JP2009286781A - 有機半導体化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機半導体化合物に関する。また、該有機半導体化合物を用いた有機半導体デバイスに関する。
有機材料の特徴である軽量性と、柔軟性とを活かした有機半導体デバイスの実現に向けて、数々の化合物が報告されている。中でも、ペンタセンに代表される多環芳香族化合物は、その高いキャリア移動度と化合物自体の熱安定性の面からこれまでも多くの報告がなされている。(非特許文献1)
有機半導体材料のデバイス化には、ドライプロセスとウェットプロセスが用いられ、ド
ライプロセスとしては、真空蒸着法と気相成長法が、ウェットプロセスとしては、塗布法と溶液成長法が検討されている。特に、ウェットプロセスを用いてデバイス化する方法は、ドライプロセスと比較して、大面積化への対応が容易であることから、大幅なコストダウンが実現できる可能性があり、産業上、非常に重要な意味をもっている。
ライプロセスとしては、真空蒸着法と気相成長法が、ウェットプロセスとしては、塗布法と溶液成長法が検討されている。特に、ウェットプロセスを用いてデバイス化する方法は、ドライプロセスと比較して、大面積化への対応が容易であることから、大幅なコストダウンが実現できる可能性があり、産業上、非常に重要な意味をもっている。
このようなウェットプロセスへ適応させるために、溶媒への溶解性を高める目的でアルキル基などで置換された化合物(特許文献1、非特許文献2)や、熱による変換が可能な相転移温度を有している前駆体(非特許文献3)としての化合物、光による変換が可能な前駆体(非特許文献4)が提案されている。
こうした内にあって、高純度あるいは薄膜形成のいずれか、または、その両方をすることができ、大気中で素子を駆動することができる有機半導体として新たな化合物が提供されている(特許文献2)。特許文献2の発明に係わる化合物の一般式〔化11〕は、以下のように示されている。
〔化11〕
ここでX1及びX2はそれぞれ独立してカルコゲン原子であり、nは1〜3の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−18アルキル、ハロゲンを有するC1−18アルキル、C1−18アルキルオキシ、C1−18アルキルチオもしくはアリール、またはハロゲン、C1−18アルキル、ハロゲンを有するC1−18アルキル、C1−18アルキルオキシもしくはC1−18アルキルチオの少なくとも1種を有するアリールであることを特徴としている。
〔化11〕
ここでX1及びX2はそれぞれ独立してカルコゲン原子であり、nは1〜3の整数であり、
R1及びR2はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−18アルキル、ハロゲンを有するC1−18アルキル、C1−18アルキルオキシ、C1−18アルキルチオもしくはアリール、またはハロゲン、C1−18アルキル、ハロゲンを有するC1−18アルキル、C1−18アルキルオキシもしくはC1−18アルキルチオの少なくとも1種を有するアリールであることを特徴としている。
しかしながら、前者のようなアルキル基を有する化合物では、−10〜150℃の温度範囲で相転移温度を有している場合があり。相転移温度の周辺では特性が大きく変化してしまうために、センサー用途を除いた電子デバイスとしては、実使用上問題がある。また、これまで報告されている光または熱で変換できる前駆体は、変換前の化合物から特定の化合物が脱離するため、その脱離した化合物が塗膜中に残ったり、マクロ(光学顕微鏡で観察できる範囲)での塗膜の均一性に問題があった。
また、特許文献2の化合物〔化11〕では、酸化による劣化を防ぐことは可能と思われ
るが、反応性に乏しく、ウェットプロセスにおいて容易に薄膜形成することができるかとの疑問が残る。
るが、反応性に乏しく、ウェットプロセスにおいて容易に薄膜形成することができるかとの疑問が残る。
ジイン化合物は、UV光などの高エネルギー線、加熱、加圧などで、連鎖的1,4-付加反応が起こり重合する。固相重合は、モノマー分子の相対的配列関係に依存することが知られている(J.Polym.Sci.,Macromol.Rev.,13,219(197
8).)。その中で、分子間の距離(d)が約5Å、モノマー分子軸とスタッキング角(φ)が
約45°になると重合が始まるとされている。
いわゆる三重結合を有するジイン化合物は一般的に安定性に乏しいとされているが、化合物によっては、安定性を有するものがあると考えられる。例えば以下に示すジフェニルジアセチレン〔化12〕は、ベンゼン環の立体障害のため安定していると推察される。すなわち溶液中においては、ベンゼン環は、回転していて近づけないが、距離が近くなると上記のように付加反応が生ずる。
〔化12〕
8).)。その中で、分子間の距離(d)が約5Å、モノマー分子軸とスタッキング角(φ)が
約45°になると重合が始まるとされている。
いわゆる三重結合を有するジイン化合物は一般的に安定性に乏しいとされているが、化合物によっては、安定性を有するものがあると考えられる。例えば以下に示すジフェニルジアセチレン〔化12〕は、ベンゼン環の立体障害のため安定していると推察される。すなわち溶液中においては、ベンゼン環は、回転していて近づけないが、距離が近くなると上記のように付加反応が生ずる。
〔化12〕
特許文献2の発明に係わる化合物では、ジイン構造とする記載がない。しかし、本発明者は、特許文献2の化合物〔化11〕のフェニル基の両端にジイン基を直接結合させることにより、溶液中で安定であって、連鎖的に固相重合反応が生ずることによる有機半導体が得られるのではないかと考えられた。
前記課題を解決するために、本発明者は、鋭意検討した結果、ジイン構造を有する有機半導体化合物を得ることができた。すなわち、本発明は次のような構成からなる。
請求項1の発明は、下記の化学式〔化1〕で示されるようなジイン構造を特徴とする有機化合物である。
〔化1〕
ただし、化学式〔化1〕中のR1、R2は、水素原子以外の置換基が付いていることを特
徴とする。ここでいう置換基とは、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキニル基、アルコキシル基、フルオロアルコキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、ニトロ基、ニトリル基、スルフィド基、メルカプト基、スルホニル基、シリル
基、アリール基である。ここで、nは1以上8以下の整数である。
〔化1〕
ただし、化学式〔化1〕中のR1、R2は、水素原子以外の置換基が付いていることを特
徴とする。ここでいう置換基とは、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキニル基、アルコキシル基、フルオロアルコキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、ニトロ基、ニトリル基、スルフィド基、メルカプト基、スルホニル基、シリル
基、アリール基である。ここで、nは1以上8以下の整数である。
さらに、請求項2の発明は、化学式〔化1〕中のR1、R2が同一の置換基であること
を特徴とする請求項1に記載の有機化合物である。
を特徴とする請求項1に記載の有機化合物である。
さらに、請求項3の発明は、化学式〔化1〕中のnが1以上3以下の整数であることを
特徴とする請求項1に記載の有機化合物である。
特徴とする請求項1に記載の有機化合物である。
さらに、請求項4の発明は、化学式〔化1〕中のR1、R2が同一の置換基であること
を特徴とする請求項3記載の有機化合物である。
を特徴とする請求項3記載の有機化合物である。
さらに、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の化合物の製造方法である。製造方法は、下記の実施例に開示し、代表的な化学反応例を図1に示す。
さらに、請求項6の発明は、−50℃以上200℃以下の温度範囲において液晶相を発現する請求項1の有機化合物である。
さらに、請求項7の発明は、有機溶媒等に対する溶解性が、0.01wt%以上である
ことを特徴とする請求項1記載の有機化合物である。
ことを特徴とする請求項1記載の有機化合物である。
さらに、請求項8の発明は、請求項1から請求項6記載のいずれかの有機化合物あるいは、いずれかの有機化合物を組み合わせて重合させて得られた重合物である。
さらに請求項9の発明は、請求項8の重合物を含む有機半導体デバイスである。
請求項1の発明によれば、酸化劣化が少ない安定性にすぐれ、かつ重合反応を容易にし、有機半導体デバイスを形成しやすい有機半導体材料を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の化合物のR1とR2を同一の置換基とすることにより、その合成過程が容易となる。
請求項3の発明によれば、請求項1の化合物の電気特性が向上し、合成及び精製の作業性が向上する。
請求項4の発明によれば、請求項1の化合物の結晶化が容易となり、また分子を並べる手段として液晶性を利用することが可能となる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4の化合物の製造方法を明らかにして化合物を特定することができる。
請求項6の発明によれば、温度に対するキャリアの依存度が存在しない液晶状態での請求項1の化合物のデバイスの安定駆動が可能となる。
請求項7の発明によれば、ウェットプロセスにより請求項1の化合物の薄膜形成がより容易となる。
請求項8の発明によれば、請求項1ないし請求項6の化合物を重合物として利用することができる。
また請求項9の発明によれば、請求項1の化合物により各種の有機半導体デバイスに利用可能となる。
本発明の実施の代表例を以下に示す。
本発明の化合物は、前記化学式〔化1〕に示すような構造の化合物であり、化学式(I
)中のR1、R2のうち少なくとも一つは、水素原子以外の置換基が付いていることを特
徴とする。ここで、置換基とは、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキニル基、アルコキシル基、フルオロアルコキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、ニトロ基、ニトリル基、スルフィド基、メルカプト基、スルホニル基、シリル基、アリール基である。
)中のR1、R2のうち少なくとも一つは、水素原子以外の置換基が付いていることを特
徴とする。ここで、置換基とは、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキニル基、アルコキシル基、フルオロアルコキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、ニトロ基、ニトリル基、スルフィド基、メルカプト基、スルホニル基、シリル基、アリール基である。
これらのうち、好ましいものとしては、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ
ル基、フルオロアルコキシル基、アリール基が挙げられる。さらに好ましいものとしては、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基が挙げられる。さらに特に好ましいものとしては、アルキル基、フルオロアルキル基が挙げられる。また、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基フルオロアルキニル基等の炭素数は、1〜22が好ましい。さらに好ましくは、炭素数が2〜18が好ましい。
ル基、フルオロアルコキシル基、アリール基が挙げられる。さらに好ましいものとしては、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基が挙げられる。さらに特に好ましいものとしては、アルキル基、フルオロアルキル基が挙げられる。また、アルキル基、フルオロアルキル基、アルケニル基、フルオロアルケニル基、アルキニル基フルオロアルキニル基等の炭素数は、1〜22が好ましい。さらに好ましくは、炭素数が2〜18が好ましい。
前記化学式〔化1〕中のnに関しては、nが1以上、8以下のものが本発明の化合物であり、電気特性と合成の容易さと精製のし易さの両立の観点からは、nが1以上3以下とすることが最も好ましい
また、前記化学式〔化1〕中のR1とR2は、異なっていても良いが、製造の簡便さの
点では、同一の置換基であることが好ましい。
点では、同一の置換基であることが好ましい。
次に、請求項1〜4記載の有機化合物の製造方法について述べる。
本発明の有機化合物は、公知の有機合成手法の組み合わせにより製造することができる。
例えば、出発物質としては非特許文献5に記載の2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[
3,2−b]ベンゾチオフェンを用いることができる。この場合、1段階目としてトリメ
チルシリルアセチレンを反応させ、2段階目としてトリメチルシリル基を脱離反応させ、
3段階目として対応するアセチレンと反応させることで3段階で目的物が合成できる。(詳細な条件の例としては、実施例2に記載)
本発明の有機化合物は、公知の有機合成手法の組み合わせにより製造することができる。
例えば、出発物質としては非特許文献5に記載の2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[
3,2−b]ベンゾチオフェンを用いることができる。この場合、1段階目としてトリメ
チルシリルアセチレンを反応させ、2段階目としてトリメチルシリル基を脱離反応させ、
3段階目として対応するアセチレンと反応させることで3段階で目的物が合成できる。(詳細な条件の例としては、実施例2に記載)
本発明の化合物は、広がったπ電子系を有する平面分子であり、このような化合物が複数集まり、互いに重なりあうことにより、これら分子間のキャリア移動度の向上が可能となる。この分子同士の重なりを助けるために置換基は、少なくとも2つ以上が同一であるほうが結晶化しやすくなるため望ましい。また、分子を並べる手段として、液晶性を利用することもできる。
本発明の請求項5記載の化合物の液晶相の範囲は−50℃〜200℃であるが、デバイスが液晶状態で駆動する場合と、結晶状態で駆動する場合と好ましい液晶相状態の温度範囲は異なる。
キャリア移動度の大きさは、一般的には液晶状態より結晶状態のほうが大きいが、温度に対する依存性が存在しない液晶状態がデバイスの安定駆動に果たす役割も大きいため、どちらの状態を実際に使用するかは、任意に選択することが可能である。
キャリア移動度の大きさは、一般的には液晶状態より結晶状態のほうが大きいが、温度に対する依存性が存在しない液晶状態がデバイスの安定駆動に果たす役割も大きいため、どちらの状態を実際に使用するかは、任意に選択することが可能である。
よって、結晶状態でデバイス駆動する場合は、好ましい液晶相の範囲は、一般的なデバイス使用温度範囲よりも上側で液晶相を発現する意味で、75〜200℃、さらに好ましくは、150℃〜200℃の範囲である。一方、液晶状態で使用する場合は、好ましい液晶相の範囲は、デバイスの使用温度において液晶相を発現する意味で、−50〜200℃の範囲である。なお、液晶相を利用した、分子の配向方法には、ラビング法、SiO真空蒸着法、化学処理法、溝構造形成配向法、偏向光配向法など既知の方法が使用できる。
本発明の化合物を電子デバイスに利用するにおいては、主として薄膜の形態で用いられるが、その薄膜作製法として、ウェットプロセスとドライプロセスどちらを使用してもよい。産業上メリットの大きいウェットプロセスにおいては、有機溶媒等への溶解性が重要になる。本発明の請求項7記載の化合物は、有機溶媒等に対する溶解性が、0.01wt%以上であることを特徴としている。
ここで、有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン
、シクロヘキサノール、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、メチルエチルケトン、ジ
グライム、テトラヒドロフランなど、これまで公知のものが使用できる。また、本発明の
化合物を有機溶媒等へ溶解させる場合、温度や圧力に特に制限は無いが、溶解させる温度に関しては、0〜200℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、10〜150℃の範囲である。また、溶解させる圧力に関しては、0.1〜100MPaの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10MPaの範囲である。また、有機溶媒の代わりに、超臨界
二酸化炭素のようなものを用いることも可能である。
、シクロヘキサノール、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、メチルエチルケトン、ジ
グライム、テトラヒドロフランなど、これまで公知のものが使用できる。また、本発明の
化合物を有機溶媒等へ溶解させる場合、温度や圧力に特に制限は無いが、溶解させる温度に関しては、0〜200℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、10〜150℃の範囲である。また、溶解させる圧力に関しては、0.1〜100MPaの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10MPaの範囲である。また、有機溶媒の代わりに、超臨界
二酸化炭素のようなものを用いることも可能である。
ここで言うウェットプロセスとは、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、スプレーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、平板印刷法、凹版印刷法、凸版印刷法などを示しており、これら公知の方法が利用できる。
ここで言うドライプロセスとは、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、レーザー
蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、気相輸送成長法などを示しており、これら公知の方法が利用できる。
蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、気相輸送成長法などを示しており、これら公知の方法が利用できる。
本発明の化合物は、架橋物として利用することが可能であり、請求項7に記載の化合物は、請求項1〜6記載の化合物を重合させて得られた架橋物であることを特徴としている。
ここで、重合の方法としては、加熱、光照射、加圧などが挙げられる。熱重合の際、未架橋物の経時安定性の観点から、重合温度の範囲は、好ましくは、80℃以上300℃以下である。さらに好ましくは、150℃以上250℃以下である。光照射による重合の場合は、光源の波長は特に限定されないが、未架橋物の安定性の観点から、20〜400nmの波長の光照射による重合が特に好ましい。また、加圧による重合も可能である。これら重合方法のなかでは、パターニングが容易であることから、光重合もしくは、光重合とその他の重合方法を組み合わせることが好ましい。
本発明に係わる化合物は、既知の有機化合物の合成方法を組み合わせて合成することができる。例えば、対称のジイン構造を合成するときは、Glaserカップリング反応を用いることができる。非対称のジイン構造を合成するときは、Chodkiewitz−Cadiot反応や、パラジウム触媒カップリング反応を用いることができる。
本発明の化合物は、有機電子デバイスに利用できる。ここでいう有機電子デバイスとは、本化合物の電気特性を利用した電子デバイスのことであり、具体的には、有機トランジスタ、有機発光ダイオード、有機ダイオード、有機レーザー、有機太陽電池、有機メモリーなどが挙げられる。
これら有機電子デバイスに利用するに当たっては、場合によって、不純物の除去等の精製等が必要になるが、本発明の化合物は、液体クロマトグラフィー法、昇華法、ゾーンメルティング法、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー法、再結晶法などによって精製できる。
以下に実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
2,7−ビス(トリメチルシリルエチニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成。
50mlの四ツ口フラスコに、非特許文献5に記載の方法に従って合成した2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンを0.5g(1.0mmol)と、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を28mg(0.040mmol)、ヨウ化銅を20mg(0.105mmol)、ジエチルアミン20mlを仕込み窒素置換をし、窒素雰囲気下にて攪拌した。その後、トリメチルシリルアセチレン0.5g(50.9mmol)を加え室温で12時間攪拌した。反応後、ドラフト内にて、反応液を5%重曹水200ml中にゆっくり注ぎ、約30分間攪拌した。析出した沈殿物を濾集乾燥後、ジクロロメタンを用い、カラム精製を行うことで、肌色の固体を得た。これをヘプタン70ml中で熱洗浄し、濾集、乾燥することで、薄褐色結晶0.4g(0.92mmol)を得た。(収率:92%)
S.Yu.Zherdeva,A.Ya.Zheltov,T.A.Kozik and B.I.Stepanov「Zhurnal Organicheskoi Khimii」第16巻、p430
S.Yu.Zherdeva,A.Ya.Zheltov,T.A.Kozik and B.I.Stepanov「Zhurnal Organicheskoi Khimii」第16巻、p430
2,7−ジエチニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成。
50mlの三ツ口フラスコに、2,7−ビス(トリメチルシリルエチニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンを1.0g(2.31mmol)とジクロロメタン10mlとメタノール30mlを仕込み室温で5分間攪拌した。その後、さらに炭酸カリウム1.0gを加え、室温で一晩攪拌した。反応液を100mlの水に空け、さらにジクロロメタン100mlを加え分液し、得られた有機層を飽和食塩水100mlで2回洗浄した。このジクロロメタン溶液を濃縮乾燥することで、褐色粉体を0.6g得た。(収率90%)
2,7−ビス(ウンデカ−1,3−ジニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成。
100mlの三ツ口フラスコに、2,7−ジエチニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンを0.25g(0.87mmol)、酢酸銅(II)を1.82g(10mmol)、1−ノニンを0.65g(5.2mmol)、ピリジンを25ml、メタノールを25ml仕込み、窒素置換後、約5分間攪拌した。その後、還流温度までオイルバスにて昇温し、そのまま還流状態で一晩攪拌した。翌日、オイルバスから外し、水100ml中に反応液を注ぎ、析出した沈殿物を濾集した。これを溶離液にジクロロメタンをもちい、カラムクロマトグラフィーにて精製後、乾燥することで薄褐色固体を0.064g(0.12mmol)を得た(収率14%)。得られた化合物の1H NMRチャートを図2に示す。
実施例で合成した2,7−ビス(ウンデカ−1,3−ジニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンのDSCチャートを図3と図4に示す。図3は、上限温度を250℃に設定し得られたチャートである。図3より、0〜43分の昇温過程で、相転移に由来する2つの吸熱ピーク(72℃、168℃)と重合反応に由来する1つの発熱ピーク(208℃付近から立ち上がる)が観測された。このことより、本化合物が液晶性を有していることがわかる。また、重合反応の結果できた硬化物からは、−50℃〜250℃の範囲において相転移温度は観測できなかった。
続いて、上限温度を195℃にして測定したDSCチャートを図4に示す。図3と比較
すると、昇温を繰り返しても吸熱ピークが消えないことからも、重合開始温度以下では、転移温度が消えていないことがわかる。これらの事実からは、重合開始温度以下の温度においては、本化合物が極めて安定であることがわかる。
すると、昇温を繰り返しても吸熱ピークが消えないことからも、重合開始温度以下では、転移温度が消えていないことがわかる。これらの事実からは、重合開始温度以下の温度においては、本化合物が極めて安定であることがわかる。
有機薄膜トランジスタの作製(塗布:スピンコート)。
厚さ210nmの熱酸化膜を形成したシリコンウェハー上に、2,7−ビス(ウンデカ−1,3−ジイル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンのクロロホルム溶液(0.4wt%)を大気下にてスピンコートし、薄膜を作製した。その上から、ソース・ドレイン電極となる金を電子ビーム法にて80nm蒸着することで、TOPコンタクト型素子を作製し評価をおこなった。
その結果、電界効果移動度は、3×10−3cm2/V・sで、On/Off電流比は104であった。
また、素子作成後、80℃で30分間加熱処理した素子の電界効果移動度は、5×10−3cm2/V・sで、On/Off電流比は104であった。
厚さ210nmの熱酸化膜を形成したシリコンウェハー上に、2,7−ビス(ウンデカ−1,3−ジイル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンのクロロホルム溶液(0.4wt%)を大気下にてスピンコートし、薄膜を作製した。その上から、ソース・ドレイン電極となる金を電子ビーム法にて80nm蒸着することで、TOPコンタクト型素子を作製し評価をおこなった。
その結果、電界効果移動度は、3×10−3cm2/V・sで、On/Off電流比は104であった。
また、素子作成後、80℃で30分間加熱処理した素子の電界効果移動度は、5×10−3cm2/V・sで、On/Off電流比は104であった。
Claims (9)
- 化学式〔化1〕中のR1、R2が同一の置換基であることを特徴とする請求項1に記載
の有機化合物。 - 化学式〔化1〕中のnが1以上3以下の整数であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
- 化学式〔化1〕中のR1、R2が同一の置換基であることを特徴とする請求項3記載の
有機化合物。 - 請求項1ないし請求項4の化合物の製造方法。
- −50℃以上200℃以下の温度範囲において液晶相を発現する請求項1の有機化合物。
- 有機溶媒等に対する溶解性が、0.01wt%以上であることを特徴とする請求項1記
載の有機化合物。 - 請求項1から請求項6記載のいずれかの有機化合物あるいは、いずれかの有機化合物を組み合わせて重合させて得られた重合物。
- 請求項8に記載の重合物を含む有機半導体デバイス。
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Cited By (4)
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2009
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