JP2009299016A - ポリプロピレン系中空発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(i)〜(vi)に規定する要件を満たすプロピレン系重合体(X)と発泡剤(F)とからなるプロピレン系樹脂組成物を、ブロー成形してなるポリプロピレン系中空発泡成形体など。
(i)MFRが0.1〜20g/10分である。
(ii)重量平均分子量と数平均分子量の比(Q値)が3.5〜10.5である。
(iii)分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iv)昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(v)アイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
(vi)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が6.0以上である。
【選択図】なし
Description
しかし、従来のポリプロピレンは、発泡状態のパリソンを型内で加圧空気によりブローすると、溶融張力が小さいため、発泡状態の気泡が押しつぶされてしまい、十分な発泡状態の中空成形品を得ることは困難である。
しかしながら、上記に提案されている種々の組成物やそれらの製造方法においては、ポリプロピレンの溶融張力のある程度の向上は認められるものの、特殊な改質工程を経ているため、経済性が悪く、結晶化が早いために、溶融延展性や溶融流動性の変化が激しく、架橋助剤による臭気の残留などから、食品用途へ用いることが困難である。
このため、均一微細な気泡径を得ることが難しく、成形品の外観も、悪化しやすいという欠点を有している上、樹脂自体に架橋反応が起こっているため、得られる成形体に、ブツが発生し、成形不良品が発生しやすいという欠点を有している。また、再び溶融混練りすると、ゲルが多量に発生し、そのリサイクル使用は、困難であるという欠点を持っている。
しかし、上記の方法では、特別な金型や工程が複雑に成るなどの問題が見られる。このように、従来技術においては、通常のブロー成形方法で発泡状態の良好なポリプロピレン系中空発泡成形体を生産することは、困難である。
(i)メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分である。
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Q値)が3.5〜10.5である。
(iii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iv)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(v)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
(vi)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が6.0以上である。
(vii) (ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、プロピレン系重合体(X)は、さらに、下記要件(viii)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体が提供される。
(viii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、平均気泡径が500μm以下であることを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、連続気泡率が30%以下であることを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機充填剤50重量部以下を含有することを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体が提供される。
(1)上記のいずれかの発明において、プロピレン系重合体(X)は、さらに、下記要件(ix)及び/又は(x)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体。
(ix) (MT230℃) ≧ 5g
[式中、MT230℃は、メルトテンションテスターを用いて、キャピラリー:直径2.1mm、シリンダー径:9.6mm、シリンダー押出速度:10mm/分、巻き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で測定したときの溶融張力を表す。]
(x) (MaxDraw) ≧ 10m/分
[式中、MaxDraw(最高巻き取り速度)は、上記溶融張力の測定において、巻き取り速度を上げていったときの樹脂が破断する直前の巻き取り速度を表す。]
(2)第1の発明において、前記プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体(X)100重量部に対し、発泡剤(F)0.05〜20重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体。
(3)第1または上記(2)の発明において、前記プロピレン系樹脂組成物は、発泡剤(F)に加えて、さらに、プロピレン系重合体(X)100重量部に対して、気泡調節剤を0.01〜5重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体。
(4)第1の発明において、ダイレクトブロー成形方法によって得られることを特徴とするポリプロピレン系中空発泡成形体。
(i)メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分である。
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Q値)が3.5〜10.5である。
(iii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iv)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(v)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
(vi)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が6.0以上である。
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
(viii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。
[式中、MT230℃は、メルトテンションテスターを用いて、キャピラリー:直径2.1mm、シリンダー径:9.6mm、シリンダー押出速度:10mm/分、巻き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で測定したときの溶融張力を表す。]
(x) (MaxDraw) ≧ 10m/分
[式中、MaxDraw(最高巻き取り速度)は、上記溶融張力の測定において、巻き取り速度を上げていったときの樹脂が破断する直前の巻き取り速度を表す。]
1.プロピレン系重合体(X)
本発明のポリプロピレン系中空発泡成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成するプロピレン系重合体(X)は、上記(i)〜(vi)、またはそれらに加えてさらに、(vii)及び(viii)、或いはそれらに加えてさらに、(ix)及び/又は(x)の特性・性状を有する。
以下、項目毎に、順次説明する。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、溶融流動性や溶融張力を制御した、物性と溶融加工性のバランスに優れた長鎖分岐型のプロピレン系重合体である。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、上記長鎖分岐が導入されることにより、溶融物性が格段に向上していると、考察されている。
一般的には、分岐構造や分岐数の検出、定量には、13C−NMRが用いられる。また、分岐数や分岐分布の検出、定量には、13C−NMRやGPC−vis、GPC−mallsが用いられる。
しかしながら、上記手法では、長時間の測定が必要であったり、定量限界が存在したりする。現時点においては、分岐を評価する方法としては、レオロジー的な方法が最も感度が高いと考えられている。例えば、線形粘弾性測定における流動の活性化エネルギーや、伸長粘度測定における歪硬化度を測定することが、微量の分岐を検出する方法としては現段階では一般的に用いられる。
分岐構造に関しては、長鎖分岐ができる機構、メカニズムを考慮して、本発明者らは、下記のように推察している。
βメチル脱離反応で停止した末端のプロペニル構造を下記に示す(参照文献:Macromol. Rapid Commun. 2000,21,1103―1107)。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、下記構造式(2)に示すような特定の分岐構造を有する。
構造式(2)において、Ca、Cb、Ccは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P1、P2、P3は、プロピレン系重合体残基を示す。
P1、P2、P3は、それ自体の中に、構造式(2)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
分岐数は、上記の13C−NMRによる帰属を利用して、31.5〜31.7ppmに観測される分岐炭素(Cbr)の全骨格形成炭素1000個あたり個数を分岐数(密度)とする。但し、全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。
一方、分岐の量が多すぎると、ゲルが生成して成形品の外観を損ねるという懸念がある。さらに、成形時に高速で延伸した場合に、溶融体が破断を起こすという、いわゆる溶融延展性の悪化を引き起こすという問題がある。したがって、分岐数は、上限としては0.4個以下、好ましくは0.2個以下である。また下限としては0.01個以上である。
現在の高磁場NMRの13C−NMRを用いた場合でも、非常に長時間の測定を行わないと0.1個程度の少量では定量が困難である。分岐が少量の場合には、これに替えて、より感度の高いレオロジー的手法で分岐の評価をおこなった。その結果、得られる歪硬化度(λmax)が6.0以上と規定する。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)の分岐鎖長は、骨格炭素数500(ポリプロピレン分子量換算:1.1万)以上であり、好ましくは骨格炭素数1000(ポリプロピレン分子量換算:2.1万)以上であり、更に好ましくは骨格炭素数2000(ポリプロピレン分子量換算:4.2万)以上である。
ここでいうポリプロピレン分子量換算値は、厳密にはGPCで測定される分子量値とは異なるものであるが、GPCで測定される数平均分子量(Mn)に近似している。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)の分岐長は、GPCで測定される数平均分子量(Mn)で1.1万以上、好ましくは2.1万以上、さらに好ましくは4.2万以上と、置き換えられる。
例えば、本発明に係るプロピレン系重合体(X)では、[A−1]由来の活性種から生成するマクロマーの分子量は、数平均分子量で5万の場合、組み込まれた分岐鎖の平均分子量が5万あり、骨格炭素に換算すると2400個と、解釈される。
上記[A−1]由来の活性種から生成するマクロマーの数平均分子量は、GPCにおいて[A−1]由来の部分のピークトップ、または[A−1]単独で重合を行った場合の分子量から推定できる。
触媒成分[A−2]由来の分子量成分は、[A−1]由来の分子量成分とくらべて、より高分子量であるので、分岐分布としては、高分子量側([A−2]由来側)にも、分岐が導入された分布形態になっていると、考察している。
また、[A−1]由来の分子量成分には、[A−1]自身でマクロマーを取り込んで、できた分岐構造も存在する。
上記[A−1]由来、[A−2]由来の分子量分布の一例を、図3に示す。
しかしながら、この開示されたプロピレン単独重合体の伸長粘度の測定のおける歪硬化度は6.0未満であり、本発明に係るプロピレン系重合体(X)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が6.0以上と比べても、改良効果は十分ではない。これは単一の錯体で製造するため、望ましい分岐成分が十分に導入されていないためであり、分岐が単純に平均的に多くても、溶融物性改良の効果が小さいことを意味している。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、分岐数(平均値)が従来の分岐型重合体に比べて必ずしも多くはないが、複数の錯体を組み合わせることで、分岐を高分子量側にも導入することにより、溶融物性が顕著に改良されたものである。
側鎖の立体規則性は、[A−1]単独による重合体の立体規則性と等しいと考えられる。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、溶融流動性や溶融張力を制御した、物性と溶融加工性のバランスに優れている。プロピレン系重合体(X)の物性について、説明する。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、温度230℃、2.16Kg荷重で測定するメルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/10分であることを必要とする。
プロピレン系重合体(X)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜20g/10分であり、MFRが0.1g/10分未満では、流動性が低下する上に、剛性も低下する。一方、MFRが20g/10分を超えると、溶融加工性が低下する。また、この範囲の中でも、好ましくは0.5〜15g/10分、更に好ましくは1〜10g/10分、特に好ましくは2〜5g/10分である。
尚、メルトフローレート(MFR)は、JIS K6921−2の「プラスチック−ポリプロピレン(PP)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準拠して、試験条件:230℃、荷重2.16kgfで測定した値である。
プロピレン系重合体(X)のメルトフローレート(MFR)は、プロピレン系重合体(X)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mn(Q値)が、3.5〜10.5の範囲であることが必要である。
Q値は、分子量分布の広がりを表す指標であり、この値が大きいほど、分子量分布が広いことを意味する。Q値が小さすぎると、分布が狭い為に、溶融流動性と加工性のバランスが悪くなる。したがって、Q値は3.5以上が必要であり、好ましくは4.0以上である。更に好ましくは4.5以上である。一方、Q値が大きすぎると、必要としない(低)分子量成分の量が増えて、満足する物性のものが得られない。したがって、Q値は10.5以下が必要であり、好ましくは8.0未満であり、更に好ましくは7.5未満である。
プロピレン系重合体(X)のGPCで測定する平均分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)は、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、または、最も一般的な手法としては水素等の連鎖移動剤をプロピレン重合時に添加する方法により容易に調整を行なうことができる。さらに、使用するメタロセン錯体の種類、錯体を2種以上使用する場合はその量比を変えることで制御することが出来る。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。ここで、α/βは、分子量分布の広がりの高分子量側への偏りを表す指標である。
分子量分布の広がり方に関しては、GPCによって得られる分子量分布曲線で示される。即ち、分子量(MW)の常用対数を横軸として、縦軸に、当該MWに相当する分子の相対微分質量をプロットしたグラフが作成される。
なお、ここにいう分子量(MW)とは、プロピレン単独重合体を構成する個々の分子の分子量であって、プロピレン単独重合体の重量平均分子量(Mw)とは、異なるものである。図1は、分子量分布曲線の一例を示す図である。作成したグラフからαおよびβが求められる。本発明においては、上記のように、α/βが0.9より大きく、2.0未満であることが望ましい。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)であるプロピレン単独重合体の分子量分布は、単一活性点で均一な重合をした重合体の分子量分布と比べて、より高分子量側に一層広がっていることを意味している。
α/βが0.9以下であると、相対的に高分子量成分の量が足りないため、溶融張力やスウェル比が小さくなり、成形性が悪化してしまう。例えば、押出発泡成形を行う場合、初期気泡のできる段階においては、粘度の低い方が気泡の核が多くできるため、粘度の低い成分が多い方がよい。他方、気泡のセルができて薄くなった状態では、その部分に強度がないと破泡してしまうため、分子量の高い成分が必要となる。このような事情を満足させるためには、低分子量側よりも高分子量側において、より一層広がっていることが重要である。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、α/βが0.9より大きいことが望ましく、好ましくは1.0以上であり、更に好ましくは1.1以上である。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、α/βが2.0未満であることが望ましく、好ましくは1.7未満であり、更に好ましくは1.6未満である。
なお、分子量分布曲線において、ピークが2つ以上現れることがある。その場合は、最大ピークを本発明のピークと置き換えることができる。また、H50が2つ以上現れる場合は、一番高分子量側の分子量で置き換えることができる。同様に、L50が2つ以上現れる場合は、一番低分子量側の分子量で置き換えることができる。
プロピレン系重合体(X)のGPCによる分子量分布曲線から得られる分子量分布の広がりの高分子量側への偏りは、2種使用するメタロセン錯体の一方として高分子量のポリマーが製造可能なものを選択したうえで、重合時に添加する水素添加量の制御により容易に調整を行なうことができる。また、使用する2種のメタロセン錯体の量比を変えることでも調整することができる。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、GPCによって得られる分子量分布曲線において、重合体全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率(W(200万以上))が0.4重量%以上、10重量%未満である。
上記200万以上の比率(W(200万以上))は、重合体中に含まれる非常に高い分子量成分の比率を示す指標である。
上記非常に高い分子量成分の比率であるW(200万以上)は、GPCによって得られる積分分子量分布曲線(全量を1に規格化)において、分子量(M)が200万(Log(M)=6.3)以下までの積分値を、1から減じた値として定義する。積分分子量分布曲線の一例を同じく図1に示す。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、望ましくは、W(200万以上)が0.4重量%以上である必要があり、好ましくは1.0重量%以上であり、更に好ましくは2.0重量%以上である。
しかしながら、この成分の比率が高すぎると、流動性を悪化させてしまう。のみならず、非常に分子量の高い成分であるために、ゲルが生成してしまい、成形品の外観を損ねるという問題が生じる。また、この成分の比率が高すぎると、ブロー成形時に引き伸ばされた場合に、溶融体が破断を起こすという、いわゆる溶融延展性の悪化を引き起こす。
そこで、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、望ましくは、W(200万以上)が10重量%未満である必要があり、好ましくは6.0重量%未満、更に好ましくは5.0重量%未満である。
プロピレン系重合体(X)のGPCによる分子量分布曲線における分子量(M)が200万以上の成分の比率は、使用するメタロセン錯体として高分子量のポリマーが製造可能なものを選択したうえで、低分子量側を製造するメタロセン錯体に対する量比、プロピレン重合時に添加する水素量や重合温度の制御により容易に調整を行なうことができる。
これまでにMFR、Q値、α/βおよび分子量(M)が200万以上の成分の比率等のプロピレン系重合体の分子量に関する調整方法について説明してきた。例えば、共通する制御法として水素量の制御を挙げることができる。水素量を増やすとプロピレン系重合体のMFRは上がり、Q値、α/β、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下する傾向を示す。
一方、重合温度を上げる、モノマー分圧を下げる方法でもMFRを上げることが可能であり、その場合には、分子量(M)が200万以上の成分の比率は低下するが、Q値とα/βはあまり影響を受けない。また、MFRに対する分子量(M)が200万以上の成分の比率は、高分子量側を生成するメタロセン錯体の量や種類を変えることで制御することがすることが出来る。この様に、使用する触媒や重合条件を変化させることでこれら規定の制御が可能である。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図2のように行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、昇温溶出分別(TREF)測定によって得られる溶出曲線において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
40℃以下の温度で溶出する成分は、低結晶性成分であり、この成分の量が多いと、製品全体の結晶性が低下し、製品の剛性といった機械的強度が低下してしまう。
したがって、この量が3.0重量%以下である必要があり、好ましくは2.0重量%以下であり、更に好ましくは1.0重量%以下あり、非常に好ましくは0.5重量%以下である。
プロピレン系重合体(X)のオルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)は、メタロセン錯体を用いることにより、一般的に低く抑えることが可能であるが、触媒の純度を一定以上に保つことに加え、触媒の製造方法や重合時の反応条件を、極端に高温にしないことやメタロセン錯体に対する有機アルミニウム化合物の量比を上げすぎないことが必要である。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製、MIRAN、1A
測定波長:3.42μm
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上の立体規則性を有するものである。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
mm分率がこの値より小さいと、製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下してしまう。従って、mm分率は、好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
また、主鎖および側鎖の立体規則性は、後述するプロピレン系重合体(X)の製造方法で用いられる触媒成分[A−1]および[A−2]のもつ立体規則能力によって決まる。側鎖の立体規則性が低いと、例え主鎖の結晶性が高くても全体の結晶性を落としてしまう。そこでより高剛性の重合体を得るためには側鎖、主鎖とも立体規則性が高いことが好ましい。その値としては、主鎖、側鎖ともmm分率で95%以上である。特に好ましくは96%以上であり、更に好ましくは97%以上である。
プロピレン系重合体(X)の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)は、後述するメタロセン錯体の選択や重合温度および重合圧力により、容易に調整を行なうことができる。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2、−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定した。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32768
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer,30巻 1350頁(1989年)を参考に行った。
プロピレン単位を中心として頭尾結合した3連鎖の中心プロピレンのメチル基に由来するピークは、その立体配置に応じて、3つの領域に生じる。
mm:約24.3〜約21.1ppm
mr:約21.2〜約20.5ppm
rr:約20.5〜約19.8ppm
各領域の化学シフト範囲は、分子量や、共重合体組成により若干シフトするが、上記3領域の識別は、容易である。
ここで、mm、mrおよびrrは、それぞれ下記の構造で表される。
mm分率=mm領域のピーク面積/(mm領域のピーク面積+mr領域のピーク面積+rr領域のピーク面積)×100 [%] (I)
従って、式(I)においてmm分率を算出する場合には、それぞれmr領域のピーク面積、rr領域のピーク面積から、頭−尾結合した3連鎖に基づかないピークでmr及びrr領域に現れる炭素A、A’、A”、B、B’に基づくピーク面積を減ずる必要がある。
炭素A’に基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造(5−b)及び構造(5−c)]の炭素H及びI(34.7ppm付近及び35.0ppm付近で共鳴)と炭素J(34.1ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の2/5と炭素K(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。
炭素A”に基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造(5−d)]の炭素L(27.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。
炭素Bに基づくピーク面積は、炭素Jにより評価できる。また、炭素B’に基づくピーク面積は、炭素Kにより評価できる。
なお、炭素Cピーク及び炭素C’ピークの位置は、注目するmm、mr、rr領域と全く関与しないので考慮する必要はない。
以上により、mm、mrおよびrrのピーク面積を評価することができるので、上記数式(I)に従って、プロピレン単位を中心として頭−尾結合からなる3連鎖部のmm分率を求めることができる。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が6.0以上であることが必要である。
歪硬化度(λmax)は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、発泡成形を行ったときに、独立気泡率を高く、かつ微細な発泡セルができる。
したがって、この歪硬化度は、6.0以上が必要であり、好ましくは10.0以上、より好ましくは15.0以上である。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常、分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響を受ける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は、大きくなる。
さらに、歪硬化度は、現時点において、分岐を評価する上で最も感度が高い手法と考えられており、13C−NMRで直接分岐構造を評価するのが難しいために、その手法に替えて、歪硬化度を分岐の指標として用いた。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)の分岐鎖長は、前記したとおり、骨格炭素数500(ポリプロピレン分子量換算:1.1万)以上であり、好ましくは骨格炭素数1000(ポリプロピレン分子量換算:2.1万)以上であり、更に好ましくは骨格炭素数2000(ポリプロピレン分子量換算:4.2万)以上である。
ここでいうポリプロピレン分子量換算値は、前記したとおり、厳密にはGPCで測定される分子量値とは異なるものであるが、GPCで測定される数平均分子量(Mn)に近似している。したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)の分岐長は、GPCで測定される数平均分子量(Mn)で1.1万以上、好ましくは2.1万以上、さらに好ましくは4.2万以上と、置き換えて考えられる。
プロピレン系重合体(X)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)は、プロピレン重合に使用する触媒を構成する二種類のメタロセン錯体の選択やその量比、予備重合条件を制御することにより6.0以上と大きくすることが出来る。すなわち、2種類のメタロセン錯体の一方は、マクロマーを生成し易いものとし、もう一方は、マクロマーを重合体に取り込み易く且つ高分子量の重合体を生成可能なものを選択する。更に、予備重合を行うことにより、重合体粒子間で長鎖分岐が均一に分布させる。
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
図4は、伸長粘度のプロット図の一例である。ηmax/ηlinを、λmaxと定義し、歪硬化度の指標とする。
なお、歪速度は、0.001/secから10.0/secの範囲で測定可能であり、歪硬化度は歪速度の違いで変化する。この歪硬化度の歪速度依存性は、導入された分岐の形態や長さで変化すると考えられる。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、メモリーエフェクト(ME)が下記式(I−1)を満たすことが望ましい。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9 (I−1)
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。]
MEは、ポリマーの非ニュートン性を表す指標であり、MEが大きいことはその重合体に緩和時間の長い成分が存在することを示している。すなわち同一のMFRでMEが大きい場合には、より長期緩和成分が重合体に分布していることを意味する。
また、MEは、Log(MFR)と、1次の相関を有することが経験的に知られており、一般には、分子量が大きくなるほど(すなわちMFRの値が小さくなるほど)、MEの値は大きくなる。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.20 (I−2)
更に好ましくは下記式(I−3)を満足することである。
(ME) ≧ −0.26×log(MFR)+2.40 (I−3)
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、制御された分岐構造(分岐量、分岐長、分岐分布)を持つために、溶融物性が顕著に改良される。すなわち、高い溶融張力を持ちながら、優れた溶融流動性をもつ。溶融張力と溶融流動性の指標として、以下の測定方法で測定する溶融張力(MT)と最高巻取速度(MaxDraw)のバランスで表すことができる。
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、下記の条件で樹脂を紐状に押し出して、ローラーに巻き取っていった時にプーリーに検出される張力を溶融張力(MT)とする。
キャピラリー:直径2.1mm
シリンダー径:9.6mm
シリンダー押出速度:10mm/分
巻き取り速度:4.0m/分
温度:230℃
ここで、MTの値が大きい方が、溶融張力が高いことを意味し、MaxDrawが大きい方が、流動性や延展性が良いことを意味する。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、分子量分布を広げ分岐を導入することにより、溶融張力が改善されており、したがって、MTは5g以上であり、好ましくは10g以上、更に好ましくは15g以上である。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、分岐成分を制御することにより、高いMTを保ったまま、大きなMaxDrawを持つことができ、溶融張力と溶融延展性のバランスが改善されている。
したがって、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、MaxDrawが10m/分以上であり、好ましくは20m/分以上であり、更に好ましくは30m/分以上である。
プロピレン系重合体(X)の最高巻取速度(MaxDraw)は、ゲル等の不均質な成分を低減させることが重要であり、均質なプロピレン系重合体(X)を得るためには、ジエン等を使用しないマクロマー重合法で、使用する触媒の予備重合条件および水素濃度、温度等の重合条件を制御することにより、調整を行なうことができる。
しかし、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、分子量分布を広げ分岐を導入することにより、分子量分布の拡大による制御が行われているが、低分子量成分が増大せずに、高分子量成分が増大するために、上記のようなデメリットが発生しない。
このように、本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、長鎖分岐型であるために、従来のプロピレン系重合体にみられない溶融延展性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れたものとなっている。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)を製造する方法については、上記の溶融流動性や溶融張力を制御した、物性と加工性のバランスに優れる長鎖分岐型のプロピレン系重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、例えば、制御した分岐成分を導入する方法としては、下記のような複数の錯体を用いる方法を挙げることができる。
(A):下記一般式(a1)で表される化合物である成分[A−1]から少なくとも1種類、および一般式(a2)で表される化合物である成分[A−2]から少なくとも1種類、選んだ2種以上の周期律表4族の遷移金属化合物
成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
成分[A−2]:一般式(a2)で表される化合物
(B):イオン交換性層状珪酸塩
(C):有機アルミニウム化合物
(イ)触媒成分(A)
(i)成分[A−1]:一般式(a1)で表される化合物
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
R13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−tブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジtブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−tブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
ただし、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載した。また中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、同様のジルコニウム化合物も使用可能であり、種々の配位子や架橋結合基あるいは補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などが挙げられる。
次に、本発明に係るプロピレン系重合体(X)の重合に用いられる触媒成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
本発明において、原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分(B)に含まれる。
尚、本発明の原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。それらを含んでもよい。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
本発明に係る触媒成分(B)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、本発明では、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
本発明においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C2O4、ClO4、OOCCH3、CH3COCHCOCH3、OCl2、O(NO3)2、O(ClO4)2、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH、OOCCH2CH3、C2H4O4およびC5H5O7から成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
また、Ti(OOCCH3)4、Ti(CO3)2、Ti(NO3)4、Ti(SO4)2、TiF4、TiCl4、Zr(OOCCH3)4、Zr(CO3)2、Zr(NO3)4、Zr(SO4)2、ZrF4、ZrCl4、ZrOCl2、ZrO(NO3)2、ZrO(ClO4)2、ZrO(SO4)、HF(OOCCH3)4、HF(CO3)2、HF(NO3)4、HF(SO4)2、HFOCl2、HFF4、HFCl4、V(CH3COCHCOCH3)3、VOSO4、VOCl3、VCl3、VCl4、VBr3等が挙げられる。
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが例示される。
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えばヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
本発明に係るプロピレン系重合体(X)の重合に用いられる触媒成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR11 qZ3−q)pで示される化合物が適当である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式中、R11は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。R11としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
本発明による触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば次の通りである。
触媒成分(C)を使用する場合、触媒成分(A)と触媒成分(B)を接触させる前に、成分(A)と、あるいは成分(B)と、または成分(A)及び成分(B)の両方に成分(C)を接触させること、または、成分(A)と成分(B)を接触させるのと同時に成分(C)を接触させること、または、成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分(C)を接触させることが可能であるが、好ましくは、成分(A)と成分(B)を接触させる前に、成分(C)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[A−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[A−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。
したがって、成分[A−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。より高い触媒活性で効率的に、より高い歪硬化度のプロピレン系重合体を製造するために、成分[A−1]と成分[A−2]の合計量に対する成分[A−1]の遷移金属のモル比は、0.30以上が必要であり、好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.50以上である。また、上限に関しては、0.99以下であり、高い触媒活性で効率的に、本発明に係るプロピレン系重合体(X)を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
重合様式は、前記触媒成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
また、重合温度は、0℃以上、150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
この中では、本発明に係るプロピレン系重合体(X)を溶融物性と触媒活性をバランスよく得るためには、エチレンを5モル%以下で用いるのが好ましい。特に剛性の高い重合体を得るためには、重合体中に含まれるエチレンを1モル%以下になるように、エチレンを用いるのがよく、更に好ましくはプロピレン単独重合である。
マクロマーの生成は、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により生成すると、考察され、本発明では、特定の構造をもつ成分[A−1]は、比較的低温の温度領域(40℃〜80℃)で、成長停止反応中β−メチル脱離反応の選択性が高く、また、ポリマー成長反応に対するβ−メチル脱離反応の比が従来の構造の錯体と比べて、大きいことが、見出されている。
従来は、β−メチル脱離反応を優先的に起こすために、プロピレン濃度の薄いスラリー重合での特殊な条件下(低圧、高温重合、水素無添加)でしか製造できなかったのに対して、特定の構造をもつ成分[A−1]を用いることにより、工業的に有効なバルク重合や気相重合によって、しかも実用的な圧力条件(1.0〜3.0MPa)および温度条件(40℃〜80℃)下で、製造が可能であることが分かった。
このことは、従来は特殊な条件(低圧、高温、水素無添加)であるマクロマー生成工程を経た後に、マクロマー共重合を行う多段重合を行わなければならなかったのに対し、成分[A−2]と組み合わせることにより、マクロマー生成工程とマクロマー共重合工程を同条件で行うことができる、つまり、同時重合、単段重合できることが分かった。
従来は、マクロマー生成とマクロマー共重合を単一の錯体で製造しているため、すなわち、成分[A−1]と成分[A−2]を同一の錯体で重合体を製造するため、マクロマー生成能力またはマクロマー共重合能力のどちらかが不十分であったり、高分子量側に分岐成分の導入量が不十分であったり、また、分子量の調整に水素を用いると、マクロマー自体の生成量が減少してしまうという問題点があった。
また、従来は、立体規則性の低いポリマーを生成する条件でしか分岐生成効率が上がらなかったが、本発明の方法では、充分に立体規則性の高い成分を、側鎖に簡便な方法で導入することが可能となった。
本発明のポリプロピレン系中空発泡成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物は、前記のプロピレン系重合体(X)と発泡剤(F)とからなる。
本発明に係る発泡剤(F)は、物理発泡剤が使用され、好ましくは、物理発泡剤のみが使用される。物理発泡剤としては、二酸化炭素または窒素の気体が挙げられる。なお、ここで気体とは、常温で気体であることを意味する。
上記二酸化炭素または窒素以外の物理発泡剤として、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル、アルゴン、水等を用いてもよい。
また、気泡調節剤の配合量は、前記プロピレン系重合体(X)もしくはプロピレン系重合体(X)と他の重合体との重合体混合物100重量部に対して、純分で0.01〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系中空発泡成形体に用いられるプロピレン系樹脂組成物には、前記プロピレン系重合体(X)および発泡剤(F)の他に、通常ポリオレフィンに使用する公知の重合体、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤およびチオ系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。
また、無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが例示でき、滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示できる。
更に、帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示でき、金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などが例示できる
本発明で使用されるプロピレン系樹脂組成物の調製方法としては、パウダー状もしくはペレット状の前記プロピレン系重合体(X)、発泡剤(F)および必要に応じて用いるその他の配合剤をドライブレンド、ヘンシェルミキサー等で混合する方法を挙げることができる。
また、状況に応じて、発泡剤(F)のみ、ポリプロピレン系中空発泡成形体の製造時に、別フィードしても良い。
本発明のポリプロピレン系中空発泡成形体は、本発明に係るプロピレン系樹脂組成物を、公知のブロー成形で得られるものであり、ブロー成形法としては、特に限定されない。例えば、発泡ブロー成形としては、押出機により発泡剤(F)とプロピレン系重合体(X)からなるプロピレン系樹脂組成物を溶融混練し、これをダイより押出して、筒状の発泡パリソンを形成し、この発泡パリソンを金型で挟み込んで成形する方法や、ダイから押出した筒状発泡体を、金型内に配置し、該筒状発泡体内部に加圧気体を吹き込んで、中空発泡成形体とする方法が、挙げられる。
上記ポリプロピレン系多層中空発泡成形体は、プロピレン系樹脂組成物からなる発泡層と、非発泡性の熱可塑性樹脂組成物からなる非発泡樹脂層とから構成される多層構造を有しており、非発泡樹脂層は、発泡層のいずれの面に設けられてもよく、また、発泡層を非発泡樹脂層の間に存在させた構成(サンドイッチ構造)とすることもできる。
非発泡樹脂層が設けられたポリプロピレン系多層中空発泡成形体は、強度において優れたものとなり、該発泡層の外側に非発泡樹脂層が設けられることにより、外観においても優れたものとなる。更に、該非発泡樹脂層を機能性の樹脂で構成させることにより、抗菌性、ソフト感等の付加的機能を、ポリプロピレン系多層中空発泡成形体に兼備させることが容易にできる点からも好ましい。
ポリプロピレン系多層中空発泡成形体を多層の発泡パリソンによって得る場合、非発泡樹脂層の厚さは、得られるポリプロピレン系多層中空発泡成形体の全厚みの1〜20%、より好ましくは5〜10%になるように発泡溶融樹脂を形成することが望ましい。
本発明のポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体は、均一微細な発泡セルよりなり、外観に優れたものである。したがって、車両用エアコンダクト、車両用エアダクト、断熱ボトル、食品容器等に好適に利用できる。
(1)メルトフローレート(MFR)[単位:g/10分]:
プロピレン系樹脂は、JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定し、エチレン・α−オレフィン共重合体は、JIS K6922−2:1997付属書に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、上記本明細書記載の方法で、測定した。
タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、エタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値として算出した。この値は、Log(MFR)と相関する値であり、この値が大きいと、スウェルが大きく射出成形したときの製品外観がよくなることを示す。
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、上記本明細書記載の方法で測定した。単位は%である。
上記本明細書記載の方法で測定した。
実体顕微鏡(ニコン製:SMZ−1000−2型)を用いて、実施各例および比較各例において得られたポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体の平均気泡径は、発泡体の径方向に垂直な断面を5mm厚で切出し、切断面の拡大投影により断面中の気泡数と気泡径より算出した。
実施各例および比較各例により得られたポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体から試験片を切出し、試験片重量(g)を、該試験片の外形寸法から求められる体積(cm3)で割って求めた。JIS K7222に準じて測定し、密度を求めた。
実施各例および比較各例により得られたポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体から試験片を切出し、エアピクノメター(東京サイエンス(株)製)を用いて、ASTM D2856に記載の方法に準じて測定した。
外観評価は、実施各例および比較各例により得られたポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体において、以下の基準で評価した。
○:気泡形状が均一で厚み厚薄が少なく部分的な凹部(ヒケ)もない。
×:部分的な巨大気泡があり厚み厚薄が多く部分的な凹部(ヒケ)がある。
実施各例および比較各例により得られたポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体から試験片を切出し、JIS K6767に準じ、該試験片を曲げに要した最大応力を測定し、その値を密度で除した値を剛性とした。
実施各例および比較各例により得られたポリプロピレン系(多層)中空発泡成形体の円周方向に試験片を切出し、厚みを測定し、平均厚みおよび最大厚みと最小厚みにて、ブロー成形性を評価した。
(イ)プロピレン系重合体(X)
下記の製造例1〜5で製造した重合体(PP−1)〜重合体(PP−5)、および市販のポリプロピレン樹脂(PF814)を用いた。
[触媒成分(A)の合成例1]:
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
(1−a)4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成:
1000mlのガラス製反応容器に、1−ブロモ−4−t−ブチル−ベンゼン(40g、0.19mol)、ジメトキシエタン(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここに、t−ブチルリチウム−ペンタン溶液(260ml、0.38mol、1.46mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら5時間攪拌した。再び−70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート(46ml、0.20mol)のジメトキシエタン溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(37g、収率98%)を淡黄色液体として得た。
1000mlのガラス製反応容器に、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(37g、0.15mol)、ジメチルスルホキシド(400ml)、蒸留水(11ml)を加え、そこにN−ブロモスクシンイミド(35g、0.20mol)を徐々に加え、そのまま室温で1時間攪拌した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回トルエンで抽出を行った。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸(4.3g、22mmol)を加え、水分を除去しながら2時間加熱還流させた。
反応液を分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(46g、収率95%)を淡黄色固体として得た。
1000mlのガラス製反応容器に、メチルフラン(13.8g、0.17mol)、ジメトキシエタン(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(111ml、0.17mol、1.52mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再び70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート(41ml、0.18mol)を含むジメトキシエタン溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水(50ml)を加え、30分間攪拌した後、炭酸ナトリウム54gの水溶液(100ml)、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(46g、0.14mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム(5g、4.3mmol)を順に加え、その後、低沸成分を除去しながら加熱し80℃で3時間加熱した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ヘキサンで再結晶を行い4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデン(30.7g、収率66%)を無色結晶として得た。
1000mlのガラス製反応容器に、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(5−メチル−2−フリル)−インデン(22g、66mmol)、THF(200ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(42ml、67mmol、1.60mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再び−70℃まで冷却し、1−メチルイミダゾール(0.3ml、3.8mmol)を加え、ジメチルジクロロシラン(4.3g、33mmol)を含むTHF溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル))−インデニル)シランの淡黄色固体(22g、収率92%)を得た。
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)シラン9.6g(13.0ミリモル)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59モル/リットルのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液16ml(26ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し3時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン250ml、ジエチルエーテル10mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.2g(13.0ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムのラセミ体(純度99%以上)を、黄橙色結晶として1.3g(収率22%)得た。
[1H−NMR(CDCl3)同定結果]:
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.18(s,18H),δ2.09(s,6H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.75(dd,2H),δ7.09(d,2H),δ7.34(s,2H),δ7.33(d,2H),δ7.35(d,4H),δ7.87(d,4H)。
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様に、実施した。
(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水3456gに96%硫酸(1044g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)600gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水2400g加えた後にろ過したところケーキ状固体1230gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム648g、蒸留水1800gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入し、更に蒸留水522gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水1980g加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH3まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体1150gを得た。
得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト340gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:7.81重量%、Si:36.63重量%、Mg:1.27重量%、Fe:1.82重量%、Li:0.20重量%であり、Al/Si=0.222[mol/mol]であった。
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(65mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.6mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム(105μmol)をトルエン(30mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(A)の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(45μmol)をトルエン(12mL)に溶解した(溶液2)。
その後、ヘプタンを356mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし、2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が0.05MPaになるまで残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.3mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒27.5gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.75であった(予備重合触媒1)。
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン40kgを導入した。これに水素5リットル(標準状態の体積として)、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)を加えた後、内温を75℃まで昇温した。次いで、予備重合触媒1を4.0g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を75℃に維持した。3時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のプロピレンをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより、第一工程の重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流下で1時間乾燥し、14.5kgの重合体(PP−1)を得た。触媒活性は、3630(g−PP/g−cat)であった。
得られた重合体5gを熱キシレンに溶解した後、大量のエタノールで析出させた。ろ過した後に減圧乾燥し、分析用サンプルとした。
添加する水素を12.5リットル、使用する予備重合触媒1を3.0g(予備重合ポリマーを除いた重量で)で行う以外は、製造例1と同様に実施した。14.3kgの重合体(PP−2)を得た。触媒活性は、4770(g−PP/g−cat)であった。
(1)[触媒合成例2]
上記触媒合成例1の(1−2)触媒調製及び予備重合において、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(75μmol)をトルエン(21mL)に溶解して、溶液1とし、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(75μmol)をトルエン(21mL)に溶解して、溶液2として使用する以外は、触媒合成例1と同様の実験をおこなった。
そうしたところ、乾燥予備重合触媒(予備重合触媒2)30.9gを得た。予備重合倍率は2.09であった(予備重合触媒2)。
水素を7.5L(標準状態の体積として)導入し、予備重合触媒1の代わりに上記で合成した予備重合触媒2を、予備重合ポリマーを除いた重量で2.0g使用する以外は重合例1と同様の重合を行い、11.4kgの重合体(PP−3)を得た。触媒活性は、5700(g−PP/g−cat)であった。
水素を15L(標準状態の体積として)導入し、予備重合触媒1を、予備重合ポリマーを除いた重量で3.3g使用し、重合時間を1時間とする以外は重合例1と同様の重合を行い、14.0kgの重合体(PP−4)を得た。触媒活性は、4240(g−PP/g−cat)であった。
[触媒成分(A)の合成例3]:
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−インデニル)]ジルコニウムの合成:
特開平8−208733号公報の実施例1に記載の方法に準じて、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−インデニル)]ジルコニウムを合成した。
(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水2260gに96%硫酸(1500g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)600gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で480分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH3まで洗浄した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト295gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:2.72重量%、Si:43.48重量%、Mg:0.36重量%、Fe:0.61重量%であり、Al/Si=0.065[mol/mol]であった。
3つ口フラスコ(容積1L)中に上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(114mL)を加えてスラリーとし、これにトリエチルアルミニウム(50mmol:濃度71mg/mLのヘプタン溶液を81mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、ヘプタン(85mL)に、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−インデニル)]ジルコニウム(0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加えて60分室温で攪拌し反応させた。この溶液を、先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコに加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを214mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのち、プロピレンを20g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去し、残った部分にトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒47.6g(予備重合触媒3)を得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.38であった。
水素は添加しないで、予備重合触媒1の代わりに上記で合成した予備重合触媒3を、予備重合ポリマーを除いた重量で20g使用し、重合温度を70℃、3時間とする以外は重合例1と同様の重合を行い、6.9kgの重合体(PP−5)を得た。触媒活性は、345(g−PP/g−cat)であった。特に、このポリマーは、触媒活性が低いため、ポリマー中の触媒残渣量が多く、成形時の色相悪化が懸念される。
PF814(電子線照射品):
バゼル社製の高溶融張力ポリプロピレン(MFR=2.5g/10min)を用いた。
発泡剤(F)として、物理発泡剤である二酸化炭素を用いた。
製造例1で製造したプロピレン系樹脂(PP−1)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)0.05重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト、日本油脂株式会社製)0.05重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練してペレットを得た。
次いで、環状ダイ直下に配置した、断面形状が四角形の筒状(サイズ□80mm×450mm)の型締め金型にて筒状発泡体の内部に加圧気体(空気)を吹き込むと同時に冷却し、ダクト形状のポリプロピレン系中空発泡成形体を得た。
得られたポリプロピレン系中空発泡成形体の表面は、外観良好であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
本発明の構成を満足するポリプロピレン系中空発泡成形体は、連続気泡率が低く、緻密な気泡構造を有する高い剛性を有し、厚みが均一な成形体が得られた。
プロピレン系樹脂(PP−1)の代わりに、製造例2で製造したプロピレン系樹脂(PP−2)を用いた以外は、実施例1と同様に実施し、ダクト形状のポリプロピレン系中空発泡成形体を得た。
得られたポリプロピレン系中空発泡成形体の表面は、外観良好であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
本発明の構成を満足するポリプロピレン系中空発泡成形体は、連続気泡率が低く、緻密な気泡構造を有する高い剛性を有し、厚みが均一な成形体が得られた。
プロピレン系樹脂(PP−1)の代わりに、製造例3で製造したプロピレン系樹脂(PP−3)を用いた以外は、実施例1と同様に実施し、ダクト形状のポリプロピレン系中空発泡成形体を得た。
得られたポリプロピレン系中空発泡成形体の表面は、外観良好であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
本発明の構成を満足するポリプロピレン系中空発泡成形体は、連続気泡率が低く、緻密な気泡構造を有する高い剛性を有し、厚みが均一な成形体が得られた。
重合体(PP−1)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS168、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)0.05重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト、日本油脂株式会社製)0.05重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−、商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練してペレットを得た。
スクリュー径40mmΦ押出機には、無発泡層を得るために、前記ペレット100重量部を投入し樹脂温度190℃にてして、ダイス内で発泡層を無発泡層で挟む3層構造に積層した後、先端に取り付けられた環状のダイス出口より押出し、2種3層の筒状発泡体を形成した。得られた筒状発泡体は、発泡状態、外観共に非常に良好なものであった。
次いで、環状ダイ直下に配置した、断面形状が四角形の筒状(サイズ70mm×50mm×450mm)の型締め金型にて筒状発泡体の内部に加圧気体(空気)を吹き込むと同時に冷却し、ダクト形状のポリプロピレン系多層中空発泡成形体を得た。
得られたポリプロピレン系多層中空発泡成形体の外観良好であった。このときの無発泡層:発泡層:無発泡層の厚み比率は、1:8:1であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系多層中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
本発明の構成を満足するポリプロピレン系中空発泡成形体は、連続気泡率が低く、緻密な気泡構造を有する高い剛性を有し、厚みが均一な成形体が得られた。
実施例4において、非発泡層の重合体(PP−1)の代わりに、重合体(PP−1)100重量部に対し、タルク30重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物を用いた以外は、実施例4と同様に実施し、2種3層のポリプロピレン系多層中空発泡成形体を形成した。
得られたポリプロピレン系多層中空発泡成形体の外観良好であった。このときの無発泡層:発泡層:無発泡層の厚み比率は、1:8:1であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系多層中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
本発明の構成を満足するポリプロピレン系中空発泡成形体は、連続気泡率が低く、緻密な気泡構造を有する高い剛性を有し、厚みが均一な成形体が得られた。
プロピレン系樹脂(PP−1)の代わりに、本発明において特定するプロピレン系重合体(X)とは異なるプロピレン系樹脂(PF814)を用いた以外は、実施例1と同様に実施し、ダクト形状の単層ポリプロピレン系中空発泡成形体を得た。
得られたポリプロピレン系中空発泡成形体の表面は、平均気泡径600μmの連続気泡率は低いが、粗い気泡構造を有する外観が凸凹なものであった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系多層中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
実施例4において、発泡層および非発泡層の重合体(PP−1)の代わりに、本発明において特定するプロピレン系重合体(X)とは異なるプロピレン系樹脂(PF814)を用いた以外は、実施例4と同様に実施し、ダクト形状のポリプロピレン系多層中空発泡成形体を得た。
得られたポリプロピレン系中空発泡成形体の表面は、平均気泡径600μmの連続気泡率は低いが、粗い気泡構造を有する。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系多層中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
プロピレン系樹脂(PP−1)の代わりに、本発明において特定するプロピレン系樹脂(X)とは異なるプロピレン系樹脂(PP−4)を用いた以外は、実施例1同様に実施した。
得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体は、厚みが薄く成形体表面よりガスが抜けており、高い密度、不均一な気泡径であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
プロピレン系樹脂(PP−1)の代わりに、本発明において特定するプロピレン系樹脂(X)とは異なるプロピレン系樹脂(PP−5)を用いた以外は、実施例1同様に実施した。
ダイス出口でメヤニが発生し、得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体は、厚みが薄く、成形体表面よりガスが抜けており、高い密度、不均一な気泡径であった。
用いた樹脂の物性を表1に示し、得られた該ポリプロピレン系中空発泡成形体の評価結果を表2に示す。
Claims (8)
- 下記(i)〜(vi)に規定する要件を満たすプロピレン系重合体(X)と発泡剤(F)とからなるプロピレン系樹脂組成物を、ブロー成形してなるポリプロピレン系中空発泡成形体。
(i)メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分である。
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Q値)が3.5〜10.5である。
(iii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、全量に対して、分子量(M)が200万以上の成分の比率が0.4重量%以上、10重量%未満である。
(iv)オルトジクロロベンゼン(ODCB)による昇温溶出分別(TREF)において、40℃以下の温度で溶出する成分が3.0重量%以下である。
(v)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が95%以上である。
(vi)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が6.0以上である。 - プロピレン系重合体(X)は、さらに、下記要件(vii)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
(vii) (ME) ≧ −0.26×log(MFR)+1.9
[式中、ME(メモリーエフェクト)は、オリフィスが長さ8.00mm、径1.00mmφのメルトインデクサーを用いて、シリンダー内温度を190℃に設定して、荷重をかけ、押し出し速度が0.1g/分の時に、オリフィスから押し出されたポリマーをエタノール中で急冷し、その際の押出物のストランド径をオリフィス径で除した値とする。] - プロピレン系重合体(X)は、さらに、下記要件(viii)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
(viii)GPCによって得られる分子量分布曲線において、ピーク位置に相当する分子量の常用対数をTp、ピーク高さの50%高さとなる位置の分子量の常用対数をL50及びH50(L50はTpより低分子量側、H50はTpより高分子量側)とし、α及びβをそれぞれα=H50−Tp、β=Tp−L50と定義したとき、α/βが0.9より大きく、2.0未満である。 - 発泡剤(F)は、二酸化炭素または窒素を含む物理発泡剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
- 平均気泡径が500μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
- 連続気泡率が30%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
- ポリプロピレン系中空発泡成形体からなる発泡層の片側または両側に、非発泡性の熱可塑性樹脂組成物からなる非発泡層を、共押出することにより積層させたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機充填剤50重量部以下を含有することを特徴とする請求項7に記載のポリプロピレン系中空発泡成形体。
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