JP2009284876A - エア冷却機構およびこれを用いた栽培施設 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中空の箱体状に形成され、多孔質ボード20からなる側面を備えた本体10と、前記多孔質ボード20に水を供給する給水手段50、52、53と、前記多孔質ボード20を通過して前記本体10内に外気を導入する外気吸引手段30、40とを備え、前記多孔質ボード20が、セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造に形成されるとともに、層方向を水平方向に向けて、前記本体20の側面に設置されている。
【選択図】図2
Description
室内に外気を導入して換気する場合、気温が高い外気を導入すると室内温度が大きく上昇してしまうため、きのこの生育室等には、エアコン等の冷房装置が必須となっており、外気温が高くなる季節においては、冷房装置が頻繁に稼動する状態となる。
このような空調装置を使用せずに省エネルギー化を図る方法としては、自然エネルギーを利用する方法が考えられる。自然エネルギーを利用して家屋を冷房する方法としては、たとえば、家屋の壁面を多孔質材によって形成し、多孔質材に給水し、多孔質材にエアを接触させ、そのときの気化熱を利用してエアを冷却するといった方法がある(たとえば、特許文献1、2)。
多孔質材に給水し、水の気化熱を利用してエアを冷却する方法は、水の気化熱がきわめて大きいことから、エアを冷却する方法として有効な方法ではあるが、きのこ生育室のような施設においては、大きな風量のエアを効率的に冷却できるようにする必要がある。
すなわち、本発明に係るエア冷却機構は、中空の箱体状に形成され、多孔質ボードからなる側面を備えた本体と、前記多孔質ボードに水を供給する給水手段と、前記多孔質ボードを通過して前記本体内に外気を導入する外気吸引手段とを備え、前記多孔質ボードが、セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造に形成されるとともに、層方向を水平方向に向けて、前記本体の側面に設置されていることを特徴とする。なお、本体の側面とは、本体の鉛直方向に設けられる側面である。場合によっては、多孔質ボードを取り付ける面は、鉛直方向に対して傾斜面となっていてもよい。
また、前記給水手段は、前記多孔質ボードの上部から給水する給水部を備えることにより、給水部から給水するだけで、多孔質ボードの全体に給水することができる。
また、前記エア冷却機構を構成する多孔質ボードは、セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造からなるボード体を、厚さ方向に複数枚、積み重ねてボード状に形成されていることにより、効果的に外気を冷却して栽培室に冷却エアを送入して栽培室を効率的に冷房することができる。
以下、本発明に係るエア冷却機構の実施の形態について、添付図面とともに詳細に説明する。
図1は、エア冷却機構の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。本実施形態のエア冷却機構は、矩形の箱体状に形成された外気導入室としての本体10と、本体10の側面を構成する多孔質ボード20と、本体10の天板14に連結された送風ダクト40と、多孔質ボード20に給水する水道等の給水源50とを備える。
多孔質ボード20は本体10の対向する2つの面を構成し、本体10の他の2つの側面は側板11、12によって閉止され、底面は底板13によって閉止される。
本体10の対向する2つの側面にそれぞれ多孔質ボード20が配置され、本体10内に送風ダクト40に連通して吸引ファン30が配置されていることを示す。吸引ファン30および送風ダクト40が外気吸引手段を構成する。また、多孔質ボード20の上部には、多孔質ボード20の長手方向に沿って給水管52、53が配置され、給水管52、53に給水源50が接続されている。
また、ボード体20aは、ポーラス状に形成されることから透水性を備え、保水性においてもすぐれている。ただし、透水性についてみると、セラミック層に平行な方向への透水性がきわめて良好であるのに対して、セラミック層に垂直な方向への透水性は低くなる。実験によると、ボード体20aをセラミック層を鉛直向きとして(立てて)保水した場合は、セラミック層を水平向きとして保水した場合の12%程度しか保水性がないことがわかった。
本実施形態のエア冷却機構は、給水手段により双方の多孔質ボード20に給水し、多孔質ボード20が吸水した状態において吸引ファン30を作動させ、本体10内に外気を導入することによってエアを冷却する。本体10内にエアを導入する際にエアが冷却される作用は、外気によって多孔質ボード20に吸水されている水が気化され、気化熱によって外気が冷却されることによる。
本実施形態のエア冷却機構を実際に作動させ、外気がどの程度冷却されるかを調べた。多孔質ボード20は、前述した、厚さ10cm、縦横50cm角の大きさのものである。吸引ファン30として60Hz、500Wのシロッコファンを使用し、送風ダクト40の内径は216mmである。この条件により、風速9〜11m/秒の風量を得た。
表1に、本体10に導入された外気が、どの程度冷却されたかを、湿度とともに示した。
(実験2)
エア冷却機構として使用した装置は、実験1において使用した装置と同一の装置である。実験2においては、外気温23.3℃、湿度11.7%の条件でエア冷却機構を作動させ、エア冷却機構から排出される空気の温度、湿度、多孔質ボード20の水分量の変動を測定した。表2は、10分ごとの測定値を示している。外気温23.3℃、湿度11.7%は、測定時間内における平均温度、平均湿度である。
実験1において使用した装置と同一の装置を使用し、外気温30.3℃、湿度17.9%の条件でエア冷却機構を作動させ、エア冷却機構から排出される空気の温度、湿度、多孔質ボード20の水分量の変動を測定した。表3に測定結果を示す。
また、多孔質ボード20では、外気を導入している際には連続して、水分の気化作用が生じているから、多孔質ボード20からも蒸発熱が奪われ、多孔質ボード20自体も冷却される。
多孔質ボード20に温水をかけて冷却作用をがどうなるかを実験したが、この場合も、瞬間的に多孔質ボード20が冷却され、多孔質ボード20に水を供給した場合とまったく同様の冷却作用が生じた。
なお、上記実施形態のエア冷却機構は、本体10の2つの面に多孔質ボード20を配置したが、風量を多くとるような場合には、多孔質ボード20を3面あるいは4面に設けてもよい。また、逆に、風量がさほど必要ない場合には、本体10の1つの面のみに多孔質ボード20を配置する構造とすることもできる。また、多孔質ボード20を設ける面の面積を広くしたり狭くしたりすることによって、必要とする風量に対応させることもできる。多孔質ボード20は、ボード体20aを単に積み重ねて形成するから、多孔質ボード20の面積を変えた設計とするといったことも容易である。
多孔質ボード20の鉛直方向への水の浸透性は、多孔質体の特質によってなんら問題がないから、多孔質ボード20の上部から給水することによって、多孔質ボード20全体に容易に給水することができる。これによって、ボード体20aを厚さ方向に何枚も積み重ねて形成した多孔質ボード20であっても、各々のボード体20aに均等に保水させることができ、多孔質ボード20全体としての冷却作用をより効果的に発揮させることができる。
図4は上述したエア冷却機構を、きのこの生育室に設置した例を示す。図4は、栽培瓶が棚60に多数本収容されている状態を示す。生育室内には、冷房用として空調装置70が複数台設けられている。
上述したエア冷却機構は、本体10に連結された送風ダクト40を生育室の壁面に連結し、送風ダクト40から生育室内に冷却エアが送入されるように設ける。
生育室に外気を導入するのは、栽培瓶から発生する二酸化炭素濃度が所定濃度以下となるように換気するためであり、空調装置70を使用しているのは、生育室内を所定温度に維持するためである。
本実施形態のきのこ栽培施設は、生育室に外気を導入する際に、エア冷却機構を介して外気を導入することによって、生育室を効果的に換気することができ、生育室の温度を効率的に下げることが可能となる。
エア冷却機構を作動させたのは、1時間あたり25分、導入外気量は4000立方メートル、外気をエア冷却機構から生育室に導入したときの温度は14℃であった。なお、エア冷却機構を作動させない場合は、外気をそのまま生育室に導入して空調装置を作動させる方法である。
また、本発明に係るエア冷却機構は、きのこ栽培に利用する場合に限定されるものではなく、野菜ハウスなどの、室内空気の換気や冷房が必要である施設、あるいは湿度が上昇することが歓迎され、許容される施設等において好適に用いることができる。
11、12 側板
13 底板
20 多孔質ボード
20a ボード体
30 吸引ファン
40 送風ダクト
50 給水源
60 棚
70 空調装置
Claims (7)
- 中空の箱体状に形成され、多孔質ボードからなる側面を備えた本体と、
前記多孔質ボードに水を供給する給水手段と、
前記多孔質ボードを通過して前記本体内に外気を導入する外気吸引手段とを備え、
前記多孔質ボードが、セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造に形成されるとともに、層方向を水平方向に向けて、前記本体の側面に設置されていることを特徴とするエア冷却機構。 - 前記多孔質ボードは、セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造からなるボード体を、厚さ方向に複数枚、積み重ねてボード状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のエア冷却機構。
- 前記本体は、矩形の箱体状に形成され、
前記多孔質ボードが、前記本体の少なくとも一つの側面に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載のエア冷却機構。 - 前記外気吸引手段は、前記本体に内蔵された吸引ファンと、吸引ファンに連通して設けられた送風ダクトからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のエア冷却機構。
- 前記給水手段は、前記多孔質ボードの上部から給水する給水部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のエア冷却機構。
- 栽培室に外気を冷却して導入する外気の導入機構が設けられた栽培施設であって、
前記外気の導入機構として、
中空の箱体状に形成され、多孔質ボードからなる側面を備えた本体と、前記多孔質ボードに水を供給する給水手段と、前記多孔質ボードを通過して前記本体内に外気を導入する外気吸引手段とを備え、前記多孔質ボードが、セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造に形成されるとともに、層方向を水平方向に向けて、前記本体の側面に設置されて形成されたエア冷却機構が、前記栽培室と前記本体とを連通して設けられていることを特徴とする栽培施設。 - 前記エア冷却機構を構成する多孔質ボードは、
セラミック層が多層に積層され、層方向に貫通気孔が形成された二元構造からなるボード体を、厚さ方向に複数枚、積み重ねてボード状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の栽培施設。
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