JP2009286320A - 乗員保護装置の起動制御装置 - Google Patents

乗員保護装置の起動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値を設定する。
【解決手段】起動制御ECU11は、車両が周囲の物体に衝突する可能性を判定する衝突可能性判定部114と、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かを判定する動作判定部115と、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性及び動作判定部115による判定結果に基づいて、ヘッドレストを起動するか否かを判定する閾値SHを設定する閾値設定部116と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、車両に作用する衝撃の大きさが、予め設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動を開始させるべく制御する起動制御装置に関する。
従来、ヘッドレスト、エアバッグ等の乗員保護装置は、加速度センサ等を介して車両に作用する衝撃の大きさを計測すると共に、車両に作用する衝撃の大きさが予め設定された閾値を超えた場合に、乗員保護装置の作動を開始するべく構成されている。
しかし、例えば、トランクルームの開閉、ドアの開閉等に伴い、加速度センサにノイズ(=周囲の物体への衝突以外に起因して発生する衝撃)が加わる可能性があるため、誤作動を防止するために、乗員保護装置を作動させる閾値は、高めに設定する必要がある。一方、閾値が高過ぎると車両が衝突した場合でも乗員保護装置が作動しない虞があり、乗員を適正に保護することができない場合があった。
上記課題を解消するために、種々の装置、方法等が提案されている。例えば、自車両と先行車両とが衝突する可能性を判断する車両状態判断手段と、前記車両状態判断手段の判断結果に応じて前記乗員保護手段を作動させる前記閾値を変更する閾値変更手段と、を備えた車両用乗員保護装置が開示されている(特許文献1参照)。この車両用乗員保護装置によれば、自車両と先行車両とが衝突する可能性に応じて、乗員保護手段を作動するか否かの判定に用いる閾値(以下、「作動閾値」という)を適正値に設定し、乗員を適切に保護することができる。
特開2003−95058号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両用乗員保護装置では、自車両と先行車両とが衝突する可能性が正確に判断されない場合には、乗員保護手段の作動閾値を適正値に設定することができず、乗員を適切に保護することができない。一方、自車両と先行車両とが衝突する可能性は、自車両と先行車両との車間距離、相対速度等に基づいて判定される。そこで、例えば、自車両と先行車両との車間距離、相対速度を検出するレーダが故障している場合には、自車両と先行車両との車間距離、相対速度が正常に検出できないため、衝突する可能性を正確に判断することができず、乗員保護手段の作動閾値を適正値に設定することができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値を設定することの可能な乗員保護装置の起動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、車両に作用する衝撃の大きさが、予め設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動を開始させるべく制御する起動制御装置であって、該車両が周囲の物体に衝突する可能性を判定する衝突可能性判定手段と、前記衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かを判定する動作判定手段と、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性及び前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定手段と、を備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記衝突可能性判定手段が、コンピュータによって機能部として構成され、前記動作判定手段が、前記コンピュータが正常に動作しているか否かに応じて、前記衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かを判定する。
第3の発明は、上記第1の発明において、該車両と周囲の物体との距離を検出する距離検出手段を備え、前記衝突可能性判定手段が、前記距離検出手段によって検出された距離に基づいて、周囲の物体に衝突する可能性を判定し、前記動作判定手段が、前記距離検出手段が正常に動作しているか否かを判定すると共に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定し、前記閾値設定手段が、前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する。
第4の発明は、上記第3の発明において、前記距離検出手段が、レーダセンサを介して周囲の物体との距離を検出し、前記動作判定手段が、前記レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する。
第5の発明は、上記第3の発明において、前記距離検出手段が、ステレオカメラを介して周囲の物体との距離を検出し、前記動作判定手段が、前記ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する。
第6の発明は、上記第3の発明において、前記距離検出手段が、ステレオカメラを介して周囲の物体との距離を検出し、前記動作判定手段が、前記ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、前記右側カメラから判断される該物体の動きが、前記左側カメラから判断される該物体の動きに対して矛盾している場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する。
第7の発明は、上記第3の発明において、前記距離検出手段が、レーダセンサ及びステレオカメラを介して周囲の物体との距離を検出し、前記動作判定手段が、前記レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、前記レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する。
第8の発明は、上記第1の発明において、該車両と周囲の物体との相対速度を検出する相対速度検出手段を備え、前記衝突可能性判定手段が、前記相対速度検出手段によって検出された相対速度に基づいて、周囲の物体に衝突する可能性を判定し、前記動作判定手段が、前記相対速度検出手段が正常に動作しているか否かを判定すると共に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定し、前記閾値設定手段が、前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する。
第9の発明は、上記第8の発明において、前記相対速度検出手段が、レーダセンサを介して周囲の物体との相対速度を検出し、前記動作判定手段が、前記レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する。
第10の発明は、上記第8の発明において、前記相対速度検出手段が、ステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度を検出し、前記動作判定手段が、前記ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する。
第11の発明は、上記第8の発明において、前記相対速度検出手段が、ステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度を検出し、前記動作判定手段が、前記ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、前記右側カメラから判断される該物体の動きが、前記左側カメラから判断される該物体の動きに対して矛盾している場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する。
第12の発明は、上記第8の発明において、前記相対速度検出手段が、レーダセンサ及びステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度を検出し、前記動作判定手段が、前記レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、前記レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する。
第13の発明は、上記第1の発明において、該車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記衝突可能性判定手段が、前記操舵角検出手段によって検出された操舵角に基づいて、周囲の物体に衝突する可能性を判定し、前記動作判定手段が、前記操舵角検出手段が正常に動作しているか否かを判定すると共に、前記操舵角検出手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定し、前記閾値設定手段が、前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する。
第14の発明は、上記第13の発明において、前記動作判定手段は、前記操舵角検出手段によって検出された操舵角が、予め設定された範囲内の値ではない場合に、前記操舵角検出手段が正常に動作していないと判定する。
第15の発明は、上記第1の発明において、前記閾値設定手段が、前記動作判定手段によって衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性の高低に応じて、前記閾値として、予め設定された上限値及び下限値によって規定される範囲内の値を設定する。
第16の発明は、上記第15の発明において、前記閾値設定手段が、前記動作判定手段によって衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が高い程、前記閾値として小さい値を設定する。
第17の発明は、上記第15の発明において、前記閾値設定手段が、前記動作判定手段によって衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記上限値よりも前記下限値に近い値を、前記閾値として設定する。
第18の発明は、上記第1の発明において、加速度センサを介して、車両に作用する衝撃の大きさを検出する衝撃検出手段と、前記衝撃検出手段によって検出された衝撃の大きさが、前記閾値設定手段によって設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動を開始させる起動判定手段と、を備える。
上記第1の発明によれば、衝突可能性判定手段によって、車両が周囲の物体に衝突する可能性が判定され、この衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かが判定される。そして、判定された衝突可能性、及び、衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値が設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値を設定することができる。
すなわち、衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合には、判定された衝突可能性に基づいて、作動閾値が設定されるため、適正な作動閾値を設定することができる。一方、衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定された場合には、その判定結果に基づいて、作動閾値が設定されるため、適正な作動閾値を設定することができる。
例えば、衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値に設定することにすれば、乗員保護装置が誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合に乗員保護装置を確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
上記第2の発明によれば、衝突可能性判定手段が、コンピュータによって機能部として構成され、コンピュータが正常に動作しているか否かに応じて、衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かが判定されるため、衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かを適正に判定することができる。
すなわち、コンピュータが衝突可能性判定手段を含む機能部として機能するため、コンピュータが正常に動作していない場合には、衝突可能性判定手段も正常に動作していないと推定できるのである。
上記第3の発明によれば、距離検出手段によって、車両と周囲の物体との距離が検出され、検出された距離に基づいて、衝突可能性判定手段によって周囲の物体に衝突する可能性が判定される。また、距離検出手段が正常に動作しているか否かが判定され、距離検出手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定される。そして、衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値が設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値を設定することができる。
例えば、距離検出手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値に設定することにすれば、乗員保護装置が誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合に乗員保護装置を確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
上記第4の発明によれば、距離検出手段によって、レーダセンサを介して周囲の物体との距離が検出される。そして、レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合に、距離検出手段が正常に動作していないと判定されるため、距離検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合には、例えば、汚れの付着、センサの向きが適正ではない等に起因して距離検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第5の発明によれば、距離検出手段によって、ステレオカメラを介して周囲の物体との距離が検出される。そして、ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合に、距離検出手段が正常に動作していないと判定されるため、距離検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合には、例えば、汚れの付着、カメラの向きが適正ではない等に起因して距離検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第6の発明によれば、距離検出手段によって、ステレオカメラを介して周囲の物体との距離が検出される。そして、ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾している場合に、距離検出手段が正常に動作していないと判定されるため、距離検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾している場合には、カメラの向きが適正ではない等に起因して距離検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
例えば、物体がステレオカメラの正面から接近している場合には、右側カメラによって、物体が画面の左側へ移動する画像が撮像され、左側カメラによって、物体が画面の右側へ移動する画像が撮像される。しかし、左側カメラの向きが適正ではない場合(例えば、左側カメラが上に向き過ぎている場合)には、物体がステレオカメラの正面から接近している場合に、左側カメラによって、物体が画面の下側へ移動する画像が撮像されるのである。
上記第7の発明によれば、距離検出手段によって、レーダセンサ及びステレオカメラを介して周囲の物体との距離が検出される。そして、レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合に、距離検出手段が正常に動作していないと判定されるため、距離検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合には、汚れの付着、レーダ又はカメラの向きが適正ではない等に起因して距離検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
つまり、レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、例えば、レーダセンサによっては検出されているが、ステレオカメラによっては検出されていない場合には、ステレオカメラへの汚れの付着、カメラの向きが適正ではない等に起因してステレオカメラが正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第8の発明によれば、相対速度検出手段によって、車両と周囲の物体との相対速度が検出され、検出された相対速度に基づいて、衝突可能性判定手段によって周囲の物体に衝突する可能性が判定される。また、相対速度検出手段が正常に動作しているか否かが判定されると共に、相対速度検出手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定される。そして、衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値が設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値を設定することができる。
例えば、相対速度検出手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値に設定することにすれば、乗員保護装置が誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合に乗員保護装置を確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
上記第9の発明によれば、相対速度検出手段によって、レーダセンサを介して周囲の物体との相対速度が検出される。そして、レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合に、相対速度検出手段が正常に動作していないと判定されるため、相対速度検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合には、例えば、汚れの付着、センサの向きが適正ではない等に起因して相対速度検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第10の発明によれば、相対速度検出手段によって、ステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度が検出される。そして、ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合に、相対速度検出手段が正常に動作していないと判定されるため、相対速度検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合には、例えば、汚れの付着、カメラの向きが適正ではない等に起因して相対速度検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第11の発明によれば、相対速度検出手段によって、ステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度が検出される。そして、ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾している場合に、相対速度検出手段が正常に動作していないと判定されるため、相対速度検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾している場合には、カメラの向きが適正ではない等に起因して相対速度検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
例えば、物体がステレオカメラの正面から接近している場合には、右側カメラによって、物体が画面の左側へ移動する画像が撮像され、左側カメラによって、物体が画面の右側へ移動する画像が撮像される。しかし、左側カメラの向きが適正ではない場合(例えば、左側カメラが上に向き過ぎている場合)には、物体がステレオカメラの正面から接近している場合に、左側カメラによって、物体が画面の下側へ移動する画像が撮像されるのである。
上記第12の発明によれば、相対速度検出手段によって、レーダセンサ及びステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度が検出される。そして、レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合に、相対速度検出手段が正常に動作していないと判定されるため、相対速度検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合には、汚れの付着、レーダ又はカメラの向きが適正ではない等に起因して相対速度検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
つまり、レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、例えば、レーダセンサによっては検出されているが、ステレオカメラによっては検出されていない場合には、ステレオカメラへの汚れの付着、カメラの向きが適正ではない等に起因してステレオカメラが正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第13の発明によれば、操舵角検出手段によって、車両の操舵角が検出され、検出された操舵角に基づいて、衝突可能性判定手段によって周囲の物体に衝突する可能性が判定される。そして、操舵角検出手段が正常に動作しているか否かが判定されと共に、操舵角検出手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定される。そして、衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値が設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値を設定することができる。
例えば、操舵角検出手段が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定手段が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値に設定することにすれば、乗員保護装置が誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合に乗員保護装置を確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
上記第14の発明によれば、操舵角検出手段によって検出された操舵角が、予め設定された範囲内の値ではない場合に、操舵角検出手段が正常に動作していないと判定されるため、操舵角検出手段が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、検出された操舵角が、予め設定された範囲内の値ではない場合には、例えば、操舵角センサの出力にノイズが混入している等に起因して操舵角検出手段が正常に動作していないと推定することができるのである。
上記第15の発明によれば、衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に、衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性の高低に応じて、閾値として、予め設定された上限値及び下限値によって規定される範囲内の値が設定されるため、適正な作動閾値を設定することができる。
例えば、衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が高い程、作動閾値として小さい値を設定することによって、衝突可能性が高い程、乗員保護装置を早期に且つ確実に起動させることができるのである。
上記第16の発明によれば、衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に、衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が高い程、作動閾値として小さい値が設定されるため、適正な作動閾値を設定することができる。
すなわち、衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が高い程、作動閾値として小さい値が設定されるため、衝突可能性が高い程、乗員保護装置を早期に且つ確実に起動させることができるのである。
上記第17の発明によれば、衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定された場合に、衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に設定される閾値の上限値よりも下限値に近い値が、閾値として設定されるため、
衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定された場合であっても、適正な作動閾値を設定することができる。
すなわち、例えば、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値(=下限値)に設定することにすれば、乗員保護装置が誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合に乗員保護装置を確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
上記第18の発明によれば、加速度センサを介して、車両に作用する衝撃の大きさが検出され、検出された衝撃の大きさが、設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動が開始されるため、簡素な構成で確実に乗員保護装置を作動させることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る乗員保護装置の起動制御装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る乗員保護装置の起動制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る起動制御ECU(Electronic Control Unit)11(=乗員保護装置の起動制御装置に相当する)は、周辺機器としての入力機器2と通信可能に接続されている。また、起動制御ECU11は、ヘッドレスト制御ECU12を介して、ヘッドレスト駆動モータ3と通信可能に接続されている。
ここで、ヘッドレスト駆動モータ3は、乗員保護装置として機能するヘッドレスト駆動装置の一部に相当し、後方からの車両の衝突である後突等によって、車両の後方から前方に向けて予め設定された閾値以上の衝撃が加わった場合に、運転者の頸部等への衝撃を緩和するためにヘッドレストを前方へ駆動するモータである。
また、ヘッドレスト制御ECU12(起動実行手段の一部に相当する)は、起動制御ECU11(ここでは、図2に示す起動実行部118)からの指示に従って、ヘッドレスト駆動モータ3に対して、ヘッドレストを前方へ駆動させるECUである。
本実施形態においては、乗員保護装置がヘッドレスト駆動装置である場合について説明するが、予め設定された閾値以上の衝撃が加わった場合に作動する他の乗員保護装置である形態でも良い。例えば、乗員保護装置が、エアバッグである形態でも良い。
次に、図1を参照して起動制御ECU11の入力機器2について説明する。入力機器2は、レーダセンサ21、ステレオカメラ22、ステアリングセンサ23、及び、加速度センサ24を備えている。
レーダセンサ21(距離検出手段の一部、相対速度検出手段の一部に相当する)は、例えば、ミリ波レーダ等を介して、後方車両との相対位置及び相対速度を検出するセンサであって、起動制御ECU11(ここでは、図2に示す距離検出部111、相対速度検出部112)に対して、相対位置及び相対速度を示す信号を出力する。
ステレオカメラ22(距離検出手段の一部、相対速度検出手段の一部に相当する)は、2台のCCD(Charge Coupled Device)等からなり、2台のCCDによって撮像された画像から得られる視差に基づき、後方車両との相対位置及び相対速度を検出するカメラであって、起動制御ECU11(ここでは、図2に示す距離検出部111、相対速度検出部112)に対して、相対位置及び相対速度を示す信号を出力する。
ステアリングセンサ23(操舵角検出手段の一部に相当する)は、操舵角φを検出するセンサであって、起動制御ECU11(ここでは、図2に示す操舵角検出部113)に対して、操舵角φを示す信号を出力する。
加速度センサ24(衝撃検出手段の一部に相当する)は、車両の加速度αを検出するセンサであって、起動制御ECU11(ここでは、図2に示す衝撃検出部117)に対して、加速度αを示す信号を出力する。
次に、図2を用いて、起動制御ECU11の機能構成について説明する。図2は、起動制御ECU11の機能構成の一例を示すブロック図である。起動制御ECU11は、機能的に、距離検出部111、相対速度検出部112、操舵角検出部113、衝突可能性判定部114、動作判定部115、閾値設定部116、衝撃検出部117、及び、起動実行部118を備えている。
なお、起動制御ECU11は、起動制御ECU11の適所に配設されたマイクロコンピュータに、起動制御ECU11の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、距離検出部111、相対速度検出部112、操舵角検出部113、衝突可能性判定部114、動作判定部115、閾値設定部116、衝撃検出部117、起動実行部118等の機能部として機能させる。
距離検出部111(距離検出手段の一部に相当する)は、レーダセンサ21及びステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離を検出する機能部である。なお、距離検出部111は、例えば、ステレオ視の技術によって、ステレオカメラ22を構成する2台のCCDカメラによって撮像されたフレームから物体(=立体物)を検出する画像処理(以下、「立体物検出処理」という)を行う。ここで、立体物検出処理は、図3(b)に示すように車両の左右方向に配置されたCCDカメラによって撮像された一対のフレームの相関を求め、同一物体に対する視差に基づいて三角測量の要領でその物体までの距離を算出する処理である(必要に応じて、特開2007−306272号公報等を参照)。
図3を用いて後述するように、レーダセンサ21を介して距離を検出可能な範囲は、ステレオカメラ22を介して距離を検出可能な範囲と相違するため、例えば、距離検出部111は、レーダセンサ21を介して距離を検出可能な範囲については、レーダセンサ21を介して周囲の物体との距離を検出する。また、距離検出部111は、レーダセンサ21を介して距離を検出することが不可能であって、且つ、ステレオカメラ22を介して距離を検出すること可能な範囲については、ステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離を検出する。
本実施形態においては、距離検出部111が、レーダセンサ21及びステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離を検出する場合について説明するが、距離検出部111が、レーダセンサ21又はステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離を検出する形態でも良いし、距離検出部111が、その他のセンサ(例えば、超音波センサ等)を介して周囲の物体との距離を検出する形態でも良い。
相対速度検出部112(相対速度検出手段の一部に相当する)は、レーダセンサ21及びステレオカメラ22を介して周囲の物体との相対速度を検出する機能部である。図3を用いて後述するように、レーダセンサ21を介して相対速度を検出可能な範囲は、ステレオカメラ22を介して相対速度を検出可能な範囲と相違するため、例えば、相対速度検出部112は、レーダセンサ21を介して相対速度を検出可能な範囲については、レーダセンサ21を介して周囲の物体との相対速度を検出する。また、相対速度検出部112は、レーダセンサ21を介して相対速度を検出することが不可能であって、且つ、ステレオカメラ22を介して相対速度を検出すること可能な範囲については、ステレオカメラ22を介して周囲の物体との相対速度を検出する。
本実施形態においては、相対速度検出部112が、レーダセンサ21及びステレオカメラ22を介して周囲の物体との相対速度を検出する場合について説明するが、相対速度検出部112が、レーダセンサ21又はステレオカメラ22を介して周囲の物体との相対速度を検出する形態でも良いし、相対速度検出部112が、その他のセンサ(例えば、超音波センサ等)を介して周囲の物体との相対速度を検出する形態でも良い。
操舵角検出部113(操舵角検出手段の一部に相当する)は、ステアリングセンサ23を介して車両の操舵角φを検出する機能部である。
衝突可能性判定部114(衝突可能性判定手段に相当する)は、距離検出部111によって検出された距離、相対速度検出部112によって検出された相対速度、及び、操舵角検出部113によって検出された操舵角φに基づいて、車両が周囲の物体(ここでは、後方の車両等)に衝突する可能性を判定する機能部である。
本実施形態においては、衝突可能性判定部114が、後方の車両等に衝突する可能性を判定する場合について説明するが、衝突可能性判定部114が、前方の車両等の物体に衝突する可能性を判定する形態でも良いし、衝突可能性判定部114が、車両が前方及び後方を含む周囲の物体に衝突する可能性を判定する形態でも良い。
また、本実施形態においては、衝突可能性判定部114が、周囲の物体との距離、相対速度、及び、操舵角φに基づいて、車両が周囲の物体(ここでは、後方の車両等)に衝突する可能性を判定する場合について説明するが、衝突可能性判定部114が、周囲の物体との距離、相対速度及び操舵角φの少なくとも1つに基づいて、車両が周囲の物体に衝突する可能性を判定する形態でも良い。また、衝突可能性判定部114が、その他の情報(例えば、周囲の物体の大きさ、周囲の物体との相対位置、車速等)に基づいて、車両が周囲の物体に衝突する可能性を判定する形態でも良い。
動作判定部115(動作判定手段に相当する)は、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かを判定する機能部である。具体的には、動作判定部115は、起動制御ECU11に配設され、且つ、衝突可能性判定部114が機能部として構成されるマイクロコンピュータ(コンピュータに相当する:以下、便宜上、「衝突判定マイクロコンピュータ」という)が正常に動作しているか否かに応じて、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かを判定する。
更に具体的には、動作判定部115は、例えば、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたROMが正常に動作しているか否か、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたRAM(Random Access Memory)が正常に動作しているか否か、及び、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたウォッチドッグタイマが正常に動作しているか否かに基づいて、衝突判定マイクロコンピュータが正常に動作しているか否かを判定する。
本実施形態においては、動作判定部115が、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたROM、RAM、及び、ウォッチドッグタイマがそれぞれ正常に動作しているか否かに基づいて、衝突判定マイクロコンピュータが正常に動作しているか否かを判定する場合について説明するが、動作判定部115が、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたROM、RAM及びウォッチドッグタイマの内、少なくとも1つが正常に動作しているか否かに基づいて、衝突判定マイクロコンピュータが正常に動作しているか否かを判定する形態であれば良い。
また、動作判定部115は、距離検出部111、相対速度検出部112、及び、操舵角検出部113がそれぞれ正常に動作しているか否かを判定すると共に、距離検出部111、相対速度検出部112、及び、操舵角検出部113の少なくとも1つが正常に動作していないと判定された場合に、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定する。具体的には、動作判定部115は、例えば、レーダセンサ21におけるレーダ波の送受信位置への汚れの付着等に起因して、距離検出部111(又は、相対速度検出部112)を介して、レーダセンサ21において反射波が検出されない状態が予め設定された期間(例えば、10秒間)以上継続しているか否かを判定し、予め設定された期間以上継続していると判定された場合に、レーダセンサ21が正常に動作していない(=距離検出部111、及び、相対速度検出部112が正常に動作していない)と判定する。
更に、動作判定部115は、距離検出部111(又は、相対速度検出部112)を介して、ステレオカメラ22によって撮像された画像が変化しない状態が予め設定された期間(例えば、2分間)以上継続しているか否かを判定し、予め設定された期間以上継続していると判定された場合に、ステレオカメラ22が正常に動作していない(=距離検出部111、及び、相対速度検出部112が正常に動作していない)と判定する。加えて、動作判定部115は、ステレオカメラ22を構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾しているか否かを判定し、矛盾している状態が、予め設定された期間(例えば、30秒)以上継続している場合に、ステレオカメラ22が正常に動作していない(=距離検出部111、及び、相対速度検出部112が正常に動作していない)と判定する。
例えば、物体がステレオカメラの正面から接近している場合には、右側カメラによって、物体が画面の左側へ移動する画像が撮像され、左側カメラによって、物体が画面の右側へ移動する画像が撮像される。しかし、左側カメラの向きが適正ではない場合(例えば、左側カメラが上に向き過ぎている場合)には、物体がステレオカメラの正面から接近している場合に、左側カメラによって、物体が画面の下側へ移動する画像が撮像されるのである。
また、動作判定部115は、レーダセンサ21及びステレオカメラ22によって検出可能な範囲内の物体が、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の一方のみによって検出されている場合に、レーダセンサ21又はステレオカメラ22が正常に動作していない(=距離検出部111、及び、相対速度検出部112が正常に動作していない)と判定する。
図3は、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の検出範囲の一例を示す図である。レーダセンサ21によって物体を検出することが可能な領域(以下、「検出領域」という)である第1領域R1は、図3に示すように、ステレオカメラ22の検出領域である第2領域R2と比較して、遠方まで広がっているが、幅方向が狭い(図3(b)参照)。なお、第2領域R2は、第1領域R1の少なくとも一部の領域(ここでは、第3領域R3:図3において斜線を施した領域)を含む領域である。すなわち、第3領域R3に含まれる物体は、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の両者によって検出される。
そこで、動作判定部115は、レーダセンサ21及びステレオカメラ22によって検出可能な第3領域R3内の物体が、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の一方のみによって検出されている場合に、レーダセンサ21又はステレオカメラ22が正常に動作していない(=異常である)と判定するのである。
例えば、第3領域R3内の物体がレーダセンサ21によっては検出されているがステレオカメラ22によっては検出されていない場合には、動作判定部115は、ステレオカメラ22が正常に動作していない(=距離検出部111、及び、相対速度検出部112が正常に動作していない)と判定する。
また、動作判定部115は、操舵角検出部113によって検出された操舵角φが、予め設定された範囲内(例えば、φL≦操舵角φ≦φH:ここでは、φL=−60°、φH=+60°)の値ではない場合に、ステアリングセンサ23が正常に動作していない(=操舵角検出部113が正常に動作していない)と判定する。
なお、動作判定部115によって、衝突可能性判定部114、距離検出部111、相対速度検出部112、及び、操舵角検出部113の少なくとも1つが正常に動作していないと判定された場合には、起動制御ECU11は、車両の適所に配設されたスピーカ、モニタ等を介して、運転者に対して音声の出力、文字情報、画像情報の表示等の警報を出力する。
閾値設定部116(閾値設定手段に相当する)は、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性及び動作判定部115による判定結果に基づいて、起動実行部118に対して、ヘッドレストを起動するか否かを決定するための閾値SHを設定する機能部である。ここでは、閾値SHは、衝撃検出部117によって検出される加速度αに対する閾値であって、後述するように、加速度αが閾値SH以上である場合に、起動実行部118によってヘッドレストが起動される。
図4は、閾値設定部116による閾値SHの設定方法の一例を説明する説明図である。図の縦軸は、閾値SHである。図4に示すように、閾値設定部116は、動作判定部115によって衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合に、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性の高低に応じて、閾値SHとして、予め設定された上限値SH3及び下限値SH1によって規定される範囲RA0内の値を設定する。
また、図4に示すように、閾値設定部116は、動作判定部115によって衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合に、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性が高い程、閾値SHとして小さい値を設定する。
更に、図4に示すように、閾値設定部116は、動作判定部115によって衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定された場合に、上限値SH3よりも下限値SH1に近い値(ここでは、下限値SH1に近い範囲RA1内から予め設定された値:例えば、下限値SH1)を、閾値SHとして設定する。
このようにして、動作判定部115によって衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定された場合に、閾値SHを上限値SH3よりも下限値SH1に近い値に設定することによって、ヘッドレストが誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合にヘッドレストを確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
衝撃検出部117(衝撃検出手段の一部に相当する)は、加速度センサ24を介して、車両に作用する衝撃の大きさを検出する機能部である。なお、ここでは、後方からの車両の衝突である後突等によって、車両の後方から前方に向けて予め設定された閾値SH以上の加速度αが加わった場合に、ヘッドレストを前方へ駆動するものであるため、衝撃検出部117は、加速度αを、車両の前方から後方への向きを正方向として検出する。
このように、衝撃検出部117によって、加速度センサを介して、車両に作用する衝撃の大きさが検出され、検出された衝撃の大きさが、設定された閾値以上である場合に、ヘッドレストの作動が開始されるため、簡素な構成で確実にヘッドレストを作動させることができる。
本実施形態においては、衝撃検出部117が、加速度センサ24を介して、車両に作用する衝撃の大きさを検出する場合について説明するが、衝撃検出部117が、その他のセンサを介して、車両に作用する衝撃の大きさを検出する形態でも良い。例えば、衝撃検出部117が、圧電素子等からなる振動センサを介して車両に作用する衝撃の大きさを検出する形態でも良い。
起動実行部118(起動実行手段の一部に相当する)は、衝撃検出部117によって検出された加速度αの大きさが、閾値設定部116によって設定された閾値SH以上である場合に、ヘッドレスト制御ECU12及びヘッドレスト駆動モータ3を介して、ヘッドレストの前方への駆動を開始させる。
図5は、図2に示す起動制御ECU11の動作の一例を示すフローチャートである。まず、動作判定部115によって、レーダセンサ21及びステレオカメラ22がそれぞれ単体として正常に動作しているか否かを判定する処理である第1動作判定判定処理が実行される(S1)。次いで、動作判定部115によって、図3に示す第3領域R3内の物体の検出状態に基づいて、レーダセンサ21及びステレオカメラ22がそれぞれ正常に動作しているか否かを判定する処理である第2動作判定処理が実行される(S2)。そして、動作判定部115によって、起動制御ECU11及びステアリングセンサ23がそれぞれ正常に動作しているか否かを判定する処理である第3動作判定処理が実行される(S3)。
次に、閾値設定部116によって、閾値SHを設定する処理である閾値設定処理が実行される(S4)。そして、起動実行部118等によって、ヘッドレストを起動するか否かを判定する処理である起動判定処理が実行され(S5)、処理がステップS1に戻され、ステップS1以降の処理が繰り返し実行される。
図6は、図5に示すフローチャートのステップS1において実行される第1動作判定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は全て動作判定部115によって実行される。まず、レーダセンサ21において反射波が受信されているか否かの判定が行われる(S101)。反射波が受信されていると判定された場合(S101でYES)には、処理がステップS107に進められる。反射波が受信されていないと判定された場合(S101でNO)には、反射波が受信されていない状態が予め設定された所定期間(例えば、10秒間)以上継続しているか否かの判定が行われる(S103)。所定期間以上継続していると判定された場合(S103でYES)には、レーダセンサ21が異常であると判定され(S105)、処理がステップS107に進められる。所定期間以上は継続していないと判定された場合(S103でNO)には、処理がステップS107に進められる。
ステップS103でNOの場合、又は、ステップS105の処理が終了した場合には、ステレオカメラ22によって撮像された画像が変化していない状態(=固定された状態)であるか否かの判定が行われる(S107)。画像が変化している状態であると判定された場合(S107でNO)には、処理がステップS111に進められる。画像が変化していない状態であると判定された場合(S107でYES)には、画像が変化していない状態が予め設定された所定期間(例えば、2分間)以上継続しているか否かの判定が行われる(S109)。所定期間以上継続していると判定された場合(S109でYES)には、ステレオカメラ22が異常であると判定され(S115)、処理が図5に示すステップS2にリターンされる。所定期間は継続していないと判定された場合(S109でNO)には、処理がステップS111に進められる。
ステップS107でNOの場合、又は、ステップS109でNOの場合には、ステレオカメラ22を構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾しているか否かが判定される(S111)。矛盾していないと判定された場合(S111でNO)には、処理が図5に示すステップS2にリターンされる。矛盾していると判定された場合(S111でYES)には、矛盾している状態が予め設定された所定期間(例えば、30秒)以上継続しているか否かの判定が行われる(S113)。所定期間以上継続していると判定された場合(S113でYES)には、ステレオカメラ22が異常であると判定され(S115)、処理が図5に示すステップS2にリターンされる。所定期間は継続していないと判定された場合(S113でNO)には、処理が図5に示すステップS2にリターンされる。
図7は、図5に示すフローチャートのステップS2において実行される第2動作判定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は全て動作判定部115によって実行される。まず、レーダセンサ21が物体を検出しているか否かの判定が行われる(S201)。レーダセンサ21が物体を検出していないと判定された場合(S201でNO)には、処理がステップS203に進められる。レーダセンサ21が物体を検出していると判定された場合(S201でYES)には、レーダセンサ21が図3に示す第3領域R3内の物体を検出しているか否かの判定が行われる(S209)。第3領域R3内の物体を検出していないと判定された場合(S209でNO)には、処理がステップS203に進められる。
第3領域R3内の物体を検出していると判定された場合(S209でYES)には、ステレオカメラ22が物体を検出しているか否かの判定が行われる(S211)。物体を検出していないと判定された場合(S211でNO)には、ステレオカメラ22が異常であると判定され(S215)、処理が図5に示すステップS3に進められる。物体を検出していると判定された場合(S211でYES)には、ステレオカメラ22が図3に示す第3領域R3内の物体を検出しているか否かの判定が行われる(S213)。第3領域R3内の物体を検出していないと判定された場合(S213でNO)には、ステレオカメラ22が異常であると判定され(S215)、処理が図5に示すステップS3に進められる。第3領域R3内の物体を検出していると判定された場合(S213でYES)には、処理が図5に示すステップS3に進められる。
ステップS201でNOの場合、又は、ステップS209でNOの場合には、ステレオカメラ22が物体を検出しているか否かの判定が行われる(S203)。物体を検出していないと判定された場合(S203でNO)には、処理が図5に示すステップS3に進められる。物体を検出していると判定された場合(S203でYES)には、ステレオカメラ22が図3に示す第3領域R3内の物体を検出しているか否かの判定が行われる(S205)。第3領域R3内の物体を検出していると判定された場合(S205でYES)には、レーダセンサ21が異常であると判定され(S207)、処理が図5に示すステップS3にリターンされる。第3領域R3内の物体を検出していないと判定された場合(S205でNO)には、処理が図5に示すステップS3にリターンされる。
図8は、図5に示すフローチャートのステップS3において実行される第3動作判定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、特に明記する場合を除き、動作判定部115によって実行される。まず、衝突判定マイクロコンピュータ(図8、図9では、便宜上、「マイコン」と表記する)に配設されたROMの異常が検出されたか否かの判定が行われる(S301)。ROMの異常が検出されたと判定された場合(S301でYES)には、処理がステップS307に進められる。ROMの異常が検出されていないと判定された場合(S301でNO)には、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたRAMの異常が検出されたか否かの判定が行われる(S303)。RAMの異常が検出されたと判定された場合(S303でYES)には、処理がステップS307に進められる。RAMの異常が検出されていないと判定された場合には、衝突判定マイクロコンピュータに配設されたウォッチドッグタイマの異常が検出されたか否かの判定が行われる(S305)。
ウォッチドッグタイマの異常が検出されたと判定された場合(S303でYES)、ステップS301でYESの場合、又は、ステップS303でYESの場合には、衝突判定マイクロコンピュータが異常であると判定される(S307)。ウォッチドッグタイマの異常が検出されていないと判定された場合(S303でNO)、又は、ステップS307の処理が終了した場合には、操舵角検出部113によって操舵角θが検出される(S309)。そして、検出された操舵角θが、予め設定された範囲内(ここでは、φL≦操舵角φ≦φH)の値であるか否かの判定が行われる(S311)。操舵角θが予め設定された範囲内の値であると判定された場合(S311でYES)には、処理が図5に示すステップS4にリターンされる。操舵角θが予め設定された範囲内の値ではないと判定された場合(S311でNO)には、ステアリングセンサ23が異常である(図8、図9では、便宜上、「操舵角異常」と表記する)と判定され(S313)、処理が図5に示すステップS4にリターンされる。
図9は、図5に示すフローチャートのステップS4において実行される閾値設定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、特に明記する場合を除き、閾値設定部116によって実行される。まず、図6に示す第1動作判定処理又は図7に示す第2動作判定処理において、レーダセンサ21が異常であると判定されているか否かの判定が行われる(S401)。レーダセンサ21が異常であると判定された場合(S401でYES)には、処理がステップS409に進められる。レーダセンサ21が正常であると判定された場合(S401でNO)には、図6に示す第1動作判定処理又は図7に示す第2動作判定処理において、ステレオカメラ22が異常であると判定されているか否かの判定が行われる(S403)。
ステレオカメラ22が異常であると判定された場合(S403でYES)には、処理がステップS409に進められる。ステレオカメラ22が正常であると判定された場合(S403でNO)には、図8に示す第3動作判定処理において、衝突判定マイクロコンピュータが異常であると判定されているか否かの判定が行われる(S405)。衝突判定マイクロコンピュータが異常であると判定された場合(S405でYES)には、処理がステップS409に進められる。衝突判定マイクロコンピュータが正常であると判定された場合(S405でNO)には、図8に示す第3動作判定処理において、ステアリングセンサ23が異常であると判定されているか否かの判定が行われる(S407)。ステアリングセンサ23が異常であると判定された場合(S407でYES)、ステップS401でYES、ステップS403でYES、又は、ステップS403でYESの場合には、閾値SHが、図4に示す下限値SH1に設定され(S409)、処理が図5に示すステップS5にリターンされる。
ステアリングセンサ23が正常であると判定された場合(S407でNO)には、衝突可能性判定部114によって、衝突可能性判定部114によって、後方の車両等に衝突する可能性が有るか否かの判定が行われる(S411)。衝突する可能性が無いと判定された場合(S411でNO)には、閾値SHが、図4に示す上限値SH3に設定され(S417)、処理が図5に示すステップS5リターンされる。衝突する可能性が有ると判定された場合(S411でYES)には、衝突可能性判定部114によって、衝突する可能性が判定される(S413)。そして、閾値SHが、ステップS413によって判定された衝突可能性に応じて、図4に示す範囲RA0内の値に設定され(S415)、処理が図5に示すステップS5にリターンされる。
図10は、図5に示すフローチャートのステップS5において実行される起動判定処理の一例を示す詳細フローチャートである。まず、衝撃検出部117によって、加速度センサ24を介して加速度αが検出されたか否かの判定が行われる(S501)。加速度αが検出されていない場合(S501でNO)には、処理が図5に示すステップS1にリターンされる。加速度αが検出されたと判定された場合(S501でYES)には、衝撃検出部117によって、加速度センサ24を介して加速度αの値が取得される(S503)。そして、起動実行部118によって、ステップS503において取得された加速度αが、図5に示すステップS4において設定された閾値SH以上であるか否かの判定が行われる(S505)。加速度αが閾値SH以上であると判定された場合(S505でYES)には、起動実行部118によって、ヘッドレストが起動され(S507)、処理が終了される。加速度αが閾値SH未満であると判定された場合(S505でNO)には、図5に示すステップS1にリターンされる。
このようにして、車両が周囲の物体(ここでは、後方の車両等)に衝突する可能性が判定され、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かが判定される。そして、判定された衝突可能性、及び、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値SHが設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値SHを設定することができる。
すなわち、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合には、判定された衝突可能性に基づいて、作動閾値SHが設定されるため、適正な作動閾値SHを設定することができる。一方、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定部114が正常に動作していないとの判定結果に基づいて作動閾値SHが設定されるため、適正な作動閾値SHを設定することができる。
例えば、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定部114が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値SH(ここでは、図4に示す下限値SH1)に設定することにすれば、ヘッドレストが誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合にヘッドレストを確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
また、衝突可能性判定部114が、起動制御ECU11に配設された衝突判定マイクロコンピュータによって機能部として構成され、衝突判定マイクロコンピュータが正常に動作しているか否かに応じて、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かが判定されるため、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かを適正に判定することができる。
すなわち、衝突判定マイクロコンピュータが衝突可能性判定部114を含む機能部として機能するため、衝突判定マイクロコンピュータが正常に動作していない場合には、衝突可能性判定部114も正常に動作していないと推定できるのである。
更に、距離検出部111及び相対速度検出部112によって、それぞれ、車両と周囲の物体との距離及び相対速度が検出され、検出された距離及び相対速度に基づいて、衝突可能性判定部114によって周囲の物体に衝突する可能性が判定される。また、距離検出部111及び相対速度検出部112がそれぞれ正常に動作しているか否かが判定され、距離検出部111又は相対速度検出部112が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定される。そして、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値SHが設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値SHを設定することができる。
例えば、距離検出部111(又は相対速度検出部112)が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定部114が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値SH(ここでは、図4に示す下限値SH1)に設定することにすれば、ヘッドレストが誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合にヘッドレストを確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
加えて、距離検出部111及び相対速度検出部112によって、それぞれ、レーダセンサ21を介して周囲の物体との距離及び相対速度が検出される。そして、レーダセンサ21によって反射波が予め設定された期間(ここでは、10秒間)以上継続して検出されない場合に、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと判定されるため、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、レーダセンサ21によって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合には、例えば、汚れの付着、センサの向きが適正ではない等に起因して距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと推定することができるのである。
また、距離検出部111及び相対速度検出部112によって、それぞれ、ステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離及び相対速度が検出される。そして、ステレオカメラ22によって撮像された画像が予め設定された期間(ここでは、2分間)以上継続して変化しない場合に、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと判定されるため、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、ステレオカメラ22によって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合には、例えば、汚れの付着、カメラの向きが適正ではない等に起因して距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと推定することができるのである。
更に、距離検出部111及び相対速度検出部112によって、それぞれ、ステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離及び相対速度が検出される。そして、ステレオカメラ22を構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾している状態が予め設定された所定期間(ここでは、30秒)以上継続する場合に、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと判定されるため、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、ステレオカメラ22を構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、右側カメラから判断される物体の動きが、左側カメラから判断される物体の動きに対して矛盾している場合には、カメラの向きが適正ではない等に起因して距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと推定することができるのである。
例えば、物体がステレオカメラ22の正面から接近している場合には、右側カメラによって、物体が画面の左側へ移動する画像が撮像され、左側カメラによって、物体が画面の右側へ移動する画像が撮像される。しかし、左側カメラの向きが適正ではない場合(例えば、左側カメラが上に向き過ぎている場合)には、物体がステレオカメラ22の正面から接近している場合に、左側カメラによって、物体が画面の下側へ移動する画像が撮像されるのである。
加えて、距離検出部111及び相対速度検出部112によって、それぞれ、レーダセンサ21及びステレオカメラ22を介して周囲の物体との距離及び相対速度が検出される。そして、レーダセンサ21及びステレオカメラ22によって検出可能な範囲(=図3に示す第3領域R3)内の物体が、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の一方のみによって検出されている場合に、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと判定されるため、距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、レーダセンサ21及びステレオカメラ22によって検出可能な範囲(=図3に示す第3領域R3)内の物体が、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の一方のみによって検出されている場合には、汚れの付着、レーダ又はカメラの向きが適正ではない等に起因して距離検出部111及び相対速度検出部112が正常に動作していないと推定することができるのである。
つまり、レーダセンサ21及びステレオカメラ22によって検出可能な範囲(=図3に示す第3領域R3)内の物体が、例えば、レーダセンサ21によっては検出されているが、ステレオカメラ22によっては検出されていない場合には、ステレオカメラ22への汚れの付着、カメラの向きが適正ではない等に起因してステレオカメラ22が正常に動作していないと推定することができるのである。
また、操舵角検出部113によって、車両の操舵角φが検出され、検出された操舵角φに基づいて、衝突可能性判定部114によって周囲の物体(ここでは、後方の車両等)に衝突する可能性が判定される。そして、操舵角検出部113が正常に動作しているか否かが判定されと共に、操舵角検出部113が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定される。そして、衝突可能性判定部114が正常に動作しているか否かの判定結果に基づいて、作動閾値SHが設定されるため、衝突する可能性を正確に判断することができない場合であっても、適正な作動閾値SHを設定することができる。
例えば、操舵角検出部113が正常に動作していないと判定された場合には、衝突可能性判定部114が正常に動作しており(=衝突可能性が正常に判定されており)、且つ、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値SH(ここでは、図4に示す下限値SH1)に設定することにすれば、ヘッドレストが誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合にヘッドレストを確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
更に、操舵角検出部113によって検出された操舵角φが、予め設定された範囲(ここでは、−60°≦操舵角φ≦60°)内の値ではない場合に、操舵角検出部113が正常に動作していないと判定されるため、操舵角検出部113が正常に動作していないことを適正に判定することができる。
すなわち、検出された操舵角φが、予め設定された範囲内の値ではない場合には、例えば、ステアリングセンサ23の出力にノイズが混入している等に起因して操舵角検出部113が正常に動作していないと推定することができるのである。
加えて、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合に、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性の高低に応じて、閾値SHとして、予め設定された上限値SH3及び下限値SH1によって規定される範囲RA0(図4参照)内の値が設定されるため、適正な作動閾値SHを設定することができる。
例えば、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性が高い程、作動閾値SHとして小さい値を設定することによって、衝突可能性が高い程、ヘッドレストを早期に且つ確実に起動させることができるのである。
また、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合に、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性が高い程、作動閾値SHとして小さい値が設定されるため、適正な作動閾値SHを設定することができる。
すなわち、衝突可能性判定部114によって判定された衝突可能性が高い程、作動閾値SHとして小さい値が設定されるため、衝突可能性が高い程、ヘッドレストを早期に且つ確実に起動させることができるのである。
更に、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定された場合に、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合に設定される閾値の上限値SH3よりも下限値SH1(図4参照)に近い値(ここでは、下限値SH1)が、閾値SHとして設定されるため、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定された場合であっても、適正な作動閾値SHを設定することができる。
すなわち、例えば、衝突可能性が最も高い場合に設定される作動閾値SH(=下限値SH1)に設定することにすれば、ヘッドレストが誤作動する虞は有るものの、衝突が発生した場合にヘッドレストを確実に作動させることができるので、乗員を確実に保護することができるのである。
なお、本発明に係る乗員保護装置の起動制御装置は、上記実施形態に係る起動制御ECU11に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、起動制御ECU11が、ヘッドレスト制御ECU12を介してヘッドレスト駆動モータ3を駆動する場合について説明したが、起動制御ECU11が直接にヘッドレスト駆動モータ3に対して駆動指示を行う形態でも良い。
(B)本実施形態においては、起動制御ECU11が、機能的に、距離検出部111、相対速度検出部112、操舵角検出部113、衝突可能性判定部114、動作判定部115、閾値設定部116、衝撃検出部117、起動実行部118等を備える場合について説明したが、距離検出部111、相対速度検出部112、操舵角検出部113、衝突可能性判定部114、動作判定部115、閾値設定部116、衝撃検出部117、及び、起動実行部118の内、少なくとも1つの機能部が、電気回路等のハードウェアによって構成されている形態でも良い。
(C)本実施形態においては、閾値設定部116が、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定されたときに、下限値SH1を、閾値SHとして設定する場合について説明したが、閾値設定部116が、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定されたときに、上限値SH3よりも下限値SH1に近い値を設定する形態であれば良い。例えば、閾値設定部116が、衝突可能性判定部114が正常に動作していないと判定されたときに、下限値SH1と中央値SH2との間の予め設定された閾値に設定する形態でも良い。
更に、閾値設定部116が、動作判定部115によって正常ではないと判定された機能部に応じて、閾値SHを設定する形態でも良い。例えば、動作判定部115によって、少なくともレーダセンサ21及びステレオカメラ22の少なくとも一方が正常であると判定され、且つ、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合には、閾値設定部116が、図4に示す範囲RA1内の値から、衝突可能性判定部114によって求められた衝突可能性に基づいて、閾値SHを設定する形態でも良い。
すなわち、レーダセンサ21及びステレオカメラ22の少なくとも一方が正常であると判定され場合には、衝突可能性判定部114は、距離検出部111及び相対速度検出部112は、レーダセンサ21又はステレオカメラ22を介して、それぞれ、車間距離及び相対速度を検出することが可能である。そこで、更に、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定された場合には、衝突可能性判定部114によって衝突可能性を求めることが可能となるため、求められた衝突可能性に応じて、更に適正な閾値SHを設定することができるのである。
(D)本実施形態においては、閾値設定部116が、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定されたときに、衝突可能性が高い程、閾値SHとして小さい値を設定する場合について説明したが、閾値設定部116が、衝突可能性判定部114が正常に動作していると判定されたときに、衝突可能性に応じて閾値SHを設定する形態であれば良い。例えば、閾値設定部116が、衝突可能性に応じて段階的に閾値SHを設定する形態でも良い。つまり、閾値設定部116が、衝突可能性が予め設定された値(例えば、50%)以上であるか否かに応じて、閾値SHを設定する形態でも良い。
本発明は、例えば、車両に作用する衝撃の大きさが、予め設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動を開始させるべく制御する起動制御装置に適用することができる。
本発明に係る乗員保護装置の起動制御装置の構成の一例を示すブロック図 起動制御ECUの機能構成の一例を示すブロック図 レーダセンサ及びステレオカメラの検出範囲の一例を示す図 閾値設定部による閾値SHの設定方法の一例を説明する説明図 図2に示す起動制御ECUの動作の一例を示すフローチャート 図5に示すフローチャートのステップS1において実行される第1動作判定処理の一例を示す詳細フローチャート 図5に示すフローチャートのステップS2において実行される第2動作判定処理の一例を示す詳細フローチャート 図5に示すフローチャートのステップS3において実行される第3動作判定処理の一例を示す詳細フローチャート 図5に示すフローチャートのステップS4において実行される閾値設定処理の一例を示す詳細フローチャート 図5に示すフローチャートのステップS5において実行される起動判定処理の一例を示す詳細フローチャート
符号の説明
11 起動制御ECU(起動制御装置)
111 距離検出部(距離検出手段の一部)
112 相対速度検出部(相対速度検出手段の一部)
113 操舵角検出部(操舵角検出手段の一部)
114 衝突可能性判定部(衝突可能性判定手段)
115 動作判定部(動作判定手段)
116 閾値設定部(閾値設定手段)
117 衝撃検出部(衝撃検出手段の一部)
118 起動実行部(起動実行手段の一部)
12 ヘッドレスト制御ECU(起動実行手段の一部に相当する)
2 入力機器
21 レーダセンサ(距離検出手段の一部、相対速度検出手段の一部)
22 ステレオカメラ(距離検出手段の一部、相対速度検出手段の一部)
23 ステアリングセンサ(操舵角検出手段の一部)
24 加速度センサ(衝撃検出手段の一部)
3 ヘッドレスト駆動モータ

Claims (18)

  1. 車両に作用する衝撃の大きさが、予め設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動を開始させるべく制御する起動制御装置であって、
    該車両が周囲の物体に衝突する可能性を判定する衝突可能性判定手段と、
    前記衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かを判定する動作判定手段と、
    前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性及び前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定手段と、を備える、乗員保護装置の起動制御装置。
  2. 前記衝突可能性判定手段は、コンピュータによって機能部として構成され、
    前記動作判定手段は、前記コンピュータが正常に動作しているか否かに応じて、前記衝突可能性判定手段が正常に動作しているか否かを判定する、請求項1に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  3. 該車両と周囲の物体との距離を検出する距離検出手段を備え、
    前記衝突可能性判定手段は、前記距離検出手段によって検出された距離に基づいて、周囲の物体に衝突する可能性を判定し、
    前記動作判定手段は、前記距離検出手段が正常に動作しているか否かを判定すると共に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定し、
    前記閾値設定手段は、前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する、請求項1に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  4. 前記距離検出手段は、レーダセンサを介して周囲の物体との距離を検出し、
    前記動作判定手段は、前記レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する、
    請求項3に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  5. 前記距離検出手段は、ステレオカメラを介して周囲の物体との距離を検出し、
    前記動作判定手段は、前記ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項3に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  6. 前記距離検出手段は、ステレオカメラを介して周囲の物体との距離を検出し、
    前記動作判定手段は、前記ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、前記右側カメラから判断される該物体の動きが、前記左側カメラから判断される該物体の動きに対して矛盾している場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項3に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  7. 前記距離検出手段は、レーダセンサ及びステレオカメラを介して周囲の物体との距離を検出し、
    前記動作判定手段は、前記レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、前記レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合に、前記距離検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項3に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  8. 該車両と周囲の物体との相対速度を検出する相対速度検出手段を備え、
    前記衝突可能性判定手段は、前記相対速度検出手段によって検出された相対速度に基づいて、周囲の物体に衝突する可能性を判定し、
    前記動作判定手段は、前記相対速度検出手段が正常に動作しているか否かを判定すると共に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定し、
    前記閾値設定手段は、前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する、請求項1に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  9. 前記相対速度検出手段は、レーダセンサを介して周囲の物体との相対速度を検出し、
    前記動作判定手段は、前記レーダセンサによって反射波が予め設定された期間以上継続して検出されない場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項8に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  10. 前記相対速度検出手段は、ステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度を検出し、
    前記動作判定手段は、前記ステレオカメラによって撮像された画像が予め設定された期間以上継続して変化しない場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項8に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  11. 前記相対速度検出手段は、ステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度を検出し、
    前記動作判定手段は、前記ステレオカメラを構成する右側カメラ及び左側カメラによって同一の物体が検出されており、且つ、前記右側カメラから判断される該物体の動きが、前記左側カメラから判断される該物体の動きに対して矛盾している場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項8に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  12. 前記相対速度検出手段は、レーダセンサ及びステレオカメラを介して周囲の物体との相対速度を検出し、
    前記動作判定手段は、前記レーダセンサ及びステレオカメラによって検出可能な範囲内の物体が、前記レーダセンサ及びステレオカメラの一方のみによって検出されている場合に、前記相対速度検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項8に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  13. 該車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、
    前記衝突可能性判定手段は、前記操舵角検出手段によって検出された操舵角に基づいて、周囲の物体に衝突する可能性を判定し、
    前記動作判定手段は、前記操舵角検出手段が正常に動作しているか否かを判定すると共に、前記操舵角検出手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定し、
    前記閾値設定手段は、前記動作判定手段による判定結果に基づいて、前記閾値を設定する、請求項1に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  14. 前記動作判定手段は、前記操舵角検出手段によって検出された操舵角が、予め設定された範囲内の値ではない場合に、前記操舵角検出手段が正常に動作していないと判定する、請求項13に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  15. 前記閾値設定手段は、前記動作判定手段によって衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性の高低に応じて、前記閾値として、予め設定された上限値及び下限値によって規定される範囲内の値を設定する、請求項1に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  16. 前記閾値設定手段は、前記動作判定手段によって衝突可能性判定手段が正常に動作していると判定された場合に、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が高い程、前記閾値として小さい値を設定する、請求項15に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  17. 前記閾値設定手段は、前記動作判定手段によって衝突可能性判定手段が正常に動作していないと判定された場合に、前記上限値よりも前記下限値に近い値を、前記閾値として設定する、請求項15に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
  18. 加速度センサを介して、車両に作用する衝撃の大きさを検出する衝撃検出手段と、
    前記衝撃検出手段によって検出された衝撃の大きさが、前記閾値設定手段によって設定された閾値以上である場合に、乗員を保護する乗員保護装置の作動を開始させる起動判定手段と、を備える、請求項1に記載の乗員保護装置の起動制御装置。
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