以下、本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。なお、遊技盤5を除く部分が本発明の本体枠に該当する。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、左右のスピーカSPL,SPRが配置されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、本実施例のパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線矢印は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。なお、演出インターフェイス基板27と演出制御基板22とは、ケーブルを使用することなくコネクタによって直結されている。
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32と、外部端子基板OTと、球貸機UTとのインターフェイス基板IFとが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、液晶ディスプレイDISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタCN1〜CN4によって電気的に接続されている。
図3に示す通り、電源基板20は、接続コネクタCN2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタCN3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インターフェイス基板27に出力している。なお、演出インターフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源を、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号は、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源は、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、演出制御部22と液晶制御部23には、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
図3及び図4に示す通り、演出インターフェイス基板27は、コマンド中継基板26と、電源中継基板30と、枠中継基板31と、演出制御基板22と、ランプ接続基板34と、液晶制御基板23と、インバータ基板33とに接続されている。
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声再生出力回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ(フレーズROM)43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
音声再生出力回路42は、本実施例では、例えばヤマハ株のYMZ774で構成されるが、ワンチップマイコン40の割込み端子INT1には、音声再生出力回路42が出力する割込み信号が供給されている。
また、ワンチップマイコン40には、シリアル通信回路SIOと、パラレルポートPIOとが内蔵されている。そして、この実施例では、シリアル通信回路SIOからは、シリアルデータDATA及びシフトクロックCLOCKが出力され、パラレルポートPIOからは、ラッチ信号LATCH及び動作制御信号ENABLEが出力されるよう構成されている。また、パラレルポートPIOからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’も出力される。
ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インターフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子INT0に供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。
演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(a)エラー報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(b)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。この場合、演出制御部22は、液晶制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インターフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、液晶ディスプレイに関連する報知用制御コマンドその他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インターフェイス基板27に向けて出力する。
このような演出制御基板22の構成に対応して、演出インターフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路45を経由して、そのまま液晶制御基板23に出力される。また、演出インターフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の信号を受けて、バッファ回路46を経由して出力する。演出インターフェイス基板27から出力されたランプ駆動用信号は、ランプ接続基板34を経由してLEDランプ群に供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
一方、演出制御基板22の音声再生出力回路42から出力される音声信号AOL0,AOR0は、演出インターフェイス基板27に搭載されたデジタルアンプ44で増幅されて左右のスピーカSPL,SPRに出力される。
図5は、ランプ接続基板34に搭載されたランプ駆動回路と、LEDランプ群との接続関係を示す回路図である。ランプ駆動回路は、演出制御部22のワンチップマイコン40から、シリアル信号DATAと、ラッチ信号LATCHと、シリアルクロックCLOCKと、動作制御信号ENABLEとを受けている。先に説明した通り、ラッチ信号LATCHと、動作制御信号ENABLEとは、ワンチップマイコン40に内蔵されたパラレルポートPIOから出力され、シリアル信号DATAとシリアルクロックCLOCKとは、ワンチップマイコン40に内蔵されたシリアル通信回路SIOから出力される。
なお、この実施例では、5MHzのシリアルクロックが出力されるようシリアル通信回路SIOが設定されている。また、この実施例では、説明の都合上、LEDランプ群が256個のLEDランプで構成されていることにするので、シリアル信号DATAは、シリアルクロックCLOCKに同期した256ビット長となる。
ランプ制御回路は、図6に内部回路を示す16個のドライバDr1〜Dr16(例えば、ROHM社のBD7851FP)が直列接続されて構成されている。図6に示す通り、各ドライバDriは、16個のシフトレジスタSRと、16個のラッチレジスタLRとを内蔵して構成されている。そして、上流側のドライバのシリアル出力端子S_OUTは、直ぐ下流側のドライバのシリアル入力端子S_INに接続され、最上流のドライバDr1のシリアル入力端子S_INには、シリアル信号DATAが供給されている。一方、ラッチ信号LATCHと、シリアルクロックCLOCKと、動作制御信号ENABLEとは、全てのドライバDr1〜Dr16に共通的に供給されている。
ここで、ラッチ信号LATCHが、正パルス状に変化すると、シフトレジスタSRの数値が、ラッチレジスタLRに記憶される。このとき、動作制御信号ENABLEがLレベルであれば、ラッチレジスタLRの値が出力端子OUT1〜OUT16に現れるが、逆に、動作制御信号ENABLEがHレベルであれば、オープンコレクタタイプの出力端子OUT1〜OUT16は、開放状態であって、ラッチレジスタLRの値は出力されない。
図5に示す通り、各ドライバDriの出力端子OUT1〜OUT16は、電流制限抵抗を介して電源電圧Vccを受けるLEDランプに接続されている。したがって、動作制御信号ENABLEがLレベルであって、出力端子OUT1〜OUT16からLレベルの点灯データを受けたLEDランプだけが点灯状態となる。
続いて、音声演出を実現する回路構成について説明する。図7(a)は、音声再生出力回路42たるYMZ774(ヤマハ株)に概略構成を示すブロック図である。図示の通り、この音声再生出力回路42は、自らの内部動作状態(ステイタス)を記憶すると共に、ワンチップマイコン(ホストCPU)40から受信したコマンドを記憶する各種レジスタ群42aと、後述するシンプルアクセス動作を実現するシンプルアクセス部42bと、音声再生処理のシーケンス処理を制御するシーケンサ42cと、シーケンサ42cなどに制御されて音声信号を出力する音声再生部42dとを有して構成されている。
音声再生部42dは、フレーズROMたる音声用メモリ43から読み出された圧縮データを伸張する16チャンネル分のデコーダ部50と、各チャンネルCH0〜CH15の音声データの音量レベルを各々規定するチャンネルボリューム部51と、指定されたチャンネルの音声データを加算するチャンネルミックス部52と、ミキシング後の音声データの音量レベルを規定するトータルボリューム部53と、2つのチャンネルに設けられたエフェクト部54と、出力インターフェイス部55とで構成されている。
ここで、エフェクト部54は、一次IIRと二次IIRとからなるデジタルフィルタである。なお、デジタルフィルタ(digital filter)とは、伸張されてミキシングされたデジタルデータに対するデジタル信号処理によりフィルタ機能を付与するものであり、この実施例では、パルス伝達関数が無限の長さを持つIIR(Infinite Impulse Response)型フィルタが設けられている。
出力インターフェイス部55は、アナログインターフェイス部55aと、デジタルインターフェイス部55bとに区分されるが、アナログインターフェイス部55aは具体的には、4チャンネルのDA変換器(DAC部)で構成される。そのため、この音声再生出力回路42からは、デジタル音声信号とアナログ音声信号とが出力可能であるが、この実施例では、DA変換器のチャンネル0のアナログ音声信号AOL0,AOR0が、遊技機に配置された左右のスピーカSPL,SPRに供給されるよう構成されている。
図8に示す通り、デコーダ部50は、詳細には、16チャンネルのフレーズデータデコーダCH0〜CH15に区分されている。そして、各デコーダCH0〜CH15のPCM出力データを、適宜に組合せて再生音を生成することができる。但し、この実施例では、説明の便宜上、構成を単純化することとし、フレーズデータデコーダCH0からステレオ出力されるBGM音と、フレーズデータデコーダCH2からモノラル出力される効果音とをミキシングした後、アナログ変換して左右アナログ音声信号AOL0,AOR0として出力することにする。
このような音声信号による音声演出は、演出制御部22で実行される演出抽選の抽選結果に基づいた内容である。この音声演出は、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに基づいて、液晶制御部23による図柄演出に同期して実行され、また、演出制御部22によるランプ演出とも同期する。なお、ここで同期とは、必ずしも同時に開始される場合に限定されず、密接に関連して実行されることも含む概念である。
図9は、音声用メモリ(フレーズROM)43に、予め記憶されている登録データを示すデータ構造図である。この音声用メモリ43には、BGMやドラマのテーマ曲などで構成される一連の音楽データや、声や音などで構成される効果音データが、最大2048種類のフレーズデータとして登録可能になっている。なお、各フレーズデータは、0〜2047のフレーズ番号の何れかで特定され、各々、PCMデータが圧縮化されて、音声用メモリ43に16ビット毎に記憶されている。
図9では、AAAA番地以降にBGM1(フレーズ番号0)が記憶され、BBBB番地以降にBGM2(フレーズ番号1)が記憶されている。また、図示省略しているが、CCCC番地以降にはBGM3(フレーズ番号2)が記憶され、その他、効果音であるEFT1〜EFT3も適宜なアドレスに記憶されている。なお、この実施例では、効果音EFT1は”リ〜チ”、効果音EFT2は”ビロ〜ン”、効果音EFT3は”さ〜い変〜動〜”と発声する音声情報である。
このような構成に対応して、音声用メモリ43の0000H番地〜0FFF番地には、32ビット毎に、2048区分されたフレーズ番号領域が設けられている。各フレーズ番号領域には、フレーズ番号iに対応する一群のフレーズデータが格納された先頭アドレス****(26ビット長)と、フレーズデータの動作パラメータテーブル番号(3ビット長)とが記憶されている。なお、動作パラメータテーブル番号は、フレーズデータのエンコード時に、サンプリング周波数、ビットレートなどに基づいて自動的に決定される数値である。
図9では、フレーズ番号0〜フレーズ番号2の領域に、音楽データBGM1〜BGM3が格納されている先頭アドレスとして、アドレス値AAAA,BBBB,CCCCが記憶されている。なお、図示省略しているが、効果音データEFT1〜EFT3が格納されている先頭アドレスも、同様の書式で、フレーズ番号3〜フレーズ番号5の領域に記憶されている。
一方、音声用メモリ43の2000H番地〜2FFF番地には、32ビット毎に、2048区分されたシンプルアクセスコード番号領域が設けられている。各シンプルアクセスコード番号領域には、コード番号jに対応する一群のシンプルアクセスコードデータPARAjが格納された先頭アドレス−−−−(26ビット長)が記憶されている。
図9では、シンプルアクセスコード番号0〜シンプルアクセスコード番号2の領域に、各シンプルアクセスコードが格納されている先頭アドレスとして、アドレス値XXX,YYYY,ZZZZが記憶されている。なお、全ては記載していないが、シンプルアクセスコード3〜シンプルアクセスコード5が格納されている先頭アドレスも、同様の書式で、シンプルアクセスコード番号3〜シンプルアクセスコード番号5の領域に記憶されている。
ここで、シンプルアクセスコードデータとは、音声再生出力回路42の内部レジスタのレジスタアドレスと、その内部レジスタに設定すべき動作パラメータとで一組となる一群のデータ列であって、どのフレーズデータを、どのような条件で再生するかを規定するものである。また、フレーズデータの再生終了時に、割込み信号を出力するか否かについても設定可能となっている。
図9には、XXXX番地以降に格納されているシンプルアクセスコードNo.0の内容が例示されている。この実施例では、シンプルアクセスコードNo.0は、図10に示すBGM1の音声演出に関するものであり、フレーズNo.0の音楽データ(BGM1)を、フレーズデータデコーダCH0で、ステレオ再生するものと規定されている。具体的には、[マスターボリューム値]、[フレーズNo.0]、[CH0のボリューム値]、[パンポット(L)値]、[CH1のボリューム値]、[パンポット(R)値]、[繰返し∞]のなどの動作パラメータを、音声再生部の該当レジスタのレジスタアドレス値に対応して予め記憶されている。
そして、音声再生部が動作中、ワンチップマイコン40が、このシンプルアクセスコードNo.0を、音声再生出力回路42の専用レジスタ(SACレジスタ)に書き込むと、音声再生出力回路42の内部回路が機能して、上記した各動作パラメータを指定された内部レジスタに自動的に設定され、その後は、フレーズデータ領域に圧縮記憶されているBGM1が、フレーズデータデコーダCH0で復元されて、繰り返し再生出力されることになる。なお、音声演出終了割込みの設定がされていないので、BGM1の音声演出に関連する割込みは生じない。
一方、シンプルアクセスコードNo.3については、○○番地以降に、シンプルアクセスコードデータが格納されている。コードデータの書式については、シンプルアクセスコードNo.0の場合と同じであるが、シンプルアクセスコードNo.3では、フレーズデータの再生終了時に、割込み信号を出力するよう設定されている。なお、シンプルアクセスコードNo.3が特定するフレーズデータは、”リ〜チ”と発声する効果音EFT1である。
また、シンプルアクセスコードNo.4及びNo.5についていも、フレーズデータの再生終了時に、割込み信号を出力するよう設定されている。なお、シンプルアクセスコードNo.4が特定するフレーズデータは、”ビロ〜ン”と発声する効果音EFT2、シンプルアクセスコードNo.5が特定するフレーズデータは、”さ〜い変〜動〜”と発声する効果音EFT3である。
図10は、演出制御部22及び液晶制御部23が協働して実行する音声演出・ランプ演出・図柄演出について、その内容を簡略化して例示したものである。なお、これらの演出は、主制御部21が出力する制御コマンドCMDに制御されており、変動パターンコマンドの受信から、変動停止コマンドの受信まで継続して実行される。
すなわち、演出制御部22は、主制御部21から変動パターンコマンドCMDを受けると、演出抽選によって演出内容を具体的に決定して、その内容を演出コマンドCMD’によって液晶制御部23にも通知する。その結果、液晶制御部23では、図柄演出として図柄変動動作↓↓↓が開始されるが(T1)、この図柄演出の開始に同期して、演出制御部22では、音声演出BGM1が開始される。また、ランプ演出LMP1も同時に開始される。なお、ランプ演出LMP1は、他のランプ演出LMP2〜LMP4の割込みによって中断することはあるが、図柄演出の終了時まで、同一内容のランプ点滅動作が繰り返される。
演出開始後10秒経過すると(T2)、図柄演出がリーチ演出に移行するが、これに合わせて、音声演出EFT1として「リ〜チ」との掛け声と共に、音声演出BGM2が開始される。そして、この実施例では、「リ〜チ」の掛け声が終わると同時に、ランプを短時間だけフラッシュさせるランプ演出LMP2を割込ませる。
また、更に12秒経過すると(T3)、音声演出EFT2として「ビロ〜ン」との効果音を出力し、遊技者に大当り状態の招来の可能性が低くないことを予告する。そして、「ビロ〜ン」の効果音が終わると同時に、ランプを激しくフラッシュさせるランプ演出LMP3を割込ませる。
演出開始から40秒経過すると(T4)、図柄演出が再変動動作に移行するが、これに合わせて、音声演出EFT3として「さ〜い変〜動〜」との掛け声と共に、音声演出BGM3の出力が開始される。そして、「さ〜い変〜動〜」の掛け声が終わると同時に、ランプを更に激しくフラッシュさせるランプ演出LMP4を割込ませて、遊技者の期待感を更に盛り上げる。
変動パターンコマンドの受信から50秒程度経過すると、演出制御部22は、主制御部21から変動停止コマンドCMDを受ける。そこで、演出制御部22は、この受信動作に合わせて、それまでの音声演出とランプ演出を終了させる。また、液晶制御部23も、転送される変動停止コマンドCMD'に基づいて、大当り状態の図柄表示(7・7・7)を確定させて、図柄演出を一応終了させる。
図12〜図15は、上記した演出動作を実現する演出制御部22の動作内容を説明するフローチャートである。
図12に示す通り、演出制御部22の動作は、電源投入後に開始されるメイン処理(a)と、制御コマンドCMDの受信するための受信割込み処理(b)と、4mS毎に起動されて演出動作を進行させる第1タイマ割込み処理(c)と、2mS毎に起動されてランプ演出を実行する第2タイマ割込み処理(d)と、音声演出の区切り時に起動される音声演出終了割込み処理(e)とで実現されている。
<メイン処理:図12(a)>
図12(a)に示す通り、メイン処理では、ワンチップマイコン40内部の各部や、音声再生出力回路42について、必要な初期設定を行った後(ST1)、無限ループ状に乱数更新処理を繰り返す(ST2)。更新される乱数は、演出抽選処理で使用される。
ステップST2の乱数更新処理は、CPUが割込み許可状態で繰り返されるので、図12(b)〜図12(e)の何れかの割込み要因が成立すると、メイン処理が中断されて、各々の割込み処理が開始される。なお、割込み要因の優先度は、受信割込み処理(b)を最高レベルとし、順次、第1タイマ割込み処理(c)→第2タイマ割込み処理(d)→音声演出終了割込み処理(e)の順番に設定されている。
<受信割込み処理:図12(b)>
以上を踏まえて各割込み処理について説明する。ワンチップマイコン40がストローブ信号STBを受けると、図12(b)に示す受信割込み処理が開始され、CPUは、受信した制御コマンドCMDを受信バッファ領域に格納する(ST3)。次に、CPUは、自らを割込み許可状態に戻して割込み処理を終える(ST4)。CPUは、割込み処理の開始時には割込み禁止状態であるので、割込み処理が終わるまでは、他の割込みが禁止されることになる。
このような動作は、他の割込み処理でも共通しており(ST7,ST9,ST15)、結局、本実施例では、多重割込みが一律に禁止されることになる。なお、割込み処理の最初に実行されるべきレジスタ退避処理と、最後に実行されるべきレジスタ復帰処理については、全ての割込み処理において記載を省略している。
<第1タイマ割込み処理:図12(c)>
続いて、4mS毎に起動される第1タイマ割込み処理を説明する(図12(c)。第1タイマ割込み処理では、コマンド解析処理(ST5)と演出進行処理(ST6)とが実行された後、CPUを割込み許可状態に戻して、割込み処理を終える(ST7)。
<コマンド解析処理:図12(c)ST5>
コマンド解析処理(ST5)の詳細は、図13(a)に示す通りである。先ず、受信バッファ領域を検査して、新規の制御コマンドを受信しているか否かが判定され(ST20)、制御コマンドを新規に受信している場合には、それが変動パターンコマンドか否かが判定される(ST21)。そして、変動パターンコマンドを受信している場合には、演出抽選を実行して演出内容を具体的に特定する(ST22)。演出抽選は、受信した変動パターンコマンドCMDと、ステップST2の処理で更新されている乱数値とに基づいて実行される。そして、変動パターンコマンド毎に用意されている複数個の演出の何れか一つが選択されるので、選択された演出を特定する演出コマンドCMD’を、液晶制御部23に送信する(ST23)。なお、ここでは、図10に示す演出(音声演出とランプ演出)を実現する演出番号Nが選択されたことにする。
図11は、演出番号Nの演出を実現するための演出進行テーブルTBL_Nを図示したものである。他の演出進行テーブルTBL_*も含め、演出進行テーブルTBLは、演出開始からの経過時間を示す第0列と、ランプ演出番号を示す第1列と、音声演出用のシンプルアクセス番号を示す第2〜3列と、音声演出に従属して実行されるランプ演出を特定する第4列とで構成されている。なお、第2列と第3列とを一体化して良いのは勿論である。以下、演出進行テーブルを一般的に説明する場合には、TBL_*ではなく、簡略化して演出進行テーブルTBLと表現する。
先に、図10に関して説明した通り、演出番号Nの演出は、その演出区切りが、演出開始から+10秒、+22秒、+40秒のタイミングで生じる。そこで、演出進行テーブルTBL_Nの第1欄には、10000/4〜40000/4の数値が記憶されている。ここで、経過時間(mS)の1/4の数値が記憶されているのは、演出進行処理ST6を実行する第1タイマ割込み処理が、4mS毎に実行されるからである。なお、演出開始までに100mSの遅延時間を設けているのは、演出制御部22の下流側に位置する液晶制御部23との同期を採るためである。
図11と図10とを対比すれば明らかな通り、ランプ演出番号JJJは、ランプ演出LMP1を特定しており、また、ランプ演出番号KKK,LLL,MMMは、それぞれランプ演出LMP2,LMP3,LMP4を特定している。なお、演出進行テーブルにおいて、使用しないエリア(−)には、空データ(=0)が記憶されている。
さて、図13に戻って説明を続けると、演出抽選ST22によって演出番号が特定されると、その演出番号が、ワークエリアのENS番地に記憶される(ST24)。ここでは、演出番号Nが選択された場合を説明しているので、ENS番地に演出番号Nが記憶される。また、これから音声演出とランプ演出が開始されるので、演出進行テーブルTBLの行番号Iと、演出開始からの経過時間を計測するタイマ変数TMRとが、各々ゼロに初期設定される(ST24)。
このようにして演出動作が開始されるが、その後、変動停止コマンドを受けた場合には、これを液晶制御部23に転送すると共に(ST26)、音声演出とランプ演出の終了処理を実行して(ST27)、ワークエリアのENS番地に格納されている演出番号と、LMP番地に格納されているランプ演出番号とをゼロクリアする(ST28)。このように、ENS番地は、演出開始時に演出番号が記憶され(ST24)、演出終了時にゼロクリアされるので(ST27)、ENS番地の内容を判定するだけで、現在が演出動作中か否かを判定することができる。この点は、ランプ演出についてのLMP番地についても同様である。なお、音声演出とランプ演出は、実際には、ステップST27のタイミングから少し遅れて、図柄演出と同期するタイミングで終了される。
その他、演出動作中である場合も含め、新規の制御コマンドを受信した場合には、必要に応じて、これを液晶制御部23に転送すると共に(ST29)、制御コマンドに対応したエラー処理などの処理を実行する(ST30)。
<演出進行処理:図12(c)のST6>
図12(c)の第1割込み処理では、上記した手順でコマンド解析処理(ST5)が実行され、その後に、演出進行処理(ST6)が実行される。演出進行処理(ST6)の具体的内容は、図14に示す通りである。
演出進行処理は、タイマ変数TMRの値に基づいて実行されるが、主体的なランプ演出を開始させるための初期設定(ST44〜ST45)と、音声演出を開始させる開始処理(ST47,ST49)と、音声演出に従属するランプ演出のための初期設定(ST51)とが含まれている。
演出進行処理では、先ず、ワークエリアのENS番地の内容が判定され(ST40)、ENS=0であれば、新規に開始すべき演出が存在しないとして、何もしないで処理を終える。一方、ENS≠0であれば、タイマ変数TMRをインクリメントして更新する(ST41)。このタイマ変数TMRは、遊技進行を管理する時間変数であり、演出進行テーブルTBLの第0列(図11参照)に記憶されている経過時間情報と密接に関連する。
すなわち、更新後のタイマ変数TMRは、演出進行テーブルTBLの第I行第0列の数値と比較され(ST42)、もし、TMR<TBL(I,0)なら何もしないでサブルーチン処理を終える。一方、演出開始からの時間が進行して、TMR=TBL(I,0)となれば、演出進行テーブルTBLの第1列に、ランプ演出番号が記憶されているか否か判定する(ST43)。そして、TBL(I,1)≠0であって何らかのランプ演出番号が検出されると、これをワークエリアのLMP番地に格納する(ST44)。LMP番地に格納されたランプ演出番号(例えばJJJ)は、第2タイマ割込み時に参照され、ランプ演出番号JJJに対応するパターンテーブルPTN(J)に従ったランプ演出が実行される。
そのため、ステップST44の処理が終われば、パターンテーブルPTN(J)の行変数Jをゼロに初期設定すると共に、ランプ演出に関する回数カウンタCNTをゼロに初期設定する(ST45)。回数カウンタCNTは、同一のランプパターンを複数回連続して出力するための変数である。
次に、演出進行テーブルTBLの第2列に、BGMについてのシンプルアクセス番号が記憶されているか否かが判定され(ST46)、TBL(I,2)≠0であれば、これを音声再生出力回路42の専用レジスタ(SACレジスタ)に書き込む(ST47)。すると、音声再生出力回路42の内部回路が動作して、音声用メモリ43のシンプルアクセスコード領域に格納されている動作パラメータが、音声再生出力回路42の該当レジスタに書き込まれて、対応する音声演出が開始される。
例えば、TBL_N(0,2)に格納されているシンプルアクセス番号No.0が、音声再生出力回路42の専用レジスタに書き込まれた場合には、音声用メモリ43のXXXX番地以降の動作パラメータが、音声再生出力回路42の該当レジスタに転送される。そして、音声用メモリ43のAAAA番地以降に格納されているBGM1の圧縮音声情報(フレーズNo.0)が、フレーズデータデコーダCH0で伸長されて出力される。
以上のようにしてBGMについての処理が終われば、次に、演出進行テーブルTBLの第3列に、効果音についてのシンプルアクセス番号が記憶されているか否かが判定され(ST48)、TBL(I,3)≠0であれば、これを音声再生出力回路42の専用レジスタに書き込む(ST49)。
例えば、TBL(1,3)に格納されているシンプルアクセス番号No.3が、音声再生出力回路42の専用レジスタに書き込まれた場合には、音声用メモリ43の○○番地以降の動作パラメータが、音声再生出力回路42の該当レジスタに転送される。そして、音声用メモリ43に格納されているEFT1の圧縮音声情報が、フレーズデータデコーダCH2で伸長されて出力される。
次に、演出進行テーブルTBLの第4列に、音声演出に従属して開始されるべき従属ランプ演出について、そのランプ演出番号が記憶されているか否かが判定される(ST50)。そして、TBL(I,4)≠0であれば、これをワークエリアのSUB番地に書き込む(ST51)。SUB番地に書き込まれたランプ演出番号は、音声演出終了割込み(図12(e))において参照される。そして、音声演出終了割込みでは、そのとき進行しているランプ演出を中断させて、SUB番地に書き込まれたランプ演出番号のランプ演出の実行を開始させる。例えば、図11の演出進行テーブルTBL_Nによれば、ランプ演出番号KKKのランプ演出は、効果音EFT1の”リ〜チ”との音声演出が終わった瞬間に実行される。
何れにしても、音声演出に従属するランプ演出に関する処理が終われば、演出進行テーブルTBLの行番号Iをインクリメントして更新する(ST52)。そして、更新後の行番号Iに対応して、TBL(I,0)に有意なデータが記憶されているか否かを判定する(ST53)。
ここで、TBL(I,0)=0であって、実行中の一連の演出動作において、その後に実行すべき演出が存在しない場合には、演出番号を記憶するENS番地をゼロクリアして演出進行処理を終える(ST54)。ENS番地がゼロクリアされた後は、演出進行テーブルTBLが参照されることがなく(ST40参照)、ステップST47やST49の処理によって開始された音声演出が継続実行されるだけである。もっとも、従属ランプ演出番号がSUB番地に格納されている場合には、音声演出終了時に従属ランプ演出が実行される。なお、本実施例では、ステップST54の処理に重複して、ステップST28の処理を設けているので、何らかの異常時には、主制御部21が変動停止コマンドを送信することで、実行中の演出動作を終了させることもできる。
<音声演出終了割込み:図12(e)>
続いて、図12(e)に示す音声演出終了割込みについて説明する。なお、音声演出終了割込みが生じるのは、この実施例では、効果音EFT1〜EFT3の音声演出が完了した時だけであり、BGM1〜BMG3の音声演出に関しては生じない。
音声演出割込みが発生すると、先ずSUB番地が判定される(ST10)。これは、効果音EFT1〜EFT3の音声演出開始時には、音声演出終了と同時に、従属的に開始されるべきランプ演出番号が記憶されているからである(図14のST51参照)。
したがって、もし、SUB=0であれば異常割込みであるとして割込み処理を終える。一方、SUB≠0であれば、次に、LMP番地の内容を判定する(ST11)。LMP番地には、主体的なランプ演出開始時に、ランプ演出番号が格納されており(図14のST44)、ランプ演出終了まではLMP番地の値が維持される(図15のST66、図13のST28参照)。
したがって、LMP≠0であれば、現在実行中のランプ演出が存在するので、LMP番地のデータをBAK番地に保存し、FLG番地に1を設定する(ST12)。なお、FLG番地のデータは、バックアップフラグであり、強制的に中断させたランプ演出が存在することを意味する。
次に、音声演出の終了に呼応した従属的なランプ演出を開始させるべく、SUB番地のデータを読み出し、そこに格納されているランプ演出番号をLMP番地に書き込み、SUB番地をゼロクリアする(ST13)。先に説明した通り、SUB番地には、これから実行を開始すべきランプ演出番号が、既に格納されている(図14のST51)。
次に、ランプ演出用の初期設定として、パターンテーブルPTNの行番号Jと、回数カウンタCNTとをゼロクリアする(ST14)。そして、CPUを割込み許可状態に戻して割込み処理を終える(ST15)。回数カウンタCNTは、同一のランプパターンを繰返し出力する回数を管理する。
<第2タイマ割込み処理:図12(d)>
続いて、2mS毎に起動される第2タイマ割込み処理について説明する。第2タイマ割込み処理は、ランプ演出を実際に実現するもので、ランプデータを作成してランプ駆動回路に出力した後(ST8)、CPUを割込み許可状態に戻して割込み処理を終える(ST9)。
図15は、ランプデータ作成出力処理(ST8)の内容を詳細に示すフローチャートである。ここでは、LMP番地のランプ演出番号で特定されるパターンテーブルPTNに基づいて、LEDランプが点灯駆動される。
パターンテーブルPTNは、例えば、図15(c)に示す通りであり、第0列に連続送信回数が規定され、第1列〜第256列にビットパターンが規定されている。ここで、連続送信回数が設けられているのは、余り高速にLEDランプの点灯状態を変化させても、人間の視覚では認識できないからである。すなわち、この実施例では、第2タイマ割込みの実行周期が2mSであるので、例えば、図15(c)のパターンテーブルPTN_Mが選択された場合には、同一データが100回送信されることで、LEDランプの点灯状態が200mS毎に変化する。
以上を踏まえて、図15(a)のランプデータの作成及び出力処理について説明する。先ず、ワークエリアのLMP番地が判定され、LMP=0であれば何もしないで処理を終える。図14に関して既に説明した通り、LMP番地には、主体的なランプ演出開始時に、ランプ演出番号が格納されている(ST44)。また、音声演出終了割込み(図12(e))でも、ランプ演出開始時、LMP番地にランプ演出番号が格納され(ST13)、ランプ演出終了まではLMP番地の値が維持される(図15のST66、図13のST28参照)。
したがって、LMP≠0の場合だけ、LMP番地に格納されているランプ演出番号に対応するパターンテーブルPTNの第0列の数値PTN(J,0)と、そのタイミングにおける回数カウンタCNTの値とが、比較される(ST61)。なお、回数カウンタCNTと行番号Jとは、LMP番地にランプ演出番号が登録された時に、ゼロに初期設定されている(図14のST45、図12のST14)。
そして、回数カウンタCNT=PTN(J,0)であれば、同一データの送信処理が所定値に達したことを意味するので、行番号Jをインクリメントして更新し、回数カウンタCNTを再度ゼロに初期設定する(ST62)。次に、更新後の行番号Jに基づいてPTN(J,0)の値を読み出し、ランプ演出の終了を意味するデータ(E)か、ランプ演出の繰返しを意味するデータ(C)が格納されているか判定する(ST63)。
ここで、ランプ演出の繰返しを意味するデータ(C)が検出されたら、行番号Jをゼロに戻して、256ビットの点灯データを出力してサブルーチン処理を終える(ST65)。なお、ランプ演出の継続を意味するE/C以外のデータが検出された場合には、行番号Jを初期設定することなく、256ビットの点灯データを出力してサブルーチン処理を終える。
一方、ステップST63の判定において、ランプ演出の終了を意味するデータ(E)が検出された場合には、行番号Jをゼロに初期設定すると共に、LMP番地のランプ演出番号をクリアする(ST66)。そして、バックアップフラグFLGの値を判定して(ST67)、もし、FLG=1であれば、中断したランプ演出を再開させるべく、BAK番地にバックアップされているランプ演出番号を、LMP番地に戻し、FLG番地をゼロクリアする(ST68)。その結果、次回以降の第2タイマ割込み処理では、LMP番地に格納されたランプ演出番号のランプ演出が実行されることになる。
次に、図16に基づいて、256ビットのビットデータの出力処理(ST65)について具体的に説明する。このデータ出力処理ST65は、シリアル通信回路SIOの送信バッファに、8ビットデータを順番に書き込むことで実現される。
すなわち、先ず、パターンテーブルPTN(J,1)〜PTN(J,256)のビットデータを1バイト毎に出力毎に、シリアル通信回路SIOの送信バッファに書き込む(ST70)。すると、シリアル通信回路SIOは、送信バッファの1バイトデータをシリアル変換して、シリアルクロックCLOCKに同期して、1ビット毎にランプ駆動回路(図5)に対して自動的に出力する。
そこで、ワンチップマイコン40のCPUは、送信バッファが空になるのを待ち(ST71)、もし送信バッファが空になれば、256ビットの全データを送信し終えたかを判定する(ST72)。ここで、送信が未完了であれば、新規の1バイトデータをシリアル通信回路SIOの送信バッファに書き込むが、256ビットのデータの送信が完了すれば、回数カウンタCNTをインクリメントして更新する(ST73)。
次に、ワンチップマイコン40のCPUは、動作制御信号ENABLEをHレベルにして、LATCHパルスを出力する(ST74〜ST75)。動作制御信号ENABLEがHレベルに変化したことによって全てのドライバDr1〜Dr16の出力端子は開放状態となって、全てのLEDランプは消灯状態となり、この消灯状態において、LATCHパルスを受けることで、各ドライバDriの内蔵シフトレジスタSRのデータが、内蔵ラッチレジスタLRに書き込まれる。そこで、動作制御信号ENABLEをLレベルに戻すことで、内蔵ラッチレジスタLRに書き込まれた新規の点灯データが、256個のLEDランプに出力される(ST76)。したがって、256個のLEDランプは、再度、駆動状態となり各ドライバDriの出力に応じた点灯状態となる。
以上、一区切りの音声演出の終了に対応してランプ演出を起動する実施例について説明したが、単に一例を説明したに過ぎず、例えば、液晶表示部23における一区切りの図柄演出の終了に対応してランプ演出を起動しても良い。
また、割込み処理によって起動されるのは、単にランプ演出に限定されず、例えば、これに代えて、或いは、これに加えて、音声演出や図柄演出を起動するのも好適である。このような構成を採れば、遊技機の開発時に、各演出の継続時間を正確に把握しなくても、第1演出→第2演出→・・・→第N2演出のような連続演出を、スムーズに連続させることができる。また、各演出の起動時に並行して他の演出を開始することもできる。
図17は、このような連続演出を実現する演出進行テーブルTBLを例示したものである。この演出進行テーブルTBLの場合には、第4列以降には、音声演出終了割込み処理により起動されるべき、音声演出とランプ演出の情報が格納されている。具体的には、従属する音声演出に関してシンプルアクセス番号が格納され、従属するランプ演出に関してランプ演出番号が格納されている。なお、シンプルアクセス番号と、ランプ演出番号とは16ビットデータの適宜なビット位置に配置されている。
図17の演出進行テーブルTBLから明らかな通り、この実施例では、”ビロ〜ン”の音声演出が完了すると同時に、No.6の音声演出とLLLのランプ演出とが正確に同期して開始される。そして、No.6の音声演出が完了すると同時に、No.7の音声演出とNNNのランプ演出とが正確に同期して開始される。また、No.7の音声演出が完了すると同時に、PPPのランプ演出が開始される。
図18は、図17の演出進行テーブルTBLに対応する演出進行処理を示すフローチャートである。ステップST40〜ST49までは図14の場合と同じである。但し、ステップST49の処理に続いて、この実施例では、演出進行テーブルTBLの列変数Kを4に初期設定し、VOICE領域のポインタ変数PTをゼロに初期設定する(ST500)。図示の通り、VOICE番地以降に適当個数の記憶領域が確保されており、初期状態ではゼロが記憶されている。また、VOICE番地の一つ上位アドレス位置にBUFF番地が存在する。
ステップST500の初期処理が終われば、次にTBL(I,K)の値がゼロか否か判定される(ST510)。ここで、TBL(I,K)=0の場合には、割込み処理によって従属的に実行される演出が存在しないことを意味するので、ステップST52〜54の処理を実行する。その内容は、図14の場合と同じである。
一方、TBL(I,K)≠0の場合には、割込み処理によって従属的に実行される演出が存在することになるので、TBL(I,K)の値をポインタ変数PTで規定されるVOICE(PT)番地に格納する(ST520)。そして、変数K,PTをインクリメントしてステップST510に戻る。その結果、演出進行テーブルTBLの第4列以降に格納されているシンプルアクセス番号と、ランプ演出番号とがVOICE番地以降に順番に格納されることになる。
図19は、図17の演出進行テーブルTBLに対応する音声演出終了割込み処理を示すフローチャートである。なお、ステップST11以下の処理は、図12(e)の場合と同じである。
音声再生出力回路42からの割込みが生じると、先ず、VOICE番地がチェックされ(ST100)、もしVOICE=0であれば、異常割込みであると判断して処理を終える。
一方、VOICE≠0であれば、VOICE番地以降のデータであって、ゼロでない一群のデータを、一つ上位のアドレス位置に移動させる(ST110)。その結果、それまでVOICE番地に格納されていたデータは、BUFF番地に格納されることになる。
そこで、BUFF番地のデータをチェックして、音声演出用のシンプルアクセス番号が検出されたら、これを音声再生出力回路42の専用レジスタに書き込む(ST120)。先に説明した通り、ンプルアクセス番号と、ランプ演出番号とはBUFF番地の16ビットデータの適宜なビット位置に配置されている。
次に、BUFF番地のデータからランプ演出用のランプ演出番号が検出されるか否かを判定し、もし検出されたら、図12の場合と同様に、ステップST11〜ST15の処理を実行する。
本実施例では、音声演出終了割込み時に、音声演出を開始させるので、連続する音声演出を円滑に実行することができる。しかも、音声演出の開始時に正確に同期してランプ演出を実行することもできる。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。特に、割込み信号は、必ずしも、一区切りの音声演出の終了時に発生させることに限定されない。例えば、各音声演出を実際に開始するまでの遅延時間を規定する遅延タイマを設け、この遅延タイマのタイムアップ時に、割込み信号を発生させても良い。遅延時間は、例えば、上流側と下流側のコンピュータ回路の動作開始までの時間調整などに活用されるが、このような構成を採れば、遅延タイマの設定値に拘わらず、複数の演出動作を正確に同期させて開始することができる。