JP2009284907A - 膵癌の診断および治療のための方法、ならびにそれらに有用な組成物 - Google Patents

膵癌の診断および治療のための方法、ならびにそれらに有用な組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、膵癌の診断および治療のための方法、ならびにそれらに有用な組成物を提供することである。
【解決手段】UKWポリヌクレオチドおよびポリペプチドは膵臓腫瘍に特異的である。このため、UKWの診断は膵臓腫瘍の診断に有益である。UKWに対する抗体は、膵臓腫瘍の診断に有益であることに加えて、膵臓腫瘍の治療のための治療薬としても有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、膵癌の特異的な診断、そのための組成物、および膵癌の治療のための治療方法に関する。
膵癌は診断および制御が困難な種類の癌であり、このような癌のほとんどは極めて急速に増殖しうる。
外分泌膵臓の新生物は、膵管細胞、膵腺房細胞および間質細胞から生じる可能性がある。膵癌の80%は膵管上皮に由来する。これらの腫瘍の60%は膵頭部に位置し、10%は膵尾部、30%は膵体部に位置するかびまん性である(非特許文献1)。組織学的には、これらの腫瘍は高分化型、中分化型および低分化型として等級付けされる。一部の腫瘍は、腺扁平上皮型、粘液型、未分化型、または骨芽細胞様巨細胞を伴う未分化型に分類される(非特許文献2)。本疾患は早期には無症候性であり、早期診断のための検査がなく、局所および内臓への転移に関して攻撃的であるため、本疾患の予後は極めて不良である。切除可能な腫瘍は20%に過ぎず、承認を得た化学療法による延命効果もかなり乏しい(非特許文献3)。このため、膵臓腫瘍の早期診断のための新たな標的を同定することは極めて重要な課題である。
特許文献1は、分泌型および膜貫通型のポリペプチド、ならびにそれらをコードする核酸を記載している。図130はUKWのポリペプチド配列を示している。
国際公開公報第02/08288号
Warshau, A.L.およびFernandez-del, C.C., N. Engl. J. Med. 326 (1992) 4555-4565 Gibson, J.B.およびSobin, L.H.、「Histological typing of tumors of the liver, biliary tract and pancreas」、WHO、Geneva、1978 Kroep, J. R.ら、Ann. Oncol. 10、補遺 4 (1999) 234-238
本発明の目的は、膵癌の診断および治療のための方法、ならびにそれらに有用な組成物を提供することである。
驚くべきことに、ポリペプチドUKWをコードする核酸が膵臓腫瘍細胞で特異的に過剰発現されるのに対して、正常膵細胞または他の由来の腫瘍細胞、例えば、乳癌細胞または結腸癌細胞における発現はかなり低いことが明らかになった。したがって、UKWは膵癌の特異的な診断および治療法に役立つ新たな標的である。
したがって本発明は、患者における膵癌の有無を判定するための方法であって、
(i)患者から生体試料を入手する段階;
(ii)試料中の、UKWをコードする核酸の量またはポリペプチドUKWの量を検出する段階;および
(iii)核酸またはポリペプチドの量を、腫瘍誘発性または腫瘍誘発性でない、細胞内のUKWの発現または存在を判別する境界線を示す所定の標準値と比較し、それによって患者における膵癌の有無を判定する段階、
を含む方法を提供する。
検出は、UKW核酸またはポリペプチドと結合する結合物質を用いることによって行うことが好ましい。より好ましくは、結合物質はストリンジェントな条件下でUKW核酸とハイブリダイズするプローブまたは抗体であり、これは好ましくは、UKWポリペプチド、好ましくはその細胞外ドメインに結合するモノクローナル抗体である。
さらに本発明は、被験試料および同じ個体または同じ種の異なる個体の非膵臓腫瘍細胞に由来する第2の試料を用いる、患者の組織または体液の被験試料が膵臓腫瘍細胞を含むか否か、または膵臓腫瘍細胞に由来するか否かを判定するためのプロセスであって、
(a)それぞれの試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、
(i)配列番号:1の核酸配列またはその断片;
(ii)(i)の任意の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、
からなる群より選択される核酸プローブとともにインキュベートする段階;
(b)それぞれの試料の、前記プローブとのハイブリダイゼーションの概量を決定する段階、ならびに
(c)被験試料のハイブリダイゼーションの概量を、前記第2の試料のハイブリダイゼーションの概量と比較し、被験試料が特定の核酸または核酸の混合物を第2の試料よりも多量に含むか否かを明らかにする段階、
を含むプロセスを提供する。
本発明はまた、膵臓腫瘍の検出のための方法であって、
a)体液、細胞または前記細胞の細胞抽出物もしくは細胞培養上清の群から選択される、膵癌に罹患している疑いのある患者の試料であって、核酸を含む試料を、
(i)配列番号:1に示された核酸、または前記配列に対して相補的な核酸、および
(ii)(i)に由来する核酸のいずれか1つとハイブリダイズする核酸、
からなる群より選択される核酸プローブとともにインキュベートする段階、ならびに
b)好ましくは試料の核酸および/もしくは核酸プローブの別の結合パートナーにより、またはX線撮影法により、ハイブリダイゼーションを検出する段階、
を含む方法も含む。
いずれの方法も抗体を用いることによって実施することができ、この際、UKWポリペプチドは抗体とポリペプチドとの相互作用によって検出される。
本発明はさらに、患者における膵癌の進行をモニタリングするための方法も提供する。このような方法では、膵癌に罹患している患者の生体試料(例えば、血液などの体液、細胞可溶化物、またはRNA試料の逆転写物)中のUKW核酸またはポリペプチドの量を、少なくとも2つの異なる時点で決定して比較する。この量の変化から、膵癌の進行に関する情報を導き出すことができる。
本発明はさらに、膵癌に罹患しているか、またはそれが疑われる患者から得た試料を用いる診断アッセイ法における、UKW核酸とのハイブリダイゼーション用の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む、診断キットも含む。
本発明はさらに、UKWポリペプチドに対する抗体を、膵癌の治療に治療的有効量で用いることも含む。抗体を膵臓に対して局所的に投与することが好ましく、膵頭部に局所的に投与することが特に好ましい。
本発明のさらにもう1つの態様では、UKWポリペプチドに対する治療的有効量の抗体を、膵癌性疾患の治療のために、ならびに/または膵癌性疾患に起因する転移の予防および/もしくは阻害のために患者に投与する。
本発明に係る、患者における膵癌の有無を判定するための方法においては、
(1)(i)患者から生体試料を入手する段階;
(ii)試料中の、UKWをコードする核酸の量またはポリペプチドUKWの量を検出する段階;および
(iii)核酸またはポリペプチドの量を、腫瘍誘発性または腫瘍誘発性でない、細胞内のUKWの発現または存在を判別する境界線を示す所定の標準値と比較し、それによって患者における膵癌の有無を判定する段階、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る、被験試料および同じ個体または同じ種の異なる個体の非膵臓腫瘍細胞に由来する第2の試料を用いる、患者の組織もしくは体液の被験試料が膵臓腫瘍細胞を含むか否か、または膵臓腫瘍細胞に由来するか否かを判定するためのプロセスにおいては、
(2)(a)それぞれの試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、
(i)配列番号:1の核酸配列またはその断片;
(ii)(i)の任意の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、
からなる群より選択される核酸プローブとともにインキュベートする段階;
(b)それぞれの試料の該プローブとのハイブリダイゼーションの概量を決定する段階、ならびに
(c)被験試料のハイブリダイゼーションの概量を第2の試料のハイブリダイゼーションの概量と比較し、被験試料が特定の核酸または核酸の混合物を該第2の試料よりも多量に含むか否かを明らかにする段階、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る、膵臓腫瘍の検出のための方法においては、
(3)(a)体液、細胞または細胞の細胞抽出物もしくは細胞培養上清の群から選択される、膵癌に罹患していることが疑われる患者の試料であって、核酸を含む試料を、
(i)配列番号:1に示された核酸、または該配列に対して相補的な核酸、および
(ii)(i)に由来する核酸のいずれか1つとハイブリダイズする核酸、
からなる群より選択される核酸プローブとともにインキュベートする段階、ならびに
(b)好ましくは試料の核酸および/もしくは核酸プローブの別の結合パートナーにより、またはX線撮影法により、ハイブリダイゼーションを検出する段階、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る、配列番号:2の配列のポリペプチドUKWと結合する抗体の使用においては、(4)膵臓腫瘍細胞の増殖能力および/または浸潤能力を阻害するための組成物の製造における使用であることを特徴とする。
本発明に係る抗体の使用においては、(5)組成物をインビトロの細胞培養物に対して投与する、上記(4)記載の抗体の使用であることを特徴とする。
本発明に係る抗体の使用においては、(6)組成物が薬学的組成物であり、薬学的組成物を膵臓腫瘍に罹患している哺乳動物対象に投与する、上記(4)記載の抗体の使用であることを特徴とする。
本発明に係る薬学的組成物においては、(7)配列番号:1のポリペプチド配列を有するUKWに対する抗体を、薬学的に許容される担体とともに含むことを特徴とする。
本発明により、膵癌の特異的な診断、そのための組成物、および膵癌の治療の治療方法が提供された。
ノーザンブロット解析によって分析した、膵臓腫瘍細胞株SUIT-2 007およびSUIT-2 028におけるUKW mRNAの示差発現(a:膵臓腫瘍細胞株SUIT-2 007;b:膵臓腫瘍細胞株SUIT-2 028)を示す図である。 多組織発現(MTE(商標))アレイ(Clontech、Palo Alto、CA、USA)を示す図である。このアレイは76種の異なる組織からのポリA+RNA、ならびに対照RNAおよびDNAを標準化してローディングしたものを含んでおり、広範囲の胎児組織および成体組織における、標的mRNAの存在および相対的存在量をスクリーニングすることが可能である。H6は膵臓腫瘍細胞株SUIT-2 007からの1 μgの全RNAに対応する。コード体系を下方に示す。 膵臓腺癌(PaCa)、慢性膵炎(ChronPa)および正常膵臓組織(NorPA)に由来する試料における、mRNAの相対的発現量(Taqman(著作権)-PCR)を示す図である。 浸潤性および非浸潤性の膵臓腫瘍細胞株におけるUKW mRNAの相対的発現量を示す図である。 浸潤性および非浸潤性の乳癌細胞株におけるUKW mRNAの相対的発現量を示す図である。膵臓腫瘍細胞株:Suit-2 007(Taniguchi, S.ら、Clin. Exp. Metastasis 10 (1992) 259-266)MiaPaca-2、ATCC CRL 1420AsPC1、ATCC CRL 1682BxPC-3、ATCC CRL 1687Capan-1、ATCC HTB79IMIM-PC-1(Wenger, C.ら、Oncogene 18 (1999) 1073-1080)IMIM-PC-2(Wenger, C.ら、Oncogene 18 (1999) 1073-1080)Panc-1、ATCC CRL 1469Suit-2 028(Taniguchi, S.ら、Clin. Exp. Metastasis 10 (1992) 259-266)Capan-2、ATCC HTB80Patu 8902(Elsasser, H.P.ら、Virchows Arch. B Cell Pathol. Ind. Mol. Pathol. 64 (1993) 201-207)Patu 8988s(Elsasser, H.P.ら、Virchows Arch. B Cell Pathol. Ind. Mol. Pathol. 64 (1993) 201-207)Patu 8988t(Elsasser, H.P.ら、Virchows Arch. B Cell Pathol. Ind. Mol. Pathol. 64 (1993) 201-207)乳癌細胞株:BT-549、ATCC HTB 122Hs578T、ATCC HTB 126MCF-10A、ATCC CRL 10317MCF-12A、ATCC CRL 10782MDA-MB-436(Tong, D.ら、Breast Cancer Res. Treat. 56 (1999) 91-97)MDA-MB-231、ATCC 45518MDA-MB-435、ATCC 45526MDA-MB-157、ATCC HTB24BT-20、ATCC HTB19BT-483、ATCC HTB121CAMA-1、ATCC HTB-21Du4475、DSM ACC427MCF-7、ATCC HTB22MDA-MB-175、ATCC 45516MDA-MB-361、ATCC HTB27MDA-MB-453、DSM ACC65SK-BR-3、ATCC 45520T47D、ATCC HTB133UCAA-812(Tong, D.ら、Breast Cancer Res. Treat. 56 (1999) 91-97)ZR-75-1、ATCC CRL 1500ZR-75-30、ATCC CRL 1504
本明細書で用いる「UKW」という用語は、配列番号:2のポリペプチドをコードする核酸、好ましくは配列番号:1のDNA配列および関連するmRNA配列、ならびに配列番号:2のコードされるポリペプチドのことを意味する。UKWは膜貫通型受容体タンパク質であるため、本ポリペプチドは診断目的に非常に興味深く、抗体結合のためのエピトープとしてはUKWポリペプチドの細胞外ドメインが好ましい。このため、核酸試料およびプローブを、この領域、特に他の遺伝子およびポリペプチドとの相同性が低い部分に対して指向させることが好ましい。
UKW受容体は373アミノ酸から構成される膜貫通タンパク質であり、18アミノ酸のシグナル配列を有する。本受容体は、215アミノ酸の細胞外ドメイン、23アミノ酸の膜貫通ドメイン、および117アミノ酸の細胞質ドメインからなる。細胞外ドメインは93アミノ酸および72アミノ酸から構成される2つの免疫グロブリンC2型折りたたみ構造を呈する。
「核酸またはポリペプチド」という語句は、本出願の全体を通じて、UKW活性を有する核酸またはポリペプチドを指し、これは組換えDNA法によって作製された場合には細胞材料もしくは培地を実質的に含まず、化学的に合成された場合には化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含まない。このような核酸は、核酸が由来する生物において、核酸と本来は隣接している配列(すなわち、核酸の5'および3'末端に位置する配列)を含まないことが好ましい。
本明細書で用いる「UKWに対する核酸プローブおよびプライマー」は、ハイブリダイゼーション法によるUKW核酸の検出に有用な核酸断片を意味する。ハイブリダイゼーションの技法および条件は当業者に周知である。このようなハイブリダイゼーション条件は、例えば、5×SSC、0.5%SDS、1.0mmol/l EDTA、pH 8.0の溶液による洗浄に続いて、50℃〜60℃、5×SSCでの一晩のハイブリダイゼーション、 0.1%SDSを含む2×SSCによる室温での40分間の洗浄を行い、その後に、0.1×SSC、0.1%SDSによる50℃での40分間の洗浄を新たな溶液に1回交換しながら行うことを含む、中程度のストリンジェントな条件である。また、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として、より高い温度(例えば、65℃〜70℃)をハイブリダイゼーションに用いることも可能である。核酸プローブおよびプライマーは通常、少なくとも約50個の連続した位置、最も好ましくは200〜300ヌクレオチドであるUKW核酸セグメントからなる。プローブおよびプライマーの最適化は、最先端技術に従って実施しうる。このようなプローブおよびプライマーの設計に一般に用いられるインフォマティクス用ソフトウエアがある(http://wwwgenome.wi.mit.edu/genome_software/other/primer3.html)。
選択性を高めるには、比較的低い塩濃度および/または高温の条件、例えば、約0.02mol/l〜約0.15mol/lの塩濃度および約50℃〜約70℃の温度を用いることが好ましい。
UKWポリペプチドは、特異的プローブおよびプライマーを用いる診断アッセイで同定することができる。通常、このような方法は、試料中の標的配列をPCR法などの増幅法によって増幅することを含む。定量的な検出は、PCR法により、好ましくは、Roche Diagnostics GmbH, DEのLightCycler(登録商標)などを用いる定量RT-PCRの使用により、行うことができる。
本発明の1つの好ましい態様では、試料のコード核酸を、例えば既知のPCR法により、検査の前に増幅する。通常は、核酸診断の枠組みに含まれる、誘導体化した(標識した)核酸プローブを用いる。このプローブを、担体と結合させた試料由来の変性DNA、RNAまたはRT-DNAと接触させ、このプロセスにおける温度、イオン強度、pHおよび他の緩衝液条件は、核酸プローブの長さおよび組成ならびに予想されるハイブリッド体の融解温度に応じて、標識したDNAまたはRNAが相同なDNAまたはRNAと結合しうるように選択する(ハイブリダイゼーションについては、Wahl, G.M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76 (1979) 3683〜3687も参照されたい)。適した担体は、ニトロセルロースに基づく膜もしくは担体材料(例えば、Schleicher and Schull、BA 85、Amersham Hybond, C.)、粉末状の強化型もしくは結合型ニトロセルロース、または種々の官能基(例えば、ニトロ基)により誘導体化されたナイロン膜(例えば、Schleicher and Schull、Nytran;NEN, Gene Screen;Amersham Hybond M.;Pall Biodyne)である。
被験試料が膵臓腫瘍細胞を含むか否かを判定するためには、核酸と1つまたは複数の標的核酸とのハイブリダイゼーションの概量を測定する。ハイブリダイゼーションの概量を定量的に測定する必要はないが、定量的測定は本発明に含まれる。通常は、ハイブリダイゼーションの概量を、例えばハイブリダイゼーションの検出時の視覚的検査により、定性的に測定する。例えば、試料中の標的核酸とハイブリダイズする標識核酸を分離するためにゲルを用いる場合には、その結果得られたバンドを視覚的に検査することができる。同じ種の個体からの膵臓腫瘍細胞を含まない、単離された核酸のハイブリダイゼーションを行う場合も、同じプロトコールに従う。被験試料におけるハイブリダイゼーションの概量を膵臓腫瘍細胞を含まない試料におけるハイブリダイゼーションの概量と比較して、被験試料が1つまたは複数の標的核酸を膵臓腫瘍細胞を含まない試料よりも多量に含むか否かを明らかにすることができる。
本発明によるさらにもう1つの方法では、第2の試料は用いない。UKW遺伝子の発現が上方制御されるか否かを検出するためには、細胞のUKWのmRNAレベルを標準遺伝子(ハウスキーピング遺伝子(例えば、Shaper, N.L.ら、J. Mammary Gland Biol. Neoplasia 3 (1998) 315-324;Wu, Y.Y.およびRees, J.L.、Acta Derm. Venereol. 80(2000)2-3)のmRNAレベルと、好ましくはRT-PCRによって比較する。
本発明に従って示されるように、UKW核酸は、膵臓腫瘍細胞を含まない試料よりも、および/またはハウスキーピング遺伝子よりも、膵臓腫瘍試料でより多量に発現される。膵臓腫瘍細胞を含む被験試料は、膵臓腫瘍細胞を含まない試料よりもUKW核酸を多量に含むと考えられる。被験試料が上方制御されたUKW核酸を含むこと、すなわち細胞が膵臓腫瘍細胞または乳癌の腫瘍細胞であることを同定するためには、被験試料が有するUKW核酸の概量が、膵臓腫瘍細胞を含まない試料における概量よりもかなり多いことが好ましい。例えば、上方制御されたUKW遺伝子を有する被験試料では膵臓腫瘍細胞を含まない試料よりもUKW遺伝子の量が約15倍〜約60倍多くてもよく、またはUKW mRNAの量がグリセロールアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)もしくはポルフォビリノーゲンデアミナーゼなどのハウスキーピング遺伝子のmRNAよりも、少なくとも3倍多くてもよい。
プローブおよび核酸のハイブリダイゼーションの方法は当業者に知られており、例えば国際公開公報第89/06698号、EP-A 0 200 362、米国特許第2,915,082号、EP-A 0 063 879、EP-A 0 173 251、EP-A 0 128 018に記載されている。
続いて、非特異的結合を防ぐために十分な洗浄および飽和を行った後に、担体を抗体または抗体断片とともにインキュベートすることにより、ハイブリダイズしているDNAまたはRNAを検出する。抗体または抗体断片を、ハイブリダイゼーション中に核酸プローブに取り込まれた物質に対して指向させる。次に抗体を標識する。しかし、直接標識したDNAを用いることも可能である。抗体とのインキュベーションの後に、特異的に結合した抗体複合体のみを検出するために再度洗浄する。続いて、抗体または抗体断片上の標識を利用して、既知の方法に従って測定を行う。
発現の検出は、例えば、以下によって行うことができる:
−固定した全細胞との、固定した塗沫組織とのインサイチューハイブリダイゼーション、
−コロニーハイブリダイゼーション(細胞)およびプラークハイブリダイゼーション(ファージおよびウイルス)、
−サザンハイブリダイゼーション(DNAの検出)、
−ノーザンハイブリダイゼーション(RNAの検出)、
−血清分析(例えば、スロットブロット分析による血清中の細胞の細胞型分析)、
−増幅によるもの(例えば、PCR法)。
このように、本発明による核酸は、膵臓腫瘍の診断および特徴決定における有益なマーカーである。
本発明によれば、膵臓腫瘍のインビボでの進行を阻害するために、UKW発現の阻害物質(例えば、抗体またはアンチセンスヌクレオチド)を用いることができる。
本発明はさらに、UKWのアンタゴニストまたはUKWの発現に対する阻害物質(例えば、抗体およびアンチセンスヌクレオチド)を同定および単離するための方法を提供する。このようなアンタゴニストまたは阻害物質は、膵臓腫瘍の進行を阻害し、インビボでの膵臓腫瘍細胞の大規模なアポトーシスを引き起こすために用いることができる。
本発明により、癌の治療に有用なUKWアンタゴニストの同定および単離のための方法が提供される。これらの方法には、本発明によるポリペプチドの発現を調節するための方法、本発明によるタンパク質に選択的に結合しうるUKWアンタゴニストを同定するための方法、および前記ポリペプチドの活性を調節しうるUKWアンタゴニストを同定するための方法が含まれる。方法にはさらに、UKW遺伝子のmRNAへの転写を調節する、好ましくは阻害するための方法も含まれる。これらの方法はインビトロまたはインビボで実施することができ、本発明の細胞系およびトランスジェニック動物を利用および確立してもよい。
UKWアンタゴニストは、UKWポリペプチドの生物活性を低下させるもしくは阻害する、および/またはUKW遺伝子の転写もしくは翻訳を阻害する物質または化合物と定義される。一般に、UKWアンタゴニストに対するスクリーニング手順は、候補物質を、UKWの発現によって浸潤性が媒介される宿主細胞と、UKW活性を測定するのに適した条件下で接触させることを含む。
UKW活性はいくつかの方法で測定しうる。活性化は通常、インビトロでの運動性および浸潤性の増加などの細胞生理の変化により、または分化状態の変化により、または増殖の亢進をもたらす細胞代謝の変化によって明らかである。
UKWポリペプチドは組換え手段により、または合成的に産生することができる。原核生物で組換え法によって産生する場合には、グリコシル化されていないUKWポリペプチドが得られる。本発明により提供される核酸配列を利用して、任意の所望の細胞(例えば、ヒト細胞のほか、他の哺乳動物の細胞も)のゲノム中のUKW遺伝子またはその変異型を検索し、これらを同定し、かつUKWタンパク質をコードする所望の遺伝子を単離することが可能である。このようなプロセスおよび適したハイブリダイゼーション条件は当業者に知られており、例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、USA、およびHames, B.D., Higgins, S.G.、「Nucleic Acid Hybridisation-A Practical Approach」(1985)IRL Press、Oxford、Englandに記載されている。この場合は通常、これらの刊行物に記載された標準的プロトコールを実験に用いる。
UKWポリペプチドをコードするこのような核酸を利用して、本発明によるポリペプチドを再現性のある様式で大量に入手することができる。原核宿主細胞または真核宿主細胞などの原核生物または真核生物における発現のためには、当業者に知られた方法に従って、核酸を適した発現ベクター中に組み込む。このような発現ベクターは、調節性/誘導性プロモーターを含むことが好ましい。続いて、これらの組換えベクターを、適した宿主細胞、例えば、原核宿主細胞としては大腸菌(E. coli)、または真核宿主細胞としては出芽酵母(Saccharomyces cerevieiae)、奇形癌細胞株PA-1、sc 9117(Buttner, R.ら、Mol. Cell. Biol. 11 (1991) 3573-3583)、昆虫細胞、CHO細胞もしくはCOS細胞などに発現のために導入し、形質転換または形質導入がなされた宿主細胞を、異種遺伝子の発現を許容する条件下で培養する。タンパク質の単離は、既知の方法に従って、宿主細胞または宿主細胞の培養上清から行うことができる。このような方法は、例えば、Ausubel I.、Frederick M.、「Current Protocols in Mol. Biol.」(1992)、John Wiley and Sons、New Yorkに記載されている。細胞培養物中に可溶型が認められなければ、タンパク質のインビトロ再活性化が必要なこともある。
UKWポリペプチドまたはその断片は、組換え産生の後に、免疫沈降、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、等電点フォーカシング、選択的沈降、電気泳動などを含む既知のタンパク質精製法を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって単離することができ、UKWに対する抗体の作製に用いることができる。
本発明はさらに、UKWの発現のために適した組換え発現ベクター、このような発現ベクターをトランスフェクトした組換え宿主細胞、ならびにUKW遺伝子によってコードされるタンパク質の組換え産生のためのプロセスも含む。
UKWに対する抗体は、最先端技術において公知の方法に従って作製しうる。例えば、UKWポリペプチド配列の約10〜100アミノ酸を含むポリペプチドを用いて、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を作製することができる。UKWに由来する適したポリペプチドには、好ましくは、細胞外ドメインからのアミノ酸、好ましくはアミノ酸70位〜80位、99位〜113位、120位〜140位および167位〜182位が含まれる。
その結果得られた抗体を、固相酵素免疫アッセイ法などの標準的な技法を用いて、UKWとの結合能に関してスクリーニングすることができる。抗原エピトープの同定のため、および抗体の作製のための方法は、例えば、Mole、「Epitope Mapping」、Methods in Molecular Biology、第10巻、Manson(編)、p. 105-116、Humana Press, Inc.、1992;Price、「Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」、Monoclonal Antibodies: Production, Engineering, and Clinical Application、RitterおよびLadyman(編)、pp. 60-84、Cambridge University Press、1995;Morris(編)、「Epitope Mapping Protocols 25」、Humane Press, Inc.、1996;およびColiganら(編)、「Current Protocols in Immunology」、pp. 9.3.1-9.3.5およびpp. 9.4.1-9.4.11、John Wiley & Sons、1997に記載されている。
本発明による有用な抗体、特に治療目的に有用な抗体は、膵臓腫瘍細胞の増殖能および浸潤能を低下させることによって同定しうる。この目的のためには、膵臓腫瘍細胞または膵臓腫瘍細胞株、好ましくは細胞株SUIT-2 007をUKWに対する抗体で処理し、増殖能および浸潤能を細胞増殖試薬WST-1(テトラゾリウム塩試薬、Roche Diagnostics GmbH、DE)およびマトリゲル浸潤アッセイ法(BDS Biosciences、www.bdbiosciences.com)によって測定する。
抗UKW抗体は任意の動物種に由来するものでもよく、またはキメラ抗体もしくはヒト化抗体でもよい。特に好ましいのはヒト抗体である。ヒトモノクローナル抗体は、例えば、抗原誘発に反応して特異的なヒト抗体を産生するように操作したトランスジェニックマウスから入手する。この技法では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントを、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座が標的破壊された胚性幹細胞系に由来するマウス系統に導入する。このトランスジェニックマウスはヒト抗原に対して特異的なヒト抗体を合成することができ、このマウスを用いてヒト抗体分泌性ハイブリドーマを作製することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を入手するための方法は、例えば、Green, L.L.ら、Nat. Genet. 7 (1994) 13-21;Lonberg, N.ら、Nature 368 (1994) 856-859;およびTaylor, L.D.ら、Int. Immun. 6 (1994) 579-591に記載されている。
ハイブリドーマ培養物からのモノクローナル抗体の単離および精製は、十分に確立されたさまざまな技法によって行うことができる。このような単離法には、プロテイン-Aセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが含まれる(例えば、Coliganら(編)、「Current Protocols in Immunology」、pp. 2.7.1-2.7.12およびpp. 2.9.1-2.9.3、John Wiley & Sons、1997、Bainesら、「Purification of Immunoglobulin G (IgG)」、Methods in Molecular Biology、第10巻、p. 79-104、The Humana Press, Inc.、1992を参照されたい)。
抗体は本発明による免疫測定法に用いることができる。検出は、生体試料を抗体と接触させ、次に生体試料を、抗体と結合する検出可能な標識がなされた分子と接触させることによって実施しうる。抗体をアビジン/ストレプトアビジン(またはビオチン)と結合させ、検出可能な標識がなされた分子にビオチン(またはアビジン/ストレプトアビジン)を含めることができる。この基本的な技法のさまざまな変法が当業者には周知である。または、抗体を検出可能な標識と結合させて免疫複合体を形成させることもできる。適した検出可能な標識には、例えば、放射性同位元素、蛍光性標識、化学発光性標識、酵素標識、生物発光性標識またはコロイド金が含まれる。このような検出可能な標識がなされた免疫複合体の作製および検出の方法は当業者に周知であり、以下にさらに詳細に説明する。
本発明による抗体は、膵臓腫瘍に罹患している患者の治療に用いられることが好ましい。抗UKW抗体を含む薬学的組成物を用いるこのような治療法の利点は、インビボ膵臓腫瘍モデルで示すことができる。このようなモデルは、Alves, F.ら、Pancreas 23(2001)227-235に記載されている。このインビボモデルには、重症複合免疫不全(SCID)マウスにおける膵管腺癌の同所性移植モデルが含まれる。
一般に、投与する抗UKW抗体の用量は、対象の年齢、体重、身長、性別、医学的全身状態および過去の病歴などの要因によって異なると考えられる。一例としては、抗UKW抗体組成物を、投与1回当たり20 mg〜100 mgタンパク質などの低タンパク質用量として単回または繰り返し投与することができる。または抗体を、投与1回当たり30 mg〜90 mgタンパク質、または40 mg〜80 mgタンパク質、または50 mg〜70 mgタンパク質の用量で投与することもできる。
対象への抗体成分の投与は、好ましくは静脈内、筋肉内への、局所カテーテルを用いた灌流により、好ましくは膵臓への直接的または近接的に行うことができる。投与は連続注入でもよく、単回または多回ボーラス投与によるものでもよい。
薬学的に有用な組成物を調製するために、抗UKW抗体を含む薬学的組成物を既知の方法に従って処方することができ、これにより、治療的タンパク質を薬学的に許容される担体との混合物として配合する。組成物は、その投与がレシピエント患者にとって耐性であれば、「薬学的に許容される担体」であるという。滅菌リン酸緩衝食塩水は薬学的に許容される担体の一例である。他の適した担体は当業者に周知である。例えば、Gennaro(編)、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第19版、Mack Publishing Company、1995を参照されたい。
治療を目的として、治療的有効量の抗UKW抗体および薬学的に許容される担体を患者に投与する。抗体および薬学的に許容される担体の配合物は、投与される量が生理的に有意であれば、「治療的有効量」投与されるという。
抗UKW抗体を含む薬学的組成物は、注射用または注入用の液体の形態として調製することが好ましい。
以下の実施例、参考文献、配列表および図面は本発明の理解を助ける目的で提供するものであり、その真の範囲は添付する特許請求の範囲に示されている。示した手順に、本発明の趣旨を逸脱することなく修正を加えうることは理解されている。
材料および方法:
ノーザンブロット:
SUIT-2 007およびSUIT-2 028細胞株からの全RNA 10 μgを変性1%アガロースホルムアルデヒドゲル上に並べてローディングし、電気泳動によるサイズ分離を行った。BrightStar-Plus(商標)正荷電ナイロン膜へのブロッティングを毛細管性下方移行によって行った。UV架橋(Stratagene UV Stratalinker 2400)の後にブロットをハイブリダイズさせた。Strip-EZ(商標)DNA Kit(Ambion Inc.、Austin、Texas)を用いて、RT-PCR産物をα-[32P]dATPにより2×109 cpm/μgの比活性で標識した。放射性プローブとのプレハイブリダイゼーション(30分間)およびハイブリダイゼーション(一晩)を、68℃のExpressHyb(商標)ハイブリダイゼーション溶液(Clontech、Palo Alto、CA、USA)中で行った。室温の溶液1(2×SSC、0.05%SDS)中で、連続攪拌および洗浄液1を数回交換しながら膜を30分〜40分間洗浄し、その後、50℃の溶液2(0.1×SSC、0.1%SDS)中で新たな溶液に1回交換しながら40分間洗浄した。続いて膜をCronex医用X線フィルム(Sterling Diagnostic Imaging Inc.、USA)に-70℃で2時間露出した。mRNAのローディングおよび膜への移行が等しくなされたことは、ブロットをα-[32P]dATP標識したGAPDH cDNAプローブと再びハイブリダイズさせることによって評価した。
多組織発現アレイ(MTE(商標))
製造者の説明書に従って、ブロットをUKW cDNAに由来するα-[32P]dATP標識プローブとハイブリダイズさせ、X線フィルムに-70℃で62時間露出した。
Taqman(登録商標)-PCR
TaqMan(登録商標)法およびABI PRISM 7700装置(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いてリアルタイム定量PCRを行った。膵臓腺癌、慢性膵炎、および正常膵臓の凍結組織から単離した全RNA10 μgを容量20 μl中での逆転写反応に用いた。続いて、200 ngのcDNAを、4 μlの10×SYBR-Green緩衝液、3 mM MgCl2、1 mM dNTD、0.2単位のウラシル-Nグリコシラーゼ、1単位のAmpliTaq Gold、4 μlのプライマー混合物(各300 nMのプライマー:順方向
Figure 2009284907
逆方向
Figure 2009284907
と混合して、最終容量40 μl中でPCRを行った。PCRプライマーは、Primer Express Software(PE Biosystems、CA、USA)を用いて、50 bpのDNA断片が生じるように設計した。増幅サイクルは以下の通りとした:50℃ 2分間の後に95℃ 10分間、さらに40回の増幅サイクル(95℃ 15秒間および60℃ 60秒間)。これらの実験を2回ずつ行った。結果は各試料に関してUKW遺伝子およびハウスキーピング遺伝子のRNA定常レベルを差し引くことによって算出した。各値を3つの健常組織のUKW mRNAの平均定常レベルによって除算した。比を二乗して逆数値を求めた。
プライマー:
Figure 2009284907
ライトサイクラー(LightCycler)-PCR
Taq DNAポリメラーゼ、SYBR-Green I、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(LightCycler DNA master SYBR-Green I、Roche Molecular Biochemicals)を含む市販のマスター混合物を用い、LightCyclerキャピラリー内でLightCycler(Roche Molecular Biochemicals、Mannheim、Germany)を用いて、LightCycler-PCRを行った。プライマー(順方向
Figure 2009284907
逆方向
Figure 2009284907
最終濃度:0.5 μM)、MgCl2(3 mM)および鋳型DNAをマスター混合物に添加した後に、変性(95℃ 1秒間)、アニーリング(58℃ 5秒間),
および伸長(72℃ 8秒間)を37サイクル行った。温度推移速度はすべて20℃/秒に設定した。PCR増幅の完了後に融解曲線分析を行った。この手順のためには、PCR産物を95℃で変性させ、65℃でアニーリングさせた上で、95℃まで徐々に加熱した。SYBR-Green I蛍光を0.1℃毎に段階的にモニターした。融解曲線を肉眼検査によって分析し、増幅されたUKW遺伝子の再配列構造は85℃〜88℃で融解した。プライマー二量体の形成の対照として、鋳型DNAを含まない対照(「水対照」)を各実験に含めた。通常は小さなピークが78℃に認められ、これは85℃〜88℃で特定の増幅産物によって生じたピークとは区別された。膵癌細胞株Suit-2 007由来のcDNAの連続希釈(1:10、1:50および1:80)を用いて、カルネキシンに対する検量線を作成した。UKW cDNAおよびカルネキシンの相対量を検量線に基づいて決定した。UKW遺伝子の相対的発現量は、各試料に関してUKW遺伝子およびカルネキシンの定常レベルを除算することによって得た、正規化値として算出した。カルネキシン順方向プライマー
Figure 2009284907
逆方向プライマー
Figure 2009284907
UKWポリペプチドに対する抗体の作製
免疫化のために、アミノ酸167位〜182位およびアミノ酸306位〜320位のペプチド(配列番号:2)を合成し、担体分子と結合させた。ウサギ2匹をペプチド混合物により免疫化した。
標準的な免疫化プロトコール(ウサギに対して):
第0日:免疫前血清の採取後に1回目の免疫化
第14日:2回目の免疫化
第28日:3回目の免疫化
第38日:血液試料の採取
第56日:4回目の免疫化
第66日:血液試料の採取
第80日:完全放血
回収した抗血清はアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。

Claims (7)

  1. 患者における膵癌の有無を判定するための方法であって、
    (i)患者から生体試料を入手する段階;
    (ii)試料中の、UKWをコードする核酸の量またはポリペプチドUKWの量を検出する段階;および
    (iii)核酸またはポリペプチドの量を、腫瘍誘発性または腫瘍誘発性でない、細胞内のUKWの発現または存在を判別する境界線を示す所定の標準値と比較し、それによって患者における膵癌の有無を判定する段階、
    を含む方法。
  2. 被験試料および同じ個体または同じ種の異なる個体の非膵臓腫瘍細胞に由来する第2の試料を用いる、患者の組織もしくは体液の被験試料が膵臓腫瘍細胞を含むか否か、または膵臓腫瘍細胞に由来するか否かを判定するためのプロセスであって、
    (a)それぞれの試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、
    (i)配列番号:1の核酸配列またはその断片;
    (ii)(i)の任意の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
    (iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
    (iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、
    からなる群より選択される核酸プローブとともにインキュベートする段階;
    (b)それぞれの試料の該プローブとのハイブリダイゼーションの概量を決定する段階、ならびに
    (c)被験試料のハイブリダイゼーションの概量を第2の試料のハイブリダイゼーションの概量と比較し、被験試料が特定の核酸または核酸の混合物を該第2の試料よりも多量に含むか否かを明らかにする段階、
    を含むプロセス。
  3. 膵臓腫瘍の検出のための方法であって、
    a)体液、細胞または細胞の細胞抽出物もしくは細胞培養上清の群から選択される、膵癌に罹患していることが疑われる患者の試料であって、核酸を含む試料を、
    (i)配列番号:1に示された核酸、または該配列に対して相補的な核酸、および
    (ii)(i)に由来する核酸のいずれか1つとハイブリダイズする核酸、
    からなる群より選択される核酸プローブとともにインキュベートする段階、ならびに
    b)好ましくは試料の核酸および/もしくは核酸プローブの別の結合パートナーにより、またはX線撮影法により、ハイブリダイゼーションを検出する段階、
    を含む方法。
  4. 膵臓腫瘍細胞の増殖能力および/または浸潤能力を阻害するための組成物の製造における、配列番号:2の配列のポリペプチドUKWと結合する抗体の使用。
  5. 組成物をインビトロの細胞培養物に対して投与する、請求項4記載の使用。
  6. 組成物が薬学的組成物であり、薬学的組成物を膵臓腫瘍に罹患している哺乳動物対象に投与する、請求項4記載の使用。
  7. 配列番号:1のポリペプチド配列を有するUKWに対する抗体を、薬学的に許容される担体とともに含む、薬学的組成物。
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