JP2009286498A - 薬液容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 容器本体と摘み部の破断を容易に行なうことができ、接合部の破断により形成された開口部には糸引き、変形等の不具合が生じない、使い捨て型の薬液容器の提供。
【解決手段】 薬液が収容された収容部41の外周に板状部42が形成された胴部4と、この胴部に連なる首部5とからなる容器本体1と、上記首部の先端を周回するV字状の切り込み部6を介して上記首部を塞ぐように接合された中空円環体21と、この中空円環体の周囲に立設され、上記容器本体と肉薄部3を介して接合された板状部22とからなる摘み部2を備え、上記摘み部のねじり操作により、上記切り込み部と肉薄部を破断して、首部の先端上面に薬液滴下用の開口部52が形成されるようにし、上記首部の先端は、上記切り込み部を構成する下側環状面の端縁と上記首部の先端の端縁とが接合されて、外方に向かって突端を有する環状凸部51とされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、容器本体と摘み部が破断可能に接合された使い捨て型の薬液容器に関する。
この種の薬液容器は、図6に示すように、薬液が収容された容器本体91と摘み部92が破断可能な肉薄部93で接合された構成が一般的に採用されている。そして、薬液容器90を使用する場合には、一方の手で容器本体91を支え、他方の手で摘み部92を摘んでねじりを加えることにより、肉薄部93を破断して薬液と連通する開口部96を容器本体91の先端に形成させる(図7参照)。
ここで、容器本体の先端は、図6に示すように、先端に向かう程断面が縮径する形状とされるのが一般的であり、この場合容器本体91の先端は、摘み部92に設けられ、かつ容器本体91の先端の閉塞端を構成する中空の円環体94と接合される。
しかし、かかる形状では、摘み部92をねじったときに、容器本体91の先端と摘み部の円環体94の間に形成された接合部95にせん断応力が伝わりにくいため、接合部を容易に破断することが困難になる。また、仮に接合部95が破断されたとしても無理やり破断する場合が多いため、接合部の破断により形成された開口部96には糸引き、変形等が生じてしまい、薬液を滴下する際に液滴の大きさが安定しないという問題点があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、容器本体と摘み部の破断を容易に行なうことができ、接合部の破断により形成された開口部には糸引き、変形等の不具合が生じない、使い捨て型の薬液容器を提供することを主たる目的とする。
本発明の薬液容器は、薬液が収容された収容部の外周に板状部が形成された胴部と、この胴部に連なって突出して形成され、上記収容部と連通する中空円筒状の基部と、この基部から上方に向けて先端に至るまで拡径する中空の拡径部とを有するラッパ形状の首部とからなる容器本体と、上記首部の先端を周回するV字状の切り込み部を介して上記首部を塞ぐように接合された中空円環体と、この中空円環体の周囲に立設され、上記容器本体と肉薄部を介して接合された板状部と、この板状部の左右下側部に、成形時に過剰な樹脂が集められて形成された一対の突起物とからなる摘み部を備え、かつ上記肉薄部は、上記容器本体の胴部の左右上側部を構成する肩部から上記首部の先端まで連続して形成されており、上記摘み部のねじり操作により、上記切り込み部と肉薄部を破断して、首部の先端上面に薬液滴下用の開口部が形成されるようにした、合成樹脂によりブロー成形された薬液容器であって、上記首部の先端は、上記切り込み部を構成する下側環状面の端縁と上記首部の先端の端縁とが接合されて、外方に向かって突端を有する環状凸部とされ、かつ下側環状面の肉厚がその端縁から切り込み部の最深部に向けて漸次肉薄に形成されており、上記首部を構成する基部と拡径部のうち、基部の肉厚が拡径部の肉厚より厚く形成されている。
かかる薬液容器によれば、ブロー成形において、首部の先端を周回する切り込み部の最深部にあるパリソンが、このすぐ下に位置する環状凸部の突端部分に向かって押し込まれるため、切り込み部の最深部の肉厚が十分に薄くされ、摘み部をねじった場合に切り込み部を容易に破断することができる。また、切り込み部の破断により容器本体の先端に形成された開口部は、きれいな切断面とされているため、糸引きや変形等が生じておらず、使用に際して一定量の薬液を滴下することができる。
また、本発明では、切り込み部の最深部の肉厚を十分に薄くするために、上記環状凸部の突端の角度は30〜120度の範囲に設定することが好ましく、50〜100度の範囲に設定することが更に好ましく、60〜90度の範囲に設定することが特に好ましい。すなわち、環状凸部の突端の角度を小さくする程、切り込み部の最深部の肉厚を薄く制御できるが、あまり小さくし過ぎると首部の強度が不足し好ましくないので、突端の角度は少なくとも30度以上に設定する必要がある。
また、本発明では、上記切り込み部の最深部の肉厚を極限まで薄肉化するために、切り込み部を構成する下側環状面の水平方向に対する角度は1〜30度の範囲に設定することが好ましく、1〜25度の範囲に設定することが更に好ましく、1〜20度の範囲に設定することが特に好ましい。すなわち、切り込み部のピンホールの発生に留意しつつ、切り込み部の角度をできるだけ小さい鋭角とすることで、切り込み部の最深部の肉厚を薄肉化することができる。本発明では、切り込み部を構成する下側環状面の水平方向に対する角度を上記範囲に設定することにより、切り込み部の最深部の肉厚を0.02〜0.5mmの範囲に制御することができる。
また、本発明では、上述した下側環状面と同様の手法により、切り込み部を構成する上側環状面の水平方向に対する角度を鋭角に調整することにより、切り込み部の最深部の肉厚を薄肉化することも当然できるが、金型形状が複雑化するのを避け、安定して所定寸法の薬液容器を連続生産するため、切り込み部を構成する上側環状面はほぼ水平に形成することが好ましい。
また、本発明では、摘み部をねじって容器本体から摘み部を破断する場合のせん断応力を伝えやすくするため、上記の構成に加えて、容器本体の首部から肩部にかけて肉薄部が形成されていることが好ましい。すなわち、本発明の薬液容器は、外方に向かって突端を有する環状凸部が首部の先端に設けられている関係上、首部の断面径は首部の先端に向かって大きくなる形状となる。
したがって、かかる独特の形状を有する首部の形状に沿って、摘み部との間に破断可能な肉薄部を設けるとともに、この肉薄部を斜め下側面にある容器本体の肩部にかけて連続して設けることにより、摘み部を破断する場合のせん断応力が、容器本体の肩部から首部の先端まで効率良く伝達される。続いて、首部の先端まで伝達されたせん断応力は、切り込み部の最深部に集中的にかかるので、弱い力であっても切り込み部を容易に破断することができる。
なお、本発明の薬液容器の原料樹脂は、通常の薬液容器に使用される熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、成形の容易性、製造コスト等を考慮すると、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することが好ましい。また、これらの原料樹脂は単層でも多層でも使用することができる。
また、本発明の薬液容器に封入される薬液は特に限定されるものではないが、通常は、点眼用、点鼻用、点耳用および滴下、投与量を一定に維持する必要のある薬液が封入される。
また、本発明の薬液容器の大きさは、特に限定されるものではないが、0.3〜50ml程度の薬液を収容可能な収容部を有することが好ましい。
また、薬液容器の薬液を収容する収容部は、薬液の滴下の便宜を考慮して、薄肉で押圧変形可能に形成されることが好ましい。
また、薬液容器の容器本体と摘み部を破断可能に接合する肉薄部の幅は、通常0.1〜1.5mmの範囲が好ましい。
本発明の薬液容器は、樹脂管(パリソン)がブロー成形により一体的に成形されたものであり、その内部に薬液が充填、密封されたものである。かかる薬液容器はいわゆるブロー・フィル・シールシステム(BFSシステム)と称される、容器の成形と薬液の充填、密封を同時に行なうシステムにより製造される。かかるBFSシステムでは、パリソンを金型で挟んだ状態で空気を吹き込んで金型壁面に樹脂を密着させることにより容器を成形する手段(本明細書では、かかる手段を「ダイレクトブロー成形」と呼ぶ)、または金型の各所に孔径0.3mm程度の細孔を設け、この細孔を通じて金型とパリソンの間の隙間を吸引して真空若しくは減圧状態にして金型壁面に樹脂を密着させることにより容器を成形する手段(本明細書では、かかる手段を「吸引成形」と呼ぶ)を単独で若しくは組み合わせることにより薬液容器が製造される。一般的には、大型〜中型の薬液容器を製造する場合には、ダイレクトブロー成形が主として用いられ、小型の薬液容器を製造する場合には、吸引成形が主として用いられる。
以上説明したように、本発明の薬液容器によれば、ブロー成形において、首部の先端を周回する切り込み部の最深部にあるパリソンが、このすぐ下に位置する環状凸部の突端部分に向かって所定量押し込まれるため、切り込み部の最深部の肉厚が十分に薄くされ、摘み部をねじった場合に切り込み部を容易に破断することができる。また、切り込み部の破断により容器本体の先端に形成された開口部は、きれいな切断面とされているため、糸引きや変形等が生じておらず、使用に際して一定量の薬液を滴下することができる。
本発明の薬液容器の一例を示す正面図である。 本発明の薬液容器の一例を示す側面図である。 図2の切り込み部周辺を示す部分拡大断面図である。 図1の薬液容器を開封した状態を示す部分拡大斜視図である。 図1の薬液容器を複数連設した状態を示す正面図である。 従来の薬液容器の一例を示す正面図である。 図6の薬液容器を開封した状態を示す部分拡大斜視図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の薬液容器について説明する。図1と図2は、それぞれ本発明の薬液容器の一実施例を示す正面図と側面図である。
薬液容器Aは、低密度ポリエチレンからなるパリソンが上述した吸引成形により一体的に成形されたものであり、その内部に吸入液が充填されたものである。
薬液容器Aは、縦70mm、横10mmで、正面から見て矩形の形状とされ、同一寸法幅の容器本体1と摘み部2が、薄く成形された溝状の肉薄部3を介して接合されることにより概略構成されている。容器本体1は、上記吸入液が収容された収容部41の外周に板状部42が形成された胴部4と、この胴部4に連なる細径の首部5とから構成されている。胴部4上方の左右両端にある板状部42は、容器本体1の肩部に相当するものであり、剛性を高めるため、やや幅広の略三角形として形成されており、略三角形の一の斜辺が胴部4上方の端縁とされ、他の斜辺が容器本体の肩部の端縁として構成されている。また、胴部4中央の左右両端にある板状部42は、収容部41が容器本体1と略同一寸法幅で設計されているため、かなり幅狭とされている。また、収容部41の下部にある板状部42は容器本体1と同一寸法幅とされている。
また、首部5は、中空円筒状の基部から上方の先端に至るまで漸次断面が拡径された、いわゆるラッパ状の形状とされている。これは、首部5の先端を、後述する外方に向かって突端を有する環状凸部として構成するためである。
また、摘み部2は、中空円環体21と、この中空円環体21の周囲に起立して設けられた板状部22とから構成されている。中空円環体21は、首部5の先端を水平に周回するV字状の切り込み部6を介して首部5の先端と接合されており、摘み部2の下方両脇にある板状部22は、容器本体1の首部5から肩部に沿って設けられた肉薄部3を介して容器本体1と破断可能に接合されている。なお、上記の板状部22の内部にある突起物23は、成形時に過剰な樹脂が集められたものであり、使用時に特別の作用効果を奏するものとして形成されたものではない。
中空円環体21の内部空間は、容器本体1の収容部41に連通しており、首部5の閉塞端を構成している。この中空円環体21は、その周囲に設けられた板状部22と比較して厚肉で、剛性が高くなるように形成されている。これは、摘み部2をねじって破断するときに、切り込み部6にせん断応力を集中させるためである。
図3は、図2の切り込み部6の周辺を示す拡大断面図である。切り込み部6は、上側環状面61と下側環状面62から構成されており、下側環状面62の水平方向に対する角度は20度に設定されている。また、下側環状面62の端縁と首部5先端の端縁とは接合されて、外方に向かって鋭角な突端を有する環状凸部51が形成されており、この環状凸部51の突端の角度は90度に設定されている。
以上のように構成されている薬液容器Aは、成形時において、切り込み部6の最深部にあるパリソンの所定量が、このすぐ下に位置する環状凸部51の突端部分に向かって押し込まれるため、切り込み部6の最深部の肉厚が0.2mmと十分に薄肉化される。このため、摘み部2をねじった場合に切り込み部6を容易に破断することができる。また、切り込み部6の破断により容器本体1の先端に形成された開口部52は、きれいな切断面とされているため、糸引きや変形等が生じておらず、使用に際して一定量の吸入液を滴下することができる(図4参照)。なお、上記開口部52の開口径は2.5mmであり、0.5mlの液滴を安定して滴下できることが確認されている。
上記の作用効果は、より詳細には次のように説明することができる。すなわち、成形時において、押出機から押し出されたパリソンが、左右に配置された割り金型で挟み込まれ、この金型とパリソンの間にあるエアーを金型に設けられているバキューム用の細孔から吸引すると、パリソンは割り金型の内壁一杯に広がり、次いで、吸入液の充填、密封工程を経て図1の形状を有する薬液容器Aが製造される。この時、薬液容器Aの肉厚はパリソンの広がりの程度が大きいほど薄くなる。図3において、首部5の肉厚が他の部分に比べて厚肉化されているのはこのためである。
また、成形時において、パリソンがその外周にある金型内壁部に向かって広がるときに、内周方向に突端を有する金型内壁部に当たると、その部分は薄肉化され、他方外周方向に突端を有する金型内壁部に当たると、その部分は厚肉化される。この傾向は突端の角度が小さくなるほど顕著になる。そうすると、図3において、切り込み部6の最深部は一般的に薄肉化されやすい部分であるといえるが、この最深部の下に環状凸部51が連接されているため、より一層の肉薄化が図れることになり、切り込み部6の最深部は弱いせん断応力でも破断可能な程度に脆弱なものとなる。
また、薬液容器Aには、容器本体の肩部から首部5の先端にかけて肉薄部3が形成されているため、摘み部2を破断するときのせん断応力が、肉薄部3に効率よく伝達される。そして、この伝達されたせん断応力は、上記の切り込み部6の最深部に集中的に作用するので、弱い力であっても薬液容器Aから摘み部2を容易に破断することができる。本実施例の薬液容器を用いて破断操作を行なうと、多くの場合肉薄部3が完全に破断されていない状態でも、切り込み部6の最深部が破断され始める現象が観察される。かかる現象は、上述の如くせん断応力の伝達性に優れていることによるものと考えられる。
また、本発明の薬液容器は、図5に示すように、薄く成形された溝状の切り離し部7を介して複数連設した形態として実施することもできる。このようにすれば、多数の薬液容器を同時に製造することができ、また携帯にも都合が良い。薬液容器を複数連設する場合には、図5に示すように、容器本体と摘み部を同一寸法幅にして、薬液容器Aの左右側面に破断可能な切り離し部7を設けるようにすると、全体が矩形となり、機能性、デザイン性に優れた薬液容器を提供することができる。
A 薬液容器
1 容器本体
2 摘み部
21 中空円環体
22 板状部
3 肉薄部
4 胴部
41 収容部
42 板状部
5 首部
51 環状凸部
6 切り込み部
62 下側環状面
61 上側環状面

Claims (6)

  1. 薬液が収容された収容部の外周に板状部が形成された胴部と、この胴部に連なって突出して形成され、前記収容部と連通する中空円筒状の基部と、この基部から上方に向けて先端に至るまで拡径する中空の拡径部とを有するラッパ形状の首部とからなる容器本体と、
    前記首部の先端を周回するV字状の切り込み部を介して前記首部を塞ぐように接合された中空円環体と、この中空円環体の周囲に立設され、前記容器本体と肉薄部を介して接合された板状部と、この板状部の左右下側部に、成形時に過剰な樹脂が集められて形成された一対の突起物とからなる摘み部を備え、かつ前記肉薄部は、前記容器本体の胴部の左右上側部を構成する肩部から前記首部の先端まで連続して形成されており、
    前記摘み部のねじり操作により、前記切り込み部と肉薄部を破断して、首部の先端上面に薬液滴下用の開口部が形成されるようにした、合成樹脂によりブロー成形された薬液容器であって、
    前記首部の先端は、前記切り込み部を構成する下側環状面の端縁と前記首部の先端の端縁とが接合されて、外方に向かって突端を有する環状凸部とされ、かつ下側環状面の肉厚がその端縁から切り込み部の最深部に向けて漸次肉薄に形成されており、
    前記首部を構成する基部と拡径部のうち、基部の肉厚が拡径部の肉厚より厚く形成されている薬液容器。
  2. 前記環状凸部の突端の角度が30〜120度の範囲にある請求項1に記載の薬液容器。
  3. 前記切り込み部を構成する下側環状面の水平方向に対する角度が1〜30度の範囲にある請求項1または請求項2に記載の薬液容器。
  4. 前記切り込み部を構成する上側環状面がほぼ水平に形成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の薬液容器。
  5. 切り込み部の最深部の肉厚が0.02〜0.5mmの範囲にある請求項1から請求項4のいずれかに記載の薬液容器。
  6. 肉薄部の幅が0.1〜1.5mmの範囲にある請求項1から請求項5のいずれかに記載の薬液容器。
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