JP2009279501A - 塗布装置 - Google Patents

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Shigetomo Sakakibara
茂知 榊原
Yusuke Tochigi
佑介 栃木
Takashi Nishihara
隆 西原
Hideaki Honma
英明 本間
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Abstract

【課題】フィラーを配合したチクソトロピックな塗工液であっても、濁り度(HAZE)及び光沢度(GLOSS)が変化することなく、時間が経過しても安定して塗工可能で、しかもスジや横段ムラの発生がない塗工膜を容易に得られる塗布装置の提供。
【解決手段】ウェブ状の被塗布基材の表面に該被塗布基材の走行方向と対向するように回転するリバース塗布ロールを備えた塗布装置であって、リバース塗布ロールの下部に塗工液を供給するためのファウンテンヘッドあるいはダイヘッドを配設してなることを特徴とする塗布装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、スジや横段ムラなどの欠点のない塗膜を得ることが出来る塗布装置に関し、特に、塗工が困難とされるフィラーを含むチクソトロピック性の塗工液を幅方向均一で、しかも長時間塗工においても塗工性が変化しない塗工が可能な塗布装置に関する。
ある種の懸濁液は、静止状態の時にゲル状で流れないが、激しく振ったり攪拌するとゾル状になって粘度が低下し、流動性を帯びる。この等温下に起こるゲル−ゾル可逆変換をチクソトロピー(揺変性)という。このチクソトロピー現象は、静止状態では分子間力により連続した二次構造をとっていた懸濁粒子が、攪拌とか振動により剪断力を与えられ、その構造が一時的に破壊されるために流動性を帯びるようになる。破壊された構造も時間静止すると再び回復し、ゲル化する。
走行するウェブ状の被塗布基材の表面に、該被塗布基材の走行方向と対向するように回転する、ドクターブレードを有する小径のリバース塗布ロールで塗布する塗布装置は、平滑な塗工面が得られる塗布装置として知られている。
特に、精密な塗布を可能にする塗布装置に、20mmφ〜50mmφの小径の塗布ロールを用いたリバースキスコート方式の塗布装置があり、良好な塗工面が得られることが知られている。
上記のリバースキスコート方式の塗布装置では、塗工液の性状によって安定した良好な塗工面が得られない場合があった。代表的な場合の一つは、塗工液がチクソトロピック性を有する場合であり、もう一つは塗工液がフィラーを含む場合である。
チクソトロピック性を有する塗工液は、剪断力が大きい所では、例えば、塗工時のレベリングに必要な流動性を示すが、剪断力が小さい所では流動性を失う性質がある。この結果、塗工液の流路のうちで異なる流動性を示すことによって塗工面の均一性に悪影響を及ぼす場合がある。インキパンの周辺部に淀み部分を形成したりするのはその一例である。
塗工液がフィラーを含む場合は、フィラーがインキタンクの底部に沈降して、インキ全体の均質性を損なうことが多く、塗工面に影響が出るという問題があった。すなわち、塗工はじめは良好な塗工面が得られても、塗工していくうちにフィラー分が次第にインキパンの周辺部に淀み部分を形成したり、インキタンクの底部に沈降していくと成分組成が変化していくことになる。具体的には、塗工される成分組成がフィラーの少ない組成になってくることになる。
液中でのフィラーの分離の程度は、塗工液にかかる剪断力の差すなわち流速によって異なり、また、塗工液のチクソトロピック性によっても異なるが、その蓄積は塗工面の品質に影響を及ぼす。時間の経過とともに、フィラー分離の蓄積により、具体的な数値的尺度では、濁り度(HAZE)及び光沢度(GLOSS)が変化することになり、塗工物の品質の安定性としては致命的なものとなる場合がある。
さらに、20mmφ〜50mmφの小径の塗布ロールを用いたリバースキスコート方式で、塗布ロールをインキパンにどぶ漬けすることによって塗工液の供給を行う場合には、塗布ロールの回転に伴って塗工液が掻き回されるため泡立ち傾向になり、これにより気泡を巻き込むことによって塗工欠陥が発生するという問題を有する。
従来普及している、塗布ロールとしてグラビアロールを用いインキパンから供給した塗工液をドクターで掻き落とす方式の上記のリバースキスコート方式の場合には掻き落とす時のグラビア凹部の空気と塗工液の置換により発生する気泡の影響も避けられない。この問題はインキパンを用いない、いわゆるクローズドドクター方式でも同様である。
塗工液の供給過程での空気への露出がなく、塗工液にかかる剪断力の変化も少ない代表的な方式としては周知のダイ塗工方式が挙げられる。ダイ塗工方式は、ポンプにて塗工液を強制的に送り出すクローズド方式のため、フィラーを配合したチクソトロピック性の塗工液であっても、塗工液の性状の広い範囲で前記のようなリバースキスコート方式に見られる問題はなく塗工可能である。
しかしながらダイ方式は、フィラーを配合した塗工液の場合、フィラー分離の蓄積に起因する塗工物の品質ばらつきの問題はないものの、間隔の狭いスリットを凝集したフィラーが通過する時に極めてスジを引きやすいという欠点を有している。
さらに、ダイ方式は直接被塗布基材に転移させる方式であることから、塗工液供給系の変動と被塗布基材の速度や張力等の搬送条件の変動が直接塗工物の品質の変化に影響する特徴をもっている。たとえば、ダイ塗工方式は横段ムラが出やすいという欠点を有しており、送液系に十分配慮する必要がある。すなわち、チュービングポンプやプランジャーポンプのように間歇送液方式のものは使用できず、連続送液方式のもの、例えばロータリーポンプにおいてもローターが4枚であればローターで送り出すときに細かな圧力差が生じ、微細な横段ムラが発生することがある。さらに、送液系のみならず、被塗布基材の搬送およびダイリップとの関係などの条件の安定化にも細心の注意をはらう必要があった。
本発明では、フィラーを配合したチクソトロピック性塗工液であっても、濁り度(HAZE)及び光沢度(GLOSS)が変化することなく、時間が経過しても安定して塗工可能で、しかもスジや横段ムラの発生がない塗工膜を容易に得られる塗布装置の提供が課題である。
本発明の請求項1の発明は、ウェブ状の被塗布基材の表面に該被塗布基材の走行方向と対向するように回転するリバース塗布ロールを備えた塗布装置であって、リバース塗布ロールの下部に塗工液を供給するためのファウンテンヘッドあるいはダイヘッドを配設してなることを特徴とする塗布装置である。ここで、ファウンテンヘッドは塗工液の吐出方向が垂直に上方を向いたスリットダイを有するヘッドをいう。
本発明の請求項2の発明は、リバース塗布ロールによる被塗布基材の塗工面の反対面に圧胴ロールを有しないキスコート方式であることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置である。
本発明の請求項3の発明は、リバース塗布ロールの直径が20mmφ〜50mmφの小径であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置である。
本発明の請求項4の発明は、リバース塗布ロールの表面に連続した斜めのスパイラル状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置である。
本発明の請求項5の発明は、リバース塗布ロールの該被塗布基材の走行方向前後にキスコートのためのフィルム走行用ニアロールが設置してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置である。
本発明の請求項6の発明は、ファウンテンヘッあるいはダイヘッドのリップ先端とリバース塗布ロールとの隙間が微調整可能な構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗布装置である。
本発明の請求項7の発明は、ファウンテンヘッドあるいはダイヘッドに供給する塗工液の供給量を調整できることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗布装置である。
本発明の請求項8の発明は、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドに供給する塗工液は脱泡された塗工液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗布装置である。
本発明の塗布装置では、小径のリバース塗布ロールの下部に塗工液を供給するためのファウンテンヘッド或いはダイヘッドを配設してあるが、被塗布基材への塗工液の転移はリバース塗布ロールを解して行うので、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドは、幅方向にわたって均一な塗工量が供給されればよく、高度な精度は必要としない。
すなわち、本発明の場合には、いったんリバース塗布ロールに転移させてから、被塗布基材にリバース回転でこすりながら基材に転移させる方式であるため、リバース塗布ロールに、たとえスジがあったとしても、それはかき消されてしまう。従って、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドの機械加工代は、極めて安価である。
ダイヘッドで被塗布基材に直接塗工する場合は、ダイヘッドを精密加工する必要があるために、機械、加工代は極めて高価なものとなる。また、リップ先端にわずかな傷があっても、その部分はスジとなり、塗工製品としては致命的な欠陥となる。
本発明の塗布装置では、さらに、リバース塗布ロールは被塗布基材の塗工面の反対面に圧胴ロールを有しないキスコート方式である。基材のリバース塗布ロールに対する接触圧力は、基材のテンションつまり張力でまかなわれる。リバース塗布ロールの被塗布基材の反対側の位置にゴムロール等の圧胴ロールを配置する圧胴方式の場合は、圧胴の圧力が小径のリバース塗布ロールにたわみを生じさせる結果、塗布膜厚が均一でなくなるという問題がある。また、基材にヨレムラがあると、シワの原因となることがある。キスコート方式によれば、このような問題を解消できる。
本発明の塗布装置では、リバース塗布ロールの前後にキスコートのためのフィルム走行用ニアロールが設置してある。このニアロールの位置は調節可能で、小径のリバース塗布ロールへの被塗布基材の当たり角度を変更したり、左右のバランスを調整することができる。従って、塗工面の調整だけでなく、クセのある基材でも、基材にあわせて調整することによってシワなく塗工することが可能である。
本発明の塗布装置では、リバース塗布ロールの表面に連続した斜めのスパイラル状の溝が形成されているために、塗布ロール表面の凹凸が分散されて塗工液の転移むらが少なくなるだけでなく、被塗布基材への塗布ロールからの抵抗が少なくなり、高速でも安定した塗工が可能になる。
本発明の塗布装置では、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドのリップ先端とリバース塗布ロールとの隙間が微調整することができる構造である。所望の塗布量に応じてギャップを変えればよい。また、塗布量のみならず塗工面状態も変化するため、仕上がり状態を観察しながらギャップを変えることによって安定した塗布量と塗工面状態を得られる。
本発明の塗布装置では、また、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドに供給する塗工液は精密なポンプで、供給量を微細に調整できる。具体的には、精密加工を施したケミカル用ギヤポンプを使用することによって横段と時間変動のない塗工面を得られる。
本発明の塗布装置では、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドに供給する塗工液は、脱泡された塗工液を使用するのが望ましい。脱泡方式は、真空方式が簡便で、かつ、確実である。ファウンテンヘッド或いはダイヘッドはクローズド方式であるためリップ先端からは、常に泡のない塗工液が噴き出すので塗工面の欠陥は発生しがたくなる。
さらに、本発明の塗布装置においては、リバース塗布ロールにドクターを配備する必要がない。通常のドクター装置が配備されたリバース塗布ロールを用いた塗布装置では、ドクターの長時間使用において状態が変化する傾向がある。また、ドクターの使用はスジを引きやすいという欠点がある。本発明の塗布装置ではドクターの必要がないため、このようなスジ引きの心配は皆無である。
以上のように、本発明の塗布装置によれば、ファウンテンヘッド或いはダイヘッドとリバース塗布ロールを組み合わせることにより、スジや横段ムラなどの欠点のない塗膜を安価に供給するものである。
すなわち、リバース塗布ロール単体をインキパンに直接浸漬して基材に直接塗工する場合に起こりがちな、塗布ロールの回転に伴って塗工液が掻き回されるための泡立ちによる気泡が発生しないため、塗工欠陥が発生しない。さらに、ダイヘッド単体で基材に直接塗工する場合に起こりがちな、フィラーを配合した塗工液の場合のスジ引きの問題もなくすことが出来る。また、横段ムラを心配する必要もなく、送液系は広範囲のものが使用でき、チュービングポンプやプランジャーポンプのように間歇送液方式のものでも、また、ロータリーポンプも使用可能である。
以下に本発明の塗布装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の塗布装置の一実施形態を示す断面図である。
この図で、リバース塗布ロール1の下部にファウンテンヘッド或いはダイヘッド2が配設してある。ダイヘッドは精密加工を施したケミカル用ギヤポンプが接続されていて塗工液供給口6から塗工液が供給される。この塗工液は事前に充分に真空脱泡された塗工液であり、ファウンテンヘッド或いはダイヘッド2のリップ先端5からリバース塗布ロール1の下部に供給される。ファウンテンヘッド或いはダイヘッド2のリップ先端5とリバース塗布ロールとの隙間は微調整することができるので、所望の塗布量に応じてギャップを変えることができる。また、塗布量のみならず塗工面状態も変化するため、仕上がり状態を観察しながらギャップを変えればよい。リバース塗布ロール1に転移された塗工液はリバース回転するロールの表面からロールと基材の間の滞留部分(ビード層:図示せず)を経由しながら被塗布基材3に転移する。仕上がり状態を観察しながらニアロール4の位置を調節することによって最良の塗工状態を実現することができる。
本発明の塗布装置は、塗工液の適用性が広く、種々の塗工液を安定して長時間塗工することが可能であるのでこのような品質が求められる分野に適用できる。
本発明の塗布装置の一実施例を示す塗工部近辺の断面説明図。
符号の説明
1…リバース塗布ロール
2…ファウンテンヘッド或いはダイヘッド
3…被塗布基材
4…ニアロール
5…リップ先端
6…塗工液供給口

Claims (8)

  1. ウェブ状の被塗布基材の表面に該被塗布基材の走行方向と対向するように回転するリバース塗布ロールを備えた塗布装置であって、リバース塗布ロールの下部に塗工液を供給するためのファウンテンヘッドあるいはダイヘッドを配設してなることを特徴とする塗布装置。
  2. リバース塗布ロールによる被塗布基材の塗工面の反対面に圧胴ロールを有しないキスコート方式であることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  3. リバース塗布ロールの直径が20mmφ〜50mmφの小径であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
  4. リバース塗布ロールの表面に連続した斜めのスパイラル状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置。
  5. リバース塗布ロールの該被塗布基材の走行方向前後にキスコートのためのフィルム走行用ニアロールが設置してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置。
  6. ファウンテンヘッドあるいはダイヘッドのリップ先端とリバース塗布ロールとの隙間が微調整可能な構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗布装置。
  7. ファウンテンヘッドあるいはダイヘッドに供給する塗工液の供給量を調整できることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗布装置。
  8. ファウンテンヘッド或いはダイヘッドに供給する塗工液は脱泡された塗工液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗布装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018030059A (ja) * 2016-08-22 2018-03-01 積水化学工業株式会社 樹脂液塗布機

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