JP2009517372A - 肺線維症に関連した肺疾患の治療におけるii型肺胞細胞の使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、線維芽細胞増殖阻害剤としてのII型肺胞細胞の使用に関し、該細胞は、肺線維症に関連した肺疾患の治療薬の製造に使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般に、肺線維症を呈する肺疾患の治療に関し、特に、該疾患の治療におけるII型肺胞細胞の使用に関する。
肺線維症を呈する肺疾患の中に、広汎性間質性肺疾患(DILD)があり、それは、類似した臨床的、放射線医学的および機能的呼吸症状を有する疾患の群から成り、それにおいて、主要な解剖病理学的変化が肺胞間質構造に影響を及ぼす。さらに、多くの場合、それらは小気道ならびに肺血管にも影響を及ぼす。この群の肺疾患は、肺胞およびその支持構造物(間質)の炎症および瘢痕を特徴とし、これは、機能的肺胞単位の損失、および空気から血液への酸素移動の減少を生じる。
DILDの病因は極めて多様である。現在、150以上の種々の原因が公知であるが、それらの約35%において原因物質を同定しうるに過ぎない。それらの分類は、American Thoracic Society(ATS)およびEuropean Respiratory Society(ERS)によってなされた合意後に、最近、変更された(表1参照)。DILDのいくつかの群が識別されている。第一群は、特発性間質性肺炎に対応するが、この群は、肉芽腫性肺疾患、例えばサルコイドーシスも包含する。第二群は、既知の原因による、または他の明確な臨床単位に関連したDILDであり;該群は、膠原病の肺症状(これは多くの場合、特発性間質性肺炎と区別できない組織構造を有する)、ならびに薬剤、有機ダスト(外因性アレルギー性肺胞炎)、無機ダスト(塵肺症)を原因とするDILD、および遺伝病に関連したDILDを包含する。第三群は、一連の疾患によって構成され、これは、特発性であるが、明確な症状および組織構造を有する。
(表1)
広汎性間質性肺疾患(DILD)の分類
特発性間質性肺炎
特発性肺線維症
急性間質性肺炎
非特異性間質性肺炎
間質性肺疾患を伴う呼吸気管支炎(呼吸気管支炎/DILD)
剥離性間質性肺炎
特発性器質化肺炎
リンパ球性間質性肺炎
サルコイドーシス 既知の原因または関連した原因による
膠原病に関連する
無機ダスト(塵肺症)を原因とする
薬剤および放射線治療によって誘発される
有機ダスト(外因性アレルギー性肺胞炎)を原因とする
遺伝病(ヘルマンスキー・パドラック症候群など)に関連する
原発性または他の明確でない過程に関連している
肺胞タンパク症
肺胞微石症
リンパ管平滑筋腫
肺好酸球増加症
ヒスチオサイトーシスX(ランゲルハンス細胞の肉芽腫症)
アミロイドーシス
最も多いDILDは、特発性肺線維症およびサルコイドーシスであり、その次に、外因性アレルギー性肺胞炎、および膠原病に関連したDILDである。
特発性肺線維症(IPF)は、最も多いDILDであり、肺に限定され、かつ通常の間質性肺炎の組織病理学的パターン(IPFの生検に関連した古典的パターン)に関連した、慢性間質性線維化肺疾患の形態を有する病理に関係している。IPFの推定罹患率は、男性において各100,000住人当たり20例(20/100,000)、女性において13/100,000である。この疾患は、どの年齢にも存在しうるが、40〜70才で最も多い。いったん病気が診断されると、致死率は5年後に50%である。発生率、罹患率および死亡率は年齢と共に増加する。
その病因は不明であり、特発性間質性肺炎に含まれ、より悪い予後の肺炎である。大部分の患者は、診断される前に何ヶ月にもわたって(6〜24ヶ月間)徴候を有する。第一の臨床症状は、進行性呼吸困難、労作性呼吸困難、明らかな原因のない空咳、および聴診における捻髪音を包含する。
IPFの病因を説明するために、多くのメカニズムが提案されている。一般に、炎症細胞が、種々の炎症媒介物質、サイトカインおよび増殖因子を介して、線維芽細胞に直接的に作用すると考えられるが、重要な役割が、これらの炎症調節因子と肺実質の細胞との相互作用によっても果たされている。この病理学的過程は、肺の遠位単位(終末細気管支および肺胞)の間で起こるので、炎症細胞と上皮および肺内皮との相互作用も重要である。一方、炎症細胞および上皮は、線維芽細胞に影響を及ぼすだけでなく、それらは、炎症細胞および実質細胞も変化させることを強調すべきである。正常な肺において、肺胞の間質は極めて薄く、線維芽細胞の数は限られている。大部分の線維芽細胞および膠原線維は、血管および空気路の管全体に分布している。線維性因子と非線維性因子のバランスが、線維芽細胞の増殖および細胞外基質の抑制を生じると考えられる。
現在、IPFは、肺組織の破壊に関連した、および損傷の正常な修復の結果としての線維症の形成に関連した、慢性炎症を生じる不明攻撃の最終結果であると考えられる。これらは全て、細胞外基質の漸進的堆積、線維芽細胞−筋線維芽細胞バランスの減少、上皮細胞の連続死、および最終的に、異常な再上皮化を生じる。
DILD治療の基本的な目的は、一般に、原因物質への暴露の回避、疾患(肺胞炎)の炎症成分の抑制、および合併症の治療から成る。第一の目的は、既知の原因の疾患においてのみ達成できる。証明された効能を有する抗線維薬がないので、肺胞炎の抑制が、不明原因のDILDにおける唯一の治療手段である。使用される薬剤は、グルココルチコイドおよび免疫抑制剤である。治療の指標および期間は、DILDのタイプによって変わる。最近の研究は、シルデナフィルが肺血管拡張およびガス交換の向上を生じることを示している。しかし、推奨される方法はない。
発病過程は、種々の治療的介入のために多くの理論点が存在することを示唆しているが、実際には、治療は、消炎剤および最近は肺移植による治療に限定されている。現在の種々の治療は、単独かまたは組み合わせたコルチコステロイド(プレドニゾン)、免疫抑制剤/細胞毒(アザチオプリン、シクロホスファミド)および抗線維剤(コルヒチンまたはD−ペニシラミン)を包含する。
残念なことに、試験された薬理学的治療はいずれも、患者の予後を向上させるのに有用であることが実証されていない。
肺移植は、線維症まで進行し、呼吸不全を生じるDILDの、最後の治療選択肢である。線維症に進むDILDの120以上の原因があり、従って、移植の好機(早すぎるかまたは遅すぎて移植の実行可能性を損なうことのない、各患者における移植の好適な時期)を特定することが極めて困難である。
現在、新しい治療法は下記を包含すると考えられる:酸化物質阻害剤、サイトカイン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、線維芽細胞または増殖因子阻害剤、抗線維薬、食餌制限、肺内経路によって投与される薬剤のより高い効能、例えば、リポソーム、酸化防止剤、ロイコサイトインテグリン阻害剤の使用、ならびに最後に遺伝子治療。
線維発生を阻止する能力を有する他の薬剤を、DILDの治療に使用できる。リラキシン、妊娠の最後の段階で使用され、恥骨靱帯の再構築に寄与するペプチドは、線維芽細胞培養においてコラーゲン生成を減少させ、プロテイナーゼおよび抗プロテイナーゼのバランスを変化させて、基質を分解させる。スマリン、線虫によって生じる感染症を治療するために長年使用されている合成化合物は、多くの前線維増殖因子の作用を阻害する。エンドセリン−1、血管内皮および気道の外皮で合成され分離する分裂促進性および血管作用性ペプチドは、生検の線維芽細胞フォーカスに関連していることが見出され、それは、気管支肺胞洗浄液において得られ;動物モデルにおいて、エンドセリン−1の阻害は、肺損傷を生じた後の瘢痕を防止する。アンギオテンシンIIは、線維芽細胞における分裂促進作用を有する他のペプチドである。
上皮損傷は、部分的に、酸素遊離基(OFR)によっても生じうるので、酸化防止剤法が有益でありうることが提案されている。可能な方法は、酸化防止酵素の投与、またはその遺伝子発現増加の促進を包含する。OFRの天然スカベンジャー物質は、マイトジェンに応答した肺線維芽細胞の増殖を抑制する。タウリンおよびナイアシンは、動物モデルにおける線維症の発生を阻害する;高投与量の、グルタチオン先駆物質としてのN−アセチル−L−システイン、FPLのための免疫抑制剤治療における治療組合せとしてのタウリンおよびOFRスカベンジャー物質の使用。
該DILDの治療のための他の可能な方法は、白血球動員過程の干渉である。接着分子は、この過程において極めて重要な役割を果たす。これらの接着分子に対する抗体は、肺損傷の動物モデルにおけるコラーゲン沈積の阻止を示す。
免疫調整剤も、生体外試験および研究動物の両方において試験されている。これらの研究は、組織修復における炎症反応の修飾が、肺損傷後の最終線維症の程度を調節しうることを示唆している。
有効治療は、線維増殖性応答を阻止または阻害することを試みるべきであり、かつ、肺胞再上皮化の回復の向上を目的とすべきである。このようにして、疾患の影響が減少され、患者の健康を向上しうる。言い換えれば、線維芽細胞死を誘発し、上皮細胞死を誘発しないことが好適であり、なぜなら、これは良好な再上皮化を生じうるからである。しかし、いくつかの試験は、線維芽細胞増殖の阻害が、良好な再上皮化を生じないことを示している[Bowden DH, Young L,Adamson IY.Fibroblast inhibition does not promote normal lung repair after hyperoxia.Exp Lung Res 1994;20:251−262]。
他の治療的課題は、II型上皮細胞の増殖を直接的に誘発しうる物質が、種々の攻撃に対する線維性反応を減少させ、細胞死を減少させる可能性に関係している。
驚くことに、ブレオマオシンで肺線維症を誘発されたラット(特発性肺線維症の実験モデル)へのII型肺胞細胞の移植が、線維発生過程を後退させ、疾患の進行を止めることが見出された。本明細書に記載される実施例は、ブレオマイシンの投与によるラットにおける肺線維症の誘発、次に、ネズミII型肺胞細胞の気管内移植の後に、移植ラットにおける線維芽細胞増殖の阻害、ならびに肺組織の回復が達成されることを示す。本発明者らによって行われた試験は、体重の増加ならびに肺重量の減少が、移植動物において生じることを示している。同様に、本発明者らは、損傷した肺の適切な再上皮化が、該細胞の移植によって達成されることを観測した。従って、気道内経路によるII型肺胞細胞の移植は、一方で、線維芽細胞の増殖を阻止し、他方で、損傷した肺の適切な再上皮化を生じ、それによって疾患の進行を抑制するので、移植動物において相乗効果を生じる。該II型肺胞細胞での治療は、所望であれば、肺線維症を呈する肺疾患の治療に有効な他の治療と組み合わせることができる。
従って、本発明は、肺線維症を呈する肺疾患の治療用の医薬組成物の製造におけるII型肺胞細胞の使用に関する。特定の実施形態において、該肺疾患は、DILD、特にIPF、およびいくつかの免疫機構の変性、特に硬化性浮腫から選択される。
本発明は、肺線維症を呈する肺疾患の治療用の医薬組成物の製造における、II型肺胞細胞の使用に関する。
「II型肺胞細胞」という用語は、立方体様外観を有する肺上皮細胞に関し、その先端表面は、微小絨毛で覆われ、その細胞形質は、界面活性物質を構成する脂質およびタンパク質から成る層状封入体で満たされている。II型肺胞細胞(またはII型上皮細胞)の重要な機能は、肺界面活性物質の合成、貯蔵および分泌であり、該界面活性物質は、表面張力を減少させ、肺胞の崩壊を防止することによって作用する。II型上皮細胞は、肺胞上皮細胞全体の14%を占め、これらの細胞は常套法によって他の肺細胞から分離しうる[Richards RJ et al.,1987.Isolation,biochemical characterisation,and culture of lung type II cells of the rat.Lung 165:143−158]。II型肺胞細胞は、I型肺胞細胞の先駆体である[Johnson NF et al.,1990.Epithelial progenitor cells in the rat respiratory traxt.In:Biology,toxicology,and carcinogenesis of respiratory epithelium.Thomassen,DG and Nettesheim,P(E.d).Hemipere publish Corporation,New York:1990;1−308]。「I型肺胞細胞」という用語は、ガス交換に特定化された上皮肺細胞に関する。I型細胞は極めて薄く平たく、肺胞表面の95%を覆っている[Crapo et al.,1982.Cell numbers and cell characteristics of the normal lung.Am.Rev.Respir.Dis.126:332−337]。
通常条件において、約1%のII型肺胞細胞が、I型肺胞細胞から分化される肺胞表面の再生を担っている。この事実は、I型肺胞細胞が、それらの表面、およびそれらの細胞形質の単純性により、肺損傷を特に受けやすいので重要である。これらの環境において、II型肺胞細胞は、増殖し、肺胞の表面に再び集中し、上皮の完全性を付与する。このように、該II型肺胞細胞は、I型肺胞細胞になり、肺胞表面を完全に再構成する。
本発明を実施するために、II型肺胞細胞は、「野生型」(または「wt」)II型肺胞細胞であることができ、即ち、それらは遺伝的に操作されていなくてよい。または、所望であれば、該II型肺胞細胞を遺伝的に操作して、該「wt」II型肺胞細胞の線維発生阻害活性を増加、促進または支持し、かつ/または該「wt」II型肺胞細胞の再上皮化を増加、促進または支持して、本明細書における「遺伝的操作II型肺胞細胞」を与えることができる。導入しうる例示的、非限定的な操作の例は、肺界面活性剤の生成に関係したタンパク質、例えば界面活性物質のタンパク質AおよびDなどを、過剰発現することを目的とした操作、ならびにII型肺胞細胞の増殖、例えば、特にケラチノサイト増殖因子などを、増加させることを目的とした操作を包含する。II型肺胞細胞において実施される遺伝的操作は、当業者に公知の常套法によって行うことができる。従って、本明細書において使用される「II型肺胞細胞」という用語は、(i)「wt」II型肺胞細胞;(ii)遺伝的操作II型肺胞細胞;および(iii)「wt」II型肺胞細胞と遺伝的操作II型肺胞細胞との組合せ;を包含する。
II型肺胞細胞は、自己または異種由来であってよく、好ましくは、II型肺胞細胞は自己由来である。
本明細書において使用される「患者」という用語は、哺乳類の動物種のあらゆる構成員に関し、家畜、霊長類およびヒトを包含するがそれらに限定されず、患者は、好ましくは、あらゆる年齢または人種の男性または女性のヒトである。
「肺線維症を呈する肺疾患」という用語は、肺における瘢痕の存在を特徴とし、それによって、気嚢(肺胞)が線維組織に徐々に置き換えられる肺疾患に関する。肺線維症を呈する該肺疾患の例示的、非限定的な例は、広汎性間質性肺疾患(DILD)、ならびにいくつかの免疫機構の変性(例えば、関節リウマチ、硬化性浮腫、多発性筋炎、およびまれな場合に全身性エリテマトーデス)を包含する。肺線維症の他の多い原因は、下記を包含する(非限定的な例として示す):ウイルス、リケッチア、マイコプラズマおよび播種性結核症による感染症;有機または無機ダスト、例えば鉱物ダスト、例えば、シリカ、カーボンなど、金属ダストおよびアスベストなどの吸入;ガス、煙および蒸気(例えば、塩素、二酸化硫黄など)の吸入;抗腫瘍治療のための放射線療法、および工業放射線;ならびに、ある種の薬剤および毒性物質、例えばブレオマイシン、メトトレキサート、ブスルファン、シクロホスファミド、金、ペニシラミン、ニトロフラントイン、スルホンアミド、アミオダロン、パラクアットなどの摂取;一般に、これらの物質は、基本的に、肺実質の広汎性疾患を生じる。
先に記載したように、「DILD」という用語は、肺胞およびその支持構造物(間隙)の炎症および瘢痕(線維症)を特徴とする肺疾患を意味する。該DILDの例示的、非限定的な例は、特発性間質性肺炎、肉芽腫性肺疾患、および既知の原因のまたは他の明確な臨床単位に関連したDILDである。特定の実施形態において、該肺病変は、下記から選択される:特発性肺線維症(IPF)、急性間質性肺炎、非特異性間質性肺炎、肺疾患を伴う呼吸気管支炎(呼吸気管支炎/DILD)、剥離性間質性肺炎、特発性器質化肺炎、リンパ球性間質性肺炎、サルコイドーシス;膠原病に関連し、無機ダストによって生じ(塵肺症)、薬剤および放射線治療によって誘発され、有機ダストによって生じ(外因性アレルギー性肺胞炎)、遺伝病に関連したDILD;肺胞タンパク症、肺胞微石症、リンパ管平滑筋腫、肺好酸球増加症、ヒスチオサイトーシスX(ランゲルハンス細胞の肉芽腫症)、アミロイドーシス。特定の実施形態において、該DILDはFPLである。
他の特定の実施形態において、肺線維症を呈する該肺疾患は、免疫機構の変性、例えば、関節リウマチ、硬化性浮腫、多発性筋炎、およびまれな場合に全身性エリテマトーデスである。本明細書において使用される「硬化性浮腫」という用語は、皮膚組織、関節および内部器官、例えば肺の、肥厚および硬化を生じうる結合組織のまれな疾患を意味する。この形態は、より重篤であり、致命的である。
肺線維症を呈する肺病変の治療において投与するために、II型肺胞細胞は、好適な医薬組成物(以下に「本発明の医薬組成物」と称す)において、治療有効量で、1つまたはそれ以上のビヒクル、補助剤または医薬的に有効な賦形剤と共に配合される。
先に記載したように、「II型肺胞細胞」という用語は、「wt」型II型肺胞細胞、遺伝的操作II型肺胞細胞、および「wt」型II型肺胞細胞と遺伝的操作II型肺胞細胞との組合せを包含する。従って、特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、wt型II型肺胞細胞を含んで成る。他の特定実施形態において、本発明の医薬組成物は、遺伝的操作II型肺胞細胞を含んで成る。他の特定実施形態において、本発明の医薬組成物は、「wt」型II型肺胞細胞と遺伝的操作II型肺胞細胞との混合物または組合せを含んで成る。
本明細書に使用される意味において、「治療有効量」という表現は、所望の作用を生じるように算出された、本発明の医薬組成物に含有されるII型肺胞細胞(「wt」および/または遺伝的操作)の量を意味し、特に、該II型肺胞細胞に典型的な特徴、ならびに達成すべき線維芽細胞増殖の阻害および肺胞表面の再上皮化の作用によって一般に決められる。一般に、投与されるII型肺胞細胞の治療有効量は、特に、治療を受ける患者、患者が罹っている病変、その重症度、選択された投与形態などの要素に依存する。この目的のために、本発明に記載する投与量は、当業者のための指針にすぎないと考えるべきであり、当業者は前記の変動要素に応じて投与量を調節すべきである。非限定的な例として、本発明の医薬組成物は、前記の要素に依存して、約1×10細胞〜約25×10細胞、好都合には約2.5×10細胞〜約20×10細胞、好ましくは約5×10細胞〜約10×10細胞を含有する単一用量で投与することができる。II型肺胞細胞の用量は、患者の体調および患者の漸進的変化に応じて、それぞれの場合に医師によって設定すべき時間間隔(日、週または月)で、繰り返すことができる。
本発明の医薬組成物は、所望の作用、即ち、線維芽細胞増殖の阻害、および好都合には、罹患組織の適切な再上皮化を生じさせるために、II型肺胞細胞(「wt」および/または遺伝的操作)と罹患した肺組織との接触を促進するのに好適な医薬投与形態に一般に調製され;この理由から、本発明の医薬組成物は、選択された投与経路に好適な医薬形態に配合される。本発明の該医薬組成物は、生体内において、治療を必要とする患者の肺組織に直接的に投与しうるか、または生体外において、本発明の医薬組成物の投与後に治療を必要とする患者に後に再移植される、以前に罹患した組織に投与しうる。
治療を必要とする患者への生体内投与のために、本発明の医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、肺、気管内、経鼻、非経口、腹腔内経路などによって、好ましくは、肺、気管内、経鼻または非経口経路によって投与することができ、従って、本発明の医薬組成物は、選択された医薬投与形態に応じて、好適な医薬的に許容されるビヒクル、賦形剤および補助物質が組み込まれる。該医薬投与形態は、常套法によって製造できる。薬剤の種々の医薬投与形態およびそれらの製造についての概要が、下記の書籍に見出される:「Tratado de Farmacia Galenica」, C. Fauli i Trillo,10th edition,1993, Luzan 5,S.A.de Ediciones。いずれの場合も、本発明の医薬組成物は、当業者に公知の好適な器具、装置およびデバイス、例えば、カテーテル、カニューレなどを使用して投与することができる。
一方、本発明の医薬組成物の生体外投与については、以下に記載のように処理することができる。先ず、線維症によって損傷または罹患した肺組織を除去する(例えば、肺葉)。次に、その肺組織を、下記の条件下に、本発明の医薬組成物に接触させる:II型肺胞細胞の肺組織への接触および付着を可能にし、それによって、該細胞が、線維芽細胞増殖の阻害作用、および好都合には、罹患組織の再上皮化を示すことができる条件。最後に、処置された肺組織を、患者に埋め込む。肺組織の除去、および本発明の医薬組成物での処置に付した後の患者への該組織の埋め込みの両方は、常套法によって、一般に、当業者に公知の外科的方法によって、行うことができる。本発明の医薬組成物は、常套法、例えば下記の方法によって、肺組織に接触させることができる:本発明の医薬組成物の肺組織への注射;または、本発明の医薬組成物での肺組織の洗浄;または、本発明の医薬組成物を含有する浴への肺組織の浸漬;または、細胞集団を確立するために、直接的に肺組織にII型肺胞細胞を「接種する」ことなど。患者から採取した肺組織を、II型肺胞細胞で処置したら、不定期間後に、一般に肺組織の生存力を損なわないように採取から6〜24時間後に、患者に再移植することができる。
いずれの場合も(生体内または生体外投与)、本発明の医薬組成物は、当業者に公知の好適な器具、装置およびデバイス、例えば、カテーテル、カニューレなどを使用して投与される。
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬的に許容されるビヒクル、例えば食塩水、燐酸緩衝食塩水(PBS)、または他の任意の医薬的に許容されるビヒクル中の、水性懸濁液または溶液の形態で調製される。II型肺胞細胞の投与用の医薬的に許容されるビヒクルの例示的、非限定的な例は、例えば、滅菌食塩水(例えば、0.9%NaCl)である。本発明の医薬組成物は、必要であれば、他の補助物質または医薬的に許容される化合物、例えば、補助溶媒、懸濁液を安定化させる添加剤、例えば、医薬的に許容される防腐剤、pHを調節するための医薬的に許容される酸、塩基または緩衝剤、界面活性剤なども含有しうる。同様に、懸濁液を安定化させるために、金属キレート化剤を添加することもできる。本発明の医薬組成物の液体媒質に存在する細胞の安定性は、付加的物質、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなアミノ酸の添加によって、増加させることができる。本発明の医薬組成物に使用できるこれらの医薬的に許容される物質は、当業者に一般に公知であり、細胞組成物のための配合物の調製に一般に使用される。これらの物質についての付加的情報が、製剤学または動物健康の論文、例えば、書籍「Tratado de Farmacia Galenica」,C.Fauli i Trillo,10th edition,1993,Luzan 5.S.A.de Edicionesに見出すことができる。
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の常套法によって、使用時まで保存することができる;特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、凍結によって使用時まで保存することができる。
本発明の医薬組成物は、併用治療を付与するために、肺線維症を呈する前記肺病変の予防および/または治療に活性形態で使用される他の付加的薬剤と共に使用することができる。該付加的薬剤は、本発明によって提供される同じ医薬組成物の一部を構成するか、または、それらは、本発明の医薬組成物と同時かまたは逐次に投与するために、分離組成物の形態で与えることもできる。
併用療法を与えるために使用しうる付加的薬剤の例示的、非限定的な例は、下記の薬剤を包含する:抗炎症薬、抗線維症薬、II型肺胞細胞の増殖因子、例えばケラチノサイト増殖因子など;線維芽細胞増殖因子阻害薬、例えば、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)の拮抗薬など;アンギオテンシンII阻害薬、例えばサルタン、例えばロサルタンなど。
前記のように、本発明の医薬組成物は、生体外で、即ち、治療を必要とする患者から前もって採取した、線維症によって損傷または罹患した肺組織に投与して、線維芽細胞の増殖を阻害し、かつ好都合には、罹患肺組織を再上皮化することができる。従って、他の態様において、本発明は、生体外で、線維芽細胞の増殖を阻害し、または肺組織を再上皮化する方法に関し、該方法は、肺組織を本発明の医薬組成物に接触させることを含んで成る。特定の実施形態において、該肺組織は、損傷した肺組織、即ち肺線維症に罹患した肺組織であり、該肺組織は、肺線維症を呈する肺疾患の患者から前もって採取される。前記のように、肺組織の採取は、当業者に公知の常套法、一般に外科的方法によって、行うことができる。本発明の医薬組成物は、例えば下記のような常套法によって、肺組織に接触させることができる:本発明の医薬組成物の肺組織への注射;または、本発明の医薬組成物での肺組織の洗浄;または、本発明の医薬組成物を含有する浴への肺組織の浸漬;または、細胞集団を確立するために、直接的に肺組織にII型肺胞細胞を「接種する」ことなど。患者から採取し、II型肺胞細胞での処置に付した肺組織を、所望であれば、不定期間後に、一般に採取から6〜24時間後に、患者に再移植することができる。
他の態様において、本発明は、治療を必要とする患者において、肺線維症を呈する肺疾患を治療する方法に関し、該方法は、II型肺胞細胞を含んで成る医薬組成物を、該患者に投与することを含んで成る。本発明の医薬組成物の投与は、治療を必要とする患者への本発明の医薬組成物の生体内投与に関して先に記載した常套法を使用して、行うことができる。
他の態様において、本発明は、治療を必要とする患者において、肺線維症を呈する肺疾患を治療する方法に関し、該方法は、該患者から肺組織を採取し、II型肺胞細胞を含んで成る医薬組成物に該肺組織を接触させ、それを該患者に再移植することを含んで成る。特定の実施形態において、該肺組織は、損傷した肺組織、即ち肺線維症に罹患した肺組織であり、肺線維症を呈する肺疾患の患者から前もって採取される。この場合、本発明の医薬組成物は、先に記載した常套法、例えば下記のような方法によって、肺組織に接触させることができる:本発明の医薬組成物の肺組織への注射;または、本発明の医薬組成物での肺組織の洗浄;または、本発明の医薬組成物を含有する浴への肺組織の浸漬;または、細胞集団を確立するために、直接的に肺組織にII型肺胞細胞を「接種する」ことなど。患者から採取した肺組織は、II型肺胞細胞で処置してから、不定期間後に、一般に、採取から6〜24時間後に、再移植することができる。
下記の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとみなすべきでない。
実施例1
肺線維症を誘発させたラットにおけるII型肺胞細胞の移植
I.材料および方法
実験の開始時に体重175〜200gのルイス系雌および雄ラット(Harian Intefrauna,Barcelona)を使用した。
動物を、温度22〜24℃、相対湿度60〜65%の定環境条件、および12時間の明/暗サイクルに置いた。それらに、Barcelona network ad libitumからのAO4飼料(Panlab,Barcelona)および水の標準飼料を与えた。全ての試験を、動物実験モデルに関するヨーロッパ連合の規定に従って行った(指令86/609/EEC)。
1.1 実験モデル
0.25mLの量の食塩水(0.9%NaCl)に溶解させた0.25Uブレオマイシン/100g動物体重の単一用量の気管内点滴注入によって、肺線維症を生じさせた。対照動物は、ブレオマイシンの代わりに同量の食塩水を与えた。気管内点滴注入は、吸入経路によって動物にハロタンで麻酔をかけて行われる。
肺線維症の誘発から3、7および15日後に、II型肺胞細胞の移植を、雌ルイスラットにおいて行った。該移植は、ハロタンでの吸入麻酔下に、細胞(1動物当たり2.5x10細胞;食塩水0.5mLに懸濁)の気管内点滴注入によって行った。対照動物において、食塩水の点滴注入から3日後に、ハロタンでの吸入麻酔下に、細胞(1動物当たり2.5x10細胞;食塩水0.5mLに懸濁)の気管内点滴注入によって、移植を行った。全ての動物を、肺線維症の誘発から21日後に犠牲にした。動物を、腹腔内経路によるペントバルビタールナトリウム(100mg/kg)の致死注射、次に、腹大動脈による動物の瀉血によって犠牲にし;最後に、気管に連結した肺を摘出した。
1.2 細胞の調製
II型上皮細胞(肺胞細胞)を、雄ルイスラットから分離した。先ず、動物にペントバルビタールナトリウム(100mg/kg)で麻酔をかけた。肺動脈のカニューレ挿入によって、肺を食塩水で漑流した。肺を摘出し、気管支−肺胞洗浄を行って(4x10mL)、肺胞マクロファージを除去した。水浴中37℃におけるトリプシン(Sigma)での消化後に、肺を小さい断片にカットし、溶液が最終量20mLになるまで、5mLのウシ胎児血清およびDNアーゼを添加した(Roche Diagnostics)。細胞懸濁液を、先ず、ガーゼ、50μmフィルター、最後に30μmフィルターで濾過した。細胞を、パーコール勾配(Amersham biosciences)によって分離し、250gで20分間、10℃で遠心分離した。2つの勾配間に残留した細胞のバンドを収集し、DNアーゼを添加して最終量40mLにした。それを、250gで20分間、10℃で遠心分離した。2mMグルタミン、100μg/mLペニシリンおよび60μg/mLゲンタマイシンを補足した5mLのDCCM1培地(Biological Industries)を使用して、細胞沈殿物を再懸濁させた。肺胞マクロファージを除去するために、それを1時間インキュベートした。1時間後、細胞懸濁液を250gで20分間、10℃で遠心分離し、それらを食塩水中での遠心分離によって2回洗浄した。最後に、それらを食塩水に再懸濁させた(0.5mL/2.5×10細胞)。
生存度および細胞カウントを、トリパンブルー(Sigma)での染色によって容易化した。各動物に、滅菌生理的血清に再懸濁された平均約2.5x10のII型肺胞細胞を投与した。
1.3 統計的分析
全ての結果は平均値±SEMで示される。平均値の有意な差異は、ANOVA分散分析およびNeuman Keuls事後テストを使用して求めた。p<0.05の数値は、統計的に有意であると考えられた。
II.結果
全ての場合に、II型肺胞細胞の移植(T)を、肺線維症の誘発後に数回行った:第3日(BLM T3)、第7日(BLM T7)、および第15日(BLM T15)。
2.1 体重の測定
肺線維症は、体重の減少を伴う。しかし、結果は、II型肺胞細胞を移植した動物において、それ以前に該体重減少が回復することを示す(図1)。
2.2 肺重量の測定
同様に、肺線維症の誘発と共に有意に増加する肺の重量が、7日および15日後にII型肺胞細胞を移植されたグループにおいて、より少ない増加を示した(図2)。
2.3 ヒドロキシプロリンレベル
最後に、ヒドロキシプロリンレベル(コラーゲン沈積の特異的マーカー)の測定は、全ての移植グループにおいて、有意により低い数値を示した(図3)。この結果は、肺実質における線維症の過程における極めて重要な減少を示している。線維症過程におけるこの減少は、処置動物の組織学的肺試料においても観察することができる(図4)。
動物の体重の変化を示すグラフである;第0日(0)において、動物は、体重減少を生じるブレオマイシン(BLM)での処置を受け、矢印は、細胞移植の日(第3、7および15日)を示す。グラフは、全ての移植動物において、II型肺胞細胞の投与が、体重の回復を速くすることを示している。データは、1グループにつき合計8匹の動物の平均値±SEMを示す。 対照動物、および肺線維症(BLM)を誘発され、種々の時期に細胞移植を受けた動物(第3、7および15日、それぞれ、BLM T3、BLM T7およびBLM T15)における、肺の重量を表す棒グラフである。グラフは、II型肺胞細胞の投与が、7日後および15日後の移植動物において肺重量の有意な減少を生じることを示している。データは、1グループにつき合計8匹の動物の平均値±SEMを示す。 肺におけるヒドロキシプロリンレベルを示す棒グラフである。グラフは、II型肺胞細胞を移植された肺におけるヒドロキシプロリンレベルが、非移植動物と比較して、全ての時期(第3、7および15日)において減少することを表す。コラーゲンレベルにおけるこの減少は、7および15日後の移植動物において極めて明らかであり、ヒドロキシプロリンレベルが対照動物と同等であることが分かる。データは、1グループにつき合計8匹の動物の平均±SEMを示す。 肺試料の光学顕微鏡写真を示す。写真は、II型肺胞細胞を種々の時期(第3、7および15日)に移植された動物において、誘発された肺線維症の病巣の減少を示す。

Claims (14)

  1. 肺線維症を呈する肺疾患の治療用の医薬組成物の製造における、II型肺胞細胞の使用。
  2. 肺線維症を呈する肺疾患が、広汎性間質性肺疾患(DILD)である、請求項1に記載の使用。
  3. DILDが、特発性間質性肺炎、肉芽腫性肺疾患、および既知の原因の、または他の明確な臨床単位に関連したDILDから選択される、請求項2に記載の使用。
  4. DILDが下記から選択される、請求項3に記載の使用:特発性肺線維症、急性間質性肺炎、非特異性間質性肺炎、間質性肺疾患を伴う呼吸気管支炎(呼吸気管支炎/DILD)、剥離性間質性肺炎、特発性器質化肺炎、リンパ球性間質性肺炎、サルコイドーシス;膠原病に関連し、無機ダストによって生じ(塵肺症)、薬剤および放射線治療によって誘発され、有機ダストによって生じ(外因性アレルギー性肺胞炎)、遺伝病に関連したDILD;肺胞タンパク症、肺胞微石症、リンパ管平滑筋腫、肺好酸球増加症、ヒスチオサイトーシスX(ランゲルハンス細胞の肉芽腫症)およびアミロイドーシス。
  5. 肺線維症を呈する肺疾患が、関節リウマチ、硬化性浮腫、多発性筋炎および全身性エリテマトーデスから選択される免疫機構の変性である、請求項1に記載の使用。
  6. 医薬組成物が、肺、気管内、経鼻、腹腔内または非経口経路による投与を意図した医薬組成物である、請求項1に記載の使用。
  7. 医薬組成物が、肺線維症を呈する肺疾患の治療用の付加的薬剤と組み合わせて投与される、請求項6に記載の使用。
  8. 前記疾患の治療に有用な付加的薬剤が、II型肺胞細胞を含んで成る医薬組成物の投与と同時にまたは逐次に投与するための分離組成物の形態で投与される、請求項7に記載の使用。
  9. II型肺胞細胞が、自己または異種由来である、請求項1に記載の使用。
  10. 患者における肺線維症を呈する肺疾患の治療のための、請求項1に記載の使用。
  11. 患者がヒトである、請求項10に記載の使用。
  12. 患者が非ヒト哺乳動物である、請求項10に記載の使用。
  13. 医薬組成物が、「wt」II型肺胞細胞および/または遺伝的操作II型肺胞細胞を含んで成って、II型肺胞細胞野生型(「wt」)の線維形成の阻害活性を増加または支持し、かつ/または該「wt」II型肺胞細胞の再上皮化活性を増加または支持する、請求項1に記載の使用。
  14. 生体外において、線維芽細胞の増殖を阻害するか、または肺組織(肺胞)を再上皮化する方法であって、II型肺胞細胞を含んで成る医薬組成物に肺組織を接触させることを含んで成る方法。
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