JP2009507680A - 浸透性変化層を有する印刷部材及び関連する方法 - Google Patents

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Abstract

アブレーション機構ではなく透過性を変化させることで、平板印刷プレートのイメージング層の選択的な除去を促進し、それによってアブレーションが起こるエネルギーレベルを付与する必要のない低出力レーザを用いたイメージングを可能とする。
【選択図】なし

Description

本願は、2005年9月9日付けの米国仮出願第60/715,035号に優先権を主張するものであり、参照することでその内容の全てを本書に取り入れることとする。
オフセット平板印刷では、印刷可能な画像は、インク受容性(親油性)及びインク反撥性(疎油性)の表面領域として印刷部材上に存在する。インクは、これらの領域に適用されると、十分な再現性を有する画像パターンとして記録媒体へと効率的に転写される。湿式平板印刷システムでは、非画像領域は親水性であり、必要なインク反発性は、インク付与前にプレートに湿潤流体をまず適用することによってもたらされる。当該湿潤流体は、インクが非画像領域に付着するのを防止するが、画像領域の親油性特性には影響しない。印刷部材に均一に適用されたインクは、画像パターンとしてのみ記録媒体へと転写される。典型的に、印刷部材は、ブランケット胴と呼ばれる弾性の中間体表面にまず接触させられ、次いで、それが、紙あるいは他の記録媒体へと画像を適用する。典型的な枚葉印刷システムでは、記録媒体は、圧胴に固定され、そしてブランケット胴と接触するようになる。
従来の印刷技術の特徴であるところの厄介な写真現像、プレート取り付け、及びプレート記録を回避するために、専門家達は、デジタル様式にて画像パターンを格納し且つ当該パターンを直にプレート上に押しつける代替の電子機器を開発した。コンピュータ制御できるプレートイメージング機器は、種々の形態のレーザを備える。
現在のレーザを用いた石版印刷システムでは、一般に、画像を生成するために、石版印刷プレートからエネルギー吸収性の層を除去している。レーザ放射への露出は、例えば、融除層のアブレーション、即ち、崩壊的な過熱を生じさせることができ、その除去を促進し得る。従って、レーザパルスは、相当のエネルギーを吸収性層にもたらさねばならない。これは、たとえ低出力レーザであっても非常に迅速な応答時間が可能でなければならず、またイメージング速度(即ち、レーザパルス速度)は、各イメージングパルスによる必要なエネルギー供給が妨げられるほど速くあってはならないことを意味する。
本発明は、アブレーション機構ではなく透過性の変化を利用することで石版印刷プレートのイメージング層の選択的な除去を促進し、それによって、アブレーションの起こるエネルギーレベルを付与する必要のない、低出力レーザを用いたイメージングが可能となる。第1の態様では、本発明は、第1の層、その下の第2の層、及び該第2の層の下にある基材を有して成る印刷部材に関する。第1の層は、熱に応答して非透過性状態から透過性状態へと変化し、第2の層は、不溶性状態から可溶性状態へと変化するか又は元々可溶性である。この透過性及び溶解度の変化は、水又は他の溶剤に対してのものである。一般に、基材及び第1の層は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に対して、反対の親和性を有し得る。また、第1及び第2の層は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に対して、同じ又は反対の親和性を有し得る。第1の層が透過性状態へと変化することで、溶剤は第1の層に浸透して第2の層を溶解させることができる。こうして固体状態の解かれた第1の層は、機械的若しくは他の作用により除去することができ、それによって基材が露出する。
第1及び第2の層は、結晶状態から非晶質状態へと変化し得る。イメージング放射線に曝された第1の層の実質的に全てが変化することができる。第2の層は、元々可溶性であるか、又はイメージング放射線に曝されると十分に可溶性となり、溶剤の作用によって除去される(あるいは、容易に除去可能な状態となる)。基材は、金属若しくは高分子から製造することができる。第1の層は、イメージング放射線を吸収し且つ第2の層へと熱エネルギーを伝える、顔料や染料などの物質を含有することができる。あるいはまた、第2の層が顔料や染料などを含有するか、又はそれは両方の層に存在させ得る。
幾つかの実施形態では、印刷部材は、第2の層と基材との間に第3の層をさらに含む。この第3の層は可溶性であり、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して、第1の層とは反対の親和性を有する。基材と第3の層は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に関して同じ又は反対の親和性を有することができる。
幾つかの実施形態では、印刷部材は、第2の層と基材との間に第3の層を含む。この第3の層は、それ自体、印刷表面であり得る。この第3の層は、一般に、透過性又は可溶性ではなく、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して、第1の層とは反対の親和性を有する。基材と第3の層は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に関して、同じ又は反対の親和性を有することができる。
幾つかの実施形態では、印刷部材は、第1及び第2の層の間に第3の層を含む。この第3の層は、溶剤に透過性である。
幾つかの実施形態では、印刷部材は、第1の層の上に、トップ層を有する。当該トップ層は、溶剤(例えば、水性流体)に対し透過性であり、イメージング放射線に対し透明であり、インク及びインクが付着しようとしない液体に関して第1の層と同じ親和性を有する。
幾つかの実施形態では、基材は、さらに、基材の上に配される基材変性剤を含む。当該基材変性剤は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体への親和性を基材に付与する。
他の態様では、本発明は、上述の平板印刷部材をイメージングする方法に関する。一実施形態では、印刷部材を画像パターンのイメージング放射線に曝して、放射線に曝された第1の層は非透過性状態から透過性状態へと変化し、第2の層は可溶性状態となるか又は可溶性状態のままである。次いで印刷部材を溶剤(例えば、水性流体)に当てると、溶剤は第1の層に浸透し第2の層の可溶性部分を溶解させる。その後、第1の層を除去することで、印刷部材上に画像形態の平板印刷パターンを生成することができる。
本書で用いるとき、用語「部材」は、インク及び/又は水性流体に対し異なる親和性を示す領域によって画定される画像を記録し得る、任意の種類の印刷部材若しくは表面を指すことに留意されたい。適切な構成としては、印刷機の版胴上に載置された従来の平坦若しくは湾曲した平板印刷プレートを挙げることができるが、シームレスのシリンダ(例えば、版胴の回転表面)、循環ベルト、又は他の構成も含まれ得る。
さらに、印刷に関して用いるとき、用語「親水性」とは、インクが付着するのを防止する流体に対する表面親和性をいう。当該流体としては、従来のインクシステムのための水、水性及び非水性湿潤液、及び単一流体インクシステムの非インク相が挙げられる。こうして、本明細書による親水性表面は、油性物質と比較して、これらの物質に対し選択的な親和性を示す。
以上の説明は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を考慮することで、より容易に理解されよう。
1. イメージング装置
本発明の印刷部材と共に用いるのに適するイメージング装置は、最大プレート応答の領域にて放射する少なくとも1つのレーザ機器、即ち、プレートが最も強く吸収する波長領域に近いλmaxを有するもの、を備える。赤外(IR)若しくは近IR領域にて放射するレーザの仕様については、米国特許第35,512号(「’512号特許」)及び第5,385,092号(「’092号特許」)に十分な記載があり、参照することでその開示内容の全てを本明細書に取り入れることとする。電磁スペクトルの他の領域におけるレーザ放射は、当業者に周知である。
適切なイメージング構成についても、’512号特許及び’092号特許に詳細に記載されている。簡潔にいえば、レーザ出力は、レンズや他のビーム誘導要素を介してプレート表面に直に与えるか、又は光ファイバケーブルを用いて離れて置かれたレーザから未記録の印刷プレート表面へと送ることができる。コントローラ及び関連する位置定めハードウェアは、プレート表面に関してビーム出力を正確な向きに保持し、表面にわたって出力を走査し、そしてプレートの特定のポイントに隣接した位置又は領域にてレーザを作動させる。当該コントローラは、プレート上にコピーされるオリジナルの文書や図面に対応した画像入力信号に応答し、そのオリジナルの正確なネガ画像若しくはポジ画像を生成することができる。画像信号は、コンピュータにビットマップデータファイルとして格納されている。そのようなファイルは、レーザイメージプロセッサ(「RIP」)又は他の適切な手段により生成することができる。例えば、RIPは、印刷プレート上に転写すべき全ての記事を画定するページ記述言語にて、又はページ記述言語と1つ又は複数の画像データファイルとの組み合わせとして、入力データを受容することができる。ビットマップは、スクリーン線数及び角度、並びに色の色相を画定するように構成される。
光弁(light valving)及び類似の構成を含むもののような他のイメージングシステムもまた用いることができる:例えば、米国特許第4,577,932号;第5,517,359号;第5,802,034号;及び第5,861,992号を参照。参照することで、その開示内容の全てを本明細書に取り入れることとする。さらに、画像スポットは、隣接して、又は重ね合って適用し得ることに留意されたい。
当該イメージング装置は、プレート製造機としてのみ機能させてそれ単独で運転したり、又は平板印刷機にそのまま組み込むことができる。後者の場合には、印刷は、未記録プレートに画像を適用した直後に開始することができ、それによって、印刷準備時間をかなり削減することができる。当該イメージング装置は、フラットベッドレコーダ又はドラムレコーダとして構成することができ、平板印刷プレートは、ドラムのシリンダ表面の内壁若しくは外壁に載せられる。明らかに、ドラム外壁を用いる設計が、平板印刷機においてin situで使用するのにより適しており、その場合、印刷シリンダ自体が、レコーダ又はプロッタのドラム要素を構成する。
ドラム構成では、レーザビームとプレートとの間の必須の相対運動は、ドラム(及びその上に載置されたプレート)をその軸に関して回転させ、その回転軸に対し平行方向にビームを動かすことにより達成され、それによって軸方向に画像が「成長」するようにプレート周囲を走査することができる。あるいはまた、ビームをドラム軸に平行に動かし、そして、各パスがプレートを横切る毎に少しずつ回転させ、それによってプレート上の画像を円周方向に「成長」させることができる。両方の場合において、ビームによる走査が完了した後に、オリジナルの文書若しくは図面に対応する画像(ポジ又はネガ)がプレート表面に適用される。
フラットベッド構成では、ビームは、プレートの何れかの軸に沿って移動し、各パス毎に他の軸に沿って移動する。当然、ビームとプレートとの間の必要な相対運動は、ビームの移動の代わりに(又はそれに加えて)、プレートの移動によって生成することができる。
ビームが走査される態様に関係なく、オンプレス用途のためのアレイ型システムでは、複数のレーザを用い、それらの出力を単一の書き込みアレイに誘導することが一般に好ましい。次いで、プレートを横切る又はプレートに沿った各パスの完了後に、アレイから発せられるビームの数並びに所望の解像度(即ち、長さ当たりの画像ポイントの数)によって定まる距離だけ、書き込みアレイをシフトさせる。非常に迅速な走査に適応するよう設計されており(例えば、高速モータ、ミラー等を用いることによって)、それによって高いレーザパルス速度を利用することができるオフプレス用途では、多くの場合、イメージング源として単一のレーザが利用される。
2. 透過性変化層を有する平板印刷部材
図1は、本発明による印刷部材の一実施形態100を示しており、それは、熱に応答して変化することになる第1の層101、第2の層102、及び基材103を備える。図2は、第1の層101の上に配置された溶剤透過性のトップ層104を有する変更形態200を示している。図3は、第1の層101の上に配置された溶剤透過性のトップ層104を有する他の変更形態300を示しており、そこでは、第1及び第2の層はイメージング放射線を吸収しない。図4は、熱に応答して変化することになる第1の層101、第2の層102、基材103、及び第2の層と基材との間に配置された任意選択の溶剤透過性層104を有する、本発明による印刷部材の実施形態400を示している。図5は、熱に応答して変化することになる第1の層101、第2の層102、基材103、及び第2の層と基材との間に配置された任意選択の第3の層105を有する、本発明による印刷部材の実施形態500を示している。第3の層105は、透過性でも可溶性でもない。以下、これらの層並びにその機能を詳細に説明することとする。
2.1. 第1の層101
第1の層101は、水などの溶剤に対し透過性となり、その上、そのような溶剤による可溶化に耐性を示す高分子を含有する。一般に、この層は、第2の層102の上の保護バリアとして働き、それが印刷部材の最上層である場合には、その下にある少なくとも1つの層のそれとは反対の石版印刷親和性を示す。例えば、第1の層101は、親油性若しくは疎油性とし得る。第1の層101は、イメージング放射線に対し透明としたり、又は実施形態300におけるように、第2の層102に熱を付与してその変化を促進するために、イメージング放射線を吸収したりすることができる。この層に利用される高分子は、第2の層102への良好な付着性を示し、摩耗耐性が高くなければならない。架橋剤を第1の層101に添加することで、これらの特性を高めることができる。適切な高分子は、水ベースあるいは溶剤ベースの何れでもよく、親油性若しくは疎油性とし得る。第1の層101は、(必ずしも必要はないが)イメージング放射線を吸収し、第2の層102に熱エネルギーを伝える物質を含有することができる。
親油性の第1の層101にとって適切な高分子としては、限定はしないが、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェノール、ポリエチレンなどの非極性物質が挙げられる。
親水性の第1の層101にとって適切な高分子としては、限定はしないが、ポリ(オキシエチレン)ジオール及びポリ(オキシテトラメチレン)ジオールのような、そのアルキレン部が直鎖であるところのポリオキシアルキレンポリオール;2〜約12のメチレン基を有するポリオール(複数可)と2〜約12のメチレン基を有するポリカルボン酸(複数可)との反応生成物であるところのポリエステルポリオール;ε−カプロラクトンなどのラクトンの開環重合により製造されたポリエステルポリオール;及びそれらの混合物をはじめとする、ポリオール結晶体が挙げられる。第1の層101にとって有用な他の非晶質のヒドロキシ官能性材料としては、エチレンオキシドで保護されているか(capped)又はエチレンオキシドと共重合されているポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,2−ポリオキシブチレングリコール、1,4−ポリオキシブチレングリコールの反応生成物が挙げられる。ポリエーテルグリコールは、例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを共重合させた反応生成物、あるいはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ブチレンオキシド及びそれらの混合物をはじめとする1つ又は複数の成分から形成されたホモポリマー又はコポリマーであるところの化合物とし得る。これらの物質は、ランダムあるいはブロック配列を有し得る。得られたポリエーテルポリオールの数平均分子量は、約1000〜約8000グラム/モルであり、一般に約2000〜4000グラム/モルである。好ましいポリオール結晶体としては、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、ポリヘキサメチレンアジピン酸エステルジオール(過剰の1,6−ヘキサメチレンジオールとアジピン酸の反応により製造)、ポリヘキサメチレンセバシン酸ジオール(過剰の1,6−ヘキサメチレンジオールとセバシン酸の反応により製造)、及びポリヘキサメチレンドデカン二酸エステルジオール(過剰の1,6−ヘキサメチレンジオールとドデカン二酸の反応により製造)が挙げられる。市販のポリオール結晶体の例としては、例えば、商品名TERATHANE(デュポン社から入手可能)として販売されているポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール;商品名LEXOREZ(イノレックスケミカル社から入手可能)、RUCOFLEX(ルコポリマー社から入手可能)、FORMREZ(ウィトコケミカル社から入手可能)として販売されているポリエステルポリオール;商品名TONE(ユニオンカーバイド社から入手可能)として販売されているポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
第1の層101はまた、熱応答ユニットであるポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(「PNIPAAM」)と生分解性疎水性ユニットであるポリ(L−乳酸)(「PLLA」)をベースとし得る、いわゆる「インテリジェントポリマー」のような1つ又は複数の高分子の組み合わせから形成することもできる。
層101に有用な他の組み合わせ高分子(combination polymer)としては、両親媒性セグメント化コポリマーが挙げられる。両親媒性セグメント化コポリマーは、疎水性高分子を含む少なくとも1つのセグメントBを有する。限定はしないが、ポリジメチルシロキサン及びポリジフェニルシロキサンなどのポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル、ポリスチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルアセテート、ポリオキシブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、PTHF、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリビニルエーテル、及びポリ(プロピレンオキシド)及びそれらのコポリマーなどの任意の疎水性高分子を用いることができる。
疎水性セグメントは、好ましくは、支配的な量の疎水性モノマーを含有する。疎水性モノマーは、水中において不溶性であり且つ10重量%未満の水しか吸収しないホモポリマーを典型的にもたらすものである。
適切な疎水性モノマーとしては、C−C18アルキル、C−C18シクロアルキルアクリレート及びメタクリレート、C−C18アルキルアクリルアミド及びメタクリルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルC−C18アルカノアート、C−C18アルケン、C−C18ハロアルケン、スチレン、(低級アルキル)スチレン、C−C12アルキルビニルエーテル、C−C10パーフルオロアルキルアクリレート及びメタクリレート並びに対応する部分的にフッ素化されたアクリレート及びメタクリレート、C−C12パーフルオロアルキルエチルチオカルボニルアミノエチルアクリレート及びメタクリレート、アクリルオキシ−及びメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸のC−C12アルキルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、トリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリレート(TRIS)、及び3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
疎水性セグメントBに加えて、両親媒性セグメント化コポリマーは、限定はしないが、ポリオキサゾリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリアシルアルキレンイミン、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシエチルアクリレート、及びヒドロキシプロピルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリオール、及び上述の高分子の2つ以上から成る共重合混合物、ポリサッカリド及びポリペプチドなどの天然高分子、及びそれらのコポリマー、及びポリアリルアンモニウム、ポリエチレンイミン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウム、ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリピロール、及びポリピリジニウムなどのポリイオン性分子(polyionic molecules)、ポリチオフェン−酢酸、ポリスチレンスルホン酸、双性イオン分子、及びそれらの塩やコポリマーのような、少なくとも1つの親水性高分子を含む少なくとも1つのセグメントAを有する。
親水性セグメントは、好ましくは、支配的な量の親水性モノマーを含む。親水性モノマーは、水中において可溶性であり且つ少なくとも10重量%の水を吸収し得るホモポリマーを典型的にもたらすものである。
適切な親水性モノマーは、ヒドロキシ置換された低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アルキル)アクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N−ジアルキル−アクリルアミド、エトキシル化アクリレート及びメタクリレート、ポリエチレングリコール−モノメタクリレート及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、ヒドロキシ置換された(低級アルキル)アクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシ置換された低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、合計炭素数3〜5の不飽和ビニルカルボン酸、アミノ(低級アルキル)(ここで、用語アミノはまた第4級アンモニウムも含む)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)及びジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリレート及びメタクリレート、アリルアルコール、3−トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクレートクロリド(例えば、Nippon OilのBlemer,QA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、グリセロールメタクリレート、及びN−(1,1−ジメチル−3−オクソブチル)アクリルアミドである。
特定のコポリマーもまた有用である。そのような材料は、ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド(PS−b−PEO)コポリマーであり、それは、ガラス転移点100℃の非晶質高分子であるポリスチレン(PS)と、平衡融点69℃の結晶性高分子であるポリエチレンオキシド(PEO)とから形成される。それらの異なる化学的特性のために、PS及びPEOはお互いとは分離しており、PSマトリックスがガラス転移した後は、結晶化したPEOブロックは完全にコポリマーのナノ空間に閉じ込められる。
種々の熱応答高分子の実例は、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)のポリマー及びコポリマーである。ポリNIPAAmは、その低臨界溶解温度(LCST)、即ち、曇点である32℃において水から析出する熱応答性高分子である。ポリNIPAAmをアクリルアミドのようなより親水性のコモノマーと共重合させると、LCSTはより高くなり、コポリマーは析出温度範囲はより広くなる。t−ブチルアクリルアミドのようなより疎水性のコモノマーと共重合させると逆のことが起こり、これらのコポリマーは通常、PNIPAAmのシャープな変化特性をより維持する傾向がある。従って、所望のLCST並びに所望の析出温度範囲を有するコポリマーを作ることができる。
一方の末端に反応基を有するNIPAAm(又は他のビニルモノマー)のオリゴマーは、開始剤にAIBNを用い、さらに一方の末端にチオール(H−SH)基を有し他方の末端に所望の「反応」基(例えば、−OH、−COOH、−NH)を有する連鎖移動剤を用いた、NIPAAmのラジカル重合によって調製することができる。例えば、Chenらによる、Bioconiugate Chem.4:509−514(1993)及びChenらによる、J.Biomaterials Sci.Polymer Ed.5:371−382(1994)を参照されたい。DMF中に適切な量のNIPAAm、AIBN及び連鎖移動剤を含むものを厚壁重合管内に入れ、当該混合物を真空冷凍及び解凍することで脱気する(4回)。最終回で冷却した後、重合の前に、管を真空シールする。その管を60℃の温浴に4時間浸す。生じる高分子をジエチルエーテル中に析出させて単離し、重量を量り収率を決定する。当該高分子の分子量は、滴定(末端基がアミン又はカルボキシの場合)又は気相浸透圧測定(VPO)の何れかで決定する。pH感応性オリゴマー若しくはポリマーが望ましい場合、メタクリル酸やアクリル酸、マレイン酸や無水物、AMPS、又は上述のリン酸エステルモノマー(「Phosmer」)のような酸性モノマーを用いることができ、アミノエチルメタクリレート(AEMA)やビニルホルムアミドのような、重合後にポリビニルアミンへと加水分解できる塩基性モノマーを用いることができる。
IR又は近IRイメージング放射線を用いる場合、適切な吸収性物質には、カーボンブラック、ニグロシン系染料、フタロシアニン(例えば、アルミニウムフタロシアニンクロリド、チタニウムオキサイドフタロシアニン、バナジウム(IV)オキサイドフタロシアニン、及びウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ社から供給されている溶解性フタロシアニン)、ナフタロシアニン、鉄キレート化合物、ニッケルキレート化合物、オキソインドリジン、イミニウム塩、及びインドフェノールなどの広範な染料及び顔料を挙げることができる。これらの物質は、最終フィルムへと架橋する前に、プレポリマー中に分散させることができる。あるいはまた、吸収剤は、高分子の主鎖に化学的に取り込まれた発色団とし得る;米国特許第5,310,869号を参照。
吸収性物質は、第1の層101と隣接層との間の付着には最小限の影響を及ぼすべきである。マサチューセッツ州ベッドフォードのキャボット社によって商品名CAB−O−JET 200として販売されている表面変性カーボンブラック顔料は、加熱に対し十分な感度をもたらす含量レベルにおいて、付着を最小限にしか阻害しないことが見出されている。他の適切なカーボンブラック顔料は、ニュージャージー州スプリングフィールドのオリエント社から入手可能なBONJET BLACK CW−1である。
例示的な第1の層101は、例えば、適切な溶剤中にポリウレタン高分子、IR吸収性物質(例えば、CAB−O−JET 200カーボンブラック)、及びヘキサメトキシメチルメラミン架橋剤を混ぜ、次いで適切なアミン保護p−トルエンスルホン酸触媒を添加して完成したコーティング混合物を形成することのような、当分野で既知の混合法及びコーティング法により調製することができる。次いで、ワイヤ巻きロッドコーティング、リバースローラコーティング、グラビアコーティング、又はスロットダイコーティングなどの慣用のコーティング適用法の1つを用いて、コーティング混合物を第2の層104に適用し、次いで、揮発性液体を除去するために乾燥させて、コーティング層を形成することができる。
本発明においては、第1の層101は、典型的に、約0.1〜約20ミクロンの範囲、より好ましくは約0.1〜約0.25ミクロンの範囲の厚さにてコーティングされる。コーティング後、層を乾燥させ、145℃〜165℃の温度にて硬化させることが好ましい。
2.2. 第2の層102
第2の層102は、溶解することによって印刷部材上に画像を記録する。層102は、元々可溶性であるか、あるいは熱に応答して不溶性状態から可溶性状態への相変化若しくは他の物理化学変化を経ることができる。この層に利用される高分子は、その上にある第1の層101や任意選択のトップ層104、及びその下にある基材103や第3の層105に対し良好な付着性を示し、且つ摩耗耐性が高くなければならない。第2の層102はまた、イメージング放射線を吸収する物質を含有することができる。
第2の層102は、加熱に応答して、不溶性の結晶状態から可溶性の非晶質状態へと変化し得る。一実施形態では、変化は可逆的であり、それによって、本発明による印刷部材は「消去」され再び画像形成することができる。消去は、例えば、オーブン内で画像形成されたプレートを加熱して、そしてそれをゆっくりと冷やすことにより達成することができる。加熱及びゆっくりとした冷却によって、第2の層102はその不溶性状態へと再結晶化することができるものと考えられる。冷却したなら、プレートをイメージング放射線に再度露出することができ、はじめの画像の形跡なく、新しい画像を発現させ得る。この「消去」法は、1回より多く繰り返すことができる。
好ましくは、第2の層102の未印刷部は、実質的な劣化や溶解なしに、印刷時の水溶液の繰り返し適用に耐える。詳細には、第2の層102の劣化は、層の膨潤及び/又は隣接層への付着性の低下といった形態をとり得る。この膨潤及び/又は付着性の低下は、印刷品質を低下させ、印刷部材の印刷寿命を急激に低下させる。印刷時の水溶液の繰り返し適用に対する耐久性に関する1つの試験は、湿潤擦り耐性試験である。水溶液の繰り返し適用に対し耐久性であり、水中若しくは洗浄溶液中に過度に溶解しない満足のいく結果は、湿潤擦り耐性試験において、3%のドットの保持率である。
一般に、第2の層102に適する高分子物質には、ヒドロキシ基やカルボキシ基のような露出した極性部分を有する天然及び非天然の高分子が含まれる。適切な高分子としては、限定はしないが、ポリエチレン誘導体(ポリエチレンオキシドなど)、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニル誘導体(ポリビニルアルコール及びポリビニルエーテルなど)、多糖(デキストリン、デキストラン、及びデンプン誘導体など)、ポリグリコリド、ゼラチン、及びポリオール、特に結晶体が挙げられる。適切なポリオール結晶体としては、そのアルキレン部がポリ(オキシエチレン)ジオール及びポリ(オキシテトラメチレン)ジオールのような直鎖であるところのポリオキシアルキレンポリオール;2〜約12のメチレン基を有するポリオール(複数可)と2〜約12のメチレン基を有するポリカルボン酸(複数可)との反応生成物であるところのポリエステルポリオール;ε−カプロラクトンなどのラクトンの開環重合により製造されたポリエステルポリオール;及びそれらの混合物が挙げられる。好ましいポリオール結晶体としては、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、ポリヘキサメチレンアジピン酸エステルジオール(過剰の1,6−ヘキサメチレンジオールとアジピン酸の反応により製造)、ポリヘキサメチレンセバシン酸ジオール(過剰の1,6−ヘキサメチレンジオールとセバシン酸の反応により製造)、及びポリヘキサメチレンドデカン二酸エステルジオール(過剰の1,6−ヘキサメチレンジオールとドデカン二酸の反応により製造)が挙げられる。市販のポリオール結晶体の例としては、例えば、商品名TERATHANE(デュポン社から入手可能)として販売されているポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール;商品名LEXOREZ(イノレックスケミカル社から入手可能)、RUCOFLEX(ルコポリマー社から入手可能)、FORMREZ(ウィトコケミカル社から入手可能)として販売されているポリエステルポリオール;商品名TONE(ユニオンカーバイド社から入手可能)として販売されているポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
他の適切な高分子は、例えば、Robert L. Davidsonによる「Handbook of Water−Soluble Gums and Resins」を参照する(参照することで本明細書に取り入れることとする)ことによって、当業者には直ちに理解される。好ましい実施形態では、第2の層102は、ポリビニルアルコールを含有する。
比較的低い結晶化度を有する高分子もまた、第2の層における使用に適している。例えば、その融点よりも高く高分子を加熱し、次いでゆっくりと冷やすことにより、高分子の結晶化を促進することができる。あるいはまた、高分子を可逆的に架橋することによって、より結晶性の構造をもたらすことができる。例えば、高分子量のポリアクリルアミドは、水素結合又は多価金属を介して可逆的に架橋し、それによって水不溶性の部分的に結晶化した状態を形成することができる。架橋結合したポリマーは、加熱によって、水不溶性の結晶状態から水溶性の非晶質状態へと相変化し、それによって、印刷部材上への画像記録が可能となる。
適切な調合物を設計する際には、架橋結合を用いることで溶解性を制御し得、充填剤顔料を用いることで再湿潤性を変性及び/又は制御し得、顔料及び/又は染料を用いることでレーザエネルギー吸収性を付与することができる。詳細には、TiO顔料、ジルコニア、シリカ及び粘度のような充填剤は、溶解なしに再湿潤性を付与するのに特に有用である。一実施形態では、第2の層102は、ジルコニウム架橋剤、好ましくは炭酸ジルコニルアンモニウムを含有する。
第2の層102は、イメージング放射線を吸収する物質を含有することができる。ポリビニルアルコールをベースとする、第2の層102のための近IR吸収剤には、導電性高分子、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ−3,4−エチレンジオキシピロール、ポリチオフェン、及びポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが含まれる。高分子として、これらは、その限られた溶解度に起因して、分散物、エマルジョン、コロイド等の形態にて第2の層102内に組み込まれる。あるいはまた、それらは、硬化プロセス後に第2の層102に添加又は適用された第2の層102内に含有されるモノマー成分からin situにて形成、即ち、含浸後(post-impregnation)又は飽和プロセスにて形成することができる。ポリピロールをベースとする導電性高分子については、重合用の触媒は、好都合なことに、導電性を発現する「ドーパント」をもたらす。
高分子マトリックス中に分散された特定の無機吸収剤もまた、ポリビニルアルコールをベースとする第2の層102に関連して特によく機能する。これらには、TiON、TiCN、化学式WO3−x、ここで0<x<0.5(2.7≦x≦2.9が好ましい)、の酸化タングステン、及び化学式V5−x、ここで0<x<1.0(V13が好ましい)、の酸化バナジウムが含まれる。他の適切な吸収性物質には、例えば、カーボンブラック、ニグロシン系染料、フタロシアニン(例えば、アルミニウムフタロシアニンクロリド、チタニウムオキサイドフタロシアニン、バナジウム(IV)オキサイドフタロシアニン、及びウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ社から供給されている溶解性フタロシアニン)、ナフタロシアニン、鉄キレート化合物、ニッケルキレート化合物、オキソインドリジン、イミニウム塩、及びインドフェノールのような染料及び顔料が含まれる。
第2の層102は、典型的に、約0.1〜約40ミクロンの範囲、より好ましくは約0.1〜約0.5ミクロンの範囲の厚さにてコーティングされる。コーティング後、当該層は、乾燥され、次いで135℃〜185℃にて10秒間〜3分間の間、より好ましくは145℃〜165℃にて30秒間〜2分間の間、硬化される。
一実施形態では、イメージング放射線に露出された第2の層102の少なくとも相当な部分が、不溶性状態から可溶性状態へと変化する。「相当な」とは、溶剤の作用によって除去される(又は容易に除去可能な状態となる)ように十分な量の層が可溶性となることを意味する。本実施形態による平板印刷用の印刷部材は、基材103及び/又は任意選択の第3の層105のそれとは反対の、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に対する親和性を有する、第1の層101を備える。これらの実施形態では、第2の層102は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に対して、第1の層101と同じ又は反対の親和性を有することができる。しかしながら、取り扱い時若しくは印刷物製造プロセスにおいて第1の層101が損傷した領域では、その上にある第1の層101と同様の様式にて第2の層102がインクを受容したり拒絶したりすることで印刷品質が維持され且つ印刷部材の印刷寿命が延長されるため、同様の親和性を有する第2の層102及び第1の層101を設けることが好ましい。
イメージング放射線源及び平板印刷用印刷部材の両方を組み合わせて操作することで、第2の層102の所望の変化をもたらすことができることを理解されたい。
2.3. 基材103
基材103は、寸法的に安定した機械的支持を印刷部材にもたらし、また、第2の層102又は任意選択の第3の層105に蓄積された熱を消散させてそのアブレーションを防止することができる。適切な基材物質としては、限定はしないが、アルミニウム、クロム、及び鉄の合金が挙げられ、それらは、表面にめっきされた銅のような他の金属を有することができる。好ましい厚さの範囲は、0.004〜0.02インチであり、0.005〜0.012インチの範囲が特に好ましい。あるいはまた、基材103は、紙又は高分子フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタラート及びポリエチレンナフタラートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、又はフェノール系高分子)とし得る。そのようなフィルムの好ましい厚さの範囲は、0.003〜0.02インチであり、0.005〜0.015インチの範囲の厚さが特に好ましい。ポリエステル基材を用いる場合、第2の層102又は任意選択の第3の層105と基材103との間にプライマーコーティングを挿入することが好ましい。そのようなコーティングの適切な調合及び適用法については、例えば、米国特許第5,339,737号に開示されており、参照することでその内容の全てを本明細書に取り入れることとする。実施形態100−500は何れも金属、紙、高分子、又は他の適切な材料で製造し得ることを理解されたい。
印刷部材の非画像領域は、インク及び/又はインクが付着しようとしない液体に対して、画像領域とは反対の親和性を有する。イメージング放射線に露出された第2の層102の部分が相変化するような発明の実施形態では、第1の層101及び基材103は、反対の平板印刷親和性を有する。一方、第3の層105(例えば、実施形態500)を含む実施形態では、後述するように第1及び第3の層101及び105が反対の親和性を有するため、第1の層101及び基材103は反対の平板印刷親和性を有する必要はない。しかしながら、同様の親和性を有する基材103及び第3の層105を設けて付着を促進し、性能損失なしに第3の層105の損傷に適応させることが好ましい。詳細には、たとえ第3の層105が水溶液に溶解せずイメージングプロセス時に除去されることはないとしても、印刷プロセス時にはやはり擦り取られたり損傷したりし得る。第3の層105が損傷している領域においては、同様の親和性を有する基材103は、その上にある第3の層105と同じようにインクを受容したり拒絶したりするため、印刷品質が維持され、印刷部材の印刷寿命が延長される。
一般に、金属基材は、親水性表面を設けるためには特別の処理に付さねばならない。この目的のためには多数の化学的あるいは電気的技術を用いることができ、幾つかの場合には、表面を粗くするために細かい研磨剤が用いられる。例えば、電気分解粗面化(electrograining)では、電解槽内に2つの相対するアルミニウムプレート(又は1つのプレートと適切な対向電極)を浸漬し、それらの間に交流が流される。この方法は、容易に水を吸着する細かい凸凹のある表面形状に帰着する。
構造化されるか又は粗面化された表面はまた、通常「陽極化」と称されるプロセスであるところの、制御された酸化によっても生成することができる。陽極化処理されたアルミニウム基材は、未変性のベース層と、その上の多孔質の「陽極化」酸化アルミニウムコーティングとから構成され、当該コーティングは、容易に水を受容する。しかしながら、さらに処理しないと、当該酸化物コーティングは、さらなる化学反応によって湿潤性を失ってしまう。そこで、陽極化処理されたプレートは、典型的に、プレート表面の親水性特性を安定化させるケイ酸塩溶液若しくは他の適切な薬剤(例えば、リン酸塩)に曝される。ケイ酸塩による処理については、表面は、特定の寸法及び形状の分子、最も重要なものとしては水分子、に対して高い親和性を有するモレキュラーシーブの特性を帯びる。処理表面はまた、第3の層105の介在しない実施形態においては、その上にある第2の層102との付着を促進する。
好ましい親水性基材物質としては、機械的、化学的、及び/又は電気的に粗面化され、その後、陽極化された又はされていない、アルミニウムが挙げられる。また、幾つかの金属層については、十分な親水性表面を発現するために、研磨したり、又は研磨と陽極化の両方をしたりする必要がない。
基材103として、広範な紙を利用することができる。典型的に、紙は、寸法安定性、耐水性、及び湿式平板印刷時における強度を改善するために、高分子処理剤が染みこんでいる。
適切な高分子基材103の例としては、限定はしないが、ポリエチレンテレフタラートやポリエチレンナフタラートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、及び酢酸セルロースが挙げられる。種々の基材変性剤も用いることができる。例えば、高分子基材103は、さらに、高分子フィルムの少なくとも1つの表面に適用されることによってフィルムの親和性を変性し得る親水性(例えば、ポリビニルアルコール)若しくは親油性(例えば、ポリエステル)コーティングを含むことができる。また、米国特許第5,829,353号(参照することで、その開示内容の全てを本書に取り入れることとする)に記載のように、高分子基材103の親和性は、構造化又は新たな表面層を付着させるのではなく、典型的にイオン及び/又は原子(若しくは分子)の形態の1つ又は複数の金属材料を注入することによって変性することができる。好ましい高分子基材は、例えば、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から商品名MYLAR及びMELINEXとして入手可能なポリエステルフィルムなどのポリエチレンテレフタラートフィルムである。
2.4. 任意選択のトップ層104
任意選択のトップ層は、第1の層101よりも耐擦性及び耐引っ掻き性であるように設計されており、それによって印刷品質が維持され、印刷部材の印刷寿命が延長される。任意選択のトップ層104は、水などの溶剤に透過性であり、その上、そのような溶剤による可溶化に耐性を示す高分子を含む。幾つかの実施形態では、この層は、第1の層101の上の保護バリアとして機能し、その下にある少なくとも1つの層とは反対の平板印刷親和性を示す。例えば、任意選択のトップ層104は、親油性又は親水性とし得る。他の実施形態では、任意選択のトップ層104は、第1及び第2の層101及び102の間に配置され、その下にある少なくとも1つの層とは反対の平板印刷親和性を示す。例えば、任意選択のトップ層104は、親油性又は親水性とし得る。任意選択のトップ層104は、イメージング放射線に対し透明であるか、あるいは第1の層101に熱を与えるようにイメージング放射線を吸収してその変化を促進することができる。この層に用いられる高分子は、燐接する層に対して良好な接着性を示し、且つ摩耗耐性が高くなければならない。
任意選択のトップ層104がイメージング放射線に対して透明である実施形態に関しては、適切な高分子としては、例えば、ヒドロキシ官能性、カルボキシ官能性、又はエポキシ官能性の高分子が挙げられる。第1の層101におけるよりも高分子をより多く架橋結合させることで、イメージング放射線に対する感度を維持しつつ、さらなる耐久性をもたらすことができる。
親油性トップ層104に適する高分子としては、限定はしないが、ポリウレタン、ニトロセルロースのようなセルロース高分子、ポリシアノアクリレート、及びエポキシ高分子が挙げられる。例えば、ポリウレタンをベースとする材料は、典型的に、著しく耐久性があり、且つ熱硬化特性又は自己硬化特性を有し得る。任意選択のトップ層104はまた、例えば、架橋剤及び触媒の存在下でポリウレタン高分子と結合させたエポキシポリマーなどの、1つ又は複数の高分子の組み合わせから形成することもできる。
親水性トップ層104に適する高分子としては、限定はしないが、デンプン、デキストラン、アルギン酸、及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
層104における使用に有用な非晶質ポリオールの例には、ポリ(オキシプロピレン)ジオール及びポリ(オキシブチレン)ジオールのような、そのアルキレン部が分岐アルキレンであるところのポリオキシアルキレンポリオール;ポリ(ブタジエン)ジオール、水素化ポリ(ブタジエン)ジオール、及びポリ(エチレン−ブタジエン)ジオールなどの脂肪族ポリオール;以下のジオールと二酸との反応及び/又はそれらにおける反応によって形成されるポリエステルポリオール:ネオペンチルジオール、エチレンジオール、プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸;及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、非晶質ポリオールは、室温にてガラス質若しくは液体であり、50℃以下の、より好ましくは30℃以下のTgを示す。好ましい非晶質ポリオールとしては、ポリ(オキシプロピレン)ジオール;ポリ(オキシブチレン)ジオール;及びポリ(エチレン−ブチレン)ジオールが挙げられる。市販の非晶質ポリオールの例には、例えば、ARCOL 1025又は2025等の商品名ARCOLを付して販売されているポリ(オキシプロピレン)ジオール(Arco Chemicalから入手可能);B100−200などの商品名POLYGLYCOLを付して販売されているポリ(オキシブチレン)ジオール(Dow Chemicalから入手可能);及びHPVM2201などのポリ(エチレン−ブチレン)ジオール(Shell Chemicalから入手可能)が含まれる。
吸収性物質は、任意選択のトップ層104と隣接層との間の付着には最小限の影響を及ぼすべきである。マサチューセッツ州ベッドフォードのキャボット社によって商品名CAB−O−JET 200として販売されている表面変性カーボンブラック顔料は、加熱に対し十分な感度をもたらす含量レベルにおいて、付着を最小限にしか阻害しないことが見出されている。他の適切なカーボンブラック顔料は、ニュージャージー州スプリングフィールドのオリエント社から入手可能なBONJET BLACK CW−1である。
例示的な任意選択のトップ層104は、例えば、適切な溶剤中にポリウレタン高分子、IR吸収性物質(例えば、CAB−O−JET 200カーボンブラック)、及びヘキサメトキシメチルメラミン架橋剤を混ぜ、次いで適切なアミン保護p−トルエンスルホン酸触媒を添加して完成したコーティング混合物を形成することのような、当分野で既知の混合法及びコーティング法により調製することができる。次いで、ワイヤ巻きロッドコーティング、リバースローラコーティング、グラビアコーティング、又はスロットダイコーティングなどの慣用のコーティング適用法の1つを用いて、コーティング混合物を第1の層101又は第2の層102に適用し、次いで、揮発性液体を除去するために乾燥させて、コーティング層を形成することができる。
本発明においては、第1の層101又は第2の層102は、典型的に、約0.1〜約20ミクロンの範囲、より好ましくは約0.1〜約0.25ミクロンの範囲の厚さにてコーティングされる。コーティング後、層を乾燥させ、145℃〜165℃の温度にて硬化させることが好ましい。
IR又は近IRイメージング放射線を用いる場合、適切な吸収性物質には、カーボンブラック、ニグロシン系染料、フタロシアニン(例えば、アルミニウムフタロシアニンクロリド、チタニウムオキサイドフタロシアニン、バナジウム(IV)オキサイドフタロシアニン、及びウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ社から供給されている溶解性フタロシアニン)、ナフタロシアニン、鉄キレート化合物、ニッケルキレート化合物、オキソインドリジン、イミニウム塩、及びインドフェノールなどの広範な染料及び顔料を挙げることができる。これらの物質は、最終フィルムへと架橋する前に、プレポリマー中に分散させることができる。あるいはまた、吸収剤は、高分子の主鎖に化学的に取り込まれた発色団とし得る;米国特許第5,310,869号を参照。
2.5. 任意選択の第3の層105
任意選択の第3の層105は、レーザ露出時に熱障壁をもたらし、熱損失や基材103の損傷を防ぐことができ、且つ、第1の層101とは反対の平板印刷親和性を示す。例えば、任意選択の第3の層105は、親油性又は親水性とし得る。幾つかの実施形態では、任意選択の第3の層105は、水などの溶剤に透過性であり且つそのような溶剤による可溶化に耐性を示す高分子を含む。例えば、任意選択の第3の層105は、印刷表面として機能し得る。幾つかの実施形態では、任意選択の第3の層105は、熱応答性であり且つ可溶性となる高分子を含む。これらの実施形態では、任意選択の第3の層105は、第1の層101とは反対であり且つ基材103とは類似の平板印刷親和性を示す。
IR又は近IRイメージング放射線を用いる場合、適切な吸収性材料には、上述のように、広範な染料及び顔料が含まれる。任意選択の第3の層105は、上述の任意の材料及び方法を用いて製造することができる。他の適切な材料としては、例えば、親水性特性のためには架橋ポリビニルアルコール(例えば、’737号特許に開示されているもの)を、あるいは親油性特性のためにはポリエステル又はポリアクリレートが挙げられる。
3. イメージング技術
図6A〜6Cは、イメージング放射線に露出された第2の層102の実質的に全てが相変化する印刷部材100にイメージングを行う過程を示している。一実施形態では、印刷部材100の第1の層101は、イメージング放射線を吸収する物質を含有する。図6Aに示すように、第1の層101の露出領域130は、イメージングパルスを吸収し、そのエネルギーを熱に変換する。図6Bを参照すると、熱によって第1の層101の露出領域130の実質的に全てが非透過性状態から透過性状態へと変化する。イメージング後、印刷部材100に適用された溶剤(例えば、水性流体)は、第1の層101の露出領域に浸透し、第2の層102の部分132を十分に溶解させて、それを基材103及び/又は層101から解放する。次いで、第2の層102の溶解した部分132は、その上にある第1の層101の部分130と共に除去することができ(例えば、擦り取ったり、又は印刷「準備」プロセス時に起こる機械的動作の結果として)、それによってその下の基材103が、図6Cに示すように露出される。層101と基材103とは異なる平板印刷親和性を示すため、画像スポットが得られる。
他の実施形態では、印刷部材100の第2の層102は、イメージング放射線を吸収する物質を含有する。これらの実施形態では、イメージングパルスは第1の層101を通過し、第2の層102により吸収され、層102からの熱によって上述の層101における透過性の変化が生じる。
さらに他の実施形態では、第1及び第2の層101及び102の両方が、吸収性物質を含有する。これらの実施形態では、第1の層101の露出領域がイメージングパルスを吸収し、そしてそのエネルギーを熱へと変換して、層101は透過性状態へと変化する。第1の層101によって吸収されていないイメージング放射線は第2の層102により吸収され、さらに層101を加熱して上述の変化を引き起こす。
実施形態200では、イメージング放射線に対して透明な任意選択のトップ層104が第1の層101の上に配置されている。本実施形態の実施は、実質的に、実施形態100に関して上述した通りである。詳細には、層104は、透過性状態への変化後は、層102への溶剤の侵入を阻害しない。層104の露出領域は、機械的な作用によって、層101及び102と共に除去される。
図7A〜7Cは、印刷部材300をイメージング放射線出力に露出する過程を示している。図示する実施形態では、トップ層104は、イメージング放射線を吸収する物質を含有する。図7Aに示すように、トップ層104の露出部分134はイメージングパルスを吸収し、そのエネルギーを熱へと変換する。図7Bを参照すると、熱は、トップ層104の露出領域134の真下にある第1の層101の部分130に伝わり、第1の層101の部分130の実質的に全てが非透過性状態から透過性状態へと変化する。イメージング後、印刷部材300に適用された溶剤(例えば、水性流体)は、第1の層101を通過し、第2の層102の部分132を溶解させる。次いで、第2の層102の溶解した部分132は、その上にある第1の層101の部分130並びにトップ層104の部分134と共に除去することができ(例えば、擦り取ったり、又は印刷「準備」プロセス時に起こる機械的動作の結果として)、それによってその下の基材103が、図7Cに示すように露出される。
図8A〜8Cは、印刷部材400をイメージング放射線出力に露出する過程を示している。図示する実施形態では、層104は、イメージング放射線を吸収する物質を含有し、且つこの場合、第1の層101と第2の層102との間に配置されている。図8Aに示すように、層104の露出部分134はイメージングパルスを吸収し、そのエネルギーを熱へと変換する。図8Bを参照すると、熱は、層104の露出領域134の真上にある第1の層101の部分130に伝わり、第1の層101の部分130の実質的に全てが非透過性状態から透過性状態へと変化する。イメージング後、印刷部材400に適用された溶剤(例えば、水性流体)は、第1の層101及び層104(元々透過性である)を通過し、第2の層102の部分132を溶解させる。次いで、第2の層102の溶解した部分132は、その上にある第1の層101の部分130並びに層104の部分134と共に除去することができ(例えば、擦り取ったり、又は印刷「準備」プロセス時に起こる機械的動作の結果として)、それによってその下の基材103が、図8Cに示すように露出される。
他の実施形態では、印刷部材400の第2の層102がイメージング放射線を吸収する物質を含有する。これらの実施形態では、イメージングパルスは第1の層101を通過し、第2の層102によって吸収され、上述の変化をもたらす。
印刷部材400のさらに他の実施形態では、第1及び第2の層101及び102の両方が、吸収性物質を含有する。これらの実施形態では、第1の層101の露出領域がイメージングパルスを吸収し、そしてそのエネルギーを熱へと変換する。第1の層101によって吸収されていないイメージング放射線は第2の層102により吸収される。
図9A〜9Cは、印刷部材500をイメージング放射線出力に露出する過程を示している。図示する実施形態では、第3の層105が、イメージング放射線を吸収する物質を含有し、且つ、第2の層102と基材103との間に配置されている。図9Aに示すように、第3の層105の露出部分136はイメージングパルスを吸収し、そのエネルギーを熱へと変換する。図9Bを参照すると、熱は、第3の層105の露出領域136の上にある第1の層101の部分130に伝わり、第1の層101の部分130の実質的に全てが非透過性状態から透過性状態へと変化する。イメージング後、印刷部材500に適用された溶剤(例えば、水性流体)は、第1の層101を通過し、第2の層102の部分132を溶解させる。次いで、第2の層102の溶解した部分132は、その上にある第1の層101の部分130と共に除去することができ(例えば、擦り取ったり、又は印刷「準備」プロセス時に起こる機械的動作の結果として)、それによってその下の基材103が、図9Cに示すように露出される。
幾つかの実施形態では、印刷部材500の第2の層102がイメージング放射線を吸収する物質を含有する。これらの実施形態では、イメージングパルスは第1の層101を通過し、第2の層102によって吸収される。他の実施形態では、印刷部材500の第1の層101がイメージング放射線を吸収する物質を含有する。これらの実施形態では、第1の層101によってイメージングパルスは吸収される。
印刷部材500の幾つかの実施形態では、第1及び第2の層101及び102が吸収性物質を含有する。これらの実施形態では、第1の層101の露出領域がイメージングパルスを吸収してそのエネルギーを熱に変換し、第2の層102へと伝える。第1の層101によって吸収されていないイメージング放射線は第2の層102によって吸収され、上述の変化がもたらされる。
本発明の全ての実施形態において、イメージングパルスは、所望の変化を生じさせるべく、印刷部材に適切な量のエネルギーを供給する。必要とされるエネルギー量は、レーザ出力、パルス持続時間、感熱層の固有吸収特性(例えば、その中の吸収剤の濃度によって決まる)、感熱層の厚さ、及び関越層の下にある熱伝導層の存在などの因子の関数である。これらの因子は、過度の実験の必要性無く、当業者であれば容易に決定し得る。
上述の技術が、改善された平板印刷並びに優れたプレート構成の基礎をもたらすことが分かろう。本明細書で用いた用語や表現は、説明のために用いたものであり、限定の意はなく、また、当該用語や表現には、示した特徴の等価物やそれらの部分を除外する意はない。その代わり、特許請求する本発明の範囲内にて、種々の改良を成し得ることが理解されよう。
第1の層、第2の層、及び基材を含んで成る、本発明による印刷部材の一実施形態の拡大断面図 透過性のトップ層、第1の層、第2の層、及び基材を含んで成る、本発明による印刷部材の一実施形態の拡大断面図 加熱層として機能する透過性のトップ層、第1の層、第2の層、及び基材を含んで成る、本発明による印刷部材の一実施形態の拡大断面図 第1の層、第2の層、基材、及び第1及び第2の層の間にある第3の層を含んで成る、本発明による印刷部材の一実施形態の拡大断面図 第1の層、第2の層、基材、及び第2の層と基材の間にある第3の層を含んで成る、本発明による印刷部材の一実施形態の拡大断面図 図6A〜6Cは、本発明によるイメージング機構を示す、図1及び2記載の印刷部材の拡大断面図 図7A〜7Cは、本発明によるイメージング機構を示す、図3記載の印刷部材の拡大断面図 図8A〜8Cは、本発明によるイメージング機構を示す、図4記載の印刷部材の拡大断面図 図9A〜9Cは、本発明によるイメージング機構を示す、図5記載の印刷部材の拡大断面図

Claims (106)

  1. 平板印刷部材をイメージングする方法であって:
    (a)第1の層、前記第1の層の下に配置された第2の層、及び前記第2の層の下に配置された基材を有する印刷部材を設けるステップであって、(i)熱に応答して、前記第1の層が、非透過性状態から、透過性の高められた熱的に再構成された状態へと変化し、(ii)前記第2の層が、可溶性状態にあり、且つ(iii)前記第1の層と、前記第2の層及び前記基材の少なくとも一方とが、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、ステップ;
    (b)前記印刷部材を画像パターン状のイメージング放射線に露出して、前記イメージング放射線に露出した前記第1の層の実質的に全てが前記変化を経るようにするステップ;
    (c)前記印刷部材を溶剤に接触させるステップであって、前記溶剤が、前記第1の層を通過し、前記第2の層に作用して、前記第1の層の除去を促進する、ステップ;及び
    (d)前記印刷部材が放射線を受容した部分にある前記第1の層を除去して、前記印刷部材上に画像状の平板印刷パターンを生成するステップ
    を包含する、方法。
  2. 前記第2の層が、元々可溶性である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2の層が、熱に応答して、不溶性状態から可溶性状態へと変化する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記非透過性状態が、結晶である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記不溶性状態が、結晶である、請求項3に記載の方法。
  6. 前記熱的に再構成された状態が、前記溶剤に対し透過性である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記透過性状態が、非晶質である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記可溶性状態が、非晶質である、請求項3に記載の方法。
  9. 前記第1の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含み、熱を前記第2の層に伝える、請求項1に記載の方法。
  10. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項12に記載の方法。
  15. 前記第1及び第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記第1の層が、ポリオキシアルキレンポリオールを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記第1の層と前記基材が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、請求項1に記載の方法。
  18. 前記第1の層と前記第2の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の層と前記第2の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して同じ親和性を有する、請求項17に記載の方法。
  20. 前記イメージング放射線に曝された前記第1の層の実質的に全てが、前記変化を経る、請求項1に記載の方法。
  21. 前記基材が、金属を含む、請求項1に記載の方法。
  22. 前記基材が、高分子を含む、請求項1に記載の方法。
  23. 前記印刷部材がさらに、前記第2の層と前記基材との間に第3の層を含み、前記第3の層が、可溶性であり且つインク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記第1の層とは反対の親和性を有する、請求項1に記載の方法。
  24. 前記第3の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記第3の層と前記基材が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して、同じ親和性を有する、請求項23に記載の方法。
  26. 前記印刷部材がさらに、前記第1の層と前記第2の層との間に第3の層を含み、前記第3の層が、溶剤に対し透過性である、請求項1に記載の方法。
  27. 前記第3の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記印刷部材がさらに、前記第1の層の上にトップ層を含み、前記トップ層が、溶剤に対し透過性であり且つインク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記第1の層と同じ親和性を有する、請求項1に記載の方法。
  29. 前記トップ層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記印刷部材が放射線を受容した部分にある前記第1の層の部分が、水溶液を用いて除去される、請求項1に記載の方法。
  31. 前記変化が、水非透過性状態から水透過性状態への相変化であり、且つ前記溶剤が、水性流体である、請求項1に記載の方法。
  32. 前記基材がさらに、前記基材の上に配された基材変性剤を含み、前記基材変性剤が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関する親和性を前記基材に付与する、請求項1に記載の方法。
  33. 平板印刷部材であって:
    (a)熱に応答して、非透過性状態から、透過性の高められた熱的に再構成された状態へと変化する第1の層;
    (b)熱に曝された後に可溶性且つ除去可能となる材料を含む、前記第1の層の下に配置された第2の層;及び
    (c)前記第2の層の下にある基材
    を含んで成り、前記第1の層と、前記第2の層及び前記基材の少なくとも一方とが、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、部材。
  34. 前記第2の層が、元々可溶性である、請求項33に記載の部材。
  35. 前記第2の層が、熱に応答して、不溶性状態から可溶性状態へと変化する、請求項33に記載の部材。
  36. 前記熱的に再構成された状態が、前記溶剤に対し透過性である、請求項33に記載の部材。
  37. 前記非透過性状態が、結晶である、請求項33に記載の部材。
  38. 前記透過性状態が、非晶質である、請求項33に記載の部材。
  39. 前記不溶性状態が、結晶である、請求項33に記載の部材。
  40. 前記可溶性状態が、非晶質である、請求項33に記載の部材。
  41. 前記第1の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含み、熱を前記第2の層に伝える、請求項33に記載の部材。
  42. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項41に記載の部材。
  43. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項41に記載の部材。
  44. 前記第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項33に記載の部材。
  45. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項44に記載の部材。
  46. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項44に記載の部材。
  47. 前記第1及び第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項33に記載の部材。
  48. 前記第1の層が、ポリオキシアルキレンポリオールを含む、請求項33に記載の部材。
  49. 前記第1の層と前記基材が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、請求項33に記載の部材。
  50. 前記第1の層と前記第2の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、請求項49に記載の部材。
  51. 前記第1の層と前記第2の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して同じ親和性を有する、請求項49に記載の部材。
  52. 前記第1の層と前記基材が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して同じ親和性を有する、請求項33に記載の部材。
  53. 前記第1の層と前記第2の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、請求項52に記載の部材。
  54. 前記イメージング放射線に曝された前記第1の層の実質的に全てが、前記変化を経る、請求項33に記載の部材。
  55. 前記基材が、金属を含む、請求項33に記載の部材。
  56. 前記基材が、高分子を含む、請求項33に記載の部材。
  57. さらに、前記第2の層と前記基材との間に第3の層を含み、前記第3の層が、可溶性であり且つインク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記第1の層とは反対の親和性を有する、請求項33に記載の部材。
  58. 前記第3の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項57に記載の部材。
  59. 前記第3の層と前記基材が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して、同じ親和性を有する、請求項57に記載の部材。
  60. さらに、前記第1の層の上にトップ層を含み、前記トップ層が、溶剤に対し透過性であり且つインク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記第1の層と同じ親和性を有する、請求項33に記載の部材。
  61. 前記トップ層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項60に記載の部材。
  62. 前記基材がさらに、前記基材の上に配された基材変性剤を含み、前記基材変性剤が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関する親和性を前記基材に付与する、請求項33に記載の部材。
  63. 平板印刷部材をイメージングする方法であって:
    (a)一番上にある第1の層、前記第1の層の下に配置された第2及び第3の層、及び前記第1、第2及び第3の層の下に配置された基材を有する印刷部材を設けるステップであって、(i)熱に応答して、前記第1の層が、非透過性状態から、透過性の高められた熱的に再構成された状態へと変化し、(ii)前記第2の層が、可溶性状態にあり、且つ(iii)前記第1の層と前記第3の層とが、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、ステップ;
    (b)前記印刷部材を画像パターン状のイメージング放射線に露出して、前記イメージング放射線に露出した前記第1の層の実質的に全てが前記変化を経るようにするステップ;
    (c)前記印刷部材を溶剤に接触させるステップであって、前記溶剤が、前記第1の層を通過し、前記第2の層に作用して、前記第1の層の除去を促進する、ステップ;及び
    (d)前記印刷部材が放射線を受容した部分にある前記第1の層を除去して、前記印刷部材上に画像状の平板印刷パターンを生成するステップ
    を包含する、方法。
  64. 前記第2の層が、元々可溶性である、請求項63に記載の方法。
  65. 前記第2の層が、熱に応答して、可溶性状態へと変化する、請求項63に記載の方法。
  66. 前記非透過性状態が、結晶である、請求項63に記載の方法。
  67. 前記熱的に再構成された状態が、前記溶剤に対し透過性である、請求項63に記載の方法。
  68. 前記透過性状態が、非晶質である、請求項63に記載の方法。
  69. 前記可溶性状態が、非晶質である、請求項65に記載の方法。
  70. 前記第1の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含み、熱を前記第2の層に伝える、請求項63に記載の方法。
  71. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項63に記載の方法。
  72. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項63に記載の方法。
  73. 前記第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項63に記載の方法。
  74. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項73に記載の方法。
  75. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項73に記載の方法。
  76. 前記第1及び第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項63に記載の方法。
  77. 前記基材と前記第3の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して同じ親和性を有する、請求項76に記載の方法。
  78. 前記基材が、金属を含む、請求項76に記載の方法。
  79. 前記基材が、高分子を含む、請求項76に記載の方法。
  80. 前記第1の層がさらに、イメージング放射線を吸収する物質を含み、前記第2の層へと熱を伝える、請求項63に記載の方法。
  81. 前記第3の層が、前記第2の層の下に配置されている、請求項63に記載の方法。
  82. 前記基材と前記第3の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して同じ親和性を有する、請求項81に記載の方法。
  83. 前記第3の層が前記第1の層と前記第2の層の間に配置されており、前記第3の層が溶剤に対し透過性である、請求項63に記載の方法。
  84. 前記第3の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項83に記載の方法。
  85. 前記印刷部材がさらに、前記第1の層の上に配置されたトップ層を含み、前記トップ層が、水性流体に対し透過性であり且つインク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記第1の層と同じ親和性を有する、請求項84に記載の方法。
  86. 前記トップ層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項85に記載の方法。
  87. 前記基材がさらに、前記基材の上に配置された基材変性剤を含み、前記基材変性剤が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記基材と同じ又は反対の親和性を有する、請求項63に記載の方法。
  88. 前記第1の層が、水溶液を用いて除去可能である、請求項63に記載の方法。
  89. 前記変化が、水非透過性状態から水透過性状態への相変化であり、且つ前記溶剤が、水性流体である、請求項63に記載の方法。
  90. 平板印刷部材であって:
    (a)熱に応答して、非透過性状態から、透過性の高められた熱的に再構成された状態へと変化する、一番上にある第1の層;
    (b)熱に曝された後に可溶性且つ除去可能となる材料を含む第2の層;
    (c)第3の層;及び
    (d)前記第1、第2及び第3の層の下にある基材
    を含んで成り、前記第1の層と前記第3の層とが、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して反対の親和性を有する、部材。
  91. 前記第1の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含み、前記第2の層へと熱を伝える、請求項90に記載の部材。
  92. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項91に記載の部材。
  93. 前記第1の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項91に記載の部材。
  94. 前記第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項90に記載の部材。
  95. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性顔料を含む、請求項94に記載の部材。
  96. 前記第2の層が高分子であり、前記物質が、そこに分散しているIR吸収性染料を含む、請求項94に記載の部材。
  97. 前記第1及び第2の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項90に記載の部材。
  98. 前記第3の層が、前記第2の層の下に配置されている、請求項90に記載の部材。
  99. 前記基材と前記第3の層が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して同じ親和性を有する、請求項98に記載の部材。
  100. 前記第3の層が、前記第1の層と前記第2の層との間に配置されており、前記第3の層が溶剤に対し透過性である、請求項90に記載の部材。
  101. 前記第3の層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項100に記載の部材。
  102. さらに、前記第1の層の上に配置されたトップ層を含み、前記トップ層が、水性流体に対し透過性であり且つインク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記第1の層と同じ親和性を有する、請求項90に記載の部材。
  103. 前記トップ層が、イメージング放射線を吸収する物質を含む、請求項102に記載の部材。
  104. 前記基材がさらに、前記基材の上に基材変性剤を含み、前記基材変性剤が、インク及びインクが付着しようとしない液体の少なくとも一方に関して前記基材と同じ又は反対の親和性を有する、請求項90に記載の部材
  105. 前記第1の層が、水溶液を用いて除去可能である、請求項90に記載の部材。
  106. 前記変化が、水非透過性状態から水透過性状態への相変化であり、前記溶剤が、水性流体である、請求項90に記載の部材。
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