JP2009283093A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高記録密度を実現できる磁気記録媒体を高い生産性で安価に製造できる磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】本願発明の磁気記録媒体の製造方法は、凹凸パターンを有する樹脂製のモールドを用いて磁気的に分離した磁気記録パターンを有する方法であり、前記モールドは、互いに対向する一対の基体11,12間に液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を挟み、該硬化性樹脂材料の周縁部分のみを硬化させて積層体10を得る工程、積層体10から一方の基体12を剥離して硬化性樹脂材料の層13を露出させる工程、露出して硬化性樹脂材料の層13に、凹凸パターンを有するマスターモールドを押圧する工程、マスターモールドを押圧したまま硬化性樹脂材料の層13を硬化させて樹脂製のモールドを得る工程、マスターモールドから樹脂製のモールドを剥離する工程を経て作製される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体の製造方法に関するものである。
近年、磁気ディスク装置、フレキシブルディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録装置の適用範囲は著しく増大されその重要性が増すと共に、これらの装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られている。特に、磁気抵抗(MR)ヘッドおよびPRML技術の導入以来、面記録密度の上昇はさらに大きくなり、近年ではさらに巨大磁気抵抗(GMR)ヘッド、トンネル磁気抵抗(TMR)ヘッドなどが導入されたことによって、1年に約100%もの割合で増加を続けている。しかし、磁気記録媒体については、記録密度を更に向上させることが要求されており、そのために磁性層の高保磁力化と高信号対雑音比(SNR)、高分解能を達成することが要求されている。また、近年では線記録密度の向上と同時にトラック密度の増加によって面記録密度を上昇させようという試みもある。
最新の磁気記録装置においてはトラック密度110kTPIにも達している。しかし、トラック密度を上げていくと、隣接するトラック間の磁気記録情報が互いに干渉し合い、その境界領域の磁化遷移領域がノイズ源となりSNRを損なうという問題が生じやすくなる。このことはそのままビットエラーレートの低下につながるため記録密度の向上に対して障害となっている。
面記録密度を上昇させるためには、磁気記録媒体上の各記録ビットのサイズをより微細なものとし、各記録ビットに可能な限り大きな飽和磁化と磁性膜厚を確保する必要がある。しかし、記録ビットを微細化していくと、1ビット当たりの磁化最小体積が小さくなり、熱揺らぎによる磁化反転で記録データが消失するという問題が生じる。
また、トラック間距離が近づくために、磁気記録装置は極めて高精度のトラックサーボ技術を要求されると同時に、記録を幅広く実行し、再生は隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために記録時よりも狭く実行する方法が一般的に用いられている。この方法ではトラック間の影響を最小限に抑えることができる反面、再生出力を十分得ることが困難であり、そのために十分なSNRを確保することがむずかしいという問題がある。
このような熱揺らぎの問題やSNRの確保、あるいは十分な出力の確保を達成する方法の一つとして、記録媒体表面にトラックに沿った凹凸を形成し、あるいは隣接トラック間に非磁性部を形成して、記録トラック同士を物理的に分離することによってトラック密度を上げる方法が検討されている。以下、この方法をディスクリートトラック法という。
ディスクリートトラック型磁気記録媒体の一例として、表面に凹凸パターンを形成した非磁性基板に磁気記録媒体を形成して、物理的に分離した磁気記録トラック及びサーボ信号パターンを形成してなる磁気記録媒体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。 この磁気記録媒体は、表面に複数の凹凸のある基板の表面に軟磁性層を介して強磁性層が形成されており、その表面に保護膜を形成したものである。この磁気記録媒体では、凸部領域に周囲と磁気的に分断された磁気記録領域が形成されている。
この磁気記録媒体によれば、軟磁性層での磁壁発生を抑制できるため熱揺らぎの影響が出にくく、隣接する信号間の干渉もないので、ノイズの少ない高密度磁気記録媒体を形成できるとされている。
ディスクリートトラック法には、何層かの薄膜からなる磁気記録媒体を形成した後にトラックを形成する方法と、あらかじめ基板表面に直接、あるいはトラック形成のための薄膜層に凹凸パターンを形成した後に、磁気記録媒体の薄膜形成を行う方法とが知られている(例えば、特許文献2,特許文献3参照。)。このうち、前者の方法は磁性層加工法と称され、後者の方法をプレエンボス法と称される。
プレエンボス法は媒体表面に対する物理的加工が媒体形成前に完了するため、製造工程を簡略化でき、かつ媒体が製造工程において汚染しにくいという利点があるが、その一方で、基板に形成された凹凸形状が、成膜された膜にも引き継がれることになるため、媒体上を浮上しながら記録再生を行う記録再生ヘッドの浮上姿勢、浮上高さが安定しないという問題点があった。
磁性層加工法による磁気記録媒体の製造方法として、ナノインプリント法を用いる方法が提案されている。具体的には、基板上に成膜した連続な磁性層を、ナノインプリント法を用いて磁気記録トラックパターンやビットパターンに加工する方法である。
ここで、ナノインプリント法とは、転写すべき凹凸パターンが予め形成されたモールドを被転写材に押し付け、光を照射あるいは熱を与えながら被転写材を硬化させることによって、凹凸パターンを被転写材に転写する方法である。
ナノインプリント用モールドは、例えば、シリコン等の表面に100nm以下の超微細凹凸パターンが形成されたものであり、大変高価である。このモールドがインプリントプロセスの際に摩耗し、破損すると、新しいモールドに交換しなければならないため、ナノインプリント法を経て製造される磁気記録媒体製品のコストが上昇することになる。そのため、工業的にナノインプリントプロセスを適用する際には、原器となるマスターモールドを温存する目的で、レプリカモールドが作製される。すなわち、マスターモールドのパターンをスタンパ装置により他の材料に転写させることにより、一つのマスターモールドから多数のレプリカモールドを作製する。
このレプリカモールドは大量に生産されたものであるから、安価である。したがって、レプリカモールドをナノインプリントプロセスのスタンパとして用いれば、モールドが破損しても別のレプリカモールドに交換でき、高価なマスターモールドを温存できる。その結果、微細な凹凸パターンを備えた製品をナノインプリント法により低コストで製造することが可能となる。
このような方法で製造するレプリカモールドとして樹脂製のモールドを用いることが検討され、例えば、光硬化反応を利用して微細パターンを転写する方法(例えば、非特許文献1参照。)、その光硬化時の収縮を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−164692号公報 特開2004−178793号公報 特開2004−178794号公報 特開2005−122047号公報 ステファン・ワイ・チョウ(Stephen Y.Chou)ら、「アプライド・フィジックス・レター」,米国物理学会、67巻,21号,1995年11月20日、p.3314−3116
ナノインプリント法を用いて磁気録媒体を製造する場合、その磁気記録パターンを微細化し、高記録密度を達成するために、ナノインプリント用モールドには、ますます微細なパターン形成が求められている。微細なパターン形成を行うと、モールドの摩耗の進行が速くなり、また破損の頻度が高くなる傾向にある。さらに、樹脂製のレプリカモールドは金属製のモールドに比べ寿命が短いため、樹脂製のモールドを用いる場合は、レプリカモールドを大量に確保しておく必要がある。そのため、レプリカモールドを大量に高い生産性で製造することが求められる。
ところで、マスターモールドの凹凸パターンを転写させる材料においては、硬化性を有し、柔軟性、充填性が高く、厚さが均一であることが要求される。その要求を満足させる方法として、例えば、ゲル状の硬化性樹脂をベースフィルムの上に印刷し、その印刷膜を転写材料としてマスターモールドを押圧する方法が考えられる。
印刷膜を均一な膜厚でフィルム状に保持するためには印刷する樹脂にある程度の粘性が必要であるが、硬化性樹脂の粘性を高めると、マスターモールドによる転写の際に凹凸パターンへの充填性が低下して、転写の精度が低下する傾向にある。
また、ベースフィルムの表面にあらかじめ堰を設け、その堰の中に液体状の硬化性樹脂を流し、それにより得た硬化性樹脂の層にマスターモールドをスタンプする方法が考えられる。しかしながら、この方法は製造設備が大がかりになる上に生産性が低く、しかも薄い層を得ることは困難である。
また、ベースフィルムの上にスピンコートにより硬化性樹脂の薄膜を形成し、その薄膜を転写材料としてマスターモールドを押圧する方法も考えられるが、さらに製造設備が大がかりになる上に生産性が低下する傾向にある。
したがって、これらの方法では、生産性を上げることができず、しかも凹凸パターンの転写の精度が低くなることがある。そのため、ナノインプリント法を用いて磁気録媒体を製造した場合には、磁気記録媒体の記録密度が低下し、また、生産性が低下することがあった。
本願発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、高記録密度を実現できる磁気記録媒体を高い生産性で安価に製造できる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者は、上記課題を解決すべく検討した結果、互いに対向する一対の基体間に粘性の低い硬化性樹脂材料を挟み、その硬化性樹脂材料の周囲を該硬化性樹脂材料の硬化物で囲った積層体を、磁気記録媒体の製造に用いるモールドの製造に用いることで、前記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち、本願発明は以下の通りである。
[1] 基板の少なくとも片面に磁性層を形成する工程、磁性層の表面にレジスト膜を形成する工程、凹凸パターンを有する樹脂製のモールドをレジスト膜に押圧して前記モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写させる工程、レジスト膜からモールドを剥離する工程、転写した凹凸パターンを用いて磁性層に磁気記録パターンを形成する工程を有し、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
前記モールドは、
互いに対向する一対の基体間に、液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を挟み、該硬化性樹脂材料の周縁部分のみを硬化させて積層体を得る工程、
前記積層体から一方の基体を剥離して硬化性樹脂材料の層を露出させる工程、
露出して硬化性樹脂材料の層に、凹凸パターンを有するマスターモールドを押圧する工程、
マスターモールドを押圧したまま前記硬化性樹脂材料の層を硬化させて樹脂製のモールドを得る工程、
マスターモールドから樹脂製のモールドを剥離する工程を経て作製されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[2] 液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする[1]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[3] 硬化性樹脂材料が、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料であることを特徴とする[1]または[2]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[4] 硬化性樹脂材料が300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する放射線硬化性樹脂材料であり、硬化性樹脂材料の硬化物が前記硬化性樹脂材料を放射線照射により硬化させた硬化物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[5] 硬化性樹脂材料の硬化後の樹脂が、300nm〜400nmの範囲内の波長の透過性が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[6] モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写する工程にて、レジスト膜を300nm〜400nmの範囲内の波長の放射線を照射して硬化させることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、高記録密度を実現できる磁気記録媒体を高い生産性で安価に製造できる。
本願発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板の片面に磁性層を形成する工程、磁性層の表面にレジスト膜を形成する工程、凹凸パターンを有する樹脂製のモールドをレジスト膜に押圧して、前記モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写させる工程、レジスト膜からモールドを剥離する工程、転写した凹凸パターンを用いて磁性層に磁気記録パターンを形成する工程を有して、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する方法である。
(モールドの作製方法)
本願発明におけるモールドは、以下の工程を有して得られる。
すなわち、互いに対向する一対の基体間に、液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を挟み、該硬化性樹脂材料の周縁部分を硬化させて積層体を得る工程、前記積層体から一方の基体を剥離する工程、前記硬化性樹脂材料の層に、凹凸パターンを有するマスターモールドを押圧する工程、マスターモールドを押圧したまま前記硬化性樹脂材料の層を硬化させて樹脂製のモールドを得る工程、マスターモールドから樹脂製のモールドを剥離させる工程を有してモールドを得る。
積層体を得る工程の一実施形態例について説明する。
本実施形態例における積層体は、図1に示すように、互いに対向する一対の長尺な基体11,12と、一対の基体11,12間に挟まれた硬化性樹脂材料の層13と、一対の基体11,12間に挟まれ、長さ方向に沿った第1の流動抑止体14,14とを有する。また、硬化性樹脂材料の層13は、一対の基体11,12および第1の流動抑止体14,14によって封入されている。
基体11,12が長尺状である本実施形態例では、その間に挟まれる硬化性樹脂材料の層13の厚さが、フィルムの長さ方向に不均一になる可能性がある。そのため、本実施形態例では、図2に示すように、幅方向に沿った直線状の第2の流動抑止体15,15が一定間隔で設けられている。このように幅方向に第2の流動抑止体15,15が設けられていれば、硬化性樹脂材料が長さ方向に移動しにくくなるため、硬化性樹脂材料の層13の厚さが長さ方向に不均一になることを防止できる。
上記積層体10は以下のようにして作製される。
まず、一方の基体11に、溶剤で希釈した硬化性樹脂材料を塗布し、乾燥させて溶剤を除去させた後、他方の基体12を載せる。
次いで、基体11,12で挟んだ硬化性樹脂材料の周縁部分を硬化させて、第1の流動抑止体14を形成する。第1の流動抑止体14の形成方法については特に制限されるものではなく、硬化性樹脂材料の性質に応じ、適宜選択できるが、例えば、他方の基体12を載せた後、ロールで巻き取る前に紫外線照射機により幅方向の両端部のみを硬化させる方法が挙げられる。この方法によれば、連続生産が効率的であり、生産性をより高くすることができる。
硬化性樹脂材料の層13の粘度が低く、両端部のみを硬化させただけでは、その硬化度や基体11,12に対する接合性が不充分である場合には、複数の紫外線照射機を用いて硬化性樹脂材料に紫外線を照射することが好ましい。
次いで、幅方向に沿って紫外線を照射して、第2の流動抑止体15を形成する。第2の流動抑止体15を形成すれば、封入された硬化性樹脂材料の厚さをより均一化できる。
第2の流動抑止体15の形成方法としては、例えば、紫外線照射装置のオン−オフをタイマーで制御して一定間隔で紫外線を照射する方法、シャッターを用いて、一定間隔に幅方向に沿って紫外線を照射する方法などが挙げられる。
上記のように、第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15を形成することにより、硬化性樹脂材料の層13を封入させる。その後、ロールで巻き取って、積層体10のロールを得る。
本実施形態例における基体11,12は長尺状であるため、マスターモールドを連続的にスタンプできるようになっている。
長尺状の基体11,12の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mである。
基体11,12が長尺状である本実施形態例では、その間に挟まれる硬化性樹脂材料の層13の厚さが、フィルムの長さ方向に不均一になる可能性がある。そのため、本実施形態例では、図2に示すように、幅方向に沿った直線状の第2の流動抑止体15,15が一定間隔で設けられている。このように幅方向に第2の流動抑止体15,15を設ければ、硬化性樹脂材料が長さ方向に移動しにくくなるため、硬化性樹脂材料の層13の厚さが長さ方向に不均一になることを防止できる。
基体11,12の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化性樹脂材料として光硬化性樹脂を用いる場合には、硬化させるための放射線を透過させるものが好ましい。さらに、硬化性樹脂材料の層13の厚さを一定にするために、表面の平滑性が良好になるものがより好ましい。
具体的な基体11,12の材料としては、透明な合成樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。これら材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、基体11,12の少なくとも一方は、硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料であることが好ましい。
積層体10を用いてレプリカモールドを製造する際には、基体11,12の少なくとも一方を剥離するため、基体11,12の少なくとも一方が、硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料であれば、基体11,12を剥離する際の作業性が良好になる。
ただし、基体11,12の剥離性が高すぎると、基体11,12に挟まれた硬化性樹脂材料が漏れ出すおそれがある。そのため、基体11,12の剥離性は、硬化性樹脂材料が漏れ出ない程度であることが好ましい。
また、基体11,12は、圧縮成形する際の加熱による変形を防止するために、圧縮成形する際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。
基体11,12の硬化性樹脂材料の層13側には、剥離性のフィルムであるセパレートフィルムが設けられていてもよい。上述したように、基体11,12は、硬化性樹脂材料の硬化物を剥離可能な材料であることが好ましいが、その一方で、ベースフィルムになる基体11には、硬化性樹脂材料の層13を平坦に保つために高い剛性が求められ、カバーフィルムになる基体12には、剥離しやすさの点から高い可撓性が求められる。この要求に対し、基体11,12の硬化性樹脂材料の層13側にセパレートフィルムを設けて硬化性樹脂材料の硬化物に対する剥離性を確保すれば、基体11,12として剛性または可撓性が高いものを選択できる。したがって、前記要求を容易に満足させることができる。
セパレートフィルムとしては、基体11,12との接合性によっても選択されるが、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
セパレートフィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、8μm〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
セパレートフィルムを用いる場合には、硬化性樹脂材料の硬化物とセパレートフィルムとが、硬化性樹脂材料の硬化物と基体11,12とよりも剥離しやすいことが好ましく、セパレートフィルムと硬化性樹脂材料の硬化物との層間の接着力は、他の各層間の層間接着力よりも小さいことがより好ましい。
基体11,12とセパレートフィルムとの組合せ(以下、基体/セパレートフィルムの組み合わせで示す。)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
また、基体11,12及びセパレートフィルムの少なくとも一方に、接着力を調整するための表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などが挙げられる。
これらのうち、下塗層を塗設する方法としては、ポリオルガノシロキサン、フッ素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーを含む塗布液を、基体11,12またはセパレートフィルムの表面に塗布した後、30℃〜150℃(特に50℃〜120℃)で1分〜30分間乾燥させる方法などが挙げられる。
基体11,12とセパレートフィルムとの静摩擦係数は0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。静摩擦係数が0.3未満であると、滑り過ぎるため、積層体をロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、ロール状に巻くことが困難となることがある。
基体11,12の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜300μmが好ましく、5μm〜200μmがより好ましく、8μm〜100μmが特に好ましい。
硬化性樹脂材料は、液状あるいはゲル状の流動性のある材料とする。中でも、より高精度に樹脂製モールドを製造できることから、その粘度が10Pa・s以下のものが好ましい。ここで、粘度は、25℃の環境下において、例えばビスコメーター(ブルックフィールド社製、商品名「DV−EVISCOMETER」)を用いて測定した値である。
硬化性樹脂材料としては、硬化性に優れることから、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料が好ましい。
また、硬化性樹脂材料としては、積層体10を光ナノインプリント法に用いる場合には放射線硬化性樹脂が用いられ、熱ナノインプリント法を用いる場合には熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。
とりわけ、硬化性樹脂材料としては、放射線硬化性樹脂材料がより好ましい。放射線硬化性樹脂材料によれば、光照射によって短時間にかつ容易に硬化させることができるため、マスターモールドからレプリカモールドを製造する工程を簡便かつ短時間に行うことができる。
放射線硬化性樹脂材料は、300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する樹脂を含有し、硬化後の硬化物の300nm〜400nmの範囲内の波長の透過率が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることが好ましい。このような放射線硬化性樹脂を用いれば、硬化性樹脂材料の硬化性が充分に光を透過させるため、ナノインプリントプロセスに光ナノインプリント法を適用することが可能になる。また、硬化性樹脂材料の硬化物の引張弾性率が1.3GPa以上であれば、ナノインプリント法に適した物性の樹脂製モールドが得られる。
また、このような放射線硬化性樹脂材料は、光硬化時の収縮率が低く、マスターモールドに対する離型性が高いため、この樹脂材料を用いてレプリカモールドを製造すると、微細な凹凸パターンを有する樹脂製モールドを低い不良率で製造できる。
なお、波長の透過率は、例えば分光光度計(日本分光社製、商品名「V−650」)を用いて測定する。測定の際の、試料の硬化膜の厚みは20μmとし、測定温度は室温とする。また、引張弾性率はJIS K7120に準拠して導出する。すなわち、チャック幅50mmでレオメーター(例えば、FUDOH社製、商品名「RT−3010D−CW」)に評価用硬化膜を取り付け、25℃で延伸して、破断点までの変位を求めることにより導出する。
300nm〜400nmの範囲内の紫外線に対して硬化性を有する放射線硬化性樹脂材料としては、アクリル単量体(A)、光重合開始剤(B)および離型剤(C)を含有するものが好ましい。
アクリル単量体(A)としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択できるものであり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類が用いられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート。
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタアエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート。
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のその他の(メタ)アクリレート。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。具体的な商品名としては、ビームセット371(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
これらアクリル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
放射線硬化性樹脂材料中のアクリル単量体の含有量は85〜98質量%が好ましく、87.5〜96質量%がより好ましく、90〜94質量%が特に好ましい。アクリル単量体の含有量が85質量%以上であれば、硬化後の材料を成形して用いる場合に充分に良好な物性が得られ、98質量%以下であれば、重合開始剤や離型剤等との混合により、硬化後の材料の物性調整が容易になる。
光重合開始剤(B)としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
チオキサントン系光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。
放射線硬化性樹脂材料中の重合開始剤の含有量は、アクリル単量体の100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。重合開始剤の含有量が0.001質量部以上であれば、アクリル単量体を短時間に重合でき、10質量部以下であれば、重合開始剤の残渣が硬化物中に残存しにくい。
離型剤(C)としては、より離型性に優れる硬化物が得られることから、含フッ素界面活性剤を含むことが好ましい。さらには、フッ素含有量が10〜70質量%の含フッ素界面活性剤がより好ましく、フッ素含有量が10〜40質量%の含フッ素界面活性剤が特に好ましい。含フッ素界面活性剤は、水溶性であっても油溶性であってもよい。
含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤、カチオン性含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン性含フッ素界面活性剤のいずれであってもよい。これらの中でも、硬化性樹脂材料における相溶性と、その硬化物における分散性が良好であることから、ノニオン性含フッ素界面活性剤が特に好ましい。
アニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸塩、ポリフルオロアルキル燐酸エステル、またはポリフルオロアルキルスルホン酸塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−111(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−143(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120、メガファックR−30(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
カチオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸のトリメチルアンモニウム塩、またはポリフルオロアルキルスルホン酸アミドのトリメチルアンモニウム塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−121(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−134(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−150(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
両性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルベタインが好ましい。両性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−132(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFX−172(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
ノニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルアミンオキサイド、またはポリフルオロアルキル・アルキレンオキサイド付加物が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−145(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンS−393(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−20(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−170(商品名、スリーエム社製)、フロラードFC−430(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−141(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
放射線硬化性樹脂材料中の含フッ素界面活性剤の含有量は、放射線硬化性樹脂材料の全体を100質量%とした際の0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。含フッ素界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であれば、離型性に優れた硬化物を確実に形成でき、10質量%以下であれば、放射線硬化性樹脂材料を容易に調製できる。
硬化性樹脂材料として、熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化性樹脂としては、熱ナノインプリント法に対する適合性の点から、圧縮成形の際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
硬化性樹脂材料の層13の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、3μm〜25μmがより好ましく、5μm〜15μmが特に好ましい。
第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15は、前記硬化性樹脂材料を硬化させた硬化物からなる。第1の流動抑止体14自体および第2の流動抑止体15自体の幅は1mm〜20mmであることが好ましい。第1の流動抑止体14自体および第2の流動抑止体15自体の幅が1mm以上であれば、確実に硬化性樹脂材料を封入でき、20mm以下であれば、未硬化の硬化性樹脂材料の面積を充分に確保できる。
上述した積層体では、硬化性樹脂材料の層13が基体11,12および第1の流動抑止体14および第2の流動抑止体15によって封入されているため、硬化性樹脂材料が流れ出ることを防止して、硬化性樹脂材料の層13を薄くかつ均一な厚さにすることができる。とりわけ、第1の流動抑止体14は、硬化性樹脂材料自体を硬化させたものであるため、硬化性樹脂材料の層13の全体にわたって厚さが均一化されている。そのため、マスターモールドを押圧した際に、高精度に凹凸パターンを転写させて、樹脂製のレプリカモールドを得ることができる。
また、このような積層体10を用いれば、レプリカモールドの製造の原料となる硬化性樹脂材料の層13を、大がかりな設備を用いずにスタンパ装置に容易に連続的に供給できるため、微細な凹凸パターンが形成された樹脂製レプリカモールドを大量に高い生産性で製造できる。
なお、積層体は上記のものに限定されず、例えば、図3に示すように、硬化性樹脂材料の層13を円形状とし、それ以外の部分16を硬化させて流動抑止体としたものであってもよい。
上記の積層体およびマスターモールドを用いて樹脂製のレプリカモールドを作製する方法の一実施形態例について説明する。
図4〜6に、マスターモールドを用いて樹脂製のモールドを作製する装置を示す。
この樹脂製モールド作製装置100は、第1の取付盤111に支持された上型セット110と、第2の取付盤121に支持された下型セット120とを具備している。ここで第1の取付盤111は図示略の油圧シリンダなどの上下移動用アクチュエータ装置に支持されて上下に移動自在に設けられ、第2の取付盤121は図示略の基台上に設置されて固定されている。
前記第1の取付盤111の上方には円盤状のカッターセット部材112が図示略の油圧シリンダなどの上下移動用アクチュエータ装置に支持されて上下に移動自在に設けられている。このカッターセット部材112の底面外周部側には円筒状の外周カッター部114が設けられ、カッターセット部材112の底面中央部には丸棒状の内周カッター部115が設けられ、これら外周カッター部114と内周カッター部115とからカッター部材116が構成されている。また、前記外周カッター部114の先端部側にリング状の外周カッター刃117が下向きに形成され、内周カッター部115の先端部側に内周カッター刃118が形成されている。
前記外周カッター部114は第1の取付盤111の外周部に形成されている透孔111aを介して第1の取付盤111の下方側に延出され、内周カッター部115は第1の取付盤111の中央に形成されている透孔111bを介して第1の取付盤111の下方側に延出され、第1の取付盤111に対するカッターセット部材112の上下移動に応じて外周カッター部114と内周カッター部115とが上下移動するように構成されている。
前記外周カッター刃117の断面は三角形状に形成されており、円筒状の外周カッター部114の内周面114aをそのまま延長した形状の切刃面117aと、外周カッター部114の外方に向いて傾斜する外側刃面117bを有している。前記内周カッター刃118は、丸棒状の内周カッター部115の外周面をそのまま延長した形状の切刃面118aと、内周カッター部115の先端部に形成されている断面逆V字型のすり鉢状の凹部118bからなる切刃形状とされている。
第1の取付盤111の下方側であって、前記外周カッター部114と内周カッター部115との間の部分には、放射線源サポート機構130と照射装置140とが設けられ、照射装置140に内蔵されている高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、キセノン水銀ランプ、紫外LEDランプなどの放射線源から紫外光を下方に照射できるように構成されている。これらの放射線源のうち、成型品の歪みの原因となる熱の発生が小さいことから紫外LEDランプを用いることが特に好ましい。この場合に用いる紫外線の波長として300nm〜400nmの範囲を例示することができる。
照射装置140の下方には枠状のサポート部材150が設置され、このサポート部材150の下方側に円盤状のガラス盤などの透放射線押圧基盤160が設けられている。前記放射線源サポート部材150と照射装置140と透放射線押圧基盤160が第1の取付盤111に一体化されており、第1の取付盤111の上下移動に応じて透放射線押圧基盤160が上下移動するように構成されている。
一方、第2の取付盤121の上には、同一高さの円筒状の内側摺動サポート部材170と円筒状の外側摺動サポート部材180が設けられ、これらの間には円盤状の受け台190が上下に摺動自在に嵌め込まれ、受け台190はその下方側に設けられたバネ部材などの弾性部材191により支持されている。この受け台190の上には、摺動サポート部材170、180よりも若干上方に突出するようにドーナツ円盤状のマスターモールド20が設置されている。
このマスターモールド20はその上面側に転写するべき凹凸パターンが形成されたものである。本実施形態例ではディスクリートトラック型磁気記録媒体の表面に凹凸パターンを形成するための樹脂製モールドを製造しようとするので、マスターモールド20の表面にはディスクリートトラック型磁気記録媒体の表面に形成する薄膜の凹凸パターンが形成されている。
また、前記内側サポート部材170の中心部には、前記ロッド状の内周カッター刃118を挿入可能な凹部171が形成されている。
図4に示す構成の装置で樹脂製のモールドを製造するには、目的の樹脂製のモールドの基になる前記のフィルム状の積層体10を用意する。
積層体10のカバーフィルムである一方の基体12を剥離して硬化性樹脂材料の層13(図1参照)を露出させる(以下、基体12を剥離したものを積層体10aという。)。図7に示すように、マスターモールド20と透放射線押圧基盤160の間に挟み込み、第1の取付盤111を下降させて透放射線押圧基盤160を介して積層体10aをマスターモールド20の表面に規定の圧力で押し付ける。このマスターモールド20はNi合金などの精密加工が可能な材料であって、現状の成形加工技術で微細な凹凸を精密に形成することができる材料から成るメタルプレートなどを適用できる。
この操作によりマスターモールド20の表面に形成されている微細凹凸の逆パターンである微細凹凸パターンを積層体10aの硬化性樹脂材料の層13に転写する(以上の工程を転写工程という。)。
次いで、マスターモールド20の表面に積層体10aを押しつけた状態のまま、照射装置140から紫外放射線を照射し、硬化性樹脂材料を硬化させる(以上の工程を硬化工程という。)。
この硬化の前にまたは後、もしくは硬化中に、図8に示すように、カッターセット部材112を下降させて外周カッター部114と内周カッター部115を下降させ、外周カッター刃117と内周カッター刃118により積層体10aから円板状の樹脂製のモールド30を打ち抜く(以上の工程を打ち抜き加工工程という。)。
この打ち抜き時において外周カッター刃117が円筒状の外側摺動サポート部材180の外周の延長面に沿って摺動しつつ積層体10aを打ち抜くとともに、内周カッター刃118は内側摺動サポート部材170の内側に沿って摺動しつつ積層体10aを打ち抜くので、正確な位置にて積層体10aを打ち抜くことができ、目的通りの内径寸法と外径寸法のドーナツ円盤状のモールド30を得ることができる。
また、図8に示すように、積層体10aを打ち抜いてモールド30となった部分を除く部分において、内周カッター刃118により打ち抜かれた積層体10aの中心部10bは内側摺動サポート部材170の中心の凹部171側に排出され、外周カッター刃117により打ち抜かれた積層体10aの外周部10cは外側摺動サポート部材180の外周側に排出される。ここで、摺動サポート部材170の凹部171の内径は内周カッター刃118の外径とほぼ等しい大きさとされているので、積層体10aを打ち抜く際、凹部171の内周縁に沿って積層体10aを無理なく正確な位置で内周カッター刃118により打ち抜くことができ、打ち抜き精度を高めることができる。また、外側摺動サポート部材180の外径は外周カッター刃117の内径とほぼ等しい大きさとされているので、積層体10aを打ち抜く際、外側摺動サポート部材180の外周縁に沿って積層体10aを無理なく正確な位置で外周カッター刃117により打ち抜くことができ、打ち抜き精度を高めることができる。よって内周円の形状及び位置精度と外周円の形状及び位置精度がいずれも高い目的のドーナツ円盤状に積層体10aを打ち抜くことができる。
本製造方法において、樹脂製のモールドを、同一のパターンが連続して設けられた長尺状とする場合には、カッター刃による打ち抜きを内周円のみとし、外周円の打ち抜きを行わない。
図8に示すように、積層体10aを打ち抜き後、図9に示すように第1の取付盤111とカッターセット部材112とを上昇させると、外周カッター刃117と内周カッター刃118の間に挟まれた状態でモールド30が持ち上がるので、図10に示すように、第1の取付盤111に対してカッターセット部材112を上昇させて外周カッター刃117と内周カッター刃118をモールド30から外すように移動し、更に、先端部に折曲部41を有する取出ロッド40などの剥離手段を用いてモールド30を取り出すことができる。この取出時において、外周カッター刃117と内周カッター刃118をモールド30から既に外しており、モールド30は透放射線押圧基盤160のみに密着した状態であるので、取出ロッド31によりモールド30を容易に剥離することができる。
モールド30を透放射線押圧基盤160から取り外した後、新たな積層体10aを図11に示すように、透放射線押圧基盤160とマスターモールド20の間に配置し、再度、上述した押圧加工工程、紫外線照射工程、打ち抜き加工工程を施してモールド30を得る。そして、上記の操作を繰り返し行うことにより、モールド30を大量生産することができる。
(磁気記録媒体の製造方法)
本願発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、ディスクリートトラック型磁気記録媒体やパターンドメディアの製造に適用される。この種の磁気記録媒体として、非磁性基板の表面に磁性層や保護層を形成したものを例示することができる。
例えば、上記のような非磁性基板の表面に形成される磁性層は、面内磁性層でも垂直磁性層でもかまわない。これら磁性層は主としてCoを主成分とする合金から形成することが好ましい。
例えば、面内磁気記録媒体用の磁性層としては、非磁性のCrMo下地層と強磁性のCoCrPtTa磁性層からなる積層構造を利用できる。
垂直磁気記録媒体用の磁性層としては、例えば軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる裏打ち層と、Pt、Pd、NiCr、NiFeCrなどの配向制御膜と、必要によりRu等の中間膜、及び60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金からなる磁性層を積層したものを利用することができる。
磁性層の厚さは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とする。磁性層は使用する磁性合金の種類と積層構造に合わせて、十分なヘッド出入力が得られるように形成すればよい。磁性層の膜厚は再生の際に一定以上の出力を得るにはある程度以上の磁性層膜厚が必要であり、一方で記録再生特性を表す各パラメーターは出力の上昇とともに劣化するため、適切な膜厚に設定する必要がある。通常、磁性層はスパッタ法により薄膜として形成する。
本磁気記録媒体の製造方法では、上記磁性層に磁気的に分離した磁気記録パターンを形成するが、その工程に先立ち、磁性層の表面にレジスト膜を形成する工程、凹凸パターンを有する樹脂製のモールドをレジスト膜に押圧して、前記モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写させる工程、レジスト膜からモールドを剥離する工程を有して、マスク層を形成する。
以下、上記のモールドを用いた本願発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例について説明するが、本願発明の製造方法は、下記の方法に限定されるものではない。
本例の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、非磁性基板210に、少なくとも磁性層220を形成する工程A(図12参照)、磁性層220の上にマスク層230を形成する工程B(図13参照)、マスク層230の上にレジスト膜240を形成する工程C(図14参照)、レジスト膜240に磁気記録パターンのネガパターンを、樹脂製のモールド250を用いて転写する工程D(工程Dにおける矢印はモールド250の動きを示す。よって下向きの矢印は樹脂製のモールド250をレジスト膜240に押圧する工程、上向きの矢印は基板210からモールド250を剥離する工程をさす。)(図15参照)、磁気記録パターンのネガパターンに対応する部分(工程Dの図の凹部)のマスク層230を除去する工程E(工程Dで凹部にレジスト膜240が残っている場合はレジスト膜240及びマスク層230の除去工程)(図16参照)、レジスト膜240側表面から磁性層220の表層部を部分的にイオンミリングする工程F(符号270は磁性層で部分的にイオンミリングした箇所を示す。また符号dは、磁性層でイオンミリングした深さを示す。)(図17参照)、磁性層220のイオンミリングした箇所を反応性プラズマや反応性イオン270にさらして磁性層220の磁気特性を改質する工程G(符号280は磁性層で磁気特性が改質した箇所を示す。)(図18参照)、レジスト膜240およびマスク層230を除去する工程H(図19参照)、磁性層220に不活性ガスを照射する工程、磁性層220の表面を保護膜290で覆う工程I(図20参照)を有する方法である。
本製造方法における工程Bで、磁性層220の上に形成するマスク層230は、Ta、W、Ta窒化物、W窒化物、Si、SiO、Ta、Re、Mo、Ti、V、Nb、Sn、Ga、Ge、As、Niからなる群から選ばれた何れか一種以上を含む材料で形成することが好ましい。このような材料を用いることにより、マスク層230のミリングイオン260に対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層230による磁気記録パターン形成特性を向上させることができる。さらに、これらの物質は、反応性ガスを用いたドライエッチングが容易であるため、工程Hにおいて、残留物を減らし、磁気記録媒体表面の汚染を減少させることができる。
本製造方法では、これらの物質の中で、マスク層230として、As、Ge、Sn、Gaを用いることが好ましく、Ni、Ti、V、Nbを用いることがより好ましく、Mo、Ta、Wを用いることが最も好ましい。マスク層230の厚さは一般的には1nm〜20nmの範囲が好ましい。
次いで、工程Cにおいて、このマスク層230を介して磁性層220の上にレジストを塗布してレジスト膜240を形成する。レジストとしては、樹脂製のモールドによる転写特性の良いものが使用できるが、放射線に対して硬化性を有する樹脂とすることが好ましく、例えば、ノボラック系樹脂、アクリル酸エステル類、脂環式エポキシ類等の紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。
次いで、工程Dにて、凹凸パターンが形成された樹脂製のモールド250をレジスト膜240に押圧し、モールド250の凹凸パターンをレジスト膜240に転写し、その後、基板210からモールド250を剥離させる。ここで、樹脂製のモールド250をレジスト膜240に押しあてる圧力は一例として60MPa以下の圧力とすることができる。この圧力は圧縮力/モールド面積として算出することができ、換言すると、プレス装置で検出した加重をモールド面積で割ることで求めることができる。また、樹脂製のモールド250は任意の形状とすることが可能で、例えば、外周部と内周部の両方を打ち抜いた円盤状とできるが、本製造方法では、前述したように、図21に示すような、同一のパターンが連続して設けられた長尺樹脂製のモールド250を用いることが磁気記録媒体の生産性から好ましい。
また、図21に示すように、長尺のモールド250に開口部10dを設け、この開口部10dを基板210の開口部に一致させて位置合わせを行い、さらにモールド250を放射線透過性の治具により基板210に押しあて、治具側からレジスト膜240を硬化させるための放射線を照射することにより、磁気記録媒体を高い生産性で製造できる。
また、図21に示したフィルムでは、同一パターンのモールドを連続して設けているため、各工程を連続して行うことが可能となり、また、容易に磁気記録媒体基板の両面を同時に処理することが可能となる。
本製造方法では、工程C、Dで示した、レジスト膜240に磁気記録パターンのネガパターンを転写した後のレジスト膜240の凹部の厚さを、0〜10nmの範囲内とすることが好ましい。レジスト膜240の凹部の厚さをこの範囲とすることにより、工程Eで示したマスク層230のエッチング工程において、マスク層230のエッジの部分のダレを無くし、マスク層230のミリングイオン260に対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層230による磁気記録パターン形成特性を向上させることができる。レジストの厚さは一般的には10nm〜100nm程度である。
工程C、Dのレジスト膜240に用いる材料としては、放射線硬化性の材料を用いることが好ましいが、レジストへの放射線照射は、レジスト膜240にモールド250を用いてパターンを転写する工程に際して行う他、パターン転写工程の後に、レジスト膜240に照射してもよい。このような製造方法を用いることにより、レジスト膜240に、モールド250の凹凸パターンを精度良く転写することが可能となり、工程Eで示したマスク層230のエッチング工程において、マスク層230のエッジの部分のダレを無くし、マスク層230の注入イオンに対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層230による磁気記録パターン形成特性を向上させることができる。なお、本願発明における放射線とは、熱線、可視放射線、紫外線、X線、ガンマ線等の広い概念の電磁波である。また、放射線により硬化性を有する材料とは、例えば、熱線に対しては熱硬化樹脂、紫外線に対しては紫外線硬化樹脂である。
モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写する工程においてレジスト膜240を硬化させる放射線は、汎用的であり、しかも生産性をより高くできる点では、300nm〜400nmの範囲内の波長の紫外線が好ましい。
本製造方法では、特に、レジスト膜240にモールド250を用いてパターンを転写する工程に際して、レジスト膜240の流動性が高い状態で、レジスト膜240にモールド250を押圧し、その押圧した状態で、レジスト膜240に放射線を照射することによりレジスト膜240を硬化させ、その後、モールド250をレジスト膜240から離すことにより、モールド250の形状を精度良く、レジスト膜240に転写することが可能となる。
レジスト膜240にモールド250を押圧した状態で、レジスト膜240に放射線を照射する方法としては、モールド250の反対側から照射する方法の他、基板210側から放射線を照射する方法、モールド250の側面から放射線を照射する方法、熱線のように固体に対して伝導性の高い放射線を用いて、モールド材料または基板210からの熱伝導により放射線を照射する方法を用いることができる。
このような製造方法により、磁気トラック間領域(磁性層220を分離する領域)の磁気特性を低下、例えば保磁力、残留磁化を極限まで低減させることにより磁気記録の際の書きにじみをなくし、高い面記録密度の磁気記録媒体を得ることができる。
本製造方法では、工程Fに示すように、イオンミリング等により磁性層220の表層の一部を除去することが好ましい。本製造方法のように、磁性層220の表層の一部を除去し、その後に、表面を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層220の磁気特性を改質させた方が、磁性層220の一部を除去しなかった場合に比べ、磁気記録パターンのコントラストがより鮮明になり、また磁気記録媒体のS/Nが向上する。この理由としては、磁性層220の表層部を除去することにより、その表面の清浄化・活性化が図られ、反応性プラズマや反応性イオンとの反応性が高まったこと、また磁性層220の表層部に空孔等の欠陥が導入され、その欠陥を通じて磁性層220に反応性イオンが侵入しやすくなったことが考えられる。
イオンミリング等により磁性層220の表層の一部を除去する深さdは、好ましくは、0.1nm〜15nmの範囲内、より好ましくは、1〜10nmの範囲内とする。イオンミリングによる除去深さが0.1nmより少ない場合は、前述の磁性層220の除去効果が現れず、また、除去深さが15nmより大きくなると、磁気記録媒体の表面平滑性が低下し、磁気記録再生装置を製造した際の磁気ヘッドの浮上特性が低下する傾向にある。
本製造方法では、例えば磁気記録トラック及びサーボ信号パターン部を磁気的に分離する領域を、すでに成膜された磁性層220を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層220の磁気特性を改質(磁気特性の低下)することにより形成する。
ここで、磁気的に分離した磁気記録パターンとは、工程Gに示されるように、磁気記録媒体を表面側から見た場合、磁性層220が非磁性化等した領域280により分離された状態をさす。すなわち、磁性層220が表面側から見て分離されていれば、磁性層220の底部において分離されていなくとも、本願発明の目的を達成することが可能であり、磁気的に分離した磁気記録パターンの概念に含まれる。また、磁気記録パターンは、磁気記録パターンが1ビットごとに一定の規則性をもって配置された、いわゆるパターンドメディアや、磁気記録パターンが、トラック状に配置されたメディアや、その他、サーボ信号パターン等を含んでいる。
この中で本製造方法は、磁気的に分離した磁気記録パターンが、磁気記録トラック及びサーボ信号パターンである、いわゆる、ディスクリート型磁気記録媒体に適用することが、その製造における簡便性から好ましい。
本製造方法において、磁気記録パターンを形成するための磁性層220の磁気特性の改質とは、磁性層220をパターン化するために、磁性層220の保磁力、残留磁化等を部分的に変化させることを指し、その変化とは、保磁力を下げ、残留磁化等を下げることを指す。
さらに本製造方法では、磁気記録トラック及びサーボ信号パターン部を磁気的に分離する箇所を、すでに成膜された磁性層220を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層220を非晶質化することにより実現することも可能である。すなわち、磁性層220の磁気特性の改質は、磁性層220の結晶構造の改質によって実現することも含む。ここで、磁性層220を非晶質化するとは、磁性層220の原子配列を、長距離秩序を持たない不規則な原子配列の形態とすることを指し、より具体的には、2nm未満の微結晶粒がランダムに配列した状態とすることを指す。そしてこの原子配列状態を分析手法により確認する場合は、X線回折または電子線回折により、結晶面を表すピークが認められず、また、ハローが認められるのみの状態とする。
磁性層220の改質の際に用いられる反応性プラズマとしては、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)や反応性イオンプラズマ(RIE;Reactive Ion Plasma)が例示できる。また、反応性イオンとは、前述の誘導結合プラズマ、反応性イオンプラズマ内に存在する反応性のイオンが例示できる。
誘導結合プラズマとは、気体に高電圧をかけることによってプラズマ化し、さらに高周波数の変動磁場によってそのプラズマ内部に渦電流によるジュール熱を発生させることによって得られる高温のプラズマである。誘導結合プラズマは電子密度が高く、従来のイオンビームを用いてディスクリートトラックメディアを製造する場合に比べ、広い面積の磁性層220において、高い効率で磁気特性の改質を実現することができる。反応性イオンプラズマとは、プラズマ中にO、SF、CHF、CF、CCl等の反応性ガスを加えた反応性の高いプラズマである。このようなプラズマを反応性プラズマとして用いることにより、磁性層220の磁気特性の改質をより高い効率で実現することが可能となる。
本製造方法では、反応性プラズマもしくは反応性イオンが、ハロゲンイオンを含有することが好ましく、また、ハロゲンイオンが、CF、SF、CHF、CCl、KBrからなる群から選ばれた何れか1種以上のハロゲン化ガスを反応性プラズマ中に導入して形成したハロゲンイオンであることが、磁性層220とプラズマとの反応性を高め、また、形成するパターンの精度をより向上させる点で好ましい。この理由の詳細は明らかではないが、反応性プラズマ中のハロゲン原子が、磁性層220の表面に形成している異物をエッチングし、これにより磁性層220の表面が清浄化し、磁性層220の反応性が高まることが考えられる。また、清浄化した磁性層220表面とハロゲン原子とが高い効率で反応することが考えられる。
本製造方法では、成膜された磁性層220を反応性プラズマにさらすことにより磁性層220を改質するが、この改質は、磁性層220を構成する磁性金属と反応性プラズマ中の原子またはイオンとの反応により実現することが好ましい。ここでいう反応としては、磁性金属に反応性プラズマ中の原子等が侵入し、磁性金属の結晶構造が変化すること、磁性金属の組成が変化すること、磁性金属が酸化すること、磁性金属が窒化すること、磁性金属が珪化すること等が例示できる。
本製造方法では、その後、工程Hに示すように、レジスト膜240およびマスク層230を除去する。この工程は、ドライエッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、湿式エッチング等の手法を用いることができる。
本製造方法では、その後、工程Iに示すように、工程F、G、Hの工程で活性化した磁性層220に不活性ガスを照射し、磁性層220を安定化させる。このような工程を設けることにより、磁性層220が安定し、高温多湿環境下においても磁性粒子のマイグレーション等の発生が抑制される理由は明らかではないが、磁性層220の表面に不活性元素が侵入することにより磁性粒子の移動が抑制されること、または、不活性ガスの照射により、磁性層220の活性な表面が除去され、磁性粒子のマイグレーション等が抑制されることが考えられる。
不活性ガスとしては、Ar、He、Xeからなる群から選ばれた何れか1種以上のガスを用いることが好ましい。これらの元素は安定であり、磁性粒子のマイグレーション等の抑制効果が高いからである。不活性ガスの照射は、イオンガン、ICP,RIEからなる群から選ばれた何れかの方法を用いることが好ましい。この中で特に、照射量の多さの点で、ICP,RIEを用いることが好ましい。ICP,RIEについては前述したとおりである。
本製造方法では、工程Iに示すように、保護膜290を形成後、潤滑材を塗布して磁気記録媒体を製造することが好ましい。保護膜290の形成は、一般的にはDiamond Like Carbonの薄膜をP−CVDなどを用いて成膜する方法が行われるが特に限定されるものではない。保護膜としては、炭素(C)、水素化炭素(HC)、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質層やSiO、Zr、TiNなど、通常用いられる保護膜材料を用いることができる。また、保護膜が2層以上の層から構成されていてもよい。
保護膜290の膜厚は10nm未満とする必要がある。保護膜の膜厚が10nmを超えるとヘッドと磁性層220との距離が大きくなり、十分な出入力信号の強さが得られなくなるからである。
保護膜290の上には潤滑層を形成することが好ましい。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられ、通常1〜4nmの厚さで潤滑層を形成する。
この磁気記録媒体の製造方法では、マスターモールド250の凹凸パターンをレジスト膜240に転写するに際して、モールド250の裏面からレジスト膜240を硬化させるための放射線を照射することが可能となる。これにより、磁性層220表面に磁気記録パターンを形成するためのマスク層230を短時間で形成することが可能となり磁気記録媒体の生産性を高めることができる。
さらに、上記の方法では、マスターモールドの凹凸パターンが高精度に転写されたモールドを用いるため、磁気記録媒体の記録密度を向上させることができる。
なお、上記磁気記録媒体の製造方法は、イオンミリングする工程Fを含む方法であるが、この工程Fを省略しても構わない。工程Fを省略した場合には、マスクが除去されて磁性層220が露出した面が反応性プラズマや反応性イオンにさらされることになる。
また、この磁気記録媒体の製造方法では、磁性層220にレジストを塗布する工程、凹凸形状のパターンが形成された樹脂製のモールドをレジストに押しあてる工程、モールドの凹凸パターンをレジストに転写する工程を、基板の両面に対して同時に行うことができる。これは、本願発明におけるモールドは可撓性の高いフィルム状であるため扱い易く、また、このフィルムを長尺状とすることができるため、磁気記録媒体用基板の両表面へのモールドの供給、押しあて、転写、剥離、回収を容易に行うことができるからである。
(磁気記録媒体の用途)
上記の製造方法により得た磁気記録媒体は磁気記録再生装置等に用いられる。
磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を図22に示す。この磁気記録再生装置は、上述の本発明の磁気記録媒体300と、これを記録方向に駆動する媒体駆動部400と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと500、磁気ヘッド500を磁気記録媒体300に対して相対運動させるヘッド駆動部600と、磁気ヘッド500への信号入力と磁気ヘッド500からの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段を組み合わせた記録再生信号系700とを具備したものである。これらを組み合わせることにより記録密度の高い磁気記録装置を構成することが可能となる。磁気記録媒体の記録トラックを磁気的に不連続に加工したことによって、従来はトラックエッジ部の磁化遷移領域の影響を排除するために再生ヘッド幅を記録ヘッド幅よりも狭くして対応していたものを、両者をほぼ同じ幅にして動作させることができる。これにより十分な再生出力と高いSNRを得ることができるようになる。
さらに上述の磁気ヘッドの再生部をGMRヘッドあるいはTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記録装置を実現することができる。またこの磁気ヘッドの浮上量を0.005μm〜0.020μmと、従来より低い高さで浮上させると、出力が向上して高い装置SNRが得られ、大容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することができる。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度100kトラック/インチ以上、線記録密度1000kビット/インチ以上、1平方インチ当たり100Gビット以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なSNRが得られる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(硬化性樹脂材料の調製)
ビームセット371(荒川化学工業社製)を77.4質量部、イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の25質量%アセトン溶液を6.0質量部、メガファックR−30(DIC株式会社製)を2.5質量部、酢酸エチル(希釈溶剤)を16.4質量部配合して、紫外線硬化性の硬化性樹脂材料の溶液を調製した。
この硬化性樹脂材料の粘度は59.1mPa・sであり、硬化後の硬化物は、波長365nmの透過率が65%、温度25℃における引張弾性率が0.03GPaである。
(積層フィルムの製造)
得られた硬化性樹脂材料の溶液を、易接着処理を施したベースフィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、厚さ50μm、幅100mm、長さ1000m)上に塗布した。
次いで、希釈溶剤を揮発させて、厚さ30μmの紫外線硬化性樹脂材料の層(粘度:2Pa・s)を形成させた。
次いで、その硬化性樹脂材料の層の上に、カバーフィルムとしてシリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ16μm)を貼り合せて、硬化性樹脂材料の層をベースフィルムとカバーフィルムで挟んだ積層フィルムを得た。
(硬化性樹脂材料の封入)
得られた積層フィルムの幅方向の両端部に90mm×10mmの幅で紫外線(365nm、36mW/m)を照射して流動抑止体を形成しながら、ABS樹脂製円筒状巻き芯を用いて1080mm/分の巻取り速度で巻き取った。これにより、長さ150m、幅100mmで、幅方向の両端部10mmが硬化されて流動抑止体になった積層体のロールを得た。
(レプリカモールドの製造)
得られた積層体のロールとマスターモールドを用いて、レプリカモールドを製造した。
マスターモールドとしては、厚さ0.3mm、内径16mm、外径63.5mmのニッケル電鋳製のドーナツ盤の表面に凹凸高さ80nm、凸部幅120nm、凹部幅80nmの同心円パターンを多数形成したスタンパを用いた。
このマスターモールドのパターン面を下にしてスタンパ装置に取り付けた。次いで、前記積層体を、カバーフィルムの表面を上にしてカバーフィルムの表面がマスターモールドのパターン面と対向するように供給した。
次いで、積層体からカバーフィルムを剥離させ、硬化性樹脂材料の層にマスターモールドを圧力30MPaで10秒間押し付けた。その状態のまま、照度が30mW/cmに設定された紫外線照射装置(波長365nmのLEDランプ)により紫外線を20秒間照射して、硬化性樹脂材料を硬化させた。そして、紫外線の照射を停止し、マスターモールドを上昇させ、硬化性樹脂材料の層にパターンを転写させたレプリカモールドを得た。この工程を連続的に行い、積層体のロールから1500個のレプリカモールドを得た。
(レジスト膜付磁気記録媒体基板の作製)
磁気記録媒体用ガラス基板を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を1.0×10−5Pa以下に真空排気した。ここで使用したガラス基板はLiSi、Al−KO、Al−KO、MgO−P、Sb−ZnOを構成成分とする結晶化ガラスを材質とし、外径65mm、内径20mm、平均表面粗さ(Ra)は2オングストロームである。
該ガラス基板にDCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として65Fe−30Co−5B、中間層としてRu、磁性層として74Co−6Cr−18Pt−2SiO(これらはモル比。)合金の順に薄膜を積層した。それぞれの層の膜厚は、FeCoB軟磁性層は60nm、Ru中間層は10nm、磁性層は15nmとした。その上に、スパッタ法を用いてマスク層を形成した、マスク層にはTaを用いて膜厚は60nmとした。この磁気記録媒体の両面に、レジストをスピンコート法により塗布してレジスト膜を形成した。レジストとしては、紫外線硬化樹脂であるPAK−01(東洋合成(株)製)を用いた。また膜厚は、100nmになるように樹脂を溶媒で希釈して調整した。
<樹脂製のモールドを用いたインプリント>
上記磁気記録媒体基板に上記樹脂製のレプリカモールドを、凹凸パターンの面が磁気記録媒体基板のレジスト膜に対向するように石英製の治具で両側から挟んだ。なお、石英製の治具の一方には、磁気記録媒体基板および樹脂製のレプリカモールドの位置合わせ用の、直径20mmの円柱状の棒が垂直に設けられている。この2つの石英製治具同士を、圧力0.6MPaで10秒間押圧した後、圧力を変えないまま、石英製治具側から波長365nmのLEDランプで照度30mW/cmの紫外光を照射した。その後、磁気記録媒体基板からレプリカモールドを剥がし取り、モールドはフィルム巻き取り機により回収した。
基板表面のレジスト膜の厚さは80nm、レジスト膜の凹部の厚さは約5nmであった。また、レジスト膜の凹部の形成方法の基板に対する角度は、ほぼ90度であった。
<磁気記録パターンの形成と特性評価>
その後、レジスト膜の凹部の箇所、および、その下のTa層をドライエッチングで除去した。ドライエッチング条件は、レジストのエッチングに関しては、Oガスを40sccm、圧力0.3Pa,高周波プラズマ電力300W、DCバイアス30W、エッチング時間10秒とし、Ta層のエッチングに関しては、CFガスを50sccm、圧力0.6Pa、高周波プラズマ電力500W、DCバイアス60W、エッチング時間30秒とした。
その後、磁性層でマスク層に覆われていな箇所について、その表面をイオンミリングにより除去した。イオンミリングにはArイオンを用いた。イオンミリングの条件は、高周波放電力 800W、加速電圧 500V、圧力 0.014Pa、Ar流量 5sccm、処理時間 40秒、電流密度 0.4mA/cmとした。イオンミリングを施した表面を反応性プラズマにさらし、その箇所の磁性層について磁気特性の改質を行った。磁性層の反応性プラズマ処理は、アルバック社の誘導結合プラズマ装置NE550を用いた。プラズマの発生に用いるガスおよび条件としては、CFを90cc/分の流量で導入し、プラズマ発生のための投入電力を200W、装置内の圧力を0.5Paとし、磁性層を300秒間処理した。
その後、レジスト膜、マスク層をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、SFガスを100sccm、圧力2.0Pa、高周波プラズマ電力400W、処理時間300秒とした。その後、磁性層の表面に不活性ガスプラズマを照射した。不活性ガスプラズマの照射条件は、不活性ガス 5sccm、圧力 0.014Pa、加速電圧 300V、電流密度 0.4mA/cm、処理時間 10秒とした。その表面にCVD法にてカーボン(DLC:ダイヤモンドライクカーボン)保護膜を4nm成膜し、その後、潤滑材を塗布して磁気記録媒体を製造した。
実施例で製造した磁気記録媒体について、形成したパターンの不良率を調べた。不良率は、磁気記録媒体表面に形成したトラックの3%以上にパターン形成の不良があるものを不良品として計算した。その結果、本実施例の樹脂製モールドを用いて製造した磁気記録媒体の不良率は3.3%であり、高い生産性で高精度に磁気記録媒体を製造することができた。
本発明の磁気記録媒体の製造方法で使用する積層体の一実施形態例を示す断面図である。 硬化性樹脂材料の層および流動抑止体の一例を説明する図である。 硬化性樹脂材料の層および流動抑止体の他の例を説明する図である。 樹脂製のレプリカモールドを作製する装置の一例を示す断面図である。 図4に示す装置を構成する上型セットの下面を示す図である。 図4に示す装置を構成する下型セットの上面を示す図である。 樹脂製のモールドの作製方法の一例における一工程を示す図である。 樹脂製のモールドの作製方法の一例における一工程を示す図である。 樹脂製のモールドの作製方法の一例における一工程を示す図である。 樹脂製のモールドの作製方法の一例における一工程を示す図である。 樹脂製のモールドの作製方法の一例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における一工程を示す図である。 長尺のモールドを示す図である。 磁気記録再生装置の一例を模式的に示す図である。
符号の説明
10,10a 積層体
11,12 基体
13 硬化性樹脂材料の層
14 第1の流動抑止体
15 第2の流動抑止体
20 マスターモールド
30 樹脂製モールド(モールド)
100 樹脂製モールド作製装置
110 上型セット
111 第1の取付盤
111a,111b 透孔
112 カッターセット部材
114 外周カッター部
114a 内周面
115 内周カッター部
116 カッター部材
117 外周カッター刃
117a 切刃面
117b 外側刃面
118 内周カッター刃
118a 切刃面
118b 凹部
120 下型セット
121 第2の取付盤
130 放射線源サポート機構
140 照射装置
150 サポート部材
160 透放射線押圧基盤
170 内側摺動サポート部材(サポート部材)
171 凹部
180 外側摺動サポート部材(サポート部材)
190 受け台
191 弾性部材
210 基板
220 磁性層
230 マスク層
240 レジスト膜
250 モールド
260 ミリングイオン
290 保護膜
300 磁気記録媒体
400 媒体駆動部
500 磁気ヘッド
600 ヘッド駆動部
700 記録再生信号系

Claims (6)

  1. 基板の少なくとも片面に磁性層を形成する工程、磁性層の表面にレジスト膜を形成する工程、凹凸パターンを有する樹脂製のモールドをレジスト膜に押圧して前記モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写させる工程、レジスト膜からモールドを剥離する工程、転写した凹凸パターンを用いて磁性層に磁気記録パターンを形成する工程を有し、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
    前記モールドは、
    互いに対向する一対の基体間に、液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を挟み、該硬化性樹脂材料の周縁部分のみを硬化させて積層体を得る工程、
    前記積層体から一方の基体を剥離して硬化性樹脂材料の層を露出させる工程、
    露出して硬化性樹脂材料の層に、凹凸パターンを有するマスターモールドを押圧する工程、
    マスターモールドを押圧したまま前記硬化性樹脂材料の層を硬化させて樹脂製のモールドを得る工程、
    マスターモールドから樹脂製のモールドを剥離する工程を経て作製されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 硬化性樹脂材料が、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 硬化性樹脂材料が300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する放射線硬化性樹脂材料であり、硬化性樹脂材料の硬化物が前記硬化性樹脂材料を放射線照射により硬化させた硬化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 硬化性樹脂材料の硬化後の樹脂が、300nm〜400nmの範囲内の波長の透過性が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写する工程にて、レジスト膜を300nm〜400nmの範囲内の波長の放射線を照射して硬化させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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