JP2009501435A - 高度に分解されたドメインを書き込むための媒体 - Google Patents
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- G11B9/1463—Record carriers for recording or reproduction involving the use of microscopic probe means
- G11B9/149—Record carriers for recording or reproduction involving the use of microscopic probe means characterised by the memorising material or structure
Abstract
本発明によるシステムは、媒体と結合可能なチップを含むことができ、媒体は、基板とオーバーコートとの間に配置された、一実施形態においては相変化材料(或いは、他の実施形態においては極性依存メモリ材料又は他のメモリ材料)を含む。オーバーコートは、導電部分と実質的に非導電部分とを有する共堆積された膜であり、この共堆積膜は、オーバーコートを横切るよりもオーバーコートを貫通する方が電流をより効果的に導通する。オーバーコートは、材料の構造が無秩序になるのに十分な温度までチップの真下の相変化材料の部分を加熱するように、電流を実質的に導く。次に、電流が相変化材料から除去され、相変化材料が急速に冷却され、結晶バルク構造よりも高い抵抗率を有するドメインを形成する。
Description
本発明は、分子メモリ集積回路を用いる高密度データ記憶装置に関する。
(著作権表示)
本特許文献の開示の一部には、著作権保護を受けた材料が含まれる。著作権者は、特許商標局の特許ファイル又は記録に示される場合に、特許文書又は特許開示の如何なる人による複製にも異議はないが、そうでない場合には、全ての著作権を保有する。
(優先権主張)
本出願は、次の米国特許仮出願及び米国特許出願、すなわち:
2005年6月24日に出願された「Media for Writing Highly Resolved Domains」という名称の米国特許仮出願第60/693,950号(代理人整理番号第LAZE−01032US0)
2005年7月8日に出願された「Media for Writing Highly Resolved Domains」という名称の米国特許出願第11/177,550号(代理人整理番号第LAZE−01032US1)
に基づく優先権を主張する。
(著作権表示)
本特許文献の開示の一部には、著作権保護を受けた材料が含まれる。著作権者は、特許商標局の特許ファイル又は記録に示される場合に、特許文書又は特許開示の如何なる人による複製にも異議はないが、そうでない場合には、全ての著作権を保有する。
(優先権主張)
本出願は、次の米国特許仮出願及び米国特許出願、すなわち:
2005年6月24日に出願された「Media for Writing Highly Resolved Domains」という名称の米国特許仮出願第60/693,950号(代理人整理番号第LAZE−01032US0)
2005年7月8日に出願された「Media for Writing Highly Resolved Domains」という名称の米国特許出願第11/177,550号(代理人整理番号第LAZE−01032US1)
に基づく優先権を主張する。
1965年に、Gordon Moore氏は、集積回路におけるトランジスタの数の指数関数的な増加を観察し、この傾向が続くことを予測し、そしてそのようになった。ソフトウェア開発者は、各世代の集積回路をその能力の限界まで推し進め、例えば、常により精巧な、よりデータ集約型アプリケーション、並びにグラフィック集約型アプリケーション及びオペレーティング・システム(OS)を着々と開発した。アプリケーション又はOSの各世代は、常に、計算サークルにおいて「メモリを喰うもの(memory hog)」であるという嘲笑的レッテルが貼られると思われる。こうしたアプリケーション用のコードを格納するために、揮発性及び不揮発性の両方についてより高容量のデータ記憶装置が絶えず求められている。この容量への必要性に加えて、iPod、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、精巧な携帯電話、及びラップトップ・コンピュータのようなパーソナルMP3プレーヤの形態のパーソナル・コンピュータ及び家庭用電化製品が合流し、コンパクトさと信頼性に重きが置かれた。
今日使用されているほぼ全てのパーソナル・コンピュータ及びサーバは、頻繁にアクセスされるデータを恒久的に格納するために、1つ又はそれ以上のハードディスク・ドライブを収容している。どのメインフレーム及びスーパーコンピュータも、何百ものハードディスク・ドライブに接続される。家庭用電化製品は、カムコーダからTiVo(登録商標)に至るまで、ハードディスク・ドライブを使用している。ハードディスク・ドライブは大量のデータを格納するが、それらは、多量の電力を消費し、長いアクセス時間を必要とし、電源投入時の「回転立ち上げ(spin−up)」時間を必要とする。フラッシュ・メモリは、より容易にアクセス可能な形態のデータ記憶装置であり、ハードディスク・ドライブに本来ある遅延時間及び大電力消費の問題に対するソリッドステート解決法である。ハードディスク・ドライブと同様に、フラッシュ・メモリは、不揮発性形態でデータを格納できるが、メガバイト当たりのコストが、ハードディスク・ドライブの同等の空間量のメガバイト当たりのコストよりも劇的に高く、よって、控えめに使用される。
データ記憶装置産業では、磁気レコーダのような慣習的な記録装置(テープレコーダ及びハードディスク・ドライブ)、並びにソリッドステート・トランジスタ(EEPROM及びFLASH)に代わるものとして、相変化媒体が用いられている。CD−RWデータ記憶ディスク及び記録ドライブは、相変化技術を使用して、コンパクトディスク型媒体形式での書き込み・消去能力を可能にする。CD−RWは、相変化材料を加熱して、結晶状態からアモルファス状態への相変化を引き起こしたときに光学特性(例えば、反射率)が変化するという利点を取り入れたものである。相変化材料が後にレーザの下に通されたときに「ビット」が読み取られ、その反射は、材料の光学特性に依存する。残念なことに、現在の技術は、レーザの波長により制限され、今日の大容量の携帯用電子機器、並びに、システム・オン・ア・チップ(systems−on−a−chip)及びマイクロエレクトロニック・メカニカル・システム(MEMS)といった明日の次世代技術に用いるのに必要な非常に高い密度を得ることができない。したがって、より高い密度のデータ記憶を可能にしながら、現在の相変化媒体式解決法の融通性を依然として提供する解決法に対する必要性がある。
添付の図面を用いて、本発明を更に詳細に説明する。
相変化材料を含む媒体
図1Aは、本発明によるシステム及び方法の実施形態と共に用いるための媒体デバイス150の一部を非書き込み状態で示す断面図である。媒体デバイス150は、基板152と、基板152の上に配置された下層(under−layer)154と、下層の上に形成された記録媒体156と、記録媒体156の上に形成された上層(over−layer)158とを含む。基板152は、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、又は他の何らかの半導体材料を含むことができる。下層154は、高導電性材料を含むことができ、記録媒体156から熱を引き出して、記録媒体156の急速冷却を容易にする。一実施形態においては、下層154は、タングステンを含むことができ、他の実施形態においては、下層154は、プラチナ、金、アルミニウム、及び銅のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。さらに他の実施形態においては、下層154は、高導電性の他の何らかの材料を含むことができる。下層154を形成する材料はさらに、熱膨張特性(低い熱膨張係数が好ましい)、接着特性(高い接着性が好ましい)、堆積の均一性、平滑性等といった付加的な特性に基づいて選択されることが望ましい。当業者であれば、下層を形成するために、高い導電性と、1つ又はそれ以上の好適な特性とを有する無数の異なる材料を認識することができる。下層154を基板152から絶縁することが望ましい場合には、下層154と基板152との間に絶縁層186を配置してもよい。例えば、一実施形態においては、絶縁層186は、酸化物材料及び窒化物材料の一方を含むことができる。絶縁層186は、媒体156を基板152から熱的にも電気的にも絶縁する。
図1Aは、本発明によるシステム及び方法の実施形態と共に用いるための媒体デバイス150の一部を非書き込み状態で示す断面図である。媒体デバイス150は、基板152と、基板152の上に配置された下層(under−layer)154と、下層の上に形成された記録媒体156と、記録媒体156の上に形成された上層(over−layer)158とを含む。基板152は、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、又は他の何らかの半導体材料を含むことができる。下層154は、高導電性材料を含むことができ、記録媒体156から熱を引き出して、記録媒体156の急速冷却を容易にする。一実施形態においては、下層154は、タングステンを含むことができ、他の実施形態においては、下層154は、プラチナ、金、アルミニウム、及び銅のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。さらに他の実施形態においては、下層154は、高導電性の他の何らかの材料を含むことができる。下層154を形成する材料はさらに、熱膨張特性(低い熱膨張係数が好ましい)、接着特性(高い接着性が好ましい)、堆積の均一性、平滑性等といった付加的な特性に基づいて選択されることが望ましい。当業者であれば、下層を形成するために、高い導電性と、1つ又はそれ以上の好適な特性とを有する無数の異なる材料を認識することができる。下層154を基板152から絶縁することが望ましい場合には、下層154と基板152との間に絶縁層186を配置してもよい。例えば、一実施形態においては、絶縁層186は、酸化物材料及び窒化物材料の一方を含むことができる。絶縁層186は、媒体156を基板152から熱的にも電気的にも絶縁する。
一実施形態においては、記録媒体156は、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、及びテルル(Te)のうちの1つ又はそれ以上を含む、カルコゲニドのような相変化材料(ここでは「GST」とも呼ばれ、「GST」は定比及び不定比GeSbTe合金とも呼ばれる)を含むことができる。相変化材料の一部分が、ある閾値温度を超えて加熱され、次いで、非常に急速に冷却される(すなわち、急冷される)ときには、材料の相が結晶状態から無秩序状態へと変化する。逆に、相変化材料がある閾値を超えて加熱され、次いで、ゆっくり冷却することが可能な場合には、材料が再結晶化する傾向がある。これらの相変化の結果として、相変化材料の抵抗率が変化する。この抵抗率の変化は、相変化材料において極めて大きなものであり、導電性のチップ又は導電性コーティングを含むチップ142(図1B参照)により、そのチップ(tip)142及び媒体デバイス150に電流を流すことで、検出することができる。相変化材料は、当該技術分野ではよく知られており、例えば、両方ともOvshinskyに付与され、引用によりここに組み込まれる、米国特許第3,271,591号及び第3,530,441号のような多くの参考文献に開示を見出すことができる。他の実施形態においては、以下に詳細に示されるように、記録媒体は、極性依存メモリ材料のような代替的な材料とすることができる。
媒体デバイス150は、チップ142が上層158に接触したときに記録媒体156及び/又はチップ142への物理的損傷を防止するように選択される材料を含む上層158をさらに含む。上層158は、上層158及び/又はチップ142の寿命を延ばすように、耐磨耗性材料を含むことができる。上層158は、低い導電特性及び高い硬度特性を有することができる。例えば、一実施形態においては、上層158は、導通性がよくない硬い材料である窒化チタン(TiN)を含むことができる。しかしながら、膜を横切るよりも膜を貫通する方が電流をより容易に導通する材料を使用することが有利である(以下に詳細に説明するように)ことに留意すべきである。窒化モリブデン(MoN)及びTiNのような幾つかの金属窒化物は、ある程度こうした特性を示すことができる異方性の柱状材料である。
さらに他の実施形態においては、例えば、極性依存メモリ層が記録媒体として用いられる場合、上層158は、ダイアモンド状炭素(DLC)を含むことができ、このダイアモンド状炭素は、製造プロセスにおいて種々の技術により調整することができる導電特性を有する。こうした技術の1つは、DLCの生成において窒素のようなドーパントを用いることを含む。さらに別の実施形態においては、上層158は、例えば、窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコンなどの絶縁体を含むことができる。絶縁体が上層158として用いられる場合、チップから媒体デバイス150に与えられる電流は、記録媒体156に到達する前に、上層158をトンネル通過しなければならず、そのため、上層158は、電流が記録媒体156と相互作用し得る前に必要とされるトンネル作用の量を制限するように十分に薄くすべきである。例えば、二酸化シリコン(SiO2)がトンネル酸化物として用いられる場合、上層158を約10nmよりも小さいものにすることができる。
媒体デバイス150は、例えば、堆積チャンバ(例えば、化学気相堆積(CVD)チャンバ、プラズマ気相堆積(PVD)チャンバ)及び/又は炉を用いて膜層を順番に堆積又は成長させるための通常の半導体製造プロセスを用いて形成することができる。代替的に、媒体デバイス150は、シャドー・マスクを用いて形成することもできる。シャドー・マスクを用いる場合には、最終的なウェハの上に少なくとも1つのアパーチャを含むマスク・ウェハを配置し、媒体デバイス150を形成する。次に、マスク・ウェハ及び最終ウェハに堆積プロセスが施される。堆積プロセス中、化学物質がシャドー・マスクを貫通し、媒体デバイス150を形成するように堆積される。さらに、リフトオフ・レジスト層の上に媒体及び/又は媒体スタックを堆積させることができる。レジスト層及び過剰な媒体スタックは、媒体デバイス150が形成されたウェハを溶媒浴中に入れて、レジストを溶解し、過剰な材料の除去を可能にすることによって除去することができる。当業者であれば、媒体デバイス150を形成するための無数の異なる技術を認識することができる。
さらに別の実施形態においては、上層158は、上層158を横切る電流の分路を制限するために、サーメット状材料を含むことができる。サーメットは、絶縁体と、マトリクスを形成する金属導体とを組み合わせたものである。マトリクスは、コンクリート状構造を有することができ、ここで、金属は、コンクリート内の小石に類似し、絶縁体は、小石を一緒に保持する「接着剤」に類似している。マトリクスはまた、TiNに非常によく似た柱状構造を有することもできる。いずれの形態も、電流が膜を横切って横方向に流れるのではなく膜を貫通して流れるのが好ましいような、相対的に異方性の導電性を可能にする。さらに他の実施形態においては、記録媒体156は、導体として、絶縁体のマトリクスで囲まれた相変化材料を含むサーメットとすることができる。さらに他の実施形態においては、記録媒体156は、絶縁材料で囲まれた、相変化材料の分離したドットを含むことができる。隣接するドットから電気的に絶縁された別個の導体をドット上に配置することができる。さらに他の実施形態においては、上層158は、電圧と共に非直線形の導電特性を示す材料、特に、高い電位で導電率が増加する材料を含むことができる。こうした材料には、酸化スズ(SnO)がある。さらに別の実施形態においては、上層158は、温度と共に非直線形の導電特性を示す材料、特に高い温度で導電率が増加する材料を含むことができる。こうした材料には、シリコンのような多くの半導体がある。これらの代替的な材料の多くは、その組み合わせで上層の異方性の導電特性を高めるように一緒に用いることができる。さらに、これらの上層材料は、一緒に混合するのではなく、順次に使用して、上層158の性能特性を向上させることもできる。例えば、TiNの上に炭素の非常に薄い層を付加して、酸化に対する障壁を形成すると共に、表面の潤滑性を改善することができる。
図1Bは、本発明による媒体デバイス150の実施形態と共に用いるための共堆積された膜を含む1つのこうした上層158の一部の拡大図である。上層158は、記録媒体156の上に配置され、かつ、非常に異方性の導電特性を有する、連続した又は不連続のカバー層を含むことができる。共堆積膜は、例えば、Mardilovich他への米国特許第6,770,353号及びAvniel他への米国特許第6,541,392号に記載されており、両方とも引用によりここに組み入れる。こうした参考文献は、多数の材料が交互にスパッタリングされた多数のターゲットを用いる共堆積膜の堆積を教示している。当技術分野においては、単一の複合ターゲットから、絶縁体で囲まれた第二鉄粒子を有する粒状膜を製造することがさらに知られている。例えば、引用によりここに組み入れられる、Kaitsu他による「Magnetic Properties and Structure of (Co−alloy)−SiO2 Granular Films」、IEEE Transactions on Magnetics,第32巻、第5、1996年9月を参照されたい。本発明による方法の実施形態は、単一の金属及び一連のプロセス・ステップにおける誘電体複合ターゲットから、図1B及び図4Aに概略的に示される構造体に材料をスパッタリングすることによって、金属及び誘電体を共堆積することを含むことができる。これらの図面に見られるように、共堆積膜は、不連続の導電性構造を有する連続した非導電性膜を含むことができる。こうした共堆積膜は、実質的に分路を制限することができ、膜を貫通する(すなわち、垂直方向の)電気抵抗に対して、膜を横切る(すなわち、横方向の)高い電気抵抗を示す。このように、共堆積膜は方向に依存した導電性を好む(好まれる方向は、共堆積膜を横切るよりも共堆積膜を貫通する方向である)ため、共堆積膜の導電性は実質的に「異方性」であると言うことができる。抵抗率、
を有する等方性の導電特性を有する上層において最大の抵抗コントラストに近づくことができる。異方性の導電特性を有する上層は、抵抗率、
を有するべきである。例えば、GSTは、
となるように変化する抵抗率を有する。
を有する等方性の導電特性を有する上層において最大の抵抗コントラストに近づくことができる。異方性の導電特性を有する上層は、抵抗率、
を有するべきである。例えば、GSTは、
となるように変化する抵抗率を有する。
導電性部分158aは、導電性酸化物を有する金属のような環境上頑強な材料を含むことが好ましい。例えば、金属は、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、及びルテニウム(Ru)、又は他の何らかの高融点金属のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。絶縁部分158bは、高密度で硬い誘電体を含むことが好ましい。例えば、誘電体は、二酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)、又は酸化アルミニウム(Al2O3)を含むことができる。さらに、導電性部分158aの粒径及び粒子間隔は、チップ142の曲率半径に対して十分に小さいことが好ましく(必須ではない)、チップ142により、相当な数の導電性部分158aが「見える」。例えば、約50又はそれより多い粒子である。したがって、好ましい実施形態においては、1ビット(又は、印)が25nmの直径を有する場合、各々の粒径は、約4nm又はそれより小さくなければならず、導電性部分158aの幅と絶縁部分158bのマトリクス内の導電性部分158a間の距離の1:1の比が与えられるべきである。十分に小さい粒径を有する金属酸化物の堆積は、例えば、引用によりここに組み入れられる、Uwazumi他による「CoPtCr−SiO2 Granular Media for High−Density Perpendicular Recording」、IEEE Transactions on Magnetics、第39巻、第4、p.1914、2003年7月に記載されている。
図1B及び図1Cは、印160(これは、データビットを表すことができ、便宜上、ここではデータビットと呼ばれる)が形成された図1Aの媒体デバイス150の一部の断面図である。一実施形態においては、データビット160は、上層158に接触するか又はほぼ接触した状態で配置されたチップ142から記録媒体156に電流を通過させ、チップ142の付近で記録媒体156を加熱することにより形成することができる。上述したように、相変化材料の温度が閾値温度を超えたとき、相変化材料は、半溶融又は溶融状態となり、これを急冷して無秩序ビットを形成することができる。他の実施形態においては、バルク相変化材料が無秩序構造を有することができ、これを加熱したときに、更にゆっくり冷却させて、結晶構造を形成することができる。図2は、カルコゲニドの媒体デバイスの特性を示すチャートである。閾値温度は、等電力線Ptに沿って交差する電圧でGST材料内に生じた温度に対応する。見られるように、カルコゲニドの無秩序領域にわたって傾斜した電圧は、無秩序領域を冷却して結晶構造を形成する前に、閾値電圧Vt(等電力線Ptに沿って定められる)を超えなければならない。
急冷とは、溶融又は半溶融の相変化材料から、無秩序構造又は部分的非結晶構造を達成する冷却の速度として定義される。冷却、低速冷却、又は単純な冷却は、相変化材料が溶融又は半溶融材料から結晶構造を形成するのに十分なほどゆっくりした冷却の速度として定義される。一実施形態においては、急冷は、加熱部分から電流を取り去り、導電性の下層が加熱部分から熱を取り去るのを可能にすることによって達成することができ、一方、単純な冷却は、加熱部分から電流を減少させ、導電性の下層154が加熱部分から熱を取り去るのを可能にすることによって達成することができる。他の実施形態においては、急冷は、電流を取り去るだけでなく、電流を加熱部分からクランプ(以下に述べられる)を介して転向することによって達成することができ、一方、単純な冷却は、加熱部分から電流を取り去ることを含むことができる。急冷を達成する厳密な技術は、相変化材料、下層154の導電率、及びその部分が加熱される温度、並びに環境及び他の要因によって決まり得る。さらに、多数の抵抗状態が用いられる(すなわち、データが非バイナリ形式で格納される)場合には、冷却及び急冷は、種々の冷却速度をもつことができると共に、加熱温度と組み合わせて、所望の及び設計された多数の異なる抵抗状態を達成することができる。
バイナリ・システムでは、データビット160は、記録媒体156の周囲のバルク相変化材料に対する不調和抵抗を有し、その不調和性が、媒体デバイス150に格納されたデータを表す。媒体デバイス150からデータビット160を消去するために、データビット160を含む記録媒体156の部分に、第2の電流を付与して、その部分を加熱し、その部分を適切に冷却して、バルク相変化材料の構造体を形成する(無秩序であるか又は結晶であるかに関わらず)。その結果、データビット160の抵抗率は、非書き込み状態の抵抗率に変化する。例えば、バルク相変化材料が無秩序構造を有する場合には、結晶ビット160を含む相変化材料の部分を、結晶ビット160を形成するために適用された温度よりも高い第2の温度まで加熱することによって、結晶ビット160を消去することができる。次に、この部分を周囲温度へと急冷して、この部分が、バルク相変化材料の元の抵抗率と同様の抵抗率を有する無秩序構造を形成するようにさせる。
例えば、本発明による媒体デバイス150の一実施形態においては、相変化材料は、カルコゲニドを含むことができる。相変化材料のバルクは、結晶構造を有することができ、非書き込み状態に対応することができる。データビット160を書き込み状態に設定するために、相変化材料のターゲット部分に第1の電流を付与し、相変化材料のターゲット部分を閾値温度(相変化材料の溶融温度とすることができる)に加熱させることができ、この閾値温度は、カルコゲニドの一実施形態においては、約600℃とすることができる。相変化材料を周囲温度に急冷することができ、閾値温度に加熱された相変化材料の部分は、その低効率がバルクの非書き込みの相変化材料よりも高くなり、これにより、データビット160として解釈できる印が形成される。こうした実施形態においては、急冷は、10ナノ秒から100ナノ秒までの範囲の速度で第1の電流を除去することによって達成できるが、この速度及び時間は、実質的に変化し得る。データビット160を非書き込み状態(ここでは、リセット状態及び消去状態とも呼ばれる)にリセットするために、第2の電流を記録媒体156に付与して、相変化材料の部分を170℃から250℃まで又はそれ以上(閾値温度までを含む)の範囲の温度にほぼ等しい温度に加熱する。温度範囲は、カルコゲニドの組成によって決まり、幾つかの実施形態においては、100℃から250℃又はそれ以上といった他の範囲を有することもできる。相変化材料の部分が周囲温度に冷却されると、データビット160が結晶構造を有するように形成され、結晶構造は、バルクの非書き込みの相変化材料の抵抗率に近い抵抗率を有する。データビット160を書き込み、消去する動作範囲を調整するために、記録媒体156の相変化材料に対して異なる材料を使用することができる。カルコゲニド中の元素の割合を変えることは、書き込み及び消去温度を変える1つの方法である。
温度についてある程度具体的に説明したが、熱を加える部分の状態は、一般に、その部分の冷却速度に最も影響されることに留意すべきである。冷却速度は、加熱部分に流れる電流を加熱部分から除去する速度、及び、いかに急速に加熱部分から熱を運び去ることができるか(すなわち、媒体デバイス150スタックの材料の伝導率)によって影響され得る。最低温度に到達し(すなわち、上述の実施形態では、約170℃の結晶化温度)、これが維持される場合には、材料を再結晶化し得るのに十分なほどゆっくりと材料を冷却できると主として考えられる。こうした冷却は、加熱部分に付与される電流を減少することを含む多くの異なる技術を用いて達成することができる。幾つかの実施形態においては、電流を段階的に減少すると共に、加熱部分を所望の時間中所望の温度レベルに維持することができ、よって、実質的に全部分にわたって結晶化を達成することができる。当業者であれば、記録媒体156として用いるための相変化材料の異なる用途、及び相変化材料の材料特性の変化を達成するための技術を認識することができる。
他の実施形態においては、相変化材料は、そのバルクが非書き込み状態に対応する無秩序構造を含むようなカルコゲニドを含むことができる。こうした実施形態においては、相変化材料のターゲット部分を加熱してゆっくりと冷却し、その部分が結晶化して、書き込み状態を有するデータビット160として解釈できる印を形成することができる。本発明によるシステム及び方法は、ここに開示される慣例、或いは、説明された温度範囲又は材料特性に限定されるものと解釈すべきではない。本発明によるシステム及び方法は、材料特性に対応する印を有する相変化材料156の全てのこうした用途に適用することを意味する。
上記の実施形態に説明されたように、無秩序データビット160を消去するために、データビット160を含む相変化材料の部分に第2の電流を付与することができる。この部分が冷却するときに、この部分の抵抗率は、バルク相変化材料の元の値にほぼ等しい値に戻り、これにより、データビット160が消去される。媒体デバイス150の広範囲の領域に熱を加えることにより、多数のデータビット160を非書き込み状態にリセットすることができる。例えば、媒体デバイス150は、媒体デバイス150の下に埋め込まれたヒータに電流を付与することができる。この熱を媒体デバイス150の全てのメモリ位置又は媒体デバイス150の一部分に加えて、相変化材料の加熱部分の抵抗率を非書き込み値に戻すことができる。例えば、一実施形態においては、媒体デバイス150内のバンドを加熱するストリップ・ヒータを配置することができる。さらに他の実施形態においては、媒体デバイス150の少なくとも一部分にレーザを適用して、その部分を加熱することができる。例えば、プラットフォームが二酸化シリコンのような透明材料を含む場合には、プラットフォーム108を貫通してレーザを当て、媒体デバイス150を加熱することができる。さらに他の実施形態においては、媒体デバイス150の部分を選択的に加熱するように、ダイオード・ヒータのマトリクスを形成することができる。こうしたバルク消去は、チップ磨耗の減少といった利点を潜在的に与えることができる。
本発明による媒体デバイス150のさらに別の実施形態においては、相変化材料は、複数の抵抗状態を有することができる。例えば、非書き込み状態において、相変化材料は第1の抵抗率を有することができる。次に、相変化材料を異なる温度に加熱して急冷し、相変化材料の抵抗率を変化させることができる。一実施形態においては、チップ142及び記録媒体156にわたって読み取り電圧を印加し、相変化材料の抵抗率がバルク相変化材料についての初期の非書き込み状態又はそれに近い状態になるか、或いは非書き込み状態以外の状態として測定されるのに十分なほど異なる状態にあるかを感知することができる。相変化材料は、初期状態又は非書き込み状態において第1の抵抗率特性を有することができる。次に、記録媒体156に第1の電流を付与し、相変化材料を第1の温度に加熱することができる。記録媒体156から第1の電流を除去し、相変化材料を冷却し、第2の抵抗率特性を有する構造体を形成することができる。一実施形態においては、この第2の状態における相変化材料の抵抗率を測定することができる。この第2の抵抗率は、相変化材料が第1の電流によって加熱される温度と、相変化材料の冷却時間とに応じて変わり得る。抵抗率測定範囲は、データ値に対応することができ、異なる範囲が異なるデータ値に対応する。例えば、バイナリ以外のデータ記憶スキームを用いて、複数の抵抗率範囲を複数のデータ値として用いることができる。一実施形態においては、3つのデータ値を含むデータ記憶スキームは、データを格納するのにバイナリ・システムではなくベース3システムを用いることができる。各データセルについて4つの異なる抵抗状態が可能である別のデータ記憶スキームにおいては、各データセルは2ビットを含むことができる(例えば、各々が、00、01、10、又は11を含むことができる)。代替的に、相変化材料についての抵抗率特性の正確な値を、より正確なアナログデータ記憶のために測定することができる。抵抗率の測定値は、媒体の第1の状態に関する測定値をとることで優先的に得られるが、絶対値測定をとることで得ることもできる。別の測定方法は、測定データの導関数としてデータを抽出する。
相変化材料は、抵抗状態について広いダイナミックレンジを有することができ、したがって、アナログデータの記憶が可能になる。相変化材料の抵抗率特性についてのダイナミックレンジは、およそ3桁から4桁の大きさとすることができる(すなわち、1000〜10,000倍)。例えば、GSTの抵抗率は、0.1オーム・センチメートル以下から1000オーム・センチメートル以上までの範囲とすることができる。しかしながら、一実施形態においては、相変化材料上のチップ142からの熱が、相変化材料の非常に僅かな面積しかその抵抗率の変化を受けさせないようにすることがある。この形態においては、相変化材料の小さい領域しか変えられないので、小さなダイナミックレンジを観察することができる。媒体システムは、一般に、最初に堆積される状態においてある値の範囲を表示し、測定された抵抗値が異なる位置で変化するようにする。さらに、記録媒体156及び上層158の厚さのばらつきは、チップ142を通して感知される測定抵抗の差を形成し得る。これらの差は、チップ142からの信号読み取り値におけるノイズとして現れる。ノイズを減少させる1つの方法は、記録媒体のアナログの性質を使用するものである。最初に、例えば、部分の抵抗率を測定することによって、チップ142の下の媒体デバイス150のその部分の状態を検出することができる。次に、チップ142に電圧波形を印加して、記録媒体156を加熱して、冷却し、記録媒体156の状態を変化させる。次に、チップ142の下の媒体デバイス150の部分を再び読み取る。値が、その位置についての所望のノイズ許容範囲内にない場合には、別の電圧波形を印加して、値を所望の許容範囲内に変化させる。波形は、結晶パルス、又はアモルファス・パルス、或いはそうしたパルスの何らかの組み合わせで構成することができる。多数の読み取り及び書き込みサイクルを用いて、値を所望の許容範囲へ推進させることができる。このように、媒体デバイス150に適応書き込みを行なって、その後のリード・バック信号のノイズを減少させることができる。代替的に、記録媒体156を所望の状態へ駆動するのに用いられる波形は、加熱及び冷却中に抵抗状態を測定することによって、加熱及び冷却プロセス自体の間に動作することができる。
一実施形態においては、後述するように形成されたチップ142は、曲率半径が約25nmの遠位端を含むことができる。一実施形態においては、チップ142が表面に接触状態又はほぼ接触した状態で媒体デバイス150の表面を横切って移動するときに、チップ142が磨耗して、ある初期期間の後、遠位端の公称曲率半径が、50nmから100nm(又はそれ以上)になる。記録媒体156にわたって電圧を印加して、低(又は高)抵抗率のドメインを形成する。チップ142の遠位端は、典型的には、完全に平坦ではなく、したがって、遠位端は、記録媒体156(又は存在する場合には上層158)との接触状態又はほぼ接触した状態が均一なものとならない可能性が高い。媒体デバイス150の表面に接触又はほぼ接触した状態にある遠位端の部分は、遠位端の曲率半径により制限される。接触状態又はほぼ接触した状態にあるチップ142の部分は、ここでは、チップ142の終端部とも呼ばれる。遠位端は、曲率半径を有するものとして説明されたが、遠位端は、終端部が完全な弧に沿って存在するような形状にする必要がないことに留意すべきである。曲率半径は、チップの遠位端の幅が終端部から増加したものであると考えることができ、ここに言及されるように、遠位端が滑らかな弧形状を含む幾何学的形状に限定されることを意味するものではない。例えば、遠位端は、放物線形状、台形形状、又は不均一な形状を有することができる。チップ142は導電性であり、チップ142と媒体デバイス150との間に電位が印加されると、電流は、チップ142から上層158及び記録媒体156を通り、下にある基板152へと流れる(チップ142が電圧シンクではなく電圧源である場合)。媒体デバイス150とチップ142との間を流れる電流は、チップ142と媒体デバイス150との間の電場が媒体デバイス150の表面からの距離とは反比例して減少するので、曲率半径にわたって変化する。
チップ142から媒体デバイス150に流れる電流は、チップ142付近の相変化材料を加熱する。記録媒体156、上層158、記録媒体/上層界面、及びチップ/上層界面は、抵抗器として働く。媒体デバイス150にわたる電位が増加するにつれて、電流も増加し、相変化材料の温度も上がる。図3は、本発明の一実施形態に従った、媒体デバイス150にわたって電位が印加されるときの例示的な媒体デバイス150の加熱特性の一次モデルである。この例示的な媒体デバイス150は、相変化材料を含む記録媒体156の上に堆積された、窒化チタンの上層158を有する膜スタックを含む。電流で発生した熱は、チップ142と媒体デバイス150の表面とが接触又はほぼ接触する点から、実質的に放物線状に分布され得る。膜スタックの表面付近の相変化材料の小さな部分(第1の等容量(isovolume)164)が、780Kより高く加熱され、第1の等容量164から第2の等容量162を囲む材料は、780Kから500Kまでの範囲に及ぶ。一実施形態においては、約575Kより高く加熱された相変化材料の部分は、溶融又は半溶融状態になる。バルク相変化媒体が無秩序である場合には、半溶融/溶融部分がゆっくりと冷却されて、バルク相変化材料の抵抗率よりも数桁低い相対的抵抗率を有する結晶構造を形成することができる。バルク相変化材料が結晶構造を有する場合には、半溶融/溶融部分を迅速に急冷して、半溶融/溶融部分が主として無秩序状態になるようにし、バルク相変化材料の抵抗率よりも数桁高い相対的抵抗率を有するようにすることができる。加熱中に達成される温度及び冷却特性は、相変化材料の組成によって決まり、著しく変化し得る。
図3に見られるように、溶融状態に加熱された後に適切に冷却されて、バルク相変化材料とは実質的に異なる抵抗率を有するドメインを形成する記録媒体156の部分は、チップ142の曲率半径に対して幅を実質的に狭くすることができる。例えば、本発明による方法を適用して、記録媒体156とチップ142との間に電位を生じさせる場合には、おおよそ50nmから100nmの範囲に及ぶ曲率半径を有するチップ142で、幅がおおよそ15nmのドメインを発生できることが実証された。このドメインは、「超分解された(super solved)」と言うことができる。このような超分解能は、電流を膜を横切るよりも膜を貫通して良好に導通する異方性の導電性(上述のような)を有する材料とすることができる、上層の特性から部分的に得ることができる。この特性は、電子の流れをチップ142の中心付近に集束させることができる。さらに、チップ142の中心付近の相変化材料の部分が最初に加熱され、その結果、この部分は、非加熱の結晶材料でも、周囲の媒体より低い抵抗を示す。電子の流れは、最も低い抵抗に追従するので、電子の流れがさらに集束される。
記録媒体156を通る電流の集束量(よって、結果として得られるドメインのサイズ)は、記録媒体156にわたる電位、及びチップ142と媒体デバイス150の表面との間の圧力と共に変化し得る。電位は、電流がアークを生じ得る空隙のサイズを決定することができ、空隙が存在する場合(すなわち、曲率のためにチップが媒体に直接接触した状態にない場合)チップ142と記録媒体156との間に電流が流れてもよいし、流れなくてもよい。同様に、チップ142により表面に対して加えられる圧力も、表面に直接接触するチップ142の部分と、チップが表面から遠ざかるように湾曲する空隙のサイズとに影響を及ぼし得る。
ドメインが記録媒体156内に定められると、ドメインを含む媒体デバイス150の部分にわたって小さい電位(例えば、一実施形態においては、1ボルト未満)を印加し、その部分に流れる電流を測定することによって、ドメインの抵抗率を求めることができる。小さい電位は、その部分を結晶化温度又は閾値温度まで加熱するには不十分な小さい電流を推進させる。したがって、ドメインを含む部分の抵抗値(及び抵抗率)は、相変化材料を実質的に加熱して、相変化材料の電気的特性を変えることなく、測定することができる。
媒体デバイス150は、随意的に、上層158の上に形成され、堆積され、付着され、又は他の方法で配置され、位置決めされ、或いは塗布された潤滑剤151(図1A参照)を含むことができる。幾つかの実施形態においては、潤滑剤151は、液体とすることができるが、他の実施形態においては、潤滑剤151は、二硫化モリブデンのような非液体とすることができる。さらに他の実施形態においては、潤滑剤151は、炭素の形態とすることができる。潤滑剤151は、無数の異なる技術を用いて上層158に塗布することができる。一実施形態においては、潤滑剤151は、堆積プロセスを用いてを上層158上に堆積させることができる。別の実施形態においては、潤滑剤151は、上層158の上に噴霧することができる。
図4A及び図4Bを参照すると、好ましい実施形態においては、潤滑剤151は、複数のポリマー鎖を含む単層であり、ポリマー鎖は、記録媒体156、上層158、又は代替的に何らかの接着層に結合するように適合される。単層は、磨耗を減少させ、チップ及び/又は媒体スタックの作動寿命を延長させ、チップ・媒体界面のパラメータを改善させる。こうした実施形態においては、記録媒体156又は上層158の上に、アモルファス炭素、窒素化されたアモルファス炭素、水素化されたアモルファス炭素、及びDLCといった潤滑剤接着層259を配置することが好ましい。ポリマー鎖を潤滑剤接着層259に優先的に結合させて、ポリマー鎖が接触部(すなわち、チップ142)に付着しにくくするか、或いは、接触部との摩擦及び静摩擦の一方又は両方の結果として移動されにくくすることができる。図4Bに示されるように、ポリマー鎖が優先的に結合できる表面を提供しながら分路を制限できるように、選択的導電性の上層158の上に潤滑剤接着層259を配置することができる。ポリマー鎖はさらに、ポリマー鎖の近位端190、290で結合され、かつ、媒体デバイス150、250の表面の毛又は睫毛のように見える。潤滑剤151及び潤滑剤接着層259は、チップ/潤滑剤/接着層/上層界面において電流の流れが妨げられず、熱が過剰に発生しないように、十分に導電性であることが好ましい。代替的に、電流が潤滑剤151及び潤滑剤接着層259をトンネル通過しなければならないように、潤滑剤151及び潤滑剤接着層259を実質的に非導電性としてもよい。
代替的な実施形態においては、潤滑剤151は、複数のポリマー鎖の1つ以上の層を含み、1つの層からのポリマー鎖が別の層のポリマー鎖に結合するように適合される。こうした潤滑剤151は、媒体表面と「可動」層との間に配置された別の潤滑剤層の上を「浮動する」又は移動する層を有することができる。可動層は、接着層259(又は、接着層259が存在しない場合には、代替的に記録媒体156又は上層158)に選択的に結合し、チップと媒体の相対的運動によって生じる表面の欠陥を回復させることができる。
さらに別の実施形態においては、潤滑剤151は、結合相及び可動相の両方を有する単層とすることが望ましい。例えば、添加剤を有するFomblin Z−DOLは、ハードディスク・ドライブ(HDD)の磁気ディスクの表面の潤滑剤として従来より用いられてきた、結合相及び可動相を有する潤滑剤システムである。潤滑剤は、読み取り/書き込み(R/W)ヘッドがディスク表面と衝突するときに生じる損傷を制限する。こうした潤滑剤は、高温で有効な自己回復面を提供することができる。結合相及び可動相の両方を有する単層は、結合された単層よりも耐磨耗性がより良好であることが実証された。しかしながら、引用によりここに組み入れる、Lei他による「Thermal Stability of Fomblin Z and Fomblin Zdol Thin Films on Amorphous Hydrogenated Carbon」、Tribology Letters、第11巻、第1、2001年に説明されているように、可動(非結合)潤滑剤の脱着ピークは、結合潤滑剤の脱着ピークよりも低温(例えば、645K)において生じ、そのことは、相変化を引き起こすために相変化材料を600℃より高温に加熱しなければならない場合には、望ましいことも、望ましくないこともある。当業者であれば、チップと媒体デバイス150との間に望ましい関係を与えるために用い得る無数の異なる潤滑剤と、そうした潤滑剤151を塗布するための無数の異なる技術とを認識するであろう。
極性依存メモリ層を含む媒体
他の実施形態においては、本発明によるシステム及び方法と共に用いるための媒体デバイス350が、極性依存メモリ層380を有する記録媒体を含むことができる。図5Aから図5Cまでは、基板152と、基板152の上に配置された随意的な絶縁層186と、(存在する場合には)絶縁層186の上に配置された下層(極性依存メモリ層を含む実施形態を参照するときは下部電極と呼ばれる)154と、下部電極154の上に配置された極性依存メモリ層380と、極性依存メモリ層380の上に配置された上層(極性依存メモリ層を含む実施形態を参照するときは上部電極と呼ばれる)158とを含む媒体デバイス350を示す。
他の実施形態においては、本発明によるシステム及び方法と共に用いるための媒体デバイス350が、極性依存メモリ層380を有する記録媒体を含むことができる。図5Aから図5Cまでは、基板152と、基板152の上に配置された随意的な絶縁層186と、(存在する場合には)絶縁層186の上に配置された下層(極性依存メモリ層を含む実施形態を参照するときは下部電極と呼ばれる)154と、下部電極154の上に配置された極性依存メモリ層380と、極性依存メモリ層380の上に配置された上層(極性依存メモリ層を含む実施形態を参照するときは上部電極と呼ばれる)158とを含む媒体デバイス350を示す。
上述のように、基板152は、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、又は他の何らかの半導体材料を含むことができる。幾つかの用途においては、基板152から下部電極154及び記録媒体を電気的及び熱的に分離するのを保証することが望ましい。付加的な分離を与えるために、下部電極154と基板152との間に絶縁層186を配置することができる。絶縁層186は、二酸化シリコン(SiO2)のような酸化物、又は、熱的及び電気的な絶縁特性を有する他の何らかの材料とすることができる。下部電極154は、導電性金属、又は類似した電気的性質を有する他の何らかの材料を含むことができる。一実施形態においては、下部電極154は、タングステン、プラチナ、金、アルミニウム、及び銅のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。下部電極154を形成するために選択される材料は、接着特性及び堆積の一様性等といった付加的な特性に基づいて、さらに選択されることが望ましい。当業者であれば、良好な導電性と、下部電極154を形成するための1つ又はそれ以上の好ましい特性とを有する無数の異なる材料を認識することができる。下部電極154は、極性依存メモリ層380を貫通する良好な導電性をもたらすべきであるが、相変化材料を含む記録媒体を有する実施形態におけるものと同様に効率良く熱を引き出す必要はない。極性依存メモリ層380が用いられる場合には、媒体デバイス350に非常に低い電流を付与することができ、材料は、非常に低い温度に加熱される。
極性依存メモリ層380の上に、上部電極158が配置される。上部電極158は、イオンが、極性依存メモリ層380から上部電極158の中に意図せずに移動するのを防止するためのイオン障壁を提供すべきである。上述のように、上部電極158は、連続していても、不連続であってもよい。上部電極158が連続している場合には、上部電極158は、異方性の抵抗率特性を提供し、電圧が媒体デバイス150にわたって印加されたときに電気化学的に不活性な材料を含むことが好ましい。例えば、上述のように、上部電極158は、導電性金属酸化物のような導電性材料と、二酸化シリコンのような絶縁材料とを含む共堆積膜を含むことができる。電流は、上部電極158と接触した状態又は上部電極158の上に配置された導電層(潤滑剤151のような)と接触した状態でチップ142から媒体デバイス150に流される。
極性依存メモリ層380は、イオン源層384と、固体電解質層382とを含む。こうした極性依存メモリ層は、例えば、引用によりここに組み入れられる、Kozicki他による「Non−Volatile Memory Based Solid Electrolytes」、Proceedings of the 2004 Non−Volatile Memory Technology Symposium、10−17(2004年)に記載されている。好ましい実施形態においては、イオン源層384は、銀(Ag)を含むが、他の実施形態においては、イオン源層384は、銅(Cu)のような可動イオンを有する他の何らかの金属を含むことができる。固体電解質層382は、イオン源層384の上に配置され、好ましい実施形態においては、AgGeS又はAgGeSeを含むが、他の実施形態においては、固体電解質層382は、概ね非導電性のマトリクス内で同様の金属イオン可動特性を示す他の何らかの金属カルコゲニドを含むことができる。代替的に、固体電解質層382は、AgWO3又はCuWO3といった酸化物ベースの電解質を含むこともできる。こうした材料は、金属カルコゲニドに匹敵する等しく満足できる結果を示すこともあるし、示さないこともある。好ましい実施形態においては、イオン源層384の上にGeS又はGeSeといったカルコゲニド層を堆積し、材料に紫外(UV)光を適用してAgイオンをカルコゲニド層内に拡散させることによって、イオン源層384を堆積した後に固体電解質層382を形成することができる。代替的に、アニール処理によって、Agイオンをカルコゲニド層内に拡散させるように促すことができる。代替的に、固体電解質層382は、別個のAg及びGeS又はGeSeターゲットからスパッタリングされた共堆積膜を含むことができ、或いは、固体電解質層382は、単一のAgGeS又はAgGeSe合金ターゲットからスパッタリングされた共堆積膜とすることができる。
固体電解質層382は、固体電解質層382内に含有される正電荷をもつ金属イオン383が豊富であり、可動性が高いという点で有用である。逆に、負電荷をもつ対イオンは、固体内に固定される。図5Bを参照すると、下部電極154は、アノード(すなわち、電解回路における正極)として働き、正電圧を下部電極154に印加することができ、或いは代替的に、下部電極154を接地することができる。上部電極158は、カソード(すなわち、電解回路における負極)として働き、負電圧を上部電極158に印加することができる。数百mVのような低い印加電圧は、カソード(すなわち、上部電極158)において金属原子を形成するようにイオンを減少させ、アノード(すなわち、下部電極154)と電気的に接触するように配置されたイオン源層384における酸化を介して、イオンを固体電解質層382の中に注ぎ込む。電荷の中立性は、イオン源層384を介して酸化と還元のバランスをとることによって保持され、さもなければ電着プロセスを停止させることになる電荷の蓄積を防止する。固体電解質層382は、膜全体にわたってイオンを含むように作製することができる。上部電極158付近のイオンは、上部電極158に向けて移動し、最初に減少される。上部電極158において核生成が行われ、最大電場の源として成長を支持する核生成部位からイオンが減少し続ける。減少したイオンの葉脈が上部電極158から下部電極154に向けて広がり、樹枝状構造を有する金属フィラメント385を形成する。このように、電着プロセスは、上部電極158を固体電解質層382内に効果的に延長させる。フィラメント385の抵抗率は、バルク固体電解質層382よりも数桁小さく、フィラメント385が上部電極158から導電性イオン源層384まで成長したとき、フィラメント385を通る媒体デバイス350の抵抗率は大きく低下する。
図5Cを参照すると、電着プロセスを逆にすることができ、印加電圧バイアスの極性を変え、正電圧をチップ142に、よって上部電極158及びフィラメント385に印加することによって、フィラメント385が「分解される」。フィラメント385はアノードになり、酸化により溶解する。溶解したイオンは、元の発生源構造体(すなわち、固体電解質層382及びイオン源層384)に戻される。フィラメント385の分解によって、上部電極158と下部電極154との間の導電性リンクが壊され、もともとフィラメント385を含有する部分を通る媒体デバイス350の抵抗率を著しく増加させる。
異方性の導電率を有する上部電極158(例えば、共堆積膜)を使用し、記録媒体380にわたって低い電位(相変化媒体156を加熱するために印加される電位に対して)を印加することにより、フィラメント385の幅とフィラメントの構造の樹枝状の性質を縮小することによって、記録媒体380内にフィラメント385を高密度に配置することが可能になる。低い電位はまた、書き込み・読み取りプロセスにおいて消費される電力量を低減させ、パッケージの設計を簡単化し、こうした媒体デバイス350を含む携帯機器の書き込み・読み取りプロセスによって消費されるバッテリ電力量を低減させ、熱応力を減少させることによって媒体デバイス350の作動寿命を潜在的に改善することもできる。
上述のように、媒体デバイス350は、随意的に、上部電極158の上に形成され、堆積され、付着され、又は他の方法で配置され、位置決めされ、或いは塗布される潤滑剤151を含むことができる。幾つかの実施形態においては、潤滑剤151は、液体とすることができるが、他の実施形態においては、潤滑剤151は、二硫化モリブデンのような非液体とすることができる。さらに他の実施形態においては、潤滑剤151は、炭素の形態とすることができる。無数の異なる技術を用いて、潤滑剤151を上部電極158に塗布することができる。一実施形態においては、堆積プロセスを用いて、潤滑剤を上部電極158上に堆積させることができる。別の実施形態においては、潤滑剤151を上部電極158の上に噴霧することができる。好ましい実施形態においては、潤滑剤は、複数のポリマー鎖を含む単層であり、ポリマー鎖は、上部電極158に結合するように適合されている。上部電極158の上に、アモルファス炭素、窒素化アモルファス炭素、水素化アモルファス炭素、及びDLCといった潤滑剤接着層を配置することがさらに好ましい。ポリマー鎖が優先的に結合する表面を提供しながら分路を制限できるように、選択的導電性の上部電極158の上に潤滑剤接着層を配置することができる。さらに別の実施形態においては、潤滑剤は、結合相及び可動相の両方を有する単層であることが望ましい。当業者であれば、チップと媒体デバイス350との間に所望の関係を与えるために用い得る無数の異なる潤滑剤と、そうした潤滑剤を塗布するための無数の異なる技術とを認識するであろう。
他の実施形態においては、記録媒体は、相変化材料以外の媒体、又は極性依存メモリ層とすることができる。例えば、媒体デバイスは、電荷蓄積型媒体とすることができる。電荷蓄積媒体は、誘電体内に捕捉された電荷としてデータを格納する。したがって、電荷蓄積媒体の場合、媒体は、書き込み状態のときに電荷を捕捉する誘電体材料である。媒体を再び非書き込み状態に変えるには、捕捉された電荷を除去することを必要とするだけである。例えば、正の電流を用いて媒体内に電荷を蓄積することができる。次に、負の電流を用いて、媒体から蓄積された電荷を除去することができる。
パターン形成された媒体
図6A、図6J、及び図7Aは、本発明によるシステム及び方法のさらに別の実施形態と共に用いるためのパターン形成された媒体デバイスの断面図である。媒体デバイス450/550/650は、基板152と、基板152の上に配置された下層154と、基板152と下層154との間に配置された随意的な絶縁層186と、下層154の上に形成された記録媒体156/456/656の連続した層又は不連続の層と、記録媒体156/456/656の上に形成された不連続の上層458/558/658と、媒体デバイス450/550/650の表面の上に配置された潤滑剤151と、潤滑剤151と媒体デバイス450/550/650の表面との間に配置された随意的な潤滑剤接着層259とを含む。上述のように、基板152は、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、又は他の何らかの半導体材料を含むことができる。随意的に、下層154を基板152から絶縁することが望ましい場所に、絶縁層186を含ませることができる。絶縁層186は、酸化物材料及び窒化物材料の一方を含むことができ、これにより記録媒体156/456/656が基板152から絶縁される。下層154は、記録媒体156/456/656の急速冷却を容易にするために、記録媒体156/456/656から熱を引き出す高伝導性の材料を含むことができる。一実施形態においては、下層154はタングステンを含むことができ、他の実施形態においては、下層154は、プラチナ、金、アルミニウム、及び銅のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。さらに他の実施形態においては、下層154は、高い伝導性をもつ他の何らかの材料を含むことができる。下層154を形成する材料はさらに、熱膨張特性、粘着特性、及び堆積の均一性等のような付加的な特性に基づいて選択されることが望ましい。当業者であれば、高伝導性と、下層154を形成するのに好適な1つ又はそれ以上の特性とを有する無数の異なる材料を認識することができる。
図6A、図6J、及び図7Aは、本発明によるシステム及び方法のさらに別の実施形態と共に用いるためのパターン形成された媒体デバイスの断面図である。媒体デバイス450/550/650は、基板152と、基板152の上に配置された下層154と、基板152と下層154との間に配置された随意的な絶縁層186と、下層154の上に形成された記録媒体156/456/656の連続した層又は不連続の層と、記録媒体156/456/656の上に形成された不連続の上層458/558/658と、媒体デバイス450/550/650の表面の上に配置された潤滑剤151と、潤滑剤151と媒体デバイス450/550/650の表面との間に配置された随意的な潤滑剤接着層259とを含む。上述のように、基板152は、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、又は他の何らかの半導体材料を含むことができる。随意的に、下層154を基板152から絶縁することが望ましい場所に、絶縁層186を含ませることができる。絶縁層186は、酸化物材料及び窒化物材料の一方を含むことができ、これにより記録媒体156/456/656が基板152から絶縁される。下層154は、記録媒体156/456/656の急速冷却を容易にするために、記録媒体156/456/656から熱を引き出す高伝導性の材料を含むことができる。一実施形態においては、下層154はタングステンを含むことができ、他の実施形態においては、下層154は、プラチナ、金、アルミニウム、及び銅のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。さらに他の実施形態においては、下層154は、高い伝導性をもつ他の何らかの材料を含むことができる。下層154を形成する材料はさらに、熱膨張特性、粘着特性、及び堆積の均一性等のような付加的な特性に基づいて選択されることが望ましい。当業者であれば、高伝導性と、下層154を形成するのに好適な1つ又はそれ以上の特性とを有する無数の異なる材料を認識することができる。
図6Aに見られるように、一実施形態においては、媒体デバイス450は、抑制マトリクス488内に配置された複数のセル487を含む。抑制マトリクス488は、実質的に非導電性の材料、又は絶縁材料、或いはより具体的には誘電体といった、電流の流れを抑制する材料を含むことができる。また、抑制マトリクス488は、熱膨張を抑制することが望ましく、よって断熱材料を含む。複数のセル487は、記録媒体456部分と上層458部分とを含む。したがって、記録媒体456は不連続層であると言うことができる。図1A−図1Cの実施形態と同様に、記録媒体456は、GSTのような相変化材料を含むことができる。記録媒体456は、該記録媒体456を通して接触部(すなわち、チップ142)から電流を推進することによってある閾値温度以上に加熱され、次に急冷される際に、記録媒体456内の一部又は全ての相変化材料の構造が、結晶状態から無秩序状態に変化する。逆に、相変化材料がある閾値以上に加熱され、次にゆっくりと冷却されることが可能な場合、材料は、再結晶化する傾向がある。相変化材料の構造が変化した結果、記録媒体456の抵抗率が変化する。この抵抗率の変化は、相変化材料においては非常に大きく、チップ142及び媒体デバイス450に電流を流すことにより、導電性であるか又は導電性コーティングを含むチップ142によって容易に検出することができる。
さらに、上層458は不連続層であると言える。上述のように、上層458は、チップ142が上層458に接触したときの記録媒体456及び/又はチップへの物理的損傷を防止するように選択された材料を含むことができる。上層458は、耐磨耗性の材料を含むことができ、これにより、上層458及び/又はチップ142の寿命が延びる。上層458の材料は、抑制マトリクス488の磨耗特性と同様の磨耗特性を示し、媒体デバイス450を用いることで望ましくない非平面性が生じないことが好ましい。好ましい実施形態においては、上層458は、導電性金属のような高導電性の材料を含む。抑制マトリクス488による上層458の分離は、上層458に付与夜される電流が分路されにくくなり、そのため、上層458が低い横方向の導電性を有する必要がない。しかしながら、必要であれば、上層458は、低い導電特性と高い硬度特性とを有する材料を含むことができる。代替的に、上層458は、電流を、上述の共堆積膜のような膜を横切るのではなく膜を貫通してより容易に導通する異方性の柱状材料、或いは同様の特性を有するTiN又はMoNのような何らかの金属窒化物を含むことができる。窒化チタン(TiN)は、低導電性の硬質材料である。
さらに他の実施形態においては、上層458は絶縁体を含むことができる。絶縁体が上層458として用いられる場合には、チップ142から媒体デバイス450に付与された電流は、記録媒体456に到達する前に上層458をトンネル通過しなければならない。したがって、一実施形態においては、電流が記録媒体456と相互作用することができる前に必要とされるトンネル量が減少するように、上層458を(記録媒体456に対して)薄くすべきである。また、上層458が分離しているために、異方性の柱状材料、すなわち上層458における絶縁体の使用は不必要である。
図7Aに見られるように、代替的な実施形態においては、複数のセル587が上層458を含む。こうした実施形態においては、抑制マトリクス588内に配置された複数のセル587は、連続する記録媒体156の上に配置される。上述のように、上層458は、チップ142が上層458に接触したときに、記録媒体156及び/又はチップ142への物理的損傷を防止するように選択される材料を含むことができる。
図6A及び図7Aに示されるように、媒体デバイス450/550は、随意的に、媒体デバイス450/550の表面の上に連続する膜を含む潤滑剤151を有することができる。媒体デバイス550の表面の上に潤滑剤151を形成し、堆積させ、付着し、又は他の方法で配置し、位置決めし、或いは塗布することができる。幾つかの実施形態においては、潤滑剤151は、液体とすることができるが、他の実施形態においては、潤滑剤151は、二硫化モリブデンのような非液体とすることができる。さらに他の実施形態においては、潤滑剤151は、炭素の形態とすることができる。無数の異なる技術を用いて、潤滑剤151を媒体デバイス450/550の表面に塗布することができる。一実施形態においては、堆積プロセスを用いて、潤滑剤151を媒体450/550の表面上に堆積させることができる。別の実施形態においては、潤滑剤151は、媒体450/550の表面の上に噴霧することができる。
好ましい実施形態においては、潤滑剤151と媒体デバイス450/550の表面との間に、例えば、アモルファス炭素、窒素化アモルファス炭素、水素化アモルファス炭素、及びDLCのような潤滑剤接着層259が配置される。潤滑剤151は、複数のポリマー鎖を含む単層であり、ポリマー鎖は、潤滑剤接着層259に結合するように適合されている。ポリマー鎖を潤滑剤接着層259に優先的に結合させて、ポリマー鎖が接触部(すなわち、チップ142)に付着しにくくするか、或いは、接触部との摩擦及び静摩擦の一方又は両方の結果として移動されにくくすることができる。潤滑剤接着層259は、潤滑剤151が結合できる均一な表面を提供する。
さらに別の実施形態においては、潤滑剤151は、例えば、添加剤を有するFomblin Z−DOLのような、結合相及び可動相の両方を有する単層とすることが望ましい。上述のように、こうした潤滑剤は、高温で有効な自己回復面を提供できる。当業者であれば、チップ142と媒体デバイス450/550との間に望ましい関係を与えるために用い得る無数の異なる潤滑剤と、そうした潤滑剤151を塗布するための無数の異なる技術とを認識するであろう。
媒体デバイス450/550は、例えば、堆積チャンバ(例えば、化学気相堆積(CVD)チャンバ、プラズマ気相堆積(PVD)チャンバ)及び/又は炉を用いて膜層を順番に堆積又は成長させるための通常の半導体製造プロセスを用いて形成することができる。例えば、図6Aの媒体デバイス450を参照すると、基板152の上に絶縁層186及び下層154が形成される。スタックの上に、絶縁材料(図6B)並びに記録媒体及び上層の両方(図6F)のうちの1つが形成される。図6Cを参照すると、スタックの上に絶縁材料が形成される場合、絶縁材料がパターン形成されエッチングされて、バイアを有する抑制マトリクス488を形成する。その後、記録媒体材料及び上層を連続的に形成することによってバイアが充填され、複数のセル487(図6C及び図6D)がもたらされる。代替的に、図6Gに示されるように、スタックの上に記録媒体及び上層の両方が形成される場合、記録媒体及び上層がパターン形成されエッチングされて、セル487を形成する。セル487の下に配置されていない下層154が露出される。露出された下層154の上に、絶縁特性を有する材料が堆積されるか、又は他の方法で形成され、抑制マトリクス488(図6H)をもたらす。媒体デバイス450/550の表面は、例えば、堆積ステップ(図6C、図6D、及び図6H)の後、化学機械研磨(CMP)によって実質的に平坦化することができる。図6Dを参照すると、CMPステップは、絶縁マトリクス488の上部の過剰な上層材料458を除去する。図6F−図6Hに示される代替的なプロセスにおいては、上層458(図6Hに示されるような)の上部の過剰な絶縁材料488を除去するために、CMPステップが用いられる。次いで、媒体デバイス450の平坦化された表面の上に、潤滑剤接着層259及び潤滑剤151が形成される。
代替的に、CMPではなくドライ・エッチング又はイオン・ミリングによって、媒体デバイス450を平坦化することができる。
代替的に、CMPではなくドライ・エッチング又はイオン・ミリングによって、媒体デバイス450を平坦化することができる。
図6Iを参照すると、絶縁マトリクス488の上部から記録媒体材料456を除去するために、イオン・ミリングを効果的に行うことができる。このプロセスは、GSTを除去するときの酸化物/窒化物へのイオン・ミリング・プロセスの比較的高い選択性のために、例えば、GSTが記録媒体である場合に幾つかの利点を有する。例えば、各セルの高さと幅のアスペクト比が1対1である場合、処理中に媒体デバイス450に当たるイオンの入射角に対して45度又はそれより大きい角度で、媒体デバイス450を配置することができる。セル487の側壁は、イオン衝撃からセル487内のGSTをマスクし、抑制マトリクス488の上に堆積されたGSTを除去しながら、セル487内にGSTがエッチングされるのを防止する。イオン・ミリングは、図6Iに示されるようなバイア内のGSTの堆積に続くCMPステップと置き換えることができ、図6C及び図6Dに示されるステップの間に行われる。各セルの高さと幅のアスペクト比が1:1であるとき、媒体デバイス450の表面に対する法線とイオン・ミリング・ビーム690の方向との間の角度を調整し、これに応じて、キャビティ内に堆積されたGSTを保護することができる。
図7Aの媒体デバイス550を参照すると、基板152の上に、絶縁層186、下層154、及び記録媒体156が、連続層として形成される。図7B及び図7Cを参照すると、次いて、スタックの上に絶縁材料が形成される場合(図7B)、絶縁材料がパターン形成されエッチングされて、バイアを有する抑制マトリクス588を形成する。その後、バイア内に上層558を形成することによってバイアが充填され、複数のセル587がもたらされる。代替的に、スタックの上に上層558が形成される場合(図7D)、上層558がパターン形成されエッチングされて、セル587を形成する。残りの上層558の下に配置されていない記録媒体156が露出される。図7Eを参照すると、露出された記録媒体156の上に、絶縁特性を有する材料が堆積されるか又は他の方法で形成され、抑制マトリクス588を形成する。CMPによって媒体の表面を実質的に平坦化することができる。次いで、媒体デバイス550の平坦化された表面の上に、潤滑剤接着層259及び潤滑剤151が形成される。
図6A及び図7Aに示されるように、抑制マトリクス488/588とセル487/587の間の界面は、実質的に垂直壁を有する側壁である。こうした実質的な垂直壁は、反応性イオン・エッチング(RIE)のような異方性エッチング・プロセスによって形成される。当業者であれば、ほぼ垂直な側壁を有する媒体デバイス450/550を形成するための無数の異なる技術を認識することができる。しかしながら、図6Jを参照すると、セル687が下層154においてテーパするように、垂直(すなわち、約90度)よりも小さい傾きを有する側壁を形成することが望ましい場合もある。好ましい実施形態においては、セル687の幅は、上部(すなわち、セル/チップ界面、セル/潤滑剤又はセル/上層界面に最も近い)では30nmであり、セル687のスタック厚は50nmであり、一方、セル687間のピッチは、およそ50nmである。最小側壁角は、記録媒体656と下層154が十分に電気的に接触するように形成された角度として定義することができる。例えば、一実施形態においては、セル687は、多くとも16度だけテーパすることが可能である。半導体構造体内にテーパされた側壁を形成することは、フォトレジストの厚さを低減させ、絶縁材料に対する選択性を減少させる、ナノ・インプリンティング・リソグラフィ(NIL)を含む多くの異なる技術によって達成可能であることが、他の技術分野において知られている。
セル687を通る電流は、セル687の形状によって集束される。こうした電流の集束は、信号コントラストを増加させ、例えば、マルチ・ビット記録の頑強性を増大させることができる。さらに、セル687は記録媒体656と下層154の界面付近でテーパするので、誘電体は、上層658を含むセルの部分と比べて、記録媒体656を含むセルの部分間でより厚くなる。絶縁材料の断面積と記録媒体656の断面積とのより高い比は、潜在的により低い熱干渉を意味する。
媒体デバイス450/550/650内にパターンを定めることは、0.1um未満の寸法のフィーチャを描くための技術を必要とする。好ましい実施形態においては、媒体デバイス450/550/650のための必要なパターンを定めるために、ナノ・インプリンティング・リソグラフィ(NIL)として知られているクラスのプロセス技術を用いることができる。NILプロセス技術が用いられる場合には、構造体及び製造方法において、ナノ・スケールの位置合わせを必要としない。NILプロセス技術は、熱NIL、UV−NIL、又はステップ・フラッシュ・インプリンティング・リソグラフィ(SFIL)を含むことができる。こうしたプロセス技術は、適正なコストでの適正な処理量により、10nm未満の寸法を有するフィーチャを解像することが可能である。こうした技術を適用するための金型は、例えば、電子ビーム(「e−ビーム」)リソグラフィ、又はイオン・ビーム・リソグラフィを用いて作製することができる。他の実施形態においては、光リソグラフィ技術を含む、他の何らかのプロセス技術又はプロセス技術のクラスを用いて、パターンを媒体デバイス450/550/650に転写することができる。こうした技術には、極紫外線リソグラフィ(EUVL)、X線リソグラフィ、電子ビーム・リソグラフィ、及びイオン・ビーム・リソグラフィがある。マルチ・ビット記録が用いられる場合、パターンの密度はあまり関係せず、適用されるパターン転写技術は、均一性及び歩留まりといった、フィーチャの幅以外の何らかの要因に基づいて選択することができる。当業者であれば、パターンを媒体デバイス450/550/650に転写するために異なる技術を適用する制限及び利点を認識し、そうした技術に適用できる変形を認識することができるであろう。そうした変形は、本発明の範囲内にあると考えられる。
図8A−図8Cは、本発明によるシステム及び方法のさらに別の実施形態と共に用いるためのパターン形成された媒体デバイスの断面図である。媒体デバイス750/850は、基板152と、基板152の上に配置された随意的な絶縁層186と、基板152及び絶縁層186(存在する場合には)の上に配置された連続する下層(すなわち、下部電極)154と、下層154の上に配置された記録媒体780/880の不連続な層と、記録媒体780/880の上に形成された不連続な上層758/858(すなわち、上部電極)と、媒体デバイス750/850の表面の上に配置された潤滑剤151と、潤滑剤151と媒体デバイス750/850の表面との間に配置された随意的な潤滑剤接着層259とを含む。上述のように、基板152は、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、又は他の何らかの半導体材料を含むことができる。随意的に、下部電極154を基板152から絶縁することが望ましい場所に、絶縁層186を含ませることができる。絶縁層186は、酸化物材料及び窒化物材料の一方、又は熱的及び電気的絶縁特性を有する他の何らかの材料を含むことができ、これにより記録媒体780/880が基板152から絶縁される。
図8Aを参照すると、一実施形態においては、媒体デバイス750は、抑制マトリクス788内に配置された複数のセル787を含む。複数のセル887は、極性依存メモリ層780と、上部電極758とを含む。こうした実施形態においては、連続する下部電極154の上に、複数のセル887及び抑制マトリクス888が配置される。一実施形態においては、下部電極154は、タングステン、プラチナ、金、アルミニウム、及び銅のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。下部電極154を形成するために選択される材料はさらに、接着特性及び堆積の一様性等のような付加的な特性に基づいて選択されることが望ましい。当業者であれば、良好な導電性と、下部電極154を形成するための1つ又はそれ以上の好ましい特性とを有する無数の異なる材料を認識することができる。下部電極154は、極性依存メモリ層780を通る良好な導電性をもたらすべきであるが、記録媒体が相変化材料を含む実施形態におけるものと同様に効率良く熱を引き出す必要はない。極性依存メモリ層780が記録媒体として用いられる場合には、媒体デバイス750に非常に低い電流を付与することができ、材料は、非常に低い温度まで(付随的に)加熱される。極性依存メモリ層780は、イオン源層784及び固体電解質層782とを含む不連続層である。イオン源層784及び固体電解質層782は、図5A−図5Cを参照して上述されたような材料を含むことができる。上述のように、下部電極154は、アノード(すなわち、電解回路における正極)として働き、下部電極154に正電圧を印加することができ、或いは代替的に、下部電極154を接地することができる。図8Aに示されるように、イオン源層784の上に、固体電解質層782が配置される。しかしながら、他の実施形態においては、固体電解質層782の上にイオン源層784を配置することができる。便宜上、図8A(及び以下の図8D)の実施形態のみが説明されるが、当業者であれば、極性依存メモリ層780/880の代替的な配置を認識するであろう。
極性依存メモリ層780の上に、上部電極758が配置される。上部電極758は、イオンが、極性依存メモリ層780から上部電極758の中に意図せず移動するのを防止するためのイオン障壁を提供すきである。上述のように、上部電極758は、チップ142が上部電極758に接触したときの記録媒体780及び/又はチップへの物理的損傷を防止するように選択される材料を含むことができる。上部電極758は、耐磨耗性の材料を含むことができ、これにより、上部電極758及び/又はチップ142の寿命が延びる。好ましい実施形態においては、上部電極758は、例えば、高融点金属(例えば、モリブデン、インジウム、プラチナ、イリジウム、及び酸化イリジウム等)といった高導電性の材料を含む。しかしながら、極性依存メモリ層内の印は、温度依存プロセスの結果とは限らないか、又は一般的には温度依存プロセスの結果であるため、材料のクラスを必ずしも媒体デバイスの最大温度によって定める必要はない。抑制マトリクス788によるセル787の分離は、上部電極758に付与される電流が分路されにくくなり、そのため、上部電極758が低い横方向の導電性を有する必要はない。しかしながら、必要であれば、上部電極758は、低い導電特性と高い硬度特性とを有する材料を含むことができる。代替的に、上部電極758は、電流を、上述の共堆積膜のような膜を横切るのではなく膜を貫通して容易に導通する異方性の柱状材料、又は同様の特性を有するTiN又はMoNのような何らかの金属窒化物を含むことができる。窒化チタン(TiN)は、低導電性の硬質材料である。
上述のように、媒体デバイス750は、随意的に、媒体デバイス750の表面の上に連続する膜を含む潤滑剤151を有することができる。媒体デバイス750の表面の上に、潤滑剤151を形成し、堆積させ、付着し、又は他の方法で配置し、位置決めし、或いは塗布することができる。幾つかの実施形態においては、潤滑剤151は、液体とすることができるが、他の実施形態においては、潤滑剤151は、二硫化モリブデンのような非液体とすることができる。さらに他の実施形態においては、潤滑剤151は、炭素の形態とすることができる。無数の異なる技術を用いて、潤滑剤151を媒体デバイス750の表面に塗布することができる。一実施形態においては、堆積プロセスを用いて、潤滑剤151を媒体デバイス750の表面上に堆積させることができる。別の実施形態においては、潤滑剤151は、媒体デバイス750の表面の上に噴霧することができる。
好ましい実施形態においては、潤滑剤151と媒体デバイス750の表面との間に、例えば、アモルファス炭素、窒素化アモルファス炭素、水素化アモルファス炭素、及びDLCなどの潤滑剤接着層259が配置される。潤滑剤151は、複数のポリマー鎖を含む単層であり、ポリマー鎖は、潤滑剤接着層259に結合するように適合されている。ポリマー鎖を潤滑剤接着層259に優先的に結合させて、ポリマー鎖が接触部(すなわち、チップ142)に付着しにくくするか、或いは、接触部との摩擦及び静摩擦の一方又は両方の結果として移動されにくくすることができる。潤滑剤接着層259は、潤滑剤151が結合できる均一な表面を提供する。
さらに別の実施形態においては、潤滑剤151は、例えば、添加剤を有するFomblin Z−DOLのような、結合相及び可動相の両方を有する単層とすることが望ましい。上述のように、こうした潤滑剤は、高温で有効な自己回復面を提供できる。当業者であれば、チップ142と媒体デバイス750/850との間に望ましい関係を与えるために用い得る無数の異なる潤滑剤と、そうした潤滑剤151を塗布するための無数の異なる技術とを認識するであろう。
媒体デバイス750は、例えば、堆積チャンバ(例えば、化学気相堆積(CVD)チャンバ、プラズマ気相堆積(PVD)チャンバ)及び/又は炉を用いて膜層を順番に堆積又は成長させるための通常の半導体製造プロセスを用いて形成することができる。例えば、図8Aの媒体デバイス750を参照すると、連続した層として、基板152の上に絶縁層186及び下部電極154が形成される。下部電極154の上に、絶縁材料、並びに記録媒体及び上層の両方のうちの一方が形成される。図8B及び図8Cを参照すると、好ましい実施形態においては、下部電極154の上に、極性依存メモリ層780及び上部電極758が形成される。極性依存メモリ層780及び上部電極758が、パターン形成されエッチングされて、セル787を形成する。セル787の下に配置されていない下層154が露出される。露出された下層154の上に、絶縁特性を有する材料が堆積されるか、又は他の方法で形成され、抑制マトリクス788をもたらす。代替的に、下部電極154の上に絶縁材料が形成される場合には、絶縁材料がパターン形成されエッチングされて、バイアを有する抑制マトリクス788を形成する。その後、極性依存メモリ層780(上述のような多数のプロセス・ステップを必要とする)及び上部電極758を連続的に形成することによって、バイアが充填され、複数のセル787をもたらす。CMPによって、媒体デバイス750の表面を実質的に平坦化することができる。次いで、媒体デバイス750の平坦化された表面の上に、潤滑剤接着層259及び潤滑剤151が形成される。
図8Aに示されるように、抑制マトリクス788とセル787の間の界面は、媒体デバイス750の平坦な面に対して実質的に垂直な構成を有する側壁である。こうした実質的に垂直な壁は、反応性イオン・エッチング(RIE)のような異方性エッチング・プロセスによって形成される。当業者であれば、ほぼ垂直な側壁を有する媒体デバイス750を形成するための無数の異なる技術を認識することができる。しかしながら、図8Dを参照すると、セル887が下部電極154においてテーパするように、垂直(すなわち、約90度)よりも小さい傾きを有する側壁を形成することが望ましい場合もある。好ましい実施形態においては、セル887の幅は、上部(すなわち、セル/チップ界面、セル/潤滑剤又はセル/上層界面に最も近い)では30nmであり、セル887のスタック厚は50nmであり、一方、セル887間のピッチは、およそ50nmである。最小側壁角は、記録媒体856と下層154が十分に電気的に接触するように形成された角度として定義することができる。例えば、一実施形態においては、セル887は、多くとも16度だけテーパさせることができる。半導体構造体内にテーパされた側壁を形成することは、フォトレジストの厚さを低減させ、絶縁材料に対する選択性を減少させる、ナノ・インプリンティング・リソグラフィ(NIL)を含む多くの異なる技術によって達成可能であることが、他の技術分野において知られている。
セル887を通る電流は、セル887の形状によって集束される。こうした電流の集束は、信号コントラストを増加させ、例えば、マルチ・ビット記録の頑強性を増大させることができる。さらに、セル887は記録媒体856と下層154の界面付近でテーパされるので、誘電体は、上層858を含むセルの部分と比べて、記録媒体856を含むセルの部分間でより厚くなる。絶縁材料の断面積と記録媒体856の断面積とのより高い比は、潜在的により低い熱干渉を意味する。
上述のように、好ましい実施形態においては、ナノ・インプリンティング・リソグラフィ(NIL)を適用することによって、媒体デバイス750/850内にパターンを定めることができる。他の実施形態においては、極紫外線リソグラフィ(EUVL)、X線リソグラフィ、電子ビーム・リソグラフィ、及びイオン・ビーム・リソグラフィのような光リソグラフィ技術を含む他の何らかのプロセス技術又はプロセス技術のクラスを用いて、パターンを媒体デバイス750/850に転写することができる。上述のように、NILプロセス技術が用いられる場合には、構造体及び製造方法において、ナノ・スケールの位置合わせを必要としない。マルチ・ビット記録が用いられる場合、パターンの密度はあまり関係せず、適用されるパターン転写技術は、均一性及び歩留まりといった、フィーチャの幅以外の要因に基づいて選択することができる。当業者であれば、パターンを媒体デバイス750/850に転写するために異なる技術を適用する制限及び利点を認識し、そうした技術に適用できる変形を認識することができるであろう。そうした変形は、本発明の範囲内にあると考えられる。
他の実施形態においては、パターン形成された媒体が用いられる場合、連続する媒体と同様に、記録媒体は、相変化材料以外の媒体、又は極性依存メモリ層とすることができる。例えば、媒体デバイスは、電荷蓄積型媒体とすることができる。電荷蓄積媒体は、誘電体内に捕捉された電荷としてデータを格納する。したがって、電荷蓄積媒体の場合、媒体は、書き込み状態のときに電荷を捕捉する誘電体材料である。媒体を再び非書き込み状態に変えるには、捕捉された電荷を除去することを必要とするだけである。例えば、正の電流を用いて電荷を媒体内に格納することができる。次に、負の電流を用いて、媒体から格納された電荷を除去することができる。
抑制マトリクス内でセルを分離することにより、分路を実質的に最小にすることができ、これにより、潜在的に信号対ノイズ比が増大される。信号対ノイズ比が高いと、データを記録するためにマルチ・ビット記録スキームを適用するシステムの頑強性を改善することができる。印当たり2ビットを格納するために、最小で4つの抵抗レベル(00、01、10、11)が必要とされる。互いから電気的に絶縁したセルを形成するために媒体をパターン形成することにより、GST又は他の相変化材料、並びに極性依存メモリ材料を含む記録媒体において4つのレベルの記録を達成するのに十分な信号対ノイズ比が提供され得る。
サーボ情報及びタイミング情報を定義するパターン媒体
パターン形成するステップを含ませることは、パターン全体の中にサーボ情報及びタイミング情報を予め定めることを可能にするという利点を提供することを可能にする。予め定められたサーボ情報及びタイミング情報は、サーボ情報及びタイミング情報を連続する媒体に書き込む必要性をなくすことによって、製造プロセスを簡単化することができる。予め定められたサーボ情報及びタイミング情報を含ませることはまた、こうした情報を位置決めする際のばらつきを減少させ、サーボ技術を簡単化してデータの発見及び回復をより堅固なものにすることができる。
パターン形成するステップを含ませることは、パターン全体の中にサーボ情報及びタイミング情報を予め定めることを可能にするという利点を提供することを可能にする。予め定められたサーボ情報及びタイミング情報は、サーボ情報及びタイミング情報を連続する媒体に書き込む必要性をなくすことによって、製造プロセスを簡単化することができる。予め定められたサーボ情報及びタイミング情報を含ませることはまた、こうした情報を位置決めする際のばらつきを減少させ、サーボ技術を簡単化してデータの発見及び回復をより堅固なものにすることができる。
本発明によるパターン形成された媒体内に情報を定めるためのシステム及び方法の実施形態においては、パターンのピッチ内にタイミング情報を含ませることができる。例えば、セル間の領域が比較的高い抵抗値(Rmax)であり、かつ、記録媒体が常にセル間の領域よりも低い抵抗値を有する(例えば、0.1Rmaxから0.8Rmaxまでといった範囲の)ようにプログラムされる場合には、チップから記録媒体まで流れる電流が最小値を上回ることを感知することにより、セル上のチップの位置を検出することができる。一実施形態においては、クロック情報は、ビット周波数を二倍(又はその他の倍数)にすることができ、このため、抵抗レベルのシフトと組み合わせてクロックを検出するための周波数弁別が可能となる。これは、走査速度が正しいテンポでジッタする場合でも、データの書き込み及び読み取りを制御するセルフ・クロッキングための簡単な技術を提供する。
代替的な実施形態においては、比較器回路によってチップの電流が感知され、チップがセル上にあるときには「高い」値として測定され、チップがセル間にあるときには「低い」値として測定されるデジタル信号を生成することができる。チップを媒体に対して動かすときに、デジタル信号の期間を測定し、速度を制御するためのフィードバック信号として用いることができる。より正確には、多数のチップの幾つかの比較器回路からの出力を平均することができる。
パターン形成するステップを適用して、サーボ情報及びタイミング情報に対応する無数の異なるフィーチャを定めることができる。こうしたフィーチャは、単にデジタル情報をエンコードするためにセルをなくすことによって、マスター・パターン内に設計することができる。読み取り/書き込みセルの代わりに、読み取り専用(RO)セルをパターン形成することができる。ROセルは、十分に導電性の領域で構成され、媒体表面と下層又は基板との間に低い抵抗を生じさせ得る。一実施形態においては、ROセルの抵抗は、記録媒体を有するセル内の最低限の印よりも低い値に設定することができる。データセルのラインに挿入されたROセル又は一連のROセルを容易に検出することができる。さらに、検出の信号対ノイズ比を改善することができる。データセルと同様にトラックID情報及び同期マークを含ませて、サーボの位置決め検証を助け、データの書き込み及び読み取りにおけるエラーを防止することができる。トラックID及び同期パターンをROセル・パターン内に格納することによって、チップが常に所望のトラック上にあること、及びチップが適正なダウン・トラック領域で開始することを検証することが可能になる。ダウン・トラック方向に沿ってトラックID及び同期パターンの幾つかのコピーを離間配置し、チップがセルと位置合わせされた状態のままであることを保証することができる。
ROセルを含む方法及びシステムに対してマスク・ステップが低減された、システム及び方法の代替的な実施形態を適用することもできる。こうした実施形態においては、セルが容易に変更可能であり、よって「追記型」(WO)セルとして機能するように、幾つかの媒体セルをプログラムすることができる。例えば、非常に小さい抵抗(例えば、約1mAの大電流に対して100オームのオーダーの−通常の書き込み電流は100未満の係数である)を生じさせるように、極性依存メモリ層を含む記録媒体に書き込みを行なうことができる。こうした実施形態においては、オフ・トラックのサーボ・バースト・パターンを用いてチップを位置合わせし、ダウン・トラック位置の識別を助けることができる。サーボ・トラッキングを用いて、所望のトラックID及び他の情報を媒体セルに恒久的に書き込むことによって、セルの特定のグループをフォーマットすることができる。こうした方法及びシステムは、改善された信号対ノイズ比を達成し、データセルを省略することによって同期及びID情報をエンコードする技術と比べて、同期及びID情報をエンコードする効率を改善することができる。こうした方法はまた、このような領域にわたってチップの最初の横断時に大きい書き込み電流を付与し、リード・バック品質を改善することによって、サーボ・バースト・パターンを強化するために用いることもできる。
パターン形成するステップは、例えば、フレーム・マーク、同期(sync)マーク、トラック識別(ID)コード、及び、データ・パターンと混合されるか又は随意的に専用サーボ使用のための別の領域に配置される位置誤差信号(PES)を測定するためのサーボ・バースト・パターンといった、特別なフィーチャの付加を可能にすることができる。フレーム・マークは、データ・トラックの開始及び終了の識別を可能にする。同期マークは、データ・トラックの領域の識別を可能にする。トラックIDは、トラックのグループにおける個々のトラックの識別を可能にする。1つ又はそれ以上のトラック内のこうしたサーボ情報及びタイミング情報の構成の1つの実施形態が、図11Aに表される。この図は、トラック上に位置合わせされたチップを維持するためのPESブロック、タイミングのための同期マーク・ブロック、及びトラックIDブロックを含む。タイミング及び位置決めのために、所望のレベル又は必要なレベルの処理を達成するように、サーボ情報及びタイミング情報を配置することができる。図11Aに図示されたサーボ情報及びタイミング情報の構成は、無数の異なる構成のうちの1つにすぎない。他の実施形態においては、所望の結果を達成するために、より多い又はより少ないブロックを同様に又は異なるように配置することができる。例えば、専用のサーボ構造体がデータ記憶構造体と並列して用いられる場合、サーボ情報及びタイミング情報専用のより少ないブロックを有するデータ記憶構造体の設計が望ましい。複数のチップを形成する際の精度もまた、サーボ及びタイミングの構成に影響を及ぼすことがあり、こうした情報をPESブロックとして使用することが、ある程度重要になる。さらに、構成は、必要な要素の組み合わせを示すことを意図するわけではない。例えば、トラックIDブロックをPESブロックの先に置く必要も、PESブロックの後に置く必要もなく、或いは、ユーザ・データ・ブロックが多数の同期マーク・ブロックを含む必要はない。
図11Bは、複数のトラックにわたってユーザ・データ・ブロック内に配置されたトラックIDブロックの拡大図である。図示のように、ユーザ・データ・ブロックは、2つのレベルの情報(低抵抗状態990及び高抵抗状態992)を含むことができるが、上述のように、各々のセル(又は、後述するような混合された連続する/パターン形成された媒体内のドメイン)は、実際には、単一のセル(又はドメイン)内に2又はそれ以上のビットを格納するために、複数の抵抗レベル又は抵抗状態の範囲を有することができる。図示されるトラックIDブロックは、トラックの長さにわたって読み取られたとき、トラック・ナンバーを求めるために用いることができる低抵抗セル(又はドメイン)994のパターンを含む。トラックIDブロックは、トラックを満足に識別するのに必要なだけトラックに沿って利用可能な表面の大部分にわたることができるので、トラックIDブロックは、図11Bに示されるよりも少ない又は多いセル(又はドメイン)を含むことができる。
図11C及び図11Dは、複数のトラックにわたるユーザ・データ・ブロック内の同期マークの例の拡大図である。同期マークは、好ましくは(必ずしもではないが)トラックにわたって一様なパターンで配置できるが、同期マークは、図示されるよりも、同期マーク・ブロックのトラック方向の長さに沿ってずっと多くの低抵抗セル(又はドメイン)の組み合わせを含むことができる。図11Dに示されるように、低抵抗セル(又はドメイン)を互いに隣接して配置する必要はない。同期マーク・ブロック内に同期マークを定める低抵抗セル(又はドメイン)の構成及び数を、複数の要因に基づいて決定し、好ましくは高い信号対ノイズ比を有する信号を生成することができる。さらに、同期マーク・ブロックの長さは、図11C及び図11Dに示される同期マーク・ブロックから変化することができる。
サーボ・システムは、トラックの(よって、セル又はドメインの)中心に置かれたチップを維持するための、横断方向トラック位置感知機構を含むことができる。ディスク・ドライブ産業においてサーボ位置情報を提供する一般的な方法は、Nデータビット毎にA−B−C−Dバーストのサーボ・パターンを挿入し、サーボ位置誤差信号(PES)の復調を可能にすることである。これらの方法は、データ・トラックから異なるオフ・トラック距離でマークのグループを配置することを必要とする。チップがこれらの領域を通過するとき、相対的な振幅又はタイミング情報を復調して、オフ・トラック距離に比例する信号を生成することができる。パターン形成された媒体がない場合、サーボ書き込みプログラム又はセルフ・サーボ書き込み方法を用いて、これらのマークを媒体に書き込む必要がある。このことは、多くの場合、マークの配置に付加的な位置センサを必要し、記憶装置の複雑さを増すことがある。図11Eは、A−B−C−Dバーストに対応する低抵抗セル(又はドメイン)を有するこうしたPESバースト構成の1つの拡大図であり、構成内の各バーストは、トラックに沿って互いに隣接する2つの低抵抗セル(又はドメイン)によって表される。
セルの中心に置かれたチップを維持するための横断方向トラック位置感知機構の代替的な実施形態が、図11Fに示される。媒体のパターン形成は、低い、変化する、又は変化した抵抗のラインの画定を可能にすることができる。ジグザグ・パターンで配置された4つのPESライン996を含む図11Fのサーボ構成においては、第1及び第2のライン(ページ上の左から右へ)が互いに逆にパターン形成されており、第3及び第4ラインが、互いに逆に、かつ、第1及び第2ラインに対して位相がずれた状態でパターン形成されている。トラックを横断するチップは、同期マークに遭遇し、同期マークとラインとの間のタイミング(ラインがジグザグであるためトラックにわたって変化する)を検出し、ラインに沿って、よってトラックにわたって、チップが配置される場所を判断することができる。図11E及び図11FのPES構成は単なる例にすぎず、これらの教示に照らすとき、当業者であれば、本発明によるシステム及び方法の実施形態において用い得る1つ又はそれ以上のトラックにわたる、チップの詳細な位置決めを識別するためのPESセル(又はドメイン)、ライン、又は他のフィーチャの無数の異なる構成を認識するであろう。
さらに、各々のビット間の変位が予め定義され、チップの振動及び移動に起因する書き込みと読み取りの間に生じる誤差の伝播を減少させるので、抑制マトリクス内のセルの分離がジッタ・ノイズを減らすことができる。ノイズ及び所定のパターンの変動性は、チップの機構に起因するノイズ及び変動性よりも著しく小さいものになり得る。
部分的にパターン形成された媒体
さらに別の実施形態においては、パターン形成するステップを含ませてサーボ情報及びタイミング情報を定める一方で、データ格納のための連続する媒体を提供し、これにより、サーボ情報及びタイミング情報を連続する媒体に書き込む必要性がなくなり、連続する媒体によりデータ記憶装置の最大密度を制限できるようにすることが望ましい。
さらに別の実施形態においては、パターン形成するステップを含ませてサーボ情報及びタイミング情報を定める一方で、データ格納のための連続する媒体を提供し、これにより、サーボ情報及びタイミング情報を連続する媒体に書き込む必要性がなくなり、連続する媒体によりデータ記憶装置の最大密度を制限できるようにすることが望ましい。
上述のように、好ましい実施形態においては、ナノ・インプリンティング・リソグラフィ(NIL)によって、或いは、極紫外リソグラフィ(EUVL)、X線リソグラフィ、電子ビーム・リソグラフィ、及びイオン・ビーム・リソグラフィといった光リソグラフィ技術を含む他のプロセス技術又はプロセス技術のクラスを用いて、媒体デバイス内にサーボ及びタイミング・パターンを定めることができる。技術は、記録の密度及びコストとパターン転写技術の頑強性の間の利点のトレードオフに基づいて選択することができる。当業者であれば、サーボ及びタイミング・パターンを媒体デバイスに転写するために異なる技術を適用することの制限及び利点を認識し、そうした技術に適用できる変形を認識することができる。そうした変形は、本発明の範囲内にあると考えられる。
パターン形成されたサーボ情報及びタイミング情報と連続する媒体とのハイブリッド解決法を含む実施形態においては、上述のように、記録媒体は、相変化材料又は極性依存メモリ層、或いは電荷蓄積型媒体のような他の何らかの媒体とすることができる。
上述のように、本発明によるパターン形成された媒体内に情報を定めるためのシステム及び方法の実施形態においては、タイミング情報をパターンのピッチ内に含ませることができる。例えば、セル間の領域が比較的高い抵抗値(Rmax)であり、かつ、記録媒体が常にセル間の領域よりも低い抵抗値を有する(例えば0.1Rmaxから0.8Rmaxまでといった範囲の)ようにプログラムされる場合には、チップから記録媒体まで流れる電流が最小値を上回ることを感知することによって、セル上のチップの位置を検出することができる。これは、走査速度が正しいテンポでジッタする場合でも、データの書き込み及び読み取りを制御するセルフ・クロッキングのための簡単な技術を提供する。
代替的な実施形態においては、比較器回路によってチップの電流が感知され、チップがセル上にあるときには「高い」値として測定され、チップがセル間にあるときには「低い」値として測定されるデジタル信号を生成することができる。チップを媒体に対して動かすとき、デジタル信号の期間を測定し、速度を制御するためのフィードバック信号として用いることができる。より正確には、多数のチップの幾つかの比較器回路からの出力を平均することができる。
読み取り/書き込みセルの代わりに、読み取り専用(RO)セルをパターン形成することができる。読み取り専用セルは、媒体表面と下層又は基板との間に低い抵抗を生じさせる十分に導電性の領域で構成され得る。一実施形態においては、ROセルの抵抗は、記録媒体を有するセル内の最低限の印よりも低い値に設定することができる。データセルのラインに挿入されたROセル又は一連のROセルを容易に検出することができる。さらに、検出の信号対ノイズ比を改善することができる。データセルと同様にトラックID情報及び同期マークを含ませて、サーボの位置決め検証を助け、データの書き込み及び読み取りにおけるエラーを防止することができる。トラックID及び同期パターンをROセル・パターン内に格納することによって、チップが常に所望のトラック上にあること、及びチップが適正なダウン・トラック領域で開始することを検証することが可能になる。ダウン・トラック方向に沿ってトラックID及び同期パターンの幾つかのコピーを離間配置し、チップがセルと位置合わせされた状態のままであることを保証することができる。
上述のように、ROセルを含む方法及びシステムに対してマスク・ステップが低減された、システム及び方法の代替的な実施形態を適用することができる。こうした実施形態においては、セルが容易に変更可能であり、よって「追記型」(WO)セルとして機能するように、幾つかの媒体セルをプログラムすることができる。例えば、非常に低い抵抗(例えば、約1mAの大電流に対して100オームのオーダーの−通常の書き込み電流は、100未満の係数である)を生じさせるように、極性依存メモリ層を含む記録媒体に書き込みを行うことができる。こうした実施形態においては、オフ・トラックのサーボ・バースト・パターンを用いてチップを位置合わせし、ダウン・トラック位置の識別を助けることができる。サーボ・トラッキングを用いて、所望のトラックID及び他の情報を媒体セルに恒久的に書き込むことによって、セルの特定のグループをフォーマットすることができる。こうした方法及びシステムは、改善された信号対ノイズ比を達成し、データセルを省略することによって同期及びID情報をエンコードする技術と比べて、同期及びID情報をエンコードする効率を改善することができる。こうした方法はまた、このような領域にわたってチップの最初の横断時に大きい書き込み電流を付与し、リード・バック品質を改善することによって、サーボ・バースト・パターンを強化するために用いることもできる。
上述のように、パターン形成するステップは、例えば、フレーム・マーク、同期マーク、トラック識別(トラックID)コード、及び、データ・パターンと混合されるか又は随意的に専用サーボ使用のための別の領域に配置されるサーボ・バースト・パターンといった特別なフィーチャを付加することを可能にすることができる。フレーム・マークは、データ・トラックの開始及び終了の識別を可能にする。同期マークは、データ・トラックの領域の識別を可能にする。トラックIDは、トラックのグループにおける個々のトラックの識別を可能にする。これらのパターンの全ては、単にデジタル情報をエンコードするためにセルをなくすことによって、マスター・パターンの中に設計することができる。
再び図11Aを参照すると、パターン形成されたサーボ及びタイミング情報と連続する媒体とのハイブリッド解決法が用いられる実施形態においては、ユーザ・データ・ブロックは、連続する媒体を含むことができ、よって、ユーザ・データ・ブロック内にセルはほとんど又は全く定められない。寧ろ、ユーザ・データ・ブロックにわたってドメインが定められる。連続する媒体の使用は、必ずしもトラックの幅にわたる必要はないが、少なくとも横断方向のトラックの長さに沿って、ユーザ・データの密度が増加することを可能にする。
金属カンチレバー式チップを形成する
本発明によるシステム及び方法と共に用いるためのカンチレバー式チップと、そうしたカンチレバー式チップを形成する方法の実施形態が、図9A及び図9Bに示される。そうしたチップ242/342の実施形態は、自己配置可能とすることができ、導電性金属又は金属合金を含む接触面243/343を含むことができる。チップ242/342は、カンチレバー241によってプラットフォーム244と作動可能に関連付けられ、チップ242/342が媒体表面(例えば、表面上の潤滑剤151)に対して圧迫されるように付勢される。付勢されたカンチレバー241は、近位端で結合され、チップ242/342と関連した遠位端で切り離されるので、チップ242/342は、媒体デバイス150/350と電気的に連通した状態を維持しながら、プラットフォーム244に対して垂直平面内で動くことができる。
本発明によるシステム及び方法と共に用いるためのカンチレバー式チップと、そうしたカンチレバー式チップを形成する方法の実施形態が、図9A及び図9Bに示される。そうしたチップ242/342の実施形態は、自己配置可能とすることができ、導電性金属又は金属合金を含む接触面243/343を含むことができる。チップ242/342は、カンチレバー241によってプラットフォーム244と作動可能に関連付けられ、チップ242/342が媒体表面(例えば、表面上の潤滑剤151)に対して圧迫されるように付勢される。付勢されたカンチレバー241は、近位端で結合され、チップ242/342と関連した遠位端で切り離されるので、チップ242/342は、媒体デバイス150/350と電気的に連通した状態を維持しながら、プラットフォーム244に対して垂直平面内で動くことができる。
図9Aを参照すると、ここでは「補強された」チップ242と呼ばれる、チップ242の実施形態が、相変化材料(例えば、GST)を含む記録媒体156を有する、図1A〜図1Cに示されるような媒体デバイス150と電気的に連通した状態で示される。チップ242は、応力勾配の適用が可能な材料を含むカンチレバー241によって、チップ・プラットフォーム244と結合されるので、カンチレバー241は、媒体デバイス150の表面にバイアスをかけることができる板ばねを形成する。チップ242は、接触面243を含む。接触面243を形成する導電性層は、導電性であり、プラチナ、イリジウム、こうした金属の合金、或いは他の何らかの金属又は金属合金といった金属の層を含むことが好ましい。一実施形態においては、接触面243は、約10nmから200nmまでの間の範囲の厚さを有する。接触面243の後ろ(チップ・媒体表面の界面に対して)のチップ242の後面245は、ギザギザのある形状を有することができ、後面245内のギザギザ部は、ほぼ接触面243の形状である。チップ242にさらなる機械的強度を与えるために、後面245の上にシリコン174又は他の補強材料の部分が配置され、チップと媒体表面の界面に存在する力に起因するチップ242の変形及び屈曲に抵抗する。例えば、二酸化シリコンのような絶縁誘電体層175が、シリコンと後面245との間に配置された状態で示されている。こうした補強されたチップ242の信頼性は著しく高く、使用中の磨耗及び損傷を受けにくい。
補強されたチップ242をチップ・プラットフォーム244と作動可能に結合するカンチレバー241は、無数の異なる金属及び金属合金を含むことができる。例えば、カンチレバー241は、ニッケル、クロム、モリブデン、他の何らかの金属及び合金を含むことができる。カンチレバー材料は、高い降伏強度、良好な導電性、及び、補強されたチップ242とチップ・プラットフォーム244(及び関連した構造体)の製造中に適用される同時に行われるプロセス・ステップとの両立性を有するように選択すべきである。一実施形態においては、カンチレバーは、約100nmから1000nmまでの間、好ましくは250nmから500nmまでの間の範囲の厚さを有することができる。
図9Aは、補強されたチップ242が媒体デバイス150の表面と接触するように配置された、補強されたチップ242を示す。補強されたチップ242及び媒体デバイス150は、本発明によるシステムの実施形態の一部を含む。しかしながら、他の実施形態においては、システムは、GSTを含む記録媒体、或いは、パターン形成された又はパターン形成されていない極性依存メモリ層を含む記録媒体を有するパターン形成された媒体デバイスのような、他の何らかの媒体デバイスと作動可能に関連付けられた補強されたチップ242を含むことができる。ここでは複数の媒体デバイスが説明され、そうした教示から無数の他の媒体デバイスを得ることができる。全てのそうした媒体デバイスは、本発明のシステム及び方法の実施形態の範囲内となることが意図されている。同様に、そうしたシステム及び方法は、ここに含まれる教示を理解する際に当業者には変形が明白であるため、図9Aに示される特定の幾何学的形状及び構造に限定されることが意図されていない。
図9Bを参照すると、ここでは「中空の」チップ342と呼ばれる、チップ342の代替的な実施形態が、極性依存メモリ層を含む記録媒体380を有する、図5A〜図5Cに示されるような媒体デバイス350と電気的に連通した状態で示される。上述のように、チップ342は、応力勾配の適用が可能な材料を含むカンチレバー241によって、チップ・プラットフォーム244と結合されるので、カンチレバー241は、媒体デバイス150の表面にバイアスをかけることができる板ばねを形成する。チップ342は、接触面343を含む。接触面343を形成する導電性層は、導電性であり、プラチナ、イリジウム、こうした金属の合金、或いは他の何らかの又は金属合金といった金属の層を含むことが好ましい。チップ342の後面345は、ギザギザのある形状を有することができ、後面345内のギザギザ部は、ほぼ接触面343の形状である。しかしながら、チップ342は、接触面343を補強するシリコン部分174を有しておらず、したがって、図9Aのチップ242の後面243と比較したとき、後面345は、「中空」であると考えることができる。一実施形態においては、接触面343を形成する導電性層は、約10nmから200nmまでの間の範囲の厚さを有する。中空のチップ342は、補強されたチップ242よりも著しく低い質量を有する。より低い質量を有するチップは、媒体デバイスとのより高い共振を有することができ、したがって、より高速で作動することができる。増大した速度は、より高いデータ転送速度をもたらし、短いアクセス時間が望まれる場合に有利であり得る。
中空のチップ342をチップ・プラットフォーム244と作動可能に結合するカンチレバー241は、無数の異なる金属及び金属合金を含むことができる。例えば、カンチレバー241は、ニッケル、クロム、モリブデン、他の何らかの金属及び合金を含むことができる。カンチレバー材料は、高い降伏強度、良好な導電性、及び、中空のチップ342とチップ・プラットフォーム244(及び関連した構造体)の製造中に適用される同時に行われるプロセス・ステップとの両立性を有するように選択すべきである。一実施形態においては、カンチレバーは、約100nmから1000nmまでの間、好ましくは250nmから500nmまでの間の範囲の厚さを有することができる。
図9Bは、中空のチップ342が媒体デバイス350の表面と接触するように配置された、中空のチップ342を示す。中空のチップ342及び媒体デバイス350は、本発明によるシステムの実施形態の一部を含む。しかしながら、他の実施形態においては、システムは、極性依存メモリ層を含む記録媒体、或いは、パターン形成された又はパターン形成されていないGSTを含む記録媒体を有するパターン形成された媒体デバイスのような、他の何らかの媒体デバイスと作動可能に関連付けられた中空のチップ342を含むことができる。ここでは複数の媒体デバイスが説明され、そうした教示から無数の他の媒体デバイスを得ることができる。全てのそうした媒体デバイスは、本発明のシステム及び方法の実施形態の範囲内となることが意図されている。同様に、そうしたシステム及び方法は、ここに含まれる教示を理解する際に当業者には変形が明白であるため、図9Bに示された特定の幾何学的形状及び構造体に限定されることが意図されていない。
上述されたもののようなチップ242/342は、通常の半導体プロセス技術を適用する多くの製造ステップによって形成することができる。例えば、図9Aに示されるようなチップ242を形成する方法の実施形態が、図10A〜図10Fのスタック図に示されており、これは、図9Aに示される構造体を形成するための一連のプロセス・ステップの一例を示す。この方法は、シリコン基板aの上に熱酸化物層bを成長させるステップを含むことができる。熱酸化物bは、例えば、周知の拡散プロセス技術を用いる拡散プロセスで成長させることができる。熱酸化物(二酸化シリコンのような)に対して高い選択性をもつ材料を熱酸化物bの上に堆積させて、ハードマスク層cを形成することができる。周知のフォトリソグラフィ技術を用いて、ハードマスクc内にパターンを定めることができる。パターンは、マスクされていないキャビティ領域により囲まれた、マスクされたチップ領域を定めることができ、ウェハは、浅いキャビティにより囲まれた初期のチップ構造体170が形成されるように、等方的にエッチングすることができる。第2の熱酸化物層bbが成長され、鋭利なチップを定める構造体170の形成を助ける付加的なシリコンを消費し、図10Aに示されるような膜スタックを形成する。
酸化物のエッチングは、第2の熱酸化物層bbを除去し、チップ構造体170上に配置されたハードマスクcを剥離させ、シリコンチップを残す。この酸化物エッチング・ステップの際に、ハードマスク層cの下で酸化物層がアンダーカットされ、酸化物層の垂下部を除去する。場合によっては、シリコンチップの高さ及び/又はシリコンチップの曲率半径を調整するために、付加的な熱酸化及び酸化物エッチング・ステップを適用することができる。
図10Bを参照すると、第3の熱酸化物層bbbを成長させることができる。次のステップにおいて、選択的エッチングを用いて、ウェハからハードマスクcが除去され、このことは二酸化シリコンに影響を及ぼさず、したがって鋭利なチップの形状を変化させない。例えば、二酸化シリコンのハードマスクは、二酸化シリコンも、シリコンもエッチングしないリン酸中で除去することができ、チップ構造体170の上に熱酸化物層b/bbbを残す。例えば、スパッタリングによって、第1の金属層dを堆積させることができる。この第1の層dは、チップ領域を覆い、ここでは「チップ金属」とも呼ばれる。チップ金属dの厚さは、チップ242の接触面243の要求される曲率半径を提供するように選択される。チップ金属dは、高い導電性有し、耐磨耗性であり、化学的に不活性である。プラチナ、イリジウム、高融点金属、及びこれらの金属の組み合わせを、チップ金属材料に用いることができる。熱酸化物の下層bbbへの強い機械的結合を提供するために、チップ金属dは、接着層を含むことができる。チップ金属dをエッチングし、チップ242の接触面243を形成することができる。代替的に、チップ金属dのパターン形成のために、リフトオフ・プロセスを用いることもできる。図10Cを参照すると、第2の金属層e(ここではカンチレバー金属とも呼ばれる)をスタックの上に堆積させ、エッチングして、カンチレバー・パターンを形成することができる。カンチレバー・パターンは、浅いキャビティ領域180の内部に形成されることが好ましい。この場合、カンチレバーは解放後のステップを有さない。カンチレバー金属eは、チップ金属dと重なる。図10Dに示されるように、カンチレバー・パターンが定められると、カンチレバー・パターンの上部に、誘電体層f(ここでは安定化膜とも呼ばれる)が堆積される。誘電体は、高温(典型的には、350℃〜400℃)でプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって堆積された二酸化シリコン又は窒化シリコンであることが好ましい。
カンチレバー金属eに誘電体堆積プロセスを施すことにより、幾つかの利点がもたらされる。第1に、誘電体堆積プロセス中の高温により、チップ金属dとカンチレバー金属eとの間の金属原子の相互拡散が引き起こされ、チップ金属dとカンチレバー金属eとの間に良好な機械的及び電気的接続が与えられる。第2に、誘電体の堆積中にカンチレバー金属eを高温に曝し、その後冷却することにより、カンチレバー金属eと熱酸化物b/bbbとの間、及び、カンチレバー金属eと堆積された誘電体層fとの間の界面に、大きな応力が生じる。これらの応力は、熱機械的性質を有し、カンチレバー金属eと熱酸化物b/bbb及び堆積された誘電体層fとの間の熱膨張係数の差に起因して生じる。熱機械的応力の大きさは、堆積プロセスによって生じたカンチレバー金属eにおける応力勾配に打ち勝つのに、又は著しく変化させるのに十分なだけ高い。周囲温度と堆積プロセス中に用いられる高温との間の温度差によって決まるため、誘電体堆積プロセス中に生じたカンチレバー金属eの熱機械的応力は、非常に再現可能である。したがって、誘電体層の堆積は、カンチレバー金属eのパラメータの安定化を可能にし、技術的プロセスの変動に起因する堆積された際のカンチレバー金属eにおける応力勾配変動の影響を減少させる。第3に、図10Dから分かるように、カンチレバー金属eの下部は、ウェハの大部分と機械的に接触した状態にあり、カンチレバー金属eの上部層は、堆積された誘電体fの比較的薄い層に接触する。したがって、カンチレバー金属eの上部及び下部は異なる条件に曝され、カンチレバー金属eの上部の変形よりもカンチレバー金属eの下部の方が、熱機械的に大きく変形すると予想される。これは、解放後にカンチレバーの所望の面外初期屈曲を得るために用いることができるカンチレバー金属eにおける再現可能な応力勾配を生じさせる。他の実施形態においては、カンチレバー金属eにおける所望の応力勾配を生じさせ、チップ金属dとカンチレバー金属eとの間の良好な機械的及び電気的接続を実施する代替的な方法を用いることができる。こうした方法は、説明された誘電体堆積プロセス・ステップと組み合わせて、又は誘電体堆積ステップと置き換えて用いることができる。例えば、アルゴン又は窒素の不活性雰囲気中といった特定の雰囲気中での高温のアニーリングが、こうした代替的な方法の一例である。当業者であれば、こうした応力勾配を形成するための当技術分野において知られている異なる方法を認識するであろう。
ウェハをパターン形成し、エッチングして、カンチレバー及びチップ構造体の周りの堆積された酸化物層f及び熱酸化物層bbbの一部を除去することができる。図10Eを参照すると、誘電体層f及びbbbのエッチングの後にシリコン・エッチングが行われる。シリコン・エッチングは、2つのステップを含むことが好ましい。第1のステップは、カンチレバー及びチップの周りにトレンチを形成し、第2のステップは、カンチレバーをアンダーカットし、解放する。第1のステップにおいて、反応性イオン・エッチング(RIE)を用いることが好ましい。第2のステップにおいては、シリコンの湿式異方性エッチングを用いることが好ましい。(例えば、第2のステップにおいては、水酸化カリウムの水性溶液を用いることができる。)堆積された酸化物層fは、第2のステップ中、マスクとして働き、カンチレバー金属e及びチップ金属dを保護することができる。湿式異方性エッチングは、アンダーカットをより良好に制御し、したがってカンチレバーの長さ及び屈曲をより良好に制御することができる。代替的に、第2のステップにおいて、シリコンの等方性エッチングを用いることができる。誘電体エッチングのために定められた同じパターンが、第1のステップ及び第2のステップにおいても用いられることが好ましい。
シリコン・エッチングのために用いられるマスク・レイアウトに応じて、結果として得られる構造体は、図10Eに示されるようなチップ170の下にシリコン片174を有するか、又は上述され、図9Bに示されるような中空のチップを有することができる。エッチングの終了時に、コーナー部補償構造体を用いる当技術分野において周知の技術を用いて、チップ170の下にシリコン片174及び熱酸化物bbbの一部を保持することができる。
カンチレバー/チップ製造プロセスにおける最終ステップは、誘電体層の湿式エッチングである。これは、カンチレバー241及び堆積された酸化物fの下側から露出された熱酸化物bbbを除去し、カンチレバー241を解放するために用いられ、カンチレバー241は、解放されたときに応力勾配によって付勢され、板ばねのようなほぼ弧状の形状を形成する。さらに、堆積された酸化物fを除去することにより、チップ242の接触面dが露出される。
代替的に、図9Bに示されるようなチップ342を形成する方法の実施形態が、図9Bに示される構造体を形成するための一連のプロセス・ステップの例を示す、図10G−図10Iのスタック図に示される。図10A−図10Cに関して上述されたように、第2の金属層eが堆積され、エッチングされると、膜スタックの上に、例えば、PECVD酸化物のような堆積酸化物層fが形成され、カンチレバー構造体にわたって応力勾配が形成されるようにすることができる。ウェハをパターン形成し、エッチングして、カンチレバー及びチップ構造体の周りの堆積された酸化物層f及び熱酸化物層bbbの一部を除去することができる。図10Hを参照すると、シリコンの湿式異方性エッチングを用いて、カンチレバー241をアンダーカットすることができる。代替的に、次いで、等方性エッチングを行って、チップ342及びカンチレバー241をアンダーカットし、定めることができる。膜スタックをエッチングし、チップ342の接触面243の後ろから全てのシリコンが除去されるようにすることができる。図10Iを参照すると、次いで、等方性エッチングを行い、チップ342及びカンチレバー241の下の堆積された酸化物層f及び露出された熱酸化物層bbbを除去することができる。結果として得られる構造体は、カンチレバー241の端部に中空のチップ343を有し、カンチレバー241は、解放されたときに応力勾配によって付勢され、板ばねのようなほぼ弧状の形状を形成する。さらに、堆積された酸化物fを除去することにより、チップ342の接触面dが露出される。チップ342は、図9Bに示されるような中空の構造体である。
図10A−図10Fの詳細な説明を提供する際に、プロセス・ステップについてある程度具体的に説明してきたが、本教示を検討した後、当業者であれば、図示され説明されたプロセス・ステップの多くの異なる変形が明白になることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、上述され、図9A及び図9Bに示されるチップ構造体を形成するための方法の特定の実施形態の説明と一致する説明されたプロセス・ステップ、膜スタック、及び構造体に制限することを意図するものではない。
本発明の上記の説明は、図示及び説明目的のために提供された。これは、網羅的であるか又は本発明を開示された精密な形態に制限することを意図するものではない。当業者には、多くの修正及び変形が明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を最もうまく説明するために述べられたものであり、したがって、当業者が種々の実施形態について及び考慮される特定の用途に適当な種々の修正をもって本発明を理解するようにするものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物により定義されることが意図される。
Claims (71)
- 記録媒体と、オーバーコートを貫通するよりもオーバーコートの面を横断する方が高い抵抗率を有する、前記記録媒体の上に配置されたオーバーコートとを含む媒体と、
前記媒体と電気的に接続可能なチップと、
を備え、
前記媒体と前記チップとの間に電位が印加されたときに、前記オーバーコートは、実質的に該オーバーコートを通して電流を導き、前記チップの下の前記記録媒体の部分内に印が形成されることを特徴とするシステム。 - 前記オーバーコートは、導電部分及び絶縁部分を有する共堆積された膜であり、
前記導電部分は、モリブデン、イリジウム、及びルテニウムの1つ又はそれ以上から形成された金属酸化物であり、
前記絶縁部分は、二酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸化アルミニウムの1つ又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。 - 前記記録媒体が相変化材料であり、
前記チップが少なくとも1つのセルの上に配置され、かつ、該チップに電位が印加されるとき、電流は前記少なくとも1つのセルを通して導かれ、前記相変化材料の少なくとも部分が閾値温度より高く加熱されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。 - 前記記録媒体が極性依存メモリ層であり、
前記媒体と前記チップとの間に電位が印加されたとき、導電性構造体は、前記チップと前記下層との間の前記極性依存メモリ層の部分内に形成され、これにより該下層と該チップが電気的に架橋されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。 - 前記導電部分が粒状構造を有し、前記絶縁部分は、内部に前記粒状構造体が配置されるマトリクス構造を有することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
- 前記オーバーコートは、該オーバーコートの前記面を横断する前記電流の流れを制限することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記媒体が前記チップとヒータとの間に配置されるように構成されたヒータをさらに備え、
前記ヒータは、前記媒体を加熱し、前記印が該記録媒体の前記部分から除去されるようになったことを特徴とする請求項1に記載のシステム。 - 抑制マトリクスと、前記抑制マトリクス内に配置され、セルの少なくとも1つが記録媒体を含む複数のセルとを含む媒体と、
前記媒体に対して配置されるように適合され、該媒体と電気的に接続可能なチップと、
を備え、
前記チップが前記少なくとも1つのセルの上に配置され、かつ、該チップに電位が印加されるとき、前記記録媒体内に印が形成されることを特徴とするシステム。 - 前記媒体は、前記抑制マトリクス及び前記複数のセルの下に配置された下層をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
- 前記記録媒体は極性依存メモリ層を含み、
前記印は、前記チップと前記下層との間の極性依存メモリ層の部分内にある導電性構造体であり、該下層と該チップを電気的に架橋することを特徴とする請求項9に記載のシステム。 - 前記印は、複数の抵抗状態の1つの中の抵抗率を有し、
前記印の前記抵抗率は、前記導電性構造体の幅と共に変化することを特徴とする請求項10に記載のシステム。 - 前記極性依存メモリ層は、イオン源層及び固体電解質層を含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
- 前記記録媒体が相変化材料であり、
前記印は、前記相変化材料の構造体内の変化であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。 - 前記少なくとも1つのセルがセル集束構造体を有し、
前記セル集束構造体は、前記チップに最も近い前記セルの部分の幅が該チップから最も遠い該セルの部分の幅よりも広くなるようにテーパする側壁プロファイルを含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。 - 前記複数のセルは、前記チップの接触面に対して十分に大きいものであり、書き込み及び読み取りの少なくとも一方の間の該チップの移動が実質的に該セルの幅に制限されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
- 高密度データ記憶装置に用いるためのパターン形成された媒体を形成する方法であって、
導電層を堆積させ、
前記導電層の上に誘電体層を堆積させ、
フォトレジスト層を堆積させ、
ナノ・インプリント・リソグラフィによって、複数の孔を定めるパターンを前記フォトレジスト層に転写し、
前記誘電体層内に前記複数の孔が形成されて前記導電層の部分を露出させるように、前記誘電体層をエッチングし、
記録媒体の第1の部分が前記孔の少なくとも1つの中に堆積され、記録媒体の第2の部分が前記誘電体層の部分の上に堆積されるように、記録媒体を堆積させ、
前記誘電体層の上に配置された前記記録媒体の前記第2の部分を除去し、
金属の第1の部分が前記孔の少なくとも1つの中に堆積され、金属の第2の部分が前記誘電体層の部分の上に堆積されるように、金属を堆積させ、
前記誘電体層の上に配置された前記金属の前記第2の部分を除去する、
ステップを含むことを特徴とする方法。 - 高密度データ記憶装置に用いるためのパターン形成された媒体を形成する方法であって、
導電層を堆積させ、
前記導電層の上に記録媒体を堆積させ、
前記記録媒体の上に金属を堆積させ、
フォトレジスト層を堆積させ、
ナノ・インプリント・リソグラフィを用いて、パターンを前記フォトレジスト層に転写し、
複数のセルが形成され、かつ、前記複数のセルの下に配置されていない前記導電層及び前記記録媒体の一方を含む下にある部分が露出されるように、前記金属をエッチングし、
誘電体材料の第1の部分が前記露出された部分の上に堆積され、誘電体材料の第2の部分が前記金属の上に堆積されるように、誘電体材料を堆積させ、
前記金属上に配置された前記誘電体材料の前記第2の部分を除去する、
ステップを含むことを特徴とする方法。 - 前記記録媒体は、相変化材料及び極性依存材料の一方であることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の方法。
- 基板を準備するステップをさらに含み、
前記導電層は、前記基板の上に配置されることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の方法。 - 前記基板の上に絶縁層を堆積させるステップをさらに含み、
前記絶縁層は、前記基板と前記導電層との間に配置されることを特徴とする請求項19に記載の方法。 - 前記ナノ・インプリント・リソグラフィは、熱ナノ・インプリント・リソグラフィ、紫外線ナノ・インプリント・リソグラフィ、及びステップ・フラッシュ・インプリント・リソグラフィのうちの1つであることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の方法。
- 前記誘電体層の上に配置された前記記録媒体の前記第2の部分を除去するステップは、該記録媒体の該第2の部分を化学機械研磨するステップ、及び、該記録媒体の該第2の部分をイオン・ミリングするステップの一方をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
- 前記誘電体層の上に配置された前記金属の前記第2の部分を除去するステップは、該金属の該第2の部分を化学機械研磨するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の方法。
- 前記誘電体層の上に配置された前記金属の前記第2の部分を除去するステップは、前記媒体の表面を実質的に平坦化し、
前記媒体の前記平坦化された表面の上に配置された上層を堆積させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の方法。 - 前記複数の孔が形成されるように前記誘電体層をエッチングするステップは、該複数の孔が該誘電体層と前記導電層の界面に向けて狭くなるように該孔の側壁をテーパさせるステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
- 媒体と、
カンチレバーと、
接触面と、
前記接触面をほぼ補完する後面と、
を含む、前記カンチレバーと作動可能に関連付けられたチップと、
を備え、
前記チップは、前記媒体に接触するようになっており、
前記チップから前記媒体の少なくとも部分に電流を通すことによって、該媒体内に印が形成されることを特徴とするシステム。 - 前記カンチレバーは、第1の金属材料で形成され、
前記チップは、第2の金属材料で形成される、
ことを特徴とする請求項26に記載のシステム。 - 前記チップは、等方性エッチングに続いて行なわれる少なくとも1つの熱酸化ステップ及び少なくとも1つの熱酸化物エッチング・ステップによってほぼ定められる形状を有することを特徴とする請求項26に記載のシステム。
- 前記チップの形状は、実質的に円錐状であることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
- 前記媒体は、相変化材料、極性依存メモリ材料、及び電荷蓄積材料のうちの1つを含むことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
- 前記第1の金属材料及び前記第2の金属材料の一方又は両方が接着層及び機能層を含み、
前記接着層は、純金属又は金属合金のいずれかで形成され、
前記機能層は、純金属又は金属合金のいずれかで形成される、
ことを特徴とする請求項27に記載のシステム。 - 第1の部材及び第2の部材をさらに備え、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、間隙によって分離され、かつ、システ作動中に互いに対して移動可能であり、
前記カンチレバーは、前記第1の可動部材及び前記第2の部材の一方と作動可能に関連付けられ、
前記媒体は、前記第1の可動部材及び前記第2の部材の他方と作動可能に関連付けられる、
ことを特徴とする請求項27に記載のシステム。 - 前記カンチレバーは実質的に弧形状を有し、
前記カンチレバーは、前記媒体への前記チップの付勢の結果として生じる応力勾配を含み、これにより、該チップと該媒体との間の電気的連通を維持しながら、前記第1の可動部材と前記第2の部材との間の間隙が変化し得ることを特徴とする請求項32に記載のシステム。 - 前記後面の上に少なくとも部分的に配置された補強材料の部分をさらに備えることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
- 前記補強材料がシリコンであることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
- 前記チップは、前記後面と前記補強材料の前記部分との間に配置された絶縁材料をさらに含むことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
- 媒体デバイスに電流を選択的に通すためのチップを形成する方法であって、
基板を準備し、
前記基板の第1の部分内にチップ構造体を形成し、
前記基板上に第1の金属材料を堆積させ、
第2の金属材料が前記チップ構造体の上に配置されるように、第2の金属材料を堆積させ、
前記第1の金属材料の上に安定化膜を堆積させ、
前記第1の金属材料、前記基板、及び前記安定化膜を高温に曝して、該第1の金属材料内に所望の応力勾配を生じさせ、
第2の金属材料の下及び前記第1の金属材料の部分の下から第2の部分を除去するように前記基板の第2の部分をエッチングし、前記チップと結合された機械的構造体が解放されるように、
前記第1の金属材料が配置されるように前記安定化膜をエッチングし、前記第1の金属材料内の前記所望の応力勾配のために前記チップが前記基板から遠ざかるように延びるようにする、
ステップを含むことを特徴とする方法。 - 前記チップ構造体を形成するステップは、
前記基板上にハードマスク膜を堆積させ、
前記ハードマスク膜をパターン形成して、前記基板の露出された部分によって囲まれた少なくとも1つのチップ領域を定め、
前記ハードマスク膜をエッチングして、前記基板の部分を露出させ、
前記基板の露出された部分をエッチングし、
前記少なくとも1つのチップ領域において前記ハードマスクがアンダーカットされるように第1の熱酸化物膜を成長させ、
前記第1の熱酸化物膜をエッチングし、
前記基板内に前記チップ構造体が形成されるように第2の熱酸化物膜を成長させる、
ステップを含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。 - 媒体デバイスに電流を選択的に通すための構造体を形成する方法であって、
基板を準備し、
前記基板の第1の部分内にチップ構造体を形成し、
前記第1の部分に少なくとも部分的に重なる前記基板の第2の部分の上に、第1の金属構造体を形成し、
前記チップ構造体の上に第2の金属構造体を形成し、
少なくとも前記第1の金属構造体の上に安定化膜を形成し、
少なくとも前記第1の金属構造体、前記基板、及び前記安定化膜を高温に曝して、該第1の金属構造体内に所望の応力勾配を生じさせ、
前記チップ構造体の下及び前記第1の金属構造体の部分の下の前記基板の第3の部分を除去し、前記チップを支持する機械的構造体が解放されるようにし、
前記安定化膜を除去し、前記第1の金属構造体が撓んで前記チップを前記基板から遠ざかるように延ばす、
ステップを含むことを特徴とする方法。 - 前記チップ構造体を形成するステップは、
前記基板の上にハードマスク膜を形成し、
前記ハードマスク膜をパターン形成して、前記基板の露出された部分によって囲まれた少なくとも1つのチップ領域を定め、
前記基板の前記露出された表面に基づいて該基板の部分を除去し、
前記少なくとも1つのチップ領域において前記ハードマスクがアンダーカットされるように第1の熱酸化物膜を成長させ、
前記酸化物膜の露出された表面に基づいて前記第1の熱酸化物膜を除去し、
前記基板の第1の部分内に前記チップ構造体が形成されるように第2の熱酸化物膜を成長させる、
ステップを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。 - 前記安定化膜は、PECVD二酸化シリコン、PECVD窒化シリコン、PECVD酸窒化シリコン、スパッタリングされた二酸化シリコン、スパッタリングされた窒化シリコン、及び蒸着された二酸化シリコンのうちの1つ又はそれ以上を含むことを特徴とする請求項38又は請求項40に記載の方法。
- 前記ハードマスク膜が窒化シリコンを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
- 接着層の堆積及び機能層の堆積によって、前記第1の金属材料及び前記第2の金属材料の少なくとも1つが形成され、
前記接着層は、純金属層又は金属合金層の一方又は両方からの1つ又はそれ以上のタイプの材料を用いて形成され、
前記機能層は、純金属層又は金属合金層の一方又は両方からの1つ又はそれ以上のタイプの材料を用いて形成される、
ことを特徴とする請求項37又は請求項39に記載の方法。 - 前記第1の金属材料は、ニッケル、コバルト、クロム鉄、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びモリブデンのうちの1つ又はそれ以上を含み、
前記第2の金属材料は、クロム、プラチナ、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びイリジウムのうちの1つ又はそれ以上を含む、
ことを特徴とする請求項37又は請求項39に記載の方法。 - 前記第1の金属材料が配置されたとき、該第1の金属材料は、前記基板から遠ざかる方向に実質的に弧形状を形成することを特徴とする請求項37又は請求項39に記載の方法。
- 前記第1の金属材料の上に安定化膜を堆積させ、少なくとも該第1の金属材料、前記基板、及び前記安定化膜を高温に曝すステップは、該安定化膜を高温で堆積させることによって1つのプロセス・ステップにおいて実現されることを特徴とする請求項37又は請求項39に記載の方法。
- 補強構造体を提供する前記基板の第3の部分が前記第2の金属の下に保持されて、補強されたチップを形成することを特徴とする請求項37に記載の方法。
- 印を形成するためのシステムであって、
下層及び前記下層の上に配置された極性依存メモリ層と、
前記媒体と電気的に接続可能なチップと、
を備え、
前記媒体と前記チップとの間に電位が印加されたとき、該チップと前記下層との間の前記極性依存メモリ層の部分内に導電性構造体が形成され、これにより該下層及び該チップが電気的に架橋されることを特徴とするシステム。 - 前記極性依存メモリ層の上に配置された上層をさらに備えることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
- 前記極性依存メモリ層は、イオン源層及び固体電解質層を含むことを特徴とする請求項48に記載のシステム。
- 前記イオン源層は銀からなるものであり、
前記固体電解質層は、AgGeSe、AgGeS、Ag2Se、及びAgWO3のうちの1つであることを特徴とする請求項50に記載のシステム。 - 前記イオン源層は銅であり、
前記固体電解質層は、Cu2S及びCuWO3の一方であることを特徴とする請求項50に記載のシステム。 - 前記導電性構造体を含む前記極性依存メモリ層の前記部分が印であることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
- 前記印は、2つの抵抗状態の1つの中の抵抗率を有することを特徴とする請求項53に記載のシステム。
- 前記導電性構造体の幅は電位と共に変化することを特徴とする請求項53に記載のシステム。
- 前記印は、複数の抵抗状態の1つの中の抵抗率を有し、
前記印の抵抗率は、前記導電性構造体の幅と共に変化する、
ことを特徴とする請求項55に記載のシステム。 - 前記印は、4つの抵抗状態の1つの中の抵抗率を有することを特徴とする請求項56に記載のシステム。
- チップ・プラットフォームと、
前記チップ・プラットフォームと作動可能に関連付けられたカンチレバーと、
をさらに備え、
前記チップは、前記カンチレバーと結合されることを特徴とする請求項48に記載のシステム。 - 媒体プラットフォームをさらに備え、
前記媒体は、前記媒体プラットフォームと作動可能に関連付けられ、
前記チップ・プラットフォーム及び前記媒体プラットフォームの一方又は両方が、該チップ・プラットフォーム及び該媒体プラットフォームの他方に対して移動可能であることを特徴とする請求項58に記載のシステム。 - 印を形成する方法であって、
下層及び前記下層の上に配置された極性依存メモリ層を含む媒体を使用し、
導電性チップを前記媒体と電気的に連通した状態で配置し、該媒体及び該導電性チップの一方は該媒体及び該導電性チップの他方に対して移動可能であり、
前記媒体と前記チップとの間に電位を印加して、該チップと前記下層との間の前記極性依存メモリ層の部分内に、幅を有する導電性構造体を形成し、該下層と該チップを電気的に架橋させる、
ステップを含み、
前記導電性構造体の幅が変化するように、前記媒体と前記チップとの間の電位の大きさを変えることができ、
前記導電性構造体の抵抗率は該導電性構造体の幅と共に変化する、
ことを特徴とする方法。 - 前記電位を印加するステップは、
前記チップに第1の電圧を印加し、前記極性依存メモリ層内の正電荷イオンが該チップに引き付けられるようにするステップを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。 - 前記媒体と前記チップとの間に第2の電位を印加し、前記極性依存メモリ層内の正電荷イオンが該チップから遠ざかるように引き付けられるようにすることによって、前記導電性構造体が分解されることを特徴とする請求項60に記載の方法。
- 前記導電性構造体は第1の幅を有し、
第3の電位を印加することにより、第2の幅を有する導電性構造体が形成され、前記第2の幅を有する前記導電性構造体は、前記第1の幅を有する前記導電性構造体とは異なる抵抗率を有することを特徴とする請求項60に記載の方法。 - 記録媒体と、前記記録媒体の上に配置された、複数のポリマー鎖を含む潤滑剤とを含む媒体と、
前記媒体と電気的に接続可能なチップと、
を備え、
前記チップは、前記潤滑剤によって支持され、かつ、前記ポリマー鎖に付着することなく該ポリマー鎖に沿って移動することができる、
ことを特徴とするシステム。 - 前記ポリマー鎖の1つ又はそれ以上が前記記録媒体に結合されることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
- 前記媒体は、前記記録媒体と前記潤滑剤との間に配置されたオーバーコートをさらに含むことを特徴とする請求項64に記載のシステム。
- 前記ポリマー鎖の1つ又はそれ以上が前記オーバーコートに結合されることを特徴とする請求項66に記載のシステム。
- 前記複数のポリマー鎖は、結合相及び可動相の両方を含む単層であることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
- 前記潤滑剤は、Foblin Z−DOLを含むことを特徴とする請求項64に記載のシステム。
- チップ・プラットフォームと、
前記チップ・プラットフォームから延びるカンチレバーと、
をさらに備え、
前記チップは、前記チップ・プラットフォームから前記媒体の方に延びることを特徴とする請求項64に記載のシステム。 - 前記媒体は媒体プラットフォームと関連付けられ、
前記チップ・プラットフォーム及び前記媒体プラットフォームの一方又は両方が、該チップ・プラットフォーム及び該媒体プラットフォームの他方に対して移動可能であることを特徴とする請求項70に記載のシステム。
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