JP2009290973A - 回転電機の固定子コイル、回転電機の固定子コイルの製造方法および回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた電気絶縁特性を維持しつつ、充填材含有層における充填剤の含有率を高めて熱伝導性を向上させることができる回転電機の固定子コイルおよび回転電機の固定子コイルの製造方法を提供すること目的とする。
【解決手段】熱伝導テープ20は、補強基材21と、補強基材21の両表面に形成された熱伝導層22とを備え、マイカテープ30は、マイカ層31と、マイカ層31の一方の表面に積層された補強基材32と、補強基材32の表面に形成された熱伝導層33とを備える。固定子コイル1は、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態でコイル導体束11に巻回して形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】熱伝導テープ20は、補強基材21と、補強基材21の両表面に形成された熱伝導層22とを備え、マイカテープ30は、マイカ層31と、マイカ層31の一方の表面に積層された補強基材32と、補強基材32の表面に形成された熱伝導層33とを備える。固定子コイル1は、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態でコイル導体束11に巻回して形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、水車発電機やタービン発電機などの回転電機の固定子コイルおよび固定子コイルの製造方法、さらに、この固定子コイルを備えた回転電機に関する。
タービン発電機等の回転電機では、固定子鉄心の固定子スロット内に挿入配置された固定子コイルが、そのコイル導体自身に流れる電流と、固定子鉄心を磁路とした磁束の内の固定子スロットを横切る成分との相互作用により、機械軸の半径方向に発生する電源周波数の2倍の電磁力を受けて振動する。また、回転電機では、運転中におけるコイル導体束に大電流が流れることでジュール熱を生じる。
図9は、固定子スロット301内に固定子コイル302が収容された従来の固定子鉄心300の断面を模式的に示した図である。
図9に示すように、固定子鉄心300に形成された断面矩形状の固定子スロット301内に、固定子コイル302が配置されている。固定子コイル302は、主として、コイル導体束303と、このコイル導体束303の外周面に形成された電気絶縁層304とから構成されている。また、固定子コイル302の上下方向への移動を防ぐためにスペーサ305を配置し、固定子コイル302の横方向への移動を防ぐためにスペーサ部材306を配置し、楔307によって固定されている。
上記したように、コイル導体束303にはジュール熱が発生し、このジュール熱は、コイル導体束303の外周面に形成された電気絶縁層304を介して固定子鉄心300へ伝達される。一方、電気絶縁層304によって、コイル導体束303と固定子鉄心300間の電気絶縁が維持されている。このように、電気絶縁層304には、電気絶縁特性が求められるとともに、優れた熱伝導性が要求される。
これらの要求である、高電圧に耐える電気絶縁特性と高熱伝導性とを両立させるために、電気絶縁特性に優れるマイカ絶縁層と熱伝導性に優れる充填材添加層とを、コイル導体束の周囲に交互に巻回して電気絶縁層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、電気絶縁特性に優れたマイカ絶縁層に、高熱伝導率の充填材を含有する高熱伝導充填材層を積層した絶縁テープをコイル導体束の周囲に巻回して電気絶縁層を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−174333号公報
特開平11−250737号公報
上記した従来の電気絶縁層の構成において、電気絶縁層全体の熱伝導率の向上には、充填材を含有する層が主に寄与し、高電圧絶縁についてはマイカ層が主に寄与している。上記した従来の電気絶縁層において、熱伝導率をさらに向上させるためには、充填材を含有する層における充填材の含有率を増加させることが有効である。この充填材として、主にフィラーと呼ばれる無機質の材料が用いられる。しかしながら、このフィラーの含有率の増加に伴って、充填材を含有する層自身が固くなり脆くなる。特に、充填材を含有する層における充填材の含有率が50体積%を超える場合には、コイル導体束に絶縁テープを巻き回す際に、重ね目の段差において割れが生じることがある。この割れは、巻回後における樹脂を硬化させる工程を経ても埋められることなく空隙として残存し、電気絶縁特性を著しく低下させる原因となっている。このように割れを埋めることができない一因として、流動し得る絶縁テープ中の樹脂量が極端に少ないことが挙げられる。
一方、コイル導体束に絶縁テープを巻回した後に、接着樹脂を含浸処理する方法では、 重ね目の段差において生じた割れに接着樹脂が含浸され、空隙が排除されて、良好な電気絶縁特性を得ることができる。しかしながら、コイル導体束の周囲に多数回巻回された絶縁テープの各層に亘って接着樹脂を浸透させるためには、接着樹脂の低粘度化が要求されるなど、接着樹脂の粘度の厳重な管理が必要であった。
また、電気絶縁特性に優れたマイカ絶縁層に、高熱伝導性の充填材を含有する高熱伝導充填材層を積層した従来の絶縁テープを使用する場合、高熱伝導充填層と、マイカ絶縁層とが、コイル導体束の表面から外側方向に交互に配置される。この絶縁テープにおいて、高熱伝導充填剤層における充填材の含有率が高いとき、特に含有率が50体積%を超えるときには、高熱伝導充填層とマイカ絶縁層の界面の若干マイカ絶縁層側において、加熱工程時における接着樹脂の収縮や、成形後の残留応力による剥離を生じるという問題があった。また、高熱伝導充填剤層における充填材の含有率が高いときには、高熱伝導充填層とマイカ絶縁層の界面に発生する収縮による応力が大きくなるという問題もあった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、優れた電気絶縁特性を維持しつつ、充填材含有層における充填剤の含有率を高めて熱伝導性を向上させることができる回転電機の固定子コイルおよび回転電機の固定子コイルの製造方法を提供すること目的とする。また、この熱伝導性および電気絶縁特性に優れた固定子コイルを備える回転電機を提供すること目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、電気絶縁層形成用テープを予め導体束に巻回して電気絶縁層を形成してなる回転電機の固定子コイルであって、前記電気絶縁層形成用テープが、(1)第1の補強基材と、前記第1の補強基材の少なくとも一方の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第1の熱伝導層とを備える熱伝導テープ、および(2)マイカに熱硬化性樹脂を含浸してなるマイカ層と、前記マイカ層の一方の表面に積層された第2の補強基材と、前記第2の補強基材の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第2の熱伝導層とを備えるマイカテープの2種のテープから構成され、前記電気絶縁層が、前記熱伝導テープの第1の熱伝導層と前記マイカテープの第2の熱伝導層とを向かい合わせ、かつ前記熱伝導テープと前記マイカテープとの重なり幅を、前記熱伝導テープまたは前記マイカテープを前記導体束に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態で、前記熱伝導テープおよび前記マイカテープを前記導体束に巻回して形成されていることを特徴とする回転電機の固定子コイルが提供される。
また、本発明の一態様によれば、(1)第1の補強基材と、前記第1の補強基材の少なくとも一方の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第1の熱伝導層とを備える熱伝導テープ、および(2)マイカに熱硬化性樹脂を含浸してなるマイカ層と、前記マイカ層の一方の表面に積層された第2の補強基材と、前記第2の補強基材の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第2の熱伝導層とを備えるマイカテープの2種のテープから構成された電気絶縁層形成用テープを用意し、前記熱伝導テープの第1の熱伝導層と前記マイカテープの第2の熱伝導層とを向かい合わせ、かつ前記熱伝導テープと前記マイカテープとの重なり幅を、前記熱伝導テープまたは前記マイカテープを導体束に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態で、前記熱伝導テープおよび前記マイカテープを前記導体束に巻回して電気絶縁層を形成することを特徴とする回転電機の固定子コイルの製造方法が提供される。
また、本発明の一態様によれば、上記した回転電機の固定子コイルを備えることを特徴とする回転電機が提供される。
本発明の回転電機の固定子コイルおよび回転電機の固定子コイルの製造方法によれば、優れた電気絶縁特性を維持しつつ、充填材含有層における充填剤の含有率を高めて熱伝導性を向上させることができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態の固定子コイル1を構成するコイル導体束11に巻回された電気絶縁層10の断面を模式的に示す図である。図2は、熱伝導テープ20の断面を模式的に示した図である。図3は、マイカテープ30の断面を模式的に示した図である。図4は、本発明に係る一実施の形態の固定子コイル1を構成するコイル導体束11に巻回された電気絶縁層10の他の構成の断面を模式的に示す図である。
図1に示すように、電気絶縁層10は、熱伝導テープ20とマイカテープ30との2種のテープで構成される電気絶縁層形成用テープ40を、熱伝導テープ20とマイカテープ30とが所定の重なり幅で重なるようにして、素線束からなるコイル導体束11に複数回巻回することで形成される。
まず、熱伝導テープ20について説明する。
図2に示すように、熱伝導テープ20は、補強基材21と、この補強基材21の表面、すなわち補強基材21の両表面に形成された熱伝導層22とを備えている。なお、ここでは、補強基材21の両表面に熱伝導層22が形成された熱伝導テープ20の一例を示しているが、熱伝導層22は、補強基材21の少なくとも一方の表面に形成されていればよい。したがって、補強基材21の一方の面に熱伝導層22を形成することで熱伝導テープ20を構成してもよい。また、熱伝導層22は、半硬化状態、すなわちBステージの初期状態であることが好ましい。
補強基材21は、例えば、ガラスクロス、不織布などの繊維基材、フィルムなどで構成される。ガラスクロスは、目的に応じてガラスクロスの糸の太さや縦糸の本数を調整することができる。また、不織布としては、例えば、ガラス繊維不織布、ポリエステル繊維不織布などが挙げられる。また、補強基材21は、熱硬化性樹脂を含浸および/または透過しないシート状の樹脂部材で構成されてもよい。シート状の樹脂部材は、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドなどの材料で構成される。また、補強基材21の厚さは、導体に巻回する作業性の理由から、0.01mm〜0.1mmが適当である。
ここで、熱伝導層22における充填材の充填率が高い場合、コイル導体束11の周囲に電気絶縁層10が形成された固定子コイル1を、固定子スロット内で加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる際、成形圧縮力が局部的に不均一になったり、コイル導体束11に電気絶縁層形成用テープ40を巻回するときにテープ間に隙間が生じることがある。これらの成形圧縮力の不均一やテープ間の隙間によって、熱伝導テープ20およびマイカテープ30内において、樹脂が多く流れ込む領域と、樹脂が流出して樹脂が減少する領域ができることがある。この樹脂が減少する領域では、電気絶縁特性が著しく低下することがある。しかしながら、熱硬化性樹脂を含浸および/または透過しないシート状の樹脂部材で補強基材21を構成することで、コイル導体束11を加熱して固定する際、補強基材21を介しての熱硬化性樹脂の移動が抑制され、電気絶縁層10の厚さのばらつきが抑えられ、均一な厚さの電気絶縁層10を形成することができる。
熱伝導層22は、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有して構成される。この熱硬化性樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂などが用いられる。これらの樹脂のうち、作業性、耐熱性の観点からはエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
また、熱硬化性樹脂に含まれる硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩などが用いられる。酸無水物系硬化剤として、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸などが挙げられる。これらのうち、熱硬化性樹脂の硬化反応の反応速度を速める硬化剤として、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートなどの金属キレート化合物が挙げられる。アミン系硬化剤として、例えば、脂肪族ポリアミン、脂肪族ジアミン、芳香族ポリアミン、環状アミンなどが挙げられる。熱硬化性樹脂に対する硬化剤の添加量は、必要に応じて適宜設定することができる。
充填材は、熱伝導層22の熱伝導率を向上させるため、熱伝導性に優れた材料で形成されることが好ましい。充填材として、熱伝導率が1W/(m・K)以上の材料を用いることが好ましい。例えば、充填材として、無機質充填材を用いることができ、具体的には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、六方晶窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物などが用いられる。これらのなかでも、特に、補強基材を傷つけないという観点から、モースコードの低い、水酸化アルミニウムや六方晶窒化ホウ素などを用いることが好ましい。また、充填材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、粒子状、繊維状などの形状が挙げられる。例えば、粒子状の場合、作業性の理由から、メジアン径(d50)で2μm〜50μmであることが好ましい。ここで、メジアン径とは、粒径が小さい粒子からその体積を積算して50%に達した粒子の粒径(50%累積頻度粒径)である。なお、粒度分布は、レーザ回折法等の方法によって測定される。また、繊維状の場合、充填材の縦横比を示すアスペクト比は、成型時における粘度上昇を抑制する理由から2〜10であることが好ましい。
また、充填材は、熱硬化性樹脂に50体積%以上含有されることが好ましい。充填材の含有率が50体積%を下回ると、熱伝導層22において要求される熱伝導率を得ることが困難となるからである。さらに好ましい含有率は、55〜65体積%である。また、熱硬化性樹脂に含有される充填材の含有率の上限値は70%以下であることが好ましい。この上限値を超えると、補強基材21の表面に熱伝導層22を適正に形成することができないからである。
次に、熱伝導テープ20の作製方法について説明する。
所定量の上記した充填材に、所定量の上記した熱硬化性樹脂を含浸または混合し、ペースト状の混合物を形成する。続いて、このペースト状の混合物を補強基材21の一方の表面または両表面に塗布または含浸し、その後加熱硬化して熱硬化性樹脂を半硬化状態にし、熱伝導層22を形成し、熱伝導テープ20が得られる。なお、補強基材21として、前述した熱硬化性樹脂を含浸しないポリエチレンナフタレート(PEN)等のシート状の樹脂部材以外の、ガラスクロスや繊維基材を使用した場合には、ペースト状の混合物の一部は、補強基材21に含浸される。ここで、熱硬化性樹脂を半硬化状態とする、加熱温度や加熱時間などの条件は使用する熱硬化性樹脂の種類などに応じて適宜設定される。このようにして作製された熱伝導テープ20の厚さは、100μm〜300μm程度である。
次に、マイカテープ30について説明する。
図3に示すように、マイカテープ30は、マイカ層31と、このマイカ層31の一方の表面に積層された補強基材32と、この補強基材32の表面に形成された熱伝導層33とを備えている。なお、マイカ層31および熱伝導層33は、半硬化状態、すなわちBステージの初期状態であることが好ましい。
マイカ層31は、マイカと半硬化状態の熱硬化性樹脂とからなる。マイカは、シート状に形成できるものであればいずれの種類でも使用することができる。マイカは、硬質マイカと軟質マイカに大別され、特に電気絶縁性を向上させるという観点からは硬質マイカを使用することが好ましい。
また、マイカ層31におけるマイカの含有率は、50〜60体積%であることが好ましい。この含有率の範囲が好ましいのは、マイカの含有率が50体積%を下回る場合には、マイカ層31の電気絶縁性が低下し、60体積%を超える場合にも、電気絶縁性が低下するからである。また、マイカ層31の厚さは、100μm〜200μmが適当である。
熱硬化性樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂などが用いられる。これらの樹脂のうち、作業性、耐熱性の観点からはエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
また、熱硬化性樹脂に含まれる硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩などが用いられる。酸無水物系硬化剤として、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸などが挙げられる。これらのうち、熱硬化性樹脂の硬化反応の反応速度を速める硬化剤として、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートなどの金属キレート化合物が挙げられる。アミン系硬化剤として、例えば、脂肪族ポリアミン、脂肪族ジアミン、芳香族ポリアミン、環状アミンなどが挙げられる。熱硬化性樹脂に対する硬化剤の添加量は、必要に応じて適宜設定することができる。
補強基材32は、例えば、ガラスクロス、不織布などの繊維基材、フィルムなどで構成される。ガラスクロスは、目的に応じてガラスクロスの糸の太さや縦糸の本数を調整することができる。また、不織布としては、例えば、ガラス繊維不織布、ポリエステル繊維不織布などが挙げられる。また、補強基材32の厚さは、導体に巻回する作業性の理由から、0.01mm〜0.1mmが適当である。
熱伝導層33は、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有して構成される。この熱硬化性樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂などが用いられる。これらの樹脂のうち、作業性、耐熱性の観点からはエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
また、熱硬化性樹脂に含まれる硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩などが用いられる。酸無水物系硬化剤として、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸などが挙げられる。これらのうち、熱硬化性樹脂の硬化反応の反応速度を速める硬化剤として、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートなどの金属キレート化合物が挙げられる。アミン系硬化剤として、例えば、脂肪族ポリアミン、脂肪族ジアミン、芳香族ポリアミン、環状アミンなどが挙げられる。熱硬化性樹脂に対する硬化剤の添加量は、必要に応じて適宜設定することができる。
充填材は、熱伝導層22の熱伝導率を向上させるため、熱伝導性に優れた材料で形成されることが好ましい。充填材として、熱伝導率が1W/(m・K)以上の材料を用いることが好ましい。例えば、充填材として、無機質充填材を用いることができ、具体的には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、六方晶窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミニウム三水和物などが用いられる。これらのなかでも、特に、補強基材を傷つけないという観点から、 モースコードの低い、水酸化アルミニウムや六方晶窒化ホウ素などを用いることが好ましい。また、充填材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、粒子状、繊維状などの形状が挙げられる。例えば、粒子状の場合、作業性の理由から、メジアン径(d50)で2μm〜50μmであることが好ましい。ここで、メジアン径とは、粒径が小さい粒子からその体積を積算して50%に達した粒子の粒径(50%累積頻度粒径)である。なお、粒度分布は、レーザ回折法等の方法によって測定される。また、繊維状の場合、充填材の縦横比を示すアスペクト比は、成型時における粘度上昇を抑制する理由から2〜10であることが好ましい。
また、充填材は、熱硬化性樹脂に50体積%以上含有されることが好ましい。充填材の含有率が50体積%を下回ると、熱伝導層33において要求される熱伝導率を得ることが困難となるからである。さらに好ましい含有率は、55〜65体積%である。また、熱硬化性樹脂に含有される充填材の含有率の上限値は70以下であることが好ましい。この上限値を超えると、補強基材32の表面に熱伝導層33を適正に形成することができないからである。
次に、マイカテープ30の作製方法について説明する。
まず、所定量の上記したマイカを、例えば水などの分散媒中に分散させ、混合し、濾過することによって堆積したシート状のマイカを形成する。ここで、シート状のマイカの形成の際に、堆積したシート状のマイカに圧力を負荷してもよい。
続いて、この堆積したシート状のマイカに、熱硬化性樹脂を含浸させる。熱硬化性樹脂を含浸させたシート状のマイカを加熱硬化して熱硬化性樹脂を半硬化状態にし、マイカ層31が作製される。
続いて、このマイカ層31に補強基材32を積層して配置する。なお、上記したマイカ層31の形成を補強基材32上で行ってもよい。
続いて、所定量の上記した充填材に、所定量の上記した熱硬化性樹脂を含浸または混合し、ペースト状の混合物を形成する。続いて、このペースト状の混合物を補強基材32の表面に塗布または含浸し、その後加熱硬化して熱硬化性樹脂を半硬化状態にして、熱伝導層33が形成され、マイカテープ30が得られる。なお、ペースト状の混合物の一部は、補強基材32に含浸される。
ここで、補強基材32の一方の表面にペースト状の混合物を塗布または含浸し、マイカ層31に補強基材32の他方の表面が向かい合うように積層し、その後加熱硬化して、マイカ層31および熱伝導層33の熱硬化性樹脂を同時に半硬化状態にして、マイカテープ30を得てもよい。なお、熱硬化性樹脂を半硬化状態とする、加熱温度や加熱時間などの条件は使用する熱硬化性樹脂の種類などに応じて適宜設定される。このようにして作製されたマイカテープ30の厚さは、250μm〜300μm程度である。
また、図1に示すように、電気絶縁層10は、上記した熱伝導テープ20とマイカテープ30とが所定の重なり幅で重なるようにして、素線束からなるコイル導体束11に複数回巻回することで形成されている。具体的には、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4(すなわちW/4〜3W/4)とした状態で、熱伝導テープ20およびマイカテープ30をコイル導体束11に複数回巻回して形成されている。ここで、ずらし幅Wは、換言すると、コイル導体束11の側面でのコイル導体束11の中心軸に平行な一本の直線上における、熱伝導テープ20またはマイカテープ30の所定の位置の巻回前後における移動距離である。なお、熱伝導テープ20およびマイカテープ30におけるずらし幅Wはそれぞれ同じである。
なお、熱伝導テープ20が、補強基材21の一方の面に熱伝導層22を形成して構成されている場合には、図4に示すように、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせた状態で、上記した巻回方法と同様な方法でコイル導体束11に複数回巻回して電気絶縁層10を形成する。補強基材21の一方の面に熱伝導層22が形成された熱伝導テープ20において、補強基材21の厚さは、巻回された際に、一方の端部が隣接するマイカテープ30の熱伝導層33の厚さよりも薄く、例えば、マイカテープ30の熱伝導層33の厚さを1とすると、熱伝導テープ20の補強基材21の厚さは0.05〜0.5程度である。また、補強基材21の一方の面に熱伝導層22を形成した場合には、図4に示すように、熱伝導テープ20とマイカテープ30とが重なり合う部位において、熱伝導テープ20の補強基材21とマイカテープ30のマイカ層31とが重なり合う部分が存在する。一般的に、熱伝導層における充填材の充填率を高くすると、熱伝導層の硬さが増すため、熱伝導層とマイカ層とが接触する場合には、加熱硬化時にかかる圧力によってはマイカ層が損傷し、電気絶縁特性が低下することがある。このマイカ層の損傷による電気絶縁特性の低下を防止するために、図4に示すように、熱伝導テープ20の補強基材21とマイカテープ30のマイカ層31とを重なり合わせる構成とすることが好ましい。
ここで、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、ずらし幅Wの1/4〜3/4とするのが好ましいのは、重なり幅LがW/4よりも小さい場合および重なり幅Lが3W/4よりも大きい場合の双方において、電気絶縁特性が低下するからである。具体的には、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とが接して積層された部分では、双方とも充填材の含有率が高いため、例えば、熱硬化性樹脂の一部が他の領域に流出すると、樹脂不足となる部分が形成され、電気絶縁特性が低下することがある。しかしながら、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、ずらし幅Wの1/4〜3/4とすることで、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とが接して積層される部分をW/2以下にすることができ、上記した樹脂不足となる部分の形成を抑制し、優れた電気絶縁特性を有することができる。また、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、ずらし幅Wの0.3〜0.7(すなわち0.3W〜0.7W)とするのがさらに好ましい。
また、熱伝導テープ20とマイカテープ30とを上記した重なり幅Lでコイル導体束11の周囲に複数層に亘って巻回する際、図1に示すように、コイル導体束11に巻回された第1段目の熱伝導テープ20およびマイカテープ30からなる電気絶縁層上に形成される第2段目以降の電気絶縁層を、第1段目の電気絶縁層における熱伝導テープ20およびマイカテープ30の配置形態と同一の配置形態となるように巻回することが好ましい。
具体的には、まず、熱伝導テープ20およびマイカテープ30を上記した重なり幅Lで、コイル導体束11の一端側から他端側に向けてコイル導体束11の周囲に巻回して1段目の電気絶縁層を形成する。巻回が他端側に達した際、熱伝導テープ20およびマイカテープ30を切断し、再度コイル導体束11の一端側から他端側に向けて、1段目の電気絶縁層を形成した工程と同じ工程を実施する。このように巻回することで、2段目以降の電気絶縁層を、第1段目の電気絶縁層における熱伝導テープ20およびマイカテープ30の配置形態と同一の配置形態とすることができる。
また、他の方法として、まず、熱伝導テープ20およびマイカテープ30を上記した重なり幅Lで、コイル導体束11の一端側から他端側に向けてコイル導体束11の周囲に巻回して1段目の電気絶縁層を形成する。巻回が他端側に達した際、巻回された熱伝導テープ20およびマイカテープ30が剥がれないようにコイル導体束11に保持し、巻回方向を1段目の電気絶縁層を形成する方向とは逆方向に巻回して、コイル導体束11の他端側から一端側に向けて熱伝導テープ20およびマイカテープ30を巻回して2段目の電気絶縁層を形成する。このように巻回することで、2段目の電気絶縁層を、第1段目の電気絶縁層における熱伝導テープ20およびマイカテープ30の配置形態と同一の配置形態とすることができる。この場合には、巻回し始める位置をコイル導体束11の一端側とすることなく、巻回し終わった位置から次の電気絶縁層の形成をすることができるため、固定子コイル1の製造効率を向上させることができる。
なお、上記したように電気絶縁層10が形成された固定子コイル1において優れた電気絶縁特性を維持するために、電気絶縁層10の厚さは、使用する材料、または固定子コイル1が使用される条件や用途等によって適宜に設定され、例えば、1mm〜10mm程度に設定される。
ここで、マイカテープ30において、充填材の含有率が50体積%を超える熱伝導層33を備える場合、マイカテープ30および熱伝導テープ20を、上記したように所定の重なり幅Lを有してコイル導体束11の周囲に巻回すると、図1または図4に示すように、重なり部分の段差によって、マイカテープ30の一部が折れ曲がった状態となり、熱伝導層33の折れ曲がった部分に割れ40が発生する。
このマイカテープ30の熱伝導層33に生じた割れ40は、熱伝導テープ20の熱伝導層22に隣接する。図4に示す、補強基材21の一方の面に熱伝導層22を形成して熱伝導テープ20が構成されている場合においても、前述したように、補強基材21の厚さは、隣接するマイカテープ30の熱伝導層33の厚さよりも薄いため、割れ40は、熱伝導テープ20の熱伝導層22に隣接する。熱伝導テープ20およびマイカテープ30は、所定の引張り力をかけた状態でコイル導体束11に巻回されるため、コイル導体束11側に所定の圧力で押圧される。この圧力により、マイカテープ30の割れ40に、隣接する熱伝導テープ20の半硬化状態の熱伝導層22の一部が流入し、割れ40が熱伝導層22を構成する材料で充填される。
この割れ40が熱伝導層22を構成する材料で充填された固定子コイル1は、固定子鉄心内に挿入され固定され、回転機器が構成される。図5は、固定子スロット101内に本発明に係る一実施の形態の固定子コイル1が収容された固定子鉄心100の断面を模式的に示した図である。
図5に示すように、固定子コイル1は、底部、固定子コイル間および固定子コイル1の上部にスペーサ110を配置して、固定子スロット101内に収容される。続いて、楔102が打ち込まれた後、固定子コイル1は、加熱され、電気絶縁層10を形成する熱伝導テープ20およびマイカテープ30の熱硬化性樹脂が硬化される。これによって、固定子コイル1は、固定子スロット101内に固定される。この際、マイカテープ30の割れ40が形成されていた部分は、き裂やボイドが形成することなく熱伝導層22を構成する材料によって埋められる。
上記したように、本発明に係る一実施の形態の固定子コイル1によれば、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態で、熱伝導テープ20およびマイカテープ30をコイル導体束11に複数回巻回して形成することで、マイカテープ30に生じた割れ40に、隣接する熱伝導テープ20の半硬化状態の熱伝導層22の一部が流入し、割れ40を熱伝導層22を構成する材料で充填することができる。これによって、マイカテープ30の割れ40が形成されていた部分は、き裂やボイドが形成することなく熱伝導層22を構成する材料によって埋められるため、優れた電気絶縁特性を維持しつつ、熱伝導層22、33における充填剤の含有率を高めて熱伝導性を向上させることができる。
なお、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
次に、本発明に係る一実施の形態の固定子コイル1が優れた電気絶縁特性および熱伝導性を有することを実施例および比較例に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1で使用した固定子コイルは、図1に示した固定子コイル1と同じ構成であるため図1を参照して説明する。
実施例1で使用した固定子コイルは、図1に示した固定子コイル1と同じ構成であるため図1を参照して説明する。
熱伝導テープ20を次のように作製した。ビスフェノールAエポキシ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂を重量比で60:40(ビスフェノールAエポキシ樹脂:ノボラック型エポキシ樹脂)に混合し、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸をエポキシ樹脂100重量部に対して55重量部添加した。続いて、六方晶窒化ホウ素を添加し、この六方晶窒化ホウ素の含有率を52.5体積%とした。そして、六方晶窒化ホウ素を含有した樹脂を、この半硬化状態の樹脂を補強基材21となるガラス繊維からなる織布の両表面に塗布して加熱乾燥炉にて加熱処理して半硬化状態にし、熱伝導層22を形成し、厚さが0.2mm、幅が32mmの熱伝導テープ20を得た。
また、マイカテープ30を次のように作製した。硬質焼成マイカを抄紙したマイカペーパに、ビスフェノールAエポキシ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂を重量比で60:40(ビスフェノールAエポキシ樹脂:ノボラック型エポキシ樹脂)に混合し、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸をエポキシ樹脂100重量部に対して55重量部添加した樹脂を含浸した。その後、マイカペーパに含浸した樹脂を加熱乾燥炉にて加熱処理して半硬化状態とし、マイカ層31を得た。また、熱伝導テープ20における熱伝導層22と同様に、ビスフェノールAエポキシ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂を重量比で60:40(ビスフェノールAエポキシ樹脂:ノボラック型エポキシ樹脂)に混合し、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸をエポキシ樹脂100重量部に対して55重量部添加した。続いて、六方晶窒化ホウ素を添加し、この六方晶窒化ホウ素の含有率を52.5体積%とした。続いて、マイカ層31上に補強基材32となるガラス繊維からなる織布を積層し、さらに、織布の表面に、上記した充填材を含有した半硬化状態の樹脂を塗布して熱伝導層33を形成し、厚さが0.25mm、幅が32mmのマイカテープ30を得た。
上記したように作製した熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/2(すなわちW/2)とした状態で、熱伝導テープ20およびマイカテープ30をコイル導体束11に4回巻回して電気絶縁層10を形成し、固定子コイル1を得た。なお、ここでは、ずらし幅Wを16mmとした。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
続いて、固定子コイル1を温度が150℃の下、30時間放置し、熱硬化性樹脂を硬化させる処理を行った。
上記した方法で形成された固定子コイルについて熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。熱伝導率は、熱流計法により温度90℃で測定を行った。絶縁破壊電圧は、短時間上昇法により室温の油中で測定を行った。
測定の結果、熱伝導率は0.53W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は39kV/mmであった。また、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていた。
(実施例2)
実施例2で使用した固定子コイルは、図4に示した固定子コイル1と同じ構成であり、熱伝導テープ20における補強基材21の一方の表面にのみ熱伝導層22を形成した以外の構成は、実施例1で使用した固定子コイルの構成と同じとした。なお、熱伝導テープ20の厚さは0.2mm、幅は32mmであった。なお、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせた状態で、実施例1の場合と同様の巻回方法でコイル導体束11の周囲に巻回した。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
実施例2で使用した固定子コイルは、図4に示した固定子コイル1と同じ構成であり、熱伝導テープ20における補強基材21の一方の表面にのみ熱伝導層22を形成した以外の構成は、実施例1で使用した固定子コイルの構成と同じとした。なお、熱伝導テープ20の厚さは0.2mm、幅は32mmであった。なお、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせた状態で、実施例1の場合と同様の巻回方法でコイル導体束11の周囲に巻回した。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
そして、この固定子コイルを用いて、実施例1と同じ測定方法および測定条件で、熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。
測定の結果、熱伝導率は0.5W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は42kV/mmであった。また、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていた。
(実施例3)
実施例3で使用した固定子コイルは、図4に示した固定子コイル1において熱伝導テープ20における補強基材21としてポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂からなる厚さが0.025mmのフィルムを用いた以外の構成は、実施例2で使用した固定子コイルの構成と同じとした。なお、熱伝導テープ20の厚さは0.15mm、幅は32mmであった。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
実施例3で使用した固定子コイルは、図4に示した固定子コイル1において熱伝導テープ20における補強基材21としてポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂からなる厚さが0.025mmのフィルムを用いた以外の構成は、実施例2で使用した固定子コイルの構成と同じとした。なお、熱伝導テープ20の厚さは0.15mm、幅は32mmであった。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
そして、この固定子コイルを用いて、実施例1と同じ測定方法および測定条件で、熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。
測定の結果、熱伝導率は0.6W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は38kV/mmであった。また、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていた。
また、実施例2で使用した固定子コイルにおける電気絶縁層10の厚さと、実施例3で使用した固定子コイルにおける電気絶縁層10の厚さの比較を行った。電気絶縁層10の厚さは、ノギスで測定され、それぞれ複数の固定子コイルを作製して厚さの測定を行った。測定された結果から標準偏差を算出し、その標準偏差を平均値で除した値を算出し、電気絶縁層10の厚さのばらつきを比較した。この結果、本実施例におけるフィルムを使用した場合には0.1であり、実施例2におけるガラス繊維からなる織布を使用した場合には0.15であった。
(比較例1)
図6は、比較例1で使用した固定子コイルを構成するコイル導体束11に巻回された電気絶縁層150の断面を模式的に示す図である。
図6は、比較例1で使用した固定子コイルを構成するコイル導体束11に巻回された電気絶縁層150の断面を模式的に示す図である。
比較例1では、電気絶縁層150を実施例1で使用したマイカテープ30のみで形成した。図6に示すように、このマイカテープ30を巻回する際のずらし幅を、実施例1における熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅LであるW/2としてコイル導体束11に4回巻回して電気絶縁層150を形成し、固定子コイルを得た。この場合には、熱伝導層33はマイカ層31と接触する構成となる。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
そして、この固定子コイルを用いて、実施例1と同じ測定方法および測定条件で、熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。
測定の結果、熱伝導率は0.47W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は30kV/mmであった。また、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40が確認され、さらにボイド等の空隙も確認された。
(実施例1〜実施例3および比較例1のおける結果の比較)
上記したように、実施例1〜実施例3の固定子コイルにおける熱伝導率および絶縁破壊電圧は、比較例1の固定子コイルにおけるそれらよりも高い値を示した。また、実施例1〜実施例3の固定子コイルでは、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は、確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていたのに対し、比較例1の固定子コイルでは、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は、残存し、ボイド等の空隙が形成されていた。
上記したように、実施例1〜実施例3の固定子コイルにおける熱伝導率および絶縁破壊電圧は、比較例1の固定子コイルにおけるそれらよりも高い値を示した。また、実施例1〜実施例3の固定子コイルでは、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は、確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていたのに対し、比較例1の固定子コイルでは、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は、残存し、ボイド等の空隙が形成されていた。
以上のことから、実施例1〜実施例3の固定子コイルでは、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30とを所定の重なり幅で巻回することで、マイカテープ30に生じた割れ40に、隣接する熱伝導テープ20の半硬化状態の熱伝導層22の一部が流入し、割れ40が熱伝導層22を構成する材料で充填されることが明らかとなった。これによって、優れた電気絶縁特性を維持しつつ、熱伝導性を向上できることが明らかとなった。また、熱伝導テープ20における補強基材21としてフィルムを用いることで電気絶縁層10の厚さのばらつきを小さくできることがわかった。
(比較例2)
図7は、比較例2で使用した固定子コイルを構成するコイル導体束11に巻回された電気絶縁層160の断面を模式的に示す図である。
図7は、比較例2で使用した固定子コイルを構成するコイル導体束11に巻回された電気絶縁層160の断面を模式的に示す図である。
比較例2で使用した固定子コイルにおける熱伝導テープおよびマイカテープは、実施例2で使用した熱伝導テープ20およびマイカテープ30と同じである。図7に示すように、比較例2では、電気絶縁層160の2段目以降の巻回の方向を、実施例2の場合とは異ならせた。具体的には、熱伝導テープ20の熱伝導層22とマイカテープ30の熱伝導層33とを向かい合わせ、かつ熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/2(すなわちW/2)とした状態で、コイル導体束11の一端側から他端側に向けてコイル導体束11の周囲に熱伝導テープ20およびマイカテープ30を巻回した。そして、巻回が他端側に達すると、これまでと同様に、熱伝導テープ20およびマイカテープ30を他端側から継続して一端側に向けて巻回した。この往復の工程を4回繰り返して電気絶縁層160を形成し、固定子コイルを得た。このように形成された電気絶縁層160では、コイル導体束11に対する熱伝導テープ20およびマイカテープ30の巻回する角度が隣接する層の熱伝導テープ20およびマイカテープ30間で異なり、巻回された熱伝導テープ20およびマイカテープ30の方向が交差するように形成された。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
そして、この固定子コイルを用いて、実施例1と同じ測定方法および測定条件で、熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。
測定の結果、熱伝導率は0.38W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は35kV/mmであった。また、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていた。
(実施例2および比較例2のおける結果の比較)
上記したように、実施例2の固定子コイルにおける熱伝導率および絶縁破壊電圧は、比較例2の固定子コイルにおけるそれらよりも高い値を示した。
上記したように、実施例2の固定子コイルにおける熱伝導率および絶縁破壊電圧は、比較例2の固定子コイルにおけるそれらよりも高い値を示した。
前述したように、熱伝導層22、33における充填材の充填率が高い場合、コイル導体束11の周囲に電気絶縁層が形成された固定子コイルを、固定子スロット内で加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる際、成形圧縮力が局部的に不均一になったり、コイル導体束11に熱伝導テープ20およびマイカテープ30を巻回するときにテープ間に隙間が生じることがある。これらの成形圧縮力の不均一やテープ間の隙間によって、熱伝導テープ20およびマイカテープ30内において、樹脂が多く流れ込む領域と、樹脂が流出して樹脂が減少する領域ができ、樹脂が減少する領域では電気絶縁特性が低下することがある。特に、充填材の充填率が高い熱伝導層22、33どうしが積層される部分においては、この樹脂が減少する領域となり易い。図7に示す固定子コイルの電気絶縁層160における熱伝導層22、33の積層領域165(図7で点線で囲った領域)は、図4に示す固定子コイルの電気絶縁層10における熱伝導層22、33の積層領域170(図4で点線で囲った領域)よりも広いため、絶縁破壊電圧が低かったものと考えられる。
(実施例4〜実施例5)
実施例4〜実施例5で使用した固定子コイルにおける熱伝導テープおよびマイカテープは、実施例2で使用した熱伝導テープ20およびマイカテープ30と同じであり、電気絶縁層の構成も、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lが異なる以外は実施例2の電気絶縁層の構成と同じとした。実施例4では、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの0.3(すなわち0.3W)とし、実施例5では、ずらし幅Wの0.7(すなわち0.7W)とした。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
実施例4〜実施例5で使用した固定子コイルにおける熱伝導テープおよびマイカテープは、実施例2で使用した熱伝導テープ20およびマイカテープ30と同じであり、電気絶縁層の構成も、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lが異なる以外は実施例2の電気絶縁層の構成と同じとした。実施例4では、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの0.3(すなわち0.3W)とし、実施例5では、ずらし幅Wの0.7(すなわち0.7W)とした。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
そして、この固定子コイルを用いて、実施例1と同じ測定方法および測定条件で、熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。
測定の結果、実施例4では、熱伝導率は0.48W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は40kV/mmであった。実施例5では、熱伝導率は0.49W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は40kV/mmであった。また、実施例4および実施例5において、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていた。
(比較例3〜比較例4)
比較例3〜比較例4で使用した固定子コイルにおける熱伝導テープおよびマイカテープは、実施例2で使用した熱伝導テープ20およびマイカテープ30と同じであり、電気絶縁層の構成も、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lが異なる以外は実施例2の電気絶縁層の構成と同じとした。比較例3では、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの0.1(すなわち0.1W)とし、比較例4では、ずらし幅Wの0.9(すなわち0.9W)とした。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
比較例3〜比較例4で使用した固定子コイルにおける熱伝導テープおよびマイカテープは、実施例2で使用した熱伝導テープ20およびマイカテープ30と同じであり、電気絶縁層の構成も、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lが異なる以外は実施例2の電気絶縁層の構成と同じとした。比較例3では、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lを、熱伝導テープ20またはマイカテープ30をコイル導体束11に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの0.1(すなわち0.1W)とし、比較例4では、ずらし幅Wの0.9(すなわち0.9W)とした。また、マイカテープ30における熱伝導層33の折れ曲がった部分には、前述したように割れ40が発生していた。
そして、この固定子コイルを用いて、実施例1と同じ測定方法および測定条件で、熱伝導率および絶縁破壊電圧の測定を行った。
測定の結果、比較例3では、熱伝導率は0.45W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は35kV/mmであった。比較例4では、熱伝導率は0.44W/(m・K)であり、絶縁破壊電圧は35kV/mmであった。また、比較例3および比較例4において、測定後に電気絶縁層10の断面を観察したところ、マイカテープ30における熱伝導層33の割れ40は確認されず、さらにボイド等の空隙も確認されず、割れ40が形成されていた部分は、充填材を含有した樹脂が充填された状態となっていた。
(実施例2、実施例4〜実施例5および比較例3〜比較例4のおける結果の比較)
図8は、実施例2、実施例4〜実施例5および比較例3〜比較例4のおける絶縁破壊電圧の測定結果を示す図である。
図8は、実施例2、実施例4〜実施例5および比較例3〜比較例4のおける絶縁破壊電圧の測定結果を示す図である。
実施例2、実施例4〜実施例5の固定子コイルにおける熱伝導率および絶縁破壊電圧は、比較例3〜比較例4の固定子コイルにおけるそれらよりも高い値を示した。図8に示すように、絶縁破壊電圧は、熱伝導テープ20とマイカテープ30との重なり幅Lが0.5Wのときにピークを示し、0.3W〜0.7Wの範囲では40kV/mm以上となり、さらに、本発明の1/4W〜3/4Wの範囲においても、38kV/mm以上となり、優れた電気絶縁特性を有することが明らかとなった。
1…固定子コイル、10…電気絶縁層、11…コイル導体束、20…熱伝導テープ、21,32…補強基材、22,33…熱伝導層、30…マイカテープ、31…マイカ層、L…重なり幅、W…ずらし幅。
Claims (9)
- 電気絶縁層形成用テープを予め導体束に巻回して電気絶縁層を形成してなる回転電機の固定子コイルであって、
前記電気絶縁層形成用テープが、
(1)第1の補強基材と、
前記第1の補強基材の少なくとも一方の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第1の熱伝導層と
を備える熱伝導テープ、および
(2)マイカに熱硬化性樹脂を含浸してなるマイカ層と、
前記マイカ層の一方の表面に積層された第2の補強基材と、
前記第2の補強基材の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第2の熱伝導層と
を備えるマイカテープ
の2種のテープから構成され、
前記電気絶縁層が、
前記熱伝導テープの第1の熱伝導層と前記マイカテープの第2の熱伝導層とを向かい合わせ、かつ前記熱伝導テープと前記マイカテープとの重なり幅を、前記熱伝導テープまたは前記マイカテープを前記導体束に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態で、前記熱伝導テープおよび前記マイカテープを前記導体束に巻回して形成されていることを特徴とする回転電機の固定子コイル。 - 前記第1の熱伝導層、前記マイカ層、前記第2の熱伝導層を構成する熱硬化性樹脂が、半硬化状態であることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子コイル。
- 前記導体束に巻回された第1段目の前記熱伝導テープおよび前記マイカテープからなる電気絶縁層上に形成される第2段目以降の電気絶縁層が、前記第1段目の電気絶縁層における前記熱伝導テープおよび前記マイカテープの配置形態と同一の配置形態で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の回転電機の固定子コイル。
- 前記第1の補強基材が、前記熱硬化性樹脂を含浸および/または透過しないシート状の樹脂部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の回転電機の固定子コイル。
- (1)第1の補強基材と、
前記第1の補強基材の少なくとも一方の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第1の熱伝導層と
を備える熱伝導テープ、および
(2)マイカに熱硬化性樹脂を含浸してなるマイカ層と、
前記マイカ層の一方の表面に積層された第2の補強基材と、
前記第2の補強基材の表面に形成された、熱硬化性樹脂に充填材を50体積%以上含有してなる第2の熱伝導層と
を備えるマイカテープ
の2種のテープから構成された電気絶縁層形成用テープを用意し、
前記熱伝導テープの第1の熱伝導層と前記マイカテープの第2の熱伝導層とを向かい合わせ、かつ前記熱伝導テープと前記マイカテープとの重なり幅を、前記熱伝導テープまたは前記マイカテープを導体束に1周巻回した際に生じるずらし幅Wの1/4〜3/4とした状態で、前記熱伝導テープおよび前記マイカテープを前記導体束に巻回して電気絶縁層を形成することを特徴とする回転電機の固定子コイルの製造方法。 - 前記第1の熱伝導層、前記マイカ層、前記第2の熱伝導層を構成する熱硬化性樹脂が、半硬化状態であることを特徴とする請求項5記載の回転電機の固定子コイルの製造方法。
- 前記電気絶縁層を形成する工程において、前記導体束に巻回された第1段目の前記熱伝導テープおよび前記マイカテープからなる電気絶縁層上に形成される第2段目以降の電気絶縁層を形成する際、前記第1段目の電気絶縁層における前記熱伝導テープおよび前記マイカテープの配置形態と同一の配置形態となるように、前記熱伝導テープおよび前記マイカテープを巻回することを特徴とする請求項5または6記載の回転電機の固定子コイルの製造方法。
- 前記第1の補強基材が、前記熱硬化性樹脂を含浸および/または透過しないシート状の樹脂部材で構成されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の回転電機の固定子コイルの製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか1項記載の回転電機の固定子コイルを備えることを特徴とする回転電機。
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JP2008139994A JP2009290973A (ja) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | 回転電機の固定子コイル、回転電機の固定子コイルの製造方法および回転電機 |
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---|---|---|---|---|
CN105632660A (zh) * | 2014-10-30 | 2016-06-01 | 株洲时代新材料科技股份有限公司 | 高导热少胶云母带及其制备方法 |
WO2022054156A1 (ja) * | 2020-09-09 | 2022-03-17 | 三菱電機株式会社 | 回転機コイルと回転電機、および回転機コイルの製造方法 |
-
2008
- 2008-05-28 JP JP2008139994A patent/JP2009290973A/ja not_active Withdrawn
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JP7292525B2 (ja) | 2020-09-09 | 2023-06-16 | 三菱電機株式会社 | 回転機コイルと回転電機、および回転機コイルの製造方法 |
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