JP2009297802A - 動力工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】変速機構117と先端工具を有する動力工具において、変速機構は、互いに平行に配置された第1及び第2の回転軸123,125と、第1のギア列及び第1のクラッチ141を備えた第1の動力伝達経路P1と、第2のギア列及び第2のクラッチ145を備えた第2の動力伝達経路とを有する。先端工具に加わる負荷に応じた、第1及び第2のクラッチの動力伝達状態と動力遮断状態の間での切替わりによって第1及び第2のギア列の噛合い係合状態のままで第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路間で伝達経路の切替えがなされる構成とされる。変速機構は、業者によって操作され、第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路の間での伝達経路の切替わりを規定する切替設定値を調節する切替設定値調節機構を更に有する。
【選択図】図4
Description
特に、従来の変速機構のように、ギアを軸に沿ってスライドさせてギアの噛み合いを切替えることで変速する構成の場合であれば、軸とギアの嵌合面のクリアランスによるがたつきがあり、摩耗を生じ易く、ギアの耐久性に問題がある。また、ギアの噛み合いを切替える際、ギアが切り離される間際、及びギアが噛み合う初期に、歯面の微小な領域でトルクを受けることから、歯の欠けあるいは摩耗といった強度上の問題が生ずることになり、更には、噛み合うときには、歯の干渉によって異音が発生するといった問題もある。しかしながら、本発明によれば、ギアを常時噛み合い式とすることで、ギアの噛み合いを切替える従来方式に見受けられる上記の各問題を解決することができる。
また、本発明における第1の動力伝達経路の構成要素である第1のギア列のギア比(減速比)と、第2の動力伝達経路の構成要素である第2のギア列のギア比は、互いに異なるように設定される。このため、例えば先端工具に作用する負荷が小さい状態では、ギア比の小さい、例えば第1の動力伝達経路を用いて高速低トルクで加工作業を行い、負荷が大きい状態では、ギア比の大きい、第2の動力伝達経路を用いて低速高トルクで加工作業を行なうことができる。
本発明によれば、作業者は、例えば被加工材の種類等により相違する、加工作業時における負荷の大小、あるいは負荷変動の有無等に応じて、第1の伝達モードと、第2の伝達モードまたは第3の伝達モードの少なくとも一方の伝達モードとの間でモード切替えができるため、利便性が向上する。すなわち、高速低トルクと低速高トルクの間で伝達経路が自動的に切替わる自動変速モードを選択することで、あるいは先端工具が高速低トルクで駆動される高速モードまたは低速高トルクで駆動される低速モードの少なくとも一方を選択することで、目的に応じた加工作業を遂行することができる。
本発明によれば、調整部材により弾性部材の付勢力を変えることで切替設定値を容易に調整することができる。
本発明によれば、変速動作の円滑性の高い平行軸式の変速機構を備えた切断工具を提供することができる。
以下、本発明の第1の実施形態につき、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、動力工具の一例としてバッテリを搭載した充電式の丸鋸を用いて説明する。図1は本実施の形態に係る丸鋸101の全体構成を示す側面図であり、図2は丸鋸101の全体構成を示す側断面図であり、図3は丸鋸101の全体構成を示す正面から見た断面図である。図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る丸鋸101は、概括的に見て、被加工材(便宜上図示を省略する)上に載置されて切断方向に移動されるベース111と、当該ベース111の上方に配置される丸鋸本体部103を主体として構成される。丸鋸本体部103は本発明における「動力工具本体」に対応する。
このように、ブレード113に作用する負荷に応じてトルクの伝達経路が高速低トルクの第1動力伝達経路P1から低速高トルクの第2動力伝達経路P2に自動的に切替わる構成としたことにより、変速機構を有しない丸鋸に比べて、駆動モータ115の焼損防止が図れるとともに、バッテリ108の1充電当たりの切断作業量を向上することができる。
ところで、丸鋸101の最大切り込み深さ(ベース111下面からのブレード111の下縁部の突出量)は、図2において、作業者が、ハンドグリップ109を下向きに押し下げて丸鋸本体部103を、ベース111の前端部に設定された回動軸(便宜上図示を省略する)を回動支点にして回動させたとき、便宜上図示を省略するが、ギアハウジング107に設けられた最大切り込み深さの規制部がベース111のストッパに当接することで規定される。従って、例えば外径の大きい摺動式噛み合いクラッチ141を出力軸125に設けたときは、出力軸125の中心からギアハウジング107の下端面107Lまでの距離が大きくなってしまい、最大切り込み能力に影響する。つまり最大切り込み能力が低下することになるが、本実施の形態によれば、中間軸123に摺動式噛み合いクラッチ141を設ける構成としたことにより、出力軸125からギアハウジング107の下端面107Lまでの距離を小さく設定することが可能なため、最大切り込み能力に影響しない。
すなわち、トルクリング152は、駆動側クラッチ部材142が動力伝達状態から動力遮断状態へと切替わる際、当該駆動側クラッチ部材142の山形カム142aが被動側クラッチ部材143の山形カム143aから離間する動力遮断位置よりも更に後退移動された位置、つまり山形カム142a,143a間に長軸方向の所定の隙間が確保される隔離位置へと移動させて当該隔離位置に保持する。このように、摺動式噛み合いクラッチ141は、一旦動力遮断側に切替わると、その後ブレード113に加わる負荷の如何に拘わらず動力遮断状態を保持するため、ブレード113に加わる負荷がクラッチバネ144にて設定される切替設定値の周辺で変動した場合であっても、第2動力伝達経路P2を使用しての低速高トルクでの安定した切断作業を遂行することが可能となる。また、駆動側クラッチ部材142が隔離位置へと移動されて当該隔離位置に保持されることで、山形カム142a,143a間に長軸方向に一定の隙間が確保されるので、確実な動力遮断状態が得られ、山形カム142a,143aの当接による異音あるいは振動の発生を防止できる。
次に本発明の第2の実施形態につき、図21及び図22を参照して説明する。図21はモード切替機構181及び変速トルク調節機構191を示す外観図であり、図22は展開断面図である。本実施の形態は、第1の動力伝達経路P1から第2の動力伝達経路P2に切替わる変速の切替設定値(変速トルク値)につき、作業者が任意に調節することを可能とした変速トルク調節機構191を備えたものであり、この構成以外については、前述した第1の実施形態と同様に構成される。従って、図21及び図22に示された各構成部材については、同一符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。なお、変速トルク調節機構191は、前述したモード切替機構181と併設されており、従って、モード切替機構181によって自動変速モードが選択された場合に機能する。変速トルク調節機構191は、本発明における「切替設定値調節機構」に対応する。
また、変速トルク調節スリーブ192の回動操作については、モード切替スリーブ182の場合と同様の態様で操作できるように構成される。
更にまた、サンダーやダイヤコアドリル等のように、一台の動力工具において、作業に用いる先端工具の寸法の相違や被加工材の相違等により、先端工具に加わる負荷が相違する動力工具に用いると有効である。
また、本実施の形態では、摺動式噛み合いクラッチ141が一旦動力遮断状態に切替わった後は、当該切替わった状態に保持するラッチ機構151を設けたが、当該ラッチ機構151を有しない構成に変更してもよい。
103 丸鋸本体部(動力工具本体)
104 ブレードケース
105 モータハウジング
106 セーフティカバー
107 ギアハウジング
107A インナハウジング
107L 下端面
107b ガイド溝
107c 細孔
107d ガイド溝
107e 細孔
108 バッテリ
109 ハンドグリップ
109a トリガ
111 ベース
111a 開口
113 ブレード
115 駆動モータ
116 モータ軸
117 変速機構
121 入力軸
121a 軸受
123 中間軸(第1の回転軸)
123a 軸受
125 出力軸(第2の回転軸)
125a 軸受
131 ピニオンギア
132 第1中間ギア
133 第2中間ギア
134 第1被動ギア
135 第3中間ギア
136 第2被動ギア
137 キー
138 軸受
139 キー
141 摺動式噛み合いクラッチ(第1のクラッチ)
142 駆動側クラッチ部材
142a 山形カム
143 被動側クラッチ部材
143a 山形カム
144 クラッチバネ
145 ワンウェイクラッチ(第2のクラッチ)
146 外輪
146a カム溝
146b カム面
147 針状ころ
148 バネ
151 ラッチ機構
152 トルクリング
152a 突部
153 収容空間
153a 係合凹部
153b トルク伝達面
153c 斜面
153d ストッパ面
161 変速規制機構(切替規制機構)
162 ストッパ(移動規制部材)
163 圧縮コイルバネ
164 ストッパ収容凹部
165 環状溝(係合部)
166 ガイドピン
167 カバー部材
167a 円筒部
171 電磁ソレノイド
172 ストッパ(移動規制部材)
175 モータ制御回路(モータ制御装置)
176 起動スイッチ
177 制御部
178 スイッチ素子
181 モード切替機構
182 モード切替スリーブ
183 作動体
184 バネ受リング
184a 円筒部
191 変速トルク調節機構
192 トルク調節スリーブ
192a 突条
193 バネ受部材
193a 円板部
193b アーム部
Claims (6)
- 動力源と、変速機構を有し、前記動力源から前記変速機構を介して駆動される先端工具に所定の加工作業を遂行させる動力工具であって、
前記変速機構は、互いに平行に配置された第1及び第2の回転軸と、互いに噛合い係合されるとともに前記第1の回転軸のトルクを第2の回転軸に伝達する駆動ギアと被動ギアの組み合わせを1単位とし、かつ互いにギア比が異なる第1及び第2のギア列を有し、前記第1のギア列を経由するトルクの伝達経路が第1の動力伝達経路として定められ、前記第2のギア列を経由するトルクの伝達経路が第2の動力伝達経路として定められており、前記第1の動力伝達経路上において動力伝達と動力遮断を行う第1のクラッチ、及び前記第2の動力伝達経路上において動力伝達と動力遮断を行う第2のクラッチを更に有し、
前記先端工具に加わる負荷に応じた、前記第1及び第2のクラッチの動力伝達状態と動力遮断状態の間での切替わりによって前記第1及び第2のギア列の噛合い係合状態のままで前記第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路間で伝達経路の切替えがなされる構成とされており、
前記変速機構は、作業者によって操作され、前記第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路の間での伝達経路の切替わりを規定する切替設定値を調節する切替設定値調節機構を更に有することを特徴とする動力工具。 - 動力源と、変速機構を有し、前記動力源から前記変速機構を介して駆動される先端工具に所定の加工作業を遂行させる動力工具であって、
前記変速機構は、互いに平行に配置された第1及び第2の回転軸と、互いに噛合い係合されるとともに前記第1の回転軸のトルクを第2の回転軸に伝達する駆動ギアと被動ギアの組み合わせを1単位とし、かつ互いにギア比が異なる第1及び第2のギア列を有し、前記第1のギア列を経由するトルクの伝達経路が第1の動力伝達経路として定められ、前記第2のギア列を経由するトルクの伝達経路が第2の動力伝達経路として定められており、前記第1の動力伝達経路上において動力伝達と動力遮断を行う第1のクラッチ、及び前記第2の動力伝達経路上において動力伝達と動力遮断を行う第2のクラッチを更に有し、
前記先端工具に加わる負荷に応じた、前記第1及び第2のクラッチの動力伝達状態と動力遮断状態の間での切替わりによって前記第1及び第2のギア列の噛合い係合状態のままで前記第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路間で伝達経路の切替えがなされる構成とされており、
前記変速機構は、作業者によって操作され、前記先端工具に加わる負荷に応じて前記第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路間でトルクの伝達経路が自動的に切替わる第1の伝達モードと、前記第1の動力伝達経路を用いてトルクを伝達する第2の伝達モードまたは前記第2の動力伝達経路を用いてトルクを伝達する第3の伝達モードの少なくとも一方の伝達モードとの間で伝達モードを切替えるモード切替機構を有することを特徴とする動力工具。 - 請求項2に記載の動力工具であって、
前記変速機構は、作業者によって操作され、前記モード切替機構が第1の伝達モードに切替えられた状態で第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路の間での伝達経路の切替わりを規定する切替設定値を調節する切替設定値調節機構を更に有することを特徴とする動力工具。 - 請求項1または3に記載の動力工具であって、
前記第1及び第2のクラッチの少なくとも一方は、前記第1または第2の回転軸上において、互いに対向状に配置された駆動側クラッチ部材と被動側クラッチ部材によって構成されるとともに、前記駆動側クラッチ部材と被動側クラッチ部材のいずれか一方が、互いに噛み合い係合して動力伝達状態とされる動力伝達位置と、噛み合い係合を解除して動力遮断状態とされる動力遮断位置の間で長軸方向にスライド動作する摺動式噛み合いクラッチによって構成されており、
前記摺動式噛み合いクラッチは、前記スライド動作するスライド側のクラッチ部材を動力伝達位置へと付勢する弾性部材を更に有し、前記弾性部材の付勢力によって前記切替設定値が規定されるとともに、当該切替設定値を超える負荷が前記スライド側のクラッチ部材に作用した際に、前記弾性部材の付勢力に抗して前記スライド側のクラッチ部材が動力伝達位置から動力遮断位置へと移動する構成とされており、
前記切替設定値調節機構は、前記弾性部材の付勢力を調整する調整部材を有することを特徴とする動力工具。 - 請求項1または3に記載の動力工具であって、
前記切替設定値は、無段階に調整可能とされていることを特徴とする動力工具。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の動力工具であって、
前記動力源及び前記変速機構を収容する動力工具本体と、
前記動力工具本体の下方に配置されるとともに、被加工材上に載置可能なベースと、を有し、
前記先端工具は、前記動力源により前記変速機構を介して回転駆動されることで被加工材を切断する鋸刃として構成されていることを特徴とする動力工具。
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