JP2010201404A - 塗布装置及びそれを用いた塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗液のせん断速度が低い領域で粘度が高い液でも、塗布量分布を抑え、塗布液の物性を管理しながらグラビアコーターで塗膜を形成することができるの塗布装置及びそれを用いた塗布方法を提供する。
【解決手段】せん断速度1[1/s]の時のせん断粘度が1000mPas以上の粘度を示す塗液を用いて、グラビア塗布方法にて基材に塗膜を形成する塗布装置において、少なくとも、グラビアロールに塗液を転写させるために設置された液受けパンへ、該液受けパンを形成する部位のうち重力方向最下部から塗液を供給する機構と、塗液をグラビアロールに転写させ、基材に塗膜を形成する機構と、グラビアロールに転写されなかった塗液を、供給系へ循環させずに廃液する機構とを備え、且つ、前記液受けパンへの塗液供給口が、スリットの両端部が狭くなっているファウンテン型のノズル形状をしている。
【選択図】図2
【解決手段】せん断速度1[1/s]の時のせん断粘度が1000mPas以上の粘度を示す塗液を用いて、グラビア塗布方法にて基材に塗膜を形成する塗布装置において、少なくとも、グラビアロールに塗液を転写させるために設置された液受けパンへ、該液受けパンを形成する部位のうち重力方向最下部から塗液を供給する機構と、塗液をグラビアロールに転写させ、基材に塗膜を形成する機構と、グラビアロールに転写されなかった塗液を、供給系へ循環させずに廃液する機構とを備え、且つ、前記液受けパンへの塗液供給口が、スリットの両端部が狭くなっているファウンテン型のノズル形状をしている。
【選択図】図2
Description
本発明は、粘度の高い塗液をグラビア塗布方法で安定的に基材に塗膜形成するための塗布装置及びそれを用いた塗布方法に関する。
グラビア塗布方法は、現在様々な塗液の塗布方法として利用されている。グラビア塗布方法は、塗液をグラビアロールにのせることが出来れば、ドクター刃で余分な塗液を掻き落とし基材に塗布することを容易に実現できるので、塗液物性の適用可能範囲は他の塗布方式より広い。しかし、グラビアロールに塗液をのせるのは、液受けパンという入れ物の中に塗液を満たした状態でロールを浸漬させながらのせていくので、液受けパンの中の塗液の状態が変動して管理が難しい。例えば、塗液中の溶媒が、空気開放された液受けパン内で蒸発するため、液受けパンの中で粘度上昇が起き、塗布物の品質管理上問題となる。
一般的に、上記の問題は、液受けパンの中の塗液を廃液口から一定量抜き取りながら再度供給側に循環させることで、液受けパンの中の塗液状態を一定化して回避している。しかし、循環させるためにはある程度粘度が低いことが必須条件になり、高粘度の塗液の場合は難しくなる。特に、液受けパンの中にある状態ではせん断がかからないため、せん断速度の低い領域で粘度が高い液は扱いが難しくなる。
塗液の品質管理の観点では、なるべく開放部を少なくして塗液の流れを一方向にすることが効果的である。塗布方法としてはグラビア法とは異なるが、ダイ塗布などはその良い例である。また、そのダイ塗布の良いところを取り入れるために、特許文献1には、磁気記録媒体の製造方法として、スリット状に開放された噴出口を有するノズルによって塗料をロール上に噴出し、噴出された塗料を噴出口に近接して設置されるドクターブレードによって計量し、ロール上の塗料をこのロールに圧接するバックアップロールの間を通って連続走行する支持体上に転写する技術が開示されている。
しかしながら、ダイ塗布については、開放部がなく塗液の流れを一方向にすることはできるが、特に粘度が高い塗液を塗布する場合、基材の幅方向に塗布量分布が生じ好ましくない。また、特許文献1で提案されている方法では、グラビアロールに塗液をのせるところまでは開放部がなく一方向であり好ましいが、ファウンテン型ノズルから吐出させて液をのせるために適切なロールとノズルの間隙を設定しないと、塗布量に分布を生じせしめる。特許文献1では、ドクター刃とノズルが近接した位置として一体化した形状が提案されているが、ドクター刃で別途掻き落とし、塗布量分布を抑えることも可能である。しかし、完全には塗布量分布を抑えることができず、また、粘度が高い塗液になればなるほど難しくなるのが実態であった。
そこで、本発明は、特に塗液のせん断速度が低い領域で粘度が高い塗液でも、塗布量分布を抑え、塗布液の物性を管理しながら、グラビア塗布方法で基材に均一に塗膜形成する装置及びそれを用いた塗布方法を提供することを課題としている。
本発明者は、液受けパンへの塗液の供給方法とグラビアロールに転写されなかった塗液の処理方法を特定することで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の請求項1に係る発明は、せん断速度1[1/s]の時のせん断粘度が1000mPas以上の粘度を示す塗液を用いて、グラビア塗布方法にて基材に塗膜を形成する塗布装置において、少なくとも、グラビアロールに塗液を転写させるために設置された液受けパンへ、該液受けパンを形成する部位のうち重力方向最下部から塗液を供給する機構と、塗液をグラビアロールに転写させ、基材に塗膜を形成する機構と、グラビアロールに転写されなかった塗液を、供給系へ循環させずに廃液する機構とを備え、且つ、前記液受けパンへの塗液供給口が、スリットの両端部が狭くなっているファウンテン型のノズル形状をしていることを特徴とする塗布装置である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、ファウンテン型ノズル形状をした前記スリットが、開口幅の長さを1とした場合に、スリットの両端から0.1〜0.4の範囲(片側で0.05〜0.2の範囲)で、スリット両端に向けて直線若しくは曲線的に狭くなっている事を特徴とする請求項1に記載する塗布装置である。
次に、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載する塗布装置を用いて、せん断速度1[1/s]の時のせん断粘度が1000mPas以上の粘度を示す塗液を用いて、グラビア塗布方法にて基材に塗膜を形成することを特徴とする塗布方法である。
本発明は上記した構成をとることで、特に塗液のせん断速度が低い領域で粘度が高い液でも、塗布量分布を抑え、塗布液の物性を管理しながらグラビア塗布方法で基材に塗膜形成することができる。
本発明の塗布装置を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は、一般的なグラビアコーターの概観図である。液受けパンに塗液が供給されるとグラビアロールによって掻き揚げられてドクター刃で計量された後基材に転写されていく。このとき、グラビアロールが基材走行方向に対して同じ方向に進むものをダイレクト方式といい、逆方向に進むものをリバース方式という。また、バックアップロールがグラビアロールに対して押し付ける位置に設置されるものやバックアップロールがないキス方式などあるが、本発明はどの方法であっても有効である。また、本発明は、液受けパンへの塗液の供給方法を規定するものであり、ドクター刃の形状や材質、設置位置や角度には効果を限定されない。また、グラビアロールについても同様で、彫刻されるパターンやロール径、材質等には限定されない。
塗液の液受けパンへの供給は、一般的にはポンプにより送液されるチューブなどをパン内へ設置することで成り立たせるが、本発明の塗布装置では、図2に示すように、ファウンテンノズル23を液受けパン21の下部に設置したものを使用する。ファウンテンノズルを下部に設置することにより、液受けパンの下部から塗液が順に満たされていくので、最表面の塗液をグラビアロール12にのせることができる。ファウンテンノズル23のスリット25は、ポンプの耐圧に影響を与えない範囲で設定されるべきで、一般的には100μmから1mmの間の値を取る。ノズルの開口幅は、グラビア版の塗布幅(版の模様が彫刻されている幅)とほぼ同等が好ましいが、完全に等しい必要はなく、塗布幅よりも狭いのは端部の不均一などの問題を起こすが、広いのは100mmほどの範囲であれば問題ない。
また、ファウンテンノズルのスリットを両端部において狭くすることが重要である。下部からの液の供給は、液の流れによりノズルの端部に溜まりやすい傾向がある。そのため、スリットの両端を狭くすることで塗液をロールの幅方向に対して均一に供給しやすく
なり、中央部の塗布ムラの減少に繋がる。
なり、中央部の塗布ムラの減少に繋がる。
また、図3に示すように、ファウンテン型ノズル形状をしたスリットは、開口幅の長さを1とした場合に、スリットの両端から0.1〜0.4の範囲(片側で0.05〜0.2の範囲)で、スリット両端に向けて(b)に示すように直線的に、若しくは(a)に示すように曲線的に狭くなっているものとする。各塗布液における最適値はその物性により異なるが、おおよそこの範囲に含まれれば問題はない。
液受けパンへの液の供給量については、塗布量が少ない場合、液受けパンから溢れ出すことは十分考えられる。なるべく塗布量と等しくすることが望まれるが、あふれ出た塗液を受けて適切に排出するためのパンを設置して、二重パンにすることも可能である。ただし、このときに塗液物性管理の観点から元の供給系にこの塗液を戻すことは行ってはならない。そのためにも供給量は管理されるべきである。
液受けパンの端部は、グラビアロールのロール面長より50mm以内の幅におさめることが望ましい。それより長くなると端部に滞留部が出来やすく、本発明の塗布装置に用いられる塗液のような、せん断速度が低い領域での粘度が高いものになればなるほど、その滞留による問題は大きくなる。但し、ロールと液受けパンの端部が接触すると異物故障を発生させたりするため、液受けパンの端部をロール面長より10mm以上離れるようにする必要がある。
ファウンテンノズルを出た塗液は、液受けパン内を液面が上昇していくように供給されるが、あまり上昇高さがあるとそれだけ滞留部が増える恐れがある。よって、ファウンテン型ノズル先端とロールまでの最短距離は、10mm以上100mm以下であることが望ましい。短すぎると液受けパンを設置したことによる緩和の効果が出ない。
液受けパンは、グラビアロール径の5%以上50%以下が液内に浸漬されるよう設計されるべきである。5%以下だと液を掻き揚げることが困難になり、50%以上だとドクター刃の設置位置が好ましい位置に取れなくなる。
液受けパンを構成する材質は、ステンレスやアルミなど金属であることが一般的で、形状の精度がそこまで要求されないため、軽い材質で製作することが望ましい。洗浄性を考えて内面をフッ素樹脂コーティングしておくことも可能である。
ファウンテン型ノズルと液受けパンの接続は溶接で行って連続的な接液面を形成することが好ましい。また、作業性を考えた時にファウンテン型ノズルと液受けパンを分離する
ことも可能であるが、その場合ファウンテン型ノズルの先端に樹脂で作成したパッキンを設けて、その接続部から塗液が漏れ出すことを防ぐ必要がある。
ことも可能であるが、その場合ファウンテン型ノズルの先端に樹脂で作成したパッキンを設けて、その接続部から塗液が漏れ出すことを防ぐ必要がある。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
図1に示すような、従来の一般的なグラビアコーターを使って塗液を塗布した場合と、本発明の図2に示すようなグラビアコーターで、図3(a)に示すファウンテンノズルのスリットで塗布した。塗液は、アクリル樹脂を主成分としてメチルエチルケトンを溶媒とした塗液で、中に架橋剤を加えることでせん断速度1[1/s]時のせん断粘度が、ハーケ社製のレオメーターRS75で測定したとき7000[mPas]を示した。従来の一般的なグラビアコーターの場合は、経時で溶媒の蒸発が進み、端部が滞留部になるために次第にグラビアロールにより液が掻き揚げられなくなり、塗布幅方向に膜面の抜けが観察されるようになった。一方で本発明の塗布装置を用いた場合は、特に問題なく塗布が可能であった。
10・・・基材 11・・・バックアップロール 12・・・グラビアロール
13・・・液受けパン 14・・・循環系 15・・・送液タンク
16・・・送液ポンプ 17・・・乾燥ゾーン 20・・・ドクター刃
21・・・液受けパン 22・・・廃液回収パン 23・・・ファウンテンノズル
24・・・供給口 25・・・スリット
13・・・液受けパン 14・・・循環系 15・・・送液タンク
16・・・送液ポンプ 17・・・乾燥ゾーン 20・・・ドクター刃
21・・・液受けパン 22・・・廃液回収パン 23・・・ファウンテンノズル
24・・・供給口 25・・・スリット
Claims (3)
- せん断速度1[1/s]の時のせん断粘度が1000mPas以上の粘度を示す塗液を用いて、グラビア塗布方法にて基材に塗膜を形成する塗布装置において、
少なくとも、グラビアロールに塗液を転写させるために設置された液受けパンへ、該液受けパンを形成する部位のうち重力方向最下部から塗液を供給する機構と、
塗液をグラビアロールに転写させ、基材に塗膜を形成する機構と、
グラビアロールに転写されなかった塗液を、供給系へ循環させずに廃液する機構と
を備え、
且つ、前記液受けパンへの塗液供給口が、スリットの両端部が狭くなっているファウンテン型のノズル形状をしていることを特徴とする塗布装置。 - ファウンテン型ノズル形状をした前記スリットが、開口幅の長さを1とした場合に、スリットの両端から0.1〜0.4の範囲(片側で0.05〜0.2の範囲)で、スリット両端に向けて直線若しくは曲線的に狭くなっている事を特徴とする請求項1に記載する塗布装置。
- 請求項1または2に記載する塗布装置を用いて、せん断速度1[1/s]の時のせん断粘度が1000mPas以上の粘度を示す塗液を用いて、グラビア塗布方法にて基材に塗膜を形成することを特徴とする塗布方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009053202A JP2010201404A (ja) | 2009-03-06 | 2009-03-06 | 塗布装置及びそれを用いた塗布方法 |
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ID=42963437
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021102177A (ja) * | 2019-12-24 | 2021-07-15 | 株式会社ヒラノテクシード | 刃先調整装置、塗工装置、塗工装置の刃先調整方法 |
-
2009
- 2009-03-06 JP JP2009053202A patent/JP2010201404A/ja active Pending
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JP2021102177A (ja) * | 2019-12-24 | 2021-07-15 | 株式会社ヒラノテクシード | 刃先調整装置、塗工装置、塗工装置の刃先調整方法 |
JP7404063B2 (ja) | 2019-12-24 | 2023-12-25 | 株式会社ヒラノテクシード | 刃先調整装置、塗工装置、塗工装置の刃先調整方法 |
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