JP2009300948A - 磁気光学空間光変調器 - Google Patents

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洋一 鈴木
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Abstract

【課題】磁気光学層/圧電層/薄膜トランジスタ回路層の順の積層構造であって、圧電体に含まれている重金属イオンによる半導体の汚染を防いで半導体の特性劣化を防止し、電極材料である白金族元素の触媒作用による圧電体の特性劣化が生じないようにする。
【解決手段】基板16上に、磁気光学層10、圧電層12、薄膜トランジスタ回路層14が、その順序で積層形成されている構造において、圧電層は、圧電体の磁気光学層側に共通電極24を、薄膜トランジスタ回路層側に各画素決定要素毎に分離された白金族元素からなる個別電極26を対設した構造であり、個別電極を覆い個別電極同士の間隙を埋めるように薄膜トランジスタ回路層との間に、圧電材料に含まれている重金属イオンのバリアとなり、白金族元素の触媒作用で酸欠になった圧電材料に酸素を供給する絶縁性酸化物を個別電極側から見て圧電層と対峙するように全面ベタ成膜したキャップ膜30を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、TFT(薄膜トランジスタ)を搭載し逆圧電効果を利用して画素を制御する方式の磁気光学空間光変調器に関し、更に詳しく述べると、磁気光学層/圧電層/薄膜トランジスタ回路層の順に積層され、圧電層の薄膜トランジスタ回路層側に設けた個別電極を白金属元素製とし、該個別電極を介して圧電層と対峙して個別電極を覆い個別電極の間隙を埋めるように薄膜トランジスタ回路層との間に、圧電材料に含まれている重金属イオンのバリアとなり、白金族元素の触媒作用で酸欠になった圧電材料に酸素を供給する絶縁性酸化物を全面ベタ成膜したキャップ膜が設けられている構造の磁気光学空間光変調器に関するものである。この技術は、光メモリ、光ストレージ、光ディスプレイ等において、磁気光学効果を利用して入射光をイメージファイルやページデータに高速で変調する空間光変調器に有用である。
空間光変調器は、入射光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調するデバイスであり、多数の画素決定要素を2次元的に配列した構成となっている。このような2次元アレイ状の画素配列をもつ空間光変調器は、情報を高速で並列処理可能なことから、光学情報処理システム、光コンピューティング、プロジェクターTV、動画ホログラム記録、光体積記録などを実現するキーデバイスとして注目されている。このような分野では、大量の情報を高速で処理する必要があることから、空間光変調器としては、動作速度が大きいこと、また信頼性が高いことが重要視される。そのため、近年、磁性膜の磁気光学効果(ファラデー効果)を利用する磁気光学方式のデバイスについて鋭意研究開発が進められている。
従来の磁気光学空間光変調器は、電流を供給することで画素決定要素に磁界を印加し制御する電流駆動方式であったが、最近、逆圧電効果を利用して各画素決定要素に個別に応力を付与可能とし該画素決定要素の磁化方向を制御するように構成して消費電力及び発熱の低減を図る電圧駆動方式が提案されている(特許文献1参照)。これは、多数の画素決定要素を含んでいる磁気光学層と、自ら変形することで各画素決定要素に応力を与える圧電体と、該圧電体を挟み各画素決定要素に対応した位置で交差するように配置した第1及び第2の導体層を備えている構造であり、磁気光学層の各画素決定要素は与えられた応力の大きさ及び方向に応じて磁化方向が設定される。この方式は、電圧駆動式であるため電流が殆ど流れないので、発熱の問題を解消できる利点がある。
しかし、上記の電圧駆動式の磁気光学空間光変調器はパッシブ・マトリックス駆動形式でり、画素決定要素が多くなると高フレーム速度が得られない問題が生じていた。最近、これらの利点を生かしつつ、画素決定要素数が多くなってもフレーム速度が低下せず、データ処理の高信頼性を維持できるように、TFTを搭載してアクティブ・マトリックス駆動形式とすることが提案されている(特許文献2参照)。このような構造の場合、磁気光学層と圧電層と薄膜トランジスタ回路層を、どのような積層構造にするかが、デバイス性能上、大きなキーポイントとなる。
ところでデバイスの製造においては、通常、プロセス温度(取り扱い上の温度)が高温な層ほど先行して作製するルールがある。磁気光学光変調器の場合、磁気光学層のYIG(イットリウム鉄ガーネット結晶膜)は、融点が約900℃以上であるため、成膜方法を問わずそれに準じた温度に加熱され、更に、磁気特性向上のために通常、アニールにより約1000℃以上に加熱される。次に圧電体(例えばPZT)の成膜は、気相法や液相法が代表的であり、ペロブスカイト構造の結晶性を引き出すためのアニール、もしくは脱水、水酸基の焼成では約600℃に加熱される。他方、TFTは、低温プロセスを駆使すれば、製造温度は約500℃以下であるが、配線にアルミニウムを使用した場合には550℃以上にすると配線問題を招くし、900℃以上ではドーパントの再分布に影響をもたらす。従って、これらの構成素子のプロセス温度を考慮すれば、磁気光学層/圧電層/薄膜トランジスタ回路層の順に積層する構造が妥当である。
ところで、強誘電体キャパシタの場合、その電極材料には、従来から白金(Pt)が広く使用されていた。白金は、強誘電体材料との密着性がよいこと、耐熱性が高く反応性が低いこと、などの特徴があり、電極材料に適しているからである。しかし、白金は触媒作用があるため、層間膜中の水分が分解して水素が発生し、それによって強誘電体の特性を劣化させることが分かってきた。そこで、近年では、白金に代えてIrO2 等の酸素発生用電極を用いることで、水素による特性劣化を抑制する構成が採用されることもある。
さて、上記のような磁気光学層/圧電層/薄膜トランジスタ回路層の積層構造では、汚染物質によるTFT(半導体)の汚染が問題となる。例えば、PZTの鉛イオン等は200〜300℃の温度下で移動し易くなり、半導体やゲート絶縁膜を汚染してトランジスタ機能を劣化させる。他方、TFTでは、ドーパントの活性化のためには500℃以上のアニールを施すのが好ましいので、その際に汚染されることとなる。そこで、圧電材料に含まれている重金属イオン等による汚染を防ぐ仕組みが必要となる。
電極材料としての白金は、前記のような利点の他に、拡散バリア性が高い特徴があり、白金電極自体は圧電材料に含まれている重金属イオン等による半導体の汚染を防ぐ機能がある。しかし、上部電極は画素を個別に制御できるようにするため個別電極であるから、互いに分離しており、間隙を通って圧電材料の重金属イオンが半導体のある上層まで拡散する危険性は避けられない。そこで、圧電体の上層全体に重金属イオンのバリア膜を設けることが考えられるが、導電性があると上部の個別電極は全て共通となってしまい、アクティブ・マトリックスが実現できない。また、絶縁性であると、圧電体と個別電極との間に絶縁性バリア膜が位置することになり、等価回路的には強誘電体キャパシタと常誘電体キャパシタとの直列接続で表され、条件次第で電源オフ時にゲート電極が接地状態になると、両キャパシタの両端が短絡されることになるため、圧電体中には分極方向と逆向きの電界(減分極電界)が発生し、圧電体の特性が劣化してしまう。
これらの懸念事項を解消しない限り、磁気光学層/圧電層/薄膜トランジスタ回路層の積層構造の実現は困難である。
特開2003−315756号公報 特開2007−310177号公報
本発明が解決しようとする課題は、磁気光学層/圧電層/薄膜トランジスタ回路層の順の積層構造であって、圧電体に含まれている重金属イオンによる半導体の汚染を防いでトランジスタ機能が損なわれないようにすると共に、圧電体の特性劣化が生じないようにすることである。
本発明は、磁気光学効果により入射光に偏光方向の回転あるいは位相差を与える多数の画素決定要素が配列されている磁気光学層と、逆圧電効果で変形することにより各画素決定要素に個別に応力を印加する応力付与要素を備えている圧電層と、前記画素決定要素の選択及び応力付与要素への電界印加のために各画素決定要素毎にTFTを配設すると共に該TFTを選択駆動するアクティブ・マトリックス式電気配線を形成した薄膜トランジスタ回路層を具備し、基板上に前記磁気光学層、圧電層、薄膜トランジスタ回路層が、その順序で積層形成されているTFT駆動・逆圧電効果利用方式の磁気光学空間光変調器において、前記圧電層は、圧電体の磁気光学層側に共通電極を、薄膜トランジスタ回路層側に各画素決定要素毎に分離された白金族元素からなる個別電極を対設した構造であって、個別電極を覆い個別電極同士の間隙を埋めるように薄膜トランジスタ回路層との間に、圧電材料に含まれている重金属イオンのバリアとなり、白金族元素の触媒作用で酸欠になった圧電材料に酸素を供給する絶縁性酸化物を、個別電極側から見て圧電層と対峙するように全面ベタ成膜したキャップ膜が設けられていることを特徴とする磁気光学空間光変調器である。
典型的には、圧電材料はPZT系であり、該圧電材料に含まれる重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物としては、バンドギャップ5eV以上でバリア高さ2eV以上の、例えばZrO2 又はHfO2 又はSiO2 を用いるのがよい。また、共通電極も白金族元素で形成し、該共通電極と磁気光学層との間に、白金族元素との相性がよいバッファ膜(例えばTiO2 膜)を設けるのが好ましい。なお、ここで電極材料となる白金族元素としては、白金(Pt)の他、イリジウム(Ir)やルテニウム(Ru)などがあり、それらイリジウムやルテニウムの酸化物も含まれる。PZT系には、狭義のPZTのみならず、チタン酸ジルコン酸鉛に色々な添加物を導入した圧電材料も含まれる。
各TFTの半導体部位は、基板面に垂直方向に透視した時に各個別電極内に収まる形状寸法とする。その場合、同じく基板面に垂直方向に透視した時に個別電極同士の間隙となる部分にアクティブ・マトリックス電気配線を形成する。なお、前記キャップ膜とTFTの半導体部位との間に、シリコン酸化物からなるアンダーコートを設けて、表面を平坦化しておく。
圧電体は、個別電極に対応した形状にパターニングされ互いに分離してもよく、その場合には、生じた間隙にも重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物が充填されている構造とする。このような画素毎に独立した圧電体構造にすると、各圧電体からの重金属イオンの拡散をより効果的に抑えることができる他、各圧電体が独立に動き易くなる利点も得られる。
このような構造の磁気光学空間光変調器を製造するには、例えばTFTの工程に入る前段で、前記絶縁性酸化物にTFTのドレイン領域と個別電極を接続するためのビアを見立てて予め下部コンタクトホールを形成しておき、TFTの工程で配線プラグのための上部コンタクトホールをシリコン酸化物からなるアンダーコートに形成する時に前記下部コンタクトホールと接続し、連続した上部と下部のコンタクトホールを利用して配線から個別電極まで一貫したコンタクトプラグを形成するというような手順も可能である。
本発明に係る磁気光学空間光変調器では、個別電極直下の圧電材料中の重金属イオンの拡散は白金族元素からなる個別電極で阻止され、また個別電極同士の間隙部分に対応する圧電材料中の重金属イオンの拡散はバリアとなる絶縁性酸化物からなるキャップ膜で阻止され、そのため重金属イオンの汚染によるTFTの特性劣化が生じる恐れはない。なお、キャップ膜は絶縁性なので電気回路(アクティブ・マトリックス)を損なう恐れもない。更に、重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物は、個別電極を介して圧電体の反対側に位置しているので、構造上、減分極電界は発生せず圧電特性の低下は生じない。また、酸素分子は十分に小さいために個別電極があっても自由に往来できるので、白金族元素の触媒作用で酸基が分離されることによる圧電材料の特性劣化を防止することができる。
このような構造の磁気光学空間光変調器は、TFT及び圧電体の特性が共に劣化せず、またアクティブ・マトリックス駆動の有用性を取り入れているため、表示能力に優れており、電圧駆動であるため低電力で、しかも高速動作が可能である。
本発明に係る磁気光学空間光変調器の典型的な構成例を図1に示す。この磁気光学空間光変調器は、磁気光学効果により入射光に偏光方向の回転あるいは位相差を与える多数の画素決定要素が配列されている磁気光学層10と、逆圧電効果で変形することにより前記の各画素決定要素に個別に応力を印加する応力付与要素を備えている圧電層12と、前記画素決定要素の選択及び応力付与要素への電圧印加のために各画素決定要素毎にMOS型TFTを配設すると共に各TFTを選択駆動するアクティブ・マトリックス式電気配線を形成した薄膜トランジスタ回路層14を具備し、ガーネット基板16上に、前記磁気光学層10、圧電層12、薄膜トランジスタ回路層14を、その順序で積層した構造である。
磁気光学層10を構成しているYIGは膜面垂直な方向に磁化方向をもつ膜であるが、プロセス時の温度制御により、膜面平行な方向に誘導異方性を持たせ、前記圧電層12から受ける応力方向の大きさ及び方向により磁歪を緩和させることで内部磁気スピンを回転させることで磁気光学効果が変化し、前記TFTで圧電層12による歪み状態を必要時間保持する。ここでは、各画素決定要素毎に独立分離した状態となるように、YIG(画素決定要素)20がガーネット基板16に埋設された構造にしている。
圧電層12は、PZT22を2種の電極で挟み込んだ構造である。この空間光変調器は各画素決定要素の背面側にミラーを設けた反射型であるので、一方の電極(磁気光学層側に位置する下部電極)は共通電極24でミラーを兼ね、他方の電極(ここでは上部電極)は各画素決定要素を投影した形状、配列に準じて分離されている個別電極26であって薄膜トランジスタ回路層側に位置している。ここでは、共通電極及び個別電極は、共に白金膜である。磁気光学層10と共通電極24との間には、白金との相性が良いTiO2 からなるバッファ膜28を介装する。また、個別電極26を覆い個別電極同士の間隙を埋めるように、全体的に、圧電材料の重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物(ZrO2 又はHfO2 又はSiO2 )を全面ベタ成膜したキャップ膜30を設ける。この点に本発明の特徴がある。更に、その上にSiO2 からなるアンダーコート32を設けて表面を平坦化し、その上にTFT及びアクティブ・マトリックス式電気配線の薄膜トランジスタ回路層14を積層する(ただし、前記絶縁性酸化物がSiO2 の場合にはアンダーコートを兼ねることになる)。
絶縁性酸化物のバリア特性のデータを表1に示す。ZrO2 、HfO2 、SiO2 は、本発明のキャップ膜として適しているが、TiO2 はバリア効果が低く本発明のキャップ膜としては使用できない。
Figure 2009300948
TFTは、半導体(Si)部位40、ゲート絶縁膜(SiO2 )42、ゲート金属44からなるMOS構造である。その上に、層間絶縁層(SiO2 )46を設ける。半導体部位のソース/ドレインは、コンタクトプラグ48で層間絶縁層46上に引き出され、信号線及びコモン線が接続される。ゲート金属44には走査線が接続される。更に、それらの上を保護膜(SiO2 )50で覆う。アクティブ・マトリックス式電気配線は、各MOS型TFTのゲートに選択駆動のための電圧を印加し、ソース/ドレイン領域に圧電層12の応力付与要素へ出力電圧を印加する方式である。
本発明では、前記のように、個別電極26を覆い個別電極同士の間隙を埋めるように、薄膜トランジスタ回路層14との間に、圧電材料の重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物を全面ベタ成膜したキャップ膜30が設けられているので、圧電材料中の重金属イオンの拡散は、白金製の個別電極26で阻止され、また個別電極同士の間隙でもキャップ膜30で阻止される。そのため、重金属イオンの汚染によるTFTの特性劣化が生じる恐れはない。また、前記キャップ膜30は絶縁性が高いので、電気回路(アクティブ・マトリックス)を損なう恐れもない。
更に、重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物は、個別電極を介してPZTの反対側に位置しているので、減分極電界は発生せず圧電特性の低下は生じないし、酸素分子は十分に小さいために白金電極があっても自由に往来できるので、白金の触媒作用で酸基が分離されることによる圧電材料の特性劣化を防止することができる。
図2は、薄膜トランジスタ回路層の平面を透視的に表したアクティブ・マトリックス式電気配線の説明図である。前記のように、アクティブ・マトリックス式電気配線50は走査線と信号線、コモン線などからなり、それら走査線及び信号線は、画素決定要素と画素決定要素の間隙に形成されている。ここでは、半導体部位40は、画素決定要素に対応している個別電極26の範囲内に収まる形状寸法で配置されている。
次に、電圧駆動による磁化方向の制御について簡単に説明する。TFTがオフ時には、YIGには応力は印加されない。磁化方向は膜面平行なので、YIGの厚み分はファラデー回転に寄与しない。信号オン時は、PZTの上下両面に電圧が印加され、PZTが伸長変形し、YIGは圧縮応力を受ける。それによって磁歪効果が緩和され、膜面平行な方向の誘導異方性は小さくなり磁化方向が回転し易くなる。更に、外部磁界が印加されていると、PZTの変形がトリガとなって外部磁界の方向に磁化方向がより揃う。磁化方向が180度回転したのならば、ファラデー回転は逆方向になる。信号オフ時は、個別電極には蓄積された電荷が残り磁界オン状態が維持される。入射光は、ガーネット基板及びYIGを透過し、共通電極で反射した後、YIG及びガーネット基板を透過して出射する。光がYIGを往復する間、偏光面が+方向もしくは−方向に、所定の角度だけ回転する。
このように構成した空間光変調器を使用したページデータの空間的な変調方法を図3に示す。光源60からの光を、レンズ・偏光子62で直線偏光にして空間光変調器64に照射する。空間光変調器64からの反射光は、レンズ・検光子66で偏光面に応じて光のコントラストに変換され、検出器(C−MOS)68に入力することで入射光をページデータに変調することができる。
図4は本発明の他の構成例を示している。基本的な構成は、図1と同様であるので、対応する部分には同一符号を付し、それらについての説明は省略する。ここでは、PZT22は、個別電極26に対応した形状にパターニングされ互いに分離されており、その間隙にも前記と同じ圧電材料の重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物(キャップ膜30)が充填されている。このような画素毎に独立した圧電層12にすると、各PZT22からの重金属イオンの拡散を、より効果的に抑えることができる他、各PZT22が独立に動き易くなる利点も得られる。なお、PZTは、必ずしも完全に分離している構造でなくてもよく、PZTの厚みの途中までの溝が掘られて部分的に分離していてもよい。
なお、このような磁気光学空間光変調器の製造に際しては、TFTの工程に入る前段、即ちアンダーコート32まで形成した段階で、半導体部位40のドレイン領域と個別電極を接続するためのビアを見立てて予め下部コンタクトホールを形成しておき、TFTの工程で配線プラグのための上部コンタクトホール形成時に前記下部コンタクトホールと接続し、連続した上部と下部のコンタクトホールを利用して配線から個別電極まで一貫したコンタクトプラグを形成するようにしてもよい。勿論、予め下部コンタクトホールを形成せずに、一度に上部から下部まで続くコンタクトホールを形成する方法でもよい。
試作した磁気光学空間光変調器について、その作製条件の一例を説明する。YIG(磁気光学層)は、GGG基板上にLPE(液相エピタキシャル)法にて育成温度を制御し、磁歪を含んで成長させたビスマス置換イットリウム鉄ガーネット単結晶膜である。膜厚は2μmで、シングルパスで偏光面が9度回転する。本発明品は反射型デバイスであるので、ダブルパスで18度のファラデー回転角を有する。ここでは、図1に示すように、画素をセル化し、画素間の磁気的干渉を防ぐために、GGG基板内にYIGを画素決定要素毎に埋設する構造にしている。画素ピッチは16μmであり、画素間ギャップは2μmである。
TiO2 のバッファ膜を形成し、ミラーを兼ねる共通電極を介してPZT(圧電体)を積層し、その上に個別電極を形成した。ミラーを兼ねる共通電極はTi/Pt膜(PZTに近い方がTi)であり、RFマグネトロン・スパッタ法で成膜した。膜厚はTi:20nm、Pt:200nmである。ミラーとしての反射率は30%(波長:532nm)であった。PZTはAD法(エアロゾルデポジション法)により作製した。PZTの膜厚は5μmで、成膜後600℃の大気中でアニール処理を施した。アニール処理後、CPMを施し、平坦度10nm程度の仕上がりとなった。分極作業は、200℃で30Vの電圧を15分間印加することで行った。得られたPZTの特性は、比誘電率が800、d31定数(歪の大きさの指標)は80pm/Vであった。
次に、ZrO2 のキャップ膜を形成し、SiO2 のアンダーコートで表面を平坦化して薄膜トランジスタ回路層を積層した。Si及びSiO2 の成膜は、RFマグネトロン・スパッタ法により、RF電力100W、背圧10-7Torr、ガス圧0.5Pa、基板加熱250℃で行った。膜厚は、Si:50nm、ゲート絶縁膜(SiO2 ):150nmである。パターニングはArイオンミリングを使用した。コンタクトホールは、バッファードHFの10倍希釈液によるウェットエッチングで行った。
ゲート金属はTi/Ptであり、膜厚はTi:20nm、Pt:200nmである。エキシマレーザ・アニール(ELA)条件は、ガス種KrF、ホモジナイザーのエネルギー分布10%以下、スポット・サイズ□5mm、パルス幅50ns、エネルギー密度120mJ/cm2 、ショット数25回である。イオン注入条件は、SiO2 膜(150nm)越しである。注入元素はPであり、投入エネルギー110keV、ドーズ量2×10+15 /cm2 、活性化アニール500℃、3時間、N2 雰囲気である。なお、TFTの最終工程では高圧水蒸気アニール(温度:260℃、圧力:1.6MPa、トップ温度保持時間:1時間)を行った。
得られたTFTの評価結果について述べる。駆動条件は、ソース接地の入力Vd=10V、ゲートにはVg=15Vを印加した。VdsをパラメータとするIds−Vgs特性(対数表示)を図5に示す。TFTとして動作に問題がなく、良品であることが確認できた。これは、バリアが有効に作用したことによって、重金属イオンの汚染によるトランジスタ機能の劣化が生じなかったためと考えられる。最終的に得られた磁気光学空間光変調器は、良好に動作した。
本発明に係る磁気光学空間光変調器の構成図。 アクティブ・マトリックス式電気配線の説明図。 空間光変調器を使用したページデータの空間的な変調方法の説明図。 本発明に係る磁気光学空間光変調器の他の構成図。 TFTのIds−Vgs特性(対数表示)線図。
符号の説明
10 磁気光学層
12 圧電層
14 薄膜トランジスタ回路層
16 ガーネット基板
20 YIG
22 PZT
24 共通電極
26 個別電極
28 バッファ膜
30 キャップ膜
32 アンダーコート
40 半導体(Si)部位
42 ゲート絶縁膜
44 ゲート金属
46 層間絶縁層
48 コンタクトプラグ
50 保護膜

Claims (6)

  1. 磁気光学効果により入射光に偏光方向の回転あるいは位相差を与える多数の画素決定要素が配列されている磁気光学層と、逆圧電効果で変形することにより各画素決定要素に個別に応力を印加する応力付与要素を備えている圧電層と、前記画素決定要素の選択及び応力付与要素への電界印加のために各画素決定要素毎にTFTを配設すると共に該TFTを選択駆動するアクティブ・マトリックス式電気配線を形成した薄膜トランジスタ回路層を具備し、基板上に前記磁気光学層、圧電層、薄膜トランジスタ回路層が、その順序で積層形成されているTFT駆動・逆圧電効果利用方式の磁気光学空間光変調器において、
    前記圧電層は、圧電体の磁気光学層側に共通電極を、薄膜トランジスタ回路層側に各画素決定要素毎に分離された白金族元素からなる個別電極を対設した構造であって、個別電極を覆い個別電極同士の間隙を埋めるように薄膜トランジスタ回路層との間に、圧電材料に含まれている重金属イオンのバリアとなり、白金族元素の触媒作用で酸欠になった圧電材料に酸素を供給する絶縁性酸化物を、個別電極側から見て圧電層と対峙するように全面ベタ成膜したキャップ膜が設けられていることを特徴とする磁気光学空間光変調器。
  2. 圧電材料がPZT系であり、該圧電材料に含まれる重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物が、バンドギャップ5eV以上でバリア高さ2eV以上の、ZrO2 又はHfO2 又はSiO2 である請求項1記載の磁気光学空間光変調器。
  3. 各TFTの半導体部位は、基板面に垂直方向に透視した時に各個別電極内に収まる形状寸法になっている請求項1又は2記載の磁気光学空間光変調器。
  4. 前記キャップ膜とTFTの半導体部位との間に、シリコン酸化物からなるバッファ膜が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気光学空間光変調器。
  5. 圧電体は、個別電極に対応した形状にパターニングされ互いに分離されており、その間隙にも前記と同じ圧電材料に含まれている重金属イオンのバリアとなる絶縁性酸化物が充填されている請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気光学空間光変調器。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気光学空間光変調器を製造する方法であって、TFTの工程に入る前段で、前記絶縁性酸化物にTFTのドレイン領域と個別電極を接続するためのビアを見立てて予め下部コンタクトホールを形成しておき、TFTの工程で配線プラグのための上部コンタクトホール形成時に前記下部コンタクトホールと接続し、連続した上部と下部のコンタクトホールを利用して配線から個別電極まで一貫したコンタクトプラグを形成することを特徴とする磁気光学空間光変調器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107146792A (zh) * 2017-05-11 2017-09-08 京东方科技集团股份有限公司 一种静电防护装置及其制作方法

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