JP2009297603A - 噴射ノズル及び該噴射ノズルを用いた槽内異物除去装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】処理槽内に貯留した処理液中で用いられる噴射ノズル1は、ノズル本体2の先端壁4の外面に軸方向視で軸中心側に凸の円弧状に延びるV字溝5を一対に形成し、該各V字溝5の長手方向中間部の底部にはそれぞれ軸方向視三日月形状の噴射口6を形成してなる。ノズル本体2は処理槽の底部に向けて斜めに処理液を噴射するべく傾斜して配置され、かつ前記各噴射口6は上下に並ぶように配置される。この噴射ノズル1を用いて槽内異物除去装置が構成される。
【選択図】図2
Description
前記前処理工程には、車体に付着した異物を洗浄除去するために多段の処理槽(ディップ槽)が配設されており、これら各処理槽の底部には車体に付着して持ち込まれた異物、特に鉄粉やスパッタ等の処理液に対して比重の大きい異物が沈降し堆積される。また、電着塗装工程においても、長期の使用により処理槽の底部に沈降性がある電着塗料の顔料成分等が沈降し固化することがあり、このような鉄粉、スパッタ、固化した顔料成分等が、処理液の対流や車体の槽内移動により巻き上げられて再び車体に付着して塗装不良を生じさせることを防止するために、処理槽の底部に配設したホッパに異物を捕集して該異物を処理液と共にポンプで処理槽外に吸引し、これらをフィルタでろ過することで前記異物を捕捉し除去している。
そして、処理槽の底部には、前記異物を除去した後の処理液を処理槽内に戻すべくホッパ側に向けて噴射する噴射ノズルが配設され、該噴射ノズルから噴射される処理液によって処理槽内に沈降し堆積された異物をホッパ内に捕集している。このとき、処理槽の底部に沈降した異物を巻き上げることなく確実にホッパに導く必要がある。
特許文献2には、液上で用いられる噴射ノズルにおいて、ノズル本体の噴射側の平坦状の頂面に、その直径方向に沿う溝を一対に形成し、該各溝の長さ方向中央部の底部には、それぞれノズル本体内の圧送空間に至る噴射口を形成し、該一対の噴射口より流体を噴射することで、各溝の幅方向の噴射範囲を広げて噴霧の幅(噴霧の厚さ)を大とすると共に、前記各溝の両側壁を頂面に向けて近接させることで、前記幅方向の噴霧を拡散させず噴霧範囲を所定幅に均等化させて噴霧量の均等化を図り、さらに各溝の長さ方向にも噴霧をガイドし、該長さ方向の噴射範囲を均等化すると共に噴霧量の均等化を図る噴射ノズルが開示されている。
上記特許文献2の構成においては、当該噴射ノズルを処理液中で用いると直進性が弱く、その噴出距離を増大させるには、ノズルに対する処理液の供給量を増加させると共に所定の圧力で噴出させるための循環ポンプを大型化する必要があり、コスト高になり易い。またこの場合、噴出された処理液が処理槽の底部に衝突した際に拡散し易く、異物が巻き上げられて車体に付着して塗装不良を生じさせる虞がある。
このとき、各噴射口からの噴射領域における各三日月形状の内周側の領域、及び各噴射口からの噴射領域における各三日月形状の相対する端部間の領域といった、各噴射口からの噴射領域の周囲における軸方向視凹状の領域にある処理液が、各噴射口からの噴射に伴うエゼクター作用(吸引作用)により、各噴射口から噴射した処理液と共に流れて一体の噴射流となる。このため、循環経路(循環ポンプ)の容量を上げなくとも全体の噴出量が増加し、噴射ノズルからの噴射流の噴出幅及び噴出厚さを増大させる。
そして、当該噴射ノズルを処理槽の底部に沈降した異物の除去に使用する場合において、ノズル本体が各噴射口を上下に配した傾斜姿勢に配置されて、処理槽の底部に向けて斜めに処理液を噴射することで、下側(底部に近い側)の噴射口からの噴射流が上側(底部から遠い側)の噴射口からの噴射流よりも先に底部に衝突した際に、該衝突による拡散や巻き上げが上側の噴射口からの噴射流により押さえ込まれ、かつ上側の噴射口からの噴射流の底部への衝突も緩和される。このため、噴射ノズルからの噴射流の直進性が高まって噴出距離を増大させる。
このように、処理液の循環ポンプの大型化等を抑えた上で噴射ノズルの噴出量を増加させ、該噴射ノズルからの処理液の噴出幅及び噴出厚さを増大させ、かつ噴射ノズルからの噴出流の直進性を高めて噴出距離を増大させることで、処理槽の底部に沈降した異物を巻き上げることなく広範囲に渡って良好に除去できると共に、噴射ノズルの個数を削減してコストダウンを図ることができる。
図1〜4に示す噴射ノズル1は、図5他に示す処理槽9内に貯留した処理液10中で用いられるもので、循環経路22から圧送された処理液を噴射して処理槽9の底部14(底面)に沈降堆積した異物をホッパ11(異物捕集部)内に導くものである。処理槽9は、例えば溶接処理が施された自動車の車体等のワークWを処理液10に浸漬し搬送しながら、該ワークWの洗浄や脱脂あるいは電着塗装等の処理を施すものである。
圧送空間3の先端側には半球状の膨出部3aが形成され、該膨出部3aが各V字溝5の長手方向中間部の底部を軸方向視三日月形状に切り欠くことで、先端壁4を貫通する前記各噴射口6が形成される。
噴射ノズル1は、前述の如く各噴射口6を上下に配置し側面視で傾斜した姿勢で、処理槽9内の処理液10中に浸漬されて底部14近傍に配置される。この噴射ノズル1から噴射された処理液は、各V字溝5にガイドされつつ各噴射口6の軸方向視形状と同様の三日月形状の領域に噴射される。
一方、前記角度αが60°を超えると、噴射された処理液が底部14に衝突した際に沈降した異物を巻き上げ、該異物がワークWに付着するという不具合を生じさせる。
そこで、前記角度αを10°以上60°未満、好ましくは20°〜30°の範囲に設定することで、異物の巻き上げを抑えつつこれをホッパ11に良好に導くことができる。
槽内異物除去装置20は、前記処理槽9の底部14の近傍に配設された前記噴射ノズル1と、該噴射ノズル1からの噴射により移動した前記異物を捕集するべく処理槽9の底部14における前記噴射の下流側に配設された前記ホッパ11と、該ホッパ11を通過した処理液中の異物を除去すると共に該処理液を噴射ノズル1に圧送する前記循環経路22とを有してなる。循環経路22には、処理液を循環させると共に噴射ノズル1側に圧送する循環ポンプ21が配設される。なお、図5中符号23は異物と共にホッパ11を通過した処理液をろ過して前記異物を除去するフィルタを示す。
処理槽9の底部14は、例えばプレス成形により製作された凹凸形状(複数の樋形状が並設された形状)を有する鋼板部材16をワーク搬送方向で複数並べ、これら鋼板部材16を互いに溶接結合し一体化することで形成される。なお、図中符号17は各鋼板部材16の外郭を裏面側から補強する補強部材を示す。
各供給管18a,18bはそれぞれ傾斜部14a及び水平部14bの近傍でこれらに沿って延び、これら各供給管18a,18bからは、各ガイド溝15の近傍(直ぐ上方)においてこれらに跨るように複数の前記分配管19が前記幅方向に沿って延びる。
各分配管19はワーク搬送方向で略等間隔となるように配設され、かつ各ガイド溝15両側の山状の側縁15aに当接するように配設される。これら各分配管19における各ガイド溝15の幅方向中央部の上方に位置する部位には、前記噴射ノズル1がそれぞれ取り付けられる。
まず、処理槽9の底部14の近傍に配設された複数の噴射ノズル1から、前述の如く処理液の噴出量を増加させつつ噴出幅、噴出厚さ及び噴出距離を増大させた噴射がなされると、処理槽9の底部14に沈降した異物がホッパ11に良好に捕集される。ホッパ11を通過した異物及び処理液は循環経路22のフィルタ23で分離され、異物を除去した後の処理液は循環ポンプ21を経て各噴射ノズル1へ圧送され、該各噴射ノズル1から再度噴射されて前記異物の捕集に供される。このような処理液の循環により処理槽9の底部14への異物の沈降をなくすことで、当該処理液による所定の処理を良好に行うことができる。
また、各噴射ノズル1の底部14に対する傾斜角度αを前述の如く10°以上60°未満の範囲外とし、底部14に衝突した処理液を巻き上げるようにすることも可能であり、この場合、当該噴射ノズル1を処理液の拡散を要する電着塗装用の処理槽9等に適用可能となる。すなわち、噴射ノズル1は処理槽9内の異物除去のみに用いられるものではなく、処理液中での該処理液の噴射全般に用いることが可能である。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で形状、材料、大きさ、数量及び配置等を変更可能であることはいうまでもない。
2 ノズル本体
3 圧送空間
4 先端壁
5 V字溝
6 噴射口
9 処理槽
10 処理液
11 ホッパ(異物捕集部)
14 底部
15 ガイド溝
19 分配管
22 循環経路
W ワーク
Claims (4)
- 処理槽内に貯留した処理液中で用いられ、筒状のノズル本体内に循環経路から処理液が圧送され、該処理液を前記ノズル本体の軸先端部からその前方に向けて噴射する噴射ノズルであって、
前記ノズル本体の軸先端部を閉じる先端壁の外面に、軸方向視で軸中心側に凸の円弧状に延びる断面V字状のV字溝を一対に形成し、該各V字溝の長手方向中間部の底部に、それぞれ前記先端壁を貫通して前記ノズル本体内の圧送空間に至る軸方向視三日月形状の噴射口を形成したことを特徴とする噴射ノズル。 - 前記ノズル本体が前記処理槽の底部に向けて斜めに処理液を噴射するべく傾斜して配置され、かつ前記各噴射口が上下に並ぶように配置されることを特徴とする請求項1に記載の噴射ノズル。
- 槽内に貯留した処理液中にワークを浸漬して所定の処理を行う処理槽に用いられ、処理槽の底部に沈降した異物を除去する槽内異物除去装置であって、
前記底部の近傍に配設された請求項2に記載の噴射ノズルと、該噴射ノズルからの噴射により移動した前記異物を捕集するべく前記処理槽の底部における前記噴射の下流側に配設される異物捕集部と、該異物捕集部を通過した処理液中の異物を除去すると共に該処理液を前記噴射ノズルに圧送する循環経路と、を備えることを特徴とする槽内異物除去装置。 - 前記底部には互いに平行に延びる複数の断面半円状のガイド溝が形成され、前記底部の近傍には前記循環経路における前記各ガイド溝の延在方向と交差して延びる分配管が配設され、該分配管における各ガイド溝の幅方向中央部の上方に位置する部位には、前記噴射ノズルがそれぞれ設けられることを特徴とする請求項3に記載の槽内異物除去装置。
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