JP2009298721A - ジアミン塩の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミン塩以外の有機酸を除去する、ジアミン塩の精製方法を提供する。
【解決手段】ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミン塩を精製する方法であって、該水溶液をナノ濾過膜に通じて該水溶液中のジアミン塩以外の有機酸を透過液側に除去する工程を含む、ジアミン塩の精製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミン塩を精製する方法に関する。詳しくは、ジアミン塩を含んだ水溶液をナノ濾過膜に通じてジアミン塩以外の有機酸を透過液側に除去する工程を含むジアミン塩の精製方法に関する。
従来、有機酸(例えば、酢酸など)を含んだジアミン塩(例えば、ジアミン硫酸塩)水溶液からジアミン塩を精製する場合、濃縮操作により濃度を高めてジアミン塩を晶析させ、有機酸を含んだ水溶液と固液分離することでジアミン塩を精製する方法が一般的に用いられる。しかしながら、晶析操作を行うと、ジアミン塩の一部は濾液側に含まれるため、ロスが多く、また、有機酸との分離も十分であるとは言えない。例えば、特許文献1で示されている、芳香族ジアミン/芳香族ジカルボン酸塩を精製する方法として、晶析した芳香族ジアミン/芳香族ジカルボン酸塩を濾過・水洗して無機塩などの不純物を除去しているが、濾液および水洗浄液に芳香族ジアミン/芳香族ジカルボン酸塩が含まれていることが予想されるため、ロスが多いという問題がある。また、酸性物質(例えば、硫酸)または有機酸を含んだジアミン塩水溶液に添加してpHを低減させて、抽出などの操作により有機層側に有機酸を、水層側にジアミン塩を分離精製する方法が挙げられる。しかしながら、抽出操作によりジアミン塩と有機酸を分離する場合、多量の有機溶媒(例えば、クロロホルムなど)を必要とし、分配係数の小さい有機酸である場合、有機溶媒により繰り返し抽出操作を行う必要があるという問題があった。さらに、抽出操作後は、有機溶媒および有機溶媒を含んだ水溶液が多量の廃液として排出されることにより、廃液処理コストの増加および、環境負荷の増大という問題点もあった。
特開2007−161757号公報
本発明は、上述したような課題、すなわち、有機酸を含んだジアミン塩水溶液からジアミン塩を精製する場合において、晶析、抽出操作を行わずに有機酸を効果的に除去するという課題を解決し、効率よくジアミン塩を精製する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、有機酸を含んだジアミン塩水溶液を、ナノ濾過膜を用いて濾過することにより、有機酸を高効率で除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(10)から構成される。
(1)ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミン塩を精製する方法であって、該水溶液をナノ濾過膜に通じて該水溶液中のジアミン塩以外の有機酸を透過液側に除去する工程を含む、ジアミン塩の精製方法。
(2)前記ジアミン塩が化学式(1)で表されるジアミンの塩である、(1)に記載のジアミン塩の精製方法。
Figure 2009298721
(式中、nは1から10の整数)。
(3)前記ジアミン塩がジアミン無機酸塩またはジアミンジカルボン酸塩である、(1)または(2)に記載のジアミン塩の精製方法。
(4)前記ナノ濾過膜の機能層がポリアミドである、(1)から(3)のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
(5)前記ポリアミドが架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、化学式(2)で示される構成成分を含有することを特徴とする(4)に記載のジアミン塩の精製方法。
Figure 2009298721
(式中、Rは−Hまたは−CH、nは0から3までの整数を表す。)。
(6)前記工程における水溶液の濾過圧が0.1MPa以上8MPa以下である、(1)から(5)のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
(7)前記透過液側に除去するジアミン塩以外の有機酸がギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸またはこれらの混合物である、(1)から(6)のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
(8)前記ジアミン塩を含んだ水溶液のpHが1以上9未満である、(1)から(7)のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
本発明のジアミン塩の精製方法により、ジアミン塩水溶液中に含まれる有機酸を従来の有機溶媒による固液分離、抽出操作によって除去するよりも、簡単な操作により効果的に除去することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のジアミン塩の精製方法は、ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミン塩を精製する方法であって、ジアミン塩以外の有機酸を透過液側に除去し、非透過液側からジアミン塩を含んだ水溶液を回収する工程を含むことを特徴としている。
本発明のジアミン塩の精製方法で用いるナノ濾過膜とは、ナノフィルトレーション膜、NF膜とも呼ばれるものであり、「一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜」と一般に定義される膜である。数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。
ナノ濾過膜の素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができるが、前記1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の膜素材を含む膜であってもよい。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。複合膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載の、ポリスルホンを膜素材とする支持膜にポリアミドの機能層からなるナノ濾過膜を構成させた複合膜を用いることができる。
これらの中でも高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する、ポリアミドを機能層とした複合膜が好ましい。さらに操作圧力に対する耐久性と、高い透水性、阻止性能を維持できるためには、ポリアミドを機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが好ましい。また、ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの機能層を支持体に有してなる複合半透膜が好ましい。
ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜において、ポリアミドを構成する単量体の好ましいカルボン酸成分としては、例えば、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ピリジンカルボン酸などの芳香族カルボン酸が挙げられるが、製膜溶媒に対する溶解性を考慮すると、トリメシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、またはこれらの混合物がより好ましい。
前記ポリアミドを構成する単量体の好ましいアミン成分としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、メチレンビスジアニリン、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、ジアニシジン、3,3’,4−トリアミノビフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルエーテル、3,3’−ジオキシベンジジン、1,8−ナフタレンジアミン、m(p)−モノメチルフェニレンジアミン、3,3’−モノメチルアミノ−4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、4,N,N’−(4−アミノベンゾイル)−p(m)−フェニレンジアミン−2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾイミダゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾオキサゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾチアゾール)等の芳香環を有する一級ジアミン、ピペラジン、ピペリジンまたはこれらの誘導体等の二級ジアミンが挙げられ、中でもピペラジンまたはピペリジンを単量体として含む架橋ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜は耐圧性、耐久性の他に、耐熱性、耐薬品性を有していることから好ましく用いられる。より好ましくは前記架橋ピペラジンポリアミドまたは架橋ピペリジンポリアミドを主成分とし、かつ、前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドであり、さらに好ましくは架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドである。また、前記化学式(2)中、n=3のものが好ましく用いられる。架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドを機能層とするナノ濾過膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載のものが挙げられ、具体例として、架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、前記化学式(2)中、n=3のものを構成成分として含有するポリアミドを機能層とする東レ株式会社製の架橋ピペラジンポリアミド系半透膜のUTC60が挙げられる。
ナノ濾過膜は一般にスパイラル型の膜エレメントとして使用されるが、本発明で用いるナノ濾過膜も、スパイラル型の膜エレメントとして使用されることが好ましく採用できる。好ましいナノ濾過膜の具体例としては、例えば、架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ前記化学式(2)で示される構成成分を含有するポリアミドを機能層とする、東レ株式会社製のUTC60を含む同社製ナノフィルターモジュールSU−210、SU−220、SU−600、SU−610も使用することができる。また、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするフィルムテック社製ナノ濾過膜のNF−45、NF−90、NF−200、NF−400、あるいはポリアミドを機能層とするアルファラバル社製ナノ濾過膜のNF99、NF97,NF99HF、酢酸セルロース系のナノろ過膜であるGE Osmonics社製ナノ濾過膜のGEsepaなどが挙げられる。
本発明のジアミン塩の精製方法における、「ナノ濾過膜に通じる」とは、ジアミン塩を含んだ水溶液を、ナノ濾過膜に通じて濾過し、ジアミン塩以外の有機酸を透過液側に除去し、非透過液側からジアミン塩を含んだ水溶液を回収することを意味する。
本発明のジアミン塩の精製方法において、ジアミン塩を含んだ水溶液のナノ濾過膜による濾過は、圧力をかけて行ってもよい。その濾過圧は、0.1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるため、0.1MPa以上8MPa以下の範囲で好ましく用いられるが、0.5MPa以上7MPa以下で用いれば、膜透過流束が高いことから、ジアミン塩水溶液を効率的に透過させることができ、膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことからより好ましく、1MPa以上6MPa以下で用いることが特に好ましい。
本発明のジアミン塩の精製方法において、ジアミン塩を含んだ水溶液のナノ濾過膜による濾過は、非透過液を再び原水に戻し、繰り返し濾過することでジアミン塩の回収率を向上させることができる。ジアミン塩の回収率は、ナノ濾過前のジアミン塩総量およびナノ濾過膜非透過ジアミン塩総量を測定することで、式1によって算出することができる。
ジアミン塩回収率(%)=(ナノ濾過膜非透過ジアミン塩総量/ナノ濾過前のジアミン塩総量)×100・・・(式1)。
本発明のジアミン塩の精製方法で用いるナノ濾過膜の膜分離性能としては、温度25℃、pH6.5に調整した塩化ナトリウム水溶液(500mg/L)を0.75MPaの濾過圧で評価したとき塩除去率が45%以上のものが好ましく用いられる。ここでいう塩除去率は前記塩化ナトリウム水溶液の透過水塩濃度を測定することにより、式2によって算出することができる。
塩除去率=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}・・・(式2)。
また、ナノ濾過膜の透過性能としては、0.3MPaの濾過圧において、塩化ナトリウム水溶液(500mg/L)の膜透過流束(m/(m・日))が0.3以上のものが好ましく用いられる。膜透過流束は透過水量および透過水量を採水した時間および膜面積を測定することで、式3によって算出することができる。
膜透過流束(m/(m・日))=透過水量/(膜面積×採水時間)・・・(式3)。
本発明のジアミン塩の精製方法においては、ナノ濾過膜に通じるジアミン塩を含んだ水溶液に酸性物質を添加してよい。添加する酸性物質としては、無機酸、有機酸が挙げられる。無機酸としては、硫酸、塩酸、炭酸、リン酸、硝酸が挙げられ、また、有機酸としては、脂肪族ジカルボン酸(具体例として、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸またはアジピン酸)または芳香族ジカルボン酸(具体例として、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸)、あるいは脂肪族トリカルボン酸(具体例として、クエン酸またはアコニット酸)が挙げられ、好ましくはジカルボン酸塩であり、より好ましくは脂肪族ジカルボン酸である。その際、ジアミン塩を含んだ水溶液のpHは1以上9未満に調整されることが好ましい。ナノ濾過は、溶液中にイオン化していない(非解離)物質の方が、イオン化している(解離)物質に比べて透過しやすい特性から、ジアミン塩を含んだ水溶液のpHを9未満とすることで、ジアミン塩を含んだ水溶液中でイオン化しているジアミンの割合の方がイオン化していないジアミンより多くなり(非解離ジアミン/解離ジアミン<1)、効率的にジアミン塩水溶液を非透過液側から回収することができる。さらに、pHを9未満とすることで、ジアミン塩を含んだ水溶液中でイオン化している有機酸の割合の方がイオン化していない有機酸より少なくなり(非解離有機酸/解離有機酸>1)、効率的に有機酸を透過液側から除去することができる。ジアミン塩を含んだ水溶液のpHが1を下回ると、ナノ濾過膜の耐久性に悪影響を及ぼす場合がある。より好ましいpHの範囲は、1以上7以下である。
本発明のジアミン塩の精製方法においてジアミン塩を含んだ水溶液からナノ濾過膜により透過液側に分離される有機酸としては、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸などのモノカルボン酸が挙げられ、これらの混合物であっても好ましく分離される。
本発明におけるジアミン塩を含んだ水溶液のナノ濾過膜透過性は、ジアミン塩透過率、有機酸透過率、有機酸除去率を算出することで評価できる。
ジアミン塩透過率は、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーに代表される分析により、原水(ジアミン塩を含んだ水溶液)中に含まれるジアミン塩濃度(原水ジアミン塩濃度)および透過水(ジアミン塩水溶液)中に含まれるジアミン塩濃度(透過水ジアミン塩濃度)を測定することで、式4によって算出することができる。
ジアミン塩透過率(%)=(透過水ジアミン塩濃度/原水ジアミン塩濃度)×100・・・(式4)。
有機酸透過率は、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーに代表される分析により、原水中に含まれる有機酸濃度(原水有機酸濃度)および透過水中に含まれる有機酸濃度(透過水有機酸濃度)を測定することで、式5によって算出することができる。
有機酸透過率(%)=(透過水有機酸濃度/原水有機酸濃度)×100・・(式5)。
有機酸除去率は、ナノ濾過前の有機酸総量およびナノ濾過膜透過有機酸総量を測定することで、式6によって算出することができる。
有機酸除去率(%)=(ナノ濾過膜透過有機酸総量/ナノ濾過前の有機酸総量)×100・・・(式6)。
本発明のジアミン塩の精製方法におけるジアミン塩としては、ジアミン無機酸塩またはジアミン有機酸塩が挙げられる。ここでいうジアミン無機酸塩としては、ジアミン硫酸塩、ジアミン塩酸塩、ジアミン炭酸塩、ジアミンリン酸塩またはジアミン硝酸塩が挙げられる。また、ジアミン有機酸塩としては、ジアミンジカルボン酸塩であるジアミン脂肪族ジカルボン酸塩(具体例として、ジアミンシュウ酸塩、ジアミンマロン酸塩、ジアミンリンゴ酸塩、ジアミンフマル酸塩、ジアミンマレイン酸塩、ジアミングルタル酸塩、ジアミンピメリン酸塩、ジアミンスベリン酸塩、ジアミンアゼライン酸塩、ジアミンセバシン酸塩、ジアミンコハク酸塩またはジアミンアジピン酸塩)またはジアミン芳香族ジカルボン酸塩(具体例として、ジアミンフタル酸塩、ジアミンイソフタル酸塩またはジアミンテレフタル酸塩)、あるいはジアミン脂肪族トリカルボン酸塩(具体例として、ジアミンクエン酸塩またはジアミンアコニット酸塩)が挙げられ、好ましくはジアミンジカルボン酸塩であり、より好ましくはジアミン脂肪族ジカルボン酸である。
前記ジアミン塩を形成するジアミンとしては特に限定されず、メチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミンなどの、1,2−シクロヘキシルジアミンなどの、直鎖状、分枝状、環状の脂肪族ジアミン、o−フェニルジアミン、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、1,8−ナフタレンジアミンなどの芳香族ジアミン、脂肪族と芳香族が結合したジアミンが挙げられ、また、リジンのようにカルボン酸が結合したジアミンであってもよい。好ましいジアミンとしては、前記化学式(1)で示される脂肪族ジアミン(具体例として、メチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミンまたは1,10−デカンジアミン)であり、より好ましくは化学式(1)中、n=1から6のジアミン(具体例として、メチレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン)であり、更に好ましくは化学式(1)中、n=5の1,5−ペンタンジアミンである。なお、本発明により精製されるジアミン塩としては1種類に限定されず、複数種類のジアミン塩の混合物であっても好ましく精製することができる。
前記ジアミン塩の製造方法については特に限定されず、有機合成法、発酵法、酵素法、休止菌体法などの製造方法の例が挙げられる。また、発酵法または酵素法である場合、ジアミン塩を含む培養液についても本発明のジアミン塩を含んだ水溶液に含まれる。具体的には、精製されるジアミン塩が1,5−ペンタンジアミン塩の場合、例えば特開2004−114号公報または特開2005−6650号公報に記載の酵素法によりリジンを原料としてリジン脱炭酸酵素反応により製造される1,5−ペンタンジアミン塩水溶液から、あるいは特開2004−222569号公報またはWO2007/113127に記載の糖類を原料とする発酵法により製造される1,5−ペンタンジアミン塩を含む培養液から、本発明により1,5−ペンタンジアミン塩が精製される。また、精製されるジアミン塩が1,4−ブタンジアミン塩の場合、特表2008−505651に記載のオルニチンを原料としてオルニチン脱炭酸酵素(オルニチンデカルボキシターゼ)反応により製造される1,4−ブタンジアミン塩を含む培養液から、本発明により1,4−ブタンジアミン塩を精製することができる。また、精製されるジアミン塩がL−リジン塩の場合、例えば特開昭49−126891号公報に記載の糖類を原料とする発酵法により製造されるL−リジン塩を含む培養液から本発明により、L−リジン塩を精製することができる。
本発明のジアミン塩の精製方法において用いられるジアミン塩水溶液中のジアミン塩の濃度は、特に限定されないが、高濃度であれば、ナノ濾過膜を透過しないジアミン塩水溶液を濃縮する時間を短縮することができることからコスト削減に好適であり、例えば5g/L以上200g/L以下が好ましい。
次に、本発明のジアミン塩の精製方法に用いられるナノ濾過膜の分離膜装置の好ましい態様について説明する。本発明のジアミン塩の精製方法で用いられるナノ濾過膜の分離膜装置の形態としては、ジアミン塩を含んだ水溶液を貯留するための原水槽と、ろ過の駆動力を与える高圧ポンプとナノ濾過膜を装着するためのセルによって主に構成される。
図1は、本発明で用いることができるナノ濾過膜の分離膜装置の例を説明するための概要図である。また、図2は本発明で用いることができるナノ濾過膜の分離膜装置のナノ濾過膜が装着された例を説明するためのセル断面概要図である。次に、図1のナノ濾過膜の分離膜装置によるジアミン塩の精製の形態について説明する。ナノ濾過膜7をセル2に支持板8を用いて装着する。次にジアミン塩を含んだ水溶液を原水槽に投入して、高圧ポンプ3によってジアミン塩水溶液をセルに送液することによってジアミン塩の精製を行う。高圧ポンプ3によるろ過圧力は0.1MPa以上8MPa以下で行うことができる。好ましくは、0.5MPa以上7MPa以下であり、1MPa以上6MPa以下で用いることが特に好ましい。ジアミン塩を含んだ水溶液はセル2に送液されて有機酸を含んだ透過液4が得られる。セルで濃縮された濃縮液5は再び原水槽1に返送される。この時、透過液と等量のジアミン塩を新たに原水槽に投入することで連続的にジアミン塩を精製することも可能である(図示せず)。このようにして、ジアミン塩含んだ水溶液から所望の生産物であるジアミン塩と有機酸を分離し、簡便にジアミン塩を精製することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ジアミン塩濃度のHPLCによる分析方法)
使用カラム:CAPCELL PAK C18(資生堂株式会社製)
移動相:0.1%(w/w)HPO:アセトニトリル=4.5:5.5
検出:UV 360nm
サンプル前処理:分析サンプルを25ulに内部標準として1,3−プロパンジアミン(0.03M)を25μl、炭酸水素ナトリウム(0.075M)を150ul、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(0.2M)のエタノール溶液を添加混合し37℃で1時間保温する。
上記反応溶液50μlを1mlアセトニトリルに溶解後、10000rpmで5分間遠心した後の10μlをHPLC分析した。
(有機酸濃度のHPLCによる分析方法)
使用カラム:Shim−Pack SPR−H(株式会社島津製作所製)
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸
検出:電気伝導度。
(ナノ濾過膜の準備)
ナノ濾過膜として、架橋ピペラジンポリアミド系半透膜“UTC60”(東レ株式会社製)を使用し、ステンレス(SUS316製)製のセルに図2の通りセットした。
実施例1〜3
(1,4−ブタンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
1,4−ブタンジアミン(和光純薬工業株式会社製)の10g/L水溶液(50L)を準備し、pH5(実施例1)、pH6(実施例2)、pH7(実施例3)になるまで濃硫酸(和光純薬工業株式会社製)を添加し、さらに有機酸として、ギ酸(和光純薬工業株式会社製)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)、乳酸(和光純薬工業株式会社製)、ピルビン酸(和光純薬工業株式会社製)を各1g/Lになるように添加し、得られた1,4−ブタンジアミン硫酸塩水溶液を実施例1〜3の出発物質とした。
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で準備した50Lを注入し、ナノ濾過膜が装着されたセル2に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水4を回収した。原水槽1、透過水4に含まれる、1,4−ブタンジアミン硫酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表1に示す。
Figure 2009298721
表1に示すように、ナノ濾過膜により、5、6、7のすべてのpHにおいて、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸が高効率で除去され、1,4−ブタンジアミン硫酸塩が高収率で回収されたことがわかった。
実施例4〜6
(1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
1,5−ペンタンジアミン(和光純薬工業株式会社製)の10g/L水溶液(50L)を準備し、pH5(実施例4)、pH6(実施例5)、pH7(実施例6)になるまで濃硫酸(和光純薬工業株式会社製)を添加し、さらに有機酸として、ギ酸(和光純薬工業株式会社製)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)、乳酸(和光純薬工業株式会社製)、ピルビン酸(和光純薬工業株式会社製)を各1g/Lになるように添加し、得られた1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液を実施例4〜6の出発物質とした。
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で準備した50Lを注入し、ナノ濾過膜が装着されたセル2に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水4を回収した。原水槽1、透過水4に含まれる、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表2に示す。
Figure 2009298721
表2に示すように、ナノ濾過膜により、5、6、7のすべてのpHにおいて、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸が高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩が高収率で回収されたことがわかった。
実施例7〜9
(1,6−ヘキサメチレンジアミン硫酸塩水溶液の準備)
1,6−ヘキサメチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)の10g/L水溶液(50L)を準備し、pH5(実施例7)、pH6(実施例8)、pH7(実施例9)になるまで濃硫酸(和光純薬工業株式会社製)を添加し、さらに有機酸として、ギ酸(和光純薬工業株式会社製)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)、乳酸(和光純薬工業株式会社製)、ピルビン酸(和光純薬工業製)を各1g/Lになるように添加し、得られた1,6−ヘキサメチレンジアミン硫酸塩水溶液を実施例7〜9の出発物質とした。
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で準備した50Lを注入し、ナノ濾過膜が装着されたセル2に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水4を回収した。原水槽1、透過水4に含まれる、1,6−ヘキサメチレンジアミン硫酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表3に示す。
Figure 2009298721
表3に示すように、ナノ濾過膜により、5、6、7のすべてのpHにおいて、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸が高効率で除去され、1,6−ヘキサメチレンジアミン硫酸塩が高収率で回収されたことがわかった。
実施例10〜12
(1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液の準備)
1,5−ペンタンジアミン(和光純薬工業株式会社製)の10g/L水溶液(50L)を準備し、pH5(実施例7)、pH6(実施例8)、pH7(実施例9)になるまでアジピン酸(和光純薬工業株式会社製)を添加し、さらに有機酸として、ギ酸(和光純薬工業株式会社製)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)、乳酸(和光純薬工業株式会社製)、ピルビン酸(和光純薬工業株式会社製)を各1g/Lになるように添加し、得られた1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩水溶液を実施例10〜12の出発物質とした。
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で準備した50Lを注入し、ナノ濾過膜が装着されたセル2に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水4を回収した。原水槽1、透過水4に含まれる、1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表4に示す。
Figure 2009298721
表4に示すように、ナノ濾過膜により、5、6、7のすべてのpHにおいて、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸が高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミンアジピン酸塩が高収率で回収されたことがわかった。
実施例13
(酵素法により製造された1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の準備)
まず、特開2004−114号公報の参考例1(1)〜(3)に記載の方法でL−リジン脱炭酸酵素の調整を行った。次に、50%L−リジン水溶液(Fluka社製)を20%水溶液になるよう希釈し、その水溶液にpH6になるまで硫酸を滴下していきリジン硫酸塩水溶液を調整した。上記リジン硫酸塩水溶液に終濃度0.05mMのピリドキサルリン酸一水和物(Fluka社製)を添加し、そこに終濃度50mg/LのL−リジン脱炭酸酵素を加え、45℃で48時間反応させた。反応終了後、調整した1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液を10g/L(50L)に希釈して、さらに有機酸として、ギ酸(和光純薬工業株式会社製)、酢酸(和光純薬工業株式会社製)、乳酸(和光純薬工業株式会社製)、ピルビン酸(和光純薬工業株式会社製)を各1g/Lになるように添加し、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液を準備した。
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた水溶液50Lを注入し、ナノ濾過膜が装着されたセル2に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水4を回収した。原水槽1、透過水4に含まれる、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表5に示す。
Figure 2009298721
表5に示すように、ナノ濾過膜により、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸が高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩が高収率で回収されたことがわかった。
実施例14
(発酵法により製造された1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の準備)
(1)リジン脱炭酸酵素発現ベクターの作製
データベース(Genbank)に登録されている大腸菌のリジン脱炭酸酵素遺伝子(cadA、アクセッションナンバー;M76411、配列番号1)の塩基配列を元に、PCRプライマー(配列番号2,3)を設計した。PCR用プライマーの末端にはHindIII切断部位とXbaI切断部位がそれぞれ付加されている。
これらのプライマーを用い、大腸菌K12株(ATCC10798)のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、約2.2kbの増幅断片を得た。この増幅断片をHindIIIおよびXbaI(いずれもタカラバイオ株式会社製)により切断後、pUC19(タカラバイオ株式会社製)のHindIII/XbaI切断部位に導入し、リジン脱炭酸酵素発現ベクターpCAD1を作製した。pCADAはlacプロモーターの下流にcadA遺伝子が導入されており、IPTGによる発現誘導が可能である。
(2)宿主への発現ベクターの導入
(1)で作製した発現ベクターpCAD1を大腸菌JM109株に導入した。導入後、組換え大腸菌の選択は抗生物質であるアンピシリン耐性を指標に行い、形質転換体を得た。この形質転換株を大腸菌CAD1株と命名した。
(3)形質転換株による1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の製造
形質転換株の培養は以下のように行った。表6に示すMS培地5mlを試験管に取り、そこに終濃度50mg/Lのアンピシリンを加え1白金耳分のCAD1株を植菌し、30℃で24時間振とうして前々培養した。
Figure 2009298721
次に、MS培地95mlを500mlのバッフル付き三角フラスコに入れ、そこに終濃度50mg/Lのアンピシリンを加えた。この培地に前培養した上記培養液を全量植え継ぎ、37℃で8時間攪拌培養した(前培養)。この前培養液を1LのMS培地を投入したミニジャーファメンター(株式会社バイオット製、容量2L)に植え継ぎ、攪拌速度(800rpm)、通気量(1L/min)、温度(37℃)、pH(pH6.5)を一定にして培養を行った(本培養)。なお、pH調整は2N硫酸および4N水酸化ナトリウムで行い、また、培養開始後15時間に100mLの50%グルコースを追加した。培養は24時間で終了し、菌体を除去した培養上清の1,5−ペンタンジアミン硫酸塩濃度を測定したところ、3g/Lの1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の蓄積が確認され、ギ酸(0.2g/L)、酢酸(10g/L)、乳酸(2g/L)、ピルビン酸(2g/L)の蓄積も確認された。
(ナノ濾過膜による分離実験)
次いで、図1に示す、膜濾過装置の原水槽1に上記で得られた培養液50Lを注入し、ナノ濾過膜が装着されたセル2に通す際、高圧ポンプ3の圧力を1MPaに調整し、透過水4を回収した。原水槽1、透過水4に含まれる、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表7に示す。
Figure 2009298721
表7に示すように、ナノ濾過膜により、ギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸が高効率で除去され、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩が高収率で回収されたことがわかった。
比較例1
(晶析操作による、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の精製)
実施例14と同様に、発酵法で得られた1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(3g/L、50L)をロータリーエバポレーター(東京理化器械株式会社製)を用いて、減圧下(50hPa)で水を蒸発させて濃縮し、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩を晶析した。晶析物を定性濾紙No2(アドバンテック株式会社製)を用いて吸引濾過により濾別した。次いで、晶析濾液中に含まれる、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩、有機酸濃度を、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)により分析した。結果を表8に示す。
Figure 2009298721
表8に示すように、晶析操作により有機酸は除去されているものの、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩が晶析濾液に55g含まれていた。
比較例2
(抽出操作による、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩の精製)
実施例14と同様に、発酵法で得られた1,5−ペンタンジアミン硫酸塩水溶液(3g/L、50L)に30Lのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)を添加し、分液漏斗で抽出した。抽出した有機層、水層中に含まれる、酢酸、1,5−ペンタンジアミン硫酸塩をHPLCで分析したところ、有機層への有機酸除去率は50%であった。抽出後の水層に再びクロロホルム20Lを入れ、分液漏斗で繰り返し抽出したが、除去率は80%を超えることはなかった。一方で、1,5−ペンタンジアミンも有機層に一部含まれており、ロスしていることがわかった。また、抽出操作により100L以上の有機溶媒廃液が産出した。
以上の実施例及び比較例の結果から、ナノ濾過膜により、ジアミン塩を含んだ水溶液から有機酸を高効率で除去でき、ジアミン塩を高収率で精製できることが明らかとなった。すなわち、本発明によって、ジアミン塩を含んだ水溶液をナノ濾過膜を用いて濾過することにより、晶析、有機溶媒を用いた抽出操作を行わずに、ジアミン塩を高収率で精製できることが明らかになった。
本発明の精製方法で用いたナノ濾過膜分離装置の一つの実施の形態を示す概要図である。 本発明の精製方法で用いたナノ濾過膜分離装置のナノ濾過膜が装着されたセル断面図の一つの実施の形態を示す概要図である。
符号の説明
1 原水槽
2 ナノ濾過膜が装着されたセル
3 高圧ポンプ
4 膜透過液の流れ
5 膜濃縮液の流れ
6 高圧ポンプにより送液されたジアミン塩水溶液の流れ
7 ナノ濾過膜
8 支持板

Claims (8)

  1. ジアミン塩を含んだ水溶液からジアミン塩を精製する方法であって、該水溶液をナノ濾過膜に通じて該水溶液中のジアミン塩以外の有機酸を透過液側に除去する工程を含む、ジアミン塩の精製方法。
  2. 前記ジアミン塩が化学式(1)で表されるジアミンの塩である、請求項1に記載のジアミン塩の精製方法。
    Figure 2009298721
    (式中、nは1から10の整数)
  3. 前記ジアミン塩がジアミン無機酸塩またはジアミンジカルボン酸塩である、請求項1または2に記載のジアミン塩の精製方法。
  4. 前記ナノ濾過膜の機能層がポリアミドである、請求項1から3のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
  5. 前記ポリアミドが架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ、化学式(2)で示される構成成分を含有することを特徴とする請求項4に記載のジアミン塩の精製方法。
    Figure 2009298721
    (式中、Rは−Hまたは−CH、nは0から3までの整数を表す。)
  6. 前記工程における水溶液の濾過圧が0.1MPa以上8MPa以下である、請求項1から5のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
  7. 前記透過液側に除去するジアミン塩以外の有機酸がギ酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸またはこれらの混合物である、請求項1から6のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
  8. 前記ジアミン塩を含んだ水溶液のpHが1以上9未満である、請求項1から7のいずれかに記載のジアミン塩の精製方法。
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