JP2009292877A - 澱粉組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラスチック材料に代えて使用可能で、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用品など各種用途に有用である、各種用途における使用を抑制又は価値を損じることのない成形加工性と優れた物性を持った澱粉組成物に関する。
【解決手段】 本発明においては、澱粉組成物として、成形加工性が優れ、成形物の物性が優れたものを得るために、澱粉100重量部に対し、必須成分である熱可塑性エラストマーを2.5〜10重量部添加することにより得られる澱粉組成物とすることにより、成形加工性と優れた衝撃強度、シートの屈曲割れ及び伸び率の物性が得られることを見いだし、解決した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、廃棄処理されたときに短期間で生分解又は崩壊する澱粉を主成分とする澱粉組成物に関し、特に、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品など各種用途において好適に使用可能であり、衝撃強度、シートの屈曲割れ及び物性(伸び率)を改善した澱粉組成物に関する。
従来のプラスチック成形品は廃棄された際に自然環境では分解し難く、環境を汚染する一つの要因となっている。そこで、近年、自然環境下で分解される素材からなる成形品を使用することが検討されて、実際にも使用されるようになっている。このような自然環境下で分解される樹脂素材として、ポリ乳酸、変性デンプン等の各種の生分解性樹脂が知られている。これらの生分解性樹脂は、廃棄されても自然環境下で最終的に微生物によって分解され環境に悪影響を与えないため、地球環境に優しい樹脂素材である。
こうした生分解性樹脂の一つである、澱粉は、植物由来の天然高分子であり、燃焼に伴って排出される二酸化炭素の量を基準にし、元となる植物(澱粉)が成長過程で吸収した二酸化炭素の量と同じ量となる、いわゆるカーボンニュートラルな素材である。しかし、澱粉自体は高分子量の素材であり、澱粉のままでは成形時の流動性に欠け、成形加工性で難点があることから、水に溶かし熱を加えた物理的な変性やアセチル化ヒドロキシプロピルエーテル化などの化学修飾などを行い可塑性をもたせた澱粉が利用されている。
一方、添加剤により対応することも行われており、生分解性で環境対応であることを考慮したとき、澱粉組成物に添加する添加剤もなるべく天然物のものが好ましい。
物性や成形加工性を改善するために石油系プラスチックの添加剤が用いられることが多い(特許文献1、2)ので、環境に優しい素材として澱粉組成物を用いた成形品を製造する際に、その添加量は最小限にするように考慮する必要がある。
従来、澱粉組成物としては、澱粉に、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトールなどの可塑剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの親水性高分子、グリセリンエステル、脂肪酸などの滑材、ポリプロピレンやポリエチレンなどの石油系プラスチック、タルク、クレーなどの充填材、染料、顔料などの着色材などを加えて使用している。
また、そうした澱粉組成物は各種成形法、例えば、押出成形、T−ダイ押出成形、インジェクション成形、真空圧空成形などの成形方法により、各種包装材料や使い捨ての製品である買物袋、生ゴミ収集袋、使い捨て弁当箱、コップ、食品トレー、ナイフ、フォーク、スプーン、歯ブラシ、クシや農業用製品である農業用袋、育苗ポット、栽培セット、コンポスト袋や緩衝材、飲食用容器などが製造され、製造された澱粉成形品は、近年、環境に優しい成形品として、石油系プラスチック成形品に代わり一部利用され始めている。
しかしながら、澱粉組成物は脆弱で、例えば、T−ダイ押出機から得られたシートを180°θに屈曲した場合に割れるというシートの屈曲割れという問題があり、また、澱粉組成物でできたインジェクション成形品である厚肉の容器類をコンクリート床に落下させた場合に簡単に割れるといった問題もあり、実用上使用に耐えられないのが現状である。
石油系プラスチックでは、耐衝撃性を改善するためにゴム系衝撃性樹脂を添加することが行われている(特許文献3)。しかしながら、澱粉組成物において、そのようなものはないし、環境対応の生分解性を維持しつつ、耐衝撃性、屈曲割れを生じることのない澱粉組成物は未だ試行錯誤されているのが現状である。
特開2001−64458号公報 特開2004−155842号公報 特開平8−259800号公報
本発明は、種々の用途分野へ澱粉組成物を使用するに際して、上記のような環境対応を重視しつつ、飲食用容器を初め、各種包装材料、緩衝材、農業用製品、生活用品などの成形材料として有用な、衝撃強度、シートの屈曲割れ及び物性(伸び率)に優れる澱粉組成物を提供する。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明では、以下のとおり、澱粉組成物として熱可塑性エラストマーを所定量添加することにより、廃棄した後も自然環境にも優しく、かつ衝撃強度、シートの屈曲割れ及び物性(伸び率)に優れる澱粉組成物とすることができ、上記課題を解決するに至った。
本発明の課題を解決するため、本発明の第1のものは、澱粉100重量部に対し、必須成分である熱可塑性エラストマーを2.5〜10重量部添加することを特徴とする澱粉組成物である。
本発明の第2のものは、熱可塑性エラストマーがポリスチレン系ブロック共重合体エラストマーであることを特徴とする澱粉組成物である。
本発明の第3のものは、ポリスチレン系ブロック共重合体エラストマーが、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)であることを特徴とする澱粉組成物である。
本発明の第4のものは、澱粉が生澱粉であることを特徴とする澱粉組成物である。
本発明の第5のものは、澱粉が物理的な変性澱粉であることを特徴とする澱粉組成物である。
本発明の第6のものは、澱粉が化学修飾した澱粉であることを特徴とする澱粉組成物である。
前記各澱粉組成物とすることにより、本発明を完成するに至った。
本発明の澱粉に所定量の熱可塑性エラストマーを添加した澱粉組成物は、衝撃強さ、屈曲割れ、引張強さ及び伸び率が優れた性質を有するもので、また、押出成形、射出成形、真空圧空成形、インフレーション成形、プレス成形などで成形可能で衝撃強さ、屈曲割れ、引張強さ及び伸び率が優れた製品を製造できる。
このため、本発明の澱粉組成物は石油系プラスチックの代替として、一層好適な環境対応型の組成物として各種飲食用容器類や包装材料、緩衝材などへの応用が十分可能である。
上記の本発明について、以下にさらに詳しく説明する。
まず、本発明にかかる澱粉組成物の構成について、本発明に係る、衝撃強度、シートの屈曲割れ及び物性(伸び率)に優れた澱粉組成物又は澱粉成形品に用いる澱粉としては、生澱粉が用いられ、例えば、トウモロコシ澱粉、豆澱粉、タピオカ澱粉、いも澱粉、麦澱粉、米澱粉、キツサバ澱粉、ヒシ澱粉、ハス澱粉、サゴ澱粉、わらび澱粉、クズ澱粉等を挙げることができる。
また、物理的な変性澱粉も用いることができ、アルファー澱粉、湿熱澱粉などを挙げることができる。
さらに、生分解性に影響ない程度に化学修飾した澱粉も用いることができ、例えば、アセト酢酸エステル化澱粉、酢酸エステル化澱粉、ヒドロキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、キサントゲン酢酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、リン酸架橋澱粉、ホルムアルデヒド架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉などを挙げることができる。
本発明において、澱粉として、生澱粉、物理的な変性澱粉又は化学修飾した澱粉の中から、1種単独又は2種以上を組み合わせて配合して使用することができる。
本発明において、澱粉組成物の必須成分は、熱可塑性エラストマーであり、熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系ブロック共重合体エラストマーが好適に用いられ、その分子中にハードセグメントとしてスチレンブロックと、ソフトセグメントとしてエチレン、プロピレン、ブタジエン、ブチレン、イソプレンなどから選択されたコモノマーのブロックとを含むブロック共重合体が用いられる。
ブロック共重合体として、具体的には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、又はこれらの水素添加物があげられる。そして水素添加物としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが好適に用いられ、特に、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)がより好ましい。
本発明の澱粉組成物の主要成分は、澱粉と熱可塑性エラストマーからなり、その組成は、澱粉100重量部に対し、上記熱可塑性エラストマーを2.5〜10重量部添加することから構成される。熱可塑性エラストマーの添加量が2.5重量部未満では、衝撃強度、シートの屈曲時の割れ、物性(伸び率)の改善効果が乏しく、また、10重量部を超えた場合は軟化温度の低下、靱性ないし引張強度の低下となり、澱粉組成物から成形されたものが、柔らかく、腰がないものとなって製品用途が限定され、好ましくない。
熱可塑性エラストマーはペレット状でも粉体状でも良く、押出機やインジェクション成形機などで成形時に混合、混練され、均一に分散できる。
本発明の澱粉組成物は、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品など各種用途に好適に使用が可能であり、上記の澱粉、熱可塑性エラストマー以外に、各種の添加剤を各種用途及び求められる物性、機能に応じて選択し、本発明の目的を損なわない範囲で1種又は2種以上を組み合わせて添加することもできる。
使用する添加剤としては、具体的には、可塑剤としてソルビトール、マンニトール、D−グルコース、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げることができる。
本発明の澱粉組成物に、機械的強度の調整及び配合原価を低減するために、充填剤を添加してもよい。適当な充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカなどが挙げられる。滑剤としては、グリセリンエステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、パラフィン、ポリエチレンワックスなどが挙げることができる。さらに、成形加工性、物性を改質するために、必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アルキレン/アクリレート又はメタクリレート共重合体などの石油系プラスチック、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子材料、NBR、SBR、天然ゴム、クロロプレンなどのラテックス、各種アクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどのエマルジョン、各種合成ゴム、天然ゴム、ポリ乳酸などの生分解性樹脂などの高分子材料、水なども添加できる。必要に応じて、酸化チタン、カーボンブラック、染料、顔料などの着色剤も使用できる。機械的強度を向上するためにケナフ、麻などの天然繊維やポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維、各種ウイスカやガラス繊維などの強化材を使用することもできる。
また、軽量化、断熱性を上げるため、アゾジカーボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの化学発泡剤、炭酸ガス、窒素ガスやブタン、ペンタン、プロパンなどの炭化水素の発泡剤、重炭酸ソーダなどの無機質発泡剤、シラスバルーン、ガラスバルーン、有機質バルーンなどの中空体などを添加することもできる。
難燃化する目的で、ペンタブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素化合物系難燃剤、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物系難燃剤などを添加できる。その他にも必要に応じて酸化防止剤、架橋剤、相溶化剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の成形品の製造には、通常の石油系プラスチックの成形技術が適用可能である。例えば、ヘンシエルミキサー、タンブラー型混合機、バーバリミキサー、ニーダーミキサーなどの混合機にて澱粉や熱可塑性エラストマー及び他の添加剤を混合し、漸次、押出機による成形品の製造、T−ダイ押出機によるシートの製造、インフレーション成形機によるフィルムの製造、カレンダー成形機によるシートの製造、インジェクション成形機による成形品の製造などの成形加工技術及び成形加工機が採用できる。
また、原料となる澱粉組成物をそのまま混練、混合し成形するのではなく、混合機にて混合した後、一軸又は二軸の押出機によりペレットを製造し、そのペレットをマスターペレットとして用いて上記の各成形加工機による製品の製造、真空圧空機による成形品の製造など成形加工することもできる。
ペレットを製造する際、ストランドダイから押し出したストランドのカッティングは、水槽にて冷却後にカットすると、澱粉が吸湿性であるため、製品の不良原因(ピンホールの発生など)となることを考えると、ホットカットによる方が好ましい。
本発明の澱粉組成物を、組成を同じにして成形品を製造する際に、採用される成形温度域は、押出成形、T−ダイ押出成形、インジェクション成形、インフレーション成形などでは、概ね、160〜220℃の範囲である。成形温度が220℃を越えた場合は、ヤケの発生や分解の発生が起きる。著しい場合は、茶色又は黒色に変色し、シリンダー内の焼き付きにより成形機を損傷する。また、160℃未満の成形温度域では澱粉組成物が未溶融状態で吐出され、好ましくない。著しい場合は、シリンダーとスクリュー間の剪断力が高まり、圧力上昇とともに、トラブルの原因となる。
また、シリンダー内の滞留時間が長い場合にも、澱粉組成物のヤケの発生や分解が起きる。成形温度や吐出速度にもよるが、シリンダー内の滞留時間は最大でも5分以内が好ましい。
また、成形後のパージ作業は重要であり、残留物が存在すると、以降の成形品に異物が混入し、不良品の原因となる。特に、インジェクション成形は注意を要し、例えば、澱粉では含有水分のため計量が不安定になることがある。シリンダー内の澱粉含有水分が水蒸気となり、蒸気圧となってスクリューが戻されるためである。そして、これにより、保圧から計量に替わるタイミングでスクリューがバックし、著しい場合は、設定値を超えて計量不能となることもある。したがって、澱粉組成物は計量に際し定量供給が可能となるように背圧を高めに設定し、スクリュー回転数は遅めとする。また、回転数を上げ過ぎるとヤケや分解の発生の原因となる。
また、T−ダイ押出機によりシート状に押し出し成形したシートは、引取りロールの温度を60℃以下に設定し、所定の厚さに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取られる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
得られた澱粉組成物について、澱粉組成物の物性を評価するために下記試料作成方法により試験試料のシート等を成形し、下記の測定方法に従って成形したシートの引張力及び伸び率、アイゾット衝撃試験法による衝撃強さ、屈曲割れを測定し、評価した。その測定方法は、以下の要領で行った。
測定方法
<衝撃強さ>
下記試料作成方法に従って作成した試料片を使用して、JIS K-7110に従ってノッチ付きアイゾット衝撃試験により測定した。
<引張力及び伸び率>
下記試料作成方法に従って作成したT−ダイ押出機により成形したシートを使用してJIS K-7127に従って、引張スピード:50 mm/minでシートのM/D方向について測定した。
<屈曲割れ>
下記試料作成方法に従って作成したT−ダイ押出機により成形したシート(厚さ約0.5 mm)を標準室;室温23℃、湿度50%RHの条件下に一昼夜放置後、手で180°θに屈曲した時のシートの割れの有無を観察した。
本発明の実施例及び比較例における使用原料及び試料作成方法は、以下のとおりである。
使用原料については、本発明の澱粉組成物を配合するために
澱粉:日本コーンスターチ(株)製、アミロックNo.1A(アルファー化コーンスターチ)
熱可塑性エラストマー:A;住友化学(株)製 SB−2610(SEBS系):B;クラレ(株)製 セプトンSー4055(SEEPS系)
ポリプロピレン:(株)プライムポリマー製 E−150GK,ブロックタイプ
グリセリン:昭和化学(株)製 試薬一級
滑剤:クラリアントジャパン(株)製 LICOWAX OP−PDR(モンタン酸エステル)
ソルビトール:昭和化学(株)製 試薬一級
ポリビニルアルコール:日本酢ビ・ポリマー(株)製 JP−18S
の原材料を用いた。上記した各原材料を表1の配合割合にしたがって澱粉組成物を調製した。
本発明の澱粉組成物を用いて以下のように試験試料を作成した。
(1)混合
本発明の澱粉組成物に配合する各原材料の混合には25Lヘンシエルミキサーを使用して、混合条件;500rpm×3分、1000rpm×5分で澱粉組成物の成分を混合した。なお、Lは単位で、リットルを意味する。以下同様。
(2)ペレットの作成
本発明の澱粉組成物のペレットを製造する方法は、上記混合処理により調製された澱粉組成物をベント口付き一軸押出機:スクリュー;50φ、L/D=28を使用して一軸押出機のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を180〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、ノズルからストランド状に押し出し、ホットカットして所定寸法のペレットとした。
(3)シートの作成
本発明の澱粉組成物からシートを製造する方法は、上記混合処理により調製されたペレットをT−ダイ一軸押出機(LAB TECHエンジニアリング社製、ベント口有):ダイス開口部幅:300mm、スクリュー:25φ、L/D=30、回転数88rpm、一軸のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を175〜195℃の範囲内にある運転温度に設定した状態でシート状に押し出し、引取りロールの温度を55℃に設定し、所定の厚さ0.7mmに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取った。
本発明では、表1の配合割合に従って熱可塑性エラストマーを添加して調製された澱粉組成物を、上記の試料作成方法のようにして成形した試験試料を用いて、成形したシートの引張力及び伸び率、アイゾット衝撃試験法による衝撃強さ、屈曲割れについて評価する。
[実施例1]
澱粉としてアルファー化コーンスターチ(日本コーンスターチ(株)製、アミロックNo.1A)を100部(重量部。以下同じ。)、SEBS系熱可塑性エラストマー(住友化学(株)製 SB−2610)を2.5部、可塑剤としてグリセリン(昭和化学(株)製、試薬一級)を6部、ソルビトール(昭和化学(株)製、試薬一級)を5部、滑剤としてモンタン酸エステル(クラリアントジャパン(株)製 LICOWAX OP−PDR)を0.5部、さらに、成形加工性と物性を改質するためポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポリマー(株)製、JP−18S)を1部、それぞれを配合し、25Lヘンシエルミキサーに入れ、混合条件;500rpm×3分、1000rpm×5分で混合して調製された澱粉組成物を、ベント口付き一軸押出機:スクリュー;50φ、L/D=28に供給し、一軸押出機の加熱帯域の各設定温度を180〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、ノズルからストランド状に押し出し、ホットカットして所定寸法のペレットとした。
上記ペレットを、T−ダイ一軸押出機(LAB TECHエンジニアリング社製、ベント口有):ダイス開口部幅:300mmに供給し、回転数88rpm、一軸のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を175〜195℃の範囲内にある運転温度に設定した状態でシート状に押し出し、引取りロールの温度を55℃に設定し、所定の厚さ0.7mmに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取った。
その製造したシート等について、上記評価方法に従って、成形したシート等の引張力及び伸び率、アイゾット衝撃試験法による衝撃強さ、屈曲割れについて測定した。得られた澱粉組成物の物性は伸び率が294%、衝撃強さ9.3 KJ/m2であった。その結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例2では、実施例1で用いた澱粉組成物の配合組成のうち、熱可塑性エラストマーをSEEPS系熱可塑性エラストマー(クラレ(株)製 セプトンS−4055)に代えるとともに、その配合量を6部に変更した以外は、実施例1と同じ表1のとおりの配合組成の澱粉組成物を得た。得られた澱粉組成物から実施例1と同様の方法で、ペレット、シートを成形し、得られたシート等につき実施例1と同様の測定方法により測定し、澱粉組成物の物性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例3、4]
実施例3及び4では、実施例1で用いた澱粉組成物の配合組成のうち、SEBS系熱可塑性エラストマー(住友化学(株)製 SB−2610)の配合量を6部及び10部に変更した以外は、実施例1と同じ配合組成とし、澱粉組成物を得た。得られた澱粉組成物から実施例1と同様の方法で、ペレット、シートを成形し、得られたシート等につき実施例1と同様の測定方法により測定し、澱粉組成物の物性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1、2]
比較例1、2では、熱可塑性エラストマーを添加せず、比較例2では、さらに、従来澱粉の成形性を改質するため用いられているポリプロピレン((株)プライムポリマー製 E−150GK,ブロックタイプ)25部を配合し、その他の成分は実施例1と同じ配合組成とし、澱粉組成物としたもので、得られた澱粉組成物の物性は実施例1と同様にシート、容器を成形し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2009292877
表1の結果のとおり、比較例1、比較例2は、熱可塑性エラストマーが添加されていない、澱粉と可塑剤のみ、及び従来知られているポリプロピレンを添加し改質した澱粉組成物にあたるもので、衝撃強さ、伸び率が低かったのに対し、実施例1〜実施例4の、熱可塑性エラストマーが本発明の澱粉組成物にかかる配合組成のものでは、衝撃強さ、伸び率における改善が著しいことがその数値に表れており、熱可塑性エラストマーが2.5重量部と少量でも物性の改善がみられ、かつ弾性の改善に伴い折曲割れもなく、効果がみられる。また、同じ熱可塑性エラストマーではあるが、実施例2、実施例3の比較から、SEBS系の方がSEEPS系のエラストマーよりも物性の改善が大きいことが明らかである。また、実施例4にみられるように熱可塑性エラストマーの量が10重量部で、澱粉本来の引張強さは低下するが、衝撃強さが計測できていないほどの衝撃値を示している。
本発明の澱粉組成物は、熱可塑性エラストマーの物性に大きく依存し、少量でもその添加の効果が現れるので、最適な熱可塑性エラストマーを選択することで澱粉本来の生分解性、カーボンニュートラルな素材の特性を失わないで優れた物性を有する澱粉組成物とすることができる。

Claims (6)

  1. 澱粉100重量部に対し、必須成分である熱可塑性エラストマーを2.5〜10重量部添加したことを特徴とする澱粉組成物。
  2. 熱可塑性エラストマーがポリスチレン系ブロック共重合体エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の澱粉組成物。
  3. ポリスチレン系ブロック共重合体エラストマーが、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、又はスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の澱粉組成物。
  4. 澱粉が生澱粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の澱粉組成物。
  5. 澱粉が物理的な変性澱粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の澱粉組成物。
  6. 澱粉が化学修飾した澱粉であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の澱粉組成物。
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