以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の上部左右位置と下側には、全3個のスピーカが配置されている。上部に配置された2個のスピーカは、各々、左右チャンネルR,Lの音声を出力し、下側のスピーカは重低音を出力するよう構成されている。
また、ガラス扉6の下方には、遊技者による演出音の音量調整が可能な音量スイッチVSWが配置されている。この音量スイッチVSWは、左右に+接点と−接点を有する方向キーであって、10段階(MIN〜MAX)の音量調整を可能にしている。この音量調整のための操作は、音声演出が実行されていない演出待機中に限り許可されるが、音量スイッチVSWの操作に対応して、確認演出音が出力されると共に、その設定レベルが表示画面に表示されるようになっている。
本実施例において、各スピーカから出力される音量は、一次ボリュームV1と、二次ボリュームV2と、トータルボリュームTVの総合値(V1*V2*TV)で、三段階に規定されるが、遊技者が規定する音量スイッチVSWの設定値は、最終段階のトータルボリューム値TVに反映される(図6参照)。
ここで、一次ボリューム値V1は、適切な音声演出を実現するべくソフトウェア設定され、二次ボリューム値V2は、通常時は、固定的な規定レベルに設定されている。但し、重大な異常事態の検出時には、異常報知音が最大レベルとなる一方、他の演出音が最低レベルになるよう制御されている。なお、これらの点については、詳細に後述する。
ところで、遊技者が、設定した音量設定値(トータルボリューム値TV)は、遊技者が遊技機を離れたと思われるタイミングでは、設定スイッチSET(図3参照)による係員設定値に戻される。また、例え、遊技中であっても重大な異常事態が検出された場合には、音量スイッチVSWの操作量に拘わらず、トータルボリューム値TVと二次ボリューム値V2とが最大レベルとなることで、異常報知音が大音量で出力されるので、無音状態で違法行為を継続することはできない。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOには、大型の液晶カラーディスプレイ(LCD)で構成された表示装置DSが配置されている。
表示装置DSは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DSは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19とを有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されることがあり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、適宜な予告演出などが実行される。
遊技球が落下移動する遊技領域には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、及び、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。そして、遊技球が図柄始動口15を通過すると、遊技球が入賞したとして、特別図柄表示部Da〜Dcで特別図柄の変動動作を伴う一連の画像演出が開始される。また、この画像演出に対応して、背景音楽や演出音を伴う音声演出や、ランプが点滅するランプ演出が実行される。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部17の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで、開閉爪15aが開放されるようになっている。
なお、普通図柄表示部19は、普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止する。
大入賞口16は、前後方向に進退する開閉板16aを有して構成されている。大入賞口16の動作は、特に限定されないが、典型的な大当り状態では、大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1、ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27と画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板32を経由して、払出制御基板24に伝送される。制御コマンドCMD,CMD’,CMD”は、何れも16ビット長であるが、主制御基板21や払出制御基板24が関係する制御コマンドは、8ビット長毎に2回に分けてパラレル送信されている。一方、演出制御基板22から画像制御基板23に伝送される制御コマンドCMD’は、16ビット長をまとめてパラレル伝送されている。そのため、可動予告演出を含む予告演出を、多様化して多数の制御コマンドを連続的に送受信するような場合でも、迅速にその処理を終えることができ、他の制御動作に支障を与えない。
ところで、本実施例では、演出インタフェイス基板27と演出制御基板22とは、配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されて二枚の回路基板が積層されている。同様に、画像インタフェイス基板28と画像制御基板23についても、配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されて二枚の回路基板が積層されている。そのため、各電子回路の回路構成を複雑高度化しても基板全体の収納空間を最小化できると共に、接続ラインを最短化することで耐ノイズ性を高めることができる。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24とインタフェイス基板27〜28に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22’、画像制御部23’、及び払出制御部24と言うことがある。すなわち、この実施例では、演出制御基板22と演出インタフェイス基板27とで演出制御部22’を構成し、画像制御基板23と画像インタフェイス基板28とで画像制御部23’を構成している。なお、演出制御部22’、画像制御部23’、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
また、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板35と、ランプ駆動基板36とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
ランプ駆動基板36には、複数のLEDが接続されており、これらのLED群を駆動する駆動データSDATAは、シリアル信号として、演出制御基板22→演出インタフェイス基板27→枠中継基板34→枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36に搭載された複数のLEDドライバに伝送されている。
遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23が、表示装置DSやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板32に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板33に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。
また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
ところで、本実施例のシステムリセット信号は、交流電源に基づく直流電源によって生成されている。そのため、交流電源の投入(通常は電源スイッチのON)を検知してHレベルに増加した後は、直流電源電圧が異常レベルまで低下しない限り、Hレベルを維持する。したがって、直流電源電圧が維持された状態で、交流電源が瞬停状態となっても、システムリセット信号SYSがCPUをリセットすることはない。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源の瞬停状態でも出力される。
主基板中継基板32は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びDC5V,DC12V,DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板33は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22’と画像制御部23’に出力している。
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって演出制御部22’と画像制御部23’のワンチップマイコンは、その他のIC素子と共に電源リセットされるようになっている。
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部24には、供給されておらず、各々の回路基板21,24のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。そのため、例えば、接続コネクタC2がガタついたり、或いは、配線ケーブルにノイズが重畳しても、主制御部21や払出制御部24のCPUが異常リセットされるおそれはない。演出制御部22’と画像制御部23’は、主制御部21からの制御コマンドに基づいて、従属的に演出動作を実行することから、回路構成の複雑化を回避するために、電源基板20から出力されるシステムリセット信号SYSを利用している。
ところで、主制御部21や払出制御部24に設けられたリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,24のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
主制御部21及び払出制御部24は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
図3に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板32を経由して、払出制御部24に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部24からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部24の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板31を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動式チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から配電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。また、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベル又はCMOSレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
先に説明した通り、演出制御基板22と演出インタフェイス基板27とはコネクタ連結によって一体化されており、演出制御部22’は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から各レベルの直流電圧(5V,12V,32V)と、システムリセット信号SYSを受けている(図3及び図4参照)。また、演出制御部22’は、コマンド中継基板26を経由して、主制御部21から制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受けている(図3及び図4参照)。
そして、演出制御部22’は、演出インタフェイス基板27を経由して、ランプ駆動基板29やランプ駆動基板30に搭載されたLEDドライバに、ランプ駆動データSDATA(シリアル信号)を供給している。特に限定されるものではないが、ランプ駆動基板29,30に搭載されているLEDドライバは、ランプ駆動基板36に搭載されたLEDドライバと同一構成である。
また、本実施例では同じLEDドライバを使用してステッピングモータを駆動しており、破線に示すように、ランプ駆動基板30を経由して、演出モータ群M1〜Mnを駆動している。この場合、モータ駆動データは、ランプ駆動データと同様のシリアル信号であり、演出内容を豊富化するべく演出モータ個数を増やしても、配線ケーブルが増加することがなく、機器構成が簡素化される。
図3及び図4に示す通り、演出制御部22’は、画像制御部23’に対して、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’と、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSと、2種類の直流電圧(12V,5V)とを出力している。
そして、画像制御部23’では、制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動して各種の画像演出を実行している。表示装置DSは、LEDバックライトによって発光しており、画像インタフェイス基板28から5対のLVDS(低電圧差動伝送Low voltage differential signaling)信号と、バックライト電源電圧(12V)とを受けて駆動されている(図4参照)。
続いて、上記した演出制御部22’と画像制御部23’の構成を更に詳細に説明する。図4に示す通り、演出インタフェイス基板27は、係員が操作する設定スイッチSETから4ビット長のスイッチ信号を受けている。ここで、設定スイッチSETは、遊技盤5の裏側に配置されて、必要時に操作される盤側部材である。図3や図4に示す通り、設定スイッチSETは、枠側部材である音量スイッチVSW(図1参照)とは別に配置されている。そして、係員が設定スイッチSETを操作すると、遊技者が設定していた音量スイッチVSWの設定値は無効となる。但し、その後、遊技者によって設定された音量スイッチVSWの設定値は、重大な異常事態の発生時を除いて有効となる。
また、演出インタフェイス基板27は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から3種類の直流電圧(5V,12V,32V)を受けている。ここで、直流電圧5Vは、デジタル論理回路の電源電圧として、演出インタフェイス基板27、ランプ駆動基板29、ランプ駆動基板30、画像インタフェイス基板28、及び画像制御基板23に配電されて各デジタル回路を動作させている。
但し、演出制御基板22には、直流電圧5Vが配電されておらず、12VからDC/DCコンバータで降圧された直流電圧3.3Vと、3.3VからDC/DCコンバータで更に降圧された直流電圧1.8Vだけが、演出インタフェイス基板27から演出制御基板22に配電されている。
このように、本実施例の演出制御基板22は、全ての回路が、電源電圧3.3V又はそれ以下の電源電圧で駆動されているので、電源電圧を5Vで動作する場合と比較して大幅に低電力化することができ、仮に、演出制御基板22の直上に演出インタフェイス基板27を配置して積層しても放熱上の問題が生じない。
但し、電源基板20から受けた直流電圧12Vは、そのままデジタルアンプ46の電源電圧として使用されると共に、ランプ駆動基板30とランプ駆動基板29に配電されて各ランプ群の電源電圧となる。また、直流電圧32Vは、演出インタフェイス基板のDC/DCコンバータにおいて直流電圧13Vに降圧されて、必要に応じて、演出モータM1〜Mnの駆動電源として使用される。
図4に示すように、演出制御部22’は、音声演出・ランプ演出・演出可動体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するフラッシュメモリ(flash memory)41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声合成回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声メモリ43と、クリアパルスが途絶えるとワンチップマイコン40を強制的にクリアするウォッチドッグタイマWDTと、を備えて構成されている。
圧縮音声データは、11ビット長のフレーズ番号(000H〜7FFH)で特定されるフレーズ(phrase)圧縮データであり、具体的には、一連の背景音楽の一曲分(BGM)や、ひと纏まりの演出音(予告音)などが、各々、フレーズ番号に対応して記憶されている。
本実施例では、音声メモリ43に記憶されているBGM音や演出音の音声データ(原音)は、これを再生すると最大音量の音声信号となる態様で記憶されている。そのため、一次ボリュームV1、二次ボリュームV2、及びトータルボリュームTVで規定されるボリューム値は、本実施例では、原音の音量に対する減衰率を意味することになる。
本実施例の場合、一次ボリュームV1、二次ボリュームV2、及びトータルボリュームTVのボリューム値Xは、最小値MINから最大値MAXまで、例えば、MIN=0〜MAX=128の範囲内の数値であるが、ボリューム値Xは、実際には、X/MAXの減衰率を意味する。したがって、例えば、X=MAX/2の場合、増幅率は、1/2であって、原音が6dB(=20Log1/2)だけ減衰されて再現されることになる。逆に、全てのボリューム値(V1,V2,TX)が、最大レベルMAXの場合に、原音レベルの音量が再生されることになる。
このように本実施例では、最大音量の原音を音声メモリ43に記憶し、その減衰率を適宜に制御する構成を採るので、原音のダイナミックレンジが如何に広く、且つ、ボリューム値が如何に高くても、再現される音声信号の上下限が飽和レベルになるなど、再生音の波形が訛るおそれがなく、クリアな音声が再現される。
ワンチップマイコン40、フラッシュメモリ41、及び音声メモリ43は、電源電圧3.3Vで動作しており、また、音声合成回路42は、電源電圧3.3V及び電源電圧1.8Vで動作しており大幅な省電力化が実現されている。ここで、1.8Vは、音声合成回路のコンピュータ・コア部の電源電圧であり、3.3Vは、I/O部の電源電圧である。
ワンチップマイコン40には、複数のパラレル入出力ポートPIO(Pi+Pi’+Po+Po’)と、複数のシリアル出力ポートSIとが内蔵されている。シリアル出力ポートSIは、より詳細には、3チャンネルのシリアルポート(S0〜S2)を含んで構成されており、ランプ駆動基板36、29、30に搭載された複数個のLEDドライバに、各々、シリアル駆動データSDATA0〜SDATA2を、クロック信号CK0〜CK2に同期して出力している。
すなわち、シリアルポートS0〜シリアルポートS2は、クロック同期方式に基づいて、対応するランプ駆動基板36、29、30に、シリアル駆動データSDATA0〜SDATA2を伝送している。なお、シリアル駆動データSDATA0〜SDATA2は、その殆どが、各LEDの発光輝度をPWM制御(pulse width modulation)によって輝度調整するため輝度データ(ランプ駆動データ)であるが、演出モータM1〜Mnを駆動するモータ駆動データも含まれている。
図示の通り、ランプ駆動基板36、29、30は、パラレル入出力ポートPIOのパラレル出力ポートPo’にも接続されており、各ランプ駆動基板36、29、30に搭載されたLEDドライバは、パラレル出力ポートPo’が出力する3ビット長の動作許可信号ENABLE0〜ENABLE2の何れかに基づいて動作を開始している。また、出力ポートPo’からは、デジタルアンプ46の出力を無音化するためのMUTE信号が出力されている。このMUTE信号は、例えば、動作が不安定となる可能性のある電源投入時や、音声合成回路42の異常動作が検出された場合などに使用される。
一方、パラレル入出力ポートPIOの入力ポートPiには、主制御部21からの制御コマンドCMD及びストローブ信号STBが入力され、コマンド出力ポートPoからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’が出力されるよう構成されている。
具体的には、入力ポートPiには、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インタフェイス基板27のバッファ44において、電源電圧3.3Vに対応する論理レベルに変換されて8ビット単位で供給される。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子に供給され、受信割込み処理によって、演出制御部22’は、制御コマンドCMDを取得するよう構成されている。
また、パラレルポートPi’には、係員が音量を設定するべく操作する設定スイッチSETからのスイッチ信号が演出インタフェイス基板27を経由して供給されている。設定スイッチSETのスイッチ信号は、電源投入時に、そのレベルが判定されて初期状態の音量設定値が決定される。そして、その後も定時的に設定スイッチSETの設定位置が判定され、もし、初期状態から変化があれば、その時のスイッチ信号のレベルに応じた音量設定値となる。
ただし、ここで設定される音量は、通常の演出動作時に反映されるに過ぎず、重大な異常事態の発生時には、音量設定値には拘わらず最大音量による異常報知が実行されることは先に説明した通りである。
ところで、演出制御部22’が取得する制御コマンドCMDには、(1)異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)や、図柄種別を指定する制御コマンド(図柄指定コマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当たり抽選における当否結果とが含まれている。
また、図柄指定コマンドには、大当たり抽選の結果に応じて、大当たりの場合には、大当たり種別に関する情報(15R確変、2R確変、15R通常、2R通常など)を特定する情報が含まれ、ハズレの場合には、ハズレを特定する情報が含まれている。変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22’では、変動パターンコマンドを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、画像制御部23’に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した画像演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。
このような演出動作に同期した画像演出を実現するため、演出制御部22’は、コマンド出力ポートPoを通して、画像制御部23’に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、16ビット長の制御コマンドCMD’を演出インタフェイス基板27に向けて出力している。なお、演出制御部22’は、図柄指定コマンドや、表示装置DSに関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、16ビット長に纏めた状態で、割込み信号STB’と共に演出インタフェイス基板27に向けて出力している。
上記した演出制御基板22の構成に対応して、演出インタフェイス基板27には出力バッファ45が設けられており、16ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を画像インタフェイス基板28に出力している。そして、これらのデータCMD’,STB’は、画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送される。
また、演出インタフェイス基板27には、音声合成回路42から出力される音声信号を受けるデジタルアンプ46が配置されている。先に説明した通り、音声合成回路42は、3.3Vと1.8Vの電源電圧で動作しており、また、デジタルアンプ46は、電源電圧12VでD級増幅動作しており、消費電力を抑制しつつ大音量の音声演出を可能にしている。
そして、デジタルアンプ46の出力によって、遊技機上部の左右スピーカと、遊技機下部のスピーカとを駆動している。そのため、音声合成回路42は、3チャンネルの音声信号を生成する必要があり、これをパラレル伝送すると、音声合成回路42とデジタルアンプ46との配線が複雑化する。
そこで、本実施例では、音質の劣化を防止すると共に、配線の複雑化を回避するため、音声合成回路42とデジタルアンプ46との間は、4本の信号線で接続されており、具体的には、転送クロック信号SCLKと、チャンネル制御信号LRCLKと、2ビット長のシリアル信号SD0,SD1との合計4ビットの信号線に抑制されている。なお、何れの信号も、その振幅レベルは3.3Vである。
また、演出インタフェイス基板27には、ワンチップマイコン40のパラレル出力ポートPo’や、シリアルポートSIや出力される各種の信号を伝送する出力バッファ回路47,48,49が設けられている。ここで、出力バッファ47は、第0チャンネルのLED群に関連しており、ワンチップマイコン40が出力するランプ駆動データSDATA0、クロック信号CK0、及び、動作許可信号ENABLE0を、枠中継基板34に出力している。そして、出力された3ビットの信号は、枠中継基板34、及び、枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36のLEDドライバに伝送される。
同様に、出力バッファ48は、ワンチップマイコン40が出力するランプ駆動データSDATA1、クロック信号CK1、及び、動作許可信号ENABLE1をランプ駆動基板29のLEDドライバに伝送しており、出力バッファ49は、ランプ駆動データSDATA2、クロック信号CK2、及び、動作許可信号ENABLE2をランプ駆動基板30のLEDドライバに伝送している。なお、ランプ駆動基板29のLEDドライバは、第1チャンネルのLED群を駆動し、ランプ駆動基板30のLEDドライバは、第2チャンネルのLED群と、演出モータM1〜Mnとを駆動している。
図5(a)は、音声合成回路42の概略内部構成と、ワンチップマイコン40(ホストCPU)と、音声メモリ43と、デジタルアンプ46との接続関係を図示したものである。また、図6は、音声合成回路の内部構成をより詳細に図示したものである。先に説明した通り、音声メモリ43には、一連の背景音楽の一曲分(BGM)や、ひと纏まりの予告音などの演出音が、各々、フレーズ番号に対応してフレーズ圧縮データとして記憶されている。
図5(a)に示す通り、音声合成回路42は、ホストCPU40からアクセスされる多数の制御レジスタ51と、音声再生動作を統括的に制御するサウンドコントロールモジュール52と、音声メモリ43から読み出されたフレーズ圧縮データをデコード(decode)すると共に、複数のフレーズ再生チャンネルCH0〜CH15のデコードデータを適宜な音量比率で混合させるメインジェネレータ53と、デジタルフィルタ処理によって所望の周波数特性を実現するイコライザ機能や入出力ゲイン特性を変化させるコンプレッサ機能を実現するエフェクト部54と、最終音量を規定するトータルボリュームTVと、シリアル伝送用の4種類の信号SCLK,LRCLK,SD0,SD1を生成するデジタルIF部55と、を備えて構成されている。
図5(b)や図6に示す通り、メインジェネレータ53は、独立してデコード処理が可能な16個のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH15)に区分されたデコーダ60と、一次ボリュームV1、二次ボリュームV2、及び、パンポット部を有して音声ボリュームや音量バランスを調整可能なチャンネルボリュームと、16個のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH15)の音声を混合するチャンネルミックス部61と、を有して構成されている。
図6に示す通り、フレーズ再生チャンネル(CH0〜CH15)毎に、L0信号、R0信号、R1信号、及び、L1信号が出力されるが、これら4種類(合計16×4個)の信号は、チャンネルミックス部61で混合されて、混合L0信号、混合R0信号、混合R1信号、及び、混合L1信号として出力される。
ここで、混合L0信号は、最終的に上部左側のスピーカに供給され、混合R0信号は、最終的に上部右側のスピーカに供給され、混合R1信号と混合L1信号は、最終的に、下部スピーカに供給される。なお、この段階では、各信号(L0,R0,R1,L1)は、何れもデジタルデータである。
音声合成回路42の制御レジスタ51は、音声合成回路42を意図した通りに機能させるために、ホストCPU40がWrite 処理する書込みレジスタと、音声合成回路42の動作状態を把握するために、ホストCPU40がRead処理する読出しレジスタと、に区分されている。
書込みレジスタへの書込みデータには、(1)再生すべきBGM音や演出音を特定するフレーズ番号、(2)その再生音のボリューム(V1,V2)指示、(3)再生回数を規定するループ指示、(4)再生開始や一時停止などの動作指示、(5)再生開始時や再生終了時などの音量遷移態様の指示、(6)上下スピーカや左右スピーカの音量バランスであるパンポットの指示、(7)最終的なボリューム(TV)指示などが含まれている。
ここで、(1)フレーズ番号の指定、(2)ボリューム(V1/V2)指示、(3)ループ指示、(4)動作指示、(5)音声遷移態様の指示、及び(6)パンポット指示は、全て、デコーダ60のフレーズ再生チャンネルCH0〜CH15を指定して行われるよう構成されている。そのため、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH15に対応して、最高16種類のフレーズ圧縮データが、各々、上記の指示(1)〜(6)に基づいて独立して再生され、チャンネルミックス部61でミキシングされて出力されることになる。
なお、音声遷移態様には、音声出力時のフェーズイン(phase in)速度や、音声停止時のフェーズアウト(phase out )速度や、上下左右方向のパンポット(Pan pot )を変化させる場合のパン速度が含まれ、対応する制御レジスタに、所定の動作パラメータ(ボリューム遷移量)を書込むことで各遷移態様が実現される。
ボリューム遷移量は、本実施例の場合、ボリューム指示(ボリューム値)に対応して規定されるので、一次ボリュームV1、二次ボリュームV2、及びトータルボリュームTVに対して有効となる。ボリューム遷移量は、具体的には、指示されたボリューム値に至るまでの遷移ステップ数と、1ステップでの遷移量を規定しているが、ボリューム遷移量=0は、現在のボリューム値から指示されたボリューム値へ、直ちに移行することを意味する。
ところで、サウンドコントロールモジュール52は、制御レジスタ51に書込まれたホストCPU40からの個々の指示に基づいて、指示毎に装置各部を機能させるが、ホストCPU40の制御動作を簡素化するべく、本実施例の音声合成回路42には、シンプルアクセス機能やシーケンサ機能が設けられている。ここで、シンプルアクセスとは、外部メモリ(具体的には音声メモリ43)に予め登録しておいた複数のコマンド(指示列)を、1つのコマンドで実行可能な機能であり、シーケンサとは、フレーズ再生やボリューム/パンの機能を、音声メモリ43に予め登録しておいた手順にしたがって実現する自動演奏機能を意味する。
本実施例では、必要に応じて、上記したシンプルアクセス機能やシーケンサ機能を活用するが、メインジェネレータ53の動作としては、これらの機能を活用した場合も、活用しない場合も基本的に同じである。そこで、便宜上、以下の説明では、ホストCPU40は、シンプルアクセス機能やシーケンサ機能を使用することなく、個々的に音声合成回路42を制御することにする。
先に説明した通り、メインジェネレータ53は、複数のフレーズ再生チャンネルに区分されたデコーダ60と、一次ボリューム部V1と二次ボリューム部V2を有するチャンネルボリュームと、を有して構成されている(図6参照)。そこで、このような構成に対応して、本実施例のホストCPU40は、BGM音の再生には、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH1のデコーダを使用し、演出音の再生には、13個のフレーズ再生チャンネルCH2〜CH14の何れか空き状態のデコーダを使用し、重大な異常事態の発生を報知する音声報知には、フレーズ再生チャンネルCH15のデコーダを使用するようにしている。
そして、音声演出を実現するフレーズ再生チャンネルCH0〜CH14の一次ボリュームV1の音量バランスを適宜に設定することで、効果的な音声演出を実現している。具体的には、演出音の出力時には、BGM音の音量を抑制することで、演出音の聞き漏らしを防止している。本実施例において、演出音とは、例えば、一連の変動動作中に大当り状態に移行する可能性があることを所定の信頼度(≦100%)で予告する予告音であり、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH14の一次ボリュームV1の音量バランスを適宜に設定することで、遊技者にとって重要な予告音が、大音量のBGM音に隠れてしまうおそれが解消される。
また、通常時は、使用中のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)の二次ボリュームV2を規定値に維持し、重大な異常事態の発生時には、フレーズ再生チャンネルCH15の二次ボリュームV2を最大レベルにする一方で、その他の全ての使用中のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)の二次ボリュームV2を最小レベルに変更している。そのため突発的に発生する異常時には、それまでの音声演出の進行を継続させた状態で、異常報知動作が実現される。なお、異常回復後は、音声演出を実行しているフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)の二次ボリュームV2を全て規定値に戻すので、それまで無音状態で進行していた音声演出が、適宜な音量で復活することになる。
本実施例では、13個のフレーズ再生チャンネルCH2〜CH14は、より詳細には、ホストCPU40が、一次ボリュームV1を相対的に高位レベルに設定する高位チャンネル(CH2〜CH9)と、一次ボリュームV1を相対的に低位レベルに設定する低位チャンネル(CH10〜CH14)とに区分されている。
そして、高位チャンネルと低位チャンネルとが重複して使用される演出タイミングでは、高位チャンネルで再生される演出音は、低位チャンネルで再生される演出音より、やや大音量となるようホストCPU40が制御している。具体的には、対応するフレーズ再生チャンネルに関する一次ボリュームV1用の制御レジスタ51に適宜な音量パラメータを設定している。
そのため、例えば、信頼度が高い予告音を高位チャンネル(CH2〜CH9)で再生することで、遊技者の聞き漏らしを防止することができる。逆に、信頼度が高い予告音を、あえて、低位チャンネル(CH10〜CH14)で再生することで、遊技者の緊張感を喚起するのも好適である。何れにしても、本実施例では、複数の演出音を、異なる音量比で同時に再生することで、音声演出のバリエーションを豊富化することができる。
また、本実施例では、フレーズ再生チャンネル毎に上下パンポットの設定が可能であるので、ホストCPU40は、上側スピーカと下側スピーカとの位置関係に基づいて、上側スピーカの方がやや大音量となるよう、全てのフレーズ再生チャンネルについて音量バランスを設定している。具体的には、全てのフレーズ再生チャンネルについて、上下パンポット設定を適宜な音量比とするべく、上下パンポット用の制御レジスタに適宜な動作パラメータを書込んでいる。
また、本実施例では、フレーズ再生チャンネル毎に左右パンポットの設定が可能であるので、ホストCPU40は、予告演出の一環として、フレーズ再生チャンネルCH2〜CH14の再生音について、時として、L0信号とR0信号の音量バランスを相違させている。この場合、上部左右のスピーカから聞こえる予告音を、例えば、左から右に移動させたり(右方向にパン)、逆に、右から左に移動させたりすることができる(左方向にパン)。なお、パン速度は、ホストCPU40が、L0信号とR0信号に関する左右パンポット用の制御レジスタ51に書込む音声遷移用の動作パラメータで規定される。
なお、本実施例では、L1信号とR1信号は、単一のスピーカ(下部スピーカ)に供給されるので音量バランスは同一に設定される。
図6に示すように、チャンネルミックス61の出力信号(混合L0,混合R0,混合L1,混合R1)は、エフェクト部54において、制御レジスタ51に規定された動作パラメータに基づくデジタルフィルタ処理がされた後、トータルボリューム部TVに供給される。
ここで、トータルボリューム値TVは、対応する制御レジスタ51に書込まれる動作パラメータで規定されるが、この動作パラメータは、本実施例では、原則として、係員が操作する設定スイッチSET(図3)に基づいて規定される。但し、遊技者が遊技動作中(但し、音声演出待機中)に、音量スイッチVSW(図1)を操作した場合には、その設定値に基づいてトータルボリュームTVが規定される。
概念的に説明すると、各スピーカから出力される音声信号の音量は、ホストCPUが規定する一次ボリュームV1及び二次ボリュームV2の積と、遊技者の意図に基づくトータルボリュームTVとの積で規定されるので、全ての音声演出は、遊技者の意図する音量で実現されることになる。
但し、重大な異常事態の検出時には、係員や遊技者の意図に拘わらず、二次ボリュームV2とトータルボリュームTVが最高レベルとなるので、違法行為時の警報音(異常報知音)を、音量スイッチVSWの操作で隠蔽することはできない。
このような意義を有するトータルボリューム部TVを経過した音声信号(PCMデータ)混合L0,混合R0,混合L1,混合R1は、出力バッファBUFに格納され、デジタルIF部55に基づいて2種類のシリアル信号SD0,SD1に変換される。ここで、シリアル信号SD0は、遊技機上部に配置された左右スピーカを駆動するステレオ信号R,Lに関するPCMデータを特定するシリアル信号であり、シリアル信号SD1は、遊技機下部に配置された重低音スピーカを駆動するモノラル信号に関するPCMデータと特定するシリアル信号である。
そして、これらのシリアル信号SD0,SD1は、ビットクロック信号BCOに同期してデジタルIF部55から出力される。また、デジタルIF部55からは、ワードクロック信号LR0が出力されて、現在送信中のシリアル信号SD0,SD1の内容が、左側信号L0,L1であるか、右側信号R0,R1であるかが特定されるようになっている。
図6や、図5(b)に示す通り、これらの信号SD0,SD1,BCO,LR0は、デジタルアンプ46に伝送されるが、例えば、YDA171(YAMAHA)のデジタルアンプ46を使用すると仮定して評価すると、ビットクロック信号BCOは、シリアルクロックSCLKを意味し、ワードクロック信号LR0は、チャンネル制御信号LRCLKを意味することになる。
この場合における音声合成回路42の動作は、図5(b)に示す通りであり、ワードクロック信号LR0(チャンネル制御信号LRCLK)をLレベルに維持した状態で、左チャンネルの音声信号L0,L1を伝送し、ワードクロック信号LR0(チャンネル制御信号LRCLK)をHレベルに維持した状態で、右チャンネルの音声信号R0,R1を伝送する。なお、下部スピーカは本実施例では1個であるので、左右チャンネルの信号R1,L1は同一であり、同一のスピーカに共通して供給される。
このように本実施例では、4種類の音声信号R0,R1,L0,L1を4本のケーブルで伝送可能であるので、最小のケーブル本数によってノイズによる音声劣化のない信号伝達が可能となる。すなわち、シリアル伝送であるのでパラレル伝送より圧倒的にケーブル本数が少ない。先に説明した通り、各信号SCLK,LRCLK,SD0,SD1の電圧レベルは3.3Vであるが、本実施例のようなシリアル伝送ではなく、アナログ伝送を採る場合には、ケーブル本数は同数であるが、3.3V振幅のアナログ信号に、少なからずノイズが重畳して、音質が大幅に劣化する。一方、振幅レベルを上げると、電源配線が複雑化する上に消費電力が増加する。
このようなシリアル信号SD0,SD1は、ビットクロック信号BCO(シリアルクロック信号SCLK)の立上りエッジに同期して、デジタルアンプ46に取得される。そして、デジタルアンプ46内部で、所定ビット長毎にパラレル変換され、DA変換後にD級増幅されて各スピーカに供給されている。
デジタルアンプ46の内部構成は適宜であるが、図7は、デジタルアンプとしてYDA171(YAMAHA)を使用した場合の内部構成図を示している。このような内部構成に限定されないが、何れにしても、本実施例では、音声合成回路42とデジタルアンプ46とをシリアル回線で接続するので、PCMデータ(音声データ)のビット長を如何に増やして高音質化を実現しても配線ケーブルその他を変更する必要がなく、回路構成の簡素化を維持することができる。
続いて、音声演出動作や音声報知動作に関して、演出制御部22’の動作を説明する。図8は、演出制御部22’の動作内容を説明するフローチャートであり、ワンチップマイコン40のCPUによって実行される。演出制御部22’の動作は、CPUリセット後に無限ループ状に実行されるメインループ処理(図8(a))と、1mS毎に起動されるタイマ割込み処理(図8(b))と、主制御部が送信する制御コマンドを受信する受信割込み処理(不図示)と、を含んで実現される。
そこで、まず、図8(b)に示すタイマ割込み処理から説明する。タイマ割込み処理では、最初に、設定スイッチSET、音量スイッチVSWを含む各種のスイッチ信号を取得し、各スイッチ信号のレベルを記憶すると共に、立上りエッジや立下りエッジが検出された場合には、その旨を記憶する(ST30)。なお、設定スイッチSETは、4ビット長のスイッチ信号であり、その全ビットのレベル値が記憶される。
図9(a)は、図8(b)に示すスイッチ入力処理(ST30)の具体的動作を詳細に図示したものである。図示の通り、スイッチ入力処理(ST30)では、1mS毎に、スイッチ信号のレベル情報をRAMのスイッチレベルNEW領域からスイッチレベルOLD領域にコピーすると共に、スイッチレベルNEW領域と、スイッチレベルOLD領域のデータを対比することで、ONエッジとOFFエッジを検出して、対応する記憶領域に記憶する(ST80,ST81)。
次に、音量スイッチVSWについて立下りエッジ(OFFエッジ)が検出された場合には、長押しカウンタCNTをゼロクリアすると共に、閾値変数THを500に初期設定する(ST83)。ここで、長押しカウンタCNTは、音量スイッチVSWが継続してON操作されている継続時間を計測するカウンタであり、閾値変数THは、長押しカウンタCNTの値を、0.5秒毎に判定する用途で使用される。
そのため、音量スイッチVSWについて立上りエッジ(ONエッジ)が検出された場合には、長押しカウンタCNTをインクリメントする(ST84〜85)。ここで、スイッチ入力処理は、1mS毎に実行されるので、長押しカウンタCNTは、1mS毎にインクリメント更新されることになり、閾値変数THの初期値500は、長押しカウンタCNTにとっては、0.5秒を意味することになる。
ところで、音量スイッチVSWからの信号は、実際には、+接点信号と−接点信号の2ビット長であるので、独立した2つの長押しカウンタCNT+、CNT−を設けても良い。但し、実施例の音量スイッチVSWは、その構造上、同時に+接点と−接点とがON動作することはないので、図9(a)に示すように、単一の長押しカウンタCNTによって、各接点(±)の押圧継続時間を把握することができる。
上記のような内容のスイッチ入力処理(ST30)が終われば、演出モータ(ステッピングモータ)が回転駆動中である場合には、演出モータを歩進させるべく、適宜なタイミングで駆動パルスを1ステップ更新し(ST31)、更新された駆動パルスを演出モータに出力する(ST32)。また、ランプ演出などに関して、LEDランプを駆動する(ST33)。なお、LEDランプを駆動するためのランプ駆動データSDATAは、メインループ処理のステップST18の処理で、16mS毎に更新されている。
次に、送信バッファに制御コマンドが格納されている場合には、これを下流側の画像制御部23’に送信し、クリアタイミングに達すれば、ウォッチドッグタイマWDTをクリアする(ST34〜ST35)。なお、クリアタイミングは、1mSの整数倍の範囲で適宜に決定されるが、例えば、16mS間隔とされる。
次に、割込みカウンタをインクリメントすると共に、異常検出カウンタをインクリメントする(ST36〜ST37)。ここで、割込みカウンタは、メインループ処理(図7(a))を16mS毎に繰り返し実行するためのカウンタである。すなわち、メインループ処理では、最初に割込みカウンタの値を判定し(ST10)、これが16に達したタイミングで、ステップST11〜ST20の処理を実行することで、16mS間隔の繰り返し処理を実現している。
また、ステップST37の処理で更新される異常検出カウンタは、メインループ処理内でプログラムが暴走したような場合に、ウォッチドッグタイマWDTを機能させる用途で使用される。この点を具体的に説明すると、異常検出カウンタは、1mS毎にインクリメントされる一方(ST37)、メインループ処理において16mS毎にゼロクリアされるので(ST21)、通常、その値が16を超えることはない。
しかし、メインループ処理(ST10〜ST20)の途中でプログラム処理が停止すると、異常検出カウンタがクリアされることなく、1mS毎にインクリメント処理が繰り返されることになる(ST37)。このような場合には、本実施例では、異常検出カウンタの値が、所定値(例えば100)を超えたタイミングで、無限ループ処理を繰り返すので(ST38)、その後は、ウォッチドッグタイマWDTへのクリア処理(ST35)が実行されないことで、CPUが強制リセットされることになり、その結果、プログラム暴走状態のCPUを初期状態に復帰させることができる。
続いて、図8(a)に示すメインループ処理について説明する。割込みカウンタが16に達すると(ST10)、これをゼロクリアした上で(ST11)、主制御部21から受信した制御コマンドについて、コマンド解析処理を実行する(ST12)。なお、受信する制御コマンドには、異常事態の発生を示すエラーコマンドが含まれている。また、この実施例では、コマンド解析処理(ST12)において変動パターンコマンドの受信を認識した場合に、演出抽選が実行される。
次に、エラー処理を実行する(ST13)。エラー処理とは、違法行為の発生が懸念される重大な異常事態や、その他の特別事態が発生しているか否かを判定し、必要な報知動作を実行する処理である。具体的な内容は、特に限定されないが、例えば、演出制御部22’がステップST30の処理で取得するスイッチ信号や、主制御部21から送信される制御コマンド(エラーコマンド)に基づいて、重大な異常事態や特別事態の発生が判定される(ST13)。
なお、重大な異常事態としては、磁気センサ、電波センサ、振動センサの異常反応を例示することができる。また、重大な異常事態には、主制御部21のRAMがクリアされた場合や、遊技機の前枠3やガラス扉6が解放された場合も含まれる。なお、その他の特別事態としては、遊技球の供給が途絶えている場合、遊技球が詰まっている場合などが例示される。
何れにしても上記したようなエラーが検出された場合には、エアー内容に応じたエラーフラグがセットされる。そして、このエラーフラグは、その後の入力検知処理(ST14)などで参照される。
次に、図8(c)に詳細を示す入力検知処理(ST14)が実行される。入力検知処理(ST14)は、係員が操作した設定スイッチSETに対応する処理であり、まず、設定スイッチSETが操作されたか否かが判定される(ST40)。なお、設定スイッチSETからの4ビット信号は、新規の信号を取得する毎に、RAMのスイッチVOL領域に格納されることになっている。また、設定スイッチ信号は、1mS毎に取得されてRAMのスイッチレベルNEW領域に格納されるので(図9(b)参照)、スイッチレベルNEW領域と、スイッチVOL領域の記憶値を対比することで、設定スイッチが操作されたことを把握することができる。
そして、設定スイッチSETが操作された場合には、新規の設定スイッチ信号(SET値)が、スイッチVOL領域に格納され(ST41)、同じSET値が出力VOL領域にコピーされる(ST42)。ここで、出力VOL領域は、音声合成回路42のトータルボリュームTVに関する作業領域であり、その後の処理(ST45)で参照される。
ところで、この出力VOL領域のデータ(出力VOL値)は、遊技者による音量スイッチVSWの操作があれば、その操作に対応して更新されるよう構成されている。そのため、音声合成回路42のトータルボリュームTVは、係員による設定スイッチSETの操作後も、遊技者の好みに基づいて自由に変更可能となる。但し、本実施例では、後述するように、遊技機がデモ状態1を経てデモ状態2に至ると、遊技者が席を離れたと擬制して、出力VOL値を係員によるSET値に戻すので、新規の遊技者に不快感を与えることはない。
ステップST42の処理が終われば、重大な異常事態が検出されているか否かが判定される(ST43)。異常事態の発生は、演出制御部22’がステップST30の処理で受けるスイッチ信号や、主制御部21から送信される制御コマンド(エラーコマンド)に基づいて判定され、エラー処理(ST13)において、エアー内容に応じたエラーフラグがセットされている。
そして、重大な異常事態が発生している場合には、音声合成回路42のトータルボリュームTVの値を、出力VOL値に拘わらず、最大値に設定すると共に、二次ボリューム値V2をエラー報知モードに設定する(ST44)。具体的には、RAMの音声再生用の作業領域WDA(図11(b)参照)に対して、ボリューム設定用の動作パラメータが書込まれる。
図11(b)に示すように、この実施例では、音声合成回路42のフレーズ再生チャンネルCH0〜CH15に対応して、16区画された作業領域WDAが確保されており、この作業領域WDAには、(a)一連の音声情報を特定するフレーズ番号、(b)再生音量を規定するボリューム値V1/V2、(c)再生回数を規定するループ指示、(d)音量の変化スピードを規定するボリューム遷移値、及び(e)パンポット値などを、再生チャンネルCH0〜CH15毎に格納するようになっている。なお、トータルボリュームTVは、単一のトータルボリューム領域に格納される。
また、本実施例では、重大な異常事態の報知は、それ専用に確保されている再生チャンネルCH15を使用するので、エラー報知モードの二次ボリューム設定としては、再生チャンネルCH15の二次ボリューム値を最大値(MAX)にする一方、他の再生チャンネルCH0〜CH14の二次ボリューム値を最小値(=0)に設定することになる。つまり、ステップST44では、二次ボリュームV2の動作パラメータ(最大値又は最小値)を、16区画された作業領域WDAに各々書込み、最大値であるトータルボリューム値TVを該当領域に書込むことになる。
なお、書込まれた二次ボリューム値V2やトータルボリューム値TVは、音再生処理(ST17)において、音声合成回路42の制御レジスタ51に書込まれることで実効化される。
以上、重大な異常事態が発生した場合について説明したが、重大な異常事態が検出されない場合には、通常動作として、音声合成回路42のトータルボリュームTVの値を出力VOL値に設定し、通常モードの二次ボリュームV2の設定を行う。具体的には、ステップST45では、規定値(標準値)である二次ボリュームV2の動作パラメータを16区画された作業領域WDAに各々書込み、トータルボリュームとして、出力VOL値を該当領域に書込む。
このようにして、ボリューム設定に関する入力検知処理(ST14)が終われば、図10(a)に詳細を示すデモ処理が実行される(ST15)。
ところで、本実施例には、主制御部21からデモコマンドを受信して開始されるデモ状態1と、デモ状態1の終了後に開始されるデモ状態2と、その後に開始されるデモムービー状態とが設けられている。ここで、デモコマンドは、一連の変動動作が終了した後、連続して開始される変動動作が存在しない場合、つまり、演出保留状態の入賞が存在しない場合に、変動停止コマンドに続いて送信される。
そして、このようなデモコマンドを受けた演出制御部22’の動作状態は、特別図柄を停止させた状態で、それまでのBGM音を継続させるデモ状態1となる(図10(d)参照)。このデモ状態1は、この期間中に、新たな変動パターンコマンドを受けることがなく、且つ、遊技者による音量スイッチVSWの操作がない限り、30秒(最低継続時間)で終了して、デモ状態2に移行する。なお、デモ状態1の期間中、新たな変動パターンコマンドを受けた場合には、デモ状態が解消されるので、その後は、デモ処理(ST15)の実行が事実上スキップされるのは勿論である。
一方、変動パターンコマンドを受けることなく開始されたデモ状態2では、BGM音を消滅させた無音状態で、特別図柄の停止状態を維持する。このデモ状態2は、この期間中に、新たな変動パターンコマンドを受けることがなく、且つ、遊技者による音量スイッチVSWの操作がない限り、150秒(最低継続時間)で終了する(図10(d)参照)。そして、デモ状態2が終了するとデモムービー状態に移行して、表示画面DSでの画像演出(動画演出)が、ランプ演出に同期して無音状態で実行される。
但し、本実施例では、デモ状態1やデモ状態2の期間中に、遊技者が音量スイッチVSWを操作すると、デモ状態1やデモ状態2の継続時間が延長されるので、特に、デモ状態1では、BGM音を聞きながら、何回でも、その音量を適宜に設定することができる。すなわち、音量スイッチVSWを操作する毎に、継続時間は、幾らでも延長されるので、BGM音を聞きながら、満足できるまで音量設定を繰り返すことができる。
一方、デモ状態2では、BGM音が消滅するが、音量スイッチVSWを操作する毎に、継続時間が延長されると共に、設定された音量で適宜な報知音(例えば、♪ピコーン)が発せられるので、その音量に基づいて音量設定をすることができる。
このように、本実施例は、デモ状態1→デモ状態2→デモムービー状態と動作状態が移行し、その途中で、音量スイッチVSWを操作するごとに、十分な操作時間が確保された状態で、遊技者の好みに応じた音量設定が可能となる。そして、このような音量設定後に遊技を開始すれば、遊技球の入賞に対応する変動パターンコマンドの受信時にデモ状態が解消され、画像演出とランプ演出に同期した新規の音声演出が、遊技者の設定した音量で開始される。
なお、デモムービー状態が開始される場合とは、変動パターンコマンドを受けることなく変動停止から180秒以上経過し、しかも、最後のスイッチ操作から150秒以上経過していることを意味するので、遊技者が遊技機を離れている可能性が高い。そのため、本実施例では、デモムービーの開始時に、遊技者による音量設定を無効化すると共に、無音状態のデモムービーを表示している。そのため、本実施例によれば、誰も遊技していない遊技機から大音量が発せられ、周囲の遊技者に不快感を与えるようなことがない。但し、このデモムービーは、ランプ演出に同期して、90秒間隔で繰り返し実行されるので、その遊技機の遊技性を、効果的にアピールすることができる(図10(d)参照)。
以上の動作を踏まえて、デモ処理の具体的な処理内容を説明するが、それに先行して、図10(b)に示すデモコマンド受信処理について説明する。このデモコマンド受信処理は、コマンド解析処理(ST12)の一部であり、デモコマンドは、一連の変動動作が終了した後、連続して開始される変動動作が存在しない場合に、主制御部21から送信されることは前述した通りである。
デモコマンド受信処理では、最初に、遊技状態をデモ状態1に設定し(ST80)、デモタイマを30秒に初期設定する(ST81)。ここで、デモタイマは、デモ状態1や、デモ状態2の継続時間を管理するソフトウェアタイマであり、デモ処理において参照される(図10(c)参照)。
ステップST81の処理が終われば、主制御部21から受けたデモコマンドを画像制御部23’に転送するべく、送信バッファ(図10(c)参照)にデモコマンドを格納する(ST82)。なお、送信バッファに格納されたデモコマンドは、図8(b)に示すコマンド出力処理(ST34)において、画像制御部23’に伝送される。
続いて、図10(a)を参照しつつデモ処理(ST15)について説明する。デモ処理では、最初に、現在が、デモ状態(デモ状態1/デモ状態2/デモムービー状態)か否かが判定され(ST51)、いずれのデモ状態でない場合には、そのまま処理を終える。
一方、何れかのデモ状態である場合には、音量スイッチVSWが操作されたか否かが判定される(ST52)。なお、音量スイッチVSWが操作されたか否かは、図8(b)のスイッチ入力処理(ST30)において1mS毎に把握されているが、本実施例では、音量スイッチVSWが長押しされることもあることを考慮して、図9(c)に示す判定処理を実行している。
すなわち、デモ処理(ST15)では、16mS毎に、改めて音量スイッチVSWのスイッチ信号を取得し、これを過去データと対比することで、ONエッジが検出されるか否かを判定する(ST90)ここで、音量スイッチVSW信号は、+信号と−信号の2ビット長であるが、+信号と−信号が同時に変化することはないので、何れか一方のONエッジしか検出されることはない。
そして、ONエッジが検出された場合には、閾値変数THを、0.5秒を意味する500に初期設定し(ST93)、+信号と−信号の何れのONエッジであるかを特定して(*)、検出フラグDJを*1Hにセットする(ST95)。
一方、ONエッジが検出されない場合には、長押しカウンタCNTの値を閾値変数THと比較し、音量スイッチVSWの長押し時間を判定する(ST91)。そして、CNT<THの場合には、ONエッジが検出されないことを示すべく検出フラグを00Hに設定する(ST92)。
一方、TH=500の状態で、CNT≧THとなる場合は、ONエッジの検出後にONレベルが0.5秒以上継続されたことを意味する。そこで、このような場合には、閾値変数を+500して更新すると共に(ST94)、+信号と−信号の何れかを特定して(*)、検出フラグDJを*1Hにセットする(ST95)。その結果、音量スイッチVSWのONエッジが検出されたことになり、+方向又は−方向のスイッチ操作が繰り返されたと判定される。
その後の処理も同じであり、更新された閾値変数THに対して、CNT≧THとなる場合は、+方向又は−方向のスイッチ操作が繰り返されていると擬制する(ST94〜ST95)。このように、本実施例では、0.5秒以上ON操作を継続すると、ON操作が繰り返されたと擬制することで、長押しされた音量スイッチに対応して、適切な音量設定が可能となる。
以下、この点を具体的に説明する。図9(c)の処理によって、音量スイッチVSWの+接点か−接点のスイッチ操作が認められると、最初に、デモムービー中であるか否かを判定し、もしデモムービー中であれば、動作状態をデモ状態2に戻す(ST53,ST54)。そのため、例えば、遊技者が空き状態(デモムービー中)の遊技機に着席した場合、遊技開始に先立って音量スイッチVSWを操作することで、デモ状態2での音量調整をすることができる。
次に、音量スイッチVSWが操作されたことを画像制御部23’に通知するべく、送信バッファに、音量設定表示コマンドを設定する(ST55)。その結果、その後のコマンド出力処理(ST34)に基づいて音量設定表示コマンドを受けた画像制御部23’では、表示装置DSに、適宜な音量バーを表示することになる。
このように、本実施例では、音量スイッチVSWのスイッチ操作は、デモ状態の場合に限って判定されるので(ST51〜ST52)、例えば、変動動作中などに音量スイッチVSWを操作しても、そのスイッチ操作は無視されるので、音声演出が、突然、大音量となって遊技者を驚かせるなど、誤操作が問題になることはない。
次に、操作された接点が、+接点か−接点かに基づき、出力VOLが更新可能か否かを判定する(ST56)。ここで、出力VOLとは、音声合成回路42に指示するボリューム値(トータルボリュームTV)を規定する変数であり(図8(c)ST45参照)、遊技者による音量スイッチVSWの操作に対応して、MIN値からMAX値まで、例えば10段階の増減変更を可能にしている。
そして、出力VOLが、MIN<出力VOL<MAXであれば、出力VOLを適宜に更新(±1)し、更新後の出力VOLの値を画像制御部23’に伝送するべく送信バッファにVOLコマンドを格納する(ST57〜ST58)。一方、出力VOL=MAXの状態で、音量スイッチVSWの+接点が押された場合や、出力VOL=MINの状態で、音量スイッチVSWのMIN値の状態で−接点が押された場合には、限界状態で変更不能であることを表示装置DSに表示させるべく、現在の出力VOLの値に基づくVOLコマンドを送信バッファに格納する(ST58)。
また、何れの場合も、音量スイッチVSWの操作を受け付けたことを示す報知音(例えば♪ピッ)を特定するフレーズ番号を、音声再生用のワーク領域WDA(図11(b))に格納する(ST58)。なお、報知音を特定するフレーズ番号は、フレーズ再生チャンネルCH2〜CH14に対応するワーク領域WDAのうち、未使用の空き領域に格納される。
ここでワーク領域WDA(図11(b))に格納されたフレーズ番号は、出力VOLなどの値と共に、音再生処理(ST17)において読み出され、音声合成回路42の該当制御レジスタ51に書込まれる。先に説明した通り、フレーズ番号は、音声メモリ43の報知音を特定しており、音声メモリ43から読み出された圧縮データが、フレーズ再生チャンネルCH2〜CH14の何れかで再生されることで、適宜な報知音が出力される。
ステップST58の処理が終われば、続いて、デモタイマを初期設定する。デモタイマの初期値は、デモ状態1とデモ状態2とで相違しており、各々、30秒と150秒に初期設定される(ST59)。このように、本実施例では、音量スイッチVSWの操作があれば、例え、それが限界値(MIN/MAX)を超える操作であっても、デモタイマが初期設定されるので、デモ状態1/デモ状態2の終了までの猶予時間が、各々、30秒/150秒に再設定されて確実な操作時間が確保される。
次に、音量設定の表示タイマを5秒に初期設定する(ST60)。ここで、表示タイマは、表示装置DSに音量バーを継続表示させる表示時間を管理するタイマ変数である(図10(c)参照)。そして、デモタイマの初期設定に対応して、表示タイマも初期設定されるので、音量スイッチVSWの操作可能な時間には、必ず、表示装置DSに音量バーが表示されていることになる。
ステップST60の処理に続いて、表示タイマの値が判定され(ST61)、これがゼロでなければ、これをデクリメントし(ST62)、デクリメント後の表示タイマの値を判定する(ST63)。ここで、表示タイマがゼロであれば、最低5秒間の音量バーの表示時間が終了したことを意味するので、このことを画像制御部23’に通知するべく、送信バッファに、音量設定の表示消去コマンドを設定する(ST64)。その結果、その後のコマンド出力処理(ST34)に基づいて表示消去コマンドを受けた画像制御部23’では、表示装置DSの音量バーを消滅させることになる。
このような表示タイマに関する処理が終われば、現在がデモ状態1か否かが判定され、もしデモ状態1であれば、デモタイマの値がゼロか否か、すなわち、デモ状態1が最低でも30秒間継続されたか否かが判定される(ST66)。そして、デモタイマの値がゼロであれば、BGMのフェードアウト処理を実行する(ST67)。具体的には、エラー報知用のフレーズ再生チャンネルCH15を除いた全チャンネルCH0〜CH14の一次ボリュームV1を段階的に減少させるべく、必要な動作パラメータ(単位時間当りのボリューム遷移量)を、音声再生用のワーク領域WDA(図11(b))に格納する。なお、この動作パラメータは、音声再生処理(ST17)で読み出されて、音声合成回路42の該当する制御レジスタ51に書込まれることで適宜な速度のフェードアウト動作が実効化される。
ステップST67の処理が終われば、デモ状態1からデモ状態2に変化させると共に、デモタイマを150秒に初期設定してデモ処理を終える(ST68)。
そのため、次回のデモ処理(ST13)では、音量スイッチVSWの操作がない限り、ステップST51→ステップST52→ステップST61→ステップST65→ステップST69→ステップST70の経路で処理が進み、無音状態で、150秒の時間経過を待つことになる。なお、デモ状態2において、音量スイッチVSWの操作があれば、その時だけ、出力VOLのレベルで報知音が出力され、それまでの時間経過が初期状態に戻ることは前記した通りである。
いずれにしても、最後の音量スイッチVSWの操作を終えてから、150秒が経過すると、動作状態を、デモ状態2からデモムービー中に変更すると共に、スイッチVOLの値を出力VOLに書込むことで、出力VLOを初期値に戻す(ST71)。
この結果、せっかく、遊技者が設定した音量スイッチVSWの操作が無駄になるが、最後の音量スイッチVSWの操作を終えた後は遊技球の発射動作を開始する筈であり、その後、150秒もの間、遊技球の入賞がなく、変動動作が開始されないなどとくことは極めて稀であるので、事実上、何の問題がないと解される。
むしろ、最後の音量スイッチVSWの操作を終えてから、150秒もの間、遊技球の入賞がない場合は、遊技者が遊技機を離れていると思われるので、その後は、90秒を周期として、デモムービーを表示する方が合理的である(ST74,ST75,ST72,ST73参照)。
以上のデモ処理が終われば、音声演出を開始させるか、或いは、実行中の音声演出を進行させるべくシナリオ更新処理を実行し(ST16)、そのシナリオにしたがって音声合成回路を駆動する音再生処理を実行する(ST17)。なお、その詳細については、図11に基づいて後述する。
次に、ランプ演出を開始させるか、或いは、実行中のランプ演出を進行させるべくLEDデータの更新処理を実行する(ST16)。なお、LEDランプの駆動動作は、1mSタイマ割込みにおいて実行される(ST33)。
次に、RAMの所定領域について総和演算(例えば8ビット加算演算)を実行して、その演算結果を保存する(ST19〜ST20)。なお、この保存値は、CPUがリセットされた後に実行される同じ総和演算の演算結果と比較され、比較値が一致する場合いは、RAM領域をクリア処理することなくホットスタート処理が実行される。
その結果、例え、ウォッチドッグタイマWDTが機能してCPUが異常リセットされた場合でも、RAMの所定領域の内容が維持されている限り、遊技機の演出を初期状態に戻すことなく、再開することが可能となる。
次に、異常検出カウンタをクリアした上で(ST21)、演出抽選用の乱数値を更新してステップST10の処理に戻る(ST22)。なお、ステップST21の処理の意義は、ステップST38の処理との関係で先に説明した通りである。
続いて、図11に基づいて、音再生処理(ST17)について説明する。この処理は、所定のワーク領域WDAに格納されている各種の動作パラメータを、音声合成回路42の制御レジスタ51に書込む処理である。
具体的には、先ず、ワーク領域WDAに格納されているトータルボリューム値TVを音声合成回路42の該当制御レジスタ51に書込む(SS11)。なお、この処理は、L0信号及びR0信号と、L1信号及びR1信号に、同一のトータルボリューム値を設定するよう実行される(図6参照)。
また、先に説明した通り、トータルボリュームTVは、係員による設定スイッチSETの操作で設定可能であると共に(ST41)、音量スイッチVSWのON操作によって遊技者が設定することもできる(ST55,ST45)。但し、重大な異常検出時には、強制的に最大ボリューム値となる(ST44)。
トータルボリューム値TVの書込み処理が終われば、ステップSS12〜SS29の処理が、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH15の個数に対応して、16回繰り返される。
先ず、二次ボリューム値V2が、CHnの該当制御レジスタ51に書込まれる(SS13)。先に説明した通り、通常時は、フレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)の二次ボリュームV2が規定値(標準値)であり、重大な異常事態の発生時には、フレーズ再生チャンネルCH15だけ最大レベルとし、その他の全てのフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)を最小レベルとする。なお、重大な異常事態が発生しているか否かは、エラー処理(ST13)で設定されたエラーフラグに基づいて判定する。
そして、本実施例では、フレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)からの再生出力が無音状態となる重大な異常事態でも、ステップSS14以下の処理を継続するよう構成されている。そのため、異常事態が解消された後は、円滑に有音状態の音声演出が再開できることになる。
ステップSS13の処理が終われば、次に、当該チャンネルCHnのワーク領域に、動作パラメータが格納されているか否かが判定され(SS14)、もし格納されていない場合には、次のチャンネルCHn+1の動作に移行する(SS29)。
一方、当該フレーズ再生チャンネルCHnのワーク領域に、何らかの動作パラメータが格納されている場合には、それが、音量遷移態様(ボリューム遷移量)や一次ボリュームV1に関するものか否かを判定する(SS15)。そして、Yes判定の場合には、ステレオ再生を伴うか否かに基づいて、隣接するフレーズ再生チャンネルCHn+1も含めて一次ボリュームV1や音量遷移態様を設定するか(SS19)、或いは,当該フレーズ再生チャンネルCHnだけの設定をする(SS17)。
また、必要に応じて、左右スピーカについてのパン設定や、上下スピーカについてのパン設定を実行する(SS20,SS18)。パン設定は、本実施例では、左右スピーカに供給される音声信号L0,R0の音量比(音量バランス)の設定を意味する。すなわち、左右一方の音量を低下させるのに対応して、他方の音量を増加させる。この場合、制御の簡便性から、好ましくは、1バイト程度の単一の数値Xで音量比を設定すべきである。
そこで、本実施例では、1バイト長の0〜128の数値Xで音量比を設定している。具体的な設定比としては、左右の音量比を、例えば、[X/128]:[(128−X)/128]のように直線的に変化させても良いが、人間の聴覚を考慮すると、より滑らかに変化させるのが好適である。
そこで、この点も考慮して、本実施例では、左右の音量比を、三角関数で規定しており、左音量SQR(2)*Cos(π/2*X/128))と、右音量SQR(2)*Sin(π/2*X/128)の音量比としている。この場合、X=0で左右比∞:0、X=64で左右比1:1、X=128で左右比0:∞となり、音量比が滑らかに推移する。なお、SQRはルート記号を意味する。
上記の音量比を人間の聴覚に対応してdB換算(10を底とするLog演算)すると、X=1の場合、左音量+3.009dBに対して右音量は−36.124dBとなり、以下、X=64の場合には、は左右とも0dB、X=127では、左音量−36.124dBに対して右音量が+3.009dBとなる。
以上、音量比について説明したが、設定した音量比に直ちに変化させるのではなく、段階的に変化させるのが好ましく、時間の経過に対応して、左右音量比を、初期値(例えば1:1)から目標値に向けて徐々に変えることで、一方スピーカから他方スピーカへの円滑なパン動作を実現することができる。もっとも、この場合には、制御処理が煩雑化するので、初期値から目的値に向けての変化速度(パン遷移量)を規定して変化させるのが好適である。パン遷移量は、ボリューム遷移量と同様に規定すれば足り、具体的には、指示された音量比(目標値)に至るまでの遷移ステップ数と、1ステップでの遷移量とが規定される。
次に、フレーズ番号の変更が必要な場合には、当該フレーズ再生チャンネルCHnについて、音声合成回路42の制御レジスタ51に新たなフレーズ番号を書込む(SS23)。
また、これから再生を開始する一連の音声演出が、連続的に繰り返し再生されるか否かに基づき、ループ回数を設定する(SS26,SS25)。なお、この実施例では、ループ回数は、無限回かゼロ回であり、無限回の音声演出(例えばBGM音)は、次の音声演出が開始されるか、停止指令を受けるまで繰り返し再生される。
そして、新規のフレーズ番号で特定された音声演出を開始させるべく、音声合成回路42の該当制御レジスタ51に開始指令を書込む(SS27)。なお、このようにして開始された音声演出は、ループ回数=0の場合、再生すべきフレーズデータが尽きるまで自動的に継続され、フレーズデータが尽きた段階で自動的に終了する。
一連の音声演出において、その再生音量は、フレーズデータで規定される規定レベルで継続されるのが原則であるが、本実施例では、複数の演出音の重複時などに、適宜に一次ボリュームV1を変更することで演出効果を高めている。すなわち、例えば、演出音の重要度の優劣などに応じて、重複する音声演出のボリュームを適宜に変更している点は、先に説明した通りである。
このようにして当該チャンネルCHnについての処理が終われば、処理の終わった動作パラメータを消去した上で(SS28)、次チャンネルCHn+1の処理の移行する(SS29)。
以上、重大な異常事態の発生時の音量や、遊技者による音量設定について、詳細に説明したが、本実施例は、通常状態における演出動作制御にも大きな特徴がある。
図12は、その概略を示す図面であり、一連の演出の進行は、その概略がシナリオ番号SC1〜SCxで規定されている。
図12(b)に示すように、シナリオ番号SC1〜SCx毎に、シナリオテーブルが設けられており、シナリオ番号は、主制御部21から受ける変動パターンコマンド毎に大別され、更に、細分化された何れかが、演出抽選によって選択されるようになっている。なお、図12(a)には、説明の都合上、リーチ演出を伴わない最も簡単な通常変動について、シナリオテーブルを例示している。
図12(a)に示す通常変動演出の場合、シナリオテーブルには、変動開始、高速変動、左停止、右停止、中停止、揺れ変動の開始タイミングに選択されるサブシナリオが、開始タイミングの時間情報と共に規定されている。また、シナリオテーブルには、ランプ演出、モータ演出、役物演出などを規定するサブシナリオを合わせて特定されるが、図示の通常変動演出は、期待度が極めて低い演出であるので、該当するサブシナリオが存在しない。
図12(c)は、通常変動SC1の高速変動時T12から開始されるサブシナリオ12を例示したものである。なお、本実施例ではり、チャンネルCH0及びCH1をGBM音の再生に使用し、チャンネルCH15をエラー報知に使用し、チャンネルCH2〜14を二分して演出音(SE1,SE2)の再生に使用しているので、サブシナリオも同様に区分されている。
図示の通り、シナリオテーブルで規定される開始時刻T12からの相対経過時間と、その時に、音声合成回路42の制御レジスタ51に書込まれるべき動作パラメータを特定する制御情報が記載されている。
ここで、動作パラメータを特定する制御情報は、これから開始される音声演出を規定するメイン情報と、その他のコントロール情報とに区分されている。そして、メイン情報は、一連の音声演出を特定するフレーズ番号、音声演出の音量(一次ボリューム値)、再生開始時の音量遷移(フェーズイン)態様、音声演出の繰り返し(ループ)の有無、ステレオ音か否か、などを規定している。一方、コントロール情報は、既に開始されて実行中の音声演出についての制御態様を規定している。なお、SFO3+BG_TやSFI1+BG_Tは、プログラム上の定数値であり、実際には、制御態様を規定する複数バイト長のコントロールデータである。
図示のサブシナリオ12では、相対時間+0(=演出開始からの経過時間はT12)において、メイン情報00806001Hで特定される演出が開始されるが、メイン情報に基づいて、フレーズ0001Hの音声演出が、音量80Hで、音量遷移なく(6H)直ちに開始されることが規定されている。なお、フレーズ0001Hの音声演出は、フレーズ再生チャンネルCH2〜CH9の何れか空きチャンネルを使用して実行される。
また、コントロール情報に基づき、既に開始されている実行中のCH0の音声演出(BGM音)が所定の音量遷移態様(フェーズアウト)で消音することが規定されている。なお、再生チャンネルCH0の消音や、フレーズ0001Hの音声演出の音量設定は、各フレーズ再生チャンネルにおける一次ボリュームV1の設定によって実現される。
その後、相対時間+2000において、メイン情報00807002Hで特定される演出が開始されるが、メイン情報に基づいて、フレーズ0002Hの音声演出が、音量80Hで、音量遷移なくステレオ再生(7H)されることが規定されている。また、相対時間+5000において、コントロール情報に基づく動作が実行されるが、ここでは、消音状態に設定されたCH0の音声演出(BGM音)が所定の音量遷移態様(フェーズイン)で復活することが規定されている。
このように、本実施例では、各チャンネル毎に設けられた一次ボリュームV1などを適宜に制御することで、高度な音声演出を実現している。そして、異常事態が発生いた場合、二次ボリュームV2が変更されるだけで(ST44)、一次ボリュームV1の値が維持されるので、シナリオテーブルによる音声演出が無音状態で進行することになり、その後、異常解消時に音量が復活して(ST45)、画像演出に整合する音声演出を再開できることになる。
ところで、図12(c)では、便宜上、正確な記載を省略しているが、演出音SE1の再生開始時には、BGM音のフェードアウト動作に対応して、演出音SE1のフェードイン動作が実行される。また、その後の演出音SE2の開始時にも、演出音SE2のフェードイン動作が実行され、更に、演出音SE2の終了時には、演出音SE2のフェードアウト動作に対応して、BGM音のフェードイン動作が実行される。
なお、この図示例では、演出音SE1と演出音SE2が、ともに高位チャンネルに属する2つのフレーズ再生チャンネルで再生されるが、2つの演出音SE1,SE2の重複区間における各再生チャンネルの一次ボリューム値V1,V1に、適宜な差異を設けても良いことは勿論である。
以上、実施例について、詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、図10に示すデモ処理では、最初の音量スイッチVSWのON操作のタイミングから表示装置DSに音量レベルを表示したが、最初のスイッチ操作では、音量バーの表示に留めるもの好適である。
図13は、この場合の実施例を説明するフローチャートであり、スイッチ操作が認められると(ST52)、表示タイマの値を判定している(ST530a)。先に説明した通り、表示タイマは、音量レベルの表示時間を管理するものであり、最初の音量スイッチ操作時には必ずゼロである。そのため、この実施例では、初めてのスイッチ操作時には、音量設定の表示コマンドを送信設定すると共に、報知音1の出力設定をするだけに留め(ST530b)、出力VOLの更新をスキップしている。
但し、デモタイマや表示タイマの初期設定は実行するので(ST59,ST60)、次回の音量スイッチの2回目のON操作時には、表示タイマが表示タイマ≠0となる。そのため、出力VOLの値が適宜に更新されて報知音2が出力設定される(ST57〜ST58)。
この場合、報知音1と報知音2を異ならせるのが好適であり、例えば、報知音1(♪ピコーン)と共に音量バーを表示装置に表示させ、その後の操作ごとに、報知音2(♪ピッ)と共に、表示装置DSに音量レベルを表示するのが好適である。
以上、もっぱら弾給遊技機を例にして各種の実施例を説明したが、本発明の適用は、弾球遊技機に限定されず、スロットマシンにも適用できるのは勿論である。
また、上記の実施例では、遊技者や係員の操作に対応して、トータルボリュームTVを変更したが、これに代えて、二次ボリュームV2を変更しても良い。なお、この場合にも、重大な異常事態の発生時には、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH14の二次ボリュームV2は最小レベルMINとなり、フレーズ再生チャンネルCH15の二次ボリュームV2は最大レベルMAXとなる。