JP2009300568A - 乳化重合トナー用顔料分散体および乳化重合用トナー - Google Patents

乳化重合トナー用顔料分散体および乳化重合用トナー Download PDF

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Abstract

【課題】顔料分散体製造時に微細で安定な分散体ができ、トナー製造時の歩留まりや粒径制御に優れ、且つ帯電性良好、発色性良好な新規の乳化重合トナー用顔料水分散体を提供する。
【解決手段】乳化重合トナーの製造においてカチオン系活性剤類と顔料表面が塩基性状態である顔料を用いることで微細でシャープな分布を持つ分散体が合成でき、結果として帯電性に優れ、印刷物濃度も高いトナーが得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は乳化重合トナー用顔料分散体に関する。さらに詳しくは乳化重合トナー製造時の
工程安定性(均一で微細なトナー製造)に優れる、帯電性良好な新規乳化重合トナーに関する。
従来より、電子写真方式には多様な方法が知られており、一般的には、静電潜像担持体表面を帯電させて、該帯電させた静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。次いで、静電潜像をトナーで現像し、静電潜像担持体上にトナー像を形成する。また、中間転写体を介して、又は直接的に静電潜像担持体上のトナー像を記録媒体上に転写し、この転写されたトナー像を加熱、加圧又はこれらの併用によって定着することにより、記録媒体上に画像が形成された記録物が得られる。なお、トナー像転写後の静電潜像担持体上に残ったトナーは、ブレード、ブラシ、ローラ等の既知の方法によりクリーニングされる。
近年、電子写真技術の動向として、高画質化、デジタル化、カラー化、高速化が要求されている。例えば、解像度は1200dpi以上の高解像のものが検討されており、この点を実現するため、これまで以上に高精細の画像形成方法が望まれている。静電潜像を可視化するトナー及び現像剤に対しても、高精細画像を形成するため、更なる小粒径化が検討され、実現化されつつある。
一般に、トナーはトナーバインダー中に、顔料、電荷調整剤、その他の添加剤を含有させた着色粒子であり、その種類には、大別して粉砕トナーと重合トナー(ケミカルトナー)がある。粉砕トナーは熱可塑性樹脂等を顔料、電荷調整剤、ワックスなどの離型剤等と共に溶融混練し、冷却後にこの溶融混練物を微粉砕し、これを分級して所望のトナー粒子を製造する方法であるが、通常、その形状は不定型であり、その表面組成は均一でない。使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により、トナー粒子の形状や表面組成は微妙に変化するものの、意図的にこれらを所望の程度に制御することは困難である。また、特に粉砕性の高い材料を用いて前記粉砕法により製造されたトナー粒子の場合、現像機内での種々の剪断力等の機械力等により、さらに微粉化されたり、その形状が変化されたりすることがしばしば起こる。その結果、微粉化されたトナー粒子がキャリア表面へ固着して前記現像剤の帯電劣化が加速されたり、粒度分布が拡大し、微粉化されたトナー粒子が飛散したり、トナー形状の変化に伴い現像性が低下し、画質の劣化が生じたりするという問題が生ずる。
近年では高画質化のためトナーの小径化が進む傾向にある。しかしながら小粒径化が進むにつれて転写性、定着性が低下し、貧弱な画像となってしまう問題がある。特に、中間転写体を用いる画像形成方式では、トナーの転写性が低い場合に、トナー像の一部が転写されず、中抜けや転写チリなどが発生する。更には、カラー画像の場合は、中間転写体上に1色から3色のトナー層が、積層して付着することになるため、転写不良による画像品質の低下は大きい。また、画像のデジタル化に対応するため、画像を形成するドットの均一性が要求されており、ドットを形成するトナーにも均一性が求められている。
また、デジタルフルカラー複写機やプリンタにおいては、色画像原稿をB(ブルー)、R(レッド)、G(グリーン)の各フィルターで色分解した後、オリジナル原稿に対応した20〜70μmのドット径からなる潜像を、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各現像剤を用いて減色混合作用を利用して現像し可視化するが、この場合、従来の白黒機に比べ、多量の現像剤を転写させる必要があること、更に小径のドット径に対応する必要があること、等から均一帯電性、持続性、トナー強度、粒度分布のシャープネスが、益々重要な課題となりつつある。
従って、従来より主に用いられてきた機械的な粉砕方式によって作製された形状が不均一な粉砕トナーよりも、熱気流造粒法、流動造粒法により粉砕トナーに球形処理を施したトナーや、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などによる重合トナー(ケミカルトナー)の球形トナーの方が有利である。
例えば、懸濁重合法によるトナーの調製法は、特開昭62−73276号公報、特開平5−027476号公報などに記載されている。しかし、これらの方法を用いてトナーを調製すると、トナーの粒度分布を制御しようとしても粉砕法の域を出ることはできず、多くの場合はさらなる分級操作を必要とする。また、これらの方法で得たトナーは、その形状がほぼ真球状であるため、感光体等に残留するトナーのクリーニング性が極めて悪く、画質信頼性を損ねるという問題がある。
また、乳化重合法を用いたトナーの調製法は、特開平6−250439号公報、特開平7−146585号公報などに記載されている。この方法はモノマーを重合開始剤を用いて乳化重合法によりサブミクロン樹脂分散液を調製する第1工程、前記樹脂分散液中に、顔料を分散させてなる顔料分散液を添加混合、凝集剤として金属イオンやカチオン系界面活性剤を用いて、前記サブミクロン樹脂粒子に顔料を付着させて付着粒子を形成し、さらに会合・凝集化する第2工程、及び、前記付着粒子をガラス転移点以上に加熱して融合する第3工程を含むことを特徴とするトナーの作製方法で、会合、凝集、融合の工程を有する乳化重合法は、粒度分布が懸濁重合法よりシャープで、小粒子径のトナーの製造に適しているが、その製法に起因するトナー表面に顔料及び電荷調整剤が偏って分布し、帯電性、発色性の点では問題を抱えている。
また、この方法の場合、水系に界面活性剤を用いて顔料を分散させた顔料分散液を予め調製しておく必要があるが、該分散液中の顔料の平均粒径及び粒度分布を制御するのが難しく、所望の特性を有するトナーを容易に製造することができない。該分散液中の顔料の平均粒径を制御するには、該顔料が凝集し、沈降乃至沈殿することなく水系に所望の粒径に分散されており、かつ樹脂粒子と共に凝集粒子を形成する時においても顔料同士が凝集しないような安定な分散液が必要であるが、このような分散液の調製は容易ではない。即ち、分散液中の顔料の平均粒径が大きいと、顔料の沈降乃至沈殿、粗大粒子を核とした顔料同士の凝集、樹脂粒子と共に凝集粒子を形成する時における顔料の遊離、トナー表面への顔料の露出による帯電性の悪化、粗大粒子によるトナーの光透過性の悪化等の種々な問題が生ずる。
特開平7−146585号公報には顔料を例えばベンズアルコニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤で分散する方法が記載されているが顔料分散の詳細は記載されていない。特開平7−261453号公報にはネオゲンR(ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート)を用いて予め顔料を分散させた顔料分散体であるサンファストブルーとの顔料分散液の調整の方法が記載されているが乾燥顔料からの分散の記載はない。
また、特開2003−316079号公報にはポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル類を分散剤として顔料を水に分散させてなる該乳化重合用顔料分散体を用いることで従来、乳化重合トナー製造時の凝集定着工程で顔料が凝集しにくかったり、生成したトナー粒子の形状が不揃いになるなど、顔料の歩留まりや粒径制御が必ずしも十分ではないという問題が解決できるとの記述がある。
特開昭62−73276号公報 特開平5−027476号公報 特開平6−250439号公報 特開平7−146585号公報 特開平7−261453号公報 特開2003−316079号公報
本発明の目的は、顔料分散体製造時に微細で安定な分散体ができ、この分散体を用いて乳化重合を行なうと、トナー製造時の歩留まりや粒径制御に優れ、且つ帯電性良好、発色性良好な新規の乳化重合トナー用顔料水分散体を提供することにある。
しかしながらこのようなトナーを製造するためには、乳化重合トナー用顔料水分散体がより微細で安定な顔料分散体を作成する必要があるが、単に既存の活性剤と既存の顔料の組み合わせだけでは目的を達成できない。
即ち本発明は、カチオン系活性剤類を分散剤として顔料表面が塩基性状態である顔料を水に分散させてなることを特徴とする乳化重合トナー用顔料分散体でカチオン系活性剤類が下記式(1)の構造である乳化重合トナー用顔料分散体に関する。
式(1)
R4−N+ X-
式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジン基、ポリオキシエチレン基及びアルキル基が結合して一体となった環状構造を表す。Xはハロゲン及びCH3COO、ハイドロオキサイド、ハイドロジェンサルフェートを表す。
また本発明は、該顔料が下記式(2)と共存する上記乳化重合トナー用顔料分散体に関する。
式(2) Q−X
式中、Qは有機顔料残基を表す。XはNH2、CH2NH2、CONH2、SO2NH2、CONH(CH2)nNR12、SO2NH(CH2)nNR12を表す。ここでR1,R2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはR1,R2が結合して一体となった環状構造を表し、nは1〜4の整数を表す。
さらに本発明は、分散体の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が50%以下である分散粒度分布を有する上記乳化重合トナー用顔料分散体に関する。
さらに本発明は、トナーの変動係数が50%以下である粒度分布を有する上記乳化重合トナーに関する。
カチオン系活性剤類と顔料表面が塩基性状態である顔料を用いることで安定な分散体(微細で沈降がなく、経時で安定なもの)が得られ、この分散体を用いて乳化重合を行なうと、トナー製造時の歩留まりや粒径制御に優れ、且つ帯電性良好、発色性良好な新トナーを製造できる。
トナー用途に使用される顔料は例えば黄色はC.I.ピグメント イエロー12、C.I.ピグメント イエロー13、C.I.ピグメント イエロー17、C.I.ピグメント イエロー74、C.I.ピグメント イエロー83、C.I.ピグメント イエロー93、C.I.ピグメント イエロー95、C.I.ピグメント イエロー128、C.I.ピグメント イエロー151、C.I.ピグメント イエロー154、C.I.ピグメント イエロー155、C.I.ピグメント イエロー180、C.I.ピグメント イエロー185が挙げられるが、耐候性の面でジスアゾ顔料であるイエロー12、イエロー13、イエロー17、イエロー83は使用の制限を受け、ジャパンカラーの色域の面でイエロー74、 イエロー93、イエロー155、イエロー180、イエロー185が一般的には用いられている。
青色はC.I.ピグメント ブルー15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60が挙げられるが、色相の面で15:3、15:4が用いられている。
赤はC.I.ピグメント レッド5、48:2、48:3、57:1、81、122、146、147、184、238、245、、254、269がC.I.ピグメント バイオレット19が挙げられるが、コスト面では57:1が用いられているが、耐候性、耐水性の面ではR−184、R−122、R269が用いられている。
式(2)の塩基性化合物は顔料化の製造時に添加しても構わないし、別々に製造してドライブレンドやスラリーブレンドの方法で混合しても構わない。本発明のおける式(2)の塩基性化合物の割合は、40〜0.5モル%、好ましくは20〜1モル%、より好ましくは15〜2モル%、である。式(2)の化合物の配合量の下限値は、着色力、流動性、経時安定性により制限を受け、上限値は分散性において制限を受ける。
また、本発明で用いる顔料はロジン処理を施しても構わない。その方法は顔料スラリーをpH9〜14のアルカリ側に調整後、ロジンのアルカリ塩溶液(添加量は顔料に対して3〜10重量%)、顔料スラリーを撹拌し均一化し、塩酸を加えてpH6〜4程度の酸性にして顔料表面にロジンを析出させ、その後70℃まで加熱し、60分保持してから、濾過、水洗し、乾燥機で熱をかけて水分を蒸発させて乾燥させる。
本発明においてロジン酸は、ロジン酸をそのまま用いてもよいし一部加工したものを適性に合わせて使用してもよい。具体例としてはアビエチン酸を主成分とするロジン酸(荒川化学社製商品名白菊ロジン)、不均化したロジン酸(荒川化学社製商品名ロンジスR)、重合したロジン酸(ハーキュレス社製商品名ダイマーレックス、ポリペール、荒川化学社製商品名シルバータック140、シルバータック295)、水添したロジン酸(ハーキュレス社製商品名ステベライト、荒川化学社製ハイペールSH)、マレイン化したロジン酸(荒川化学社製商品名マルキードのシリーズ)、トール油ロジン酸(荒川化学社製商品名アラキード)、ガムロジン酸(米国ロジン、中国ロジン、ポルトガルロジン)等がある。ロジン酸の顔料への処理量は顔料に対して1〜30重量%が好ましく、より好ましくはロジン酸添加による濃度の低下防止や分散性向上のために10〜20重量%である。本発明においてロジン酸による処理は、ロジン酸をナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ塩としてアルカリ領域のジスアゾ顔料のスラリー中に添加し、次いで顔料スラリーをpH6以下の酸性側に調整することでジスアゾ顔料粒子表面にロジン酸を析出させるか、またはカルシウム、バリウム、ストロンチウム、マンガン、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等の金属塩で析出しても良い。
本発明の顔料製造工程において溶剤処理しても構わない。水溶性の溶剤はエタノール、ブタノール、イソブタノール等があり、親油性ではキシレン、トルエンを活性剤例えば東邦化学製のトーホールN220を用いてエマルジョン化して用いることも可能である。溶剤の顔料への処理量は顔料に対して1〜30重量%が好ましく、より好ましくは溶剤添加による濃度の低下防止や分散性向上のために5〜20重量%である。
式(1)で示されるカチオン系界面活性剤の例として、トリメチルアルキルアンモニウムクロライド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロライド、メチルアルキルジエタノールクロライドがあり、アルキル基にはカプリル、オクチル、デシル、ラウリル、ドデシル、ミリスチル、パルミチル、セチル、ステアリル、オレイル、アラキジル、エイコシル、ベヘニル、ドコシル、メチル、エチル、ブチル、ヤシ、牛脂、ベンジルがあり、例示としてはトリメチルヤシアンモニウムクロライド、トリメチルステアリルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、トリメチルベヘニルアンモニウムクロライド、トリメチル牛脂アンモニウムクロライド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロライド、メチルオレイルジエタノールクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、ベンジルジメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンズアルコニウムクロライド、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムバイサルフェート、ラルリルピリジニウム−5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、ラウリルピコリニウム−p−トルエンスルホネート、テトラデシルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルメチルピリジニウムブロマイド)、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、牛脂アンモニウム酢酸塩、牛脂ジアミンジオレイン酸塩、ヤシジアミンジアジピン酸塩がある。またAlkaril Chemical Companyから得られるMIRAPOL 及びALKAQUAT(商品名)、Kao から得られるSANIZOL (ベンズアルコニウムクロライド)等並びにこれらの混合物がある。この界面活性剤は対顔料に対して5〜100%の使用量であり、より好ましくは10%〜67%である。
本発明の方法に選択される樹脂粒子には、一般には、具体例においてスチレンアクリレート、スチレンブタジエン、スチレンメタクリレート又はポリエステルがあり、他の例示としてはポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(パラ−メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メタ−メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(アルファ−メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(パラ−メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メタ−メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(アルファ−メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート−イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート−イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート−イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート−イソプレン)、三元共重合体例えばポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、グッドイヤー市販のPLIOTONE(商品名)、ポリエチレン−テレフタレート、ポリプロピレン−テレフタレート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリペンチレン−テレフタレート、ポリヘキサレン−テレフタレート、ポリヘプタレン−テレフタレート、ポリオクタレン−テレフタレート、POLYLITE〔商品名;ライクホールド(Reichhold) ・ケミカル社〕、PLASTHALL(商品名;ローム・アンド・ハース社〕、CYGAL(商品名;アメリカン・サイナミド)、ARMCO(商品名;アラムコ・コンポジット社)、ARPOL(商品名;アシュランド・ケミカル社)、CELANEX(商品名;セラネース・イング社)、RYNITE(商品名;デュポン社)及びSTYPOL(商品名)がある。
樹脂粒子の有効量はトナー中の約85〜約98重量%で存在し、またトナーの粒径は5〜15μmの平均粒径のものができる。
乳化重合で用いるモノマーにはスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、テレフタル酸、エチレングリコール、ブチルアクリレート等がある。また乳化重合で用いる重合開始剤には水溶性開始剤として過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムや過酸化水素が上げられる。
本発明において顔料分散体の一般的な作成方法は塩基性処理顔料20部、カチオン系界面活性剤としてトリメチルステアリルアンモニウムクロライドを5部、イオン交換水75部用いてペイントコンディショナーで3時間分散させて分散粒径150nm以下の分散体を作成する。尚、この段階で電荷調整剤を添加しても構わない。
本発明において分散粒子径およびトナーの変動係数は(標準偏差/平均粒径)でこの値が小さい程整粒が進んでいると判断できる。例えば分散粒子径が100nmで標準偏差が30nmの場合は変動係数は30%である。また微細化が進行して分散粒子径が60nmになって標準偏差が15nmの場合は25%であるが、しかしながら微細化が進行して平均粒子径が30nmになっても標準偏差が変化なく15nmの場合は変動係数は50%でなってしまう。従って、本発明において変動係数は50%以下が好ましいがより好ましくは40%以下である。
ラテックスの作成方法はスチレン30部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸1部、アニオン系界面活性剤であるナトリウムドデシルベンゼンスルホネート1.2部、開始剤である過硫酸アンモニウム0.3部、イオン交換水61.5部を一緒に混合した。次にこのエマルジョンを80℃、5時間加熱して重合させた。この分子量はMw=20000及びMn=6000であった。
トナーの作成法は上記作成ラテックス100部と顔料分散体8部を混合した。この混合液をホモジナイザーで回転数500rpm、45℃に保持して2時間攪拌した。得られたトナーは平均粒径5μmのものが得られた。さらにこの着色樹脂粒子に電荷調整剤、シリカ処理等を添加してトナーを作成する。
[実施例]
顔料表面が塩基性状態である顔料の製造方法として下記の方法がある。以下、実施顔料および比較顔料を詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。尚、「部」および「%」は「重量部」および「重量%」を表す。
塩基性処理顔料―1
水1000部に2−メトキシ−4−ニトロ−アニリン168部と35%塩酸261部を加えた。この溶液を0℃に冷却後20%亜硝酸ソーダ溶液を350部加え、1時間撹拌してジアゾ化反応を完結させ、総液量2500部のジアゾ溶液を作成した。一方、水1000部にアセトアセトオルソアニシリド196.7部と25%苛性ソーダ410部を加えて溶解した。この溶液を14%酢酸1200部に少しずつ加え懸濁液を得た。これに以下の化合物(3)の26%水溶液65.6部を加え、総液量2500部の懸濁液を得た。
化合物(3)
Figure 2009300568
この懸濁液に前記ジアゾ溶液を約40分要して加えた。この間の反応温度は約40℃に保持した。得られたジアゾ顔料のスラリーを90℃まで加熱し、60分保持してから、濾過、水洗、乾燥機で90℃、24時間熱処理を行なって、乾燥顔料を得た。ラボ用小型粉砕機で粉砕してモノアゾ顔料を得た。この顔料の平均粒径は50nmであった。
比較顔料−1
アセトアセトオルソアニシリド207部、化合物(1)の26%水溶液0部に代えた以外は製造例1に従ってモノアゾ顔料を得た。この顔料の平均粒径は250nmであった。
塩基性処理顔料―2
粗製銅フタロシアニン90部とCuPC−SO2NH(CH23N(CH2CH32
10部、塩化ナトリウム600部、およびジエチレングリコール100部を井上製作所製ラボ3Lニーダー中で、内容物の温度を100〜110度に保って6時間湿式摩砕した。内容物を取り出し後、水3000部で塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを加熱70℃、60分攪拌して溶解させた。このスラリーを濾過、水洗して不純物を精製後、乾燥機で90℃、24時間熱処理を行なって、乾燥顔料を得た。ラボ用小型粉砕機で粉砕して平均粒子径80nmの顔料を95部得た。(ここでCuPCは銅フタロシアニン残基を表す)
比較顔料−2
「粗製銅フタロシアニン90部とCuPC−SO2NH(CH23N(CH2CH3210部」を、粗製銅フタロシアニン100部に代えた以外は製造例2に従ってフタロシアニン顔料を得た。この顔料の平均粒径は90nmであった。
塩基性処理顔料1、2と比較顔料1、2の顔料について、顔料20部、各種カチオン系界面活性剤として5部、イオン交換水75部用いてペイントコンディショナーで3時間分散させて分散粒径150nm以下の分散体を作成した。
Figure 2009300568
分散体粘度は東機産業株式会社製のBM型粘度計を用いて60rpmの粘度を測定した(単位はmPa・s)。分散体の粒度測定は日機装株式会社製のナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて測定し、そのデーターから変動係数を算出した。分散体の経時安定性は、50℃、1週間経時促進して粘度変化、粒度変化から判断した。
トナーの変動係数は透過型電子顕微鏡で観察し、粒子径を目で観察すると同時に、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMacview Ver.3(マウンテック社製)で一次粒子粒度分布解析を行い、平均粒径、変動係数を算出した。
トナーの評価はキャノン社製のレーザープリンターを用いて印字を行い、印字物の濃度をグレタック社製のマクベス反射率濃度計を用いて測定した。実施例1〜3は比較例1と、実施例4〜6および比較例3は比較例2と反射率濃度値を比較して相対濃度で表示した。
帯電性は得られたトナー3gを、シリコーンコートフェライトキャリア(FL93−100、ハウダーテック社製)97gと混合し、ボールミルにより、1分間及び10分間攪拌し、それぞれの帯電量をq/mメーター(エピング社製)を用い測定し、相対評価した。
Figure 2009300568
カチオン系活性剤類を分散剤として顔料表面が塩基性状態である顔料を用いて分散剤を製造すると、微細で粒度分布がシャープで且つ安定な分散剤が得られ、これを用いて乳化重合を行なうと粒度分布がシャープなトナーが得られ且つ電荷調整剤及び顔料がトナー中に均一に分散することにより、帯電性に優れ、印刷物濃度も高いトナーが得られた。

Claims (5)

  1. カチオン系活性剤類を分散剤として顔料表面が塩基性状態である顔料を水に分散させてなることを特徴とする乳化重合トナー用顔料分散体。
  2. カチオン系活性剤類が下記式(1)の構造であることを特徴とする請求項1記載の乳化重合トナー用顔料分散体。
    式(1)
    R4−N+ X-
    式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジン基、ポリオキシエチレン基及びアルキル基が結合して一体となった環状構造を表す。Xはハロゲン及びCH3COO、ハイドロオキサイド、ハイドロジェンサルフェートを表す。
  3. 顔料が下記式(2)と共存することを特徴とする請求項1記載の乳化重合トナー用顔料分散体。
    式(2) Q−X
    式中、Qは有機顔料残基を表す。XはNH2、CH2NH2、CONH2、SO2NH2、CONH(CH2)nNR12、SO2NH(CH2)nNR12を表す。ここでR1,R2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはR1,R2が結合して一体となった環状構造を表し、nは1〜4の整数を表す。
  4. 分散体の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が50%以下である分散粒度分布を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の乳化重合トナー用顔料分散体。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の顔料分散体を用いて得られるトナーの変動係数が50%以下である粒度分布を有する乳化重合トナー。


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