JP2009292876A - 消臭澱粉組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 プラスチック材料に代えて使用可能で、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用品など各種用途に有用である、消臭澱粉組成物からの臭気の発生を抑え、各種用途における使用を抑制又は価値を損じることのない消臭機能を持った消臭澱粉組成物及びその消臭澱粉組成物を用いた澱粉成形物に関する。
【解決手段】 本発明の消臭澱粉組成物は、澱粉臭の消臭効果を発揮させるために、澱粉100重量部に対して、平均粒径が50μm以下の酸化カルシウムを3〜20重量部添加したことにより、安価で、澱粉臭の消臭効果が高く、長期間安定して消臭効果が得られる消臭澱粉組成物及びその組成物を用いて成形加工することにより澱粉臭の消臭効果に優れた、各種用途の消臭澱粉組成物成形物を得ることができ、解決した。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の消臭澱粉組成物は、澱粉臭の消臭効果を発揮させるために、澱粉100重量部に対して、平均粒径が50μm以下の酸化カルシウムを3〜20重量部添加したことにより、安価で、澱粉臭の消臭効果が高く、長期間安定して消臭効果が得られる消臭澱粉組成物及びその組成物を用いて成形加工することにより澱粉臭の消臭効果に優れた、各種用途の消臭澱粉組成物成形物を得ることができ、解決した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、廃棄処理されたときに短期間で生分解又は崩壊する澱粉を主成分とする消臭澱粉組成物に関し、特に、飲食用容器を初め、シート、フィルムなどの各種包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品など各種用途に有用である、消臭澱粉組成物自体の分解、変性、あるいは重合時の未反応成分の揮散、分解等により、不快な臭気を発生し、各種用途における使用を抑制又は価値を損じることのない消臭機能を持った消臭澱粉組成物及びその消臭澱粉組成物を用いた澱粉成形品に関する。
従来のプラスチック成形品は廃棄された際に自然環境では分解し難く、環境を汚染する一つの要因となっている。そこで、近年、自然環境下で分解される素材からなる成形品を使用することが検討されて、実際にも使用されるようになっている。このような自然環境下で分解される樹脂素材として、ポリ乳酸、変性デンプン等の各種の生分解性樹脂が知られている。これらの生分解性樹脂は、廃棄されても自然環境下で最終的に微生物によって分解され環境に悪影響を与えないため、地球環境に優しい樹脂素材である。
こうした生分解性樹脂の一つである、澱粉は、植物由来の天然高分子であり、燃焼に伴って排出される二酸化炭素の量を基準にし、元となる植物(澱粉)が成長過程で吸収した二酸化炭素の量と同じ量となる、いわゆるカーボンニュートラルな素材である。しかし、澱粉自体は高分子量の素材であり、澱粉のままでは成形時の流動性に欠け、成形加工性で難点があることから、水に溶かし熱を加えた物理的な変性やアセチル化ヒドロキシプロピルエーテル化などの化学修飾などを行い可塑性をもたせた澱粉が利用されている。
こうした生分解性樹脂の一つである、澱粉は、植物由来の天然高分子であり、燃焼に伴って排出される二酸化炭素の量を基準にし、元となる植物(澱粉)が成長過程で吸収した二酸化炭素の量と同じ量となる、いわゆるカーボンニュートラルな素材である。しかし、澱粉自体は高分子量の素材であり、澱粉のままでは成形時の流動性に欠け、成形加工性で難点があることから、水に溶かし熱を加えた物理的な変性やアセチル化ヒドロキシプロピルエーテル化などの化学修飾などを行い可塑性をもたせた澱粉が利用されている。
一方、添加剤により対応することも行われており、生分解性で環境対応であることを考慮したとき、消臭澱粉組成物に添加する添加剤もなるべくなら天然物のものが好ましい。
物性や加工性を改善するために石油系プラスチックの添加剤が用いられることが多い(特許文献1、2)ので、環境に優しい素材として澱粉組成物を用いた成形品を製造する際は、その添加量は最小限にするように考慮する必要がある。
物性や加工性を改善するために石油系プラスチックの添加剤が用いられることが多い(特許文献1、2)ので、環境に優しい素材として澱粉組成物を用いた成形品を製造する際は、その添加量は最小限にするように考慮する必要がある。
従来、澱粉組成物としては、澱粉に、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトールなどの可塑剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの親水性高分子、グリセリンエステル、脂肪酸などの滑材、ポリプロピレンやポリエチレンなどの石油系プラスチック、タルク、クレーなどの充填材、染料、顔料などの着色材などを加えて使用している。
また、そうした澱粉組成物は各種成形法、例えば、押出成形、T−ダイ押出成形、インジェクション成形、真空圧空成形などの成形方法により、各種包装材料や使い捨ての製品である買物袋、生ゴミ収集袋、使い捨て弁当箱、コップ、食品トレー、ナイフ、フォーク、スプーン、歯ブラシ、クシや農業用製品である農業用袋、育苗ポット、栽培セット、コンポスト袋や緩衝材、飲食用容器などが製造され、製造された澱粉成形品は、近年、環境に優しい成形品として、石油系プラスチック成形品に代わり一部利用され始めている。
しかし、こうした生分解性樹脂は、成形加工における加熱、あるいは成形品とした後の使用時の温度によって、生分解性樹脂自体が分解、変性、さらには、重合時の未反応成分の揮散、分解により独特の不快な臭気を発生させることがある。
澱粉にあっては、周知のとおり、澱粉自体に特有の臭気があり、例えば、飲食用容器に加温した飲食物を入れ、蓋を施した場合、澱粉特有の臭気が顕著に表れ、著しい場合には飲食物に臭気が移行し、問題となっている。
このように、澱粉組成物においては、澱粉特有の臭気を発生するため、その臭気が各種用途での澱粉組成物の使用を抑制したり、成形品としての価値を損じたりする恐れがある。
石油系プラスチックにおいては、消臭目的で各種消臭剤をプラスチック中に添加して、目的の臭いを消臭する対処的な消臭が図られている(特許文献3)。しかし、澱粉組成物では、石油系プラスチックと異なり、主成分である澱粉それ自体の臭が主であり、その臭いを低減させる必要があり、効果的な澱粉臭の持続的な消臭効果を実現できていないのが実情である。
特開2001−64458号公報
特開2004−155842号公報
特開2005−246053号公報
本発明は、種々の用途分野へ澱粉組成物を使用するに際して、上記のような環境対応を重視しつつ、飲食用容器を初め、各種包装材料、緩衝材、農業用製品、生活用品などの成形材料として有用な、安価で、澱粉臭の消臭効果が高く、長期間安定して消臭効果が得られる消臭澱粉組成物及びその組成物を用いた澱粉成形品を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明では、以下のとおり、澱粉に酸化カルシウムを消臭剤成分として所定量添加することにより、安価に入手でき、廃棄した後も自然環境にも優しく、かつ澱粉臭の消臭効果に優れ、長期間安定して消臭効果を発揮する消臭澱粉組成物とすることができ、上記課題を解決するに至った。
本発明の課題を解決するため、本発明の第1のものは、澱粉100重量部に対し、平均粒径が50μm以下の酸化カルシウムを3〜20重量部添加したことを特徴とする消臭効果に優れた消臭澱粉組成物である。
本発明の第2のものは、消臭澱粉組成物に用いる澱粉が生澱粉であることを特徴とする消臭澱粉組成物である。
本発明の第3のものは、消臭澱粉組成物に用いる澱粉が物理的な変性澱粉であることを特徴とする消臭澱粉組成物である。
本発明の第4のものは、消臭澱粉組成物に用いる澱粉が化学修飾した澱粉であることを特徴とする消臭澱粉組成物である。
本発明の第5のものは、酸化カルシウムを消臭剤として用いた消臭澱粉組成物を用いて成形されたことを特徴とする澱粉成形品。
本発明の第6のものは、澱粉成形品が、押出成形から製造されたことを特徴とする成形品である。
本発明の第7のものは、澱粉成形品がT−ダイ押出成形から製造されたことを特徴とするシートである。
本発明の第8のものは、澱粉成形品がインフレーション成形から製造されたことを特徴とするフィルムである。
本発明の第9のものは澱粉成形品が真空圧空成形から製造されたことを特徴とする成形品である。
本発明の第10のものは、澱粉成形品がインジェクション成形から製造されたことを特徴とする成形品である。
本発明の第11のものは、澱粉成形品がカレンダー成形から製造されたことを特徴とするシートである。
これら消臭澱粉組成物及びその組成物を用いた澱粉成形品とすることにより、本発明を完成するに至った。
本発明の澱粉に所定量の酸化カルシウムを添加した消臭澱粉組成物は、澱粉臭を確実に消臭する優れた消臭効果を持つもので、また、その消臭澱粉組成物から製造した澱粉成形品は押出成形、T−ダイ押出成形、インジェクション成形、インフレーション成形、カレンダー成形などの成形に適した成形加工性にも優れた環境対応型で、かつ消臭性に優れた成形品を製造することができる。
このため、本発明の消臭澱粉組成物は石油系プラスチックの代替として、一層好適な環境対応型の組成物であり、各種飲食用容器類や包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品などへの応用が十分可能である。
上記の本発明について、以下にさらに詳しく説明する。
まず、本発明にかかる消臭澱粉組成物の構成について、本発明に係る、消臭に優れた消臭澱粉組成物又は澱粉成形品に用いる澱粉としては、生澱粉が用いられ、例えば、トウモロコシ澱粉、豆澱粉、タピオカ澱粉、いも澱粉、麦澱粉、米澱粉、キツサバ澱粉、ヒシ澱粉、ハス澱粉、サゴ澱粉、わらび澱粉、クズ澱粉等を挙げることができる。
まず、本発明にかかる消臭澱粉組成物の構成について、本発明に係る、消臭に優れた消臭澱粉組成物又は澱粉成形品に用いる澱粉としては、生澱粉が用いられ、例えば、トウモロコシ澱粉、豆澱粉、タピオカ澱粉、いも澱粉、麦澱粉、米澱粉、キツサバ澱粉、ヒシ澱粉、ハス澱粉、サゴ澱粉、わらび澱粉、クズ澱粉等を挙げることができる。
また、物理的な変性澱粉も用いることができ、アルファー澱粉、湿熱澱粉などを挙げることができる。
さらに、生分解性に影響ない程度に化学修飾した澱粉も用いることができ、例えば、アセト酢酸エステル化澱粉、酢酸エステル化澱粉、ヒドロキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、キサントゲン酢酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、リン酸架橋澱粉、ホルムアルデヒド架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉などを挙げることができる。
本発明において、澱粉として、生澱粉、物理的な変性澱粉又は化学修飾した澱粉の中から1種単独又は2種以上を組み合わせて配合して使用することができる。
本発明において、澱粉組成物の必須成分は、消臭剤であって、該消臭剤は酸化カルシウムである。酸化カルシウムは生石灰とも呼ばれ、炭酸カルシウムを900℃以上に加熱し、二酸化炭素を放出して製造される。本発明で使用する酸化カルシウムは粒径が小さいものが好ましく、粒径が小さいものは表面積が大きくなり、結果、消臭能力が大きくなり、消臭効果に有利である。しかし、あまり粒径が小さくなりすぎると、粉末がダマになり、消臭澱粉組成物として均一に混合しにくくなり、成形品の消臭効果にムラが出て、臭気を効率的に除去できないので好ましくない。
本発明において、使用する酸化カルシウムの平均粒径は、50μm以下のものが採用される。50μmを超えた場合は、同量の粒径が小さいものに比較して粒子の表面積が小さくなるため、消臭能力が劣り、さらには、成形品中での分散性が劣り、かつ、粒径の大きい粒子が存在することもあって、消臭効果が乏しく、物性や製品の外観も劣る結果となる。少ない量で効果的に消臭でき、成形加工性がよく、製品の外観に影響しないことを総合的に考慮して、本発明の消臭澱粉組成物に使用する酸化カルシウムは、平均粒径が50μm以下のものを使用した。
酸化カルシウムの成形加工中の分散性を考慮して、ステアリン酸などの脂肪酸で酸化カルシウムの表面を処理したものも使用できる。そのようなものとして、近江化学工業(株)製:CML#31があり、使用できる。また、ポリプロピレンないしポリエチレンなどと酸化カルシウムを混合したマスターバッチを作成し、マスターバッチを成形品の成形に用いるようにすると、酸化カルシウム自体の吸湿が少なく、保管上安全であり、好適に使用できる。例えば、近江化学工業(株)製:Bell−CML−P、Bell−CML−EMが挙げられる。
本発明においては、消臭澱粉組成物は、消臭効果を発揮させるために、澱粉100重量部に対して、酸化カルシウムを3〜20重量部添加することが適当である。3重量部未満では消臭効果が乏しく、本来の目的が達成できなく、また、20重量部を超えた場合は、抗張力、伸び率、引裂力などの物性も脆弱となり好ましくなく、製品としての使用に耐えないものとなり、製品用途が限定される。さらに、加工性が劣り、例えば、T−ダイ押出機によるシート成形が困難となる。
また、酸化カルシウムの比重が3.35と大きく、添加量の増加に従い製品重量も大きくなり、実用上問題である。
また、酸化カルシウムの比重が3.35と大きく、添加量の増加に従い製品重量も大きくなり、実用上問題である。
本発明では、飲食用容器を初めて、シート、フィルムなどの包装材料、緩衝材、生活用品、農業用製品など各種用途に好適に使用が可能であり、その際、上記の澱粉、酸化カルシウム以外に各種の添加剤を各種用途及び求められる物性、機能に応じて選択し、本発明の目的を損なわない範囲で1種又は2種以上を組み合わせて添加することもできる。
本発明の消臭澱粉組成物に使用する添加剤としては、具体的には、可塑剤としてソルビトール、マンニトール、D−グルコース、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。
本発明の消臭澱粉組成物に、機械的強度の調整及び配合原価を低減するために、充填剤を添加してもよい。適当な充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカなどが挙げられる。滑剤としては、グリセリンエステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、パラフィン、ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。さらに、成形加工性、物性を改質するために、必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アルキレン/アクリレート又はメタクリレート共重合体などの石油系プラスチック、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子材料、NBR、SBR、天然ゴム、クロロプレンなどのラテックス、各種アクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどのエマルジョン、各種合成ゴム、天然ゴム、ポリ乳酸などの生分解性樹脂などの高分子材料、水なども添加できる。必要に応じて、酸化チタン、カーボンブラック、染料、顔料などの着色剤も使用できる。機械的強度を向上するためにケナフ、麻などの天然繊維やポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維、各種ウイスカやガラス繊維などの強化材を使用することもできる。
また、軽量化、断熱性を上げるため、アゾジカーボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの化学発泡剤、炭酸ガス、窒素ガスやブタン、ペンタン、プロパンなどの炭化水素の発泡剤、重炭酸ソーダなどの無機質発泡剤、シラスバルーン、ガラスバルーン、有機質バルーンなどの中空体などを添加することもできる。
難燃化する目的で、ペンタブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素化合物系難燃剤、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物系難燃剤などを添加できる。その他にも必要に応じて酸化防止剤、架橋剤、相溶化剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の成形品の製造には、通常の石油系プラスチックの成形技術が適用可能である。例えば、ヘンシエルミキサー、タンブラー型混合機、バーバリミキサー、ニーダーミキサーなどの混合機にて澱粉や酸化カルシウム及び他の添加剤を混合し、押出機による成形品の製造、T−ダイ押出機によるシートの製造、インフレーション成形機によるフィルムの製造、カレンダー成形機によるシートの製造、インジェクション成形機による成形品の製造などの成形加工技術及び成形加工機が採用できる。
また、原料となる消臭澱粉組成物をそのまま混練、混合し成形するのではなく、混合機にて混合した後、一軸又は二軸の押出機によりペレットを製造し、そのペレットをマスターペレットとして用いて上記の各成形加工機による製品の製造、真空圧空機による成形品の製造など成形加工することもできる。
ペレットを製造する際、ストランドダイから押し出したストランドのカッティングは、水槽にて冷却後にカットすると、澱粉が吸湿性であるため、製品の不良原因(ピンホールの発生など)となることを考えると、ホットカットによる方が好ましい。
本発明の消臭澱粉組成物を、組成を同じにして成形品を製造する際に、採用される成形温度域は、押出成形、T−ダイ押出成形、インジェクション成形、インフレーション成形などでは、概ね、160〜220℃の範囲である。成形温度が220℃を越えた場合は、ヤケの発生や分解の発生が起きる。著しい場合は、茶色又は黒色に変色し、シリンダー内の焼き付きにより成形機を損傷する。また、160℃未満の成形温度域では消臭澱粉組成物が未溶融状態で吐出され、好ましくない。著しい場合は、シリンダーとスクリュー間の剪断力が高まり、圧力上昇とともに、トラブルの原因となる。
また、シリンダー内の滞留時間が長い場合にも、消臭澱粉組成物のヤケの発生や分解が起きる。成形温度や吐出速度にもよるが、シリンダー内の滞留時間は最大でも5分以内が好ましい。
また、成形後のパージ作業は重要であり、残留物が存在すると、以降の成形品に異物が混入し、不良品の原因となる。特に、インジェクション成形は注意を要し、例えば、澱粉では含有水分のため計量が不安定になることがある。シリンダー内の澱粉含有水分が水蒸気となり、蒸気圧となってスクリューが戻されるためである。そして、これにより、保圧から計量に替わるタイミングでスクリューがバックし、著しい場合は、設定値を超えて計量不能となることもある。従って、消臭澱粉組成物は計量に際し定量供給が可能となるように背圧を高めに設定し、スクリュー回転数は遅めとする。また、回転数を上げ過ぎるとヤケや分解の発生の原因となる。
また、押出機によりシート状に押し出し成形したシートは、引取りロールの温度を60℃以下に設定し、所定の厚さに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取った。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
得られた消臭澱粉組成物の評価としては、消臭効果を評価するためには10名のパネルにより臭気官能試験法による臭気強度を判定した。その評価方法は、以下の要領で行った。
<臭気官能試験法>
人間の嗅覚によって臭気を測定する方法である。臭気を全体的にとらえ、臭気問題を反映できる方法としてのメリットが大きい。臭気の質を数値で表すには快・不快度で表す方法と臭気強度と臭気濃度のような量的に表す方法とがあり、ここでは、後者の臭気強度で表す方法を採用した。
人間の嗅覚によって臭気を測定する方法である。臭気を全体的にとらえ、臭気問題を反映できる方法としてのメリットが大きい。臭気の質を数値で表すには快・不快度で表す方法と臭気強度と臭気濃度のような量的に表す方法とがあり、ここでは、後者の臭気強度で表す方法を採用した。
具体的には、一軸押出機で作成したペレット及びT−ダイ押出機で作成したシート、各10gを250ccの集気瓶に入れ、蓋を施し、80℃のキャーオーブン中に放置し、30分後に取り出し、漸次、10名のパネルにより臭気官能試験法による臭気強度を判定した。結果を臭気強度判定基準値の平均値で表示した。
<臭気強度判定基準>
0:無臭
1:やっと感知できる臭い(検知閾値)
2:何の臭いかが分かる弱い臭い(認知閾値)
3:らくに感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
0:無臭
1:やっと感知できる臭い(検知閾値)
2:何の臭いかが分かる弱い臭い(認知閾値)
3:らくに感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
本発明の実施例及び比較例における使用原料及び試料作成方法は、以下のとおりである。
使用原料については、本発明の消臭澱粉組成物を配合するために
澱粉:日本コーンスターチ(株)製、アミロックNo.1A(アルファー化コーンスターチ)
酸化カルシウム:有鉱恒業(株)製、モイストップ#20 平均粒径2μm
グリセリン:昭和化学(株)製、試薬一級
ステアリン酸:昭和化学(株)製、試薬一級
ソルビトール:昭和化学(株)製、試薬一級
ポリプロピレン:(株)プライムポリマー製、E−150GK、ブロックタイプ
ポリビニルアルコール:日本酢ビ・ポリマー(株)製、JP−18S
の原材料を用いた。上記した各原材料を表1の配合割合にしたがって消臭澱粉組成物を調製した。
使用原料については、本発明の消臭澱粉組成物を配合するために
澱粉:日本コーンスターチ(株)製、アミロックNo.1A(アルファー化コーンスターチ)
酸化カルシウム:有鉱恒業(株)製、モイストップ#20 平均粒径2μm
グリセリン:昭和化学(株)製、試薬一級
ステアリン酸:昭和化学(株)製、試薬一級
ソルビトール:昭和化学(株)製、試薬一級
ポリプロピレン:(株)プライムポリマー製、E−150GK、ブロックタイプ
ポリビニルアルコール:日本酢ビ・ポリマー(株)製、JP−18S
の原材料を用いた。上記した各原材料を表1の配合割合にしたがって消臭澱粉組成物を調製した。
本発明の消臭澱粉組成物を用いて以下のように試験試料を作成した。
(1)混合
本発明の消臭澱粉組成物に配合する各原材料の混合には25Lヘンシエルミキサーを使用した。混合条件は、500rpm×3分、1000rpm×5分である。なお、Lは単位で、リットルを意味する。以下同様。
(2)ペレットの作成
本発明の消臭澱粉組成物のペレットを製造する方法は、上記混合処理により調製された消臭澱粉組成物をベント口付き一軸押出機:スクリュー;50φ、L/D=28を使用して一軸押出機のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を180〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、ノズルからストランド状に押し出し、ホットカットして所定寸法のペレットとした。
(3)シートの作成
上記ペレットをT−ダイ一軸押出機(LAB TECHエンジニアリング社製、ベント口有):ダイス開口部幅:300mm、スクリュー:25φ、L/D=30、回転数88rpm、一軸のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を175〜195℃の範囲内にある運転温度に設定した状態でシート状に押し出し、引取りロールの温度を55℃に設定し、所定の厚さ0.7mmに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取った。
(4)容器の成形
本発明の消臭澱粉組成物から製造された上記シートの成形性を確認するために成形したシートを、真空圧空機;(株)脇坂エンジニアリング社製、FVS−500P型を用いて、成形条件:400℃×35秒間、加熱した後、容器サイズ:上部外径:80φ、底部外径:60φ、高さ:55mmの円錐カップとなるように真空圧空機により成形した。
(1)混合
本発明の消臭澱粉組成物に配合する各原材料の混合には25Lヘンシエルミキサーを使用した。混合条件は、500rpm×3分、1000rpm×5分である。なお、Lは単位で、リットルを意味する。以下同様。
(2)ペレットの作成
本発明の消臭澱粉組成物のペレットを製造する方法は、上記混合処理により調製された消臭澱粉組成物をベント口付き一軸押出機:スクリュー;50φ、L/D=28を使用して一軸押出機のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を180〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、ノズルからストランド状に押し出し、ホットカットして所定寸法のペレットとした。
(3)シートの作成
上記ペレットをT−ダイ一軸押出機(LAB TECHエンジニアリング社製、ベント口有):ダイス開口部幅:300mm、スクリュー:25φ、L/D=30、回転数88rpm、一軸のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を175〜195℃の範囲内にある運転温度に設定した状態でシート状に押し出し、引取りロールの温度を55℃に設定し、所定の厚さ0.7mmに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取った。
(4)容器の成形
本発明の消臭澱粉組成物から製造された上記シートの成形性を確認するために成形したシートを、真空圧空機;(株)脇坂エンジニアリング社製、FVS−500P型を用いて、成形条件:400℃×35秒間、加熱した後、容器サイズ:上部外径:80φ、底部外径:60φ、高さ:55mmの円錐カップとなるように真空圧空機により成形した。
本発明の表1に記載の配合割合に従って酸化カルシウムを添加した消臭澱粉組成物を、上記の試料作成方法のようにして成形した試験試料を用いて、消臭効果を確認するため消臭官能試験方法を行うとともに、試験試料を成形することを通じてシートの成形性についても評価した。シートの成形性については、上記T−ダイ押出機でシートを成形できたか、成形したシートを真空圧空機により真空圧空して容器を成形できたか及びインジェクション成形機で容器が成形できたかについても評価した。
[実施例1]
澱粉としてアルファー化コーンスターチ(日本コーンスターチ(株)製、アミロックNo.1A)を100部(重量部。以下同じ。)、消臭剤として酸化カルシウム(有鉱恒業(株)製、モイストップ#20)、平均粒径2μmのものを3部、可塑剤としてグリセリン(昭和化学(株)製、試薬一級)を8部、ソルビトール(昭和化学(株)製、試薬一級)を5部、滑剤としてステアリン酸(昭和化学(株)製、試薬一級)を0.3部、さらに、成形加工性と物性を改質するためポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポリマー(株)製、JP−18S)を2部、それぞれを配合し、25Lヘンシエルミキサーに入れ、混合条件;500rpm×3分、1000rpm×5分で混合して調製された消臭澱粉組成物を、ベント口付き一軸押出機:スクリュー;50φ、L/D=28に供給し、一軸押出機のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を180〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、ノズルからストランド状に押し出し、ホットカットして所定寸法のペレットとした。
澱粉としてアルファー化コーンスターチ(日本コーンスターチ(株)製、アミロックNo.1A)を100部(重量部。以下同じ。)、消臭剤として酸化カルシウム(有鉱恒業(株)製、モイストップ#20)、平均粒径2μmのものを3部、可塑剤としてグリセリン(昭和化学(株)製、試薬一級)を8部、ソルビトール(昭和化学(株)製、試薬一級)を5部、滑剤としてステアリン酸(昭和化学(株)製、試薬一級)を0.3部、さらに、成形加工性と物性を改質するためポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポリマー(株)製、JP−18S)を2部、それぞれを配合し、25Lヘンシエルミキサーに入れ、混合条件;500rpm×3分、1000rpm×5分で混合して調製された消臭澱粉組成物を、ベント口付き一軸押出機:スクリュー;50φ、L/D=28に供給し、一軸押出機のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を180〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、ノズルからストランド状に押し出し、ホットカットして所定寸法のペレットとした。
上記ペレットをT−ダイ一軸押出機(LAB TECHエンジニアリング社製、ベント口有):ダイス開口部幅:300mmに供給し、回転数88rpm、一軸のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を175〜195℃の範囲内にある運転温度に設定した状態でシート状に押し出し、引取りロールの温度を55℃に設定し、所定の厚さ0.7mmに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取った。
上記シートの成形性を確認するために、シートが成形できたか、また、成形したシートを、真空圧空機;(株)脇坂エンジニアリング社製、FVS−500P型を用いて、成形条件:400℃×35秒間、加熱した後、容器サイズ:上部外径:80φ、底部外径:60φ、高さ:55mmの円錐カップとなるように真空圧空機により真空圧空して成形して容器が成形できたかを確認した。
また、インジェクション成形機を用いて、射出成形機のエクストルーダの加熱帯域の各設定温度を190〜200℃の範囲内にある運転温度に設定し、上記容器サイズのものを同様に成形してインジェクション成形の成形加工性を確認した。
本発明の消臭澱粉組成物の消臭効果の評価については、上記評価方法のとおり臭気官能試験法に従い、製造したペレット及びシートを10人のパネルにより臭気強度を評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2、3]
実施例2、3では、実施例1で用いた消臭澱粉組成物の配合組成のうち、消臭剤である酸化カルシウムの配合量を6部、20部に変更した以外は、表1のとおりの配合組成の消臭澱粉組成物を得た。得られた消臭澱粉組成物から実施例1と同様の方法で、ペレット、シートを製造するとともに、そのシートを真空圧空成形で実施例1と同じ寸法の容器に成形し、実施例1と同様に成形加工性の評価及び臭気強度を評価した。その結果を表1に示す。
実施例2、3では、実施例1で用いた消臭澱粉組成物の配合組成のうち、消臭剤である酸化カルシウムの配合量を6部、20部に変更した以外は、表1のとおりの配合組成の消臭澱粉組成物を得た。得られた消臭澱粉組成物から実施例1と同様の方法で、ペレット、シートを製造するとともに、そのシートを真空圧空成形で実施例1と同じ寸法の容器に成形し、実施例1と同様に成形加工性の評価及び臭気強度を評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1ないし3]
比較例1では、消臭剤である酸化カルシウムを添加しない以外は実施例1と同じ配合組成のもの、比較例2、比較例3では、消臭剤である酸化カルシウムの添加量を本発明の範囲外の、それぞれ、1部、30部配合し、比較例3では、さらに、従来、澱粉の成形性を改質するため用いられているポリプロピレン10部を配合した澱粉組成物を得た。得られた澱粉組成物は実施例1と同様にシート、容器を成形し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
比較例1では、消臭剤である酸化カルシウムを添加しない以外は実施例1と同じ配合組成のもの、比較例2、比較例3では、消臭剤である酸化カルシウムの添加量を本発明の範囲外の、それぞれ、1部、30部配合し、比較例3では、さらに、従来、澱粉の成形性を改質するため用いられているポリプロピレン10部を配合した澱粉組成物を得た。得られた澱粉組成物は実施例1と同様にシート、容器を成形し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
本発明の表1に記載の配合割合に従って酸化カルシウムを添加した消臭澱粉組成物を、上記の試料作成方法のようにして成形した試験試料の消臭効果を確認するため、試験試料であるペレット及びシートの臭気官能試験法を行うとともに、試験試料を作成することを通じてシートの成形性を評価した。他に、各種成形物が成形可能かをみるためインジェクション成形機で成形するとともに、シートの成形性については上記T−ダイ押出機によりシートが成形できたかについても評価した。その結果は、表1のとおりである。
表1の結果のとおり、実施例1〜実施例3の、酸化カルシウムが本発明の配合組成の消臭澱粉組成物にかかるものは、臭気官能試験法による臭気強度が少なくとも段階2:何の臭いかが分かる弱い臭い(認知閾値)以下と評価され、優れた消臭効果が発揮できることが確認された。また、比較例2をみて分かるように酸化カルシウムの含有量が、1重量部と少ないと消臭効果は期待できないし、30重量部と多いと比較例3に示すとおり、T−ダイ押出機によるシート成形などが不可であり、酸化カルシウムの増加により成形加工性が阻害されていることが分かる。
Claims (11)
- 澱粉100重量部に対し、必須成分として平均粒径が50μm以下の酸化カルシウムを3〜20重量部添加したことを特徴とする消臭性に優れた消臭澱粉組成物。
- 澱粉が生澱粉であることを特徴とする請求項1に記載の消臭澱粉組成物。
- 澱粉が物理的な変性澱粉であることを特徴とする請求項1に記載の消臭澱粉組成物。
- 澱粉が化学修飾した澱粉であることを特徴とする請求項1に記載の消臭澱粉組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の消臭澱粉組成物を用いた澱粉成形品。
- 澱粉成形品が押出成形から製造された成形品であることを特徴とする請求項5に記載の澱粉成形品。
- 澱粉成形品がT−ダイ押出成形から製造されたシートであることを特徴とする請求項5に記載の澱粉成形品。
- 澱粉成形品がインフレーション成形から製造されたフィルムであることを特徴とする請求項5に記載の澱粉成形品。
- 澱粉成形品が真空圧空成形から製造された成形品であることを特徴とする請求項5に記載の澱粉成形品。
- 澱粉成形品がインジェクション成形から製造された成形品であることを特徴とする請求項5に記載の澱粉成形品。
- 澱粉成形品がカレンダー成形から製造されたシートであることを特徴とする請求項5に記載の澱粉成形品。
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JP2008145213A JP2009292876A (ja) | 2008-06-03 | 2008-06-03 | 消臭澱粉組成物及びその成形品 |
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KR20200117209A (ko) * | 2019-04-03 | 2020-10-14 | 강영갑 | 역한 냄새를 저감한 두리안 생과자의 제법 및 그 제품 |
-
2008
- 2008-06-03 JP JP2008145213A patent/JP2009292876A/ja active Pending
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