JP2009518371A - ポリマーを用いた放射性標識方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、放射性同位体で標識した造影剤組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】この方法では、可溶性ポリマーに結合させた前駆体を使用することによって、放射性標識反応を溶液中で実施する。本発明では、放射性医薬品組成物、自動化した放射性標識方法、及び自動化した放射性標識方法で使用する使い捨てカセットについても記載する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放射性同位体で標識した造影剤組成物の製造方法を提供する。この方法では、放射性標識反応を溶液中で実施できるように、前駆体を可溶性ポリマーに結合させたものを使用する。本発明では、放射性医薬品組成物、自動化放射性標識法、並びに自動化放射性標識法で使用する使い捨てカセットについても記載する。
2−[18F]−フルオロ−2−デオキシグルコース(18F−FDG)のような放射性医薬品の合成において、最終生成物の収率は、放射性同位体の短い半減期(18Fでは110分)によって制約される。したがって、合成時間は収率に極めて重要である。放射性標識反応は、通例、化学量論的大過剰で存在する非放射性前駆体と、放射性同位体源との反応に基づく。かかる放射性標識反応を溶液中で実施すると、生成した放射性医薬品も、過剰の非放射性前駆体分子(又はその脱保護形)を含む結果となる。前駆体分子が有意の毒性を有している場合には精製の必要性が極めて重要であり、さもないと、インビボで利用可能な標的結合部位の飽和又は競合によって放射性医薬品の効能に影響を与えかねない。問題は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のような慣用の化学分離法は時間がかかりすぎて、かかる放射合成反応には適用できないことである。
この問題を解決するため、放射性同位体標識造影剤の固相合成に、ポリマーに担持した試薬を用いることが当技術分野で公知である。こうした方法では、放射性標識用の非放射性前駆体を適当な固体担体に結合させるが、18Fフッ化物のような放射性同位体で放射性トレーサーを置換すると、過剰の前駆体が固体担体に結合したまま残る。かかる方法の例としては、国際公開第04/056399号(ベンゾトリアゾール類の固相フッ素化)、国際公開第04/056400号(ウラシル及びシトシンの固相フッ素化)、国際公開第04/056725号(18F−標識アミノ酸の固相調製)並びに国際公開第03/002157号(固相求核フッ素化)がある。反応成分の1種を不溶性ポリマーに結合させる主な利点は、出発物質の1種以上が固相に結合したまま残り、生成物は溶液中で生成するので、反応混合物からの放射性医薬品の回収が行い易いことである。残念なことに、不溶性ポリマーの使用に起因する不均質な反応条件のため、対応する非放射性液相化学合成法から放射合成への移行が複雑になることがある。そのため、対応する液相化学合成が実施可能であったとしても、固相法では低い収率又は収率ゼロとなるおそれがある。放射性同位体は樹脂の細孔内に拡散して前駆体と反応しなければならないし、得られた放射性標識生成物がさらに細孔外へと拡散しなければならないので、液相法と比べると、反応性部位の混合及び/又は接触効率が低下してしまう。その結果、反応速度が低下する。
そこで、放射性同位体で標識した造影剤組成物の改良製造方法が必要とされている。
国際公開第04/056399号パンフレット 国際公開第04/056400号パンフレット 国際公開第04/056725号パンフレット 国際公開第03/002157号パンフレット
従来技術の固形ポリマー担体は通常は高度に架橋した硬質マクロ多孔性樹脂である。かかるポリマーを官能化すると、ビーズの表面に位置するのは官能基の約3%未満であり、残りは内部に存在する。これは、放射合成用前駆体に関しては、結合した前駆体の約97%が樹脂の細孔内部に含まれている可能性が高いことを意味する。本発明者らの信じるところでは、固相拡散速度によって放射性同位体の侵入が律速される場合には、放射化学的純度(RCP)の低下として反映される可能性が高く、拡散速度によって細孔外への拡散が律速される場合には、回収率の低下つまり収率の低下を招く。さらに、放射性フッ素化反応に常用されるアセトニトリルのような極性有機溶媒中ではポリスチレン系固体担体が比較的膨潤しにくいことから、効率的な反応を達成するという問題は一段と難しくなる。
本発明は、放射性同位体標識造影剤組成物の製造方法を提供するが、この方法では、後段で又は同時に放射性同位体で置換するため可溶性高分子に非放射性前駆体を結合させる。かかる可溶性ポリマーは開放構造を有するので、反応は樹脂の細孔内外への放射性同位体の拡散速度によって律速されなくなる。
本発明の方法は、反応速度に優れるが純度特性に劣る完全な液相化学と、反応速度は遅いが純度に優れる固相化学の中間に位置する。本発明ではポリマーを用いるが、このポリマーは有機溶液にも水溶液にも可溶性の高分子である。これは実質的に代用樹脂であり、後段の放射性標識はすべて、固相ではなく液相中で実施される。後段での高分子からの所望の放射性造影剤の精製はクロマトグラフィーで行うこともできるし、沈殿/抽出によって行うこともできる。本発明の可溶性ポリマーを用いる方法は、前駆体が立体的に嵩高く樹脂の内部表面への接近が難しい反応で特に有用であると期待される。
第一の態様では、本発明は、放射性同位体で標識した造影剤組成物の製造方法であって、
(i)放射性標識との反応性部位を与える1以上の基(X)を有する上記造影剤の前駆体をポリマーに共有結合してなるコンジュゲートを用意する段階、
(ii)段階(i)のコンジュゲートの溶液を、Xとの反応に適した化学的形態の放射性同位体と適当な溶媒中で反応させて、上記ポリマーに結合した放射性標識前駆体の溶液を得る段階、
(iii)段階(ii)の放射性標識前駆体生成物を上記ポリマーから開裂させる段階、
(iv)段階(iii)で開裂した放射性標識前駆体生成物を、ポリマー及び適宜段階(ii)及び(iii)の他の反応生成物から分離する段階、
(v)段階(iv)で分離した放射性標識前駆体生成物が既に生体適合性キャリア媒体中にある場合は、これを段階(vi)で直接使用し、それ以外の場合は、段階(iv)の生成物を生体適合性キャリア媒体に溶解するか或いは段階(iv)の溶媒を部分的又は完全に除去して、生体適合性キャリア媒体で置換する段階、
(vi)適宜、段階(v)の生成物で、精製、pH調整、希釈又は濃縮、及び溶媒除去と生体適合性溶媒への再溶解のうちの1以上の追加のプロセスを実施して、所望の造影剤組成物を得る段階
を含んでなる方法を提供する。
「造影剤」という用語は、インビボ造影に用いるため、哺乳類の身体、特にヒトの身体に投与するのに適した化合物を意味する。本発明の造影剤は、放射性同位体で標識した生体ターゲティング分子(「トレーサー」)を含む。「生体ターゲティング部分」又は「トレーサー」という用語は、3〜100量体ペプチド若しくはペプチド類似体(これらは鎖状ペプチドでも環状ペプチドでも又はそれらの組合せでもよい。)、非天然アミノ酸を含めたアミノ酸、酵素の基質若しくはアゴニスト若しくはアンタゴニスト若しくは阻害剤、合成受容体結合性化合物、オリゴヌクレオチド、オリゴDNA断片若しくはオリゴRNA断片、ヌクレオシド又はニトロイミダゾールのような低酸素局在ニトロ芳香族化合物を意味する。
「環状ペプチド」という用語は、2つの末端アミノ酸が共有結合で連結した5〜15のアミノ酸配列を意味し、上記共有結合はペプチド結合でも、ジスルフィド結合でも、或いはチオエーテル、ホスホジエステル、ジシロキサン又はウレタン結合のような合成非ペプチド結合でもよい。「アミノ酸」という用語は、L−若しくはD−アミノ酸、アミノ酸類似体又はアミノ酸模倣体を意味し、光学的に純粋なもの、つまり単一の鏡像異性体でキラルなものでもよいし、鏡像異性体混合物であってもよい。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。「アミノ酸模倣体」という用語は、天然アミノ酸の合成類似体であってアイソスターであるもの、つまり天然化合物の立体及び電子構造を模倣して設計されたものを意味する。かかるアイソスターは当業者に周知であり、特に限定されないが、デプシペプチド、レトロインベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5−二置換テトラゾールなどが挙げられる(M.Goodman,Biopolymers,24,137,(1985)参照)。
本発明での使用に適したペプチドとしては、以下のものが挙げられる。
・ソマトスタチン、オクトレオチド及び類似体。
・ST受容体に結合するペプチド。ここで、STとは大腸菌その他の微生物の産生する熱安定性毒素をいう。
・ラミニン断片、例えばYIGSR、PDSGR、IKVAV、LRE及びKCQAGTFALRGDPQG。
・白血球集積のターゲティング部位用のN−ホルミルペプチド。
・血小板因子4(PF4)及びその断片。
・RGD(Arg−Gly−Asp)含有ペプチド。これは例えば血管新生をターゲティングし得る(R.Pasqualini et al.,Nat.Biotechnol.1997 Jun,15(6):542−6; E.Ruoslahti,Kidney Int.1997 May,51(5):1413−7)。
・α2−アンチプラスミン若しくはフィブロネクチン若しくはβ−カゼインのペプチド断片、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジン。α2−アンチプラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン及びトロンボスポンジンのアミノ酸配列は以下の引用文献に記載されている:α2−アンチプラスミン前駆体(M.Tone et al.,J.Biochem,102,1033(1987));β−カゼイン(L.Hansson et al,Gene,139,193(1994));フィブロネクチン(A.Gutman et al,FEBS Lett.,207,145(1996));トロンボスポンジン−1前駆体(V.Dixit et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,5449(1986); R.F.Doolittle,Ann.Rev.Biochem.,53,195(1984))。
・アンジオテンシンII:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe(E.C.Jorgensen et al,J.Med.Chem.,1979,22,9,1038−1044)、[Sar,Ile]アンジオテンシンII:Sar−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Ile(R.K.Turker et al.,Science,1972,177,1203)のようなアンジオテンシンの基質又は阻害剤であるペプチド。
・アンジオテンシンI:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu。
好ましくは、本発明のペプチドはアンチプラスミン又はアンジオテンシンIIペプチドを含む。アンチプラスミンペプチドは、N末端からみて以下のアミノ酸配列を含む。
(i)α2−アンチプラスミン
NH2−Asn−Gln−Glu−Gln−Val−Ser−Pro−Leu−Thr−Leu−Thr−Leu−Leu−Lys−OH、又はその変異体で1以上のアミノ酸が交換、付加又は除去されたもの、例えば、
NH2−Asn−Gln−Glu−Gln−Val−Ser−Pro−Leu−Thr−Leu−Thr−Leu−Leu−Lys−Gly−OH、
NH2−Asn−Gln−Glu−Ala−Val−Ser−Pro−Leu−Thr−Leu−Thr−Leu−Leu−Lys−Gly−OH、
NH2−Asn−Gln−Glu−Gln−Val−Gly−OHなど、或いは
(ii)カゼイン
Ac−Leu−Gly−Pro−Gly−Gln−Ser−Lys−Val−Ile−Gly。
本発明の合成ペプチドは、P.Lloyd−Williams,F.Albericio and E.Girald; Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されているような通常の固相合成法で得ることができる。
適当な酵素の基質、アゴニスト、アンタゴニスト又は阻害剤としては、グルコース並びにフルオロデオキシグルコース(FDG)のようなグルコース類似体、脂肪酸、又はエラスターゼ若しくはアンジオテンシンII若しくはメタロプロテイナーゼ阻害剤が挙げられる。好ましい非ペプチド系アンジオテンシンIIアンタゴニストはロサルタンである。
適当な合成受容体結合性化合物としては、エストラジオール、エストロゲン、プロゲスチン、プロゲストロンその他のステロイドホルモン、ドーパミンD−1若しくはD−2受容体のリガンド、例えばジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、又はトロパンのようなドーパミン輸送体、並びにセロトニン受容体のリガンド、例えば5−HT2Aセロトニン受容体に結合するアルタンセリンが挙げられる。
生体ターゲティング分子は、好ましくは分子量5000未満のもの、最も好ましくは4000未満のもの、理想的には3000未満のものである。好ましい生体ターゲティング部分は3〜20量体ペプチド又は酵素基質、酵素アンタゴニスト若しくは酵素阻害剤である。
「放射性同位体で標識」という用語は、トレーサーの官能基が放射性同位体を含んでいるか、或いは放射性同位体がトレーサーに追加の化学種として結合していることを意味する。官能基が放射性同位体を含んでいる場合、これは、放射性同位体がトレーサーの化学構造の一部をなしていて、放射性同位体がその天然存在比を大きく超えるレベルで存在することを意味する。かかる同位体の存在量又は濃縮度は、その天然存在比の好適には5倍以上、好ましくは10倍以上、最も好ましくは20倍以上、理想的には天然存在比の50倍以上であるか或いは当該同位体の濃縮度が90〜100%となるようにする。かかる官能基の例としては、放射性同位体が化学構造内部の同位体標識11C又は18F原子として存在するように、11Cが濃縮されたCH3基及び18Fが濃縮されたフルオロアルキル基が挙げられる。放射性同位体が追加の化学種として結合している場合、これは、放射性金属の金属錯体が結合したもの、トレーサーの18F非置換アルキル基に代えて18F置換アルキル基としたもの、又はトレーサーの非置換アリール基に代えて放射性ヨウ素含有アリール基としたものでよい。
本発明の好適な放射性同位体は、哺乳類の体外からインビボで検出してもよいし、或いはインビボ用に設計された検出機器、例えば血管内放射線又は術中用に設計された放射線検出機器を使用することによって検出してもよい。放射性同位体は好適には以下の(i)〜(iv)から選択される。
(i)放射性金属イオン、
(ii)γ線放出型放射性ハロゲン、
(iii)陽電子放出型放射性非金属、
(iv)血管内検出に適したβ線放射体。
好ましい放射性同位体は、インビボ投与後に、非侵襲的方法で外部から検出できるものである。最も好ましい放射性同位体は、放射性金属イオン、γ線放出型放射性ハロゲン又は陽電子放出型放射性非金属であり、特にSPECT又はPETを用いたイメージングに適したものである。最も好ましい放射性同位体は、PETイメージングに適した陽電子放射体である。
放射性同位体が放射性金属イオンつまり放射性金属である場合、好適な放射性金属は、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc又は68Gaのような陽電子放射体、或いは99mTc、111In、113mIn又は67Gaのようなγ線放射体である。好ましい放射性金属は99mTc、64Cu、68Ga及び111Inである。
放射性同位体がγ線放出型放射性ハロゲンである場合、放射性ハロゲンは好適には123I、131I又は77Brから選択される。好ましいγ線放出型放射性ハロゲンは123Iである。
放射性同位体が陽電子放出型放射性非金属である場合、かかる陽電子放射体の好適なものとして、11C、13N、15O、17F、18F、75Br、76Br又は124Iが挙げられる。好ましい陽電子放出型放射性非金属は11C、13N、18F及び124Iであり、特に好ましくは11C及び18Fであり、最も好ましくは18Fである。
放射性同位体が血管内検出に適したβ線放射体である場合、かかるβ線放射体の好適なものとして、放射性金属の67Cu、89Sr、90Y、153Sm、186Re、188Re又は192Ir並びに非金属の32P、33P、38S、38Cl、39Cl、82Br及び83Brが挙げられる。
放射性同位体3H、14C、及び125Iは、本発明での使用には好ましくない放射性同位体である。
本発明の好適な「コンジュゲート」は、造影剤の前駆体をポリマーに共有結合させたものである。これは、前駆体が生体ターゲティング分子(「トレーサー」)に共有結合していることを意味する。
「前駆体」という用語は、トレーサーの非放射性誘導体であって、適当な化学的形態の放射性同位体との化学反応が部位特異的に起こるとともに、最小限の段階数(理想的には一段階)で実施でき、しかも多大な精製を行わずに(理想的にはそれ以上精製しなくても)所望の放射性同位体標識造影剤が得られるように設計されたものを意味する。適当な前駆体には、部位特異的な放射性標識のための反応性部位を与える基(X)が組み込まれている。Xは前駆体と共有結合しており、放射性同位体を導入するための化学反応がXで特異的に起こるように設計されている。かかる前駆体は合成品であり、良好な化学的純度で得ることができる。「前駆体」は、適宜、生体ターゲティング分子の特定の官能基に対する保護基(PGP)を含んでいてもよい。適当な保護基については以下で詳細に説明する。
「保護基」(PGP)という用語は、不都合な化学反応は阻害又は抑制するが、分子の残りの部分を修飾しない十分穏和な条件下で当該官能基から脱離させることができる十分な反応性をもつように設計された基を意味する。脱保護後に、所望の生成物が得られる。保護基は当業者に周知であり、好適には、アミン基については、Boc(Bocはtert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(Fmocはフルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[すなわち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]又はNpys(すなわち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)から、カルボキシル基については、メチルエステル、tert−ブチルエステル又はベンジルエステルから選択される。ヒドロキシル基に対する適当な保護基は、メチル、エチル又はtert−ブチル、アルコキシメチル又はアルコキシエチル、ベンジル、アセチル、ベンゾイル、トリチル(Trt)或いはテトラブチルジメチルシリルのようなトリアルキルシリルである。チオール基に対する適当な保護基は、トリチル及び4−メトキシベンジルである。その他の保護基の使用については、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theorodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,(Third Edition,John Wiley & Sons,1999)に記載されている。
本発明の放射性同位体が非金属である場合、好ましい前駆体は、求電子又は求核ハロゲン化或いは標識アルデヒド又はケトンとの縮合を起こすようなX基を含むものである。第一のカテゴリーに属するものの例としては、以下の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)トリアルキルスタンナン(例えばトリメチルスタンニル又はトリブチルスタンニル置換基)、トリアルキルシラン(例えばトリメチルシリル置換基)又は有機ホウ素化合物(例えば、ボロン酸エステル又はオルガノトリフルオロボレート)のような有機金属誘導体、
(b)ハロゲン交換のための非放射性臭化又はヨウ化アリール、或いは求核放射性ハロゲン化のためのアルキル又はアリールトシレート又はメシレート又はトリフレート、
(c)求電子ヨウ素化用の活性化芳香族環(例えばフェノール)及び求核放射性ハロゲン化用の活性化芳香族環(例えばアリールヨードニウム、アリールジアゾニウム、アリールトリアルキルアンモニウム塩又はニトロアリール誘導体)。
かかる非金属放射性同位体について、好ましいX基は、ヨウ化又は臭化アリールのような非放射性ハロゲン原子(放射性ヨウ素交換を可能とするため)、活性化アリール環(例えばフェノール基)、有機金属前駆体化合物(例えばトリアルキルスズ、トリアルキルシリル又は有機ホウ素化合物)、或いはトリアゼンのような有機前駆体又はヨードニウム塩のような求核置換反応のための良好な脱離基から選択される。最も好ましいX基は、活性化アリール環、有機金属前駆体化合物(例えばトリアルキルスズ、トリアルキルシリル又は有機ホウ素化合物)、或いはトリアゼンのような有機前駆体又は求核置換反応のための良好な脱離基である。
前駆体及び好適なX基並びに放射性ハロゲンを有機分子に導入する方法は、Bolton,J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)に記載されている。 前駆体並びに放射性ヨウ素をタンパク質に導入する方法は、Wilbur,Bioconj.Chem.,(6),433−470(1992)に記載されている。適当なボロン酸エステル有機ホウ素化合物及びその製造方法は、Kabalaka et al,Nucl.Med.Biol.,29,841−843(2002)及び30,369−373(2003)に記載されている。適当なオルガノトリフルオロボレート及びその製造方法は、Kabalaka et al,Nucl.Med.Biol.,31,935−938(2004)に記載されている。
放射性ハロゲン、特にヨウ素を結合させることのできる好適な前駆体アリール基の例を以下に挙げる。
これらはいずれも、芳香族環での放射性ヨウ素置換が容易な置換基を含んでいる。放射性ヨウ素を含む他の置換基は、例えば以下のような放射性ハロゲン交換による直接ヨウ素化によって合成することができる。
放射性同位体が放射性ヨウ素原子を含む場合、飽和脂肪族系に結合したヨウ素原子はインビボで代謝され易く、放射性ヨウ素が失われ易いことが知られているので、放射性ヨウ素原子は好ましくは芳香族環(ベンゼン環など)又はビニル基に直接共有結合で結合させる。
放射性同位体がフッ素の放射性同位体(18Fなど)を含む場合、放射性同位体での標識は、臭化アルキル、アルキルメシレート又はアルキルトシレートのような良好な脱離基を有する適当な前駆体と18F−フッ化物との反応を用いた直接標識法で実施できる。18Fは、N−(CH23 18Fを生じる18F(CH23OMs(Msはメシレート)のようなアルキル化剤によるアミン前駆体のN−アルキル化によって導入することもできるし、或いは18F(CH23OMs又は18F(CH23Brによるヒドロキシル基のO−アルキル化によって導入することもできる。18Fは、18F(CH23OH反応体によるN−ハロアセチル基のアルキル化によって導入することもでき、−NH(CO)CH2O(CH23 18F誘導体が得られる。アリール系については、アリールジアゾニウム塩、アリールニトロ化合物又はアリール第四級アンモニウム塩からの18F−フッ化物求核置換が、アリール−18F誘導体への可能な経路である。
第一級アミン含有トレーサーは、Kahn et al.,J.Lab.Comp.Radiopharm.45,1045−1053(2002)及びBorch et al.,J.Am.Chem.Soc.93,2897(1971)に教示されているように、例えば18F−C64−CHOを用いた還元的アミノ化によって18Fで標識することもできる。この方法は、Xがアリール第一級アミンであって、例えばフェニル−NH2又はフェニル−CH2NH2基を含んでいるような場合にも、有用に応用できる。
アミン含有トレーサーは、次式のような18F標識活性エステルとの反応で18Fで標識することもでき、アミド結合で結合した生成物を生じる。
上記N−ヒドロキシスクシンイミドエステル及びペプチド標識におけるその使用は、Vaidyanathan et al,Nucl.Med.Biol.,19(3),275−281(1992)及びJohnstrom et al,Clin.Sci.,103(Suppl.48),45−85(2002)に教示されている。18F標識誘導体の合成経路の詳細は、Bolton,J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)に記載されている。
PET放射性同位体標識の導入は、例えばFei et al,J.Lab.Comp.Radiopharm.,46,343−351(2003)又はZheng et al,Nucl.Med.Biol.,30,753−760(2003)に教示されているような11CH3OSO2CF3のようなトリフレート誘導体或いは上述の18F−O−アルキル化剤によるO−アルキル化によっても達成できる。11C−PET放射性標識は、Zheng et al,Nucl.Med Biol.,31,77−85(2004)に教示されているように、上記トリフレート誘導体を用いたフェノール性水酸基のアルキル化によっても導入できる。11Cでのその他の標識法は、Antoni et al,“Handbook of Radiopharmaceuticals”,M.J.Welch and C.S.Redvanly (Eds.),Wiley (2003)、第5章、141〜194頁に教示されている。
放射性同位体が放射性金属つまり金属イオンを含む場合、金属イオンは金属錯体として存在する。「金属錯体」という用語は、金属イオンと1以上の配位子との配位錯体を意味する。金属錯体は「キレート交換耐性」、つまり金属の配位部位に対する他の潜在的な競合配位子との配位子交換を容易には起こさないものであるのが極めて好ましい。潜在的な競合配位子としては、インビトロでは造影剤組成物中の他の賦形剤(製剤に使用される例えば放射線防護剤又は抗菌保存剤)又はインビボでの内在性化合物(例えばグルタチオン、トランスフェリン又は血漿タンパク質)がある。
本発明の金属錯体は、前駆体が上述の金属錯形成配位子を含むようなコンジュゲートから誘導される。
キレート交換耐性の金属錯体を形成する本発明での使用に適した配位子としては、(金属ドナー原子同士が炭素原子又は非配位ヘテロ原子の非配位骨格で連結されて)五又は六員キレート環が形成されるように2〜6、好ましくは2〜4個の金属ドナー原子が配列したキレート剤、又はイソニトリル、ホスフィン又はジアゼニドのように金属イオンに強く結合するドナー原子を含む単座配位子が挙げられる。キレート剤の一部として金属によく結合するドナー原子の例は、アミン、チオール、アミド、オキシム及びホスフィンである。ホスフィン類は強固な金属錯体を形成し、単座又は二座ホスフィンであっても適当な金属錯体を形成する。イソニトリル及びジアゼニドの線状構造は、それらをキレート剤に導入するのが容易ではないので、通例、単座配位子として使用される。適当なイソニトリルの例としては、tert−ブチルイソニトリルのような単純なアルキルイソニトリル、並びにmibi(すなわち、1−イソシアノ−2−メトキシ−2−メチルプロパン)のようなエーテル置換イソニトリルが挙げられる。適当なホスフィンの例としては、テトロホスミン及び単座ホスフィン類、例えばトリス(3−メトキシプロピル)ホスフィンが挙げられる。適当なジアゼニドの例としては、HYNIC系配位子、すなわちヒドラジン置換ピリジン又はニコチンアミドが挙げられる。
キレート交換耐性金属錯体を形成するテクネチウム(99mTc又は94mTc)、銅(64Cu又は67Cu)、バナジウム(48Vなど)、鉄(52Feなど)又はコバルト(55Coなど)用の適当なキレート剤の例としては、特に限定されないが、以下の(i)〜(v)のものが挙げられる。
(i)次式のジアミンジオキシム
式中、E1〜E6は各々独立にR′基であり、各R′はH、C1-10アルキル、C3-10アルキルアリール、C2-10アルコキシアルキル、C1-10ヒドロキシアルキル、C1-10フルオロアルキル、C2-10カルボキシアルキル又はC1-10アミノアルキルであるか、或いは2以上のR′基がそれらと結合した原子と共に飽和又は不飽和炭素環又は複素環を形成するものであり、1以上のR′基が生体ターゲティング分子又はトレーサーと結合しており、
Qは式−(J)f−の架橋基であり、fは3、4又は5であり、各Jは独立に−O−、−NR′−又は−C(R′)2−であるが、−(J)f−が、−O−又は−NR′−であるJ基を最大1個しか含まないことを条件とする。
好ましいQ基は以下のものである。
Q=−(CH2)(CHR′)(CH2)−、すなわちプロピレンアミンオキシムつまりPnAO誘導体、
Q=−(CH22(CHR′)(CH22−、すなわちペンチレンアミンオキシムつまりPentAO誘導体、
Q=−(CH22NR′(CH22−。
1〜E6は、好ましくは、C1-3アルキル、アルキルアリールアルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、カルボキシアルキル又はアミノアルキルから選択される。最も好ましくは、各E1〜E6基はCH3である。
生体ターゲティング部分又はトレーサーは、好ましくは、E1もしくはE6のR′基又はQ部分のR′基で結合している。最も好ましくは、トレイーサーはQ部分のR′基で結合する。トレーサーがQ部分のR′基で結合している場合、R′基は好ましくは橋頭位である。この場合、Qは、好ましくは、−(CH2)(CHR′)(CH2)−、−(CH22(CHR′)(CH22−又は−(CH22NR′(CH22−であり、最も好ましくは−(CH22(CHR′)(CH22−である。特に好ましい二官能性ジアミンジオキシムキレート剤は、次式のものであり、トレーサーが橋頭位−CH2CH2NH2基を介して結合する。
(ii)チオールトリアミドドナーセットを有するN3S配位子、例えばMAG3(メルカプトアセチルトリグリシン)及び関連配位子、又はジアミドピリジンチオールドナーセットを有するもの、例えばPica。
(iii)ジアミンジチオールドナーセットを有するN22配位子、例えばBAT又はECD(すなわちエチルシステイネート二量体)又はアミドアミンジチオールドナーセットを有するもの、例えばMAMA。
(iv)テトラミン、アミドトリアミン又はジアミンジアミンドナーセットを有する開環又はマクロ環状配位子であるN4配位子、例えばサイクラム、モノオキシサイクラム又はジオキシサイクラム。
(v)ジアミンジフェノールドナーセットを有するN22配位子。
上述の配位子は、テクネチウム(例えば94mTc又は99mTc)の錯体の形成に特に適しており、Jurisson et al,Chem.Rev.,99,2205−2218(1999)に詳細に記載されている。その他の適当な配位子については、インジウム又はイットリウムに特に適した配位子、特にマクロ環式アミノカルボキシレート及びアミノホスホン酸配位子を始めとして、Sandozの国際公開第91/01144号に記載されている。放射性金属がテクネチウムである場合、配位子は好ましくは四座のキレート剤である。テクネチウム用の好ましいキレート剤は、ジアミンジオキシム、テトラミン、アミドトリアミン又はジアミドジアミンドナーセットを有するN4キレーター、チオールトリアミドドナー又はジアミドピリジンチオールドナーセットを有するN3Sキレート剤、或いはBATのようなジアミンジチオールドナーセット又はMAMAのようなアミドアミンジチオールドナーセットを有するN22キレート剤である。かかる配位子として好ましいのとしては、上述のN4、N3S及びN22キレート剤が挙げられ、最も好ましくはN4テトラミン及びN22ジアミンジチオール又はジアミドジチオールキレート剤、特にBATとして知られる次式のN22ジアミンジチオールキレート剤である。
トレーサーが所望のインビボ標的部位に達する前に金属錯体が開裂してしまわないように、トレーサーは金属錯体と結合が血中で容易に代謝されないように結合しているのが極めて好ましい。そこで、トレーサーは好ましくは本発明の金属錯体と容易には代謝されない結合を介して共有結合している。
「ポリマー」という用語は、通常の意味を有する。本発明のポリマーは天然のものでも、合成のものでもよいが、好ましくは合成のものである。好適なポリマーは0.4〜40kDa、好ましくは1〜10kDa、最も好ましくは2〜8kDaの分子量を有する。本発明のポリマーは、コンジュゲートが溶媒に溶解して本発明方法の段階(ii)の溶液を与えるように、水性溶媒又は有機溶媒に十分に可溶性でなければならない。したがって、ポリマーは、従来の固相放射合成とは対照的に、液相化学反応用に設計される。放射フッ素化では、有機可溶性ポリマーが特に好ましい。水溶液中では、フッ素イオンは溶媒和されすぎて十分な反応性をもたせることができないからである。
最適反応条件のため、樹脂ができるだけ溶液型の特性をもつように、固体担体を最大限に溶媒和させる必要がある。拡散速度と粒径の関係については、次の論文がある[D.C.Sherrington “Polymer−supported Reactions in Organic Synthesis,p.61,John Wiley and Sons Ltd,(1980)]。
かかる溶媒は、段階(ii)の反応が溶液中で起こるように放射性同位体の化学的形態を溶解できるものでなければならない。ポリマーコンジュゲートを溶解する適当な溶媒組成を求めるとともに、段階(iv)での生成物/ポリマーの分離に最良の溶媒組成を求めるのに、ハンセン溶解パラメーターを使用することができる[Charles M.Hansen: Hansen Solubility Parameters,CRC Press(2000)]。適当な有機溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン及びテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。かかる溶媒として最も好ましいのは、アセトニトリル及びDMSOである。適当な水性溶媒は緩衝液又は食塩水であり、特にリン酸緩衝食塩水、リン酸緩衝液又はホウ酸緩衝剤である。かかる溶媒として好ましいのは、水性溶媒、或いは水混和性極性有機溶媒(アルコール、アセトニトリル、DMSO、DMF、THF、及びジオキサンなど)と水との混合物である。特に好ましい水性溶媒は、アセトニトリル及びDMFである。
本発明の好ましい可溶性ポリマーは、以下の(i)及び(ii)から選択される。
(i)有機溶媒に可溶性のポリマー;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はポリリジンのような高分子。
(ii)水性溶媒に可溶性のポリマー;フィコール、ポリエチレンイミン、デキストラン及びポリ−L−リジン。
以下のポリマーが好ましい。
・デンドリマー、
・ポリエチレングリコール(PEG)又はポリプロピレングリコール、
・(N−(2−ヒドロキプロピル)メチルアクリルアミド)(HPMA)とPEGリンカーを有するアクリルアミド系分子の共重合体、
・デキストランT−40(GE Healthcare社)、
・ポリ−L−リジン(Fluka社)、
・ポリビニルアルコール(Fluka社)、
・キトサン(Aldrich社)、
・ポリエチレンイミン(Aldrich社)、
・ポリアリルアミン(Aldrich社)、
・ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン(Aldrich社)、
・DAB−Amポリプロピレンイミン(Aldrich社)、及び
・フィコールPM70(GE Healthcare社)。
デンドリマーは、Inoue,Prog.Polym.Sci.,25(4),453−571(2000)及びRobertus et al,Rev.Mol.Biotechnol.,90(3−4),183−193(2002)に記載されている。好ましいデンドリマーは、Starburst(登録商標)PAMAMデンドリマー(Aldrich社)である。
「生体適合性キャリア媒体」とは、放射性同位体標識生体ターゲティング分子を懸濁又は溶解できる流体、特に液体であって、組成物が生理学的に認容できるもの、つまり毒性も耐え難い不快感も伴わずに哺乳類の身体に投与することができるものである。生体適合性キャリア媒体は好適には注射可能なキャリア液であり、例えば、パイロジェンフリーの注射用滅菌水、食塩液のような水溶液(これは注射用の最終製剤が等張性又は非低張性となるように調整するのに都合がよい)、1種以上の張度調節物質(例えば血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖類(例えばグルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えばグリセロール)その他の非イオン性ポリオール材料(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液である。生体適合性キャリア媒体は、エタノールのような生体適合性有機溶媒を含んでいてもよい。かかる有機溶媒は、親油性の高い化合物又は製剤の可溶化に有用である。好ましくは、生体適合性キャリア媒体はパイロジェンフリーの注射用水、等張食塩水又はエタノール水溶液である。静脈内注射用の生体適合性キャリア媒体のpHは好適には4.0〜10.5の範囲内である。
段階(i)のコンジュゲートは、好ましくは次の式Iのものである。
[ポリマー]−リンカー−Y−[前駆体] (I)
式中、リンカーは、前駆体の反応性部位(X)をポリマーから離隔する二価有機基であり、
Yは、段階(iii)で選択的に開裂する共有結合が組み込まれた基である。
式(I)の化合物の「リンカー」は、反応性を最大限に高めるため、前駆体の反応性部位(X)をポリマー構造から十分(な間隔)に離隔するのに適した有機基であればどんなものでもよい。好適には、リンカーは、0〜4個のアリーレン基(好ましくはフェニレン)及び/又はC1-16アルキレン(好ましくはC1-6アルキレン)又はC1-16ハロアルキレン(好ましくはC1-6ハロアルキレン、典型的にはC1-16フルオロアルキレン(好ましくはC1-6フルオロアルキレン))又はC2-16アルコキシアルキレン又はC1-16ハロアルコキシ(好ましくはC1-6アルコキシ又はC1-6ハロアルコキシ、典型的にはC1-16フルオロアルコキシ(好ましくはC1-6フルオロアルコキシ))、及び適宜0〜4の追加の官能基(アミド又はスルホンアミド基など)を含むものである。
かかるリンカーの具体例は当業者には周知であり、Gil and Brase,Curr.Opin.Chem.Biol.,(3),230−237(2004)及びJames,Tetrahedron,55(16),4855−4946(1999)に記載されている。好ましいリンカーとしては以下のものが挙げられる。
式中、各kは独立に0〜3の整数であり、各nは独立に1〜16の整数であり、各RLは独立にH又はC1-6アルキルである。
好ましいアルコキシ含有リンカーとしては以下のものが挙げられる。
選択的に開裂でき共有結合を導入する好適なY基は当技術分野で公知であり、例えば以下の(i)〜(viii)が挙げられる。
(i)酸感受性基;
(ii)塩基感受性基、例えばエステル結合;
(iii)光化学的又は熱的手段で開裂できる基;
(iv)電気化学的手段で開裂できる基;
(v)酸化還元(酸化又は還元)手段で開裂できる基;
(vi)求電子反応で開裂できる基;
(vii)求核置換反応で開裂できる基、例えばヨードニウム塩;
(viii)酵素反応で開裂できる基。
有機合成における開裂性リンカー基については、Jamesの総説[Tetrahedron,55(16),4855−4946(1999)]に記載されている。酸で開裂できる基としては、エステル及びイミン結合があり、Floersheimer,Peptides,p131−132,(1991)及びMergler,Tet.Lett.29,4005−4012(1998)に記載されている。これらは、適当な溶媒中1%トリフルオロ酢酸を用いて開裂させることができる。その他の酸不安定基は、Albericio,Tet.Lett.32,1515−1518(1991)に記載されており、0.1%トリフルオロ酢酸で開裂できる基がある。同様のリンカー開裂法がRink,Tet.Lett.28,3787−3790(1987)に記載されており、不安定基は10%酢酸中で開裂できる。
塩基に不安定な結合基は、Liu,Int.J.Pept.Protein Res.35,95−98(1990)に記載されており、Albericio,Tet.Lett.32,1515−1518(1991)には、ピペリジン又はジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデセ−5−エン(DBU)を用いたβ脱離によって開裂する開裂性基が記載されている。このような基の例は、Garcia−Echeverria,Tet.Lett.,38(52),8933−8934(1997)にも記載されている。
フッ素イオンで(つまり求核的に)開裂できる基も開発されており、例えばRamage,Tetrahedron 48,499−514(1992)及びMullen,Tetrahedron 28,491−494(1987)に記載されている。Findeis,J.Org.Chem.54,3478−3482(1989)及びKaiser,Science 243,187−191(1989)に記載されているようなニトロベンゾフェノン系の開裂性基は、アミン、ヒドラジン及びカルボン酸で求核的に開裂させることができる。
ギ酸アンモニウム/パラジウム触媒水素化分解で還元的に開裂できる基はAnwer,Tet.Lett.,22,4369−4372(1981)に記載されているが、2−アジドメチル−4−ヒドロキシ−6,N−ジメチルベンズアミド基の還元的開裂にはトリフェニルホスフィンが必要である[Robinson,Tetrahedron 49,2873−2884(1993)]。
酸化的に開裂できる基はArseniyadis et al,Tet.Lett.,45(10),2251−2253(2004)に記載されている。
熱的に開裂できる基は、Keller et al,Tet.Lett.,46(7),1181−1184(2005)に記載されている。
選択的に開裂できる光不安定基は、Horton et al,Tet.Lett.,41(47),9181−9184(2000)に記載されている。
「Xとの反応に適した化学的形態の放射性同位体」という用語は、Xと最小限の段階数、好ましくは1段階で反応して所望の生成物を生じる放射性化学物質を意味する。必要な放射活性段階の数を最小限にするには非放射性基Xの化学的性状を放射性化学物質の性状に合わせる方が効率的であるので、好ましくは、放射性化学物質は入手の容易な放射性同位体(例えば、放射性ハロゲンについてはハロゲンイオン、放射性金属については金属イオン)である。
放射性同位体が非金属の場合、所望の非金属放射性同位体の好ましい化学的形態としては、以下の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)置換反応のためのハロゲンイオン(例えば、123I−ヨウ化物又は18F−フッ化物)、特に水性溶媒中のもの。
(b)良好な脱離基(ブロミド、メシレート又はトシレートなど)を有する11C−ヨウ化メチル又は18F−フルオロアルキレン化合物。
(c)アルキル化前駆体(N−クロロアセチル又はN−ブロモアセチル誘導体)とのS−アルキル化反応のためのHS(CH23 18F。
容易にアルキル化される好ましい誘導体は、アルコール、フェノール類又はアミン基であり、特にフェノール類及び非立体障害性第一級又は第二級アミンである。
チオール含有放射性同位体反応体をアルキル化する好ましいX基は、N−ハロアセチル基であり、特にN−クロロアセチル、N−ブロモアセチル及びN−ヨードアセチル誘導体である。
放射性同位体が金属である場合、放射性金属の好適な化学形態は、配位子又はキレート剤と容易に反応して所望の放射性金属錯体を形成するものである。かかる形態としては、金属イオン自体の溶液、特に放射性同位体ジェネレータから直接得られる化学適形態のもの(例えば99mTc−過テクネチウム酸塩)、或いは配位子とのキレート交換に適した放射性金属の金属錯体が挙げられる。
段階(ii)の放射性標識の後、開裂段階(iii)の前に、放射性標識ポリマーに結合した前駆体を、不要な試薬、溶媒又は段階(ii)の副生物から分離するため、適宜分離段階を実施してもよい。
特に好適な前駆体は次の式IAのものである。
[ポリマー]−リンカー−YX−[前駆体] (IA)
式中、YXは、反応性基Xが組み込まれたY基であって、X基で前駆体に共有結合しており、そのため段階(iii)は段階(ii)の放射性標識プロセスと同時に起こる。
適当なYX基は、「Xとの反応に適した化学的形態の放射性同位体」つまり放射性標識反応の種類に基づいて、上述のY基から選択すればよい。例えば、放射性ハロゲンイオン(例えば、18Fフッ化物又は123I−ヨウ化物)を求核置換反応に用いる場合、YXはヨードニウム塩とすることができ、求核置換反応の際に開裂して所望の放射性同位体で標識された造影剤を与える。YXがヨードニウム塩(I+)である場合、リンカーは好ましくはI+の隣にアリーレン基(最も好ましくはフェニレン)を含む。
N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、アルデヒド、マレイミド及びmPEG−BTC(ベンゾトリアゾールカーボネート−mPEG)を含有する官能化ポリエチレングリコール(PEG)系ポリマーが公知である[Harris,“Poly(ethylene glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications” p1−14 Plenum Press(1992)]。かかる官能化ポリマーは、Polypure社及びSunBio社から市販されている。
かかる官能化ポリマーの幾つかは本発明のコンジュゲートとして直接使用するのに適しており、Xとの反応に適した化学的形態の放射性同位体として適当なものを選択すればよい。例えば、アミン官能化ポリマーを、18Fの放射性標識について上述したような活性エステルを含む化学的形態の放射性同位体とカップリングさせることができ、その逆も可能である。
式(IA)のYX基を用いる方法の主な利点は、痕跡量の保護基の副生物を含んでいる可能性はあったとしても、放射性同位体標識造影剤に前駆体で汚染されないことである。造影剤はトレーサーの濃度でしか生成しないので、かかる副生物もナノモル又はピコモル濃度でしか存在せず、問題を起こすおそれはほとんどない。
コンジュゲートは、上述の官能化ポリマーを適当な二官能性誘導体化剤と共に用いることによっても製造できる。「二官能性」という用語は通常の意味で用いられ、2種類の異なる官能基、つまり前駆体を構成する官能基(すなわち放射性標識に適した官能基)と、ポリマーと結合して共有結合を形成するのに適した官能基とを有する化合物を意味する。コンジュゲート形成に適した官能基としては、アミン、チオシアネート、マレイミド及び活性エステルが挙げられる。かかる二官能性試薬をポリマーの適当な官能基と反応させて所望のコンジュゲートを形成すればよい。ポリマーの適当な官能基としては、以下のものが挙げられる。
・カルボキシル(アミン官能化二官能性試薬とのアミド結合形成用)、
・アミン(カルボキシル又は活性エステル官能化試薬とのアミド結合形成用)、
・ハロゲン、メシレート及びトシレート(アミン官能化試薬のN―アルキル化用)、
・チオール(マレイミド官能化試薬との反応用)、
・スルホン酸(アミン官能化二官能性試薬とのスルホンアミド結合形成用、或いはヒドロキシル官能化二官能性試薬とのスルホネートエステル結合形成用)。
アミドカップリングは、直接実施(例えば固相ペプチド合成法で)することもできるし、或いはBOP[すなわち、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウム]又はN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)のような適当な活性化剤の存在下で実施することもできる。カップリングは、当技術分野で公知の通り、適当な中間生成物(例えばカルボキシル基の活性化エステル)を介して実施することもできる。或いは、二官能性試薬のペンダントアミン基をまずイソチオシアネート(−NCS)又はイソシアネート基(−NCO)基に転化させれば、それぞれチオ尿素及び尿素結合の形成によってアミン含有化合物と結合させることができる。或いは、二官能性試薬のペンダントアミン基を二酸と反応させて、リンカー基を介して末端カルボキシル基を導入することもできる。カルボキシル官能基を有する二官能性試薬を同様に用いて、アミド結合を介してアミン含有分子にカップリングさせることもできる。二官能性試薬は、ポリマーのチオール基と反応して安定なチオエーテル結合を形成するように設計された基を有していてもよい。かかる基の例は、マレイミド(無水マレイン酸と対応アミンと反応させた後、無水酢酸と加熱することによって製造できる)及びアクリルアミド(アクリリルクロリドとアミンとの反応で製造できる)である。
「活性エステル」という用語は、良好な脱離基となって、生体ターゲティング基に存在する求核基(アミンなど)と反応し易くなるように設計されたカルボン酸のエステル誘導体を意味する。適当な活性エステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、p−ニトロフェノール及びヒドロキシベンゾトリアゾールである。
スキーム1に、スルホン酸官能化樹脂から本発明のコンジュゲートをどのようにして製造するかの具体例を示す。
かかる樹脂を塩素化剤で処理すれば、対応スルホニルクロリド樹脂を得ることができる。これは、樹脂を、ジクロロメタン、クロロホルム又はアセトニトリルのような適当な不活性溶媒中で、五塩化リン、三塩化リン、オキザリルクロリド又は塩化チオニルなどで処理し、所定時間高温に加熱することによって実施し得る。過剰の試薬は、追加量の不活性溶媒で洗浄することによって樹脂から除去すればよい。スルホニルクロリド樹脂を次いでヒドロキシ官能化前駆体と反応させれば、樹脂結合前駆体が得られる。これは、樹脂を、非求核性可溶性塩基(水素化ナトリウムなど)又はトリアルキルアミン(トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなど)を含有する不活性溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル又はテトラヒドロフランなど)中のアルコール溶液で処理することによって実施し得る。反応は10〜80oCの温度、最適には周囲温度で、約1〜24時間実施すればよい。過剰のアルコール及び塩基は、追加量の不活性溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン又はテトラヒドロフランなど)で洗浄することによって、固体担体から除去すればよい。
本発明の方法の段階(iii)つまりポリマーからの開裂は、慣用法[上掲のJamesの報文並びにGil et al,Curr.Opin.Chem.Biol.,8(3),230−237(2004)]で実施でき、特にコンジュゲートの不安定結合と反応するが、生体ターゲティング分子(「トレーサー」)とは反応しない選択的試薬を用いて実施できる。上述の通り、適宜、適当な保護基を用いてトレーサーを保護してもよい。
本発明の段階(iv)つまり分離は、クロマトグラフィー又は沈殿もしくは抽出で達成できる。適当なクロマトグラフィー法としては、C18、C8、C4逆相HPLC、イオン交換、シリカ、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、メンブレン濾過、サイズ排除、ゲル濾過が挙げられる。また、可溶性ポリマー上の陽イオン(第四級アンモニウム)又は陰イオン(例えばスルホン酸塩)基は、イオン交換分離に役立つと考えられる。好ましくは、分離カラムは、シングルユーズつまり使い捨て用に設計されたものである。分離法の選択は、分離時間(放射性崩壊による収率低下)及び分離効率によって左右される。例えば、18F(t1/2110分)のような半減期の短い放射性同位体では、分離時間は好ましくは15分未満、最も好ましくは5分未満である。99mTc(t1/26時間)のような寿命の長い放射性同位体では、30〜40分の分離時間でもよいが、もっと短時間であるのが好ましいことはいうまでもない。最も好ましくは、分離カラムはSPE(固相抽出)カラム又はフラッシュクロマトグラフィーカートリッジ(様々な供給元から市販)である。
分離は、有機溶媒及び水性溶媒中での放射性標識造影剤の溶解度の差を利用した沈殿又は抽出によって行うこともできる。放射性標識造影剤の沈殿もポリマーの沈殿も可能であるが、それ以上の溶解段階が不要となるので前者の方が好ましい。高分子がタンパク質の場合、分離は、熱処理で変性タンパク質を沈殿させることによっても実施できる。或いは、ビオチン又はジゴキシンのような特異的な基をポリマーに結合させておけば、ストレプトアビジン又は抗ジゴキシン抗体を用いた除去を行うことができる。
本発明の段階(vi)に、精製段階が含まれている場合、以下の(i)及び(ii)の1以上を含んでいてもよい。
(i)不要な不溶性物質又は粒子を除去するための濾過、
(ii)クロマトグラフィー。
クロマトグラフィーは、通常の順相又は逆相クロマトグラフィーを含んでいても、イオン交換法を含んでいてもよい。好適には、HPLC、SPE又は「フラッシュ」クロマトグラフィーカートリッジの形態である。場合によっては、所望の生成物は移動相よりも固定相に対して親和性が格段に高いため、基本的にカラムマトリックスの上部に固定化されることがある。すると、不純物は固定相よりも親和性の高い移動相に溶出して、適切に遮蔽された廃棄物容器に入る。洗浄後、固定相よりも高い親和性を示す別の溶出系を用いて、精製された生成物を溶出系に溶出させればよい。かかるクロマトグラフィーは、後の標品がそれ以前の標品からの物質で汚染されないように、好ましくは使い捨てカラムで実施される。かかるクロマトグラフィーカートリッジは、Waters社及びVarian社を始めとする数多くの供給元から市販されている。
本発明の段階(vi)に、pH調整段階が含まれている場合、pH調節剤を用いて実施できる。「pH調節剤」という用語は、再構成したキットのpHが、ヒト又は哺乳類への投与に関して許容範囲(約pH4.0〜10.5)内に収まるようにするのに有用な化合物又は化合物混合物を意味する。かかる適当なpH調節剤としては、トリシン、リン酸塩又はTRIS(すなわちトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)のような薬学的に許容される緩衝剤、酢酸のような薬学的に許容される酸、並びに炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物などの薬学的に許容される塩基が挙げられる
本発明の段階(v)又は(vi)が、溶媒除去段階及び再溶解段階を含んでいる場合、溶媒は以下の(i)〜(iv)のような様々な技術で除去できる。
(i)クロマトグラフィー、
(ii)減圧又は真空の適用、
(iii)加熱蒸発或いは溶液上又は溶液中への気体の吹き込みによる蒸発、
(iv)共沸蒸留。
クロマトグラフィー技術は上述の固定化を応用したものであり、好ましい方法である。かかる溶媒除去技術は、放射性標識造影剤を有機溶媒中での反応で調製したとしても、最終放射性医薬品を生体適合性キャリア媒体中の溶液として供給できるので、重要である。これは、水性溶媒での溶解度が低かったり、水性溶媒中で加水分解を起こし易い前駆体又は中間生成物に対して有用である。その例は、トリアルキルスズ前駆体、特にトリブチルスズ又はトリメチルスズ誘導体である。したがって、前駆体が水性溶媒中で溶解度に乏しい場合又は加水分解を起こし易い場合には、使用する溶媒は好ましくは有機溶媒であり、最も好ましくはアセトニトリル、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はアセトンのような水混和性の有機溶媒である。かかる溶媒として好ましいのは、アセトニトリル、エタノール、DMF及びDMSOである。
第二の態様では、本発明は、第一の態様の放射性同位体標識造影剤組成物を含む放射性医薬品の製造方法であって、段階(vi)の生成物が哺乳類への投与に適した形態となるように、第一の態様の方法を無菌条件下で実施するか及び/又は段階(vi)の生成物を最終的に滅菌することを含む方法を提供する。
第二の態様の方法は、所望のパイロジェンフリーの無菌放射性医薬品が得られるように、無菌製造(クリーンルーム)条件下で実施し得る。主要成分、特に関連試薬並びに機器のうち放射性医薬品と接する部材(例えばバイアル)は無菌であるのが好ましい。部品及び試薬は、無菌濾過、並びにγ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は化学的処理(例えばエチレンオキサイドでの処理)などでの最終滅菌を始めとする当技術分野で公知の方法で滅菌できる。放射性医薬品に対して行われる操作の数を最小限にするため、非放射性成分を予め滅菌しておくのが好ましい。ただし、用心のため、本発明の方法の段階(vi)で少なくとも滅菌濾過を行うのが好ましい。
前駆体及び他の試薬及び溶媒は、各々、無菌健全性及び/又は放射能の安全性並びに適宜、不活性ヘッドスペースガス(例えば窒素又はアルゴン)を維持することができ、しかもシリンジ又はカニューレで溶液の添加及び吸引もできる密封容器からなる適当なバイアル又は容器で供給される。かかる容器として好ましいのはセプタムシール式バイアルであり、気密蓋をオーバーシール(通例アルミニウム製)でクリンプしたものである。蓋は、無菌健全性を維持したまま皮下注射針で一回又は複数回穿刺するのに適している(例えばクリンプオン式セプタムシール蓋)。かかる容器は、所要(ヘッドスペースガスの交換又は溶液の脱気などのため)に応じて蓋が真空に耐えることができ、酸素や水蒸気のような外部大気ガスを侵入させずに減圧のような圧力変化に耐えることができるという追加の利点も有する。反応容器は、好適には、かかる容器及びその好ましい実施形態から選択される。
本発明の方法で得られる放射性医薬組成物は、好適には、1人又は多人数分の用量を入れることができる上述の密封容器で供給される。臨床症状に応じて製剤の有効期間中様々な時間間隔で1人分の用量つまり「単位用量」を臨床グレードの注射器に吸引することができる。好ましい多用量用容器は、複数回分の用量を収容した単一バルクバイアル(例えば容積10〜30cm3のもの)からなり、多人数分の用量に十分な放射活性を含んでいる。単位用量シリンジは1人用に設計され、そのため好ましくは使い捨てでヒトへの注射に適した注射器である。単位用量プレフィルド型注射器は、適宜、作業者を放射能被曝から保護するため、シリンジシールドを備えていてもよい。かかる適当な放射性医薬品用シリンジシールドは当技術分野で公知であり、好ましくは鉛又はタングステンからなる。本発明の方法は、好ましくは、放射性医薬品組成物を1人分の単位用量ずつ分注する段階をさらに含む。
第二の態様の方法は、好ましくは自動化される。好ましい自動化法は、マイクロプロセッサで制御される。「マイクロプロセッサ制御」という用語は通常の意味を有する。本明細書で用いる「マイクロプロセッサ」という用語は、集積回路チップに格納されたコンピュータプロセッサをいい、かかるプロセッサはメモリー及び付属回路を含んでいてもよい。マイクロプロセッサは、コンピュータを駆動する基本的な命令に応答し処理する論理回路を用いて算術論理演算を実行するように設計されている。マイクロプロセッサは、所定の機能、計算法、スイッチングなどを実行又は制御するプログラム命令を含んでいてもよい。マイクロプロセッサ及び付属デバイスは、Cypress Semiconductor社(米国カリフォルニア州サンノゼ)、IBM社、Applied Microsystems社(米国ワシントン州レッドモンド)、Intel社及びNational Semiconductor社(米国カリフォルニア州サンタクララ)などの数多くの供給元から市販されている。本発明に関しては、マイクロプロセッサは、化学物質の移動、加熱、濾過などの一連のプログラム制御可能な再現性段階を与える。
「自動合成装置」という用語は、Satyamurthy et al,Clin.Positr.Imag.,(5),233−253(1999)に記載されたユニット操作の原則に基づく自動化モジュールを意味する。「ユニット操作」という用語は、複雑なプロセスを、ある範囲の材料に適用できる一連の単純な操作又は反応に絞り込むことを意味する。かかる自動合成装置は、本発明の方法に好ましく、GE Healthcare社、CTI社、Ion Beam Applications社(ベルギー、B−1348、ルーバン・ラ・ヌーブ、シュマン・デュ・シクロトロン)、Raytest社(ドイツ)及びBioscan社(米国)を始めとする様々な供給元から市販されている[上述のSatyamurthy他の報文参照]。
市販の自動合成装置は、放射性医薬品の調製で生じる液状の放射性廃棄物用の適当な容器も備えている。自動合成装置は適当な構成の放射性作業セル内で用いられるように設計されているので、放射線遮蔽手段は通例設けられていない。放射性作業セルは、作業者を放射線被曝から保護するための適当な放射線遮蔽手段と、化学及び/又は放射性蒸気を除去するための換気装置を備えている。本発明に好適な自動合成装置は、所定のバッチの放射性標識放射性医薬品の調製を実施するのに必要なすべての試薬を収容した使い捨て(シングルユーズ)カセット、反応容器及び器具を備えたものである。かかるカセットについては、以下の第五の態様で説明する。カセットは、単にカセットの交換によって、最小限の相互汚染の危険性で様々な放射性標識放射性医薬品を製造できる柔軟性を自動合成装置が有していることを意味する。カセット法は、簡単なセットアップとオペレータエラーの低減、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)の遵守、多種トレーサーを扱うことができること、製造作業の迅速な切替え、作業前のカセット及び試薬の自動診断チェック、化学試薬と実施すべき合成との自動化バーコード照合検査、試薬の生産履歴管理、シングルユーズと相互汚染の危険性回避、異物混入及び悪用防止などの利点を有する。上述の通り、カセット法は、汎用性に富み、異なる放射性医薬品の製造毎に自動合成装置全体を設計し直させねばならないという従来技術の問題が解消される。
第三の態様では、本発明は、第一及び第二の態様の方法での使用に適した前駆体を提供する。前駆体及びその好ましい実施形態は、上述の第一の態様で説明した通りである。
第四の態様では、本発明は、第三の態様の前駆体を含むキットを提供する。かかるキットは非放射性である。放射性同位体が放射性金属である場合、好適なキットは、第一の態様で説明したような好ましい実施形態も含めて[配位子]−[ポリマー]コンジュゲートを含む。放射性金属が99mTcである場合、キットは好適には生体適合性還元剤も含む。
かかるキットは、放射性医薬品の製造つまり第二の態様の方法で特に有用である。かかる放射性医薬品キットは、例えば血流への直接注射などによるヒトへの投与に適した滅菌製品用に設計される。かかるキットは、好ましくは凍結乾燥したもので、最小限の追加段階で、滅菌放射性同位体を供給すると再構成されるように設計される。99mTcについては、99mTc放射性同位体ジェネレータからの99mTc−過テクネチウム酸(TcO4 -)で再構成すれば、それ以上操作しなくてもヒトへの投与に適した溶液が得られる。適当なキットは、遊離の塩基又は酸塩の形態の配位子又はキレーターコンジュゲートを、亜ジチオン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、ホルムアミジンスルフィン酸、第一スズイオン、Fe(II)又はCu(I)のような生体適合性還元剤と共に収容した容器(例えばセプタムシールバイアル)を備える。生体適合性還元剤は、好ましくは、塩化第一スズ又は酒石酸第一スズのような第一スズ塩である。或いは、キットは、適宜、放射性金属の添加によってトランスメタレーション(金属交換)を起こして所望の生成物を生じる金属錯体を含んでいてもよい。
非放射性キットは、適宜、放射線防護剤、抗菌保存剤、pH調節剤、充填剤又はトランスキレーターのような追加の成分をさらに含んでいてもよい。
「放射線防護剤」という用語は、水の放射線分解で生成する含酸素フリーラジカルのような反応性の高いフリーラジカルを捕捉することによって、酸化還元過程のような分解反応を阻害する化合物をいう。本発明の放射線防護剤は、好適には、アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸(すなわち4−アミノ安息香酸)、ゲンチシン酸(すなわち2,5−ジヒドロキシ安息香酸)並びにこれらと生体適合性陽イオンとの塩から選択される。「生体適合性陽イオン」及びその好適な実施形態は上述の通りである。
「抗菌保存剤」という用語は、細菌、酵母又はカビなどの有害微生物の増殖を阻害する薬剤を意味する。抗菌保存剤は、濃度に応じてある程度の殺菌作用を示すこともある。本発明の抗菌保存剤の主な役割は、再構成後の放射性医薬組成物(つまり放射性診断薬自体)での微生物の増殖を阻害することである。ただし、抗菌保存剤は、再構成前の本発明の非放射性キットの1以上の成分における有害微生物の増殖の防止にも適宜使用できる。適当な抗菌保存剤としては、パラベン類、すなわちメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン又はこれらの混合物、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールが挙げられる。好ましい抗菌保存剤はパラベン類である。
「pH調節剤」という用語は、再構成したキットのpHが、ヒト又は哺乳類への投与に関して許容範囲(約pH4.0〜10.5)内に収まるようにするのに有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。かかる適当なpH調節剤としては、トリシン、リン酸塩又はTRIS(すなわちトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)のような薬学的に許容される緩衝剤、並びに炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物などの薬学的に許容される塩基が挙げられる。コンジュゲートを酸塩の形態で用いる場合、キットのユーザーが多段階法の一部としてpHを調節できるようにpH調節剤を適宜別のバイアル又は容器で提供してもよい。
「充填剤」という用語は、製造及び凍結乾燥時の材料の取扱いを容易にする薬学的に許容される増量剤を意味する。適当な充填剤としては、塩化ナトリウムのような無機塩並びに水溶性糖類又は糖アルコール、例えばスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースが挙げられる。
「トランスキレーター」という用語は、テクネチウムと迅速に反応して弱い錯体を形成し、次いで配位子で置き換えられる化合物をいう。これは、テクネチウム錯形成と競合する過テクネチウム酸の迅速な還元によって還元型加水分解テクネチウム(RHT)が形成されるおそれを最小限に抑制する。かかるトランスキレーターとして適しているのは、弱有機酸(つまり3〜7のpKaを有する有機酸)の生体適合性陽イオンとの塩である。
かかる弱有機酸として適しているのは、酢酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、安息香酸、フェノール又はホスホン酸である。したがって、好適な塩は、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、フェノラート又はホスホン酸塩である。好ましくは塩は、酒石酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩又はホスホン酸塩であり、最も好ましくはホスホン酸塩、特にジホスホン酸塩である。かかるトランスキレーターとして好ましいのは、MDP(メチレンジホスホン酸)と生体適合性陽イオンとの塩である。
第五の態様では、本発明は、第二の態様の放射性医薬品の製造方法、特に自動化法での使用に適したシングルユーズカセットを提供する。「カセット」という用語は、合成装置の可動部の機械的動作によってカセットの外からつまり外部からカセットの作動を制御できるように、自動合成装置(上記で定義した通り)に着脱自在かつ交換可能に装着されるように設計された器具をいう。好適なカセットは、倒立させたセプタムシール式バイアルを針で穿刺するか或いは気密対合ジョイントによって試薬又はバイアルを取り付けることができるポートに各々接続した線形配列の弁を備えている。各弁は、自動合成蔵置の可動アームと連結するオネジメネジジョイントを有している。カセットを自動合成装置に装着する際にアームの外部回転によって弁の開閉が制御される。自動合成装置の追加の可動部分はシリンジのプランジャー端部を把持して、シリンジバレル筒を上下できるように設計されている。
カセットは汎用性で、通例、複数の試薬を取り付けることができる数箇所の位置と、試薬のシリンジバイアル又はクロマトグラフィーカートリッジ(SPEなど)の取付けに適した数箇所の位置を有する。カセットは常に反応容器を有している。かかる反応容器は好ましくは1〜10cm3、最も好ましくは2〜5cm3の容積のもので、カセットの様々なポートから試薬又は溶媒を輸送できるようにカセットの3箇所以上のポートと接続した構成とされる。カセットは、線形配列の弁を好ましくは15〜40個、さらに好ましくは20〜30個、最も好ましくは25個有する。カセットの各弁は好ましくは同一であり、最も好ましくは三方弁である。本発明のカセットは、放射性医薬品の製造に適するように設計され、医薬品グレードの材料で理想的には放射線分解に耐性の材料から作られる。
第六の態様では、本発明は、第二の態様の好ましい自動化放射性医薬品製造法を実施するための、第五の態様のカセットを装着するのに適した自動合成装置の使用を提供する。「自動合成装置」は、第二の態様で定義した通りのものであり、第一の態様の交換自在なシングルユーズカセットと接続される。好ましくは、自動合成装置は、好ましい実施形態を含めた第一の態様の方法による放射性医薬品の製造に使用される。
第七の態様では、本発明は、第二の態様の好ましい自動化放射性医薬品製造法を実施するための、第三の態様のカセットの使用を提供する。その方法及び放射性医薬品並びにそれらの好ましい実施形態については、第一の態様で説明した通りである。カセットとその好ましい実施形態は第三の態様で説明した通りである。
本発明を以下の非限定的な実施例で例示する。
用いた略号
PEG=ポリエチレングリコール;
PG=保護基;
PVA=ポリビニルアルコール;
PVP=ポリ(ビニルピロリドン);
TFA=トリフルオロ酢酸。
実施例1: 18 F−DOPAの合成
本実施例は、予測例である。
用いることのできる方法を以下の図1に示す。
ヨードニウム塩は、Pike et al,JCS Perkin Trans.,2043(1998)の方法及び国際公開第2004/056400号に記載の方法に従って製造することができる。DOPA前駆体は、Bolton,J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)に記載の方法に従って製造することができる。

Claims (19)

  1. 放射性同位体で標識した造影剤組成物の製造方法であって、
    (i)放射性標識との反応性部位を与える1以上の基(X)を有する上記造影剤の前駆体をポリマーに共有結合してなるコンジュゲートを用意する段階、
    (ii)段階(i)のコンジュゲートの溶液を、Xとの反応に適した化学的形態の放射性同位体と適当な溶媒中で反応させて、上記ポリマーに結合した放射性標識前駆体の溶液を得る段階、
    (iii)段階(ii)の放射性標識前駆体生成物を上記ポリマーから開裂させる段階、
    (iv)段階(iii)で開裂した放射性標識前駆体生成物を、ポリマー及び適宜段階(ii)及び(iii)の他の反応生成物から分離する段階、
    (v)段階(iv)で分離した放射性標識前駆体生成物が既に生体適合性キャリア媒体中にある場合は、これを段階(vi)で直接使用し、それ以外の場合は、段階(iv)の生成物を生体適合性キャリア媒体に溶解するか或いは段階(iv)の溶媒を部分的又は完全に除去して、生体適合性キャリア媒体で置換する段階、
    (vi)適宜、段階(v)の生成物で、精製、pH調整、希釈又は濃縮、及び溶媒除去と生体適合性溶媒への再溶解の1以上の追加のプロセスを実施して、所望の造影剤組成物を得る段階
    を含んでなる方法。
  2. 前記コンジュゲートのポリマーが400Da〜40kDaの分子量を有する、請求項1記載の方法。
  3. 段階(i)のコンジュゲートが次の式Iのものである、請求項1又は請求項2記載の方法。
    [ポリマー]−リンカー−Y−[前駆体] (I)
    式中、リンカーは、前駆体の反応性部位(X)をポリマーから離隔する二価有機基であり、
    Yは、段階(iii)で選択的に開裂する共有結合が組み込まれた基である。
  4. 前記前駆体が次の式IAのものである、請求項3記載の法。
    [ポリマー]−リンカー−YX−[前駆体] (IA)
    式中、YXは、反応性基Xが組み込まれたY基であって、X基で前駆体に共有結合しており、段階(iii)が段階(ii)の放射性標識プロセスと同時に起こる。
  5. 前記放射性同位体が陽電子放射体である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記陽電子放射体が18F、11C、16N又は18Oから選択される、請求項5記載の方法。
  7. 放射性同位体が18Fであり、Xとの反応に適した放射性同位体の化学的形態が18F−フッ化物である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. 段階(ii)で用いられる溶媒が有機溶媒である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. 段階(ii)で用いられる溶媒が水性溶媒である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の放射性同位体標識造影剤組成物を含む放射性医薬品の製造方法であって、段階(vi)の生成物が哺乳類への投与に適した形態となるように、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法を無菌条件下で実施するか及び/又は段階(vi)の生成物を最終的に滅菌することを含む方法。
  11. 請求項1乃至請求項9記載のプロセスを自動化してなる、請求項10記載の方法。
  12. プロセスの自動化に自動合成装置を使用する、請求項11記載の方法。
  13. 前記自動合成装置がシングルユーズカセットを備えており、該カセットが、段階(i)のコンジュゲート、段階(ii)の溶媒及び1種以上の生体適合性キャリア媒体を始めとする請求項1乃至請求項9記載の方法を実施するのに必要な非放射性物質を収容している、請求項12記載の方法。
  14. 前記カセットの部品及び試薬が無菌の非発熱性の形態である、請求項13記載の方法。
  15. 請求項1乃至請求項9及び請求項10乃至請求項14記載の方法での使用に適した前駆体であって、当該前駆体が請求項1乃至請求項4に記載されたものである、前駆体。
  16. 請求項1乃至請求項9及び請求項10乃至請求項14記載の方法での使用に適したキットであって、請求項15記載の前駆体を含むキット。
  17. 請求項10乃至請求項14記載の方法での使用に適したカセットで、当該カセットが請求項13又は請求項14に記載されたものであるシングルユーズカセット。
  18. 請求項11記載の方法を実施するための、請求項12乃至請求項14のいずれか1項記載の自動合成装置の使用。
  19. 請求項11記載の方法を実施するための、請求項13記載の自動合成装置における請求項17記載のカセットの使用。
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