JP2009509946A - リーシュマニア症及びトリパノソーマ症の治療のためのニトロビニルフラン誘導体を含有する医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、皮膚型、粘膜皮膚型及び内臓型リーシュマニア症並びにトリパノソーマ症の治療のために、LeishmaniaおよびTrypanosoma cruziの種々の株に関連する新しい製品ファミリーの代表の作用に関係する。上記製品は、Leishmania mexicana amazonensis, L.donovani infantum, L. braziliensis braziliensis及びTrypanosoma cruziに関連して、実験動物及びヒトにおけるインビトロ試験において既市販の医薬品より大きな有効性を示した。該ファミリーの製剤の治療効果は、種々の投与経路を使用して上記疾患の治療に使用してヒト及び動物において立証されている。
Description
本発明はヒト又は動物の健康に関係し、一般的にリーシュマニア症及びトリパノソーマ症の病原体に対して生物学的活性を持つ化合物のファミリーに関係する。
リーシュマニア症は、Leishmania属の寄生原虫により引き起こされる疾患である。この属は、ヒト及び動物対して病原性を持つ約20種を含んでいる。この疾患は、88カ国において記述されており、毎年1.5〜2百万人の新たな症例が報告されている。世界的に12百万人が罹患し、毎年350百万人が危険に曝されていると推定されている(CDC.http://www.dpd.cdc.gov/dpdx.,Parasitic Disease Information. Fact Sheet 1. April 2004)。
3つの臨床型(clinical forms)がある。
皮膚リーシュマニア症:この皮膚型は最も一般的であり、症例の90%を占める。治癒するまでに数ヶ月から数年を要する皮膚潰瘍が典型的である。二次的細菌又は真菌感染がしばしば一次病巣を悪化させる。
皮膚リーシュマニア症:この皮膚型は最も一般的であり、症例の90%を占める。治癒するまでに数ヶ月から数年を要する皮膚潰瘍が典型的である。二次的細菌又は真菌感染がしばしば一次病巣を悪化させる。
内臓リーシュマニア症:肝臓及び脾臓が腫大し、骨髄が障害され、そして患者は貧血症及び進行性体重減少になる。治療を受けなかった大部分及び遅い段階で治療を受けた患者の15〜20%は死亡する。
皮膚粘膜リーシュマニア症:一次の皮膚病巣が治癒した後数ヶ月から数年して、或いは皮膚潰瘍が未だ存在するときでも、寄生虫が口、鼻及び咽頭の粘膜に分布する。軟組織、主に軟骨が損傷を受け、顔面の奇怪な変形(monstrous deformities)を生じ、最終的に喉頭軟骨が破壊された後呼吸障害により死亡する。
後天性免疫不全症候群(AIDS)では、患者が長期間の治療を必要とし再発の頻度が高いので、この疫学的状況を悪化している(Alvar J, et.al.Clin Microbiol Rev 1997(10)298−319)。
5価アンチモン誘導体は、50年の間第一線の(the first line)薬物である。今日、Pentostam(登録商標)(スチボグルコン酸ナトリウム)及びGlucantime(登録商標)(アンチモン酸メグルミン)が、医療において使用されている医薬形態である。これらは総ての種に対して有効ではない;L.aethiopica及びL.majorは最も感受性が低い。さらに、従来感受性であった種の中で耐性の株の数が増加している(Aparicio P,et.al.
Enferm infecc Microbiol Clin 2003;21(10):579−94)。5価アンチモン誘導体に関連する副作用は、しばしば治療中止の原因となった。無症候性の膵炎(31%)、心臓毒性(15%)及び腎毒性(5%)は主な副作用である。リーシュマニアも併せて感染したAIDS患者は膵炎に対して著しく敏感である(Alvar J,et.al. Clin Microbiol Rev 1997(10):298−319)。
Enferm infecc Microbiol Clin 2003;21(10):579−94)。5価アンチモン誘導体に関連する副作用は、しばしば治療中止の原因となった。無症候性の膵炎(31%)、心臓毒性(15%)及び腎毒性(5%)は主な副作用である。リーシュマニアも併せて感染したAIDS患者は膵炎に対して著しく敏感である(Alvar J,et.al. Clin Microbiol Rev 1997(10):298−319)。
アンホテリシンB及びペンタミジンはリーシュマニア症の治療のための二次的な(the second line)薬物である。それらは、5価アンチモン耐性の症例のための予備である。二種のより毒性が少なく、有効なアンホテリシンBリピッド製剤(Alphocil(登録商標)及びAmBisone(登録商標))が開発されたが、罹患母集団の大部分は治療費を支払う余裕が無い(Aparicio P,et.al.
Enferm infecc Microbiol Clin 2003;21(10):579−94)。
Enferm infecc Microbiol Clin 2003;21(10):579−94)。
Chagas病としても知られるアメリカのトリパノソーマ症は、Trypanosoma cruzi感染により生じるラテンアメリカの風土病である。その結果として、毎年約50,000人が死亡する。毎年、20,000,000人がこの疾患に罹患していると推定され、さらに100,000,000人は病気にかかる危険がある。吸血性の昆虫の汚染された糞が人々に寄生虫を伝達する原因である(Anonymous,http://www.unl.edu.ar/eje.php?ID=1834,September 15,2005)。
過去60年間に、構造的に異なる数百の化合物がT.cruziに対して試験された。しかし、そのうちわずか数個が比較的成功して前臨床段階をパスした。ラテンアメリカにおいて二つの殺トリパノソーマ薬が承認された:nifurtimox(1972−1992)は最終的に市場から回収され、ベンズニダゾールは1975年から臨床上使用できるようになった(Paulino A,et al. Mini Rev Med Chem 2005;5(5):499−519; Lockman JW, Hamilton AD Curr Med Chem 2005;12(8):945−59)。
発明の説明
本発明はβ‐ニトロビニルフラン化学ファミリーの代表の下記6個のいずれかを含有する医薬組成物の作用を記述する:
2−(2−ニトロビニル)−フラン
2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
本発明はβ‐ニトロビニルフラン化学ファミリーの代表の下記6個のいずれかを含有する医薬組成物の作用を記述する:
2−(2−ニトロビニル)−フラン
2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
これらの医薬組成物は、β−ニトロビニルフラン誘導体の他に、医薬品に使用するビヒクル、賦形剤、溶媒及びアジュバントを含有する。溶媒は、ヒマワリ油、ワセリン又はMygliol 810などの無極性溶媒が好ましい。これらの医薬組成物はβ−ニトロビニルフラン誘導体を0.01から10%の範囲の濃度で含有する。正確な組成は、個別の化合物及び投与経路に依存する。局所又は全身の特定の投与経路の選択は、疾患の臨床型により決定する。トリパノソーマ症並びに粘膜皮膚型及び内蔵型のリーシュマニア症は、薬物の全身的分布を確実にする経路により治療される。これに対して、皮膚型リーシュマニア症及び上記臨床型のリーシュマニア症の皮膚症状は局所及び全身の両経路により治療される。
化合物の活性は、皮膚型、粘膜皮膚型及び内蔵型のリーシュマニア症の原因となる代表的種である3つのLeishmaniaの種に対して試験された。また、Chagas病の病原体であるTrimanosoma cruziに対しても試験された。
実施例1:前鞭毛型Leishmaniaに対するβ−ニトロビニルフラン誘導体のインビトロ活性
前鞭毛虫型のL.mexicana amazonensis, L.donovani infantum及びL.braziliensis braziliensisに対する平均阻害濃度(CI50%)を、Bodley AL et al(J Infect Dis 1995;172(4):1157−9)により記述されている方法に従って測定した。殺寄生虫最低濃度(CP100,培地中の総ての寄生虫の運動能を消失させることができる最低濃度)も測定した。アンホテリシンB及びGlucantime(登録商標)は対照薬として試験された。
前鞭毛虫型のL.mexicana amazonensis, L.donovani infantum及びL.braziliensis braziliensisに対する平均阻害濃度(CI50%)を、Bodley AL et al(J Infect Dis 1995;172(4):1157−9)により記述されている方法に従って測定した。殺寄生虫最低濃度(CP100,培地中の総ての寄生虫の運動能を消失させることができる最低濃度)も測定した。アンホテリシンB及びGlucantime(登録商標)は対照薬として試験された。
β−ニトロビニルフラン誘導体は総てかなり低い濃度で寄生虫の増殖を阻害した。同様に、それらを培地に加えた後最初の2〜3時間以内に低濃度において寄生虫死を生じた。アンホテリシンBはβ−ニトロビニルフランよりも高い活性であったが、Glucantime(登録商標)は有意に活性が低かった。
記号解:
A:2−(2−ニトロビニル)−フラン
B:2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
C:2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
D:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
E:2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
F:2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
記号解:
A:2−(2−ニトロビニル)−フラン
B:2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
C:2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
D:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
E:2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
F:2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
実施例2:Trypanosoma cruziに対するインビトロ活性
β−ニトロビニルフラン誘導体のインビトロ活性を、ラット筋芽細胞系の中で増殖した錘鞭毛型T.cruziに対して試験した。殺寄生虫最低濃度(培地中の総ての寄生虫を不動化する最低濃度)及び平均阻害濃度(非処理対照培地中に認められる寄生虫数の50%へ減数する濃度)をBucknerの方法(Antimicrob Agents Chemother 1996;40(11):2592−7)にしたがって測定した。この実験結果は、試験化合物がベンゾインダゾールよりも優れるインビトロ殺寄生虫活性を有することを明らかにした。
記号解:
A:2−(2−ニトロビニル)−フラン
B:2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
C:2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
D:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
E:2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
F:2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
β−ニトロビニルフラン誘導体のインビトロ活性を、ラット筋芽細胞系の中で増殖した錘鞭毛型T.cruziに対して試験した。殺寄生虫最低濃度(培地中の総ての寄生虫を不動化する最低濃度)及び平均阻害濃度(非処理対照培地中に認められる寄生虫数の50%へ減数する濃度)をBucknerの方法(Antimicrob Agents Chemother 1996;40(11):2592−7)にしたがって測定した。この実験結果は、試験化合物がベンゾインダゾールよりも優れるインビトロ殺寄生虫活性を有することを明らかにした。
記号解:
A:2−(2−ニトロビニル)−フラン
B:2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
C:2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
D:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
E:2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
F:2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
実施例3:毒性試験
β−ニトロビニルフラン誘導体の比較毒性試験を実施するために、インビボ抗リーシュマニア試験に使用されるのと同じ動物モデルを使用した。この目的に使用した組成物の主な賦形剤はヒマワリ油であった。それぞれのβ−ニトロビニルフラン誘導体及びアンホテリシンBの平均致死量(LD50)は、雌Balb/cマウス(体重18〜20g)において、1回腹腔内に注射して評価した。最高非致死用量(LD0)は用量−死亡曲線から算出した。また、最大耐容量(MTD,死亡を生ぜず、また最初の体重から10%を越える体重減少を生じない最大投与量)も、14日間12時間毎又は24時間毎に腹腔内に反復投与することにより測定した。結果は、β−ニトロビニルフラン誘導体は比較的広範囲のLD50を有し、アンホテリシンBより優れていることを示した。今回の一連の実験の間に測定されたMTDから、インビボ抗リーシュマニア活性の試験のために適切な投与量を選ぶことができた。
記号解:
A:2−(2−ニトロビニル)−フラン
B:2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
C:2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
D:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
E:2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
F:2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
β−ニトロビニルフラン誘導体の比較毒性試験を実施するために、インビボ抗リーシュマニア試験に使用されるのと同じ動物モデルを使用した。この目的に使用した組成物の主な賦形剤はヒマワリ油であった。それぞれのβ−ニトロビニルフラン誘導体及びアンホテリシンBの平均致死量(LD50)は、雌Balb/cマウス(体重18〜20g)において、1回腹腔内に注射して評価した。最高非致死用量(LD0)は用量−死亡曲線から算出した。また、最大耐容量(MTD,死亡を生ぜず、また最初の体重から10%を越える体重減少を生じない最大投与量)も、14日間12時間毎又は24時間毎に腹腔内に反復投与することにより測定した。結果は、β−ニトロビニルフラン誘導体は比較的広範囲のLD50を有し、アンホテリシンBより優れていることを示した。今回の一連の実験の間に測定されたMTDから、インビボ抗リーシュマニア活性の試験のために適切な投与量を選ぶことができた。
記号解:
A:2−(2−ニトロビニル)−フラン
B:2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン
C:2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
D:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン
E:2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
F:2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン
実施例4:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン及び2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランによる実験的皮膚型リーシュマニア症の治療。早期段階の病巣が24時間毎に治療された。
Balb/cマウスをその足蹠の皮内にL.m.amazonensis前鞭毛虫を注射して実験的に感染させ、6週間後に腹腔内経路により試験化合物でマウスを治療した。製品2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランは5mg/Kgの用量で投与し、2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランは50mg/Kgの用量で投与し、アンホテリシンBは1mg/Kgで投与した。動物には14日間毎日投与した。β−ニトロビニルフラン誘導体の賦形剤として使用したMiglyol 810を、同様に一群のマウスに投与した。全く治療を受けない感染マウスの一群を、対照として含めた。
Balb/cマウスをその足蹠の皮内にL.m.amazonensis前鞭毛虫を注射して実験的に感染させ、6週間後に腹腔内経路により試験化合物でマウスを治療した。製品2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランは5mg/Kgの用量で投与し、2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランは50mg/Kgの用量で投与し、アンホテリシンBは1mg/Kgで投与した。動物には14日間毎日投与した。β−ニトロビニルフラン誘導体の賦形剤として使用したMiglyol 810を、同様に一群のマウスに投与した。全く治療を受けない感染マウスの一群を、対照として含めた。
病巣拡大曲線(図1)は、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン又は2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランのいずれかにより治療されたマウスでは、治療の最初の週の間で病巣拡大が最小であることを示した。2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランで治療された動物は病変サイズの若干の減少を示した。試験群のその週の病巣の拡大は他の群に比較して統計的に少なかった。治療の第二週の間の拡大率は総ての実験群においてほぼ同じであった。しかし、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランによる治療により第一週に生じた相違は、治療終了後さらに2週間続いた。アンホテリシンBで治療されたマウスの群は対照群に類似する経過であった;しかし、治療中止後第一週の間、病巣拡大率の著しい減少を示した。
実施例5:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン及び2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランによる実験的皮膚リーシュマニア症の治療。早期段階の病巣が12時間毎に治療された。
実験は、本質的に上記の方法に類似する方法で行われた。しかし、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランを2mg/Kgの用量で投与し、2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランを100mg/Kgの用量で投与した。治療は腹腔内経路で投与したが、24時間毎でなく12時間毎であった。
実験は、本質的に上記の方法に類似する方法で行われた。しかし、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランを2mg/Kgの用量で投与し、2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランを100mg/Kgの用量で投与した。治療は腹腔内経路で投与したが、24時間毎でなく12時間毎であった。
2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランで治療されたマウスの病巣は、治療の第一週の間減少し(図2)、対照マウスよりも統計的に小さかった(P<0.001)。次の週、病巣は対照と類似の速度で大きくなり、そして次の週、病変拡大速度の減少が認められた。治療終了の7日後、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランで治療したマウスは対照より統計的に(P<0.05)小さい病変を示した。
2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン又は2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランのいずれかで治療されたマウスの病巣拡大速度は、対照に比較して有意に小さかった。同様に、両製品はアンホテリシンBよりも高い活性を示した。
実施例6:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン及び2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランによる実験的皮膚リーシュマニア症の治療。慢性病変を12時間毎に治療した。
感染後18週の慢性リーシュマニア病巣をマウスに作った。病巣は潰瘍化し、厚い痂皮で覆われていた。感染した足の甲−底方向(dorso−plantar)の平均径は1.23±0.24cmであり側方向(lateral)の径は1.24±0.19cmであった。その時点において、1日おきに1日2回の2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン2mg/Kg;2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン50mg/Kg又はアンホテリシンB5mg/Kgのいずれかによる治療を始めた。実験には、非治療感染マウスにより構成された対照群も含めた。薬物は総て腹腔内経路により14日間投与された。
感染後18週の慢性リーシュマニア病巣をマウスに作った。病巣は潰瘍化し、厚い痂皮で覆われていた。感染した足の甲−底方向(dorso−plantar)の平均径は1.23±0.24cmであり側方向(lateral)の径は1.24±0.19cmであった。その時点において、1日おきに1日2回の2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン2mg/Kg;2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン50mg/Kg又はアンホテリシンB5mg/Kgのいずれかによる治療を始めた。実験には、非治療感染マウスにより構成された対照群も含めた。薬物は総て腹腔内経路により14日間投与された。
2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランによる治療の第一週の間、感染足の甲−底方向の径の減少を示し(図3)、それは対照群と差があった(P<0.05)。これらのマウスの病巣の側方向の径も減少を示したが、対照マウスの径に近似していた(P>0.05)。2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランは、慢性病変に対して有効性は認められなかった。アンホテリシンBは、甲−底方向の径も側方向の径も対照群の病巣と統計的に差がなかったので(P>0.05)、有効でなかった。
治療終了時まで(図4)、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランにより治療されたマウスは病巣サイズの減少を示した。これらのマウスの病巣は、足の甲−底方向の径(P<0.05)及び側方向の径(P<0.01)の両者において対照に対して有意に異なった。またこれらのマウスはアンホテリシンBで治療したマウスとも異なった(P<0.05)。これに対して、2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランによる治療は効果的でなかった。
アンホテリシンBにより治療された動物では、対照と同様に足の甲−底の径は増加した(P>0.05)。アンホテリシンB治療マウスの病変において側方向の径は減少したが、この変化は対照において認められた変化と差がなかった(P>0.05)。
対照マウスが主に足の甲−底方向の径でその病変を増加させていることを図は示している。興味あることに、試験薬物の治療効果は側方向の径に関してより明瞭である。
L.m.amazonensisを接種されたBalb/cマウスに発症した実験的皮膚リーシュマニア症の生物モデルにおいて実証されたように、この試験により、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランがLeishmaniaに対してインビボ活性を持つことが示された。他方、2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランは高用量が必要であったが、実験的疾患に対するインビボ効果も示された。
実施例7:2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フランによるヒト皮膚リーシュマニア症の治療
皮膚リーシュマニア症の寄生虫学的診断を受けた100例の患者を治療した。活性成分として2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン0.15%と主たる賦形剤としてワセリンを含有する油性軟膏で1日1回21日間外用により患者を治療した。
皮膚リーシュマニア症の寄生虫学的診断を受けた100例の患者を治療した。活性成分として2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン0.15%と主たる賦形剤としてワセリンを含有する油性軟膏で1日1回21日間外用により患者を治療した。
患者の90%は皮膚病変の完全治癒を示した。回復の時間は病巣の重症度により、10日から21日まで変動した。治療期間の終りに、回復した患者の90%は潰瘍の治癒のみならず、寄生虫感染の一次作用及び二次的細菌又は真菌汚染による局所及び全身症状も同様に消失したことを示した。
患者は、プロトコールでは予想された、治療の継続を妨げるような副作用は全く示さなかった。
患者は、プロトコールでは予想された、治療の継続を妨げるような副作用は全く示さなかった。
Claims (6)
- リーシュマニア症及びトリパノソーマ症を治療するためのニトロビニルフラン誘導体を含有する医薬組成物。
- 前記リーシュマニア症は皮膚型、粘膜皮膚型及び内蔵型の臨床型を含み、トリパノソーマ症はTrypanosoma cruziにより生じる症状である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記ニトロビニルフラン誘導体が、2−(2−ニトロビニル)−フラン、2−ブロモ−5−(2−ニトロビニル)−フラン、2−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン、2−ブロモ−5−(2−ブロモ−2−ニトロビニル)−フラン、2−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フラン又は2−ブロモ−5−(2−メチル−2−ニトロビニル)−フランである、請求項1及び2に記載の医薬組成物。
- 投与経路が局所又は全身のいずれかである、請求項1から3の請求項に記載の医薬組成物。
- 前記医薬活性成分、及び、投与経路によって、油性軟膏、油及びグリコールを含有する請求項1から4に記載の医薬組成物。
- リーシュマニア症及びリーシュマニア病変に伴う日和見細菌感染及び真菌疾患を併せて治療するのに適している請求項1から5に記載の医薬組成物。
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