JP2009300883A - イメージファイバ製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】着色現象の発生を抑制し得るイメージファイバを歩留りよく製造することができるイメージファイバ製造方法を提供する。
【解決手段】工程S1〜S5では、クラッド径が一定であってコア径が一定でない複数本の光ファイバ素線が準備される。充填工程S6では、工程S5において得られた複数本の光ファイバ素線が、洗浄された後にガラスパイプの内部に充填される。線引工程S7では、充填工程S6においてガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線が加熱溶融され一体化されて、外径が長手方向に均一であるイメージファイバが製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、イメージファイバ製造方法に関するものである。
イメージファイバは、共通のクラッドの中に複数本(数千本〜数万本)のコアが長手方向に延在するものである。イメージファイバは、一方の端面に入力される光のうちコアに入力される光を該コアにより他方の端面まで導波して外部へ出力することで、光の像を伝送することができる。イメージファイバは例えば医療用等に使用される。このようなイメージファイバは、ガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線を加熱溶融して一体化することで製造される。
イメージファイバにおいて、伝送すべき光の像の画素数を多くする為に、コアの本数を多くするとともにコアのピッチを小さくすることが要求される。しかし、コアのピッチを小さくすると、コア間の光のクロストークに因る着色現象が生じる場合がある。そこで、特許文献1,2には、着色現象の発生を抑制することを意図したイメージファイバ製造方法が記載されている。
特許文献1,2に記載されたイメージファイバ製造方法は、クラッド径が一定でない複数本の光ファイバ素線をガラスパイプの内部に充填し加熱溶融して一体化することで、複数本のコアの径が一定でないイメージファイバを製造する。特許文献1,2では、イメージファイバの複数本のコアの径を一定でないものとすることで、着色現象の発生を抑制しようとしている。
特開昭60−052802号公報 特開昭60−147702号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載されたイメージファイバ製造方法では、ガラスパイプの内部に複数本の光ファイバ素線を充填する際にこれら光ファイバ素線を最密充填構造で配置しようとしても、光ファイバ素線の間に大きな空隙が発生する。そして、ガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線を加熱溶融して一体化する際に、上記の空隙はイメージファイバ中において気泡となる場合がある。イメージファイバ中に気泡が存在すると、該イメージファイバにより伝送される光の像において気泡部分が黒点として観察される。したがって、このような気泡が存在するイメージファイバは不良品となり製造歩留りが悪化する。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、着色現象の発生を抑制し得るイメージファイバを歩留りよく製造することができるイメージファイバ製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るイメージファイバ製造方法は、(1) クラッド径が一定であってコア径が一定でない複数本の光ファイバ素線を準備する素線準備工程と、(2)この素線準備工程において準備された複数本の光ファイバ素線をガラスパイプの内部に充填する充填工程と、(3) この充填工程においてガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線を加熱溶融し一体化してイメージファイバを製造する延伸工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るイメージファイバ製造方法によれば、素線準備工程において、クラッド径が一定であってコア径が一定でない複数本の光ファイバ素線が準備される。素線準備工程に続く充填工程において、複数本の光ファイバ素線がガラスパイプの内部に充填される。そして、充填工程に続く延伸工程において、ガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線が加熱溶融され一体化されてイメージファイバが製造される。
本発明に係るイメージファイバ製造方法では、素線準備工程は、(a) 素線プリフォームの外径が長手方向に不均一となるように該素線プリフォームの外周を研削する素線プリフォーム研削工程と、(b)この素線プリフォーム研削工程において研削された素線プリフォームを線引して、クラッド径が長手方向に均一である光ファイバを作製する素線線引工程と、(c) この素線線引工程において作製された光ファイバを切断して複数本の光ファイバ素線を製造する素線切断工程と、を含むのが好適である。また、素線準備工程は、素線プリフォーム研削工程と素線線引工程との間に設けられ、素線プリフォーム研削工程において研削された素線プリフォームを加熱溶融し延伸して、該素線プリフォームの外径を長手方向に均一化する素線プリフォーム延伸工程を更に含むのが好適である。
この素線準備工程では、素線プリフォーム研削工程において、素線プリフォームの外径が長手方向に不均一となるように該素線プリフォームの外周が研削される。素線プリフォーム研削工程に続く素線線引工程において、素線プリフォームが線引されて、クラッド径が長手方向に均一である光ファイバが作製される。素線線引工程に続く素線切断工程において、光ファイバが切断されて複数本の光ファイバ素線が製造される。また、素線プリフォーム研削工程と素線線引工程との間に設けられた素線プリフォーム延伸工程において、素線プリフォームが加熱溶融され延伸されて、該素線プリフォームの外径が長手方向に均一化される。
本発明に係るイメージファイバ製造方法は、着色現象の発生を抑制し得るイメージファイバを歩留りよく製造することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るイメージファイバ製造方法のフローチャートである。本実施形態に係るイメージファイバ製造方法は、素線プリフォーム準備工程S1,素線プリフォーム研削工程S2,素線プリフォーム延伸工程S3,素線線引工程S4,素線切断工程S5,充填工程S6および線引工程S7を備え、これらの工程S1〜S7を順に経ることによりイメージファイバを製造する。なお、これらのうち素線プリフォーム準備工程S1,素線プリフォーム研削工程S2,素線プリフォーム延伸工程S3,素線線引工程S4および素線切断工程S5は、クラッド径が一定であってコア径が一定でない複数本の光ファイバ素線を準備する素線準備工程を構成している。
素線プリフォーム準備工程S1では、複数本の光ファイバ素線を作製する為の素線プリフォームが準備される。より具体的には以下のとおりである。初めに素線プリフォームのコアとなるべきシリカガラスからなる円柱形状コア材の外周が研削されて、そのコア材の外径が長手方向に均一化される。その外周研削されたコア材の外周にPCVD法により泡防止層が外付けされる。この泡防止層の厚みはコア材の外径の6%程度とされる。素線プリフォームのクラッドとなるべきF元素添加のシリカガラスからなるガラスパイプにコア材が挿入され、これらが加熱溶融されコラプスされて素線プリフォームが作製される。
素線プリフォーム研削工程S2では、素線プリフォーム準備工程S1で準備された素線プリフォームの外径が長手方向に不均一となるように該素線プリフォームの外周が研削される。より具体的には以下のとおりである。円柱形状の素線プリフォームの両端に、爾後の工程でのハンドリングの際に持ち手部分として用いられるダミー棒が接続され、その接続部の割れを防止する為に歪み取りが行われる。この素線プリフォームの径方向の屈折率分布が、プリフォームアナライザにより長手方向の各位置(例えば20mm間隔の各位置)で測定される。この測定結果に基づいて素線プリフォームの外径の長手方向分布の目標値が設計される。そして、外径の長手方向分布が目標値となるよう素線プリフォームの外周が研削される。この研削に際しては、粗研削,仕上げ研削および表面研削が順に行われ、レジンの砥石が使用される。その後、素線プリフォームがHF溶液により例えば2時間に亘り洗浄される。
素線プリフォームの外径の長手方向分布の目標値の設計に際しては、素線プリフォームの外径が長手方向に不均一となるように設計されるとともに、後の素線プリフォーム延伸工程S3後の素線プリフォームまたは素線線引工程S4後の光ファイバにおいてクラッド径が長手方向に均一化された状態でコア径が長手方向に不均一となるように設計される。また、素線プリフォームの一端から他端に向って外径が例えばテーパ形状の如く単調に増加または減少するように設計されてもよいし、素線プリフォームの一端から他端に向って外径が例えば正弦波形状の如く増減を繰り返すように設計されてもよい。
素線プリフォーム延伸工程S3では、素線プリフォーム研削工程S2において研削された素線プリフォームが加熱溶融され延伸されて、該素線プリフォームの外径が長手方向に均一化される。素線プリフォーム研削工程S2で素線プリフォームの一端から他端に向って外径が単調に増加または減少するように外周研削される場合、後の素線線引工程S4でクラッド径が長手方向に均一な光ファイバが容易に得られるので、この素線プリフォーム延伸工程S3は設けられなくてもよい。一方、素線プリフォーム研削工程S2で素線プリフォームの一端から他端に向って外径が増減を繰り返すように外周研削される場合、後の素線線引工程S4でクラッド径が長手方向に均一な光ファイバを得る為に、この素線プリフォーム延伸工程S3で素線プリフォームの外径が長手方向に均一化されるのが好ましい。
素線線引工程S4では、素線プリフォームが線引されて、クラッド径が長手方向に均一である光ファイバが作製される。より具体的には以下のとおりである。素線プリフォーム研削工程S2後(必要に応じて素線プリフォーム延伸工程S3後)の素線プリフォームが、酸水素バーナやプラズマバーナなどの火炎で表面が研磨される。この素線プリフォームにそれまで接続されていたダミー棒が切断されて除去され、線引き用のダミー棒が接続される。そして、この素線プリフォームが線引されて、クラッド径が長手方向に均一である光ファイバが作製される。このときの光ファイバのクラッド径は0.2ないし0.4mm程度である。
素線切断工程S5では、素線線引工程S4において作製された光ファイバが切断されて複数本の光ファイバ素線が製造される。このとき、各光ファイバ素線の長さは数十cmとされる。充填工程S6では、素線切断工程S5において得られた複数本の光ファイバ素線が、洗浄された後に、シリカガラスからなるガラスパイプの内部に充填される。そして、線引工程S7では、充填工程S6においてガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線が加熱溶融され一体化されて、外径が長手方向に均一であるイメージファイバが製造される。線引工程S7で得られたイメージファイバは、クラッドの周囲に保護材(紫外線硬化型樹脂やポリイミド樹脂)が被覆されて巻き取られ、また、使用する長さ(数十cm〜数m)に切断される。ガラスパイプには内径が25ないし45mm程度のものが使用され、それが0.2ないし1.1mmのクラッド径の光ファイバに線引きされる。画素数は5000ないし50000画素程度のものが作られる。
図2は、本実施形態に係るイメージファイバ製造方法の充填工程S6においてガラスパイプの内部に充填された7本の光ファイバ素線の配置を比較例1,2と対比して示す図である。同図(a)は本実施形態の場合の7本の光ファイバ素線の配置を示し、同図(b)は比較例1の場合の7本の光ファイバ素線の配置を示し、また、同図(c)は比較例2の場合の7本の光ファイバ素線の配置を示す。これら7本の光ファイバ素線10それぞれは、コア11の周囲にクラッド12が設けられたものである。7本の光ファイバ素線10のうち或る1本の光ファイバ素線の周りに他の6本の光ファイバ素線が最密充填構造で配置される。
同図(b)に示される比較例1では、各光ファイバ素線のコア径が一定であってクラッド径も一定である。この場合、複数本の光ファイバ素線を最密充填構造で配置すると、光ファイバ素線の間に大きな空隙が生じることはない。したがって、これから製造されるイメージファイバ中に気泡が生じることは回避され、該イメージファイバにより伝送される光の像において黒点が観察されることも回避されるので、この点では、イメージファイバの製造歩留りがよい。しかし、このイメージファイバでは、各コアの径が一定であるので、コア間の光のクロストークに因る着色現象が生じる場合がある。
同図(c)に示される比較例2では、各光ファイバ素線のコア径とクラッド径との比が一定であるがクラッド径が一定ではない。この場合、複数本の光ファイバ素線を最密充填構造で配置すると、光ファイバ素線の間に大きな空隙20が生じる場合がある。したがって、これから製造されるイメージファイバ中に気泡が生じる場合があり、該イメージファイバにより伝送される光の像において気泡部分が黒点として観察される場合があるので、イメージファイバの製造歩留りが悪い。ただし、このイメージファイバでは、各コアの径が一定でないので、コア間の光のクロストークに因る着色現象の発生が抑制される。
これらに対して、同図(a)に示される本実施形態では、各光ファイバ素線のクラッド径が一定であってコア径が一定でない。この場合、複数本の光ファイバ素線を最密充填構造で配置すると、光ファイバ素線の間に大きな空隙が生じることはない。したがって、これから製造されるイメージファイバ中に気泡が生じることは回避され、該イメージファイバにより伝送される光の像において黒点が観察されることも回避されるので、イメージファイバの製造歩留りがよい。また、このイメージファイバでは、各コアの径が一定でないので、コア間の光のクロストークに因る着色現象の発生が抑制される。
本実施形態に係るイメージファイバ製造方法により製造されるイメージファイバは、各コアの規格化周波数が2.405と3.832との間で分布するように各コアの外径がランダムに設定されているのが好ましい。ここで、コア径をaとし、光の波長をλとし、コアの屈折率をn1とし、クラッドの屈折率をn2とすると、規格化周波数Vは下記(1)式で表される。
V=2πa(n1 2-n2 2)1/2/λ ・・・(1)
したがって、本実施形態に係るイメージファイバ製造方法の素線プリフォーム研削工程S2で得られる素線プリフォームの外径の長手方向分布は、イメージファイバとなった段階で各コアの規格化周波数が2.405と3.832との間で分布するように設定される。また、素線プリフォーム延伸工程S3で得られる素線プリフォームのコア径の長手方向分布は、最大径と最小径とが±12%程度の変動となるように設定される。
次に、本実施形態に係るイメージファイバ製造方法の実施例について説明する。図3は、素線プリフォーム研削工程S2の前後における素線プリフォームの外径の長手方向分布を示すグラフである。また、図4は、素線プリフォーム研削工程S2後における素線プリフォームのコア径とクラッド径との比の長手方向分布を示すグラフである。すなわち、素線プリフォーム研削工程S2前においては、素線プリフォームの外径は長手方向に均一な値28.8mm程度であった。素線プリフォーム研削工程S2後においては、素線プリフォームの外径は、一端の値20.6mm程度から他端の値26.1mm程度まで単調に増加し、素線プリフォームのコア径とクラッド径との比は、一端の値1.47程度から他端の値1.87程度まで単調に増加した。
このような素線プリフォームが素線線引工程S4で線引きされて、一定外径217μmの光ファイバが作製された。その光ファイバが洗浄された後に素線切断工程S5で切断されて多数の光ファイバ素線が作製された。約6000本の光ファイバ素線が外径20mmで内径18mmのガラスパイプの内部に充填されて。これらが溶融一体化された。これにより得られた母材を端面から光を当てて目視で確認し、さらにマッチングオイルに漬けて気泡の有無を観察したところ、気泡が無く、非常に良好なものであった。その後、この母材が線引されて、外径200μmのイメージファイバが製造された。
このイメージファイバが数mに切り取られ、その数m長さのイメージファイバの一端にハロゲン光が入射され、他端から出射された光の像が顕微鏡で観察されて、着色の有無や素線の配列状態が確認された。その結果、着色や気泡によって黒くならない良好な素線の歩留まりが向上した。また、配列も殆どが最密充填構造をとっており、非常に良好であった。
本実施形態に係るイメージファイバ製造方法のフローチャートである。 本実施形態に係るイメージファイバ製造方法の充填工程S6においてガラスパイプの内部に充填された7本の光ファイバ素線の配置を比較例1,2と対比して示す図である。 素線プリフォーム研削工程S2の前後における素線プリフォームの外径の長手方向分布を示すグラフである。 素線プリフォーム研削工程S2後における素線プリフォームのコア径とクラッド径との比の長手方向分布を示すグラフである。
符号の説明
10…光ファイバ素線、11…コア、12…クラッド。

Claims (3)

  1. クラッド径が一定であってコア径が一定でない複数本の光ファイバ素線を準備する素線準備工程と、
    この素線準備工程において準備された複数本の光ファイバ素線をガラスパイプの内部に充填する充填工程と、
    この充填工程においてガラスパイプの内部に充填された複数本の光ファイバ素線を加熱溶融し一体化してイメージファイバを製造する延伸工程と、
    を備えることを特徴とするイメージファイバ製造方法。
  2. 前記素線準備工程が、
    素線プリフォームの外径が長手方向に不均一となるように該素線プリフォームの外周を研削する素線プリフォーム研削工程と、
    この素線プリフォーム研削工程において研削された素線プリフォームを線引して、クラッド径が長手方向に均一である光ファイバを作製する素線線引工程と、
    この素線線引工程において作製された光ファイバを切断して前記複数本の光ファイバ素線を製造する素線切断工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のイメージファイバ製造方法。
  3. 前記素線準備工程が、前記素線プリフォーム研削工程と前記素線線引工程との間に設けられ、前記素線プリフォーム研削工程において研削された素線プリフォームを加熱溶融し延伸して、該素線プリフォームの外径を長手方向に均一化する素線プリフォーム延伸工程を更に含む、ことを特徴とする請求項2に記載のイメージファイバ製造方法。
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