JP2009510368A - チェーンリンク、該チェーンリンクを含むリンクチェーン、該リンクチェーンによって形成されたチェーン伝動装置、及び該チェーン伝動装置を備えた車両 - Google Patents
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Abstract
本発明は、車両駆動部のためのチェーンリンク(4)並びにリンクチェーンであって、押圧片を介して互いに枢着結合された複数のチェーンリンクを備えており、この場合に押圧片はリンクチェーンの長手方向に対して横方向に延びており、押圧片及びチェーンリンクにそれぞれ接触面を形成してあり、該接触面に沿って押圧片とチェーンリンクとは力伝達のために互いに接触しており、この場合に各接触面は最適に形成されている。
Description
本発明は、リンクチェーンのためのチェーンリンク、殊に車両駆動部のためのリンクチェーンのためのチェーンリンクであって、リンクチェーンはチェーンリンクの結合のために枢着片、若しくは揺動片、押圧片、或いは揺動押圧片を備えている形式のものに関する。さらに本発明は、本発明に基づくチェーンリンクを用いて形成されたリンクチェーン、並びにリンクチェーンを用いて形成されたチェーン駆動部若しくはチェーン伝動装置に関する。さらに本発明は、チェーン伝動装置を備えた車両に関する。
前記形式のチェーンリンク並びにリンクチェーンは種々に公知である。この種のチェーンリンク並びにリンクチェーンは、力伝達に用いられ、チェーンリンクはピーク押圧力によって損傷せしめられている。チェーンリンクの損傷は、リンクチェーン全体の損傷若しくは故障につながり、それというのは同じ枢着片間に配置された別のチェーンリンクが損傷したチェーンリンクからの動力伝達に際して高い負荷を受けることになるからである。このように高い負荷によって、個々のチェーンリンクは動力伝達の限界値で駆動され若しくは限界値を超えた動力で駆動されることになる。
本発明の課題は、高い強度を有するチェーンリンク並びに該チェーンリンクによって形成されたリンクチェーンを提供することである。さらに摩耗を減少させ、かつチェーンリンク若しくはリンクチェーンの弾性的な伸びをわずかにすることであり、ひいては少ない部品でチェーンリンクを形成できるようにすることである。
前記課題を解決するために、少なくとも個別のチェーンリンクのリンク厚さを大きく形成してあり、これによって本発明に基づくチェーンリンクは厚くなっている。
本発明に基づく前記構成によって、チェーン枢着部の押圧片もしくは揺動片とチェーンリンクとの間の大きな接触面及び、きれいな打ち抜き面の高い平滑切断量を達成し、これによってさらに揺動片若しくは押圧片とチェーンリンクとの間の高い直角度を達成している。きれいな打ち抜き面、ひいてはきれいな接触面によって、面圧は減少され、かつチェーン剪断作用は避けられ若しくは減少される。押圧力若しくは面圧の減少により、エッジ損傷は避けられ若しくは減少される。
リンク厚さは、打ち抜き品質や押圧片曲げ応力に基づき任意に増大できるものではない。工具費用若しくは製造費用は打ち抜き厚さに依存して累進的に増大することになる。
本発明に基づく構成のチェーンリンク及び該チェーンリンクを用いたリンクチェーンにおいては付加的な利点として、チェーンがスプロケット内へ入り込む際にスプロケットの歯部とリンクとの間のモーメントによって生じる傾倒作用は、十分に防止されており、それというのはスプロケットの歯部に対するリンクの高い垂直度を保証しているからである。これによって、スプロケットの歯部内での剪断負荷を避け若しくは減少し、かつ良好な案内を達成している。さらに低い押圧力を達成し、これによってエッジ若しくは縁部の損傷を避け若しくは減少させている。
本発明の有利な実施態様では、数量的に捉えられる寸法比を規定してある。特に有利には、リンク厚さdに対するピッチlの比は3.7乃至5.5である。同様に有利には、リンク厚さdに対する押圧片高さhの比は1.3乃至1.9である。さらに、リンク厚さdに対する押圧片幅wの比は0.8乃至1.2であると有利である。特に有利には、リンク厚さdに対するウエブ幅sの比は0.8乃至1.2である。
本発明は、すでに述べてあるように特に車両伝動装置、車両動力伝達装置若しくは自動車エンジン用伝動装置のためのリンクチェーンにも関し、枢着片若しくはピンとしての揺動片若しくは押圧片によって互いに枢着結合された複数のチェーンリンク若しくは板状リンクを備えており、この場合に押圧片はリンクチェーンの長手方向(走行方向)に対して横方向に、例えばほぼ垂直に延びており、押圧片及びチェーンリンクに湾曲の接触面をそれぞれ形成してあり、該接触面に沿って押圧片とチェーンリンクとは力伝達のために互いに接触しており、前記各接触面はリンクチェーンの長手方向に対して横方向の幅を有し、かつ該幅に対して直交する断面図で見て円弧長さを有している。
リンクチェーンは、リンクチェーンを組み込むべき車両駆動部に応じて種々に形成される。車両伝動装置の構成部分である円錐プーリー巻掛け式の無段変速装置(CVT)内での使用において、押圧片は特殊な形状の端面を有しており、該端面を介して引っ張り力を円錐プーリーとチェーンとの間で摩擦力として伝達するようになっている。車両駆動部内での別の使用においては、音なし鎖(歯付き鎖若しくはサイレントチェーン)であり、つまり、チェーンリンクは少なくとも片側に歯部を有しており、該歯部を介して引っ張り力をスプロケットとチェーンとの間で伝達するようになっている。この種の音なし鎖は、例えば米国特許第4906224号明細書により公知である。この種の音なし鎖は一般的に車両駆動部、例えば全輪駆動装置、伝動装置内に組み込まれた液圧式の補助装置において駆動チェーンとして用いられ、若しくは内燃機関の弁駆動用制御チェーンとして、若しくは車両の別の補助装置(冷却媒体ポンプ、潤滑媒体ポンプ、空調圧縮装置、発電機、始動モータ、ハイブリッドモータ、ブレーキ倍力装置等)の駆動チェーンとして用いられる。
前記形式のリンクチェーンは複数のチェーンリンクから成っており、該チェーンリンクは押圧片(若しくは枢着片)を介して互いにヒンジ的に結合され、つまり互いに枢着結合されている。
押圧片とチェーンリンクとの間の力伝達は接触面(支持面)を介して行われ、該接触面は押圧片にもチェーンリンクにも形成されており、該接触面に沿って押圧片とチェーンリンクとは相互に接触している。押圧片は、鋲若しくはピンと称され、揺動継手として対を成してチェーンリンクの結合のためにチェーンリンクの開口部内に挿入されるようになっている。
押圧片には種々の機能面を形成してある。リンクチェーンの1つの開口部内で相対する押圧片対は、転動領域若しくは転動面(転がり面)で互いに接触している。例えばスプロケット内への走入の際のチェーンの折れ曲がりに際して、押圧片の前記相互の接触箇所で、押圧片の寸法によって規定された折れ曲がり角度にわたって転動運動を生ぜしめるようになっている。
押圧片は、押圧片の接触面でもってチェーンリンクの接触面に接触しており、したがってチェーンリンクの接触面と押圧片の接触面との間には面圧が生じている。接触面は複数の要求を満たさなければならない。一面において、生じる面圧は接触面の形状に基づき過度に大きくなってはならず、他面において接触面は、押圧片がチェーンリンクの開口部内で回動しないように、回動防止のために用いられなければならない。
前記目的のために、公知のリンクチェーンは、区分毎に著しく異なる2つの半径で形成された接触面を有している。米国特許第6277046号明細書には、押圧片に異なる2つの半径で形成された2つの接触面を有するリンクチェーンを開示してある。異なる半径によって回動防止を達成しており、その結果、押圧片はチェーンリンクの開口部内で回動しないようになっている。公知の別の米国特許第5236399号明細書に記載のリンクチェーンのいては、回動防止は、接触面を同じく異なる2つの半径で形成することによって、若しくは半径中心点をずらすことによって実施してある。
回動防止のほかに、接触面はリンクチェーンの引き裂き強度若しくは引っ張り強度及び耐久性に対する要求を満たすようになっていなければならない。この目的のために、押圧片とチェーンリンクとの間の接触区域での面圧は所定の値を超えてはならない。これまでの技術では、小さい曲率、ひいては大きな曲率半径の接触面を必要としている。前記公知のリンクチェーンにおいては、接触面の面圧を減少させるために、曲率半径の増大を必要としている。
接触面の接触領域での応力ピークの発生は、小さい曲率半径(大きな曲率)によって生ぜしめられるものではなく、局所的な応力ピークは異なる曲率半径間の移行部で大きく生じていることが明らかになった。このことから、公知のリンクチェーンにおいては1つの曲率半径から別の曲率半径への移行部に著しい応力ピークがあることが分かった。このことは図1に示してある。図面に示してあるように、小さい曲率半径Kと大きな曲率半径Gとの間の移行部に応力ピークが発生しており、曲率半径の小さい領域の応力は曲率半径の大きな領域の応力よりも著しく大きくはなっていない。このような知見から、曲率半径の小さいことは局所的な応力ピークの発生の原因ではなく、1つの曲率半径から別の曲率半径への移行部は有害箇所であることを理解することができる。押圧片に転動のための転動面を設けてあるものの、圧力片の転動面での回動を生じており、つまり接触面領域で回動防止されたリンクチェーンにおいても相対運動を生じており、すなわち押圧片とチェーンリンクとの間で接触面に剪断作用を発生させており、これによって1つの曲率半径から別の曲率半径への移行部で接触面の接触エラーを発生させ、つまりチェーンリンクの曲率は押圧片の曲率ともはや一致していない。
剪断作用は、押圧片とチェーンリンクとの間の接触区域の面支持から押圧片の幅方向で見て線支持に移り、その結果、該接触区域で接触圧を増大させることになり、図1に示す最大圧力、つまり圧力ピークを発生させている。このような状態はこれまで考慮されるに至っておらず、それというのは押圧片とチェーンリンクとの間の接触面領域の負荷を減少させるためには曲率半径を大きくすることが適切な手段であると思われていたからである。
接触面領域は、一方において面圧に対する要求を見たし、他方においてチェーンリンクに対する押圧片の回動を防止しなければならない。車両駆動部のためのリンクチェーンは、枢着片若しくはピンとしての揺動片若しくは押圧片によって互いに枢着結合された複数のチェーンリンク若しくは板状リンクを備えており、押圧片はリンクチェーンの長手方向に対して横方向に、例えばほぼ垂直に延びており、押圧片及びチェーンリンクに湾曲の接触面をそれぞれ形成してあり、該接触面に沿って押圧片とチェーンリンクとは力伝達のために互いに接触しており、前記各接触面はリンクチェーンの長手方向に対して横方向の幅を有し、かつ該幅に対して直交する断面図で見て円弧長さを有しており、接触面は円弧長さにわたって曲率の互いに異なる少なくとも領域を有している。換言すれば、リンクチェーンは接触面を有しており、接触面は、リンクチェーンの長手方向の断面で見て接触面の曲面長さにわたって、曲率の互いに異なる少なくとも3つの領域を有しており、これによって曲率の大きな変化を避けており、しかしながら大きな曲率と小さな曲率の領域を設けて、チェーンリンクに対する押圧片の回動を防止してある。
本発明では、公知技術とは異なって、小さい曲率、すなわち大きな曲率半径で接触面領域を形成するのではなく、押圧片とチェーンリンクとの間の接触面を互いに異なる十分な数の曲率で形成するものの、高い応力ピークの発生の原因となる大きな曲率変化をさけるようになっている。
本発明の有利は実施態様では、最大の曲率と最小の曲率との間の比は少なくとも二倍である。このような構成により、チェーンリンクに対する押圧片の十分な回動防止を達成し、かつ接触面が円弧長さ若しくは湾曲長さに沿って互いに異なる少なくとも3つの曲率を有しているという手段と相俟って、十分に小さい曲率変化を達成しており、その結果、接触面の曲率変化の領域での不当に高い応力の発生を防止してある。
本発明の実施態様において、曲率は円弧長さに沿った各領域内では一定に保たれていてよく、つまり接触面の湾曲長さ若しくは円弧長さを、少なくとも3つの円弧区分によって規定してあり、これによって円弧区分間の曲率の変化を小さくしてあり、曲率半径では各曲率半径の変化は、車両駆動部用のリンクチェーンの押圧片において例えば1mmから3mm、そして5mmの変化で行われており、これに対して過度に高い応力ピークを生ぜしめてしまう大きな曲率半径変化は1mmから5mmの変化である。
本発明の別の実施態様では、接触面の曲率は接触面の円弧長さに沿った各領域内で連続的に変化していてよい。これによって接触面は、リンクチェーンの縦軸断面(長手方向断面)で見て複数の螺旋線分若しくはスパイラル線分によって構成されている。別の実施態様では、接触面は縦軸断面で見て楕円線分によって構成されていてよく、接触面の曲率は最小値と最大値との間で連続的に変化している。さらに別の実施態様では、接触面は双曲線の線分若しくは放物線の線分によって規定されている。
さらに別の実施態様では、接触面は最小の曲率半径が円弧長さの中央に位置していて該中央から両方の方向で曲率の変化する曲線によって規定されている。
最小の曲率半径を円弧長さの中央に配置することによって、最大の曲率を接触面の端部領域以外に位置させる、つまり接触面の中央領域に位置させることができ、これによって押圧片は、最小の曲率半径を接触面の端部領域に配置して形成した場合に比べて高い剛性を有し、ひいてはたわみにくくなっている。このように押圧片をたわみにくくしてあることによって、引っ張り力は該押圧片に差し嵌められて互いに並べて配置されたすべてのチェーンリンクに均一に分配され、チェーンリンクは高い耐久性を達成し、リンクチェーン全体は高い引っ張り力を伝達できるようになっている。
前述のリンクチェーンにおいては、接触面の互いに異なる曲率間の移行部に著しく高い応力変化はもはや生じなくなっている。チェーンリンクの開口部内での押圧片の回動防止効果も、公知のリンクチェーンに比べて高くなっている。
次に本発明を図示の実施例に基づき説明する。図面において、
図1は、公知技術による互いに著しく異なる2つの曲率半径によって形成された接触面を備えた押圧片とチェーンリンクとの間の接触面領域の面圧の圧力分布を示す図であり、
図2は、CVT・伝動装置に用いるための公知のリンクチェーンの概略図であり、
図3は、本発明の第1の実施例のチェーンリンク及び押圧片の拡大図であり、
図4は、本発明の第2の実施例の押圧片の拡大図であり、
図5は、本発明の第3の実施例の押圧片の拡大図であり、
図6は、圧力片の詳細を説明するための拡大図であり、
図7は、本発明に基づく押圧片とチェーンリンクとの間の接触面領域の面圧の圧力分布を示す図であり、
図8は、本発明に基づく押圧片及びチェーンリンクの斜視図である。
図1は、公知技術による互いに著しく異なる2つの曲率半径によって形成された接触面を備えた押圧片とチェーンリンクとの間の接触面領域の面圧の圧力分布を示す図であり、
図2は、CVT・伝動装置に用いるための公知のリンクチェーンの概略図であり、
図3は、本発明の第1の実施例のチェーンリンク及び押圧片の拡大図であり、
図4は、本発明の第2の実施例の押圧片の拡大図であり、
図5は、本発明の第3の実施例の押圧片の拡大図であり、
図6は、圧力片の詳細を説明するための拡大図であり、
図7は、本発明に基づく押圧片とチェーンリンクとの間の接触面領域の面圧の圧力分布を示す図であり、
図8は、本発明に基づく押圧片及びチェーンリンクの斜視図である。
図1は、公知のリンクチェーンのチェーンリンクと押圧片との間の面圧の圧力分布を示している。符号Kで示す曲率半径の小さい部分と符号Gで示す曲率半径の大きい部分との間の移行部領域で、チェーンリンクと押圧片との間の接触圧力の最大値が生じており、このことは小さい曲率半径Kと大きい曲率半径Gとの間の曲率半径の大きな変化に起因している。
図2には、無段変速機用の公知のリンクチェーン1の一部分を示してあり、リンクチェーンは複数の揺動片若しくは押圧片2,3及び複数のチェーンリンク4から構成されている。図2に符号Aで表す領域は図1に拡大して示してある。
図3は、第1の実施例のリンクチェーン7の1つのチェーンリンク6及び1つの押圧片5の拡大図である。すでに述べてあるように、押圧片5とチェーンリンク6との間に2つの接触面領域8,11を設けてあり、この場合に接触面領域8は押圧片5の接触面9とチェーンリンク6の、押圧片の前記接触面に相補的に成形された接触面10とによって形成されている。同様に接触面領域11は、押圧片5の別の接触面とチェーンリンク6の別の接触面とによって形成されている。
押圧片5とチェーンリンク6とは、力伝達のために接触面9,10で互いに接触している。チェーンリンク6は図3の図平面に対して垂直な方向に所定の厚さを有しており、かつ互いに並んで位置する複数のチェーンリンクは同一の押圧片5に接触しているので、リンクチェーン7によって伝達すべき引張り力は、複数のチェーンリンクと押圧片との間の各接触面領域に分配されている。各接触面9,10は、リンクチェーン7の幅の方向に対して垂直な断面図で見て所定の円弧長さ若しくは湾曲長さを有しており、円弧長さ若しくは湾曲長さは図面に符号12で示してある。
押圧片5とチェーンリンク6とは、力伝達のために接触面9,10で互いに接触している。チェーンリンク6は図3の図平面に対して垂直な方向に所定の厚さを有しており、かつ互いに並んで位置する複数のチェーンリンクは同一の押圧片5に接触しているので、リンクチェーン7によって伝達すべき引張り力は、複数のチェーンリンクと押圧片との間の各接触面領域に分配されている。各接触面9,10は、リンクチェーン7の幅の方向に対して垂直な断面図で見て所定の円弧長さ若しくは湾曲長さを有しており、円弧長さ若しくは湾曲長さは図面に符号12で示してある。
図3にはリンクチェーンの本発明の第1の実施例を示してあり、この場合に押圧片5の接触面9及びチェーンリンク6の、押圧片5の接触面9と相補的に成形された接触面10は、曲率の異なる複数の領域で形成されている。曲率を図形的に表示するために、図3では、互いに異なる曲率の各領域は視覚的に分かりやすくするために、相応の異なる曲率半径13,14,15,16を用いて示してあり、この場合に各曲率半径13,14,15,16は接触面9,10の各曲率の領域に垂直に描いてある。
図3から明らかであるように、曲率半径13の領域の曲率は曲率半径14の領域の曲率よりも小さくなっており、つまり領域13の曲率半径は領域14の曲率半径よりも大きくなっている。同様に、領域15の曲率半径は領域14の曲率半径よりも小さく、したがって領域15の曲率は領域14の曲率よりも大きくなっている。これによって、押圧片5の接触面9及び、チェーンリンク6の、前記接触面9に対して相補的な接触面10は接触面領域8で、接触面9,10の円弧長さに沿って3つの異なる曲率を有している。さらに図3では、接触面9,10には円弧長さに沿って別の第4の領域16を設けてあり、該領域は曲率半径領域13,14,15の曲率半径と異なる曲率半径16を有している。接触面領域11も、同様に曲率の互いに異なる領域によって形成されており、この場合に曲率の互いに異なる領域は3つだけ設けられている。
図4には、リンクチェーンの第2の実施例の押圧片を示してあり、この場合も押圧片は、円錐プーリー巻掛け式伝動装置のリンクチェーンの押圧片である。押圧片5において符号17で転動面を表してあり、該転動面でもって押圧片5は、該押圧片と一緒に押圧片対を形成する相手の押圧片に沿って転動するようになっており、この場合に基本構成は図2に示すものに相応している。押圧片5は2つの接触面18,19を有しており、該接触面は、図示省略のチェーンリンクの相補的に成形された接触面と接触するようになっている。上側の接触面18は符号Bによって表す点で最大値の曲率を有しており、つまり点Bで接触面18に垂直な曲率半径は最小である。曲率半径は点Bから両方の方向で増大しており、すなわち接触面18の曲率は点Bから両方の方向で連続的に減少している。この場合に、曲率半径は点Bから矢印20の方向で楕円の線分に依存して増大し、かつ矢印21の方向で螺旋の線分に依存して増大している。
図4に示す下側の接触面19は、最大値の曲率の点Cを中心として類似の特性を有しており、この場合には曲率半径は矢印22の方向で双曲線の線分に依存して増大し、かつ矢印23の方向で放物線の線分に依存して増大している。
図5に、図4と類似して示してある押圧片24は、音なし鎖の押圧片であり、音なし鎖は例えば駆動部の音なし鎖若しくは搬送装置の音なし鎖として用いられるものである。押圧片24も転動面25を有しており、該転動面でもって押圧片24は、押圧片対の相対する押圧片に沿って転動するようになっている。押圧片24も上側の接触面26及び下側の接触面27を有している。接触面26の構成は次のように選ばれており、つまり、図4と同じく破線で接触面の輪郭に垂直に示された曲率半径は、点Bから接触面26の両方の方向で、中括弧12によって示す円弧長さわたって増大している。接触面27の曲率半径も同様に、最大の曲率、つまり最小の曲率半径の点Cから両方の方向で増大している。
接触面は、押圧剛性の高い押圧片を形成するために、接触面のほぼ中央において最大の曲率、すなわち最小の曲率半径で接触面の円弧長さ若しくは湾曲長さにわたって規定されていてよい。
接触面は、押圧剛性の高い押圧片を形成するために、接触面のほぼ中央において最大の曲率、すなわち最小の曲率半径で接触面の円弧長さ若しくは湾曲長さにわたって規定されていてよい。
図6も、押圧片の接触面の説明のために用いてある。符号B若しくはCは、上側の接触面若しくは下側の接触面で、該各接触面内の曲率が最大であり、つまり曲率半径が最小である点を表している。図面から明らかなように、点B若しくは点Cは、破線で示された曲率半径を有する領域の円弧長さ28のほぼ中央に位置している。最大曲率の点は円弧長さ28で測定して接触面のほぼ中央に位置しているものの、相応の有利な作用は、点B若しくは点Cが円弧長さ28の40乃至60%の領域D内に位置していると達成される。該領域は、押圧片の下側の接触面では、押圧片の下側の接触面の接線29の30乃至60度の角度領域と一致しており、この場合に30乃至60度の角度は、接線29とチェーン走行方向30とのなす角度である。各接触面の曲率の最大の点を、円弧長さ28の全長の40乃至60%の領域D内に若しくはチェーン走行方向30に対する接線29の30乃至60度内に規定してあると、剛性のある、つまり押圧力に対してたわみにくい押圧片を達成しており、このことはリンクチェーン若しくは音なし鎖によって高い引っ張り力を伝達できることを意味している。
図7には、リンクチェーンの押圧片5とチェーンリンク6との間の図示の下側の接触面内の接触圧力分布を示してある(リンクチェーンの記載は、音なし鎖を含むものである)。図1の公知のリンクチェーンの接触圧力分布とリンクチェーンの図7に示してある接触圧力分布との比較によって明らかなように、図1に示してある著しい接触圧力最大値、つまり圧力ピークは、図7では消滅している。両方の図面において、接触圧力分布は同一基準で示してあり、接触圧力分布を示す各矢印の長さは接触圧力の高さを表している。
図8には、本発明に基づく1つのチェーンリンク4並びに1つの押圧片対(押圧片ペア)の1つの揺動片若しくは押圧片2を示してある。ここで使用してある符号は、すでに述べてある寸法比の説明のために用いてある:
d: リンク厚さ、
s: ウエブ幅、
l: ピッチ、
h: 押圧片高さ(揺動片高さ若しくは揺動押圧片高さ)、
w: 押圧片幅、
b: 内側ウエブ幅。
d: リンク厚さ、
s: ウエブ幅、
l: ピッチ、
h: 押圧片高さ(揺動片高さ若しくは揺動押圧片高さ)、
w: 押圧片幅、
b: 内側ウエブ幅。
本発明に基づく前述の寸法比は次のように規定されており、つまり、
l/d=3.7乃至5.5、及び/又は、
h/d=1.3乃至1.9、及び/又は、
w/d=0.8乃至1.2、及び/又は、
s/d=0.8乃至1.2である。
前記寸法比によって得られる利点はすでに述べてある通りである。
l/d=3.7乃至5.5、及び/又は、
h/d=1.3乃至1.9、及び/又は、
w/d=0.8乃至1.2、及び/又は、
s/d=0.8乃至1.2である。
前記寸法比によって得られる利点はすでに述べてある通りである。
1 リンクチェーン、 2,3 押圧片、 4 チェーンリンク、 5 押圧片、 6 チェーンリンク、 7 リンクチェーン、 8 接触面領域、 9,10 接触面、 11 接触面領域、 17 転動面、 18,19 接触面、 24 押圧片、 25 転動面、 26,27 接触面、 28 円弧長さ、 29 接線、 30 チェーン走行方向
Claims (11)
- リンクチェーンのためのチェーンリンクであって、殊に車両駆動部のためのリンクチェーンのためのチェーンリンクであって、リンクチェーンはチェーンリンクの結合のために枢着片、若しくは揺動片、押圧片、或いは揺動押圧片を備えており、この場合に枢着片高さとリンク厚さとの間の寸法比は、1.3乃至1.9であることを特徴とする、リンクチェーンのためのチェーンリンク。
- リンクチェーンのピッチとリンク厚さとの間の寸法比は、3.7乃至5.5である請求項1に記載のチェーンリンク。
- 押圧片幅とリンク厚さとの間の寸法比は、0.8乃至1.2である請求項1又は2に記載のチェーンリンク。
- ウエブ幅とリンク厚さとの間の寸法比は、0.8乃至1.2である請求項1から3のいずれか1項に記載のチェーンリンク。
- チェーンリンクは、打ち抜き部品若しくは精密打ち抜き部品として形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のチェーンリンク。
- 平滑切断量は、リンク厚さの少なくとも70%である請求項5に記載のチェーンリンク。
- リンクチェーンにおいて、該リンクチェーンは請求項1から6のいずれか1項に記載のチェーンリンクによって形成されていることを特徴とするリンクチェーン。
- リンクチェーンはCVT用チェーンとして形成されている請求項7に記載のリンクチェーン。
- リンクチェーンは音なし鎖として形成されている請求項7に記載のリンクチェーン。
- チェーン伝動装置において、該チェーン伝動装置は請求項1から9のいずれか1項に記載のリンクチェーンによって形成されていることを特徴とするチェーン駆動部。
- 車両において、該車両は請求項10に記載のチェーン伝動装置によって形成されていることを特徴とする車両。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DE102005047875 | 2005-10-06 | ||
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