以下、実施例に係る弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機を示す斜視図である。図示のパチンコ機は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行され、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ開放されるようになっている。図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。大入賞口16の内部に入賞領域16bが設けられている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。通常、この特定図柄による大当りを「確変大当り」と言う。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機1の全体回路構成を示すブロック図である。図中の破線は、主に、直流電圧ラインを示している。また、図4は、演出制御基板と演出インターフェイス基板と液晶制御基板について、その回路構成をやや詳細に示している。
図3に示す通り、このパチンコ機1は、AC24Vを受けて各種の直流電圧を出力すると共に電源投入時に電源リセット信号SYRを出力する電源基板20と、遊技動作を中心的に制御する主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた信号を各部に伝送する演出インターフェイス基板23と、演出インターフェイス基板23から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板24と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板25と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板26とを中心に構成されている。
ここで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25には、例えば、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25に搭載された回路及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、以下の説明では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25と言うことがある。また、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25の全部又は一部がサブ制御部である。
主制御基板21は、電源基板20から、DC12V、DC32V、及びバックアップ電源(DC5V)の他に、電圧降下時に出力される電源異常信号や、電源投入時に出力される電源リセット信号SYRを受けている。そして、主制御基板21では、受けたDC12VをDC5Vに降圧させて、基板内のコンピュータ回路の電源電圧としている。
また、主制御基板21は、遊技盤中継基板27を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。なお、図柄始動口15からのスイッチ信号については、遊技盤中継基板27を経由することなく、直接、主制御部21が受けている。
主制御部21は、払出制御部25に対して制御コマンドCMD”を一方向に送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
演出制御部22は、コマンド中継基板28を経由して、主制御部21に対して一方向に接続されている。具体的には、制御コマンドを受ける8ビット長のパラレル信号線と、割込み信号STBを受ける1ビット長のストローブ信号線とで主制御部21に接続されている。
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を生成する音声再生LSI42と、生成される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ(フレーズROM)43と、ウォッチドッグタイマWDT1とを備えて構成されている。
ここで、ウォッチドッグタイマWDT1は、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、Lレベルのリセット信号RTを出力するようになっている。ウォッチドッグタイマWDT1から出力されるリセット信号RTは、負論理のORゲートG1を経由して、CPUリセット信号RESETとして、ワンチップマイコン40に供給される。そのためCPUコアは、リセットされて初期状態の動作に戻ることになる。
また、負論理ORゲートG1の入力端子には、電源基板20から電源中継基板29及び演出インターフェイス基板23を経由した電源リセット信号SYRも供給されている。そのため、電源リセット信号SYRも、負論理ORゲートG1を経由してワンチップマイコン40に供給されて、CPUコアをリセットすることになる。
図示の通り、負論理ORゲートG2の入力端子には、負論理ORゲートG1の出力の他に、ワンチップマイコン40からのリスタート信号RSTも供給され、負論理ORゲートG2の出力は、音声再生LSI42のリセット端子に供給されている。ここで、リスタート信号RSTは、音声再生LSI42が異常動作したときにワンチップマイコン40が出力する信号である。そのため、音声再生LSI42は、ワンチップマイコン40のリセット時に同期してリセットされるだけでなく、ワンチップマイコン40が出力するリスタート信号RSTによってリセットされる。したがって、仮に、音声再生LSI42が暴走して異常な音声信号が出力しても、その動作は、ワンチップマイコン40の制御によって直ちに停止させることができる。
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力されたストローブ信号(割込み信号)STBが供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(a)エラー報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(b)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(以下、変動パターンコマンドという)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定してもよいが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部24に対して、ランプやスピーカによる演出動作に対応する図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。この場合、演出制御部22は、液晶制御部24に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、コマンドデータCMD’を演出インターフェイス基板23に向けて出力する。なお、演出制御部22は、液晶ディスプレイに関連する報知用制御コマンドその他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インターフェイス基板23に向けて出力する。
このような演出制御基板22の構成に対応して、演出インターフェイス基板23は、演出制御基板22から8ビット長のコマンドデータCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路45を経由して、そのまま液晶制御基板24に出力される。また、演出インターフェイス基板23は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の制御信号を受けて、バッファ回路46を経由して、これを出力する。図3に示す通り、演出インターフェイス基板23から出力されたランプ駆動制御信号は、ランプ接続基板30を経由してLEDランプ群に供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
一方、演出制御基板22の音声再生LSI42から出力される音声信号は、デジタルアンプ44で増幅されて出力される。また、演出制御基板22から出力されるミュート信号MUTEも、デジタルアンプ44に供給されて、音声信号の出力を禁止している(図5参照)。図3に示すように、演出インターフェイス基板23から出力された音声信号は、スピーカ中継基板31を経由してスピーカに供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応する音声演出が実現される。なお、この実施例では、スピーカは遊技機上部に左右2つ、遊技機下部に左右2つ設けられており、それぞれ中継基板32を通して音声信号を受けている。
ところで、この演出インターフェイス基板23は、上記のようなデジタル信号及びアナログ信号の中継処理機能だけでなく、遊技機各部で必要となる各種の直流電圧を生成し、且つ最短経路でこれらを分配する機能も有している。すなわち、遊技機各部では、各制御基板21,22,24,25のコンピュータ回路を動作させるための直流5Vの電源電圧だけでなく、各種の装飾ランプを高迫力で点灯させるための直流電圧や、液晶ディスプレイDISPを鮮明に表示させるための直流電圧が必要であり、更に、各基板に搭載する専用ICによっては、5V以外の電源電圧を必要とする場合もある。したがって、これら各種の電源電圧ラインをどのように引き回すかは、ノイズ対策上も極めて重要な技術的事項である。
そこで、本実施例では、電源基板20と演出制御基板22との間であって、且つ、電源基板20と液晶制御基板24との間に、演出インターフェイス基板23を設け、この演出インターフェイス基板23において直流電圧の生成及び直流電圧の分配をすることで最適な電源供給ラインを実現している。具体的に確認すると、演出インターフェイス基板23は、電源基板20から3種類の直流電圧5V,12V,32Vを受けている。そして、演出インターフェイス基板23は、受けた直流電圧5Vを自己のデジタル回路の電源電圧として使用すると共に、演出制御基板22と液晶制御基板24に分配している。したがって、演出制御基板22や液晶制御基板24にとっては、ほぼ最短の電源供給ラインが確保されたことになる。また、演出インターフェイス基板23は、その回路構成上、電源電圧5Vに対する負荷が軽いので、演出制御基板22や液晶制御基板24にとって上流側の電源電圧変動が少ない点でも有効である。
一方、遊技盤上の装飾ランプでは、直流電圧12V,20V,32Vが必要となるので、演出インターフェイス基板23では、電源基板20から受けた直流電圧12V,32VをそのままLEDランプ群に転送する一方、直流32VをDC/DCコンバータ47で直流20Vに降圧させて、LEDランプ群に供給している。また、直流電圧12Vについては、液晶制御基板24を経由して液晶ディスプレイDISPにも供給している。
続いて、液晶制御基板24の構成について説明する。図4に示すように、液晶制御基板24は、演出インターフェイス基板23を経由した制御コマンドCMD’を受けて図柄演出を制御するワンチップマイコン48と、ワンチップマイコン48の制御プログラムなどを記憶する制御用ROM49と、ワンチップマイコン48からの指示に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動するグラフィックコントローラ(具体的にはVDP/Video Display Processor)50と、液晶ディスプレイDISPに描画される基礎データ(スプライトのパターンデータ)などを記憶するグラフィック用ROM51と、ウォッチドッグタイマWDT2とを備えて構成されている。なお、ワンチップマイコン48とグラフィックコントローラ50は、その電源電圧が3.3Vであるので、液晶制御基板24では、演出インターフェイス基板23から受けた直流電圧5Vを、降圧回路で3.3Vに降圧させて使用している。
ウォッチドッグタイマWDT2は、ワンチップマイコン48から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、Lレベルのリセット信号RTを出力するようになっている。ウォッチドッグタイマWDT2から出力されるリセット信号RTは、負論理のORゲートG3を経由して、ワンチップマイコン48に供給されるので、その結果、ワンチップマイコン48は初期状態にリセットされる。
図示の通り、負論理のORゲートG3の出力は、グラフィックコントローラ50にも共通して供給されるので、グラフィックコントローラ50とワンチップマイコン48とは同期してリセットされることになり、互いの動作内容に不整合は生じない。また、負論理ORゲートG3には、電源基板20からのCPUリセット信号SYRも供給されているので、遊技機の電源投入時では、液晶制御部24の全体が同期してリセットされる。
図3に示す通り、払出制御基板25は、主制御基板21からの制御コマンドCMD”の他に、遊技球の賞球数を検知する計数スイッチなどのスイッチ信号を遊技盤から受けている。また払出制御基板25は、電源基板20から、DC12V及びAC24Vの他に、電圧降下状態を意味する電源異常信号や、電源投入状態を意味する電源リセット信号SYRを受け、AC24Vを発射制御基板26に伝送している。また、DC12Vによって払出モータMを駆動すると共に、DC12VをDC5に降圧して払出制御基板25のコンピュータ回路の電源電圧にしている。そして、払出制御基板25のコンピュータ回路は、発射制御信号によって、発射制御基板26の動作を制御している。
一方、発射制御基板26は、払出制御基板25からの発射制御信号、及び遊技者の操作に起因する発射停止スイッチのスイッチ信号などに基づいて、ソレノイド類を駆動して遊技球の発射動作を制御している。
図5は、音声再生LSI42の回路構成を詳細に図示すると共に、他の回路との接続関係を図示したものである。図示の通り、音声再生LSI42は、ワンチップマイコン40とのインターフェイス部42aと、ワンチップマイコン40からの指示にしたがってフレーズROM43のデータを読出すコマンドコントローラ42bと、外部クロックΦを適宜に分周するクロックジェネレータ42cと、LSI各部の動作タイミングを規定するタイミングコントローラ42dと、外部DAコンバータ用のシリアル信号を出力するインターフェイス部42eと、シリアル音声データにDAコンバータ用の制御シリアルデータを混合させるミキサー42fと、音声データをアナログ変換する左右チャンネルのDAコンバータ42gと、フレーズROM43とのインターフェイス部42hと、フレーズROM43の圧縮音声データを伸張する伸張部42iと、音声再生LSI42から出力される音声信号に対応したランプ信号LMPを出力するLAMPコントローラ42jとで構成されている。
LAMPコントローラ42jが出力するランプ信号LMPは、ランプ群をランダムに点滅させるために使用されるが、この実施例では、音声再生LSI42の動作監視データとしてワンチップマイコン40にも供給している。なお、ランプ信号LMPは、8bitのパラレルデータであり、その出力回路は全てプルアップされている。
また、伸張部42iは、音声再生LSI42が音声信号を出力中であることを示す1bitの作動信号PLAYを出力しているが、この作動信号PLAYも、ワンチップマイコン40に供給している。したがって、ワンチップマイコン40では、作動信号PLAYのレベルによって、音声再生LSI42が、音声信号を出力中であるか否かを何時でも把握できることになる。なお、作動信号PLAYは、音声再生LSI42が音声再生動作中であることを示す信号であり、音声再生動作の開始から音声再生動作の終了までHレベルを維持する(図7(c)参照)。
図示の通り、クロックジェネレータ42cには、発振回路60からの外部クロックΦが供給されるが、この外部クロックΦは、分周回路61で分周されてワンチップマイコン40に供給されている。ここで、分周回路61の出力は、ランプ信号LMPの出力タイミングに同期した分周クロックであり、ワンチップマイコン40のCPUコアは、この分周クロックを割込み端子IRQ1に受けている。そして、ワンチップマイコン40は、このクロック割込み処理プログラムにおいて、所定量のランプ信号LMPを取得して、音声出力の内容を把握するようにしている。なお、クロック割込み処理プログラム(図9(b))は、その割込みが許可された場合だけ、分周回路61の分周パルスを受ける毎に起動される。
その他、演出制御基板22には、ワンチップマイコン40と音声再生LSIとの間に、アドレスデコーダ62やリセット回路63が設けられている。リセット回路63は、前記した通りであり、2つの負論理ORゲートG1,G2と、ウォッチドッグタイマWDT1とで構成されている。
音声再生LSI42及びその付属回路60〜63に対応して、ワンチップマイコン40には、入力ポート40b、40c及び出力ポート40dが設けられている。入力ポート40bは、音声再生LSIの作動信号PLAYを受けており、入力ポート40cは、8ビットパラレルのランプ信号LMPを受けている。一方、出力ポート40dは、ウォッチドッグタイマWDT1を初期状態に戻すクリアパルスを定期的に出力すると共に、必要時にはリスタート信号RSTを出力して音声再生LSI42をリセットしている。
また、ワンチップマイコン40には、コマンド中継基板28を経由して、主制御基板21から制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受ける入力ポート40aと、演出インターフェイス基板23に、各種のデータを出力する出力ポート40eとが設けられている。ストローブ信号STBは、入力ポート40aを経由してCPUコアの割込み端子IRQ0に供給されており、受信割込み信号として機能している。一方、出力ポート40eは、液晶制御基板24用の制御コマンドCMD’とストローブ信号STB’とを出力している。また、出力ポート40eは、LEDランプ群に対するランプ駆動用の制御信号を出力すると共に、デジタルアンプ44の音声出力動作を中止させる制御信号(ミュート信号)MUTEを出力している。制御信号MUTEは、ワンチップマイコン40が音声再生LSI42の異常動作を感知すると、無条件で出力される信号であり、異常な音声出力を直ちに中止することができる。すなわち、音声再生LSIの異常動作時に、ワンチップマイコン40は先ず音声出力を中止し、更に必要な場合には、リスタート信号RSTを出力して音声再生LSI42をリセットする。
続いて、演出制御基板22のワンチップマイコン40の動作内容を説明する。演出制御部22の動作は、主に、CPUコアがリセットされると開始されるメイン処理(図6(a))と、主制御部21から制御コマンドCMDを受信した際に起動される受信割込み処理(図6(b))と、所定時間(4mS)毎に起動されるタイマ割込み処理(図6(c))とを中心に構成されている。また、音声出力信号の正当性を監視するクロック割込み処理(図9(b))を付加的に設けるのも好適である。
図6(a)のメイン処理は、CPUコアが、電源投入時のシステムリセット信号SYRや、ウォッチドッグタイマWDT1によるCPUリセット信号RESETを受けることで開始される。このメイン処理では、ワンチップマイコン各部の初期設定をした後(ST1)、演出抽選に使用する乱数などを無限ループ状に更新し続ける(ST2)。
このような無限ループ処理の間に、制御コマンドを受信すると受信割込み(図6(b))が起動され、また4mSの時間毎にタイマ割込み(図6(c))が起動される。受信割込み処理では、入力ポート40aのデータを読むことで受信処理が実行され(ST3)、受信した制御コマンドCMDは適当なバッファ領域に格納される(ST4)。
一方、タイマ割込み(図6(c))では、バッファ領域に新たに格納された制御コマンドを解析して必要な処理を行う(ST5)。例えば、新たな制御コマンドが変動パターンコマンドであれば、演出抽選に基づいて具体的な演出内容を決定する。この演出内容は、液晶制御部24で制御される図柄演出と、演出制御部22で制御される音声演出及びランプ演出とに区分されるが、全てが整合した内容になっている。また、具体的な演出内容は、時間的に推移するシナリオで構成されている。シナリオは、例えば、(S1)変動動作開始から左側の特別図柄の停止まで、(S2)左側の特別図柄の停止から右側の特別図柄の停止まで、(S3)その後の変動動作(左右の図柄が一致すればリーチ演出)、(S4)場合によっては、中央の特別図柄が一度停止してからの再変動動作、(S5)〜(S8)前記の変動動作中に挿入される予告演出、などに区分されて規定されるが(図6(d)参照)、一連のシナリオが全て特定される。なお、各シナリオの規定内容には、演出継続時間、音楽の曲番、ランプの点灯パターン番号、予告音の番号が含まれる。
次に、制御コマンド出力処理の準備動作である図柄設定処理が実行される(ST6)。なお、ステップST9で出力される制御コマンドには、演出抽選で選択された変動パターンコマンドだけでなく、変動動作の停止図柄を指定する図柄コマンドや、停止タイミングを規定する停止コマンドや、エラー報知コマンドなども含まれるが、変動パターンコマンド以外は、主制御部21から受けた制御コマンドをそのまま転送する。
何れにしても、ステップST6の図柄演出設定処理が終われば、ステップST10の音声出力指示処理や、ステップST11のランプ駆動信号出力処理のための準備動作が実行される(ST7,ST8)。これらの準備処理(ST7,ST8)や本体処理(ST10,ST11)は、シナリオの進行に対応して実行され、その結果、予め決定されたシナリオが実効化されることになる。なお、ランプ駆動処理(ST11)では、ワンチップマイコン40が、ランプ駆動信号を出力ポート40eから出力するが、音声出力指示処理(ST10)では、ワンチップマイコン40は音声出力を音声再生LSI42に指示するに過ぎない。そして、再生指示を受けた音声再生LSI42が、必要なフレーズデータをDA変換して出力する。
図7(a)は、音声出力指示処理(ST10)の内容を具体的に例示したものである。先ず、シナリオ進行中フラグFGの値に基づいて、現在が音声演出中か否か判定する(ST21)。そして、ステップST21の判定結果がNOであれば、次に、現在が新規シナリオの開始待ち状態があるか否かを判定する(ST22)。なお、この判定処理は、ステップST7の音声演出設定の処理結果を判定する処理に他ならない。
そして、新規シナリオが待機状態であれば(ST22がYES)、今回の音声シナリオに対応したフレーズデータを特定して、特定されたデータ番号を音声再生LSI42に指示する(ST23)。すると、指示を受けた音声再生LSI42では、フレーズROM43から一群の圧縮音声データを順次読み出し、これを伸張処理した後にDA変換してデジタルアンプ44に出力する。
このようにして音声演出動作を開始させたら、ワンチップマイコン40は、シナリオ進行中フラグFGをセットし(ST24)、管理タイマTMを、シナリオ継続時間に対応した初期値Tsに設定してサブルーチン処理を終える(ST25)。
以上のようにしてステップST10の処理が終わるので、その後は、図6(c)に示すように、タイマ割込み毎に管理タイマTMの値が、デクリメント処理により更新される(ST12)。そして、更新された管理タイマの値に基づいて、音声再生LSIの動作をチェックして今回のタイマ割込み処理を終える(ST13)。
図7(b)は、音声チェック処理(ST13)を示すフローチャートである。先ず、シナリオ進行中フラグFGを参照して、現在、シナリオが進行中であるか否かを判定する(ST30)。そして、シナリオ進行中でなければ、音声再生LSI24から作動信号PLAYを取得して、そのレベルを判定する(ST31)。作動信号PLAYは、音声再生LSIが音声信号を出力している状態ではHレベル、待機中であればLレベルである。
したがって、ステップST30の判定がNOである場合には、作動信号PLAYは本来Lレベルの筈である。しかし、音声再生LSI42が暴走状態であるなどの異常時には、作動信号がHレベルであることもあり得る。そこで、作動信号PLAY=Hの場合には、取りあえず、制御信号MUTEをデジタルアンプ44に出力してデジタルアンプ44を消音状態に制御する(ST32)。なお、作動信号PLAY=Hであっても、作動信号PLAYだけが異常レベルを示しているに過ぎず、実際の音声信号は出力されていない可能性もあるが、安全のためにデジタルアンプ44を消音処理するのである。
続いて、音声再生LSI42の動作内容を把握して、もし、音声信号を実際に出力していれば、これに対応するエラー処理を実行する(ST33)。具体的な処理内容は、図8(a)に示す通りであり、先ず、入力ポート40cからランプ信号LMP(8bitパラレル信号)を取得する(ST40)。ランプ信号LMPの出力回路はプルアップされているので、無音状態ではランプ信号LMPは、0FFHの筈である。一方、何らかの音声信号を出力していたら、ランプ信号LMPはLMP≠0FFHである。なお、添字Hは16進数を意味する。
このように、ステップST40の処理で取得したランプ信号LMPが0FFHであるか否かによって、音声信号を出力しているか否かを判定することができる。そこで、ランプ信号LMP≠0FFHの場合には、ワンチップマイコン40は、異常に音声信号を出力している音声再生LSIの動作を停止するため、リスタート信号RSTを出力する(ST42)。出力されたリスタート信号RSTは、負論理ORゲートG2を経由して音声再生LSIに供給されるので(図5)、音声再生LSI42は初期状態にリセットされて暴走状態が解消されることになる。なお、作動信号PLAYが異常レベルであることから(ST31参照)、ランプ信号LMPのレベルに拘わらず、リスタート信号RSTを出力したのでも良い。
さて、図7(b)に戻って、ステップST30の判定がYESで、現在がシナリオ進行中であった場合について説明を続ける。この場合には、次に、管理タイマTMの値に基づいて、既に初期動作時間を経過したか否かを判定する(ST34)。これは、ステップST23の処理によって音声再生LSIに音声再生の指示を出してから、音声再生LSIから実際に音声信号が出力され始めるまでの遅れ時間を考慮したものであり、十分に余裕をもった遅れ時間が、初期動作時間として割り当てられている(図7(c)参照)。
したがって、シナリオ進行中であっても、未だ初期動作時間を経過していない場合には(ST34がNO)何もしないでサブルーチン処理を終える。一方、既に初期動作時間を経過している場合には(ST34がYES)、作動信号PLAYのレベルを判定する(ST35)。本来このタイミングでは、作動信号PLAYはHレベルの筈であるから、作動信号PLAYがLレベルとなるのは、音声再生LSI42が異常動作中であることを意味する。そこで、その場合には、無音時のエラー処理を実行する(ST36)。
図8(b)は、無音時のエラー処理を図示したものである。先ず、ランプ信号LMPを取得して(ST45)、本当に無音状態か否かを判定する(ST46)。そして、実際に取得したランプ信号LMPもLMP=0FFHであって無音状態であることを示している場合には、リスタート信号RSTを出力して音声再生LSI42をリセット状態にする(ST47)。なお、音声信号の出力状態において、たまたまLMP=0FFHとなるタイミングもあり得るので、ステップST46〜ST47の処理は、所定の時間間隔で複数回実行して万全を期すのが好ましい。但し、そもそも、作動信号PLAYが異常レベルであることから(ST35参照)、ランプ信号LMPのレベルに拘わらず、リスタート信号RSTを出力したのでも良い。この場合、リスタート信号の出力に先立って、念のため制御信号MUTEを出力するのが好ましい。
以上、ステップST35の判定において、作動信号PLAYがLレベルを示す異常時について説明したが、作動信号PLAYがHレベルを示す正常時には、次に、演出時間に対応した管理時間が満了したか否かを判定する(ST37)。具体的には、管理タイマTMの値によって管理時間の満了が判定され、管理タイマTM=0であれば、シナリオ進行中フラグFGをリセットして音声チェック処理を終える(ST38)。
以上説明した通り、この実施例では、シナリオ進行中でないにも拘わらず、PLAY=Hレベルである場合には、直ちに、無音処理を実行した後に(ST32)、音声再生LSIから出力されているランプ信号LMPをチェックしている。そして、シナリオ進行中でないのに、ランプ信号が認められる場合には、音声再生LSI42を直ちにリセットして暴走状態からの回避を実現している(ST42)。
一方、シナリオ進行中の初期段階では、作動信号PLAYがHレベルであることをチェックしている(ST35)。そして、シナリオ進行中でありながら、作動信号PLAYがLレベルである異常時には、音声再生LSIから出力されているランプ信号LMPをチェックして、無音状態であることを確認した上で、音声再生LSI42をリセットして暴走状態からの回避を実現している(ST47)。したがって、本実施例では、無意味に大音量の音声が出力されたり、或いは、音声演出が実行されない異常状態が継続するようなトラブルが生じない。なお、ランプ信号LMPをチェックすることなく、作動信号PLAYの異常だけを理由に、音声再生LSIをリセットしても良いのは前述した通りである。
ところで、以上の実施例では、ランプ信号LMPのチェックは、8bitパラレルデータが0FFHか否かの二値判定でしかない。しかし、音声再生LSIから出力される8bitパラレルデータは、シナリオ毎に予め決まっているので、シナリオに対応した音声が出力されているか否かの判定を行っても良い。図9(a)は、ステップST10の音声出力指示処理の変形例を例示したものである。この場合には、音声出力指示処理(ST10)において、管理タイマTMの初期設定に加えて、クロック割込みを許可している(ST26)。クロック割込みは、分周回路61から出力される分周クロックに基づくものであり(図5参照)、この分周クロックは、ランプ信号LMPの出力タイミングに同期している。したがって、分周クロックに同期してランプ信号LMPを取得すれば、音声演出として出力されている音声信号の正当性を把握することができることになる。
図9(b)は、クロック割込み処理プログラムの処理内容を示したものである。先ず、今現在が管理時間内か否かを判定し(ST51)、管理時間を経過している場合には、クロック割込みを禁止して割込み処理を終える(ST55)。これは、音声演出開始から音声演出終了まで、全ての音声信号をチェックするのは現実的でないためであり、この実施例では、音声演出の開始から管理時間満了までの時間帯だけ音声信号をチェックしている。したがって、この管理時間は、必ずしも先の実施例(図7(c))の管理時間と同一ではない。
ステップST51の判定がNOであって、現在が管理時間内であれば、ランプ信号LMPを取得する(ST52)。そして、ランプ信号LMPが予め特定されている音声データと一致する場合には、そのまま割込み処理を終える。なお、クロック割込みの許可タイミング(ST25)と、最初のランプ信号LMPが出力されるタイミングとは一致しないので、最初のランプ信号LMPが出力されるまで(つまり、取得したランプ信号LMPが連続して0FFHである時間帯)は、何もしないで割込み処理を終える。
一方、ランプ信号LMPを取得できた場合には、そのデータの正当性をチェックして(ST53)、不合理なデータであればエラーフラグERをON状態にセットして割込み処理を終える(ST54)。ここでセットされたエラーフラグERは、タイマ割込み時に、音声チェック処理(ST13)で使用される。すなわち、シナリオ進行中であれば(ST30がYES)、エラーフラグERの値が常に判定され(ST60)、エラーフラグERがON状態であれば、ワンチップマイコン40は、必要な諸条件を満たすことを条件に、制御信号MUTEをデジタルアンプ44に出力すると共に、リスタート信号RSTを音声再生LSI42に出力する(ST61,ST62)。これによって、音声演出は中断されて遊技機は無音状態となり、音声再生LSI42はリセットされる。上記動作を実行するに必要な諸条件は適宜に設定されるが、例えば、一度だけエラー判定された程度ではリスタート信号RSTを出力せず、繰り返し何回もエラー判定される場合だけ、リスタート信号RSTを出力する柔軟な処理が好ましい。このような柔軟な制御を実現するには、ステップST61の処理において、エラーフラグERをOFF状態に戻すと共に、引き続き、エラーフラグERがON状態であった回数をカウントすれば良い。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、上記の実施例では、ランプ信号LMPによって音声信号の正当性をチェックしたが、このような動作態様に何ら限定されない。すなわち、音声再生LSIからランプ信号LMPが出力されない場合には(この方が多い)、外部DAコンバータに対するシリアルデータをワンチップマイコン40で取得して、この取得値によって音声再生LSIの正常動作状態を把握するもの好適である。
図5の音声再生LSIには、外部DAコンバータインターフェイス42eが設けられており、その他の音声再生LSIにも同様の構成を備えるので、外部DAコンバータに対するシリアルデータを、ワンチップマイコン40のシリアル入力ポート(不図示)で受けて、音声データが実際に出力されているか否かを判定すれば良い。この場合、図9の変形動作例のように、音声データの内容まで把握することも可能である。