JP2009500608A - パルス波形分析による単一トランスデューサ内同時発生放射線の検出 - Google Patents

パルス波形分析による単一トランスデューサ内同時発生放射線の検出 Download PDF

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Abstract

【解決手段】パルス波形分析は、2つの放射線が同時発生であるか否かを判定する。第1放射線を吸収したときは、第1の短い時定数を特徴とし、且つその面積が公称的には吸収された第1放射線のエネルギーに比例している出力パルスを生成し、第2放射線を吸収したときは、第2の長い時定数を特徴とし、且つその面積が公称的には吸収された第2放射線のエネルギーに比例している出力パルスを生成する、トランスデューサが提供されている。放射線が吸収されると、出力パルスが検出され、第1時定数を表している期間に亘る第1積分値と、第2時定数を表している期間に亘る第2積分値の2つの積分値が形成される。2つの積分の値が調べられ、第1放射線、第2放射線、又は両方が、トランスデューサに吸収されたか否かが判定され、後者の条件は同時吸収事象を明らかにしている。
【選択図】図13

Description

本発明は、概括的には、ベータ粒子とガンマ線又はアルファ粒子とX線の様な2つの異なる放射線を検出し、それらが同時に発生しているか否か、即ち互いに適切に短い時間間隔内に検出されるか否か、を判定するためのシステムに関する。
事例中の一部類として、2つの放射線が単一の核崩壊又は同様の事象により生み出されることがあり、よって、時間間隔はナノ秒以下となり、実際的な見地から言えば「同時発生(coincident)」とは本質的に「同時(simultaneous)」であることを意味する。事象の別の部類では、第1放射線を生む核崩壊は、更に、核励起状態を作り出し、それが特徴的な半減期τで崩壊するので、「同時発生」と定義される時間間隔はτの数倍となる。
より具体的には、本発明は、「ホスイッチ(phoswich)」検出器を、τが検出器システムの自然時定数よりも短いかこれに匹敵する場合に、第1部類又は第2部類の何れかの同時発生の測定に適用することに関する。「ホスイッチ」とは、当技術における造語であり、リン光体とサンドイッチを連結した語である。ホスイッチは、名詞として使用される場合もあれば、「検出器」、「検出器アッセンブリ」、「シンチレータ」、「シンチレータアッセンブリ」、又は「トランスデューサ」の様な用語の記述子として使用される場合もある。簡潔さを期して、我々は、標準的にホスイッチを名詞として使用することにする。
説明されている実施形態は、単一の検出事象において、ホスイッチが、第1放射線を吸収したのか、第2放射線を吸収したのか、又は両者を同時に吸収したのかを判定するために、光電子倍増管(PMT)に連結されたホスイッチを備えているトランスデューサアッセンブリ(又は単にトランスデューサ)によって生成される信号に、パルス波形認識技法を適用することに関する。この技法は、PMTを光ダイオードに置き換えている場合、又は他の検出器システムが全面的に採用されている場合、にも適用される。説明している特定の実施形態と関係付けられた用途、即ち、大気試料中の希釈された放射能を持つキセノン(以後、放射性キセノン)の検出は、単に本方法が最初に開発されたのがこの分野であるという理由から特に注目した。
従って、我々が開発した技法は、この特定の使用法に限定されるものとして捉えられるべきではない。例えば、その時間特性が検出事象の型式に伴って変化する出力パルスを発生させるのであれば、どの様なシステムでも、本方法を使って取り扱うことができる。
目下の先行技術の一覧
同時発生放射線検出は、様々な核及び核医学測定技法に広く使用されている。これは、相当なバックグラウンド放射線が存在する下で、目的の事象が一対の放射線を放射した場合という稀な事象の検出に特に効果を発揮する。これは、ランダムなバックグラウンド事象が、当該対の何れかの成員に似ていることはあるにしても、両方にランダムに似る可能性は、何れかの放射線に似るバックグラウンド側の割合の確率に同時発生ウインドウの長さτCを掛けた積として量られるからである。而して、検出効率を無視すると、RRが放射線1と2を生み出す稀な事象の割合であり、一方RB1及びRB2が2つの放射線発生時のバックグラウンド割合であるとすれば、RR対同時発生バックグラウンド事象由来の「偶発的な」バックグラウンド割合RB12の比ρは、
Figure 2009500608
となる。
而して、例えば、RB1及びRB2は共にRRの100倍になることもあり、τCが1マイクロ秒、即ちかなり長い同時発生検査期間であれば、ρは100になることもありうる。
過去数年、パシフィックノースウエスト国立研究所(PNNL)の科学者らは、国際核実験禁止条約を支援する計測技術開発のために行われている取り組みである、大気試料中の放射性キセノンの検出に、この技法を適用してきた。大気中の放射性キセノンを監視することは、米国原子力エネルギー検出システムプログラムで現在採用されている核兵器実験を検知するための幾つかの方法の内の1つである。放射性キセノンは、第1に、それが核爆発で多量に発生することから、第2に、気体として、実験現場の地中深くから漏出してしまうことから、そして第3に、半減期が十分に長いために、数日経って実験現場から離れたところで検出できる4つの放射性同位元素が発生することから、この関係において重要である。そうではあるが、並外れた濃縮努力を行った後でも、存在する量は非常に少ない。PNNLの科学者らによる推定では、統計学的に有意な核実験の「シグナル」は、毎分当たりの計数値から毎時間当たりの計数値になる。上記レベルでは、同時発生計数により与えられる利点が無ければ、天然の放射能源付近からのバックグラウンド計数値が、放射性キセノン計数値を完全に圧倒することになる。
放射性キセノン検出システムにおける現在の到達水準は、パシフィックノースウエスト国立研究所で開発されたARSA(自動放射性キセノン試料採取装置及び分析装置)システムである(REEDER−1998年、 MCINTYRE−2001年、REEDER−2004年、RYNES−2004年)。放射性キセノンは、発生地点と検出現場の間で大気に混ざり合うことによって大幅に希釈されるため、システムは、全キセノンを大量の空気から抽出し、次いで、その放射能活性を、図1に概略図示している極めて低いバックグラウンドの計数装置で測定する。通常、各々数ccしかないようなキセノン試料は、それぞれ両端に光電子倍増管2(PMT)を有する、高速プラスチックシンチレータBC−404で形成されている円筒形セル1の中に置かれる。それらセルは、一対の大きなNaI(Tl)シンチレータブロック7から光学的に隔離され5、これによって取り囲まれており、前記両ブロックは、互いに光学的に隔離され5、それぞれ2つの大きなPMT8で観測されている。アッセンブリ全体は、放射線遮蔽手段(図示せず)の中に密閉されており、環境バックグラウンド放射線を更に低減するために鉛(Pb)製の洞に収納されている。
システムの12機のPMTは、全て、前置増幅器、アナログ整形増幅器、多チャネル分析器、及び時間的一致検出回路を具備しており、それら全ては、当業者には既知の標準的な市販装置である。何れかのPMTが放射線を検出すると、他のPMTを試験して、それらも放射線を検出するかどうかが調べられる。キセノンセルに取り付けられている一対の小さなPMTと前記NaIブロック上の一対の大きなPMTの全部で同時に光が観測されれば、事象は有効であると見なされ、2つの小さなPMTからのパルスの振幅を合計することにより電子エネルギーが測定され、2つの大きなPMTからのパルスの振幅を合計することによりガンマ線のエネルギーが測定される。
この事象は、次に、ガンマ線エネルギー対電子又はベータ粒子エネルギーを表示している図2A(REEDER−2004年)に示されているのと同様のプロットに加えられる。各水平方向のバーは、固定終点エネルギーのベータ粒子又は固定エネルギーの転換電子と一致する固定エネルギー(A=249.8keV、B=81keV、C=31keV)のガンマ線を放出する放射性キセノンの崩壊モードを表している。更に詳細に踏み込むつもりはないが、ReederとMcIntyre(REEDER−1998年、MCINTYRE−2001年)らによって説明されているように、異なる崩壊パターンは異なる放射性キセノン同位元素の特徴を表す。当技術では周知のように、ガンマ線の線が細いほど、ガンマ線検出器のエネルギー分解能は良好であり、ランダムなバックグラウンド計数値と対照させて特定のキセノン同位元素を容易に検出できるようになる。図2Bは、ゼロベータエネルギー軸に対して図2Aのプロットを投影することにより見い出されるガンマ線スペクトルを示している。3本の線は全て明瞭に解像されており、81keVで約26%の分解能実現が報告されている(REEDER−2004年)。
同時発生の高い検出効率とガンマ線の線に関する受容可能なエネルギー分解能を実現しながらも、現在のARSAシステムは多くの欠点を抱えている。具体的には、ARSAシステムは、実験室の設定環境では良好に機能するが、その技術を工業製造業者に移転するのは容易でなく、また現場での運転もあまり成功していない。うまくいかないことの原因は、一部には、要求される同時発生の検出を実施するために必要となる複雑な電子機器類に、また一部には、全12機のPMTの利得を較正するのに必要となる複雑な較正手順に、更に一部には、PMT利得の温度と時間に伴ってドリフトする傾向にある。ARSAシステムは、遠隔的無人運転を意図しているために、定期的で複雑な較正を要する検出器の設計は容認されない。
上記問題を認識した上で、PNNLの科学者らは、図3に概略的に示している新しい取り組み法を記述した論文を最近発表した(ELY−2003年)。この検出器システムでは、厚さ0.04インチのCaF2(Eu)シンチレータ(崩壊定数940ns)13を厚さ0.25インチの石英光学ウインドウ15を介して2インチx2インチの円筒形NaI(Tl)結晶(崩壊定数250ns)に連結させて構成したホスイッチに、放射性キセノンのセル12を提供した。次いで、このホスイッチアッセンブリを、単一のPMT18に光学的に連結した。図面には、必要な光学的ハウジング及び放射線遮蔽手段を示していないが、それらは当技術では十分に理解されている。上記各寸法とすることで、CaF2シンチレータは、900KeVまでの転換電子とベータ粒子を共に止め、一方、殆どのX線とガンマ線は、肉厚のNaI(Tl)結晶に吸収される。PMTのアノード出力は、電荷積分前置増幅器20に接続されており、この増幅器の出力は、デジタル信号プロセッサ20に送られ、信号プロセッサ20は、検出器の事象からパルス波形を捕捉し、分析した。この信号プロセッサは、一般に行われているように、積分された前置増幅器の出力パルスの振幅を測定して、あらゆる検出された事象のエネルギーEを求めるが、更に、パルスの初期傾斜S(又は立ち上がり時間)も測定するという独特の段階を採った。
図4は、ホスイッチにより捕捉された2つの比較的活動的なガンマ線の痕跡を示している。研究者らは、ホスイッチ内の放射線の相互作用は、それらの信号の立ち上がり時間に基づいて特徴付けることができ、速い立ち上がり時間はNaI(Tl)内だけの相互作用を、遅い立ち上がり時間はCaF2内だけの相互作用を、そして中間の立ち上がり時間は組合せ又は同時発生事象を示すと提案している。従って、事象毎に、(S、E)対が作成され、次いで、図2Aと同様にプロットされる。図5は、放射性キセノン試料による結果のセットを示している。立ち上がり時間700nsの下側の水平方向のパルス帯は、ベータ粒子吸収によるCaF2のみの事象に対応している。立ち上がり時間1400nsの上側の水平方向の帯は、ガンマ線吸収によるNaIのみの事象に対応している。ベータ−ガンマ同時発生に対応する「混合」事象は、CaF2のみの帯とNaIのみの帯の間にある傾斜した帯である。
不都合にも、図5に示すように、傾斜は、3つの異なる事象の型式を識別することができるほど正確に解像されておらず、特にエネルギーが低いところはそうである。而して、パルス波形同時発生の検出のこの方法は、CaF2(Eu)のみ及びNaI(Tl)のみの両事象を識別するのには十分に機能するが、放射性キセノン監視に必要なベータ−ガンマ同時発生に対応する組合せ事象は、この方法では程度の劣った識別しかできず、それらのエネルギーは何ら正確に抽出できなかった。従って、筆者らは、改良されたアルゴリズムが開発されたとしても、「単一パルスのベータとガンマの個々の寄与を或る程度の精度で分けるという課題」がなお残ると結論付けた(ELY−2003年)。而して、パルス波形の一致を検出する取り組みでは、元のARSAシステムの複雑性が軽減される可能性は示されたが、PNNLの研究者らは、その感度と性能が放射性キセノンを監視することに用いた場合の要件を満たすには不十分であることが観測されたことに落胆した。
従って、上で論じたベータ−ガンマ同時発生の様な、同時発生した2つの放射線を感度よく検出したい用途では、図1に示すARSAシステムの感度と、図3に示すホスイッチシステムの物理的単純さを兼ね備えた検出器システムであれば好都合である。
米国仮特許出願第60/695,948号 米国特許第5,347,129号 米国特許第5,873,054号 米国特許第7,065,473号 ELY-2003年:J.H.Ely, C.E. Aslseth, J.C. Hayes, T.R. Heimbigner, J.I. McIntyre, H.S. Miley, M.E. Panisko & M. Ripplinger、「ホスイッチ検出器を使用した新規なベータ−ガンマ同時発生の測定」、第25回地震研究論評、#6−01、533〜541ページ(2003年)、NNSAからオンラインで入手可能であり、ウェブサイトhttps://www.nemre.nnsa/doe.govから「研究レビュー」を選択 MCINTRYE−2001年:「自動化された放射性キセノン試料採取装置/分析器(ARSA)を使用した大気中の放射性キセノンレベルの測定」、J. Radioanalytical & Nuclear Chemistry、248、No.3、629〜635(2001年) REEDER−1998年:P.L. Reeder, T.W. Bowyer, & R.W. Perkins、「Xe分裂生成物のベータ−ガンマ計数システム」、J. Radioanalytical & Nuclear Chemistry、235、No.1〜2、89〜94(1998年) REEDER−2004年:P.L. Reeder, T.W. Bowyer, J.I. McIntyre, W.K. Pitts, A. Ringbom, & C. Johansson、「自動化された放射性キセノン分析のためのβ/γ同時発生分光計の利得較正」、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A521,586〜599 RYNES−2004年:J.C. Rynes, D. Penn & P. Donohoe、「放射性キセノン監視システムの研究と開発」、第26回地震研究論評、#6−02、588〜597ページ(2004年)、NNSAからオンラインで入手可能であり、ウェブサイトhttps://www.nemre.nnsa/doe.govから「研究レビュー」を選択
本発明は、単一のトランスデューサを使用して、2つの放射線、例えば、ベータ粒子とガンマ線が同時発生であるか否かを判定するための技法、即ち方法と装置の両方を提供しており、これは、トランスデューサにより生成される出力信号を調べ、パルス波形分析技法を使用して、それが第1放射線により発生したものか、第2放射線によるものか、又は両方によるものかを判定することにより行われ、後者の条件であれば、それらが技法の時間分解能内で同時発生したことになる。放射線のエネルギーを同時に測定するために、従来の分析法も用いている。この技法は、これまでの技法の効率及びエネルギー分解能に匹敵するか又はそれを上回ることが示されており、一方で、トランスデューサを1機しか採用していないために、格段に頑丈であり、較正が容易で、製造と保守の費用が低い。
この技法は、PMTに連結されたホスイッチシンチレータアッセンブリを使用して開発されたが、これは、適切な信号生成特性を有するどの様なトランスデューサ又は検出器の出力にも適用できる。「トランスデューサ」という用語は、それに入射する放射線に基づいて電気信号を提供するアッセンブリを指すのに使用されている。検出器又は検出器アッセンブリという用語も選択できたかもしれない。この特定の事例では、トランスデューサは、ホスイッチと、このホスイッチに光学的に連結されているPMTを含んでいる。
簡単に言えば、この取り組みは、以下の特性を有するトランスデューサを提供することを伴っている。第1に、第1放射線に曝されたとき、このトランスデューサは、第1の、短い時定数τ1を特徴とする出力信号パルスを生成し、好適な実施形態では、その時間積分値又は面積は、公称的に、その放射線のエネルギーに比例する。第2に、第2放射線に曝されたとき、トランスデューサは、第2の、長い時定数τ2を特徴とする出力信号パルスを生成し、そのパルス波形は、公称的に、第2放射線のエネルギーとは無関係であり、やはり好適な実施例では、その時間積分値又は面積は、公称的に、その放射線のエネルギーに比例している。而して、両方の放射線に同時に曝されたとき、トランスデューサは、公称的に上記2つの反応の総和である出力を生成する。トランスデューサの反応は、この方法を機能させるのに特に線形である必要はないが、本技法の精度は、トランスデューサの反応の線形性に伴って向上する。トランスデューサは、以下の動作を行う信号プロセッサに直接連結されている。
第1に、信号プロセッサは、トランスデューサが放射線を吸収したときに生成する出力パルスを検出する。第2に、各検出パルスにおいて、プロセッサは、2つの積分値A1とA2を形成するが、第1に、τ1を特徴とする第1積分期間S1に亘ってA1を、そして第2に、τ2を特徴とする第2積分期間S2に亘ってA2を形成する。次に、プロセッサは、2つの積分値を調べて、第1放射線がトランスデューサに吸収されたのか、第2放射線が吸収されたのか、又は両方が吸収されたのかを判定する。後者であれば、トランスデューサの同時吸収事象が検出されたと明らかにされる。トランスデューサが、その出力パルスの面積が放射線のエネルギーに比例するように選択されている場合、上記2つの積分値A1とA2は更に、単発か同時発生かを問わず、放射線のエネルギーを求めるのに使用される。従って、本発明の取り組みは、第1に、本発明は積分用の前置増幅器を使用していないこと、そして第2には、本発明は導関数(傾斜)を測定することのみに依存するのではなく、信号積分値を測定する、という2つの態様において、PNNLホスイッチに基づく方式とは異なる。これら2つの変更が、非常に良好に機能する検出システムとそうでない検出システムとの差を生み出している。
特定の実施形態は、アナログ信号のサンプル採取された値をデジタル式に合計することにより積分値を形成するというデジタル信号処理を使用している。本出願の文脈では、「積分値」及び「積分」という用語は、その様なデジタル式実施例のみならず、アナログ信号を規定の期間に亘って物理的に積分するというアナログ式実施例も含むものとする。デジタル方式の場合、関係する期間は、より正確には総和期間と呼ばれるが、均一化を期して「積分期間」という用語を使用している。積分期間は、同等に、「積分領域」、「積分間隔」、「積分の領域」などと呼ぶこともできる。また、本発明は、デジタル又はアナログ方式の実施例に限定されるものではない。例えば、参考文献のWARBURTON−2006年には、アナログ、デジタル、そしてハイブリッドの信号処理実施形態が記載されており、信号処理の正確な実施が重要ではないことが実証されている。
2つの積分期間S1とS2の厳密な設定には、融通性がある。それらは、重なっていても、別々の期間に亘っていても、何れでもよい。重要な点は、我々は2つのパルス波形を識別しようとしているのであるから、この場合は、異なる減衰時間S1とS2を有するものが、2つの異なる波形に対して異なる感度を示すように配置されるべきであるということである。これにより、我々は、それらの積分値を使用して、検出パルス内に、第1波形(減衰時間)が存在するのか、第2波形(減衰時間)が存在するのか、又はその両方が存在するのかを判定することができる。第1の一般的事例(事例1)では、S1は、トランスデューサのτ1出力パルスが有意な振幅を有する期間に亘り(即ち、パルスが検出されると同時に始まり、その後2乃至4xτ1持続する)、S2は、S1と同時に始まり、トランスデューサのτ2出力パルスが有意な振幅を有する期間(即ち、2乃至4xτ2まで)に亘る。第2の一般事例(事例2)では、S1は上記と同じで、S2は、S1が止むと同時に始まり、上記事例と同じ点で終わるので、S1と同じ期間を共有することは無い。事例1では、両方の放射線は、両方の面積積分値に寄与するが、他方、事例2では、第2の放射線のみがS2に亘る積分値に寄与することになる。
而して、我々は、トランスデューサに1つの放射線しか吸収されなかったのか、又は2つの放射線が吸収されたのかを、より精度よく判定するために、2つの積分値の面積A1とA2の2つの線形組合せを形成している。好適な線形組合せは、2つの放射線のエネルギーが推定できるものである。何れのエネルギーもゼロであれば、放射線は吸収されなかったということである。エネルギーを使用すると、同時発生が検出された場合の一方の放射線のエネルギー対他方の放射線のエネルギーを示している図2Aに類似するプロットを再現することができるようになる。本発明の技法の精度は、τ1とτ2が相当異なる値を有している場合は、例えば10倍以上異なる場合については、明らかに改善されているが、本技法は、それらの差には実際に何らの拘束も課しておらず、従って、同時発生判定及び放射線のエネルギーの推定値の精度は、τ1とτ2の値が互いに近づくにつれ単純に低下することになる。この方法は、直接積分期間を使用しており、S1に比して短い時間内に共に入ってくる同時発生放射線に依存している。この判断基準は、後で説明するように、積分期間を、2つの別々の放射線のトランスデューサへの到着と整列するように配置することで、緩和することができる。
第1の実施例では、トランスデューサは、ベータ粒子とガンマ線との同時発生を探すように設計されており、ホスイッチと、ホスイッチに光学的に連結されているPMTを備えており、ホスイッチの第1シンチレータは、τ1が25nsの高速プラスチックシンチレータBC−404の薄い層であり、ホスイッチの第2シンチレータは、τ2が400nsの結晶シンチレータCsI(Tl)の厚い層である。而して、このトランスデューサでは、ホスイッチの構成要素が、放射線のエネルギーを可視光子に変換し、PMTが、可視光子を我々が分析することになる電気出力パルスに変換する。シンチレータの諸元については、第1層が第1放射線の相当部分を吸収するだけの厚さを有し且つ第2放射線の大部分を透過させるだけの薄さを有すると共に、第2層が第2放射線の相当部分を吸収するだけの厚さを有していることという要件以上に重要なわけではない。材料の選定も、上記厚さの基準が満たされ且つ2つの材料の減衰時間が我々の識別できる程度に異なっている限り、決定的ではない。2つの減衰時間の差が大きければ大きいほど、この処理がより簡単になることは明確であり、他の要因はどれも同程度である。ここで説明している放射性キセノンの検出を目的とした実施例では、BC−404は、厚さが1mmであり、CsI(Tl)は厚さが1インチである。第1積分期間S1は、ゼロに等しい時刻(パルス検出時)から100ns(4xτ1)までであり、第2積分期間S2は、100nsから1.2μs(3xτ2)までである。
事例2に基づき期間S1とS2を設定すると、第2放射線のエネルギーの推定値E2は、E2=k22から求められ、ここに、定数k2は、第2放射線しか存在しないときにエネルギースペクトルを形成することにより求められる。上記と同じ条件下で、比R12=A1/A2も測定され、ここに、R12は、純粋に第2放射線によるパルスが期間S1に亘る積分値A1に与える寄与と、それが期間S2に亘る積分値A2に対して与える寄与との比較に関係する。トランスデューサは、第2放射線のエネルギーとは無関係なパルス波形を生成するように選択されているため、比R12は、第1放射線が存在する場合も有効であり、我々は、第1放射線のエネルギーの推定値E1をE1=k1(A1−R122)として計算することができるようになり、ここに、定数k1は、第1放射線しか存在せずA2がゼロであるときのエネルギースペクトルを形成することにより求められる。なお、事例1に基づいてS1とS2を設定した場合、更に、第1放射線しか存在しないときの比R21=A2/A1を測定できるはずであり、次いで、E2=k2(R211−A2)を求めることができることに注目されたい。
次いで、トランスデューサが、第1放射線を吸収したのか、第2放射線を吸収したのか、或いは両方を同時に吸収したのかの判定が、E1が非ゼロである、E2が非ゼロである、或いは両方が非ゼロである、か否かに基づいて下される。吸収された第1及び第2放射線のエネルギーの推定値E1及びE2は、第1及び第2出力パルスの面積が第1及び第2放射線のエネルギーにおいて線形となる範囲に依存している。また、基線が非ゼロオフセットを有している場合、基線積分値Abをパルスが検出される前の時間Sbに亘って取り、先の計算でE1とE2を算出する前に、Ab1/SbをA1から引き、Ab2/SbをA2から引くことで、測定の精度は一層高まる。この設計の試作品ホスイッチ−PMTトランスデューサは、80keVでエネルギー分解能17%を生み出しており、これは、元のARSAシステムにより実現された27%に勝る有意な進歩である。
この第1の実施例は、測定対象の放射線を発している試料が平坦であって、1つの側からしかアプローチできない場合に採用されるのが最も適切である。一般に、2つのシンチレータの厚さと直径は、第1シンチレータが第1種(ここではベータ粒子)の殆どの放射線を有効に止める一方で、第2種(ここではガンマ線)の殆どの放射線を透過させることができるように、そして第2シンチレータが、第2種(ここではガンマ線)の放射線を有効に捕捉することができる寸法となるように、調整される。しかしながら、放射線は、通常、4π立体角にランダムに放射されることから、この設計の効率は限定される。従って、第1放射線が、トランスデューサによって占められている2πの半空間に入射するランダム的偶然性は50%しかなく、第2放射線のランダム的偶然性も同様である。而して、トランスデューサが両方の放射線の捕捉に100%の効率を発揮できるとしても、同時発生の検出効率は、2つの確率の積である25%にしかならない。従って、第2の実施例は、測定対象の試料が、気体の様な物質である事例、即ち一方の側から測定しなければならないという拘束に囚われない事例に高い効率を発揮するように設計されている。
第2の実施例では、トランスデューサは、ガス状の放射性キセノン試料から放射されるデータ粒子とガンマ線の間の同時発生を探すように設計されており、これも、ホスイッチと、ホスイッチに光学的に連結されているPMTを備えている。この事例では、第1シンチレータは、CsI(Tl)のシリンダ内に内蔵されたBC−404の中空殻であり、試料の放射性キセノンはこの内側の殻内に置かれる。放射性キセノン検出の或る好適な実施形態では、内側のBC−404の殻は、外径25mm、壁厚1mmの球である。外側のCsI(Tl)シリンダは、直径75mm、高さ75mmである。CsI(Tl)シリンダの一方の面は、光学結合用コンパウンドを用いて同一直径のPMTに連結されており、残りの面は、鏡面反射率が高い材料で覆われている。先の第1実施例の事例で論じたように、この設計には他の材料も有効に使用することができる。
上記寸法は何れも決定的なものではない。内側の球は、単に試料の気体量を保持するに足る大きさであればよいが、一方、その壁厚は、試料が発するX線及びガンマ線を過剰に捕捉すること無く、試料から発せられるベータ粒子の大部分を捕捉するに適切でなくてはならない。1乃至3mmの範囲内の厚さであれば、どれも極めて有効である。外側のシリンダの寸法は、試料が発するX線とガンマ線を効率よく捕捉することができる大きさでありさえすればよい。つまり、選択される値は、一方では効率を高めること、他方では寸法が大きくなればCsI(Tl)シンチレータ及びPMTの費用並びにバックグラウンド検出率が高くなること、の間での工学的なトレードオフで決まる。上記2つの物質の時定数は、第1実施例のものと同じなので、方法の残り部分も同じである。なお、2つのシンチレータの形状さえも決定的なものではないことを記しておく。我々は、例えば、内側の殻もシリンダである設計を検査して、我々の好適な実施例と同程度の効率を有する設計を実現している。
検出器における2つの放射線の到着の間の同時発生時刻が、S2に比べて最早短くなくなった場合、更に高性能のパルス波形分析が要求される。上記事例では、その位置が固定されている領域S1及びS2に亘って積分を行うのではなく、我々は、自分達の弁別器を第1閾値との比較に使用して、パルスの到着を確認し、領域S2の開始を設定する。次に、閾値を第2の、より大きな値に設定して、高速成分の到着を探し、それが検出されると、S2の開始後の時間δの位置であるその位置にS1を設定する。積分値A1とA2はここで双方の減衰時間により影響を受けるため、上記事例1の場合と同じく、エネルギーE1とE2に関する2つの一次方程式をA1とA2の項で解く必要があり、その差、即ち係数は、今度は測定値δに依存する。
また、2つのパルス波形が、弁別器が間隔δを信頼度高く検出できるほどに異なっていない状況では、我々は、デジタル方式で検出器のパルス出力を捕捉し、y(i)=E11(i−δ)+E22(i)の形式の関数を使用してそれフィッティングするが、ここに、T1(i)は、単位面積を有する第1出力パルス波形のテンプレートであり、T2(i)は、単位面積を有する第2出力パルス波形のテンプレートであり、δは、2つの放射線の到着時刻の差であり、E1とE2はそれらの面積(エネルギー)である。これまで同様、我々は、第1放射線が存在するのか、第2放射線が存在するのか、或いは両方が存在するのかを、E1、E2、又は両方が非ゼロであるか否かに基づいて判定する。
他の実施例は、シンチレータを読み出すのにPMTに代えて光ダイオード又は他の装置を使用してもよいし、照射を受けると電気パルスを直接発生させる他の検出器材料に適した増幅器を使用してもよい。トランスデューサは、例えば、アルファ、ベータ、及びガンマ放射線の間の同時発生を検出するために、異なる時間特性を有する3つ以上の材料で構成され、即ち、異なる場所から到着する放射線の同時発生を判定するために、主に異なる方向からの放射線に対する感度を有する検出器を幾何学的に配置して構成してもよいし、それぞれの放射線の型式(例えば、CsI(Tl)毎に異なる時間特性を有するパルスを発生させる単一のシンチレータで構成してもよいし、同一の型式であるがエネルギーが異なる放射線に対し異なる時間特性を有するパルスを発生させる1つ又はそれ以上の材料で構成してもよいし、或いは、上記及び他の実施例の組合せでもよい。
本発明の性質と利点の更に深い理解は、本明細書の残りの部分及び添付図面を参照することによって認識されるであろう。
本出願は、2005年7月1日出願の米国特許出願第60/695,948号、発明者、William K. Warburton、 Michael Momayezi、 Hui Tan、Wolfgang Hennigによる「パルス波形分析による単一トランスデューサ内同時発生放射線の検出」に関する優先権を主張すると共に、その全開示内容を(添付書類を含め)あらゆる目的で参考文献として援用する。
エネルギー省により授与された契約第DE−FG02−04ER84121号に従い、本発明の権利は米国政府が有する。
1.平坦な試料と共に使用するための実施例
1.1物理的性質
図6は、公称的には平坦な面から発せられる各放射線の間の同時発生を検出することを意図し、PMT26に取り付けられたホスイッチ25を含んでいるトランスデューサ24を備えている、本発明の実施形態の概略図を示している。このトランスデューサの出力は、積分前置増幅器無しに、直接、信号プロセッサ30に送られる。ホスイッチ25は、第1シンチレータ32の薄い層が、第2の厚いシンチレータ33に光学的に連結されて構成されており、この第2シンチレータ33はPMT26に光学的に連結されている。ホスイッチの全ての面には、PMTに取り付けられている一面を除き、光反射層35の被覆が施され、通常は薄いアルミニウムで作られている防護用ハウジング内に密閉されている。シンチレータを一体に、そしてPMTに、光学的に連結すること、並びに効果的な反射層を施すことの詳細は、当技術では広く知られている。同様に、適切な速度と線形性を有するPMTを選択すること、並びに各シンチレータによって発せられる光の波長と良好に整合させることの詳細についても、当技術では広く知られている。
2つのシンチレータは、用途と技法の要件に基づき選定された。我々の第1の要件は、それらが有意に異なる減衰時間を有することである。「有意に」の意味は、方法の動作を説明するにつれて明らかになるであろう。本発明が最初に考案された際の目的であった、放射能を持つキセノン(放射性キセノン)由来の放射線を検出するという事例では、我々は、ベータ粒子と、同時発生のX線とガンマ線、の両方を検出したいと考えている。半減期が興味を引くほどに長いキセノン同位元素(131mXe、133gXe、133mXe)では、ベータエネルギーは45乃至346keVの範囲にあり、X線エネルギーは30又は31keVであり、ガンマ線エネルギーは81keVである。
従って、第1シンチレータは、45〜346keVのエネルギーを有するベータ粒子を実質的に吸収し、同時にX線とガンマ線の殆どを透過させるように設計せねばならない。厚さ1mmの高速プラスチックシンチレータBC−404は、上記制約に非常に良く合致する。第1に、BC−404は、減衰時間が25ns未満である。第2に、密度が低いために、厚さ1mmであれば、それらベータエネルギーを完全に吸収し、一方、30keVという低いエネルギーのX線であっても、吸収されるか中でコンプトン散乱を起こすのは5%未満である。BC−404は、Bicronからの特定のポリビニルトルエンを主材料とするシンチレータ材料である。他の族員も、Bicronからのものが匹敵する材料として利用できる(例えば、Eljen Technology社によるEJ−200)。上記材料の全て、並びに他の高速プラスチック、又はYAP(Ce)の様な高密度高速結晶シンチレータの非常に薄い部分でさえ、有効に使用できるはずである。
第2シンチレータの材料については、我々は、入手が容易であり、400nsというその減衰時間がBC404の減衰時間よりも遙かに長い時間であり、光出力とエネルギー分解能が高く、X線とガンマ線を止める能力が高いことから、CsI(Tl)を選択した。同様に、NaI(Tl)又はBGOの様な他の高密度シンチレータをCsI(Tl)に置き換えることもできるが、長い減衰時間と高い光出力及び比較的低い費用を併せ持つことから、CsIが好適である。
我々は、直径25.4mm、長さ25.4mmのシリンダを選定したが、これは、単に、入手が容易なことと、その直径が安価なPMTと一致しているという理由による。最適化された設計では、著しく薄い片を使用しても、なお81keVのガンマ線を完全に吸収するはずである。BC−404の直径も25.4mmであり、CsI(Tl)及びPMTと一致した。PMTは、ハママツR6095であった。反射性を良くするために、ホスイッチはテフロン(登録商標)に包んだ。重要なホスイッチのパラメータは、従って、2つの減衰時間、即ち、BC−404による25nsのτ1と、CsI(Tl)による400nsのτ2である。試験では、我々は、薄くアルミニウムを被覆したマイラー袋に、純粋な133Xeを充填して、それをホスイッチの面に接触させて置き、アッセンブリ全体を、厚さ2インチの壁を有する暗い鉛の洞の中に入れた。
設計は以下のように機能し、BC−404とCsI(Tl)からの光が互いに光学的に隔離されているのではなく、ここではそれらが共に同じPMTによって処理されるという点で、ARSAシステムの動作とは相違している。放射性キセノンガスによって放射されたベータ粒子は、プラスチックシンチレータ内で止められ、その結果である光出力は次にCsI結晶を透過してPMTに到る。Xe崩壊によるX線とガンマ線は、吸収損失が殆ど無い状態でプラスチックシンチレータを通り抜け、CsIで光吸収され、そのシンチレーション光もPMTに到る。本設計でのようにBC−404の厚さが正しく選定されると、殆どのX線が通り抜けるのを許容しながら、ベータ粒子の殆どを止めることができる。ここで我々は、ホスイッチベースのトランスデューサから入ってくるパルス波形を分析することによって、放射線は、CsI内で相互作用したのか、BC−404内で相互作用したのか、或いは両方で相互作用したのかを、我々がどの様にして突き止め、而してベータ−ガンマの同時発生をどの様にして検出するのかを実証する。
従来の核処理電子機器(例えば、積分前置増幅器及び整形増幅器)は、我々のホスイッチ設計では効率よく使用できないことが観測されている。これは、従来のシステムはPMTパルスを積分し整形した後に、そのピーク値から各パルスのエネルギーを求めるからである。しかしながら、整形処理で、ほぼ全ての時間の構造情報が失われることになる。本事例では、信号プロセッサ30に、我々はPixie−4デジタル信号プロセッサを使用した(カリフォルニア州ヘイワードのXIA LLCから入手可能)。このデジタル信号プロセッサは、対照的に、PMTパルスを直接デジタル化するので、全ての不可欠な情報が保存される。次いで、PMTパルスのデジタルコピーが異なるフィルタによって処理され、パルス内の異なる時間間隔について特定の情報が再生される。このことは、適当なアナログ信号処理を使用したのでは、本方法を実施することはできない、ということを示唆しているわけではない。何れ明らかになるように、この方法は、一旦、理解されれば、例えば、適切に構成された対のゲート式積分器を使用して、明解に実施されるはずである。我々は、結果としての信号処理が標準とは明確に異なるものになることを強調したいだけである。
1.2.ホスイッチパルス波形
図7は、図6に示すホスイッチ−PMTトランスデューサを、ベータ線、ガンマ線、及び両方を同時に放射する放射性キセノンの様なソースに曝したときに、トランスデューサによって捕捉された典型的な痕跡を示している。100nsを僅かに超えて崩壊している非常に短いパルスは、BC−404がベータ線による刺激を受けたときのものである。凡そ100nsの立ち上がり時間を有し、数マイクロ秒に亘って崩壊する、より長いパルスは、CsI(Tl)がガンマ線による刺激を受けたときのものである。「組合せ事象」パルスは、両方が同時に刺激を受けたときに立ち上がり、本発明の特定の要件、即ち同時に両方の放射線による刺激を受けたときに、ホスイッチの応答が、少なくとも近似的には、個々の放射線に対する応答の総和になることを実証している。本実施例では、2つの光発生機構が互いに独立しており(即ち、別々のシンチレータ)、光収集効率がそれらの固定された幾何学形状だけによって決まることから、近似は本質的に恒等式である。
なお、BC−404成分は、CsI(Tl)成分がその最大値に達する前に完全に崩壊していることに着目されたい。而して、図から明らかなように、2つのパルスは、時間的特性が非常に異なっている。この特性は、設計によるものであり、本発明を成功裏に機能させる要因の1つである。2つの極端な事例が、立ち上がり時間で約2倍相違しているだけの先行技術(図4)に比較して、本事例では、2つのパルス型式は、立ち上がり時間が異なるだけでなく、その持続時間も30倍以上異なっている。この減衰時間の差は、CsI(Tl)がBC−404より遙かに明るい(即ち、吸収されたエネルギーのより多くの光子/keVを放射している)にも関わらず、そのピーク振幅は実際には極めて小さいことを意味している。
本事例のパルスを立ち上がり時間によって分離することも、図8に示しているように、実際に可能であり、同図で、我々は、下に説明するようにして捕捉したパルスのセットから計算した10〜90%立ち上がり時間のスペクトルを示している。この事例では、クロックサイクルは13.33nsであり、従って、BC−404の成分を有するパルスは、25nsを中心とする立ち上がり時間を有しており、低速のCsI(Tl)パルスは、約65〜130nsの範囲の立ち上がり時間を有している。2つの分布ははっきりと分かれており、分布は、低速のCsI(Tl)(即ち、ガンマのみ)パルスと、BC−404成分を有するあらゆるパルス(即ち、ベータのみと同時発生パルスの両方)、という2つの分布しか存在しない。後者は、ベータ−ガンマ同時発生を検出するために分離させる必要があり、それを行うための我々の好適な方法は、ガンマのみのパルスを明快に切り離すので、我々は、放射性キセノンの測定事例では、我々の好適な実施例から、立ち上がり時間の測定を省いている。しかしながら、その技法は他の測定では好都合なので、我々は、その技法をツールキットの中に保持している。
BC−404とCsI(Tl)の減衰時間の間に極めて大きな相違があることは、上記2つの放射線の間の識別の処理を大幅に単純化する一方で、最良のエネルギー分解能を得るために慎重に取り扱わねばならないダイナミックレンジの問題をもたらす。何れの放射性キセノン同位元素であれ、そこから到達する最大のベータ粒子エネルギーは905keVであり、これによって、BC−404が出力することになる最大パルス振幅が設定される。他方、最少振幅パルスは、CsI(Tl)が放射された30keVのX線を吸収したときに、CsI(Tl)によって出力される。我々のアナログ対デジタル変換器は、従って、CsI(Tl)の波形を正確に捕捉できるだけのビットを有すると共に、上記範囲を対象として含んでいなければならない。
1.3.ダイナミックレンジの諸問題
Pixie−4の利得を5に設定し、PMTを900Vで作動させて作業を行い、我々は、662keVのガンマ線が、振幅500ADCステップのCsI(Tl)出力パルス(0.76ADCステップ/keV)を発生させ、一方、エネルギー300keVのベータ線が、3000ADCステップのBC−404出力パルス(10ADCステップ/keV)を発生させ、比は13/1となることを突き止めた。この比を小さくするために、我々は、Pixie−4への入力帯域幅を、ナイキスト値で通常の37.5MHz、8dBから20MHz、8dBに減じた。この変更が高速BC−404パルスに及ぼした効果は図9を見れば明らかなように、同じBC−404パルスが同時に2つのPixie−4チャネル、即ち元の帯域幅を有する「高速」チャネルと減じた帯域幅を有する「低速」チャネルとを通して同時に捕捉されているのが解る。図示のように、パルスの振幅は、凡そ半分に削減されており、一方、パルス持続時間は5サンプルから9サンプル(67nsから120ns)に増加している。やはり高速チャネルと低速チャネルを通して同時に取られた低速のCsI(Tl)パルスを示している図10から明らかなように、ここで唯一目立った効果は、痕跡の高周波ノイズを減少させることである。従って、帯域幅の縮小は、BC−404とCsI(Tl)の両パルスの間のダイナミックレンジを縮小させ、CsI(Tl)信号のノイズを減少させ、更に、BC−404サンプルの個数を増やし、BC−404パルス面積の我々の測定値の精度、ひいては我々の高速チャネルのエネルギー推定値の精度を高めることになる、という理由から有益である。
我々の電子機器は、従って、以下のように設定されている。Pixie−4は、14ビットADCサンプリングを75MHzで行う(13.33ns間隔)。その利得は5で、これは20MHz、8dBに制限された帯域幅である。ADCのダイナミックレンジは214=16,000である。300keVのベータ線は、約1500ADCステップのパルス高さを発生させるので、最大ベータ線エネルギー905keVは、4,525ADCステップのパルス高さを作り出す。662keVのガンマ線でさえ500ADCステップを発生させるので、30keVの最小X線エネルギーは、振幅23ADCステップのパルスを作り出す。これはやや低いが、それでもPMTのノイズ下限よりかなり上である。本実施形態に関して説明している他の作業は上記設定を使用しているが、利得は約3倍に増加させることができるのは既に明らかである(Pixie−4の利得を15に上げるかPMT電圧を幾らか上げるかの何れかによる)。この場合、最大ベータ線は、オフセットと同時発生痕跡総和用として適切なオーバーヘッド分が残る振幅13,575ADCステップ(最大の約83%)のパルスを作り出すことになり、30keVのX線は、68ADC単位という更に満足なCsI(Tl)パルス高さを作り出す。
2つの光の成分が大きすぎて単一のADCでは首尾よく取り扱えない場合でも、PMT出力信号をバッファして、それを、利得が第1シンチレータからの信号のダイナミックレンジに対応するように設定されているものと、利得が第2シンチレータからの信号のダイナミックレンジに対応するように設定されているものの、2つの独立したデジタル化チャネルで処理するのが、完璧にうまくいくことを注記しておく。以下に説明するパルス波形分析の各段階に必要となる総和は、別々のチャネルから得られ、分析の残りの部分は説明した通りに行われ、無論、利得の差に合わせて適切な調整が加えられる。
1.4.成分エネルギーを抽出するためのパルス波形分析
図11、図12、及び図13に関する以下の説明では、プラスチック(例えばBC−404)及び結晶(例えばCsI(Tl))を示すのに下付き文字の「p」及び「c」をそれぞれ使用し、基線の補正を目的とした事象前の積分期間に関連して下付き文字「0」を使用することにする。下付き文字「β」及び「γ」は、ベータ放射線とガンマ放射線を示す。基線補正を目的とする加算積分(総和)の形成は望ましいが、本発明の重要な態様ではない。
図11は、BC−404シンチレータのベータ線の吸収により生じた孤立している出力パルスを示す、図7の繰り返しである。その10〜90%立ち上がり時間は約25nsであり、その全持続時間は約10サンプル分、すなわち133nsである。パルスの面積を測定したいのであれば、それは、シンチレータの全光出力を測定することであり、且つ公称的には、典型的なシンチレータのベータ線エネルギーに比例するものであるが、我々は、このパルス面積の測定が、バックグラウンドよりも際立って上にある図のΣpと表示されている期間に亘るパルス値の総和Σβp(下付き文字βは「ベータのみ」、pは「プラスチック」の意)を形成し、次に、パルス以前の基線期間中に設けられている等しい長さのΣ0pと表示されている期間に亘る値の総和Σ0p(下付き文字「0」は基線)を減算することによって容易に行えることを見い出した。パルス立ち上がりエッジに関する積分期間の設定は、通常、弁別器閾値に対する交差を使用して、立ち上がりエッジを検出することによって処理されるが、この方法並びにそうするための他の方法は当技術では広く知られている(例えば、WARBURTON−1999年、及びWARBURTON−2003年)ので、詳細には説明しない。次に、既知のエネルギーの粒子で較正測定を行うことによって、
Figure 2009500608
と書き表すことができ、ここに、kpは較正により求められた正規化定数、Σ′βpは基線補正積分である。この手続きがどの程度正確かは、無論、使用されるシンチレータの材料と、励起エネルギーを伴う光出力の線形性によって異なる。数量Epは、無論、常に曲線より下の面積の測定値として算出することができる。
基線補正の問題には更なる解説が必要である。通常、パルスが無ければPMTの出力は基本的にゼロなので、本発明の作業で典型的な非常に低い計数率の場合、基線補正は必要ない。但し、PMTとADCの間の電子機器が何らかの直流オフセットに寄与している場合は、補正は有効になる。また、多くのシンチレータはリン光も表示するので、それらは初期に刺激された後長時間に亘って非常に低いレベルで発光し続けることに注目されたい。その場合も、基線補正は、面積測定の精度を高める。また、デジタルパルス処理に共通のこととして、基線補正の精度は、図示の単一の基線測定値を、信号が基線に在ることを信頼性高く判定された初期の時点に取られた複数の基線測定値の平均に置き換えることによって高めることができることにも注目されたい(WARBURTON−1999年、WARBURTON−2006年)。
図12は、CsI(Tl)シンチレータのガンマ線の吸収により生じた低速出力パルスを示している。プラスチックシンチレータの場合と同様の議論と割当を行うことで、結晶質CsI(Tl)シンチレータに蓄積されたエネルギーEc(下付き文字γは「ガンマのみ」、cは「結晶」の意)を、
Figure 2009500608
として推定することができ、ここに、正規化定数kcは、CsI(Tl)を既知のエネルギーのガンマ線に曝すことによって求められ、Σ′γcは、基線補正積分である。
次に、組合せパルスの事例であるが、先ほど説明した(事例1)S1及びS2の設定に関しては、両方の積分値は両方の放射線からの項を含んでいる。而して:
Figure 2009500608
となり、ここで、我々は、数式2及び3を使用して、エネルギーEγとEβを得るために、Σ′γcとΣ′βpを抽出したいと考えている。これを達成するために、我々は、ホスイッチの各シンチレータの反応は共に、互いに独立しており、公称的にはそれが吸収する放射線のエネルギーとは無関係であるという原則を使う。即ち、CsI(Tl)信号の波形は、CsI(Tl)が吸収するエネルギーには依存せず、或いは、BC−404が何らかの放射線と、そして同様にBC−404信号の波形と、相互作用しているか否かには無関係である。これにより我々は、2つの比を:
Figure 2009500608
と定義することができ、数式4は、
Figure 2009500608
と書き直され、測定されたΣ′cとΣ′pの項のΣ′γcとΣ′βpを求めることによって、EγとEβの解を求める。
Figure 2009500608
それらの定義により、定数Rγpは、ホスイッチがガンマ線のみによって励起されたときの比Σ′p/Σ′cを測定することによって求めることができ、一方、定数Rβcは、ホスイッチがベータ線のみによって励起されたときの比Σ′c/Σ′pを測定することによって求めることができる。なお、積分期間S1が、高速プラスチック応答を完全に積分できるだけ長く、完全にS2内に含まれているという特別な事例では、Rβcは完全に1に等しいので測定の必要はないことは注目に値する。
数式7では、積分(総和)Σ′pとΣ′cは、共に両放射線からの寄与を内包しているので、両シンチレータからの光出力変動が、両測定のエネルギー分解能に寄与する。通常、それらの測定では、ベータ線エネルギーの精度は、それが通常は鋭いスペクトル線を持たないことから、重要ではない。他方、ガンマ線スペクトルは、通常は鋭い線を有しており、それらの分解能が高いほど、不要な事象を拒絶する比率が更に高まることになる。従って、我々の好適な実施例では、積分期間Σ0、Σp、及びΣcを図13に示すように定義し直し、ここに、これら積分期間の長さは、それぞれL0、Lp及びLcである(事例2)。これらの期間は、必ずしもというわけではないが通常は連続的であり、Lpは、高速BC−404パルスの全面積を丁度捕捉できるだけの長さであり(例えば、133nsすなわち10サンプル分)、Lcは、CsI(Tl)パルスの十分に大きな部分を捕捉して良好なエネルギー分解能を作り出せるだけの長さであり(例えば、2μs)、L0は、Σcに対する正確な補正を提供できるだけの長さである(例えば、2μs以上)。当業者には自明のように、他のホスイッチ材料については、上記長さは、最適な結果を得るために他の値に調整される。
分析は先のように進行するが、ここで、Σ′pに対するベータ放射線の寄与がない場合は、Rβcはゼロに等しい。而して、数式7は、
Figure 2009500608
のように単純化され、ここでは、純粋なガンマ線源で測定される単一の比Rγpしか存在せず、基線補正面積は、
Figure 2009500608
及び
Figure 2009500608
となる。
必要に応じて、長さの比Mc0とMp0は、共に(1/2n)となるように選定され、こうすれば、必要となる乗算は、ビットをシフトさせることによりゲートアレイで自明的に実施される。
事例1又は事例2何れかのS1及びS2設定を使用すると、3つの可能な場合{ベータのみ、ガンマのみ、ベータとガンマの同時発生}を、Eβ、Eγ、或いは両方が非ゼロ(適切な閾値を上回る)であるか否かに注目することによって、直接的に識別できるようになる。而して、Eγがゼロに等しければ、ベータのみの場合に相当し、Eβがゼロに等しければ、ガンマのみの場合に相当し、両方が非ゼロであれば、同時発生の場合に相当する。このようにして、我々は、2つの放射線(ベータ線とガンマ線)が、時間的に一致しているか否かを、ホスイッチベースのトランスデューサの異なる場合に応じた出力の波形分析(エネルギー測定)によって判定することができたのである。
図14は、CsI(Tl)パルスを使用した比Rγpの測定結果を示している。図示のように、CsI(Tl)は、かなり線形のシンチレータであり、ガンマ線パルスエネルギーの広い範囲に亘って単一のフィッティング定数を採用することができる。上で論じたように、定数kpとkcは、トランスデューサを、順に、既知のエネルギーのベータ線とガンマ線の両方に曝して、生のΣ′cとΣ′βp値のスペクトルをプロットし、既知のピークを識別し、倍率定数を抽出することによって求められる。都合のよいベータ線源が手に入らない場合は、コンプトン散乱を使用してkpを求めてもよい。この方法では、トランスデューサを、単一エネルギーのガンマ線源に曝して、同時発生パルスをΣ′βp対Eγのグラフにプロットする。同時発生の主要なソースは、散乱してBC−404からCsI(Tl)に入射するガンマ線であろう。最も一般的なコンプトン散乱事象は、ガンマ線の全エネルギーEfを2つのシンチレータの間に分割するので、これらの事象は、Eγ軸上のEfとΣ′βp軸上のΣ′βp(Ef)の間に直線を形成する。ここで、kpは、Σ′βp(Ef)をEfに縮尺合わせする値である。図15は、この好適な実施例のホスイッチを、137Csによる662keVのガンマ線に曝すことにより作ったその様なプロットを示している。直線は、コンプトン散乱事象を示しており、662keVのガンマ線とベータ線両方のエネルギー軸に交差している。これは、132プラスチック面積単位と662kevの間の同値関係、即ち約5keV/面積単位を確立している。
1.5.放射性キセノン測定への応用
この実施例を試験するため、図6に示し上で説明したように、我々は、133Xeの試料からデータを収集した。133Xeは、半減期が5.24日であり、主に、81keVでガンマ線(37%)を、31keVでX線(48.9%)を、終点エネルギー346keVのベータ線(99%)を、そして45keV(54%)で転換電子を放射する。図16はデータを示している。検出された事象毎に、我々は、数式8と9から得たΣ′c対Σ′βpをプロットした。データに対しては一切の切除を行わず、較正定数kc及びkpはまだ適用していない。図示のように、6ADC単位(30keV)プラスチックエネルギー未満の値で、CsI(Tl)軸に近接して点の集合が見られる。それらの点は、公称的にはEβがゼロに等しい点である(即ち、ガンマのみの事象)。20ADC単位(12keV)CsI(Tl)エネルギー未満の値で、BC−404軸に近接して第2の点の集合が見られる。それらの点は、公称的にはEγがゼロに等しい点である(即ち、ベータのみの事象)。最後に、Σ″cが47及び122に等しい箇所に2つの水平方向の集団が見られるが、それらは共に結晶及びプラスチックエネルギーを有している。標示しているように、81keVと31keVのガンマ線エネルギー付近に同時発生事象が見られる。このことは、本実施例が同時発生事象の検出を明白に達成できており、それらガンマ線とβ線エネルギーも測定できることを実証している。
本実施例のエネルギー分解能を評価するために、我々は、Eβが6ADC単位に等しい所とEγが20ADC単位に等しい所で切ったものを使用して、3つの型式の事象を「プラスチックのみ」(Eγ<20ADC単位)、「CsIのみ」(Eβ<6ADC単位)、及び「同時発生」(Eγ 20ADC単位且つEβ 6ADC単位)に分けた。次に、我々は、図17Aに示すように、「CsIのみ」(Ec0)と「同時発生」(Ecb)の両方をEγ軸上に投影した。我々は、同様に、図17Bに示すように、「プラスチックのみ」(Ep0)と「同時発生」(Epb)の両方をEβ軸上に投影した。
CsIから得た「CsIのみ」スペクトル図17Aでは、31keVと81keVに2つの主要な線が見られるが、これに加え、高エネルギーのバックグラウンドγ放射線による高エネルギーのコンプトンバックグラウンドがこのプロットの範囲より上に存在している。31keV帯は、12keVより下に存在する「プラスチックのみ」事象からうまく分離されている。「同時発生」ガンマ線スペクトルでは、我々は、この設計(一方の側からの測定による最大理論検出率25%)の比較的劣った幾何学的効率のせいで振幅が縮小されている2つの同じピークを確認しているが、コンプトンバックグラウンドは実質的に排除されており、1又は2個、まれに3個という比較的少数のチャネルしか数えられていない。81keVピークの分解能は、CsIのみの事象で16.9%、同時発生事象では17.1%であり、このことは、パルス波形分析アルゴリズムの適用によるガンマ線エネルギー分解能の実質的な劣化はないことを示している。なお、同時発生スペクトルにおいてさえ、比較的劣悪な統計データにもかかわらず、45keVのスペクトルに、81keVからのCs脱出ピークがはっきりと確認できることに注目されたい。事実、この実施例を使用して81keVで得られたエネルギー分解能(17.1%)は、元のARSAシステムにおいて同じエネルギーで得られたもの(27%)より格段に優れている。
BC−404による「プラスチックのみ」スペクトル図17Bは2つの終点を示している。70DSP単位(350keV)に在る第1の終点は、主ベータ線成分(終点エネルギー346keV)から予想されたものである。第2は、終点エネルギー120DSP単位(600keV)の副成分からのものである。前者のプロセスだけがガンマ線と同時発生していることから、「同時発生」スペクトルは、350keV終点を有する第1プロセスしか示していない。図17Aと図17Bは、従って、本発明の実施例は、正確に機能するのみならず、唯1つのPMTしか備えていないトランスデューサを使用しながらも、元のARSAシステムより優れた性能を発揮することをはっきりと示している。これがホスイッチの新規な応用例であることを、更に強調しておく価値がある。ホスイッチは、従来、異なる放射線に反応して異なるパルス波形を作り出すように製作されており、パルス波形アルゴリズムは、ここで、どの「単一」の放射線が何れの所与の検出パルスを作り出すかを識別するために開発された。例えば、(MILLER−1994年)及びその中の参考文献を参照されたい。上記方法では、2つ以上の放射線がパルスに寄与しているか否かについては、検出できる範囲が限られ、その情報は、積み上げられるその様な事象を捨てるためだけに使用された。例えば、Miller、第4段、36−44行(MILLER−1994年)を参照。
2.ガス状試料と共に使用するための実施例
2.1.物理的性質
上に提示した実施形態は、一方の側からしか測定できない試料(即ち、扁平な試料)の場合に特に良好に機能するが、それは、非常に弱いガス状試料が測定されるARSAにとっては最適ではなく、出来るだけ多くの同時発生事象を捕捉することによって信号対バックグラウンドを最大化することが非常に重要である。ガス状試料の場合の好適な実施例を図18に示している。この設計でも、図6の設計と同様に、信号プロセッサ30に直接連結されているPMTに連結されたホスイッチ39を備えている単一のトランスデューサ38を使用しているが、この事例では、PMTは、PS1819-5をベースにした直径3インチのElectron Tubes, Incの型番9305KBである。信号プロセッサ30は、以前使ったものと同じPixie−4である。ホスイッチ39は、ここでは直径3インチ、高さ3インチのCsI(Tl)シリンダであり、その中央には、直径1インチ、壁厚2.5mmの中空の球であるBC−404キセノンセル42が封入されている。我々の第1の実施例で説明したように、他の材料を有効に使用することもできる(即ち、BC−404の代わりに他の高速プラスチック、CsI(Tl)の代わりにNaI(Tl))。
キセノンセルを組み込めるようにするために、CsI(Tl)結晶は、その中心を通る、PMT26の面に垂直な面に沿って分割45されている。キセノンセル42と分割面45には、ホスイッチ40を組み立てる際に、当技術では周知の標準的な方法と材料を使用して、光学カップリングコンパウンドの被覆が施される。キセノンセルは、キセノンセルを排気し、測定試料を充填できるようにする不透過性の気体吸入管47を介して外部に繋がっている。気体吸気口とキセノンセルの間の接続は、接着剤、溶接、又は2つの材料が関与する場合に適切な他の適当な接合技法によって行われる。先のように、やはり当技術では周知の方法と材料を使用して、CsI(Tl)の表面には反射性被覆48が施され、防護用ハウジング50内に密封される。光の漏洩を防ぐために、気体吸入口47は、例えば、不透明なエポキシ材料のカラー52又は他の接合技法を使用して、防護用ハウジング50に対して密閉される。使用時には、無関係なバックグラウンド計数を少なくするために、ホスイッチ40とPMT38とのアッセンブリ全体は、低バックグラウンド銅製殻内に密閉され、測定用の鉛製洞内に設置されるが、それら方法は共に当技術では広く知られている。
2.2設計上の配慮
性能を最適化するために、幾つかの設計上の問題に配慮しなければならない。放射性キセノンを測定する際の主な問題は、ベータ−ガンマ同時発生を捕捉する確率を最適化することである。従って、我々は、BC−404でのベータ線捕捉の確率を最大化すると共に、同一材料内でX線とガンマ線の相互作用を最小化したいと考えている。BC−404は低密度プラスチックなので、これは、X線エネルギーが30keVと低くても容易に実現できる。我々のモデル化研究では、30keVのX線の約20%がBC−404の5mm中に吸収され、厚さに対し略直線的に減少することが示されている(例えば、2mmの厚さで8%)。他方、BC−404が1mmの厚さしかない場合、全ての905keVのベータ粒子の30%は、少なくとも幾らかのエネルギーをCsI(Tl)に蓄積させ、BC−404が厚さ2mmのときは、数は約5%に落ちる。BC−404は、高エネルギーのガンマ線に対しては透過性が高く、低エネルギーのベータ線に対しては透過性が低いことから、上記2つの事例は、設計に制限を課す。2から3mmの範囲内の値が最適であり、上記設計値2.5mm(0.10インチ)に至った。
第2の判断基準は、CsI(Tl)におけるガンマ線の吸収も効率的でなければならないということである。最高エネルギーのガンマ線は、135gXe同位元素による250keVにあり、その半減期は0.38日である。BC−404を取り囲んでいるCsI(Tl)を1インチにするという我々の設計値は、このエネルギーの約85%を捕捉することができ、113mXeによる233keVの放射線の捕捉は更に幾分効率的であるが、後者は、低い確率(10%)の崩壊パスである。従って、半減期が短すぎて有効な測定に適さないという見地に基づいて135gXeを無視するという技術的決定を下せば、起こる確率が高い次のエネルギーは、133gXeによる81keVであり、これは半減期が5.24日であることから、CsI(Tl)の厚さは大幅にに減らすことが出来る。この場合、ホスイッチのCsI(Tl)要素は、直径2インチ、高さ2インチまで容易に縮小できるので、費用が下がり且つエネルギー分解能は向上する。
最後に、最適なエネルギー分解能のためには、CsI(Tl)全体積による光収集効率が出来るだけ均一でなければならない。図19は、反射性被覆48の反射率を95%と仮定して、我々の好適な実施例による光収集のモンテカルロ検査の結果を示している。発生した光の内PMTに達した光の量はかなり均一であり、変動はほぼ全体に亘って約78%から82%の範囲である。数箇所(例えば、BC−404殻の下側)では効率が僅かに高く、数箇所(例えば、BC−404殻の上側)では効率が僅かに低い。図20は、図19から得た体積加重収集効率のプロットを示している。図示されているデータに対するガウス当て填めの全幅半値(FWHM)は約3%であり、これを、求積法で、たとえ最適なCsI(Tl)エネルギー分解能約7%に加えても、エネルギー分解能が著しく劣化することはない(即ち、7.6%止まり)。
しかしながら、図19は、トランスデューサ内には、共に光学接触媒質の薄層で満たされている、BC−404とCsI(Tl)の間、及びCsI(Tl)とPMTの間、の2つのインターフェースしかないものと仮定して算出された。追加のインターフェース(例えば、分割面45)を導入すると反射面が増え、これによりトランスデューサ内の光収集効率の変動が更に増すことから、それらの設置には慎重な配慮が必要であり、特に、BC−404殻をホスイッチの中に導入するには少なくとも1つの隔壁が必要となることから配慮を要する。図示の分割面45の設置は、トランスデューサの上部と下部の間の経路を開いたままにしておくことができ、インターフェースの横断線は必要ないので、望ましいといえる。我々が研究した1つの開発的設計では、直径1インチ、高さ1インチの円筒形のBC−404殻が、直径3インチ、高さ3インチのCsI(Tl)シリンダに埋め込まれており、これは、CsI(Tl)を2つのシリンダ、即ち一方は高さ1インチのもの、他方は高さ2インチに1インチの孔を中ぐりしたもの、に分割し、BC−404殻をその穴の中に挿入してから、2つのCsI(Tl)シリンダを一体にセメントで固定し、分割面がPMTの面から1インチ離れて垂直に配置されるようにして行った。この設計で得られたエネルギー分解能は、図6に示している我々の第1の好適な実施例、又は図1に示しているARSAシステムの何れと比較しても格段に悪かった。
モデル化の結果は、この実施例が、ベータ−ガンマ同時発生事象を捕捉するには高効率であることを示している。下表1にそれら結果の簡単な概要を載せている。明らかなように、我々は、半減期が短すぎて通常何れの事象においても検出するのが難しい133gXeを除き、全ての放射性キセノンの主崩壊パスに対し基本的に100%の検出効率を実現している。
表1
放射性キセノン同位元素数種の検出効率
Figure 2009500608
3.「同時発生」において長時間分離を取り扱うための方法
上記方法は、積分期間の設定が、単一パルス検出に基づいていることから、第1放射線(ベータ線)と第2放射線(ガンマ線)の放射の間の時間的分離が、2つのシンチレータの減衰時間と比べて短い場合に効果を発揮することを目的としている。BC−404を使用した図示の実施例では、このことは、2つの放射が互いに数ns内に起こらなければならないことを意味する。これは、元の放射性キセノン検出に適用した場合には非常にうまくいくが、より長い期間離されている放射線を発する同位元素は他にも多数あり、それらが事前に決められている同時発生ウインドウ内に入って来たときにそれらを検出する能力は、バックグラウンド割合を減らすため又は特定の崩壊連鎖を識別するための何れかにも使用できる。
2つの放射が、2つのシンチレータの光減衰時間よりも著しく長い時間だけ分離されている場合は、上記方法は、1)連続して検出される事象と事象の間の時間を測定するための手段、及び2)その中で同時発生が検査されるウインドウ時間W、が提供されることを条件とした場合にのみ継続して機能する。即ち、この場合、第1放射線は「第1放射線のみ」事象として検出され、第2放射線は「第2放射線のみ」事象として検出され、それらの間の時間は「δ」として記録される。次に、δがW以下であることが分かると、事象は同時発生であると認識される。明らかなように、放射の順序は崩壊プロセスによって定義されるので、時間ウインドウW内で第2放射線が最初に検出され、次いで第1放射線が検出されても、そのような順序は放射プロセスの物理学に違反しているため、同時発生として記録されることはない。
非自明的な同時発生事例は、高速シンチレータ(ここではBC−404)によって検出された放射線が、低速シンチレータ(ここではCsI(Tl))によって検出された放射線よりも後に到着した場合である。この事例を、ホスイッチの出力パルスを示す図21に示しており、ここでは、高速シンチレータに吸収された放射線は、低速シンチレータに吸収された放射線の後、δ=0.5μsの時点に到着している。ここで、低速シンチレータの立ち上がり時間は約100nsで、高速シンチレータの立ち上がり時間は20ns程度であることを思い出して図で確認して頂きたい。而して、パルスの導関数(3000だけずらせて図示)では、先ず、バックグラウンドよりも上にはっきりと立ち上がり、低速CsI(Tl)パルスの到着を信号発信する小さいピークがあり、続いてその0.5μs後に、高速BC−404パルスの到着を信号発信する非常に大きくて鋭いピークがある。導関数のバックグラウンドレベルは、CsI(Tl)パルス自体の光子統計データから、CsI(Tl)の到着前に比べ、到着後のほうがはるかに大きいことが観測される。
而して、第1弁別器起動閾値は、パルスが検出される前は極めて低く設定してもよいが、より大きなバックグラウンドに基づいて誤って起動させないために、検出時点以降は大幅にに引き上げなければならない。この実施例を効果的に機能させるために、我々は、従って、時間依存型弁別器を埋め込み、起動レベルを、パルス検出前は第1値T1に設定し、次に、検出後の期間W2の間は第2値T2に引き上げ、その後は値T1に戻している。W2は、通常は、低速シンチレータの減衰時間の数倍M(例えば8)である。微調整を加えて、T2を、光子変動の崩壊振幅に合わせて時間の減少関数とすることもできる。
図21のデータを評価すると、T1は、控えめに50に設定することができるが(25を大きく上回る導関数値は無いため)、T2は、導関数の最大変動が150近い値であることから、凡そ200に設定せねばならないことが分かる。この弁別器設定を使えば、高速シンチレータを検出するのは何ら難しくない。図示のパルスでは、最大導関数値が8000を超えるので、この方法は、振幅が図示のものよりも40倍小さい高速パルスを信頼度高く検出することができる。特定の場合に使用される実際の設定は、無論、検出される特定のエネルギー及び採用されているシンチレータの特性によって異なる。必要に応じて、高速と見なされているパルスがT2を越えている時間(即ち、サンプル数)を測定し、この検査を使って、本物の高速パルスを、やはりT2を越えそうだがパルス幅が遙かに広くなりそうな極めて大きくて低速のパルスと識別することもできる。
変更を加えた我々の弁別器を使って、両方のパルスの到着を検出したところで、次に、我々は、長さL0の積分期間Σ0、長さLcの積分期間Σc、及び長さLpの積分期間Σpを、図21に示すように設定することができる。ここで、我々は、数式7から得た分析を繰り返すことによって、一般に、比率RβcとRγpは遅延δの関数となるはずであるという違いはあるものの、エネルギーEβとEγを抽出することができる。而して、例えば、Σpで積分された低速パルスの面積の量は、低速パルスの開始と高速パルス到着時のΣpの開始の間の時間的遅延δによって異なる。しかしながら、我々の好適な実施例では、S1を、高速プラスチック反応パルスを完全に捕捉できるだけの長さとし、常にS2内にあるようにしているので、Rβcは1に等しい。次に、一連のCsI(Tl)パルスを測定することによって、我々は、Rγp(δ)対δのルックアップテーブルを作成することができ、数式7をパルス毎に解いて、次の式を得ることができる。
Figure 2009500608
この方法では、従って、我々の基本的なパルス波形分析を、ホスイッチからの2つの信号が必ずしも同時に到着しないという状況に対処するために、拡張している。
パルス減衰定数又は振幅の違いがあまり大きくなく、単純な弁別器を使用してS1とS2を設定するのが容易である場合は、更に高度なパルス波形分析が求められる。而して、固定された期間S1とS2に亘って積分を行うのではなく、我々は、代わりに、トランスデューサのパルス出力y(i)をデジタル方式で捕捉し、それをy(i)=E11(i−δ)+E22(i)の形式の関数を使用してフィッティングを行い、ここに、T1(i)は、単位面積を有する第1出力パルス波形のテンプレートであり、T2(i)は、単位面積を有する第2出力パルス波形のテンプレートであり、δは、2つの放射線の到着時刻の差であり、E1とE2はそれらの面積である。
而して、本方法は、任意のパルス波形が常に2つの基本的なパルス波形、即ち、第1放射線の捕捉によって作り出される第1パルス波形と第2放射線の捕捉によって作り出される第2パルス波形とで構成されていると仮定している。フィッティングは、最小二乗法を使用して行うのが望ましく、前述のように、E1、E2又は両方が非ゼロか否かに基づいて、第1放射線、第2放射線、又は両方が存在するのか否かを判定する。更なる事例として、2つの基本的な波形の振幅がそれぞれ、2つの放射線のエネルギーに比例しているか、少なくともそれらの良好に定義された関数であるかの何れかの場合には、抽出された値E1とE2は、放射線のエネルギーも表すことになる。最後の数段落に記載の方法から、我々は、パルス波形分析を使用して時間的一致を判定するというコンセプトは、特定のパルス波形の分析法ではないと考える。
4.参考文献
以下の文献を参考文献として援用する。
Figure 2009500608
5.結論
特定の実施例に関する以上の説明では、2つの放射線の吸収に応答して単一のトランスデューサによる信号出力のパルス波形を調べることにより、2つの放射線が同時に発生したか否かを判定するための一般的な技法の実施例を示した。この技法は、複数のトランスデューサを単一のトランスデューサに置き換えて、費用と複雑性を低減できるようにするばかりでなく、通常は、複数の検出器の間の立体角の競合を排除することにより検出効率を上げることができるようにしている。この技法では、我々は、2つの放射線に応じて異なる時間特性を有する出力のトランスデューサを提供し、2つの応答の存在を求めて各事象後の出力を分析し、これにより、第1放射線、第2放射線、又は両方の放射線が、検出事象に存在したのか否かを判定している。
我々が示したように、2つの放射線は、指定された時間ウインドウ内で同時発生していると検出されるために同時に到着する必要はない。我々は2つの物理的な実施形態を説明した。第1の実施形態は、重ねられた一対のシンチレータBC−404とCsI(Tl)を備えており、BC−404は検出された放射線に対する反応が速く、CsI(Tl)は検出放射線に対する反応が遅いので、表面の同時発生放射線の検出に効果的に働く。この実施形態は、既存のARSAシステムに比べ、複雑性を大幅に低減しながら、エネルギー分解能の有意な向上を実現している。第2の実施形態は、CsI(Tl)のシリンダ内にBC−404の球状の殻を封入しており、放射性キセノンのガス状試料を測定することを意図したものである。
提示の中で明白にしているように、上記実施形態は、機能的、効果的であるが、それらは、主に図示と説明を目的として提示されている。教示した原理は一般的なものであるので、提示内容は、本発明を網羅するものでも説明されている形態そのものに限定するものでもなく、上記教示に鑑みて、多くの修正及び変更を加えることができることは明らかである。而して、上記実施形態は、本発明の原理及びその実際の使用法を最善に説明し、これにより当業者が、本発明を、様々な実施形態において、また本発明が考えられる特定の使用法に最も適したものになるように修正を加えながら、利用できるようにするために選定され記述されている。
他の形態、修正、代替構成、及び等価物を使用してもよく、また、本方法は、上記以外の分野における測定に適用することもできる。第1の例として、我々の好適な実施例では、同時発生の2つの放射線を検出しているが、本方法から明らかなように、適切な特徴を備えたトランスデューサを構築することによって、3つ以上の放射線を同様に検出することもできる。而して、時定数が、BC−404とCsI(Tl)の間にある第3のシンチレータを付け加えることで、第3積分期間を付け加えて、提示されている数式を適切に拡張することによって、第3の放射線を検出することができる。
第2の例として、我々の好適な実施例は、デジタル信号処理を使用して実施されているが、本方法から明らかなように、適切な弁別回路によるゲート式のアナログ積分器でも、上記実施例に採用されている総和と等価な積分値を捕捉することができ、本方法がデジタル方式の実施例に限定されないことが解る(上に述べたように、我々は、「積分値」という用語を、デジタル値の和及びアナログ信号の積分値を共に包含すべく総称的に使用している)。
第3の例として、我々の好適な実施例は、我々が放射線の種類(ベータ又はガンマ)、エネルギー、到着時刻、及び/又は同時発生を判定できるようにしたが、所望の特性に対する感度があるようにトランスデューサを構成することによって、同じ取り組み法を使って他の特性を判定することもできる。簡単な実例として、左半分がBC−404で右半分がCsI(Tl)であるホスイッチを考えてみると、それが左から放射線を吸収しているのか右から放射線を吸収しているのかを検出することができるという点で空間的感度を有しているといえる。而して、我々の好適な実施例では、2つの「放射線」は種類が異なり(例えば、ベータ線とガンマ線)、通常はエネルギーも異なるが、このことは、本方法に制限を課すものではない。2つの「放射線」は、代わりに(又は付加的に)、起点の様な何らか他の特性が異なっていてもよい。
従って、上記説明は、本発明の範囲に限定を課すものと捉えられるべきではなく、その範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
PNNLにより開発された先行技術によるARSA放射性キセノン検出器システムの概略図を示している。 図1のARSAシステムを使用して放射能を持ったキセノン(放射性キセノン)の試料を測定したときの、測定された光子エネルギー対ベータ粒子エネルギーのプロットを示している。 ゼロベータエネルギー軸に対して、図2Aのプロットを投影することによって見い出されたガンマ線スペクトルを示している。 ホスイッチに基づくPNNLの先行技術による放射性キセノン検出器システムの概略図を示している。 図3のPNNLホスイッチに基づくシステムによる出力の痕跡を示している。 図3のシステムにより生成された立ち上がり時間対エネルギーのプロットを示している。 本発明の好適な実施例の概略図を示している。 図6の実施例を使用して捕捉された信号の痕跡を示している。 図6の実施例を使用して収集されたパルスのセットから測定された初期傾斜部のスペクトルを示している。 Pixie−4の正常及び縮小された帯域幅を使用して捕捉された高速BC−404パルスを示している。 Pixie−4の正常及び縮小された帯域幅を使用して捕捉された低速CsI(Tl)パルスを示している。 ベータ線がBC−404を励起している場合に得られる典型的なパルスを、その面積を測定するための積分(総和)期間の設定と併せて示している。 ガンマ線がCsI(Tl)を励起している場合に得られる典型的なパルスを、その面積を測定するための積分(総和)期間の設定と併せて示している。 ベータ粒子がBC−404を励起しており、同時にガンマ線がCsI(Tl)を励起している場合に得られる典型的なパルスを、それら個々の面積を測定するための積分期間の好適な設定と併せて示している。 高速成分を持たないパルスのセットについての、合計CsI(Tl)パルス面積対最初の100nsの積分期間Σpの面積のプロットを示している。 137Csからの662keVガンマ線で照射されたホスイッチについての、CsI(Tl)エネルギー対最初の100nsの積分期間Σpの面積のプロットを示している。 図6に示す実施例で採取された133Xeの試料からのガンマ線エネルギー対ベータ線エネルギーのプロットを示している。 図16のガンマのみ(Ec0)とベータ−ガンマ同時発生点(Ecb)の両方のCsI(Tl)エネルギー軸に対する投影を示している。 図16のベータのみ(Ep0)とベータ−ガンマ同時発生点(Epb)の両方のBC−404エネルギー軸に対する投影を示している。 ガス状試料と共に使用するための本発明の好適な実施例を示している。 ホスイッチ各部寸法の特定のセットについての、図18に示す設計の光収集効率のモンテカルロモデルリングの結果を示している。 図19に示すモデルによる光収集の体積加重確率を示している。 第1シンチレータに吸収された放射線が、低速シンチレータに吸収された放射線の0.5μs後に到着した場合のパルスを示している。

Claims (25)

  1. 2つの放射線が同時発生か否かを判定するための方法において、
    第1放射線を吸収したときは、第1の短い時定数を特徴とする出力パルスを生成し、第2放射線を吸収したときは、第2の長い時定数を特徴とする出力パルスを生成する、トランスデューサを提供する段階と、
    前記トランスデューサが放射線を吸収したときに生成した出力パルスを検出する段階と、
    前記第1時定数を表している第1期間に亘って前記パルスの第1積分を行い、前記第2時定数を表している第2期間に亘って前記パルスの第2積分を行う段階と、
    前記第1及び前記第2の両積分の値を調べて、前記第1放射線、前記第2放射線、又はその両方が、前記トランスデューサに吸収されたか否かを判定する段階であって、後者の条件は同時吸収事象を明らかにしている段階と、
    から成る方法。
  2. 前記第1及び第2期間は時間的に離れている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記2つの積分期間は時間的に重なっている、請求項1に記載の方法。
  4. 前記トランスデューサの出力を弁別器に掛け、前記弁別器の出力を1つ又は複数の閾値と比較して、前記2つの積分期間の位置を設定する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記トランスデューサが前記第1放射線を吸収したときに生成する出力は、公称的に、前記吸収された第1放射線のエネルギーに比例する面積を有し、
    前記トランスデューサが前記第2放射線を吸収したときに生成する出力は、公称的に、前記吸収された第2放射線のエネルギーに比例する面積を有し、
    前記方法は、前記第1及び第2の積分の値から、前記放射線の一方又は両方の個別エネルギーを判定する段階を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1放射線、第2放射線、又はその両方が、前記トランスデューサに吸収されたか否かを判定する段階は、前記第1又は第2又はその両方の判定されたエネルギーが、特定の閾値を超えているか否かに基づいている、請求項5に記載の方法。
  7. 前記トランスデューサは、公称的に、電気的出力が光学的入力に比例している光電変換器に光学的に連結されているホスイッチを含んでおり、前記ホスイッチは、異なる光減衰時定数を有する2つ又はそれ以上の光学的に連結されたシンチレータ材料のセットを備えており、且つ
    短い時定数を有する前記第1シンチレータは、主に、前記第1放射線に対する感度を有しており、
    長い時定数を有する前記第2シンチレータは、主に、前記第2放射線に対する感度を有している、請求項1に記載の方法。
  8. 前記光電変換器は光電子倍増管である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記光電変換器は光ダイオードである、請求項7に記載の方法。
  10. 前記第1積分期間は、検出されたパルスの開始を含んでおり、前記第1期間外の前記短い時定数のシンチレータに関係付けられた積分信号が、前記第1期間内の前記シンチレータからの積分された光出力に比べて無視することができるほど僅かになるように、前記第1積分期間は十分に長い、請求項7に記載の方法。
  11. 一方のシンチレータに関係付けられた積分の値は、前記シンチレータからの信号の、他方のシンチレータに関係付けられた積分に対する寄与を推定するために使用される、請求項7に記載の方法。
  12. 前記期間に亘る積分に加えて、前記パルスの立ち上がり時間が、短い時定数の成分の存在を検出するために計算される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記積分の値は、基線測定を実施することによって、前記パルスの到着前に、オフセット又は非ゼロ信号値の補正が行われる、請求項1に記載の方法。
  14. ベータ−ガンマ同時発生を検出するために、
    前記第1シンチレータは、薄く、低密度で、短い減衰時定数のプラスチックシンチレータを採用することによって、ベータ線に対する感度を持つように作られており、
    前記第2シンチレータは、厚く、高密度で、長い時定数を有するシンチレータを採用することによって、ガンマ線に対する感度を持つように作られている、請求項7に記載の方法。
  15. 前記第1シンチレータは、ポリビニルトルエンベースのプラスチックシンチレータであり、前記第2シンチレータは、CsI(Tl)又はNaI(Tl)の何れかである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記第1シンチレータは、前記試料を密閉する中空殻に成形されており、前記第2シンチレータの中に封入されている、請求項14に記載の方法。
  17. 2つの放射線が同時発生か否かを判定するための方法において、
    第1放射線を吸収したときは、第1の特定のパルス波形を有する出力パルスを生成し、第2放射線を吸収したときは、第2の特定のパルス波形を有する出力パルスを生成する、トランスデューサを提供する段階と、
    前記トランスデューサが放射線を吸収したときに生成した出力パルスを検出する段階と、
    パルス波形分析を前記検出された出力パルスに適用して、前記第1放射線、前記第2放射線、又はその両方が前記トランスデューサに吸収されたか否かを判定する段階であって、後者の条件は同時吸収事象を明らかにしている段階と、
    から成る方法。
  18. 前記パルス波形分析は、一方は前記第1の特定のパルス波形を表しており、他方は前記第2の特定のパルス波形を表している、2つのテンプレートを使用して、前記パルスをフィッティングすることによって行われる、請求項17に記載の方法。
  19. 前記パルス波形分析は、
    前記出力パルス波形の選択された領域の面積を測定することと、
    前記面積を使用して、前記第1の特定のパルス波形、前記第2の特定のパルス波形、又はその両方が、前記パルス中に存在しているか否かを判定することによって行われる、請求項17に記載の方法。
  20. 少なくとも1つの特定のパルス波形の振幅は、関係付けられた放射線によって前記トランスデューサに蓄積されたエネルギーに比例しているか、前記エネルギーの良好に定義された関数であるか、の何れかであり、前記パルス波形分析によって前記パルス中に見い出される前記特定のパルス波形の量を使用して、前記関係付けられた放射線によって前記トランスデューサに蓄積されたエネルギーを判定する、請求項17に記載の方法。
  21. 2つの放射線が同時発生か否かを判定するための装置において、前記装置は、トランスデューサと、検出器と、回路とを備えており、
    前記トランスデューサは、
    第1放射線を吸収したときには、第1の短い時定数を特徴とし、且つその面積が公称的には前記吸収された第1放射線のエネルギーに比例している、出力パルスを生成し、
    第2放射線を吸収したときには、第2の長い時定数を特徴とし、且つその面積が公称的には前記吸収された第2放射線のエネルギーに比例している、出力パルスを生成する、トランスデューサであり、
    前記検出器は、前記トランスデューサが放射線を吸収したときに生成した前記出力パルスを検出する検出器であり、
    前記回路は、
    前記第1時定数を表している第1期間に亘って前記パルスの第1積分を行い、前記第2時定数を表している第2期間に亘って前記パルスの第2積分を行い、
    前記第1及び前記第2の両積分の値を調べて、前記第1放射線、第2放射線、又はその両方が、前記トランスデューサに吸収されたか否かを判定し、後者の条件は同時吸収事象を明らかにしている回路である、装置。
  22. 前記回路は、更に、前記第1及び第2積分の値から、一方又は両方の放射線のエネルギーを求める、請求項21に記載の装置。
  23. 前記トランスデューサは、ホスイッチと、光電変換器とを備えており、
    前記ホスイッチは、短い時定数を有し、主に前記第1放射線に対する感度を有している第1シンチレータと、長い時定数を有し、主に前記第2放射線に対する感度を有している第2シンチレータとを含んでいる、異なる光減衰時定数を有する2つ又はそれ以上の光学的に連結されたシンチレータ材料のセットを含んでいる、ホスイッチであり、
    前記光対電気変換器は、前記ホスイッチに光学的に連結されており、公称的に光学的入力に比例する電気的出力を提供する光電変換器である、請求項21に記載の装置。
  24. 前記光電変換器は光電子倍増管である、請求項21に記載の装置。
  25. 2つの放射線が同時発生か否かを、トランスデューサと、検出器と、回路とによって判定するための装置において、
    前記トランスデューサは、第1放射線を吸収したときは、第1の特定のパルス波形を有する出力パルスを生成し、第2放射線を吸収したときは、第2の特定のパルス波形を有する出力パルスを生成する、トランスデューサであり、
    前記検出器は、前記トランスデューサが放射線を吸収したときに生成した前記出力パルスを検出する検出器であり、
    前記回路は、パルス波形分析を前記検出された出力パルスに適用して、前記第1放射線、前記第2放射線、又はその両方が、前記トランスデューサに吸収されたか否かを判定し、後者の条件は同時吸収事象を明らかにしている、回路である、装置。
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