JP2016506375A - 放射性フッ素化のための18f標識アルデヒド組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、インビボイメージングに影響を及ぼす不純物を特定して抑制した改良18F標識アルデヒド組成物に関する。また、改良組成物を用いた放射性フッ素化生体ターゲティング分子の調製方法も、放射性医薬組成物と併せて提供される。また、本発明には、かかる放射性医薬組成物を用いたイメージング及び/又は診断方法も包含される。【選択図】なし
Description
本発明は、インビボイメージングに影響を及ぼす不純物を特定して抑制した改良18F標識アルデヒド組成物に関する。また、改良組成物を用いた放射性フッ素化生体ターゲティング分子の調製方法も、放射性医薬組成物と併せて提供される。また、本発明には、かかる放射性医薬組成物を用いたイメージング及び/又は診断方法も包含される。
国際公開第2004/080492号には、以下に示す式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応又は式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応によってそれぞれ以下の式(V)又は(VI)のコンジュゲートを得ることを含むベクターの放射性フッ素化法が開示されている。
R1は、アルデヒド基、ケトン基、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、或いは酸化剤を用いてアルデヒド又はケトンに迅速かつ効率的に酸化することのできる官能基(例えばジオール又はN末端セリン残基)であり、
R2は、第一アミン、第二アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド及びチオセミカルバジドから選択される基であって、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノオキシ基であり、
R3は、第一アミン、第二アミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ、フェニルヒドラジン、セミカルバジド又はチオセミカルバジドから選択される基であって、好ましくはヒドラジン、ヒドラジド又はアミノオキシ基であり、
R4はアルデヒド基、ケトン基、アセタールのような保護アルデヒド、ケタールのような保護ケトン、或いは酸化剤を用いてアルデヒド又はケトンに迅速かつ効率的に酸化することのできる官能基(例えばジオール又はN末端セリン残基)である。
式(II)、(IV)、(V)及び(VI)のリンカー基は以下のものから選択される。
国際公開第2006/030291号には、以下に示す式(I)の化合物と式(II)の化合物との反応によって以下に示す式(III)の化合物を得ることを含む、放射性フッ素化法が開示されている。
nは0〜20の整数であり、
mは0〜10の整数であり、
Yは水素、C1-6アルキル又はフェニルである。
Glaser et al[Bioconj.Chem.,19(4),951−957(2008)]には、18F−フルオロベンズアルデヒドを始めとする18F標識アルデヒドの合成、並びにそれらとアミノオキシ官能化環状RGDペプチドとの結合について記載されている。
Battle et al[J.Nucl.Med.,52(3),424−430(2011)]には、[18F]−フルシクラチドによる抗血管新生療法のモニタリングについて開示されている。
(i)18F-水溶液をイオン交換カラムで捕捉し、
(ii)18F-が吸着されたイオン交換カラムに溶出液を流して18F-溶出液を得る
ことを含んでおり、
溶出液は、好適な溶媒中のカチオン性対イオンを含んでいるが、溶出液がアセトニトリルを含まないことを条件とする。
国際公開第2012/089594号には、溶出液がアセトニトリルを含んでいると、アセトニトリルが経時的に加水分解されて、アセトアミド及び酢酸アンモニウムを形成し、溶出18F-を後で18F放射性標識反応に用いる際に、これらの不純物が放射化学純度の問題を引き起こしかねないと教示されている。
しかし、本発明者らは、18F標識アルデヒド(例えば18F−フルオロベンズアルデヒド(FBA))と官能化ペプチドとの結合が、放射化学純度及び収率の両面で制限を生じるという予想外の知見を得た。そこで、生体ターゲティング部分を18F標識するための代替法が依然として必要とされている。
本発明は、改良18F標識アルデヒド組成物、並びにその生体ターゲティング部分(BTM)の放射性フッ素化での用途を提供する。18F標識アルデヒドとアミノオキシ−もしくはアミン−官能化BTMとの結合で得られる改良放射性医薬組成物も提供される。
本発明は、かかるアルデヒド中に存在する様々な化学種の詳細な分析、並びにそれらが如何にして放射性標識BTM生成物中に持ち込まれるかについての知見、さらには不純物種を抑制するにはどうするのが最良かについての知見に基づくものである。シアノビニル化合物は、先行技術では認識されていなかったが、アセトニトリルが痕跡量でも存在していると生成するおそれがある。放射化学純度及び収率が高くなるほど、ロバストな臨床用途の製造が促進されるとともに、患者に対する不要な放射線量が抑制される。
さらに、本発明の改良放射性医薬組成物は、調製時間を短縮することができ、そのため使用前の調製及び精製段階での18F(半減期109分)放射能濃度の損失が最小限となる。本発明の組成物は、市販の自動合成装置での自動化に適した方法を用いて得ることができる。これは、先行技術のHPLC法(このような自動化はできない)に勝る利点である。自動化は、再現性の向上、並びにオペレータに対する放射線量の低減をもたらす。
さらに、生成物の放射化学的収率及び純度の向上は、同量の放射性生成物を得るために必要な官能化BTMの使用量が減ることを意味する。非標識BTMは、インビボで同じ生物学的部位に対して競合するので、官能化BTMの存在量を低下させることができれば放射性標識生成物の有効性を保つのに役立つ。加えて、BTMは、例えば高価で入手に時間のかかる複雑なポリペプチド又はタンパク質であることもあるので、時間/材料の効率の点でも重要である。
本発明者らは、18F−フルオロベンズアルデヒド(FBA)の調製に際して、痕跡量のアセトニトリルが存在すると、従前認識されていない問題が起こることを見出した(スキーム1)。
さらに複雑な問題は、反応混合物中に存在するDMAB(4−ジメチルアミノベンズアルデヒドのような他のベンズアルデヒド種もアセトニトリルと反応してさらにシアノビニル不純物を生じることである。
TMAB放射性フッ素化反応の開始時の19F−フッ化物含有量(全フッ化物含有量に相当)は1μg未満であり、通例0.1〜0.5μgである。従って、1モル当量のフッ化物に達するには、わずか2μg以下のアセトニトリルが存在すればよい。
本発明者らは、18F標識アルデヒド及びアセトニトリルからシアノビニル付加物が、特に塩基性条件及び室温を超える温度(約50〜70℃)で容易に生成することを見出した。18F標識アルデヒドでは、放射合成及びその後の結合反応のいずれにおいても、このような反応条件が必要とされる。そのため、18F標識アルデヒドが痕跡量であってもアセトニトリルに触れると、こうしたシアノビニル不純物が生成しかねない。問題は、かかる反応条件が、放射合成及び結合反応の両方で充分な収率を達成するのにまさに必要な反応条件であることである。
上述の問題に対処すべく、第1の態様では、本発明は、式(I)の18F標識アルデヒド及び式(II)の18F標識シアン化ビニルを含む18F標識アルデヒド組成物であって、
(i)I:IIのモル比が10:1以上であり、
(ii)組成物からアセトニトリルが除外されている、
18F標識アルデヒド組成物を提供する。
(i)I:IIのモル比が10:1以上であり、
(ii)組成物からアセトニトリルが除外されている、
18F標識アルデヒド組成物を提供する。
「組成物」という用語は、その通常の意味を有し、式(I)の放射性フッ素化アルデヒドと式(II)の18F標識シアン化ビニルの混合物をいう。本組成物は、好適には溶液中で存在する。
式II、並びに式IIA〜IIDにおいて、波線で示す結合は、C=C二重結合の立体化学が未定であることを示し、シアノ基がX1に対してシスであるか或いはトランスであるかに応じて、いずれかのジアステレオマー(E又はZ)が存在し得る。本発明は、かかる異性体の混合物、並びにかかるジアステレオマーの一方が濃縮された混合物、並びに純粋なジアステレオマーを包含する。
「18F標識」という用語は、PET放射性トレーサの分野における通常の意味を有し、フッ素置換基が、通常の同位体存在比に比べて放射性同位体18Fのレベルが上昇又は濃縮されていることを意味する。かかる上昇は、通例、放射線量及び放射能濃度が共にインビボイメージングに適したものである。
「C4-16二価有機基」という用語は、置換又は非置換有機基を意味し、アリーレン環、ヘテロアリーレン環、アルキレン鎖の1以上(又はその組合せ)、及び任意にはO、N及びSから独立に選択される1〜5個のヘテロ原子を含んでいてもよい。2個以上のヘテロ原子が導入されている場合、二価有機基からは、ヘテロ原子−ヘテロ原子の直接結合は排除される。好ましくは、二価有機基は、1個以上のアリール又はヘテロアリール環、さらに好ましくはかかる環を1個含む。
「アセトニトリルが除外されている」という用語は、組成物が、特に使用される溶媒、放射性フッ素化アルデヒドのインサイツでの調製に使用される反応体/前駆体のいずれも、アセトニトリルを含んでいないことを意味する。[18F]−フッ化物の乾燥時に、痕跡量のアセトニトリルを除去するため乾燥時間を延ばし、真空度を高めることが特に重要である。さらに、反応体/前駆体で実施された精製及び/又はクロマトグラフィーの結果、残留溶媒として存在する可能性のある痕跡量のアセトニトリルを除去するための特別な段階が好適である。アセトニトリルが放射性フッ素化アルデヒドと反応して式IIのシアン化ビニル化合物を生じる可能性があることが今回本発明者らによって判明したからである。
「含む」又は「含んでいる」という用語は、本願を通してそれらの通常の意味を有し、組成物が、記載された成分を含んでいなければならないが、その他の化合物又は化学種が存在していてもよいことを意味する。従って、この用語の部分集合として、組成物が記載された成分を含んでいて、その他の化合物又は化学種が存在しないことを意味する「から本質的になる」が包含される。
好ましい実施形態
第1の態様では、I:IIのモル比は、好ましくは20:1以上、さらに好ましくは30:1以上、最も好ましくは100:1以上である。
第1の態様では、I:IIのモル比は、好ましくは20:1以上、さらに好ましくは30:1以上、最も好ましくは100:1以上である。
第1の態様の18F標識アルデヒド組成物は、好ましくは、18F標識アルデヒドが式(IA)の18F標識アルデヒドであって、18F標識シアン化ビニルが式(IIA)の18F標識シアン化ビニルであるように選択される。
Yは独立にC又はNであり、
L1及びL2は独立に−(CH2)x−、−O−(CH2)y−又は−(OCH2CH2)y−から選択されるリンカー基であり、
xは独立に0〜3の整数であり、
yは独立に2〜4の整数である。
式IA及びIIAにおいて、リンカー基L1及びL2は、アリール環の2つの異なる位置に位置する。YがNである場合、L1及びL2は、Y以外の2つの異なる位置に位置する。
式IA及びIIAにおいて、L2は好ましくはx=0である−(CH2)x−であり、IAのアルデヒド基がアリール環に直接結合している。
式IA及びIIAにおいて、Yは好ましくはCである。かかる好ましい実施形態は、18F標識アルデヒドが式(IB)の18F標識アルデヒドであって、18F標識シアン化ビニルが式(IIB)の18F標識シアン化ビニルである場合である。
さらに好ましい実施形態は、18F標識アルデヒドが式(IC)の18F標識アルデヒドであって、18F標識シアン化ビニルが式(IIC)の18F標識シアン化ビニルである場合である。
第1の態様の18F標識アルデヒド組成物は、好ましくは水混和性有機溶媒又はその水性混液中の溶液で提供される。「水混和性有機溶媒」は、アセトニトリルは排除され、好ましくは80℃未満、さらに好ましくは70℃未満の沸点を有する溶媒から選択される。かかる好適な溶媒は、式(I)のアルデヒドのアルデヒド基との反応性が最小限となるように設計され、具体例として、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン又はそれらの水性混液が挙げられる。さらに好ましくは、溶媒は、メタノール、エタノール又はそれらの水性混液である。最も好ましくは、溶媒は、エタノール又は水性エタノールである。
好ましい実施形態では、第1の態様の18F標識アルデヒド組成物は、18F標識アルデヒド組成物を生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含む放射性医薬組成物として提供される。
「哺乳類への投与に適した形態」という記載は、無菌でパイロジェンフリーであり、毒性又は有害作用を生じる化合物を含まず、生体適合性pH(約pH4.0〜10.5)で製剤化される組成物を意味する。かかる組成物は、インビボで塞栓を生じる危険性のある粒状物質を含んでおらず、しかも体液(例えば、血液)と接触しても沈殿を生じないように製剤化される。かかる組成物は、生物学的に適合性の賦形剤のみを含み、好ましくは等張性である。
「生体適合性担体」とは、イメージング剤を懸濁又は好ましくは溶解できる流体、特に液体であって、組成物が生理学的に認容できるもの、つまり毒性も耐え難い不快感も伴わずに哺乳類の身体に投与することができるようなものである。
生体適合性担体は好適には注射可能な担体液であり、例えば、パイロジェンフリーの注射用滅菌水、食塩液のような水溶液(これは注射用の最終製剤が等張性となるように調整するのに都合がよい)、生体適合性緩衝剤を含む水性緩衝液(例えばリン酸緩衝液)、1種以上の張度調節物質(例えば血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えばグルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えばグリセロール)その他の非イオン性ポリオール材料(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液である。好ましくは、生体適合性担体はパイロジェンフリーの注射用水又は等張食塩水又はリン酸緩衝液である。
生体適合性担体は好適には注射可能な担体液であり、例えば、パイロジェンフリーの注射用滅菌水、食塩液のような水溶液(これは注射用の最終製剤が等張性となるように調整するのに都合がよい)、生体適合性緩衝剤を含む水性緩衝液(例えばリン酸緩衝液)、1種以上の張度調節物質(例えば血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えばグルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えばグリセロール)その他の非イオン性ポリオール材料(例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液である。好ましくは、生体適合性担体はパイロジェンフリーの注射用水又は等張食塩水又はリン酸緩衝液である。
放射性医薬組成物は、無菌健全性及び/又は放射能安全性、さらに適宜ヘッドスペースの不活性ガス(例えば、窒素又はアルゴン)を維持できるとともに、注射器又はカニューレでの溶液の添加及び吸引も行うことのできる密封容器からなる適当なバイアル又は容器に入れた状態で供給される。かかる容器として好ましいのは、気密蓋をオーバーシール(通例アルミニウム製)と共にクリンプオンしたセプタムシールバイアルである。蓋は、無菌健全性を維持したまま皮下注射針で1回又は複数回穿刺するのに適したもの(例えば、クリンプオン式セプタムシール蓋)である。かかる容器は、所望に応じて(例えばヘッドスペースガスの交換又は溶液の脱気のため)真空に蓋が耐えるとともに、酸素や水蒸気のような外部雰囲気ガスを侵入させずに減圧のような圧力変化に耐えるという追加の利点がある。反応容器は好適にはこのような容器及びその好ましい実施形態から選択される。
好ましい多用量用容器は、患者の複数回分の用量を収容した単一バルクバイアルからなり、臨床症状に応じて製剤の有効期間中様々な時間間隔で1回分の用量を臨床グレードの注射器に吸引することができる。プレフィルド型注射器は患者の1回分の用量つまり「単位用量」を収容するように設計され、そのため好ましくは使い捨てその他臨床用に適した注射器である。本発明の医薬組成物は、好ましくは、一人の患者に適した用量を有し、上述の好適な注射器又は容器に入れて提供される。
医薬組成物は、抗菌保存剤、pH調整剤、充填剤、放射線防護剤、可溶化剤又はモル浸透圧濃度調整剤のような追加の添加剤を適宜含んでいてもよい。「放射線防護剤」という用語は、水の放射線分解で生じる含酸素フリーラジカルのような反応性の高いフリーラジカルを捕捉することによって、酸化還元反応のような分解反応を抑制する化合物を意味する。本発明の放射線防護剤は、好適には、アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸(つまり4−アミノ安息香酸)、ゲンチシン酸(つまり2,5−ジヒドロキシ安息香酸)及びそれらの生体適合性陽イオンとの塩から選択される。「生体適合性陽イオン」(Bc)という用語は、イオン化した負荷電基と塩を形成する正荷電の対イオンを意味するが、正荷電対イオンも無毒性であって哺乳類の身体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの具体例としては、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンが挙げられる。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
「可溶化剤」という用語は、組成物に存在する添加剤であって、溶媒中での溶解度を高める添加剤を意味する。かかる溶媒として好ましいのは水性媒質であり、従って可溶化剤は好ましくは水中での溶解度を高める。かかる可溶化剤として好適なものとしては、C1-4アルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体(Pluronics(商標))、シクロデキストリン(例えば、α−、β−又はγ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン或いはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン)及びレシチンが挙げられる。
「抗菌保存剤」という用語は、細菌、酵母又はカビなどの有害微生物の増殖を阻害する薬剤を意味する。抗菌保存剤は、使用する用量に応じてある程度の殺菌作用を示すこともある。本発明の抗菌保存剤の主な役割は、医薬組成物におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。ただし、抗菌保存剤は、投与に先立って組成物の製造に使用されるキットの1種以上の成分における有害微生物の増殖の防止にも適宜使用できる。好適な抗菌保存剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌保存剤はパラベン類である。
「pH調整剤」という用語は、組成物のpHがヒト又は哺乳類への投与のための許容範囲(約pH4.0〜10.5)内に確実に収まるようにするのに有用な化合物又は化合物混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩、クエン酸塩又はTRIS[即ち、トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン]のような薬学的に許容される緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような薬学的に許容される塩基がある。組成物をキットの形態で使用する場合には、キットのユーザーが多段操作の一部としてpHを調整できるように、pH調整剤を適宜別個のバイアル又は容器に入れて供給してもよい。
「充填剤」という用語は、製造及び凍結乾燥時における材料の取扱いを容易にすることができる薬学的に許容される増量剤を意味する。好適な充填剤には、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性の糖又は糖アルコールがある。
放射性医薬組成物は、所望の滅菌非発熱性生成物が得られるような無菌製造(クリーンルーム)条件下で調製し得る。重要な構成要素、特に関連する試薬並びにイメージング剤と接触する装置の部材(例えばバイアル)は無菌であるのが好ましい。構成要素及び試薬は、無菌濾過、例えばγ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は化学的処理(エチレンオキサイド)を用いた最終滅菌を始めとする当技術分野で公知の方法で滅菌することができる。一部の構成要素を予め滅菌しておけば、最小限の操作を実施すればよいので好ましい。ただし、予防策として、医薬品組成物の調製の最終段階として少なくとも無菌濾過段階を含めておくのが好ましい。
第1の態様18F標識アルデヒド組成物は、以下の(i)〜(v)の1以上によって得ることができる。
(i)アルデヒド放射合成で用いられる18F−フッ化物に関して、アセトニトリルを除去するため18F−フッ化物イオンを乾燥する段階を、厳密に及び/又は複数回及び/又は高真空下で実施して、マイクログラム量のアセトニトリルであっても確実に除去すること。
(ii)18F標識アルデヒドが調製される、放射性フッ素化反応における1種以上の溶媒として、高純度でアセトニトリル濃度が極めて低いものを使用すること。
(iii)調製済みの18F標識アルデヒドを、アセトニトリルを除外した好適な水混和性有機溶媒(上記)で製剤化すること。
(v)シアノビニル種が存在する場合にそれを分離するための、アセトニトリル以外の溶媒を用いるSPE(固相抽出)のようなクロマトグラフィー技術。
(i)アルデヒド放射合成で用いられる18F−フッ化物に関して、アセトニトリルを除去するため18F−フッ化物イオンを乾燥する段階を、厳密に及び/又は複数回及び/又は高真空下で実施して、マイクログラム量のアセトニトリルであっても確実に除去すること。
(ii)18F標識アルデヒドが調製される、放射性フッ素化反応における1種以上の溶媒として、高純度でアセトニトリル濃度が極めて低いものを使用すること。
(iii)調製済みの18F標識アルデヒドを、アセトニトリルを除外した好適な水混和性有機溶媒(上記)で製剤化すること。
(v)シアノビニル種が存在する場合にそれを分離するための、アセトニトリル以外の溶媒を用いるSPE(固相抽出)のようなクロマトグラフィー技術。
第2の態様では、本発明は、生体ターゲティング分子を18F−放射性標識する方法であって、
(i)請求項1記載の18F標識アルデヒド組成物を用意する段階と、
(ii)次の式IIIの官能化生体ターゲティング分子を用意する段階と、
Y1−[BTM] (III)
(式中、Y1は−NH2又は−O−NH2である。)
(iii)段階(i)の組成物と段階(ii)のY1−[BTM]とを反応させて以下の式IVの18F−放射性標識生体ターゲティング分子を得る段階と
を含む方法を提供する。
(i)請求項1記載の18F標識アルデヒド組成物を用意する段階と、
(ii)次の式IIIの官能化生体ターゲティング分子を用意する段階と、
Y1−[BTM] (III)
(式中、Y1は−NH2又は−O−NH2である。)
(iii)段階(i)の組成物と段階(ii)のY1−[BTM]とを反応させて以下の式IVの18F−放射性標識生体ターゲティング分子を得る段階と
を含む方法を提供する。
第2の態様における18F標識アルデヒド組成物の好ましい実施形態は、第1の態様(上記)で定義した通りである。
「生体ターゲティング部分」(BTM)という用語は、投与後に、インビボで哺乳類の身体の特定の部位に選択的に取り込まれるか或いは局在化する化合物を意味する。かかる部位は、例えば、特定の病態に関係していることもあるし、臓器又は代謝過程がいかに機能しているかの指標となることもある。
「官能化生体ターゲティング分子」という用語は、BTMが、既にアミン又はアミノオキシ官能基を含んでいるか、或いはアミン又はアミノオキシ官能基と共有結合するように誘導体化されているかのいずれかであることを意味する。「アミノオキシ基」という用語は、BTMにアミノオキシ官能基が共有結合していることを意味する。かかる基は、式−O−NH2、好ましくは−CH2O−NH2の基であり、C=N−O−C結合をもつオキシムエーテルを形成するアルデヒドとの縮合反応においてアミノオキシ基のアミンのほうがLysアミン基よりも反応性が高いという利点を有する。そこで、Y1は好ましくは−O−NH2である。
式(IV)の放射性フッ素化BTMは、好ましくは放射性同位体イメージング剤である。「イメージング剤」という用語は、哺乳類の身体のイメージングに適した化合物を意味する。好ましくは、哺乳類はインタクトな哺乳類の生体であり、さらに好ましくはヒト被験体である。好ましくは、イメージング剤は最小限の侵襲的方法で(つまり、医療専門技術の下で実施したときに哺乳類被験体に対して実質的な健康リスクを伴わずに)哺乳類の身体に投与される。かかる最小限の侵襲的投与は、好ましくは被験体の末梢静脈への静脈内投与であり、局所又は全身麻酔を必要としない。イメージング剤は、哺乳類の身体の状態ができるだけ忠実に表されるように、薬理効果が最小限となる好適な用量で設計され投与される。
本明細書で用いる「インビボイメージング」という用語は、哺乳類被験体の体内の様相の全体又は一部の画像を非侵襲的に生成する技術をいう。かかるイメージング技術として好ましいのは陽電子放射断層撮影(PET)である。
第2の態様の方法は、溶液中で実施するのに適している。
BTMには、好ましくは、線状又は環状ペプチド又はその組合せのいずれでもよい3〜80残基ペプチド、ペプチド類似体、ペプトイド又はペプチド模倣体、1個のアミノ酸、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト(部分アゴニストを含む)又は酵素阻害剤、受容体結合化合物(受容体基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は基質を含む)、オリゴヌクレオチド又はオリゴDNA若しくはオリゴRNAフラグメントがある。
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)を意味し、天然のものでも純粋な合成品であってもよく、光学的に純粋つまり単一の鏡像異性体(したがってキラルなもの)であってもよいし、鏡像異性体の混合物であってもよい。本明細書では、アミノ酸の慣用三文字略語又は一文字略語を用いる。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(つまり、あるアミノ酸のアミンと別のアミノ酸のカルボキシルとを連結するアミド結合)で連結した2以上のアミノ酸(以下で定義)を含む化合物を意味する。「ペプチド模倣体」又は「模倣体」という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物活性を模倣するが、化学的性状がペプチドでない(つまり、ペプチド結合(アミノ酸間のアミド結合)を含まない)生物活性化合物をいう。ここでは、ペプチド模倣体という用語は広義に用いられ、性状が完全にはペプチドでない分子(例えば、プソイドペプチド、セミペプチド及びペプトイド)を包含する。「ペプチド類似体」という用語は、以下に記載する1種以上のアミノ酸類似体を含むペプチドをいう。“Synthesis of Peptides and Peptidomimetics”, M. Goodman et al, Houben−Weyl E22c, Thieme参照。
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースがある。適宜、アミノ酸に容易にカップリングできるように糖を官能化してもよい。例えばアミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートさせることができる。アスパラギンのグルコサミン誘導体(NovaBiochem社から市販)はその一例である。
好ましい実施形態
BTMは、合成したものでも、天然のものでもよいが、好ましくは合成品である。「合成品」という用語とは、その通常の意味を有しており、天然の起源(例えば哺乳類の身体)から単離したものとは対照的に、人工のものを意味する。かかる化合物は、その製造及び不純物プロファイルを十分に制御できるという利点を有する。したがって、天然起源のモノクローナル抗体及びそのフラグメントは、本明細書で用いる「合成品」には属さない。BTMは、好ましくは非タンパク質性もの、つまりタンパク質を含まないものである。
BTMは、合成したものでも、天然のものでもよいが、好ましくは合成品である。「合成品」という用語とは、その通常の意味を有しており、天然の起源(例えば哺乳類の身体)から単離したものとは対照的に、人工のものを意味する。かかる化合物は、その製造及び不純物プロファイルを十分に制御できるという利点を有する。したがって、天然起源のモノクローナル抗体及びそのフラグメントは、本明細書で用いる「合成品」には属さない。BTMは、好ましくは非タンパク質性もの、つまりタンパク質を含まないものである。
BTMの分子量は、好ましくは15000ダルトン以下である。さらに好ましくは、分子量は200〜12000ダルトン、最も好ましくは300〜10000ダルトンであり、400〜9000ダルトンが特に好ましい。BTMが非ペプチドである場合、BTMの分子量は好ましくは3000ダルトン以下であり、さらに好ましくは200〜2500ダルトン、最も好ましくは300〜2000ダルトンであり、400〜1500ダルトンが特に好ましい。
BTMが、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又は受容体結合化合物である場合、BTMは好ましくは非ペプチド、さらに好ましくは合成品である。「非ペプチド」という用語は、ペプチド結合(2つのアミノ酸残基間のアミド結合)を全く含まない化合物を意味する。好適な酵素基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は阻害剤には、グルコース及びグルコース類似体(例えばフルオロデオキシグルコースなど)、脂肪酸、又はエラスターゼ、アンジオテンシンII又はメタロプロテイナーゼ阻害剤がある。好ましい非ペプチド系アンジオテンシンIIアンタゴニストはロサルタンである。好適な合成受容体結合化合物には、エストラジオール、エストロゲン、プロゲスチン、プロゲステロンその他のステロイドホルモン、ドーパミンD−1又はD−2受容体リガンド、及びトロパンのようなドーパミン輸送体用リガンド、並びにセロトニン受容体用リガンドがある。
BTMは、最も好ましくは3〜100残基ペプチド又はペプチド類似体である。BTMがペプチドである場合、好ましくは4〜30残基ペプチド、最も好ましくは5〜28残基ペプチドである。
BTMがペプチドである場合、好ましいペプチドには以下のものがある。
・ソマトスタチン、オクトレオチド及び類似体。
・ST受容体に結合するペプチド(ここで、STとは大腸菌(E.coli)その他の微生物によって産生される耐熱性毒素をいう。)。
・ボンベシン。
・血管作用性小腸ペプチド。
・ニューロテンシン。
・ラミニンフラグメント、例えば、YIGSR、PDSGR、IKVAV、LRE及びKCQAGTFALRGDPQG。
・白血球集積部位をターゲティングするためのN−ホルミル走化性ペプチド。
・血小板第4因子(PF4)及びそのフラグメント。
・例えば、血管形成をターゲティングし得るRGD(Arg−Gly−Asp)含有ペプチド[R.Pasqualini他,Nat Biotechnol.1997 Jun;15(6):542−6]、[E.Ruoslahti,Kidney Int.1997 May;51(5):1413−7]。
・α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのペプチドフラグメント。α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのアミノ酸配列は、以下の参考文献に見出すことができる。α2−抗プラスミン前駆体[M.Tone他,J.Biochem,102,1033(1987)]、β−カゼイン[L.Hansson他,Gene,139,193(1994)]、フィブロネクチン[A.Gutman他,FEBS Lett.,207,145(1996)]、トロンボスポンジン1前駆体[V.Dixit他,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,5449(1986)]、R.F.Doolittle,Ann.Rev.Biochem.,53,195(1984)。
・アンジオテンシンII:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe(E.C.Jorgensen他,J.Med.Chem.,1979,Vol 22,9,1038−1044)及び[Sar,Ile]アンジオテンシンII:Sar−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Ile(R.K.Turker他,Science,1972,177,1203)のようなアンジオテンシンの基質又は阻害剤であるペプチド。
・アンジオテンシンI:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu。
・c−Metターゲティングペプチド。
・ソマトスタチン、オクトレオチド及び類似体。
・ST受容体に結合するペプチド(ここで、STとは大腸菌(E.coli)その他の微生物によって産生される耐熱性毒素をいう。)。
・ボンベシン。
・血管作用性小腸ペプチド。
・ニューロテンシン。
・ラミニンフラグメント、例えば、YIGSR、PDSGR、IKVAV、LRE及びKCQAGTFALRGDPQG。
・白血球集積部位をターゲティングするためのN−ホルミル走化性ペプチド。
・血小板第4因子(PF4)及びそのフラグメント。
・例えば、血管形成をターゲティングし得るRGD(Arg−Gly−Asp)含有ペプチド[R.Pasqualini他,Nat Biotechnol.1997 Jun;15(6):542−6]、[E.Ruoslahti,Kidney Int.1997 May;51(5):1413−7]。
・α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのペプチドフラグメント。α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのアミノ酸配列は、以下の参考文献に見出すことができる。α2−抗プラスミン前駆体[M.Tone他,J.Biochem,102,1033(1987)]、β−カゼイン[L.Hansson他,Gene,139,193(1994)]、フィブロネクチン[A.Gutman他,FEBS Lett.,207,145(1996)]、トロンボスポンジン1前駆体[V.Dixit他,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,5449(1986)]、R.F.Doolittle,Ann.Rev.Biochem.,53,195(1984)。
・アンジオテンシンII:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe(E.C.Jorgensen他,J.Med.Chem.,1979,Vol 22,9,1038−1044)及び[Sar,Ile]アンジオテンシンII:Sar−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Ile(R.K.Turker他,Science,1972,177,1203)のようなアンジオテンシンの基質又は阻害剤であるペプチド。
・アンジオテンシンI:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu。
・c−Metターゲティングペプチド。
BTMがペプチドである場合、ペプチドの一端又は両端(好ましくは両端)に代謝阻害基(MIG)が結合している。このように両方のペプチド末端を保護することは、インビボイメージング用途で重要である。さもないと、急速な代謝が起こって、BTMペプチドに対する選択的結合親和性が失われてしまうと予想されるからである。「代謝阻害基(MIG)」という用語は、アミノ末端又はカルボキシ末端でのBTMペプチドの酵素(特にカルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼ)代謝を阻害又は抑制する生体適合性基を意味する。かかる基はインビボ適用に特に重要であり、当業者に周知であり、好適には、ペプチドアミン末端に関してはN−アシル化基−NH(C=O)RG(式中、アシル基−(C=O)RGはC1-6アルキル、C3-10アリール及びポリエチレングリコール(PEG)構成ブロックから選択されるRGを有する。)から選択される。好適なPEG基については、リンカー基(L1)に関して上述した。好ましいPEG基は、式Bio1又はBio2(上記)のバイオモディファイアーである。好ましいアミノ末端MIG基はアセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり、最も好ましくはアセチルである。
ペプチドカルボキシル末端に適した代謝阻害基には、カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール及びポリエチレングリコール(PEG)構成ブロックがある。BTMペプチドのカルボキシ末端アミノ酸残基に適したMIG基は、アミノ酸残基の末端アミンをC1-4アルキル基(好ましくはメチル基)でN−アルキル化したものである。好ましいMIG基はカルボキサミド又はPEGであり、最も好ましい基はカルボキサミドである。
好ましいBTMペプチドは、RGDペプチド又はc−Metターゲティングペプチドである。かかるRDGペプチドとして最も好ましいのは、BTMが次の式(BTM1)のものである。
式BTM1において、aは好ましくは1である。
好ましい官能化生体ターゲティング分子は次の式IIIAのものである。
Z1−[cMBP]−Z2 (V)
式中、
cMBPは、次の式IIのものであり、
−(A)j−Q−(A’)k (II)
Qは、アミノ酸配列(配列番号1):−Cysa−X1a−Cysc−X2−Gly−Pro−Pro−X3−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−X4−X5−X6−であり、
(式中、X1aはAsn、His又はTyrであり、X2はGly、Ser、Thr又はAsnであり、X3はThr又はArgであり、X4はAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、X5はSer又はThrであり、X6はAsp又はGluであり、Cysa-dの各々はシステイン残基であって、残基a及びb並びに残基c及びdは環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している。)
A及びA’は、A及びA’の少なくとも一方が存在してLysであることを条件として、独立にCys以外のアミノ酸であり、
j及びkは独立に0〜13の整数であって、[j+k]=1〜13となるように選択され、
Z1はcMBPのN末端に結合していて、H又はMIGであり、
Z2はcMBPのC末端に結合していて、OH、OBc又はMIGであり、
Bcは生体適合性陽イオンであり、
各MIGは独立にcMBPペプチドのインビボ代謝を阻害又は抑制する生体適合性基である代謝阻害基であり、
cMBPは、A又はA’基のLys残基で18F標識される。
式中、
cMBPは、次の式IIのものであり、
−(A)j−Q−(A’)k (II)
Qは、アミノ酸配列(配列番号1):−Cysa−X1a−Cysc−X2−Gly−Pro−Pro−X3−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−X4−X5−X6−であり、
(式中、X1aはAsn、His又はTyrであり、X2はGly、Ser、Thr又はAsnであり、X3はThr又はArgであり、X4はAla、Asp、Glu、Gly又はSerであり、X5はSer又はThrであり、X6はAsp又はGluであり、Cysa-dの各々はシステイン残基であって、残基a及びb並びに残基c及びdは環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している。)
A及びA’は、A及びA’の少なくとも一方が存在してLysであることを条件として、独立にCys以外のアミノ酸であり、
j及びkは独立に0〜13の整数であって、[j+k]=1〜13となるように選択され、
Z1はcMBPのN末端に結合していて、H又はMIGであり、
Z2はcMBPのC末端に結合していて、OH、OBc又はMIGであり、
Bcは生体適合性陽イオンであり、
各MIGは独立にcMBPペプチドのインビボ代謝を阻害又は抑制する生体適合性基である代謝阻害基であり、
cMBPは、A又はA’基のLys残基で18F標識される。
さらに好ましくは、cMBPペプチドは次の式VAのものである。
−(A)j−Q−(A’)z−Lys− (VA)
式中、zは0〜12の整数であって、[j+z]=0〜12であり、cMBPはLys残基を1個しか含まない。
式中、zは0〜12の整数であって、[j+z]=0〜12であり、cMBPはLys残基を1個しか含まない。
式VI及びVIAにおいて、Qは好ましくは以下の配列番号2又は配列番号3のアミノ酸配列を含む。
Ser−Cysa−X1a−Cysc−X2−Gly−Pro−Pro−X3−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−X4−X5−X6(配列番号2)、
Ala−Gly−Ser−Cysa−X1a−Cysc−X2−Gly−Pro−Pro−X3−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−X4−X5−X6−Gly−Thr(配列番号3)。
Ser−Cysa−X1a−Cysc−X2−Gly−Pro−Pro−X3−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−X4−X5−X6(配列番号2)、
Ala−Gly−Ser−Cysa−X1a−Cysc−X2−Gly−Pro−Pro−X3−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−X4−X5−X6−Gly−Thr(配列番号3)。
式V及びVAにおいて、X3は好ましくはArgである。
cMBPぺプチドは、最も好ましくは、以下のアミノ酸配列(配列番号7)を有する。
Ala−Gly−Ser−Cysa−Tyr−Cysc−Ser−Gly−Pro−Pro−Arg−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−Glu−Thr−Glu−Gly−Thr−Gly−Gly−Gly−Lys。
Ala−Gly−Ser−Cysa−Tyr−Cysc−Ser−Gly−Pro−Pro−Arg−Phe−Glu−Cysd−Trp−Cysb−Tyr−Glu−Thr−Glu−Gly−Thr−Gly−Gly−Gly−Lys。
第2の態様の方法は、好ましくは、第1の態様(上記)で説明した通り、自動合成装置を用いて実施される。自動合成及び自動合成装置の好ましい態様は、第1の態様(上記)で説明した通りである。
第2の態様の方法は、好ましくは、18F−放射性標識生体ターゲティング分子が放射性医薬組成物として得られるように、無菌的に実施される。放射性医薬組成物は、18F−放射性標識生体ターゲティング分子を「生体適合性担体」(第1の態様で定義)と共に含んでいる。第2の態様における放射性医薬組成物及び生体適合性担体の好ましい態様は、第1の態様(上記)で説明した通りである。
放射性医薬組成物が式(IVA)の18F−フルシクラチドを含んでいる場合、組成物は好ましくは放射線防護剤を含む。好ましくは、放射線防護剤は、4−アミノ安息香酸ナトリウム(Na−pABA)である。使用されるNa−pABAの好ましい濃度は、1〜3mg/mL、好ましくは1.5〜2.5mg/mL、最も好ましくは約2.0mg/mLである。
第2の態様の方法は、好ましくは、放射性医薬組成物が得られるように、無菌的に実施される。本発明の放射性医薬組成物は、以下の様々な方法で調製することができる。
(i)18F−放射性標識段階がクリーンルーム環境内で実施される、無菌製造技術、
(ii)18F−放射性標識が無菌製造を用いずに実施され、その後、最終段階で滅菌(例えば、ガンマ線照射、オートクレーブ、乾熱又は化学的処理(例えばエチレンオキシド)によって)される最終滅菌、
(iii)好適な前駆体と適宜賦形剤とを含む無菌の非放射性キット製剤を好適な18F源と反応させるキット法、
(iv)18F−放射性標識段階が自動合成装置を用いて実施される無菌製造技術。
(i)18F−放射性標識段階がクリーンルーム環境内で実施される、無菌製造技術、
(ii)18F−放射性標識が無菌製造を用いずに実施され、その後、最終段階で滅菌(例えば、ガンマ線照射、オートクレーブ、乾熱又は化学的処理(例えばエチレンオキシド)によって)される最終滅菌、
(iii)好適な前駆体と適宜賦形剤とを含む無菌の非放射性キット製剤を好適な18F源と反応させるキット法、
(iv)18F−放射性標識段階が自動合成装置を用いて実施される無菌製造技術。
方法(iv)が好ましい。従って、第2の態様の方法は、好ましくは自動合成装置を用いて実施される。
「自動合成装置」という用語は、Satyamurthy et al[Clin.Positr.Imag.,2(5),233−253(1999)]に記載されているような単位操作の原理に基づく自動化モジュールを意味する。「単位操作」という用語は、複雑なプロセスが一連の簡単な操作又は反応に集約されることを意味し、広範な材料に適用できる。かかる自動合成装置は、本発明の方法、特に放射性医薬品生成物が所望される場合の本発明の方法に好ましい。これらは、GE Healthcare社、CTI社.、Ion Beam Applications社(ベルギー国、B−1348ルヴァン・ラ・ヌーブ、シュマン・デュ・シクロトロン3)、Raytest社(ドイツ)及びBioscan社(米国)を始めとする様々な供給業者から市販されている。
市販の自動合成装置は、放射性医薬品の製造の結果生じる液体放射性廃棄物用の適当な容器も提供する。自動合成装置は、適切に設計された放射能作業セル内で使用するように設計されているので、通例、放射線遮蔽が設けられていない。放射能作業セルは、潜在的な放射線量からオペレーターを保護するのに適した放射線遮蔽をもたらすとともに、化学薬品蒸気及び/又は放射性蒸気を除去するための換気装置を与える。自動合成装置は、好ましくはカセットを備える。「カセット」という用語は、合成装置の可動部材の機械的運動がカセットの外側から(即ち、外部から)カセットの動作を制御するように、自動合成装置(以下に定義する)に着脱自在かつ交換可能に装着できるように設計された装置を意味する。好適なカセットは直線状に並んだ弁の列を含み、その各々は倒立セプタムシールバイアルの針穿刺又は気密連結継手によって試薬又はバイアルを装着することができるポートに結合している。各弁は、自動合成装置の対応する可動アームとかみ合うはめ込み型継手を有している。カセットを自動合成装置に装着した場合、アームの外部回転が弁の開閉を制御する。自動合成装置の追加の可動部材は、注射器のプランジャー先端をつかみ、注射器外筒を上昇又は降下させるように設計されている。
カセットは汎用性であり、通例は試薬を装着することができる複数の位置、及び試薬のシリンジバイアル又はクロマトグラフィー用カートリッジ(例えば固相抽出(SPE))の装着に適した複数の位置を有している。カセットは常に反応容器を含んでいる。かかる反応容器は好ましくは1〜10mL、さらに好ましくは0.5〜5mL、最も好ましくは0.5〜4mLの容積を有しており、カセットの様々なポートから試薬又は溶媒を移送できるように、カセットの3以上のポートが反応容器に連結されるように構成されている。好ましくは、カセットは直線状に並んだ15〜40個の弁、最も好ましくは20〜30個の弁を有しており、25個の弁が特に好ましい。カセットの弁は好ましくは各々同一であり、最も好ましくは三方弁である。カセットは放射性医薬品の製造に適するように設計され、医薬グレードの材料であって理想的には放射線分解にも耐える材料で製造される。
本発明の好ましい自動合成装置は、放射性フッ素化された放射性医薬品の所定バッチの製造を実施するのに必要なすべての試薬、反応容器及び機器を含むディスポーザブルつまり使い捨てカセットを備えている。かかるカセットは、単にカセットを交換するだけで、相互汚染のリスクを最小限に抑えながら各種の放射性ヨウ素標識放射性医薬品を製造できる融通性を自動合成装置が有することを意味する。カセットアプローチには、装置構成の単純化とそれに伴うオペレーターエラーのリスクの低減、GMP(Good Manufacturing Practice)コンプライアンスの向上、マルチトレーサー能力、生産作業間の迅速な変更、カセット及び試薬の作業前自動診断検査、実施すべき合成と化学試薬との自動バーコードクロスチェック、試薬のトレーサビリティ、使い捨てであり、そのため相互汚染のリスクがなく、改竄及び誤用を防ぐことができるという利点がある。
第3の態様では、本発明は、第1の態様で定義した式(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)又は(IID)の18F標識シアン化ビニルを提供する。第3の態様の18F標識シアン化ビニルは、好ましくは式IIA又はIIDの18F標識シアン化ビニル、さらに好ましくは式IIBの18F標識シアン化ビニル、最も好ましくは式IICの18F標識シアン化ビニルである。
第3の態様の18F標識シアン化ビニルは、塩基性条件下、50〜80℃の温度のアセトニトリル中でのアルデヒドの縮合によって得ることができる。
第4の態様では、本発明は、放射性医薬組成物であって、
(i)以下の式IVの18F−放射性標識生体ターゲティング分子と、
(ii)以下の式(II)の18F標識シアン化ビニルと
を、生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含んでいて、IV:IIのモル比が10:1以上である、放射性医薬組成物を提供する。
(i)以下の式IVの18F−放射性標識生体ターゲティング分子と、
(ii)以下の式(II)の18F標識シアン化ビニルと
を、生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含んでいて、IV:IIのモル比が10:1以上である、放射性医薬組成物を提供する。
第3の態様におけるX1の好ましい実施形態は、第1の態様(上記)で定義した通りである。第3の態様におけるBTMの好ましい実施形態は、第2の態様(上記)で定義した通りである。
第4の態様における「生体適合性担体」及びその好ましい実施形態は、第1の態様で定義した通りである。この第4の態様では、生体適合性担体は、適宜アセトニトリルを含んでいてもよい。
アミノオキシ官能化ペプチドは、Poethko et al[J.Nucl.Med.,45,892−902(2004)],Schirrmacher et al[Bioconj.Chem.,18,2085−2089(2007)],Solbakken et al[Bioorg.Med.Chem.Lett,16,6190−6193(2006)]又はGlaser et al[Bioconj.Chem.,19,951−957(2008)]の方法によって調製することができる。アミノオキシ基は、適宜2段階で結合させることができる。まず、対応するN−保護アミノオキシカルボン酸又はN−保護アミノオキシ活性化エステルをペプチドに結合させる。次に、中間体のN−保護アミノオキシ官能化ペプチドを脱保護して目的生成物を得る(上掲のSolbakken及びGlaser参照)。Boc−NH−O−CH2(C=O)OH及びEei−N−O−CH2(C=O)OHのようなN−保護アミノオキシカルボン酸は、例えばNovabiochem社及びIRIS社から市販されている。
「保護」とは保護基の使用をいう。「保護基」という用語は、その通常の意味を有し、望ましくない化学反応を阻止又は抑制するが、分子の残部を変質させない程度に温和な条件下で問題の官能基から脱離させるのに十分な反応性をもつように設計された基を意味する。脱保護後には所望の生成物が得られる。アミン保護基は当業者に周知であり、好適にはBoc(Bocはtert−ブチルオキシカルボニルである。)、Eei(Eeiはエトキシエチリデンである。)、Fmoc(Fmocはフルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[すなわち1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]又はNpys(すなわち3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)から選択される。その他の保護基の使用については、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(John Wiley & Sons,1991)に記載されている。好ましいアミン保護基は、Boc及びEeiであり、最も好ましくはEeiである。
[18F]−フルオロベンズアルデヒドの前駆体、すなわちMe3N+−C6H4−CHO.CF3SO3 -は、Haka et al[J.Lab.Comp.Radiopharm.,27,823−833(1989)]の方法で得られる。
18F−アルデヒド[18F]−FBPAは、Carberry et al[Bioconj.Chem.,22、642−653(2011)及びBioorg.Med.Chem.Lett.,21,6992−6995(2011)]の方法で調製することができる。
第5の態様では、本発明は、ヒト又は動物の身体のイメージング方法であって、第4の態様の放射性医薬組成物が分布した身体の少なくとも一部分のPET画像を生成することを含む。
第5の態様における放射性医薬組成物及び18F標識BTMの好ましい態様は、それぞれ、本発明の第4及び第2の態様(上記)で説明した通りである。
BTMがインテグリンαvβ3受容体をターゲティングする場合、第5の態様の方法は、好ましくは、身体の一部分が、インテグリンαvβ3受容体の異常発現、特に血管新生が関与する病態である場合に実施される。かかる病態として、関節リウマチ、乾癬、再狭窄、網膜症及び腫瘍増殖が挙げられる。第5の態様のかかる病態として好ましいのは腫瘍増殖である。インテグリンαvβ3発現の陽電子放射断層撮影(PET)イメージングは、Beer et al[Theranostics,1,48−57(2011)]に記載されている。
第5の態様のイメージング方法は、適宜、薬剤によるヒト又は動物の身体の治療効果をモニタリングするために繰り返し実施され、イメージングは、薬剤による治療の前後、及び任意には薬剤による治療中に実施される。特に注目されるのは、病態が末期になる前に悪性増殖を制御できるようにするための抗血管新生癌治療の効力の早期モニタリングである。かかる治療モニタリング用のイメージングは、Battle et al[J.Nucl.Med.,52(3),424−430(2011)]及びMorrison et al[J.Nucl.Med.,50(1),116−122(2009)及びTheranostics,1,149−153(2011)]に記載されている。
第5の態様の方法は、好ましくは、放射性医薬組成物が哺乳類の身体に予め投与されている場合に実施される。「予め投与されている」とは、臨床医が関与して、イメージング剤が患者に(例えば静脈注射として)投与される段階が、イメージングに先だって既に実施されていることを意味する。
第6の態様では、本発明は、第5の態様のイメージング方法を含む、ヒト又は動物の身体の診断方法を提供する。
第6の態様における放射性医薬組成物及び18F−BTMの好ましい態様は、第4及び第2の態様(上記)で定義した通りである。
本発明を、以下の非限定的な実施例で例証する。実施例1は、本発明の前駆体1の合成を示す。実施例2は、[18]F−FBAの合成を示し、実施例3は、本発明の組成物を得るための[18F]−FBAの精製を示す。実施例4は、本発明の精製[18F]−FBA組成物を用いた本発明の化合物1の合成を示す。実施例5は、非放射性ベンズアルデヒド誘導体との反応並びにそれらの特性決定に関する、穏和な条件下でのシアノビニル種の形成の実験的証拠を示す。実施例6は、[18F]−FBAが、シアノビニル種に類似したアセトニトリルと容易に反応することを示す。
略語
アミノ酸の慣用三文字略語又は一文字略語を用いる。
Ac:アセチル。
ACN:アセトニトリル。
BTM:生体ターゲティング部分。
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル。
DMAB:4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド。
DMSO:ジメチルスルホキシド。
EOS:合成の終了。
FBA:4−フルオロベンズアルデヒド。
Fmoc:9−フルオレニルメトキシカルボニル。
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
LC−UV:紫外検出を含む液体クロマトグラフィー。
MCX ミックスモードの陽イオン交換カートリッジ
NMM:N−メチルモルホリン(methymorpholine)。
NMP:1−メチル−2−ピロリジノン。
PBS:リン酸緩衝生理食塩水。
PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート。
RAC:放射能濃度。
RCP:放射化学純度。
RT:室温。
SPE:固相抽出。
tBu:tert−ブチル。
TFA:トリフルオロ酢酸。
TFP:テトラフルオロフェニル。
TMAB:4−(トリメチルアンモニウム)ベンズアルデヒド。
TR:保持時間。
アミノ酸の慣用三文字略語又は一文字略語を用いる。
Ac:アセチル。
ACN:アセトニトリル。
BTM:生体ターゲティング部分。
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル。
DMAB:4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド。
DMSO:ジメチルスルホキシド。
EOS:合成の終了。
FBA:4−フルオロベンズアルデヒド。
Fmoc:9−フルオレニルメトキシカルボニル。
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
LC−UV:紫外検出を含む液体クロマトグラフィー。
MCX ミックスモードの陽イオン交換カートリッジ
NMM:N−メチルモルホリン(methymorpholine)。
NMP:1−メチル−2−ピロリジノン。
PBS:リン酸緩衝生理食塩水。
PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート。
RAC:放射能濃度。
RCP:放射化学純度。
RT:室温。
SPE:固相抽出。
tBu:tert−ブチル。
TFA:トリフルオロ酢酸。
TFP:テトラフルオロフェニル。
TMAB:4−(トリメチルアンモニウム)ベンズアルデヒド。
TR:保持時間。
標準的なペプチド合成法を用いてペプチド1を合成した。
(a)1,17−ジアジド−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン
無水THF(125mL)中の無水ヘキサエチレングリコール(25g、88mmol)及びメタンスルホニルクロライド(22.3g、195mmol)の溶液を、アルゴン下で保持し、氷/水浴中で0℃に冷却した。無水THF(25mL)中のトリエチルアミン(19.7g、195mmol)の溶液を45分間滴下した。1時間後、冷却浴を除去し、反応混合物をさらに4時間撹拌した。次に、水(55mL)と、次いで炭酸水素ナトリウム(5.3g、pH8まで)及びアジ化ナトリウム(12.7g、195mmol)を混合物に添加した。THFを蒸留によって除去し、水溶液を24時間還流した(2層が形成された)。混合物を冷却し、エーテル(100mL)を添加し、水相を塩化ナトリウムで飽和させた。相を分離し、水相をエーテルで抽出した(4×50mL)。有機相を一緒にしてブラインで洗浄し(2×50mL)、乾燥させた(MgSO4)。溶媒の濾過及び蒸発により、黄色の油状物26gを得た(89%)。生成物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
無水THF(125mL)中の無水ヘキサエチレングリコール(25g、88mmol)及びメタンスルホニルクロライド(22.3g、195mmol)の溶液を、アルゴン下で保持し、氷/水浴中で0℃に冷却した。無水THF(25mL)中のトリエチルアミン(19.7g、195mmol)の溶液を45分間滴下した。1時間後、冷却浴を除去し、反応混合物をさらに4時間撹拌した。次に、水(55mL)と、次いで炭酸水素ナトリウム(5.3g、pH8まで)及びアジ化ナトリウム(12.7g、195mmol)を混合物に添加した。THFを蒸留によって除去し、水溶液を24時間還流した(2層が形成された)。混合物を冷却し、エーテル(100mL)を添加し、水相を塩化ナトリウムで飽和させた。相を分離し、水相をエーテルで抽出した(4×50mL)。有機相を一緒にしてブラインで洗浄し(2×50mL)、乾燥させた(MgSO4)。溶媒の濾過及び蒸発により、黄色の油状物26gを得た(89%)。生成物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
(b)17−アジド−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカンアミン
5%HCl(200mL)中の1,17−ジアジド−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン(25g、75mmol)の激しく撹拌した懸濁液に、エーテル(150mL)中のトリフェニルホスフィン(19.2g、73mmol)の溶液を室温で3時間かけて添加した。反応混合物をさらに24時間撹拌した。相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した(3×40mL)。水相を氷/水浴中で冷却し、固体水酸化カリウムの添加によってpHを12に調節した。水相を濃縮し、生成物をジクロロメタンで抽出した(150mL)。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して黄色の油状物22gを得た(95%)。生成物をエレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)で同定した(MH+計算値:307.19;実測値307.4)。この粗製油状物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
5%HCl(200mL)中の1,17−ジアジド−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカン(25g、75mmol)の激しく撹拌した懸濁液に、エーテル(150mL)中のトリフェニルホスフィン(19.2g、73mmol)の溶液を室温で3時間かけて添加した。反応混合物をさらに24時間撹拌した。相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した(3×40mL)。水相を氷/水浴中で冷却し、固体水酸化カリウムの添加によってpHを12に調節した。水相を濃縮し、生成物をジクロロメタンで抽出した(150mL)。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して黄色の油状物22gを得た(95%)。生成物をエレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)で同定した(MH+計算値:307.19;実測値307.4)。この粗製油状物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
(c)23−アジド−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15,18,21−ヘキサオキサトリコサン酸
ジクロロメタン(100mL)中の17−アジド−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカンアミン(15g、50mmol)の溶液に、ジグリコール酸無水物(Acros、6.4g、55mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。反応をESI−MS分析でモニターし、反応を完結に導くためさらに多量の試薬を添加した。溶液を濃縮して黄色残渣を得、それを水(250mL)に溶解した。ジクロロメタンで一晩連続して抽出することによって、生成物を水相から単離した。溶媒を乾燥及び蒸発させて、18gの収率(85%)を得た。生成物をESI−MS分析で同定した(MH+計算値:423.20;実測値423.4)。この生成物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
ジクロロメタン(100mL)中の17−アジド−3,6,9,12,15−ペンタオキサヘプタデカンアミン(15g、50mmol)の溶液に、ジグリコール酸無水物(Acros、6.4g、55mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した。反応をESI−MS分析でモニターし、反応を完結に導くためさらに多量の試薬を添加した。溶液を濃縮して黄色残渣を得、それを水(250mL)に溶解した。ジクロロメタンで一晩連続して抽出することによって、生成物を水相から単離した。溶媒を乾燥及び蒸発させて、18gの収率(85%)を得た。生成物をESI−MS分析で同定した(MH+計算値:423.20;実測値423.4)。この生成物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
(d)23−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15,18,21−ヘキサオキサトリコサン酸
23−アジド−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15,18,21−ヘキサオキサトリコサン酸(9.0g、21mmol)を、水(50mL)に溶解し、H2(g)−Pd/C(10%)を用いて還元した。ESI−MS分析で目的生成物に完全に変換されたことが認められるまで反応を実施した(MH+計算値:397.2;実測値397.6)。この粗生成物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
23−アジド−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15,18,21−ヘキサオキサトリコサン酸(9.0g、21mmol)を、水(50mL)に溶解し、H2(g)−Pd/C(10%)を用いて還元した。ESI−MS分析で目的生成物に完全に変換されたことが認められるまで反応を実施した(MH+計算値:397.2;実測値397.6)。この粗生成物は、それ以上精製せずに次の段階で使用した。
(e)(Boc−アミノオキシ)アセチル−PEG(6)−ジグリコール酸
ジオキサン(2.5mL)中のジシクロヘキシカルボジイミド(515mg、2.50mmol)の溶液を、ジオキサン(2.5mL)中の(Boc−アミノオキシ)酢酸(477mg、2.50mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(287mg、2.50mmol)の溶液に滴下した。反応を室温で1時間撹拌し、濾過した。水(5mL)中の23−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15,18,21−ヘキサオキサトリコサン酸(1.0g、2.5mmol)及びNMM(278μl、2.50mmol)の溶液を含有する反応器に濾液を移した。混合物を室温で30分間撹拌した。ESI−MS分析で、目的生成物への完全な変換が認められた(MH+計算値:570.28;実測値570.6)。この粗生成物を分取HPLC(カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250×21.20mm、検出:214nm、勾配:60分間で0〜50%のB(A=H2O/0.1% TFA及びB=アセトニトリル/0.1% TFA)、流量:10mL/分)で精製して、500mg(38%)の純粋な生成物を得た。生成物をHPLCで分析した(カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)、50×2.00mm、検出:214nm、勾配:10分間で0〜50%のB(ここで、A=H2O/0.1% TFA及びB=アセトニトリル/0.1% TFA)、流量:0.75mL/分、Rt=5.52分)。NMR分析でさらに確認した。
ジオキサン(2.5mL)中のジシクロヘキシカルボジイミド(515mg、2.50mmol)の溶液を、ジオキサン(2.5mL)中の(Boc−アミノオキシ)酢酸(477mg、2.50mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(287mg、2.50mmol)の溶液に滴下した。反応を室温で1時間撹拌し、濾過した。水(5mL)中の23−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15,18,21−ヘキサオキサトリコサン酸(1.0g、2.5mmol)及びNMM(278μl、2.50mmol)の溶液を含有する反応器に濾液を移した。混合物を室温で30分間撹拌した。ESI−MS分析で、目的生成物への完全な変換が認められた(MH+計算値:570.28;実測値570.6)。この粗生成物を分取HPLC(カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250×21.20mm、検出:214nm、勾配:60分間で0〜50%のB(A=H2O/0.1% TFA及びB=アセトニトリル/0.1% TFA)、流量:10mL/分)で精製して、500mg(38%)の純粋な生成物を得た。生成物をHPLCで分析した(カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)、50×2.00mm、検出:214nm、勾配:10分間で0〜50%のB(ここで、A=H2O/0.1% TFA及びB=アセトニトリル/0.1% TFA)、流量:0.75mL/分、Rt=5.52分)。NMR分析でさらに確認した。
(f)(Boc−アミノオキシ)アセチル−PEG(6)−ジグリコール酸とペプチド1との結合
(Boc−アミノオキシ)アセチル−PEG(6)−ジグリコール酸(0.15mmol、85mg)及びPyAOP(0.13mmol、68mg)をDMF(2mL)に溶解した。NMM(0.20mmol、20μL)を添加し、混合物を10分間撹拌した。DMF(4mL)中のペプチド1(0.100mmol、126mg)及びNMM(0.20mmol、20μL)の溶液を添加し、反応混合物を25分間撹拌した。追加のNMM(0.20mmol、20μL)を添加し、混合物をさらに15分間撹拌した。DMFを真空蒸発させ、生成物を10%アセトニトリル−水に溶解し、分取HPLC(カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250×21.20mm、検出:UV214nm、勾配:40分間で5〜50%のB(A=H2O/0.1% TFA及びB=アセトニトリル/0.1% TFA)、流量:10mL/分)で精製して、100mgの半純粋な生成物を得た。TFAをHCOOHで置き換える2度目の精製段階(勾配:0〜30%のB、それ以外は上記と同じ条件)によって、89mg(50%)を得た。生成物をHPLCで分析した(カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)50×2mm、検出:UV214nm、勾配:10分間で0〜30%のB(ここで、A=H2O/0.1% HCOOH及びB=アセトニトリル/0.1% HCOOH)、流量:0.3mL/分、Rt:10.21分)。ESI−MSを用いてさらに生成物の同定を行った(MH22+計算値:905.4、実測値:906.0)。
(Boc−アミノオキシ)アセチル−PEG(6)−ジグリコール酸(0.15mmol、85mg)及びPyAOP(0.13mmol、68mg)をDMF(2mL)に溶解した。NMM(0.20mmol、20μL)を添加し、混合物を10分間撹拌した。DMF(4mL)中のペプチド1(0.100mmol、126mg)及びNMM(0.20mmol、20μL)の溶液を添加し、反応混合物を25分間撹拌した。追加のNMM(0.20mmol、20μL)を添加し、混合物をさらに15分間撹拌した。DMFを真空蒸発させ、生成物を10%アセトニトリル−水に溶解し、分取HPLC(カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250×21.20mm、検出:UV214nm、勾配:40分間で5〜50%のB(A=H2O/0.1% TFA及びB=アセトニトリル/0.1% TFA)、流量:10mL/分)で精製して、100mgの半純粋な生成物を得た。TFAをHCOOHで置き換える2度目の精製段階(勾配:0〜30%のB、それ以外は上記と同じ条件)によって、89mg(50%)を得た。生成物をHPLCで分析した(カラム:Phenomenex Luna 3μ C18(2)50×2mm、検出:UV214nm、勾配:10分間で0〜30%のB(ここで、A=H2O/0.1% HCOOH及びB=アセトニトリル/0.1% HCOOH)、流量:0.3mL/分、Rt:10.21分)。ESI−MSを用いてさらに生成物の同定を行った(MH22+計算値:905.4、実測値:906.0)。
(g)脱保護
5%水を含有するTFAを10mgのペプチドに添加することによって脱保護を実施した。
5%水を含有するTFAを10mgのペプチドに添加することによって脱保護を実施した。
実施例2: 18 F−ベンズアルデヒド( 18 F−FBA)の放射合成
[18F]−フッ化物を、GEMS PETtraceサイクロトロンを用いて、[18O](p,n)[18F]核反応を介した銀標的(silver target)によって生産した。1.5〜3.5mLの総標的容量を用いた。放射性フッ化物を、Waters QMAカートリッジ(炭酸塩でプレコンディショニングしたもの)でトラップし、フッ化物を、Kryptofix2.2.2(4mg、10.7μM)及び炭酸カリウム(0.56mg、4.1μM)の水(80μL)及びアセトニトリル(320μL)溶液で溶出した。窒素を用いて、溶液をQMAカートリッジから反応容器へ追い出した[18F]−フッ化物を一定の窒素気流及び真空下、120℃で9分間乾燥させた。DMSO(1.1mL)中のトリメチルアンモニウムベンズアルデヒドトリフレート[Haka et al,J.Lab.Comp.Radiopharm.,27,823−833(1989)](3.3mg、10.5μM)を乾燥[18F]−フッ化物に添加し、混合物を105℃で7分間加熱して4−[18F]−フルオロベンズアルデヒドを生成した。
[18F]−フッ化物を、GEMS PETtraceサイクロトロンを用いて、[18O](p,n)[18F]核反応を介した銀標的(silver target)によって生産した。1.5〜3.5mLの総標的容量を用いた。放射性フッ化物を、Waters QMAカートリッジ(炭酸塩でプレコンディショニングしたもの)でトラップし、フッ化物を、Kryptofix2.2.2(4mg、10.7μM)及び炭酸カリウム(0.56mg、4.1μM)の水(80μL)及びアセトニトリル(320μL)溶液で溶出した。窒素を用いて、溶液をQMAカートリッジから反応容器へ追い出した[18F]−フッ化物を一定の窒素気流及び真空下、120℃で9分間乾燥させた。DMSO(1.1mL)中のトリメチルアンモニウムベンズアルデヒドトリフレート[Haka et al,J.Lab.Comp.Radiopharm.,27,823−833(1989)](3.3mg、10.5μM)を乾燥[18F]−フッ化物に添加し、混合物を105℃で7分間加熱して4−[18F]−フルオロベンズアルデヒドを生成した。
実施例3: 18 F−フルオロベンズアルデヒド( 18 F−FBA)の精製
実施例2で得られた粗標識混合物を水酸化アンモニウム溶液で希釈し、(FASTlabシーケエンスの一部として水でプレコンディショニングした)MCX+SPEカートリッジにロードした。カートリッジを水で洗浄し、窒素ガスで乾燥させてから、4−[18F]−フルオロベンズアルデヒドを溶出して反応容器中のエタノール(1.8mL)に戻した。合計で2.2mLの体積のエタノールを溶出に使用したが、最初の部分(0.4mL)は[18F]−FBAを含んでいなかったので廃棄した。4〜7%(崩壊補正値)の[18F]放射能がカートリッジにトラップされたままであった。
実施例2で得られた粗標識混合物を水酸化アンモニウム溶液で希釈し、(FASTlabシーケエンスの一部として水でプレコンディショニングした)MCX+SPEカートリッジにロードした。カートリッジを水で洗浄し、窒素ガスで乾燥させてから、4−[18F]−フルオロベンズアルデヒドを溶出して反応容器中のエタノール(1.8mL)に戻した。合計で2.2mLの体積のエタノールを溶出に使用したが、最初の部分(0.4mL)は[18F]−FBAを含んでいなかったので廃棄した。4〜7%(崩壊補正値)の[18F]放射能がカートリッジにトラップされたままであった。
[18F]−FBA標識段階の温度及び時間は、FBA収率を損なうシアノビニル種の生成が最小限となるように選択した。アセトニトリルを除去するための[18F]−フッ化物乾燥段階を最適化する結果として、シアノビニル種形成も最小化された。
実施例4:[ 18 F]−フルシクラチド(化合物1)の調製
[18F]−FBAと前駆体1(5mg)との結合は、塩酸アニリンの存在下、エタノール(1.8mL)及び水(1.8mL)の溶液中で実施した。反応混合物は60℃で5分間維持した。
[18F]−FBAと前駆体1(5mg)との結合は、塩酸アニリンの存在下、エタノール(1.8mL)及び水(1.8mL)の溶液中で実施した。反応混合物は60℃で5分間維持した。
実施例5:4−(トリメチルアンモニウム)ベンズアルデヒド(TMAB)とアセトニトリル)の反応
2つの実験を行った。
(A)TMABを、DMSO中、CH3CN、K2CO3及びKryptofix222と混合した;
(B)TMABを、DMSO中、CD3CN、K2CO3及びKryptofix222と混合した。過剰の19F−FBAも添加した。
2つの実験を行った。
(A)TMABを、DMSO中、CH3CN、K2CO3及びKryptofix222と混合した;
(B)TMABを、DMSO中、CD3CN、K2CO3及びKryptofix222と混合した。過剰の19F−FBAも添加した。
実験A及びBからの反応生成物をLC−UV/MSを用いて分析した。(A)クロマトグラム中の未知のピークをMSによって分析すると、m/z187.1にベースピークを有することが示された。(B)クロマトグラム中の対応するピークは、MSで分析して、m/z188.1にベースピークを有した。それは(CD3CN反応に関して)示される反応に一致する。
19F−FBAを使用した。FBAを、DMSO中、CH3CN、K2CO3及びKryptofix222と混合した。FBAはMS応答がほとんど又は全くなかったので、実施例5のに対応するデータは実現できなかった。しかし、LC−UVは、FBAがサンプルに残っていないこと、及び新しい主要ピークがFBAよりも後の溶出時間で生じたことを示した。
実施例5のシアノビニル付加物は、TMABと比較してより高い波長への約26nmのλmaxのシフトを示した。同様のシフトが、後に溶出する反応生成物についてここで観察され、そのため、それもシアノビニル種によるものだとされた。
Claims (23)
- 以下の式(I)の18F標識アルデヒド及び式(II)の18F標識シアン化ビニルを含む18F標識アルデヒド組成物であって、
(i)I:IIのモル比が10:1以上であり、
(ii)組成物からアセトニトリルが除外されている、
18F標識アルデヒド組成物。
- 18F標識アルデヒドが以下の式(IA)の18F標識アルデヒドであり、18F標識シアン化ビニルが式(IIA)の18F標識シアン化ビニルである、請求項1記載の18F標識アルデヒド組成物。
Yは独立にC又はNであり、
L1及びL2は独立に−(CH2)x−、−O−(CH2)y−又は−(OCH2CH2)y−から選択されるリンカー基であり、
xは独立に0〜3の整数であり、
yは独立に2〜4の整数である。 - 18F標識アルデヒドが以下の式(IB)の18F標識アルデヒドであり、18F標識シアン化ビニルが以下の式(IIB)の18F標識シアン化ビニルである、請求項2記載の18F標識アルデヒド組成物
L3は−(CH2)x−又は−O−(CH2)y−であり、x及びyは、請求項2で定義した通りである。 - 18F標識アルデヒドが以下の式(IC)の18F標識アルデヒドであり、18F標識シアン化ビニルが以下の式(IIC)の18F標識シアン化ビニルである、請求項3記載の18F標識アルデヒド組成物。
- 18F標識アルデヒドが以下の式(ID))の18F標識アルデヒドであり、18F標識シアン化ビニルが以下の式(IID)の18F標識シアン化ビニルである、請求項2記載の18F標識アルデヒド組成物。
- 水混和性有機溶媒又はその水性混液中で提供される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の18F標識アルデヒド組成物。
- 18F標識アルデヒド組成物を生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含む放射性医薬組成物である、請求項6記載の18F標識アルデヒド組成物。
- 生体ターゲティング分子を18F−放射性標識する方法であって、
(i)請求項1記載の18F標識アルデヒド組成物を用意する段階と、
(ii)式IIIの官能化生体ターゲティング分子を用意する段階と、
Y1−[BTM] (III)
(式中、Y1は−NH2又は−O−NH2である。)
(iii)段階(i)の組成物と段階(ii)のY1−[BTM]を反応させて、以下に示す式IVの18F−放射性標識生体ターゲティング分子を得る段階と
を含む、方法。
- 18F標識アルデヒド組成物が、請求項2乃至請求項7のいずれか1項で定義した通りである、請求項8記載の方法。
- 請求項8又は請求項9記載の方法であって、BTMが、1個のアミノ酸、3〜100残基ペプチド、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又は受容体結合化合物を含む、方法。
- BTMがRGDペプチドを含む、請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
- 官能化生体ターゲティング分子が、次の式IIIAの官能化生体ターゲティング分子である、請求項11記載の方法。
- 18F−放射性標識生体ターゲティング分子が次の式(IVA)の18F−放射性標識生体ターゲティング分子である、請求項8乃至請求項12のいずれか1項記載の方法。
- 自動合成装置を用いて実施される、請求項8乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。
- 18F−放射性標識生体ターゲティング分子が放射性医薬組成物として得られるように無菌的に実施される、請求項14記載の方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項で定義した式(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)又は(IID)の18F標識シアン化ビニル。
- 放射性医薬組成物であって、
(i)以下の式IVの18F−放射性標識生体ターゲティング分子と、
(ii)以下の式(II)の18F標識シアン化ビニルと
を、生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含んでいて、IV:IIのモル比が10:1以上である、放射性医薬組成物。
- X1が請求項2乃至請求項5のいずれか1項で定義した通りである、請求項17記載の放射性医薬組成物。
- BTMが請求項10乃至請求項13のいずれか1項で定義した通りである、請求項17又は請求項18記載の放射性医薬組成物。
- ヒト又は動物の身体のイメージング方法であって、請求項17乃至請求項19のいずれか1項記載の放射性医薬組成物が分布した身体の少なくとも一部分のPET画像を生成することを含む方法。
- 薬剤によるヒト又は動物の身体の治療効果をモニタリングするために繰り返し実施される請求項20記載の方法であって、前記イメージングが、薬剤による治療の前後、及び任意には薬剤による治療中に実施される、方法。
- 組成物が身体に予め投与されている、請求項20又は請求項21記載の方法。
- ヒト又は動物の身体の診断方法であって、請求項20乃至請求項22のいずれか1項記載のイメージング方法を含む、方法。
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