JP2009520693A - 安定化されたエキセンディン製剤の粘膜送達 - Google Patents

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Abstract

【課題】
【解決手段】治療的有効量のエキセンディン、増粘剤、メチル−β−シクロデキストリン、界面活性剤、pH調節のための酒石酸緩衝液及びカチオンのキレート剤を含み、そして、エキセンディン投与形態により5℃で少なくとも365日間保存後少なくとも95%のエキセナチド回収が示される、哺乳類へのエキセンディンの鼻腔内投与のための医薬製剤が記載されている。
【選択図】なし

Description

発明の背景
本明細書に引用する全ての参照資料の教示は、参照によりそれらの全体を本明細書に組み込む。
エキセンディンペプチドは、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、妊娠糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療、肥満症の治療、及び脂質異常症の治療に治療可能性を有することが示されている。米国特許第6,506,724号、米国特許出願公開第20030036504A1号、欧州特許第1083924B1号、国際特許出願公開WO98/30231Al号、及び国際特許出願WO00/73331A2号を参照されたい。しかしながら、今日まで、これらのペプチドは、注射によってのみヒトに投与されてきた。規則的な反復投与の必要性は、ペプチド療法の主たる欠点である。注射は日常活動を妨げ、苦痛の原因となり、患者を注射恐怖症に導き得る。使用がより容易で正確な投与量を送達する特別の自己注射ペンを使用してさえ、なお規則的注射は必要とされる。
そのようなわけで、注射以外によるこれらのペプチドの投与様式を開発する必要がある。
発明の説明
本発明は、糖尿病、高血糖、脂質異常症、肥満症を治療し、個体に満腹感を起こさせ、及び個体の減量を促進するために、エキセンディンを経粘膜、特に経鼻送達するための新規で効果的な方法、使用、及び組成物を提供することにより、前述の必要性を満たした上に、さらなる目的及び利点を満足させる。用語「エキセンディン」は、本明細書において、天然エキセンディン−4及び合成エキセンディン−4(エキセナチド)を含むがこれらに限定されない、天然に生ずる、及び合成のエキセンディン、エキセンディン類似体、及びエキセンディンペプチドを指して使用される。エキセンディンは単独で、又は他の治療薬と組み合わせて送達することができる。本発明の特定の局面において、エキセンディンは鼻腔内粘膜に向けた製剤で送達される。好ましくは、エキセンディンはエキセナチドの薬学的に許容される塩であり、哺乳類はヒトである。薬学的に許容される塩には、無機酸塩、有機アミン塩、有機酸塩、アルカリ土類金属塩及びそれらの混合物が含まれる。薬学的に許容される塩の適当な例には、ハロゲン化物、グルコサミン、アルキルグルコサミン、硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩、臭化水素酸塩、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メシレート、グルコン酸塩、トシレート、マレイン酸塩、フマル酸塩、ステアリン酸塩、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の他の態様において、経粘膜賦形剤と組み合わせた鼻腔内エキセンディン製剤は、水、エキセンディン、塩化ナトリウム及び緩衝液からなる食塩水製剤に存在する場合、経粘膜賦形剤なしのエキセンディンの浸透よりもin vitro組織浸透アッセイにおけるエキセンディンの浸透が大きくなり、この場合両方の製剤が同一のpH及びオスモル濃度を有し、両方の製剤が同じin vitro組織浸透アッセイ条件下で試験される。より大きいエキセンディン浸透を生ずる。適当なin vitro組織浸透アッセイの例は、この開示の実施例4に記載されている「浸透促進剤を使用したフルオレッセイン標識エキセナチドの向上した細胞障壁を越える浸透性」である。代表的な態様において、本発明の促進された送達の方法及び組成物は、哺乳類対象の肥満症及び摂食障害を予防又は治療するためのエキセンディンの治療的に有効な粘膜送達を提供する。本発明の1局面において、治療的有効量のエキセンディン及び1種又は2種以上の本明細書に記載された経鼻送達促進剤を含む鼻腔内投与に適した医薬製剤が提供され、その製剤は、哺乳類対象における肥満又は摂食障害の発症又は進行を予防する本発明の鼻腔粘膜送達方法において効果的である。治療的有効量のエキセンディン及び1種又は2種以上の経鼻送達促進剤の鼻腔粘膜送達は、対象に高治療的レベルのエキセンディンをもたらす。
本発明は、理想的な治療の必要性に応じた好ましい薬物動態プロファイルを生ずるように薬物動態を調節する方法も含む。薬物動態調節は、賦形剤の添加、微粒子化、又は繊毛打の改変により達成することができる。
本発明の強化された送達方法及び組成物は、哺乳類対象における種々の疾患及び状態を予防又は治療するための治療的に有効なエキセンディンの粘膜送達を提供する。例えば、エキセンディンを鼻腔粘膜上皮、気管支又は肺粘膜上皮、口腔内頬表面又は口腔若しくは小腸粘膜表面と接触させるといった種々の経粘膜経路によりエキセンディンを投与することができる。例示的態様においては、前記方法及び組成物は経鼻送達を目的とするか、又はそのために製剤化される(例えば、鼻粘膜送達又は鼻腔内粘膜送達)。
本発明の前述の粘膜エキセンディン製剤並びに調製及び送達方法は、哺乳類対象への改良されたエキセンディン粘膜送達を提供する。これらの組成物、使用、及び方法は、1種又は2種以上のエキセンディンと1種又は2種以上の粘膜送達促進剤との組合せ製剤又は協調投与を含み得る。これらの製剤及び方法を達成するために選択される粘膜送達促進剤の中には、(A)可溶化剤;(B)電荷調節剤;(C)pH制御剤;(D)分解酵素阻害剤;(E)粘液溶解又は粘液浄化剤;(F)繊毛静止剤;(G)膜透過促進剤(例えば、(i)界面活性剤、(ii)胆汁酸塩、(iii)リン脂質若しくは脂肪酸添加剤、混合ミセル、リポソーム、又は担体、(iv)アルコール、(v)エナミン,(iv)NO供与化合物、(vii)長鎖両親媒性分子、(viii)低分子量疎水性透過促進剤、(ix)ナトリウム又はサリチル酸誘導体、(x)アセト酢酸グリセロールエステル、(xi)シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体、(xii)中鎖脂肪酸、(xiii)キレート剤、(xiv)アミノ酸又はその塩、(xv)N−アセチルアミノ酸又はその塩、(xvi)選択された膜成分を分解する酵素、(xvii)脂肪酸合成阻害剤、(xviii)コレステロール合成阻害剤、又は(xiv)(i)から(xviii)に挙げた膜浸透促進剤の任意の組合せ);(H)一酸化窒素(NO)刺激剤、キトサン、及びキトサン誘導体などの上皮接合部生理機能調節剤;(I)血管拡張剤;(J)選択的輸送促進剤;及び(K)安定化送達媒体、担体、支持体又は、エキセンディン(1種又は2種以上)と効果的に組み合わされ、会合し、含有され、カプセル化され若しくは結合して、促進された粘膜送達のための活性薬剤を安定化する複合体形成種がある。本発明の種々の態様において、エキセンディンは上記(A)〜(K)に挙げた1、2、3、4又はそれを超える粘膜送達促進剤と組み合わされる。これらの粘膜送達促進剤は、単独で若しくは共にエキセンディンと混合すること、又はそうではなく薬学的に許容される製剤中若しくは送達用媒体中でエキセンディンと組み合わせることができる。本明細書における教示による1種又は2種以上の粘膜送達促進剤を使用したエキセンディンの製剤(選択的に上記(A)〜(K)から選択された任意の2種以上の粘膜送達促進剤の組合せを含む)は、哺乳類対象の粘膜表面への送達後のエキセンディンのバイオアベイラビリティを増加させる。
したがって、本発明は、哺乳類における食欲の抑制、体重減少の促進、食物摂取の減少、又は肥満及び/若しくは糖尿病の治療のための、エキセンディン及び粘膜送達促進剤を含む製剤の経粘膜投与を含む使用又は方法である。
本発明は、哺乳類における高血糖、糖尿病、脂質異常症の治療、食欲の抑制、体重減少の促進、食物摂取量の減少又は肥満の治療のためにエキセンディンを経粘膜投与する医薬品用のエキセンディンの使用をさらに提供する。
本発明の医薬製剤中のエキセンディンの経粘膜的に有効な投与量は、例えば、体重のkgあたり約0.001pmolから約100pmolの間、体重のkgあたり約0.01pmolから約10pmolの間、又は体重のkgあたり約0.1pmolから約5pmolの間を含む。さらなる例示的態様において、エキセンディンの投与量は体重のkgあたり約0.5pmolから約1.0pmolの間である。好ましい態様において、鼻腔内投与量は0.1〜100μg/kg、即ち約7〜7000μg、より好ましくは0.5〜20μg/kg、即ち35から1400μgの範囲であろう。鼻腔内エキセンディンのより具体的な投与量は20μg、50μg、100μg、150μg、200μgから400μgの範囲であろう。本発明の医薬製剤は、1日1回若しくは2回以上、又は1週間に3回若しくは1週間に1回、1週間から少なくとも96週間にわたり、又は個々の患者又は対象の一生の間さえも投与することができる。特定の態様において、本発明の医薬製剤は毎日1回若しくは2回以上、毎日2回、毎日4回、毎日6回、又は毎日8回投与される。
鼻腔粘膜表面中への又は表面にわたるエキセンディンの送達を促進する経鼻送達促進剤が使用される。受動的に吸収される薬剤について、傍細胞及び経細胞経路の薬剤輸送への寄与は、薬剤のpKa、分配係数、分子半径及び電荷、薬剤が送達される管腔環境のpH、及び吸収表面の面積に依存する。本発明の経鼻送達促進剤は、pH制御剤であってよい。本発明の医薬製剤のpHは、薬剤輸送への傍細胞及び経細胞経路によるエキセンディンの吸収に影響する要因である。1の態様において、本発明の医薬製剤はpHを約2から8の間に調節される。さらなる態様において、本発明の医薬製剤は、pHを約3.0から6.0の間に調節される。さらなる態様において、本発明の医薬製剤は、pHを約4.0から6.0の間に調節される。通常、pHは4.7±0.5である。
上に記したように、本発明は、種々の疾患及び状態の治療又は予防のために哺乳類対象にエキセンディンを粘膜送達する改良された使用、方法及び組成物を提供する。本発明の方法による治療及び予防のための適当な哺乳類対象の例には、ヒト及びヒト以外の霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、及びヤギなどの家畜種、並びにイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット及びウサギを含む研究用及び家庭内用種が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のより良い理解を提供するために、次の定義を提供する。
エキセンディン及びエキセンディンアゴニスト
エキセンディンは、アリゾナでみられるトカゲのアメリカドクトカゲ(Gila−monster)及びメキシコドクトカゲ(Mexican Beaded Lizard)の唾液分泌物から最初に単離されたペプチドである。エキセンディン−3は、ヘロデルマホリドゥム(Heloderma horridum)の唾液分泌物中に存在し、エキセンディン−4は、ヘロデルマススペクトゥム(Heloderma suspectum)の唾液分泌物中に存在する(Eng,J.,et al., J.Biol.Chem. 265:20259−62, 1990; Eng.,J.,et al., J.Biol.Chem. 267:7402−05, 1992)。エキセンディンは、グルカゴン様ペプチドファミリーの数種類の員と幾らかの配列類似性を有し、最高の相同性はインクリチンホルモンGLP−1[73−6]NHに対する53%である(Goke,et al., J.Biol.Chem. 268:19650−55, 1993)。プログルカゴン[78−107]として及び最も知られており、一般的にはGLP−1としても知られているGLP−1[73−6]NHは、インスリン分泌性効果を有し、インスリン分泌を刺激する。GLP−1はまた、グルカゴン分泌を抑制する(Orskov,et al., Diabetes 42:658−61, 1993; D’Alessio,et al., J.Clin.Invest. 97:133−38, 1996)。GLP−1は、胃内容排出(Williams,B.,et al., J.Clin.Encocrinol. Metab. 81(1):327−32, 1996; Wettergren,A.,et al., Dig.Dis.Sci. 38(4):665−73,1993)、及び胃酸分泌(Schjoldager, B.T.,et al., Dig.Dis.Sci.34(5):703−8, 1989; O’Ηalloran,D.J.,et al., J.Endocrinol.126(1):169−73, 1990; Wettergren,A.,et al., Dig.Dis.Sci. 38(4):665−73, 1993)を抑制すると報告されている。GLP−1[7−37]は、そのカルボキシ末端に付加されたグリシン残基を有しており、ヒトでインスリン分泌も刺激する(Orskov,et al.,Diabetes 42;658−61, 1993)。GLP−1のインスリン分泌効果の原因であると信じられている膜貫通Gタンパク質アデニレート−シクラーゼ結合レセプターは、β細胞株からクローン化されたと報告されている(Thorens, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8641−45, 1992)。
インクレチン・ミメティクスは天然に生ずるヒトインクレチンホルモン様GLP−1の抗糖尿病又はグルコース低下作用を模倣するあるクラスの薬剤である。インクレチン・ミメティクスの作用は、上昇した血糖値に応答してインスリンを産生する体の能力を刺激すること、グルカゴンホルモンの放出を抑制すること、血流への栄養吸収を遅らせること、胃内容排出を遅らせること、満腹感を増進すること及び食物摂取量を減少させることを含む。インクレチン・ミメティクスは2型糖尿病の治療で使用するために開発されたもので、現在次のもの、即ちGLP−1誘導体(リラグルチド及びCJC−1131)及びエキセナチドを含む。
合成エキセンディン−4の総称はエキセナチドである(WHO Drug Information,vol.18,Nov.1,2004)。エキセナチドは天然に生ずるエキセンディン−4の合成型である。エキセナチドはGLP−1の効果を反映しているが、DPP−IV分解に抵抗性なのでより強力である。BYETTA(登録商標)はエキセナチドの市販型である(Amylin & Lilly)。米国食品医薬品局(FDA)は、経口メトホルミン及び/又はスルホニル尿素が血糖コントロールを達成するのに適当でない場合の2型糖尿病の補助療法としてBYETTA(エキセナチド)注射を承認した。改善された血糖コントロールに加えて、エキセナチドを使用する研究における対象は体重減少も経験した。
本発明は、エキセンディン、エキセンディン類似体、エキセンディンアゴニスト、修飾エキセンディン、修飾エキセンディン類似体、又は修飾エキセンディンアゴニスト、又はそれらの任意の組合せ、例えば、
エキセンディン−3:
His Ser Asp Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser(配列番号1)、
又は、エキセンディン−4(天然又は合成(エキセナチド)):
His Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser(C末端セリンはアミド化されている)(配列番号2)、
又はエキセンディン−4のインスリン分泌性フラグメント:
エキセンディン−4(1−31)His Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly Pro(配列番号3);y.sup.31 エキセンディン−4(1−31)His Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly Tyr(配列番号4)、
又はエキセンディン−4の阻害性フラグメント:
エキセンディン−4(9−39)Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser(配列番号5)、
又は他の好ましいエキセンディンアゴニスト:
エキセンディン−4(1−30)His Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly(配列番号6)、エキセンディン−4(1−30)アミドHis Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn Gly Gly−NH.sub.2(配列番号7)、エキセンディン−4(1−28)アミドHis Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Met Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Trp Leu Lys Asn−NH.sub.2(配列番号8)、.sup.14 Leu,.sup.25 Phe エキセンディン−4アミド His Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Leu Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Phe Leu Lys Asn Gly Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser−NH.sub.2 (配列番号9)、.sup.14 Leu, .sup.25 Phe エキセンディン−4(1−28)アミドHis Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Leu Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Phe Ile Glu Phe Leu Lys Asn−NH.sub.2(配列番号10)、及び.sup.14 Leu,.sup.22 Ala,.sup.25 Phe エキセンディン−4(1−28)アミド His Gly Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Leu Ser Lys Gln Leu Glu Glu Glu Ala Val Arg Leu Ala Ile Glu Phe Leu Lys Asn−NH.sub.2(配列番号11)、
又は米国特許第5,424,286号;米国特許第6,506,724;米国特許第6,528,486;米国特許第6,593,295号;米国特許第6,872,700号;米国特許第6,902,744号;米国特許第6,924,264号;及び米国特許第6,956,026号に開示され、参照により組み込まれる配列など、
又は、血漿グルコースを低下させること又は胃内容排出を遅延及び/若しくは緩慢にすること又は食物摂取を抑制することの恩恵による糖尿病及び状態の治療に有益なエキセンディンの作用をそこで発揮するレセプターに効果的に結合する他の化合物など、の鼻腔内投与を含む、血漿グルコースを低下させること又は胃内容排出を遅延及び/若しくは緩慢にすること又は食物摂取を抑制することの恩恵によって糖尿病及び状態を治療する新規な方法を目的とする。糖尿病の治療及び高血糖の予防のためのインスリン分泌剤としてのエキセンディン−3及びエキセンディン−4の使用は、米国特許第5,424,286号で開示されている。エキセンディンはトリグリセリドレベルの調節において、及び脂質異常症を治療するために有用であることも示されている。
このように、本発明は、合成的に作製され又は天然源から精製されたペプチド又はペプチドフラグメントを提供し、それは本明細書により説明するように、エキセンディン又はそのフラグメントの生物活性を具体化する。
本発明により、エキセンディンは、遊離塩基、酸付加塩又はこのペプチドのカリウム若しくはナトリウム塩などの金属塩、並びにアミド化、グリコシル化、アシル化、硫酸化、リン酸化、アセチル化、環化及び他の周知の共有結合性修飾法などの工程により修飾されたエキセンディンペプチドも含む。
このように、本発明により、上記のペプチドは粘膜送達、特に経鼻送達に適した製剤に組み込まれる。
粘膜送達促進剤
「粘膜送達促進剤」は、水、塩及び/又は通常のバッファー及びエキセンディンを含む製剤(コントロール製剤)に加えたときに、血液、血清、若しくは脳脊髄液中の最高濃度(Cmax)により又は濃度対時間プロットにおける曲線下の面積AUCにより測定した、粘膜にわたるエキセンディンの輸送を顕著に増大させる製剤を産生する化学物質及び他の賦形剤と定義される。粘膜は、鼻腔、口腔、腸、頬、気管支肺、膣、及び直腸粘膜表面を含み、且つ全ての体腔又は外部に通じている経路を内張りしている全ての粘液分泌粘膜を含む。粘膜送達促進剤は担体と呼ばれることもある。
エンドトキシンフリー製剤
「エンドトキシンフリー製剤」は、エキセンディン及び1種又は2種以上の粘膜送達促進剤を含み、エンドトキシン及び/又は関連する発熱物質を実質的に含まない製剤を意味する。エンドトキシンは、微生物内部に閉じ込められていて、微生物が破壊されたか又は死滅したときにだけ放出される毒素を含む。発熱物質は、細菌又は他の微生物の外膜由来の発熱誘発性で熱安定性の物質(糖タンパク質)を含む。これら両方の物質は、ヒトに投与されると、発熱、低血圧及びショックを惹起し得る。エンドトキシンフリーの製剤を製造するには、特別の設備、専門の当業者が必要になる可能性があり、エンドトキシンフリーでない製剤を作製するよりも著しく費用がかかる可能性がある。齧歯類にエンドトキシンを注入すると同時にGLP又はアミリンを静脈内に投与すると、エンドトキシン単独投与に伴う低血圧を及び死亡さえ防止することが示されたので(米国特許第4,839,343号)、これらの又はエキセンディンの治療薬のエンドトキシンフリー製剤を製造することが、非経口的でない(注射でない)投与にとって必要であると要求はされないであろう。
「非注入投与」は、動脈又は静脈中への直接注射を含まないあらゆる送達方法であって、(通常液体)を何かの中に圧入し又は打ち込んで、特に体部に針、注射器、若しくは他の侵襲的方法により導入する方法を意味する。非注入投与は、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射及び粘膜への非注射的送達方法を含む。
送達の方法及び組成物
エキセンディンの哺乳類対象への粘膜投与のための改良された組成物及び方法により、エキセンディンの投与スケジュールは最適化される。本発明は、1種又は2種以上の粘膜送達促進剤を添加して製剤化されたエキセンディンの粘膜送達を提供し、その送達では、エキセンディンの投与量放出は実質的に標準化され、及び/又は粘膜投与後約0.1から2.0時間、0.4から1.5時間、0.7から1.5時間、又は0.8から1.0時間の範囲のエキセンディン放出の有効な送達期間に維持される。エキセンディンの徐放性放出の達成は、本発明の方法及び組成物を利用する外来性エキセンディンの反復投与により容易にすることができる。
徐放性組成物及び方法
エキセンディンの哺乳類対象への粘膜投与のための改良された組成物及び方法により、エキセンディンの投与スケジュールは最適化される。本発明は、エキセンディンを1種又は2種以上の粘膜送達促進剤及び選択的に徐放性向上剤と組み合わせて含む製剤の改良された粘膜送達(例えば鼻腔粘膜)を提供する。本発明の粘膜送達促進剤は、送達の効果的な上昇、例えば血漿中の最高濃度(Cmax)の上昇をもたらして、粘膜投与されたエキセンディンの治療活性を増強する。血漿及び中枢神経系中のエキセンディンの治療活性に影響する第2の要因は滞留時間(RT)である。徐放性向上剤は、経鼻送達促進剤と組み合わされて、エキセンディンのCmaxを上昇させ、滞留時間を延長させる。ポリマー性送達媒体及び他の作用物質、及び徐放性向上製剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を産出する本発明の方法が、本明細書で開示されている。本発明は、哺乳類対象における肥満症、結腸癌、エキセンディン癌(exendin cancer)、又は乳癌に関係する症状の治療のための改良されたエキセンディン送達の方法及び剤形を提供する。
本発明の粘膜送達製剤及び方法において、エキセンディンは粘膜送達に適した担体又は媒体としばしば組み合わされて又は協調的に投与される。本明細書で使用する「担体」という用語は、薬学的に許容される固体又は液体の充填剤、希釈剤又はカプセル化材料を意味する。含水液体担体は、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌性防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、錯化剤、可溶化剤、保水剤、溶媒、懸濁及び/若しくは増粘剤、等張化剤(tonicifier)、湿潤剤又は他の生体適合性材料などの薬学的に許容される添加剤を含むことができる。上記のカテゴリーにより列挙した成分の錠剤化は「米国薬局方処方集」1990年版1857〜1859頁に見出すことができる。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の幾つかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートなどのセルロース及びその誘導体;粉末化したトラガカントガム;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバター及び座剤ワックスなどの賦形剤;ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油などの油類;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル溶液、エチルアルコール及びリン酸緩衝溶液、並びに医薬製剤で使用される他の無毒性適合性物質である。湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど、並びに着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、及び抗酸化剤も、配合者の所望により組成物中に存在させることができる。薬学的に許容される抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等などの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;及びクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。単回投与剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、投与の特定の様式に依存して変化するであろう。
「緩衝液」は、通常、溶液のpHをほぼ一定の値に維持するために使用される。緩衝液は、少量の強酸又は強塩基が溶液に加えられたときでさえ、水素イオン及び水酸化物イオンの濃度の大きな変化を防止し又は中和することにより、溶液のpHを維持する。緩衝液は一般に弱酸とその適当な塩(又は弱塩基とその適当な塩)からなる。弱酸の適当な塩は弱酸中に存在するものと同一の負イオンを含む(Lagowski,Macmillan Encyclopedia of Chemistry,Vol.1,Simon & Schuster,New York,1997,p.273−4を参照されたい)。ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式、pH=pKa+log10[A]/[HA]は緩衝を記述するために使用され、弱酸解離のための標準方程式、HA=H+Aに基づく。通常使用される緩衝液の原料の例には、次のものが挙げられる:グルタミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、乳酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩及びそれらの混合物。
「緩衝能力」は、有意のpH変化が起こる前に緩衝溶液に加えることができる酸又は塩基の量を意味する。pHが弱酸のpK+1及びpK−1の範囲内にあれば、緩衝能力は相当のものであるが、この範囲外では緩衝能力は殆んど価値がない程度に落ちる。したがって、与えられた系は、弱酸(又は弱塩基)のpKの両側で1pH単位の範囲内において有用な緩衝作用を有するのみである(Dawson,Data for Biochemical Research,Third Edition,Oxford Science Publications,1986,p.419を参照されたい)。一般に、適当な濃度は、溶液のpHが弱酸(又は弱塩基)のpKaに近いように選ばれる(Lide,CRC Handbook of Chemistry and Physics,86th Edition,Taylor & Francis Group,2005−2006,p.2−41を参照されたい)。さらに、強酸及び強塩基の溶液は、通常緩衝液として分類されず、それらは2.4から11.6のpH値の間で緩衝能力を発揮しない。
本発明の粘膜送達組成物及び方法においては、粘膜表面の中への又はそれを通過するエキセンディンの送達を促進する種々の送達促進剤が利用される。これに関連して、粘膜上皮を通過するエキセンディンの送達は、「経細胞的に」又は「傍細胞的に」起こり得る。これらの経路が全体の流束に寄与する程度及びエキセンディンのバイオアベイラビリティは、粘膜の環境、活性物質の物理化学的性質及び粘膜上皮の性質に依存する。傍細胞輸送は受動的拡散のみを含み、それに対して経細胞輸送は受動的、促進的、又は能動的過程により起こり得る。一般に、親水性で受動的に輸送される極性溶質は傍細胞経路を通って拡散し、一方より親油性の溶質は経細胞経路を使用する。多種多様な受動的に及び能動的に吸収される溶質についての吸収及びバイオアベイラビリティ(例えば、浸透係数又は生理学的アッセイにより反映されるような)は、本発明中の任意に選択されたエキセンディンについて、傍細胞及び経細胞送達成分の両方に関して、容易に評価することができる。受動的に吸収される薬物について、傍細胞及び経細胞経路の薬物輸送に対する相対的寄与は、薬物のpKa、分配係数、分子半径及び電荷、薬物が送達される管腔環境のpH、並びに吸収表面面積に依存する。傍細胞経路は、鼻粘膜上皮の到達可能な表面面積の比較的小さい部分を占める。一般論として、細胞膜は、傍細胞空隙により占められる面積より千倍大きい粘膜表面を占有しているということが報告されている。したがって、より小なる到達可能面積、及び高分子の浸透に対するサイズ及び電荷に基づく差別は、傍細胞経路は薬物輸送に対して経過細胞送達よりも一般的に有利でないであろうということを示唆するであろう。驚いたことに、本発明の方法及び組成物は、生物治療剤の傍細胞経路による粘膜上皮中への及びそれを通過する顕著に促進された輸送を提供する。したがって、本発明の方法及び組成物は、代替的に、又は単一の方法若しくは組成物で、傍細胞及び経細胞経路の両方をうまく目標にしている。
本明細書で使用する用語「粘膜送達促進剤」は、エキセンディン又は他の生理活性化合物の、放出若しくは溶解度(例えば、製剤送達媒体による)、拡散速度、透過能力及びタイミング、取込み、滞留時間、安定性、有効半減期、ピーク若しくは持続される濃度レベル、クリアランス及び他の所望の粘膜送達特性(例えば、送達部位で又は血流若しくは中枢神経系など選択された活性標的部位で測定された)を増強させる薬剤を含む。このように、粘膜送達の促進は、例えばエキセンディンの拡散、輸送、残留性又は安定性を増大させること、膜流動性を増大させること、細胞内若しくは傍細胞浸透を調節するカルシウム及び他のイオンの有効度若しくは作用を調節すること、粘膜成分(例えば脂質)を可溶化すること、粘膜組織中の非タンパク質及びタンパク質のスルフヒドリルレベルを変化させること、粘膜表面を通過する水流束を増大させること、上皮接合部の生理機能を調節すること、粘膜上皮の上を覆う粘液の粘度を低下させること、粘膜繊毛クリアランス速度を低下させること及び他の機構など、種々の機構のいずれによっても起こり得る。
本明細書で使用する用語「エキセンディンの粘膜で有効な量」は、種々の送達若しくは輸送経路を含み得る、対象における薬剤活性に対する標的部位へのエキセンディンの有効な粘膜送達を意図している。例えば、所定の有効薬剤は、粘膜細胞間の間隙を通って通路を見出し、近傍の血管壁に達することもあり、一方薬剤は、他の経路により、受動的若しくは能動的のいずれかで粘膜細胞に取り込まれて細胞内で作用し、又は排泄され、又は細胞から外へ輸送され、全身的循環などの二次的標的部位に到達し得る。本発明の方法及び組成物は、1つ若しくは2つ以上のそのような別経路を通る有効薬剤の移動を促進することができ、又は粘膜組織若しくは近位の血管組織に直接作用して、活性薬剤の吸収若しくは透過を促進することができる。これに関連する吸収又は透過の促進は、これらの機構に限定されない。
本明細書で使用する用語「血漿中のエキセンディンのピーク濃度(Cmax)」、「血漿中のエキセンディンの濃度対時間曲線下の面積(AUC)」、「血漿中のエキセンディンの血漿中最高濃度に至る時間(tmax)」は、当業者に知られている薬物動態学的パラメーターである。Laursen et al.,Eur.J.Endocrinology,135:309−315,1996。「濃度対時間曲線」は、鼻腔内、筋肉内、皮下、又は他の非経口投与経路のいずれかにより対象にエキセンディンの1投与量を投与した後の、対象の血清中のエキセンディン濃度対時間を測定したものである。「Cmax」は、対象にエキセンディンを単回投与後の対象の血清中のエキセンディンの最高濃度である。「tmax」は、対象にエキセンディンを単回投与後に、対象の血清中のエキセンディンが最高濃度に達する時間である。
本明細書中で使用する「血漿中のエキセンディン濃度対時間曲線下の面積(AUC)」は、線形台形公式に従って計算し、残余の面積を加えたものである。2投与間の23%の減少又は30%の増加は、90%の確率で検出されるであろう(II型誤差β=10%)。「送達速度」又は「吸収速度」は、最高濃度(Cmax)に達する時間(tmax)の比較により測定される。Cmax及びtmaxは両方ともノンパラメトリック法を使用して分析される。筋肉内、皮下、静脈内及び鼻腔内エキセンディン投与の薬物動態の比較は分散分析(ANOVA)により実施した。ペアワイズ比較のために、ボンフェローニ−ホームズ逐次法を使用して有意性を推定する。3回の鼻腔内投与間の投与応答関係は、回帰分析により推定する。P<0.05が有意とみなされる。結果は平均値+/−SEMで与えられる。
吸収促進の機構は、本発明の粘膜送達促進剤が異なれば変り得るが、この関係で有用な試薬は粘膜組織に実質的に副作用はなく、特定のエキセンディン又は他の活性物質若しくは送達促進剤の物理化学的特性に従って選択されるであろう。この関連で、粘膜組織の透過又は浸透性を増大させる送達促進剤は、粘膜の保護的浸透障壁に何らかの変化をしばしば生じさせるであろう。本発明において、そのような送達促進剤が価値あるものであるためには、粘膜の浸透性におけるなんらかの有意な変化が薬剤送達の所望持続期間に適した時間枠内で可逆的であることが一般に望まれる。さらに、長期使用に伴って、実質的な毒性の蓄積も、粘膜の障壁の性質に誘起される永久的で有害な変化もあるべきではない。
本発明のある局面において、本発明のエキセンディンとの協調投与又は組合せ製剤のための吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、エタノール、プロピレングリコール、及び2−ピロリドンを含むが、これらに限定されない親水性の小分子から選択される。あるいは、長鎖の両親媒性分子、例えば、デアシルメチルスルホキシド(deacylmethyl sulfoxide)、アゾン(azone)、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸、及び胆汁酸塩が、エキセンディンの粘膜透過を促進させるために利用され得る。さらに他の局面において、エキセンディンの経鼻送達を促進するために、界面活性剤(例えばポリソルベート)が、助剤化合物、工程処理剤、又は製剤添加剤として利用される。DMSO、ポリエチレングリコール及びエタノールなどの薬剤は、送達環境に十分高濃度で存在すれば(例えば事前投与又は治療製剤中への組込みにより)、粘膜の水相に入り、その可溶化特性を変化させ、それによりエキセンディンの、媒体から粘膜への分配を増大させる。
本発明の協調投与及び加工方法及び組合せ製剤で有用なさらなる粘膜送達促進剤には、混合ミセル;エナミン;一酸化窒素供与体(例えば、S−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン、NOR1、NOR4‥これらは、カルボキシ−PITO又はドクロフェナク(doclofenac)ナトリウムなどのNOスカベンジャーと協調投与されることが好ましい);サリチル酸ナトリウム;アセト酢酸グリセロールエスエル(例えば、グリセリル−1,3−ジアセトアセテート又は1,2−イソプロピリデングリセリン−3−アセトアセテート);及び粘膜送達に生理学的に適合する他の放出−拡散又は上皮内若しくは経上皮透過促進剤が含まれるが、これらに限定されない。他の吸収促進剤は、エキセンディンの粘膜送達、安定性、活性又は経上皮透過を増強する種々の担体、基剤及び賦形剤から選択される。これらは、とりわけ、シクロデキストリン類及びβ−シクロデキストリン誘導体(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン))を含む。これらの化合物は、1種又は2種以上の有効成分と結合していてもよく、また選択的に油脂性基剤中で製剤化されていてもよく、本発明の粘膜用製剤のバイオアベイラビリティを増大させる。粘膜送達に適合するさらに他の吸収促進剤には中鎖脂肪酸が挙げられ、それらはモノ−及びジグリセリド(例えば、カプリン酸ナトリウム、ココナツ油の抽出物、Capmul)及びトリグリセリド(例えば、アミロデキストリン、Estaram 299、ミグリオール810)を含む。
本発明の経粘膜治療及び予防用組成物は、エキセンディンの粘膜障壁を越える吸収、拡散又は透過を容易にする任意の適当な透過促進剤で補完することができる。透過促進剤は、薬学的に許容される任意の促進剤であってよい。したがって、本発明のより具体的な態様において、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸誘導体(サリチル酸アセチル、サリチル酸コリン、サリチルアミド等);アミノ酸及びそれらの塩(例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのモノアミノカルボン酸;セリンなどのヒドロキシアミノ酸;アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸;リジンなどの塩基性アミノ酸等;それらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩も含む);及びN−アセチルアミノ酸(N−アセチルアラニン、N−アセチルフェニルアラニン、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−アセチルリジン、N−アセチルグルタミン酸、N−アセチルプロリン、N−アセチルヒドロキシプロリン等)及びそれらの塩(それらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩)から選択される1種又は2種以上の透過促進剤を含有する組成物が提供される。本発明の方法及び組成物における透過促進剤として、通常乳化剤として使用される物質(例えば、オレイルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等)、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸、及びクエン酸、並びにそれらのアルカリ金属塩、ピロリドンカルボン酸、アルキルピロリドンカルボン酸エステル、N−アルキルピロリドン、プロリンアシルエステル等も提供される。
本発明の種々の局面において、本発明のエキセンディン及び他の治療薬の、投与部位と選択された標的部位との間の粘膜障壁を通過する送達を可能にする改良された鼻粘膜送達製剤及び方法が提供される。特定の製剤は、選択された標的細胞、組織若しくは器官又はさらに特定の病状に特異的に適合している。他の局面において、製剤及び方法は、所定の細胞内又は細胞間の経路に沿って特異的に道筋を定められたエキセンディンの、効率的で選択的なエンドサイトーシス若しくはトランスサイトーシスを提供する。通常、エキセンディンは、担体又は他の送達媒体中に効果的な濃度で有効に装填され、送達され、例えば、鼻粘膜において、及び又は、細胞内区画及び膜を通って薬剤が作用する遠隔標的部位(例えば、血流又は所定の組織、器官若しくは細胞外区画)に至る通路中で安定化された形態で維持される。エキセンディンは、送達媒体中で、又はそうではなくて修飾されて(例えば、プロドラッグの形態で)提供されてもよく、その場合、エキセンディンの放出又は活性化は生理学的刺激(例えば、pH変化、リソソーム酵素その他)により開始される。しばしば、エキセンディンは、活性が必要な標的部位に到達するまで薬理学的に不活性である。大抵の場合、エキセンディン及び他の製剤成分は無毒性で非免疫原性である。この関係で、担体及び他の製剤成分は、一般的に、生理学的条件下で急速に分解され排出される能力を理由に選択される。同時に、製剤は、有効貯蔵期間中、剤形で化学的及び物理的に安定である。
ペプチド類似体及びミメティクス
本発明において使用する生理活性ペプチド及びタンパク質の定義には、天然又は合成の、治療的若しくは予防的に活性である、ペプチド(共有結合で連結した2つ以上のアミノ酸から構成される)、タンパク質、ペプチド若しくはタンパク質のフラグメント、ペプチド若しくはタンパク質の類似体、及び活性なペプチド若しくはタンパク質の化学的に修飾された誘導体又は塩が含まれる。エキセンディンの広範囲の有用な類似体及びミメティクスが、本発明における使用に意図され、公知の方法により製造し、生理活性を試験することができる。しばしば、本発明で使用するエキセンディンのペプチド若しくはタンパク質又は他の生理活性ペプチド若しくはタンパク質は、天然に生ずる即ち未変性の(例えば、野生型、天然に生ずる突然変異体、又は対立遺伝子多型)ペプチド若しくはタンパク質配列内でのアミノ酸の部分的置換、付加又は欠失により容易に得られる突然変異蛋白質である。それに加えて未変性ペプチド又はタンパク質の生理活性フラグメントが含まれる。そのような変異誘導体及びフラグメントは、未変性ペプチド又はタンパク質の所望の生理活性を実質的に保持している。炭水化物鎖を有するペプチド又はタンパク質の場合、これらの炭水化物種の変性により特徴づけられる生理活性変種も本発明内に含まれる。
本明細書で使用する用語「同類アミノ酸置換」は、類似の側鎖を有するアミノ酸残基の一般的互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有する一般的な互換性のアミノ酸群は、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸群は、セリン及びトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リジン、アルギニン及びヒスチジンであり、またイオウ含有側鎖を有するアミノ酸群は、システイン及びメチオニンである。同類置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンを他のものへなどの非極性(疎水性)残基の置換が挙げられる。同様に、本発明は、アルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、及びトレオニンとセリンとの間などでの極性(親水性)残基の置換も意図される。それに加えて、リジン、アルギニン若しくはヒスチジンを他のものへなどの塩基性残基の置換、又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸を他のものへなどの酸性残基の置換も意図される。例示的な同類アミノ酸置換群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンである。ペプチド又はタンパク質の類似体を対応する未変性ペプチド又はタンパク質と最適に整列させることにより、また例えば付着性タンパク質若しくはレセプター結合アッセイなどの適当なアッセイを使用して選択された生理活性を測定することにより、本発明の方法及び組成物における用途に使用可能なペプチド及びタンパク質類似体を容易に同定することができる。使用可能なペプチド及びタンパク質類似体は、通常、対応する未変性ペプチド又はタンパク質に対して生じさせた抗体と特異的に免疫反応性である。
本発明の固体タンパク質製剤を安定化するためのアプローチは、精製された、例えば凍結乾燥されたタンパク質の物理的安定性を向上させることである。これは、タンパク質が変性すると増加し得る、疎水性相互作用並びに共有結合経路による凝集を抑制するであろう。この関連で、製剤の安定化は、ポリマーを基剤とする製剤、例えば、生分解性ハイドロゲル製剤/送達系をしばしば含む。上記のように、タンパク質の構造、機能、及び安定性における水の非常に重要な役割はよく知られている。通常、タンパク質はバルク水を除去した固体状態で比較的安定である。しかしながら、個体の治療用タンパク質製剤は、高い湿度で貯蔵中又は徐放性組成物若しくはデバイスから送達中に水和される。タンパク質の安定性は一般に水和反応が増大すると低下する。水はまた、固体タンパク質の凝集において、例えば、タンパク質の屈曲性を増加させて反応性基の接近し易さを高めることにより、反応体に移動相を提供することにより、及びβ脱離及び加水分解などの幾つかの有害な過程において反応体として作用することにより、大きな役割を演じ得る。
約6%から28%の水を含むタンパク質製剤が最も不安定である。このレベルより下では、結合水の移動性及びタンパク質の内部運動性が低い。このレベルより上では、水の移動性及びタンパク質の内部運動性が完全水和のものに近づく。ある点まで、水和反応の増大につれて固相凝集が起こり易くなることは幾つかの系で観察されている。しかしながら、より高い含水率では、希釈効果のために、凝集が減少することが観察される。
これらの原理に従って、粘膜送達のために、ペプチド及びタンパク質を固体状態の凝集に対して安定化する効果的な方法は、固体製剤の水分率を制御して製剤中の水の活性を最適レベルに維持することである。このレベルは、タンパク質の性質に依存するが、一般的に、それらの「単分子層」の水の被覆より下に維持されたタンパク質は、優れた固体状態安定性を示すであろう。
タンパク質の安定性を向上させるために含水率を効果的に制御する種々の添加剤、希釈剤、基剤及び送達媒体が本発明において提供される。この意味で抗凝集剤として有効なこれらの試薬及び担体材料は、例えば、ポリエチレングリコール、デキストラン、ジエチルアミノエチルデキストラン及びカルボキシメチルセルロースなどの種々の機能性のポリマーを含み、それらは、それらと混合された又はそれらに結合したペプチド及びタンパク質の安定性を増大させ、且つ固相凝集を減少させる。いくつかの場合には、タンパク質の活性又は物理的安定性を、ペプチド又はタンパク質薬品の水溶液に対する種々の添加剤により向上させることもできる。例えば、ポリオール(糖類を含む)、アミノ酸、コラーゲン及びゼラチンなどのタンパク質、並びに種々の塩を使用することができる。
特定の添加剤、特に糖類及び他のポリオールも、乾燥した、例えば、凍結乾燥されたタンパク質に顕著な物理的安定性を付与する。これらの添加剤も、凍結乾燥の間だけでなく、乾燥状態での貯蔵期間中にもタンパク質を凝集から保護するために本発明で使用することができる。例えば、スクロース及びフィコール70(スクロース単位を有するポリマー)は、種々の条件下で固相インキュベーションの間ペプチド又はタンパク質の凝集に対して顕著な保護を示す。これらの添加剤は、ポリマーのマトリックス中に埋め込まれた固体のタンパク質の安定性も向上させることができる。
さらに他の添加剤、例えば、スクロースは、本発明の特定の徐放性製剤で起こり得る高温での湿度雰囲気中でタンパク質を固体状態の凝集に対して安定化させる。ゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質も、この関係で不安定なタンパク質の変性及び凝集を減少させるための安定剤又は増量剤として役立つ。これらの添加剤は、本発明のポリマー溶融工程中に及び組成物中に含有させることができる。例えば、ポリペプチド微粒子は、上記の種々の安定化添加剤を含む溶液を単に凍結乾燥するか又は噴霧乾燥することにより調製することができる。それにより、非凝集ペプチド及びタンパク質の徐放を長期間にわたって得ることができる。
凝集しやすいペプチド及びタンパク質の粘膜送達のための、可溶化剤を使用してタンパク質及びペプチドが実質的に純粋な非凝集形態で安定化された製剤を産出する、種々の付加的調製成分及び方法並びに特別の製剤添加剤が、本明細書中で提供される。種々の成分及び添加剤が、これらの方法及び製剤中で使用に意図される。これらの可溶化剤の例示的なものはシクロデキストリン類(CDs)であり、それはポリペプチドの疎水性側鎖に選択的に結合する。これらのCDsは凝集を顕著に阻止する様式でタンパク質の疎水性部分に結合することが見出された。この阻止は、関与するCD及びタンパク質の双方に関して選択的である。タンパク質凝集のそのような選択的阻止は、本発明の経鼻送達方法及び組成物に付加的な利点を提供する。この関係で使用する追加の薬剤は、ペプチド及びタンパク質の凝集を特異的に阻止する、リンカーにより制御された種々の幾何学的配置を有するCD2量体、3量体及び4量体を含む。さらに、本発明における混和のための溶解剤及び方法は、タンパク質とタンパク質との相互作用を選択的に阻害するペプチド及びペプチド・ミメティクスの使用を含む。1の態様において、CD多量体について報告されている疎水性側鎖の特異的結合は、タンパク質凝集を同様に阻止するペプチド及びペプチド・ミメティクスの使用によりタンパク質に拡大適用される。広範囲の適当な方法及び抗凝集剤が、本発明の組成物及び方法における混和のために使用可能である。
電荷改変及びpH制御剤及び方法
疎水性粘膜障壁を越える促進された送達のための、生理活性物質(エキセンディン、他の活性ペプチド及びタンパク質、並びに高分子量及び低分子量薬剤を含む)の輸送特性を改良するために、本発明は本明細書中に記載した選択された生理活性物質又は送達促進剤の電荷改変のための技法及び試薬も提供する。このことについて、巨大分子の相対的浸透性は、一般的にそれらの分配係数に関係する。分子のイオン化の程度は、分子のpK及び粘膜表面のpHに依存し、また分子の浸透性に影響する。本発明のエキセンディン及び類似体を含む、粘膜送達のための生理活性物質の浸透及び分配は、活性薬剤又は浸透化剤の電荷の変化又は電荷の広がりにより有利になり得て、それは、例えば、荷電官能基の変更により、活性薬剤が送達される送達媒体若しくは溶液のpHの改変により、又は活性薬剤と共に電荷若しくはpH改変試薬を協調投与することにより達成される。
これらの一般的知識と一致して、本発明の方法及び組成物における、エキセンディン及び他の生理活性ペプチド及びタンパク質を含む荷電高分子種の粘膜送達は、その活性薬剤が、実質的にイオン化していない即ち中性の電荷状態で粘膜表面に送達されるときに、実質的に向上する。
本発明で使用する粘膜用製剤の特定のエキセンディン及び他の生理活性ペプチド及びタンパク質成分は、前記ペプチド又はタンパク質の正電荷密度が増加するように電荷を改変されるであろう。これらの改変は、本明細書中で開示したペプチド及びタンパク質複合体、担体及び他の送達形態のカチオン化にも及ぶ。カチオン化は、本発明のタンパク質及び高分子の体内分布及び輸送特性を変化させる便利な手段を提供する。カチオン化は、活性物質の生理活性を実質的に保存して且つ組織損傷及び毒性を含む潜在的副作用を制限するような様式で行われる。
分解酵素阻害剤及び方法
経粘膜用製剤に含めることができる他の賦形剤は分解酵素阻害剤である。本発明の粘膜送達製剤及び方法において有用な代表的粘膜付着性ポリマー酵素複合体は、カルボキシメチルセルロース−ペプスタチン(抗ペプシン活性あり);ポリ(アクリル酸)−ボーマン・バーク(Bowman−Birk)インヒビター(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−キモスタチン(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−エラスタチナール(抗エラスターゼ);カルボキシメチルセルロース−エラスタチナール(抗エラスターゼ);ポリカルボフィル−エラスタチナール(抗エラスターゼ);キトサン−アンチパイン(抗トリプシン);ポリ(アクリル酸)−バシトラシン(抗アミノペプチダーゼN);キトサン−EDTA(抗アミノペプチダーゼN、抗カルボキシペプチダーゼA);キトサン−EDTA−アンチパイン(抗トリプシン、抗キモトリプシン、抗エラスターゼ)を含むが、これらに限定されない。以下にさらに詳細に説明するように、本発明の特定の局面では、選択的に新規なキトサン誘導体又は化学的に修飾された形態のキトサンを取り入れるであろう。本発明で使用するそのような新規な誘導体のひとつは、β−[1→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマー(ポリ−GuD)と表示される。
酵素活性を阻害して生理活性物質を保護する如何なる阻害剤も、本発明の組成物及び方法において役立てて利用することができる。生理活性タンパク質及びペプチドの保護のために有用な酵素阻害剤には、例えば、ダイズトリプシン阻害剤、エキセンディントリプシン阻害剤、キモトリプシン阻害剤並びにジャガイモ(ソラヌム・ツベロスム L(solanum tuberosum L.))塊茎から単離されたトリプシン及びキモトリプシン阻害剤が含まれる。阻害剤の組合せ又は混合物を利用することができる。本発明において使用するさらに他のタンパク分解酵素阻害剤には、オボムコイド−酵素、ガバキセートメシレート、α1−アンチトリプシン、アプロチニン、アマスタチン、ベスタチン、ピューロマイシン、バシトラシン、リューペプシン、α2−マクログロブリン、ペプスタチン、及び卵白若しくは大豆トリプシン阻害剤が含まれる。これらの及び他の阻害剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。阻害剤は、生理活性物質と組み合わせて、又は別に投与される(例えば、事前投与)製剤中で、鼻粘膜に接触する剤形の表面上にコートした例えば、親水性ポリマーなどの担体中に含有させるか若しくはそれに結合させるか、又は表面の表層に含有させることができる。
例えば、選択的に本発明の組成物に含有されるタンパク分解酵素阻害剤などの阻害剤の量は、(a)特異的阻害剤の性質、(b)その分子中に存在する官能基(ハイドロゲルを形成するモノマーとの共重合に必要なエチレン性不飽和基を導入するために反応させることができる)の数、及び(c)阻害剤の分子中に存在するグリコシドなどのレクチン基の数に依存して変化するであろう。その量は、投与することを意図する特定の治療剤にも依存し得る。一般論として、酵素阻害剤の有用な量は、その製剤(即ち分離したプロテアーゼ阻害剤の製剤又は阻害剤と生理活性物質とを1つにまとめた製剤)中に、約0.1mg/mlから約50mg/ml、しばしば約0.2mg/mlから約25mg/ml、より普通には約0.5mg/mlから約5mg/mlである。
トリプシン阻害の場合、適当な阻害剤は、例えば、アプロチニン、BBI、ダイズトリプシン阻害剤、ニワトリオボムコイド、ニワトリオボインヒビター、ヒトエキセンディントリプシン阻害剤、カモスタットメシレート、フラボノイド阻害剤、アンチパイン、ロイペプチン、p−アミノベンズアミジン、AEBSF、TLCK(トシルリジンクロロメチルケトン)、APMSF、DFP、PMSF、及びポリ(アクリレート)誘導体から選択することができる。キモトリプシン阻害の場合、適当な阻害剤は、例えば、アプロチニン、BBI、ダイズトリプシン阻害剤、キモスタチン、ベンジルオキシカルボニル−Pro−Phe−CHO、FK−448、ニワトリオボインヒビター、糖ビフェニルボロン酸錯体、DFP、PMSF、β−フェニルプロピオネート、及びポリ(アクリレート)誘導体から選択することができる。エラスターゼ阻害の場合、適当な阻害剤は、例えば、エラスタチナール、メトキシスクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−クロロメチルケトン(配列番号12として開示したペプチド)(MPCMK)、BBI、ダイズトリプシン阻害剤、ニワトリオボインヒビター、DFP、及びPMSFから選択することができる。
本発明で使用するさらなる酵素阻害剤は、それらの性能及び毒性の程度が様々の広範囲の非タンパク質阻害剤から選択される。下でさらに詳細に説明するように、これらの補助的薬剤のマトリックス若しくは他の送達媒体への固定化又は化学的に修飾された類似体の開発は、容易に実行されて、それに直面したときに、毒性を低下させ又は排除することさえできる。本発明で使用する酵素阻害剤候補のこの広範な群の中に、フルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)及びフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)などの有機リン阻害剤があり、それらはセリンプロテアーゼ(例えば、トリプシン及びキモトリプシン)の強力な不可逆的阻害剤である。これらの化合物によるアセチルコリンエステラーゼのさらなる阻害は、無制御送達の状況ではそれらを高度に毒性にする。他の阻害剤候補フッ化4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニル(AEBSF)は、DFP及びPMSFに匹敵する阻害活性を有するが、毒性は著しく低い。フッ化(4−アミノフェニル)−メタンスルホニル塩酸塩(APMSF)はトリプシンのもう一つの強力な阻害剤であるが、無制御の状況では毒性である。これらの阻害剤とは対照的に、4−(4−イソプロピルピペラジノカルボニル)フェニル1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトエートメタンスルホネート(FK−448)は低毒性物質であり、キモトリプシンの強力な特異的阻害剤を代表する。阻害剤候補のこの非タンパク質群の、低毒性リスクを示すさらなる代表は、カモスタットメシレート(N,N’−ジメチルカルバモイルメチル−p−(p’−グアニジノ−ベンゾイルオキシ)フェニルアセテートメタンスルホネート)である。
本発明の方法及び組成物で使用するさらに他のタイプの酵素阻害剤は、特定の治療用化合物の酵素分解に干渉するアミノ酸および修飾アミノ酸である。この関係での使用にとって、アミノ酸および修飾アミノ酸は実質的に無毒性であり、低コストで製造することができる。しかしながら、それらの分子サイズの小ささ及び溶解性の良さのために、それらは粘膜環境で容易に希釈され吸収される。それにも拘わらず、適当な条件下でアミノ酸は、プロテアーゼ酵素の可逆的な競争的阻害剤として作用することができる。特定の修飾アミノ酸は非常に強い阻害活性を発揮することができる。この関係で所望の修飾アミノ酸は「遷移状態」阻害剤として知られている。これらの化合物の強力な阻害活性は、その遷移状態の幾何学的配置における、基質に対するそれらの構造的類似性に基づくが、それらは酵素の活性部位に対して基質自体よりももっと高い親和性を有するものが通常選択される。遷移状態阻害剤は、可逆的な競争的阻害剤である。このタイプの阻害剤は、ボロ−ロイシン、ボロ−バリン及びボロ−アラニンなどのα−アミノボロン酸誘導体である。これらの誘導体中のホウ素原子は、アミノペプチダーゼによるそれらの加水分解中に、ペプチドの遷移状態に似ていると考えられる四面体ボロン酸イオンを形成することができる。これらのアミノ酸誘導体は、アミノペプチダーゼの強力な可逆的阻害剤であり、ボロ−ロイシンは酵素阻害において、ベスタチンよりも100倍を超えて効果的であり、ピューロマイシンよりも1000倍を超えて効果的であると報告されている。強いプロテアーゼ阻害活性が報告されている他の修飾アミノ酸は、N−アセチルシステインであり、それはアミノペプチダーゼNの酵素活性を阻害する。この助剤は粘液溶解性も示し、本発明の方法及び組成物で、粘膜拡散障壁の効果を減少させるために利用することができる。
本発明の協調投与法及び組合せ製剤で使用するさらに他の有用な酵素阻害剤は、ペプチド及び修飾ペプチド酵素阻害剤から選択することができる。この種類の阻害剤の重要な代表は、リケニホルミス菌(Bacillus licheniformis)から得られる環状ドデカペプチド、バシトラシンである。これらの種類のペプチドに加えて、特定のジペプチド及びトリペプチドは特定のプロテアーゼに対して弱い非特異的阻害活性を示す。アミノ酸との類推により、それらの阻害活性は化学的修飾により改良することができる。例えば、ホスフィン酸ジペプチド類似体も、アミノペプチダーゼに対する強力な阻害活性を有する「遷移状態」阻害剤である。報告によれば、それらは鼻腔内投与されたロイシンエンケファリンを安定化するために使用されていた。遷移状態類似体の他の例は、修飾ペンタペプチドのペプスタチンであり、それはペプシンの非常に強い阻害剤である。数種類の合成類似体の阻害活性を試験することによるペプスタチンの構造分析は、阻害活性に関連する分子の主要な構造機能特性を明らかにした。他の特別なタイプの修飾ペプチドは、それらの構造中で末端に位置するアルデヒド官能基を有する阻害剤を含む。例えば、キモトリプシンの既知の一次的及び二次的特異性の要求を満足する配列ベンジルオキシカルボニル−Pro−Phe−CHOが、この標的プロテイナーゼの強力な可逆的阻害剤であることが見出された。末端に位置するアルデヒド官能基を有するさらに他の阻害剤、例えば、アンチパイン、ロイペプチン、キモスタチン及びエラスタチナールの化学構造も、ホスホルアミドン、ベスタチン、ピューロマイシン及びアマスタチンなどの他の公知の可逆的な修飾ペプチド阻害剤の構造と同様に当技術分野で知られている。
ポリペプチドプロテアーゼ阻害剤は、それらの比較的高い分子質量のために、より小さい化合物よりも、薬剤担体マトリックス中での濃縮された送達に適する。本発明の製剤及び方法におけるプロテアーゼ阻害用のさらなる薬剤は、錯化剤の使用を含む。これらの薬剤は、鼻腔内環境(又は調製若しくは治療用組成物)から、多くのプロテアーゼの補因子である2価イオンを奪うことにより、酵素阻害を媒介する。例えば、錯化剤EDTA及びDTPAは、適当な濃度で協調投与された又は組合せ製剤化された助剤として、選択されたプロテアーゼを阻害するのに十分で、それにより本発明の生理活性物質の経鼻送達を促進するであろう。この種類の阻害剤のさらなる代表は、EGTA、1,10−フェナントロリン及びヒドロキシキノリンである。それに加えて、2価イオンをキレートするそれらの性質により、これらの及び他の錯化剤は、直接的吸収促進剤として本発明において有用である。
本明細書中他の場所でさらに詳細に記載したように、種々のポリマー、特に粘膜付着性ポリマーを、本発明の協調投与、多重処理及び/又は組合せ製剤化方法及び組成物において、酵素阻害剤として使用することも意図されている。例えば、ポリ(アクリル酸)及びポリカルボフィルなどのポリ(アクリレート)誘導体は、トリプシン及びキモトリプシンを含む種々のプロテアーゼの活性に影響し得る。これらのポリマーの阻害効果も、Ca2+及びZn2+などの2価カチオンの錯体形成に基づいている可能性がある。これらのポリマーは、上記のように、追加の酵素阻害剤の複合相手又は担体として役立ち得ることがさらに考えられる。例えば、亜鉛依存性プロテアーゼの酵素活性に対して強い阻害効果を示すキトサン−EDTA複合体が開発され、本発明において有用である。この関係で、共有結合による他の酵素阻害剤結合後のポリマーの粘膜付着性は、実質的に損なわれないと考えられ、そのようなポリマーの、本発明における生理活性物質のための送達媒体としての一般的有用性も減じないと予想される。別の見地から、粘膜付着機構によりもたらされた送達媒体と粘膜表面との間の減少した距離は、活性薬剤の全身循環前代謝を最小化するであろうが、一方共有結合で結合した酵素阻害剤は薬物送達部位に濃縮されてとどまり、阻害剤の望ましくない希釈効果並びに毒性及びそれにより惹起される他の副作用を最小化する。この様式で、協調投与される酵素阻害剤の有効量は、希釈効果の排除により減少させることができる。
本発明の粘膜用製剤及び方法において有用な例示的粘膜付着性ポリマー−酵素阻害剤錯体には、カルボキシメチルセルロース−ペプスタチン(抗ペプシン活性あり);ポリ(アクリル酸)−ボーマン・バークインヒビター(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−キモスタチン(抗キモトリプシン);ポリ(アクリル酸)−エラスタチナール(抗エラスターゼ);カルボキシメチルセルロース−エラスタチナール(抗エラスターゼ);ポリカルボフィル−エラスタチナール(抗エラスターゼ);キトサン−アンチパイン(抗トリプシン);ポリ(アクリル酸)−バシトラシン(抗アミノペプチダーゼN);キトサン−EDTA(抗アミノペプチダーゼN、抗カルボキペプチダーゼA);キトサン−EDTA−アンチパイン(抗トリプシン、抗キモトリプシン、抗エラスターゼ)が含まれるが、これらに限定されない。
粘液溶解及び粘液清浄剤並びに組成物
鼻腔内投与による生物治療剤の効果的送達は、粘膜層の糖タンパク質に結合することによる薬剤損失に加えて、鼻腔内粘膜の保護粘膜内層を通過する薬物輸送速度の減少を考慮に入れなければならない。正常な粘液は、水、電解質、ムチン、高分子、及び脱落上皮細胞からなる粘弾性のゲル様物質である。それは主として、下にある粘膜組織の細胞保護性及び潤滑性被覆として役立つ。粘液は鼻腔上皮及び他の粘膜上皮に位置して無秩序に分布する分泌細胞により分泌される。粘液の構造単位はムチンである。この糖タンパク質が粘液の粘弾性的性質の主原因であるが、他の高分子もこの性質に寄与し得る。気道粘液中において、そのような高分子は、局所的に産生された分泌性IgA、IgM、IgE、リゾチーム、及びブロンコトランスフェリンを含み、それらは宿主の防衛機構において重要な役割を演じている。
本発明の協調投与法は、効果的な粘液溶解又は粘液清浄剤を選択的に組み入れていてもよく、それらは鼻腔内の粘膜表面から薄く透明な粘液を分解することに役立ち、鼻腔内投与された生物治療剤の吸収を容易にする。これらの方法において、粘液溶解又は粘液清浄剤は助剤化合物として協調投与され、生理活性物質の経鼻送達を促進する。あるいは、有効量の粘液溶解若しくは粘液清浄剤は、本発明の多重処理法における処理剤として、又は本発明の組合せ製剤における添加剤として組み込まれ、鼻腔内粘液の障壁効果を減少させることにより生物治療剤化合物の経鼻送達を促進する改良された製剤を提供する。
種々の粘液溶解又は粘液清浄剤が、本発明の方法及び組成物に組み込むために入手可能である。それらの作用機構に基づき、粘液溶解及び粘液清浄剤はしばしば次の群に分類することができる:ムチン糖タンパク質のタンパク質の核を分解するプロテアーゼ(例えば、プロナーゼ、パパイン);ムコタンパク質のジスルフィド結合を切断するスルフヒドリル化合物;及び粘液内の非共有結合を切断する洗浄剤(例えば、トリトンX−100、ツイーン20)。この関係のさらなる化合物は、胆汁酸塩及び界面活性剤、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、及びリソホスファチジルコリンを含むが、これらに限定されない。
粘液の構造破壊の惹起における胆汁酸塩の有効性は、デオキシコール酸塩>タウロコール酸塩>グリココール酸塩の順である。粘液の粘度又は付着を減少させて本発明の方法による経鼻送達を促進する他の有効な薬剤は、例えば、短鎖脂肪酸、及びN−アシルコラーゲンペプチド、胆汁酸、及びサポニンなどのキレート形成により作用する粘液溶解剤(最後のものは、粘液層構造を維持することにおいて重要な役割を演ずるCa2+及び/又はMg2+をキレートすることにより部分的に機能する)を含む。
本発明の方法及び組成物において使用するさらなる粘液溶解剤は、N−アセチル−L−システイン(ACS)を含み、これは気管支肺粘液の粘度及び付着の両方を減少させる強力な粘液溶解剤で、麻酔されたラットでヒト成長ホルモンの経鼻バイオアベイラビリティを中程度に増大させると報告されている(7.5から12.2%へ)。これらの及び他の粘液溶解又は粘液清浄剤は、通常約0.2から20mMの濃度範囲で、生理活性物質の投与と共同して鼻粘膜と接触し、鼻腔内粘液の極性粘度及び/又は弾性を減少させる。
さらに他の粘液溶解又は粘液清浄剤は、粘液糖タンパク質内のグリコシド結合を切断できる様々なグリコシダーゼ酵素から選択することができて、α−アミラーゼ及びβ−アミラーゼは、この種類の酵素の代表であるが、それらの粘液溶解効果は限られている可能性がある。対照的に、細菌のグリコシダーゼはこれらの微生物がそれらの宿主の粘液層に浸透することを可能にする。
ペプチド及びタンパク質治療薬を含む本発明における大部分の生理活性物質との組合せによる使用に、非イオン原性洗浄剤も、粘液溶解又は清浄剤として通常有用である。これらの薬剤は、通常、治療薬ポリペプチドの活性を変性しないか又は実質的に損なわない。
繊毛静止剤及び方法
特定の粘膜組織(例えば鼻腔粘膜組織)の粘液繊毛クリアランスによる自浄能力は、保護機能として必要であるから(例えば塵、アレルゲン、及び細菌を除去するため)、この機能は粘膜の薬物治療により実質的に損なわれるべきではないと、一般に考えられてきた。呼吸管中の粘液繊毛輸送は、感染に対して特に重要な防御機構である。この機能を果たすために、鼻腔内及び気道通路内の繊毛運動は、粘液層を粘膜に沿って動かし、吸入された粒子及び微生物を除去する。
繊毛静止剤は、本発明の方法及び組成物において使用を見出し、粘膜に投与された(例えば鼻腔内)エキセンディン、類似体及びミメティクス並びに本明細書中で開示された他の生理活性物質の滞留時間を増加させる。特に、本発明の方法及び組成物中のこれらの薬剤の送達は、特定の局面において、粘膜細胞の繊毛活性を可逆的に阻害するように機能して、粘膜に投与された有効薬物の滞留時間を一次的に可逆的に増大させる1種又は2種以上の繊毛静止剤の協調投与又は組合せ製剤により著しく促進される。本発明のこれらの局面において使用するために、前述の繊毛静止因子は、それらの活性は特異的又は間接的のいずれかであるが、適当な量で(濃度、送達の期間及び様式に依存する)、全て繊毛静止剤として利用して成功する候補であり、それらは、投与の粘膜部位で粘膜繊毛クリアランスを一時的(即ち可逆的)に減少させ、エキセンディンの送達を、許容されない副作用効果なしに促進する。
より具体的な局面において、特別の繊毛静止因子が、1種又は2種以上のエキセンディンとの組合せ製剤又は協調投与プロトコルで使用される。文献にある単離され特性を決定された種々の細菌繊毛静止因子が、本発明のこれらの態様で利用され得る。緑膿菌(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomanas aeruginaosa))という細菌からの繊毛静止因子は、フェナジン誘導体、化膿化合物(2−アルキル−4−ヒドロキシキノリン)及びラムノリピド(溶血素としても知られている)を含む。化膿化合物は、50μg/mlの濃度で、明確な超微細構造的病変なしに、繊毛静止を生じさせた。フェナジン誘導体も繊毛運動を阻害したが、400μg/mlという実質的により高い濃度でとはいえ若干の膜破壊を惹起した。気管の外植片のラムノリピドに対する限定された曝露は繊毛静止を生じ、それは繊毛膜の変化を伴った。ラムノリピドへのより強い曝露は軸糸からのダイニン腕除去を伴う。
界面活性剤及び方法
本発明のより具体的な局面において、エキセンディンの粘膜送達を促進するために、本発明の粘膜送達方法又は製剤において、1種又は2種以上の膜透過促進剤が利用できる。この関係で、膜透過促進剤は、(i)界面活性剤;(ii)胆汁酸塩;(iii)リン脂質添加剤、混合ミセル、リポソーム、又は担体;(iv)アルコール;(v)エナミン;(vi)NO供与体化合物;(vii)長鎖両親媒性分子;(viii)低分子疎水性透過促進剤;(ix)ナトリウム又はサリチル酸誘導体;(x)アセト酢酸グリセロールエステル;(xi)シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体;(xii)中鎖脂肪酸;(xiii)キレート剤;(xiv)アミノ酸又はその塩;(xv)N−アセチルアミノ酸又はその塩;(xvi)選択された膜成分を分解する酵素;(xvii)脂肪酸合成阻害剤;(xviii)コレステロール合成阻害剤;又は(xix)(i)から(xviii)に挙げた膜透過促進剤の任意の組合せから選択することができる。
特定の界面活性剤は、膜吸収促進剤として、本発明の粘膜送達製剤及び方法中に容易に組み込まれる。これらの界面活性剤は、エキセンディンと協調投与されるか又は組み合わされて製剤化されるが、公知の界面活性剤の広範な集合から選択することができる。界面活性剤は、一般に3つのクラスの中に入る:即ち(1)ノニオン性ポリオキシエチレンエーテル;(2)グリココール酸ナトリウム(SGC)及びデオキシコール酸塩(DOC)などの胆汁酸塩;及び(3)タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)などのフシジン酸誘導体である。これら種々のクラスの界面活性剤の作用機構は、典型的には生理活性物質の可溶化を含む。凝集体をしばしば形成するタンパク質及びペプチドに対して、これらの吸収促進剤の界面活性剤的性質は、界面活性剤で覆われたモノマーなどのより小さなユニットが溶液中により容易に保たれるようなタンパク質との相互作用を可能にすることができる。他の界面活性剤の例は、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル(DDPC)、ポリソルベート80及びポリソルベート20である。これらのモノマーは凝集体よりも輸送性のよいユニットであると推定される。可能性のある第2の機構は、粘膜環境中のプロテアーゼによるタンパク分解からペプチド又はタンパク質を保護することである。報告によれば、胆汁酸塩及び幾つかのフシジン酸誘導体の両方とも、タンパク質の吸収を促進するために必要な濃度以下の濃度で、鼻腔粘膜のホモジェネートによるタンパク質のタンパク分解性分解を阻害する。このプロテアーゼ阻害は、短い生物学的半減期のペプチドにとって特に重要であり得る。
増粘剤
増粘又は懸濁剤は、投与製剤からの薬剤の放出及び吸収速度に影響し得る。薬学的に許容される増粘剤として役立ち得る材料の幾つかの例は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、ゼラチン、デンプン、ヘタスターチ、ポロキサマー、プルロニック、CMCナトリウム、ソルビトール、アカシア、ポビドン、カルボポール、ポリカルボフィル、キトサン、キトサンミクロスフェア、アルギン酸塩ミクロスフェア、キトサングルタメート、アンバーライト樹脂、ヒアルロナン、エチルセルロース、マルトデキストリンDE、ドラム乾燥ワックス状トウモロコシデンプン(DDWM)、分解性デンプンミクロスフェア(DSM)、デオキシグリココール酸塩(GDC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、微結晶性セルロース(MCC)、ポリメタクリル酸及びポリエチレングリコール、スルホブチルエーテルBシクロデキストリン、架橋エルデキソマ−(eldexomer)デンプンバイオスフェア、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)、N−トリメチルキトサンクロリド(TMC)、分解デンプンミクロスフェア、アンバーライト樹脂、キトサンナノ粒子、噴霧乾燥クロスポビドン、噴霧乾燥デキストランミクロスフェア、噴霧乾燥微結晶性セルロース、及び架橋エルデキソマー(eldexomer)デンプンミクロスフェアである。
分解酵素並びに脂肪酸及びコレステロール合成阻害剤
本発明の関連局面において、粘膜投与のためのエキセンディンは製剤化され、分解酵素、又は代謝刺激剤、又は脂肪酸、ステロール若しくは他の上皮障壁成分の合成阻害剤から選択される透過促進剤と協調投与される;米国特許第6,190,894号。例えば、ホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼ、ノイラミニダーゼ及びコンドロイチナーゼなどの分解酵素は、粘膜障壁に不可逆的損傷を惹起せずに、エキセンディンの粘膜透過を促進するために使用することができる。1の態様において、コンドロイチナーゼは、本明細書で提供される方法及び組成物で使用され、粘膜の浸透障壁の糖タンパク質又は糖脂質構成要素を変化させて、それによりエキセンディンの経粘膜吸収を促進する。
粘膜障壁構成要素の合成阻害剤に関して、遊離脂肪酸が重量で上皮の20〜25%を占めることは注目される。遊離脂肪酸の生合成における2つの律速酵素は、アセチルCoAカルボキラーゼ及び脂肪酸合成酵素である。一連の段階を通して、遊離脂肪酸は代謝されてリン脂質になる。したがって、本発明の方法及び組成物で使用する遊離脂肪酸合成及び代謝の阻害剤は、5−テトラデシロキシ−2−フランカルボン酸(TOFA)などのアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;脂肪酸合成阻害剤;ゴミシンA、2−(p−アミルシンナミル)アミノ−4−クロロ安息香酸、臭化ブロモフェナシル、モノアリド、7,7−ジメチル−5,8−エイコサジエン酸、ニセルゴリン、セファランチン、ニカルジピン、ケルセチン、ジブチリル−サイクリックAMP、R−24571、N−オレオイルエタノールアミン、N−(7−ニトロ−2,1,3−ベンズオキサジアゾール−4−イル)ホスホスチジルセリン、シクロスポリンA、ジブカインを含む局所麻酔薬、プレニラミン、全trans及び13−cis−レチン酸などのレチノイド、W−7、トリフルオロペラジン、R−24571(カルミダゾリウム)、1−ヘキサデシル−3−トリフルオロエチルグリセロ−sn−2−ホスホメントール(MJ33)などのホスホリパーゼA阻害剤;ニカルジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン及びニモジピンを含むカルシウムチャンネル遮断薬;キナクリン、メパクリン、クロロキン及びヒドロキシクロロキンを含む抗マラリア薬;プロパナロール及びラベタロールを含むベータ遮断薬;カルモジュリンアンタゴニスト;EGTA;チメルソール;デキサメタゾン及びプレドニゾロンを含むグルココルチコステロイド;並びにインドメタシン及びナプロキセンを含む非ステロイド抗炎症薬を含むが、これらに限定されない。
遊離ステロールは、主としてコレステロールであるが、重量で上皮脂質の20〜25%を占める。コレステロール生合成の律速酵素は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル(HMG)CoAレダクターゼである。本発明の方法及び組成物で使用するコレステロール合成阻害剤は、シンバスタチン、ロバスタチン、フルインドスタチン(フルバスタチン)、プラバスタチン、メバスタチンなどの(HMG)CoAレダクターゼの競争的阻害剤並びに、コレステロールオレエート、コレステロールサルフェート及びホスフェート、並びに25−OH−及び26−OH−コレステロールなどの酸化ステロール類など他のHMGCoAレダクターゼ阻害剤;スクワレン合成酵素阻害剤;スクワレンエポキシダーゼ阻害剤;22,25−ジアザコレステロール、20,25−ジアザコレステロール、AY9944及びトリパラノールなどのDELTA7又はDELTA24レダクターゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。
脂肪酸合成阻害剤又はステロール合成阻害剤の各々は、活性物質の促進された上皮透過を達成するために、本明細書中で開示した1種又は2種以上のエキセンディンタンパク質、類似体及びミメティクス並びに他の生理活性物質と協調投与又は組合せ製剤化することができる。粘膜送達のための治療薬又は助剤製剤中のステロール阻害剤の有効濃度範囲は、通常、全重量を基準にして約0.0001%から約20%、より典型的には約0.01%から約5%である。
一酸化窒素供与体薬及び方法
本発明の他の関連する局面において、一酸化窒素(NO)供与体は、1種又は2種以上のエキセンディンの粘膜送達を促進するための膜透過促進剤として選択される。種々のNO供与体が当技術分野において公知であり、本発明の方法及び製剤における有効濃度で有用である。例示的NO供与体は、ニトログリセリン、ニトロプルシド、NOC5[3−(2−ヒドロキシ−1−(メチル−エチル)−2−ニトロソヒドラジノ)−1−プロパンアミン]、NOC12[N−エチル−2−(1−エチル−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジノ)−エタンアミン]、SNAP[S−ニトロソ−N−アセチル−DL−ペニシラミン]、NORI及びNOR4を含むが、これらに限定されない。本発明の方法及び組成物において、有効量の選択されたNO供与体は、粘膜上皮中に又はそれを通して、本明細書中で開示した1種若しくは2種以上のエキセンディンと協調投与又は組合せ製剤化される。
上皮接合構造及び/又は生理機能を調節する薬剤
本発明は、粘膜送達のための医薬製剤に製剤化された、本明細書中で開示された粘膜送達促進剤と組み合わせて1種又は2種以上のエキセンディンを含む医薬組成物を提供する。
浸透化剤は、通常、対象の粘膜上皮表面における上皮接合構造及び/又は生理機能を調節することにより、粘膜上皮の傍細胞輸送を可逆的に促進する。この効果は、通常、隣接する上皮細胞の上皮膜接着性タンパク質間の同型又は異型結合の浸透化剤による阻害を含む。同型または異型結合のこの遮断標的タンパク質は、種々の関係する接合接着性分子(JAMs)のオクルディン又はクローディンから選択することができる。この例は、これらのタンパク質の細胞外領域に結合する抗体、抗体フラグメント又は単鎖抗体である。
さらに追加の詳細な態様において、本発明は、粘膜上皮傍細胞輸送を促進するための浸透性化ペプチド及びペプチド類似体及びミメティクスを提供する。本発明の組成物及び方法において、問題のペプチド及びペプチド類似体及びミメティクスは、通常、哺乳類対象における上皮接合構造及び/又は生理機能を調節することにより作用する。特定の態様において、前記ペプチド及びペプチド類似体及びミメティクスは、接合接着性分子(JAM)のオクルディン又はクローディンから選択された上皮膜接着性タンパク質の同型及び/又は異型結合を効果的に阻害する。
広く研究されている1つのそのような薬剤は、「閉鎖帯毒素」(ZOT)として知られるコレラ菌(ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae))由来の細菌毒素である。この毒素は、腸粘膜の浸透性増大を媒介して、感染した対象に下痢を含む症状を惹起する。Fasano,et al, Proc.Nat.Acad.Sci.,U.S.A.8;5242−5246,1991。ウサギの回腸粘膜で試験したとき、ZOTは細胞間の接着結合の構造を変えることにより、腸の浸透性を増大させた。より最近、ZOTは、腸粘膜における接着結合を可逆的に開くことができることが見出された。ZOTは鼻腔粘膜において接着結合を可逆的に開くことができることも報告された。米国特許第5,908,825号。
本発明の方法及び組成物において、ZOT並びにZOT活性アゴニスト又はアンタゴニストとして機能する種々のZOT類似体及びミメティクスは、鼻腔粘膜の中への又はそれを通過する傍細胞吸収を増大させることにより、生理活性物質の経鼻送達を促進するために有用である。この関係で、ZOTは、通常、結合タンパク質ZO1の変化した局在化により特徴づけられる接着結合の構造再組織化を惹き起すことにより作用する。本発明のこれらの局面において、ZOTは、実質的な副作用なしで鼻腔粘膜の浸透性を可逆的に増大させることにより、活性薬剤の有意に促進された吸収を生ずるのに効果的な量で、生理活性物質と協調投与又は組合せ製剤化される。
血管拡張剤及び方法
本発明の協調投与及び組合せ製剤化方法並びに組成物において有益な効用を示すさらに他のクラスの吸収促進剤は、血管作用性化合物、より特別には血管拡張剤である。これらの化合物は、本発明において、粘膜下血管系の構造および生理機能を調節するように機能して、エキセンディンの粘膜上皮の中への若しくはそれを通過する及び/又は特定の標的組織若しくは区画(例えば、全身的循環又は中枢神経系)への輸送速度を増大させる。
本発明において使用する血管拡張剤は、細胞質内カルシウムの減少、一酸化窒素(NO)の増加によるか又はミオシン軽鎖キナーゼの阻害によるかのいずれかにより、通常、粘膜下血管の弛緩を惹起する。それらは一般的に9クラスに分けられる:即ちカルシウムアンタゴニスト、カリウムチャンネル開口固定薬、ACE阻害剤、アンジオテンシン−IIレセプターアンタゴニスト、α−アドレナリン作動性及びイミダゾールレセプターアンタゴニスト、β1−アドレナリン作動性アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、エイコサノイド並びにNO供与体である。
化学的相違にも拘らず、カルシウムアンタゴニストの薬物動態学的性質は同様である。全身的循環中への吸収は高く、したがってこれらの薬剤は肝臓によりかなりの初回通過代謝を受け、薬物動態に個人差が生ずる。ジヒドロピリジン型の比較的新しい薬剤(アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ニソルジピン及びニトレンジピン)を例外として、カルシウムアンタゴニストの半減期は短い。したがって、これらの多くに対して有効薬剤濃度を維持するためは、本明細書中他の場所で説明したように、連続投与又は放出制御製剤による送達が必要になり得る。カリウムチャンネル開口固定薬ミノキシジルによる治療も潜在的副作用により投与様式及びレベルが制限されることがある。
ACE阻害剤は、アンジオテンシン−Iのアンジオテンシン−IIへの変換を防止し、レニン産生が増大したときに最も有効である。ACEは、強力な内因性血管拡張剤ブラディキニンを不活化するキニナーゼ−IIと同一であるから、ACE阻害はブラディキニン分解の減少の原因になる。動物モデルで、ACE阻害剤は、心臓線維症及び心室肥大を予防し逆転することにより、心保護的且つ心修復的効果という加わった利点を提供する。大部分のACE阻害剤の主要な排除経路は腎臓による排泄である。したがって、腎機能障害は低下した排除を伴い、中等度から重症の腎機能障害を有する患者においては25から50%の投与量削減が勧められる。
NO供与体に関して、これらの化合物は、粘膜浸透性に対するそれらの付加的効果のために、本発明において特に有用である。上記のNO供与体に加えて、NO/求核剤と称する求核剤とNOとの錯体即ちNONOエートは、生理的pHで水溶液に溶解されたときに、自発的に若しくは非酵素的にNOを放出する。対照的に、ニトログリセリンなどのニトロ血管拡張剤は、NO放出のために特異的酵素活性を必要とする。NONOエートは、所定の化学量論的に、予測可能な速度で、ジエチルアミン/NOに対する3分未満からジエチレントリアミン/NO(DETANO)に対する約20時間の範囲でNOを放出する。
本発明の特定の方法及び組成物において、選択された血管拡張剤は、活性物質の粘膜吸収を促進させて対象の標的組織又は区画(例えば、肝臓、肝門脈、中枢神経系組織又は脳脊髄液、又は血漿)に達するのに効果的な量で、1種又は2種以上のエキセンディンと協調投与され(例えば、全身的に又は鼻腔内に、同時に又は組み合わされて有効な一時的会合で)又は組み合されて製剤化される。
選択的な輸送促進剤及び輸送促進方法
本発明の組成物及び送達方法に、1種又は2種以上の生理活性物質の輸送を容易にする選択的輸送促進剤を含ませてもよい。これらの輸送促進剤は、更に1種又は2種以上の生理活性物質の粘膜輸送障壁を超えた送達を協調的に促進させ、活性物質の粘膜輸送を促進させて対象内の標的組織又は区画(例えば、粘膜上皮、肝臓、中枢神経系組織若しくは脳脊髄液、又は血漿)に到達させるように、組合せ製剤又は協調投与プロトコルに、1種又は2種以上のエキセンディンと共に用いることができる。代替的に、この輸送促進剤は、更なる生理活性物質の送達が促進された状態で、又は促進されない状態で、1種又は2種以上のエキセンディンタンパク、類似体及び模倣剤の粘膜送達を直接的に促進するために、組合せ製剤又は協調投与プロトコルに用いることができる。
本発明のこの局面において用いられる例示的な選択的輸送促進剤には、グリコシド、糖含有分子、及び上皮輸送障壁部分と特異的に相互作用することが知られているレクチン結合剤のような結合剤が含まれるが、これらに限定されない。例えば、レセプター介在性相互作用により細胞表面の糖部分に結合する、種々の植物レクチン及び細菌レクチンを包含する、特定の「生体接着性」リガンドを、本発明の生理活性物質を粘膜、例えば、鼻腔内へ送達することを促進するための担体又は結合された輸送メディエーターとして用いることができる。本発明に用いる特定の生体接着性リガンドは、特殊化した細胞輸送プロセス(エンドサイトーシス又はトランスサイトーシス)により、接着性リガンドの選択的取り込みのきっかけとなる、上皮標的細胞への生体信号の伝達を媒介する。従って、これらの輸送メディエーターは、粘膜上皮に向けた及び/又は粘膜上皮を介した1種又は2種以上のエキセンディンタンパク、類似体及び模倣剤、並びに他の生理活性物質の選択的取り込みを刺激又は指示するための輸送システムとして用いることができる。これらの選択的輸送促進剤及び他の選択的輸送促進剤は、本発明の高分子生物医薬(特にペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドベクター)の粘膜送達を著しく促進する。レクチンは、真核細胞の糖タンパク質及び糖脂質の表面に存在する特定の糖に結合する植物タンパクである。レクチンの濃縮溶液は「粘液誘引(mucotractive)」効果を有し、粘膜表面全体にわたるレクチン及びレクチン結合体(例えば、コロイド金粒子と結合したコンカナバリンA)の素早いレセプター介在性エンドサイトーシス(RME)が種々の研究により示されている。更なる研究により、レクチンの取り込み機構はin vivoでの腸における薬剤標的に用いることができることが報告されている。これらの研究のうちいくつかに於いては、ポリスチレンナノ粒子(500nm)がトマトレクチンと共有結合により結合され、ラットへの経口投与後全身性の取り込みが改善されたことが報告された。
植物レクチンに加え、微生物付着及び微生物侵入因子は、本発明の粘膜送達法及び組成物において付着性/選択的な輸送担体として用いられる候補を豊富に提供している。2つの要素、細菌「アドヘシン」(付着又は定着因子)及び宿主細胞表面のレセプターが微生物付着過程に必要である。粘膜感染を引き起こす細菌は、上皮表面にそれ自身を付着させる前に粘膜層を通過する必要がある。他の細胞表面成分もこのプロセスに関与し得るが、この付着は、通常、細菌繊毛(fimbriae)又は繊毛(pilus)構造によって媒介される。付着細菌は、標的細胞内で(毒素の助力と共に又は毒素の助力なしに)シグナル伝達機構を介して増殖することによって及び一連の生化学反応を開始することによって、粘膜上皮に定着する。これらの侵入機構に関連して、各種細菌及びウイルスにより本来産生される多くの異なる生体接着性タンパク質(例えば、インベイシン、インターナリン(internalin))が知られている。これらのタンパク質は、宿主種及び特定の標的組織にさえ見事な選択性を有した、上記の微生物の細胞外付着を可能にする。このようなレセプター−リガンド相互作用により伝達されるシグナルは、エンドサイトーシス及びトランスサイトーシスプロセスにより無傷の生きた微生物の上皮細胞内への輸送を、そして最終的に上皮細胞を通過させる輸送を誘発する。このような自然に発生する現象は、粘膜上皮内へ若しくは粘膜上皮を超えて及び/又は他の指定された薬効標的部位への生物活性化合物の送達を促進させるために、ここに開示される方法に従って(例えばエキセンディン等の生理活性物質をアドヘシンと複合体化させることにより)用いることができる。
特異的な、レクチン様の方式で上皮表面に結合する、種々の微生物の毒素及び植物毒素もまた本発明の方法及び組成物において有用である。例えば、ジフテリア毒素(DT)はRMEにより素早く宿主細胞に入る。同様に、大腸菌易熱性毒素のBサブユニットは、非常に特異的な、レクチン様方式で腸上皮細胞の刷子縁に結合する。この毒素の取り込み及び腸細胞の側底部側へのトランスサイトーシスがin vivo及びin vitroで報告された。他の研究においては、ジフテリア毒素の膜貫通ドメインを大腸菌内でマルトース結合融合タンパクとして発現させ、化学的に高分子量のポリ−L−リジンと結合させた。結果として生じる複合体は、in vitroでのレポーター遺伝子の内在化を媒介するのにうまく用いられる。これらの例に加えて、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、スーパー抗原と毒素の双方の役割を果たす一連のタンパク質(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)、SEB、毒ショック症候群毒素1(TSST−1))を産生する。これらのタンパク質に関する研究により、Caco−2細胞に於けるSEB及びTSST−1の用量依存的な促進性のトランスサイトーシスが報告されている。
ウイルス血球凝集素は、本発明の方法及び組成物に於ける生理活性物質の粘膜送達を容易にする別の種類の輸送剤を含む。多くのウイルス感染に於ける初めの段階は、表面タンパク質(赤血球凝集素)の粘膜細胞への結合である。これらの結合タンパク質は、ロタウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、アデノウイルス、ジャガイモ葉巻ウイルス、及びレオウイルスを含むほとんどのウイルスに確認されてきた。これらのウイルス血球凝集素及び他の典型的なウイルス血球凝集素は、組合せ製剤(例えば、混合製剤又は複合製剤)又は協調投与プロトコルにおいて、1種又は2種以上の更なる生理活性物質の粘膜送達を協調的に促進するために、本明細書に於いて開示された1種又は2種以上のエキセンディン、類似体及び模倣剤と共に用いることができる。或いは、ウイルス血球凝集素は、更なる生理活性物質の送達の促進と共に又は更なる生理活性物質の送達の促進なしに、1種又は2種以上のエキセンディンタンパク、類似体及び模倣剤の粘膜送達を直接的に促進するために、組合せ製剤又は協調投与プロトコルにおいて用いることができる。
種々の内在性、選択的輸送媒介因子もまた、本発明において利用可能である。哺乳動物細胞は、特定の物質の内在化を容易にし、これら物質を特定の区画へ向ける、各種機構を発達させてきた。これらの膜変形プロセスを総称して「エンドサイトーシス」と呼び、これらのプロセスには、食作用、飲作用、レセプター介在性エンドサイトーシス(クラスリン介在性RME)、及びポトサイトーシス(クラスリン非介在性RME)が含まれる。RMEは、その名前が示すように、種々のリガンドが細胞表面のレセプターに結合し、それに続いて内在化され、細胞内輸送される、非常に特異的な細胞生物学的プロセスである。多くの細胞に於いて、エンドサイトーシスプロセスは非常に活発であるため、膜表面全体は内在化され30分未満で置き換えられる。2つのクラスのレセプターが、その細胞膜内での方向に基づいて提唱されている;タイプIレセプターのアミノ末端は、細胞膜の細胞外側に位置し、一方、タイプIIレセプターは、細胞内環境にこれと同様のタンパク質末端を有している。
本発明の他の更なる態様に於いて、トランスフェリンが、経粘膜で送達された生理活性物質のRMEの担体又は刺激剤として用いられる。80kDaの鉄輸送糖タンパク質であるトランスフェリンは、RMEによって細胞内に効果的に取り込まれる。トランスフェリンレセプターは、ほとんどの増殖細胞の表面に見出すことができ、赤芽球に於いて及び多種の腫瘍においては多数見出すことができる。トランスフェリン(Tf)及びトランスフェリン複合体のトランスサイトーシスは、菌代謝物であるブレフェルジンA(BFA)の存在下で促進されると報告されている。他の研究に於いては、BFA処理は、MDCK細胞に於けるリシンとHRPの双方の頂端部エンドサイトーシスを素早く増加させることが報告されている。従って、レセプター介在性輸送を刺激するBFA及び他の薬剤は、エキセンディンを含む生理活性物質のレセプター介在性輸送を促進するために、組み合せて製剤される(例えば、結合される)及び/又は協調的に投与される薬剤として、本発明の方法に於いて用いることができる。
ポリマー送達賦形剤及び方法
本発明の特定の局面に於いて、エキセンディンタンパク、類似体及び模倣剤、ここに開示される他の生理活性物質、並びに上記の送達促進剤は、別々に又は組み合わせて、担体又は基剤としての役割を果たす生体適合性ポリマーを含む、経粘膜(例えば、経鼻)投与製剤に含められる。このようなポリマー担体には、いくつかあるポリマー形態の中でも特に、ポリマー粉末、マトリックス又は微粒子送達賦形剤が含まれる。該ポリマーは植物、動物又は合成のものを起源としてよい。多くの場合、該ポリマーは架橋されている。更に、これらの送達システムに於いて、エキセンディンを該ポリマーと共有結合的に結合し得るように機能化させ、単純なイッシング(ishing)により、該ポリマーから分離できないようにさせ得る。他の態様に於いて、前記ポリマーは、酵素阻害剤、又は生理活性物質及び/若しくは送達促進剤を分解若しくは不活化することのできる他の薬剤で化学修飾されている。ある製剤に於いて、前記ポリマーは部分的に又は完全に水に不溶であるが、水膨潤性(water swellable)ポリマー(例えば、ハイドロゲル)である。本発明のこの局面に於いて有用なポリマーは、特性として水と相互作用し及び/又は親水性であり、著しい量の水を吸収することが望ましい。そして、該ポリマーは多くの場合、水と平衡に達するのに十分な期間、水又は水性媒体と接触するように置かれた際に、ハイドロゲルを形成する。より詳細な態様に於いて、前記ポリマーは、過剰の水と接触するように置かれると、室温の水に曝された際の平衡時に、少なくともその重量の2倍の水を吸収するハイドロゲルである(米国特許第6,004,583号)。
生分解性ポリマーを基礎とする薬物送達システムは、加水分解によっても、酵素反応によっても分解されて、無毒の分子となるため、多くの生物医学的用途において好ましい。分解の速度は、生分解性ポリマーマトリックスの組成を操作することによって制御される。従って、この種のシステムは、生理活性物質を長期にわたって放出するための特定の環境で用いることができる。ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ−(乳酸)(PLA)及びポリ(D,L乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)のような生分解性ポリマーは、その分解生成物の毒性が低いことが見出されたため、可能な薬物送達担体として非常に注目されている。身体の通常の代謝機能を通じて、これらのポリマーは二酸化炭素と水に分解される。これらのポリマーは、優れた生体適合性をも示す。
エキセンディン、類似体及び模倣剤、並びにここで開示される他の生理活性物質、並びに随意の送達促進剤の生物活性を持続させるため、これらの薬剤はポリマーマトリックス、例えば、ポリオルトエステル、ポリ無水物(polyanhydride)、又はポリエステルに含ませることができる。これにより、例えば、ポリマーマトリックスの分解によって測定されるような、活性薬剤の持続的な活性及び放出が得られる。合成ポリマー内の生物治療分子の封入によって保存及び送達中にこれらの分子を安定化することができるにもかかわらず、ポリマー系放出技術の最大の障害は、多くの場合、熱、超音波処理、又は有機溶媒の関与する製剤過程中に治療分子の活性が喪失することである。
本発明においての使用が意図される吸収促進ポリマーは、改変、修飾、又はブレンドが、水吸収、ハイドロゲル形成、及び/又は化学的安定性等のような、有用な用途のための所望の特性に悪影響を与えない限り、他の天然又は合成ポリマー、ゴム、樹脂、及び他の薬剤、並びにこれらの材料の互いの又は他のポリマーとのブレンドに加えて、前述の種類のポリマーの誘導体及び化学的又は物理的に修飾された型を含んでよい。本発明のより詳細な局面に於いて、ナイロン、アクリラン、及び他の通常は疎水性の合成ポリマーのようなポリマーを、反応により十分に修飾し、水膨潤性にし、及び/又は水性媒体中で安定なゲルを形成してもよい。
本発明の吸収促進ポリマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ビニルピロリドン等のビニルモノマー;並びにポリビニルアルコール及びそのコポリマー及びターポリマー、ポリビニルアセテート及び上記に列挙したモノマーとのコポリマー及びターポリマー、並びに2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))の種々の組み合わせに基づいたホモポリマー及びコポリマーの群由来のポリマーを挙げることができる。上記に列挙したモノマーと、アクリル若しくはメタクリルアミドアクリレート又はエステル基が炭素数1ないし6のアルキル置換基を含んでよい4つ以下の芳香環を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アリール基由来であるメタクリレートエステル類のような共重合可能な官能性モノマー;N,N−ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルオキシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルオキシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドのようなステロイド系、硫酸、リン酸、又はカチオン性モノマーとのコポリマーが非常に有用である。
本発明の範囲内で使用されるさらなる吸収促進ポリマーは、デキストラン、デキストリンとして分類されるポリマー、天然ゴム及び樹脂として分類される種類の材料に由来するポリマー、又は加工コラーゲン、キチン、キトサン、プルラン、ズーグラン(zooglan)、アルギン酸塩、及び「ケルコロイド(Kelcoloid)」(ポリプロピレングリコール修飾アルギン酸塩)のような修飾アルギン酸塩、「ケロコゲル(Kelocogel)」のようなジェランガム、「ケルトロール(Keltrol)」のようなキサンタンガム、エスタスチン、αヒドロキシブチレート及びそのコポリマー、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリ乳酸及びグリコール酸のような天然ポリマー分類に由来するポリマーである。
本発明の範囲内で適用可能なポリマーの非常に有用な種類は、少なくとも1つの活性炭素−炭素オレフィン二重結合及び少なくとも1つのカルボキシル基を含むオレフィン性不飽和カルボン酸、即ち、カルボキシル基に対するα−β位で又は末端メチレン基の一部としてのいずれかでモノマー分子中に存在するために、重合において容易に機能するオレフィン二重結合を含む酸に容易に変換される酸又は官能基である。この分類のオレフィン性不飽和酸としては、アクリル酸自体、α−シアノアクリル酸、βメチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸に代表されるアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3−イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、及びトリカルボキシエチレンのような材料が挙げられる。本明細書中で使用する時、「カルボン酸」という用語は、ポリカルボン酸、及び無水物基が同一のカルボン酸分子上に位置する2つのカルボキシル基からの1つの水分子の脱離により形成される無水マレイン酸のような、これらの無水酸を含む。
本発明の範囲内で吸収促進剤として有用な代表的なアクリル酸塩としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、エタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル等が挙げられる。高級アルキルアクリル酸エステルは、アクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、及びアクリル酸メリシル、並びにこれらのメタクリル酸型である。2又は3又は4種類以上の長鎖アクリル酸エステルの混合物を、1種類のカルボン酸モノマーと首尾よく重合することができる。他のコモノマーとしては、αオレフィン類を含むオレフィン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、及びこれらの混合物が挙げられる。
アクリル酸ニトリルを含む他のビニリデンモノマーもまた、本発明の方法及び組成物の範囲内の吸収促進剤として使用し、対象内の標的組織又は区画(例えば、肝臓、肝門静脈、中枢神経系組織又は脳脊髄液、又は血漿)への活性物質の送達促進の増強を含め、1種又は2種以上のエキセンディンタンパク、類似体、及びミメティクス、並びに他の生理活性物質の送達及び吸収を増強することができる。有用なα−、β−オレフィン性不飽和ニトリル類は、好ましくは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のような炭素数3ないし10のモノオレフィン性不飽和ニトリルである。アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが最も好ましい。モノオレフィン性不飽和アミドを含む、炭素数3ないし35のアクリル酸アミドを使用してもよい。代表的アミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、窒素上のアルキル基が炭素数8ないし32である高級アルキルアミド類、N−メチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−メチロールマレアミン酸エステル、N−メチロール−p−ビニルベンズアミド等のような炭素数4ないし10のものを含む、α、β−オレフィン性不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミドを含むアクリル酸アミドが挙げられる。
さらに有用な吸収促進物質は、炭素数2ないし18、より好ましくは炭素数2ないし8のα−オレフィン類;炭素数4ないし10のジエン類;酢酸ビニルのようなビニルエステル類及びアリルエステル類;スチレン、メチルスチレン、及びクロロスチレンのようなビニル芳香族化合物類;ビニルメチルエーテル及びメチルビニルケトンのようなビニル及びアリルエーテル類並びにケトン類;クロロアクリレート類;α−シアノメチルアクリレート並びにα−、β−、及びγ−シアノプロピルアクリレートのような、シアノアルキルアクリレート類;メトキシエチルアクリレートのようなアルコキシアクリレート類;クロロエチルアクリレートのようなハロアクリレート類;ハロゲン化ビニル及び塩化ビニル、塩化ビニリデン等;ジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、メチレン−ビス−アクリルアミド、アリルペンタエリスリトール等のようなジビニル類、ジアクリレート類、及び他の多官能性モノマー;並びにビス(β−クロロエチル)ビニルホスホネート等のようなビス(β−ハロアルキル)アルケニルホスホネートであり、これらは当業者に公知である。カルボキシ含有モノマーが微量成分であり他のビニリデンモノマーが主成分として存在するコポリマーは、本明細書中に開示した方法にしたがって容易に調製される。
本発明の範囲内の吸収促進剤としてハイドロゲルを使用する場合、これらは、水相互作用性及び水膨潤性を示す、アクリル酸基及びメタクリル酸基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)基若しくはヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)基、並びにビニルピロリドン基由来の合成コポリマーから構成されてよい。特にペプチド又はタンパク質の送達に有用なポリマーの具体的な実例は、以下の種類のポリマーである:(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし99重量%の(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド類及び0.1ないし75重量%の(メタ)アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド;(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし75重量%の(メタ)アクリルアミド;アクリル酸及び0.1ないし75重量%のアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし75重量%のAMPS.RTM.(Lubrizol社の商標);(メタ)アクリルアミド及び0ないし30重量%のアルキル(メタ)アクリルアミド類、及び0.1ないし75重量%のAMPS.RTM.;(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし99重量%のHEMA;(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし75重量%のHEMA、及び0.1ないし99重量%の(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸及び0.1ないし99重量%のHEMA;50モル%のビニルエーテル及び50モル%の無水マレイン酸;(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし75重量%の(メタ)アクリルオキシアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;(メタ)アクリルアミド及び0.1ないし99重量%のビニルピロリドン;(メタ)アクリルアミド及び50重量%のビニルピロリドン、及び0.1ないし99.9重量%の(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸及び0.1ないし75重量%のAMPS.RTM.、及び0.1ないし75重量%のアルキル(メタ)アクリルアミド。上記例では、アルキルは、CないしC30、好ましくはCないしC22の直鎖及び分岐鎖並びにCないしC16の環式を意味し、(メタ)を使用する場合、メチル基を含む及び含まないモノマーが含まれることを意味する。他の非常に有用なハイドロゲルポリマーは、ポリ(ビニルピロリドン)デンプン、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルアルコールの膨潤性を示すが不溶性である型である。
本発明の範囲内で有用なさらなる重合ハイドロゲル物質としては、(ポリ)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート:アニオン性及びカチオン性ハイドロゲル:ポリ(電解質)錯体;酢酸残渣の少ないポリ(ビニルアルコール類):架橋寒天と架橋カルボキシメチルセルロースとの膨潤性混合物:微架橋寒天と混合したメチルセルロースを含む膨潤性組成物;無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン、又はイソブチレンとの微粉コポリマーの分散によって生成された水膨潤性コポリマー;N−ビニルラクタム類の水膨潤性ポリマー;及びカルボキシメチルセルロースの膨潤性ナトリウム塩等が挙げられる。
本発明の範囲内の生理活性物質の粘膜送達のための親水性ハイドロゲルの形成に有用な他のゲル性流体吸水及び保持ポリマーとしては、ペクチン;寒天、アラビアゴム、カラヤ、トラガセント(tragacenth)、アルギン、及びグアー、並びにその架橋型のような多糖類;アクリル酸ポリマー、コポリマー、及び塩誘導体、ポリアクリルアミド類;水膨潤性インデン無水マレイン酸ポリマー;デンプングラフトコポリマー;原重量の約2ないし400倍の水吸収性を有するアクリレート型ポリマー及びコポリマー;ポリグルカンのジエステル類;架橋ポリ(ビニルアルコール)とポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)との混合物;ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマーゲル;イナゴマメゴム;ポリエステルゲル;ポリ尿素ゲル;ポリエーテルゲル;ポリアミドゲル;ポリイミドゲル;ポリペプチドゲル;ポリアミノ酸ゲル;ポリセルロースゲル;架橋インデン−無水マレイン酸アクリレートポリマー;及び多糖類が挙げられる。
本発明の範囲内で使用される合成ハイドロゲルポリマーは、幾つかの比率での幾つかのモノマーの無数の組み合わせによって作製することができる。ハイドロゲルは架橋してよく、これは、一般に、流体を同化して吸収し、拡大した平衡状態に膨潤又は膨張する能力を有する。ハイドロゲルは、通常、鼻粘膜表面への送達時に膨潤又は膨張し、その重量の約2ないし5倍、5ないし10倍、10ないし50倍、50ないし100倍、又はそれを超える倍率の重量の水を吸収する。様々な生理活性物質について、ポリマーによって輸送され又はポリマー内に捕捉され、若しくは封入される活性物質の分子量、大きさ、溶解性、及び拡散特性、並びに各ポリマーに関連する特定のスペーシング及び協同の結鎖運動のような要因に依存して、所与のハイドロゲルの最適な膨潤度が決定される。
本発明の範囲内で有用な親水性ポリマーは、水不溶性であるが、水膨潤性である。かかる水で膨潤したポリマーを、通常、ハイドロゲル又はゲルという。かかるゲルは、適切な架橋剤によるポリマーの架橋過程によって水溶性ポリマーから都合良く生成することができる。しかしながら、安定なハイドロゲルはまた、当該分野で公知の方法にしたがって、pH、温度、及び/又はイオン濃度の規定された条件下で特定のポリマーから形成することもできる。通常、架橋された、即ち、ポリマーが良好な親水性を有する程度に架橋されたポリマーは、(同一又は類似の型の非架橋ポリマーと比較して)物理的完全性が向上し、適切な位置及び時間で活性物質を放出する能力を保持しながら、目的の生理活性物質及び、サイトカイン又は酵素阻害剤のような、それと同時投与するためのさらなる化合物の双方をゲルネットワーク内で保持する能力が向上する。
一般に、本発明の範囲内で使用されるハイドロゲルポリマーは、コポリマーを形成するモノマーの重量を基準として、架橋剤の0.01ないし25重量%、より好ましくは0.1ないし20重量%、より頻繁には0.1ないし15重量%の量で二官能性架橋剤と架橋する。架橋剤の別の有用な量は、0.1ないし10重量%である。三官能性、四官能性、又はそれ以上の多官能性架橋剤を使用してもよい。かかる試薬を使用する場合、より少量の架橋剤で同等の架橋密度、即ち架橋度、又は生理活性物質を効率的に含有するのに十分なネットワーク特性を得ることができる。
架橋は、含水流体の存在下で膨潤する能力を有するポリマーとの共有結合、イオン結合、又は水素結合であってよい。かかる架橋剤及び架橋反応は当業者に公知であり、多くの場合、ポリマー系に依存する。したがって、不飽和モノマーのフリーラジカル共重合によって架橋ネットワークを形成することができる。ポリマーハイドロゲルは、アルコール類、酸類、アミン類のようなポリマー上に見出される官能基と、グリオキサール、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒド、二無水物のような基との反応による予備形成ポリマーの架橋によって形成してもよい。
ポリマーは、例えば、デカジエン又はトリビニルシクロヘキサン等の任意のポリエン;N,N−メチレン−ビス(アクリルアミド)のようなアクリルアミド;トリメチロールプロパントリアクリレートのような多官能性アクリレート類;又は、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アリルアクリレート等を含む、少なくとも2つの末端CH基を含む多官能性ビニリデンモノマーと架橋してもよい。特定の態様では、コポリマーの調製で使用する架橋モノマーは、1分子あたり1以上のアルケニルエーテル基(alkenyl ether grouping)を有するポリアルケニルポリエーテル類であり、これは、選択的にオレフィン二重結合が末端メチレン基(methylene grouping)に結合して存在するアルケニル基を有していてよい(例えば、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも2個の水酸基を含有する多価アルコールのエーテル化によって作製される)。この種類の化合物は、アリルクロライド又はアリルブロミドのようなハロゲン化アルケニルと、1種又は2種以上の多価アルコール類の強アルカリ性水溶液との反応によって生成することができる。生成物は、ポリエーテル類と種々の数のエーテル基との複合混合物であってよい。ポリエーテル架橋剤の効率は、分子上の潜在的に重合可能な基の数とともに向上する。通常、1分子あたり平均2又はそれ以上のアルケニルエーテル基(alkenyl ether grouping)を含有するポリエーテル類を使用する。他の架橋モノマーとしては、例えば、ジアリルエステル類、ジメタアリルエーテル類、アリル又はメタアリルアクリレート類及びアクリルアミド類、テトラビニルシラン、ポリアルケニルメタン類、ジアクリレート類、及びジメタクリレート類、ジビニルベンゼンのようなジビニル化合物、ポリアリルホスフェート、ジアリルオキシ化合物、並びに亜リン酸エステル類等が挙げられる。代表的な作用物質は、アリルペンタエリスリトール、アリルスクロース、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等である。アリルペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、及びアリルスクロースは、適切なポリマーを提供する。架橋剤が存在する場合、ポリマー混合物は、通常、全カルボン酸モノマーに基づいて、例えば、1重量%、5重量%、又は10重量%、又はそれ以上等の約0.01ないし20重量%の架橋モノマー、さらに他のモノマーを含有する。
本発明のより詳細な局面では、エキセンディンの粘膜送達は、例えば、分解酵素の作用から活性物質を保護するハイドロゲルのような徐放性又は酵素的若しくは生理学的保護担体若しくは賦形剤中に活性物質を保持することにより促進される。特定の態様では、活性物質を、化学的手段によって担体又は賦形剤に結合させ、それに酵素阻害剤、サイトカイン等のようなさらなる薬剤と混合又は結合させてもよい。あるいは、活性物質を、十分な物理的捕捉を通して、例えば、ポリマーマトリックス等の担体又は賦形剤内に固定化してよい。
本発明の範囲内で有用なハイドロゲルのようなポリマーは、それと共に処方する活性物質の鼻腔内バイオアベイラビリティの増強のために、ポリマーに化学的に組み込んだグリコシド類のような機能的結合剤を組み込んでよい。かかるグリコシド類の例は、グルコシド類、フルクトシド類、ガラクトシド類、アラビノシド類、マンノシド類、及びそれらのアルキル置換誘導体、並びにアルブチン、フロリジン、アミグダリン、ジギトニン、サポニン、及びインジカンのような天然グリコシド類である。代表的なグリコシドがポリマーに結合することができる方法が幾つか存在する。例えば、グリコシド又は他の類似の炭水化物の水酸基の水素を、ハイドロゲルポリマー由来のアルキル基に置換してエーテルを形成することができる。また、グリコシド類の水酸基を反応させて、ポリマーハイドロゲルのカルボキシル基をエステル化し、in situでポリマーエステルを形成することができる。別の手法は、アセトブロモグルコースとマレイン酸のコポリマー上のコレスト−5−エン−3β−オールとの縮合を使用することである。活性化ポリマーとω−アミノアルキルグリコシド類との反応によって、以下のN置換ポリアクリルアミド類を合成することができる:(1)(炭水化物スペーサー)(n)−ポリアクリルアミド、「偽多糖類(pseudopolysaccharide)」;(2)(炭水化物スペーサー)(n)−ホスファチジルエタノールアミン(m)−ポリアクリルアミド、ネオ糖脂質類、ホスファチジルエタノールアミンの誘導体;(3)(炭水化物スペーサー)(n)−ビオチン(m)−ポリアクリルアミド。これらのビオチン化誘導体は粘膜表面上のレクチンに付着し、例えば、ポリマー封入エキセンディン等の生理活性物質の吸収を促進することができる。
本発明のより詳細な局面の範囲内で、選択的に、プロテアーゼ阻害剤、サイトカイン、細胞間結合生理機能のさらなる調節因子等の二次活性物質を含む、本明細書中に開示した1又は2つ以上のエキセンディン、類似体、及びミメティクス、及び/又は他の生理活性物質は、修飾され、ポリマー担体又はマトリックスに結合する。例えば、架橋ポリマーネットワーク内でのペプチド又はタンパク質活性物質と他の選択的活性物質との化学結合によってこれを達成することができる。ポリマーを個別にグリコシド含有分子のような相互作用剤で化学修飾することも可能である。特定の局面では、生理活性物質及び任意の二次活性物質を官能化、即ち、適切な反応性基を同定するか又は活性物質に化学的に付加してもよい。ほとんどの場合、エチレン重合基を付加し、次いで、溶液重合(通常、水中)、乳化重合、懸濁重合、又は分散重合のような標準的な重合方法を使用して、官能化活性物質をモノマー及び架橋剤と共重合する。多くの場合、官能化剤は、確実に活性物質上の幾つかの部位を官能化するのに十分な高濃度の官能基又は重合基を備える。例えば、16個のアミン部位を含むポリペプチド中では、一般に、少なくとも2、4、5、7、及び8又は9個以上の部位が官能化されることが望ましい。
官能化後、官能化活性物質を、モノマー及び目的のポリマーが形成される試薬を含む架橋剤と混合する。次いで、この媒質中で重合を誘導し、結合した活性物質を含有するポリマーを作製する。次いで、ポリマーを、水又は他の適切な溶媒と組み合わせ、さもなければ精製して微量の未反応不純物を除去し、必要に応じて、撹拌、メッシュへの圧入、超音波処理、又は所望の粒径にする他の好適な手段のような物理的手段によって粉砕又は分解する。次いで、溶媒(通常、水)を、活性物質が変性しない又はさもなければ分解しないような様式で除去する。1の望ましい方法は、凍結乾燥(フリーズドライ)であるが、例えば、真空乾燥、風乾、噴霧乾燥等の他の方法も利用可能であり、使用することができる。
本発明の範囲内のペプチド、タンパク質、及び他の活性物質中に重合基を導入するために、利用可能なアミノ基、水酸基、チオール基、及び他の反応基と、不飽和基を含む求電子剤とを反応させることが可能である。例えば、N−ヒドロキシスクシニミジル基、p−ニトロフェニルカーボネート、トリクロロフェニルカーボネート、トレシレート、オキシカルボニルイミダゾール類、エポキシド、イソシアネート類及びアルデヒド等のような活性炭酸塩、並びに不飽和カルボキシメチルアジド類及び不飽和オルソピリジル−ジスルフィドを含有する不飽和モノマーは、この試薬分類に属する。不飽和試薬の実例は、アリルグリシジルエーテル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、塩化アクリロイル、イソシアン酸アリル、塩化アリルスルホニル、無水マレイン酸、及び無水マレイン酸とアリルエーテルとのコポリマー等である。
アルデヒドを除く全てのリジン活性誘導体は、一般に、局所環境がこれらの基の求核性を増強する場合、ヒスチジンのイミダゾール基、チロシンの水酸基、及びシスチンのチオール基のような他のアミノ酸と反応することができる。アルデヒド含有官能化試薬は、リジンに特異的である。リジン、システイン、チロシン由来の利用可能な基とのこれらの種類の反応は、文献で広範に記述されており、当業者に公知である。
アミン基を含有する生理活性物質の場合、かかる基と塩化アクリロイルのような塩化アシロイルとを反応させ、反応した薬剤に重合性アクリル基を導入することが都合がよい。次いで、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマーの架橋中等のようなポリマーの調製中、官能化活性剤を、アクリル基を介して、ポリマーに付着させ、結合させる。
本発明のさらなる局面では、in vivoで生理活性のあるペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、及び他の分子を含む生理活性物質は、1種又は2種以上の活性物質と、その例えば、直鎖ポリアルキレングリコール等の親水性部分、親油性部分の両方の複合的な部分として組み込まれるポリマーとの共有結合によって結合安定化する(例えば、米国特許第5,681,811号を参照のこと)。一局面では、生理活性物質は、(i)直鎖ポリアルキレングリコール部分及び(ii)親油性部分を含むポリマーと共有結合し、ここで活性物質、直鎖ポリアルキレングリコール部分、及び親油性部分は、活性治療薬が酵素分解に対するin vivo耐性を増強するように(即ち、それに結合したポリマーを欠く非結合形態における類似の条件下での安定性と比較して)高次構造的に相互に関連して配置される。別の局面では、結合安定化製剤は、(i)直鎖ポリアルキレングリコール部分及び(ii)親油性部分を含むポリソルベート複合体と共有結合した生理活性物質を含む三次元高次構造を有し、ここで活性物質、直鎖ポリアルキレングリコール部分、及び親油性部分は、(a)親油性部分が三次元高次構造の外部で利用可能であり、且つ(b)組成物中の活性物質の酵素分解に対するin vivo耐性が増強されるように高次構造的に相互に関連して配置される。
さらに関連する局面では、トリグリセリド骨格部分の炭素原子で結合したポリアルキレングリコールスペーサー基を介してトリグリセリド骨格部分と共有結合した生理活性物質、及びトリグリセリド骨格部分の炭素原子に直接共有結合しているか又はポリアルキレングリコールスペーサー部分を介して共有結合している少なくとも1つの脂肪酸部分を具える多リガンド結合複合体を提供する(例えば、米国特許第5,681,811号を参照のこと)。かかる多リガンド結合治療薬複合体では、トリグリセリド生理活性部分のα’及びβ炭素原子は、直接的共有結合又はポリアルキレングリコールスペーサー部分を介した間接的共有結合のいずれかによって結合した脂肪酸部分を有してよい。あるいは、脂肪酸部分は、直接的又はポリアルキレングリコールスペーサー部分を介してトリグリセリド骨格部分のα及びα’炭素に共有結合してよく、その生理活性治療薬は、直接的に共有結合しているか、又はポリアルキレングリコールスペーサー部分を介して間接的に結合しているトリグリセリド骨格部分のγ炭素に共有結合している。本発明の範囲内で、トリグリセリド骨格部分を含む多リガンド結合治療薬複合体には、広範な種々の構造的、組成的、及び高次構造的形態が可能であると認められる。本発明の範囲内で、かかる多リガンド結合治療薬複合体では、生理活性物質は、アルキルスペーサー基又は他の許容可能なスペーサー基を介してトリグリセリド修飾骨格部分と共有結合していれば有利であることが、さらに述べられる。かかる状況で使用される時、スペーサー基の許容性とは、立体的、組成的、及び最終用途特異的な許容性を指す。
本発明のさらなる局面では、そのα、α’、及びβ炭素原子に、(i)脂肪酸基及び(ii)生理活性物質又は、例えばポリエチレングリコール基の適切な官能基に結合した等の、それに共有結合した部分を有するポリエチレングリコール基を含む官能基が共有結合したトリグリセリド骨格を含む、ポリソルベート部分を具えるポリソルベート複合体を具える結合安定化複合体を提供する。かかる共有結合は、例えば、ポリエチレングリコール基の水酸末端官能基等との直接的共有結合であってよく、又は、例えば、ポリエチレングリコール基の末端カルボキシ官能スペーサー基との水酸末端の反応的キャッピングによる等の、間接的共有結合であって得られたキャッピングポリエチレングリコール基が生理活性物質又は部分を共有結合してよい末端カルボキシ官能基を有するようにしてもよい。
本発明のさらなる局面では、生理学的に適合性のポリエチレングリコール(PEG)で修飾された糖脂質部分に共有結合した、本明細書中に開示した1種又は2種以上のエキセンディンタンパク、類似体、及びミメティクス、及び/又は他の生理活性物質を含む安定な水溶性の結合安定化複合体を提供する。かかる複合体では、生理活性物質は、活性物質の遊離アミノ酸基での不安定な共有結合によって生理学的に適合性のPEGで修飾された糖脂質部分に共有結合してよく、ここで不安定な共有結合は、生化学的加水分解及び/又はタンパク質分解によってin vivoで切断可能である。生理学的に適合性のPEGで修飾された糖脂質部分は、例えば、モノパルミテート、ジパルミテート、モノラウレート、ジラウレート、トリラウレート、モノオレエート、ジオレエート、トリオレエート、モノステアレート、ジステアレート、及びトリステアレートから成る群より選択される脂肪酸エステル基を含むポリソルベートポリマー等のポリソルベートポリマーを含んでいれば有利である。かかる複合体では、生理学的に適合性のPEGで修飾された糖脂質部分は、脂肪酸のポリエチレングリコールエーテル類及び脂肪酸のポリエチレングリコールエステル類から成る群より選択されるポリマーを好適に含んでよく、ここで脂肪酸は、例えば、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、及びステアリン酸から成る群より選択される脂肪酸を含む。
材料の保存
本発明の特定の局面では、本明細書中の併用製剤及び/又は協調投与方法は、荷電ガラスへ付着してそれにより容器中の有効濃度を低減する可能性があるペプチド及びタンパク質を有効量組み込む。例えばシラン化ガラス容器のような、シラン化容器を用いて、最終製品を保管し、ガラス容器へのポリペプチド又はタンパク質の吸着を低減する。
本発明のさらなる局面では、哺乳動物対象の治療用キットは、哺乳動物対象の粘膜送達のために処方した1種又は2種以上のエキセンディン化合物の安定な医薬品組成物を具え、該組成物は許容できない有害な副作用を伴うことなく前記対象の肥満、癌、又は栄養失調症、又は癌に関連するイスティング(isting)の1種又は2種以上の症状の緩和に有効である。キットは、さらに、1種又は2種以上のエキセンディン化合物を収容するための医薬品用試薬バイアルを含む。医薬品用試薬バイアルは、医薬品グレードのポリマー、ガラス、又は他の好適な材料から構成される。医薬品用試薬バイアルは、例えば、シラン化ガラスバイアルである。キットは、さらに、組成物を対象の鼻粘膜表面に送達するための開口部を具える。送達開口部は、医薬品グレードのポリマー、ガラス、又は他の好適な材料から構成される。送達開口部は、例えば、シラン化ガラスである。
シラン化技術は、シラン化すべき表面の特殊クリーニング技術と低圧でのシラン化過程とを組み合わせる。シランは気相であり、高温で表面がシラン化される。この方法により、単層の特徴を有する、安定で均質な官能シラン層を有する再生可能な表面が得られる。シラン化表面は、本発明のポリペプチド又は粘膜送達促進剤のガラスへの結合を防ぐ。
この手順は、本発明のエキセンディン組成物を保持するためのシラン化医薬品用試薬バイアルを調製するのに有用である。使用前に再蒸留水(ddHO)でリンスすることによりガラストレイを清浄する。次いで、シラントレイを、95%EtOHでリンスし、アセトントレイをアセトンでリンスする。医薬品用試薬バイアルを、アセトン中で10分間超音波処理する。アセトン超音波処理後、試薬バイアルをddHOトレイ中に少なくとも2回イッシュする(ished)。試薬バイアルを、0.1M NaOH中で10分間超音波処理する。試薬バイアルをNaOH中で超音波処理しながら、ドラフト中でシラン溶液を作製する。(シラン溶液:800mLの95%エタノール;96Lの氷酢酸;25mLのグリシドキシプロピルトリメトキシシラン)。NaOH超音波処理後、試薬バイアルをddHOトレイ中に少なくとも2回イッシュする(ished)。試薬バイアルをシラン溶液中で3ないし5分間シラン化する。試薬バイアルを、100%EtOHトレイ中に浸漬する。試薬バイアルを、予精製したNガスで乾燥させ、使用前に100℃のオーブンで少なくとも2時間保存する。
生体接着性送達賦形剤及び方法
本発明の特定の局面では、本明細書中の組合せ製剤及び/又は協調投与方法は、1種又は2種以上の生理活性物質の粘膜送達を増強するための補助化合物又は担体として有効量の無毒性生体接着剤を組み込む。この状況での生体接着剤は、1種又は2種以上の成分又は標的粘膜の表面に対して一般的又は特異的接着を示す。生体接着剤は、粘膜中の又は粘膜を通過する生理活性物質の所望の濃度勾配を保持し、粘膜上皮中の又は粘膜上皮を通過する巨大分子(例えば、ペプチド及びタンパク質)の透過を確実にする。通常、本発明の方法及び組成物の範囲内の生体接着剤の使用により、粘膜上皮中の又は粘膜上皮を通過するペプチド及びタンパク質の浸透性を2倍ないし5倍、多くの場合、5倍ないし10倍増加させる。この上皮浸透の増強により、多くの場合、例えば、鼻上皮の基底部分又は隣接細胞外区画若しくは血漿又は中枢神経系組織若しくは脳脊髄液中に巨大高分子が有効に経粘膜送達される。
送達が促進されたことにより、生理活性ペプチド、タンパク質、及び他の高分子治療種の送達効率が非常に向上する。これらの結果は、化合物の親水性に一部依存し、それにより、水不溶性化合物と比較して、親水性種を用いるより高い透過性が得られる。これらの効果に加えて、粘膜表面での薬物の持続性を増強するための生体接着剤の使用により、薬物送達を持続させるためのリザーバ機構を誘発することができ、それにより、化合物が粘膜組織を介して透過するだけでなく、表面上の物質が枯渇した時点で、粘膜表面に逆拡散する。
経口投与分野では、種々の好適な生体接着剤は、米国特許第3,972,995号;同第4,259,314号;同第4,680,323号;同第4,740,365号;同第4,573,996号;同第4,292,299号;同第4,715,369号;同第4,876,092号;同第4,855,142号;同第4,250,163号;同第4,226,848号;同第4,948,580号;米国再発行特許第33,093号に開示されており、これらは本発明の新規方法及び組成物で使用されている。本発明の方法及び組成物の範囲内の、例えば鼻粘膜等の粘膜送達プラットフォームであるムスコザールなどの種々の生体接着ポリマーの能力は、エキセンディンを保持及び放出する能力の測定、並びに、その中の活性物質を組み込んだ後に粘膜表面と相互作用する能力によって容易に評価することができる。さらに、周知の方法を適用して、粘膜投与部位の組織との選択されたポリマーの生体適合性を判定する。標的粘膜が粘液で覆われている場合(即ち、粘膜溶解処理又は粘液除去処理を行わない場合)、下にある粘膜上皮に繋がる接続物として機能し得る。したがって、本明細書中で使用する時、「生体接着剤」という用語はまた、本発明の範囲内の生理活性物質の粘膜送達の促進に有用な粘膜接着化合物を包含する。しかしながら、粘液ゲル層への接着を介して媒介される粘膜組織への接着接触は、粘膜層とその下にある組織との間(特に、急速な粘液クリアランスが起こる鼻腔面)の不完全又は一過性の付着によって制限される場合がある。これに関して、ムチン糖タンパク質が継続的に分泌され、細胞又は腺からのその放出直後に、粘弾性ゲルが形成される。しかしながら、接着性ゲル層の管腔表面は、機械的作用、酵素的作用、及び/又は繊毛作用により継続的に浸食される。かかる活性がより顕著な場合又はより長い接着時間が所望される場合、本発明の協調投与方法及び組合せ製剤方法は、上記の本明細書中に開示した及び/又は繊毛静止(ciliostatic)方法又は薬剤をさらに組み込んでよい。
通常、本発明の範囲内で使用される粘膜接着ポリマーは、複雑であるが非特異的な機構によって湿潤した粘膜組織表面に接着する天然又は合成高分子である。これらの粘膜接着ポリマーに加えて、本発明はまた、レセプターにより介在されるものを含む、特異的相互作用を用いて、粘液よりもむしろ細胞表面に直接接着する生体接着剤を組み込む方法及び組成物を提供する。この特異的様式で機能する生体接着剤の一例は、レクチンとして公知の化合物群である。これらは、例えば、糖タンパク質又は糖脂質等の糖分子を特異的に認識して結合する能力を有する糖タンパク質であり、これは鼻腔内上皮細胞膜の一部を形成し、「レクチンレセプター」として見なすことができる。
本発明の特定の局面では、生理活性物質の経鼻送達を促進するための生体接着材料は、湿潤した粘膜表面に接着することができる、例えば、水溶性又は水膨潤性等の親水性ポリマー又はポリマー混合物のマトリックスを含む。これらの接着剤を、軟膏、ハイドロゲル(上記を参照のこと)、薄膜、及び他の適用形態として処方することができる。多くの場合、これらの接着剤は、活性物質の遅延放出又は局所送達を達成するために、それと混合された生理活性物質を有する。例えば、個体の循環系へ鼻粘膜を通過する活性物質の透過を促進するためのさらなる成分を処方したものもある。
種々のポリマー(天然及び合成の両方)は、生理学的条件下で粘液及び/又は粘膜上皮表面への有意な結合を示す。この相互作用の強度は、機械的剥離試験又は剪断試験によって容易に測定することができる。湿性の粘膜表面に適用する場合、多くの乾燥材料が少なくとも僅かに自発的に接着する。かかる初期接触後、幾つかの親水性材料が吸着、膨潤、又は毛管力によって水を吸引し始め、この水がその下に存在する基質又はポリマー組織界面から吸収される場合、接着は、生理活性物質の粘膜吸収を促進する目的を達成するのに十分であり得る。かかる「水和による接着」は、非常に強力であり得るが、この機構を使用するように適合させた製剤は、投与量が水和粘液に変換するように膨潤し続ける一因でなければならない。前水和状態で適用した場合に一般に非接着性を示す本発明の範囲内で有用な多数のヒドロコロイド、特に、幾つかのセルロース誘導体のためにこれを計画する。それにもかかわらず、粘膜投与のための生体接着剤送達系は、かかる材料を乾燥ポリマー粉末、微粒子、又はフィルム型の送達形態で適用した場合に本発明の範囲内で有用である。
他のポリマーは、乾燥状態で適用した場合だけでなく、完全に水和した状態、及び過剰量の水の存在下でも粘膜表面に接着する。したがって、粘膜接着剤の選択には、組織への接触を形成及び維持する、生理学的条件並びに物理化学的条件を十分に考慮する必要がある。特に、意図する接着部位に通常存在する水又は湿気の量及び一般的なpHは、様々なポリマーの粘膜接着結合強度に大きな影響を与えることが公知である。
幾つかのポリマー生体接着剤送達系は、過去20年間に作製及び研究されているが、常に成功しているわけではない。しかしながら、種々のかかる担体は、現在、歯科、整形外科、眼科、及び外科での使用に関与する臨床応用で使用されている。例えば、生体接着デバイスのためにアクリル系ハイドロゲルが広範に使用されている。アクリル系ハイドロゲルは、損傷を引き起こす接触した組織への摩擦を減少させる、部分的に膨潤した状態での可撓性及び非磨耗特性のために生体接着剤として十分に好適である。さらに、膨潤状態でのその浸透性の高さにより、未反応のモノマー、非架橋ポリマー鎖、及び開始剤を、重合後にマトリックスから洗浄することが可能になり、これは、本発明の範囲内で使用される生体接着材料の選択のための重要な特徴である。アクリル系のポリマーデバイスは、非常に高い接着結合強度を示す。ペプチド薬及びタンパク質薬の粘膜送達を制御するために、本発明の方法及び組成物は、選択的に、タンパク質分解性の破壊から生理活性物質を保護するように一部機能する、例えば、ポリマー送達賦形剤等の担体の使用を含むと同時に、鼻粘膜中の又は鼻粘膜を通過するペプチド又はタンパク質の透過を増強する。この状況では、生体接着ポリマーは、経口薬物送達を促進する十分な能力が証明されている。例として、粘膜接着性ポリ(アクリル酸)誘導体であるポリカルボフィルの1%(w/v)生理食塩水分散液と共にラットに十二指腸内投与した9−デスグリシンアミド、8−アルギニンバソプレシン(DGAVP)のバイオアベイラビリティは、このポリマーを含まないペプチド薬の水溶液と比較して3ないし5倍増加する。
ポリ(アクリル酸)型の粘膜接着ポリマーは、幾つかの腸プロテアーゼの強力な阻害剤である。酵素阻害機構は、トリプシン及びキモトリプシンのような金属プロテアーゼの不可欠な補因子である、カルシウム及び亜鉛のような2価の陽イオンに対するこの分類のポリマーの強い親和性によって説明される。ポリ(アクリル酸)によるプロテアーゼの補因子の欠乏は、酵素活性の喪失によって達成される酵素タンパク質の不可逆的な構造の変化を誘導することが報告されている。同時に、他の粘膜接着ポリマー(例えば、幾つかのセルロース誘導体及びキトサン)は、特定の条件下でタンパク質分解酵素を阻害することができない。例えば、アプロチニン、ベスタチン等の、本発明の範囲内での使用が意図される、比較的小分子である他の酵素阻害剤と対照的に、阻害ポリマーの経鼻吸収は、これらの分子のサイズの観点からごく僅かである可能性が高く、それにより、有害な副作用の可能性が排除される。したがって、特に、ポリ(アクリル酸)型の粘膜接着ポリマーは、吸収促進接着剤及び酵素保護剤の両方として機能し、特に、安全上の懸念が考慮される場合にペプチド薬及びタンパク質薬の制御送達を促進し得る。
酵素分解に対する保護に加えて、本発明の範囲内で使用される生体接着剤及び他のポリマー若しくは非ポリマー吸収促進剤は、生理活性物質に対する粘膜浸透性を直接増加させることができる。ペプチド及びタンパク質のような、鼻上皮性関門を通過する巨大且つ親水性の分子の輸送を容易にするために、粘膜接着ポリマー及び他の薬剤は、送達系の前粘膜滞留時間の延長によって説明される効果を超える浸透効果の増強をもたらすと考えられてきた。報告によれば、薬物血漿濃度の経時変化により、生体接着微粒子が、鼻粘膜を通過するインスリン浸透性を、急速であるが一過的に増加させることが示唆された。例えば、キトサン等の、本発明の範囲内で使用される他の粘膜接着ポリマーは、報告によれば、水溶液又はゲルとして適用した場合でさえ、特定の粘膜上皮の浸透性を増強する。上皮浸透性に直接影響を与えることが報告されている別の粘膜接着ポリマーは、ヒアルロン酸及びそのエステル誘導体である。本発明の協調投与及び/又は組合せ製剤方法並びに組成物の範囲内の特に有用な生体接着剤は、キトサン並びにその類似体及び誘導体である。キトサンは、低毒性及び良好な生体適合性を示す好ましい性質のために、薬学的及び医学的適用のために広く使用されている無毒性、生体適合性且つ生分解性のポリマーである。キトサンは、アルカリでのN脱アセチル化によってキチンから調製される天然のアミノ多糖類である。本発明の方法及び組成物の範囲内で使用される場合、キトサンは、適用した粘膜部位での本明細書中に開示したエキセンディンタンパク質、類似体、及びミメティクス、並びに他の生理活性物質の滞留を増加させる。この投与様式はまた、患者の服薬遵守及び許容性を改善することができる。本明細書中でさらに提供するように、本発明の方法及び組成物は、所望により、新規のキトサン誘導体又はキトサンの化学修飾形態を含む。本発明の範囲内で使用される1つのかかる新規の誘導体を、β−[1→4]−2−グアニジノ−2−デオキシ−D−グルコースポリマー(ポリ−GuD)と示す。キトサンは、キチンのN脱アセチル化生成物であり、経口及び経鼻製剤のための微粒子を調製するために広く使用されている天然に存在するポリマーである。キトサンポリマーはまた、非経口薬物送達のための可溶性担体としても提案されている。本発明の一局面の範囲内で、o−メチルイソ尿素を使用して、キトサンアミンをそのグアニジニウム部分に変換する。グアニジニウム化合物は、例えば、pH8.0超過でのキトサンとo−メチルイソ尿素の等規定液(equi-normal solution)の間での反応によって調製する。
本発明の範囲内で使用される生体接着剤として分類されるさらなる化合物は、通常、生体接着化合物の相補的構造と粘膜上皮表面成分との間の「レセプター−リガンド相互作用」として分類される、特異的相互作用の媒介によって作用する。多くの天然物の例は、レクチン−糖相互作用によって例示されるような、特異的結合生体接着剤の形態を説明する。レクチンは、多糖類又は複合糖質に結合する非免疫起源の(糖)タンパク質である。
幾つかの植物レクチンは、可能な薬学的吸収促進剤として調査されている。ある植物レクチン(インゲンマメ血球凝集素(PHA))は、ラットへの給餌後に10%を超える高い経口バイオアベイラビリティを示す。トマト(リコペルシコン・エスキュレンタム(Lycopersicon esculeutum))レクチン(TL)は、種々の投与様式で安全であると思われる。
要約すると、上記生体接着剤は、選択的に、1種又は2種類以上のエキセンディンタンパク質、類似体、及びミメティクス、並びに他の生理活性物質の持続性を延長するか又は別の方法で粘膜吸収を増加させるのに有効な量及び形態の生体接着剤を組み込んだ、本発明の組合せ製剤及び協調投与方法において有用である。生体接着剤は、本発明の組合せ製剤内の補助化合物又は添加物として協調的に投与してよい。特定の態様では、生体接着剤は、「薬学的のり」として作用するのに対して、他の態様では、ある場合には、上皮細胞「レセプター」との特異的なレセプター−リガンド相互作用の促進により、別の場合には、送達標的部位(例えば、肝臓、血漿、又は中枢神経系組織又は脳脊髄液)で測定される薬物濃度勾配を有意に増加させるための上皮浸透性の増加により、生体接着剤の補助送達又は組合せ製剤は、生理活性物質と鼻粘膜との接触を強化するように機能する。本発明の範囲内で使用されるさらなる生体接着剤は、生体接着剤と協調的に送達されるか又は組合せ製剤中の粘膜投与生体治療薬の安定性を増強するための酵素(例えば、プロテアーゼ)阻害剤として作用する。
リポソーム及びミセル送達賦形剤
本発明の協調投与方法及び組合せ製剤は、選択的に有効な脂質又は脂肪酸系担体、加工助剤、又は送達賦形剤を組み込み、エキセンディンの粘膜送達のために改良された製剤を提供する。例えば、リポソーム、混合ミセル担体、又は乳濁液と混合又は封入又は、共に協調的に投与された、ペプチド又はタンパク質のような1種又は2種類以上のこれらの活性物質を含む粘膜送達のための種々の製剤及び方法を提供し、粘膜送達時に(例えば、タンパク質分解、化学修飾、及び/又は変性に対する感受性の減少によって)生理活性物質の化学的及び物理的安定性を増強し、半減期を増加させる。
本発明の特定の局面の範囲内で、生理活性物質専門の送達系は、リポソームとして公知の脂質小胞を含む。これらは、通常、天然、生分解性、無毒性、及び非免疫原性脂質分子から作製し、ペプチド及びタンパク質を含む薬物分子をその膜中又は膜上に効率的に捕捉又は結合させることができる。封入されたタンパク質が小胞内のその好ましい水性環境下に残存し得る一方で、リポソーム膜がタンパク質分解及び他の不安定化因子からタンパク質を保護するという事実によって本発明の範囲内のペプチド及びタンパク質送達系としてのリポソームの魅力が増す。たとえ公知の全てのリポソーム調製方法が、その固有の物理的及び化学的性質によってペプチド及びタンパク質の封入を実現可能な訳ではないとしても、幾つかの方法により、実質的に失活することなくこれらの高分子を封入可能である。
米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、及び同第4,837,028号等の種々の方法を、本発明の範囲内で使用されるリポソームの調製に利用可能である。リポソーム送達と共に使用するために、生理活性物質は、通常、リポソーム若しくは脂質小胞内に捕捉されるか又は小胞の外側に結合する。
リポソームのように、粘膜吸収増強活性をも有する不飽和長鎖脂肪酸は、二重層様構造(いわゆる、「ウファソーム(ufasome)」)を有する、閉鎖した小胞を形成することができる。これらは、例えば、本発明の範囲内の、例えば、鼻腔内等の粘膜送達のための生理活性ペプチド及びタンパク質を捕捉するためにオレイン酸を使用して形成することができる。
本発明の範囲内で使用される他の送達系は、ポリマー及びリポソームを併用し、天然ポリマーであるフィブリンの内部への封入のような両小胞の有利な性質を組み合わせる。さらに、この送達系からの生体治療化合物の放出は、共有結合架橋の使用及びフィブリンポリマーへの抗フィブリン溶解剤の添加によって制御可能である。
本発明の範囲内で使用される、より単純化した送達系としては、脂質担体と、タンパク質及びポリアニオン性核酸のような荷電生理活性物質との間の静電相互作用を得るために有効に使用することができる送達賦形剤又は担体としてのカチオン性脂質の使用が挙げられる。これにより、薬物が粘膜投与及び/又はその後の全身区画への送達に適切な形態に有効にパッケージングされる。
本発明の範囲内で使用されるさらなる送達賦形剤としては、長鎖及び中鎖脂肪酸並びに脂肪酸を含む界面活性剤混合ミセルが挙げられる。エステル形態である、大部分が天然に存在する脂質は、粘膜表面を通過する脂質自体の輸送に関して重要な意味を持つ。遊離脂肪酸及び極性基が結合したモノグリセリドは、混合ミセルの形態で、透過増強剤として腸障壁で作用することが証明された。この、遊離脂肪酸(鎖長が炭素数12ないし20で変動するカルボン酸)及びその極性誘導体の障壁改変機能の発見により、粘膜吸収促進剤としてのこれらの薬剤の用途に関する広範な研究が促されている。
本発明の方法の範囲内で使用するために、長鎖脂肪酸類、特に、融合性脂質(オレイン酸、リノール酸、リノール酸、モノオレイン等のような不飽和脂肪酸類及びモノグリセリド類)により、エキセンディンの粘膜送達を促進するための有用な担体が得られる。中鎖脂肪酸類(C6ないしC12)及びモノグリセリド類はまた、腸薬物吸収活性の増強を示し、本発明の粘膜送達製剤及び方法の範囲内での使用に適応することができる。さらに、中鎖及び長鎖脂肪酸類のナトリウム塩類は、本発明の範囲内での生理活性物質の粘膜送達のための有効な送達賦形剤及び吸収促進剤である。したがって、脂肪酸は、ナトリウム塩の可溶化形態で使用する、又は、例えば、ポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油、タウロコール酸ナトリウム等の無毒性界面活性剤の添加により使用することができる。本発明の範囲内で有用な他の脂肪酸及び混合ミセル剤としては、選択的にグリコール酸塩及びタウロコール酸塩のような胆汁酸塩と組み合わせた、カプリル酸Na(C8)、カプリン酸Na(C10)、ラウリン酸Na(C12)、又はオレイン酸Na(C18)が含まれるが、これらに限定されない。
ペグ化
本発明の範囲内で提供されるさらなる方法及び組成物は、例えば、デキストラン類、ポリビニルピロリドン類、糖ペプチド類、ポリエチレングリコール、及びポリアミノ酸類等のポリマー物質の共有結合による生物活性ペプチド及びタンパク質の化学修飾を含む。得られた結合ペプチド及びタンパク質は、粘膜投与のためのその生理活性及び溶解性を保持している。別の態様では、エキセンディンタンパク質、類似体、及びミメティクス、並びに他の生理活性ペプチド及びタンパク質は、ポリアルキレンオキシドポリマー、特にポリエチレングリコール(PEG)に結合する。米国特許第4,179,337号。
本発明の範囲内で使用されるアミン反応性PEGポリマーとしては、分子量が2000、5000、10000、12000、及び20000のSC−PEG、U−PEG−10000、NHS−PEG−3400−ビオチン、T−PEG−5000、T−PEG−12000、及びTPC−PEG−5000が挙げられる。生理活性ペプチド及びタンパク質のペグ化は、カルボキシ部位(例えば、カルボキシル末端に加えてアスパラギン酸基又はグルタミン酸基)の修飾によって行うことができる。酸性条件下でのカルボジイミド活性化タンパク質カルボキシル基の選択的修飾におけるPEG−ヒドラジドの有用性が記載されている。あるいは、生理活性ペプチド及びタンパク質の二官能性PEG修飾を使用することができる。幾つかの手順では、リジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸を含む、荷電アミノ酸残基は、顕著なタンパク質表面上の溶媒接近可能(solvent accessible)傾向を示す。
活性物質の他の安定化修飾
ペグ化に加えて、本発明の範囲内で使用されるペプチド及びタンパク質のような生理活性物質を修飾し、例えば、1種又は2種類以上の免疫グロブリン鎖のような1種又は2種類以上の担体タンパク質に結合した活性ペプチド、タンパク質、類似体、又はミメティクスとの融合タンパク質の作製により、他の公知の保護化合物又は安定化化合物への結合を介した活性物質の保護によって循環半減期を増強することができる。
製剤及び投与
本発明の粘膜送達製剤は、通常、1種又は2種類以上の薬学的に許容可能な担体及び所望により他の治療成分と組み合わせたエキセンディンを含む。担体は、製剤の他の成分と適合し、且つ対象に許容できない悪影響を及ぼさないという意味で「薬学的に許容可能」でなければならない。かかる担体は、本明細書の上部に記載されているか、又は薬理学分野の当業者に周知である。望ましくは、製剤は、投与すべき生理活性物質に適合しないことが公知である酵素又は酸化剤のような物質を含むべきではない。製剤は、薬学分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
本発明の組成物及び方法の範囲内で、エキセンディンは、経口、経直腸、経膣、鼻腔内、肺内、若しくは経皮送達、又は眼、耳、皮膚、若しくは他の粘膜表面への局所送達を含む種々の粘膜投与様式によって対象に投与してよい。選択的にエキセディンは、筋肉内、皮下、静脈内、動脈内、関節内、腹腔内、又は非経口経路を含む非粘膜経路によって協調的又は補助的に投与してよい。他の代替態様では、生理活性物質は、例えば、好適な液体又は固体担体中に生理活性物質を含有するex vivo組織又は器官治療製剤の成分として、哺乳動物対象由来の細胞、組織、又は器官への直接曝露によってex vivo投与してよい。
本発明による組成物は、多くの場合、鼻腔又は肺用スプレーとして水溶液で投与し、当業者に公知の種々の方法によって噴霧形態で投薬してよい。鼻腔用スプレーとして液体を投薬するための好ましい系は、米国特許第4,511,069号に開示されている。製剤は、例えば、米国特許第4,511,069号に開示の密封投薬システム等の複数回投与容器内に存在し得る。さらなるエアゾール送達形態としては、例えば、水、エタノール、又はこれらの混合物等の薬学的溶媒中に溶解又は懸濁した生理活性物質を送達する、例えば、圧縮空気、ジェット、超音波、及び圧電噴霧器を含んでよい。
本発明の鼻腔及び肺用スプレー溶液は、通常、選択的に非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)のような表面活性剤及び1種又は2種類以上の緩衝液を用いて処方した、薬物又は送達すべき薬物を含む。本発明のある態様では、鼻腔用スプレー溶液は、噴射剤をさらに含む。鼻腔用スプレー溶液のpHは、所望により約pH2.0ないしpH8、好ましくはpH4.5±0.5である。これらの組成物の範囲内で使用される好適な緩衝液は上記の通り、又は当該分野で公知である。保存料、界面活性剤、分散剤、又は気体を含む他の成分を添加して、化学的安定性を増強又は維持することができる。好適な保存料としては、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m−クレゾール、チオマーサル、クロロブタノール、塩化ベンジルアルコニウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な界面活性剤としては、オレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート類、レシチン、ホスファチジルコリン類、並びに種々の長鎖ジグリセリド類及びリン脂質類が挙げられるが、これらに限定されない。好適な分散剤としては、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な気体としては、窒素、ヘリウム、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、二酸化炭素、及び空気等が挙げられるが、これらに限定されない。
代替態様の範囲内で、粘膜製剤は、経鼻送達に適切な粒径又は適切な粒径範囲内の乾燥(通常、凍結乾燥)形態の生理活性物質を含む乾燥粉末製剤として投与する。鼻腔又は肺経路内での沈着に適切な最小粒径は、多くの場合、約0.5μの空気動力学的等価粒子径中央値(MMEAD)、一般には、約1μMMEAD、より典型的には、約2μMMEADである。鼻腔経路内蓄積に適切な最大粒径は、多くの場合、約10μMMEAD、一般には、約8μMMEAD、より典型的には、約4μMMEADである。これらの粒径範囲内の鼻腔内呼吸用粉末は、ジェット製粉、噴霧乾燥、溶媒沈殿、及び超臨界流体濃縮のような種々の従来技術によって製造することができる。適切なMMEADのこれらの乾燥粉末は、従来の乾燥粉末吸入器(DPI)を介して患者に投与してよく、この吸入器は、肺吸入又は鼻吸入の際、患者の呼吸に依存して、粉末をエアゾール化された量分散させる。あるいは、例えば、ピストンポンプ等の、粉末をエアゾール化された量分散するための外部電源を使用する空気補助デバイスを介して乾燥粉末を投与してよい。
乾燥粉末デバイスは、通常、単回エアゾール化用量(「パフ」)を製造するために約1mgないし20mgの範囲の質量の粉末を必要とする。生理活性物質の必要用量又は所望の用量がこの量よりも少ない場合、粉末化活性物質を、通常、薬学的乾燥充填粉末と組み合わせて、必要な総粉末質量を得る。好ましい乾燥充填粉末としては、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトール、グリシン、トレハロース、ヒト血清アルブミン(HSA)、及びデンプンが挙げられる。他の好適な乾燥充填粉末としては、セロビオース、デキストラン、マルトトリオース、ペクチン、クエン酸ナトリウム、及びアスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の範囲内の粘膜送達のための組成物を処方するために、生理活性物質を、種々の薬学的に許容可能な添加物並びに活性物質の分散のための基剤又は担体と組み合わせてよい。所望の添加物としては、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸、酢酸のようなpH調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、局部麻酔薬(例えば、ベンジルアルコール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えば、Tween80)、溶解増強剤(例えば、シクロデキストリン及びその誘導体)、安定剤(例えば、血清アルブミン)、及び還元剤(例えば、グルタチオン)を含んでよい。粘膜送達用組成物が液体である場合、製剤の張度を、単位として用いた生理食塩水の張度(0.9%(w/v))を基準として測定した場合、通常、投与部位の鼻粘膜で実質的に不可逆的な組織損傷が誘導されない値に調整する。一般に、溶液の張度を、約1/3ないし3、より典型的には1/2ないし2、最も頻繁には3/4ないし1.7の値に調整する。目的とする本発明の重量オスモル濃度は、約200mOsmであり、この値は、0.9%生理食塩水の濃度の2/3である。
生理活性物質は、活性物質及び任意の所望の添加物を分散する能力を有する親水性化合物を含み得る基剤又は賦形剤に分散してよい。基剤は、ポリカルボン酸類又はその塩類、無水カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸)と他のモノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレート、アクリル酸等)とのコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのような親水性ビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、及びキトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸、及びその無毒性金属塩のような天然ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない広範な好適な担体から選択してよい。多くの場合、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−グリコール酸)コポリマー、及びこれらの混合物等の生分解性ポリマーを、基剤又は担体として選択する。あるいは又はさらに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル等のような合成脂肪酸エステル類を、担体として使用してよい。親水性ポリマー及び他の担体は、単独又は組み合わせて使用してよく、部分的結晶化、イオン結合、架橋等によって担体の構造一体性を高めることができる。流体又は粘性溶液、ゲル、ペースト、粉末、微粒子、及びフィルムを含む、鼻粘膜への直接適用のための種々の形態で担体を提供してよい。この状況での選択された担体の使用により、生理活性物質の吸収を促進することができる。
生理活性物質は、種々の方法にしたがって基剤又は担体と組み合わせることができ、活性物質を、担体の拡散、崩壊、水チャネルの関連製剤によって放出することができる。ある環境では、例えば、イソブチル2−シアノアクリレート等の好適なポリマーから調製したマイクロカプセル(微粒子)又はナノカプセル(ナノ粒子)中に活性物質を分散させ、鼻粘膜に適用される生体適合性分散媒中に分散させ、それにより長期間にわたり送達及び生物活性が持続する。
本発明の範囲内の医薬品の粘膜送達をさらに増強するために、活性物質を含む製剤はまた、基剤又は賦形剤として親水性低分子量化合物を含んでもよい。かかる親水性低分子量化合物により、生理活性ペプチド又はタンパク質等のような水溶性活性物質が基剤を介して、活性物質を吸収することができる体表に拡散する経路媒体が得られる。親水性低分子量化合物は、選択的に粘膜又は投与環境由来の水分を吸収し、水溶性活性ペプチドを溶解する。親水性低分子量化合物の分子量は、一般に、10000以下、好ましくは3000以下である。代表的な親水性低分子量化合物としては、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、L−アラビノース、D−エリトロース、D−リボース、D−キシロース、D−マンノース、トレハロース、D−ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチビオース、グリセリン、及びポリエチレングリコールのようなオリゴ糖類、二糖類、及び単糖類のようなポリオール化合物が挙げられる。本発明の範囲内の担体として有用な親水性低分子量化合物の他の例としては、N−メチルピロリドン及びアルコール(例えば、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)が挙げられる。これらの親水性低分子量化合物は、単独又は、互いに若しくは経鼻製剤の他の活性若しくは不活性成分と組み合わせて使用することができる。
あるいは、本発明の組成物は、必要に応じて、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン等の、pH調節剤、緩衝剤、張度調節剤、及び湿潤剤等のような、生理的条件に近づけるための薬学的に許容可能な担体物質を含有してよい。固体組成物については、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、及び炭酸マグネシウム等を含む、従来の無毒性の薬学的に許容可能な担体を使用してよい。
生理活性物質の投与のための治療組成物は、高濃度の活性成分に好適な溶液、マイクロエマルジョン、又は他の規則正しい構造として処方してもよい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び脂質ポリエチレングリコール等)、及びこれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒であってよい。溶液に適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散性製剤の場合の所望の粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、組成物中に、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのような多価アルコール、又は塩化ナトリウム等の張化剤を含むことが望ましい。例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンのような、吸収を遅延させる薬剤を組成物中に含むことにより、生理活性物質の吸収を延長することができる。
本発明の特定の態様では、生理活性物質は、例えば、遅延放出ポリマーを含む組成物等の徐放製剤中で投与する。例えば、ポリマー、マイクロカプセル化送達系、又は生体接着ゲルのような放出制御賦形剤等の急速な放出を防止する担体を用いて活性物質を調製してよい。本発明の種々の組成物中の活性物質の送達は、例えば、モノステアリン酸アルミニウムハイドロゲル、及びゼラチン等の吸収を遅延させる薬剤を、組成物中に含むことにより延長することができる。生理活性物質の放出制御製剤が望ましい場合、本発明に従った使用に好適な放出制御結合剤としては、活性物質に対して不活性であり、且つ生理活性物質を組み込むことができる任意の生体適合性放出制御物質が挙げられる。多数のかかる物質は当該分野で公知である。有用な放出制御結合剤は、経鼻送達後の生理的条件下で(例えば、鼻粘膜表面において、又は経粘膜送達後の体液の存在下で)ゆっくり代謝される物質である。適切な結合剤としては、当該分野において徐放性製剤に既に使用されている生体適合性ポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。かかる生体適合性化合物は周囲の組織に対して無毒性且つ不活性であり、鼻腔への刺激、免疫応答、炎症等のような著しい副作用を誘発しない。これらは、これも生体適合性を示し、体内から容易に排出される、代謝産物に代謝される。
この状況で使用される代表的なポリマー材料としては、加水分解性エステル結合を有するコポリマー及びホモポリマーのポリエステル類由来のポリマーマトリックスが挙げられるが、これらに限定されない。これらの多数は、生分解性を示し、毒性が全くないか毒性が低い分解産物が得られることが当該分野で公知である。代表的ポリマーとしては、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ乳酸(PLA)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸)(DL PLGA)、ポリ(D−乳酸−コ−グリコール酸)(D PLGA)、及びポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(L PLGA)が挙げられる。他の有用な生分解性又は生体浸食性ポリマーとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ε−アプロラクトン−コ−乳酸)、ポリ(ε−アプロラクトン−コ−グリコール酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル−2−シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のようなハイドロゲル類、ポリアミド類、ポリ(アミノ酸類)(即ち、L−ロイシン、グルタミン酸、L−アスパラギン酸等)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(2−ヒドロキシエチルDL−アスパルタミド)、ポリアセタールポリマー、ポリオルソエステル類、ポリカーボネート、ポリマレアミド類、多糖類、及びこれらのコポリマーのようなポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。かかる製剤の調製方法の多くは、一般に、当業者に公知である。他の有用な製剤としては、例えば、マイクロカプセル等の放出制御組成物(米国特許第4,652,441号及び同第4,917,893号)、マクロカプセル及び他の製剤の作製に有用な乳酸−グリコール酸コポリマー(米国特許第4,677,191号及び同第4,728,721号)、及び水溶性ペプチド用の徐放性組成物(米国特許第4,675,189号)が挙げられる。
鼻腔用スプレー製品の製造過程は、一般に、85%以下の水に加えて、エキセンディンを含まない鼻腔用スプレー製剤の成分を含む、エキセンディン鼻腔用スプレー用の希釈剤の調製を含む。次いで、希釈剤のpHを測定し、必要に応じて、水酸化ナトリウム又は塩酸でpH4.7±0.3に調節する。水を用いて、総容積を標的容積に調整する。最終標的容積の85%以下の希釈剤をねじ口瓶に非無菌的に移動させることにより、エキセンディン鼻腔用スプレーを調製する。適切な量のエキセンディンを添加し、完全に溶解するまで混合する。pHを測定し、必要に応じて、水酸化ナトリウム又は塩酸でpH4.7±0.3に調節する。十分な量の希釈剤を添加し、最終標的容積にする。ねじ口瓶に充填し、ふたをする。上記製造過程の説明は、薬物製品の初期臨床バッチを調製するために用いる方法を表す。この方法を開発過程で修正し、製造過程を最適化してもよい。
現在販売されているエキセンディンは、FDAの規制を遵守するために滅菌製造条件を必要とする。注射又は注入用エキセンディンを含む非経口投与は、滅菌(無菌)製造過程を必要とする。滅菌薬剤製造のための現在の医薬品適正製造基準(GMP)としては、設計及び構造の特徴に対する規格(standards for design and construction features)(連邦規制基準21条§211.42(2005年4月1日));試験及び成分の認可又は棄却、薬物製品容器及び密閉に対する規格(standards for testing and approval or rejection of components, drug product containers, and closures)(§211.84);微生物汚染の制御に対する規格(standards for control of microbiological contamination)(§211.113);並びに他の特殊試験要件(other special testing requirements)(§211.167)が挙げられる。本発明の経鼻投与製品のような、非腸管外(Non-parenteral)(非無菌)製品は、これらの特殊な滅菌製造条件を必要としない。容易に認識することができるように、滅菌製造過程の要件は、非滅菌製品の製造過程に必要とされる要件より、大幅に高く且つそれ相応に高価である。これらの原価は、設備のためのより高額な資本化原価、並びにより高額な製造原価、つまり、さらなる部屋及び空調を含む滅菌製造のための追加設備、さらなる労働力、大規模な品質管理及び品質保証、並びに管理上の支援を含む滅菌製造に付随する追加原価を含む。結果として、本発明の製品のような経鼻投与エキセンディン製品の製造原価は、非経口的に投与されるエキセンディン製品の製造原価より著しく安価である。本発明は、エキセンディンの非滅菌製造過程に対する要求を満たす。
必要量の活性化合物を、上記に列挙した成分の1又は組合せを有する適切な溶媒へ組み込み、必要に応じて、次いで濾過滅菌することにより、滅菌溶液を調製することができる。一般に、基剤となる分散媒及び上記に列挙した必要な他の成分を含有する滅菌賦形剤へ活性化合物を組み込むことによって、分散体を調製する。滅菌粉末の場合、調製方法は、予め濾過滅菌した溶液から、活性成分に加えて任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる真空乾燥及びフリーズドライを含む。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサール等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって微生物作用を防止することができる。
投薬及び副作用を制御及びモニタリングするための十分な予防手段が整っているならば、本発明の粘膜投与により、患者による有効な自己投与治療が行える。粘膜投与はまた、痛みがあり、患者を感染の危険性にさらし、薬物バイオアベイラビリティの問題が存在し得る、注射のような他の投薬形態の特定の欠点も克服する。鼻送達及び肺送達のために、噴霧としての液体治療薬のエアゾール投薬を制御するためのシステムは周知である。一態様では、定量の活性物質を、特別に構築した機械ポンプ弁を用いて送達させる(米国特許第4,511,069号)。
投薬量
予防及び治療目的のために、本明細書中に開示した生理活性物質は、長期間の持続的送達(例えば、持続的な経皮、粘膜、又は静脈内送達)による単回ボーラス送達又は反復投与プロトコール(例えば、1時間毎、1日毎、又は1週間毎の反復投与プロトコール)において対象に投与してよい。この状況において、治療有効用量のエキセンディンは、上記の標的疾患又は容態に関連する1種又は2種類以上の症状又は検出可能な容態を緩和する、臨床的に有意な結果が得られる長期予防又は治療計画の範囲内での反復投与を含んでよい。この状況における有効投薬量の決定は、通常、動物モデル実験及びその後のヒト臨床試験に基づき、対象の標的疾患の症状又は容態の発症又は重症度を有意に減少させる有効投薬量及び投与プロトコールを決定することにより導かれる。これに関する好適なモデルとしては、例えば、マウス、ラット、ブタ、ネコ、非ヒト霊長類、及び当該分野で公知の他の許容できる動物モデル対象が挙げられる。あるいは、有効投薬量は、in vitroモデル(例えば、免疫アッセイ及び組織病理学アッセイ)を使用して決定してもよい。かかるモデルを使用すれば、一般の計算及び調整を要するだけで、通常、治療有効量(例えば、所望の応答を誘発するための経鼻、経皮、静脈内、又は筋肉内で有効な量)の生理活性物質を投与するための適切な濃度及び投与量が決定される。
別の態様では、本発明は、エキセンディンの経鼻送達のための組成物及び方法であって、長期投与期間中に治療に有効な、増減する拍動性濃度のエキセンディンを維持するために1日毎又は1週間毎のスケジュールでのエキセンディンの対象への複数回投与を含む、経鼻有効投薬レジメンによってエキセンディン化合物を反復投与する、組成物及び方法を提供する。組成物及び方法により、8時間ないし24時間にわたる投与期間中に治療に有効な増減する拍動性濃度のエキセンディンを維持するために、毎日1回ないし6回経鼻製剤として対象によって自己投与されるエキセンディン化合物が得られる。
キット
本発明はまた、哺乳動物対象の疾患及び他の容態の予防及び治療で用いる上記の薬学的組成物、活性成分、及び/又はその投与手段を含むキット、包装、及び多容器ユニットを含む。要約すると、これらのキットは、粘膜送達のために医薬品中に配合された、本明細書中に開示した粘膜送達促進剤と併用する1種又は2種類以上のエキセンディンタンパク質、類似体、若しくはミメティクス、及び/又は他の生理活性物質を含む容器又は製剤を含む。
本発明の経鼻製剤は、任意の噴霧瓶又は注射器を使用して又は点滴によって投与してよい。鼻腔用スプレー瓶の例は、1噴出あたり0.1mLの用量を送達し、浸漬管の長さが36.05mmである「Nasal Spray Pump w/Safety Clip,Pfeiffer SAP #60548」である。これは、ニュージャージー州プリンストン(Princeton)のPfeiffer of America社から購入することができる。
エキセンディンのエアロゾル経鼻投与
我々は、上記のエキセンディンが、鼻スプレー又はエアロゾルを用いて鼻腔内投与できることを見出した。多くのタンパク質とペプチドは、噴霧又はエアロゾルを作り出す際に、アクチュエータにより生み出される機械的力により引き千切られるか又は変性してしまうことが示されていたので、このことは驚くべきことである。この分野においては、以下の定義が有用である。
1. エアロゾル−圧力下でパッケージングされ、適切なバルブ装置の作動により放出される治療用の有効成分を含む製品。
2. 定量エアロゾル−各作動により一定量の噴霧の送達を可能にする定量投与バルブから成る加圧式剤形。
3. 粉末エアロゾル−圧力下でパッケージングされ、適切なバルブ装置の作動により放出される治療用の有効成分を、粉末の形態で含む製品。
4. スプレーエアロゾル−エアロゾル製品であって、圧縮ガスを噴射剤として利用して、該製品を湿った噴霧として発射するために必要な力を提供するエアロゾル製品;一般的に、水性溶媒中の薬剤の溶液に用いることができる。
5. スプレー−空気又はスチームの噴流により微細に分離された液体。鼻スプレー製剤は、非加圧式ディスペンサー中の溶液又は賦形剤の混合物に溶解又は懸濁された治療用の有効成分を含む。
6. 定量スプレー−各作動により特定量の噴霧の分与を可能にするバルブから成る、非加圧式剤形。
7. 懸濁スプレー−液体媒体中に分散した固体粒子を含み、液滴又は微細に分離した固体の形態にある液体製剤。
定量鼻スプレーポンプにより放出されたエアロゾルスプレーの、薬物送達装置(「DDD」)としての流体力学的なキャラクタリゼーション。スプレーのキャラクタリゼーションは、新規及び既存の鼻スプレーポンプの研究開発、品質保証及び安定性試験方法についての、食品医薬品局(「FDA」)による承認のために必要な提出書類に不可欠な部分である。
スプレーのジオメトリの徹底的なキャラクタリゼーションは、鼻スプレーポンプの全体的性能の最高の指標になることが判明した。特に、スプレーが装置から出る際のスプレーの発散角度(プルームジオメトリ(plume geometry))の測定;スプレーの断面楕円率、均一性、及び粒子/液滴分布(スプレーパターン);発生するスプレーの時間を追った広がりが鼻スプレーポンプのキャラクタリゼーションにおける、最も代表的な性能量であることが判明した。品質保証と安定性試験の間、プルームジオメトリ(plume geometry)とスプレーパターンの測定値が、鼻スプレーポンプの承認されたデータ判定基準との一致性及び適合性を証明するための要となる識別子である。
定義:
プルーム高(Plume Height)−アクチュエータの先端から、直線流の崩壊によりプルームの角度が非直線になる点までの長さ。デジタル画像の目視検査に基づき、スプレーパターンの最も遠い測定点と一致する。幅の測定点を設定するため、30mmの高さをこの試験のために規定した。
長軸‐基本単位(mm)で測った、COMwを横切る近似スプレーパターン中に引くことが可能な最も長い弦
短軸‐基本単位(mm)で測った、COMwを横切る近似スプレーパターン中に引くことが可能な最も短い弦
楕円率‐短軸に対する長軸の比率であり、好ましくは1.0ないし1.5であり、最も好ましくは1.0ないし1.3である。
10‐サンプルの総液体体積の10%が、その液滴より小さな直径(μm)を有する液滴から構成される、液滴の直径
50‐サンプルの総液体体積の50%が、その液滴より小さな直径(μm)を有する液滴から構成される、液滴の直径であり、質量中央径(mass median diameter)としても知られている
90‐サンプルの総液体体積の90%が、その液滴より小さな直径(μm)を有する液滴から構成される、液滴の直径
スパン‐分散の幅の長さ、値が小さい程、分散が狭い。スパンは以下のように計算される:
Figure 2009520693
RSD%‐相対標準偏差の百分率、標準偏差を系列の平均値で割った値に100を掛けた値であり、CV%としても知られる。
体積‐各作動によって送達装置から放出される液体又は粉末の体積であり、好ましくは0.01mLないし約2.5mL、最も好ましくは0.02mLないし0.25mLである。
以下に実施例を説明のために提示するが、これに限定されるものではない。
実施例1
経粘膜エキセンディン(エキセナチド)製剤
経粘膜エキセンディン(エキセナチド)製剤のIn Vitro最適化
経粘膜性エキセンディンペプチド製剤は、エキセナチド及び賦形剤(浸透促進剤、溶解補助剤、界面活性剤(surface activant)、キレート剤、安定化剤、緩衝液、等張化剤及び保存剤を含む)を組み合わせることによって生成された。
複数ラウンドの製剤スクリーニングを行い、A及びBという2つのシリーズに分けた。シリーズAでは溶解補助剤(Me−β−CD)、界面活性剤(DDPC)、キレート剤(EDTA)、及び安定化剤(ゼラチン)の賦形剤濃度を変えることに焦点を当てた。クエン酸緩衝液、酒石酸緩衝液及びグルタミン酸(MSG)等の緩衝液も試験した。シリーズBではエキセナチドの浸透を促進する能力について他の賦形剤をスクリーニングした。各種濃度のシクロデキストリン、グリコシド、脂肪酸、ホスファチジルコリン、GRAS化合物、PN159及びゼラチン等の潜在的な浸透促進剤を試験した。潜在的な浸透促進剤をスクリーニングすることに加え、緩衝液(クエン酸緩衝液及び酒石酸緩衝液)並びに等張化剤/安定化剤賦形剤(マンニトール、NaCl)の各種濃度も変化させた。安息香酸ナトリウム(NaBz)及び塩化ベンザルコニウム(BAK)等の保存剤を試験した。表1にin vitroスクリーニングにおいて試験した賦形剤を列挙する。試験した372種の固有の製剤のうち、11種の製剤が前臨床in vivoウサギPK試験における使用のために推奨された。表2参照。
Figure 2009520693
Figure 2009520693
Figure 2009520693
実施例2
エキセナチド製剤はIn Vitroでタイトジャンクションの開口を誘導する
In Vitro鼻上皮モデルを用いた経上皮電気抵抗(TER)測定
MatTek社(マサチューセッツ州アシュランド)からの細胞株を正常なヒト由来の気管/気管支上皮細胞のソースとして用いた(EpiAirway(登録商標)Tissue Model)。該細胞は高度に分化しており、呼吸器上皮組織の全ての特徴を保持している。該細胞は透明な親水性テフロン(PTFE)を含むMillipore社のMilicell−CMフィルター上でコンフルエントになるまで培養したインサート(insert)として提供された。受領後、使用前に、膜を1mLの基本培地(フェノールレッド及びヒドロコルチゾンを含まないダルベッコ改変イーグル培地(DMEM))中で37℃、5% CO存在下、24−48時間培養にかけた。TER測定は、EVOM Epithelial Voltohmmeter(World Precision Instruments社、フロリダ州サラソタ)に電極リードで接続されたEndohm−12 Tissue Resistance Measurement Chamberを用いて達成した。該電極及び組織培養ブランクインサートは、キャリブレーションをチェックする前に電源を落とし、少なくとも20分間リン酸緩衝溶液中で平衡化した。バックグラウンド抵抗(background resistance)をEndohm組織チェンバー中の1.5mLの培地及びブランクのMillicell−CMインサート中の300μLの培地を用いて測定した。上端部電極を、培地中に浸るがインサート膜の上面には接しないように調整した。ブランクのインサートのバックグラウンド抵抗は5−12オームであった。
TERを60分間の保温の前後で測定した。それぞれの最初のTER測定のため、300μLの培地をインサート頂端部及び側底部側に加え、次いで室温にて20分間の保温時間を経た後、Endohmチェンバーに設置してTERを測定した。インサートの頂端面に100μLの試験製剤を加え、60分間、37℃の下で試料をシェイカー(〜100rpm)上に置いた。試験試料と共に60分間インキュベーションを行った後200μLの新鮮な培地を各試験試料インサートの頂端面に穏やかに加え、各インサートについて最後のTERを測定した。頂端部側にアプライされた培地だけのものをネガティブコントロールとし、頂端部側にアプライされたTriton XをTER測定のポジティブコントロールとした。抵抗値は次のように表される:(測定された抵抗値−ブランク)×0.6cm
促進剤を含む全てのエキセナチド製剤について、60分間の保温時間の後、TERは約350−700オーム×cmから約5−20オーム×cmへと減少した。全てのエキセナチド製剤は、コントロールの例外を除き、EDTAを含んでいだ。カルシウムキレート剤として、EDTAはカルシウムを補足し、タイトジャンクションを開口させることが知られている。ここで用いられているin vitro組織培養系のような静的環境においては、溶液からカルシウムを除去すると有意にタイトジャンクション開口が生ずる。等張化剤としての塩化ナトリウムとともにグルタミン酸緩衝液中にエキセナチドのみを含む、エキセナチド+グルタミン酸コントロール(MSG)において、TERの減少は観察されなかった。エキセナチド+グルタミン酸コントロールにより、タイトジャンクションの開口はエキセナチドそのものに内在する特徴ではないということが示された。グルタミン酸コントロールに60分間暴露した後のインサートのTERは、培地に60分間暴露したインサートのものと類似している。Triton Xコントロールは最低のTERであり、これは細胞障壁の破壊の結果であった。
実施例3
エキセナチド製剤は細胞毒性を有意に増加させない
乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイ
エキセナチド製剤によるTERの減少が浸透促進剤によるタイトジャンクションの変性の結果であって細胞死の結果ではないことを検証するため、MatTek社の同一の細胞株をTERアッセイで用いたのと同様に用い、LDH及びMTTアッセイを行った。細胞死の量は、細胞からの乳酸脱水素酵素(LDH)の損失をCytoTox96 Cytoxicity Assay Kit(Promega社、ウィスコンシン州マディソン)を用いて測定することによりアッセイした。新鮮な、無細胞培地をブランクとして用いた。50μlの回収された培地(4℃にて貯蔵)を96穴プレート中に入れた。基質溶液(50μl)を各ウェルに入れ、該プレートを暗所下、環境温度で30分間インキュベートした。その後、50μlの反応停止液を各ウェルに加え、吸光度プレートリーダーを用いて反応をA490でモニターした。頂端部側にアプライされた培地だけのものをネガティブコントロールとし、Triton XをLDHアッセイのポジティブコントロールとした。
エキセナチド製剤は%LDHによる測定では細胞毒性の有意な増加を示さなかった。エキセナチド製剤は5%未満のLDH損失を示した。同様に、培地コントロールは細胞毒性を示さなかった。一方、Triton Xネガティブコントロール処理群では、予期されたように有意な毒性がみられた。
MTTアッセイ
細胞生存率をMTTアッセイ(MTT−100,MatTek社製キット)を用いて評価した。解凍及び希釈したMTT濃縮液を24穴プレートにピペットで入れた(300μL)。組織インサートを穏やかに乾燥させ、プレートウェル中に置き、37℃で3時間、暗所においてインキュベートした。その後、各インサートを該プレートから外し、そっと拭き取り、24穴抽出プレートに置いた。この細胞培養インサートを次にウェルあたり2.0mLの抽出剤溶液に浸した(試料が完全に覆われるように)。この抽出プレートは抽出剤溶液の蒸発を減らすために覆われ、密封された。室温下、暗所で一晩インキュベートした後、各インサート内の液体をそれが採取されたウェルに注ぎ戻し、インサートは廃棄した。抽出剤溶液(200μL)を抽出ブランクとともに96穴マイクロタイタープレートにピペットで入れた。試料の吸光度を吸光度プレートリーダー(Molecular Devices社、カリフォルニア州パロアルト)を用いてA550で測定した。頂端部側にアプライされた培地だけのものをポジティブコントロールとし、Triton XをMTTアッセイのネガティブコントロールとした。
エキセナチド製剤は%MTTによる測定では細胞毒性の有意な増加を示さなかった。エキセナチド製剤は80%MTT超の生存率を示した。同様に、培地コントロールは細胞毒性を示さなかった。一方、Triton Xネガティブコントロール処理群では、予期されたように有意な毒性がみられた。
実施例4
浸透促進剤を使用したエキセナチドの向上した細胞障壁を越える浸透性
シリーズA:エキセナチド浸透
in vitroで細胞障壁を越えて浸透したエキセンディン−4の量をEIA分析で決定した。最初の実験は、Me−β−CD、DDPC、EDTA、及びゼラチンの濃度を、外皮組織層を越えたエキセナチドの浸透を促進するように最適化することに主眼を置いた。出発エキセナチド製剤、AKL−225−126−2は、Me−β−CD(40mg/mL)、DDPC(1mg/mL)及びEDTA(2.5mg/mL)を含んでいた。AKL−225−126−2浸透データは、促進剤の含まれないネガティブコントロール(Me−β−CD、DDPC及びEDTA無し)に対してエキセナチド浸透の有意な増加を示した。促進剤の濃度範囲をAKL−225−126−2で使用した濃度の2倍までで試験したが、どの促進剤でもAKL−225−126−2を越える有意な増加は無かった。
次に、増粘剤であるゼラチンをMe−β−CD、DDPC及びEDTAの濃度を増やしながら前記製剤に加えた。加えて、この投与量を送達するのに必要な容量を減らした。例えば、半分の容量(100μLではなく50μL)で300μgのエキセナチドを送達するために、エキセナチド濃度を6mg/mLに増加させた。このアプローチを調べたのは、一つには前記促進剤の濃度がAKL−225−126−2におけるそれらの濃度に対し、相対的に倍加されたという理由からである。高くなった濃度のMe−β−CD、DDPC及びEDTAと組み合わせた場合、ゼラチンの添加によって浸透が増加した。例えば、製剤JW−239−126−14及びJW−239−126−13は、80mg/mL Me−β−CDを伴う3mg/mL エキセナチド、2mg/mL DDPC、5mg/mL EDTA,30mM 酒石酸緩衝液(pH4.5)、及びそれぞれ2.5mg/mL又は5mg/mLのゼラチンを伴う等張化剤としてのNaClを含み、AKL−225−126−2に対し2.4倍及び1.7倍の浸透の増加が得られた。ゼラチンを含む製剤の粘度は約3.7から約5.0cpsであった。
投与容量を半分に減らした場合、in vitroでの浸透はさらに増加した。エキセナチドの投与量を送達する際の浸透促進剤の濃度を増加させることなく、浸透はAKL−225−126−2に対して1.7倍増加した。浸透促進剤の濃度を倍にした場合、浸透の増加もAKL−225−126−2に対して3.6倍の増加へと倍加した。最終的に、倍加した浸透促進剤へのゼラチンの添加によって、AKL−225−126−2に対し6.4倍の増加という最大のエキセナチドの浸透が得られた。in vitro浸透実験では、等価の投与量が上皮組織障壁の頂端部側に半分の容量で適用された場合、エキセナチドの浸透が増加することが示された。さらに、in vitroでは、ゼラチンが2倍の促進剤濃度を含んでいる製剤に添加された際にエキセナチドの浸透を促進することが分かった。
シリーズB:エキセナチド浸透
実験の第2ラウンドであるシリーズBでは、いくつかの賦形剤について、それらがMe−β−CD、DDPC、EDTA及びゼラチンの組み合わせよりも高いエキセナチド浸透促進能を示すかどうか系統的にスクリーニングした。表1(実施例1)にシリーズBのin vitroラウンドでスクリーニングした賦形剤を分子クラスごとに分類して列挙する。最初に、各賦形剤(FDAにより「一般的に安全と見なされる」(GRAS)と分類されているもの、組み替えゼラチン類及びPN159を除く)を2種類の濃度で又はMe−β−CD、DDPC若しくはEDTAと組み合わせて試験した。シリーズAの製剤と同様、各製剤は、エキセナチドの浸透、細胞生存率に悪影響を与えずにTERを減少させる能力、及び製剤の物理的安定性について評価された。
潜在的なDDPCの代替物としては、6種類のリン脂質をエキセナチドの浸透促進剤として試験した。これらは全て0.177及び1.77mMの濃度、すなわち0.1mg/mL及び1mg/mLのDDPCに対するモル当量で試験した。それらの大部分はLDH及びMTTによる測定によると細胞生存率には影響していなかったが、前記リン脂質がMe−β−CD及びEDTAと組み合わせられない限り、いずれもAKL−225−126−2製剤で観察されたものに匹敵する又はそれよりも良いエキセナチドの浸透を示さなかった。さらに、ジノナノイルグリセロホスファチジルコリン及び両方のホスファチジルグリセロール類は物理的安定性の問題を有しており、冷蔵条件下、2週間未満で濁りを生じた。エキセナチドの浸透は、これらのリン脂質のうち1つをDDPCに置換することによっても劇的な改善をみることはなかった。
文献より選ばれた11種のグリコシド類を、エキセナチド浸透促進能について試験した。5種は炭素数8、10、12、14又は16個の側鎖を有するマルトピラノシド類であった。別の3種はガラクト−又はグルコピラノシド糖類を有する8量体炭素側鎖を含んでいた。最後に、この群の賦形剤はグルコピラノシド上の7量体側鎖並びにデカノイル−及びドデカノイルスクロースを含んでいた。前記グリコシド類については単独でエキセナチド浸透を促進する能力についてスクリーニングすることに加え、DDPCの代替物としてもMe−β−CD及びDDPCとの組み合わせで試験を行った。グリコシド濃度は1−10mg/mLの範囲であった。
炭素数12、14又は16の側鎖を有するグリコシド類は10mg/mLで毒性を示した。さらに、14及び16量体の側鎖を有するマルトシド類もMe−β−CDが存在しない限りは水溶液中で物理的に不安定であった。ガラクトピラノシド及びドデカノイルスクロースも10mg/mLで毒性を示した。3種のグリコシド類はさらにエキセナチド浸透促進能について調べられた。オクチル−α−グルコピラノシド、n−オクチル−β−D−マルトピラノシド、及びドデカノイルスクロースは、さらなる濃度で、より広範な添加促進剤とともに試験された。しかし、毒性を示さず5℃で2週間物理的安定性を保った製剤から観察された浸透はAKL−225−126−2で観察されたエキセナチドの浸透よりも1.5倍超良好ではなかった。
任意にメチル化されたβ−シクロデキストリン(Me−β−CD)に対する3種の代替物をin vitroで試験した:β−シクロデキストリン(β−CD)、ジメチル−β−シクロデキストリン(DMe−β−CD)、及びヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)。β−シクロデキストリンを含む製剤は冷蔵条件で濁りを生じた。DMe−β−CDはAKL−225−126−2に対し浸透を1.5倍に向上させたが、これはMe−β−CDよりも細胞に対する毒性が強かった。HP−β−CDは有意に浸透を増加させなかった。
2種の不飽和脂肪酸であるカプリン酸ナトリウム及びカプリル酸ナトリウムを、それぞれ5−50mM及び20−100mMで浸透促進剤としてスクリーニングした。双方ともMe−β−CD非存在下で物理的な不安定性を示した。カプリン酸ナトリウムは単独では50mMで低い細胞生存率をもたらし、Me−β−CD及びEDTAの存在下でのみAKL−225−126−2のものに匹敵するエキセナチドの浸透を示した。カプリル酸ナトリウムはMe−β−CD及びEDTAの存在下、20mMで毒性を示し、単独で又は浸透促進剤を用いても全くエキセナチドの浸透を促進しなかった。
3種の小分子もin vitroでエキセナチドとともに試験した:パルミトイル−DL−カルニチン、グリココール酸ナトリウム、及びS−ニトロソ−N−アセチル−ペニシラミン(SNAP)。パルミトイル−DL−カルニチンはMe−β−CD非存在下で物理的に不安定であり、高濃度で毒性を示した。グリココール酸ナトリウムも高濃度で物理的に不安定であった。上記3種の小分子はいずれも有意にエキセナチドの浸透を増加させなかった。Me−β−CD及びEDTAの存在下でのみ、AKL−225−126−2のものに匹敵するエキセナチドの浸透であった。
Cremephor ELをMe−β−CDの代替物として試験した。cremephor ELを含む製剤における結果はMe−β−CDを含むAKL−225−126−2製剤における結果と類似していた:製剤は5℃で2週間清澄を保ち、毒性を示さず、またDDPC及びEDTAとともにしかエキセナチドの浸透を増加させない。しかし、エキセナチドの浸透はAKL−225−126−2におけるよりもcremephorを含んだ製剤におけるほうが僅かに低かった。
タイトジャンクション調節分子PN159も、鼻粘膜を越えるエキセナチドの浸透を増加させる能力を測定するためにエキセナチドとともに試験した。3種濃度のPN159を酒石酸緩衝液(pH4.5)中のエキセナチドに加えた:25μM、50μM及び100μM。PN159は単独で、及び5mg/mL EDTAとともに試験した。PN159は他の促進剤賦形剤の添加無しにTERを減少させることができた。組織障壁を越えるエキセナチドの浸透はPN159の添加により濃度依存的に増加した。PN159へのEDTAの添加ではエキセナチドの浸透は有意に増加しなかった。PN159製剤はLDH及びMTTによる測定では毒性を示さなかった。全ての製剤は少なくとも2週間、冷蔵温度で清澄を保った。PN159の添加によって浸透は促進されたが、AKL−225−126−2で観察されたエキセナチドの浸透ほどではなかった。
in vitro浸透実験に用いられた上記ゼラチンは動物性製品であるため、組み替えヒトゼラチンも代替物として調査した。高分子量及び低分子量の2種の組み替えゼラチンを2.5mg/mLで、80mg/mL Me−β−CD、2mg/mL DDPC及び5mg/mL EDTAとともに試験した。それらはゼラチンと同様に働いたが、両者とも僅かに毒性が強く、エキセナチドの浸透においてより大きなばらつきを示す。別の実験では、ゼラチン、組み替えゼラチン又はメチルセルロースを含む他の増粘剤を試験した。
最後に、FDAの「一般的に安全と見なされる」(GRAS)リストからの賦形剤を含んだ一連の製剤を、それらのエキセナチド浸透促進能についてスクリーニングした。これらの賦形剤は、エタノール、Tween−80、レシチン、EDTA、オレイン酸及びプロピレングリコールを含んだ。Tween−80、オレイン酸、レシチン及びプロピレングリコールを含んだ製剤は、AKL−225−126−2製剤と同程度にはエキセナチドの浸透を促進しなかった。Tween−80及びオレイン酸をともに含むものだけが同水準のエキセナチドの浸透にまで近づいた;しかし、組織障壁の3mg/mLのオレイン酸への暴露は細胞生存率の低下をもたらした。プロピレングリコールは全く浸透を促進しなかった。AKL−225−126−2製剤と同程度又はそれよりも良く働いたGRAS製剤は、EDTAのみを含むものだけであった。その場合も、10mg/mLのEDTAで細胞生存率が低下し始めた。エタノールをEDTAに添加してもエキセナチドの浸透は促進されなかった。GRASだけからなる製剤は潜在的に規制経路(regulatory pathway)が容易であるため、EDTAのみの製剤をさらに製剤開発のために試験した。
好結果のシリーズAからのin vitro浸透結果(約5%よりも高い%浸透)に基づき、in vivo PK実験に推奨された11種の製剤は、Me−β−CD、DDPC、EDTA及びゼラチンの組み合わせを含んでいた。約10%よりも高い%浸透を示す、最も良好に働く製剤は:3又は6mg/mLのエキセナチド、80mg/mLのMe−β−CD、2mg/mLのDDPC及び5mg/mLのEDTAを含んでいた。浸透は、6mg/mLのエキセナチド、80mg/mLのMe−β−CD,2mg/mLのDDPC、5mg/mLのEDTA及び2.5mg/mLのゼラチンを含む製剤で約20−30%に更に促進された。シリーズBでスクリーニングしたいずれの賦形剤も、複数の理由からウサギにおける試験には選ばれなかった。それらの大部分は、細胞生存率に悪影響を与えたり製剤の物理的安定性を損なったりすること無しに浸透を促進することはできなかった。
実施例5
エキセナチド製剤の安定性試験
エキセナチド製剤のin vitro試験は安定化剤スクリーニングを含んでいた。5℃における貯蔵後の物理的安定性を全ての試験製剤についてin vitroで測定した。エキセナチド製剤を1ccのガラスバイアルに入れ、三葉線付キャップを締めて、5℃で少なくとも2週間貯蔵した。物理的安定性は透明度の測定によりモニターした。製剤の透明度は各製剤について0、7及び14日目に、μQuant吸光度プレートリーダーを用いて、630nmにおける吸光度を測定することにより決定した。各バイアルから200μLの容量を96穴プレートに入れ、水のバックグラウンドに対して読み取った。
時間とともに濁りを生じてくることが知られる出発製剤であるAKL−225−126−2を除き、シリーズAで試験された全ての製剤は5℃において少なくとも2週間清澄を保った。JW−239−33−3製剤はAKL−225−126−2と同水準の促進剤賦形剤を含み、同一の保存剤(1mg/mLの安息香酸ナトリウム)を含むが、クエン酸緩衝液ではなく酒石酸緩衝液中である。JW−239−33−3は5℃で少なくとも2週間清澄を保った。
保存剤をAKL−225−126−2製剤に添加した。3種の保存剤を試験した:安息香酸ナトリウム(NaBz)、クロロブタノール、及び塩化ベンザルコニウム(BAK)。保存剤のスクリーニングに用いた製剤はAKL−225−126−2で見いだされたものと同一の促進剤を含んだ:Me−β−CD(40mg/mL)、DDPC(1mg/mL)、及びEDTA(2.5mg/mL)。
酒石酸緩衝製剤中の1mg/mLの安息香酸ナトリウムは改善された物理的安定性を示した(JW−239−33−3製剤をAKL−225−126−2と比較のこと)が、安息香酸ナトリウムの濃度を少しでも増加させるとpH4.5における物理的安定性は減少した。より高濃度の2mg/mLの安息香酸ナトリウムを含む製剤では5℃で14日間以内に濁りを生じた。クロロブタノールを含む製剤は5mg/mL又はそれよりも高いクロロブタノール濃度で濁りを生じた。クロロブタノールを塩化ベンザルコニウムと組み合わせた場合、この組み合わせが最初は清澄であったにも関わらず、製剤は5℃における貯蔵で14日間以内に濁りを生じた。最後に、塩化ベンザルコニウム(BAK)を0−1mg/mLの濃度の範囲及び9mg/mLで試験した。BAKを含む製剤は5℃で2週間物理的安定性を保ったが、BAK濃度の増加に伴い細胞生存率が減少した。試験した上記保存剤はいずれもエキセナチドの浸透を減少させなかった。
各種濃度の安息香酸ナトリウム(NaBz)及び塩化ベンザルコニウム(BAK)に関して、in vivo解析で用いた3種製剤の物理的安定性に対するそれらの影響をスクリーニングした。安息香酸ナトリウムを1.0、2.5、及び5.0mg/mLで添加しつつ、BAKは0.2、1.0、2.0、及び4.0mg/mLで試験した。試料を調製するため、各種の量の2種の該保存剤のストック溶液を、PK実験で投与した3種の調製された製剤に対して添加した。この試料調製法では安息香酸ナトリウムを含む試料についてpHの4.7から5.0超へのシフトが起こった。生成した製剤は5℃で5.5週間貯蔵した。物理的安定性を630nmにおける該溶液の吸光度測定によりモニターした。
保存剤含有製剤の物理的安定性をt=0、9、14、及び39日でモニターした。全ての製剤は試験期間の間物理的安定性を保つことが分かった。安息香酸ナトリウムはpH5でより溶解性が高いが、pH5では保存剤として不活性でもある。
各種濃度の安息香酸ナトリウム(NaBz)及び塩化ベンザルコニウム(BAK)を用いて、ウサギ実験3(JW−239−126−3、JW−239−126−15、JW−239−126−7、JW−239−126−19、JW−239−126−24、AKL−310−27−12)で投与した製剤の物理的安定性に対する保存剤の影響を試験した。安息香酸ナトリウムを1.0から5.0mg/mLの濃度で添加しつつ、BAKを0.05、0.075、及び0.1mg/mLで試験した。試料を調製するため、各種の量の2種の該保存剤のストック溶液を、PK実験で調製した製剤に対して添加し、必要に応じてHClを用いpHを4.5に調整した。生成した製剤は5℃で4週間貯蔵した。物理的安定性を630nmにおける該溶液の吸光度測定によりモニターした。
各種濃度の安息香酸ナトリウムを含む製剤の物理的安定性をt=0、3、7、14、及び28日でモニターした。4.5に補正されたpHにおいて、40mg/mLのMe−β−CD(JW−239−126−3及びJW−239−126−15)のみを含む製剤はt=28日までにわずか1mg/mLの安息香酸ナトリウムで物理的不安定性を示した。しかし、pH4.5で80mg/mLのMe−β−CDを含む製剤(JW−239−126−7、JW−239−126−19、JW−239−126−24、及びAKL−310−27−12)は、1×促進剤を含む製剤と比較して改善された物理的安定性を示した。2×促進剤を含む製剤は、2.5mg/mLという濃度でもt=28日まで物理的安定性を示した。それでも、1×促進剤及び2×促進剤製剤はともに安息香酸ナトリウムとは限定的な物理的安定性を示した:1×促進剤製剤は1.5mg/mLの安息香酸ナトリウムとでは1週間さえも安定性を保持せず、2×促進剤製剤は5mg/mLの安息香酸ナトリウムとでは1週間物理的安定性を保たなかった。各種濃度の塩化ベンザルコニウムを含有する製剤の物理的安定性をt=0、3、7、14、及び28日でモニターした。両者の製剤は少なくとも1ヶ月間物理的安定を保った。
安息香酸ナトリウムを含む製剤の物理的安定性がより高濃度のMe−β−CDによって、又はpHを5.0に上昇させると改善するという認識の下、1×促進剤を含む別の3種の製剤を調製し、pH及びMe−β−CD濃度が物理的安定性に与える影響を調べた。第1の製剤ではMe−β−CD濃度を僅かに増加させた際の影響を試験した(45mg/mL)。第2の製剤は緩衝液を欠き、物理的安定性にもたらす緩衝液そのものの影響を試験した。第3の製剤は本保存剤スクリーニングの最初の部分における1製剤、JW−239−126−3と同一であったが、安息香酸ナトリウムを添加する際にpH調整を行わず、従ってpH5に上昇した。
物理的安定性の改善がみられた:1mg/mLの安息香酸ナトリウムを含んだ3種の製剤全てが少なくとも1ヶ月間物理的安定性を保った。しかし、2mg/mL以上の安息香酸ナトリウムでは、Me−β−CDを増加させた製剤及び緩衝液を欠く製剤において、1週間以内に物理的不安定性が観察された。第3の製剤、pH5のJW−239−126−3は、安息香酸ナトリウム存在下で、pH4.5に調整された同一の製剤と比較して改善された物理的安定性を示した。1×促進剤製剤はpH5.0において2.5mg/mLの安息香酸ナトリウム存在下で少なくとも1ヶ月間物理的安定性を保持することができた。不安定性は安息香酸ナトリウムが5mg/mLに増加した際に製剤に観察された。
実施例6
エキセナチド製剤に対するウサギを用いたPK実験
ウサギを用いた3種の薬物動態(PK)実験を、in vivo実験で最適化された11種の鼻腔内(IN)エキセナチド製剤を用いて行った。
PKウサギデータから、いくつかのバイオアベイラビリティ傾向が引き出された。第1に、3mg/mLから6mg/mLのエキセナチドへと送達される投与量を増加させると、バイオアベイラビリティが上昇した。第2に、Me−β−CD、DDPC及びEDTAの濃度を倍加させると、エキセナチドのバイオアベイラビリティが上昇した。第3に、ゼラチンを添加するとエキセナチドのバイオアベイラビリティが上昇し、PKデータのばらつきが減少した。
健康なオスのニュージーランドホワイト種のウサギを投与群に任意に振り分けた。群は4−8個体の動物を含んでいた。ウサギは耳辺縁静脈へのボーラス注入で静脈内単回投与を受けた1群を除き、プラスチックチップを装着したピペットマンを用いて鼻腔内単回投与を受けた。投与量はヒトと比較したウサギの鼻表面の測定値をもとに選択した。連続的な血液試料(それぞれ約0.5ml)を、抗凝固剤としてEDTAを含む採血チューブ内に、耳辺縁静脈から直接静脈穿刺によって採取した。血液試料は鼻腔内投与群については投与後0、5、10、15、30、45、60、120、180、240、及び360分の時点で、静脈内投与群については投与後0、1.5、5、10、15、30、45、60、120、180、240、及び360分の時点で採取した。血液はEDTA二カリウムを含むチューブに採取し、遠心分離まで氷上に置いた(採取後1時間未満)。回収した血漿を2分割し、ドライアイス上で凍結した。PK実験は全データ(除外無し)を用いて行い、AUCallを比較のために0から360で計算した。
ウサギ実験1:ウサギにおける予備in vivo実験
実験1において、4つの試料が試験された:1)浸透促進賦形剤を含まない鼻腔内(IN)コントロール製剤(標識グルタメート);2)AKL−225−126−2製剤;3)2倍の濃度の浸透促進賦形剤Me−β−CD、DDPC、及びEDTAを含んだJW−239−9−21製剤;並びに4)静脈内投与(IV)コントロール。表3に実験1で鼻腔内に投与した製剤を列挙する。各製剤は15μL/kg、又は45μg/kgで投与した。
最適化された製剤はグルタメートコントロールに対してエキセナチドのバイオアベイラビリティ(BA)を有意に増加させた(表6)。グルタメートコントロールでは0.3%絶対BAとなったのに対し、1×促進剤の添加ではBAが10倍超の3.6%への増加をみた。促進剤濃度を倍加したところ、BAはほぼ倍加し、6.1%となった。
BAの増加は製剤のin vitro浸透結果とよく相関している。グルタメートコントロールに対し、AKL−225−126−2製剤は浸透において346倍の増加を示した一方、JW−239−9−21は500倍の浸透の増加となった。
ウサギ実験2:投与容量及び製剤へのゼラチンの添加の試験
第2のウサギ実験で試験した全ての製剤は2×促進剤濃度を含んだ:80mg/mLのMe−β−CD、2mg/mLのDDPC、及び5mg/mLのEDTA。さらに、全製剤用の緩衝液及び等張化剤を酒石酸緩衝液及び塩化ナトリウムに切り替えた。表4に実験2で試験した製剤を示す。
JW−239−126−14製剤は実験1と同じ濃度である3mg/mLのエキセナチド、並びに2×濃度のMe−β−CD、DDPC、及びEDTAを含み、ゼラチンが添加された。この製剤は全容量(15μL/kg)で投与され、45μg/kgの投与量を送達した。in vitroでは、この製剤ではグルタメートコントロールに対し800倍超の浸透の促進となった。JW−239−126−19製剤は6mg/mLのエキセナチドを2×促進剤とともに含み、ゼラチンを含まず、半分容量の7.5μL/kgで投与され、45μg/kgの投与量を送達した。in vitroにおける促進倍率は1400を越えた。JW−239−24製剤は6mg/mLのエキセナチドを2×促進剤及びゼラチンとともに含み、半分容量の7.5μL/kg又は全容量の15μL/kgで投与され、45μg/kg及び90μg/kgの投与量をそれぞれ送達した。in vitroにおける半分容量投与では、促進倍率は2200超であったのに対し、全容量投与では、470倍の浸透促進が観察された。
2×促進剤及びゼラチンを含んだJW−239−126−14製剤の全容量投与では、同水準の浸透促進剤を含むがゼラチンを含まないJW−239−9−21製剤に対して、バイオアベイラビリティの低下がみられた。得られた3.3%というバイオアベイラビリティは、1×促進剤を含んだAKL−225−126−2製剤のものにより類似していた。
エキセナチド濃度を倍加して投与容量を減少させるとバイオアベイラビリティが低下した。JW−239−126−19及びJW−239−126−24を半分容量で投与すると、双方とも2%未満のエキセナチドバイオアベイラビリティとなった。この低いBAは、投与容量の減少の結果in vivoにおいて洞粘膜への薬剤の接触が限定的になったことから生じたと思われる。JW−239−126−24が全容量で投与された場合、従って全ての他の試料(45μg/kg)と比較して2倍のエキセナチド投与量(90μg/kg)が送達され、バイオアベイラビリティも上昇した。2×促進剤濃度+ゼラチン中の6mg/mLエキセナチドの全容量投与では、同じ製剤中に3mg/mLのエキセナチドを含んだJW−239−126−14製剤と比較してバイオアベイラビリティがほぼ倍加した(バイオアベイラビリティはそれぞれ5.7%及び3.3%)。バイオアベイラビリティは送達された投与量で除算されるため、投与量を増やしてもバイオアベイラビリティは変化しないと期待された。
ウサギ実験3:製剤の用量直線性の試験
6mg/mLの製剤が3mg/mLの製剤と比較してバイオアベイラビリティを上昇させたという観察のもと、第3のウサギPK実験において1×促進剤及び2×促進剤製剤の用量直線性について調べた。さらに、2×促進剤でゼラチンを含むものと含まないものとの比較を試験した。最後に、in vitroスクリーニングで最適化されたEDTAのみの製剤をin vivoで試験した。実験3で試験された製剤を表5に示す。
表8に示された実験3の結果は、実験2で観察された投与量送達の非直線性の裏付けとなった。3mg/mL及び6mg/mLのエキセナチド製剤を同一の製剤で投与した場合、それぞれのケースでバイオアベイラビリティはおよそ2倍に上昇した。例えば、3mg/mL及び6mg/mLのエキセナチドをそれぞれ含む2×促進剤製剤JW−239−126−7及びJW−239−126−19をin vivoで投与した;得られたバイオアベイラビリティは、それぞれ3.1%及び5.8%であった。さらに、6mg/mLのエキセナチドを含む2×促進剤製剤(JW−239−126−24)へのゼラチンの添加により、バイオアベイラビリティは明らかに上昇し、9.1%となった。これは、5.7%の絶対BAを示した実験2の同一の投与量の同一の製剤と比較した場合、有意なBAの上昇である。最後に、前記EDTA製剤さえもグルタメートコントロールに対し僅かにBAの増大を示した;AKL−310−27−12製剤はエキセナチドの約4倍の促進を示し、1.1%のBAであった。
送達される投与量を3mg/mLから6mg/mLエキセナチドに増加させたところ、バイオアベイラビリティが上昇した。これは、エキセナチドのIN投与においてバイオアベイラビリティが非直線的であることを示すものである。Me−β−CD、DDPC及びEDTAの濃度を倍加したところ、エキセナチドのバイオアベイラビリティが上昇した。ゼラチンの添加はエキセナチドのバイオアベイラビリティを上昇させ、PKデータのばらつきを減少させた。実験3で試験された製剤の改善されたBA値は、クエン酸緩衝液及び/又はマンニトールの存在が鼻上皮を介したエキセナチドの取り込みを補助するためであると思われる。最後に、EDTA単独の該製剤への添加は、グルタメートコントロールと比較してエキセナチドのBAを上昇させた。
2種の製剤が絶対BAにおいて5%を上回った。6mg/mLのエキセナチド及び2×促進剤を含むJW−239−126−19製剤、並びに同じく6mg/mLのエキセナチド及び2×促進剤をゼラチンとともに含むJW−239−126−24製剤は、ウサギに全容量(15μL/kg)で投与した際に両者とも5%を越えるBAを示した。
Figure 2009520693
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実施例7
霊長類PK実験
ヒト投与に適したエキセナチドの鼻腔内製剤の開発のため、霊長類PK実験を行った。
in vitro、ウサギ、及び保存剤スクリーニングの結果に基づき、3種の製剤を最初の霊長類PK実験で試験した。第1に、AKL−310−81−1(3mg/ml、1×促進剤)は3mg/mLのエキセナチドを1×促進剤及び0.2mg/mLのBAKとともに含む。第2の製剤であるAKL−310−119−1(6mg/ml、1×促進剤)は6mg/mLのエキセナチドを1×促進剤+ゼラチン及び0.2mg/mLのBAKを含む。第3に、AKL−310−89−4製剤(6mg/mL、2×促進剤)は促進剤の量を倍加した際のバイオアベイラビリティに対する影響調べるため、6mg/mLのエキセナチドを2×促進剤+ゼラチン及び0.2mg/mLのBAKを含む。AKL−310−89−4(6mg/mL、2×促進剤)は基本的にウサギPK実験において最高の成績を示したものである。霊長類PK実験で試験した製剤を表9に示す。
Figure 2009520693
単回投与サルPK実験をin vitro及びウサギ実験で最適化されたエキセナチド製剤を用いて行った。健康なシノロガス(cynologous)サルを投与群に任意に振り分けた。群は6個体の動物を含んでいた。霊長類はボーラス注入で静脈内単回投与を受けた1群を除き、プラスチックチップを装着したピペットマンを用いた鼻腔内単回投与(滴下)、又はプファイファー(Pfeiffer)アクチュエータを使用した鼻腔内単回投与(IN)を受けた。投与量には3mg/mLのエキセナチド×100μL噴霧(〜85μg/kg、3.5kgサル)又は6mg/mL×100μL噴霧若しくは滴下(〜85μg/kg、3.5kgサル)が含まれていた。連続的な血液試料を、抗凝固剤としてEDTAを含む採血チューブ内に直接静脈穿刺によって採取した。血液試料はIN群については投与後0、5、10、15、30、45、60、120、180、240、及び360分の時点で、IV群については投与後0、1.5、5、10、15、30、45、60、120、180、240、及び360分の時点で採取した。血液はEDTA二カリウムを含むチューブに採取し、遠心分離まで氷上に置いた(採取後1時間未満)。回収した血漿を2分割し、ドライアイス上で凍結した。PK分析は比較のため平均曲線下面積(AUC0−∞)を含んだ;投与量はINに関してはアクチュエータの重量差に基づき調整した。送達された投与量を決定するため、バイアルの重量をアクチュエータの前後で計量した。PKは100μLの開始容量ではなく、送達された実際の投与量に対して調整した。相対バイオアベイラビリティパーセント(%BA)は皮下に対する相対値で算出した。
表10に、霊長類%BA、平均AUC0−∞、及びCmaxの結果のまとめを示す。第1に、促進剤(Me−β−CD、DDPC、及びEDTA)の添加により、グルタメート緩衝液コントロールよりもバイオアベイラビリティが上昇し、ゼラチン添加によってさらにバイオアベイラビリティが上昇する。ウサギ実験において観察されたように、サルに送達される投与量を3mg/mLから6mg/mLエキセナチドに増加させたところ、バイオアベイラビリティが上昇した。また、Me−β−CD、DDPC及びEDTAの濃度を倍加したところ、エキセナチドのバイオアベイラビリティが上昇した。ウサギにおいて見られたように、バイオアベイラビリティは投与量において非直線性を示した。6mg/mLエキセナチド製剤は3mg/mL製剤よりも高い%BAを示した(それぞれ、2.03%BA対1.52%BA、噴霧時)。最大のバイオアベイラビリティ結果である11.25%BAは、滴下によって送達された6mg/mLエキセナチド、2×促進剤+ゼラチンにおいて観察された。
第2に、IN(3mg/mL、1×促進剤、188,334pg×min/mL;6mg/mL、1×促進剤、549,691pg×min/mL;6mg/mL、2×促進剤、1,136,398pg×min/mL)及び滴下(6mg/mL、1×促進剤、1,659,883pg×min/mL;6mg/mL、2×促進剤、3,472,731pg×min/mL)における全体平均AUC0−∞値は、患者において観察された10mcg(250μg/mL)投与量のBYETTA(市販のエキセナチド)の皮下投与後のAUC0−∞値と類似している(1036pg×h/mL)[BYETTA処方情報はhttp://pi.lilly.com/us/byetta−pi.pdf]。全ての促進剤製剤における平均AUC0−∞値はグルタメート緩衝液コントロール(32,714pg×min/mL)よりも高かった。3mg/mL、1×促進剤噴霧の平均AUC0−∞はグルタメートコントロールよりも少なくとも5倍大きかった。6mg/mL、1×促進剤噴霧の平均AUC0−∞はグルタメートコントロールよりも少なくとも15倍大きかった。6mg/mL、2×促進剤噴霧の平均AUC0−∞はグルタメートコントロールよりも少なくとも30倍大きかった。6mg/mL、1×促進剤滴下の平均AUC0−∞はグルタメートコントロールよりも少なくとも50倍高かった。霊長類実験で最も好成績だった製剤は、滴下により送達されたAKL−310−89−4(6mg/mL、2×促進剤:Me−B−CD、DDPC、EDTA、及びゼラチン)であり、グルタメート緩衝液コントロールの少なくとも100倍高い平均AUC0−∞値を有した。
最後に、促進剤を含有する全製剤はグルタメート緩衝液コントロールと比べてCmaxを増加させた。3mg/mL、1×促進剤噴霧の平均Cmaxはグルタメートコントロールよりも少なくとも5倍大きかった。6mg/mL、1×促進剤噴霧の平均Cmaxはグルタメートコントロールよりも少なくとも12倍大きかった。6mg/mL、2×促進剤噴霧の平均Cmaxはグルタメートコントロールよりも少なくとも20倍大きかった。6mg/mL、1×促進剤滴下の平均Cmaxはグルタメートコントロールよりも少なくとも25倍大きかった。霊長類実験で最も好成績だった製剤は、滴下により送達されたAKL−310−89−4(6mg/mL、2×促進剤:Me−B−CD、DDPC、EDTA、及びゼラチン)であり、グルタメート緩衝液コントロールの少なくとも70倍高いCmaxを有した。
Figure 2009520693
3mg/mL、1×促進剤噴霧;6mg/mL、1×促進剤噴霧;6mg/mL、2×促進剤噴霧;及び6mg/mL、1×促進剤滴下のTmaxは約40分であった。6mg/mL、2×促進剤滴下製剤は約30分のTmaxを有していた。
第2の霊長類実験においては、2×促進剤+ゼラチン製剤で投与量増加を行った。健康なシノロガス(cynologous)サルを投与群に任意に振り分けた。霊長類はプラスチックチップを装着したピペットマンを用いた鼻腔内単回投与(「滴下」)を受けた。連続的な血液試料を、抗凝固剤としてEDTAを含む採血チューブ内に直接静脈穿刺によって採取した。血液試料は鼻腔内投与群については投与後0、5、10、15、30、45、60、120、180、240、及び360分の時点で、静脈内投与群については投与後0、1.5、5、10、15、30、45、60、120、180、240、及び360分の時点で採取した。PK分析は全データ(除外無し)を使用して行い、比較のためにAUC0−∞を0から360の時点で計算した。
0.6mg/mL、2mg/mL、及び6mg/mLエキセナチドの3種の製剤を調製し、滴下によって前記霊長類に投与した。第1の実験と異なり、この実験では、サルの鼻表面領域を占めるように投与容量を55μL(すなわち16μL/kg)に調整した。各製剤において16μL/kgの投与量は、9.6、32、及び96μg/kgのエキセナチド投与量に相当する。この第2のサル実験のための製剤を表11に示す。
Figure 2009520693
第2の霊長類実験の結果を表12に示す。3種の投与全てにおいて相対バイオアベイラビリティが高く、3%を優に上回った。しかし、以前のin vivo実験とは異なり、この実験では投与量増加において非直線性はみられなかった。
Figure 2009520693
ウサギPK実験と同様、第1の霊長類PK実験でも、エキセナチド濃度を3mg/mLから6mg/mLに倍加するとAUCが2倍超となり、具体的には約4倍のAUC増加(すなわち2倍の相対バイオアベイラビリティ増加)が観察された。この第2の霊長類実験では、投与量を0.6mg/mLから2mg/mLへ3.3倍に、及び2mg/mLから6mg/mLへ3倍に増やした。各投与量増加においてAUCの変化は3倍未満であり、得られた相対BAは投与量増加に伴い僅かに減少を示した。この投与量増加に対する暴露量の非直線性の欠如にも関わらず、3種投与量全てのバイオアベイラビリティは極めて高く、他のin vivo試験において2×促進剤+ゼラチン製剤で見られた相対BAに匹敵する。Me−β−CD、DDPC、及びEDTAの濃度を倍加すると、エキセナチドのバイオアベイラビリティが上昇した。
実施例8
酒石酸緩衝液を含むエキセナチド鼻腔内投与製剤の「アズソールド(as−sold)」安定性
「アズソールド」安定性実験は、密閉された(すなわちフタをした)バイアル内に製剤を入れ、特定の貯蔵庫内において温度を上昇させた状態で特定の長さの時間置くことを含む実験と定義される。本発明はクエン酸緩衝液よりも酒石酸緩衝液を含むエキセナチド鼻腔内投与製剤のほうが改善された安定性を示すこと含む。6種の製剤について、クエン酸緩衝液対酒石酸緩衝液、及び塩化ナトリウム等張化剤対マンニトール等張化剤のエキセナチド製剤安定性に対する効果を直接比較した。試験した製剤を表13に列挙する。
Figure 2009520693
製剤は5℃及び25℃に置き、ペプチド含有量並びに0、30、60、及び90日での回収率を強陽イオン交換体HPLCによってモニターした。
上記製剤のウサギにおける鼻腔内投与では、緩衝液又は等張化剤の変更の結果として、バイオアベイラビリティの変化は示されなかった。さらに、全試料が両者の温度条件においてpH、オスモル濃度、及び物理的安定性(清澄性)を実験の間維持した。しかし、25℃の促進的な条件下でのこれら製剤のペプチド純度試験においては、3ヶ月間貯蔵後の安定性についてクエン酸緩衝液よりも酒石酸緩衝液において向上した安定性がみられた(表14参照)。
Figure 2009520693
2×及び1×の両方の促進剤製剤が、ペプチド純度の向上に関してクエン酸緩衝液対酒石酸緩衝液において同一の傾向を示した。25℃で貯蔵した場合、3ヶ月間の間にエキセナチドの純度の直線的な減少が観察された。等張化剤は試験された条件の範囲にわたって製剤の安定性に影響を与えなかったが、酒石酸緩衝液中の試料では25℃で貯蔵された際にクエン酸緩衝液製剤と比べ向上した安定性がみられた。これらのデータは、酒石酸緩衝液を含む製剤がエキセナチドの向上した安定性条件を提供することを示している。さらなる安定性試験をエキセナチド鼻腔内投与製剤に対して行った。本試験のための製剤を表15に示す。0.6mg/mL、3mg/mL及び6mg/mLエキセナチドのバッチ並びに対応するプラセボを調製した。
Figure 2009520693
1ccの褐色シラン処理I型ガラスバイアルに1.0mLの製剤を満たし、ポリプロピレン製の三葉線付キャップで密閉した。全製剤からのバイアルを5℃/環境RH、25℃/60%RH及び40℃/75%RHの安定性チェンバー(stability chamber)に貯蔵した。バイアルを指定の時点で取り出し、任意のアッセイを行う前に室温で少なくとも30分間平衡化させる。エキセナチドを含有する全製剤は同一の抜き取り及び試験計画に従った。プラセボは同一の抜き取り計画に従ったが、試験はより限定的であった。5℃においては、試料をt=0、1、2、3、6、9、12、18、及び24ヶ月の時点で抜き取った。25℃においては、試料をt=1週、並びに1、2、3、6、9、12、18、及び24ヶ月の時点で抜き取った。40℃においては、試料をt=1及び2週間、並びに1及び3ヶ月の時点で抜き取った。40℃のものは6ヶ月まで分析を行った。全製剤を5℃、25℃及び40℃で3ヶ月、並びに5℃及び25℃で24ヶ月まで、40℃に関しては12ヶ月まで継続して貯蔵し、試験時点はt=0、1及び2週間、並びに1、2、3、6、9、12、18、及び24ヶ月であった。SCX−HPLCによるペプチド純度、並びにpH、オスモル濃度、及び物理的安定性を、活性製剤に対し全時点及び全貯蔵条件について試験した。各製剤に対するプラセボは、全条件におけるpH,オスモル濃度、及び物理的安定性に対してのみ試験した。
全試料及びそれらのプラセボは12ヶ月間、全条件においてpHを維持した。5℃及び25℃では、オスモル濃度は全製剤及びそれらのプラセボにおいて12ヶ月間にわたって有意に変化しなかった。しかし、40℃においては、6ヶ月までに全製剤でオスモル濃度の増加が観察された。このオスモル濃度の変化は40℃における純度の顕著な低下と相関している。オスモル濃度の増加は40℃でプラセボにも観察され、賦形剤の多少の分解も示唆された。
全製剤の物理的安定性は目視観測によってモニターされた。2種の製剤、1×促進剤+ゼラチン中、及び2×促進剤+ゼラチン中の6mg/mLエキセナチドは3ヶ月間の40℃における貯蔵後に沈殿物を含んでいた。40℃における6ヶ月間の貯蔵後、1×促進剤中の3mg/mLエキセナチドにも沈殿物が含まれるのが観察された。プラセボは40℃における6ヶ月間の貯蔵後にも沈殿物又は濁りを示さなかった。2×促進剤+ゼラチン中の0.6mg/mLエキセナチドExen−053−1は40℃における6ヶ月間の貯蔵中、沈殿しなかった。25℃貯蔵では、ただ1種の製剤、1×促進剤中の3mg/mLエキセナチドについて12ヶ月の時点で沈殿物が観察された。全ての他の製剤は12ヶ月間の25℃における貯蔵後に清澄、無色で、粒子状物質を含まないままであった。全ての製剤は12ヶ月間の5℃における貯蔵後に清澄、無色で、粒子状物質を含まないままであった。エキセナチド純度は5℃で12ヶ月間まで貯蔵した全試料において約4%減少した(全試料はペプチド純度において僅かにNMT4.1%の減少を示した)。予期した通り、25℃又は40℃の高温条件では、エキセナチド純度の減少(12ヶ月で約75%のペプチド純度)が安定性試験の間に観察された。
安定性に関するまとめ
本報告において記載された安定性試験では、試験された全製剤が5℃で保存された際に1年までという許容し得る安定性(清澄性、pH、オスモル濃度、及び少なくともおよそ95%のペプチド純度による指標)を示した。
明確な理解のために前述の発明を実施例に基づき詳細に説明したが、当業者にとって一定の変更及び改変がこの開示に包含され、過度の実験を行うことなく添付の請求項の範囲内で行うことが出来ることが明白である。請求項は限定ではなく例示のために記載したものである。

Claims (70)

  1. エキセンディンと、酒石酸緩衝液と、メチル−β−シクロデキストリンと、ゼラチン、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースより選択される増粘剤と、非イオンポリオキシエチレンエーテル、フシジン酸及びその誘導体、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、L−α−ホスファチジルコリンジデカノイル、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポリエチレングリコール、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ラノリンアルコール又はソルビタンモノオレエートより選択される界面活性剤とを含み、該増粘剤が約150cpsまでの製剤粘度を提供するのに十分な量存在する、哺乳類へのエキセンディンの鼻腔内投与のための水性医薬製剤。
  2. 前記エキセンディンがエキセナチドである請求項1記載の製剤。
  3. 前記界面活性剤がL−α−ホスファチジルコリンジデカノイルである請求項1記載の製剤。
  4. エチレンジアミン四酢酸又はエチレングリコール四酢酸より選択されるキレート剤をさらに含む請求項1記載の製剤。
  5. 前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸である請求項4記載の製剤。
  6. さらに少なくとも1種の等張化剤を含む請求項1記載の製剤。
  7. 前記等張化剤が塩である請求項6記載の製剤。
  8. 前記塩が塩化ナトリウムである請求項7記載の製剤。
  9. 前記等張化剤がポリオールである請求項6記載の製剤。
  10. 前記ポリオールがラクトース、ソルビトール、トレハロース、スクロース、マンノース、マンニトール、マルトース、又はその誘導体及びホモログより選択される請求項9記載の水性製剤。
  11. クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、フェノール、又はオルト、メタ若しくはパラクレゾールより選択される保存剤をさらに含む請求項1記載の製剤。
  12. 前記製剤が約2ないし約8のpHを有する請求項1記載の製剤。
  13. 前記増粘剤がゼラチンである請求項1記載の製剤。
  14. 前記増粘剤がメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1記載の製剤。
  15. 粘度が約1.5ないし約10.0cpsである請求項1記載の製剤。
  16. 粘度が約5cpsまでである請求項1記載の製剤。
  17. 粘度が約10cpsまでである請求項1記載の製剤。
  18. 粘度が約20cpsまでである請求項1記載の製剤。
  19. 粘度が約30cpsまでである請求項1記載の製剤。
  20. 粘度が約50cpsまでである請求項1記載の製剤。
  21. 粘度が約3.7ないし約5.0cpsである請求項1記載の製剤。
  22. 哺乳類における、高血糖、糖尿病又は脂質異常症の治療、食欲の抑制、減量の促進、食物摂取量の減少又は肥満症の治療のための、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の水性医薬製剤の治療的有効量を含んだ密封瓶を含む、多用途の投与に適したエキセンディンの剤形。
  23. 5℃貯蔵下において少なくとも30日間後に少なくとも約98%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  24. 5℃貯蔵下において60日間後に少なくとも約98%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  25. 5℃貯蔵下において90日間後に少なくとも約96%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  26. 5℃貯蔵下において365日間後に少なくとも約95%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  27. 25℃貯蔵下において少なくとも30日間後に少なくとも約96%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  28. 25℃貯蔵下において60日間後に少なくとも約93%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  29. 25℃貯蔵下において90日間後に少なくとも約89%のエキセンディン回収率を有する請求項22記載のエキセンディンの剤形。
  30. 請求項1ないし21のいずれか1項に記載の製剤の鼻腔内投与に有効な、水性医薬製剤を含んだ瓶とアクチュエータとを含み、該製剤が治療的有効量のエキセンディンを含み、このような剤形が少なくとも90日間の25℃における貯蔵後に少なくとも89%のエキセナチド回収率を示す、多用途の投与に適したエキセンディンの剤形。
  31. 前記製剤が約2ないし約8のpHを有する請求項30記載の剤形。
  32. エキセンディンの濃度が少なくとも約20μg/mlである請求項30記載の剤形。
  33. エキセンディンの濃度が少なくとも約100μg/mlである請求項30記載の剤形。
  34. エキセンディンの濃度が少なくとも約200μg/mlである請求項30記載の剤形。
  35. エキセンディンの濃度が少なくとも約1mg/mlである請求項30記載の剤形。
  36. エキセンディンの濃度が少なくとも約2mg/mlである請求項30記載の剤形。
  37. エキセンディンの濃度が少なくとも約6mg/mlである請求項30記載の剤形。
  38. エキセンディンの濃度が少なくとも約12mg/mlである請求項30記載の剤形。
  39. 前記剤形が前記エキセンディンの約2μgないし約1800μgの投与量を達成する鼻腔内投与に適したものである請求項30記載の剤形。
  40. 前記剤形が前記エキセンディンの約100μgないし約600μgの投与量を達成する鼻腔内投与に適したものである請求項30記載の剤形。
  41. 前記製剤が少なくとも約1mg/mLのエチレンジアミン四酢酸を含む請求項30記載の剤形。
  42. 前記製剤が少なくとも約10mg/mLのエチレンジアミン四酢酸を含む請求項30記載の剤形。
  43. 前記製剤が少なくとも約50mg/mLのエチレンジアミン四酢酸を含む請求項30記載の剤形。
  44. クロロブタノール又は塩化ベンザルコニウムから選択される保存剤をさらに含む請求項30記載の剤形。
  45. エキセンディン、約1.5cps超にまで前記製剤の粘度を増加させる1又は2種以上の増粘剤、メチル−β−シクロデキストリン及び界面活性剤を含み、エアロゾル化された約10ミクロン超の体積平均粒径(Dv,50)を有する液滴からなる、エキセンディンの鼻腔内医薬送達のための水溶液。
  46. 前記液滴が約5ミクロンないし500ミクロンの体積平均粒径(Dv,50)を有する請求項45記載の水溶液。
  47. 前記液滴が約10ないし100ミクロンの体積平均粒径(Dv,50)を有する請求項45記載の水溶液。
  48. 請求項1ないし21のいずれか1項に記載の水性医薬製剤を対象に経粘膜的に投与することを含み、該対象へのエキセンディン投与量が該対象における血糖値を減少させるのに十分である、ヒト又は動物対象の代謝性疾患を治療する方法。
  49. 前記製剤が対象に鼻腔内投与される請求項48記載の方法。
  50. 前記エキセンディンがエキセナチドである請求項48記載の方法。
  51. 前記代謝性疾患がインスリン依存性糖尿病(IDDM)、妊娠糖尿病、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、肥満症又は脂質異常症より選択される請求項48記載の方法。
  52. 前記製剤が対象の体重のkgあたり約0.001pmolないし約100pmolのエキセンディンを含む請求項48記載の方法。
  53. 前記製剤が対象の体重のkgあたり約0.01pmolないし約10pmolのエキセンディンを含む請求項48記載の方法。
  54. 前記製剤が対象の体重のkgあたり約0.1pmolないし約5pmolのエキセンディンを含む請求項48記載の方法。
  55. 前記医薬製剤が食前に対象へ投与される請求項48記載の方法。
  56. 前記対象がヒト対象であり、前記投与が5マイクログラムのエキセナチドの皮下注射により得られる値付近にまで血糖値を減少させる、請求項48記載の方法。
  57. 前記投与が血糖値をプラセボよりも約30%低い値にまで減少させる請求項48記載の方法。
  58. 前記製剤が少なくとも1週間の期間、週1回ないし1日8回対象に投与される請求項48記載の方法。
  59. 請求項1ないし21に記載の水性医薬製剤を対象に経粘膜的に投与することを含み、該製剤が約20μgないし約400μgのエキセンディンを含む、ヒト又は動物対象の代謝性疾患を治療する方法。
  60. 前記製剤が対象に鼻腔内投与される請求項59記載の方法。
  61. 前記代謝性疾患がインスリン依存性糖尿病(IDDM)、妊娠糖尿病、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、肥満症又は脂質異常症より選択される請求項59記載の方法。
  62. 前記製剤が対象の体重のkgあたり約0.001pmolないし約100pmolのエキセンディンを含む請求項59記載の方法。
  63. 前記製剤が対象の体重のkgあたり約0.01pmolないし約10pmolのエキセンディンを含む請求項59記載の方法。
  64. 前記製剤が対象の体重のkgあたり約0.1pmolないし約5pmolのエキセンディンを含む請求項59記載の方法。
  65. 前記医薬製剤が食前に対象へ投与される請求項59記載の方法。
  66. 前記対象がヒト対象であり、前記投与が5マイクログラムのエキセナチドの皮下注射により得られる値付近にまで血糖値を減少させる、請求項59記載の方法。
  67. 前記投与が血糖値をプラセボよりも約30%低い値にまで減少させる請求項59記載の方法。
  68. ヒト又は動物対象への経粘膜送達のための医薬としての請求項1ないし21のいずれか1項に記載の製剤。
  69. 代謝性疾患の経粘膜的治療用薬剤の製造のための、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の製剤の使用。
  70. 前記代謝性疾患がインスリン依存性糖尿病(IDDM)、妊娠糖尿病、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、肥満症又は脂質異常症より選択される請求項69記載の使用。
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