以下に、本発明の一実施形態の工程管理装置1を備えたアルバム作製システムについて説明する。このアルバム作製システムは、図1に示すように、カメラ装置2により撮影した写真の写真データに複数種類の画像処理を行って印刷用写真のデータ(印刷用写真データ)を作成する印刷用写真作成装置3と、カメラ装置2が配置される店舗(例えば写真館の店舗)に設置されカメラ装置2より得られる写真データを通信網(電気通信回線)NT1を通じて印刷用写真作成装置3に送信する写真入力装置4と、印刷用写真作成装置3で作成された印刷用写真データによる印刷用写真を写真用紙などの印画紙にプリント(印刷)するプリンタ装置5と、写真データによる写真に不要部分、例えば、ゴミや傷などによる欠陥があるか否かの確認に使用される欠陥確認装置6とを備える。なお、印刷用写真作成装置3と欠陥確認装置6とは通信網NT2で接続される。
ここで、写真入力装置4は、例えばカメラ装置2により撮影を行う写真館などの店舗に設置される。一方、印刷用写真作成装置3、プリンタ装置5、および欠陥確認装置6は、例えば、写真入力装置4が設置される店舗とは別の工場などに設置される。特に欠陥確認装置6は、遠隔地、例えば海外の工場に設置される。また、通信網NT1,NT2は例えばインターネットなどである。
カメラ装置2は、例えば、イメージセンサ(例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ)などの撮像素子(固体撮像素子)や、当該撮像素子の前方に配置された群レンズからなる光学系などを備え、撮影した写真のデータよりなる写真データを出力可能なデジタル一眼レフカメラなどのデジタルカメラである。なお、以下の説明では、「写真」は、モニタ装置の画面に表示されるか、写真用紙にプリントされた形態であって、画像の内容を視認できるものの意味に用いる。また、この種のカメラ装置2は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。
写真入力装置4は、カメラ装置2より写真データを取り込む写真取込み装置40と、写真取込み装置40で取り込んだ複数枚分の写真データ(すなわちカメラ装置2により撮影した複数枚分の写真の写真データ)を格納する画像サーバ41と、写真取り込み装置40で取り込んだ写真のなかから必要な写真(写真アルバムに使用する写真)を選択するための選択装置(セレクタ)42と、カメラ装置2により撮影した複数枚の写真が貼付される写真アルバムの作製を依頼した客に関する情報を含む客情報の入力に使用される客情報入力装置43とを備える。
写真取込み装置40は、カメラ装置2で撮影した写真の写真データを読み込むためのインターフェース(図示せず)を備える。カメラ装置2は、通常は、上記インターフェースに直接接続されるが、カメラ装置2に装着された可搬媒体(メモリカードなど)をカメラ装置2より取り出して、上記インターフェースに接続することによっても、写真データの取出しが可能である。写真取込み装置40は、カメラ装置2より取り込んだ写真データに、識別符号を付して、画像サーバ41に送信する。ここで、上記識別情報には、客を識別するための客符号、種類を分けるための類別符号、写真データを整理するための種々の情報(例えば、写真を撮影した年月日、時刻、店舗名、当該店舗におけるスタジオ名など)を有した写真情報が含まれる。客符号および類別符号は、客情報入力装置43に入力された客情報に基づいて設定される。特に類別符号は、同じ客について、撮影される人物を変えたり、背景を変えたり、衣装を変えたりした場合に、グループ毎(例えば、人物毎、背景毎、衣装毎)に付与される符号である。例えば、一人の人物が、ドレス、着物、スーツなどのように衣装を変えたときに、衣装ごとに類別符号が付与される。このように写真データには、客符号と類別符号とが付され、同一の客符号が付された写真データ、あるいは同一の類別符号が付された写真データは、一連の写真データとして扱われる。このような写真取込み装置40は、パーソナルコンピュータを主構成としており、上記処理は所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより実現される。
選択装置42は、画像サーバ41に格納された複数枚分の写真データそれぞれによる写真を表示する選択用写真表示手段42aと、選択用写真表示手段42aにより表示された複数枚の写真のなかから写真アルバムに用いる写真を選択する際に使用される写真選択手段42bと、写真選択手段42bで選択された複数枚の写真それぞれの写真アルバム内での位置およびサイズを含むアルバム情報の入力に使用されるアルバム情報入力手段42cとを備える。このような選択装置42は、パーソナルコンピュータを主構成としており、上記の各手段42a〜42cは所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより実現される。
選択用写真表示手段42aは、選択装置42を構成するパーソナルコンピュータに付属するキーボードなどのユーザインタフェース(図示せず)の入力(表示する写真データの客符号や、類別符号の入力)に応じて、画像サーバ41より一連の写真データを読み込み、当該写真データそれぞれによる写真をパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)により表示する。例えば、選択用写真表示手段42aは、一連の写真データそれぞれによる写真を1画面に所定枚数(例えば4枚)表示する。これによって、客は、一連の写真データによる写真を相互に見比べながら、写真を選択することができる。
写真選択手段42bは、選択装置42の上記ユーザインタフェースの入力に応じて、選択用写真表示手段42aにより表示された複数枚の写真のなかから写真アルバムに使用する写真を選択する。また、写真選択手段42bでは、写真データの選択のやり直し(再選択)なども行えるようになっている。
アルバム情報入力手段42cは、選択装置42の上記ユーザインタフェースの入力に応じて、写真選択手段42bで選択された写真データによる写真の写真アルバム内での位置やサイズなどを決定する。また、アルバム情報入力手段42cは、選択装置42のメモリの記憶領域に、写真アルバムのテンプレートを格納してなるテンプレート記憶部(図示得ず)を備えており、客は、このようなテンプレート記憶部に記憶されたテンプレートのうちいずれのテンプレートを使用するかについても、決定することが可能である。さらに、アルバム情報入力手段42cでは、使用する写真のトリミングなどが行えるようになっている。これによって、客は、選択した写真のうちの一部分(例えば、写真が全身写真である場合には、顔の部分)を使用したり、選択した写真に文字などを書き込んだりすることが可能になる。
アルバム情報入力手段42cでの入力が終了すると、画像サーバ41に、アルバム情報が送信される。このアルバム情報には、アルバム情報入力手段42cに入力された内容、例えば、写真選択手段42bで選択された写真データによる写真の写真アルバム内での位置やサイズ、使用するテンプレートの種類、客がトリミングを行った場合にはそのトリミング情報などが含まれる。
客情報入力装置43は、例えば上記の客に関する情報、例えば、客の氏名や、住所、連絡先、撮影内容、作製するアルバムの冊数、希望お渡し日(納期)などを含む客情報(注文書情報)の入力に使用される。本実施形態におけるアルバム作製システムでは上記客情報に基づいて注文書が作成され、当該注文書は以後の処理(特に印刷用写真作成装置3における種々の処理)を行う際に参照情報として使用される。また、客情報入力装置43は、入力された客情報を画像サーバ41に送信する。なお、客情報入力装置43は、パーソナルコンピュータを主構成としており、上記の処理は所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより実現される。
画像サーバ41は、大容量のストレージデバイス(図示せず)と、データの送受信および当該ストレージデバイスへのデータの書き込み/読み出しを行うコントローラ(図示せず)とを備えており、当該ストレージデバイスには、写真取込み装置40で取り込んだカメラ装置2の写真データ、選択装置42より与えられるアルバム情報、および客情報入力装置43より与えられる客情報が格納される。ここで、画像サーバ41の記憶領域には、アルバムデータ用の記憶領域が確保される。アルバムデータは、選択装置42よりアルバム情報を受け取った際に作製されるデータであり、上記客情報と、当該客情報に対応するアルバム情報と、当該アルバムで使用する写真データ(写真選択手段42bで選択された複数枚の写真それぞれの写真データ)とを含む、ひとまとまりのデータである。画像サーバ41は、通信網NT1を通じて印刷用写真作成装置3と通信するための通信インターフェース(図示せず)を備え、作成したアルバムデータを印刷用写真作成装置3に送信する。
印刷用写真作成装置3は、写真入力装置4より通信網NT1を通じて写真データを含むアルバムデータを受信するデータ受信サーバ30と、データ受信サーバ30で受信したアルバムデータが一括して格納されるデータ記憶サーバ31と、複数(図示例では5つ)の画像処理装置32とを備える。また、印刷用写真作成装置3は、工程管理装置1を備えており、工程管理装置1によって、各画像処理装置32による画像処理の工程管理が行われる。印刷用写真作成装置3を構成するデータ受信サーバ30、データ記憶サーバ31、画像処理装置32、および工程管理装置1は、上記の工場などに設置されており、これらはイントラネットなどの通信網を介して相互に接続される。
データ受信サーバ30は、写真入力装置4より受信したアルバムデータに含まれる各写真データそれぞれに対して縮小化処理を行う縮小化手段(図示せず)を備える。当該縮小化手段は、写真データよる写真の画素数を不要部分(例えば、ゴミや傷などによる欠陥)の確認が可能なレベルで少なくしてなる縮小写真を作成する。縮小写真データには、元になった写真データを特定するための識別符号が付され、これによって、縮小写真データとその元になった写真データとが対応付けられる。また、縮小写真データには元になった写真データの識別情報と同じ内容の識別情報が付される。このような縮小化手段はデータ受信サーバ20に備えられるCPUなどの演算処理装置で所定のアプリケーションプログラムを実行することで実現され、当該アプリケーションプログラムは、従来周知のものを採用することができる。
データ受信サーバ30の縮小化手段で作成された縮小写真のデータ(縮小写真データ)は、当該縮小写真データの元になった写真データが含まれるアルバムデータとともにデータ記憶サーバ31に送信される。
データ記憶サーバ31は、大容量のストレージデバイス(図示せず)と、データの送受信および当該ストレージデバイスへのデータの書き込み/読み出しを行うコントローラ(図示せず)とを有しており、データ受信サーバ30より各種データ(縮小写真データや、アルバムデータなど)を受信すると、受信したデータを自身の記憶領域に書き込む。このようなデータ記憶サーバ31は、工程管理装置1および各画像処理装置32がアクセス可能であり、印刷用写真作成装置3で使用される各種のデータはデータ記憶サーバ31で一括管理される。また、データ記憶サーバ31は、通信網NT2を通じて欠陥確認装置6と接続されており、これによって、欠陥確認装置6に縮小写真データを送信可能としている。なお、データ記憶サーバ31には図示しない圧縮サーバおよび第2のデータ記憶サーバ(二次ストレージ)も接続され、これらは上記データ(縮小写真データや、アルバムデータなど)のバックアップに使用される。
各画像処理装置32は、図2に示すように、写真データに対して所定の画像処理を実行可能とする画像処理手段32aを共通に具備する。また各画像処理装置32は、所定の写真データに対する画像処理を要求する処理要求信号を工程管理装置1より受信すると受信した処理要求信号で指示された写真データに対するジョブが末尾に登録される待ち行列を記憶する書き換え可能なメモリなどの記憶手段32bを備えており、画像処理手段32aは、記憶手段32bに記憶された待ち行列の先頭からジョブを順次実行可能にする。さらに、各画像処理装置32は、画像処理手段32bでジョブが実行され、当該ジョブに対応する写真データに対する画像処理が終了すると、工程管理装置1に終了通知信号を送信して、当該写真データに対する画像処理が終了したことを工程管理装置1に通知する(すなわち、ジョブが終了すると工程管理装置1に通知する)進捗状況通知手段32cと、工程管理装置1より所定の写真データに対する画像処理を優先して行うことを要求する優先処理要求信号を受信すると、当該優先処理要求信号で指示された写真データに対するジョブを待ち行列の先頭に登録する割り込み処理を実行する割り込み手段32dとを共通に具備する。
ここで、本実施形態における印刷用写真作成システムは、画像処理装置32として、トリミング情報変換用の画像処理装置32(以下、必要に応じて「トリミング情報変換装置」と称し、符号32Aで表す)と、写真データによる写真のゴミや傷などによる欠陥修復用の画像処理装置32(以下、必要に応じて「欠陥修復装置」と称し、符号32Bで表す)と、写真データによる写真の色補正用の画像処理装置32(以下、必要に応じて「色補正装置」と称し、符号32Cで表す)と、写真データによる写真のトリミング用の画像処理装置32(以下、必要に応じて「トリミング装置」と称して符号32Dで表す)と、各画像処理装置32A〜32Dにより画像処理された写真データを合成して印刷用写真データを作成する画像処理装置32(以下必要に応じて「合成処理装置」と称し、符号32Eで表す)とを備える。
トリミング情報変換装置32Aにおける画像処理手段32aは、データ記憶サーバ31に記憶されたアルバムデータに含まれるトリミング情報(客が選択装置42で実行したトリミングの内容を示す情報)に基づいて、縮小写真データをトリミングするためのトリミング用パラメータを作成する処理(トリミング情報変換処理)を実行する。トリミング情報変換装置32Aで作成されたトリミング用パラメータは、データ記憶サーバ31に送信され、データ記憶サーバ31の記憶領域に書き込まれる。
欠陥修復装置32Bにおける画像処理手段32aは、欠陥の修復作業を行うにあたり、欠陥確認装置6で作成される後述する欠陥位置データを利用する。
欠陥確認装置6は、パーソナルコンピュータを主構成とするものである。欠陥確認装置6は、例えば、通信網NT2を通じて受信した縮小写真データによる写真(縮小写真)を、欠陥確認装置6を構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)により表示させ、この縮小写真における欠陥の位置を、欠陥確認装置6を構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェース(例えば、ペンタブレットなど)を利用して、入力可能とする。欠陥確認装置6は、入力された欠陥の位置に基づいて、縮小写真に含まれる全ての欠陥の位置に関するデータを含む欠陥位置データを作成する。ここで、欠陥の位置が入力されなかった場合、すなわち欠陥がない場合には、欠陥がないことを示すデータ(無欠陥データ)が作成される。そして、欠陥確認装置6は、欠陥位置データおよび無欠陥データそれぞれを、元になった縮小写真データに対応付けて、通信網NT2を通じてデータ記憶サーバ31に送信する。なお、欠陥確認装置6では、所定のアプリケーションプログラムをパーソナルコンピュータで実行することにより上述の処理が実現される。
欠陥修復装置32Bにおける画像処理手段32aは、写真データによる写真とともに当該写真データに対応付けられた欠陥位置データによる欠陥の位置を、欠陥修復装置32Bを構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)により表示させる。そして、この欠陥修復装置32Bにおける画像処理手段32aは、欠陥修復装置32Bを構成するパーソナルコンピュータに付属するユーザインタフェース(例えば、ペンタブレットなどのポインティングデバイスや、タッチパネルなど)などを利用して、欠陥の修復を可能とする。欠陥修復装置32Bで修復された写真(加工写真)のデータ(加工写真データ)は、データ記憶サーバ31に送信され、データ記憶サーバ31の記憶領域に書き込まれる。
このような欠陥の修復は、フォトレタッチツールや、グラフィックソフトウェアなどを利用して、写真の加工(例えば、欠陥の部分を、当該欠陥の周囲の色で塗り潰す処理など)を行うことによって、実現できる。なお、このような欠陥を修復する方法は、従来周知の写真の加工方法により行うことができるから、詳細な説明は省略する。
色補正装置32Cにおける画像処理手段32aは、データ記憶サーバ31より縮小写真データを読み出し、当該縮小写真データに対して自動的に色補正(例えば、明度、彩度、コントラスト、色相などの自動補正)を実行した後に、色補正後の縮小写真データによる縮小写真を、当該色補正装置32Cを構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)に表示する処理(自動色補正処理)を実行する。この色補正装置32Cでは、写真データではなく、その縮小写真データを利用するから、処理時間の短縮化が図れる。
色補正装置32Cにおける画像処理手段32aでは、自動的に色補正が行われた縮小写真に対して、さらに人の手による色補正(例えば、同じ類別符号の写真データによる写真間の色合わせや、上記自動色補正による補正不足の調整など)を必要に応じて行うことができる(再処理が可能である)。色補正装置32Cにおいて、色補正が終了すると、最終的な色補正のパラメータ(色補正用パラメータ)がデータ記憶サーバ31に送信され、データ記憶サーバ31の記憶領域に格納される。すなわち、色補正装置32Cは、写真データを当該写真データに所定の画像処理を行った後の写真データに変換する変換用パラメータを生成する第1の画像処理装置を構成する。なお、色補正装置32Cは、上記の例の他に、画面上の表示色とプリンタ装置5の印刷色との色合わせ(キャリブレーション)や、画像の明暗、コントラストなどの種々の補正が必要に応じて行われる。
トリミング装置32Dにおける画像処理手段32aは、データ記憶サーバ31より縮小写真データを取得して、当該縮小写真データによる縮小写真を、トリミング装置32Dを構成するパーソナルコンピュータに付属するCRTや液晶表示器などのモニタ装置(図示せず)に表示する。このトリミング装置32Dでは、写真データではなく、その縮小写真データを利用するから、処理時間の短縮化が図れる。
トリミング装置32Dにおける画像処理手段32aは、縮小写真を表示するにあたっては、トリミング情報交換装置32Aにおいて当該縮小写真データに対応するトリミング用パラメータが作成されていれば、当該トリミング用パラメータをデータ記憶サーバ31より読み出す。そして、トリミング装置32Dは、当該トリミング用パラメータに基づいてトリミングした縮小写真を表示する。
このトリミング装置32Dでは、表示中の縮小写真に対応するトリミング用パラメータが存在する場合(すなわち、客がトリミングを行っている場合)には、トリミング後の縮小写真に問題があるか否かが人の目視確認により行われ、必要があれば、トリミングの修正(再処理)が行われる。例えば、写真中の被写体の傾きや中心位置の調整、写真においてアルバムの台紙などで隠れる部分の位置調整などが必要に応じて行われる。
トリミングの修正が行われたときには、データ記憶サーバ31に書き込まれているトリミング用パラメータは、修正後のトリミング用パラメータで置換される(上書きされる)。一方、表示中の縮小写真に対応するトリミング用パラメータが存在しない場合(すなわち、客がトリミングを行っていない場合)には、必要に応じて人の手によるトリミングが行われ、トリミング装置32Dで作成されたトリミング用パラメータがデータ記憶サーバ31に送信され、データ記憶サーバ31の記憶領域に格納される。すなわち、トリミング装置32Dは、写真データを当該写真データに所定の画像処理を行った後の写真データに変換する変換用パラメータを生成する第1の画像処理装置を構成する。
合成処理装置32Eにおける画像処理手段32aは、データ記憶サーバ31より、相互に対応付けられた、写真データ(欠陥修復装置32Bで加工写真データが作成されていれば加工写真データ)と、上記色補正用パラメータと、上記トリミング用パラメータとを取得して、写真データ(あるいは加工写真データ)に対して、色補正用パラメータに基づく色補正と、トリミング用パラメータに基づくトリミングとを行うことで、印刷用写真データを作成する。合成処理装置32Eで作成された印刷用写真データは、合成処理装置32Eを構成するパーソナルコンピュータのストレージデバイス(図示せず)に格納される。すなわち、合成処理装置32Eは、複数の第1の画像処理装置(上記の色補正装置32Cおよびトリミング装置32D)それぞれで作成された変換用パラメータ(色補正装置32Cによる色補正用パラメータおよびトリミング装置32Dによるトリミング用パラメータ)を用いて印刷用写真のデータを作成する第2の画像処理装置を構成する。
工程管理装置1は、上述した複数の画像処理装置32に処理要求信号を予め設定された順番で送信する順番管理手段10と、複数の画像処理装置32それぞれの待ち行列を監視する監視手段11と、当該監視手段11の監視結果に基づいて各画像処理装置32における画像処理の進捗状況を評価する進捗状況評価手段12とを備える。
監視手段11は、各画像処理装置32への処理要求信号の送信履歴と、各画像処理装置32からの画像処理終了の通知とに基づいて、各画像処理装置32に待ち行列を監視する。例えば、監視手段11は、画像処理装置32それぞれに対して処理要求信号を送った回数と、各画像処理装置32より終了通知信号を受け取った回数との差によって、各画像処理装置32における待ち行列に登録されているジョブの種類と数とを監視する。なお、監視手段11は、各画像処理装置32に対して待ち行列のデータを送信するように要求することによって、各画像処理装置32より待ち行列のデータを取得し、これによって待ち行列を監視するようにしてもよい。監視手段11の構成は、上記の例に限定されず、待ち行列を監視することが可能な構成であればよい。
進捗状況評価手段12は、例えば、進捗状況を評価するにあたっては、監視手段11の監視結果に基づいて、各画像処理装置32における待ち行列に登録されたジョブが全て終了するまでにかかるジョブ待ち時間を算出する。例えば、本実施形態における進捗状況評価手段12は、画像処理装置32において1つのジョブの処理にかかった平均作業時間と、当該画像処理装置32における待ち行列に登録されたジョブの数とを乗算することで、ジョブ待ち時間を算出する。ここで、上記の平均作業時間は、画像処理装置32自身がジョブ毎に計時して工程管理装置1に送信するようにしてもよいし、進捗状況評価手段12が、画像処理装置32より終了通知信号を受信する時間間隔により算出するようにしてもよいし、画像処理装置32毎に予め設定された値を使用してもよい。
順番管理手段10は、予め設定された順番で画像処理装置32に処理要求信号を送信する。ここで、合成処理装置32Eは、他の画像処理装置32A〜32Dによる画像処理が終了していなければ画像処理を実行できないため、処理要求信号を送信する順番は常に最後である。したがって、順番管理手段10は、予め設定された順番で画像処理装置32A〜32Dに処理要求信号を送信した後に、合成処理装置32Eに処理要求信号を送信する。
ところで、トリミング情報変換装置32A、色補正装置32C、トリミング装置32Dは、写真データそのものを加工するものではなく、変換用のパラメータを作成するものである。また、欠陥修復装置32Bにおける画像処理は、変換用のパラメータを作成するものではなく、写真データを加工するものであるが、必ず最後に画像処理が実行される合成処理装置32Eを除いては、他に写真データを加工する画像処理装置32が存在しない。したがって、画像処理装置32A〜32Dにより画像処理を行う順番は入れ替えることが可能である。ただし、順番の入れ替えには以下の条件を満たす必要がある。
すなわち、写真データに対応するアルバムデータ内にトリミング情報がない場合には、トリミング情報変換装置32Aにおける画像処理が不要であるから、トリミング情報変換装置32Aにおける画像処理は行わない。また、欠陥確認装置6において無欠陥データが作成された写真データに対しては、欠陥修復装置32Bによる画像処理は不要であるから、欠陥修復装置32Bにおける画像処理は行わない。また、トリミング情報変換装置32Aにおいて画像処理が実行される場合には、トリミング装置32Dは、トリミング情報変換装置32Aで作成されたトリミング用パラメータを必要とするから、トリミング装置32Dにおける画像処理は、トリミング情報変換装置32Aの後になる。
例えば、本実施形態における順番管理手段10は、合成処理装置32Eに処理要求信号を送信する前に、トリミング情報変換装置32A→欠陥修復装置32B→色補正装置32C→トリミング装置32Dの順に処理要求信号を送信する。ただし、トリミング情報変換装置32Aを行わない場合には、トリミング情報変換装置32Aへの処理要求信号の送信が省略され、欠陥修復装置32Bを行わない場合には、欠陥修復装置32Bへの処理要求信号の送信が省略され、トリミング情報変換装置32Aおよび欠陥修復装置32Bを両方とも行わない場合には、トリミング情報変換装置32Aおよび欠陥修復装置32Bそれぞれへの処理要求信号の送信が省略される。
ところで、順番管理手段10は、必ずしも上記順番にしたがって処理要求信号を送信するわけではない。順番管理手段10は、処理要求信号を画像処理装置32に送信するにあたっては、処理要求信号の送信候補(処理要求信号を送信する予定)の画像処理装置32におけるジョブ待ち時間が所定時間以内であるか否かを判定する処理(ジョブ待ち時間判定処理)を実行し、その結果によって、処理要求信号を送信する順番を変更する。なお、上記所定時間は、各画像処理装置32で実行する画像処理の内容を勘案して定められる。そのため、上記所定時間は、画像処理装置32毎に異なる値となり得る。これは、上記所定時間は、複数の画像処理装置32において上記所定時間が同値となることを妨げる趣旨ではない。
すなわち順番管理手段10は、上記ジョブ待ち時間判定処理の結果、ジョブ待ち時間が所定時間以内であれば、上記の順番通りに処理要求信号を送信し、ジョブ待ち時間が所定時間を越えていれば、別の画像処理装置32を処理要求信号の送信候補とする。ここで、順番管理手段10は、送信候補の画像処理装置32を選択するにあたっては、上記の順番にしたがって、画像処理装置32を選択する。ただし、上記の順番の最後の画像処理装置32の次の送信候補を選択する際には、上記の順番の最初に戻る。また、当然ながら、既に処理要求信号を送信済みの画像処理装置32は送信候補として選ばれない。
以下に、工程管理装置1の動作について説明する。工程管理装置1は、データ記憶サーバ31に格納されたアルバムデータに基づき、当該アルバムデータに含まれる写真データに対して所定の画像処理を行わせるために、各画像処理装置32に処理要求信号を送信する。
このとき、順番管理手段10は、最初に、写真データに対してトリミング情報変換装置32Aまたは欠陥修復装置32Bによる画像処理を行うか否かによって、処理要求信号を送信する順番を決定する。例えば、トリミング情報変換装置32Aおよび欠陥修復装置32Bの両方の画像処理を行う場合には、処理要求信号を送信する順番は、トリミング情報変換装置32A→欠陥修復装置32B→色補正装置32C→トリミング装置32Dとなる(以下、この順番を基本順番と称する)。
当該基本順番にしたがえば、処理要求信号を最初に送信する(最初の送信候補となる)のはトリミング情報変換装置32Aであるから、順番管理手段10は、トリミング情報変換装置32Aについてジョブ待ち時間判定処理を実行する。その結果、ジョブ待ち時間が所定時間以内であれば、順番管理手段10は、予定通りトリミング情報変換装置32Aに処理要求信号を送信する。そして、トリミング情報変換装置32Aより当該処理要求信号に対する終了通知信号を受信すると、順番管理手段10は、次の画像処理装置(次に処理要求信号を送信する予定の画像処理装置)32、上記の基本順番にしたがえば欠陥修復装置32Bについてジョブ待ち時間判定処理を実行する。
一方、順番管理手段10は、トリミング情報変換手段32Aについてのジョブ待ち時間判定処理の結果、ジョブ待ち時間が所定時間を越えていれば、別の画像処理装置32を送信候補とする。この場合の送信候補は、上記の基本順番にしたがえば欠陥修復装置32Bとなるから、順番管理手段10は、欠陥修復装置32Bについてジョブ待ち時間判定処理を実行する。
順番管理手段10は、欠陥修復装置32Bについてジョブ待ち時間判定処理を実行した結果、ジョブ待ち時間が所定時間以内であれば、予定通り欠陥修復装置32Bに処理要求信号を送信し、欠陥修復装置32Bより当該処理要求信号に対する終了通知信号を受信すると、次の画像処理装置32、上記の基本順番にしたがえば色補正装置32Cについてジョブ待ち時間判定処理を実行する。
一方、順番管理手段10は、欠陥修復装置32Bについてのジョブ待ち時間判定処理の結果、ジョブ待ち時間が所定時間を越えていれば、別の画像処理装置32を送信候補とする。この場合の送信候補は、上記の基本順番にしたがえば色補正装置32Cとなるから、順番管理手段10は、色補正装置32Cについてジョブ待ち時間判定処理を実行する。
順番管理手段10は、色補正装置32Cについてジョブ待ち時間判定処理を実行した結果、ジョブ待ち時間が所定時間以内であれば、予定通り色補正装置32Cに処理要求信号を送信し、色補正装置32Cより当該処理要求信号に対する終了通知信号を受信すると、上記の基本順番にしたがって処理要求信号の送信候補を選択する。この場合、送信候補はトリミング装置32Dとなるが、トリミング情報変換装置32Aでの画像処理が終了していない場合には、トリミング装置32Dへの処理要求信号の送信はスキップされ、トリミング装置32Dは上記基本順番の最後のものであるから、上記の基本順番の最初に戻り、当該基本順番にしたがって、処理要求信号を送信していない画像処理装置32が送信候補に選択される。この点は、色補正装置32Cについてジョブ待ち時間判定処理を実行した結果、ジョブ待ち時間が所定時間を越えていたときと同様である。
順番管理手段10は、上記のようにして、トリミング情報変換装置32A、欠陥修復装置32B、色補正装置32C、およびトリミング装置32Dに処理要求信号を送信し、処理要求信号を送信した全ての画像処理装置32A〜32Dから終了通知信号を受信すると、合成処理装置32Eに処理要求信号を送信する。
このように本実施形態の工程管理装置1は、基本的には予め設定された順番で処理要求信号を送信するのであるが、処理要求信号の送信候補(処理要求信号を送信する予定)の画像処理装置32の負荷が重い(ジョブ待ち時間が長い)場合には、上記の順番に従わずに、別の画像処理装置32に処理要求信号を送信することで、空き時間の短縮を図る。
ところで、順番管理手段10は、進捗状況評価手段12で算出したジョブ待ち時間と、アルバムデータに含まれる写真データの納期とに基づいて、写真データに関する画像処理が納期に間に合うか否かを判定する納期遅延判定手段10aを有する。納期遅延判定手段10aは、例えば、写真データの納期に基づいて、一つの写真データから印刷用写真データを作成するまでの猶予時間を算出する。また、納期遅延判定手段10aは、写真データに対する画像処理の進捗状況(画像処理装置32による画像処理がどこまで終了しているか)と、写真データに対する画像処理が終了していない画像処理装置32のジョブ待ち時間とに基づいて、当該写真データについて印刷用写真データが作成されるまでにかかる時間(必要作業時間)を算出する(簡単な例としては、写真データに対する画像処理が終了していない画像処理装置32のジョブ待ち時間および当該画像処理装置32において画像処理にかかる時間とを全て加算することで、必要作業時間を算出する)。そして、納期遅延判定手段10aは、上記猶予時間より上記必要作業時間が長い場合には、納期に間に合わないと判定する。ここで、猶予時間を算出する際には、現日時と、写真データを含むアルバムデータの納期と、アルバムデータに含まれる全ての写真データによる印刷用写真をプリンタ装置5で印刷するために必要な時間(印刷時間)、印刷した写真をアルバムに綴じるために必要な時間(製本時間)、アルバムの作成場所から客の受け取り場所までの配送にかかる時間(配送時間)など種々の事項が考慮される。
順番管理手段10は、上記の納期遅延判定手段10aで納期に間に合わないと判定された写真データがあれば、当該写真データについては処理要求信号に代えて優先処理要求信号を送信し、これによって、当該写真データに対する画像処理を他の写真データに対する画像処理よりも先に実行させる。
プリンタ装置5は、合成処理装置32Eで作成された印刷用写真データを合成処理装置32Eの上記ストレージデバイスより読み出して、当該印刷用写真データによる印刷用写真を写真用紙やアルバム台紙などの印画紙(プリント用印画紙)にプリント(印刷)する。このようなプリンタ装置5としては、印刷用写真をプリントする印画紙を複数種類の幅の印画紙から選択可能なものを用いることが好ましく、プリントする印刷用写真のサイズに応じた印画紙を選択してプリントを実行すれば、印画紙の無駄や、印刷用写真のサイズに合わせて印画紙をカットする作業などを省くことができる。例えば、幅が89mm、102mm、127mm、254mm、305mmである印画紙を用いることが可能なプリンタ装置5であれば、89×119mmのDSCサイズ(L−DSCサイズ)、89×127mmのLサイズ、89×133mmのLWサイズ、89×158mmのHVサイズ、102×152mmのKGサイズ(ハガキサイズ)、127×169mmの2L−DSCサイズ、127×178mmの2Lサイズ、127×190mmの2LWサイズ、254×305mmの四切サイズ、203×254mmの六切サイズ、203×305mmの六切ワイドサイズ、254×365mmの四切ワイドサイズ、210×305mmのA4サイズ、305×420mmのA3サイズなどの種々のサイズの写真を印刷することができる。なお、ここで、プリンタ装置5は、写真データの解像度以上の解像度を有するものを用いることが好ましい。なお、図示例ではプリンタ装置5は1つであるが、このようなプリンタ装置5は用途、例えば共用できない用紙サイズ毎に設けられていてもよく、また、同種のプリンタ装置5を複数台使用してもよい。
このようなプリンタ装置5でプリントされた写真(修整写真)を、写真アルバムの台紙(図示せず)の所定箇所に貼付することや、プリンタ装置5でプリントされたアルバム台紙を綴じることで写真アルバムが完成する。なお、プリンタ装置5でプリントされた修整写真に対しては、印刷用写真作成装置3における修整の過不足などの最終チェックが行われ、必要に応じて、印刷用写真作成装置3で再度、修整処理が実行される。
以上述べた本実施形態の工程管理装置1によれば、進捗状況評価手段11で算出したジョブ待ち時間が所定時間以内か否かによって、処理要求信号の送信候補の画像処理装置32の負荷(仕事量)が過多であるか否かを判定し、処理要求信号の送信候補の画像処理装置32の負荷が過多でなければ、予め設定された順番にしたがって処理要求信号を送信する一方で、送信候補の画像処理装置32の負荷が過多であれば、別の画像処理装置32を処理要求信号の送信候補とするから、写真データに対するジョブの流れが停滞することを抑制して、全体的にジョブの待ち時間を短くすることができ、その結果、写真データに複数種類の画像処理を行う際の作業効率を向上することができる。
特に、上記の例では、画像処理を行うために欠陥確認装置6での作業が必要になり、また手作業による欠陥の修復作業に使用される欠陥修復装置32Bにおいて負荷が重くなり易く、欠陥修復装置32Bの負荷が重い場合には、工程管理装置1は欠陥修復装置32Bとは別の画像処理装置32に画像処理を行わせるので、欠陥修復装置32Bの負荷の低減が図れる。
また、進捗状況評価手段11は、画像処理装置32において1つのジョブの処理にかかった平均作業時間と、当該画像処理装置32における待ち行列に登録されたジョブの数とを乗算することで、上記待ち時間を算出するから、待ち時間を容易に算出することができる。
さらに、順番管理手段10は、進捗状況評価手段11で算出したジョブ待ち時間と写真データの納期とに基づいて、納期に間に合うか否かを判定する納期遅延判定手段10aを有しており、納期遅延判定手段10aで納期に間に合わないと判定された写真データがあれば、当該写真データについては処理要求信号に代えて優先処理要求信号を送信するから、画像処理装置32に、納期に遅れそうな写真データに対するジョブを優先して行わせることができるから、納期に遅れてしまうことを防止することができる。
ところで、図1では、工程管理装置1を備えたアルバム作製システムを例に挙げているが、工程管理装置1を適用するシステムは、アルバム作製システムに限定されず、例えば、カメラ装置2で撮影した写真の写真データに対して複数種類の画像処理を行った後に、プリンタ装置5で印刷するような写真撮影システムに適用することができる。このような写真撮影システムによっても、同様に、写真データに複数種類の画像処理を行う際の作業効率を向上することができるという効果が得られる。
なお、本実施形態の工程管理装置1の構成はあくまでも本発明の一実施形態であって、本発明の技術的範囲を上記の例に限定する趣旨ではなく、趣旨を逸脱しない程度に変更することができる。この点は、この点は、本実施形態で例示した印刷用写真作成装置3、アルバム作製システム、および写真撮影システムについても同様である。例えば、印刷用写真作成装置3を構成する各装置は必ずしも同一工場内に設置されている必要はなく、必要に応じて遠隔地の工場などに設置するようにしてもよい。また、本実施形態では、工程管理装置1を適用とする例としてアルバム作製システムや、写真撮影システムを例示しているが、これらの他に、キーホルダや携帯ストラップなどの種々の小物など、写真を一部に含む商品を作成するためのシステムに適用することができる。また、写真を一部に含む商品を作成するためのシステムを複数構築する場合、最終の商品形態が異なるだけであるから、これらのシステム間で工程管理装置1を共用することができ、システムの構築にかかる費用を低減することができる。