JP2009521234A - 補体系を制御する組成および方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 本明細書に提供される開示では、1若しくはそれ以上の補体経路タンパク質の発現または産生を抑制することで、前記ヒトの補体経路を調節する方法および組成、および眼疾患および黄斑変性関連疾患を含む疾患を治療するためのかかる方法の利用について提供する。本発明には、RNAiを介して補体経路タンパク質を分解するように設計されたsiRNAを含む、前記補体経路の調節を媒介する活性因子も含む。
【選択図】 図4

Description

本出願は、2005年12月22日に出願された米国仮出願第60/753,041号の優先権を主張するものであり、この参照によりその全開示が本願明細書に組み込まれるものである。
補体系は、およそ30種類のタンパク質を含むものであり、細胞外液を循環し、侵入してきた細菌およびウイルス病原体に対して非抗原特異的免疫応答を開始することができる。補体系タンパク質は、不活性型として循環し、侵入してきた微生物表面の分子パターンが前記系の初期成分によって認識されると活性化する。前記補体系の活性化した初期成分は、侵入病原体表面に他の補体タンパク質を補充し、活性化複合体を形成し、これはタンパク分解により他の前記補体系成分を切断し、活性化するプロテイナーゼとして作用する。次に、前記補体系成分のタンパク質分解的活性化、補充、共結合カスケードが起こり、膜侵襲複合体(MAC)が形成し、これは細胞溶解を引き起こす前記侵入病原体細胞壁の孔となる。
前記補体系は、古典経路、第2経路、レクチン経路の3種類の経路により活性化される。各経路では結果的に前記MACが形成されるが、異なる刺激によって開始される。
前記古典経路は、抗体(複数のIgG分子または単一のIgM分子)が前記病原体表面に結合したときに開始される。結合により、前記抗体のFc成分がC1因子のC1qサブユニットと相互作用し、C1rサブユニットが活性化する。C1rはタンパク質分解酵素であり、C1sサブユニットを切断し、そのプロテアーゼ機能を活性化する。C1sはC4因子を切断し、C4aおよびC4bを生成する。C4aは当該反応部位で生物的に活性なままであり、炎症を調節する。C4bは不活性な副生成物となるか、IgG分子と共有結合するか、抗体結合微生物の細胞表面に共有結合することができる。Mg+2存在下では、細胞表面に結合したC4bがC2を前記細胞表面に補充し、ここでC2はC1sによって切断され、C2bおよびC2aが生成する。C2bは前記細胞表面から拡散する。C2aはC4bと複合体を形成し、C3特異的プロテアーゼであるC3転換酵素(C4b2a)を形成する。
C3転換酵素はC3を切断し、C3aおよびC3bフラグメントを生成する。C3aは強力なアナフィラトキシンであり、前記細胞表面から拡散し、白血球の化学誘引物質として作用する。C4b同様、C3bは不活性な副生成物となる可能性があるが、代わりに、C3bの10%以下は前記病原体の原形質膜に共有結合したままとなることもできる。前記原形質膜に結合している間、C3bはオプソニンとして作用するか、C3転換酵素(C4b2a)と結合し、C5転換酵素(C4b2a3b)を形成することができる。C5転換酵素はC5に結合、これを切断し、C5aおよびC5bを生成する。C5aは前記細胞表面から拡散し、強力なアナフィラトキシンおよび化学誘引物質として作用し、炎症を調節する。C5bは前記病原体の細胞壁に結合したままで、前記MACの会合を開始する。
前記MACは、前記補体系の後期成分から形成される。前記病原体細胞壁に結合したC5bはC6を補充し、C5bC6複合体を形成し、これが次にC7を補充してC5b67複合体を形成し、C5b67複合体は前記病原体細胞膜に挿入される。次にC8がC5b67に結合してC5b678複合体を形成し、この複合体はC9の重合を開始し、C9が前記病原体の脂質二重層に挿入され、MACが形成する。前記MACは前記病原体細胞膜に孔を作り、細胞に小分子、イオン、および水を流入させ、最終的に浸透圧で細胞溶解を引き起こす。
前記レクチン経路の活性化は、炭水化物の認識に基づいている。構造がC1qに似たマンノース結合レクチン(MBL)およびフィコリンは、前記病原体細胞表面の特異的炭水化物に結合し、C1rおよびC1sに似たMBL関連セリンプロテアーゼ(MASPs)と結合する。C1s様のMASP−2は、C3転換酵素の形成を開始する補体成分C4およびC2を切断する。MASP−1は、直接C3を切断することで、前記第2経路を刺激する。C3が切断されると、C5転換酵素が形成し、最終的に上述の通り、MACが形成する。
血漿中のC3切断が少ないために抗体結合がない場合は、前記第2経路が活性化される。血漿中で産生されるC3bは、細胞表面の炭水化物およびタンパク質の水酸基と共有結合する。前記病原体の細胞表面に結合したC3bは、前記細胞表面にファクターBを補充する。主に脂肪細胞が産生するファクターDは、結合したファクターBを切断し、BaおよびBbを生成する。Baは血液循環中に放出される。BbはC3bに結合し、第2経路のC3転換酵素であるC3bBbを形成する。プロペルジンはC3転換酵素を安定化し、前記複合体はC3を切断することができる。生成された一部のC3bはC3bBbに結合し、第2経路のC5転換酵素C3bBb3bを形成する。他のC5転換酵素と同様、第2経路のC5転換酵素はC5を切断し、MACの会合を開始する。
受容体の結合はいくつかの補体系成分の活性化を調節する。ファクターIを介したC3bの切断により生成するフラグメントiC3b、およびC4bは、高い親和性で1型補体受容体(CR1、CD35)と結合する。CR1は赤血球、マクロファージ、単球、多形核白血球、B細胞、および濾胞性樹状細胞にみられる内在性膜タンパク質であり、C3bおよびC4bでコーティングされた粒子の貪食を促し、血液循環中からの免疫複合体のクリアランスを調節する。2型補体受容体(CR2、C3d受容体、CD21)はBリンパ球、濾胞性樹状細胞、および上皮細胞にみられる膜糖タンパク質であり、ファクターIによるC3b切断の切断生成物と特異的に結合する。3型補体受容体(CR3、Mac1、CD11bCD18)はマクロファージ、単球、多形核白血球、樹状細胞に認められ、iC3bが結合することで、iC3bでコーティングされた微生物および粒子の貪食を刺激すると考えられている。4型補体受容体(CR4、p150、95、CD11cCD18)はiC3bとC3dg(C3bのもう一つの切断生成物)に結合し、貪食を促す。その細胞分布はCR3と同等である。最後に、C5a受容体(C5aR)および前記C3a/4a受容体は内皮細胞、肥満細胞、食細胞に認められ、それぞれC5aおよびC3aまたはC4aに結合し、これらのタンパク質フラグメントのアナフィラトキシン活性および遊走能を高める。
前記補体系は、誤った活性化または宿主細胞への免疫攻撃を回避するため、厳重に制御されている。前記古典経路は少なくとも6種類のタンパク質で制御されている。C1エステラーゼ阻害因子(C1 INH)はC1rおよびC1s、また前記レクチン経路のMASP−1およびMASP−2プロテアーゼと結合してこれらを不活性化し、C2およびC4の切断とC3転換酵素の形成を阻害する。血中に認められるC1のほとんどはC1 INHと結合し、自然に活性化しないようになっているが、C1は前記古典経路を活性化する抗原抗体複合体に結合すると、C1 INHから放出される。別の制御因子である前記古典経路のファクターIは、タンパク質分解によりC4bおよびC4b結合タンパク質(C4bBP)を切断し、これが補助因子としてCR1または膜補助因子タンパク質(MCP、CD46)を用いて、ファクターIを活性化する。ファクターIの補助因子として作用することに加え、C4bBPおよびCR1はC4bに結合し、解離を促すことで古典経路のC3転換酵素の産生を阻害するC2aの結合を競合的に阻害する。末梢血液細胞、内皮細胞、一部の粘膜上皮細胞にみられる膜貫通糖タンパク質の分解促進因子(DAF)は、古典経路のC3転換酵素の解離を促し、C4bと結合することで、C2と結合しないようになっている。
前記第2経路も厳重に制御されている。ファクターHは、第2経路のC3転換酵素の産生を阻害するC3bの結合において、ファクターBおよびBbと競合する。ファクターBはシアル酸含有量が高い表面に多く結合し、ほとんどの細菌細胞は哺乳類細胞よりも表面のシアル酸量が少ないため、ファクターBは細菌細胞と結合しやすく、前記補体系を活性化する。対照的に、ファクターHは哺乳類細胞表面にあるヘパリンなど、グリコサミノグリカンまたは硫酸化多糖類などのポリアニオン系分子と結合する。従って、ファクターHは哺乳類細胞と結合し、前記補体系から保護する。さらに、MCPおよびCR1はファクターHの表面結合型C3bの親和性を高め、Bbの解離を促すことで第2経路のC3転換酵素を不活性化する。ファクターIはファクターH、CR1、およびMCPを補助因子として用い、第2経路のC3転換酵素に対して同様の作用を持つ。
補体の制御はMACでも行われる。C5b67複合体の脂質膜への挿入は血清中のビトロネクチン(Sタンパク質)結合により阻害され、membrane inhibitor of reactive lysis(CD 59、MRL)およびhomologous restriction factor(HRF)は赤血球、リンパ球、単球、好中球、および血小板に認められる膜結合型タンパク質であり、それぞれ、C7およびC8のC5b6への結合を阻害し、C9のC8との結合に干渉する。最後に、別の血清タンパク質であるクラスタリン(SP−40/40)は、C5b−8およびC5b−9でのC9の会合を阻害し、結合したC5b67が前記膜に結合しないようにすることで、MACの形成を調節する。
補体欠損症も細菌および酵母に感染しやすくなるため、疾患を進行させる。抗体産生または食細胞機能に異常がある、または古典経路の補体タンパク質に欠陥がある患者は、インフルエンザ菌および肺炎連鎖球菌感染を発症するリスクが高くなる。同様に、MACの成分が遺伝的に欠損している患者はナイセリア感染症、特に髄膜炎菌に罹患しやすく、MBL値の低下は再発性化膿性(膿形成)感染および若年小児の発育不全と関連していた。興味深いことに、同様のオプソニン欠損症がみられる成人は健常であり、受動的に獲得した母親の抗体がなくなり、成熟した免疫系が発達している期間は、前記MBLの経路が重要な役割を果たしていることを示唆している。
多くの微生物は前記補体系を利用し、宿主による免疫反応を避け、病原性を高めている。いくつかの病原体がC4bBPおよび/またはファクターHに結合する。エプスタインバーウイルスのエンベロープ糖タンパク質gp350/220はCR2に結合し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および病原性マイコバクテリアはC3bに結合し、C3受容体を利用して細胞に入る。補体活性化を阻害するタンパク質を発現している細菌もあり、MAC形成に対して物理的な障壁となる厚い膜を発達させた細菌もある。
ウイルスは、補体制御タンパク質をそのエンベロープ(つまり、HIV)に組み込み、構造的に補体制御タンパク質を模倣したタンパク質を産生し、または補体認識タンパク質との構造的相同性を有していないが、同様の機能性を有するタンパク質を産生することで補体を回避する。ワクシニアウイルスは、アミノ酸配列が宿主のC4bBP(38%)、MCP(35%)、およびDAF(31%)に類似した補体阻害因子であるワクシニア補体制御タンパク質(VCP)を分泌するため、特に興味深い。VCPの構造はC4bBPと最も類似しているが、その機能プロフィールはCR1に最も似ている。VCPは、C4bまたはC3bに結合することで、前記経路の数段階で補体の活性化を遮断する。VCPはヘパリンに結合することもできるが、ヘパリンはVCPに上皮細胞結合能力および小分子の化学走化性サイトカイン結合阻害能力を与えることができ、化学走化性サイトカインは白血球の組織への局在化と遊走を制御する。これらの性質に基づき、VCPは異常補体活性化が関与する疾患の治療薬として高い可能性を有する。VCPはβ−アミロイドタンパク質により補体の活性化を遮断することから、アルツハイマー病の治療に有用と考えられ、異種移植後の超急性拒絶に有望な治療法である。研究では、VCPが補体活性化を遮断することで、in vivoでの異種移植臓器の生存を長期化する可能性があることが示された。VCPは多臓器機能不全と、脳および脊髄損傷の治療にも有用であると考えられる。
あらゆる単一タンパク質成分の欠損により補体活性化が異常となり、MAC形成が制限され、補体を介した反応がなくなる可能性がある。さらに、異常活性化はヒトの疾患につながる可能性があり、補体カスケードの成分は例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、免疫複合体病、炎症、肺および肝線維症、喘息、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、およびアルツハイマー病などの多様な疾患群の発症に関与していた。持続的な微生物または自己抗原に対する自己免疫性体液性反応があるなどの異常刺激は、異常な補体系活性化を誘発する可能性がある。従って、研究の主な目標は、一定の補体成分を標的とし、その経路を不活性化する効果的な薬物、および補体が関与する疾患の新規治療法のデザインを特定することであった。
C5の酵素的切断はMACの会合を開始する。小分子C5aRアンタゴニスト(AcF−OPdChaWR)は、複数のin vivoモデルにおいて、齧歯類敗血症モデルでの重大な抗炎症活性、および進行性腎機能障害の予防、およびマウスループス腎炎モデルでの好中球およびマクロファージが伴う炎症の抑制を含む、好ましい作用を生じた。さらに、AcF−OPdChaWRは外傷性脳損傷モデルの好中球の血管外遊出を有意に抑制し、小分子C5aR阻害薬の静脈内投与はマウス肝線維形成モデルの肝コラーゲン値と線維症を有意に抑制した。
別のC5阻害薬であるK−76モノカルボン酸ナトリウム塩(K−76COONa)は、C5bの生成を阻害し、その分解を促進する。この化合物を糖尿病ラットに経口投与すると、タンパク尿と糸球体のメサンギウム増殖が抑制された。
C5も抗体により標的とされた。モノクローナル抗体のペキセリズマブ(pexelizumab)は、主要な経皮的冠動脈介入と併用する補助療法として投与した場合、急性心筋梗塞(MI)後の死亡率を有意に低下させ、弁手術の有無によらず、冠動脈バイパス移植術後の患者の死亡率またはMIを減少させた。ペキセリズマブは第III相臨床試験(PRIMO−CABG)を終了している。前期試験の主要エンドポイントには達しなかったが、術後の患者死亡率および罹患率は全体的に低下した。別のモノクローナル抗体のエクリズマブは、関節リウマチ、特発性膜性腎症、SLE、皮膚筋炎および発作性夜間血色素尿症患者で検討され、これらの症状が臨床的に改善するエビデンスが観察された。
C3の阻害も研究の焦点となっていた。C3aRの低分子量非ペプチドアンタゴニストであるN2−[2,2−ジフェニルエトキシ)アセチル]−L−アルギニン(SB 290157)は、齧歯類関節炎モデルの足浮腫を軽減し、モルモット気道好中球増加症モデルの好中球補充を阻害した。サイクリック13残基ペプチドのcompstatinは霊長類のC3に種特異的であり、血清でC3に結合し、補体の活性化を阻害する。さらに前記ペプチドは、ヒト血液で灌流したブタからヒトへの異種移植片の寿命を延長することが示された。
モノクローナル抗体を用い、ファクターBおよびDを標的とし、前記第2経路を特異的に阻害する可能性を調査した。mAb1379はマウスファクターBのエピトープを標的とし、マウス、ラット、ヒト、サル、ブタ、およびウマの血清で前記第2経路を阻害する。マウス抗リン脂質症候群モデルでは、抗リン脂質抗体存在下での自己免疫疾患は再発性胎仔消失、血管内血栓、および血小板減少症で特徴付けられ、前記抗体の腹腔内投与により補体活性化および胎仔消失が予防されたため、ファクターB阻害を治療に利用できる可能性が示唆された。166−32はヒトファクターDを標的とするモノクローナル抗体であり、心肺バイパスモデルの補体、白血球、および血小板の活性化阻害に成功した。ファクターDを標的とした別の抗体も、in vitroおよびin vivoで効果があった。
考えられる治療法として、天然型および修飾補体制御タンパク質の利用も検討されている。C1 INHは、遺伝性血管浮腫、C1 INH欠損による常染色体優性疾患の治療に対して25年以上臨床的に使用され、敗血症、脳および心筋虚血−再潅流障害、超急性移植片拒絶反応、外傷性ショック、および熱傷、IL−2治療、心肺バイパスに伴う血管漏出症候群を含む多数の他の疾患モデルでも有望な結果が示された。C1 INHの心臓保護作用が心筋虚血−再潅流障害を対象としたヒト臨床試験で証明されたが、この作用は用量依存的であり、過剰なC1 INHは心肺バイパス中の新生児に致命的となることが証明された。
TP10は可溶型CR1(sCR1)であり、心肺バイパスに関する臨床試験で検討されてきた。初期の結果ではTP10は忍容性に優れ、有益であることが示されたが、第II相試験では主要エンドポイントを満たすことができなかった。それにもかかわらず、心臓切開手術を受けたハイリスク群の男性患者に関するデータのさらなるサブグループ分析では、梗塞サイズおよび死亡率が有意に減少することが明らかとなったため、追加試験が計画されている。別のTP10グリコシル化体であるTP20も、in vivoおよびin vitroで評価された。
APT070(Mirococept)は、CR1の細菌で発現される領域と膜標的ペプチドを組み合わせたものに由来する薬物であり、血管ショック、関節リウマチ、腎移植、およびギラン・バレー症候群の動物モデルで有効であった。APT070は健常患者の全身に、および関節リウマチ患者および腎移植を受けた患者には局所的に投与された。また、APT070と類似の膜を標的とする戦略がCD59およびDAFに応用された。
障害部位の補体阻害因子を標的にできる点は、有効性を高め、補体の全身的な抑制を回避するため、特に魅力的である。阻害因子を標的にするため考えられる戦略の1つは、一本鎖抗体フラグメントを用い、ピューロマイシン誘導ネフローゼのラットモデルで事実上証明された。ラット糸球体および近位尿細管上皮細胞に特異的な抗体フラグメントは、齧歯類に認められるC3転換酵素制御因子のCrry、およびCD59と結合した。改良された阻害薬の腹腔内注入では、尿細管間質障害および腎機能障害が保護された。
研究では、黄斑ドルーゼがあることが萎縮性および新生血管AMDの両方が発症する強いリスクファクターであることが証明された。ドルーゼはRPE単分子層の外側を引き伸ばし、直近の血管供給を行う脈絡毛細管枝からRPEを物理的に移動する。この移動により、脈絡毛細管枝と網膜の間の正常な代謝物および排泄物の拡散を妨げる物理的障壁が作られる。排泄物は前記RPE付近で濃縮され、網膜およびRPEの健康状態維持に必要な酸素、グルコース、およびその他の栄養または血清関連制御分子の拡散が阻害される可能性がある。ドルーゼは、桿体および錐体に圧力をかけ、および/または光受容体の細胞配列をゆがめることで、光受容体の細胞機能を混乱させることが示唆された。
最近の研究では、補体タンパク質を眼のドルーゼに関連付けた。ドルーゼに補体因子があれば、補体がAMDに関与している証拠となる。従って、補体活性を制御できれば、AMDの治療に有益と考えられる。
本明細書に提示される本発明の実施形態は、補体経路タンパク質mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAと実質的に同一のセンスRNA鎖を有する、単離低分子干渉RNA(siRNA)に関する。一部の実施形態では、前記siRNAに、補体経路タンパク質mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的な配列を有するアンチセンスRNA鎖を含むことができ、前記センスRNA鎖および前記アンチセンスRNA鎖はRNA二本鎖を形成する。様々な実施形態において、前記siRNAは、ヒト古典経路、第2経路、およびレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、またはビトロネクチン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができる。好適な実施形態では、前記siRNAは、ヒトC3タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができる。
一部の実施形態では、前記センスRNA鎖が一RNA分子であり、前記アンチセンスRNA鎖が一RNA分子であり、他の実施形態では、前記siRNAのセンスおよびアンチセンスRNA鎖が共有結合することができる。一定の実施形態では、前記センスおよびアンチセンスRNA鎖がヌクレアーゼ分解に対して安定であり、前記siRNAがさらに非ヌクレオチドの構成要素を含むことができる。
一部の実施形態では、前記センスRNA鎖が第一の3'オーバーハングを含み、および/または前記アンチセンスRNA鎖が第二の3'オーバーハングを含むことができ、一定の実施形態では、前記第一および/または第二の3'オーバーハングが1〜約6ヌクレオチドを有する。特定の実施形態では、前記第一および/または第二の3'オーバーハングを約2ヌクレオチドとすることができ、好適な実施形態では、前記第一および/または第二の3'オーバーハングをジチミジン(TT)またはジウリジン(uu)のジヌクレオチドとすることができる。
一定の実施形態のsiRNAは、配列ID番号:43、配列ID番号:45、配列ID番号:48、配列ID番号:49、配列ID番号:51、配列ID番号:53、および配列ID番号:56から選択される配列に対応する配列を有する、センスRNA鎖を有することができる。
本発明の他の実施形態では、補体経路タンパク質mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的な配列を有するアンチセンスRNA鎖とを有する有効量の単離siRNAにおいて、前記センスRNA鎖と前記アンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成する単離siRNA、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を含む。様々な実施形態において、前記siRNAは、ヒト古典経路、第2経路、およびレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、またはビトロネクチン、ヘパリン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖、および薬学的に許容される担体を含むことができる。好適な実施形態では、前記siRNAは、ヒトC3タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖、および薬学的に許容される担体を含むことができる。
一部の実施形態では、前記薬学的組成物が導入試薬を含むことができ、前記導入試薬はリポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン、またはリポソーム、およびその組み合わせとすることができる。特定の実施形態では、前記導入試薬をリポソームとすることができる。一部の実施形態のリポソームは、さらに、前記リポソームにドルーゼ部位またはその近傍を標的とさせるターゲティングリガンドを含むことができ、一定の実施形態では、前記リガンドを抗体とすることができる。他の実施形態のリポソームは、オプソニン化阻害部分で修飾することができ、特定の実施形態では、前記オプソニン化阻害部分にPEG、PPG、またはその誘導体を含むことができる。
様々な実施形態において、前記センスRNA鎖は、配列ID番号:43、配列ID番号:45、配列ID番号:48、配列ID番号:49、配列ID番号:51、配列ID番号:53、および配列ID番号:56から選択される配列に対応する配列を有することができ、実施形態によっては、前記センスRNA鎖が第一の3'オーバーハングを有し、および/または前記アンチセンスRNA鎖が第二の3'オーバーハングを有することができる。一部の実施形態では、前記第一および/または前記第二の3'オーバーハングが1〜約6ヌクレオチドを含むことができ、他の実施形態では、前記第一および/または前記第二の3'オーバーハングが約2ヌクレオチドを含むことができる。特定の実施形態では、前記第一および/または前記第二の3'オーバーハングをジチミジン(TT)またはジウリジン(uu)のジヌクレオチドとすることができる。
本発明のさらに他の実施形態には、ヒト補体系または補体系制御mRNAの発現を阻害する方法を含み、前記方法には、それを必要とする被験者に、補体経路タンパク質mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的な配列を有するアンチセンスRNA鎖とを有する、有効量の単離siRNAを投与し、前記センスRNA鎖と前記アンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成する工程と、前記ヒト補体系または補体系調節mRNAを分解し、分解により前記ヒト補体系または補体系調節mRNAの発現が阻害される工程を含む。様々な実施形態において、前記siRNAは、ヒト古典経路、第2経路、およびレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、またはビトロネクチン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができる。好適な実施形態では、前記siRNAが、ヒトC3タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができ、ヒトC3タンパク質RNAは分解され、前記ヒトC3タンパク質mRNAの分解によりヒトC3タンパク質mRNAの発現が阻害され、補体系反応の開始および/または急増が阻害される。
実施形態によっては、それを必要とする前記被験者がヒトであり、一定の実施形態では、前記有効量のsiRNAを約1nM〜約100nMとすることができる。
一部の実施形態では、前記siRNAが組み換えプラスミドから発現され、他の実施形態では、前記siRNAが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはヘルペスウイルスベクターとすることができる、組み換えウイルスから発現される。特定の実施形態では、前記組み換えウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターを有する。さらに他の実施形態では、前記組み換えウイルスが、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、またはモコラウイルスなど、他のウイルスの表面タンパク質を発現することができる。
実施形態により、前記単離siRNAは、経口、直腸、および鼻腔内投与を含む方法により、経腸的に投与することができる。他の実施形態では、前記siRNAは、血管内投与、組織周囲および組織内注射、皮下注射または沈着、または皮下注入投与、およびドルーゼ形成部位またはその近傍への直接投与を含む方法により、非経口投与することができる。特定の実施形態では、血管内投与に静脈内ボーラス、静脈内注射、動脈内ボーラス、動脈内注射、および血管系へのカテーテル点滴注入を含むことができ、他の実施形態では、組織周囲および組織内注射に網膜内注入、網膜下注入、および硝子体内を含むことができる。一定の実施形態では、前記siRNAをカテーテル、網膜ペレット剤、坐薬、多孔質物質を有するインプラント、非多孔質物質を有するインプラント、またはゼラチン様物質を有するインプラントによる投与を含む方法により、ドルーゼ形成部位またはその近傍に投与することができ、特定の実施形態では、前記siRNAを点眼または眼窩内注射により投与することができる。
本発明のさらなる実施形態には被験者の疾患を治療する方法を含み、前記被験者に補体経路タンパク質mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的な配列とを有するアンチセンスRNA鎖を有する、有効量の単離siRNAを投与し、前記センスRNA鎖と前記アンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成する工程と、前記ヒト補体系または補体系制御mRNAを分解し、分解により前記ヒト補体系または補体系制御mRNAの発現が阻害される工程を含む。様々な実施形態において、前記siRNAは、ヒト古典経路、第2経路、およびレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、またはビトロネクチン、ヘパリン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができる。好適な実施形態では、前記siRNAが、ヒトC3タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができ、ヒトC3タンパク質RNAは分解され、前記ヒトC3タンパク質mRNAの分解によりヒトC3タンパク質mRNAの発現が阻害され、補体系反応の開始および/または急増が阻害される。
様々な実施形態において、前記疾患は黄斑変性症関連疾患、加齢黄斑疾患、ノースカロライナ型黄斑変性症、Sorsby's fundus dystrophy、スタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、dominant drusen、糖尿病性網膜症、およびmalattia leventineseから選択することができ、黄斑変性症関連疾患は網膜剥離、脈絡網膜変性、網膜変性、光受容体の変性、RPE変性、ムコ多糖症、桿体錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、および錐体変性を含むことができる。特定の実施形態では、前記疾患を加齢黄斑変性症、または糖尿病性網膜症とすることができる。
一定の実施形態では、前記疾患を治療する方法が、さらに、ヒト補体系mRNAまたは補体系制御mRNAの発現レベルを、前記被験者の尿、血漿、血清、全血、または涙を用いて検出する方法を含むことができる。
本発明のさらなる実施形態には、被験者の少なくとも片方の眼に、補体経路タンパク質mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的な配列を有するアンチセンスRNA鎖とを有する、有効量の単離siRNAを投与し、前記センスRNA鎖と前記アンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成する工程と、前記ヒト補体系または補体系制御mRNAを分解し、分解により前記ヒト補体系または補体系調節mRNAの発現が阻害される工程を含む、ドルーゼ関連眼疾患を治療する方法を含む。様々な実施形態において、前記siRNAは、ヒト古典経路、第2経路、およびレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、またはビトロネクチン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができる。好適な実施形態では、前記siRNAが、ヒトC3タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖を含むことができ、ヒトC3タンパク質RNAは分解され、前記ヒトC3タンパク質mRNAの分解によりヒトC3タンパク質mRNAの発現が阻害され、補体系反応の開始および/または急増が阻害される。
様々な実施形態において、前記眼疾患は黄斑変性症関連疾患、加齢黄斑疾患、ノースカロライナ型黄斑変性症、Sorsby's fundus dystrophy、スタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、dominant drusen、糖尿病性網膜症、およびmalattia leventineseの可能性があり、特定の実施形態では、前記疾患は加齢黄斑変性症または糖尿病性網膜症の可能性がある。
実施形態により、前記眼への投与は、局所、網膜内注入、網膜下注入、硝子体内注入、および眼窩内注入とすることができ、一部の実施形態では、前記眼への投与が点眼または眼窩内注入から選択される。
一定の実施形態では、前記センスRNA鎖は、配列ID番号:43、配列ID番号:45、配列ID番号:48、配列ID番号:49、配列ID番号:51、配列ID番号:53、および配列ID番号:56から選択される配列に対応する配列を有することができ、特定の実施形態では、前記siRNAが、ジチミジン(TT)またはジウリジン(uu)から選択される第一の3'オーバーハングおよび/または第二の3'オーバーハングを有することができる。
本組成および方法について説明する前に、記載された特定の工程、組成、または方法論は変化する可能性があるため、本発明はこれらに限定されるものではないことは理解されるものとする。説明に使用される用語は特定の説明または実施形態のみを説明する目的で使用されており、添付の請求項によってのみ限定される、本発明の範囲を制限する意図はないことも理解されるものとする。他に定義のない限り、本明細書で用いたすべての技術および科学用語は、当業者の1人に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で説明されたものと同一または同等のいかなる方法および材料も、本発明の実施形態の実施または検証に用いることができるが、好ましい方法、装置、および材料が今回説明される。本明細書に記載されたすべての出版物は、参照によって完全に組み込まれる。本明細書中に、本発明が先願発明に基づき、そのような開示に先行する権利はないことの承認として解釈される事項はない。
本明細書および添付の請求項に用いる通り、内容ではっきりそうでないことを示していない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数の言及も含むことにも注意する必要がある。従って、例えば、an「eye(眼)」の言及は、1若しくはそれ以上の眼および当業者に周知のその同等物などの言及である。
本明細書に用いる通り、「約」という用語は、使用される数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。従って、約50%は45〜55%の範囲を意味する。
本明細書に使用する通り、「被験者」にはヒトまたはヒト以外の動物または哺乳類を含むことができる。好ましくは、前記被験者はヒトである。
治療と併せて使用される「投与する」は、標的組織に直接治療を施すこと、または患者に治療を施し、それによって前記治療が標的となる組織に肯定的な影響を及ぼすことを意味する。従って、本明細書に用いる通り、補体制御因子と併せて使用される場合の「投与する」という用語は、(これに限定されるものではないが)前記標的組織内またはその表面に補体制御因子を提供すること;例えば、静脈内注射により患者の全身に補体制御因子を提供することで、前記治療薬を前記標的組織に到達させること;そのコード化配列の形態で、前記標的組織に補体制御因子を提供すること(例えば、いわゆる遺伝子治療法)を含むことができる。組成を「投与すること」は、注射、局所投与、または他の既知の技術と併用する方法により達成することができる。
「改善する」という用語は、本発明により、本発明が提供、適用、または投与される組織の性状、形態、特徴、および/または物理的特性が変化することを伝えるために用いられる。形態の変化は、ドルーゼサイズの減少;視覚改善;RPE血管新生の低下;惨出型(wet)および/または非惨出型(dry)AMD関連症状の改善;ドルーゼ形成の遅延;および惨出型および/または非惨出型AMDの発症遅延の単独または組み合わせのいずれかにより証明することができる。
本明細書に用いる通り、「治療薬」という用語は、患者の望まない状態または疾患を治療、闘病、回復、予防、または改善させるために利用される薬物を意味する。一部、本発明の実施形態は前記眼の機能性改善に関する。これはドルーゼ形成およびAMDによる障害に適用される。
組成の「治療有効量」または「有効量」は、望みの効果を達成するため、つまり、ドルーゼ形成を効果的に阻害、予防、または低下させ、惨出型および/または非惨出型AMDまたはその症状を治療するために計算された所定量である。本発明の補体制御因子の治療有効量は、典型的には、生理的に耐容性のある賦形剤組成と合わせて投与された場合、前記組織で効果的な局所濃度を達成する上で十分な量である。本発明の化合物の有効量は、視力改善、ドルーゼのサイズおよび数の低下、またはドルーゼ形成の遅延およびAMDまたはAMD症状発症の遅延により測定することができる。
概して、「組織」という用語は、特定機能の遂行において一体となる、同様の特殊化した細胞の集合を指す。本明細書に用いる通り、他に指示がない限り、「組織」は(これに限定されるものではないが)前記眼の黄斑を含む組織を指す。例えば、前記黄斑は脈絡膜組織、ブルッフ膜、網膜色素上皮(RPE)、光受容細胞(桿体および錐体細胞)を有する。
本明細書に用いる通り、「アゴニスト」という用語は、遺伝子産物の産生または活性を向上またはアップレギュレート(例えば、増強または補充)させる物質である。アゴニストは、遺伝子産物、分子、または細胞と別の遺伝子産物、分子、または細胞との相互作用を高める化合物である可能性もあり、例えば、前記物質が遺伝子産物を別の相同的または非相同的遺伝子産物と置換するか、前記物質がその受容体に結合した遺伝子産物を置換することができる。一定の実施形態では、アゴニストは、遺伝子の上流領域への転写因子の結合または活性化を亢進または増強することで、前記遺伝子を活性化する化合物の場合もある。例えば、RNAまたはタンパク質合成を亢進するか、RNAまたはタンパク質の代謝回転を抑制する、または遺伝子産物の活性を活性化することで、遺伝子発現を活性化する物質は、前記遺伝子制御経路の上流に作用することで、前記物質が前記遺伝子または遺伝子産物に直接作用しようと、間接的に作用しようと、アゴニストの可能性がある。実施形態により、アゴニストの例はRNAs、ペプチド、抗体、および小分子、またはその組み合わせが考えられる。
本明細書に用いる通り、「アンタゴニスト」という用語は、遺伝子または遺伝子産物の産生または活性をダウンレギュレート、抑制、または阻害する物質である。例えば、アンタゴニストは遺伝子産物、分子、または細胞と別の遺伝子産物、分子、または細胞との相互作用を阻害または低下させる物質である可能性がある。一定の実施形態では、アゴニストは、遺伝子の上流領域への転写因子の結合または活性化を阻害または低下させることで、前記遺伝子の活性化を遮断する化合物の場合もある。遺伝子の発現または遺伝子産物の活性を阻害する物質は、前記物質が例えば、前記遺伝子制御経路の上流に作用することで、前記遺伝子または遺伝子産物に直接作用しようと、間接的に作用しようと、アンタゴニストの可能性がある。アンタゴニストは、遺伝子の発現をダウンレギュレートするか、例えばRNAまたはタンパク質合成を抑制するか、RNAまたはタンパク質の代謝回転を亢進することで、存在する遺伝子産物の量を減少させる化合物である可能性もある。様々な実施形態において、アゴニストはRNAs、ペプチド、抗体、および小分子、またはその組み合わせが考えられる。
「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、全型抗体およびその結合フラグメントを含むために使用される。典型的には、フラグメントが全型抗体と競合し、別の重鎖、軽鎖Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、およびFvを含む抗原フラグメントに対する特定の結合は、全型抗体に派生する。抗体フラグメントは、例えば、組み換えDNA技術、または全型免疫グロブリンの酵素的または化学的分離により、当該分野で既知の方法により作成することができる。「抗体」という用語は、他のタンパク質との融合タンパク質に化学的に結合するか、他のタンパク質との融合タンパク質として発現された1若しくはそれ以上の免疫グロブリン鎖も含む。「抗体」という用語は、特異性または二重特異性抗体を含み、特異性または二官能性抗体は、2つの異なる重/軽鎖ペアと2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFabフラグメントの結合を含む(これに限定されるものではないが)様々な方法により作成することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547−1553(1992)を参照。
「アンチセンス分子」という用語には、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを含み、特定タンパク質(例えば、補体経路分子)のmRNA(センス)またはDNA(アンチセンス)配列を標的として結合することができる、一本鎖核酸配列(RNAまたはDNA)を有する。所定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づき、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを得ることができるかについては、例えば、Stein and Cohen(Cancer Res.48:2659,1988)およびvan der Krol et al.(BioTeclmiques 6:958,1988)に報告されている。
本明細書に用いる通り、標的mRNA内に含まれる標的配列に「実質的に同一の」核酸配列は、前記標的配列と同一の核酸配列であるか、前記標的配列とは1若しくはそれ以上のヌクレオチドが異なる核酸配列である。標的配列と実質的に同一の核酸配列を有する本発明のセンス鎖は、そのようなセンス鎖を有するsiRNAが、前記標的配列を含むmRNAのRNAiを介した分解を誘導することで特徴付けられる。例えば、本発明のsiRNAは、前記標的mRNAのRNAiを介した分解が前記siRNAで誘導される限り、標的配列とは1、2、または3若しくはそれ以上のヌクレオチドが異なる核酸配列を有するセンス鎖を有することができる。
前記補体系は、正常な眼において常に低レベルで活性であり、眼内補体制御タンパク質で綿密に制御されている。正常なヒト眼の硝子体および房水は、MCP、DAF、およびCD59の可溶型を含む。MCPはβ1インテグリンと相互作用すると考えられ、網膜色素上皮(RPE)の基底膜およびブルッフ膜への接着に関与すると考えられている。ビトロネクチンは光受容体で産生され、網膜のRNAは平均すると、肝臓で測定された値の約50%である。C3およびC5のメッセージはRPEで同定され、C3、C5、およびC9転写産物は神経網膜および/または脈絡膜で検出された。培養されたRPE細胞のC5 mRNA値は肝臓由来の細胞で認められた値とほぼ同等であり、ヒト肝臓C5 mRNAの約60%であることから、おそらく前記RPEがC5の主な供給源であることを示唆している。
補体成分および制御因子も、ドルーゼに限局していた。ドルーゼは、前記RPEの基底膜とブルッフ膜の内部コラーゲン層との間にある、細胞外物質の限局的沈着である。これが眼にあるということは、惨出型および非惨出型加齢黄斑変性症(AMD)の重要なリスクファクターおよび指標である。ドルーゼは、脂質、炭水化物、タンパク質、および細胞成分から成り、RPE由来である可能性が最も高い。ドルーゼの免疫組織化学分析では、ビトロネクチン、クラスタリン、IgG、MAC、C5、MCP、およびCR1の存在が明らかとなった。さらに、C3/C3dおよび前記C3活性化フラグメント(C3b、iC3b、C3dg)に対して産生された抗体により、強固な標識化が観察された。
同様に、ドルーゼ周囲の組織も補体因子に対する免疫反応性を示した。C5、IgG、ビトロネクチン、クラスタリン、MACの成分、およびMCPは、ドルーゼに近接するRPE細胞に限局していた。さらに、抗C3抗体により、強い脈絡膜の免疫染色が観察されたが、残りの脈絡膜では標識化はほとんど認められなかった。さらに、補体活性化部位に沈着することが多い未知の構造も、C3のタンパク質分解フラグメントに強い免疫反応性を示した。これらの構造は、細胞溶解を受けたRPE細胞が変性したことによる残留片であることが示唆された。
この仮説は、さらに動物研究で支持されている。マウスの単球走化性タンパク質(Ccl−2、MCP−1)またはその同種C−Cケモカイン受容体−2(Ccr−2)が欠乏すると、RPEにリポフスチンが生成され、RPE下のドルーゼ、光受容体退化、および脈絡膜血管新生(CNV)が発生する。さらに、RPEおよび脈絡膜に補体およびIgGの沈着が認められ、免疫成分が前記AMDの表現型に関与していることが示唆される。
レーザーにより誘導したCNVのマウスモデルにおいて、補体の役割が検討された。C57BLマウスのレーザー光凝固により、ドルーゼ形成部位にC3およびMACが沈着した。対照的に、レーザー光凝固はC3欠乏マウスのCNVを誘導するか、MACを沈着させることはなかった。抗C6ポリクローナル抗体の全身投与は、レーザースポット部位のCNV発生およびMAC沈着を有意に抑制した。さらに、C57BLマウスでコブラ毒因子(CVF)により全身的に補体を枯渇させ、レーザーで治療した場合、前記レーザースポットにC3またはMACの免疫反応性は観察されず、CNVの発生は有意に減少した。CVFは、C3bと機能的に似ており、ファクターBと結合してC3およびC5転換酵素のCVFBbを形成する、C3の構造類似体である。CVFはファクターHおよびIによる不活性化に耐性を示す。結果として、C3およびC5は、前記補体系が完全になくなるまで、持続的に加水分解される。これらの所見は、マウスのレーザーで誘導されたCNVの発生には補体の活性化が必要であり、AMDにおけるCNVの発生にも必要と考えられることを示唆している。
実際、ファクターHの変異(Y402H)はAMDの発症と有意に関連していることが確認された。この変異はヘパリンとファクターHのC反応性タンパク質結合部位に位置し、早期AMDおよびCNVいずれの場合も関連性は顕著である。この変異は前記タンパク質の挙動を変化させ、タンパク質はもはや前記補体経路を制御できなくなる。例えば、結合能力が変化すると、微生物または補体フラグメントC3bと適切に相互作用することができなくなり、この機能障害は最終的に局所の組織損傷につながることがある。Y402H変異に加え、他に少なくとも7種類のファクターH変異体がAMDに関連していた。
AMD患者の組織を染色することで、ドルーゼ内、RPE下腔、および脈絡膜毛細血管周辺でファクターHの強く、特異的な免疫反応性が明らかとなり、前記黄斑で最も顕著であった。黄斑でのファクターHの分布はMACの分布と関連していた。ある場合は、前記ドルーゼ内の部分構造要素も抗C3フラグメント抗体と反応した。ファクターHおよびC5b−9の免疫反応性が前記黄斑外にあることは少なく、50歳未満でAMDのない患者のRPEまたは脈絡膜では、C5b−9免疫反応性は非常に少ないか、全くなかった。AMDの有無に関わらず、ドナーの眼に由来する単離されたばかりのRPEおよびRPE/脈絡膜複合体のmRNAを分析すると、ファクターHおよびその短縮されたイソ型が肝臓に近いレベルでRPEに豊富に発現されていることが明らかとなったが、神経網膜ではそのような事実は明らかとならなかった。
最近のファクターHに関する所見は、AMDについていくつか確立されたリスクファクターの役割に対する見識を与えている。例えば、肺炎クラミジア感染とAMDとの間には強い関連性があることが報告されている。この病原体はAMDのため外科的に眼から切除された新生血管組織で同定され、感染が確立した血管組織に高い親和性を有する。補体を制御できないシナリオでは、そのような病原体が慢性炎症を刺激し、最終的に組織を損傷させる。
もう一つのAMDリスクは喫煙である。喫煙は、in vitroでC3を修飾し、前記第2経路を活性化させる可能性がある。そのため、機能的ファクターHがあると、喫煙により補体の活性化が制御されなくなる可能性がある。興味深いことに、AMD様の表現型でファクターHの欠乏により生じる別の疾患もある。II型膜性増殖性糸球体腎炎(MPGNII)もファクターHの点突然変異により引き起こされる可能性があり、重度糸球体腎炎および早発型ドルーゼ形成が生じる。前記ドルーゼは、AMDで認められるドルーゼと構造的および組成的に区別することができない。
本発明の観点には、前記補体経路の活性化を制御することにより、疾患を治療または予防する組成および方法を含む。一部の実施形態では、前記疾患が眼疾患であり、特定の実施形態では、前記疾患が例えば、加齢黄斑疾患(AMD)、ノースカロライナ型黄斑変性症、Sorsby's fundus dystrophy、スタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、dominant drusen、糖尿病性網膜症、およびmalattia leventineseを含む黄斑変性関連疾患である。他の疾患または病状には、網膜剥離、脈絡網膜変性、網膜変性、光受容体の変性、RPE変性、ムコ多糖症、桿体錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、および錐体変性を含む。
本発明の1つの実施形態では、黄斑変性関連疾患に罹患したか、発症するリスクのある被験者において、黄斑変性を治療、またはその発症を予防する方法を提供する。そのような方法には、少なくとも1種類の補体経路関連分子の活性、または前記補体経路を介した細胞活動を調節する、有効量の治療薬を前記被験者に投与する工程を含むことができる。前記方法に関する実施形態では、前記被験者が黄斑変性関連疾患を有し、または前記被験者が黄斑変性関連疾患を発症するリスクがある。一部の実施形態では、前記被験者に黄斑変性関連疾患以外の補体関連疾患がない。
前記方法に関する実施形態では、前記治療薬が、補体経路関連分子または前記補体経路関連分子の上流制御因子の濃度を調節することで、前記補体経路関連分子の活性を調節することができ、一定の実施形態では、前記治療薬が前記補体経路関連分子のタンパク質濃度を調節することができる。実施形態の方法を利用して調節可能な補体経路関連分子の限定されない例には、アナフィラトキシンC3a、アナフィラトキシンC5a、C6、クラスタリン、ハプトグロブリン、Igκ鎖、Igλ鎖、またはIgγ鎖を含む。他の実施形態では、前記治療薬が補体タンパク質または補体経路関連分子の酵素活性を調節することができる。例えば、前記治療薬は、C3のC3aおよびC3bへの触媒作用または変換、C5のC5aおよびC5bへの変換、またはファクターBのBaおよびBbへの切断を調節することができる。
一部の実施形態では、前記方法がさらに、前記治療薬により調節された補体経路関連分子の濃度を検出する工程を含み、補体経路関連分子の濃度は前記治療薬の投与前、投与中、または投与後に決定することができる。補体経路関連分子の濃度は当該分野で既知のいかなる方法によっても検出することができ、例えば、前記濃度は前記被験者の尿、血漿、血清、全血、または涙などの体液から決定することができる。
様々な実施形態の治療薬には、タンパク質、ペプチド、オリゴペプチド、有機小分子、多糖類、およびsiRNAなどのポリヌクレオチドを含む(これに限定されるものではないが)すべての物質、分子、成分、化合物、実在物、またはその組み合わせを含むことができる。前記物質は、天然物、合成化合物、または化学化合物、または2若しくはそれ以上の物質の組み合わせとすることもできる。
好適な実施形態では、古典経路、第2経路、またはレクチン経路の補体タンパク質mRNAを標的とする単離siRNAを治療薬とし、それを必要とする患者に提供することができる。例えば、実施形態によっては、siRNAを不適切な補体活性化が関与する疾患の症状を示す患者に投与することができ、補体活性化を阻害するために使用することもできる。特に、標的とすることができる補体タンパク質は、(これに限定されるものではないが)例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、およびビトロネクチン、ヘパリン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFが標的とされるような、細胞表面のMAC形成を調節するタンパク質など、古典経路、第2経路、またはレクチン補体経路タンパク質を含む。好適な実施形態では、C3、C5、およびビトロネクチンが標的とされ、好ましくはC3である。
従って、本発明の実施形態は、ヒト補体系mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAと実質的に同一の配列と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを含むセンスRNA鎖を有する単離siRNAに関する。好適な実施形態では、前記センスRNA鎖が実質的にC3 mRNAと同一と考えられる。
理論に固執することは望まないが、本発明のsiRNAは標的mRNAsのRNAiを介した分解を引き起こし、それによって当該標的補体タンパク質の産生を抑制または停止させる。例えば、C3はC3C5転換酵素の形成およびその後のC5活性化に必要であり、C5活性化はMAC形成を開始するために必要であるため、C3またはC5mRNAのsiRNAを介した分解はMAC形成および補体系活性を阻害する可能性がある。同様に、ビトロネクチンの不活性化は、ドルーゼ形成を予防または改善するRPEの表面で、MAC形成を阻害する可能性がある。
本明細書に用いる通り、「標的mRNA」は、特異的siRNA分子を排除するようにデザインされたメッセンジャーRNAを意味する。本発明の実施形態の例として、前記標的mRNAは例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、およびビトロネクチン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFなどの細胞表面のMAC形成を調節するタンパク質など、古典経路、第2経路、またはレクチン補体経路タンパク質などのヒトタンパク質とすることができ、古典経路、第2経路、またはレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、およびビトロネクチン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAFなどの細胞表面でMAC形成を調節するタンパク質を含む(これに限定されるものではないが)遺伝子の変異型または代わりのスプライス型とすることができる。
本明細書に用いる通り、ヒト遺伝子の「同種」遺伝子またはmRNAは、前記ヒト遺伝子と相同的な別の哺乳類種の遺伝子またはmRNAとする。例えば、前記同種C5ヒトmRNAはマウスのC5mRNAとすることができる。
本明細書に用いる通り、「単離」はヒトの介入により天然の状態から変化または取り出されたことを意味する。例えば、生きている動物に存在するsiRNAは「単離」されていないが、合成siRNAまたは天然の状態で共存する物質から部分的または完全に分離されたsiRNAは「単離」されている。単離siRNAは実質的に純粋な形態で存在することができ、または例えば前記siRNAが送達された細胞など、非天然の環境で存在することができる。
実施形態により、本発明は約17ヌクレオチド〜約29ヌクレオチド長、一部の実施形態では、約19〜約25ヌクレオチド長の短い二本鎖RNAを有し、特定のmRNAを標的とする単離siRNAを提供する。一般にsiRNAは、標準的なワトソン・クリックの塩基対相互作用(以下「塩基対」)によりアニーリングするセンスRNA鎖と、実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを含むことができる。以下にさらに詳細を説明する通り、前記センス鎖には前記標的mRNA内に含まれる配列と同一またはほぼ同一の核酸配列を含むことができる。
従って、本発明の実施形態は、ヒト補体系mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの19〜25隣接ヌクレオチドと実質的に同一の配列と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを含むセンスRNA鎖を有する単離siRNAに関する。好適な実施形態では、前記センスRNA鎖がヒトC3 mRNAの19〜25隣接ヌクレオチドと実質的に同一と考えられる。
本siRNAのセンスおよびアンチセンス鎖は2つの別の相補的一本鎖RNA分子から成り、または2種類の相補的部分が塩基対となり、一本鎖「ヘアピン」部分で共有結合している単一の分子を含むことができる。いかなる理論に固執することも望まないが、後者のsiRNAのヘアピンは「ダイサー」タンパク質(またはそれに相当する分子)により細胞内で切断され、2つの個別の塩基対RNA分子によりsiRNAを形成することができる。
本発明のsiRNAは、部分的に精製されたRNA、実質的に純粋なRNA、合成RNA、または組み換え技術によって作られたRNA、および1若しくはそれ以上のヌクレオチドを付加、欠失、置換、および/または改変させることで天然型RNAとは異なる改変RNAを有することができる。そのような改変には、非ヌクレオチド物質を、前記siRNAの1若しくはそれ以上の末端、または前記siRNAの1若しくはそれ以上の内部ヌクレオチドなどに付加する工程を含むことができる。そのような改変には、(これに限定されるものではないが)前記siRNAをヌクレアーゼ消化に対して耐性にする修飾を含むことができる。
本発明の前記siRNAの一本鎖または二本鎖とも3'オーバーハングとすることもできる。本明細書に用いる通り、「3'オーバーハング」は、RNA鎖の3'末端から伸長するリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、またはその組み合わせを含む、対になっていない少なくとも1つのヌクレオチドを指す。例えば、1実施形態では、補体mRNAを標的とするsiRNAに、1〜約6ヌクレオチドまたは1〜約5ヌクレオチド長の少なくとも1つの3'オーバーハングを含むことができる。一部の実施形態では、前記オーバーハングを1〜約4ヌクレオチド長とし、少なくとも1つの実施形態では、前記オーバーハングを約2〜約4ヌクレオチド長とすることができる。さらに他の実施形態では、前記siRNA分子の両鎖が3'オーバーハングを有する。その長さは、各鎖同一のこともあれば、異なることもある。さらに他の実施形態では、前記3'オーバーハングが前記siRNAの両鎖にあり、2ヌクレオチド長とすることができる。例えば、本発明のsiRNAの各鎖はジチミジン(「TT」)またはジウリジン(「uu」)の3'オーバーハングを有することができる。
従って、本発明の実施形態は、ヒト補体系mRNAまたは補体系制御タンパク質mRNAの19〜25隣接ヌクレオチドと実質的に同一の配列と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを含むセンスRNA鎖を有する単離siRNAに関し、前記センスRNA鎖および/または前記アンチセンスRNA鎖は3'オーバーハングを有する。好適な実施形態では、前記センスRNA鎖が、ヒトC3 mRNAの19〜25隣接ヌクレオチドおよび3'オーバーハングを有する前記センスRNA鎖および/または前記アンチセンスRNA鎖と実質的に同一である。特に好適な実施形態では、前記siRNAがヒトC3 mRNAと実質的に同一のセンスRNA鎖を有し、前記センスRNA鎖および/または前記アンチセンスRNA鎖が2ヌクレオチドの3'オーバーハングを有し、前記ヌクレオチドがそれぞれデオキシチミジンまたはデオキシウリジンである。
本siRNAの安定性を向上させるため、前記3'オーバーハングを分解に対して安定化させることができる。1実施形態では、アデノシンまたはグアノシンヌクレオチドなどのプリンヌクレオチドを含むことで、前記オーバーハングが安定化されている。代わりに、例えば、前記3'オーバーハングのウリジンヌクレオチドと2'−デオキシチミジンとの置換など、修飾された類似体によるピリミジンヌクレオチドの置換は耐容性を示し、RNAiの分解効率に影響しなかった。特に、2'−デオキシチミジンの2'ヒドロキシルがないと、組織培地中で前記3'オーバーハングのヌクレアーゼ耐性が有意に高まる。
一定の実施形態では、本発明のsiRNAに配列AA(N19)TTまたはNA(N21)を含み、Nはヌクレオチドである。これらのsiRNAは約30〜70%のG/Cを含み、好ましくは約50%のG/Cを有する。前記センスsiRNA鎖の配列は、それぞれ(N19)TTまたはN21(つまり、3〜23の位置)に対応する。後者の場合、前記センスsiRNAの3'末端はTTに変換される。この配列変換の理論的根拠は、前記センスおよびアンチセンス鎖の3'オーバーハングの配列組成について、対称的な二本鎖を形成することである。次に、前記アンチセンスRNA鎖が、前記センス鎖の1〜21位を補完するものとして合成される。
これらの実施形態の23ntセンス鎖の1位はそのアンチセンス鎖により配列特異的に認識されない可能性があるため、前記アンチセンス鎖の3'末端のヌクレオチド残基は意図的に選択することができる。しかし、(いずれかの実施形態で23ntセンス鎖の2位に相補的な)前記センス鎖の最後から2番目のヌクレオチドは、標的配列に相補的と考えられる。
別の実施形態では、本発明のsiRNAが配列NAR(N17)YNNを含み、Rはプリン(例えば、AまたはG)であり、Yはピリミジン(例えば、CまたはU/T)である。従って、本実施形態のそれぞれの21ntセンスおよびアンチセンスRNA鎖は、プリンヌクレオチドで始まることが多い。そのようなsiRNAは、標的部位を変えずにpol III発現ベクターから発現させることはできず、これは、最初に転写されたヌクレオチドがプリンの場合、pol IIIプロモーターからのRNAsの発現が効率的としか考えられないためである。
本発明のsiRNAは、前記標的mRNA配列(「標的配列」)のいずれかの約19〜25隣接ヌクレオチドをすべて標的とすることができる。siRNAの標的配列を選択する技術は、例えば、2004年5月6日に改訂されたTuschl Tらの「The siRNA User Guide」に示されており、その全開示が本明細書に参照として組み込まれている。「The siRNA User Guide」は、Department of Cellular Biochemistry,AG 105,Max−Planck−Institute for Biophysical Chemistry,37077 Gottingen,GermanyのDr. Thomas Tuschlが管理するウェブサイトにて、ワールドワイドウェブで閲覧可能であり、Max Planck Instituteのウェブサイトにアクセスするか、「siRNA」をキーワードとして検索することで見つけることができる。従って、本siRNAのセンス鎖は、前記標的mRNAの約19〜25ヌクレオチドの隣接ストレッチと同一のヌクレオチド配列を有する。
前記標的mRNAの標的配列は、前記標的mRNAに対応する所定のcDNA配列から選択することができ、好ましくは開始コドンの下流(つまり、3'方向の)50〜100ntに始まる。ただし、前記標的配列は、5'または3'の非翻訳領域、または前記開始コドン付近の領域に位置する可能性がある。例えば、表1の標的配列の配列ID番号:1〜26および57は、ヒトC3 cDNAの配列ID番号:4の5'末端100nt以内にあり、標的配列の配列ID番号:27〜41および対応するsiRNA配列の配列ID番号:42〜56に対応する。
Figure 2009521234
ヒト補体系タンパク質のスプライス変異はファクターC2およびMACについて同定されており、エキソンのスプライシングエンハンサーが同定された。まだ同定されていない補体系タンパク質のスプライス変異体として、これらを標的とするsiRNAは、本発明に含まれる。
代わりに、ヒト補体系タンパク質のスプライス変異は、例えば「RNA分解酵素保護」と呼ばれる技術により、当該分野で既知の通り、同定することができる。RNA分解酵素保護には遺伝子配列の合成RNAへの転写が関与し、合成RNAは他の細胞、例えば補体活性化部位またはその近傍の組織細胞由来のRNAにハイブリダイズされる。次に、ハイブリダイズしたRNAはRNA:RNAハイブリッドのミスマッチを認識する酵素とインキュベートする。予想フラグメントより小さい場合は、代わりにスプライスされたmRNAsがあることを示す。実施形態により、代わりにスプライスされたと推定されるmRNAsを当業者に周知でsiRNAの作成に使用できる方法によりクローニングし、配列を決定する。
代わりにスプライスされた補体経路タンパク質をRT−PCRにより同定することができる。RT−PCRでは、罹患組織のmRNAは、例えば酵素である逆転写酵素を用いる当業者に周知の方法により、cDNAに変換される。前記cDNAの全コード化配列は、3'非翻訳領域に位置するforward primerおよび3'非翻訳領域に位置するreverse primerを用い、PCRにより増幅することができる。増幅生成物は、例えば前記増幅生成物のサイズを正常なスプライスされたmRNAの予想生成物のサイズと、例えばアガロースゲル電気泳動により比較することで、別のスプライス型を分析することができる。前記増幅生成物のサイズに変化があれば、別のスプライシングを示している可能性がある。代わりにスプライスされた変異体の配列を決定し、siRNAの作成に使用することができる。
突然変異遺伝子から生成したmRNAも、別のスプライス型を同定する前述の技術により同定することができる。本明細書に用いる通り、「突然変異」補体経路タンパク質は、例えば配列ID番号1〜26および57で1若しくはそれ以上の塩基対が本明細書に説明される補体経路タンパク質の配列と異なる配列を有する遺伝子から作成される。従って、これらの遺伝子の対立遺伝子型、およびそこから作成されたmRNAは、本明細書の目的で「変異体」と考えられる。
所定の疾患の遺伝子に関連するヌクレオチド配列を含むデータベースを用い、別のスプライス型または変異型mRNAsを同定することができる。例えば、有用なデータベースにはGenBank、Embase、およびCancer Genome Anatomy Project(CGAP)データベースを含む。前記CGAPデータベースには例えば、様々なタイプのヒト癌の発現配列タグ(ESTs)を含む。古典経路、第2経路、およびレクチン補体経路タンパク質のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、ファクターB、ファクターD、ファクターH、ファクターI、およびビトロネクチン、クラスタリン、C4bBP、MCP、およびDAF遺伝子などの細胞表面でMAC形成を調節するタンパク質を含む(これに限定されるものではないが)mRNAまたは遺伝子配列を用い、上記データベースに問い合わせ、代わりにスプライスされたmRNAsを示すESTsにこれらの遺伝子が認められるか否かを決定することができる。
本発明のsiRNAは、化学合成または組み換え技術を用いる方法を含む(これに限定されるものではないが)当業者に既知の多数の技術により得ることができる。例えば、siRNAは、その全開示が本明細書に参考として組み込まれている、Tuschlらの米国で公開された出願第2002/0086356号に説明されるショウジョウバエのin vitro系を用いて作成することができ、または、siRNAを適切に保護されたリボヌクレオシドホスホラミダイトおよび従来のDNA/RNA合成装置を用い、化学的に合成することができる。実施形態により、siRNAは合成後に合わせる2つの別の相補的RNA分子として合成することができ、またはそれ自体に結合し「ヘアピン」構造を形成することができる、2つの相補的領域を持つ単一のRNA分子を合成することもできる。合成RNA分子または市販の合成試薬も、本発明の実施形態に含まれる。
代わりに、適切なプロモーターを用い、組み換え環状または直鎖DNAプラスミドからsiRNAを発現させることができる。プラスミドから本発明のsiRNAを発現させるため適したプロモーターは当該分野で周知であり、例えばU6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列およびサイトメガロウイルスプロモーターを含むことができる。他の適したプロモーターを選択することも、当該分野の技術の範囲内である。本発明の組み換えプラスミドは、特定の組織または特定の細胞内環境でsiRNAを発現させる誘導または制御可能なプロモーターを含むことができる。
組み換えプラスミドから発現されるsiRNAは、標準的な技術により培養細胞発現系から単離するか、例えば、in vivoにおいて眼またはその近傍、眼腔またはその近傍、またはドルーゼ形成部位またはその近傍などの罹患組織で細胞内に発現させることができる。本発明のsiRNAを送達する組み換えプラスミドをin vivoで細胞に使用する方法は、以下にさらに詳細に考察されている。様々な実施形態において、単一のsiRNAは、2つの別の相補的RNA分子または2つの相補的領域を持つ単一のRNA分子として組み換えプラスミドから発現させることができる。
本発明のsiRNA発現に適したプラスミドの選択、前記プラスミドに前記siRNAを発現させる核酸配列を挿入する方法、および組み換えプラスミドを対象細胞に送達する方法は実施形態により異なり、当該分野で既知であるか、後に開発されたあらゆるプラスミドから選択可能である。例えば、全開示が参照により本明細書に組み込まれているTuschl,T.(2002),Nat.Biotechnol,20:446−448;Brummelkamp T R et al.(2002),Science 296:550−553;Miyagishi M et al.(2002),Nat.Biotechnol.20:497−500;Paddison P J et al.(2002),Genes Dev.16:948−958;Lee N S et al.(2002),Nat.Biotechnol.20:500−505;およびPaul C P et al.(2002),Nat.Biotechnol.20:505−508を参照。
本明細書に用いる通り、「polyT終止配列に実現可能な関連がある」は、前記センスまたはアンチセンス鎖をコードする核酸配列が5'方向のpolyT終止シグナルと直接隣接していることを意味する。前記プラスミドのセンスまたはアンチセンス配列の転写中、前記polyT終止シグナルは転写を中止させるように作用する。
本明細書に使用する通り、プロモーターの「コントロールされている」は、前記センスまたはアンチセンス鎖をコードする核酸配列は前記プロモーターの3'に位置し、前記プロモーターが前記センスまたはアンチセンスコード配列の転写を開始できるようになっていることを意味する。
実施形態によっては、組み換えウイルスベクターが本発明のsiRNAをコードする配列、前記siRNA配列を発現させる上で適切なプロモーター、例えばpolyT終止シグナルなどの当該分野で既知の終止シグナルを含むことがある。他の適切なプロモーターの選択は当該分野の技術の範囲内であり、適切なプロモーターには例えば、前記U6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列または前記サイトメガロウイルスプロモーターを含むことができる。一部の実施形態では、組み換えウイルスベクターに、特定の組織に、特定の細胞内環境で、または特定の細胞内または細胞外シグナルに反応して前記siRNAを発現させる誘導または制御可能なプロモーターを含むことができる。本発明のsiRNAは、2つの別の相補的RNA分子または2つの相補的領域を持つ単一のRNA分子として、組み換えウイルスベクターから発現させることができる。
本発明での使用に適した組み換えウイルスベクターの選択、前記ベクターに前記siRNAを発現させる核酸配列を挿入する方法、および前記ウイルスベクターを対象細胞に送達させる方法は当該分野の技術の範囲内である。例えば、全開示が参照により本明細書に組み込まれているDomburg R(1995),Gene Therap.2:301−310;Eglitis M A(1988),Biotechniques 6:608−614;Miller A D(1990),Hum Gene Therap.1:5−14;およびAnderson W F(1998),Nature 392:25−30を参照。
前記siRNA分子で発現されるコード配列を受け入れることのできるすべてのウイルスベクターを使用することができ、例えば、アデノウイルス(AV);アデノ随伴ウイルス(AAV);レトロウイルス(例えば、レンチウイルス(LV)、ラブドウイルス、マウス白血病ウイルス);ヘルペスウイルスなどに由来するベクターが使用できる。前記ウイルスベクターの向性は、他のウイルスのエンベロープタンパク質または他の表面抗原により前記ベクターの偽型を作成することで修正することもできる。例えば、本発明のAAVベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどの表面タンパク質により偽型を作成することができる。様々な実施形態において、ウイルスベクターはAVおよびAAVに由来するものである。特定の実施形態では、本発明のsiRNAが、例えば前記U6またはHI RNAプロモーター、または前記サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを有する組み換えAAVベクターの別の相補的単鎖RNA分子2本として発現される。
siRNAを発現させ、組み換えウイルスベクターを構築し、ウイルスベクターを標的細胞に送達させる方法は当該分野で既知である。例えば、前記siRNAを発現させる適切なAVベクター、前記組み換えAVベクターを構築する方法、および前記ベクターを標的細胞に送達させる方法は、全開示が参照により本明細書に組み込まれているXia H et al.(2002),Nat.Biotech.20:1006−1010に報告されており、本発明のsiRNAを発現させるために適したAAVベクター、前記組み換えAVベクターを構築する方法、および前記ベクターを標的細胞に送達させるために適したAAVベクターは、全開示が参照により本明細書に組み込まれているSamulski R et al.(1987),J.Virol.61:3096−3101;Fisher K J et al.(1996),J.Virol.,70:520−532;Samulski R et al.(1989),J.Virol.63:3822−3826;米国特許出願第5,252,479号明細書;米国特許出願第5,139,941号明細書;国際特許出願第WO 94/13788号;および国際特許出願第WO 93/24641号に報告されている。
一部の実施形態では、所定の標的配列を含むsiRNAが前記標的mRNAのRNAiを介した分解を生じる能力は、細胞内のRNAまたはタンパク質レベルを測定する標準的な方法により評価することができる。例えば、本発明のsiRNAは、培養細胞に送達させることができ、標的mRNA値はノーザンブロットまたはドットブロット法、または定量的RT−PCRにより測定することができる。代わりに、補体経路タンパク質または前記培養細胞で調節したタンパク質レベルは、ELISAまたはウエスタンブロットにより測定することができる。
他の実施形態では、所定の標的配列を含むsiRNAによる標的mRNAのRNAiを介した分解を動物モデルで評価することもできる。例えば、AMDを治療する特異的siRNAの効果をCNVマウスモデルにより評価し、siRNAの投与前後でCNVマウスの黄斑損傷部位を測定することができる。前記siRNA投与時にこれらのモデルの補体活性化が抑制されたことは、前記標的mRNAのダウンレギュレーションまたは前記黄斑損傷が改善されたことを示している。
前述の通り、本発明のsiRNAは、補体経路mRNAまたは補体系活性化mRNAのモジュレーター、または別のスプライス型、変異体、またはその同種体のRNAiを介した分解を標的とし、引き起こす。本発明のsiRNAによる前記標的mRNAの分解は、補体経路タンパク質、または前記細胞表面の補体系活性化を調節するタンパク質からの機能的遺伝子産物の産生を抑制することがある。従って、本発明は、被験者において補体経路タンパク質、または前記細胞表面の補体系活性化を調節するタンパク質の発現を阻害する方法を提供し、前記本発明のsiRNAは前記標的mRNAが分解されるような有効量で被験者に投与される。前記補体経路の生成物、または前記補体系遺伝子のモジュレーターは補体系活性化の開始に必要なため、本発明では、本発明のsiRNAを用い、前記標的mRNAのRNAiを介した分解により、被験者の補体系活性化を阻害方法も提供する。
補体系活性化の阻害は、例えば、被験者のAMD関連ドルーゼ形成の進行を直接測定することで評価することができ、例えば、ドルーゼは、本発明のsiRNAの投与前後に検眼鏡検査を行うか、または前記ドルーゼ中の多数の補体タンパク質を観察することで観察することができる。前記ドルーゼ中の補体タンパク質数が同じままであるか、減少するか、遅れた場合、ドルーゼ形成の阻害が示される。被験者の組織サンプル中の補体タンパク質数を観察および測定する方法は、上述の通り当該分野の範囲内であり、例えば、標的mRNAのRNAiを介した分解は、上述のmRNAまたはタンパク質を単離および定量化する標準的な方法により、被験者の細胞中の標的mRNAまたはタンパク質値を測定することにより、検出することができる。補体系活性化の阻害も、補体系活性化が制御されていないことに伴う病状の変化または回復を観察することで推察することができる。例えば、AMDでは、失明の鈍化、停止、または回復は、脈絡膜中のドルーゼ形成が阻害されたことを示している。
前記siRNAは亜化学量論的量(substoichiometric amount)で前記標的mRNAを分解することができる(またそのため、補体系活性化を阻害することができる)ことは理解される。理論に固執することは望まないが、本発明のsiRNAは触媒的に前記標的mRNAを分解すると考えられている。従って、標準的な抗補体系療法と比べ、治療効果を得るために補体系活性化が制御されていない部位またはその近傍に送達させる必要のあるsiRNAは有意に少ない。
実施形態によっては、単離siRNAが有効量で被験者に投与される。当業者は、所定の被験者に投与すべき本発明のsiRNAの有効量を、前記被験者のサイズおよび体重;補体系活性化または疾患浸透の程度;前記被験者の年齢、健康状態、および性別;投与経路;および前記投与が局所的か全身的かなどの要因を考慮することで容易に決定することができる。一般に、本発明のsiRNAの有効量は、補体系活性化が制御されていない部位またはその近傍の細胞間濃度として約1ナノモル(nM)〜約100nM、約2nM〜約50nM、または約2.5nM〜約10nMを含む。特定の実施形態では、siRNA約0.01mg〜約10mgが有効量の場合もある。ただし、一定の実施形態では、siRNAの量が前後して投与されることもある。
一部の実施形態において、本発明の方法を利用し、前記被験者における正常なプロセスによる補体系の活性化など、非病原性の補体系活性化の構築を阻害することができる。非病原性の補体系活性化の例には、細菌およびウイルスに対する非抗原特異的免疫反応を含む。従って、本発明は、臓器移植、異種移植、およびMIに関連する免疫反応を調節するため、非病原性の補体系活性化を阻害する方法を提供する。他の実施形態では、本発明の方法を利用し、例えば、自己免疫疾患に関連した制御されていない補体系活性化など、補体系活性化が不適切であるか、制御されていないことにより病原性が伴う疾患において、補体活性化を阻害することができる。他の補体系が制御されていない疾患には、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症(AMD)、全身性エリテマトーデス(SLE)、敗血症、免疫複合体病、炎症、肺および肝線維症、喘息、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、アルツハイマー病を含む。これらの疾患は、補体活性化が制御されていないことによる正常組織の破壊によって特徴付けられる。例えば、AMDでは、脈絡膜がRPEのドルーゼによって侵入および破壊されることで患者の視力が阻害され、AMDの脈絡膜がドルーゼにより破壊されると、最終的には部分的または完全に失明する。従って、一定の実施形態では、siRNAを利用し、AMDのドルーゼ形成を阻害することができる。
補体系関連疾患を治療するため、本発明のsiRNAは本siRNAとは異なる医薬品と併用し、被験者に投与することができる。代わりに、本発明のsiRNAは、前記補体系関連疾患を治療するために設計された別の治療法と併用し、被験者に投与することができる。例えば、本発明のsiRNAは、自己免疫疾患を治療するために現在採用されている治療法と併用して投与することができる(例えば、C1 INH)。
実施形態によっては、本発明のsiRNAを裸のsiRNAとして、導入試薬と併用し、または前記siRNAを発現した組み換えプラスミドまたはウイルスベクターとして、被験者に投与することができる。本siRNAとの併用投与に適した導入試薬には、Mirus Transit TKO親油性試薬;リポフェクチン;リポフェクタミン;セルフェクチン;またはポリカチオン(例えば、ポリリシン)、またはリポソームを含む。特定の実施形態では、前記導入試薬はリポソームである。
リポソームは、網膜または罹患した組織などの特定組織への前記siRNAの送達を助けることができ、前記siRNAの血中半減期を増加させることができる。本発明での使用に適したリポソームは、標準的な小胞形成脂質を用いて形成することができ、これには中性または負に帯電したリン脂質およびコレステロールなどのステロールを含むことができる。脂質の選択は、血流中での望みのリポソームサイズおよび前記リポソームの半減期などの因子を考慮することで誘導することができる。例えば、Szoka et al.(1980),Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467;および米国特許第4,235,871号明細書、第4,501,728号明細書、第4,837,028号明細書、および第5,019,369号明細書に報告されている通り、リポソームの調整については様々な方法が既知であり、その全開示は参照として本明細書に組み込まれている。
一部の実施形態において、本発明のsiRNAを封入するリポソームはさらに、前記リポソームの標的を補体系活性化部位またはその近傍の特定細胞または組織にすることができるリガンド分子を含む。リガンドには、例えば腫瘍抗原または内皮細胞表面抗原に結合する抗体など、腫瘍または血管内皮細胞に多くみられる受容体に結合するタンパク質を含むこともある。
他の実施形態において、本発明のsiRNAを封入するリポソームを修飾し、単核マクロファージおよび細網内皮系によるクリアランスを回避することができる。例えば、実施形態によっては、前記リポソームが前記リポソーム表面に結合するオプソニン化阻害部分を含むことができる。前記リポソームの調整に用いるオプソニン化阻害部分は、典型的には、前記リポソームの膜に結合する大きな親水性ポリマーである。本明細書に用いる通り、オプソニン化阻害部分は、例えば前記膜自体に脂溶性のアンカーがインターカレーションすることで、または膜脂質の活性基に直接結合することで、前記膜に化学的または物理的に結合した場合、リポソーム膜に「結合」している。その全開示が参照として本明細書に組み込まれている米国特許第4,920,016号明細書に報告されている通り、これらのオプソニン化阻害親水性ポリマーは、マクロファージ−単球系(「MMS」)および細網内皮系(「RES」)によるリポソームの取り込みを有意に減少させる保護表層を形成する。リポソームの修飾に適したオプソニン化阻害部分は、好ましくは、分子量約500〜約40,000ダルトン、より好ましくは約2,000〜約20,000ダルトンの水溶性ポリマーである。そのようなポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)誘導体;例えば、メトキシPEGまたはPPG、およびステアリン酸PEGまたはPPG;ポリアクリルアミドまたはポリN−ビニルピロリドンなどの合成ポリマー;直鎖、分岐鎖、または樹状ポリアミドアミン;ポリアクリル酸;例えば、カルボン酸基またはアミノ基が化学結合した、ポリビニルアルコールおよびポリキシリトールなどのポリアルコール、およびガングリオシドGM1などのガングリオシドを含む。PEGのコポリマー、メトキシPEG、またはメトキシPPG、またはその誘導体も適している。さらに、前記オプソニン化阻害ポリマーはPEGのブロックコポリマーとするか、ポリアミノ酸、ポリサッカライド、ポリアミドアミン、ポリエチレンアミン、またはポリヌクレオチドとすることができる。前記オプソニン化阻害ポリマーは、例えば、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、ヒアルロン酸、ペクチン酸、ノイラミン酸、アルギン酸、カラゲナンなどのアミノ酸またはカルボン酸を含む天然ポリサッカライド;積層ポリサッカライドまたはオリゴサッカライド(直鎖または分岐鎖);または例えば、炭酸誘導体と反応し、カルボン酸基の結合が生じるカルボキシル化ポリサッカライドまたはオリゴサッカライドとすることもできる。特定の実施形態では、前記オプソニン化阻害部分は、PEG、PPG、またはその誘導体である。PEGまたはPEG誘導体で修飾したリポソームは、「PEG化リポソーム」と呼ばれることもある。
前記オプソニン化阻害部分は、多数の周知の方法のいずれか1つにより、前記リポソーム膜に結合させることができる。例えば、PEGのN−ヒドロキシスクシンアミドエステルは、ホスファチジル−エタノールアミン脂溶性アンカーに結合させてから、膜に結合させることができる。同様に、デキストランポリマーは、ステアリルアミン脂溶性アンカーを用い、60℃において、Na(CN)BH、および30:12の比でテトラヒドロフランと水などの溶媒混合物を用いる還元的アミノ化により、誘導体化することができる。
オプソニン化阻害部分で修飾したリポソームは、修飾されていないリポソームよりもはるかに長く血液循環中に残る。このため、そのようなリポソームは「ステルス」リポソームと呼ばれることがある。ステルスリポソームは、多孔質または「漏出性」の微小血管系から栄養を受けた組織に蓄積することが知られている。従って、例えば固形腫瘍など、そのような微小血管系に欠陥があることで特徴付けられる標的組織は、これらのリポソームを効率的に蓄積する;Gabizon,et al.(1988),P.N.A.S.,USA,18:6949−53を参照。さらに、前記RESによる取り込みが減少すると、肝臓および脾臓への重大な蓄積を予防することで、ステルスリポソームの毒性を低下させる。従って、オプソニン化阻害部分で修飾された本発明のリポソームは、本siRNAを腫瘍細胞に送達させることができる。
一の実施形態において、本発明のリポソームは、オプソニン化阻害部分およびリガンドの両方を有することができる。
さらに他の実施形態では、本発明のsiRNAを、前記siRNAを補体系活性化が制御されていない部分またはその近傍の組織の細胞に機械的に送達させる上で適した方法により、前記被験者に投与することができる。例えば、前記siRNAを遺伝子銃、または電気穿孔法により投与することができる。
本発明のsiRNAおよび薬学的組成物は、当該分野で既知のいかなる経路によっても送達することができる。例えば、適切な経腸投与経路には、点眼、経口、直腸、または鼻腔内投与を含むことができる。適切な非経口投与経路には、血管内投与(例えば、静脈内ボーラス注射、静脈内注射、動脈内ボーラス注射、動脈内注射、および血管系へのカテーテルの点滴注入);組織内および周囲注射(例えば、網膜内注射、網膜下または硝子体内注射);(浸透圧ポンプなどによる)皮下注射を含む皮下注射または沈着;例えば、カテーテルまたは他の留置装置(例えば、網膜ペレット剤または坐薬または多孔質、非多孔質、またはゼラチン様物質を有するインプラント)による補体系活性化が制御されていない部位またはその周辺への直接沈着;および吸入を含むことができる。一定の実施形態では、本発明のsiRNAの注射または注入を、補体系活性化部位またはその近傍に行うことができる。
様々な実施形態において、本発明のsiRNAは単回投与または複数回投与で投与することができる。当業者は、所定の被験者に本発明のsiRNAを投与する適切な投与方法を容易に決定することもできる。例えば、前記siRNAは、例えば、補体系活性化が制御されていない部位またはその近傍に単回注射または沈着として、前記被験者に1回投与することができる。代わりに、前記siRNAを約3〜約28日間、または約7〜約10日間の期間、被験者に1日1回または2回投与することができる。例えば、一部の実施形態では、前記siRNAを7日間1日1回、補体系活性化が制御されていない部位またはその近傍に注射することができる。投与方法が複数回投与を含む場合、前記被験者に投与されるsiRNAの有効量は、全投与方法で投与されたsiRNAの総量を含むことができることは理解されるものとする。
本発明のsiRNAは、好ましくは、当該分野で既知の技術に従い、被験者に投与する前に薬学的組成物として製剤化される。本発明の薬学的組成物は、少なくとも滅菌済みで発熱物質を含まないことで特徴付けられる。本明細書に用いる通り、「薬学的製剤」にはヒトおよび家畜に使用する製剤を含む。本発明の薬学的組成物を調整する方法は当該分野の技術の範囲内であり、例えば、その全開示が本明細書に参照として組み込まれているRemington's Pharmaceutical Science,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1985)に報告されている。
本薬学的製剤は、例えば、水、緩衝用水、生理食塩水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などの生理学的に許容される担体と混合した、本発明のsiRNA(例えば、重量で0.1〜90%)、または生理学的に許容されるその塩を有する。
本発明の薬学的組成物は、従来の薬学的賦形剤および/または添加物を含むこともできる。適切な薬学的賦形剤には、安定剤、酸化防止剤、浸透圧調節剤、緩衝剤、およびpH調節剤を含む。適切な添加物には、生理学的に生体適合性の緩衝剤(例えば、塩酸トロメタミン)、(例えばDTPAまたはDTPA−ビスアマイドなどの)キレートまたは(例えば、カルシウムDTPA、CaNaDTPA−ビスアマイドなどの)カルシウムキレート複合体の添加、または任意選択で(例えば、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、または乳酸カルシウムなどの)カルシウムまたはナトリウム塩の添加を含む。本発明の薬学的組成物は、液体の形態で使用するために包装することができ、または凍結乾燥することができる。
固体組成では、従来の非毒性固体担体を使用することができ、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを使用できる。例えば、経口投与用の固体薬学的組成物は、例えば、本発明の1若しくはそれ以上のsiRNAの約10〜95%、さらなる例では25%〜75%で上述の担体および賦形剤のいずれかを有することができる。エアロゾル(吸入)投与用の薬学的組成物は、上述のリポソームおよび噴霧剤に封入した本発明の1若しくはそれ以上のsiRNAを重量で0.01〜20%、さらなる例では重量で1%〜10%有することができる。例えば、鼻腔内投与用のレシチンなど、望み通りに担体を含めることもできる。
次に、以下の限定されない実施例により、本発明について図示する。
実施例
材料および方法
細胞培養
293細胞(ヒト胚腎臓細胞)、ARPE19細胞(ヒト網膜上皮細胞)、およびA549細胞(ヒト肺癌細胞)はATCC(バージニア州Manassas)から入手し、それぞれダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco、カリフォルニア州Carlsbad)、DMEM/F12培地(Gibco)、またはF12−K培地(ATCC)にて、10%ウシ胎仔血清(FBS;JRH Biosciences、カンサス州Lenexa)および抗生物質−抗真菌剤試薬(Gibco)を用い培養した。
siRNAs
Integrated DNA Technologies(アイオワ州Coralville)により、ヒト補体C3を標的とする15種類のsiRNAsを合成した。前記siRNAの標的配列を表2に記載した。
Figure 2009521234
強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)を標的とする追加siRNAをネガティブコントロールとした(Dharmacon、コロラド州Lafayette)。前記siRNAのセンス鎖配列は5'−GGC UAC GUC CAG GAG CGC AdTdT 3'であり、アンチセンス鎖の配列は5'−U GCG CUC CUG GAC GUA GCCdTdT−3'であった。
サイトカイン処理およびウエスタンブロット分析
293細胞、ARPE19細胞、およびA549細胞を5% CO2を用い、一晩37℃にて24ウェルのプレートで培養した。翌日、細胞を以下のサイトカイン(R&D Systems、ミネソタ州Minneapolis)、つまりインターロイキン1β(IL−1β;100ng/mL)、インターロイキン6(IL−6;250ng/mL)、およびインターフェロンγ(IFN−γ;500ng/mL)で処理した。
処理2日後、各ウェルから細胞上清を回収し、ヒト補体C3のウエスタンブロットを行った。簡単に言えば、上清(25μLs)をNuPAGE Novex 4−12% Bis−Trisゲル(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)で電気泳動した。前記タンパク質をニトロセルロース膜に移し、ニワトリ抗ヒト補体C3一次抗体(100ng/mL)(Chemicon、カリフォルニア州Temecula)、アルカリホスファターゼ複合ウサギ抗ニワトリIgY二次抗体(1:10,000、Chemicon)、およびアルカリホスファターゼ検出試薬(Novagen、ウィスコンシン州Madison)を用いてC3を検出した。
ヒト補体siRNAスクリーニングおよび用量反応アッセイ
ARPE19細胞を5% CO2を用い、一晩37℃にて24ウェルのプレートで培養した。翌日、細胞が約70%コンフルエントになった時点で形質移入を行った。リン酸カルシウム(CaPi)試薬に混合した5nM、25nM、125nM、または625nM siRNAを用い、細胞を形質移入した。対照には、siRNAおよび非特異的siRNA(EGFP1 siRNA)を含まない形質移入試薬を含めた。簡単に言えば、20μLの250mM CaCl溶液にsiRNAを添加した。ボルテックスで混合しながら、前記siRNA/CaCl混合液を20μLの2Xハンクス平衡塩類溶液(HBS)に一滴ずつ添加した。前記siRNA/CaCl/HBS複合体を直接前記培地(300μL/ウェル)に添加した。37℃で4時間インキュベーション後、前記培地を取り除き、さらに室温で1〜2分、10% DMSO含有無血清培地(300μL/ウェル)を用い、前記細胞をインキュベートした。次にこの培地を取り除き、前記細胞に再度200μL/ウェルの増殖培地を与えた。
最終濃度100ng/mLでIL−1βによる形質移入を行った4時間後に、補体C3刺激を行った。形質移入48時間後、前記上清を各ウェルから回収し、サンプルをウエスタンブロット法にて分析した。
細胞毒性アッセイ
細胞から上清を取り除いた後、細胞毒性アッセイを行った。10% alamarBlue(商標)(Biosource、カリフォルニア州Camarillo)を含む完全増殖培地を各ウェルに添加し、前記細胞を5% CO2を用い、3時間37℃でインキュベートした。細胞毒性はAD340プレートリーダー(Beckman Coulter)を用い、570nmで分光光度的に決定した。前記alamarBlue(商標)アッセイは、細胞増殖による増殖培地の化学的還元に反応する、酸化還元(REDOX)指示薬を組み入れている。増殖している細胞があると、指示薬は酸化型(蛍光なし、青色)から還元型(蛍光あり、赤色)に変化する。
実施例1
サイトカインが細胞中のC3発現をアップレギュレートする
サイトカイン処理2日後に細胞中のヒト補体C3の発現を検証した(例1の図1を参照)。使用したサイトカインは、100ng/mL IL−1β(2)、250ng/ml IL−6(3)、または500ng/mL IFN−γ(4)を含む。前記サイトカインを処理した細胞が産生したC3の濃度を、非処理細胞(1)のC3濃度と比較した。すべてのサイトカインで処理した293およびA549細胞または500ng/mL IFN−γ(4)で処理したARPE19細胞には、補体C3の発現に明らかな変化はなかった。しかし、100ng/mL IL−1β(2)または250ng/ml IL−6(3)で処理したARPE19細胞では、C3発現が有意にアップレギュレートした。
実施例2
ヒト補体C3 siRNAsは、ARPE19細胞において、補体C3タンパク質のIL−1βで誘導されるアップレギュレーションを抑制する
補体C3タンパク質の発現は、100ng/mLのIL−1β処理によりARPE19細胞を処理することでアップレギュレートされた。そのように処理された細胞は、25nMの補体C3 siRNAsまたはネガティブコントロールのsiRNA(NC)により形質移入し、C3タンパク質レベルをウエスタンブロット分析により評価した。図2に示す通り、サイトカインで誘導された補体C3タンパク質レベルの上昇は、ヒト補体C3 siRNAs配列ID番号43、45、48、49、51、53、および56を形質移入した細胞で有意に抑制された。前記ネガティブコントロールsiRNAによる形質移入またはsiRNAを用いない偽形質移入は、補体C3レベルに影響を示さなかった。
補体C3 siRNAsにおいて用量反応研究を実施した(図3)。100ng/ml IL−1βを処理したARPE19細胞に5nM、25nM、125nM、または625nM補体C3 siRNAs配列ID番号43、45、48、および51またはネガティブコントロールsiRNA(NC)を形質移入した。次に、ウエスタンブロット分析によりC3タンパク質を検出した。補体C3 siRNAs配列ID番号45および51は最も有意な用量反応を示した。
実施例3
細胞毒性アッセイ
siRNAsの細胞毒性を検証した(図4)。100ng/mLのIL−1βを処理したARPE19細胞に5nM、25nM、125nM、または625nMの補体C3 siRNAsまたはネガティブコントロールのsiRNA(NC)を形質移入した。形質移入およびalamarBlue(商標)を用いたIL−1β処理後48時間で細胞毒性アッセイを行った。前記siRNAs(5nM−625nM)は、前記ARPE19細胞に対する細胞毒性がなかった。
本発明は、一定の好ましい実施形態に関してかなり詳細に説明したが、他の見解も可能である。従って、添付の請求項の精神と範囲は、本明細書に含まれる記載および好ましい見解に限定されるものではない。
本発明の性質および利点をより完全に理解するため、添付の図に関連して、以下の詳細な説明を参照する必要がある:
図1は、サイトカインを投与したヒト細胞におけるヒト補体C3の発現を図示している。 図2は、ARPE19細胞における補体C3 siRNAのスクリーニングを図示している。 図3は、ARPE19細胞における補体C3 siRNAの用量反応を図示している。 図4は、ARPE19細胞におけるC3 siRNAの細胞毒性を図示している。

Claims (53)

  1. ヒトC3タンパク質mRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を有するセンスRNA鎖と、
    前記センスRNA鎖と実質的に相補的な配列を有するアンチセンスRNA鎖と
    を有し、
    前記センスRNA鎖と前記アンチセンスRNA鎖とがRNA二本鎖を形成するものである、単離されたsiRNA。
  2. 請求項1記載のsiRNAにおいて、前記センスRNA鎖は1つのRNA分子を有するものであり、前記アンチセンスRNA鎖は1つのRNA分子を有するものである。
  3. 請求項1記載のsiRNAにおいて、前記siRNAのセンスおよびアンチセンスRNA鎖は、共有結合するものである。
  4. 請求項1記載のsiRNAにおいて、このsiRNAは、さらに、
    ヌクレオチド以外の物質を有するものである。
  5. 請求項1記載のsiRNAにおいて、前記センスおよびアンチセンスRNA鎖は、ヌクレアーゼ分解に対して安定化されるものである。
  6. 請求項1記載のsiRNAにおいて、前記センスRNA鎖は第一の3'オーバーハングを有するものであり、および/または前記アンチセンスRNA鎖は第二の3'オーバーハングを有するものである。
  7. 請求項6記載のsiRNAにおいて、前記第一および/または第二の3'オーバーハングは、1〜約6ヌクレオチドを有するものである。
  8. 請求項6記載のsiRNAにおいて、前記第一および/または第二の3'オーバーハングは、約2ヌクレオチドを有するものである。
  9. 請求項6記載のsiRNAにおいて、前記第一および/または第二の3'オーバーハングを有するジヌクレオチドは、ジチミジン(TT)またはジウリジン(uu)である。
  10. 請求項1記載のsiRNAにおいて、前記センスRNA鎖は、配列ID番号:43、配列ID番号:45、配列ID番号:48、配列ID番号:49、配列ID番号:51、配列ID番号:53、および配列ID番号:56から選択される配列に対応する配列を有するものである。
  11. ヒトC3タンパク質のmRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センス鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを有する有効量の単離されたsiRNAであって、前記センスおよびアンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成するものである、当該単離されたsiRNAと、
    薬学的に許容可能な担体と
    を有する薬学的組成物。
  12. 請求項11記載の薬学的組成物において、この薬学的組成物は、さらに、
    導入試薬を有するものである。
  13. 請求項11記載の薬学的組成物において、前記導入試薬は、リポフェクチン、リポフェクタミン、セルフェクチン、ポリカチオン、リポソーム、およびその組み合わせから選択されるものである。
  14. 請求項13記載の薬学的組成物において、前記導入試薬は、リポソームである。
  15. 請求項13記載の薬学的組成物において、前記リポソームは、さらに、当該リポソームにドルーゼ部位またはその近傍の細胞を標的とさせるターゲティングリガンドを有するものである。
  16. 請求項15記載の薬学的組成物において、前記リガンドは、抗体を有するものである。
  17. 請求項13記載の薬学的組成物において、前記リポソームは、オプソニン化阻害部分で修飾されるものである。
  18. 請求項17記載の薬学的組成物において、前記オプソニン化阻害部分は、PEG、PPG、またはその誘導体を有するものである。
  19. 請求項11記載の薬学的組成物において、前記センスRNA鎖は、配列ID番号:43、配列ID番号:45、配列ID番号:48、配列ID番号:49、配列ID番号:51、配列ID番号:53、および配列ID番号:56から選択される配列に対応する配列を有するものである。
  20. 請求項11記載の薬学的組成物において、前記センスRNA鎖は第一の3'オーバーハングを有するものであり、および/または前記アンチセンスRNA鎖は第二の3'オーバーハングを有するものである。
  21. 請求項20記載の薬学的組成物において、前記第一および/または前記第二の3'オーバーハングは、1〜約6ヌクレオチドを有するものである。
  22. 請求項20記載の薬学的組成物において、前記第一および/または前記第二の3'オーバーハングは、約2ヌクレオチドを有するものである。
  23. 請求項20記載の薬学的組成物において、前記第一および/または前記第二の3'オーバーハングは、ジチミジン(TT)またはジウリジン(uu)を有するジヌクレオチドである。
  24. ヒト補体系または補体系制御mRNAの発現を阻害する方法であって、
    ヒトC3タンパク質のmRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを有する有効量の単離されたsiRNAであって、前記センスおよびアンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成するものである、当該単離されたsiRNAを、それを必要とする被験対象に投与する工程と、
    前記ヒトC3制御mRNAを分解する工程であって、前記ヒトC3制御mRNAの分解は前記ヒトC3制御mRNAの発現を阻害し、補体系反応の開始および/または急増を抑制するものである、前記分解する工程と
    を有する方法。
  25. 請求項24記載の方法において、前記それを必要とする被験対象はヒトである。
  26. 請求項24記載の方法において、前記有効量のsiRNAは約1nM〜約100nMである。
  27. 請求項24記載の方法において、前記siRNAは組換えプラスミドから発現されるものである。
  28. 請求項24記載の方法において、前記siRNAは組換えウイルスから発現されるものである。
  29. 請求項28記載の方法において、前記組換えウイルスは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはヘルペスウイルスベクターを有するものである。
  30. 請求項28記載の方法において、前記組換えウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターを有するものである。
  31. 請求項28記載の方法において、前記組換えウイルスは、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、またはモコラウイルスから選択されるウイルスの表面タンパク質を発現するものである。
  32. 請求項24記載の方法において、前記siRNAは経腸的に投与されるものである。
  33. 請求項32記載の方法において、経腸的投与は、経口、直腸、および鼻腔内投与から選択されるものである。
  34. 請求項24記載の方法において、前記siRNAは非経口投与されるものである。
  35. 請求項34記載の方法において、前記非経口投与は、血管内投与、組織周囲および組織内注射、皮下注射または沈着、または皮下注入投与、並びにドルーゼ形成部位またはその近傍への直接投与から選択されるものである。
  36. 請求項35記載の方法において、血管内投与は、静脈内ボーラス、静脈内注射、動脈内ボーラス、動脈内注射、および血管系へのカテーテル点滴注入から選択されるものである。
  37. 請求項35記載の方法において、組織周囲および組織内注射は、網膜内注射、網膜下注射、および硝子体内から選択されるものである。
  38. 請求項35記載の方法において、ドルーゼ形成部位またはその近傍への直接投与は、カテーテル、網膜ペレット剤、坐薬、多孔質物質を有するインプラント、非多孔質物質を有するインプラント、またはゼラチン様物質を有するインプラントによる投与を有するものである。
  39. 請求項24記載の方法において、前記siRNAは、点眼または眼窩内注射により投与されるものである。
  40. 被験対象の疾患を治療する方法であって、
    ヒトC3タンパク質のmRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを有する有効量の単離されたsiRNAであって、前記センスおよびアンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成するものである、当該単離されたsiRNAを、前記被験対象に投与する工程と、
    前記被験対象のC3 mRNAを分解する工程と
    を有する方法。
  41. 請求項40記載の方法において、前記疾患は、黄斑変性関連疾患、加齢黄斑疾患、ノースカロライナ型黄斑変性症、Sorsby's fundus dystrophy、スタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、dominant drusen、糖尿病性網膜症、およびmalattia leventineseから選択されるものである。
  42. 請求項41記載の方法において、黄斑変性関連疾患は、網膜剥離、脈絡網膜変性、網膜変性、光受容体の変性、RPE変性、ムコ多糖症、桿体錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、および錐体変性から選択されるものである。
  43. 請求項40記載の方法において、前記疾患は、加齢黄斑変性症である。
  44. 請求項40記載の方法において、前記疾患は、糖尿病性網膜症である。
  45. 請求項40記載の方法において、この方法は、さらに、
    前記被験対象の尿、血漿、血清、全血、または涙を用いて、前記ヒト補体系または補体系制御mRNAの前記発現レベルを検出する工程を有するものである。
  46. ドルーゼ関連性眼疾患を治療する方法であって、
    ヒトC3タンパク質のmRNAの約19〜約25隣接ヌクレオチドの標的配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むセンスRNA鎖と、前記センスRNA鎖と実質的に相補的なアンチセンスRNA鎖とを有する有効量の単離されたsiRNAであって、前記センスおよびアンチセンスRNA鎖がRNA二本鎖を形成するものである、当該単離されたsiRNAを、被験対象の少なくとも片方の眼に投与する工程と、
    前記被験対象の少なくとも片方の眼においてC3 mRNAを分解する工程と
    を有する方法。
  47. 請求項46記載の方法において、
    前記眼疾患は、黄斑変性関連疾患、加齢黄斑疾患、ノースカロライナ型黄斑変性症、Sorsby's fundus dystrophy、スタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、dominant drusen、糖尿病性網膜症、およびmalattia leventineseから選択されるものである。
  48. 請求項46記載の方法において、前記疾患は、加齢黄斑変性症である。
  49. 請求項46記載の方法において、前記疾患は、糖尿病性網膜症である。
  50. 請求項46記載の方法において、前記眼への投与は、局所、網膜内注射、網膜下注射、硝子体内注射、および眼窩内注射から選択されるものである。
  51. 請求項46記載の方法において、前記眼への投与は、点眼または眼窩内注射から選択されるものである。
  52. 請求項46記載の方法において、前記センスRNA鎖は、配列ID番号:43、配列ID番号:45、配列ID番号:48、配列ID番号:49、配列ID番号:51、配列ID番号:53、および配列ID番号:56から選択される配列に対応する配列を有するものである。
  53. 請求項46記載の方法において、前記siRNAは、ジチミジン(TT)またはジウリジン(uu)から選択される第一の3'オーバーハングおよび/または第二の3'オーバーハングを有するものである。
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