜透過促進剤であり得る。好ましくは、分散剤は医薬的に許容される。ここで使用するとき、「医薬的に許容される」という用語は、連邦または州政府の規制当局によって承認されている、または動物、特にヒトにおける使用に関して米国薬局方または他の一般に認識されている薬局方にリストされていることを意味する。
適切な分散剤は当技術分野において周知であり、界面活性剤等を含むが、これらに限定されない。そのような界面活性剤は、液体エアロゾルを形成する溶液の噴霧化によって引き起こされるケタミンの表面誘導凝集を低減するために当技術分野で一般的に使用され、本発明の方法および装置において使用され得る。そのような界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの界面活性剤を含むが、これらに限定されない。使用される界面活性剤の量は、一般に製剤の0.001〜4重量%の範囲内で異なる。適切な界面活性剤は当技術分野において周知であり、特定製剤、ケタミンの濃度、希釈剤(液体製剤において)または粉末の形態(乾燥粉末製剤において)等に依存して、所望特性に基づいて選択され得る。
液体エアロゾル製剤は、生理的に許容される希釈剤中にケタミンおよび分散剤を含有する。本発明の乾燥粉末エアロゾル製剤は、ケタミンの微細に分割された固体形態および分散剤から成る。液体または乾燥粉末エアロゾル製剤のいずれに関しても、製剤はエアロゾル化されねばならない。すなわち、エアロゾル化された用量が実際に鼻腔または肺の粘膜に達することを確実にするため、液体または固体粒子に分解されなければならない。「エアロゾル粒子」という用語は、鼻または肺投与に適する、すなわち粘膜に到達する液体または固体粒子を表すためにここで使用される。送達装置の構造、製剤中の付加的な成分、および粒子特徴などの他の考慮事項も重要である。薬剤の鼻または肺投与のこれらの態様は当技術分野において周知であり、製剤の操作、エアロゾル化の手段および送達装置の構築は、当業者による常套的な実験しか必要としない。
特定実施形態では、薬剤粒子が肺胞に達することを確実にするため、動力学的粒径は5μmまたはそれ以下である(Wearley,L.L.,1991,1991,Crit.Rev.in Ther.Drug Carrier Systems 8:333)。
送達装置の構造に関して、液体製剤のスプレーボトル、噴霧化(nebulization,atomization)またはポンプエアロゾル化、および乾燥粉末製剤のエアロゾル化を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知のいかなる形態のエアロゾル化も、本発明の実施において使用できる。
上述したように、本発明の好ましい態様では、エアロゾル化の装置は定量吸入器である。定量吸入器は、投与したとき、投与に依存する可変用量ではなく、特定用量を提供する。そのような定量吸入器は、液体または乾燥粉末エアロゾル製剤のいずれかと共に使用できる。定量吸入器は当技術分野において周知である。
鼻投与に関して、有用な装置は、定量噴霧器を取り付ける小さな硬いビンである。1つの実施形態では、ケタミン溶液を規定容量のチェンバーに引き入れることによって定量が送達され、前記チェンバーは、チェンバー内の液体が圧縮されたときスプレーを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法を合わせた開口部を有する。ケタミンを投与するにはチェンバーを圧縮する。特定実施形態では、チェンバーはピストン構造である。そのような装置は市販されている。
あるいは、圧搾されたときスプレーを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化するように寸法を合わせた開口部または穴を備えるプラスチックスクイーズボトル。開口部は通常ボトルの上部に存在し、上部は、一般にエアロゾル製剤の効率的な投与のために鼻腔内で部分的に適合するように先細になっている。好ましくは、鼻吸入器は、測定用量の薬剤を投与するために、計量された量のエアロゾル製剤を提供する。
しばしば、肺への吸入のための液体または乾燥粉末製剤のエアロゾル化は推進薬を必要とする。推進薬は、当技術分野で一般的に使用されるいかなる推進薬でもよい。そのような有用な推進薬の特定の非限定的な例は、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、またはトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む炭化水素である。
加圧定量吸入器および乾燥粉末吸入器などのエアロゾル送達のシステムは、Newman,S.P.,Aerosols and the Lung,Clarke,S.W. and Davia,D.editors,p.197−22に開示されており、本発明に関して使用できる。
一般に、ケタミンは、哺乳動物の体重kg当たり約0.01mgから前記哺乳動物の体重kg当たり約1mgの量でエアロゾル形態にて被験者に導入される。特定実施形態では、用量は必要に応じて投与される。当業者は、本発明のエアロゾル製剤中のケタミンの濃度に基づき、この用量に相当するエアロゾルの容量または重量を容易に決定することができる。
本発明は、液体エアロゾル製剤および治療抵抗性うつ病に罹患している被験者を治療する上での使用のための投与形態を提供する。一般にそのような投与形態は、医薬的に許容される希釈剤中にケタミンを含有する。そのような液体エアロゾル製剤における医薬的に許容される希釈剤は、滅菌水、生理食塩水、緩衝生理食塩水およびデキストロース溶液等を含むが、これらに限定されない。特定実施形態では、本発明においてまたは本発明の医薬製剤において使用し得る希釈剤は、一般にpH7.0〜8.0の範囲のリン酸緩衝生理食塩水または緩衝生理食塩水、または水である。
液体エアロゾル製剤はまた、場合により医薬的に許容される担体、希釈剤、可溶化または乳化剤、界面活性剤および賦形剤を含み得る。
製剤は担体を含み得る。担体は、循環系において可溶性であり、生理的に許容される[生理的許容とは、当業者が治療レジームの一部として前記担体の患者への注入を許容することを意味する]高分子である。担体は、好ましくは循環系において比較的安定であり、クリアランスに関して許容される血漿半減期を有する。そのような高分子は、ダイズレシチン、オレイン酸およびトリオレイン酸ソルビタンを含むがこれらに限定されず、トリオレイン酸ソルビタンが好ましい。
本実施形態の製剤はまた、pHの維持、溶液の安定化、または浸透圧の調節のために有用な他の物質を含み得る。物質の例は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどの塩、グルコース、ガラクトースまたはマンノースなどの炭水化物等を含むが、これらに限定されない。
本発明はさらに、ケタミンと、以下でさらに詳述するようなもう1つ別の治療上有効な薬剤を含有する液体エアロゾル製剤を考慮する。
また、本発明のエアロゾル製剤は、微細に分割された粉末形態のケタミンと分散剤を含む乾燥粉末製剤として製造され得ることも考慮される。たとえば乾燥粉末製剤は、ケタミンを含む微細に分割された乾燥粉末、分散剤および増量剤も含有し得る。本発明の製剤に関して有用な増量剤は、装置からの粉末の分散を促進する量の、ラクトース、ソルビトール、スクロースまたはマンニトールのような物質を含む。
さらなる実施形態では、本発明のエアロゾル製剤は、ケタミンに加えて、抗うつ薬;生体アミン非選択的再取込み阻害剤、たとえばイミプラミンのような三環系抗うつ薬;フルオキセチン(Prozac)のようなセロトニン選択的再取込み阻害剤;フェネレジンのようなモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO−I);非定型抗うつ薬を含む他の種類の抗うつ薬剤を含むがこれらに限定されない、従来の抗うつ治療薬などの、しかしこれに限定されない、他の治療的または薬理的有効成分を含み得る。他の薬剤、たとえばリチウム、T3、T4等による抗うつ作用の増強。抗うつ作用を有する他の治療方法:電気痙攣治療(ECT);光線療法精神療法、たとえばうつ病のための認知または対人関係療法。
加えて、神経精神疾患の症状を改善するまたは増悪すると報告されている薬剤の投与は、リチウム塩、カルバマゼピン、バルプロ酸、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、p−クロロフェニルアラニン、p−プロピイドパアセトアミド(p−propyidopacetamide)ジチオカルバメート誘導体、たとえばFLA63などの抗うつ薬;抗不安薬、たとえばジアゼパム;モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、たとえばイプロニアジド、クロルギリン、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびイソカルボキサジド;生体アミン取込み遮断薬、たとえばデシプラミン、イミプラミンおよびアミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬;ミルタザピン、ネファゾドン、ブプロピオンなどの非定型抗うつ薬;セロトニン再取込み阻害薬、たとえばフルオキセチン、ベンラファキシンおよびデュロキセチン;フェノチアジン誘導体(たとえばクロルプロマジン(トラジン)およびトリフルオプロマジン))、ブチロフェノン(たとえばハロペリドール(Haldol)、チオキサンテン誘導体(たとえばクロルプロチキセン)、Sおよびジベンゾジアゼピン(たとえばクロザピン);ベンゾジアゼピン;ドーパミン作動薬および拮抗薬、たとえばL−DOPA、コカイン、アンフェタミン、α−メチルチロシン、レセルピン、テトラベナジン、ベンズトロピン、パルギリン;ノルアドレナリン作動薬および拮抗薬、たとえばクロニジン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、トロポロンを含む化合物を包含するが、これらに限定されない。治療方法のもう1つの実施形態では、投与される化合物は、酸化ストレス疾患の症状を改善するまたは増悪すると報告されている化合物、特に薬剤を含む。そのような化合物は、還元型ISグルタチオン(GSH)、グルタチオン前駆体、たとえばN−アセチルシステイン;抗酸化薬、たとえばビタミンEおよびC、β−カロテンおよびキノン;脂質膜過酸化の阻害薬、たとえば21−アミノステロイドU74006F(メシル酸チリラザド)、およびラザロイド;マジンドールなどの抗酸化薬;2cマレイン酸ジゾシルピン;セレギリン;スルフヒドリルN−アセチルシステインおよびシステアミン;ジメチルチオ尿素;合成低分子サレン−マンガン複合体、EUK−8;合成マンガンベースのメタロプロテインスーパーオキシドジスムターゼミミック、SC52608;フリーラジカル消去薬または抑制薬、たとえばペゴルゴテイン、トコトリエノール、トコフェラル、MDL74、18、LY231617、MCI−186、AVS(ニカラベン)、アロプリノール、リファンピシン、オキシプリノール、次亜塩素酸または組換えヒトCu、Zn−SODを含む。
上述したような2番目の治療薬とケタミンの同時投与は、治療抵抗性うつ病の1またはそれ以上の症状を緩和するために有効な量で提供される。
ケタミンの軽度有害作用、たとえば不快気分および/または、時として「ケタミンドリーム」と呼ばれる、幻覚は、50mg以上の用量のケタミン投与時に起こることがあり、通常は鼻内経路でケタミンの総用量100mg以上の投与を必要とする。本発明の1つの利点は、ケタミンの経鼻送達が、痛覚消失のために有効なレベルであるが、そのようなドリームを生じさせるレベルよりは低いレベルへの用量の制御を可能にすることである。しかし、個人が、特にうつ病の急性エピソードに応答して、過量投与することは可能である。それゆえ、上記に挙げた付加的な例示抗うつ薬とケタミンの同時投与は、この薬剤の副作用を伴わずにケタミンの有益な抗うつ作用を達成するために指示され得る。
好ましい実施形態では、ここでうつ病の治療のために使用される2番目の薬剤の治療有効量は、ケタミンと共に投与される。2番目の薬剤の治療有効量は、ケタミンと同時投与したとき治療抵抗性うつ病を緩和するために有効な量である。
以下の実施例に示すように、鼻内ケタミンで治療される患者はうつ病からの著明な回復を示す。そのような患者は、それゆえ、最終的にその他の抗うつ薬の低用量を使用することになり得る。
上述したように、本発明は、ケタミンの鼻内投与を含む、治療抵抗性うつ病を治療するための様々な方法および組成物を対象とする。選択的実施形態では、本発明は、治療抵抗性うつ病の治療のためのケタミンの静脈内投与を考慮する。そのような治療は、単独で投与され得るかまたはここで述べるような他の抗うつ薬治療を補足され得る。
ケタミンのIV投与(40分間で0.5mg/kg)は、注射後2時間以内にうつ病の改善を報告し、1週間まで持続した。IV投与によって引き起こされた重篤な有害事象はなかった。認められた副作用は軽度であり、たとえば多幸感、血圧上昇、リビドーの上昇、知覚障害であり、さらにこれらの作用は注入後80分以内に軽快した。0.1〜0.2mg/kg/時(15〜20mg/時)でIV持続注入を開始する、慢性注入投与戦略がこれまでに2名のうつ病患者において記述されている(Correllら、Pain Medicine,7:92−95.2006)。これらの症例では、投与は5日間維持され、評価の終点は精神異常発現副作用であった。しかし、さらなる6〜9回の治療の間維持される認容性閾値用量の文献における報告はない。
本発明は、特定期間内に複数回反復されるケタミンの静脈内投与を含む、治療抵抗性うつ病を治療する方法を初めて提供する。たとえば投与は、2または3週間の期間にわたって少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回実施される。
もう1つの選択的実施形態では、投与は経皮投与を含む。そのような治療は、単独で投与され得るかまたはここで述べるような他の抗うつ薬治療を補足され得る。経皮投与は、たとえばパッチおよびイオン導入装置、ならびにペーストまたは軟膏の局所適用を含む、受動的または能動的経皮方式を包含する。
現在まで、経皮ケタミンの公表されている試験は2つしかなく、どちらも疼痛疾患における使用に関するものである(Vrankenら、Pain.,118:224−31,2005,Azevedoら、Anesth Anal.,91:1479−82,2000)。これらの試験のいずれも、治療に対して抵抗性のうつ病の治療についての教示は与えていない。Vrankenらは、抗療性中枢神経因性疼痛を有する33名の男性と女性においてイオン導入パッチ(帯電した薬剤がガルバニー電流のパルスによって透過される送達機構)の使用を検討した。Vrankenらは、ラセミ体(S(+)とR(+)の混合物である)(Schuettlerら、Ketamine and its isomers,Textbook of Intravenous Anesthesia.White PF.Baltimore編集、Williams & Wilkins,1997,p.171−88)よりも2倍強力な化合物である、ケタミンの鏡像異性体、S(+)ケタミンを使用することを選択した。無作為化二重盲検プラセボ対照試験計画を使用して、被験者に、24時間にわたって経皮的に送達される、50mg(n=11)、75mg(n=11)の用量、またはプラセボ(n=11)のいずれかを7日間投与した。Vrankenらは、疼痛の強さにおいて群間で変化はなかったが(視覚的アナログ評価スケール(Visual Analog Scale)による測定)、75mgの用量を投与した被験者は、疼痛の生活障害性、および主観的身体および精神機能の有意の改善を示した。報告された副作用は極微であり、解離または精神症状の報告はなかった。有害事象は、鎮静(50mg、n=3;プラセボ、n=1)、めまい感(50mg、n=1;プラセボ、n=3)、吐気/嘔吐(75mg、n=1)、錯乱(50mg、n=1)、鮮明な夢(vivid dreams)(プラセボ、n=1;50mg、n=1)、頭痛(プラセボ、n=1)、および紅斑(プラセボ、n=2)を含んだ。この試験ではケタミンの血中レベルは測定されなかった。
2番目の試験は、経皮送達システムにおいてラセミ体ケタミンを使用する無作為化二重盲検プラセボ対照試験である(Azevedoら、2003)。合計49名の女性(ケタミン、n=26、プラセボ、n=23)を、リドカインの硬膜外ブロックを使用した腹部婦人科手術後に試験した。手術後に、25mgを24時間にわたって漸減量で送達する(1〜4時間目:1.25mg/時;5〜8時間目:0.5mg/時、9〜24時間目:0.4mg/時)。結果の測定は、一次救急鎮痛薬までの時間であり、プラセボに比べてケタミンの方が長かった。被験者は、吐気または嘔吐、錯乱または幻覚などの、ケタミンからの副作用を報告しなかった。治療抵抗性うつ病を治療するためのケタミンの経皮投与の報告はない。同様に、投与が特定期間内で複数回反復される、治療抵抗性うつ病を治療するためのケタミンの経皮投与の報告はない。たとえば投与は、2または3週間の期間にわたって少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回実施される。
ケタミンは、所望送達方法に適した担体を含有する医薬組成物に製剤される。担体の例は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水等のような多くの標準医薬担体のいずれかを含むが、これらに限定されない。様々な水性担体、たとえば水、緩衝水、0.4%食塩水、0.3%グリシン等が使用され得る。
本発明の組成物は、ここで述べるような短時間作用性、高速放出性、長時間作用性または持続放出性であるように設計され得る。そこで、医薬製剤はまた、制御放出または徐放用にも製剤され得る。
詳細な用量は、被験者の疾患の状態、年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事、薬剤の投与間隔、投与経路、排出速度、および併用に依存して調整され得る。有効量を含む上記投与形態のいずれもが、十分に常套的実験の範囲内であり、本発明の範囲内である。
本発明はまた、ケタミンの患者における自己投与のための装置を提供し、前記装置は、ケタミン製剤および医薬的に許容される担体を含有する経皮パッチを含み、うつ病を緩和するために有効なケタミンの用量を含有するケタミン製剤の一定量を分散するように構築される。
当業者は、経皮薬剤送達または治療薬の皮膚への投与のための一般的技術を十分に認識する。経皮薬剤送達は患者への薬剤の制御放出を提供し、経皮パッチは、使用者に優しく、便利で痛みがなく、通常は改善された患者のコンプライアンスを生じさせる複数日投与を提供する。加えて、本発明におけるケタミンのこの形態の投与は、鼻内送達法と比較して薬物乱用を導く可能性がより低いので、鼻内送達の特に有用な代替法である。ケタミンの経皮投与によって治療抵抗性患者を治療するための本発明の方法は、顔面、頭部または身体の皮膚にケタミンを投与することを含み得る。そのようなケタミン組成物は、顔面、頭皮、側頭部、上腕、胃、大腿、背部、頸部等の皮膚に投与することができる。顔面の適切な皮膚は、おとがい、上唇、下唇、額、鼻、頬の皮膚、眼の周囲の皮膚、上眼瞼、下眼瞼またはそれらの組合せを含む。頭皮の適切な皮膚は、頭皮の前部、側頭部全体の頭皮、頭皮の側方部またはそれらの組合せを含む。側頭部の適切な皮膚は、こめかみおよび側頭部全体の頭皮およびそれらの組合せを含む。ケタミンは、閉鎖性被膜と共に生体接着性パッチまたは生体接着性細片に製剤され得る。あるいは、皮膚への投与のための経皮ケタミン組成物は、閉鎖包帯と共にまたは閉鎖包帯なしで層状に皮膚に適用される、局所軟膏、局所ゲル、ローション、クリーム、溶液、スプレー、塗料、フィルム、ホイル、化粧品として適用され得る。
経皮パッチ、クリーム、ローション等に加えて、ケタミン組成物の皮内投与も考慮される。治療薬の皮内投与は、皮膚の層の内部または皮膚の層の間と定義される。これに対し、皮下投与は皮膚の最初の層の下と定義され、静脈内は血流への全身投与である。皮内、静脈内または皮下注射による治療薬の投与は、当業者による薬剤送達の一般的手段である。
ひとたび被験者が本発明の方法を用いてうつ病のために治療されれば、患者は上述したような従来の分析手法によってうつ病症状に関して観測され、そのような観測は、使用される治療薬の用量を調節するために使用できる。
(実施例1)
以下の実施例は、本発明の一部の実施形態を明らかにするために含まれるものである。以下の実施例において開示される手法は、本発明の実施において良好に機能するように発明人によって発見された手法であり、それゆえ本発明の実施のための一部の態様を構成するとみなされることは当業者によって認識されるはずである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示される特定実施形態の中で多くの変更が実施でき、それらの変更は本発明の精神と範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果を得ることを認識すべきである。
試験方法
Axis I DSM−IV疾患−患者バージョン28に関する構造化臨床面接によって診断される精神病性特徴を有さない再発性大うつ病の診断を受けた入院患者である、18歳から65歳までの男性と女性が試験参加に適格であった。被験者は、スクリーニング時およびケタミン/プラセボ注入の開始時に21項目ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)で≧18のスコアを有しており、それまでに少なくとも2つの適切な抗うつ薬試用に失敗している必要があった(抗うつ薬試用の適切性は、抗うつ薬治療歴書式[30]で決定された)。
すべての被験者は、病歴、理学的検査、血液検査、心電図、胸部x線写真、尿検査および毒物検査によって測定したとき良好な身体健康状態であった。被験者は、少なくとも3ヶ月間共存する物質乱用または依存性がなく、臨床的に深刻な自殺の危険性がないと判断された。共存するアクシスI不安障害の診断は、それらが現在の治療を必要としていない場合は許容された。
42名の被験者をスクリーニングし、24名の被験者を、選択/除外基準に合致しなったため(n=11)または参加を拒否されたため(n=13)除外した。2週間の断薬期間後、DSM−IVの大うつ病を有する18名の被験者を、二重盲検交差試験において1週間の間隔を置いた2日の試験日に、Baxter注入ポンプで40分間にわたって投与される塩酸ケタミン(0.5mg/kg)またはプラセボ(生理食塩水)のいずれかの静脈内注入に無作為に割り当てた。17名の被験者がケタミンを摂取し、14名がプラセボを摂取した。4名の被験者は、7日間以上応答を維持していたため、ケタミン注入後にプラセボを摂取せず、1名の被験者は、プラセボ注入後に医学的理由で試験が中止された。
被験者を、注入の60分前および注入後40、80、110および230分目ならびに1、2、3および7日目に評定した。21項目HDRS、ベックうつ病調査表(BDI;[31])、簡易精神症状評価尺度−陽性症状(BPRS;[32])、ヤング躁病評価尺度(YMRS;[33])、および視覚的アナログスケールスコア(VAS−うつ病;[34])。信頼性を確立するために一緒に訓練を受けた評価者が患者の評点付けを行った。HDRS(ICC=0.81)およびYMRS(ICC=0.91)に関する評価者間の高い信頼度が得られた。注入手順および生じた副作用に対する盲検性を維持するのを助けるため、被験者は、別々のセットの評価者によって評点された。最初のセットの評価者は、注入の当日に評価を行った(注入の60分前および注入後40、80、110分目)。230分目以降は(1日目から7日目まで)、別の群の評価者が被験者を評点した。臨床応答は、HDRS評価尺度において基線からの50%以上の低下および寛解はHDRS≦7と定義された[35]。
基線から7日目までの9つの時点でケタミンとプラセボの差を検討するため、化合物対称共分散構造に関する完全実施要因固定効果線形混合モデル(full factorial,fixed effects linear mixed model)を使用した。欠損値を推定するために制限付き最尤推定法を使用した。有意の作用を単純効果検定で検討した。21項目HDRSが主要結果判定であった。BDI、BPRS、YMRSおよびVASからのスコアが副結果判定であった。二次分析は、HDRSの個々の項目の検討を含んだ。有意性は、両側検定にてα<0.05で評価した。シャピロ‐ウィルクス検定およびデータの視覚検査後、正規性から実質的に逸脱したセルはなかった。
積極的治療の影響を十分に理解するため、3組の線形混合モデルを適用した。1組の解析は、試験の両方の相を完了した被験者だけを含んだ(完了者解析)。両方の治療条件を摂取しなかった被験者はこの分析には含めなかった。2組目は入手可能なすべてのデータを含んだ(包括解析)。評定は、参加者が試験を継続したかどうかにかかわらず毎日実施されたので、ケタミン脱落者に対するプラセボ評定は、実際のプラセボ相で予想されたよりもはるかに低いと思われた。3組の統計を最初の試験条件だけに関して実施した。この場合は、薬剤効果は、被験者内要因ではなく被験者間要因であった。個々の項目に関する二次解析は完了者に関してのみ実施した。
各々の時点での応答者および寛解者の割合を評価するため、完了者について各時点でマクネマー検定を使用し、結果を検討した時点の数に関してボンフェローニ補正した。
薬剤が被験者内要因であり、治療順が被験者間要因であり、各々の相についての基線値だけを使用した一次解析と同じ構造で線形混合モデルを用いてキャリーオーバー効果を検討した。両方の相に関する基線データが入手可能であったので、この解析には包括標本を使用した。
試験結果
被験者の人口統計学的および臨床的特徴を表1に要約する。女性12名、男性6名が含まれ、平均年齢は46.7±11.2歳であった。61%は生涯併存不安診断を有しており、39%は何らかの物質の乱用または依存性の生涯診断を有し、28%はアルコール乱用または依存性の生涯診断を有していた。疾病期間の平均の長さは23.7±12.5年であり、現在のうつ病エピソードの平均期間は33.6±37.4か月、うつ病の生涯エピソードの平均数は6.6±4.7であった。生涯抗うつ薬試用の平均数(増量試用を含まない)は5.7±3.4であり、4名の被験者はこれまでにECTを受けたことがあった。1名を除くすべての被験者が、現在の大うつ病エピソードのための適切な抗うつ薬試用に失敗していた。
試験の両方の相を完了した被験者だけを使用して、HDRSに関する線形混合モデルは、薬剤(F=58.24、df=1,203,p<0.0001)および時間(F=9.48、df=8,203、p<0.0001)および薬剤と時間の相互作用(F=4.15、df=8,203、p<0.001)に関して有意の主効果を示した。単純効果検定は、110分目から7日目までプラセボに比べてケタミンに関する有意の改善を指示した。薬剤相違についての効果サイズは、24時間後に非常に大きく(d=1.46、95%C.I.0.91〜2.01)、1週間後には中等度から大きかった(d=0.68、95%C.I.0.13〜1.23)。各被験者についての基線から1日目までのHDRSスコアの変化パーセントを表1に列挙する。図2は、完了者解析に関する一般化最小自乗平均および標準誤差を示す。包括解析は同様の効果を有していた(薬剤:F=34.08、df=1,260、p<0.0001;時間:F=8.92、df=8,257、p<0.0001;薬剤×時間:F=5.29、df=8,257、p<0.0001)。明らかに、参加者は2時間以内(110分)にプラセボより良好になり、7日目まで良好なままであった(図2)。
包括標本に関するキャリーオーバー効果の可能性を考察すると、基線測定を考慮する線形混合モデルは、薬剤について有意の主効果(F=6.25、df=1,16、p=0.02)および有意の相互作用(F=5.05、df=l,16、p=0.04)を示したが、順序に関しては主効果を示さなかった(F=1.54、df=l,16、p=0.23)。最初にプラセボを摂取した参加者は、最初の相と2番目の相に関して同様の基線測定を有していたが(24.4±6.9対24.9±6.8)(F=0.03、df=1,16、p=0.86)、最初にケタミンを摂取した参加者は、2番目の相ではるかに低い基線値を有していた(24.9±6.9対17.2±6.9)(F=11.80、df=15、p=0.004)。
キャリーオーバー効果とは比較的無関係なデータを検討するため、追加解析では最初の相のデータだけを使用した。結果は、完了者解析および包括解析の結果と同様であった。薬剤(F=10.44、df=1,16、p=0.005)および時間(F=8.25、df=8,126、p<0.0001)について有意の主効果および薬剤と時間の間で有意の相互作用(F=4.66、df=1,126、p<0.0001)があった。スコアは、80分目までケタミンに関してより低く、その差は7日目まで有意のままであった。
BDIで完了者を使用して、薬剤(F=50.57、df=1,200、p<0.0001)および時間(F=5.82、df=8,200、p<0.0001)に関して有意の主効果があり、薬剤と時間の間で傾向レベルの相互作用(F=1.90、df=8,200、p=0.06)があった。患者の評点付けは、ケタミンが40分目から7日目までうつ病を改善すると思われることを示した。加えて、VASうつ病スコアに有意の変化があった(薬剤:F=59.88、df=1,198、p<0.0001;時間:F=4.70、df=8,198、p<0.0001;薬剤×時間:F=1.92、df=8,198、p=0.058)。BDIと同様に、ケタミンは40分目から7日目まで気分を改善した。
個々のHDRS症状に関して、20症状のうち7つは有意の時間と薬剤の相互作用を有していた;病識の欠如は、いずれの参加者もこの症状を有していなかったため、検定しなかった。抑うつ気分、罪悪感、仕事と興味、および精神的不安は有意に改善した。最も早期の改善は、抑うつ気分と罪悪感に関する40分目であった。離人症または現実感喪失は40分目から110分目まで悪化した。運動制止および胃腸症状は40分目に悪化したが、1日目の運動制止はプラセボよりもケタミンでより良好であった。さらに7つの症状が薬剤に関してのみ有意の主効果を示した;自殺、不眠症、全般的身体症状、性器症状、および心気症に関してはケタミンで症状が改善した。基線時には、いずれの症状もケタミンとプラセボ相の間で差がなかった。
図3は、包括標本に関する各々の時点での応答者(図3A)および寛解者(図3B)の割合を示す。注入の1日後、ケタミンで治療された17名の被験者のうち12名(71%)が、プラセボでの14名のうち0名(0%)と比較して、応答判定基準に適合した。ケタミンの17名のうち5名(29%)は注入の1日後に寛解判定基準に適合し、プラセボでは同じ時点で寛解に達した被験者はなかった(0%)。6名(35%)の被験者は、少なくとも1週間ケタミンに対する応答を維持した;これらのうち2名は少なくとも2週間応答を維持した。これに対し、プラセボではいずれの被験者も1日目または7日目に応答しなかった。完了者に関して、マクネマー検定は1日目と2日目にケタミンに対する有意に多い応答者を示したが、ボンフェローニ補正後は1日目だけが有意であった。寛解者の数はいずれの時点でも有意ではなかった。
BPRS陽性症状[35、34]は、40分目のみプラセボよりケタミンで悪化した(薬剤:F=4.23、df=1,200、p=0.04;時間:F=9.31、df=8,200、p<0.0001;薬剤×時間:F=6.89、df=8,200、p<0.0001)(図2)。同様に、YMRSスコアは、40分目のみプラセボよりケタミンで悪化した(より高いスコア)が、1日目から2日目までは有意により良好であった(薬剤:F=3.08、df=1,201、p=0.08;時間:F=3.54、df=8,201、p<0.001;薬剤×時間:F=4.68、df=8,201、p<0.0001)(図2)。
1日目のHDRSの変化パーセントとBPRS陽性症状のピーク変化パーセントの間には逆相関の傾向があった(r=−0.46、p=0.06)。表1に列挙したその他の要因はいずれも、ケタミンに対する応答を予測しなかった。
有害事象:プラセボよりもケタミンでより一般的に起こる副作用は、知覚障害、錯乱、血圧上昇、多幸感、めまい感、およびリビドーの上昇であった。ケタミンよりもプラセボでより一般的に起こる副作用は、胃腸障害、口渇上昇、頭痛、金属様味覚、および便秘であった。これらの副作用の大部分は注入後80分以内に終止した。いずれの症例においても、多幸感または現実感喪失/離人症は110分以上持続しなかった(図2)。試験期間中、重篤な有害事象は発生しなかった。
考察
本発明は、NMDA拮抗薬、ケタミンの単回投与に対する堅固で迅速(数時間以内)且つ比較的持続性の(1週間)応答を提供する。1週間の経過中の気分評価の改善はプラセボよりもケタミンでより大きかった;この差は、21−HDRS(110分目から7日目まで)および自己評価BDI(40分目から7日目まで)に関して統計的に有意であった。我々の知る限り、単回投与でそのような劇的な迅速で持続性の応答を生じさせる他の薬剤または身体治療(すなわち睡眠遮断、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、抗うつ薬、デキサメタゾンまたは電気痙攣療法[ECT] )[36,39,40,41,42]の報告はこれまで全くなかった。8週目の大うつ病応答率に関する抗うつ薬試用の調査では、ブプロピオンについては62%、SSRI63%、およびベンラファキシン65%であった[37、38、42]。治療抵抗性被験者を含む本試験において、これらの応答率はケタミン注入の1日後に得られた。
この試験で認められた劇的な作用に対し、これまでの対照試験は、経口投与された低親和性から中親和性の非競合的NMDA拮抗薬、メマンチンが抗うつ作用を有することを示さなかった[63、68]。抗うつ作用が生じるためにはより高親和性のNMDA拮抗薬が必要である可能性はあるが、静脈内投与も重要な因子であり得ることを認めなければならない。
抗うつ作用を誘導するためにより高親和性のNMDA拮抗薬が必要である可能性はある。メマンチンに対してケタミンは、(a)NMDA受容体に対するより高い親和性、(b)はるかに緩やかなオープンチャネルのブロッキング/アンブロッキング動態、(c)異なる種類のチャネル閉鎖(すなわち「部分トラッピング」特性に対し「トラッピングブロック」)[44、63]および(d)異なるNMDAサブユニット選択性[64、75、66]を有する。そのような相違が、本試験においてケタミンで認められた抗うつ特性を説明すると考えられる。
我々の結果をBermanら[27]による予備試験と比較したとき、我々はケタミンによる迅速な抗うつ応答の所見を確認した。我々の試験のより大きな標本サイズにより、ケタミンによる改善の発現の時間、応答の経過および程度に関して追加的な情報を得ることができた。これまでの試験と比較して、我々は、(a)注入後の抗うつ作用のより早い発現(客観的評価により注入後110分目および自己報告では40分目に対して230分目)を検出し;(b)注入後7日目まで有意のままであったケタミンのより持続的な抗うつ薬作用を認め(これまでの試験は3日目までしか評価を収集していなかった);および(c)7日間の経過中に得られた応答と寛解の程度をより詳細に特徴づけることができた。Bermanらの試験群は、8名の患者のうち4名が3日間の追跡期間中にHDRSの50%またはそれ以上の低下を得たことを報告した。我々の試験では、1日目に71%の応答率と29%の寛解率を認め(図2、3)、被験者の35%が少なくとも1週間応答を維持することができた。ケタミンで生じた比較的持続性の抗うつ作用(〜1週間)は、ケタミンについては約2時間[67]、ノルケタミンについては5時間というその短い半減期を考慮すると注目に値する;後者の代謝産物はケタミンより7−10倍効力が低い[68]。今回の試験ではケタミンまたはその代謝産物の血中レベルは収集しなかった。結果として、この試験は、薬剤代謝の相違が今回の所見に部分的に寄与した可能性を排除することができない。
これらの結果は刺激的であるが、すべてのうつ病集団に一般化できないと考えられることに留意すべきである。この試験における被験者は、疾病の経過において比較的後期の抗療性小群であり(表1)、そのような理由で、被験者の神経生物学および薬理学的応答はより重症でないまたは疾病の経過がより短期の被験者とは異なる可能性がある。
これらのデータを解釈するときいくつかの因子を考慮する必要がある。標本サイズは比較的小さかったが、3つの異なる種類の解析がプラセボに対するケタミンの有意性を示し、この試験の効果サイズは1日目で非常に大きく、7日目で中等度から大きかった。公表されているケタミンに関する無作為化プラセボ対照試験すべてと一致して、我々も一時的な知覚障害を認めた[26、27、44、45、46、64];そのような症状が試験の盲検性に影響を及ぼした可能性があることは認めねばならない。それゆえ、試験の盲検性を保持する上での制限が、プラセボ効果を軽減することによって患者の報告にバイアスをかけ、それによって潜在的に結果を混乱させたかもしれない。ケタミンに関する今後の試験における1つの潜在的試験計画は、同じく精神病発現促進作用を生じさせる静脈内アンフェタミン(ドーパミン作動薬)[77]のような実薬対照薬を含むべきであると考えられる。
しかし、ケタミンの1回投与だけを受けた後の抗うつ応答(比較的持続性)の発現時間と経過は各々の被験者についてほぼ同じであった;このパターンは、実際に本当の薬剤効果が存在したことを示唆する。ケタミン注入に関連する改善は、うつ病のコア症状の低減を反映しており、ケタミン誘導性の多幸感および精神異常発現症状とは切り離されている。裏付けとして、ケタミンの抗うつ作用は、BPRS陽性およびYMRSスコアが基線にもどった後、110分目にHDRS評価尺度で有意になった(図2)。しかし、BPRS陽性スコアは110分以内に基線に戻ったが、基線から110分の時点までのBPRS陽性症状の変化は、1日目のHDRSスコアのより大きな変化パーセント(低下)を予測する傾向があった。結果として、今後の研究は、より広範囲のケタミン用量と投与経路を探索し、多幸感または精神異常発現作用の存在または強さが、迅速な抗うつ作用が起こるために必要であるかどうかを判定すべきである。本試験のために選択した0.5mg/kgの用量は、ケタミンに関するNMDA受容体拮抗作用の概念の有効性を試験するために十分であることが報告されている。我々の試験で使用したケタミンの用量は、1)NMDA遮断のインビトロ・データ、2)健常志願者におけるその気分改善作用および3)大うつ病を有する患者のパイロット試験におけるその抗うつ作用[27、46]に基づいた。
ケタミンはNMDA受容体に対して比較的選択的であると考えられているが、これらの興味深い結果が他の受容体との相互作用によって媒介される可能性も完全に排除することはできない[65、69]。しかし、ケタミンは他の部位よりも数倍高い親和性でNMDA受容体に結合し[70、71、72、73]、NMDA受容体拮抗薬によって誘導される行動はアヘン誘導体、コリン作動性またはモノアミン受容体拮抗薬によってブロックされず[74]、ケタミンの行動作用がフェニルシクリジン(PCP)部位との相互作用によって媒介されることの間接的証拠を提供する。インビトロ試験は、ケタミンが、ケタミンで麻酔された患者において報告されるよりもはるかに高い非NMDA電位依存性カリウム電流を低下させることを認めた[75]。これは、低用量のケタミンがPCP部位に対する選択性を増強することを示唆する。それにもかかわらず、より選択的なNMDA拮抗薬を、大うつ病を有する患者において試験する必要がある。いくつかのNR2Bサブユニット選択的拮抗薬が虚血性脳損傷のために現在開発されつつある[76]。
結論として、本試験の結果は、NMDA受容体複合体を直接標的することが迅速で比較的持続性の抗うつ作用を生じさせ得るという仮説を裏付ける。この種の研究は、新規手段が、伝統的な抗うつ薬の作用の遅延発現に関連する罹病率および死亡率の多くを低減する潜在的可能性を有する、うつ病のための新しい治療を開発するためにかなり有望であることを示唆する。当業者は、今や、長期的治療においてケタミンで得られる迅速な抗うつ応答を維持するための戦略を開発するためにここで述べる試験を使用することができる。
(実施例2)
固定IVケタミン用量の反復投与
以下の実施例は、速やかな気分安定化のためのケタミンの反復投与を含む、治療抵抗性うつ病のための治療戦略を説明する。
固定IVケタミン用量(40分間にわたる0.5mg/kgの注入)を、病院において2−3週間にわたって6−9回までのセッションで反復する。治療セッションの回数の決定は臨床応答と認容性に基づく。標準薬物療法は、最後のケタミン治療セッションが完了した時点で、患者が再発予防のために抗うつ薬の治療用量を達成するように病院において開始される。
(実施例3)
IVケタミンの持続用量の反復投与
以下の実施例は、速やかな気分安定化のためのケタミンの持続用量の反復投与を含む、治療抵抗性うつ病のためのもう1つの治療戦略を説明する。
すべての患者が1mg/分の速度にて0.5mg/kgの用量でIVケタミンを開始し、認容性に基づき40分間にわたって持続的用量判定を実施した。最初の治療で、精神病性副作用の存在に基づく経験的用量判定手順を使用して認容性閾値を決定する。個別最適認容用量を、上記実施例2で述べたような反復治療のための持続用量として使用する。24時間目の評価でIVケタミンに応答した患者については、精神病性副作用に結びつく用量から20%低い用量を持続用量とする。患者が精神病性副作用を有さず、24時間目で応答した場合は、0.5mg/kgの標準用量を反復投与期間中継続する。
(実施例4)
ケタミンの経皮投与
以下の実施例は、速やかな気分安定化のためのケタミンの経皮投与を含む、治療抵抗性うつ病のための治療戦略を説明する。
ケタミンのもう1つの潜在的投与経路は経皮パッチの使用である。患者は、Azevedoら、2003において述べられたようにうつ病のための妥当な出発用量を含有するパッチを与えられる(24時間にわたる25mgパッチ)。反復用量の投与に関しては、パッチを2〜3週間の期間にわたって6〜9回投与する。治療セッションの回数の決定は臨床応答と認容性に基づく。
本明細書において言及されるおよび/または出願データシートにおいて列挙される上記米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公表文献はすべて、それらの全体が参照によりここに組み込まれる。
上記より、本発明の特定実施形態を説明のためにここで述べたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な修正を行い得ることが了解される。
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略語:AAP、非定型抗精神薬;BZD、ベンゾジアゼピン;Bup、ブプロピオン;ECT、電気痙攣療法;HDRS、ハミルトンうつ病評価尺度;Lam、ラミクタル;Li、リチウム;MAOI、モノアミンオキシダーゼ阻害薬;OAD、他の抗うつ薬(たとえばネファゾドン、トラゾドン、プラミペキソール等);SNRI、選択的ノルエピネフリン再取込み阻害薬;SSRI、選択的セロトニン再取込み阻害薬;TCA、三環系抗うつ薬;VPA、デパコート;Sti、刺激薬;、生涯物質乱用/依存性の欄は、生涯アルコール乱用/依存性を有する被験者も含む;、抗うつ薬試用の数は用量増加戦略を含まない;†、1名を除くすべての被験者が現在のうつ病エピソードのための適切な抗うつ薬試用に失敗していた;「−」はHDRSスコアの低下(うつ病の改善)を示し、「+」はHDRSスコアの上昇(うつ病の悪化)を示す。
ここで開示し、特許請求するすべての組成物および/または方法は、本開示に照らして過度の実験を必要とせずに作製し、実施することができる。本発明の組成物および方法を特定実施形態に関して説明したが、ここで述べる方法の工程および一連の工程における組成物および/または方法の変更を、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく実施し得ることは当業者に明白である。より詳細には、化学的および生理的に関連するある種の物質を、同じかまたは同様の結果を達成しつつ、ここで述べる物質の代わりに使用し得ることは明白である。当業者に明白なそのようなすべての類似置換物および修正は、付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念に包含されるとみなされる。
本明細書全体を通して引用される参考文献は、それらがここで述べるものを補足する例示手順または他の詳細を提供する範囲で、すべて参照により明確にここに組み込まれる。明細書全体を通して一定の箇所で、参考文献を大括弧内の数字を用いて参照する。それらの数字は、各々が参照によりここに組み込まれる、以下の参考文献のリストに対応する。
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以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明の態様をさらに説明するために含まれるものである。本発明は、ここで提示する特定実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することにより、よりよく理解され得る。
2つの治療相の被験者登録、無作為化、試験中止および完了(n=18)。 1週間にわたる21項目のHDRS、BPRS陽性症状およびYMRSスコア(n=18)。略語:BPRS:簡易精神症状評価尺度;HDRS:ハミルトンうつ病評価尺度;YMRS:ヤング躁病評価尺度。 注入後40分から7日目までのケタミンおよびプラセボに対する応答者(HDRSで50%の改善)の割合(n=18)。 注入後40分から7日目までのケタミンおよびプラセボに対する寛解者(HDRS≦7)の割合(n=18)。

Claims (31)

  1. 治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法であって、ケタミンを含有する組成物を、前記治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量で前記患者に鼻内投与することを含む方法。
  2. 前記ケタミンが、医薬的に許容される担体中に存在し、かつ約0.1mg/kg/日から約3.0mg/kg/日の用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記治療抵抗性うつ病の症状が、前記ケタミンの鼻内投与から2時間以内に緩和される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記方法が、前記ケタミンの単回用量の鼻内投与を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記方法が、前記ケタミンの多回用量の鼻内投与を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ケタミンの単回鼻内投与が、前記うつ病の影響を7日間緩和するために十分である、請求項1に記載の方法。
  7. 医薬的に有効な用量の2番目の薬剤を投与することをさらに含み、前記2番目の薬剤が抗うつ薬である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記抗うつ薬が、リチウム、医薬抗うつ薬(pharmaceutical antidepressant)、ハーブ抗うつ薬(herbal antidepressant)、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンの少なくとも1つのメンバーから成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 1またはそれ以上の成分をその中に密に閉じ込めて含有する薬剤を鼻内経路で送達するための担体を含むキットであって、a)第一成分はケタミンを含み;およびb)第二成分はうつ病の治療において有用な向精神薬を含むキット。
  10. 前記第二成分が、リチウム、医薬抗うつ薬、ハーブ抗うつ薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンから成る群より選択される、請求項9に記載のキット。
  11. ケタミンのエアロゾルスプレー製剤および医薬的に許容される分散剤を含有する鼻スプレー吸入器を含む、ケタミンの患者による自己投与のための装置であって、前記装置は、うつ病を緩和するために有効なケタミンの用量を含有するが、このケタミンの用量は、不快気分を引き起こすレベルより下であるように医師または医療提供者によって決定される、スプレーを形成することによって一定量のエアロゾル製剤を分散するように定量される装置。
  12. 治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法であって、ケタミンを含有する組成物の多回用量を、前記治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量で前記患者に静脈内投与することを含む方法。
  13. 前記ケタミンが、医薬的に許容される担体中に存在し、約0.1mg/kg/日から約3.0mg/kg/日の用量で投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記治療抵抗性うつ病の症状が、前記ケタミンの投与から2時間以内に緩和される、請求項12に記載の方法。
  15. 組成物が14日間に少なくとも6回投与される、請求項12に記載の方法。
  16. 組成物が14日間に少なくとも7回投与される、請求項12に記載の方法。
  17. 組成物が14日間に少なくとも8回投与される、請求項12に記載の方法。
  18. 組成物が14日間に少なくとも9回投与される、請求項12に記載の方法。
  19. 組成物が21日間に少なくとも6回投与される、請求項12に記載の方法。
  20. 組成物が21日間に少なくとも7回投与される、請求項12に記載の方法。
  21. 組成物が21日間に少なくとも8回投与される、請求項12に記載の方法。
  22. 組成物が21日間に少なくとも9回投与される、請求項12に記載の方法。
  23. 医薬的に有効な用量の2番目の薬剤を投与することをさらに含み、前記2番目の薬剤が抗うつ薬である、請求項12に記載の方法。
  24. 前記抗うつ薬が、リチウム、医薬抗うつ薬、ハーブ抗うつ薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンの少なくとも1つのメンバーから成る群より選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 治療抵抗性うつ病に対してヒト患者を治療する方法であって、ケタミンを含有する組成物を、前記治療抵抗性うつ病の症状を軽減するまたは排除するために十分な用量で前記患者に経皮投与することを含む方法。
  26. 前記ケタミンが、医薬的に許容される担体中に存在し、かつ約0.1mg/kg/日から約3.0mg/kg/日の用量で投与される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記治療抵抗性うつ病の症状が、前記ケタミンの経皮投与から2時間以内に緩和される、請求項25に記載の方法。
  28. 前記方法が、前記ケタミンの多回用量の経皮投与を含む、請求項25に記載の方法。
  29. 医薬的に有効な用量の2番目の薬剤を投与することをさらに含み、前記2番目の薬剤が抗うつ薬である、請求項25に記載の方法。
  30. 前記抗うつ薬が、リチウム、医薬抗うつ薬、ハーブ抗うつ薬、抗痙攣薬、気分安定薬、抗精神病薬、およびベンゾジアゼピンの少なくとも1つのメンバーから成る群より選択される、請求項25に記載の方法。
  31. ケタミンの製剤および医薬的に許容される担体を含有する経皮パッチを含む、ケタミンの患者による自己投与のための装置であって、前記装置は、うつ病を緩和するために有効なケタミンの用量を含有するが、ケタミンの用量は不快気分を引き起こすレベルより下であるように医師または医療提供者によって決定される、一定量の製剤を分散するように定量される装置。
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