JP2009519239A - アミロイド生成性タンパク質の造影剤としての同位体標識ベンゾチアゾール化合物 - Google Patents

アミロイド生成性タンパク質の造影剤としての同位体標識ベンゾチアゾール化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、単離されたリネゾリド混入物であるデスフルオロリネゾリド、その製造、及び参照基準としてのその使用を提供する。
【化1】
Figure 2009519239

【選択図】 なし

Description

本発明は全体として、アミロイド生成性タンパク質、例えば、その脳沈着がアルツハイマー病と関連しているアミロイドタンパク質Aβ1−42の基質である同位体標識ベンゾチアゾール化合物の分野に関する。
I.脳アミロイド症
アルツハイマー病(AD)は、記憶喪失および他の認知障害を特徴とする神経変性疾患である(非特許文献1)。それは米国で最もよく見られる認知症の原因である。ADは年齢わずか40〜50歳の者で発症することもあるが、しかし、危険な脳生検なしでは疾患の存在を判定することが困難であるため、その発症の時期は不明である。ADの有病率は年齢とともに増大し、罹患集団の推定値は85〜90歳で40〜50%と高い(非特許文献2及び76)。
研究から、アルツハイマー病(AD)の発病機序において、脳におけるアミロイド沈着は初期の原因となる事象であることが示唆されている。アミロイド沈着の進行により、学習および記憶に関与する脳の領域に老人斑および神経原線維変化の形成が引き起こされる。典型的なアルツハイマーの老人斑は、アミロイド物質のコアを包囲するジストロフィーの神経突起を含む。アミロイドコアの主成分は、アミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質である。
実際に、ADは、通常は剖検時に、脳組織の検査を通じて最終的に診断される(非特許文献3および4)。神経病理学的には、この疾患は老人斑(NP)の存在、神経原線維変化(NFT)、およびニューロン喪失に加えて、さまざまな他の所見を特徴とする(非特許文献5)。アルツハイマー病の犠牲者の脳組織の解剖切片は、ADに特徴的である老人斑のタンパク質性細胞外コアの形態のアミロイドの存在を示す。
これらの老人斑のアミロイドコアは、主にβプリーツシート構造で配置されているβアミロイド(Aβ)と呼ばれるタンパク質から構成される(非特許文献6および7)。老人斑はこの疾患の初期かつ不変の様相である(非特許文献8〜10)。
Aβの初期の沈着はおそらく、臨床症状が顕著になるよりずっと前に起きていると思われる。ADの診断向けに現在推奨されている「最小限の顕微鏡基準」は脳に見られる老人斑の数に基づいている(非特許文献76)。しかしながら、老人斑の計数評価は死後まで延期されなければならない。
アミロイドを含有する老人斑は、ADおよびダウン症候群での、ならびにADを発症する可能性が非常に高いアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体であるヒトでの、脳の選択的領域の際立った特徴である(非特許文献11〜13)。
脳アミロイドは、脳切片をチオフラビンSまたはコンゴレッドで染色することによって容易に実証される(非特許文献14)。コンゴレッド染色アミロイドは、黄緑色の偏光色を示す二色性の外観を特徴とする。二色性結合は、アミロイドタンパク質のβプリーツシート構造の結果である(非特許文献15)。アミロイドの生化学および組織化学の詳述は、非特許文献16に見出すことができる。
これまで、ADの診断はほとんど、臨床基準評価、脳生検および剖検組織研究によって行われてきた。in vivoにおいてアルツハイマー病を診断するための方法を開発する研究努力には遺伝子検査、免疫アッセイ法、および造影法が含まれる。
Aβ代謝の異常がADの発症に必要かつ十分である証拠は、ADの常染色体優性型を有するいくつかの稀な家族におけるAβ前駆体タンパク質中の点突然変異の発見に基づく(非特許文献17および18)。これらの突然変異はAβの、その前駆体タンパク質からの作出に必要なN末端およびC末端の切断点近傍に生じる(非特許文献19および20、特許文献1)。しかしながら、多数のAD家族の遺伝子分析により、ADが遺伝的に異質であることが実証されている(非特許文献21)。21番染色体マーカーとの連鎖は、早発性ADを有する一部の家族でしか見られず、遅発性ADを有する家族では全く見られない。最近になって、その産物が多数の膜貫通ドメインを含有すると予測されかつ内在性膜タンパク質に類似している、14番染色体上の遺伝子が非特許文献22によって同定されている。この遺伝子は、早発性常染色体優性ADの70%までの割合を占めうる。予備的なデータから、この14番染色体の突然変異がAβ産生の増大を引き起こすことが示唆されている(非特許文献23)。非常に類似性の高い遺伝子の突然変異が、早発性ADを有するボルガ・ドイツ人家系の1番染色体上に同定されている(非特許文献24)。
AD診断の補助としてアポリポタンパク質E遺伝子型のスクリーニングが提案されている(非特許文献25および26)。しかしながら、アポリポタンパク質E4対立遺伝子は疾患マーカーではなく、ADの単なる危険因子にすぎないので、この技術には難点がある。それは多くのAD患者には存在せず、多くの認知症ではない高齢者に存在する(非特許文献27)。
AD患者での神経化学的マーカーの存在を検出するために、および脳脊髄液中のAD関連アミロイドタンパク質を検出するために免疫アッセイ法が開発されている(非特許文献28、特許文献1および2)。ADを診断するためのこれらの方法は、全ての患者、特に疾患の早期段階においてADを検出することが証明されておらず、比較的侵襲性であり、脊椎穿刺を必要とする。また、Aβの造影用のプローブとしてモノクローナル抗体を開発する試みが行われている(非特許文献29、特許文献3および4)。抗体プローブの主な欠点は、これらの大きな分子に血液脳関門を横断させるのが難しいことである。ADのin vivo診断用の抗体を用いるには、脳にアクセスさせるために血液脳関門の著しい異常が必要であろう。血液脳関門の異常がADにおいて確実に存在するという説得力のある機能的証拠は存在しない(非特許文献30)。
放射性標識Aβペプチドは、AD脳切片中の散在型、密集型、および神経突起型の斑を標識するために用いられている。特許文献5を参照されたい。しかしながら、これらのペプチドは、抗体の不利点を全て有している。具体的には、ペプチドは通常、造影に必要な量が血液脳関門を通過せず、これらのプローブはびまん性老人斑(diffuse plaque)と反応するので、これらはADに特異的ではない可能性がある。
老人斑および神経原線維変化は、ADの最も特徴的な2つの病理学的特質である(非特許文献31)。斑は最も初期には新皮質に生じ、そこでは比較的均一に分布している(非特許文献32)。濃縮体はまず初め、トランス嗅内皮質(transentorhinal cortex)などの辺縁領域に見られ、予測可能な組織分布的パターンで新皮質へと進行する(非特許文献33)。Arnoldらは、AD患者の脳においてNFTおよび老人斑の分布をマッピングした(非特許文献34)。NFTと比較して、老人斑は概ね、辺縁の不等皮質周縁(periallocortex)および不等皮質(NFTの密度が最も高い領域)での顕著に少ない老人斑を除いては、皮質全体にわたってより均一に分布していた。チオフラビン−S染色によれば、老人斑の密度は側頭葉および後頭葉で最も高く、辺縁葉および前頭葉では最も低く、頭頂葉はその中間であった(非特許文献35)。Arriagadaらは、認知症ではないと推定される高齢者の脳におけるAD型病理学的変化の組織分布を調べた。彼らの知見から、55歳を超えるほとんどの個体が少なくとも数個のNFTおよび斑を有することが示唆される。SPの免疫組織化学的に定義されるサブタイプは、異なる分布パターンを有しており、新皮質領域では辺縁領域よりもずっと多くのAβ免疫反応性の斑が存在し、Alz−50免疫反応性の斑は少なく、Alz−50陽性ニューロンおよびNFTを含む領域に限られていた。これらのパターンから、高齢者およびADの両者においてNFTおよびSPを引き起こす病理学的プロセスの共通点が示唆された。
斑および濃縮体がADにおいて見られる神経変性プロセスの副産物であるか否か、またはそれらが神経細胞死の原因であるのか否かに関して議論が続いている(非特許文献36〜38)。新皮質および海馬のシナプスの喪失が発病前の認知状態と十分に関連していることは、明らかに証明されている。研究者の中には、微小管関連タンパク質であるタウの過リン酸化により引き起こされる微小管の構造および機能の破壊が、特にシナプス喪失において、概してはADにおいて、重要な病因的役割を担っていることを示唆している人もいる(非特許文献39および40)。酸化による損傷および膜の分解は、ADにおいて重要な役割を担っていることが提唱されている(非特許文献41および42)。僅かな慢性の脳低灌流を含む血管要因もADの発病機序に関与している(非特許文献43および44)。これらの要因の全てがADの発病機序にある程度役割を担っていると思われるが、凝集して原線維性のβプリーツシート構造を形成する4kDのペプチドであるアミロイドβ(Aβ)ペプチドのプロセッシングの異常を指摘する証拠が増えている(非特許文献45)。Aβは次の幾つかの理由から、ADの発病機序において重要な役割を担っていることが提唱されている:1)Aβ沈着は、ダウン症候群のADの最も早期に顕れる神経病理学的マーカーであり、NFT形成よりも数十年も前から起こっている可能性がある(非特許文献46および47);2)β−アミロイド症は、ADおよび密接に関連する障害に比較的特異的である(非特許文献48);3)Aβは培養ニューロンに対して毒性であり(非特許文献49〜51)、その毒性はβシート二次構造および少なくともオリゴマーへの凝集に依存すると思われる(非特許文献52〜54)。Aβはモノマー、オリゴマーおよび原線維/斑の画分全体に平衡分布して確実に存在するが、Aβのオリゴマー形態は重要な神経毒性成分として大きく関与している(非特許文献55および56)。オリゴマー型Aβの有害作用の認識は、ADの「アミロイドカスケード仮説」に対する幾つかの反対意見との妥協策の基礎をなしている(非特許文献57)。おそらく、ADの発病機序におけるAβの役割についての最も強力な証拠は、若年発症型家族性ADの幾つかの形態を引き起こすアミロイド前駆体タンパク質(APP)遺伝子において突然変異が見られたことである(非特許文献58)。さらに、常染色体優性ADの全ての家族性形態では、共通して、Aβのより迅速に凝集する42アミノ酸形態のレベルが増大している(非特許文献59)。これに対して、タウタンパク質で突然変異が見られなければ、ADが起こることが示されている。タウ(17番染色体)における別の突然変異が、パーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症に関連している(非特許文献60)。近年の証拠から、ADにおいて脳におけるAβレベルと認知低下とがよく相関することが示されており、アミロイドの沈着は、認知障害の前に起こる、ADの発病機序の非常に早期の、おそらく最初の事象であると思われる(非特許文献61)。アミロイド沈着の存在は、さらに他のタンパク質の沈着、アストログリアおよびミクログリアの活性化、そして最終的には神経細胞死および結果として起こる認知障害に至る多くの生化学的経路を調節する可能性がある。
II.限局性および全身性アミロイド症
アミロイド症は緩徐進行性の状態であり、これは顕著な病的状態および死亡につながることがある。多様な疾患過程群が「アミロイド症」の見出しの分類に入っており、これは正常機能を損なうのに十分な量で、「アミロイド」と総称される種々の不溶性線維状タンパク質の、1つのまたは多くの器官における、細胞外組織沈着を特徴とする。
アミロイド沈着は細胞外にあり、身体によって代謝または除去されない。アミロイドはヨウ素とのデンプン様染色反応により肉眼的に識別することができる。それ故にその名はアミロイドである。微視的には、アミロイドはその細胞外分布により、コンゴレッドを用いた染色時のその着色および光学特性により、ならびにそのタンパク質原線維構造により識別される。したがって、光学顕微鏡下においてアミロイドは、固定組織標本でもin vivoでもコンゴレッド色素に親和性の高い均質な、きわめて屈折性の高い物質である。電子顕微鏡下では、アミロイドは100Å(10nm)の直線状の分枝しない原線維からなり、X線回折下では、それはクロスβパターンを示す。
アミロイド症と関連する疾患は全て、蓄積アミロイドの沈着という特色を示す。アミロイド沈着は、異常な構造を有するかまたは血清中に異常に増加しているかのいずれかの前駆体タンパク質に由来する、1以上のアミロイド生成性タンパク質の存在を特徴とする。
アミロイドの産生とその組織内への沈着の原因は分かっていない。生化学的に異なった種類のアミロイド症では、発症機序も様々のようである。続発性アミロイド症では、例えば、前駆体タンパク質(急性期反応物質:血清アミロイドA)の代謝障害が存在するが、遺伝性アミロイド症では、遺伝的な変異タンパク質が出現する。原発性アミロイド症では、モノクローナルな骨髄細胞集団が軽鎖全体またはその断片を産生し、これが異常にプロセッシングされてアミロイドを形成しうる。
主要なアミロイド3種類と、あまり一般的でないアミロイド数種類が生化学的に定義されている。1番目のタイプは、免疫グロブリン軽鎖の可変領域の部分に対して相同性のあるN末端配列を有するアミロイドで、ALと呼ばれ、原発性アミロイド症および多発性骨髄腫と関連するアミロイド症で認められる。2番目のタイプは、AAタンパク質と呼ばれ、免疫グロブリンタンパク質とは異なる特殊なN末端配列をもつアミロイドで、続発性アミロイド症の患者にみられる。3番目のタイプのアミロイドは家族性アミロイド多発性神経障害と関連するもので、通常、1個のアミノ酸が置換したトランスサイレチン(プレアルブミン)分子である。その他の遺伝性アミロイドは、ある家族では変異ゲルゾリン、いくつかの他の家族では変異アポリポタンパク質A−I、遺伝性大脳動脈性アミロイドでは他の変異タンパク質からなることが見出されている。慢性血液透析と関連するアミロイドでは、2−ミクログロブリンがアミロイドタンパク質を構成している。皮膚の老化および内分泌器官と関連するアミロイドは、他の生化学的形態を示すアミロイド症である。アルツハイマー病の組織病理学的病変で見られるアミロイドは、タンパク質によって構成されている。アミロイド症の様々な形態に関する化学的分析によって、さらに詳細な分類ができる。AP(または血清AP)と呼ばれる独特なタンパク質ペントラキシンは、全ての形態のアミロイドと広く関連しており、診断検査の基礎となる。
3種類の主要な全身性の臨床形態が現在のところ認められている。アミロイド症は、関連疾患のない場合には原発性または特発性(AL形態)と分類され、感染性(結核、気管支拡張症、骨髄炎、ハンセン病)または炎症性(関節リウマチ、肉芽腫性回腸炎)のいずれかの慢性疾患と関連する場合には続発性、後天性、または反応性(AA形態)と分類される。アミロイドは同様に、多発性骨髄腫(AL)、ホジキン病(AA)、その他の腫瘍、および家族性地中海熱(AA)と関連している。アミロイド症は老化に付随して起こることがある。第3の主要なタイプは家族性であり、他の疾患とは関連せず、しばしば特徴的な神経障害、腎障害、心臓障害を伴う。
原発性(AL)アミロイド症では、心臓、肺、皮膚、舌、甲状腺、および腸管が侵されうる。限局性のアミロイド「腫瘍」が気道または他の部位に見られることがある。実質器官(肝臓、脾臓、腎臓)および脈管系、特に心臓もしばしば侵される。
続発性(AA)アミロイド症は脾臓、肝臓、腎臓、副腎、およびリンパ節が好発部位である。しかしながら、病変の生じない器官系はなく、脈血管系の病変は広範に広がっている。ただし、心臓に臨床的に意義のある病変がみられるのはまれである。肝臓および脾臓はしばしば肥大し、堅く、ゴム状となる。腎は通常肥大する。脾臓の断面は、正常のマルピーギ小体が青白いアミロイドに置換した大きな、半透明のワックス状の領域を示し、サゴ脾を呈する。
遺伝性アミロイド症は、末梢性感覚および運動神経障害、しばしばみられる自律神経障害、ならびに心血管系および腎アミロイドが特徴である。手根管症候群および硝子体異常も起こりうる。
ある種の悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫)と関連するアミロイドは、特発性(AL)アミロイドと同様の分布を示すが、他の悪性腫瘍(例えば、甲状腺髄様癌)では、アミロイドは限局性で、腫瘍部位または転移腫瘍のあるところにしか起こらない。アミロイドは成人発症糖尿病患者の膵臓に頻繁に見られる。
アミロイド症は特定の臨床症状および兆候をもとに疑われるが、生検によってのみ確定診断が可能である。現在は、腹部の皮下脂肪の吸引および直腸粘膜生検が最良のスクリーニング検査である。その他の有用な生検部位は歯肉、皮膚、神経、腎臓、および肝臓である。組織切片をコンゴレッドで染色し、偏光顕微鏡下にて、アミロイドに特徴的な緑色複屈折を観察しなければならない。アミロイド症の診断を確認するためのシンチグラフィー検査には、同位体で標識した血清APが用いられている。早期診断をもたらし、それによって有効な処置を可能とするために、より良い方法論が開発される必要がある。
アミロイド沈着の阻害と糖尿病療法の関連性が推測されている。例えば、特許文献6を参照されたい。糖尿病を診断するための膵臓の造影は、膵臓中のアミロイドレベルを確定的に測定するのに適した方法論の1つであり、その関連性は糖尿病の診断の指標になるものと思われる。
III.代用マーカー
ADは、約400万人のアメリカ人および世界中ではおそらく2000〜3000万人を苦しめていると考えられている。ADは、先進国では主要な公衆衛生上の問題と認められている。ADの分子基盤の進行中の解明から、いくつかの治療標的が浮かび上がっている。例えば、AD患者の対症療法には4種のコリンエステラーゼ阻害剤のタクリン(Cognex, Warner-Lambert, Morris Plains, New Jersey)、ドネペジル(Aricept, Eisai, Inc., Teaneck, New Jersey、およびPfizer, Inc., New York, New York)、リバスチグミン(Exelon, Novartis, Basel, Switzerland)、ならびにガランタミン(Reminyl, Janssen, Titusville, New Jersey)が認可されている。現在開発中の潜在的な新しいAD療法は、免疫療法、セクレターゼ阻害剤または抗炎症薬を伴う。しかしながら、現在までに、認識衰退の経過を変化させることが証明されている薬物は存在していない。
抗アミロイド療法の開発に対する主な障害は、抗アミロイド療法として免疫療法の使用を対象にしている非特許文献62からの以下の引用によって例示される:「我々は、脳のAβアミロイド負荷が我々の試験患者で低減したか否かが分からない;この疑問に答えるにはin vivo造影法が必要であろう」。処置前のアミロイド負荷を定量し、次いで処置の効果を追跡する能力は、このクラスの薬物の効率的な開発には極めて重要である。
IV.アミロイド症の前駆症状形態の診断
アルツハイマー病(AD)に密接に関連している状態は、単独の記憶障害または幾つかの認知領域での障害を特徴とするが、アルツハイマー病の診断基準を満たすほど重症でない。この状態は軽度の認知障害(MCI)と呼ばれており、ADの前駆期に相当しうる。軽度の認知障害は、正常な認知状態から認知症への中間または移行状態と定義されている。軽度の認知障害(MCI)を有する被験体は、通常、年齢および教育についての予測を超える記憶障害を有しているが、まだ認知症にはなっていない。
軽度の認知障害と診断された患者がADに進行するという徴候がいくらか見られる。軽度の認知障害が複雑な異質状態に相当することがあり、軽度の認知障害を有する一部の患者はADにも他の認知性障害にもならないという徴候も見られる。
認知症とADの境界を見分けることはかなり興味深い。興味の多くは正常な老化と認知症、または具体的には、アルツハイマー病(AD)との間の境界または移行状態に向けられている。いくつかの研究の再検討から、これらの個体がADを発症する危険性は1年あたり1%〜25%と高いことが示唆された。これらの割合の変動は診断基準、測定装置、および小さいサンプルサイズの違いを反映している可能性が高い。非特許文献63を参照されたい。
MCIと診断された患者も処置試験の関心対象になっている。アルツハイマー病研究グループの国立老化研究所コンソーシアムであるアルツハイマー病共同研究は、MCI患者のADへの進行を変化させるよう意図された薬剤の多施設試験に着手している。非特許文献64を参照されたい。
MCIの診断基準に関して疑問が生じていることがある。研究者のなかには、軽度の疾患を有するこれらの患者の実質的に全てが神経病理学的にADを有しており、したがって、これが有用な区別ではないと確信しているものもいる。非特許文献65を参照されたい。他の研究者のなかには、これらの患者の多くがADに進行するが、全てがそうなるわけではなく、結果的に、両者を区別することは重要であると指摘するものもいる。非特許文献64、66および67を参照されたい。
V.アミロイド生成性タンパク質に対する基質
アミロイド生成性タンパク質に対する潜在的な基質が想定されており、コンゴレッドおよびクリサミンG誘導体(例えば、特許文献7参照)のような色素物質から、不溶性Aβを造影する目的で標識されている配列特異的ペプチドにまで及ぶ。これらのペプチドには、標識Aβペプチド自体、プトレシン−ガドリニウム−Aβペプチド、放射性標識Aβ、[111In]Aβ、[125I]Aβ、γ線を放射する放射性同位体で標識されたAβ、Aβ−DTPA誘導体、放射性標識プトレシン、KVLFFに基づくリガンドおよびその誘導体(例えば、特許文献5および8参照)が含まれる。
チオフラビンTは、1959年に選択的アミロイド色素としてVassarおよびCullingにより最初に記載された塩基性色素である(非特許文献68)。Schwartzら(非特許文献69)は、1964年にアミロイド色素としてのチオフラビンS(酸性色素)の使用を最初に証明した。チオフラビンTおよびチオフラビンSの両方の性質が詳細に研究されている(非特許文献70〜73)。チオフラビンSは一般的にAD脳におけるアミロイド沈着の死後研究において一般的に使用されており、そこで老人斑を実証するためのもっとも感度の高い技術の1つであると示されている(非特許文献74)。チオフラビンTは、可溶性アミロイドタンパク質のβシート原線維への凝集を研究するための試薬として使用されることが多い(非特許文献75)。チオフラビンTに関連する第4級アミン誘導体がアミロイド造影剤として提唱されているが、これらの薬剤の脳取り込みの証拠は示されていない(特許文献9)。
Potter WO 92/17152号 Glennerら 米国特許第4,666,829号 Majochaら WO 89/06242号 Majochaら 米国特許第5,231,000号 Maggioら WO 93/04194号 WO 02/16333号 米国特許第6,168,776号 米国特許第6,331,440号 Capratheら 米国特許第6,001,331号 McKhann et al., Neurology 34: 939 (1984) Evans et al., JAMA 262: 2551 (1989) Khachaturian, Arch. Neurol. 42: 1097 (1985) McKhann et al., Neurology 34: 939 (1984) Mann, Mech. Ageing Dev. 31: 213 (1985) Mori et al., Journal of Biological Chemistry 267: 17082 (1992) Kirschner et al., PNAS 83: 503 (1986) Mann et al., J. Neurol. Sci. 89: 169 Mann, Mech. Ageing Dev. 31 : 213 (1985) Terry et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol 46: 262 (1987) Corder et al., Science 261 : 921 (1993) Divry, P., J. Neurol. Psych. 27: 643-657 (1927) Wisniewski et al., Zimmerman, H.M. (編): PROGRESS IN NEUROPATHOLOGY (Grune and Stratton, N. Y. 1973) pp. 1〜26 Puchtler et al., J. Histochem. Cytochem. 10: 35 (1962) Glenner, G. N. Eng. J. Med. 302: 1283 (1980) Glenner, N. Eng. J. Med., 302: 1333 (1980) Hardy, Nature Genetics 1 : 233 (1992) Hardy et al., Science 256: 184 (1992) St. George-Hyslop et al., Science 235: 885 (1987) Kang et al., Nature 325: 733 (1987) St. George-Hyslop et al., Nature 347: 194 (1990) Sherrington et al., Nature 375: 754-760 (1995) Scheuner et al., Soc. Neurosci. Abstr. 21 : 1500 (1995) Levy-Lahad et al., Science 269: 973-977 (1995) Scott, Nature 366: 502 (1993) Roses, Ann. Neurol. 38: 6-14 (1995) Bird, Ann. Neurol 38: 2-4 (1995) Warner, Anal. Chem. 59: 1203A (1987) Majocha et al., J. Nucl. Med., 33: 2184 (1992) Kalaria, Cerebrovascular & Brain Metabolism Reviews 4: 226 (1992) Klunk and Abraham, Psychiatric Development, 6:121-152 (1988) Thal et al., Neurology 58:1791-1800 (2002) Braak and Braak, Acta Neuropathologica 82:239-259 (1991) Arnold et al., Cereb. Cortex 1:103-116 (1991) Arriagada et al., Neurology 42:1681-1688 (1992) Ross, Current Opinion in Neurobiol. 96:644-650 (1996) Terry, J. of Neuropath. & Exp. Neurol. 55:1023-1025 (1996) Terry, J Neural Transmission-Suppl. 53:141-145 (1998) Terry, J. of Neuropath. & Exp. Neurol. 55:1023-1025 (1996) Terry, J of Neural Transmission-Suppl. 53: 141-145 (1998) Perry, Free Radical Biology & Medicine 28:831-834 (2000) Pettegrew et al., Annals of the New York Academy of Sciences 826:282-306 (1997) De la Torre, Annals of the New York Academy of Sciences 903:424-436 (2000) Di Iorio et al., Aging (Milano) 11 :345-352 (1999) Glenner and Wong, Biochemical & Biophysical Research Communications 120:885-890 (1984) Mann et al., Neurodegeneration 1:201-215 (1992) Naslund, et al., JAMA 283:1571-1577 (2000) Selkoe, Trends in Neurosciences 16:403-409 (1993) Yankner Neurobiol. Aging 13:615-616 (1992) Mattson et al., J. Neuroscience 12:376-389 (1992) Shearman et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 91:1470-1474 (1994) Lambert et al. Proc.Natl.Acad.Sci. USA 95:6448-6453 (1989) Pike et al., J. Neuroscience 13:1676-1687 (1993) Simmons et al., Molecular Pharmacology 45:373-379 (1994) Selkoe, Alzheimer disease, R.D.Terryら編, 293〜310頁 Lippincott Williams and Wilkins, Philadelphia (1999) Selkoe, Science 298, 789-91 (2002) Terry, Ann. Neurol. 49:684 (2001) Goate et al., Nature 349:704-706 (1991) Younkin Rinsho Shinkeigaku - Clinical Neurology 37:1099 (1997) Goedert et al., Neuron 21 :955-958 (1998) Naslund, et al., JAMA 283:1571-1577 (2000) Hock, C. et al., 2003, Neuron, 38:547-554 Dawe et al., Int'l J. Geriatr. Psychiatry 7: 473 (1992) Grundman et al., Neurology, 1996, A403 Morris et al., Neurology 41 : 469 (1991) Petersen et al., JAMA 273: 1274 (1995) Petersen et al., Ann N Y Acad. Sci. 802: 58 (1996) Vassar and Culling, Arch. Pathol. 68: 487 (1959) Schwartz et al., Zbl. Path. 106: 320 (1964) Kelenyi J. Histochem. Cytochem. 15: 172 (1967) Burns et al. J. Path. Bact. 94: 337 (1967) Guntern et al. Experientia 48: 8 (1992) LaVine Meth. Enzymol. 309: 274 (1999) Vallet et al. Acta Neuropathol. 83: 170 (1992) LeVine Prot. Sci. 2: 404 (1993) Katzman, Neurology 43: 13 (1993)
したがって、血液脳関門を横断可能なかつアルツハイマー病の診断で造影のために不溶性アミロイド沈着物に結合可能な同位体標識ベンゾチアゾールが必要とされている。
本発明は、一実施形態において、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を提供することによりこの必要性およびその他のものを満たす:
Figure 2009519239
式(I)中、Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、I、または−(CR'−Xであり、ここでXはF、Cl、BrまたはIである。変数nは、1〜5から選択される整数である。
R'はHまたは低級アルキル基である。
〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH)1〜3−OR11、CF、−(CH)1〜3−X、−O−(CH)1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11)、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11)、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11)−C(R11)−Rphからなる群より独立して選択される。上記のように、XはF、Cl、BrまたはIである。Rphは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルである。
さらに、置換基YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。
別の実施形態において、上記の式(I)のアミロイド結合性化合物の有効量および製薬上許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
さらに別の実施形態はin vivoにおいてアミロイド沈着を検出する方法である。この方法は(i)哺乳動物中のアミロイド沈着物と結合する、式(I)のアミロイド結合性化合物の有効量を哺乳動物に投与するステップ;および(ii)哺乳動物中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップを含む。
別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、in vivoでアミロイド沈着を検出するための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、in vivoでのアミロイド沈着の検出に用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらに別の実施形態はin vitroにおいてアミロイド沈着を検出する方法である。この方法は(i)組織中のアミロイド沈着物と結合する、式(I)のアミロイド結合性化合物の有効量と身体組織を接触させるステップ;および(ii)組織中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップを含む。
別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、in vitroにおいてアミロイド沈着を検出するための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、in vitroでのアミロイド沈着の検出に用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらなる実施形態は、アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別する方法である。この方法は
(i)健常哺乳動物のおよびアルツハイマー病を有する疑いのある哺乳動物の、(i)小脳および(ii)同じ脳の別の領域から組織を得るステップ;
(ii)式(I)のアミロイド結合性化合物と組織を接触させるステップ;
(iii)該化合物と結合したアミロイドを定量するステップ;
(iv)小脳以外の脳領域中のアミロイドの量(a)の、小脳中のアミロイドの量(b)に対する比を計算するステップ;ならびに
(v)健常哺乳動物についての比を、アルツハイマー病を有する疑いのある哺乳動物についての比と比較するステップ
を含む。
別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別するための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別するのに用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらに別の実施形態は、生検または死後のヒトもしくは動物組織中のアミロイド沈着を検出する方法である。この方法は(a)ホルマリン固定または新鮮凍結された組織を式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の溶液と共にインキュベートして、標識された沈着を形成させるステップ、および(b)標識された沈着を検出するステップを含む。
別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、生検または死後のヒトもしくは動物組織中のアミロイド沈着を検出するための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、生検または死後のヒトもしくは動物組織においてアミロイド沈着を検出するのに用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらに別の実施形態において、生検または死後組織中のアミロイドの量を定量する方法が提供される。この方法は以下のステップ:
(a)化合物中の置換基の少なくとも1つが125I、H、および少なくとも1つの炭素が14Cである炭素含有置換基からなる群より選択される放射性標識で標識されている、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の放射性標識誘導体を、生検または死後組織のホモジネートと共にインキュベートするステップ;
(b)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体を、組織に結合していないものから分離するステップ、
(c)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体を定量するステップ、ならびに
(d)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体の単位を、標準物質との比較により、組織100mgあたりのアミロイドμgの単位に変換するステップ
を含む。
別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、生検または死後組織中のアミロイドの量を定量するための、式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、生検または死後組織中のアミロイドの量を定量するのに用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の実施形態においては、神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を神経原線維変化ではなくアミロイド斑に選択的に結合させる方法が提供される。この方法はin vitro結合または染色アッセイにおいてアミロイド斑を約10nM未満の濃度の式(I)の化合物と接触させるステップを含む。
さらに別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)の化合物を神経原線維変化ではなくアミロイド斑に選択的に結合させるための、式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)の化合物を神経原線維変化ではなくアミロイド斑に選択的に結合させるのに用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらに別の実施形態において、神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を神経原線維変化ではなくアミロイド斑にin vivoで選択的に結合させる方法が提供される。この方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩の有効量を、投与された化合物の血中濃度がin vivoにおいて約10nM未満に維持されるように投与するステップを含む。
別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)の化合物を神経原線維変化ではなくアミロイド斑にin vivoにおいて選択的に結合させるための、式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)の化合物を神経原線維変化ではなくアミロイド斑にin vivoにおいて選択的に結合させるのに用いられる医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらに別の実施形態は、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含む少なくとも1つのアミロイド沈着を被験体において検出するためのin vivoまたはin vitroの方法である。この方法は以下のステップ:
(a)アミロイド症と関連する疾患に罹患している被験体に、少なくとも1つの式Iのアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物の検出可能な量を投与するステップ、ならびに
(b)少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含むアミロイド沈着への該化合物の結合を検出するステップ
を含む。
さらに別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含む少なくとも1つのアミロイド沈着の被験体におけるin vitroまたはin vivoでの検出のための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含む少なくとも1つのアミロイド沈着の被験体における検出のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
さらに別の実施形態において、以下のステップ:
(a)式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を、臨床的認知症の兆候または軽度の認知障害の臨床的兆候を呈している患者に投与するステップ;その後
(b)該患者を造影してデータを得るステップ;および
(c)規範となるレベルを基準にして該患者におけるアミロイドレベルを確認するために該データを分析し、それによって該患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定するステップ
を含む、患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定する方法が提供される。
さらに別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定するための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
別の実施形態において、アミロイド症の処置における治療の有効性を判定する方法が提供される。この方法は
(a)式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の有効量を、その処置が必要な患者に投与するステップ;
(b)該患者を造影するステップ;その後
(c)少なくとも1つの抗アミロイド剤をその処置が必要な患者に投与するステップ;
(d)その後、式(I)の化合物の有効量をその処置が必要な患者に投与するステップ;
(e)該患者を造影するステップ;および
(f)少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置前の患者でのアミロイド沈着のレベルを、少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置後の患者でのアミロイド沈着のレベルと比較するステップ
を含む。
さらに別の実施形態は、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、アミロイド症の処置における治療の有効性を判定するための式(I)の化合物の使用である。別の実施形態において、本発明は、アミロイド症の処置における治療の有効性を判定するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明は同位体で標識されたベンゾチアゾール誘導体の、in vivoにおいて血液脳関門を横断し、アミロイド生成性タンパク質に結合する能力を利用する。
そのような結合の一例は、ベンゾチアゾール化合物の、老人斑(但し、びまん性老人斑でない)に沈着したAβに、脳血管のアミロイドに沈着したAβに、およびNFTに沈着したタンパク質からなるアミロイドに結合する能力である。
Aβ合成ペプチドに対する特異的結合の特徴決定:親和性、動態、最大結合
ベンゾチアゾール誘導体の結合の特徴を既報のように、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中の合成Aβ(1−40)および2−(4'−[H]メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾール([H]BTA−1)により分析した。Klunk et al., Life Sci. 69:1471 (2001); Mathis et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 12:295 (2002)。
Aβ(1−40)のアミノ酸配列は次のとおりである:
Figure 2009519239
定義
「アルキル」とは、飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。例としては限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素間二重結合を含んだ、不飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。例としては限定するものではないが、エテニル、プロペニル、イソ−プロペニル、ブテニル、イソ−ブテニル、tert−ブテニル、n−ペンテニルおよびn−ヘキセニルが挙げられる。
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素間三重結合を含んだ、不飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。例としては限定するものではないが、エチニル、プロピニル、イソ−プロピニル、ブチニル、イソ−ブチニル、tert−ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。
「アルコキシ」とは、酸素結合を介して結合されたアルキル基をいう。
アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシと組み合わせて使用される「低級」とは、C〜C部分をいう。
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基をいう。
「放射性ハロ」とは、放射性ハロ、すなわち放射性フルオロ、放射性クロロ、放射性ブロモまたは放射性ヨードをいう。
「有効量」とは、所望の効果をもたらすのに必要な量をいう。「有効量」の例としてはin vivoもしくはin vitroでのアミロイド沈着の検出および造影を可能にし、製薬学的用途に対して許容される毒性および生物学的利用能レベルをもたらす、ならびに/または細胞変性および線維形成に関連する毒性を阻止する量が挙げられる。
「製薬上許容される担体」とは、ある器官または身体部分から他の器官または身体部分に本化合物を運搬するのにまたは輸送するのに関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料のような、製薬上許容される材料、組成物または媒体をいう。各担体は、配合物の他の成分と相溶性であり、かつ患者で用いるのに適しているという意味で「許容」される。製薬上許容される担体として機能できる材料の例としては、限定するものではないが(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースのような、糖類;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンのような、デンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのような、セルロースおよびその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバターおよび坐薬ワックスのような、賦形剤;(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油のような、油;(10)プロピレングリコールのような、グリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールのような、ポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのような、エステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような、緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物;ならびに(22)例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 第15版(Mack Publishing Co., 1975)中、1405〜1412頁および1461〜1487頁に、ならびにTHE NATIONAL FORMULARY XIV, 第14版(American Pharmaceutical Association, 1975)に規定の製剤配合物に利用されている他の無毒な相溶性物質が挙げられる。
「製薬上許容される塩」とは本発明の化合物の酸または塩基塩であって、所望の薬理学的活性を保有しかつ生物学的にもその他の点でも望ましくないことのないその塩をいう。塩は酸とともに形成することができ、これには限定するものではないが酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基塩の例としては限定するものではないが、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩のような有機塩基との塩、N−メチル−D−グルカミン、ならびにアルギニンおよびリジンのようなアミノ酸との塩が挙げられる。いくつかの実施形態において、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルのような低級アルキルハライド;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルのような硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルのような長鎖ハライド;ならびに臭化フェネチルのようなアラルキルハライドを含む作用物質で四級化することができる。
「プロドラッグ」とは、その薬理学的効果を示す前に、代謝のような、生体内変換、を受ける本発明の化合物の誘導体をいう。プロドラッグは、化学的安定性の改善、患者の承諾および服薬順守の改善、バイオアベイラビリティの改善、作用持続時間の延長、器官選択性の改善、製剤化の改善(例えば、水溶解性の増大)、および/または副作用(例えば、毒性)の低減を目的として配合される。プロドラッグは、BURGER'S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG CHEMISTRY, 第5版, 第1巻(1995), 172〜178頁および949〜982頁に記述されているものなどの、従来法を用いて、本発明の化合物から容易に調製することができる。
本明細書において用いられる「非経口」という用語は、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内、および骨内の注射および注入技術を含む。
「動物」とは、感覚および随意運動能力を有し、かつその生存に酸素および有機食物を必要とする生物をいう。例としては限定するものではないが、ヒト、ウマ、ブタ、ウシ、マウス、イヌおよびネコの種が挙げられる。ヒトの場合、「動物」は「患者」ということもできる。
「哺乳動物」とは、温血脊椎動物をいう。
「被験体」とは、例えば、ヒトのような、哺乳動物である。具体例は、認知症を有する疑いのあるヒトである。
「処置する」とは、以下をいう:
(i)疾患、障害および/もしくは病気の素因を持ちうるが、それに罹患しているとはまだ診断されていない動物において疾患、障害もしくは病気が発生するのを予防すること;
(ii)疾患、障害もしくは病気を阻害すること、すなわち、その進行を止めること;ならびに/または
(iii)疾患、障害もしくは病気を軽減すること、すなわち、疾患、障害および/もしくは病気の退行を引き起こすこと。
「治療」という用語は、疾患の処置および/または予防を含む。
「処置する」または「処置」という用語は、必ずしも完全な治癒を意味しない。疾患の任意の望ましくない徴候もしくは病理学的影響を多少なりとも軽減させること、または疾患の進行を減速させることは処置とみなすことができる。さらに、処置は患者の全体的な幸福感または外観を悪化させうる行為を含んでもよい。例えば、がん患者において患者の感覚を「いっそう加減の悪い」ままにしうる化学療法の施行もやはり処置とみなすことができる。
「予防する」という用語は、生物が、アミロイド沈着と関連する疾患にかかるまたは該疾患を発現する可能性を減らすことをいう。例えば、「予防する」という用語は、抗アミロイド剤の投与を受けていない対照群と比べて疾患を発現する個体の割合を低減することをいう。
「検出可能な量」とは、投与される検出可能な化合物の量が、アミロイドへの化合物の結合の検出を可能とするのに十分であることを意味する。
「造影に有効な量」とは、投与される検出可能な化合物の量が、アミロイドへの化合物の結合の造影を可能とするのに十分であることを意味する。
「in vivo造影」という用語は、本明細書に記述の標識ベンゾチアゾール化合物の検出を可能にする任意の方法をいう。
「in vivoまたはin vitroの検出方法」という用語は、式(I)の標識ベンゾチアゾール誘導体の検出を可能にする任意の方法をいう。
「ベースライン」という用語は、抗アミロイド療法の開始前の患者のアミロイド沈着の量および分布をいう。
文脈上明らかに他の記述がない限り、単数用語の定義は、それらが本明細書に見られる場合、その複数用語に適用するように当てはめることができ;同様に、複数用語の定義は、それらが本明細書に見られる場合、その単数用語に適用するように当てはめることができる。
アミロイド造影剤
本発明のアミロイド造影剤は、式(I)のいずれかの化合物または製薬上許容されるその塩である。
Figure 2009519239
〔式中、R'、R〜R10、およびYは上記に定義の通りである〕。
本明細書において「ベンゾチアゾール化合物」、「ベンゾチアゾール誘導体」、または「アミロイド造影剤」ともいわれる式(I)の化合物は、以下の特徴:(1)in vitroにおける合成Aβへの特異的結合、(2)in vivoにおける損なわれていない血液脳関門を横断する能力、(3)AL、AH、ATTR、Aβ2M、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、AFib、ACys、ABri、ADan、APrP、ACal、AlAPP、AANF、APro、AIns、AMed、AKer、A(tbn)、およびALacからなる群より選択される少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含むアミロイド沈着物と特異的に結合する、(4)老人斑(但し、びまん性老人斑でない)に沈着したAβに、脳血管のアミロイドに沈着したAβに、およびNFTに沈着したタンパク質からなるアミロイドに結合する、ならびに(5)適切な投与量レベルで無毒性でもありかつ満足な作用持続時間を有する、の各々を有する。
一実施形態において、R〜R10は、H、F、Cl、Br、I、−N(R11、およびOR11からなる群より独立して選択することができる。これまたは本明細書に記述の他の任意の実施形態と組み合わせて、RおよびRは独立してOR11とすることができる。
別の実施形態において、任意により本明細書に記述のその他の実施形態と組み合わせて、RおよびR10の各々はHとすることができる。別の実施形態において、R、R、R、およびRの各々はHとすることができる。
本発明のその他の実施形態において、YはF、Cl、Br、I、または−NOとすることができる。Yの具体例はFである。
別の実施形態において、式(I)のアミロイド結合性化合物は、R、R、R、R、R、およびR10の各々がHであり、かつRおよびRが独立してOR11である。
式(I)の化合物の例示は、以下の表1に示されるものを含むがそれに限定されるものではない。
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239
他の実施形態においては、任意で本明細書において記述される他のいずれかの実施形態と併用して、本発明は、以下の表2におけるさらなる化合物を包含する。以下の化合物は、式(I)に示される化合物と同様に、本明細書に記載の方法、組成物および使用に適している。
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239
使用方法
本発明の化合物は、動物の、脳を含む、器官または身体領域における1以上のアミロイド沈着の存在、位置および/または量を判定するために使用することができる。アミロイド沈着は、限定するものではないが、Aβの沈着を含む。アミロイド沈着の経時的追跡を可能にするうえで、本発明の化合物はさらに、疾患、障害または病気と関連する臨床症状の発症とアミロイド沈着を関連付けるのに使用することができる。本発明の化合物は最終的には、AD、家族性AD、ダウン症、アミロイド症、II型糖尿病、軽度認識障害およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体のような、アミロイド沈着を特徴とする疾患、障害または病気を診断するのに使用することができる。本発明の化合物は同様に、抗アミロイド療法を評価するための代理マーカーとして使用することができる。
造影法
本発明の1つの方法では、患者の、脳のような、器官または身体領域におけるアミロイド沈着の存在および位置を判定する。この方法は、「検出可能な化合物」と呼ばれる本発明のアミロイド結合性化合物、または製薬上許容されるその水溶性塩を含有する医薬組成物の検出可能な量の、患者への投与を含む。「検出可能な量」とは、投与される検出可能な化合物の量が、アミロイドへの化合物の結合の検出を可能とするのに十分であることを意味する。「造影に有効な量」とは、投与される検出可能な化合物の量が、アミロイドへの化合物の結合の造影を可能とするのに十分であることを意味する。
本発明は、磁気共鳴分光法(MRS)もしくは磁気共鳴映像法(MRI)のような非侵襲性神経造影法、または陽電子放出断層撮影法(PET)もしくは単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)のようなγ線造影法とともに、in vivoでアミロイド沈着を定量するのに使用されるアミロイド造影剤を利用する。この方法では、アミロイド沈着のベースラインを確立するために患者を造影することが必要になる。γ線造影法の場合、検査対象の器官または領域から放出される放射線を測定し、全結合量として、またはある組織での全結合量を同一のin vivo造影手順の間の同一被験体の別の組織での全結合量で規準化した(例えば、割った)比のいずれかとして表す。in vivoにおける全結合量は、同じ量の標識化合物を大過剰の未標識の、しかしそれ以外には化学的に同一の化合物とともに2回目の注射をすることによる補正の必要のない、in vivo造影法により組織中にて検出される全シグナルと定義される。この方法はさらに、抗アミロイド療法の施行後の患者の少なくとも1回の造影時間を含むことができる。この方法は同様に、少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置前および後の患者の造影を含むことができる。造影は処置の間の任意の時点で行うことができる。
in vivo造影のためには、利用可能な検出機器のタイプは、所与の標識を選択するうえで重要な要因である。例えば、放射性同位体および19Fを本発明の方法におけるin vivo造影に使用することができる。使用される機器のタイプは、放射性核種または安定同位体の選択の指針となる。例えば、選択される放射性核種は、所与のタイプの機器により検出可能な崩壊型を持っていなければならない。別の検討材料は放射性核種の半減期に関する。半減期は、標的による最大取込みの時点でも検出可能であるように十分に長く、しかし宿主が有害な放射線を被らないように十分短くあるべきである。本発明の放射性標識化合物は、適切な波長の放出γ線照射が検出されるγ線造影法を用いて検出することができる。γ線造影法はSPECTおよびPETを含むが、これらに限定されるものではない。SPECT検出の場合などの、一実施形態において、選択される放射性標識は微粒子の放出を欠くが、140〜200keVの範囲で多数の光子を発生する。PET検出の場合、放射性標識は、崩壊して、PETカメラにより検出できる2つの511keVのγ線を形成しうる19Fなどの陽電子放出放射性核種であろう。
本発明では、アミロイド沈着のin vivo造影および定量に有用なアミロイド結合性化合物/造影剤が作製される。これらの化合物は磁気共鳴分光法(MRS)または磁気共鳴映像法(MRI)のような非侵襲性神経造影法、陽電子放出断層撮影法(PET)、および単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)とともに使用することができる。本発明によれば、ベンゾチアゾール化合物を当技術分野において公知の一般的な有機化学技術によってMRS/MRIのために19Fまたは13Cで標識することができる。例えば、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY: REACTION, MECHANISMS, AND STRUCTURE, 第3版(1985)を参照されたい。ベンゾチアゾール化合物を同様に、当技術分野において周知の技術によってPETのために18F、11C、75Br、または76Brで放射性標識することができ、これはFowler, J. and Wolf, A.によりPOSITRON EMISSION TOMOGRAPHY AND AUTORADIOGRAPHY 391-450 (Raven Press, 1986)のなかで記述されている。ベンゾチアゾール化合物を同様に、当技術分野において公知のいくつかの技術のいずれかによってSPECTのために123Iで放射性標識することができる。例えば、Kulkarni, Int. J. Rad. Appl. & Inst. (Part B) 18: 647 (1991)を参照されたい。さらに、ベンゾチアゾール化合物を、ヨウ化ジアゾニウムを介したジアゾ化アミノ誘導体の直接的ヨウ化により(Greenbaum, F. Am. J. Pharm. 108: 17 (1936)参照)、または安定なトリアゼンへの不安定なジアゾ化アミンの変換により、または当技術分野において周知のいくつかの方法によってヨウ化化合物に変換できる安定なトリアルキルスズ誘導体への非放射性ハロゲン化前駆体の変換により、以下に限定されないが131I、125I、または123Iのような、任意の適当な放射性ヨウ素同位体で標識することができる。Satyamurthy and Barrio, J. Org. Chem. 48: 4394 (1983), Goodman et al, J. Org. Chem. 49: 2322 (1984), およびMathis et al., J. Labell. Comp. and Radiopharm. 1994: 905; Chumpradit et al., J. Med. Chem. 34: 877 (1991); Zhuang et al., J. Med. Chem. 37: 1406 (1994); Chumpradit et al., J. Med. Chem. 37: 4245 (1994)を参照されたい。例えば、ベンゾチアゾールの安定なトリアゼンまたはトリアルキルスズ誘導体を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19F含有のハロゲン化剤と反応させる。すなわち、ベンゾチアゾールの安定なトリアルキルスズ誘導体は、本発明の範囲内の放射性標識化合物の多くの合成に有用な新規の前駆体である。したがって、これらのトリアルキルスズ誘導体は、本発明の一実施形態と企図される。
ベンゾチアゾール化合物を同様に、例えば、テクネチウム−99m(99mTc)のような、公知の金属放射性標識で放射性標識することができる。放射性標識分野の当業者であれば、過度の実験を行うことなくこのような金属イオンを結合するリガンドを導入するように置換基を修飾することができる。次いで、金属放射性標識ベンゾチアゾールを使用して、アミロイド沈着を検出することができる。Tc99mの放射性標識誘導体の調製は当技術分野において周知である。例えば、Zhuang et al., 「Neutral and stereospecific Tc-99m complexes: [99mTc]N-benzyl-3,4-di-(N-2-mercaptoethyl)-amino-pyrrolidines (P-BAT)」Nuclear Medicine & Biology 26(2):217-24, (1999); Oya et al.,「Small and neutral Tc(v)O BAT, bisaminoethanethiol (N2S2) complexes for developing new brain imaging agents」Nuclear Medicine & Biology 25(2):135-40, (1998); およびHom et al.,「Technetium-99m-labeled receptor-specific small-molecule radiopharmaceuticals: recent developments and encouraging results」 Nuclear Medicine & Biology 24(6) :485-98, (1997)を参照されたい。
本発明の方法は、in vivo造影法および分光法の目的で核磁気共鳴分光法によって検出可能な同位体を使用することができる。磁気共鳴分光法において有用な元素は19Fおよび13Cがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の目的に適した放射性同位体は、β線放射体、γ線放射体、陽電子放射体、およびX線放射体とすることができる。これらの放射性同位体は131I、123I、18F、11C、75Br、および76Brを含む。本発明により、磁気共鳴映像法(MRI)または磁気共鳴分光法(MRS)で用いるのに適した安定な同位体は、19Fおよび13Cなどである。生検または死後組織のホモジネート中のアミロイドのin vitroでの定量に適した放射性同位体は、125I、14C、およびHなどである。例示的な放射性標識は、in vivo造影法におけるPETでの使用には11Cまたは18Fであり、SPECT造影法での使用には123Iであり、MRS/MRIには19Fであり、およびin vitroでの研究にはHまたは14Cである。しかしながら、診断用造影剤を視覚化するための任意の従来法を本発明によって利用することができる。
生検または死後組織中のアミロイド沈着を検出する方法に関する本発明の一実施形態によれば、該方法では、本発明のベンゾチアゾールアミロイド結合性化合物の溶液と共にホルマリン固定組織とインキュベートすることが必要になる。一実施形態において、この溶液は、本発明によるベンゾチアゾールアミロイド結合性化合物で飽和した25〜100%エタノールである(残りは水である)。インキュベーションによって、該化合物が組織中のアミロイド沈着を染色または標識し、染色または標識された沈着を任意の標準的な方法により検出または視覚化することができる。このような検出手段は、明視野顕微鏡検査、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査および交差偏光顕微鏡検査のような顕微鏡技術を含む。
生検または死後組織中のアミロイドの量を定量する方法では、生検または死後組織のホモジネートと共に、本発明による標識ベンゾチアゾール誘導体、またはその水溶性無毒塩をインキュベートすることが必要になる。当技術分野において周知の方法により、組織を得て、ホモジネートする。一実施形態において、標識は放射性標識であるが、酵素、化学発光化合物および免疫蛍光化合物のような他の標識が当業者に周知である。例示的な放射性標識は、本明細書に記述されている本発明の式の化合物の1つに置換された置換基に含有される125I、14CおよびHを含むが、これらに限定されるものではない。アミロイド沈着を含有する組織は、本発明のベンゾチアゾールアミロイド結合性化合物の標識誘導体に結合するであろう。結合した組織をその後、ろ過のような、当業者に公知の任意の機序によって未結合の組織から分離する。結合した組織を次に、当業者に公知の任意の手段によって定量することができる。組織に結合した放射性標識ベンゾチアゾール誘導体の単位を次いで、既知量のアミロイドを放射性標識ベンゾチアゾール誘導体とインキュベートすることで得られる標準曲線との比較により、組織100mgあたりのアミロイドμgの単位に変換することができる。
アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別する方法は、健常な被験体由来のおよびアルツハイマー病を有する疑いのある被験体由来の、(a)小脳および(b)同じ脳の、小脳以外の別の領域、から組織を得るステップを含む。このような組織を当業者に周知の方法により個別のホモジネートにし、次いで式(I)の放射性標識ベンゾチアゾールアミロイド結合性化合物と共にインキュベートする。次いで、放射性標識ベンゾチアゾールアミロイド結合性化合物に結合する組織の量を各組織型(例えば、小脳、小脳以外、正常、異常)について計算し、小脳組織に対する小脳以外の組織の結合比を健常者由来の組織についておよびアルツハイマー病を有する疑いのある患者由来の組織について計算する。次いで、これらの比を比較する。アルツハイマー病を有する疑いのある脳由来の比が、正常な脳から得られる比の90%を超えるなら、アルツハイマー病の診断が下される。正常な比は先に得たデータから得られてもよく、あるいは、疑いのある脳組織の研究と同時に再計算されてもよい。
アミロイド斑よりも神経原線維変化に特異的に結合する本発明の化合物の能力は、PET放射性追跡子のin vivo濃度範囲を含んだ、10nM未満の濃度で特に明白である。濃縮体だけを含有し、斑を含有しないこれらの低濃度では、斑も濃縮体も含有しない対照の脳組織と比べた場合、有意な結合は生じない。しかしながら、本明細書に記述されている式の放射性標識化合物との、主に斑と若干の濃縮体とを含有する脳組織のホモジネートのインキュベーションにより、斑も濃縮体も含まない対照組織と比べた場合、結合の有意な増大が生じる。このデータから、これらの化合物の利点の1つが10nM未満の濃度でのAβ沈着に対するその特異性であることが示唆される。これらの低濃度はPET検査で検出可能であり、Aβ沈着に特異的な、本明細書に記述されている式の放射性標識化合物を用いたPET検出を可能にする。このような化合物の使用により、斑および脳血管アミロイドに見出されるものなどの、Aβ沈着でのPET検出が可能になる。前頭皮質におけるAβレベルは濃縮体形成の前に増大することが報告されているので、このことから、PET放射性追跡子として使われる本発明の放射性標識化合物が、AD皮質での最も初期の変化に特異的であることが示唆されよう。Naslund et al., JAMA 283: 1571 (2000)。
in vivoにおいてアミロイド沈着を検出する方法
上記のように、本発明はさらに、一実施形態において、以下のステップ:
(i)動物中のアミロイド沈着物と結合する、式(I)の化合物の有効量を動物に投与するステップ;および
(ii)動物中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
を含む、in vivoにおいてアミロイド沈着を検出する方法を提供する。
化合物がアミロイド沈着物と結合するのに十分な時間が経過した後に、例えば、投与から30分〜48時間後に、その結合を当技術分野において公知の任意の手段により検出することができる。検出手段の例としては、限定するものではないが、アッセイ(免疫定量アッセイ、熱量測定アッセイ、濃度測定アッセイ、分光学的アッセイおよびクロマトグラフィーアッセイなど)、非侵襲性神経造影法(磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴映像法(MRI)など)、ならびに単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)および陽電子放出断層撮影法(PET)のようなγ線造影法が挙げられる。γ線造影法の場合、検査対象の器官または領域から放出される放射線を測定し、全結合量として、またはある組織での全結合量を同一のin vivo造影手順の間の同一被験体の別の組織での全結合量で規準化した(例えば、割った)比のいずれかとして表す。in vivoにおける全結合量は、同じ量の標識化合物を大過剰の未標識の、しかしそれ以外には化学的に同一の化合物とともに2回目の注射をすることでの補正の必要のない、in vivo造影法により組織中にて検出される全シグナルと定義される。
利用可能な検出機器のタイプは、放射性ハロまたは炭素同位体を選択するうえで1つの要因となりうる。例えば、選択される放射性同位体は、所与の機器により検出可能な崩壊型を持っている必要がある。別の検討材料は放射性同位体の半減期に関する。半減期は、標的による最大取込みの時点でも放射性同位体を検出可能であるように十分に長く、しかし宿主が有害な放射線を被らないように十分短くあるべきである。SPECT検出の場合、選択される放射性同位体は微粒子の放出を欠くことがあるが、140〜200keVの範囲で多数の光子を発生しうる。PET検出の場合、選択される放射性同位体は、崩壊して、PETカメラにより検出可能な2つの511keVのγ線を形成する陽電子放出放射性同位体とすることができる。
有用な放射性同位体としては、限定するものではないが、生検または死後組織のホモジネート中のアミロイドのin vitroでの定量では125I、14C、およびHであり、in vivo造影法におけるPETでは11Cおよび18Fであり、SPECT造影法では123Iであり、MRS/MRIでは18Fであり、in vitroでの研究ではHまたは14Cであり、磁気共鳴分光法では18Fおよび13Cが挙げられる。一実施形態において、検出はγ線造影法、磁気共鳴映像法または磁気共鳴分光法により行われる。別の実施形態において、γ線造影法はPETまたはSPECTである。
in vitroにおいてアミロイド沈着を検出する方法
本発明はさらに、以下のステップ:
(i)組織中のアミロイド沈着物と結合する、式(I)の化合物の有効量と身体組織を接触させるステップ;および
(ii)組織中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
を含む、in vitroにおいてアミロイド沈着を検出する方法を提供する。
結合は当技術分野において公知の任意の手段によって検出することができる。検出手段の例としては、限定するものではないが、明視野顕微鏡検査、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査および交差偏光顕微鏡検査のような、顕微鏡技術が挙げられる。
一実施形態において、組織は、ホルマリン固定または新鮮凍結された生検または死後組織である。別の実施形態において、組織はホモジナイズされる。さらに別の実施形態において、本発明の化合物は、25〜99%のエタノールをさらに含む溶液中にあり、溶液の残りの部分は水である。さらに別の実施形態において、溶液は0〜50%のエタノールおよび0.0001〜100μMの化合物を含む。さらに別の実施形態において、この方法はさらに(iii)化合物に結合したアミロイド沈着物を組織から分離するステップ、および(iv)本発明の化合物に結合したアミロイド沈着物を定量するステップを含む。結合したアミロイド沈着物は、ろ過のような、当技術分野において公知の任意の手段により組織から分離することができる。結合したアミロイド沈着物の量は、既知量のアミロイドを本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグと共にインキュベートすることで得られる標準曲線との比較により、組織100mgあたりのアミロイド沈着物μgの単位に変換することができる。
アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別する方法
本発明はさらに、以下のステップ:
(i)健常動物のおよびアルツハイマー病を有する疑いのある動物の、(a)小脳および(b)同じ脳の別の領域から組織を得るステップ;
(ii)式(I)の化合物と組織を接触させるステップ;
(iii)該化合物と結合したアミロイドを定量するステップ;
(iv)小脳以外の脳領域中のアミロイドの量の、小脳中のアミロイドの量に対する比を計算するステップ;
(v)健常動物についての比を、アルツハイマー病を有する疑いのある動物についての比と比較するステップ
を含む、アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別する方法を提供する。
アルツハイマー病を有する疑いのある動物についての比が、例えば、健常動物についての比の90%を超えるなら、アルツハイマー病の診断を下すことができる。この方法の場合、「健常」動物とは、アルツハイマー病に罹患していないものである。
投与および医薬組成物
本発明によれば、式(I)のアミロイド造影剤を含む医薬組成物を、アミロイドまたはアミロイド原線維形成が予想される被験体、例えば、アルツハイマー病またはアミロイド沈着と関連する別の疾患と臨床的に診断された患者に投与することができる。
被験体への投与は、局所的でも全身的でもよく、例えば、静脈内、動脈内、髄腔内(脊髄液を介して)などに行われてもよい。投与は同様に、検査される身体部位に応じて、皮内または腔内であってもよい。化合物がアミロイドと結合するのに十分な時間、例えば、30分間〜48時間が経過した後に、調査される被験体の領域を慣用の造影技術、例えばMRS/MRI、SPECT、平面シンチレーション造影法、PET、および同様に、任意の新しい造影技術によって検査する。正確なプロトコルは、上記のように、患者に特異的な要因に応じて、ならびに検査される身体部位、投与方法、および使用される標識のタイプに応じて必然的に異なるはずであり、特有の手順の決定は当業者には慣用的であろう。一例として、脳の造影の場合、本発明の、結合した放射性標識ベンゾチアゾール化合物または類似体の量(全体的または特異的な結合)を測定し、患者の小脳に結合した標識ベンゾチアゾール化合物の量と(比として)比較する。この比を次いで、同年齢の正常脳でのその同じ比と比較する。別の例として、器官の造影の場合、本発明の、結合した放射性標識チオフラビン誘導体または類似体の量(全体的または特異的な結合)を測定し、患者の器官に結合した標識チオフラビン誘導体の量と(比として)比較する。この比を次いで、同年齢の正常器官でのその同じ比と比較する。
本発明のアミロイド造影剤は、上記のように、注射用組成物の形態で投与されうるが、周知の薬物送達系(例えば、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内、もしくは皮下)、嚢内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤もしくは滴剤)、または口腔もしくは鼻内スプレーとして)に配合されてもよい。このような目的のための典型的な組成物は、製薬上許容される担体を含む。例えば、組成物は、NaCl含有のリン酸緩衝液1mlあたり約10mgのヒト血清アルブミンおよび約0.5〜500μgの標識ベンゾチアゾール化合物を含有することができる。その他の製薬上許容される担体は、例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 第15版 Easton: Mack Publishing Co. pp. 1405〜1412および1461〜1487 (1975)ならびにTHE NATIONAL FORMULARY XIV., 第14版 Washington: American Pharmaceutical Association (1975)に記述されているように、塩、保存剤、緩衝液などを含めて、水溶液、無毒性の賦形剤を含む。
非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油およびオレイン酸エチルのような注射用有機エステルである。水性担体は、水、アルコール性/水溶液、生理食塩水、非経口媒体、例えば塩化ナトリウム、リンゲルデキストロースなどである。静脈内媒体は流体および栄養補充液を含む。保存剤は抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤および不活性ガスを含む。医薬組成物中の各種成分のpHおよび正確な濃度は、当業者によって調整される。Goodman and Gilman's THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS (第7版)を参照されたい。
PET走査プロトコルは、放射性医薬品の注射から15〜60分後に完了する標準的な全身走査(頭部から骨盤までを網羅する)または特定の身体部位(例えば、心臓、肺、肝臓、腎臓)に対する走査を含むことができる。この走査プロトコルは、[F−18]2−フルオロ−2−デオキシグルコース(FDG)を用いて行われる全身のまたは局部的な身体部位のPET腫瘍走査に類似している。すなわち、アミロイドに特異的な放射性医薬品を静脈内に注射し、放射性追跡子の全身分布、対象の器官における放射性追跡子の取込み、ならびに血液およびアミロイドが存在しない他の器官からのクリアランスのための時間を割り当て、20〜40分の走査を全身に対しまたは特定の身体部位に対し行って、アミロイドに結合した放射性追跡子を撮像する。さらに、撮像走査を使って、走査された組織の生検サンプリングを引き続き行うことができる。
一般に、検出可能に標識された式(I)によるベンゾチアゾール化合物の投与量は、患者の年齢、状態、性別、および疾患の程度、禁忌、もしあれば、併用療法ならびにその他の不確定要素のような、検討事項に応じて異なり、当技術分野に精通している医師によって調整される。本発明の化合物の約0.001μg/kg/日〜約10,000mg/kg/日の用量レベルが本発明の方法に有用である。一実施形態において、用量レベルは約0.001μg/kg/日〜約10μg/kg/日である。別の実施形態において、用量レベルは約0.01μg/kg/日〜約1.0μg/kg/日である。さらに別の実施形態において、用量レベルは約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日である。
任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、利用される特異的化合物の活性および考えられる毒性;患者の年齢、体重、全体的健康状態、性別および食事;投与の時間;排泄速度;薬物の組合せ;ならびに投与の形態を含め、種々の要因に応じて異なるであろう。典型的には、in vitroでの量的効果の結果から、患者への投与に適した用量に関する有用な指針が得られる。動物モデルでの研究も役に立つ。適切な用量レベルの判定に関する検討は、当技術分野において周知であり、通常の医師の技量の範囲内である。
薬物送達のタイミングおよび順序を調節するためのいずれか公知の投薬計画を使用し、必要に応じ繰り返して、本発明の方法における処置を行うことができる。この計画は、さらなる治療剤による前処置および/またはその同時投与を含むことができる。
一実施形態において、式(I)の化合物は、アミロイド沈着を特徴とする疾患、障害もしくは病気を有する疑いのある動物、またはそれらを発症する危険性がある動物に投与される。例えば、動物は高齢のヒトとすることができる。
別の実施形態において、本発明の化合物は、合成AβペプチドまたはAD脳組織への結合により測定した場合、約0.0001μM〜約10.0μMの解離定数(K)でAβに結合する。
本発明はさらに、以下:
(i)少なくとも1つの本発明の化合物の有効量;および
(ii)製薬上許容される担体
を含む医薬組成物を提供する。
この組成物は、限定するものではないが、1以上の湿潤剤、緩衝剤、懸濁化剤、滑沢剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、香味剤、甘味剤および治療剤を含めて、1以上のさらなる製薬上許容される成分を含むことができる。
この組成物は、(1)例えば、水薬(水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液)、錠剤(例えば、口内、舌下もしくは全身吸収を対象)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌へ投与するためのペースト剤、硬質ゼラチンカプセル剤、軟質ゼラチンカプセル剤、口腔用スプレー剤、乳剤および微細乳剤としての経口投与;(2)例えば、無菌の溶液、懸濁液もしくは徐放性配合物としての皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射による非経口投与;(3)例えば、クリーム、軟膏、制御放出パッチもしくは皮膚に適用されるスプレーとしての局所適用;(4)例えば、ペッサリー、クリームもしくはフォームとしての膣内もしくは直腸内投与;(5)舌下投与;(6)眼球投与;(7)経皮投与;または(8)鼻内投与を目的とする固体、液体、ゲルまたは懸濁液の形態に製剤化することができる。
一実施形態において、この組成物は静脈内投与用に製剤化することができ、担体は流体および/または栄養補充液を含む。別の実施形態において、この組成物はin vivoでアミロイドに特異的に結合することができ、血液脳関門を横断することができ、適切な用量レベルで無毒であり、および/または十分な作用持続時間を有する。さらに別の実施形態において、この組成物はNaCl含有のリン酸緩衝液1mlあたり約10mgのヒト血清アルブミンおよび約0.5〜500mgの本発明の化合物を含む。
さらに、本発明のベンゾチアゾール化合物は、アミロイド症の処置における治療の有効性を判定する方法において使用することができる。この方法は、代用マーカーとしてアミロイド造影の使用を伴う。代用マーカーは、薬物承認の目的で臨床的評価項目として臨床的測定の代わりに使用できる特別なタイプのバイオマーカーである。例えば、コレステロールレベルの測定値は現在、一般に認められた、アテローム性動脈硬化症の代用マーカーである。本発明は抗アミロイド療法の有効性の代用マーカーとしてアミロイド造影の使用を伴う。
本発明の方法は抗アミロイド療法の成功を評価する手段を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は抗アミロイド療法の臨床的成功を評価する手段を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、引き続く臨床症状がほとんどまたは全くない、軽度に障害のある被験体での臨床的成功を評価するために使用することができる。アミロイド症の処置における治療の有効性を判定する基本的方法は、以下のステップ:
(a)上記のように式(I)の化合物または製薬上許容される塩の有効量を、その処置が必要な患者に投与するステップ;
(b)該患者を造影するステップ;その後
(c)少なくとも1つの抗アミロイド剤をその処置が必要な患者に投与するステップ;
(d)その後、式(I)の化合物の有効量をその処置が必要な患者に投与するステップ;
(e)該患者を造影するステップ;および
(f)少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置前の患者でのアミロイド沈着のレベルを、少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置後の患者でのアミロイド沈着のレベルと比較するステップ
を含む。
検出可能な標識は、当業者に公知の造影法を用いて検出できる任意の原子または部分を含む。典型的には、検出可能な標識はH、131I、125I、123I、76Br、75Br、18F、CH−CH−X、O−CH−CH−X、CH−CH−CH−X、O−CH−CH−CH−X(ここで、X131I、123I、76Br、75Brまたは18F)、19F、ならびに125I、ならびに低級アルキル、(CHOR'、CF、CH−CHX、O−CH−CHX、CH−CH−CHX、O−CH−CH−CHX(ここで、X=F、Cl、BrまたはI)、CN、(C=O)−R'、(C=O)N(R')、O(CO)R'、COOR'、CR'=CR'−RphおよびCR'−CR'−Rphからなる群より選択される炭素含有置換基(ここで、少なくとも1つの炭素が11C、13Cまたは14Cである)ならびにW−LもしくはV−W−Lの形態のキレート基(キレート化金属基を有する)(ここで、Vは−COO−、−CO−、−CHO−および−CHNH−からなる群より選択され;Wは−(CHであり、ここでn=0、1、2、3、4または5であり;Lは以下である)からなる群より選択される:
Figure 2009519239
[式中、M99mTcである]。
一実施形態において、検出可能な標識は放射性標識である。
抗アミロイド療法
本発明の別の実施形態はアミロイド症の処置における治療の有効性を、その処置が必要な患者において判定する方法である。この方法は、式(I)の化合物を投与するステップ、その後、患者を造影するステップを含む。造影の後、少なくとも1つの抗アミロイド剤/抗アミロイド療法が患者に施行される。投与される量、投与経路、および治療期間は、患者の年齢、体重、および状態に基づいて当業者により判定される。このような判定は当業者の範囲内である。適当な量は0.01〜100mg/kgを含むが、これらに限定されるものではない。適当な投与経路は、経口、皮下および静脈内を含むが、これらに限定されるものではない。適当な治療期間は、無期限に投与される1日あたり1回の用量から4回の用量を含むが、これらに限定されるものではない。適当な造影までの時間は、最初の投与直後から直近の投与後10年を含むが、これらに限定されるものではない。例示的な造影までの時間は、直近の投与後7日〜6ヶ月のものを含むが、これらに限定されるものではない。
「抗アミロイド剤」または「抗アミロイド療法」は、アミロイド症を処置または予防する任意の薬剤または薬剤の組合せである。アミロイド沈着と関連する疾患であるアミロイド症の例には、アルツハイマー病、ダウン症、2型糖尿病、遺伝性脳出血アミロイド症(オランダ人)、アミロイドA(反応性)、続発性アミロイド症、MCI、家族性地中海熱、蕁麻疹および聴覚障害を伴う家族性アミロイド腎症(マックルウェルズ症候群)、アミロイドλL鎖またはアミロイドκL鎖(特発性、骨髄腫もしくはマクログロブリン血症に関連)Aβ2M(慢性血液透析)、ATTR(家族性アミロイド多発性神経障害(ポルトガル人、日本人、スウェーデン人))、家族性アミロイド心筋障害(デンマーク人)、孤立性心臓アミロイド、全身性老人性アミロイド症、AIAPPもしくはアミリンインスリノーマ、心房性ナトリウム利尿因子(孤立性心房性アミロイド)、プロカルシトニン(甲状腺の髄様癌)、ゲルゾリン(家族性アミロイド症(フィンランド人))、シスタチンC(アミロイド症を伴う遺伝性脳出血(アイスランド人))、AApo−A−1(家族性アミロイド性多発性神経障害−アイオワ)、AApo−A−II(マウスでの老衰促進)、フィブリノーゲン関連アミロイド;およびAsorもしくはPrP−27(スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、ウシ海綿状脳症)またはアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体であるヒトの場合、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合性に関連する状態あるいはハンチントン病が含まれる。本発明はアミロイド斑沈着と関連する疾患を企図する。一実施形態において、アミロイド沈着と関連する疾患はADである。
式(I)に示される本発明のベンゾチアゾールは、抗アミロイド療法に対する有効性の代用マーカーとしての役割を果たすアミロイド造影に使用することができる。アミロイド沈着のベースラインを確立するためのアミロイド造影剤の投与とその後の、抗アミロイド剤による患者の処置前および後の患者の造影により、抗アミロイド療法の有効性の判定が可能になる。この方法を用いて、任意の抗アミロイド処置の有効性を判定することができる。任意の抗アミロイド療法の前および後に、アミロイド造影剤を投与することができ、患者を造影することができるためである。この方法は、アミロイド沈着と関連する疾患を処置するのに無効である抗アミロイド療法、およびアミロイド沈着と関連する疾患を処置するのに有効な抗アミロイド療法を判定することを企図する。当業者は適切なプロトコルにより、抗アミロイド療法の条件および投薬を判定することができる。したがって、本発明は、現在公知の抗アミロイド療法、および未発見の療法の有効性を判定することを企図する。例示的な、限定するものではない抗アミロイド療法を以下に記述する。
いくつかの実施形態において、アミロイド症の処置におけるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の有効性を本発明の方法により判定することができる。アセチルコリンエステラーゼ療法は、前脳基底核におけるニューロンのグループの中でも実質的に低下することが同定されたADにおける変性パターンの研究に基づいている。これらの細胞は全て伝達物質のアセチルコリンを使用し、その喪失は、皮質の前末端でアセチルコリンがあまり放出されていないことを意味する。タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンのような、いくつかの薬物がこれらの発見に基づいて開発されており、酵素のアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより働くことが仮定されている(Ingram, V., American Scientist, 2003, 91(4):312-321)。
他の実施形態において、アミロイド症の処置におけるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の有害な断片の形成に関与する酵素を標的にした抗アミロイド療法の有効性を、記述の手順にしたがって本発明の化合物により判定する。いくつかの実施形態において、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の有害な断片は、誤って折り畳まれたAβペプチドである。例えば、Aβ1−42断片の過剰生成はADの根本的原因であると考える科学者もいる。Aβ1−42断片はβ−セクレターゼ酵素(BACE1)(アミノ末端を生成する)およびγ−セクレターゼ酵素(APPのカルボキシル末端を切断する)によるAPPの切断により形成される。これらのセクレターゼ酵素の阻害剤を抗アミロイド療法として使用することができる(Ingram, V., American Scientist, 2003, 91(4):312-321)。
いくつかの実施形態において、アミロイド症の処置における免疫療法の有効性を本発明の方法により判定することができる。アミロイド斑の特定とこれを破壊するために患者の免疫系を使用することによる免疫療法の研究、および多くの免疫療法は、科学者らによって積極的に探求されている。免疫療法は受動的でも能動的でもよい。例えば、能動的免疫療法では、患者はAβペプチドの注射または鼻内スプレーの適用を受け、抗アミロイド免疫反応をもたらすことができる。その一方、受動的免疫療法では、βアミロイドタンパク質を避けて、その代わりにβアミロイドに反応して既に産生された抗血清を使う。Aβペプチドに対する抗体を伴う免疫療法は、ADを処置するために研究されている。例えば、AN−1792はQS−21アジュバントとともに、予め凝集した合成アミロイドβ(Aβ;1〜42残基長)の調製物である(Hock, C. et al., 2003, Neuron, 38:547-554)。副作用によって臨床試験が一時中止になる前に、およそ300人のAD患者がこの調製物で処置されている(Birmingham, K. and Frantz, S., 2002, Nature Medicine, 8:199-200)。
他の実施形態において、アミロイド症の処置における神経保護手法の有効性を本発明の方法により判定する。例えば、多くの臨床医は、患者が高用量(1000〜2000IU/日)のビタミンEを服用することを推奨している。アミロイド症の処置のために提案されている他のタイプの神経保護手法は、高用量のビタミンC、カルシウムチャネル調節因子、フリーラジカル捕捉剤、および金属イオンキレート剤である(Selkoe, et al., Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol., 2003, 43:545-84)。
いくつかの実施形態において、アミロイド症の処置における抗炎症薬(NSAIDs)の有効性を本発明の方法により判定する。NSAIDsを伴う処置は、Aβペプチドの進行性の蓄積により皮質における細胞の炎症反応が誘発されるという証拠に基づくものである。例示的な抗炎症薬はプレドニソン、非特異的シクロオキシゲナーゼ阻害剤、およびシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤である(Clark, M., et al., Annals of Internal Medicine, 2003, 138(5):400-410; およびHardy, John, Annu. Rev. Med., 2004, 55:15-25)。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害剤(スタチン)を含むが、これに限定されない、コレステロール低下療法の有効性を判定することができる。コレステロール低下薬(スタチンなど)を伴う処置は、スタチンで処置した患者はADの発生率が低くなり、スタチンはAβの代謝を変えてAβレベルを低下させることができるという疫学的証拠に基づくものである(Wolozin, B (2002) Cholesterol and Alzheimer's disease. Biochemical Society Transactions. 30:525-529)。例示的な、コレステロールを下げるスタチン薬は、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよびシンバスタチンを含む。他のコレステロール低下薬は、ナイアシン、コレスチラミン、フェノフィブラート、コレセベラムおよびエゼチミブなどである。
他の実施形態において、アミロイド症の処置における凝集したAβ1−42の神経毒性を取り除く小分子の有効性を、本発明の方法により判定する。このような薬物は、例えば、疾患進行の初期に投与される場合、永久的な損傷が神経に与えられる前に、徐々に蓄積するAβペプチドを「解毒」しうる(Clark, M., et al., Annals of Internal Medicine, 2003, 138(5):400-410)。
いくつかの実施形態において、アミロイド症の処置における「デコイペプチド」の有効性を本発明の方法により判定する。デコイペプチドは、凝集しているAβ1−42ペプチドに結合し、無毒性の構造をとらせる小分子である。例示的なデコイペプチドはタンパク質断片の広範なライブラリーから、標識されたAβ1−42と緊密な会合を形成するその能力によって選択される小ペプチド(5、6または9アミノ酸長)である。(Clark, M., et al., Annals of Internal Medicine, 2003, 138(5):400-410)。
他の実施形態において、アミロイド症の処置におけるコレステロールの恒常性調節の有効性を、本発明の方法により判定する。コレステロール低下薬の長期使用は、最近では、ADの発生率の低下と関連付けられている。同時に、高コレステロール食は動物においてAβの病状を増大させることが示されており、コレステロール低下薬はAPPトランスジェニックマウスにおいて病状を低減させることが示されている。ADの処置におけるコレステロールの恒常性調節の効果を研究するために、臨床試験が進行中である(Hardy, John, Annu. Rev. Med., 2004, 55:15-25)。
m266 (DeMattos, RB, Bales, KR, Cummins, DJ, Dodart, JC, Paul, SM, Holtzman, DM (2001) 「Peripheral anti-A beta antibody alters CNS and plasma A beta clearance and decreases brain A beta burden in a mouse model of Alzheimer's disease」 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:8850-8855)と呼ばれるものなどのある種の抗体または抗体以外の分子(Matsuoka, Y, Saito, M, LaFrancois, J, Saito, M, Gaynor, K, Olm, V, Wang, L, Casey, E, Lu, Y, Shiratori, C, Lemere, C, Duff, K (2001) 「Novel therapeutic approach for the treatment of Alzheimer's disease by peripheral administration of agents with an affinity to beta-amyloid」 Journal of Neuroscience, 23:29-33)は、血中のAβペプチドに結合し、それにより「末梢性シンク」を作り出し、Aβの平衡を脳から血液に移行し、アミロイドが身体から一掃されうることにより、脳のアミロイドを低下させると考えられている。このような薬剤を本明細書では「末梢性シンク剤」という。
抗アミロイド療法の有効性の評価
アミロイド症の処置における治療法の有効性を判定するために式(I)に示されるベンゾチアゾールを利用する方法論は、式(I)の化合物を、その処置が必要な患者に投与するステップおよび患者を造影するステップを含む。造影の後、少なくとも1つの抗アミロイド剤を患者に投与する。次いで、式(I)の化合物の有効量を患者に投与し、患者を再び造影する。最後に、抗アミロイド剤による処置前の患者でのアミロイド沈着のベースラインレベルを、抗アミロイド剤による処置後の患者でのアミロイド沈着のレベルと比較する。このような比較は当業者の範囲内である。
いくつかの実施形態において、抗アミロイド剤による処置前の患者でのアミロイド沈着のレベルは抗アミロイド剤による処置後の患者でのアミロイド沈着のレベルよりも高くなる。このような結果は、抗アミロイド剤/抗アミロイド療法が、アミロイド沈着と関連する疾患の処置において有効であることを示すものである。
例えば、AN−1792はQS−21アジュバントとともに、予め凝集した合成アミロイドβ(Aβ;1〜42残基長)の調製物である。副作用によって臨床試験が一時中止になる前に、およそ300人のAD患者がこの調製物で処置されている(Birmingham, K. and Frantz, S., 2002, Nature Medicine, 8:199-200)。この失敗にもかかわらず、2つの所見によりこの取組みに対する楽観論が生じている。第1に、AN−1792で処置されたAD患者に関する未刊の剖検報告のみにおいて、(i)ほとんどAβ斑がない広範な新皮質領域;(ii)Aβ斑がない皮質領域には、密度のある濃縮体、糸屑状構造物および免疫を受けていないADに類似する脳アミロイド血管症(CAA)が含まれていたものの、斑に関連した異栄養神経突起およびアストロサイトクラスターがなかったこと、(iii)斑がない領域によっては、Aβの免疫反応性はミクログリアと関連していたこと、を含めて、いくつかの珍しい所見が認められた(Nicoll, J. et al., 2003, Nature Medicine 9:448-452)。第2に、30名のAN−1792処置患者の小集団において、組織アミロイド斑免疫反応性(TAPIR)アッセイにより測定された、Aβに対する抗体を産生した患者は、このような抗体のない患者と比較して、ミニメンタルステート検査、認知症の能力障害評価、およびウェクスラー記憶検査からの視覚性対連合テストの想起の遅延により指摘されるように、認知機能および日常生活動作の著しく遅い速度での低下を示した(Hock, C. et al., 2003, Neuron, 38:547-554)。
別の実施形態において、本発明は、ADの臨床診断基準を満たさない患者の脳内のアミロイド沈着を造影する方法において式(I)の化合物を患者に投与することを企図する。これらは、患者のアミロイド造影のデータによって、ある種のアミロイド沈着がADまたは別のアミロイド沈着障害の前駆症状であることが明らかにされた、例えば、病因に疑問のある認知性障害を呈している患者などの、認知症の臨床的兆候を呈している患者または軽度の認知障害を有する患者を含むが、これらに限定されるものではない。
本発明の別の実施形態は、患者をアミロイド沈着疾患の標準的な臨床診断の前駆症状と特定する方法である。この方法は、患者から定量的および定性的データを得るためのアミロイド造影剤の使用を含む。本発明による、定量的および定性的アミロイド造影は、アミロイド沈着疾患の迅速かつより正確な診断を可能にするはずであり、抗アミロイド療法の発達を補助するはずである。この方法論の対象となる患者は、臨床的認知症の兆候を呈している患者または軽度の認知障害の臨床的兆候を呈している患者とすることができる。
当業者であれば、実施者が、臨床的認知症の兆候の異なる判定基準を適用することができることを理解している。このような基準はDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 第3版(DSM-III) Alzheimer's disease Diagnostic and Treatment Center (ADDTC)、International Statistical Classification of Diseases, 改訂第10版(ICD-10)、National Institute of Neurological Disorders and Stroke-Association Internationale pour la Recherche et l'Enseignment en Neurosciences (NINDS-AIREN)およびDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 第4版(DSM-IV)を含むが、これらに限定されるものではない。Pohjasvaara et al., Stroke 31: 2952-57 (2000)を参照されたい。
患者を軽度の認知障害と臨床的に特徴付けることは十分に当業者の範囲内である。このような状態を解明するための患者の検査は一連のメンタルテストの実施を含む。臨床診断の方法は広く概説されており、例えば、Petersen et al., Arch. Neurol. 56: 303-08 (1999)に論じられている。
臨床検査のみに基づいて、MCIと特定された被験体は、ADの診断に変わるか(1年あたり約10〜15%の割合)、MCIのままであるか、または「健常」との診断に戻る(1年あたり10〜15%)ことがある。Larrieu, S, Letenneur, L, Orgogozo, JM, Fabrigoule, C, Amieva, H, Le, C, Barberger-Gateau, P, Dartigues, JF (1926) Incidence and outcome of mild cognitive impairment in a population-based prospective cohort. Neurology. 59:1594-1599。
このように、臨床診断に関連した予後はかなり不確かである。MCIと臨床的に診断された被験体において脳アミロイド沈着の存在または非存在を特定できれば、ADへの転換に対する予後の正確さを大いに高める可能性がある。
アミロイド沈着と関連する疾患の部類は、アルツハイマー病、ダウン症、2型糖尿病、遺伝性脳出血アミロイド症(オランダ人)、アミロイドA(反応性)、続発性アミロイド症、家族性地中海熱、蕁麻疹および聴覚障害を伴う家族性アミロイド腎症(マックルウェルズ症候群)、アミロイドλL鎖またはアミロイドκL鎖(特発性、骨髄腫もしくはマクログロブリン血症に関連)Aβ2M(慢性血液透析)、ATTR(家族性アミロイド多発性神経障害(ポルトガル人、日本人、スウェーデン人))、家族性アミロイド心筋障害(デンマーク人)、孤立性心臓アミロイド、全身性老人性アミロイド症、AIAPPもしくはアミリンインスリノーマ、心房性ナトリウム利尿因子(孤立性心房性アミロイド)、プロカルシトニン(甲状腺の髄様癌)、ゲルゾリン(家族性アミロイド症(フィンランド人))、シスタチンC(アミロイド症を伴う遺伝性脳出血(アイスランド人))、AApo−A−1(家族性アミロイド性多発性神経障害−アイオワ)、AApo−A−II(マウスでの老衰促進)、フィブリノーゲン関連アミロイド;およびAsorもしくはPrP−27(スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、ウシ海綿状脳症)またはアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体であるヒトの場合、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合性に関連する状態あるいはハンチントン病を含むが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、アミロイド沈着と関連する疾患は、アミロイド斑沈着疾患である。アミロイド沈着と関連する具体的疾患はADである。
本発明によれば、患者をアミロイド沈着疾患の前駆症状と特定する基本的な方法論は、以下のステップ:
(a)上記の式Iの化合物または製薬上許容されるその塩の有効量をその必要性がある、臨床的認知症の兆候を呈している患者または軽度の認知障害の臨床的兆候を呈している患者に投与するステップ;
(b)該患者を造影してデータを得るステップ、および
(c)規範となる患者を基準にして該患者におけるアミロイドレベルを確認するために該データを分析するステップ
を含む。
一実施形態は、病因に疑問のある認知性を呈している患者を診断する方法に関する。この方法は、アミロイド沈着の所見に基づいて、病因に疑問のある認知症が、ADまたは別のアミロイド沈着障害である可能性が高いかどうかを判定するステップを含む。この方法は、式(I)の化合物を患者に投与するステップ、患者を造影してデータを得るステップ、およびアミロイド沈着の所見に基づいて、病因に疑問のある認知症がADであるかどうかを判定するステップを含む。
「病因に疑問のある認知性障害」という用語は、(認知性障害のヒトを診断している当業者によって一般に利用される神経学的、精神医学的、医学的および神経心理学的評価から構成されうる)臨床評価を受け、その臨床評価の後、評価者が(主観的記憶愁訴の証拠、正常な機能から逸脱しているヒトを知っている情報提供者による記憶愁訴の説明、または当業者によって一般的に使用される神経心理学検査および臨床検査においての性能不足に基づいて)若干の認知性障害が存在しうるという証拠を見出すが、単一の臨床的に明確な認知性障害(AD、前頭側頭認知症、レヴィー小体認知症、血管性認知症、大うつ病が原因の偽認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病および当業者に公知の他のものなど)に関する十分な証拠を見出すことができないか、または2つ以上の単一の認知性障害の証拠をこれら2つ(またはそれ以上)の認知性障害の区別が疑わしい程度にしか見出せないヒトの状態をいう。
本発明のこの実施形態では磁気共鳴分光法(MRS)もしくは磁気共鳴映像法(MRI)のような非侵襲性神経造影法、または陽電子放出断層撮影法(PET)もしくは単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)のようなγ線造影法とともに、in vivoでアミロイド沈着を定量するのに使用されるアミロイド造影剤を利用する。これらの造影法により、多くの脳領域のデータが得られる。「関心領域またはROI」を描写することにより、特定領域での定量が達成される。
この実施形態によれば、上記の造影法の1つを用いて患者から得られたデータを、規範となる患者からのデータと比較し、アミロイド沈着疾患の標準的な臨床診断の前駆症状と患者を識別する基準に基づいて結論を得ることができる。
同じプロトコルを用いて、以下:
病因に疑問のある認知性障害がアミロイド沈着疾患によって引き起こされていると規定するために;
アルツハイマー病と前頭側頭認知症とを識別するために;
アルツハイマー病の発症を判定するよう患者をモニターするために;
軽度の認知障害と臨床的に診断された患者においてアルツハイマー病を診断するために;
患者をアルツハイマー病の前駆症状と特定するために;
病因に疑問のある認知性障害を呈している患者を、アミロイド沈着障害と関連する疾患を有すると特定するために、または
病因に疑問のある認知性障害を呈している患者を、アルツハイマー病を有すると特定するために
患者に適用された造影法から得られたデータを比較することができる。
アミロイド造影のデータ解析
得られたデータは、標準化取り込み値(SUV)によって、または小脳などの基準組織に対するLogan分布容積比(DVR)のような薬物動態モデリングパラメーターによって定量的に表すことができる。SUVまたはDVRの典型的な対照値を上回り標準偏差が1を超える被験体は、検査で「陽性」であると見なされ、ADのようなアミロイド沈着疾患の臨床診断の前駆症状であると見なされるであろう。具体的には、前頭、頭頂または後帯状皮質における40〜60分の平均SUVが1.0を超えるならば、被験体は「陽性」と見なすことができる。この値により初期のヒト研究においてAD患者と対照が明確に区別される(Klunk, et al., 2004, Ann. Neurol., 55(3):306-19)。同様に、前頭、頭頂または後帯状皮質におけるLogan DVR値が1.5を超えているならば、被験体は「陽性」と見なすことができる。これらの脳領域および正確なカットオフ値は単なる例として示されており、さらなる実験により有用な追加の脳領域を開示してもよく、カットオフ値を精緻化してもよく、その他のモデリング技術(コンパートメントモデリング、グラフ分析、基準組織モデリングまたはスペクトル分析など)を適用して、カットオフ値を判定してもよい。さらに、アミロイドの定性的な量および分布が臨床診断されたアミロイド沈着疾患の前駆相と一致していることをPETスキャンを解釈する当業者が判定できる、SUV、Logan DVR、または他のパラメータの局所脳分布を反映する画像(図1のようなもの)から、スキャンデータを定性的に解釈することができる。
本発明の別の実施形態において、以下のステップ:
(a)アミロイド症と関連する疾患に罹患している被験体に、少なくとも1つの上記式(I)の化合物および製薬上許容されるその塩を含む医薬組成物の検出可能な量を投与するステップ;ならびに
(b)AL、AH、ATTR、Aβ2M、AA、AApoAI、AApoAII、AGel、ALys、AFib、ACys、ABri、ADan、APrP、ACal、AlAPP、AANF、APro、AIns、AMed、AKer、A(tbn)、およびALacからなる群より選択される、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含むアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
を含む方法により、少なくとも1つのアミロイド沈着(すなわち、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質で構成される沈着)を有する、または有する危険性がある被験体に関して、in vivoまたはin vitroでの検出が行われる。
原発性全身性アミロイド症(AL)では、アミロイド生成性タンパク質は、クローン性形質細胞によって産生される異常に一致したモノクローナル免疫グロブリン軽鎖(κまたはλ)でありうる。原線維が腎臓、心臓、肝臓、および他の器官/組織中に沈着する。
少数の症例では、免疫グロブリン鎖のアミロイド症原線維は、軽鎖配列ではなく重鎖配列だけを含有する。その状況では、疾患は「重鎖アミロイド症」(AH)と呼ばれる。
トランスサイレチンアミロイド症では、前駆体タンパク質は正常または変異配列のTTRであり、肝臓および脈絡叢で合成される輸送タンパク質である。TTRは、各々が127アミノ酸からなる4つの同一サブユニットの四量体である。正常配列のTTRは高齢(>70歳)の個体の心室内にアミロイド沈着を形成し、この疾患は「老人性心アミロイド症」とも呼ばれる。TTR心アミロイド症の有病率は年齢とともに漸増し、90歳を超える集団の25%以上が発症している。正常配列のATTRは偶発的な剖検所見でありうるか、またはそれは臨床症状(例えば、心不全および不整脈)を引き起こすことがある。
TTRにおける点突然変異は、TTRの、アミロイドを形成する傾向を高める。アミロイド生成性のTTR変異は、さまざまな浸透度で常染色体優性疾患として遺伝する。60を超えるアミロイド生成性のTTR変異が知られている。最も多く見られるTTR変異はTTR Val30Met(ポルトガル、日本およびスウェーデンにおいてよく見られる)、ならびにTTR Val122Ile(アフリカ系アメリカ人の3.9%が保有する)である。アミロイド生成性のTTR変異は、末梢神経、心臓、胃腸管、および硝子体において主に沈着を引き起こす。
β2−ミクログロブリンアミロイド症では、前駆体タンパク質は正常なβ2−ミクログロブリン(β2M)であり、これは主要組織適合複合体の軽鎖成分である。臨床の場では、Aβ2Mは透析の患者および、稀に、透析を受けていない腎不全患者と関係している。
β2Mは通常、腎臓で分解される。腎不全患者では、このタンパク質が血清中に蓄積する。従来の透析膜ではβ2Mが除去されず、したがって、血清レベルは、血液透析の患者において基準範囲値の30〜60倍にまで達することがある。典型的な病変器官には手根靭帯や、場合により、滑膜(関節症および骨嚢胞を引き起こす)ならびに心臓、胃腸管、肝臓、肺、前立腺、副腎、および舌が含まれる。
アミロイドA(AA)アミロイド症は、世界的に最も多く見られる全身性アミロイド症の形態である。これは感染性または非感染性の病因の慢性炎症性疾患の過程で起こる。AAでは、腎臓、肝臓、および脾臓が主要な病変部位である。
アポリポタンパク質AIアミロイド症(AApoAI)は、アポAI遺伝子中の点突然変異によって引き起こされる常染色体優性のアミロイド症である。通常、このアミロイド症は顕著な腎アミロイドである。家系のなかには末梢神経障害または心疾患もある。アポAI(正常配列の可能性が高い)も高齢者の大動脈に局在化したアミロイド斑中の原線維前駆体である。
アポリポタンパク質AIIアミロイド症(AApoAII)は、アポAII遺伝子中の点突然変異によって引き起こされる常染色体優性のアミロイド症である。この障害で記述されている2つの家系では、それぞれ停止コドンの中に点突然変異を保有し、異常に長いタンパク質の産生を引き起こしている。
ゲルゾリンアミロイド症(AGeI)における前駆体タンパク質は、アクチン調節タンパク質のゲルゾリンである。アミロイド原線維には、点突然変異を含有するゲルゾリン断片が含まれる。
フィブリノーゲンアミロイド症(AFib)は、フィブリノーゲンα鎖遺伝子中の点突然変異によって引き起こされる常染色体優性のアミロイド症である。
リゾチームアミロイド症(ALys)は、リゾチーム遺伝子中の点突然変異によって引き起こされる常染色体優性のアミロイド症である。
シスタチンCアミロイド症(ACys)における前駆体タンパク質はシスタチンCであり、これは、点突然変異を含有するシステインプロテアーゼ阻害因子である。この状態はHCHWA、アイスランド型と臨床的に呼ばれる。ACysは常染色体優性である。臨床所見には、10歳代または20歳代に始まる精神状態の変化および多発性脳梗塞が含まれる。この発病機序は、組織中に広く分布している変異シスタチンの1つであるが、原線維は脳血管中にしか生じず、したがって、局所的条件が原線維形成に関与していると考えられる。
プリオンタンパク質アミロイド症(APrP)における前駆体タンパク質はプリオンタンパク質であり、これは原形質膜糖タンパク質である。この病因は感染性(すなわち、クル)または遺伝性(すなわち、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー(GSS)症候群、致死性家族性不眠症(FFI))のいずれかである。この感染単位はプリオンタンパク質であり、これは、宿主染色体遺伝子によってコードされる相同タンパク質の立体構造変化を誘導する。CJD、GSS、およびFFIの患者は、プリオンタンパク質遺伝子中に常染色体優性のアミロイド生成性変異を保有し、したがって、アミロイド症は感染性の誘因のない場合でさえも生ずる。
カルシトニンアミロイド(ACal)では、前駆体タンパク質は、甲状腺によって合成されるカルシウム調節ホルモンのカルシトニンである。甲状腺髄様癌を有する患者は、正常配列のプロカルシトニン(ACal)からなる、腫瘍中の限局性アミロイド沈着を発現しうる。推定される発病機序は、局所カルシトニン産生の増大であり、重合および原線維形成を引き起こすペプチドの十分に高い局所濃度をもたらす。
膵島アミロイドポリペプチドアミロイド症(AIAPP)では、前駆体タンパク質は、アミリンとしても公知の膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)である。IAPPは膵島β細胞によって分泌されるタンパク質であり、これは分泌顆粒中にインスリンとともに貯蔵されかつインスリンと合わせて放出される。通常、IAPPは骨格筋においてインスリン活性を調節する。IAPPアミロイドは、膵島細胞腫においておよび2型糖尿病を有する多くの患者の膵臓において見出される。
心房性ナトリウム利尿因子アミロイド症は、心房によって合成される、前駆体タンパク質の心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、つまり塩および水の恒常性を制御するホルモンと関連している。アミロイド沈着は心房に局在している。この状態は高齢者に高度に蔓延している。心房性ナトリウム利尿因子アミロイド症(AANF)は、おそらく持続的なANF産生のため、長期のうっ血性心不全を有する患者において最も多く見られる。
プロラクチンアミロイド(APro)では、プロラクチンまたはプロラクチン断片が下垂体アミロイドに見出される。この状態は高齢者に認められることが多く、プロラクチン産生下垂体腫瘍を有する患者でのアミロイド腫瘍でも報告されている。
皮膚のアミロイドは一部の抗ケラチン抗体と反応して、限局型のアミロイド症を生み出す。しかしながら、原線維の正確な正体はケラチンアミロイドにおいて化学的に確認されていないが、それらはケラチンアミロイドタンパク質(AKer)といわれる。
大動脈中膜のアミロイドは60歳を超えるほとんどのヒトで起こる。中膜のアミロイド(AMed)は、乳腺上皮により発現される糖タンパク質のラクタドヘリンのタンパク質分解断片から生じる。
家族性英国型認知症(FBD)は、独特のアミロイド形成タンパク質ABriの沈着を神経病理学的特徴とする。それは異常型の前駆体タンパク質BRIの断片である。
家族性デンマーク型認知症(FDD)では、BRI遺伝子の3'領域中のコドン265と266との間の10個の重複が、正常BRI遺伝子から産生される野生型ペプチドよりも11残基長い、ADanと名付けられたアミロイドペプチドをもたらす。ADan沈着はFDD症例のCNSに広く分布していることが見出されている。ADanの沈着物は主に非線維状凝集物である。
ABriおよびADanペプチドは、BRI前駆体タンパク質と呼ばれる、いっそう大きな、膜に固定された前駆体タンパク質から生じる断片であり、13番染色体のBRI遺伝子によってコードされる。
ピンドボルグ腫瘍は、大量のアミロイドの産生および石灰化した層状体の存在を特徴とする。この症候群と関連するアミロイドタンパク質は、まだ名付けられていないが、一般にA(tbn)といわれている。
アミロイド原線維は、インスリンのような、いくつかの天然ポリペプチドから血清アミロイドP(SAP)成分およびヘパリン硫酸プロテオグリカンの非存在下で形成されうる。これはアミロイドタンパク質AInsをもたらし、その前駆体はインスリンである。
別のタンパク質ラクトフェリンは、家族性角膜上皮下アミロイド症における主要な原線維タンパク質として報告されている。構造的異常または血清中の異常に増大した濃度がアミロイドタンパク質ALacをもたらすと推定される。
アミロイド生成性タンパク質は、本発明のチオフラビン化合物により検出される。チオフラビン化合物は、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、トランスサイレチン、β2−ミクログロブリン、(アポ)血清AA、アポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、ゲルゾリン、リゾチーム、フィブリノーゲンα鎖、シスタチンC、ABriPP、ADanPP、プリオンタンパク質、(プロ)カルシトニン、膵島アミロイドポリペプチド、心房性ナトリウム利尿因子、プロラクチン、インスリン、ラクタドヘリン、ケラト−エピセリン、ピンドボルグ腫瘍に関連した前駆体タンパク質(tbn)およびラクトフェリンからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク質前駆体から生じる少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を標的とする。罹患組織の異なる症候群または疾患を引き起こすのが、これらのタンパク質標的である。Buxbaum, Curr. Opin Rheumatol 16: 67-75 (2003)を参照されたい。同様に、Merlini and Westermark, J Intern Med 255: 159-178 (2004)を参照されたい。
本発明を説明するために、以下の実施例を示す。しかしながら、本発明はこれらの実施例に記述されている特定の条件または詳細に限定されないと理解されるべきである。本明細書の全体において、公に入手可能な書類についての参照文献(例えば米国特許)は、いずれもかつ全て、それらが本明細書中に全体に記載されているものとして参照により明確に組み込まれる。
合成例
実施例1:5−メトキシ−2−(4'−フルオロフェニル)ベンゾチアゾールの合成
Figure 2009519239
スキーム:試薬および条件:a.NaS.9HO、還流、20時間;b.4−フルオロベンズアルデヒド、DMSO、110℃、5時間。
a.2−アミノ−4−メトキシチオフェノール:
水(45ml)中の4−クロロ−3−ニトロアニソール(5.0g,26.7mmol)およびNaS.9HO(17.3g,72.1mmol)の混合物を、窒素下にて撹拌しながら20時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、5%HClを用いてpH7に中和した。水溶液を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。抽出物をあわせ、MgSOで乾燥し、蒸発乾固して、所望の化合物(4.1g,98.9%)を得た。
b.5−メトキシ−2−(4'−フルオロフェニル)ベンゾチアゾール:
DMSO(1mL)中の2−アミノ−4−メトキシフェノール(50mg,0.33mmol)および4−フルオロベンズアルデヒド(45mg,0.36mmol)の混合物を110℃で5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(5mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×2mL)で抽出した。抽出物をあわせ、水で洗い、MgSOで乾燥し、蒸発乾固し、残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル 4:1)で精製して、オフホワイト色固体として所望の化合物(35mg,40.9%)を得た。
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6): δ 8.13-8.20 (m, 2H), 7.94 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.56 (d, J=2.4Hz, 1H), 7.32 (t, J1=J2=8,7 Hz, 2H), 7.10 (dd, J1=2.4Hz, J2=8.8Hz, 1H), 3.93(s, 3H)。
実施例2:6−メトキシ−2−(2'−ヒドロキシ−4’−フルオロフェニル)ベンゾチアゾールの合成
Figure 2009519239
スキーム:PPA、140℃、2.5時間。
ポリリン酸(PPA)(2.4g)を、2−ヒドロキシ−4−フルオロ安息香酸(61mg,0.39mmol)および2−アミノ−5−メトキシチオフェノール(93mg,0.6mmol)の混合物に添加した。この混合物を撹拌しながら140℃で2.5時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物に飽和NaHCOをゆっくりと添加してPPAを中和し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層をあわせ、蒸発乾固した。残渣を分取シリカゲルTLC(ヘキサン/酢酸エチル 3/1)を用いて分離して、標題生成物(25mg,0.091mmol,収率23%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3, ppm): δ 12.68(br, 1H), 7.82(d, 1H), 7.57 (dd, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.07(dd, 1H), 6.76 (dd, 1H), 6.41 (m, 1H), 3.88 (s, 3H)。
実施例3:6−メトキシ−2−(4'−フルオロフェニル)ベンゾチアゾールの合成:
Figure 2009519239
スキーム:DMSO、120℃、2時間。
DMSO(2mL)中の2−アミノ−5−メトキシフェノール(155mg,1mmol)および4−フルオロベンズアルデヒド(123mg,1mmol)の混合物を120℃で2時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(10mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。抽出物をあわせ、水で洗い、MgSOで乾燥し、蒸発乾固し、残渣をフラッシュカラム(ヘキサン/酢酸エチル 95/5)を用いて精製して、オフホワイト色固体として所望の化合物(103mg,39.8%)を得た。
1H NMR (300 MHz, アセトン-d6 ppm): δ 8.14 (dd, J1=5.3Hz, J2=9.0Hz, 2H), 7.92 (d, J=8.9Hz, 1H), 7.63 (d, J=2.5Hz, 1H), 7.33 (t, J1=J2=8,7 Hz, 2H), 7.15 (dd, J1=2.6Hz, J2=8.9Hz, 1H), 3.91(s, 3H)。
実施例4:2−(2'−アミノ−4’−フルオロフェニル)ベンゾチアゾールの合成
Figure 2009519239
スキーム:PPA、130℃、18時間。
2−アミノ−4−フルオロ安息香酸(310mg,2mmol)、2−アミノチオフェノール(250mg,2mmol)およびPPA(約2g)の混合物を撹拌しながら130℃で18時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物に飽和NaHCOをゆっくりと添加してPPAを中和し、この溶液をEtOAcで抽出した。抽出物をあわせ、蒸発乾固し、残渣をフラッシュカラム(ヘキサン/酢酸エチル 4/1)を用いて精製して、所望の生成物(140.7mg,収率28.8%)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6, ppm): δ 8.30-8.09 (m, 2H), 7.79 (dd, J1=6.4Hz, J2=8.8Hz, 1H), 7.71 (s, 2H, NH2), 7.49-7.64 (m, 2H),6.75 (dd, J1=2.6Hz, J2=11.8Hz, 1H), 6.58 (dt, J1=J2=8,3 Hz, J3=2.6Hz, 1H)。
上の表1および2に開示の他のベンゾチアゾール化合物を、当業者に公知の慣用の有機変換および置換を用いて同様の手順で調製した。
生物学的実施例
マウス脳移行試験
エタノール中の[F18]−6−メトキシ−2−(4’−フルオロフェニル)ベンゾチアゾールを生理食塩水で希釈して、約500μCi/mLを含有する溶液を調製した。野生型Swiss Webster系マウスの体重を計り、外側尾静脈を介しておよそ30μCiを注射し、注射後の異なる時点で殺処理した。全血サンプルを死亡時に心穿刺を介して採取し、脳を素早く取り出し、小脳および全脳(脳幹なし)に解剖した。大腿を同じく各マウスから取り出して、[18F]フルオライドへの代謝の程度を判定した。これらの画分を注入液の較正分とともにガンマウェルカウンタ中でアッセイし、サンプルを注入時に崩壊補正した。サンプルを秤量し、組織1gあたりの注入用量の割合(%ID/g)を測定し、マウスの体重に対して規準化した((%IDkg)/g)。
ヒヒ脳移行試験
40kgのヒヒを麻酔し、固定し、人工呼吸器に置いた。ヒヒをPETスキャナにセットして脳を撮像し、透過スキャンを行って減衰を補正した。ヒヒに8mCiの[F18]−6−メトキシ−2−(4’−フルオロフェニル)ベンゾチアゾール含有の溶液を静脈注射し、注射後2時間にわたり一連の逓増的データ収集時間枠(time bins)のなかで脳を撮像した。データ収集後、これらの像を再構成し、関心領域を描画した。崩壊および減衰(attention)補正された時間−活性曲線(TAC)を各領域に対し作成して、各脳領域における放射能の定量的経時変化を測定した。これらのTACから、放射性追跡子の優れた脳透過性および正常ヒヒ脳からの放射能の迅速なクリアランスが示される。凝集アミロイドに対するin vitroでのリガンドの比較的高い親和性と合わせて、これらのin vivoでの特性から、化合物が潜在的に有用なアミロイド造影剤であることが示される。
Aβ合成ペプチドに対する結合親和性の特性決定
ベンゾチアゾール誘導体結合の特徴を既報のように、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中の合成Aβ(1−40)および2−(4'−[H]メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾール([H]BTA−1)を用いて分析した。Klunk et al., Life Sci 69:1471 (2001); Mathis et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 12:295 (2002)。下記表は、合成Aβ(1−40)からの[H]BTA−1結合の競合に対して示された、例示的なベンゾチアゾール化合物の阻害定数(Ki)を示している。20nM未満のKi値を有する化合物は、in vivoのPET放射性追跡子として用いるための一例である。
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239
Figure 2009519239

Claims (86)

  1. 式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩。
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、I、または−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH)1〜3−OR11、CF、−(CH)1〜3−X、−O−(CH)1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11)、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11)、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11)−C(R11)−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。]
  2. 〜R10が、H、F、Cl、Br、I、−N(R11)、およびOR11からなる群より独立して選択される、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  3. およびRが独立してOR11である、請求項2に記載のアミロイド結合性化合物。
  4. およびR10の各々がHである、請求項3に記載のアミロイド結合性化合物。
  5. 、R、R、およびRの各々がHである、請求項4に記載のアミロイド結合性化合物。
  6. YがF、Cl、Br、I、および−NOから選択される、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  7. YがFである、請求項6に記載のアミロイド結合性化合物。
  8. 、R、R、R、R、およびR10の各々がHであり、RおよびRが独立してOR11である、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  9. Yが検出可能な標識を含む、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  10. 化合物が以下:
    Figure 2009519239
    Figure 2009519239
    からなる群より選択される、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  11. 下記式:
    Figure 2009519239
    を有する、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  12. 下記式:
    Figure 2009519239
    を有する、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  13. 下記式:
    Figure 2009519239
    を有する、請求項1に記載のアミロイド結合性化合物。
  14. (i)請求項1に記載の有効量のアミロイド結合性化合物;および
    (ii)製薬上許容される担体
    を含む、医薬組成物。
  15. 以下のステップ:
    (i)哺乳動物中のアミロイド沈着物と結合する、請求項1に記載の有効量のアミロイド結合性化合物を哺乳動物に投与するステップ;および
    (ii)哺乳動物中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
    を含む、in vivoにおいてアミロイド沈着を検出する方法。
  16. アミロイド沈着が哺乳動物の脳内に位置している、請求項15に記載の方法。
  17. 哺乳動物がアルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、ダウン症候群またはアポリポタンパク質E4対立遺伝子のホモ接合体を有する疑いのあるヒトである、請求項15に記載の方法。
  18. 検出ステップが、γ線造影法、磁気共鳴映像法または磁気共鳴分光法により行われる、請求項15に記載の方法。
  19. 検出ステップがγ線造影法により行われる、請求項18に記載の方法。
  20. γ線造影法がPETまたはSPECTである、請求項19に記載の方法。
  21. 化合物が静脈内に投与される、請求項15に記載の方法。
  22. 以下のステップ:
    (i)組織中のアミロイド沈着物と結合する、請求項1に記載の有効量のアミロイド結合性化合物と身体組織を接触させるステップ;および
    (ii)組織中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
    を含む、in vitroにおいてアミロイド沈着を検出する方法。
  23. 化合物が、25〜99%エタノールをさらに含み、残りの部分は水である溶液中にある、請求項22に記載の方法。
  24. 溶液が0〜50%エタノールおよび0.0001〜100μM化合物を含む、請求項22に記載の方法。
  25. 検出ステップが、明視野顕微鏡検査、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査または交差偏光顕微鏡検査により行われる、請求項22に記載の方法。
  26. 以下のステップ:
    (iii)化合物と結合したアミロイド沈着物を組織から分離するステップ;および
    (iv)化合物と結合したアミロイド沈着物を定量するステップ
    をさらに含む、請求項22に記載の方法。
  27. 以下のステップ:
    (i)健常哺乳動物およびアルツハイマー病を有する疑いのある哺乳動物の、(i)小脳および(ii)同じ脳の別の領域から組織を得るステップ;
    (ii)請求項1に記載のアミロイド結合性化合物と組織を接触させるステップ;
    (iii)該化合物と結合したアミロイドを定量するステップ;
    (iv)小脳以外の脳領域中のアミロイドの量(a)の、小脳中のアミロイドの量(b)に対する比を計算するステップ;ならびに
    (v)健常哺乳動物についての比を、アルツハイマー病を有する疑いのある哺乳動物についての比と比較するステップ
    を含む、アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別する方法。
  28. 被験体における、(i)小脳以外の脳領域への化合物の結合の、(ii)小脳への化合物の結合に対する比を、健常被験体における比と比較する、請求項27に記載の方法。
  29. 以下のステップ:
    (a)ホルマリン固定または新鮮凍結された組織を、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の溶液と共にインキュベートして、標識された沈着を形成させるステップ:
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH)1〜3−OR11、CF、−(CH)1〜3−X、−O−(CH)1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11)、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11)、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11)−C(R11)−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。];
    (b)標識された沈着を検出するステップ
    を含む、生検または死後のヒトもしくは動物組織中のアミロイド沈着を検出する方法。
  30. 溶液が25〜100%エタノールを含み、溶液の残りの部分は水であり、該溶液が式(I)の化合物で飽和されている、請求項29に記載の方法。
  31. 溶液が0〜50%エタノール含有の水性緩衝液を含み、該溶液が0.0001〜100μMの式(I)の化合物を含有する、請求項30に記載の方法。
  32. 検出ステップが、明視野顕微鏡検査、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、および交差偏光顕微鏡検査からなる群より選択される顕微鏡技術により行われる、請求項29に記載の方法。
  33. 以下のステップ:
    (a)化合物中の置換基の少なくとも1つが125I、H、および少なくとも1つの炭素が14Cである炭素含有置換基からなる群より選択される放射性標識で標識されている、式(I)のアミロイド結合性化合物の放射性標識誘導体または製薬上許容されるその塩を、生検または死後組織のホモジネートと共にインキュベートするステップ;
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11−C(R11−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。];
    (b)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体を、組織に結合していないものから分離するステップ、
    (c)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体を定量するステップ、ならびに
    (d)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体の単位を、標準物質との比較により、組織100mgあたりのアミロイドμgの単位に変換するステップ
    を含む、生検または死後組織中のアミロイドの量を定量する方法。
  34. 神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を神経原線維変化ではなくアミロイド斑に選択的に結合させる方法であって、in vitro結合または染色アッセイにおいてアミロイド斑を約10nM未満の濃度の式(I)の化合物と接触させるステップを含む方法。
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11−C(R11−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。]
  35. 神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を神経原線維変化ではなくアミロイド斑にin vivoで選択的に結合させる方法であって、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩の有効量を、投与された化合物の血中濃度がin vivoにおいて約10nM未満に維持されるように投与するステップを含む方法。
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11−C(R11−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。]
  36. 以下のステップ:
    (a)アミロイド症と関連する疾患に罹患している被験体に、少なくとも1つの式Iのアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物の検出可能な量を投与するステップ、
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11−C(R11−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。];ならびに
    (b)少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含むアミロイド沈着への該化合物の結合を検出するステップ
    を含む、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含む少なくとも1つのアミロイド沈着を被験体において検出するためのin vivoまたはin vitroの方法。
  37. 被験体が全身性アミロイド症と関連する疾患に罹患している、請求項36に記載の方法。
  38. 少なくとも1つのアミロイド沈着が被験体の中胚葉性組織に位置している、請求項37に記載の方法。
  39. 組織が、末梢神経、皮膚、舌、関節、心臓または肝臓からなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
  40. 少なくとも1つのアミロイド沈着が実質器官に位置している、請求項37に記載の方法。
  41. 器官が、脾臓、腎臓、肝臓および副腎からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 全身性アミロイド症と関連する疾患が、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、リンパ腫、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、感染性疾患、皮膚筋炎、強皮症、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、結核、慢性骨髄炎、気管支拡張症、皮膚膿瘍、肺膿瘍、癌、ホジキン病、家族遺伝性アミロイド症、家族性地中海熱、家族性認知症および家族性アミロイド多発性神経障害からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
  43. 前記皮膚または肺膿瘍がヘロイン皮下使用から生じる、請求項42に記載の方法。
  44. 検出ステップが、γ線造影法、磁気共鳴映像法および磁気共鳴分光法からなる群より選択される、請求項36に記載の方法。
  45. 検出ステップがγ線造影法により行われ、該γ線造影法がPETまたはSPECTのいずれかである、請求項44に記載の方法。
  46. 医薬組成物が静脈注射により投与される、請求項36に記載の方法。
  47. 被験体が慢性腎不全のために血液透析を受けている、請求項36に記載の方法。
  48. 被験体が限局性アミロイド症と関連する疾患に罹患している、請求項36に記載の方法。
  49. 少なくとも1つのアミロイド沈着が、腱滑膜、関節、大動脈、甲状腺、ランゲルハンス島、老化下垂体、医原性、心房、および角膜からなる群より選択される組織に位置している、請求項48に記載の方法。
  50. 少なくとも1つのアミロイド沈着が膵臓に位置している、請求項48に記載の方法。
  51. 限局性アミロイド症と関連する疾患が、原発性骨髄腫、家族性認知症、海綿状脳症、C細胞甲状腺腫瘍、膵島細胞腫、プロラクチン産生腺腫およびピンドボルグ腫瘍からなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
  52. 以下のステップ:
    (a)式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を、臨床的認知症の兆候または軽度の認知障害の臨床的兆候を呈している患者に投与するステップ:
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11−C(R11−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。];
    その後
    (b)該患者を造影してデータを得るステップ;
    ならびに
    (c)規範となるレベルを基準にして該患者におけるアミロイドレベルを確認するために該データを分析し、それによって該患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定するステップ
    を含む、患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定する方法。
  53. 患者が軽度の認知障害と診断されている、請求項52に記載の方法。
  54. アミロイド疾患がアルツハイマー病である、請求項52に記載の方法。
  55. 造影ステップが、γ線造影法、磁気共鳴映像法および磁気共鳴分光法からなる群より選択される、請求項52に記載の方法。
  56. 造影ステップがγ線造影法により行われ、該γ線造影法がPETまたはSPECTである、請求項55に記載の方法。
  57. 前記データが、病因に疑問のある認知性障害をアミロイド沈着疾患によって引き起こされていると規定する、請求項52に記載の方法。
  58. アルツハイマー病を前頭側頭認知症と識別するステップを含む、請求項57に記載の方法。
  59. アルツハイマー病の発症を判定するように前記患者をモニターするステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
  60. 軽度の認知障害と臨床的に診断された患者においてアルツハイマー病を診断するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
  61. アミロイド沈着と関連する疾患がアルツハイマー病である、請求項52に記載の方法。
  62. 患者が病因に疑問のある認知性障害を呈している、請求項52に記載の方法。
  63. 患者が診断未確定のADを有する、請求項62に記載の方法。
  64. 患者が診断未確定のADを有する、請求項52に記載の方法。
  65. アミロイド症の処置における治療の有効性を判定する方法であって、
    (a)式(I)のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の有効量を、その処置が必要な患者に投与するステップ:
    Figure 2009519239
    [式中
    Yは、H、NO、−NR' 、F、Cl、Br、Iまたは−(CR'−Xであり;
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    nは1〜5であり;
    R'はHまたは低級アルキル基であり;
    〜R10は、H、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−N(R') 、−NO、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、COOR11、Rph、−CR11=CR11−Rphおよび−C(R11−C(R11−Rphからなる群より独立して選択され、
    XはF、Cl、BrまたはIであり;
    phは、F、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、(CH1〜3−OR11、CF、−(CH1〜3−X、−O−(CH1〜3−X、CN、−CO−R11、−N(R11、−CO−N(R11、−O−(CO)−R11、OR11、SR11、およびCOOR11からなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
    各R11は独立してHまたはC〜Cアルキルであり;
    YまたはR〜R10は、131I、123I、124I、125I、76Br、75Br、18F、19F、11C、13C、14CおよびHからなる群より選択される少なくとも1つの検出可能な標識を含む。];
    (b)該患者を造影するステップ;その後
    (c)少なくとも1つの抗アミロイド剤をその処置が必要な患者に投与するステップ;
    (d)その後、式(I)の化合物の有効量をその処置が必要な患者に投与するステップ;
    (e)該患者を造影するステップ;ならびに
    (f)少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置前の患者でのアミロイド沈着のレベルを、少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置後の患者でのアミロイド沈着のレベルと比較するステップ
    を含む方法。
  66. 薬剤がAβペプチドに対する1以上の抗体を含む、請求項65に記載の方法。
  67. 薬剤がβ−および/またはγ−セクレターゼの1以上の阻害剤を含む、請求項65に記載の方法。
  68. 薬剤が、Aβ1−42に結合する小分子を含む、請求項65に記載の方法。
  69. 薬剤がデコイペプチドである、請求項68に記載の方法。
  70. 前記アミロイド症がアルツハイマー病である、請求項65に記載の方法。
  71. 造影ステップが、γ線造影法、磁気共鳴映像法、および磁気共鳴分光法からなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
  72. 造影ステップがγ線造影法により行われ、該γ線造影法がPETまたはSPECTである、請求項71に記載の方法。
  73. 薬剤が末梢性シンク剤(peripheral sink agent)である、請求項68に記載の方法。
  74. 以下からなる群より選択される化合物。
    Figure 2009519239
    Figure 2009519239
  75. 化合物が以下から選択される、請求項74記載の化合物。
    Figure 2009519239
  76. (i)請求項74に記載の有効量のアミロイド結合性化合物;および
    (ii)製薬上許容される担体
    を含む、医薬組成物。
  77. 以下のステップ:
    (i)哺乳動物中のアミロイド沈着物と結合する、請求項74に記載の有効量のアミロイド結合性化合物を哺乳動物に投与するステップ;および
    (ii)哺乳動物中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
    を含む、in vivoにおいてアミロイド沈着を検出する方法。
  78. 以下のステップ:
    (i)組織中のアミロイド沈着物と結合する、請求項74に記載の有効量のアミロイド結合性化合物と身体組織を接触させるステップ;および
    (ii)組織中のアミロイド沈着物への該化合物の結合を検出するステップ
    を含む、in vitroにおいてアミロイド沈着を検出する方法。
  79. 以下のステップ:
    (i)健常哺乳動物およびアルツハイマー病を有する疑いのある哺乳動物の、(i)小脳および(ii)同じ脳の別の領域から組織を得るステップ;
    (ii)請求項74に記載のアミロイド結合性化合物と組織を接触させるステップ;
    (iii)該化合物と結合したアミロイドを定量するステップ;
    (iv)小脳以外の脳領域中のアミロイドの量(a)の、小脳中のアミロイドの量(b)に対する比を計算するステップ;ならびに
    (v)健常哺乳動物についての比を、アルツハイマー病を有する疑いのある哺乳動物についての比と比較するステップ
    を含む、アルツハイマー病脳と正常な脳とを識別する方法。
  80. 以下のステップ:
    (a)ホルマリン固定または新鮮凍結された組織を、請求項74に記載のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の溶液と共にインキュベートして、標識された沈着を形成させるステップ;
    (b)標識された沈着を検出するステップ
    を含む、生検または死後のヒトもしくは動物組織中のアミロイド沈着を検出する方法。
  81. 以下のステップ:
    (a)化合物中の置換基の少なくとも1つが125I、H、および少なくとも1つの炭素が14Cである炭素含有置換基からなる群より選択される放射性標識で標識されている、請求項74に記載のアミロイド結合性化合物の放射性標識誘導体または製薬上許容されるその塩を、生検または死後組織のホモジネートと共にインキュベートするステップ;
    (b)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体を、組織に結合していないものから分離するステップ、
    (c)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体を定量するステップ、ならびに
    (d)組織に結合した式(I)の化合物の放射性標識誘導体の単位を、標準物質との比較により、組織100mgあたりのアミロイドμgの単位に変換するステップ
    を含む、生検または死後組織中のアミロイドの量を定量する方法。
  82. 神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、請求項74に記載のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を神経原線維変化ではなくアミロイド斑に選択的に結合させる方法であって、in vitro結合または染色アッセイにおいてアミロイド斑を約10nM未満の濃度の該化合物と接触させるステップを含む方法。
  83. 神経原線維変化およびアミロイド斑の両者を含有する脳組織において、請求項74に記載のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を神経原線維変化ではなくアミロイド斑にin vivoで選択的に結合させる方法であって、該化合物または製薬上許容されるその塩の有効量を、投与された化合物の血中濃度がin vivoにおいて約10nM未満に維持されるように投与するステップを含む方法。
  84. 以下のステップ:
    (a)アミロイド症と関連する疾患に罹患している被験体に、少なくとも1つの請求項74に記載のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物の検出可能な量を投与するステップ;ならびに
    (b)少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含むアミロイド沈着への該化合物の結合を検出するステップ
    を含む、少なくとも1つのアミロイド生成性タンパク質を含む少なくとも1つのアミロイド沈着を被験体において検出するためのin vivoまたはin vitroの方法。
  85. 以下のステップ:
    (a)請求項74に記載のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩を、臨床的認知症の兆候または軽度の認知障害の臨床的兆候を呈している患者に投与するステップ;
    (b)該患者を造影してデータを得るステップ;
    ならびに
    (c)規範となるレベルを基準にして該患者におけるアミロイドレベルを確認するために該データを分析し、それによって該患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定するステップ
    を含む、患者をアミロイド沈着と関連する疾患の前駆症状と特定する方法。
  86. アミロイド症の処置における治療の有効性を判定する方法であって、
    (a)請求項74記載のアミロイド結合性化合物または製薬上許容されるその塩の有効量を、その処置が必要な患者に投与するステップ;
    (b)該患者を造影するステップ;その後
    (c)少なくとも1つの抗アミロイド剤をその処置が必要な患者に投与するステップ;
    (d)その後、式(I)の化合物の有効量をその処置が必要な患者に投与するステップ;
    (e)該患者を造影するステップ;ならびに
    (f)少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置前の患者でのアミロイド沈着のレベルを、少なくとも1つの抗アミロイド剤による処置後の患者でのアミロイド沈着のレベルと比較するステップ
    を含む方法。
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