JP2009300299A - 反応チップ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応チップ1に処理を施し、流路7を閉塞することで複数の反応室6同士を独立させる反応チップ処理装置において、反応チップ1の下面から流路7を閉塞する箇所を押圧する押圧刃部15と、反応チップ1の上面側から該上面全体に接触するとともに反応室7に対応する箇所に貫通孔21aを備えた接触板21aと、押圧刃部15と接触板21とを加熱する第一加熱部16と第二加熱部22とを備える。
【選択図】図3
Description
また、特許文献2には、ローラー状の冶具によって反応チップを押圧することで流路を閉塞して反応室を独立させるものが提案されている。
さらに、特許文献3には、流路を閉状態、開状態に保持可能な弁体に、流路内での往復運動可能なソレノイドを付設し、微小電力にて流路の開閉を可能として、流体の移動の阻止及び流通を行う手法が提案されている。
また、特許文献3のように弁体を用いた場合、機構が必要以上に複雑となってしまい、生産性の低下及びコストの増加を招くという問題があった。
さらに、反応チップに上記処理を施す際には、反応室内の薬品等を劣化させずして処理を施す必要がある。
即ち、本発明に係る反応チップ処理装置は、一対の基板から構成されるとともに複数の反応室と該複数の反応室間を互いに連通される流路とを備えた反応チップに処理を施し、前記流路を閉塞することで前記複数の反応室同士を独立させる反応チップ処理装置において、前記反応チップの一面側から前記流路を閉塞する箇所を押圧する押圧刃部と、前記反応チップの他面側から該他面全体に接触するとともに、前記反応室に対応する箇所に連通孔を備えた接触板と、前記押圧刃部と前記接触板とをそれぞれ加熱する加熱部とを備えたことを特徴としている。
また、反応チップの他面には加熱部により加熱された接触板が接触するため、押圧刃部を必要以上に加熱しなくとも反応チップを塑性変形し易くすることができ、押圧刃部の温度を比較的小さくして処理を施すことが可能となる。さらに、接触板には反応室に対応する箇所に連通孔が形成されていることから反応室を直接的に加熱してしまうことはない。したがって、熱による薬品の劣化を防止することができる。
これにより、反応チップを安定状態に置いたまま流路の閉塞処理を施すことができるため、より確実に作業を行うことが可能となる。
また、本発明に係る反応チップ処理装置においては、前記押圧刃部が、金属、セラミック、ガラスのいずれかから形成されていることを特徴としている。
さらにまた、本発明に係る反応チップ処理装置においては、前記加熱部が、セラミックヒーター、電熱線、ぺルチェ素子のいずれかであることを特徴としている。
刃部先端が丸みを帯びていることから、反応チップに損傷を与えることなく、流路を的確に閉塞することが可能となる。
押圧刃部を角錐台状又は円錐台状に形成することで、刃部先端の反応チップへの接触面積が小さくなり、押圧刃部の押圧力に対して反応チップに及ぼす圧力を高くすることができる一方、刃部先端が平坦状であることから、反応チップに損傷を及ぼすことなく、流路の閉塞処理を施すことが可能となる。
これにより、反応チップに損傷を与えることなく、確実に流路を閉塞することが可能となる。
したがって、薬品等を劣化させることなく簡易な手法でもって反応チップ内の流路を閉塞することができ、容易かつ確実に反応室同士を独立させることが可能となる。
図1は本発明の実施の形態に係る反応チップ処理装置の概略正面図、図2は反応チップ処理装置の処理対象となる反応チップを構成する(a)第一基板及び(b)第二基板を示す図、図3は反応処理装置の要部を示す分解斜視図、図4は押圧刃部の具体例を示す図である。
金属としては、アルミニウム、鉄、銅やその合金(例えば、ステンレス)を採用することができる。また、合成樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなど、またシリコン系材料、ポリ4フッ化エチレン等のフッ素系材料を採用することができる。
なお、流路7を構成する溝部5に接着層や粘着層が設けられていると、流路閉塞処理時に塑性変形部が密封され、反応室6を完全に独立させることが可能である。
また、第一基板2及び第二基板3の材料が検出反応に対して阻害性を持つ場合、試薬類の流動性の改善、反応チップ1の組立に関する要請などに対応するため、材料にコート層、シーラント層、接着層など各種の層の形成や追加、表面改質等必要な加工、構成の追加等を適宜行うことで、所望の反応チップ1を作成することができる。
そして、流路7を介してこれら物質等と反応する試薬を流入させて反応を行う。また、この際、反応室6間で薬品等が混合するのを防ぐために反応室6同士を独立させることが必要であり、そのため反応チップ処理装置10によって流路7の閉塞処理が行われる。以下、反応チップ処理装置10の構成について説明する。
この刃部台14は金属等の熱伝導性の高い材質で形成されており、第一加熱部(加熱部)16が接続されていることにより、刃部台14自体が高温に熱せられるようになっている。
押圧刃部15を金属で形成する場合、熱伝導性が高いことから加熱時間を短くすることができ、さらに、切削加工によって高精度な形状を製作することが可能であるというメリットがある。
一方、押圧刃部15をセラミックやガラスで形成する場合は、放熱による温度ムラが少なく温度を安定させることができるため、反応チップ1の材質に合わせて適宜温度を調節することが容易となる。
また、これら金属、ガラス、セラミックは総じて耐熱温度が高く、加熱温度による軟化や劣化が少ないという特徴を持つ。
また、図4(b)に示すように、刃部先端15aが平坦状をなすとともに、その側面が該刃部先端15aに向かってテーパ状に形成された角錐台または円錐台形状のものであってもよい。これによって、刃部先端15aの反応チップ1への接触面積が小さくなるため、押圧刃部15の押圧力に対して反応チップ1に及ぼす圧力を高くすることが可能となり、荷重を効率的に伝達することが可能となる。また、この場合、押圧刃部15の刃部先端15aの縁部にR0.2mm以上の丸みを持たせてもよい。これにより、流路の閉塞処理時に角錐台または円錐台形状の角部で反応チップ1に損傷を与えるのを防ぐことができる
なお、この貫通孔13aは、本実施形態においては、3mm×5mmの長方形状に形成されているが、円形状や多角形状等のいかなる形状であってもよく、また、反応チップ1の反応室6及び流路7に対応する箇所の全てが貫通されて形成されたものであってもよい。
第一加熱部16として、セラミックヒーターや電熱線を用いた場合には、加熱時間が短く、かつ、加熱可能温度が高いため反応チップ1のシーラント層や溶融層が数百度になる場合でも対応でき、短時間で刃部先端15aを所定の温度にすることができる。また、これらセラミックヒーター及び電熱線は市販品として豊富な種類があるため、設定条件に合わせて性能の選択が可能であり、装置の設計時に反応チップ1に用いられている材料にあわせた設計が可能なうえ、後々の仕様変更などにも比較的容易に対応することが可能となる。
一方、第一加熱部16としてペルチェ素子を用いた場合には、温度制御が容易で、熱暴走などの事故や危険度を減らすことができる。
また、これらセラミックヒーター、電熱線及びペルチェ素子は総じて比較的安価に温度調整が可能で、小型であり、装置や冶具に組み込みやすいという特徴を持つ。
また、この接触機構20は、その上方にハンドル23及び該ハンドル23に接続されて鉛直方向に延びるボールねじ機構24が設けられており、該ボールねじ機構24の下端が第二加熱部22及び接触板21に接続されている。
即ち、この接触機構20においては、ハンドル23を例えば手動で回転させることによりボールねじ機構24がその回転を鉛直方向の移動に変換し、これにより、接触板21及び第二加熱部22が上下に移動可能となるように構成されている。
また、接触板21には、反応チップ1の反応室6に対応する箇所に連通孔21aがそれぞれ形成されており、第二加熱部22は、その形状が略平板状をなす点以外は、上記第一加熱部16と同様の部材から構成されている。
まず、第一基板2の凹部に薬品等を充填して、その後、第二基板3を貼り合わせることで、反応室6に予め薬品等が配設された状態の反応チップ1を準備する。
また、反応室6の容量は数μlから数十μlが望ましく、該反応室6で行われる反応は化学反応でも生化学反応でもよく、反応物質の固定方法も乾燥固定、表面処理による固定、水溶性のマイクロカプセルと共に接着する、この他に反応物質である薬品等をワックスなどで覆って固定することなど、適宜選択することができる。
すると、固定状態の複数の押圧刃部15のそれぞれが、チップ受け13の貫通孔13aを介して反応チップ1の下面に接触して反応チップ1の第一基板2を押圧力で変形させることにより、第一基板2の溝部5の底部と第二基盤3とを接触させて隙間を埋めることにより流路7を閉塞させる。
さらに、反応チップ1内部に樹脂層や接着層等が設けられている場合には、これらが熱で溶融することで、より確実に流路の閉塞することができる。
従って、このような接触板21からの熱の寄与により、押圧刃部15を必要以上に加熱しなくとも反応チップ1を塑性変形し易くすることができるため、押圧刃部15の加熱温度を比較的小さくした状態でも十分な閉塞処理を施すことができる。
さらに、接触板21には反応チップ1の反応室6に対応する箇所に連通孔21aが形成されていることから反応室6が接触板21によって直接的に加熱されることはない。従って、反応室6に配設された薬品等の熱による劣化を防止しながら、確実な流路7の閉塞処理を施すことが可能となる。
この点、本実施形態の反応チップ処理装置10においては、ハンドル23を回転させて接触板21を反応チップ1から離間させると、バネ部材13bの反発力によって容易に刃部先端15aを反応チップ1から離間させることができるが、例えば、刃部先端15aが所定時間のみ反応チップ1に接触するように自動制御化したものであってもよい。この際、温度及び押圧力も同時に制御可能なことが望ましい。
したがって、薬品等を劣化させることなく簡易な手法でもって反応チップ1内の流路を閉塞することができ、容易かつ確実に反応室6同士を独立させることが可能となる。
例えば、ハンドル23は手動で回転させる構成でなくとも、同様の機能を有する自動的な機構、例えば、モーターをギアユニットを用いてボールネジを回し、より強い圧力で反応チップ1に接触するものであっても良い。上記のように自動化を行うことで、均一な封止を実現することが可能となるため、自動化することが好ましい。
(1)実施例1の反応チップ
厚さ70μmポリプロピレン(PP)製のシーラント層を設けた厚さ0.1mmのアルミ製の第一基板に、PP製の厚さ2mmの第二基板を用いた反応チップ
(2)実施例2の反応チップ
厚さ70μmポリプロピレン(PP)製のシーラント層を設けた厚さ0.1mmのアルミ製の第一基板に、厚さ70μmのPP製シーラント層を設けた、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製の第二基板を用いた反応チップ。
(3)予備試験用の反応チップ
厚さ70μmポリプロピレン(PP)製のシーラント層を設けた厚さ0.1mmのアルミ製の第一基板に、厚さ70μmのPP製シーラント層を設けた、厚さ200μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製の第二基板を用いた反応チップ。
よって、閉塞箇所及び反応室の温度は、第二基板の材質及び厚さに依存するものではなく、例えば、(1)の実施例1の反応チップと(2)の実施例2の反応チップとは、同等に評価できることわかった。
なお、両者とも上記条件により、流路は確実に閉塞された。
また、(2)の実施例2の反応チップにおいては、閉塞箇所の温度は実施例1と同様141℃だが、反応室の温度67℃と低く抑えられた。
さらに、予備試験の結果からは、第二基板の厚さを薄くしても温度特性は変化しないことが証明されため、材料の削減及び加工の省力化を行える可能性が示唆された。
2 第一基板
3 第二基板
4 凹部
5 溝部
6 反応室
7 流路
10 反応チップ処理装置
11 基台
12 支持フレーム
13 チップ受け
13a 貫通孔
13b バネ部材
14 刃部台
15 押圧刃部
15a 刃部先端
16 第一加熱部
20 接触機構
21 接触板
21a 連通孔
22 第二加熱部
23 ハンドル
24 ボールねじ機構
Claims (8)
- 一対の基板から構成されるとともに複数の反応室と該複数の反応室間を互いに連通される流路とを備えた反応チップに処理を施し、前記流路を閉塞することで前記複数の反応室同士を独立させる反応チップ処理装置において、
前記反応チップの一面側から前記流路を閉塞する箇所を押圧する押圧刃部と、
前記反応チップの他面側から該他面全体に接触するとともに、前記反応室に対応する箇所に連通孔を備えた接触板と、
前記押圧刃部と前記接触板とをそれぞれ加熱する加熱部とを備えたことを特徴とする反応チップ処理装置。 - 前記チップの一面が載置されるチップ受けが設けられ、
該チップ受けには、前記流路を閉塞する箇所に対応する箇所に貫通孔が形成され、
前記押圧刃部が前記貫通孔を介して前記チップの一面を押圧することを特徴とする請求項1に記載の反応チップ処理装置。 - 前記接触板が、ジュラルミンから形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応チップ処理装置。
- 前記押圧刃部が、金属、セラミック、ガラスのいずれかから形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の反応チップ処理装置。
- 前記加熱部が、セラミックヒーター、電熱線、ぺルチェ素子のいずれかであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の反応チップ処理装置。
- 前記押圧刃部における前記反応チップの一面と接触する刃部先端が、R0.2mm以上の円弧面状をなしていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の反応チップ処理装置。
- 前記押圧刃部は、前記反応チップの一面と接触する刃部先端が平坦状をなす角錐台状又は円錐台状に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の反応チップ処理装置。
- 前記刃部先端の縁部が、R0.2mm以上の丸みを帯びていることを特徴とする請求項7に記載の反応チップ処理装置。
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