以下、実施例に係る弾球遊技機に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機を示す正面図である。図示のパチンコ機は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行され、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右1対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ開放されるようになっている。図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。大入賞口16の内部に入賞領域16bが設けられている。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。通常、この特定図柄による大当りを「確変大当り」と言う。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機1の全体回路構成を示すブロック図である。図中の破線は、主に、直流電圧ラインを示している。また、図4は、演出制御基板と演出インターフェイス基板と液晶制御基板について、その回路構成をやや詳細に示している。
図3に示す通り、このパチンコ機1は、AC24Vを受けて各種の直流電圧を出力すると共に電源投入時に電源リセット信号SYRを出力する電源基板20と、遊技動作を中心的に制御する主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた信号を各部に伝送する演出インターフェイス基板23と、演出インターフェイス基板23から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板24と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板25と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板26とを中心に構成されている。
ここで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板24、及び払出制御基板25に搭載された回路及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、以下の説明では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25と言うことがある。また、演出制御部22、液晶制御部24、及び払出制御部25の全部又は一部がサブ制御部である。
主制御基板21は、電源基板20から、DC12V、DC32V、及びバックアップ電源(DC5V)の他に、電圧降下時に出力される電源異常信号や、電源投入時に出力され
る電源リセット信号SYRを受けている。そして、主制御基板21では、受けたDC12VをDC5Vに降圧させて、基板内のコンピュータ回路の電源電圧としている。
また、主制御基板21は、遊技盤中継基板27を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。なお、図柄始動口15からのスイッチ信号については、遊技盤中継基板27を経由することなく、直接、主制御部21が受けている。
主制御部21は、払出制御部25に対して制御コマンドCMD”を一方向に送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
演出制御部22は、コマンド中継基板28を経由して、主制御部21に対して一方向に接続されている。具体的には、制御コマンドを受ける8ビット長のパラレル信号線と、割込み信号STBを受ける1ビット長のストローブ信号線とで主制御部21に接続されている。
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を生成する音声合成IC42と、生成される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ43と、ウォッチドッグタイマWDT1とを備えて構成されている。
ここで、ウォッチドッグタイマWDT1は、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、Lレベルのリセット信号RTを出力するようになっている。ウォッチドッグタイマWDT1から出力されるリセット信号RTは、負論理のORゲートG1を経由して、CPUリセット信号RSTとして、演出インターフェイス基板23に出力される。また、電源基板20から出力された後、電源中継基板29及び演出インターフェイス基板23を経由したLレベルの電源リセット信号SYRも、上記した負論理のORゲートG1を経由して、CPUリセット信号RSTとして、演出インターフェイス基板23に出力される。
したがって、電源リセット信号SYRか、或いは、ウォッチドッグタイマWDT1からのリセット信号RTがLレベルに変化すると、CPUリセット信号RSTがLレベルとなる。図示の通り、このCPUリセット信号RSTは、演出インターフェイス基板23を通過して、そのまま液晶制御基板24に供給されるので、液晶制御部24のコンピュータ回路が自動的にリセットされることになる。
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された割込み信号STBが供給されている。そして、割込み信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(a)エラー報知その他の
報知用制御コマンドなどの他に、(b)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要
を特定する制御コマンド(以下、変動パターンコマンドという)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定してもよいが、こ
の場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部24に対して、ランプやスピーカによる演出動作に対応する図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。この場合、演出制御部22は、液晶制御部24に対する割込み信号STB’と共に、コマンドデータCMD’を演出インターフェイス基板23に向けて出力する。なお、演出制御部22は、液晶ディスプレイに関連する報知用制御コマンドその他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インターフェイス基板23に向けて出力する。
このような演出制御基板22の構成に対応して、演出インターフェイス基板23は、演出制御基板22から8ビット長のコマンドデータCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路45を経由して、そのまま液晶制御基板24に出力される。また、演出インターフェイス基板23は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の制御信号を受けて、バッファ回路46を経由して、これを出力する。図3に示す通り、演出インターフェイス基板23から出力されたランプ駆動制御信号は、ランプ接続基板30を経由してLEDランプ群に供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
一方、演出制御基板22の音声合成IC42から出力される音声信号は、デジタルアンプ44で増幅されて出力される。また、演出制御基板22から出力されるミュート信号も、デジタルアンプ44に供給されて、音声信号の出力を禁止している(図4参照)。図3に示すように、演出インターフェイス基板23から出力された音声信号は、スピーカ中継基板31を経由してスピーカに供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応する音声演出が実現される。なお、この実施例では、スピーカは遊技機上部に左右2つ、遊技機下部に左右2つ設けられており、それぞれ中継基板32を通して音声信号を受けている。
ところで、この演出インターフェイス基板23は、上記のようなデジタル信号及びアナログ信号の中継処理機能だけでなく、遊技機各部で必要となる各種の直流電圧を生成し、且つ最短経路でこれらを分配する機能も有している。すなわち、遊技機各部では、各制御基板21,22,24,25のコンピュータ回路を動作させるための直流5Vの電源電圧だけでなく、各種の装飾ランプを高迫力で点灯させるための直流電圧や、液晶ディスプレイDISPを鮮明に表示させるための直流電圧が必要であり、更に、各基板に搭載する専用ICによっては、5V以外の電源電圧を必要とする場合もある。したがって、これら各種の電源電圧ラインをどのように引き回すかは、ノイズ対策上も極めて重要な技術的事項である。
そこで、本実施例では、電源基板20と演出制御基板22との間であって、且つ、電源基板20と液晶制御基板24との間に、演出インターフェイス基板23を設け、この演出インターフェイス基板23において直流電圧の生成及び直流電圧の分配をすることで最適な電源供給ラインを実現している。具体的に確認すると、演出インターフェイス基板23は、電源基板20から3種類の直流電圧5V,12V,32Vを受けている。そして、演出インターフェイス基板23は、受けた直流電圧5Vを自己のデジタル回路の電源電圧として使用すると共に、演出制御基板22と液晶制御基板24に分配している。したがって
、演出制御基板22や液晶制御基板24にとっては、ほぼ最短の電源供給ラインが確保されたことになる。また、演出インターフェイス基板23は、その回路構成上、電源電圧5Vに対する負荷が軽いので、演出制御基板22や液晶制御基板24にとって上流側の電源
電圧変動が少ない点でも有効である。
一方、遊技盤上の装飾ランプでは、直流電圧12V,20V,32Vが必要となるので、演出インターフェイス基板23では、電源基板20から受けた直流電圧12V,32VをそのままLEDランプ群に転送する一方、直流32VをDC/DCコンバータ47で直流20Vに降圧させて、LEDランプ群に供給している。また、直流電圧12Vについては、液晶制御基板24を経由して液晶ディスプレイDISPにも供給している。
続いて、液晶制御基板24の構成について説明する。図4に示すように、液晶制御基板24は、演出インターフェイス基板23を経由した制御コマンドCMD’を受けて図柄演出を制御するワンチップマイコン48と、ワンチップマイコン48の制御プログラムなどを記憶する制御用ROM49と、ワンチップマイコン48からの指示に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動するグラフィックコントローラ(具体的にはVDP/Video Display Processor)50と、液晶ディスプレイDISPに描画される基礎データ(スプライ
トのパターンデータ)などを記憶するグラフィック用ROM51と、ウォッチドッグタイマWDT2とを備えて構成されている。なお、ワンチップマイコン48とグラフィックコントローラ50は、その電源電圧が3.3Vであるので、液晶制御基板24では、演出インターフェイス基板23から受けた直流電圧5Vを、降圧回路で3.3Vに降圧させて使用している。
ウォッチドッグタイマWDT2は、ワンチップマイコン48から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、Lレベルのリセット信号RTを出力するようになっている。ウォッチドッグタイマWDT2から出力されるリセット信号RTは、負論理のORゲートG2を経由して、ワンチップマイコン48に供給されるので、その結果、ワンチップマイコン48は初期状態にリセットされる。
図示の通り、負論理のORゲートG2の出力は、グラフィックコントローラ50にも共通して供給されるので、グラフィックコントローラ50とワンチップマイコン48とは同期してリセットされることになり、互いの動作内容に不整合は生じない。また、ORゲートG2には、演出制御部22からのCPUリセット信号RSTが供給されているので、電源投入時だけでなく、演出制御部22がプログラム暴走状態などによって強制リセットされると、液晶制御部24の全体も同期してリセットされることになり、機能的に上流側である演出制御部22の動作と下流側の液晶制御部24の動作に不整合が生じることもない。
図3に示す通り、払出制御基板25は、主制御基板21からの制御コマンドCMD”の他に、遊技球の賞球数を検知する計数スイッチなどのスイッチ信号を遊技盤から受けている。また払出制御基板25は、電源基板20から、DC12V及びAC24Vの他に、電圧降下状態を意味する電源異常信号や、電源投入状態を意味する電源リセット信号SYRを受け、AC24Vを発射制御基板26に伝送している。また、DC12Vによって払出モータMを駆動すると共に、DC12VをDC5に降圧して払出制御基板25のコンピュータ回路の電源電圧にしている。そして、払出制御基板25のコンピュータ回路は、発射制御信号によって、発射制御基板26の動作を制御している。
一方、発射制御基板26は、払出制御基板25からの発射制御信号、及び遊技者の操作に起因する発射停止スイッチのスイッチ信号などに基づいて、ソレノイド類を駆動して遊
技球の発射動作を制御している。
続いて、以上の構成を備えた実施例の遊技機1について、その特徴的な動作内容を説明する。この遊技機1では、演出制御基板22→演出インターフェイス基板23→液晶制御基板24の経路で伝送される制御コマンドCMD’のうち、一連の予告演出用制御コマンドについては、それらを一まとめにして「可変長構成の特殊コマンド」の形式で伝送して通信量を軽減している。ここで、予告演出とは、液晶ディスプレイDISPでの図柄の変動動作の途中に、遊技者が予期しない動作を発生させて、その後の大当り状態の招来を期待させる演出であり、具体的には、図柄演出、ランプ演出、又は音声演出の何れか一つ、或いはこれらの適宜な組合せによって実現される。
特殊コマンドの説明に先立って制御コマンドの構成について説明すると、制御コマンドは、固定長2バイト構成であり、1バイトのMODEデータと、1バイトのEVENTデータとに区分されている。したがって、1つの制御コマンド****Hは、原則として、各々1バイトデータであるMODEデータとEVENTデータとに区分して伝送される。なお、*は16進数1桁の任意の数値を意味し、添字Hは16進数を意味している。そして、この実施例では、MODEデータの最上位ビットは必ず「1」に設定されている一方、EVENTデータの最上位ビットは必ず「0」に設定されている。したがって、制御コマンドの最上位ビットを判定するだけで、それがMODEデータであるか、或いは、EVENTデータであるかを識別できることになる。
図5は、液晶ディスプレイDISPで実行される予告演出用の制御コマンドを例示したものである。説明の便宜上、ここでは、液晶ディスプレイDISPの背景変化に関する制御コマンドD1**Hと、ミニキャラクタの登場などに関するその他7種類の制御コマンドD2**H〜D8**Hと、が用意されていることにする。なお、D1H,D2H,・・・,D8Hなどの上位1バイトがMODEデータであり、**Hで示す下位1バイトがEVENTデータである。
図5から明らかなように、MODEデータは、演出内容の概要を特定し、EVENTデータは、演出内容の具体的内容を特定している。そして、EVENTデータは、00H〜7FHの数値範囲内の値であり、最上位ビットが必ず0となっている。一方、MODEデータは、この例では、D*Hであるが、これ以外の数値である場合にも、必ず最上位ビットが1となっている。
液晶制御部24は、これらの制御コマンドを受信すると、変動動作中の液晶ディスプレイの特定の場所に、何らかの図柄(キャラクタなど)を描画して、変動動作終了時の当選状態を予告することになる。例えば、D103H→D204Hの組み合わせの制御コマンド(特殊コマンド)を受けた場合には、液晶ディスプレイDISPの背景画面が、秋を連想する景色に変わると共に、サルが現れることになる。また、例えば、D103H→D204H→D306Hの組み合わせの制御コマンド(特殊コマンド)を受けた場合には、前記の演出に加えて、一度現れたサルが消えた後、別の場所に芋を持ったサルが現れるような予告演出となる。
このように、予告演出については、最大で、8種類の制御コマンドが連続して伝送されることで、一連の予告演出内容を特定するようになっている。そのため、従来の構成のままでは、予告演出のためだけに最大で8×16ビットのデータ送信量が必要となり、演出制御部22その他では、少なからず制御上の負担となってしまう。
そこで、本実施例では、予告用の一連の制御コマンドをそのままを伝送するのではなく、特殊コマンドの形式に変換して伝送している。具体的には、最初に、8ビットのヘッダ
情報(コマンドヘッダ)を伝送し、その後は、予告演出用制御コマンドのEVENTデータを連続して送信するようにしている。そして、最後にチェックサム値を送信している。なお、コマンドヘッダに後続して伝送されるデータ個数(バイト数)は、コマンドヘッダによって特定される。
図6は、以上の関係を説明するための図面であり、具体的には、液晶制御部24に設けられるヘッダ解析テーブルTBLの内容を例示している。
図6に示す通り、ヘッダ解析テーブルTBLは、1バイトのコマンドヘッダと、その後に送信されるデータ個数(バイト数)と、特殊コマンドの送信後に送信されるEVENTデータに対応するMODEデータとが関連して記憶されている。コマンドヘッダは、この例では、D0H〜DFHの何れかの値であり、コマンドヘッダの下位4ビットによって、その後に伝送されるEVENTデータの個数と、各EVENTデータに対応するMODEデータとが特定される。
例えば、コマンドヘッダがD9Hの場合(図6の矢印参照)には、その後、予告演出用の4個のEVENTデータと、1個のチェックサムデータとが伝送されることになる。そして、順次伝送されるデータのMODE値は、D1H,D2H,D3H,D4Hであると特定されている。したがって、例えば、D9H→02H→07H→00H→01Hの順番で伝送される特殊コマンドは、特殊コマンド全体として、D102H,D207H,D300H,D401Hの予告演出用の制御コマンドを意味することになる。ちなみに、図6の例では、D102Hによって、夏を連想する背景が特定され、D207Hによって、赤鯉とリスの出現が特定される。
なお、この実施例の場合、コマンドヘッダ(特殊コマンドの先頭バイト)は、図5に示す予告演出用の制御コマンドと同じく、D*Hとなっているが、何らこの構成に限定されないのは勿論である。すなわち、コマンドヘッダは、その他一般の制御コマンドのMODEデータと重複せず、且つ、最上位ビットが1である限り、任意のデータを使用することができる。
以上の通り、本実施例では、予告演出用の制御コマンドについては、特殊コマンドの形式で演出制御部22から図柄制御部24に伝送される。図6(b)は、演出制御部22における伝送手順を図示したものである。図示の通り、演出制御部22は、最初に1バイト長のコマンドヘッダを伝送し、次に、n個のEVENTデータを順番に伝送し(合計でnバイト)、最後に、n個のEVENTデータのチェックサム値(1バイト長)を伝送している。なお、n個のEVENTデータの最上位ビットは、全て「0」であることから、チェックサム値も8ビット構成とし、最上位ビットを「0」としている。したがって、チェックサム値は、実質的には7ビット構成となる。
このように、特殊コマンドは、コマンドヘッダ+EVENTデータ列+チェックサムで構成されているので、n個の制御コマンドを伝送するのに(n+2)バイトで足りることになる。MODEデータ+EVENTデータで構成される本来の制御コマンドなら、2×nバイトの通信量を要するのに対して、本実施例の構成では、チェックサムの1バイト分
を加味して評価しても、2×n−(n+2)=(n−2)バイト分の通信量の軽減となって、演出制御部22その他の通信負荷を大幅に軽減することができる。また、通信量が減る分だけ通信異常の可能性も低減される。更にまた、チェックサム処理によって、一群のEVENTデータ列について、その通信異常を即座に検出することもできる。そして、通信異常が検出された場合には、例えばこの実施例では、予告演出そのものをキャンセルするので、不自然な予告演出によって遊技者に不信感を与えることもない。
先に説明した通り、演出制御部22では、液晶制御部24で実効化されるべき制御コマンドや特殊コマンドについては、演出インターフェイス基板23に向けて割込み信号STB’と共に出力する。そして、演出インターフェイス基板23は、これらを、バッファ回路45を通して、そのまま液晶制御部24に伝送する(図4参照)。
一方、液晶制御部24は、割込み信号STB’に起因して受信割込み処理が起動されるよう構成されている。図7は、この受信割込み処理を説明するフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて説明する。
受信割込み処理において、液晶制御部24は、受信データDxを取得した後(ST20)、継続フラグFLGの値を判定する(ST21)。ここで、継続フラグFLGとは、今現在が一連の特殊コマンドの受信中か否かを示すフラグであり、一連の特殊コマンドの受信中であれば継続フラグFLGが1であり、そうでなければ継続フラグFLGは0のままである。
ここでは、継続フラグFLG=0であったとすると、次に、受信データDxが特殊データのコマンドヘッダか否かが判定される(ST22)。先に説明した通り、この実施例では、コマンドヘッダは、D0H〜DFHの何れかの値であるから、受信データの上位4ビットの判定によって、コマンドヘッダか否かの判定は完了する。そして、受信データDxがコマンドヘッダでない場合には、その受信データDxは、一般の制御コマンドのMODEデータかEVENTデータであることになるので、取得した受信データDxを受信バッファBUFに格納して受信割込み処理を終える(ST23)。
一方、ステップST22の判定において、受信データDxが、特殊データのコマンドヘッダであると判定された場合には、受信データDxを検索キーにしてヘッダ解析テーブルTBL(図6)を検索する(ST24)。そして、今回受信したコマンドヘッダに後続するデータ列の個数を把握して、変数Nに代入する(ST25)。したがって、変数Nは、後続するEVENTデータ列の個数nに、チェックサムの個数(=1)を加算した値(=n+1)に初期設定される。
また、一連のEVENTデータの加算処理を行うための変数SUMをゼロクリアし、継続フラグFLGを1にセットし、一時バッファTEMPのポインタPTをゼロクリアする(ST25)。継続フラグFLGが1にセットされたことから、この後に起動される受信割込み処理は、一連のEVENTデータを取得するための特別動作モードとなる。
したがって、次回の受信割込みでは、ステップST21の判定において、継続フラグFLG=1と判定される筈である。そして、ステップST21の判定処理に続いて、受信データDxが所定の数値範囲内であるか否かが判定される(ST26)。具体的には、受信データDxが00H〜7FHの範囲内か否かが判定される。図6(b)に関して説明した通り、特殊コマンドは、[コマンドヘッダ]+[n個のEVENTデータ]+[チェックサム]の構成であり、合計n+2バイトで構成されている。そして、コマンドヘッダ以外のデータは、全てその最上位ビットが「0」となっているので、継続フラグFLG=1の場合には、受信データDxは、必ず00H〜7FHの範囲内の筈である。
そのため、通常は、ステップST26の判定の後、ステップST28に移行して変数Nの値がデクリメントされ、変数Nが0か否かが判定される(ST29)。変数Nは、継続して取得すべきデータ個数に初期設定されている。したがって、N>0の場合には取得した受信データDxを一時バッファTEMPに格納すると共に、格納位置を特定するポインタPTの値をインクリメントする(ST30)。また、受信データDxの値を、変数SUMに加算して割込み処理を終える(ST31)。
上記したステップST28〜ST32の処理は、受信割込み毎に実行されるので、やがて、変数Nは0になる筈である。そして、N=0の場合には、今回取得した受信データDxがチェックサム値であることを意味する。そこで、変数SUMの最上位ビットを除いた7ビットと、取得データDxの7ビットを比較する(ST32)。ここで、各ビットが一致した場合には、一連のEVENTデータを正しく取得できたと評価することができる。
そこで、次に、ヘッダ解析テーブルTBLを参照して各EVENTデータに対応するMODEデータを把握し、本来の2バイト長の制御コマンドに復元して受信バッファBUFFに格納する(ST33)。この処理によって、特別動作モードが正常に完了したことになるので、継続フラグFLGの値を0に戻して割込み処理を終える(ST34)。
一方、ステップST32の判定では、変数SUMの7ビットと、受信データDxの7ビットが一致しない可能性もある。この場合は、特別動作モード中のどこかで通信エラーが発生したと考えられるので、ステップST33の処理をスキップして、ステップST34の処理を行う。その結果、一時バッファTEMPに格納されたデータは受信バッファBUFFに転送されることがなくなり、全てのデータは、実質的に廃棄されることになる。
このような処理をするのは、廃棄される一連のデータは、高々、予告演出に関するEVENTデータに過ぎないからであり、要するに、廃棄処理によって、液晶ディスプレイ上の一連の予告動作が生じないだけで実質的に何の弊害もないからである。逆に言うと、通信エラーによってビット化けしたEVENTデータに基づいて不合理で不自然な予告演出を行っても、遊技者に不信感を与えるだけだからである。
ところで、ステップST26の判定において、受信データDxが、所定の00H〜7FHの数値範囲を超える場合があり得る。このように、継続フラグFLG=1でありながら、受信データDxがDx>7FHとなるのは、例えば、それ以前の受信処理で通信異常が発生し、(2バイトで完結する)一般の制御コマンドを、(通常2バイトでは完結しない)コマンドヘッダであると誤認していたことが考えられる。或いはまた、それ以前の受信処理では、特殊コマンドのコマンドヘッダは正しく認識したものの、今回の受信処理で通信異常が発生し、EVENTデータを正しく受信できなかった可能性もある。
そして、その原因がどこにあるにせよ、このまま特殊コマンドの受信処理を継続しても不合理な予告演出の実行しか期待できない。そこで、この実施例では、異常を検出したこの段階で特殊コマンドの受信処理を終了している(ST27)。具体的には、継続フラグFLGを0に戻した後、ステップST22の処理に移行される。継続フラグFLGが0に戻されたことから、今後の受信割込みで、ステップST28以降の処理が実行されるときには、その前に、ステップST25の処理を経由してポインタPTがゼロクリアされるので、一時バッファに格納されていたデータは実質的に廃棄される。
以上説明したように、本実施例では、演出制御基板22で演出内容を最終的に特定し、具体的な演出内容を特定する制御コマンドを液晶制御基板24に送信しており、主制御基板21では、概略的な演出内容だけを特定した制御コマンドを出力している。そのため、主制御部21での制御負担が軽減されると共に、演出制御基板22での抽選処理によってバリエーションに富んだ演出を実現することが可能となる。しかも、演出動作については、演出制御基板22が統括的に制御するので、ランプ演出・音声演出・図柄演出の各内容が正しく整合し、且つ正確に同期した演出動作を実現することができる。また、本実施例では、演出制御基板22と図柄制御基板の間に配置する演出インターフェイス基板23において、上流側と下流側に向けて電源電圧を配信するので電源ノイズを軽減することができ、且つ、上流側の制御基板における異常信号によって下流側の制御基板もリセットされ
る構成を採るので演出動作が不整合となることもない。
なお、予告演出に関する制御コマンドは、特殊コマンドの形式に変換して伝送するが、この特殊コマンドも、液晶制御部24に正式に取得された段階では、本来の2バイト構成の制御コマンドに戻される。したがって、本実施例の構成によれば、演出動作に関わる制御プログラムについて、従来のものを殆どそのまま踏襲できるという利点もある。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、演出制御基板22から液晶制御基板24に向けて特殊コマンドだけでなく、その他の制御コマンドについても可変長構成としても良い。同様に、主制御基板21から演出制御基板22に向けて伝送される制御コマンドについても、特殊コマンドで例示したような可変長構成としても良い。なお、この場合には、演出制御部22においても、図7に示すような受信処理が実行される。
また、上記した実施例では、演出制御基板22から液晶制御基板24への制御コマンドCMD’の伝送を一方向通信とし、特殊コマンドの伝送時に通信異常が認められると、特殊コマンド全体を廃棄しているが、このような動作にも何ら限定されない。
例えば、図8に示すように、受信確認フラグACKを設け、通信異常が認められるとACK←FFHとする一方(ST40,ST41)、一連のコマンドデータを正常に取得できればACK←00Hに設定して(ST42)受信割込みを終了させ、その後の処理で受信確認フラグACKを参照することが考えられる。この場合、例えば、図柄制御部24におけるタイマ割込み(図8(b)参照)において、定期的に受信確認フラグACKの値をチェックして(ST50)、通信異常が発生している場合には、演出制御部22に対してコマンド再送コマンドRTを返送し、その後、受信確認フラグACKを正常値に戻せば良い(ST51,52)。なお、図3では、コマンド再送コマンドRTの伝送経路を、途中省略で図示しているが、実際には、演出インターフェイス基板23を経由させるのが好適である。
一方、コマンド再送コマンドRTを受けた演出制御部22では、先に送信した制御コマンドや一群の特殊コマンドを再送することになる。なお、液晶制御部24は、通信異常時にだけ再送コマンドRTを送るのではなく、一つの制御コマンド(16ビット長の固定長コマンド)を受信するか、一群の特殊コマンド(可変長コマンド)を受信する毎に、通信異常の有無を示す確認コマンドANSを返送するようにしても良い。この場合には、演出制御部22では、返送された確認コマンドANSによって適正な通信状態を確認した上で、音声演出とランプ演出の動作を開始させることができる利点がある。