JP2009285457A - 輸液用バッグおよびポート - Google Patents

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Abstract

【課題】2種の異なる組成を有する輸液を別けて収容するためのバッグにおいて、二液を混合することを忘れる事故を防止する。
【解決手段】2種の異なる組成を有する液体(a、b)を別けて収容するためのバッグ本体(1)と、ポート(2)とからなるバッグであって、バッグ本体(1)が一方の液体(a)を収容する小室(A)および他方の液体(b)を収容するための小室(B)を有し、小室(A)と小室(B)とは隔壁(AB)によって液密に互いに隔てられており、ポート固定用基部(3)が小室(A)を規定する壁部材に固定されているところの輸液用バッグにおいて、ポート(2)が該ポート固定用基部(3)に固定され、該ポート(2)は、軸方向(X-X)に沿って、小室(A)に通じる中空部(4)を有するポート本体(5)と、該中空部(4)の小室(A)側に該中空部(4)と小室(A)とを液密に遮断する遮蔽手段(7)とを有することを特徴とするバッグ。
【選択図】図1

Description

本発明は、2種の異なる組成を有する液体を別けて収容するためのバッグ、特に輸液用のバッグ、及び該バッグ用のポートに関する。
輸液用のバッグにおいて、バッグの収容室が隔壁により分けられて2つの小室があり、各小室には互いに異なる組成の液体が収容され、輸液の使用の直前にバッグに圧力をかけて隔壁を破壊して、2つの液を混合してから、ポート部の栓に中空針を挿して輸液を投与するように構成されているバッグが知られている。
ところが、予めバッグに圧力をかけて隔壁を破壊することを忘れたままポート部の栓に中空針を刺して輸液を投与してしまう事故が起きることがありうる。すると、2つの液が混合されずに一方の液のみが投与されるという結果になり、はなはだ不都合である。本発明は、上記の不都合が起きないように考慮されたバッグを提供することを目的とする。
上記目的は、2種の異なる組成を有する液体(a、b)を別けて収容するためのバッグ本体(1)と、ポート(2)とからなるバッグであって、バッグ本体(1)が一方の液体(a)を収容する小室(A)および他方の液体(b)を収容するための小室(B)を有し、小室(A)と小室(B)とは隔壁(AB)によって液密に互いに隔てられており、ポート固定用基部(3)が小室(A)を規定する壁部材に固定されているところの輸液用バッグにおいて、ポート(2)が該ポート固定用基部(3)に固定され、該ポート(2)は、軸方向(X-X)に沿って、小室(A)に通じる中空部(4)を有するポート本体(5)と、該中空部(4)の小室(A)側に該中空部(4)と小室(A)とを液密に遮断する遮蔽手段(7)とを有することを特徴とするバッグによって、達成される。
小室(B)の液(b)に圧力をかけると、隔壁(AB)が破壊されて液(b)と液(a)の混合が起き、そして同時に小室(A)の液(a)に圧力が伝達されて遮蔽手段(7)が破壊され、該遮蔽手段(7)とポート栓(6)との間の空間に混合液が充填される。中空針(12)をポート栓(6)に外から挿すと、混合液が取り出される。もしも、予め小室(B)の液(b)に圧力をかけて隔壁を破壊することを失念していると、遮蔽手段(7)も破壊されていないので、遮蔽手段(7)とポート栓(6)との間に液(a)が存在しない空間がもとのまま存在する。従って、中空針(12)をポート栓(6)に外から挿しても液体が出てこないので、隔壁の破壊を失念したことに必ず気付く。このようにして、事故が防がれる。
本発明のバッグの断面図 遮蔽手段が破壊された状態のバッグの断面図 遮蔽手段がシートである場合のポートの断面図 遮蔽手段がシートである場合の他の態様のポートの断面図 遮蔽手段が栓である場合のポートの断面図
図を参照して、本発明の好ましい態様を説明する。図1は本発明のバッグの断面図を示し、バッグは、バッグ本体(1)とポート(2)とからなる。バッグ本体(1)は、一方の液体(a)を収容する小室(A)および他方の液体(b)を収容するための小室(B)から成り、小室(A)と小室(B)とは隔壁(AB)によって液密に互いに隔てられている。小室(A)にポート固定用基部(3)が、好ましくは熱溶着又は超音波溶着によって、固定されている。ポート固定用基部(3)の軸方向(X-X)には、液が通ることが出来る中空部が貫通している。ポート本体(5)は、典型的には独立した部品として製造され、該ポート固定用基部(3)に、好ましくは熱溶着又は超音波溶着によって、固定される。或いは、ポート本体は、ポート固定用基部(3)と一体に成形されていても良い。ポート本体(5)の軸方向(X-X)に沿って、上記の小室(A)に通じる中空部(4)が在る。ポート本体(5)の、バッグ本体と反対側の端において、ポート栓(6)でポート本体(5)の中空部(4)を封鎖することが出来る。ポート栓(6)が不用意に脱着しないように、ポート栓(6)の外周部とポート本体(5)とを連結するキャップ(8)を更に備えることが出来る。該中空部(4)の小室(A)側に遮蔽手段(7)が存在して中空部(4)と小室(A)とが液密に隔離される。従って、輸液バッグに輸液を充填し、ポート栓(6)でポート本体(5)の中空部(4)を封鎖すると、該遮蔽手段(7)とポート栓(6)との間に液(a)が存在しない空間が存在できる。
図1において、遮蔽手段(7)はシートであり、好ましくはポート本体(5)の材質と融着し易い合成樹脂から成り、たとえばポート本体(5)がポリエチレン、特にHDPE製であればEDPEのフィルムである。或いは、シートはアルミ箔のようなポート本体(5)の材質と直接には融着しない材質であるが、接着剤たとえば硬化性接着剤などを介して接着されても良く、これも本発明における融着の範囲である。いずれも、材質は、上記の例示に限定されない。
シートの材質は、輸液を通過させないが、気体の通過を許すフィルムから成ることが出来る。輸液を入れたバッグの温度が上がると小室(A)の空気が膨張しあるいは輸液から気体が発生して, 小室(A)の圧力が上昇し、シートの融着が破壊される事故が起きる恐れがあるが、シートが気体(空気を含め)の通過を許すので、シート(4)の両側の圧力差が緩和される。従って、融着の破壊の危険を軽減できる。そのようなシート自体は知られている。例えば、日本板硝子株式会社製のポリオレフィン微孔質フィルム、旭化成ケミカルズ株式会社製のポリオレフィン微多孔膜(商標ハイポア)が挙げられるが、これらに限られない。
図1に示すように、ポート本体の内側周面にシートを受ける凸部を設けておき、ポート本体(5)の、ポート栓(6)側からシートを挿入して該凸部に当接させ、その状態でシートを融着することによって、ポート(2)を製造できる。次に、好ましくは、ポート(2)にポート栓(6)、更にキャップ(8)を予め備える。そして、ポート(2)をポート固定用基部(3)に挿入し、融着することによって、輸液用バッグが構成される。小室(A)および小室(B)は、例えば合成樹脂製の二枚のフィルムを周縁部で接着されて成るが、この段階では小室(A)および小室(B)の夫々の周縁部の一箇所で接着がなされていず、この箇所から夫々輸液(a)および輸液(b)が注入され、当該箇所が接着されて、使用できる状態の輸液入りバッグが完成する。
図2に示すように、使用直前に小室(B)に、通常手により圧力をかけて隔壁(AB)を破壊した際に、次にシートの融着が同時に破壊される。従って、輸液(a)と輸液(b)とが互いに混合され、かつ中空部(4)に輸液が入っていく。この段階で、中空針(12)をポート栓(6)に外から挿すと輸液を取り出すことが出来る。
図3は、遮蔽手段がシートである場合の好ましい態様のポートの断面をより拡大して示す。図1について述べたように、ポート本体の内側周面にシートを受ける凸部を設け、該凸部のシートに面する円周面に突起があり、この突起とシートとが融着される。輸液(b)に圧力をかけた時に融着の周面の全体が同時にはがれるのではなくて、一部が先に剥がれるように一部を弱く作っておくことが好ましい。すると、シート全体が剥離浮遊して針の穴を塞ぐことが回避される。そのためには、上記突起の高さを周にわたって不均一にすることが好ましい。あるいは、周の一部分で融着の面積を小さくする。図2において、シートの融着の一部が残存して、シートがポート本体(5)に付着している。
図4は、遮蔽手段がシートである場合の他の態様のポートの断面図を示す。先細の円筒状の遮蔽手段保持部材(9)が、シートをポート本体(5)に対して固定保持する。シートは、遮蔽手段保持部材(9)に予め融着されてからポート本体(5)に挿入される。例えば、シートはLDPEから成り、遮蔽手段保持部材(9)はHDPEまたはMDPEから成ることが出来る。あるいは、シートのみをポート本体(5)に入れし、つぎに遮蔽手段保持部材(9)をポート本体(5)に挿入して、遮蔽手段保持部材(9)とポート本体(5)との間に単にシートを挟んだ状態でシートを固定することが出来る。この場合、シートはアルミ箔あるいはエラストマー製であっても良い。遮蔽手段保持部材(9)は、これをポート本体(5)に圧入することによってポート本体(5)に対して固定されるか、あるいは、ポート栓(6)によって固定されることが出来る。
図5において、遮蔽手段(7)は、ポート本体(5)の小室(A)側の内壁に存在する凹部に嵌合する栓である。ポート本体(5)のポート栓側から予め栓を挿入して中空部(4)を塞ぎ、次にポート本体(5)をポート固定用基部(3)に融着する。小室(B)に圧力をかけて隔壁(AB)を破壊した際に、液圧がかかり、該栓が中空部(4)側に抜け落ちる。栓は、ポリエチレン、ゴムあるいは合成エラストマー樹脂からなることが好ましい。
バッグ本体(1)自体は公知であり、柔軟な合成樹脂から作られることが好ましく、たとえばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン製であることが出来る。ポート固定用基部(3)は、バッグ本体(1)と融着し易い素材からなることが好ましい。ポート固定用基部(3)とポート本体(5)についてと同様である。ポート栓(6)は、中空針(通常、プラスチック製)を挿すことが出来るように、ゴムあるいは合成エラストマー樹脂からなることが好ましい。栓は、ある程度の厚みを持ち、従って自立できるものであれば良く、板の形状であっても良い。
本発明のバッグ及びポートは、輸液を収容するためだけでなく、輸液以外の2液製品を混合せずに保管するためにも使用でき、本発明はそれをも包含する。また、小室の数が3以上である場合にも、上記の遮蔽手段が存在する限り、本発明はその場合をも包含する。
本発明のバッグおよびポートは、輸液などを収容するのに適しており、産業上有用である。
1 バッグ本体
2 ポート
3 ポート固定用基部
4 中空部
5 ポート本体
6 ポート栓
7 遮蔽手段
8 キャップ
9 遮蔽手段保持部材
12 中空針
A 小室
B 小室
AB 隔壁

Claims (9)

  1. 2種の異なる組成を有する液体(a、b)を別けて収容するためのバッグ本体(1)と、ポート(2)とからなるバッグであって、バッグ本体(1)が一方の液体(a)を収容する小室(A)および他方の液体(b)を収容するための小室(B)を有し、小室(A)と小室(B)とは隔壁(AB)によって液密に互いに隔てられており、ポート固定用基部(3)が小室(A)を規定する壁部材に固定されているところの輸液用バッグにおいて、ポート(2)が該ポート固定用基部(3)に固定され、該ポート(2)は、軸方向(X-X)に沿って、小室(A)に通じる中空部(4)を有するポート本体(5)と、該中空部(4)の小室(A)側に該中空部(4)と小室(A)とを液密に遮断する遮蔽手段(7)とを有することを特徴とするバッグ。
  2. 遮蔽手段(7)が、ポート本体(5)の小室(A)側に固定されたシート、或いはポート本体(5)の小室(A)側の内壁に存在する凹部に嵌合する栓である、請求項1記載のバッグ。
  3. 輸液を収容している状態で輸液に圧力をかけると、該中空部(4)と小室(A)との間の液密な遮断が破壊される、請求項1又は2記載のバッグ。
  4. 小室(A)の液(a)に圧力がかけられた際に、シートがポート固定用基部(3)に融着されている周の一部において融着が破壊される請求項2記載のバッグ。
  5. シートが、輸液を通過させないが、気体の通過を許すフィルムから成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバッグ。
  6. 輸液を収容するためのバッグ用のポート(2)であって、軸方向(X-X)に沿って、輸液バッグに通じるべき中空部(4)を有するポート本体(5)と、該中空部(4)の輸液バッグ側を液密に遮断する遮蔽手段(7)とを有することを特徴とするポート(2)。
  7. 遮蔽手段(7)が、ポート本体(5)に固定されたシート、或いはポート本体(5)の小室(A)側の内壁に存在する凹部に嵌合する栓である、請求項6記載のポート(2)。
  8. 輸液バッグに輸液を収容している状態で輸液に手でかける圧力によって、液密な遮断が破壊される程度の強度の融着或いは嵌合の強さを持つ、請求項6又は7記載のポート。
  9. シートが、輸液を通過させないが、気体の通過を許すフィルムから成る、請求項6〜8のいずれか1項に記載のポート。
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