JP2009282350A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー Download PDF

Info

Publication number
JP2009282350A
JP2009282350A JP2008134995A JP2008134995A JP2009282350A JP 2009282350 A JP2009282350 A JP 2009282350A JP 2008134995 A JP2008134995 A JP 2008134995A JP 2008134995 A JP2008134995 A JP 2008134995A JP 2009282350 A JP2009282350 A JP 2009282350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
toner
image
ring
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008134995A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Yasukawa
裕之 安川
Kaori Soeda
香織 添田
Natsuko Kusaka
奈津子 日下
Yohei Ono
陽平 大野
Akizo Shirase
明三 白勢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Business Technologies Inc
Original Assignee
Konica Minolta Business Technologies Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Business Technologies Inc filed Critical Konica Minolta Business Technologies Inc
Priority to JP2008134995A priority Critical patent/JP2009282350A/ja
Publication of JP2009282350A publication Critical patent/JP2009282350A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】良好な色調が得られると共に、優れたクリーニング性および転写性を有する静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】静電荷像現像用トナーは、樹脂と、特定の化合物よりなる着色剤と、特定の化合物よりなる着色助剤とを含有することを特徴とする。また、この静電荷像現像用トナーは、銅、ニッケルおよびコバルトから選ばれる着色性金属元素を含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
近年、静電荷像現像用トナーを用いて電子写真方式によって画像形成を行なうカラー画像形成装置は、オフィスなどにおいて複写機として用いられており、特に高速で高画質の可視画像を形成することのできるものは「デジタル印刷機」とも称され、刷版が不要であることから商業印刷において主として用いられてきたオフセット印刷機の代替えとしても用いられてきており、ダイレクトメールや料金明細などの一部分に可変情報を印字すべき書面の作成に好適に用いられている。
なお、このような高速で高機能なカラー画像形成装置においては、様々な機能を有するものが多く提案されつつあるが、これは、使用用途が広いことなどから可視像を形成する画像記録媒体としての紙の使用量が大きく、静電荷像現像用トナーなどの消耗品の回転率が高いことが一因となっている。
このようなカラー画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナーとしては、熱可塑性樹脂よりなる結着樹脂(バインダー樹脂)と着色剤とが含有されてなるものが用いられており、特にカラー写真画像を可視画像として形成するような場合においては、色彩の鮮やかさが求められることから、新たな色材(着色材)の開発が進められ、提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
ここに、特許文献1には、金属配位化合物よりなる着色剤の粒子が分散されてなる着色剤分散液を調製し、当該着色剤分散液を構成する着色剤の微粒子と、熱可塑性樹脂の粒子とを混合して凝集させ、会合を行なう工程を経ることによって金属配位化合物よりなる着色剤が含有されてなる構成の静電荷像現像用トナーが開示されている。
また、特許文献2には、金属含有化合物が含有されており、この金属含有化合物が色素化合物とによって金属配位化合物を形成し、この金属配位化合物よりなる着色剤が含有されてなる構成の静電荷像現像用トナーが開示されている。
しかしながら、着色剤が金属配位化合物よりなる静電荷像現像用トナーにおいては、この金属配位化合物よりなる着色剤に、トナー粒子中における良好な分散性が得れないことから、トナー粒子の表面に着色剤が露出することに起因して生じる流動性およびクリーニング特性の低下、トナー粒子が逆極性に帯電することに起因して生じる転写性の低下、トナー飛散の発生などの種々の弊害が生じてしまう、という問題がある。
特開2007−14078号公報 特開2007−34264号公報
本発明は、以上の事情の基づいてなされたものであって、その目的は、良好な色調が得られると共に、優れたクリーニング性および転写性を有する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーは、樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される化合物よりなる着色剤と、下記一般式(3)で表される化合物よりなる着色助剤とを含有することを特徴とする。
Figure 2009282350
〔式中、R1 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R2 は、−NR4 5 基(但し、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)または−OR6 基(但し、R6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)を示し、R3 は、水酸基、アルコシキ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それそれ独立に、−CR7 =基(但し、R7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、この原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R3 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
Figure 2009282350
〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するのに必要な原子団を示し、かつ複素環を形成するのに必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
Figure 2009282350
〔式中、R8 は水素原子または1価の有機基を示し、R9 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキリスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
本発明の静電荷像現像用トナーは、銅、ニッケルおよびコバルトから選ばれる着色性金属元素を含有することが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーによれば、着色剤と共に、着色助剤が含有され、トナー粒子を形成する樹脂中において、着色剤を構成する化合物と、着色助剤を構成する化合物とが配位化合物を形成することなく、各々が個別の化合物として共存した状態とされており、このように、着色剤が、当該着色剤を構成する化合物が金属に配位可能なものではあるものの、この化合物に由来の配位化合物ではなく、そのもの自体よりなるものであり、立体障害が大きくリジットで複雑な構造を有する金属配位化合物よりなるものではないことから、着色剤がトナー粒子の表面に露出することが防止されてトナーの物理的付着力が低減されることに起因して、優れた流動性および均一な帯電性が得られることなり、その結果、良好な色調と共に、優れたクリーニング性および転写性を得ることができる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、特定の着色性金属元素を含有させることにより、着色剤を構成する化合物が金属に配位可能な化合物ではあるが、この着色剤を構成する化合物によって金属配位化合物を形成させることなく、樹脂中に着色剤および着色助剤と共に、特定の着色性金属元素を存在させることにより、着色剤により一層優れた分散性が得られるため、優れた特性を得ることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも樹脂と、上記一般式(1)で表される化合物または上記一般式(2)で表される化合物よりなる着色剤と、上記一般式(3)で表される化合物よりなる着色助剤とを含有してなる粒子(以下、「トナー粒子」ともいう。)よりなるものである。
この本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、着色剤と共に着色助剤が含有されており、この着色剤と着色助剤とによる、例えば電荷移動などに基づく相互作用によってその色相が調整されることとなる。
<着色剤>
着色剤は、一般式(1)で表される化合物または一般式(2)で表される化合物よりなるものであるが、一般式(1)で表される化合物よりなることが好ましい。
(一般式(1)で表される化合物)
一般式(1)において、R1 は、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。
この基R1 は、pが2または3である場合には、それぞれ独立の基であってもよい。
基R1 を示すハロゲン基としては、フロロ基、クロロ基およびブロモ基が挙げられる。 また、基R1 を示す1価の有機基としては、例えばアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えばビニル基、アリル基等)、アルケニル基(例えばエチニル基、プロパギル基等)、アルキニル基(例えばフェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリジミル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えばピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えばシクロペンチルオキシ基、シクロオヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えばシクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えばアミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えばメチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、トリフルオロメチルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えばメチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドレシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−メチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えばアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基およびニトロ基などが挙げられる。
また、一般式(1)において、R2 は、−NR4 5 基(但し、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)または−OR6 基(但し、R6 は、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)を示す。
この基R2 は、モル吸光係数εの観点からは−NR4 5 基であることが好ましく、また波長調整の観点からは−OR6 基が好ましい。
また、基R2 に係る−NR4 5 基におけるR4 およびR5 、並びに−OR6 基におけるR6 を示すハロゲン基としては、フロロ基、クロロ基およびブロモ基が挙げられる。
基R2 に係る−NR4 5 基におけるR4 およびR5 、並びに−OR6 基におけるR6 を示す1価の有機基としては、基R1 を示す1価の有機基として例示したものが挙げられる。
これらの基R4 〜R6 は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基および複素環基であることが好ましく、特に水素原子、アルキル基、アリール基およびアシル基であることが好ましい。
また、一般式(1)において、R3 は、水酸基、アルコシキ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。
この基R3 は、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基およびアルキルスルホニル基であることが好ましい。
基R3 を示すアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基およびアリールスルホニルアミノ基としては、各々、基R1 を示す1価の有機基の一種として例示したものが挙げられる。
また、一般式(1)において、A1 〜A3 は、それそれ独立に、−CR7 =基(但し、R7 は、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)または−N=基を示す。
基A1 および基A2 は、各々、−CR7 =基であることが好ましい。
この基A1 〜基A3 に係る−CR7 =基におけるR7 を示す1価の有機基としては、基R1 を示す1価の有機基として例示したものが挙げられる。
この基R7 は、水素原子、ハロゲン基およびアルコキシカルボニル基であることが好ましく、特に水素原子であることが好ましい。
一般式(1)において、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示す。
基X1 を示す原子団によって形成される、5員または6員の芳香族環または複素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環、ピリジン環およびチオフェン環である。
一般式(1)において、L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示す。
この連結基および環構造の一部は、基R3 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。
基L1 を示す炭素数1または2の連結基としては、無置換または置換基を有する、メチレン基、エチレン基およびエチン基が挙げられる。
また、基L1 を示す環構造の一部としては、下記一般式(4)で表される基が挙げられる。
Figure 2009282350
〔式中、Z2 は、5員または6員の芳香族環または複素環を示し、一方の結合手によって一般式(1)におけるZ1 と結合し、他方の結合手によって一般式(1)におけるR3 と結合する。〕
この一般式(4)において、Z2 は、5員または6員の芳香族環または複素環を示すが、これらの芳香族環および複素環は、無置換であっても置換基を有するものであってもよい。
置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基などが挙げれ、好ましくはハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基である。
また、置換基は、非共有電子対を有する原子を含有する基であることが好ましく、具体的には、複素環基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、複素環オキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基および複素環チオ基が挙げれ、好ましくはヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基およびアリールチオ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基、カルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
一般式(1)において、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示す。
この基Z1 を示す原子団は、無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。
基Z1 を示す原子団によって形成される、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロール環およびピラゾリジン環(例えば、ピラゾリジン−3,5−ジオンに由来の環)、並びにこれらの環に置換基を有するもの、この置換基によって縮環が形成されてなるものなどが挙げられる。
この基Z1 の好ましい具体例としては、下記一般式(5)〜一般式(10)で表される基が挙げられる。
Figure 2009282350
〔一般式(5)および一般式(6)において、各々、R11およびR13は、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R12およびR14は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、L2 およびL3 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(1)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(7)において、R15およびR16、は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R17は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L4 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(1)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(8)において、R18は、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R19は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L5 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(1)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(9)において、R20およびR21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R22は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L6 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(1)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(10)において、R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R25は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L7 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(1)におけるA1 と*で示した部位において結合する。〕
一般式(5)および一般式(6)において、各々、R11およびR13を示す1価の有機基としては、上記一般式(1)におけるR1 を示す1価の有機基として例示したものが挙げられる。
この基R11および基R13は、各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基であることが好ましく、更に好ましくは、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基、カルバモイル基であり、特に好ましくは、アルキル基(特にメチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基)、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
一般式(5)および一般式(6)において、R12およびR14は、各々、上記一般式(1)におけるR3 と同義であり、好ましい基についても同義である。
また、一般式(5)および一般式(6)において、L2 およびL3 は、各々、上記一般式(1)におけるL1 と同義であり、好ましい基についても同義である。
一般式(7)および一般式(8)において、各々、R15、R16およびR18を示す1価の有機基としては、上記一般式(1)におけるR1 を示す1価の有機基として例示したものを挙げることができる。
この基R15は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であることが好ましく、更に好ましくはアリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基である。
また、基R16は、水素原子、ハロゲン基、アルキル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であることが好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン基、アルキル基、アシルアミノ基である。
また、基R18は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基であることが好ましく、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基である。
一般式(7)および一般式(8)において、各々、R17およびR19は、一般式(1)におけるR3 と同義であり、好ましい基についても同義である。
また、一般式(7)および一般式(8)において、L4 およびL5 は、各々、上記一般式(1)におけるL1 と同義であり、好ましい基についても同義である。
一般式(9)および一般式(10)において、各々、R20、R21、R23およびR24を示す1価の有機基としては、上記一般式(1)におけるR1 を示す1価の有機基として例示したものを挙げることができる。
この基R20および基R21は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはニトロ基であることが好ましく、更に好ましくはアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
また、基R23は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基であることが好ましく、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基がである。
また、一般式(9)および一般式(10)において、R22およびR25は、各々、一般式(1)におけるR3 と同義であり、好ましい基についても同義である。
また、一般式(9)および一般式(10)において、L6 およびL7 は、各々、上記一般式(1)におけるL1 と同義であり、好ましい基についても同義である。
この一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記式(1−1)〜式(1−21)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009282350
Figure 2009282350
(一般式(2)で表される化合物)
一般式(2)において、X2 は、少なくとも1個の環が5〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するのに必要な原子団を示し、かつ複素環を形成するのに必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。
この基X2 を示す原子団は、無置換または置換基を有していてもよい。
基X2 を示す原子団によって形成される、少なくとも1個の環が5〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環としては、具体的に1H−ピラゾロ{5,1−c}−1,2,4−トリアゾール環および1H−ピラゾロ{1,5−b}−1,2,4−トリアゾール環が好ましい。
また、基X2 を示す原子団に係る好ましい置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、チオール基、チオアルコキシ基およびハロゲン基が挙げられる。
また、一般式(2)において、X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、無置換であっても置換基を有していてもよい。
基X3 を示す原子団によって形成される、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環が好ましい。また、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アミノ基およびハロゲン基が好ましい。
また、一般式(2)において、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基およびチオアルコキシ基である。
この一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例としては、1−(2−ピリジルアゾ) −2−ナフトール、2−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−5−ヒドロキシピリジン、1−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−2−ナフトール、2−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−5−メトキシフェノール、8−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−キノリンなどが挙げられる。
着色剤の含有割合は、トナー粒子100質量部に対して0.8〜5.0質量部であることが好ましい。
着色剤の含有割合が上記の範囲内にあることにより、着色剤および着色助剤が遊離することなくトナー粒子中に取り込まれることにより、形成される可視画像に最適な彩度、濃度および透過率が得られることとなり、その結果、色再現性の自由度が大きくなるためである。
<着色助剤>
着色助剤は、一般式(3)で表される化合物よりなるものである。
この一般式(3)で表される化合物は、アセチルアセトナート化合物であり、着色剤を構成する化合物(具体的には、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物)と配位化合物を形成することなく存在することにより、着色剤の発色を補助すると共に、トナーにおいて耐光性などを安定化させる作用を有するものである。
(一般式(3)で表される化合物)
一般式(3)において、R8 は、水素原子または1価の有機基を示す。
基R8 を示す1価の有機基としては、例えばアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、メトキシエチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えばビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えばエチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基等)、複素環基(例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えばアミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、シアノ基などが挙げられる。
基R8 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基であることが好ましく、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基である。これらの好ましいものとして例示した1価の有機基は、無置換のものであってもよく、また置換基を有するものであってもよい。
一般式(3)において、R9 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示す。
基R9 を示す有機基の各々の具体例を以下に例示する。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、メトキシエチルなどが挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニルなどが挙げられる。
複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
カルバモイル基としては、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基などが挙げられる。
スルファモイル基としては、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基などが挙げられる。
スルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基などが挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基などが挙げられる。
アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、2−ピリジルスルホニルなどが挙げられる。
基R9 は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、シアノ基であることが好ましく、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基である。これらの好ましいものとして例示した1価の有機基は、無置換のものであってもよく、また置換基を有するものであってもよい。
一般式(3)において、R10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。
基R10を示す有機基の各々の具体例を以下に例示する。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基などが挙げられる。
複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基などが挙げられる。
基R10は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であることが好ましく、最も好ましくは、アルキル基、アリール基である。これらの好ましいものとして例示した1価の有機基は、無置換のものであってもよく、また置換基を有するものであってもよい。
また、一般式(3)において、R8 とR9 、あるいはR9 とR10は、それぞれ互いに連結して5〜6員の環を形成してもよい。
更に、この一般式(3)においては、R8 およびR9 のいずれか一方は、電子吸引性基であることが更に好ましく、R8 およびR9 のσρ値の合計が0.2〜2.0であることが最も好ましい。
ここに、「電子吸引性基」とは、ハメット則に係る置換基定数ρが正の値をとり得る置換基のことであり、ハメット則の置換基定数とは、芳香族化合物のメタ置換体またはパラ置換体において、無置換の化合物と置換基を有する化合物との反応速度定数を、それぞれk0およびkとした時に成立するハメット式:log(k/k0 )=ρσにおけるσと定義される。
なお、上記ハメット式においては、安息香酸およびその誘導体の25℃の水溶液中における解離反応をρ=1としている。また、ハメットの置換基定数に関しては、JournalofMedicinalChemistry,1973,Vol.16,No.11,1207〜1216等を参考することができる。
電子吸引性基の具体例としては、置換基を有するアルキル基(例えばハロゲン置換アルキル基等)、置換基を有するアルケニル基(例えばシアノビニル基等)、無置換または置換基を有するアルキニル基(例えばトリフルオロメチルアセチレニル基、シアノアセチレニル基等)、置換基を有するアリール基(例えばシアノフェニル等)、無置換または置換基を有する複素環基(例えばピリジル基、トリアジニル基、ベンゾオキサゾリル基等)、ハロゲン基、シアノ基、アシル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ホルミル基等)、チオアセチル基(例えばチオアセチル基、チオホルミル基等)、オキサリル基(例えばメチルオキサリル基等)、オキシオキサリル基(例えばエトキサリル基等)、チオオキサリル基(例えばエチルチオオキサリル基等)、オキサモイル基(例えばメチルオキサモイル基等)、オキシカルボニル基(例えばエトキシカルボニル基等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(例えばエチルチオカルボニル基等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(例えばエトキシスルホニル基等)、チオスルホニル基(例えばエチルチオスルホニル基等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(例えばメトキシスルフィニル基等)、チオスルフィニル基(例えばメチルチオスルフィニル基等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(例えばN−アセチルイミノ基等)、N−スルホニルイミノ基(例えばN−メタンスルホニルイミノ基等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基などが挙げられる。
これらのうちでは、置換基を有するアルキル基、置換基を有するアリール基、シアノ基、アシル基、オキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基が好ましく、具体的には、シアノ基、ニトロ基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、トリブロモメチル基、ジブロモメチル基、ブロモメチル基、アルコキシアシル基、アシル基、およびこれらの有機基が置換した芳香環であることが好ましい。
このように、一般式(3)において、R8 およびR9 のいずれか一方が電子吸引性基であることが好ましいとされる理由は、一般式(3)で表されるアセチルアセトナート化合物において、カルボニル基の酸素原子が分子内においてδ−となるため、配位化合物を形成せずに分子間のフレキシビリティーを有した状態においては、複数分子間、すなわち着色剤を構成する化合物(具体的には、一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物)との間で電荷の授受が発生し、これによって着色剤を構成する化合物とによって荷電移動錯体が形成され、この電荷移動錯体の状態において安定な混合物(コンプレックス)が形成されるためであると考えられる。このような観点からは、一般式(3)において、R8 およびR9 は、高い電子吸引性を有するシアノ基またはパーフルオロ基を有するものであることが好ましい。
また、このように、着色剤を構成する化合物と着色助剤を構成する化合物とによって安定な混合物が形成された状態にあることによって得られる利点として考えられることとして、着色剤が低分子量のものであるにもかかわらず、トナー像間で色素が転移するドキュメントオフセット現象の発生が抑制されることが挙げられる。
この一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記式(3−1)〜式(3−15)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009282350
着色助剤の含有割合は、トナー粒子100質量部に対して0.8〜4.5質量部であることが好ましい。
着色助剤の含有割合が上記の範囲内にあることにより、着色剤および着色助剤が遊離することなくトナー粒子中に取り込まれることにより、形成される可視画像に最適な彩度、濃度および透過率が得られることとなり、その結果、色再現性の自由度が大きくなるためである。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいて、着色剤と着色助剤との組合せの好ましい具体例としては、着色剤として式(1−2)、式(1−5)、式(1−8)、式(1−11)、式(1−13)および式(1−21)で表される化合物のいずれかを用いると共に、着色助剤として式(3−13)、式(3−14)および式(3−15)で表される化合物のいずれかを用いることが好ましい。
ここに、着色剤を構成する一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物の各々の好ましい具体例として例示した化合物と、着色助剤を構成する一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例として例示した化合物とのいずれを組み合わせて用いた場合においても、得られる本発明の静電荷像現像用トナーはマゼンタトナーとされる。
<樹脂>
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する樹脂としては、特に限定されるものではなく、重合性単量体を重合することによって得られる重合体よりなるものが用いられる。この樹脂は、少なくとも一種の重合性単量体を重合することによって得られる重合体を構成材料とするものであり、一種の重合性単量体よりなるものであっても、複数種の重合性単量体を組み合わせてなるものであってもよい。
この樹脂として用いられる重合体の具体例としては、その代表的なものとして、重合性単量体としてビニル系単量体が用いられてなるビニル系重合体が挙げられる。
ビニル系重合体を得るためのビニル系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ペンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類などが挙げられ、またその他、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
また、ビニル系重合体を得るための重合性単量体としては、ビニル系単量体と共に、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの官能基を側鎖に有するイオン性解離基を有するものを用いることもできる。
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例としては、カルボキシル基を有するものとして、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。またスルフォン酸基を有するものとして、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸などが挙げられ、リン酸基を有するものとして、アシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造を有する樹脂を得ることもできる。
多官能性ビニル類の具体例としては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
本発明の静電荷像現像用トナーには、樹脂、着色剤および着色助剤の他、銅、ニッケルおよびコバルトから選ばれる着色性金属元素(以下、「特定着色性金属元素」ともいう。)が含有されていることが好ましい。
この特定着色性金属元素は、トナー粒子中において、下記一般式(11)で表される化合物を形成した状態によって存在していることが好ましい。
なお、このような化合物は、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」等に記載の方法に準じて合成することができ、この合成に供される2価の金属を含有する化合物として、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化銅(II)、酢酸銅、塩化コバルトなどの特定着色性金属元素に係る金属塩が用いられてなるものである。これらの2価の金属を含有する化合物としては、酢酸銅が好ましい。
Figure 2009282350
〔式中、Mは、銅原子、ニッケル原子またはコバルト原子を示し、R8 は、水素原子または1価の有機基を示し、R9 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
特定着色性金属元素の含有割合は、着色剤および着色助剤との関係から、モル比(着色剤:着色助剤:着色性金属元素)が1:2:1となるような割合であることが、形成される可視画像の彩度、濃度および透明性の観点から好ましい。
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、樹脂、着色剤、着色助剤および特定着色性金属元素の他、例えば離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分が含有されてなるものであってもよい。
他の構成成分としての離型剤の具体例としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス;エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックスなどが挙げられる。
本発明の静電荷像現像用トナーの構成材料として用いられる離型剤は、その融点が、通常、40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは60〜90℃である。
離型剤として上記の範囲の融点を有するものを用いることにより、本発明の静電荷像現像用トナーの耐熱保存性が確保されると共に、低温定着を行なう場合であってもコールドオフセットが発生するなどの弊害を伴わずに安定した画像形成を行なうことができる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーにおける離型剤の含有割合は、トナー全体において1〜30質量%であることが好ましく、更に5〜20質量%であることが好ましい。
更に、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、画像保存性を高める観点から、特定の顔料が含有されていることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいて用いることのできる顔料は、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド81:4、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド208およびC.I.ピグメントレッド209であり、明度の調整の観点から、C.I.ピグメントレッド122およびC.I.ピグメントレッド81:4が好ましい。
この顔料の含有割合は、トナー粒子100質量部に対して0.7〜2.3質量部であることが好ましい。
このような構成の本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば乳化会合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法などの重合法(湿式法)などによって製造することができるが、好ましくは乳化会合法および懸濁重合法であり、特には、得られるトナーのクリーニング性に寄与するトナー粒子形状の制御が比較的容易である点、およびトナー粒子の粒度分布を均一なものとすることによって帯電量分布をシャープにすることができる点から、乳化会合法、すなわち水系媒体中において、樹脂の微粒子と、着色剤の微粒子と、着色助剤の微粒子と混合し、これらの微粒子を凝集させ、融合させてトナー粒子を形成する手法が好ましい。
ここに、本発明の静電荷像現像用トナーの製造に際しては、分子レベルでの分散の自由度を抑制する目的から、着色剤および着色助剤を溶媒に溶解させることのない手法を用いることが好ましい。なお、この手法においては、着色剤および着色助剤のみが溶媒に溶解されることがなければよい。
本発明の静電荷像現像用トナーを製造する場合においては、着色剤を構成する一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物が金属に配位可能なものであることから、この着色剤が着色助剤や特定着色性金属元素と共に金属配位化合物を形成することのないよう、トナー製造温度を設定される。
このトナー製造温度は、70℃未満とすることが好ましく、60℃未満とすることが更に好ましいが、用いる樹脂、着色剤および着色助剤の種類、製造手法によっても異なるが、具体的には45〜60℃とすることが好ましい。
具体的に、トナー製造温度、すなわちトナー粒子の構成材料である樹脂、着色剤および着色助剤が共存する系において、加熱温度が45〜65℃である場合には、加熱時間は、例えば0.5〜5時間とされる。
ここに、「トナー製造温度」とは、着色剤と着色助剤とが樹脂と混合されてから、トナー粒子が形成されるまでの工程温度(トナー中間体の温度)を示す。
具体的に、乳化会合法を用いる場合には、樹脂の微粒子と、着色剤の微粒子と、着色助剤の微粒子とを凝集させてトナー粒子を形成するが、樹脂の微粒子を融着させる工程において、その融着温度は、樹脂粒子が融解することなく融着する温度、すなわちガラス転移点温度であって軟化点温度以下であることが、着色剤と着色助剤とが反応することを抑制する観点から好ましい。
また、本発明の静電荷像現像用トナーの製造工程の好ましい例を、以下に具体的に示す。この手法においては、塩析、凝集、融着工程中において、樹脂、着色剤および着色助剤が混合されてトナー粒子が形成される。
(1)着色剤の粒子が水系媒体中に分散されてなる着色剤粒子分散液を得る着色剤粒子分散液調製工程、
(2)着色助剤の粒子が水系媒体中に分散されてなる着色助剤粒子分散液を得る着色助剤粒子分散液調製工程、
(3)樹脂を形成すべき重合性単量体に必要に応じて離型剤、荷電制御剤などのトナー粒子構成成分を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製し、これを水系媒体中に添加し、機械的エネルギーを加えて油滴を形成し、次いで水溶性ラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該油滴中において重合反応を行うことにより、樹脂粒子を得る樹脂粒子重合工程、
(4)結着樹脂粒子、着色剤粒子および着色助剤粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、温度調節することにより、塩析を進行させると同時に凝集・融着を行いトナー粒子を形成する塩析、凝集、融着工程、
(5)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程、
から構成される。
ここに、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
着色剤粒子分散液調製工程および着色助剤粒子含有分散液調製工程(これらをまとめて、「着色剤粒子・着色助剤粒子分散液調製工程」ともいう。)においては、機械的エネルギーによって水系媒体中に着色剤の粒子および着色助剤の粒子の各々を分散させた粒子の分散液が調製される。機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。
この着色剤粒子・着色助剤粒子分散液調製工程において調製される分散液中の着色剤の粒子および着色助剤の粒子は、各々、その体積基準のメジアン径が230〜350nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは250〜300nmであり、特に好ましくは240〜310nmである。
着色剤の粒子および着色助剤の粒子の体積基準のメジアン径を250〜300nmに制御する方法としては、例えば上述の機械的エネルギーの大きさを調整することなどにより、制御することができる。
塩析、凝集、融着工においては、加熱による温度調節によって系の温度を45〜60℃とすることが好ましく、特に50〜60℃とすることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、その粒径が、体積基準のメジアン径(D50v)で3μm以上であって8μm以下であることが好ましい。
体積基準メジアン径を上記の範囲とすることにより、例えば1200dpi(1インチ(2.54cm)当たりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することが可能となる。その結果、写真画像として、印刷インクによって形成された画像と同等あるいはそれ以上の高精細性を有するものを形成することができ、従って可視画像として写真画像を形成した場合にもその画像に高い色再現性を得ることができる。而して、特に軽印刷分野においては、高精細写真画像を含むフルカラー画像を、数百部〜数千部レベルの少量であっても容易に形成することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザーTA−III 」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出することができる。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、その体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)が、2%以上であって21%以下であることが好ましく、特に5%以上であって15%以下であることが好ましい。
体積基準の粒度分布における変動係数は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準によって示したものであり、下記数式(1)によって算出される。
このCV値は、その値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、従ってトナー粒子の大きさが揃っていることを意味する。
Figure 2009282350
CV値を上記の範囲とすることにより、トナーがトナー粒子の大きさの揃ったものとなるため、デジタル画像形成において求められるような繊細なドットや細線をより高精度に再現することが可能となる。また、写真画像として、印刷インクによって形成された画像と同等あるいはそれ以上の高精細性を有するものを形成することができる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、その軟化点温度(Tsp)が70℃以上であって110℃以下であることが好ましく、特に70℃以上であって100℃以下であることが好ましい。
軟化点温度を上記の範囲とすることにより、定着時に加えられる熱によって生じる弊害を低減させることができ、その結果、着色剤に大きな負担をかけることなく画像を形成することができるため、形成される可視画像に、より広く安定した色再現性を得ることができる。
また、定着温度が極めて低温の低温定着を弊害を伴うことなく行なうことができるため、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を行なうことが可能となる。
本発明の静電荷像現像用トナーの軟化点温度は、例えば(1)樹脂を得るための重合性単量体の種類や組成比を調節すること、(2)トナーの製造工程において、例えば樹脂を得る過程に連鎖移動剤を用い、その種類や使用量により、樹脂の分子量を調整すること、(3)離型剤などの構成材料の種類や使用量を調節すること、あるいはこれらの(1)〜(3)の手法を組み合わせることなどによって制御することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの軟化点温度は、例えば「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、トナーにより、高さ10mmの円柱形状体を形成し、この円柱形状体を、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーによって1.96×106 Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより、プランジャーからの降下量と温度との関係を示す軟化流動曲線を得ることによって測定され、降下量5mmにおける温度が軟化点温度とされる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子のみによって構成されてなるものであってもよいが、外添剤(外部添加剤)として、数平均一次粒子径が4〜800nmの無機微粒子や有機微粒子などの粒子、または滑剤がトナー粒子に添加されてなる構成のものであってもよい。
外添剤を添加することにより、流動性および帯電性などが改良されると共に、クリーニング性および転写性が向上されることとなる。
無機微粒子としては、従来公知のものを用いることができ、例えばシリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子およびチタン酸ストロンチウム微粒子などを好適に用いることができる。また、これらの無機微粒子を疎水化処理したものを用いることもできる。
シリカ微粒子の具体例としては、例えば日本エアロジル社製の「R−805」、「R−976」、「R−974」、「R−972」、「R−812」、「R−809」;ヘキスト社製の「HVK−2150」、「H−200」;キャボット社製の「TS−720」、「TS−530」、「TS−610」、「H−5」、「MS−5」などが挙げられる。
チタニア微粒子の具体例としては、例えば日本アエロジル社製の「T−805」、「T−604」;テイカ社製の「MT−600S」、「MT−100B」、「MT−500BS」、「MT−600」、「MT−600SS」、「JA−1」;富士チタン社製の「TA−300SI」、「TA−500」、「TAF−130」、「TAF−510」、「TAF−510T」;出光興産社製の「IT−S」、「IT−OA」、「IT−OB」、「IT−OC」などが挙げられる。
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば日本エアロジル社製の「RFY−C」、「C−604」、石原産業社製の「TTO−55」などが挙げられる。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nmであって球形のものを用いることができ、具体的には、例えばスチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体およびこれらの共重合体などが挙げられる。
滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を用いることができ、具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩;オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩;パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩;リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩などが挙げられる。
外添剤の添加量は、トナー全体において0.1〜4.5質量%であることが好ましい。
外添剤の添加方法においては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を用いることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。
二成分現像剤として用いる場合には、例えば後述するタンデム型の画像形成装置により、弊害を伴うことなく高速で良好な画質を有するフルカラー画像を得ることが可能となる。また、トナーの構成材料を適宜に選択することにより、定着時の紙温度が100℃程度とされる、いわゆる低温定着に好適に用いることもできる。
本発明の静電荷像現像用トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアは、その体積平均粒径が15〜100μmであることが好ましく、特に25〜80μmであることが好ましい。
また、非磁性の一成分現像剤として用いる場合には、当該現像剤を構成するトナー自体が、帯電部材や現像ローラ面に摺擦および押圧されることによって帯電されることとなるため、現像装置の構造を簡略化することができ、従って画像形成装置全体をコンパクト化することができることから、スペース的に制限のある作業環境においても色再現性に優れたフルカラー画像を形成することが可能となる。
以上の本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、着色剤と共に、着色助剤が含有され、トナー粒子を形成する樹脂中において、着色剤を構成する化合物と、着色助剤を構成する化合物とが配位化合物を形成することなく、各々が個別の化合物として共存した状態とされており、このように、着色剤が、当該着色剤を構成する化合物が金属に配位可能なものではあるものの、この化合物に由来の配位化合物ではなく、そのもの自体よりなるものであり、立体障害が大きくリジットで複雑な構造を有する金属配位化合物よりなるものではないことから、着色剤がトナー粒子の表面に露出することが防止されてトナーの物理的付着力が低減されることに起因して、優れた流動性および均一な帯電性が得られることなり、その結果、良好な色調と共に、優れたクリーニング性および転写性を得ることができる。
また、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、特定着色性金属元素を含有させることにより、着色剤を構成する化合物が金属に配位可能な化合物ではあるが、この着色剤を構成する化合物によって金属配位化合物を形成させることなく、樹脂中に着色剤および着色助剤と共に、特定の着色性金属元素を存在させることにより、着色剤により一層優れた分散性が得られるため、優れた特性を得ることができる。
以下に、本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成に好適に用いられる定着装置について説明する。
図1は、本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成に用いられる定着装置の構成の一例を示す断面図である。この定着装置10は、外部加熱機構である誘導加熱機構14により加熱される加熱ローラ12と、この加熱ローラ12と離間して平行に伸びる定着ローラ13と、これらの加熱ローラ12および定着ローラ13に張架され、加熱ローラ12または定着ローラ13のどちらか一方の回転により、時計回りに回転する無端状の耐熱性ベルトよりなる定着ベルト11と、定着ローラ13に従動回転されると共に定着ベルト11を介して定着ローラ13に圧接されることにより定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ15とを備えて構成されている。定着ベルト11は、誘導加熱機構14により加熱される加熱ローラ12を介して加熱される。
加熱ローラ12は、例えば鉄、コバルト、ニッケルまたはこれらの合金などの磁性金属よりなる中空円筒状のものであり、その外径は例えば20〜40mm、肉厚が0.3〜1.0mmであり、低熱容量であると共に高速の昇温が容易である構成とされている。
定着ローラ13は、例えばステンレススチールなどの金属製の芯金13aと、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金13aを被覆した弾性部材13bとからなる。この定着ローラ13の外径は20〜40mm程度であって加圧ローラ15の外径より大きくなっている。また、弾性部材13bの肉厚は4〜6mm程度とされている。また、定着ローラ13の硬度は、高分子計器株式会社製のAsker−C型測定器を用いて荷重9.8Nで測定されるアスカーC硬度で10〜50度である。
この定着装置10においては、定着ベルト11が、誘導加熱機構14により加熱される加熱ローラ12との接触部位Wにおいて加熱され、そして、加熱ローラ12および定着ローラ13の回転によって定着ベルト11の内面が連続的に加熱され、結果として定着ベルト11がその全体にわたって加熱される。
定着ベルト11は、例えば金属基体上に、発熱層、中間弾性層および離型層がこの順に形成された構成を有する。離型層の厚さは10〜300μm程度であることが好ましく、特に200μm程度であることが好ましい。
また、定着ベルト11の基材として、金属基体の代わりに、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂基体を用いてもよい。
加圧ローラ15は、例えば銅またはアルミなどの熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金15aと、この芯金15aの表面に設けられた耐熱性および離型性の高い弾性層15bとから構成されている。芯金15aを構成する材料としてはSUS(ステンレス鋼)を使用してもよい。
この加圧ローラ15は、その硬度がアスカーC硬度で80〜100度とされ、その外径が20〜40mm、弾性層の肉厚が0.5〜2.0mmとされている。
誘導加熱機構14は、電磁誘導方式により加熱ローラ12を加熱するものであって、磁界発生手段である励磁コイル16と、この励磁コイル16が巻き回されたコイルガイド板17とを有している。コイルガイド板17は加熱ローラ12の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル16は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板17に沿って加熱ローラ12の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル16は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。
励磁コイル16の外側には、フェライトなどの比透磁率が2500の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア18が、コア支持部材18Aに固定されて励磁コイル16に近接して配置されている。
この定着装置10においては、励磁コイル16に駆動電源から10kHz〜1MHzの高周波交流電流、好ましくは20kHz〜800kHzの高周波交流電流が給電され、これにより交番磁界が発生し、そして、加熱ローラ12と定着ベルト11との接触領域Wおよびその近傍部においてこの交番磁界が加熱ローラ12および定着ベルト11の発熱層に作用し、これらの内部で交番磁界の変化を妨げる方向に生じる渦電流が、加熱ローラ12および定着ベルト11の発熱層の抵抗に応じたジュール熱を発生させ、主として前記接触領域Wおよびその近傍部において加熱ローラ12および定着ベルト11が電磁誘導加熱される。このようにして加熱された定着ベルト11が、定着ニップ部Nの入口側近傍において定着ベルト11の内面側に当接して配置されたサーミスタなどの熱応答性の高い感温素子からなる温度検出手段19により、ベルト内面温度が検知される。そして、加熱された定着ベルト11からの熱により定着ニップ部Nにおいて定着処理が行われる。
図1に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(定着ニップ部Nにおける定着ベルト11の表面温度)が70〜210℃とされ、定着ニップ部Nのニップ幅が5〜40mm、好ましくは11〜30mmとされる。ここに、定着ニップ部Nとは、画像支持体P上に形成されたトナー像Tと定着ベルト11の表面との接触幅をいう。また、定着ローラ13と加圧ローラ15との当接荷重は40〜350Nとされ、好ましくは50〜300Nとされる。
また、定着ニップ部における画像支持体の移動速度(以下、「プリント速度」ともいう。)は、230〜500mm/secであることが好ましい。
図2は、本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成に用いられる定着装置の構成の別の一例を示す断面図である。
この定着装置20は、定着ベルト21が巻装された、芯金23aの外周面上に弾性発泡材料よりなる弾性層23bが形成されてなる定着押圧ローラ23と、当該定着ベルト21を介して定着押圧ローラ23に対向して設けられた誘導加熱機構24と、前記定着ベルト21を介して定着押圧ローラ23に押圧される加圧ローラ25を備えるものである。
定着ベルト21は、厚さが40μm以下である発熱基材層上に、10μm以上の厚さの離型層が形成されたものであり、この定着ベルト21の熱容量は0.017〜0.077J/k/cm2 とされている。
また、この定着ベルト21は、定着押圧ローラ23の回転時においても略円筒形が維持されるよう、軸方向(図2において紙面と垂直な方向)の両端部に配置された図示しないガイド部材によってガイドされている。
加圧ローラ25は、芯金25a上に硬質発泡体層25bが設けられたものであり、この加圧ローラ25の硬度は、定着押圧ローラ23の硬度よりも大きいものとされている。また、加圧ローラ25の外径は、定着押圧ローラ23の外径と略同等とされている。
硬質発泡体層25bは、断熱構造を有するものであり、例えばシリコーンゴム発泡体またはシリコーン層内に中空糸や中空粒子などを充填させたものとすることができる。
図2において、29は例えば、定着ベルト21の外周面に接触または近接して配置された、サーミスタなどよりなる温度検知センサであり、この温度検知センサ29により検出された温度に基づいて、誘導加熱機構24の出力が制御されている。
このような構成の定着装置20においては、加圧ローラ25が図示しない駆動機構により例えば反時計方向に回転駆動されることにより、定着ベルト21が時計方向に従動回転され、これにより、トナー像Tが形成された画像支持体Pが定着ニップ部Nを通過し、トナー像が熱と圧力とにより画像支持体P上に定着される。なお、定着押圧ローラ23は、定着ベルト21の回転に伴って回転する。
以上の定着装置20は、図1に示す定着装置10と同様の条件において定着を行うことができる。
図3は、本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成に用いられる定着装置の構成のさらに別の一例を示す断面図である。
この定着装置30は、画像支持体Pの未定着トナー像が形成された一面(図3においては、例えば画像支持体Pの上面)に接するよう配置された定着ローラ31と、これに圧接されるよう設けられた加圧ローラ33と、定着ローラ31の表面に接触するよう設けられた外部加熱回転体35と、加圧ローラ33にその先端縁が接触するよう設けられた強制剥離手段37とを備えており、この定着ローラ31と加圧ローラ33との圧接部により定着ニップ部Nが形成されている。図3において、39aおよび39bは非接触型の温度検知手段である。
定着ローラ31は、例えばハロゲンランプなどのヒータランプよりなる加熱源HLaを内蔵したものであって、当該加熱源HLaが内部に配置された円筒状の芯金31aと、当該芯金31aの外周面に形成された耐熱弾性層31bと、例えばフッ素ゴムとフッ素樹脂の混合ラテックスを塗布焼成したものなどよりなる接着層(図示せず)を介して当該耐熱弾性層31bの表面に形成された被覆層31cとよりなるソフトローラである。
ここで、加熱源HLaは、芯金31aの内部において、定着ローラ31の長さ方向に伸びるよう配置されており、直接の加熱対象である定着ローラ31の外周面の温度が設定温度域に維持されるよう、温度検知手段39aによって検知される定着ローラ31の表面温度に基づき、図示しない制御手段により、例えば点灯状態がオン−オフ制御される。
耐熱弾性層31bを構成する耐熱性弾性体材料としては、例えばシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられるが、特にシリコーンゴムを用いることが好ましい。この耐熱弾性層31bの厚みは、1.0mm〜4.0mmの範囲であることが好ましい。耐熱弾性層31bの厚さが0.2mm以下である場合には、定着ローラ31の表面が熱定着すべきトナー像を担持している画像支持体Pの表面の凹凸にならい難くなって高い画質の可視画像を形成することができなくなるおそれがある。また、耐熱弾性層31bの厚さが1.0mm未満である場合には、加圧ローラ33に対して定着ローラ31が凸となり、定着ニップ部Nの幅を確保することが難しくなる。
一方、耐熱弾性層31bの厚さが過大である場合には、芯金31aの内部に配置された加熱源HLaによって定着ローラ31の表面を加熱する際の熱応答性を十分に確保することができないおそれがある。
芯金31aを構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
被覆層31cは、トナーが付着することを防ぐためのトナー離型層としての機能を有する層であって、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(FEP)から選択されるフッ素樹脂を含有する離型性樹脂よりなり、その厚さが50μm以下であることが好ましい。
被覆層31cがフッ素樹脂よりなることにより、その離型作用によってトナー自体に対する定着ローラ31の表面離型性が高くなるため、シリコーンオイルなどの離型用オイルを定着ローラ31に塗布せずとも定着処理中にトナーに由来の付着物が定着ローラ31表面に付着しにくくなると共に、画像支持体Pの定着ローラ31からの剥離性が高くなる。
被覆層31cの厚さを50μm以下とすることにより、定着ローラ31の表面が未定着トナー像が形成された画像支持体Pの表面の凹凸にならい易くなることから、画像劣化を抑制することができる。
なお、均一な被覆層31cを形成しやすくするためには、その厚さを20μm以上とすることがより好ましい。
この被覆層31cは、具体的に、例えば(1)ディスパージョン状態の離型性樹脂を塗布焼成することにより、厚さ20〜50μmに形成すること、(2)厚さ20〜50μmに成形された離型性樹脂チューブを被覆接着することによって形成すること、などができる。
定着ローラ31の硬度は、高分子計器株式会社製のAsker−C型測定器を用いて荷重9.8Nで測定されるアスカーC硬度で60〜85度である。
加圧ローラ33としては、図3に示すように、例えば円筒状の芯金33aと、当該芯金33aの外周面に形成された耐熱弾性層33bと、当該耐熱弾性層33bの表面に形成された被覆層33cとよりなるソフトローラを用いることができる。
この図の例において、加圧ローラ33は、定着ローラ31と同様に、加熱源HLaを内蔵しているものである。この加熱源HLaは、芯金33aの内部において、加圧ローラ33の長さ方向に伸びるよう配置されており、直接の加熱対象である加圧ローラ33の外周面の温度が設定温度域に維持されるよう、温度検知手段39bによって検知される加圧ローラ33の表面温度に基づき、図示しない制御手段により、例えば点灯状態がオン−オフ制御される。
耐熱弾性層33bを構成する耐熱性弾性体材料としては、例えばシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられるが、特にシリコーンゴムを用いることが好ましい。この耐熱弾性層33bの厚みは、耐熱弾性層31bおよび耐熱弾性層33bが同程度の硬度のものよりなるならば、定着ローラ31の耐熱弾性層31bの厚みより薄いものとされ、通常、0.5〜3mmである。
加圧ローラ33の耐熱弾性層33bの厚みが、定着ローラ31の耐熱弾性層31bより薄いものであることにより、定着ニップ部Nにおいて、一方の定着用回転体である定着ローラ31に対して他方の定着用回転体である加圧ローラ33が凸となる形状を得ることができる。
芯金33aを構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
被覆層33cを構成する材料の具体例としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(FEP)などのフッ素樹脂を主成分とする樹脂などが挙げられる。
具体的には、被覆層33cは、例えば(1)ディスパージョン状態のフッ素樹脂を塗布焼成することにより、厚さ20〜50μmに形成すること、(2)厚さ20〜50μmに成形されたフッ素樹脂チューブを芯金33aに被覆させることによって形成すること、などができる。
加圧ローラ33は、定着ローラ31の硬度以上の硬度を有するものであることが好ましく、例えば、アスカーC硬度で65〜90度である。
外部加熱回転体35としては、例えばハロゲンヒータランプなどよりなる加熱源HLaを内蔵した円筒状の芯金と、当該芯金の外周面に形成された被覆層とよりなるものを用いることができる。
強制剥離手段37としては、例えば、厚さ0.2mmの薄いステンレス鋼板にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂よりなる薄いフィルムをラミネートすることにより離型層を形成させた板状部材よりなり、先端縁の厚さが0.2mmであり、その真直度(板状部材の直線性におけるずれ)が0.5mm以下であるものを用いることができる。
以上の定着装置30は、図1に示す定着装置10と同様の条件において定着を行うことができる。
図4は、本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
この画像形成装置40は、タンデム型カラー画像形成装置であって、ベルト状の中間転写体46に沿って設けられた複数の画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kと、給紙カセット42と、定着装置49とを備えているものである。図4において、41は操作部であり、47Y,47M,47C,47Kは、各色のトナーカートリッジである。
画像形成ユニット50Yは、イエローのトナー像を形成するものであって、感光体51Yを備え、この感光体51Yの周囲に帯電手段52Y、露光手段53Y、現像装置54Y、1次転写手段57Y、クリーニング手段58Yが配置されて構成されている。
画像形成ユニット50M,50C,50Kは、各々イエローのトナー像を形成する代わりにマゼンタ、シアン、黒色のトナー像を形成する他は画像形成ユニット50Yと同様の構成を有する。
ここで、画像形成ユニット50Yによれば黄色のトナー像が形成され、画像形成ユニット50Mによればマゼンタ色のトナー像が形成され、画像形成ユニット50Cによればシアン色のトナー像が形成され、画像形成ユニット50Kによれば黒色のトナー像が形成される。
中間転写体46は、複数の支持ローラ46A、46B、46Cに張架され、循環移動可能に支持されている。
この中間転写体46には、クリーニング手段46Dが設けられており、このクリーニング手段46Dの下方には、廃トナーを回収するための廃トナーボックス(図示せず)が設けられている。
この画像形成装置においては、画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kより形成された各色のトナー像が、循環移動する中間転写体46上に1次転写手段により逐次1次転写され、重畳されてカラートナー像が形成される。
一方、給紙カセット42内に収容された画像支持体Pが、給紙ローラ43により一枚ずつ給紙され、レジストローラ44によって2次転写手段57Aに搬送され、当該画像支持体P上にカラートナー像が2次転写される。
次いで、画像支持体Pが定着装置49に搬送されて定着処理が行われ、その後、排紙ローラ45に挟持されて機外の排紙トレイ48上に排出される。
ここに、画像支持体としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されているOA和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(マゼンタトナーの製造例1:乳化会合法によるトナーの製造)
(1)着色剤粒子分散液の調製例1
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、着色剤として式(1−3)で表される化合物20質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の微粒子が分散された着色剤微粒子分散液(以下、「着色剤粒子分散液(1)」とする。)を調製した。
この着色剤粒子分散液(1)における着色剤微粒子の粒子径について、体積基準のメジアン径を測定したところ、221nmであった。
なお、体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用い、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)および1.002(20℃)の測定条件により、測定セルにイオン交換水を投入することによって0点調整を行なうことによって測定した。
(2)着色助剤粒子分散液の調製例1
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、着色助剤として式(3−8)で表される化合物15.5質量部を徐々に添加すると共に、酢酸銅9.7質量部を添加した後、この系のpHが8となるよう、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えることによって調整した。
次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤の微粒子が分散された着色助剤微粒子分散液(以下、「着色助剤粒子分散液(1)」とする。)を調製した。
この着色助剤粒子分散液(1)における着色助剤の微粒子の粒子径について、着色剤粒子分散液の調製例1と同様の測定条件によって体積基準のメジアン径を測定したところ、181nmであった。
(3)トナー粒子の調製例1
(A)コア部用樹脂粒子の調製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム(C1021(OCH2 CH2 2 SO3 Na)よりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(1h)を含有する樹脂粒子分散液(1H)を調製した。
なお、得られた樹脂粒子(1h)の重量平均分子量は16500であった。
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部およびn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる重合性単量体溶液を仕込み、その後パラフィンワックス「HNP−57」(日本製蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって単量体溶液を調製した。
一方、第1段重合において用いたアニオン系界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、内温が98℃となるよう加熱した。この界面活性剤水溶液に、第1段重合において得られた樹脂粒子(1h)32.8質量部(固形分換算)を添加し、更に、パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用い、8時間かけて混合分散することにより、分散粒子径340nmの乳化粒子(油滴)を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(1hm)を含有する樹脂粒子分散液(1HM)を調製した。
なお、得られた樹脂粒子(1hm)の重量平均分子量は23000であった。
(c)第3段重合
第2段重合において得られた樹脂粒子分散液(1HM)に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部およびn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しコア部用樹脂粒子(1)を含有する樹脂粒子分散液を得た。
得られたコア部用樹脂粒子(1)の重量平均分子量は26800であった。
(B)シェル用樹脂粒子の調製
前記の第1段重合において、重合性単量体として、スチレン624質量部、ブチルアクリレート120質量部、メアクリル酸56質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部を用いたこと以外は第1段重合と同様の手法により、重合を行い、これにより、シェル用樹脂粒子(1)を得た。
(C)トナー粒子の調製
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂粒子(1)420.7質量部、イオン交換水900質量部および着色剤粒子分散液(1)42質量部を仕込んで撹拌し、内温が30℃となるよう調整した後、濃度5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってpHを9に調整した。
次いで、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて60℃まで昇温し、トナー中間体としての凝集体を得た。この状態において、更に着色助剤粒子分散液(1)207質量部を添加し、引き続き撹拌を行なった。
その後、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、液温度60℃にて4時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させることにより、コア部(1)を含有するコア部含有液(1)を得た。
得られたコア部(1)について、「FPIA2100」(シスメック社製)を用い、平均円形度を測定したところ、0.904であった。
(b)シェルの形成
コア部含有液(1)を55℃に調整した後、シェル用樹脂粒子(1)96質量部を添加し、更に、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加し、60℃にまで昇温して1時間にわたって撹拌することにより、コア部(1)の表面にシェル用樹脂粒子(1)を融着させた後、液温度55℃にて20時間にわたって熟成処理を行なうことにより、シェルを形成した。
その後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加することによって熟成処理(シェル形成)を停止させた後、8℃/分の条件で30℃にまで冷却し、生成した粒子を濾過し、更に45℃のイオン交換水による洗浄を繰り返し、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルが形成されてなる構成のトナー粒子を得た。
(4)外添処理
得られたトナー粒子に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部、n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)0.8質量部およびステアリン酸亜鉛0.1質量部よりなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、撹拌羽の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件で混合する外添処理を行なうことにより、マゼンタトナー(以下、「マゼンタトナー(1)」とする。)を得た。
なお、トナー粒子は、外添剤の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
(マゼンタトナーの製造例2〜16:乳化会合法によるトナーの製造)
マゼンタトナーの製造例1において、下記表1に示す着色剤、着色助剤および金属塩(特定着色性金属元素を含有する塩)を用いたこと以外は着色剤粒子分散粒子分散液の調製例1および着色助剤粒子分散液の調製例1と同様にして、各々、着色剤粒子分散液および着色助剤微粒子分散液を得、この得られた着色剤粒子分散液および着色助剤微粒子分散液を用いたこと以外はトナー粒子の調製例1と同様にしてトナー粒子を得、更にこの得られたトナー粒子に対して外添処理を施すことにより、マゼンタトナー(以下、各々、「マゼンタトナー(2)〜(16)」とする。)を得た。
なお、金属塩の使用量は、着色性金属元素が着色助剤1モルに対して0.8モルとなる量とした(例えば、マセンタトナーの製造例1において、用いる金属塩を酢酸銅から塩化銅に変更した場合には、塩化銅の使用量は7.2質量部である)。
(比較用マゼンタトナーの製造例1)
マゼンタトナーの製造例1において、着色剤粒子分散液(1)に代えて、下記の着色剤微粒子分散液の調製例1によって得られた着色剤微粒子分散液200質量部を用い、また着色助剤粒子分散液(1)を用いなかったこと以外はトナー粒子の調製例1と同様にして比較用のトナー粒子を得、更にこの得られたトナー粒子に対して外添処理を施すことにより、比較用のマゼンタトナー(以下、「比較用マゼンタトナー(H1)」とする。)を得た。
(着色剤微粒子分散液の調製例1)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、下記式(A−1)で表される化合物よりなる着色剤2質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液(以下、「着色剤微粒子分散液(1)」とする。)を調製した。
この着色剤微粒子分散液(1)における着色剤微粒子の粒子径について、体積基準のメジアン径を測定したところ、545nmであった。
なお、体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用い、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)および1.002(20℃)の測定条件により、測定セルにイオン交換水を投入することによって0点調整を行なうことによって測定した。
Figure 2009282350
(比較用マゼンタトナーの製造例2)
セパラブルフラスコに、コア部用樹脂粒子(1)13.5質量部と、式(1−3)で表される化合物6.0質量部と、この式(1−3)で表される化合物とのモル比が1:1となる量の下記式(B)で表される化合物と、酢酸エチル123.5質量部とを仕込み、このセパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌して式(1−3)で表される化合物を完全に溶解させてキレート化合物を生成させることによってキレート化合物溶液を得た。
次いで、得られたキレート化合物溶液に、「アクアロンKH−05」(第一工業製薬社製)8.0質量部を含有する水溶液238質量部を滴下して撹拌した後、「クリアミックスWモーションCLM−0.8W(エムテクニック社製)を用い、5分間かけて乳化処理を行なった。その後、酢酸エチルを除去することにより、キレート化合物よりなる着色剤を含浸する着色微粒子分散体を得た。
この着色微粒子分散体に過硫酸カリウム0.5質量部を添加し、この系をヒーターによって70℃に加温した後、メチルメタクリレート10.0質量部を滴下しながら5時間かけて反応させることによって着色剤分散液(以下、「比較用着色剤分散液(1)」とする。)を得た。
Figure 2009282350
得られた比較用着色剤分散液(1)と、低分子量ポリプロピレン乳化分散液60質量部とを混合し、更にスチレン220質量部、ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸12質量部および連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン5.4質量部、脱気済み純水2,000質量部を添加した後、窒素気流下において撹拌を行いながら系の温度を70℃に3時間保持することにより、乳化重合を行った。
この乳化重合によって得られた着色剤含有樹脂微粒子の分散液1,000質量部に、水酸化ナトリウムを加えることによってpHを7.0に調整した後、濃度2.7mol/Lの塩化カリウム水溶液270質量部を添加し、更にi−プロピルアルコール160質量部およびエチレンオキシド平均重合度が10であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル9.0質量部を純水67質量部に溶解した溶液を添加し、系の温度を75℃に保持して6時間かけて撹拌することによって反応させた。
得られた反応液を濾過・水によって洗浄し、更に乾燥・解砕することにより、着色粒子を得た。
得られた着色粒子と、シリカ微粒子1.0質量部とをヘンシェルミキサーで混合することにより、比較用のマゼンタトナー(以下、各々、「比較用マゼンタトナー(H2)」とする)を得た。
(現像剤の製造例1〜16並びに比較用現像剤1および2の製造例)
マゼンタトナー(1)〜(16)並びに比較用マゼンタトナー(H1)および(H2)の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記マゼンタトナーの濃度が6質量%となるよう混合することにより、現像剤(1)〜(16)並びに比較用現像剤(H1)および(H2)を得た。
〔実施例1〜16並びに比較例1および2〕
現像剤について、画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を用い、マゼンタ単色モードにより、下記(1)〜(4)の実機評価を行った。結果を表1に示す。
(1)画像濃度安定性
A4サイズの画像支持体(転写紙)上に、画素率10%の画像を形成し、2000枚の画像形成ごとに、分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用い、マゼンタのソリッド画像の濃度を測定し、画像濃度の振り幅が±0.05以内である場合(1.2±0.05)を優良として「◎」、画像濃度の振り幅が±0.05を超え±0.1以下である場合を良好として「○」、画像濃度が±0.1を超える場合を不良として「×」と評価した。
ソリッド画像の転写紙上のトナー付着量は、テスト開始時に4g/m2 となる条件で固定し、濃度測定用画像をサンプリングした。濃度の振れ幅は、実写テスト開始から20万枚までのデータの振れ幅をもって処理した。
ここに、画像濃度は、光源としてD50光源、反射測定アパーチャをφ4mmを用い、視野角(observer)を2°とし、UVカットフィルターを用い、基準合わせには専用白タイルを用い、測定モード「リフレクタンス」とした条件において測定されるものである。
(2)トナー飛散(帯電性)
10万枚の画像形成後、現像装置を取り出し、その現像装置を空回転機にセットし、当該現像装置のスリーブ真下を中心としてA4の紙を配置して60分間の空回転を行ない(現像装置のスリーブ回転周速620mm/秒)、紙上に落ちたトナー量を測定し、紙面上のトナーが量3mg以下である場合を「A」、3mgを超え6mg未満である場合を「B」、6mgを超え9mg未満である場合を「C」、9mgを超え12mg未満である場合を「D」、12mgを超え15mg未満である場合を「E」、15mgを超える場合を「F」と評価した。
ここに、評価がA〜Cである場合が実用上問題のないレベルである。
(3)透明性
OHPシート上に、トナー付着量が4g/m2 となる条件の画像を形成し、このOHP上の画像について、日立製作所製「330型磁気分光光度計」を用い、トナーが担持されていないOHTシートをレファレンスとして可視分光透過率を測定し、波長650nmにおける分光透過率を得、この分光透過率によってOHP上の画像の透明性を評価した。
この分光透過率による透明性の評価は、数値が大きいほど透明性が優れていることを示しているが、このテストにおいては、65%以上が良好な透明性を有するレベルであると判断した。
(4)クリーニング性
画像濃度安定性の評価に係る画像形成条件と同様の条件によって80万枚以上の画像支持体(転写紙)上に画像を形成し、これらの画像の各々について、マゼンタのソリッド画像中における白点状の画像欠陥の有無を目視にて確認し、画像欠陥が確認された際の画像形成枚数(以下、「発生時枚数」ともいう。)に基づいて、発生時枚数が80万枚以上である場合を優良として「◎」、発生時枚数が50万枚以上で80万枚未満である場合を良好として「○」、発生時枚数が50万枚未満である場合を不良として「×」と評価した。
Figure 2009282350
表1において、着色剤の欄の(2−3)は、1−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−2−ナフトールを示し、(2−5)は、8−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−キノリンを示す。
本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成において用いられる定着装置の構成の一例を示す断面図である。 本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成において用いられる定着装置の構成の別の一例を示す断面図である。 本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成において用いられる定着装置の構成のさらに別の一例を示す断面図である。 本発明の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成において用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
10 定着装置
11 定着ベルト
12 加熱ローラ
13 定着ローラ
13a 芯金
13b 弾性部材
14 誘導加熱機構
15 加圧ローラ
15a 芯金
15b 弾性層
16 励磁コイル
17 コイルガイド板
18 励磁コイルコア
18A コア支持部材
19 温度検出手段
20 定着装置
21 定着ベルト
23 定着押圧ローラ
23a 芯金
23b 弾性層
24 誘導加熱機構
25 加圧ローラ
25a 芯金
25b 硬質発泡体層
29 温度検知センサ
30 定着装置
31 定着ローラ
31a 芯金
31b 耐熱弾性層
31c 被覆層
33 加圧ローラ
33a 芯金
33b 耐熱弾性層
33c 被覆層
35 外部加熱回転体
37 強制剥離手段
39a、39b 温度検知手段
HLa 加熱源
40 画像形成装置
41 操作部
42 給紙カセット
43 給紙ローラ
44 レジストローラ
45 排紙ローラ
46 中間転写体
46A、46B、46C 支持ローラ
46D クリーニング手段
47Y、47M、47C、47K トナーカートリッジ
48 排紙トレイ
49 定着装置
50Y、50M、50C、50K 画像形成ユニット
51Y 感光体
52Y 帯電手段
53Y 露光手段
54Y 現像装置
57Y 1次転写手段
57A 2次転写手段
58Y クリーニング手段
N 定着ニップ部
P 画像支持体
T トナー像

Claims (2)

  1. 樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される化合物よりなる着色剤と、下記一般式(3)で表される化合物よりなる着色助剤とを含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    Figure 2009282350
    〔式中、R1 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示し、R2 は、−NR4 5 基(但し、R4 およびR5 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)または−OR6 基(但し、R6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)を示し、R3 は、水酸基、アルコシキ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それそれ独立に、−CR7 =基(但し、R7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、この原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R3 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
    Figure 2009282350
    〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するのに必要な原子団を示し、かつ複素環を形成するのに必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
    Figure 2009282350
    〔式中、R8 は水素原子または1価の有機基を示し、R9 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキリスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R10は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
  2. 銅、ニッケルおよびコバルトから選ばれる着色性金属元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
JP2008134995A 2008-05-23 2008-05-23 静電荷像現像用トナー Pending JP2009282350A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008134995A JP2009282350A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 静電荷像現像用トナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008134995A JP2009282350A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 静電荷像現像用トナー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009282350A true JP2009282350A (ja) 2009-12-03

Family

ID=41452852

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008134995A Pending JP2009282350A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 静電荷像現像用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009282350A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014153691A (ja) * 2013-02-14 2014-08-25 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
US10316040B2 (en) 2015-10-16 2019-06-11 Eisai R&D Management Co., Ltd. EP4 antagonists

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007140478A (ja) * 2005-10-21 2007-06-07 Konica Minolta Holdings Inc 電子写真用トナーの製造方法、電子写真用トナー

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007140478A (ja) * 2005-10-21 2007-06-07 Konica Minolta Holdings Inc 電子写真用トナーの製造方法、電子写真用トナー

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014153691A (ja) * 2013-02-14 2014-08-25 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
US10316040B2 (en) 2015-10-16 2019-06-11 Eisai R&D Management Co., Ltd. EP4 antagonists
US10941148B2 (en) 2015-10-16 2021-03-09 Eisai R&D Management Co., Ltd. EP4 antagonists
US11434246B2 (en) 2015-10-16 2022-09-06 Eisai R&D Management Co., Ltd. EP4 antagonists

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4788535B2 (ja) 電子写真用トナーの製造方法、電子写真用トナー
JP5125549B2 (ja) 電子写真用カラートナー
JP5338474B2 (ja) フルカラートナーキット及び画像形成方法
JP5282271B2 (ja) トナー
JP2009036811A (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法
JP4867449B2 (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法
JP2009221125A (ja) 銅錯体化合物及び電子写真用トナー
JP2007316591A (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法
WO2011055647A1 (ja) 電子写真用トナー及びトナーセット
JP5151684B2 (ja) トナーの製造方法およびトナー
JPWO2008023657A1 (ja) 電子写真用トナー、画像形成方法及びスクアリリウム色素
JP2009282283A (ja) 静電荷像現像用トナーと画像形成方法
JP5077118B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP4998256B2 (ja) シアントナー
JP5533609B2 (ja) フルカラー画像形成方法
JP4114559B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2009282350A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP5233120B2 (ja) 電子写真用トナー、及び画像形成方法
JP4747934B2 (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法
JP2010026048A (ja) カラートナー
JP4604963B2 (ja) 電子写真用イエロートナー及び画像形成方法
JP5954278B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、その製造方法および画像形成方法
JP2009015114A (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法
US20230103095A1 (en) Electrostatic charge image developing toner, electrostatic charge image developer, and toner cartridge
JP2008185884A (ja) 電子写真用トナー及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120731

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121127