JP2009298975A - 一液型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、本発明は、一液型エポキシ樹脂組成物に関するものである。
エポキシ樹脂は、その硬化物が、電気的特性、機械的特性、耐熱性、耐薬品性及び接着性等に優れた性能を有することから、電子・電気部品用絶縁材料、接着剤及び塗料等の幅広い用途に利用されている。現在、一般的に使用されている液状エポキシ樹脂組成物においては、使用直前に、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを均一混合する、いわゆる二液型エポキシ樹脂組成物と呼ばれるタイプが多い。二液型エポキシ樹脂組成物は、室温或いはそれよりも低い温度条件下でも硬化可能であり、多種多様な特性を発現させ易く、ミクロな部分まで均質な硬化物を得ることが容易である。その反面、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを、別個に保管し、使用直前に、これら二つの成分を正確に計量し、十分に均一混合する必要がある為に、保管やその取扱いが煩雑である難点がある。
また、二液型液状エポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分との配合物は可使時間が限られており、予め大量に混合しておくことはできないため、使用の都度の配合頻度が多くなり、作業効率低下は避けられない。その上、この配合物は、ポットライフが短く、長時間の保管ができないため、使用残りの配合された樹脂組成物は廃棄せねばならず、無用のコスト・廃棄物発生の観点からも問題がある。
この様な二液型エポキシ樹脂組成物の問題点を解決する為、これまでに、幾つかの一液型エポキシ樹脂組成物用の潜在性硬化剤が提案されてきた。例えば、ジシアンジアミド、BF3アミン錯体及びイミダゾール化合物誘導体等の潜在性硬化剤を、エポキシ樹脂に配合したものが実用化されている。
この様な二液型エポキシ樹脂組成物の問題点を解決する為、これまでに、幾つかの一液型エポキシ樹脂組成物用の潜在性硬化剤が提案されてきた。例えば、ジシアンジアミド、BF3アミン錯体及びイミダゾール化合物誘導体等の潜在性硬化剤を、エポキシ樹脂に配合したものが実用化されている。
しかし、これら潜在性硬化剤は、一般的に150℃以上の高い硬化温度を必要とし、硬化に高温又は長時間必要であり、硬化促進剤の併用などにより、硬化温度を低下させようとすると貯蔵安定性が損なわれ、室温での貯蔵安定性が不十分となるため、0℃以下の冷凍保管や通常の冷蔵庫(約0〜15℃)保管など低温での貯蔵を余儀なくされ、室温のポットライフを保持しながら、高い硬化性と優れた貯蔵安定性を両立し得る組成物が強く求められていた。
また、フィルム状成形品や、樹脂を基材に含浸した形態の製品を得る場合、有機溶剤や反応性希釈剤等を含有した配合物として取り扱う場合が多く、従来型の潜在性硬化剤をかかる配合品の硬化剤として用いた場合、十分な貯蔵安定性が得られず、貯蔵安定性の面から改善が求められていた。
これらの潜在性硬化剤の問題を解決する目的で、エポキシ樹脂と硬化剤とを完全に遮蔽する為に、硬化剤のマイクロカプセル化が提案されており、マイクロカプセル化の手法としては、微粉末硬化剤粒子の面層の官能基を他の反応性物質によりブロックする方法(例えば、特許文献1〜2参照。)、或いは、微粉末硬化剤粒子表面を熱可塑性樹脂等で被覆する方法(例えば、特許文献3参照。)等がある。
しかしながら、マイクロカプセル化された潜在性硬化剤を用いる場合、貯蔵安定性と十分な低温硬化性を両立するためには、精密な膜厚の制御が必要であり、また、撹拌混合装置を用いて、エポキシ樹脂の中に、このマイクロカプセル化硬化剤を十分に均一分散混合する場合や、マイクロカプセル化硬化剤と無機充填材とを共存させ、これを混合する際にには、機械的剪断力や機械的摺動により、マイクロカプセル被膜の剥離・破壊を促進し、一液型エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を損なうばかりか、注型時の粘度の上昇・ゲル化等のトラブルの原因となる。
上記問題を改善する目的で、硬化抑制剤として、ホウ酸エステル化合物を樹脂組成物に直接配合し、潜在性硬化剤と併用する手法も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。これにより、組成物の保存安定性、特に高温時における保存安定性を改善することができるが、例えば、安価なホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル及びホウ酸トリブチルなどの低級ホウ酸エステル化合物は、揮発性が高いため、特に中高温時における組成物の保存安定性に対しては、その効果が充分ではなく、充分な効果を得るために添加量を高めると、硬化性の低下や、成形品のボイド・ひけが発生するなどの問題もある。また、環状ホウ酸エステル化合物などのより揮発性の低いホウ酸エステル化合物を併用すると、より少添加量で保存安定性の改善に効果が得られるが、コストが高い問題もある。
このように、一液型エポキシ樹脂組成物用潜在性硬化剤の実用化に当たっては、硬化性やポットライフ以外にも、生産性、作業性及び取扱い性などの面で、未だ数々の課題を有している。
特開昭58−83023号公報
特開昭64−70523号公報
特開平06−73163号公報
特開2001−316451号公報
本発明は、前述したような従来の技術に基づく一液型エポキシ樹脂組成物に於ける諸々の課題を解決する為に、種々検討を重ねた結果なされたものであり、貯蔵安定性・硬化性・生産性・作業性等の取扱い性に優れ、且つ二液型エポキシ樹脂組成物と同様に均質で良好な硬化物特性を与える一液型エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
本発明者等は従来の技術に於ける一液型エポキシ樹脂組成物の有する課題を克服し、しかも一液型エポキシ樹脂組成物としての利点を十分に発揮することができる一液型エポキシ樹脂組成物を開発する為、鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至ったものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(4)により達成される。
(1)1分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(A)、酸無水物(B)、硬化促進剤(C)、及び下記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と下記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延剤(F)を含むエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤(C)として下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される、ホスホニウムシリケート化合物を含むことを特徴とする一液型エポキシ樹脂組成物。
(2)前記硬化遅延剤(F)が下記一般式(5)で表される、第(1)項に記載の一液型エポキシ樹脂組成物。
(3)前記トリアルコキシシラン化合物(E)が下記一般式(6)または下記一般式(7)で表わされる、第(1)項または第(2)項に記載の一液型エポキシ樹脂組成物。
(4)前記硬化遅延剤(F)が下記一般式(8)または下記一般式(9)で表される、第(1)項乃至第(3)項のいずれか1項に記載の一液型エポキシ樹脂組成物。
本発明によれば、貯蔵安定性・硬化性・生産性・作業性等の取扱い性に優れ、且つ二液型エポキシ樹脂組成物と同様に均質で良好な硬化物特性を与える一液型エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本発明は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(A)、酸無水物(B)、硬化促進剤(C)、及び下記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と下記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延剤(F)を含むエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤(C)として下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される、ホスホニウムシリケート化合物を含むことを特徴とする一液型エポキシ樹脂組成物である。これにより、貯蔵安定性・硬化性・生産性・作業性等の取扱い性に優れる一液型エポキシ樹脂組成物を得ることができ、前記一液型エポキシ樹脂組成物により得られる硬化物は、二液型エポキシ樹脂組成物と同様に均質で良好な硬化物特性を有するものとなる。
以下、本発明の1分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(A)、酸無水物(B)、硬化促進剤(C)、及び下記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と下記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延剤(F)を含み、硬化促進剤(C)として下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される、ホスホニウムシリケート化合物を含むことを特徴とする一液型エポキシ樹脂組成物の好適実施形態について説明する。
本発明に用いる、1分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(A)としては、一分子中に平均二個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、例えば、ビスフェノールA及びビスフェノールF等のビスフェノール化合物、レゾルシン及びハイドロキノン等の多価フェノール、フェノールノボラック並びにクレゾールノボラック等のポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとから誘導されるもの;ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリプロピレングリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンとから誘導されるもの;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート及び3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の多価カルボン酸、並びにオキシ安息香酸及びオキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとから誘導されるもの;アニリン、フェニレンジアミン及びジアミノジフェニルメタン等の多価アミノ化合物、並びに、アミノフェノール及びアミノクレゾール等のヒドロキシアミノ化合物とエピクロルヒドリンとから誘導されるもの;などが挙げられる。更に、ポリウレタン骨格、ポリブタジエン骨格を有し、分子の一部に複数のエポキシ基を結合させた化合物、或いは、ヒダントイン環を有するエポキシ化合物を用いることもできる。
上記エポキシ樹脂の形態は特に限定されず、液体でも固体でもよいが、通常は後述する酸無水物硬化剤と混合した場合に液状となるものが好ましく使用される。これらの中でも、比較的低分子量であるビスフェノールA型、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂が好ましい。これにより、組成物製造時の作業性や硬化後の特性を良好なものにでき、かつ材料コストを抑えることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種類のみを用いても2種類以上のものを組合せて用いてもよい。
本発明に用いる酸無水物(B)としては、硬化剤として用いることができるものであれば特に限定されないが、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ジクロルコハク酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、テトラブロム無水フタル酸、ポリアゼライン酸無水物、無水クロレンディク酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造時の取り扱いの作業性や硬化後の特性、材料コスト、工業的な供給安定性を考慮すると、常温で液状であるものが好ましく、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が特に好ましい。これらの酸無水物は、1種類のみを用いても2種類以上のものを組合せて用いてもよい。
本発明に用いる硬化促進剤(C)としては、前記エポキシ樹脂(A)におけるエポキシ基と前記酸無水物(B)における酸無水物基との硬化反応を促進させるホスホニウムシリケート化合物を用いることができるが、前記一般式(3)または前記一般式(4)で表されるホスホニウムシリケート化合物を用いることがさらに好ましく、良好な硬化性を保持しながら、硬化遅延剤(F)との相乗効果により、低温における硬化反応をより効果的に抑制し、成形温度以下の熱履歴に対して、優れた熱安定性を発現し、より優れた流動性と保存安定性を付与することができる。
本発明において、硬化促進剤(C)および硬化遅延剤(F)の両方にシリケート化合物を用いることにより、特に120℃以下の温度域においては硬化促進剤の塩基性活性点の化学的ブロックが一層効果的になる。その一方、150℃以上の温度域においては硬化促進剤および硬化遅延剤のシリケート部のキレート配位子が熱的に解離して、シリケートアニオン部が分解することによって、硬化遅延作用が実質的に消失し、低温域の低活性と高温域の高活性が両立した望ましい潜伏性を付与することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて成形する際の成形温度としては、120〜220℃の温度範囲が好ましく、150〜190℃の温度範囲がより好ましい。
ここで、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するカチオン部において、燐原子に結合する置換基R4、R5、R6およびR7は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を示し、これらは、置換基を有していても良く、互いに同一でも異なっていてもよい。
これらの置換基R4、R5、R6およびR7としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基およびベンジル基などの置換もしくは無置換の芳香環を有する有機基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピペリジル基、インドリル基、モルフォリニル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基およびオキサゾリル基などの置換もしくは無置換の複素環を有する有機基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基などの置換もしくは無置換の脂肪族基が挙げられ、反応活性や安定性の点から、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシナフチル基などの置換もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。なお、前記芳香環を有する有機基、複素環を有する有機基および脂肪族基における置換基としては、メチル基、エチル基および水酸基などが挙げられる。
また、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するシリケートアニオンにおいて、置換基Y1およびY2はプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y1、およびY2が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。置換基Y3およびY4はプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y3、およびY4が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。置換基Y1、Y2、Y3およびY4は互いに同一であっても異なっていてもよい。置換基X1は、置換基Y1およびY2と結合する有機基であり、置換基X2は、置換基Y3およびY4と結合する有機基である。
このようなX1の例としては、隣接位に置換基Y1およびY2を有するエチレン基、シクロへキシレン基、フェニレン基、ナフチレン基や、2,2’位に置換基Y1およびY2を有するビフェニレン基などが挙げられる。置換基Y1およびY2の例としては、酸素原子、硫黄原子、カルボキシル基などが挙げられる。また、置換基X2の例としては、上記置換基X1と同様のものを挙げることができ、置換基Y3およびY4の例としては、上記置換基Y1およびY2と同様のものを挙げることができる。
このような一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するシリケートアニオンにおけるY1X1Y2およびY3X2Y4で示される基は、プロトン供与性置換基を有する化合物が、プロトンを放出してなる基であり、前記プロトン供与性置換基を有する化合物としては、例えば、グリコール酸、チオ酢酸、カテコール、ピロガロール、没食子酸プロピル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシアニリン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、ピナコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−エタンジオールおよびグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンが熱安定性の面から、より好ましい。
また、一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するシリケートアニオンにおけるZは、有機基であり、例えば、置換もしくは無置換の芳香環または複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基などが挙げられ、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基およびビニル基等の置換もしくは無置換の脂肪族基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびビフェニル基等の置換もしくは無置換の芳香環を有する有機基、ピリジン基およびピロール基等の置換もしくは無置換の複素環を有する有機基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、フェニル基、ナフチル基、グリシジルオキシプロピル基が熱安定性の面から、より好ましい。なお、前記脂肪族基における置換基としては、グリシジル基、メルカプト基、アミノ基などが挙げられ、前記芳香環、複素環における置換基としては、メチル基、エチル基、水酸基、アミノ基などが挙げられる。
前記一般式(4)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するカチオン部において、燐原子に結合する置換基R8、R9、R10およびR11は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を示し、これらは、置換基を有していても良く、互いに同一でも異なっていてもよい。
これらの置換基R8、R9、R10およびR11としては、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基R4、R5、R6およびR7と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、反応活性や安定性の点から、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基およびヒドロキシナフチル基などの置換もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
前記一般式(4)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するシリケートアニオンにおいて、置換基Y5およびY6はプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y5、およびY6が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。置換基Y7およびY8はプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y7、およびY8が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。置換基Y9およびY10はプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y9、およびY10が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。置換基Y5、Y6、Y7、Y8、Y9およびY10は互いに同一であっても異なっていてもよい。置換基X3、X4およびX5は、それぞれ、置換基Y5およびY6、置換基Y7およびY8、置換基Y9およびY10と結合する有機基である。
上記置換基Y5、Y6、Y7、Y8、Y9およびY10としては、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基Y1、Y2、Y3およびY4と同様のものを挙げることができ、上記置換基X3、X4およびX5は、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基X1およびX2と同様のものを挙げることができる。
このような一般式(4)で表されるホスホニウムシリケート化合物を構成するシリケートアニオンにおけるY5X3Y6、Y7X4Y8およびY9X5Y10で示される基は、プロトン供与性置換基を有する化合物が、プロトンを放出してなる基であり、前記プロトン供与性置換基を有する化合物としては、上記Y1X1Y2およびY3X2Y4におけるプロトン供与性置換基を有する化合物と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンが熱安定性の面から、より好ましい。
ここで、本発明に用いる硬化促進剤(C)であるホスホニウムシリケート化合物の合成方法について説明する。
一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物の合成方法としては、例えば、珪素原子とキレート結合を形成可能なプロトン供与体である一般式(10)で表されるプロトン供与性置換基を有する化合物の1種または2種と、一般式(11)で表されるトリアルコキシシラン化合物とを、アルコール等のこれらの化合物が可溶な有機溶媒中で混合し、この混合溶液に、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物若しくはナトリウムメトキシド等の金属アルコキシド化合物を、固形または予め有機溶媒に溶解させた溶液として滴下した後に、前記一般式(12)で表されるホスホニウム塩化合物を固形または予め有機溶媒に溶解させた溶液として滴下する合成ルートによる方法(化13)を挙げることができる。
一般式(11)及び(化13)において、R’で表される脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基及び、ブチル基などの炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が挙げられる。また、Aで表される芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基としては、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基Zと同様のものを挙げることができる。
一般式(10)及び(化13)において、Rで表されるプロトン供与性置換基であるYHおよびZHと結合する有機基としては、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基X1およびX2と同様のものを挙げることができる。また、YおよびZで表されるプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基としては、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基Y1、Y2、Y3およびY4と同様のものを挙げることができる。
一般式(12)及び(化13)において、R’’’で表される芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基としては、前記一般式(3)で表されるホスホニウムシリケート化合物における置換基R4、R5、R6及びR7と同様のものを挙げることができる。また、X-で表される陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、又はプロトン供与性基がプロトンを1個放出してなる陰イオンであり、前記ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンなどが挙げられ、前記プロトン供与性基がプロトンを1個放出してなる陰イオンとしては、硫酸及び硝酸等の鉱酸の陰イオン、酢酸、安息香酸、ビフェニルカルボン酸及びナフタレンカルボン酸等の脂肪族又は芳香族カルボン酸のカルボキシラート陰イオン、フェノール類、ビスフェノール類、ビフェノール類及びヒドロキシナフタレン類のオキシ陰イオン、チオフェノール及びチオカテコール等のメルカプト化合物のチオラート陰イオン、トルエンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸のスルホナート陰イオンなどが挙げられる。
また、一般式(4)で表されるホスホニウムシリケート化合物の合成方法としては、例えば、珪素原子とキレート結合を形成可能なプロトン供与体である上記一般式(10)で表されるプロトン供与性置換基を有する化合物の1種または2種と、一般式(14)で表されるテトラアルコキシシラン化合物とを、アルコール等のこれらの化合物が可溶な有機溶媒中で混合し、この混合溶液に、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物若しくはナトリウムメトキシド等の金属アルコキシド化合物を、固形または予め有機溶媒に溶解させた溶液として滴下した後に、前記一般式(12)で表されるホスホニウム塩化合物を固形または予め有機溶媒に溶解させた溶液として滴下する合成ルートによる方法(化15)を挙げることができる。
一般式(14)及び(化15)において、R’’で表される脂肪族基としては、前記R’と同様のものを挙げることができる。
(化15)において、Rで表されるプロトン供与性置換基であるYHおよびZHと結合する有機基としては、(化13)における置換基Rと同様のものを挙げることができる。YおよびZで表されるプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基としては、(化13)における置換基YおよびZと同様のものを挙げることができる。R’’’で表される芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基としては、(化13)における置換基R’’’と同様のものを挙げることができる。X-で表される陰イオンとしては、(化13)におけるX-と同様のものを挙げることができる。
(化15)において、Rで表されるプロトン供与性置換基であるYHおよびZHと結合する有機基としては、(化13)における置換基Rと同様のものを挙げることができる。YおよびZで表されるプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基としては、(化13)における置換基YおよびZと同様のものを挙げることができる。R’’’で表される芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基としては、(化13)における置換基R’’’と同様のものを挙げることができる。X-で表される陰イオンとしては、(化13)におけるX-と同様のものを挙げることができる。
上記の反応は、無溶媒下でも進行するが、反応の均一性、収率の観点から有機溶媒中で実施するのが好ましく、メタノール、エタノールおよびプロパノール等のアルコール系溶媒中で実施することがより好ましい。
また、上記の反応における反応温度は、室温下においても十分に進行するが、短時間で効率よく所望の潜伏性触媒を得るために、加熱反応を行うこともできる。
上記の反応により得られる反応物は、メタノールおよびエタノールなどのアルコール溶媒、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒等で洗浄することにより、精製して純度を向上させることも可能である。
なお、本発明に用いる硬化促進剤(C)であるホスホニウムシリケート化合物の合成方法は、上記の合成反応ルートが一般的であるが、これらに何ら限定されるものではない。
本発明に用いる硬化遅延剤(F)は、一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、一般式(2)で表わされるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させることにより得られる。
本発明に用いる、一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)において、有機基Ar1は、芳香環又は複素環を有する有機基であり、有機基Ar1上の2つのOH基がプロトンを放出して形成される2つの酸素アニオンは、珪素原子と結合してキレート構造を形成し得るものである。
このような有機基Ar1の例としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ビナフチレン基、ベンゾキノンジイル基及びシクロブテンジオンジイル基などの芳香環を構成する炭素数の合計が6以上22以下の芳香族基、ピリジンジイル基、ピリミジンジイル基、キノキサリンジイル基、クマリンジイル基及びフラボンジイル基などの炭素数の合計が4以上16以下の複素環基などが挙げられる。これらの基においては、通常、2個のOH基が芳香環又は複素環上の隣接位に有するものである。前記ナフチレン基においては、2個のOH基を1,8位に有するもの、ビフェニレン基及びビナフチレン基などのビアリール基においては、2個のOH基を2,2’位に有するものも挙げることができる。前記Ar1としての芳香環又は複素環を有する有機基は、置換基を有していても良く、前記置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の脂肪族アルキル基、フェニル基等の芳香族基、メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、ハロゲン基などが挙げられる。これらの中でも、生成する硬化遅延剤(F)の化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点において、1,2−フェニレン基および2,3−ナフチレン基がより好ましく、置換基を有するものとしては、4−t−ブチル−1,2−フェニレン基、3−カルボキシメチル−1,2−フェニレン基、3−カルボキシエチル−1,2−フェニレン基がより好ましい。
このような一般式(1)で表されるプロトン供与体(HO−Ar1−OH)の例としては、例えば、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−エチルカテコール、4−プロピルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−ニトロカテコール、3−メトキシカテコール、3−エトキシカテコール、3−フルオロカテコール、3−クロロカテコール、4−ブロモカテコール、4−クロロカテコール、4−t−ブチルカテコール、2,3−ジヒドロキシアセトフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンジルアルコール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシアントラキノン、6,7−ジヒドロキシクマリン、1,1’−ビ−2−ナフトール及び1,2−ジヒドロキシ−3,4−シクロブテンジオンなどの水酸基を2個有する芳香族ジヒドロキシ化合物;ピロガロール、5−メチルピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2’,3’,4’,−トリヒドロキシアセトフェノン、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ステアリル、タンニン酸2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルメタン、1,2,3−トリヒドロキシアントラキノン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、2,2‘,3,3’−テトラヒドロキシ−1,1‘−ビナフチル、及びテトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンなどの水酸基を3個以上有する芳香族ポリヒドロキシ化合物;2,3−ジヒドロキシピリジン、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、6,7−ジヒドロキシクマリン、7,8−ジヒドロキシフラボン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン及び5,5’,6,6‘−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンなどの複素環式ポリヒドロキシ化合物;などを挙げることができるが、これらの中でも、カテコール、4−t−ブチルカテコール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル及び2,3−ジヒドロキシナフタレンが、生成する硬化遅延剤(F)の化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点からより好ましい。
本発明に用いる一般式(2)で表わされるトリアルコキシシラン化合物(E)において、R1は、水素原子、または炭素数1〜10の有機基であり、R2は、炭素数1〜10の有機基である。R3は、炭素数1〜4の脂肪族基である。
前記一般式(2)におけるR1としては、水素原子、炭素数1〜10の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基およびアセチル基などの炭素数1〜8の1価の脂肪族基、フェニル基、ベンジル基、メトキシフェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、フェニルエチニル基、ベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基およびナフチル基などの炭素数6〜10の1価の芳香族基が挙げられる。ここで、前記「1価の」のとは、基の端部に一般式(2)におけるNと結合し得る結合手を1つ有することを示す。前記R1としての炭素数1〜10の有機基は、置換基を有していても良く、前記置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル族、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、ビニル基およびアリル基などの不飽和脂肪族基、ホルミル基、アセチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基およびハロゲン基などが挙げられる。これらR1の中でも、水素原子およびフェニル基が、硬化遅延剤(F)の化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点で好ましい。
前記一般式(2)において、R2で表される炭素数1〜10の有機基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、エチレンアミノプロピル基およびジエチレンジアミノプロピル基などの炭素数1〜8の2価の脂肪族基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、エチニルフェニル基およびp−キシリレン基などの炭素数1〜8の2価の芳香族基が挙げられる。ここで、前記「2価の」のとは、基の端部に一般式(2)におけるNおよびSiと結合し得る結合手を2つ有することを示す。前記R2としての炭素数1〜10の有機基は、置換基を有していても良く、前記置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル族、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基などのアルコキシ基、ビニル基およびアリル基などの不飽和脂肪族基、ホルミル基、アセチル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン基などが挙げられる。これらR2の中でも、トリメチレン基やフェニレン基が硬化遅延剤(F)の化合物の安定性に優れる点で好ましい。
前記一般式(2)において、R3で表される前記炭素数1〜4の脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基及び、ブチル基などの脂肪族炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が、原料コストが安価な点から好ましい。
前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、o−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン及び1−(3−トリメトキシシリル)プロピル)尿素などの1級アミノ基を有するトリアルコキシシラン類、N−メチルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−n−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−t−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンゾイルプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、N−[3−トリエトキシシリル]プロピル]−2,4−ジニトロフェニルアミン、トリエトキシシリルプロピルエチルカルバメート、N−1−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピル尿素などの2級アミノ基を有するトリアルコキシシラン類を挙げることができる。
前記トリアルコキシシラン化合物(E)としては、前記一般式(6)及び(7)で表される、トリアルコキシシラン化合物であることが、硬化遅延剤(F)化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点で好ましい。前記一般式(6)において、R14としては、前記一般式(2)におけるR2と同様の炭素数1〜10の有機基を挙げることができ、R15としては、前記一般式(2)におけるR3と同様の炭素数1〜4の脂肪族基を挙げることができる。また、前記一般式(7)において、R16としては、前記一般式(2)におけるR2と同様の炭素数1〜10の有機基を挙げることができ、R17としては、前記一般式(2)におけるR3と同様の炭素数1〜4の脂肪族基を挙げることができる。これらの中でも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニルー3−アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
ここで、本発明に用いる硬化遅延剤(F)の合成方法について説明する。前記硬化遅延剤(F)は、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)から、(化16)に示されるような脱アルコール反応を経て得ることができる。
前記硬化遅延剤(F)の具体的な合成方法としては、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを、例えば、前記反応を溶媒中で行う方法、前記反応を無溶媒下で行う方法などが挙げられるが、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、前記一般式(2)で表されるアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて硬化遅延剤(F)を得ることができる方法であれば限定されない。
前記反応を溶媒中で行う方法としては、例えば、前記プロトン供与体(D)を、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノールおよび1−ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランなどの低沸点の非プロトン性極性溶媒などの溶媒に溶解し、0℃〜100℃程度の温度で、好ましくは室温〜50℃の温度で前記トリアルコキシシラン化合物(E)を滴下して反応する方法を挙げることができる。前述の反応で生成した沈殿物を濾過することにより、目的物を得ることができる。収率を向上させる目的で、冷却や溶媒、貧溶媒を沈殿剤として添加することもできる。また、純度を向上させる目的で、溶媒による洗浄や再結晶をすることもできる。
上記の反応は、反応の均一性の観点から溶媒中で実施するのが好ましいが、無溶媒下、加熱することによっても反応が進行し、目的物を得ることができる。反応温度は、前記プロトン供与体(D)の融点以上、前記トリアルコキシシラン化合物(E)の沸点以下の範囲で反応可能であり、好ましくは100℃〜180℃である。上述の溶液反応同様に、純度を向上させる目的で、溶媒による洗浄や再結晶をすることもできる。
上記反応において、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)との仕込みモル比は、(D)/(E)=1.5〜6の範囲で反応させることが好ましく、2〜4の範囲で反応させることが生成物収率の面からより好ましい。
上述の合成方法により、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)が反応し、前記プロトン供与体(D)におけるプロトンが2個放出され、前記アルコキシシラン化合物(E)におけるアルコキシ基が脱離したケイ素原子とキレートを形成することにより形成されるシリケートアニオンと、前記トリアルコキシシラン化合物の置換基として分子内に存在する1級もしくは2級アミノ基にプロトン供与体から放出されたプロトンが付加して形成されるアンモニウムカチオンとが、同一分子内に共存するアンモニウムシリケート化合物を容易に得ることができる。前記アンモニウムシリケート化合物は、前記硬化促進剤(C)における前記エポキシ樹脂(A)と前記酸無水物(B)との硬化を促進する活性点を保護することで、前記硬化反応を抑制し、硬化が遅延されることから、硬化遅延剤として機能する。
このように上記の合成方法により得られる硬化遅延剤(F)としては、一般式(5)で表される、アンモニウムシリケート化合物であることが好ましい。
このように上記の合成方法により得られる硬化遅延剤(F)としては、一般式(5)で表される、アンモニウムシリケート化合物であることが好ましい。
前記一般式(5)で表されるアンモニウムシリケート化合物を構成するR12は、水素原子、または炭素数1〜10の有機基であり、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)におけるR1と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、水素原子およびフェニル基が、硬化遅延剤(F)の化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点で好ましい。
前記一般式(5)で表されるアンモニウムシリケート化合物を構成するR13は、炭素数1〜10の有機基であり、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)におけるR2と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、トリメチレン基、エチレンアミノプロピル基、ジエチレンジアミノプロピル基及びフェニレン基が硬化遅延剤(F)の化合物の安定性に優れる点で好ましい。
また、前記一般式(5)で表されるアンモニウムシリケート化合物を構成するAr2は、芳香環又は複素環を有する有機基を表す。置換基−O−Ar2−O−は、プロトン供与体HO−Ar2−OHがプロトンを2個放出してなる基であり、珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。上記Ar2としては、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)におけるAr1と同様のものを挙げることができ、これらの中でも、1,2−フェニレン基、4−t−ブチル−1,2−フェニレン基、3−カルボキシメチル−1,2−フェニレン基、3−カルボキシエチル−1,2−フェニレン基、2,3−ナフチレン基が、硬化遅延剤(F)の化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点からより好ましい。
上記の合成方法により得られる硬化遅延剤(F)としては、前記一般式(8)及び(9)で表される、アンモニウムシリケート化合物分子内塩であることがさらに好ましい。
ここで、前記一般式(8)及び(9)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩化合物を構成するR18及びR19は、炭素数1〜10の有機基を表す。これらの具体的な例としては、前記一般式(5)で表わされるアンモニウムシリケート分子内塩化合物におけるR13と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、トリメチレン基、エチレンアミノプロピル基、ジエチレンジアミノプロピル基及びフェニレン基が硬化遅延剤(F)の化合物の安定性に優れる点で好ましい。
また、前記一般式(8)及び(9)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩化合物を構成するAr3及びAr4は、芳香環又は複素環を有する有機基を表し、置換基−OAr3O−は、プロトン供与体HO−Ar3−OHがプロトンを2個放出してなる基であり、珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。これらAr3及びAr4の具体的な例としては、前記一般式(5)で表わされるプロトン供与体におけるAr2と同様のものを挙げることができる。これらの中でも、1,2−フェニレン基、4−t−ブチル−1,2−フェニレン基、3−カルボキシメチル−1,2−フェニレン基、3−カルボキシエチル−1,2−フェニレン基、2,3−ナフチレン基が、硬化遅延剤(F)の化合物の安定性および硬化遅延能力に優れる点からより好ましい。
従来の硬化抑制剤は、低温域から高温域まで一定の硬化抑制作用を示すため、低温域の低活性と高温域の高活性を両立することが困難であるが、本発明における硬化遅延剤(F)は、特に120℃以下の温度域においては硬化促進剤より生じる塩基性活性点を化学的にブロックすることで硬化遅延作用を示す。その一方、150℃以上の温度域においては硬化遅延剤のキレート配位子が熱的に解離し、シリケートアニオン部のキレート環が分解することによって、硬化遅延作用が実質的に消失し、低温域の低活性と高温域の高活性が両立した望ましい潜伏性を付与することができる。また、硬化遅延効果は硬化促進剤に対する硬化遅延剤(F)の添加量によって調整することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて成形する際の成形温度としては、120〜220℃の温度範囲が好ましく、150〜190℃の温度範囲がより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて成形する際の成形温度としては、120〜220℃の温度範囲が好ましく、150〜190℃の温度範囲がより好ましい。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂(A)と、酸無水物(B)との含有量(配合比率)としては、特に限定されないが、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1当量に対して、前記酸無水物(B)を0.8〜1.2当量配合することが好ましい。さらに好ましくは0.9当量〜1.1当量である。これにより、低粘度で、かつ未硬化部分が生じにくく、適切な機械的強度を有する硬化物を得ることができる。配合量が前記下限値未満では機械的強度が充分でないことがある。また、前記上限値を超えると、組成物の粘度が低下するようになり、未硬化部分を生じやすく、機械的強度が低下することがある。
また、硬化促進剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記液状エポキシ樹脂(A)及び酸無水物(B)より構成される樹脂成分に対して0.01〜20重量%程度であるのが好ましく、0.1〜10重量%程度であるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存安定性、流動性及び硬化物特性がバランスよく発現する。
また、硬化促進剤(C)全体に対する一般式(3)または一般式(4)で表される、ホスホニウムシリケート化合物の比率は、硬化促進剤全体の20%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存安定性、流動性及び硬化物特性がバランスよく発現する。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物において、硬化遅延剤(F)の添加量は、所望する硬化遅延の度合いに応じて、その添加量を調節することができる。より具体的な例としては、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物を保存する温度、例えば、常温〜60℃において、硬化遅延剤(F)の効力が発揮され、保存安定性が発現し、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物を用いて成形する際に、成形温度として、好ましくは120〜250℃の温度範囲で、より好ましくは140〜200℃の温度範囲で硬化遅延剤(F)の効力が抑制され硬化が促進するように調整することができる。
使用される硬化促進剤(C)と硬化遅延剤(F)の種類によって最適な量は変化するが、一般的には、前記硬化促進剤(C)1モルに対し、前記硬化遅延剤(F)に含有されるケイ素モル量が、0.1〜5モルの範囲になるよう添加することが好ましく、0.5〜2モルの範囲で添加することがより好ましい。前記含有量(添加量)の範囲であると、硬化性、流動性及び保存性が両立した一液型エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物には、前記の液状エポキシ樹脂(A)、酸無水物(B)、硬化促進剤(C)、前記硬化遅延剤(F)のほか、必要に応じて、無機充填材(G)を配合することができる。これにより、組成物に耐熱性等を付与することができる。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物に、任意に用いられる無機充填材(G)としては、通常のエポキシ樹脂組成物に使用される公知の無機充填材が使用でき、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、結晶シリカ、熔融シリカ、無定形シリカ、アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、タルク、クレー、セラミック粉末、ガラス繊維粉末等が挙げられる。これらの無機充填材より、1種類のもののみを用いても、2種類以上のものを組合せ用いてもよい。
上記無機充填材(G)の含有量(配合量)としては、使用する無機充填材の種類、あるいは組成物に付与する特性などにより異なり、特に限定されないが、前記液状エポキシ樹脂(A)及び酸無水物(B)より構成される樹脂成分に対して、10〜300質量%とすることが好ましい。前記含有量(配合量)の範囲外でも使用できるが、前記下限値未満では配合の効果が充分でないことがあり、一方、配合量が前記上限値を超えると、粘度が上昇し、作業性が低下することがある。
更に、充填材として、前記無機充填材(G)の他に、必要により、硬化した熱硬化性樹脂粉末、熱可塑性樹脂粉末等の有機充填材、天然及び/又は合成繊維粉末等の補強材を加えても良い。
更に、充填材として、前記無機充填材(G)の他に、必要により、硬化した熱硬化性樹脂粉末、熱可塑性樹脂粉末等の有機充填材、天然及び/又は合成繊維粉末等の補強材を加えても良い。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物には、以上に説明した成分の他に、必要により、通常のエポキシ樹脂組成物に添加剤を加えてもよい。即ち、反応性稀釈剤、非反応性稀釈剤、可塑剤、溶剤、マイクロカプセル化されていないエポキシ樹脂硬化剤、硬化触媒、染料、顔料、シラン等の表面処理剤、湿潤剤、レベリング剤、チキソトロピック性付与剤、消泡剤等である。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物の製造方法としては、通常のエポキシ樹脂組成物の製造方法と同様な一般的な撹拌混合設備と製造条件が適用できる。使用される設備としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ及び押出し機等が挙げられる。製造条件としては、液状エポキシ樹脂等を溶解及び/又は低粘度化し撹拌混合効率を向上させる為に加熱してもよい。又、摩擦発熱、反応発熱等を除去する為に冷却してもよい。撹拌混合の時間は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は、特に120℃以上の硬化温度において優れた速硬化性および良好な硬化物物性を与えるとともに、常温における保存安定性に優れ、また、120℃以下における熱安定性が良好であり、従来材料と比較してより高温でポッティングや含浸ができるなど作業性に優れ、特に半導体封止用および半導体パッケージ実装用のアンダーフィル材として好適に用いることができるが、これら用途に限定されるものではない。
上記アンダーフィル材としては、ICチップなどの電子部品と電子部品搭載用基板とを含んで構成される半導体装置において、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板の間に間隙を有し、前記隙間が、上記アンダーフィル材の硬化物によって、充填接着して使用される。上記アンダーフィル材を、前記電子部品と前記電子部品搭載用基板の間にできた間隙に、充填する際は、電子部品又は電子部品搭載用基板の外周に沿って塗布し、毛細管現象を利用して充填するキャピラリーフロー方式が主流であり、よりアンダーフィル材の充填性を向上させるために、充填時に硬化反応が進行しない程度に加熱・低粘度化して浸透させる要求が高まっており、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物は潜在性に優れる点において特に好適に用いることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[硬化促進剤(ホスホニウムシリケート化合物)の合成]
(合成例1)
[ホスホニウムシリケート化合物1]
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、カテコール22.0g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)、およびメタノール150mLを仕込み、攪拌下で均一溶解した。予めナトリウムメトキシド5.40g(0.10mol)を20mLのメタノールに溶解した溶液を攪拌下のフラスコ内に滴下し、次いでテトラフェニルホスホニウムブロミド41.9g(0.10mol)を予め100mLのメタノールで溶解した溶液をフラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、精製物を得た。
この生成物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR分析、質量分析(MSスペクトル)、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C1は下記式(17)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は91%であった。得られた硬化遅延剤C1の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
(合成例1)
[ホスホニウムシリケート化合物1]
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、カテコール22.0g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)、およびメタノール150mLを仕込み、攪拌下で均一溶解した。予めナトリウムメトキシド5.40g(0.10mol)を20mLのメタノールに溶解した溶液を攪拌下のフラスコ内に滴下し、次いでテトラフェニルホスホニウムブロミド41.9g(0.10mol)を予め100mLのメタノールで溶解した溶液をフラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、精製物を得た。
この生成物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR分析、質量分析(MSスペクトル)、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C1は下記式(17)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は91%であった。得られた硬化遅延剤C1の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
(合成例2)
[ホスホニウムシリケート化合物2]
合成例1において、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を、フェニルトリメトキシシランに代わり、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン23.6g(0.10mol)を用いた他は合成例1と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC2とした。化合物C2を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C2は下記式(18)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は88%であった。
[ホスホニウムシリケート化合物2]
合成例1において、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を、フェニルトリメトキシシランに代わり、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン23.6g(0.10mol)を用いた他は合成例1と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC2とした。化合物C2を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C2は下記式(18)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は88%であった。
(合成例3)
[ホスホニウムシリケート化合物3]
合成例1において、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を、用いた他は合成例1と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC3とした。化合物C3を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C3は下記式(19)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は96%であった。
[ホスホニウムシリケート化合物3]
合成例1において、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を、用いた他は合成例1と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC3とした。化合物C3を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C3は下記式(19)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は96%であった。
(合成例4)
[ホスホニウムシリケート化合物4]
合成例1において、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を、テトラフェニルホスホニウムブロミドに代わり、2,5−ジヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロリド40.7g(0.10mol)を用いた他は合成例1と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC4とした。化合物C4を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C4は下記式(20)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は90%であった。
[ホスホニウムシリケート化合物4]
合成例1において、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を、テトラフェニルホスホニウムブロミドに代わり、2,5−ジヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロリド40.7g(0.10mol)を用いた他は合成例1と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC4とした。化合物C4を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した。分析結果より、得られた生成物C4は下記式(20)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は90%であった。
(合成例5)
[ホスホニウムシリケート化合物5]
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、テトラエトキシシラン8.34g(0.040mol)、カテコール13.20g(0.120mol)、予めナトリウムメトキシド4.32g(0.08mol)を20mLのメタノールに溶解したナトリウムメトキシド溶液およびメタノール100mLを仕込み攪拌し均一に溶解させた。攪拌を続けながら、3−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロミド34.80g(0.080mol)を予め25mLのメタノールで溶解した溶液を、フラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し精製結晶を得た。
[ホスホニウムシリケート化合物5]
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、テトラエトキシシラン8.34g(0.040mol)、カテコール13.20g(0.120mol)、予めナトリウムメトキシド4.32g(0.08mol)を20mLのメタノールに溶解したナトリウムメトキシド溶液およびメタノール100mLを仕込み攪拌し均一に溶解させた。攪拌を続けながら、3−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロミド34.80g(0.080mol)を予め25mLのメタノールで溶解した溶液を、フラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し精製結晶を得た。
この化合物をC5とした。化合物C5を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(21)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は84%であった。
(合成例6)
[ホスホニウムシリケート化合物6]
合成例5において、カテコール13.20g(0.120mol)に代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン19.20g(0.120mol)を用いた他は合成例5と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC6とした。化合物C6を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(22)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は91%であった。
[ホスホニウムシリケート化合物6]
合成例5において、カテコール13.20g(0.120mol)に代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン19.20g(0.120mol)を用いた他は合成例5と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC6とした。化合物C6を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(22)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は91%であった。
(合成例7)
[ホスホニウムシリケート化合物7]
合成例5において、カテコール13.20g(0.120mol)に代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン19.20g(0.120mol)を、3−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロミド34.80g(0.080mol)に代わり、テトラフェニルホスホニウムブロミド33.52g(0.080mol)、メタノールに代わりエタノールを用いた他は合成例5と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC7とした。化合物C7を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(23)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は93%であった。
[ホスホニウムシリケート化合物7]
合成例5において、カテコール13.20g(0.120mol)に代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン19.20g(0.120mol)を、3−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロミド34.80g(0.080mol)に代わり、テトラフェニルホスホニウムブロミド33.52g(0.080mol)、メタノールに代わりエタノールを用いた他は合成例5と同様に合成し、精製結晶を得た。この化合物をC7とした。化合物C7を、1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(23)で表される目的のホスホニウムシリケート化合物であることが確認された。収率は93%であった。
上述の合成例の結果を表1及び表2にまとめた。
[硬化遅延剤の合成]
プロトン供与体(D)と、トリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延剤(F)は、以下の様にして合成した。
プロトン供与体(D)と、トリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延剤(F)は、以下の様にして合成した。
(合成例8)
[硬化遅延剤1]
冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、カテコール22.0g(0.20mol)及びメタノール200mLを仕込み、室温攪拌下で均一溶解した。予め3−アミノプロピルトリメトキシシラン17.9g(0.10mol)を20mLのメタノールに溶解した溶液を、室温攪拌下のフラスコ内に滴下した。室温で20分間攪拌した後、反応溶液を1晩静置して、結晶を十分に析出させた後、析出した結晶を濾過、洗浄及び真空乾燥し結晶27.9gを得た。この化合物をF1とした。化合物F1を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F1は下記式(24)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は92%であった。得られた硬化遅延剤F1の1H−NMRスペクトルを図2に示す。
[硬化遅延剤1]
冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、カテコール22.0g(0.20mol)及びメタノール200mLを仕込み、室温攪拌下で均一溶解した。予め3−アミノプロピルトリメトキシシラン17.9g(0.10mol)を20mLのメタノールに溶解した溶液を、室温攪拌下のフラスコ内に滴下した。室温で20分間攪拌した後、反応溶液を1晩静置して、結晶を十分に析出させた後、析出した結晶を濾過、洗浄及び真空乾燥し結晶27.9gを得た。この化合物をF1とした。化合物F1を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F1は下記式(24)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は92%であった。得られた硬化遅延剤F1の1H−NMRスペクトルを図2に示す。
(合成例9)
[硬化遅延剤2]
合成例8において、カテコールに代わり、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル36.4g(0.20mol)を用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶40.3gを得た。この化合物をF2とした。化合物F2を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F2は下記式(25)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は90%であった。
[硬化遅延剤2]
合成例8において、カテコールに代わり、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル36.4g(0.20mol)を用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶40.3gを得た。この化合物をF2とした。化合物F2を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F2は下記式(25)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は90%であった。
(合成例10)
[硬化遅延剤3]
合成例8において、3−アミノプロピルトリメトキシシランに代わり、3−アミノプロピルトリエトキシシラン22.1g(0.10mol)を、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、メタノールの代わりにエタノールを用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶37.9gを得た。この化合物をF3とした。化合物F3を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F3は下記式(26)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は94%であった。
[硬化遅延剤3]
合成例8において、3−アミノプロピルトリメトキシシランに代わり、3−アミノプロピルトリエトキシシラン22.1g(0.10mol)を、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、メタノールの代わりにエタノールを用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶37.9gを得た。この化合物をF3とした。化合物F3を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F3は下記式(26)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は94%であった。
(合成例11)
[硬化遅延剤4]
合成例8において、3−アミノプロピルトリメトキシシランに代わり、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.2g(0.10mol)、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶41.5gを得た。この化合物をF4とした。化合物F4を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F4は下記式(27)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は93%であった。
[硬化遅延剤4]
合成例8において、3−アミノプロピルトリメトキシシランに代わり、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.2g(0.10mol)、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)を用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶41.5gを得た。この化合物をF4とした。化合物F4を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F4は下記式(27)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は93%であった。
(合成例12)
[硬化遅延剤5]
合成例8において、3−アミノプロピルトリメトキシシランに代わり、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン25.5g(0.10mol)、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、メタノールに代わり、エタノールを用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶40.8gを得た。この化合物をF5とした。化合物F5を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F5は下記式(28)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は93%であった。
[硬化遅延剤5]
合成例8において、3−アミノプロピルトリメトキシシランに代わり、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン25.5g(0.10mol)、カテコールに代わり、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、メタノールに代わり、エタノールを用いた他は、合成例8と同様に合成し、結晶40.8gを得た。この化合物をF5とした。化合物F5を1H−NMR分析、MSスペクトル、元素分析により分析した結果、得られた化合物F5は下記式(28)で表されるアンモニウムシリケート分子内塩からなる硬化遅延剤であることが確認された。収率は93%であった。
上述の合成例の結果を表3にまとめた。
(実施例1)
エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER−828、エポキシ当量:190):50質量部、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER−807、エポキシ当量:168):50質量部、酸無水物硬化剤(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製リカシッドMH−700、酸無水物当量:164):85質量部、硬化促進剤(C)として、合成例1で得た硬化促進剤C1:3.30質量部、硬化遅延剤として、合成例8で得た硬化遅延剤F1:1.52質量部を配合し、十分均一分散されるまで3本ロールにかけ、一液エポキシ樹脂組成物を得た。
エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER−828、エポキシ当量:190):50質量部、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製jER−807、エポキシ当量:168):50質量部、酸無水物硬化剤(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製リカシッドMH−700、酸無水物当量:164):85質量部、硬化促進剤(C)として、合成例1で得た硬化促進剤C1:3.30質量部、硬化遅延剤として、合成例8で得た硬化遅延剤F1:1.52質量部を配合し、十分均一分散されるまで3本ロールにかけ、一液エポキシ樹脂組成物を得た。
(実施例2〜10)
エポキシ樹脂(A)、酸無水物硬化剤(B)、硬化促進剤(C)及び硬化遅延剤(F)について、それぞれ表4に示した配合処方に従って配合し、実施例1と同様の手順で、十分均一分散されるまで3本ロールにかけ、一液エポキシ樹脂組成物を得た。
エポキシ樹脂(A)、酸無水物硬化剤(B)、硬化促進剤(C)及び硬化遅延剤(F)について、それぞれ表4に示した配合処方に従って配合し、実施例1と同様の手順で、十分均一分散されるまで3本ロールにかけ、一液エポキシ樹脂組成物を得た。
上記で得られた一液樹脂組成物を、下記項目について評価を行った。
(1)25℃粘度保持日数:一液エポキシ樹脂組成物を、EH型粘度計(東機産業(株)製)により、ロータの型式は3度コーンを用い、温度は25℃で測定した。組成物を25℃で保存し、粘度が<10Pa・sを保持する日数を25℃粘度保持日数とした。粘度保持日数の値が大きいほど保存安定性が良好であることを示す。
(2)100℃粘度保持時間:一液エポキシ樹脂組成物の粘度経時変化を、ポリマーレオメータ(REOLOGICA社製)により、ロータの型式は4度コーンを用い、温度は100℃で測定した。粘度が<10Pa・sを保持する時間を100℃粘度保持時間とした。保持時間が長いほど、加熱注型時の熱安定性が良好であることを示す。
(3)硬化物ガラス転移温度:一液エポキシ樹脂組成物を注型し、100℃/30min+150℃/60minの硬化条件で硬化し、樹脂板を作製した。樹脂板より試験片を作製し、示差走査熱量計DSC−220U(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、窒素気流下で昇温速度10℃/minで測定を行った。DSC測定データから、JIS K7121の方法に準じて、硬化物のガラス転移温度を算出した。ガラス転移温度が高いほど、硬化性および硬化物の耐熱性が優れていることを示す。
(1)25℃粘度保持日数:一液エポキシ樹脂組成物を、EH型粘度計(東機産業(株)製)により、ロータの型式は3度コーンを用い、温度は25℃で測定した。組成物を25℃で保存し、粘度が<10Pa・sを保持する日数を25℃粘度保持日数とした。粘度保持日数の値が大きいほど保存安定性が良好であることを示す。
(2)100℃粘度保持時間:一液エポキシ樹脂組成物の粘度経時変化を、ポリマーレオメータ(REOLOGICA社製)により、ロータの型式は4度コーンを用い、温度は100℃で測定した。粘度が<10Pa・sを保持する時間を100℃粘度保持時間とした。保持時間が長いほど、加熱注型時の熱安定性が良好であることを示す。
(3)硬化物ガラス転移温度:一液エポキシ樹脂組成物を注型し、100℃/30min+150℃/60minの硬化条件で硬化し、樹脂板を作製した。樹脂板より試験片を作製し、示差走査熱量計DSC−220U(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用い、窒素気流下で昇温速度10℃/minで測定を行った。DSC測定データから、JIS K7121の方法に準じて、硬化物のガラス転移温度を算出した。ガラス転移温度が高いほど、硬化性および硬化物の耐熱性が優れていることを示す。
(比較例1〜6)
表2に示した配合処方に従い、実施例1〜10と同様に一液エポキシ樹脂組成物を得た。得られた一液樹脂組成物について実施例同様に評価を行った。
表2に示した配合処方に従い、実施例1〜10と同様に一液エポキシ樹脂組成物を得た。得られた一液樹脂組成物について実施例同様に評価を行った。
実施例及び比較例にて製造した組成物の特性評価結果を表4に示す。
本発明の硬化促進剤(C)および硬化遅延剤(F)を併用した実施例1〜10は、本発明の硬化促進剤(C)および硬化遅延剤(F)を使用しない比較例1〜6と比較して、硬化物のガラス転移温度(耐熱性)を良好なレベルに保ちながら、100℃粘度保持時間が長く熱安定性が向上し、25℃粘度保持日数が長く保存安定性に優れる結果を示した。
一方、従来の硬化促進剤と従来のホウ酸エステル系硬化遅延剤を併用した比較例1〜2、従来の潜在性硬化促進剤を用いた比較例3〜4、および従来の潜在性硬化促進剤と従来のホウ酸エステル系硬化遅延剤を併用した比較例5〜6では、特性バランスが実施例1〜10に及ばない結果を示した。
一方、従来の硬化促進剤と従来のホウ酸エステル系硬化遅延剤を併用した比較例1〜2、従来の潜在性硬化促進剤を用いた比較例3〜4、および従来の潜在性硬化促進剤と従来のホウ酸エステル系硬化遅延剤を併用した比較例5〜6では、特性バランスが実施例1〜10に及ばない結果を示した。
Claims (4)
- 1分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(A)、酸無水物(B)、硬化促進剤(C)、及び下記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と下記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延剤(F)を含むエポキシ樹脂組成物であって、硬化促進剤(C)として下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される、ホスホニウムシリケート化合物を含むことを特徴とする一液型エポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化遅延剤(F)が下記一般式(8)または下記一般式(9)で表される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の一液型エポキシ樹脂組成物。
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