JP2009278550A - 無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得る。
【解決手段】第1の周波数帯での通信機能を有する第1の集積回路4が接続された第1の導体3と、第2の周波数帯での通信機能を有する第2の集積回路5が接続された第2の導体3とを備えた無線通信装置であって、第2の導体3は、渦巻形状の巻線導体で構成され、巻線導体の隣接する巻線間の複数箇所に設けられ、巻線間を容量性リアクタンスにより接続する容量性結合手段6をさらに備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、Radio Frequency Identification(RFID)システムで使用されるタグのアンテナ構成を備えた無線通信装置に関する。
近年、人や物品を自動的に認識、管理するRadio Frequency Identification(RFID)システムの普及が急速に進んでいる。アンテナが発する電磁界には、準静電界、誘導界、放射界の3つの界がある。そして、これらの界強度は、それぞれ、アンテナからの距離の3乗、アンテナからの距離の2乗、アンテナからの距離に反比例する。
この観点からRFIDシステムの通信方式を分類すると、HF帯の誘導界を用いる誘導界結合方式と、UHF帯の放射界を用いる放射界結合方式とに大別される。前者は、13.56MHz帯の周波数を使用し、入退室、入退場セキュリティー管理や、バス、鉄道等の公共交通機関における料金精算などに広く実用されている。
一方、後者は、433MHz帯、860MHz〜960MHz、2.45GHz帯の周波数を使用し、前者に比べて通信距離が長く、主に物流管理、生産工場における部品管理などの用途に実用されつつある。現在のところは、前者の誘導界結合方式の方が広く普及している。
このような状況のなか、既存のHF帯RFIDシステムをそのまま保持し、これに加えて新たにUHF帯RFIDシステムを導入したいという要望がある。この場合、ユーザの利便性を考慮すると、ユーザがそれぞれのRFIDシステム用のRFIDタグを複数所有することは望ましくなく、1つのタグで複数のRFIDシステムに対応できることが望ましい。
このような背景から、近年、HF帯RFIDシステムとUHF帯RFIDシステムの双方で利用可能なカード型RFIDタグの研究開発が進められている。一例として、カード上に形成されたHF帯通信用コイル導体の内側に、UHF帯通信用ダイポールアンテナを形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1と類似の構成もある(例えば、非特許文献1参照)。
特開2004−240899号公報 K. S. Leong, M. L. Ng, and P. H. Cole,"Miniaturization of dual frequency RFID antenna with high frequency ratio,"2007 IEEE Antennas and Propagation Society International Symposium Digest,pp.5475-5478, July 2007.
しかしながら、従来技術には以下のような課題がある。
1枚のカード内にHF帯通信用コイルとUHF帯通信用アンテナを配置する方法は、上述した2つの引用文献のように、HF帯用コイルの内側にUHF帯用アンテナを配置する方法と、HF帯用コイルの外側にUHF帯用アンテナを配置する方法の2つの配置法に大別される。
前者の方法に関して、非特許文献1中には、UHF帯の通信距離が約2mである点が記載されている。従って、例えば、このタグを車両入退場管理に使用することを考えた場合、その通信距離は、必ずしも十分ではなく、通信距離の改善が必要である。しかしながら、実用に際して十分な通信距離を達成するのは、容易ではない。
一方、後者の配置法では、UHF帯用アンテナを配置するために、HF帯用コイルの実装面積を小さくする必要がある。しかしながら、HF帯の通信距離は、大まかにはコイルの面積に比例するので、HF帯用コイルの実装面積を小さくすることは、HF帯通信距離の低下を招く。
さらに、いずれの配置法においても、HF帯用コイルとUHF帯用アンテナとの相互干渉が発生する。そして、この相互干渉による通信距離低下を軽減するためには、両アンテナ導体間の距離を、ある程度離すことが必要になると考えられる。これにより、さらに各アンテナの実装面積が小さくなり、通信距離の低下を招くと考えられる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることを目的とする。
本発明に係る無線通信装置は、第1の周波数帯での通信機能を有する第1の集積回路が接続された第1の導体と、第2の周波数帯での通信機能を有する第2の集積回路が接続された第2の導体とを備えた無線通信装置であって、第2の導体は、渦巻形状の巻線導体で構成され、巻線導体の隣接する巻線間の複数箇所に設けられ、巻線間を容量性リアクタンスにより接続する容量性結合手段をさらに備えるものである。
本発明に係る無線通信装置によれば、HF帯用コイル導体をUHF帯用アンテナ導体として利用する構成を備えることにより、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることができる。
以下、本発明の無線通信装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における無線通信装置の構成図である。この図1の無線通信装置は、平板状物体1、渦巻状導電性物体2、導電性物体3、集積回路4、5、回路素子6、および導電性物体7、8を備えている。なお、図1(a)と図1(b)の相違は、導電性物体3と渦巻状導電性物体2とが接しているか否かのみである。
平板状物体1は、任意の物質からなる。また、集積回路4は、第1の周波数帯での通信に必要な機能を備えており、集積回路5は、第2の周波数帯での通信に必要な機能を備えている。また、回路素子6は、渦巻状導電性物体2の巻線間に接続されており、容量性結合手段に相当する。また、導電性物体7は、渦巻状導電性物体2と集積回路5の入出力端子とを接続する導電性物体であり、導電性物体8は、平板状物体1の表面に形成された導電性物体7と平板状物体1の裏面に形成された導電性物体7とを接続する導電性物体である。
図1のような構成で、導電性物体3と渦巻状導電性物体2を、第1の周波数帯において基本アンテナの1つであるループアンテナとして動作させることを考える。図2は、本発明の実施の形態1における無線通信装置の数値電磁界解析による検証を行うための解析モデルである。この図2において、導電性物体9は、渦巻状導電性物体2の巻線間を接続する導電性物体であり、導電性物体10は、内形と外形が渦巻状導電性物体2のそれらと概ね一致する導電性物体である。
図2(a)は、渦巻状導電性物体2の代わりに、導電性物体10を用いた解析モデルである。また、図2(b)〜図2(e)は、渦巻状導電性物体2の巻線間に接続された導電性物体9を、それぞれ、8箇所、6箇所、4箇所、2箇所に設けた解析モデルである。
また、図3は、本発明の実施の形態1における無線通信装置のスミスチャートであり、より具体的には、先の図2中の集積回路4を取り除き、その位置に給電したときの入力インピーダンス周波数特性解析結果をスミスチャート上にプロットした図である。図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)は、それぞれ先の図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)に対する解析結果である。
図3(b)〜(d)のそれぞれについて比較すると、渦巻状導電性物体2の巻線間を接続する導電性物体9の数が減少するに従って、図3(a)のインピーダンス特性との差異が大きくなる傾向が見られる。しかしながら、導電性物体9の数を4つとした図2(d)のインピーダンス特性(図3(d))と、図2(a)のインピーダンス特性(図3(a))との間に、それほど大きな差異は認められない。
図示していないが、図2(e)に示すように導電性物体9の数を2つにしたときのインピーダンス特性は、図2(a)のインピーダンス特性とは大きく異なる特性であった。この検証結果から、少なくとも図2(d)のように渦巻状導電性物体2の巻線間を接続する導電性物体9を設ければ、図2(a)に示したアンテナと同等特性が得られることがわかる。すなわち、導電性物体9を適切に設けることによって、渦巻状導電性物体2をループアンテナとして動作させることが可能となる。
しかしながら、第1の周波数帯と第2の周波数帯の両周波数帯において、図2(b)〜図2(d)のように渦巻状導電性物体2の巻線間を電気的にほぼ短絡とした場合には、第1の周波数帯では良好に通信できるが、第2の周波数帯では良好な通信が行えなくなる。
これを解決する1つの方策としては、図1に示した回路素子6が、第1の周波数帯では略短絡、第2の周波数帯では略開放となるような特性を有していればよい。これを実現する1つの手段としては、回路素子6をキャパシタにすることが考えられる。キャパシタの静電容量値をC、周波数をfとすると、キャパシタのインピーダンスZは、よく知られているように、下式(1)で与えられる。
Figure 2009278550
上式(1)からわかるように、キャパシタのインピーダンスの比は、周波数比の逆数となる。ここで、第1の周波数帯の中心周波数をf1、第2の周波数帯の中心周波数をf2とし、f1でのインピーダンス値をZ1、f2でのインピーダンス値をZ2とする。この場合、f1>>f2なる条件が成立しているときには、|Z1|<<|Z2|となる。従って、静電容量値Cを適切に選定すれば、f1において電気的に略短絡、f2において電気的に略開放とすることが可能となる。
図4は、本発明の実施の形態1における無線通信装置のスミスチャートであり、より具体的には、先の図1(b)の構成から集積回路4を除去して、その位置に給電し、回路素子6のインピーダンスを(a)0−j9Ω、(b)0−j18Ω、(c)0−j36Ω、(d)0−j72Ωとしたときの入力インピーダンス周波数特性を示している。回路素子6のインピーダンス値が0−j36Ωまで(すなわち、図4(a)〜(c)まで)は、短絡したときの特性である先の図3(d)と、ほぼ同等の入力インピーダンス周波数特性が得られていることが確認できる。
そこで、f1におけるインピーダンス値を0−j36Ωとし、f1=2.45GHz、f2=13.56MHzとした場合には、f1/f2≒181であるから、f2におけるインピーダンス値は、0−j6516Ωとなり、ほぼ電気的に開放状態となる。
また、f1におけるインピーダンス値を0−j36Ωとし、f1=953MHz、f2=13.56MHzとした場合には、f1/f2≒70であるから、f2におけるインピーダンス値は、0−j2520Ωとなり、この場合もほぼ電気的に開放状態となる。
従って、図1に示したアンテナの特性は、第1の周波数帯では、先の図2(a)に示したアンテナの特性とほぼ同等になり、第2の周波数帯では、先の図1の回路構成から回路素子6を物理的に除去したときの特性とほぼ同等になる。すなわち、第1の周波数帯と第2の周波数帯の両周波数帯において、渦巻状導電性物体2をアンテナ導体として共用することが可能となる。
なお、図1(a)と図1(b)の相違は、導電性物体3と渦巻状導電性物体2とが接しているか否かのみである。導電性物体3を渦巻状導電性物体2に近接させた極限が図1(b)であり、アンテナとしての動作原理には両者の間に本質的な差異はない。
また、導電性物体3の形状、大きさ、あるいは導電性物体3と渦巻状導電性物体2との距離などは、集積回路とのインピーダンス整合特性に大きな影響を与えるパラメータであり、所望の特性を得るように選定される設計パラメータである。そして、このような物理寸法は、ISO/IEC7810規格あるいはJIS X 6301規格で規定できる。
また、先の図1では、渦巻状導電性物体2の巻数を3とし、渦巻状導電性物体2の外形を平板状物体1の外形に概ね沿った矩形としている。しかしながら、本発明における渦巻状導電性物体2の巻数や形状は、これらに限定されるものではなく、所望の特性が得られれば、任意の巻数、任意の形状でよい。
また、回路素子6を装荷する位置と数は、先の図1、図2に限定されるものではなく、なるべく少ない数で所望の特性が得られるように適宜、設計される。
また、渦巻状導電性物体2の1巻当たりの長さは、所望の特性が得られれば任意でよい。しかしながら、周波数f1において1λe程度の長さに選定することが望ましい。ここで、λeは、平板状物体1など渦巻状導電性物体2の近傍に配置される物体の電気定数、磁気定数により決定される周波数f1における実効波長である。
また、回路素子6は、チップキャパシタに限定されるものではない。本発明における回路素子6は、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有していれば、別の手段であってもよい。従って、フィルタに使用されている誘電体共振器、セラミック共振器、圧電共振器など、任意の共振器が使用可能である。
ここで、圧電共振器は、圧電薄膜の表裏に電極を形成し、薄膜の振動を利用したフィルタである。圧電共振器をはしご状に接続したものは、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)フィルタと呼ばれ、低損失で急峻な特性を有するバンドパスフィルタとして知られている。
図1のアンテナを実用に供する形態とするには、平板状物体1をポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタノール(PET)、ポリイミド(PI)などとし、これらの表面、裏面にエッチングで導電性物体を形成すればよい。あるいは、インクジェット印刷技術を応用し、金属粒子を含んだ液体を平板状物体1に吹き付けて渦巻状導電性物体2、導電性物体3、導電性物体7を形成してもよい。
また、任意の両面基板を用いて、エッチング加工により平板状物体1、渦巻状導電性物体2、導電性物体3、導電性物体7を形成してもよい。また、導電性物体8については、スルーホール加工技術などを用いて形成すればよい。集積回路4、5、回路素子6については、半田や導電性接着剤を用いて、各導電性物体と電気的に結合すればよい。
さらに、ここでは図示していないが、図1に示した電気電子回路の表面を樹脂等で覆えば、実用可能な形態となる。この場合、コーティング樹脂は、印刷/印字が可能な材料、あるいはラベルを貼付しても容易には剥がれない材料であることが好ましい。
以上のように、実施の形態1によれば、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する回路素子を渦巻状導電性物体の巻線間に配置する構成を備えることにより、第1の周波数帯と第2の周波数帯の両周波数帯において、渦巻状導電性物体をアンテナ導体として共用することが可能となる。
この結果、HF帯用コイル導体をUHF帯用アンテナ導体として利用することができ、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることができる。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2における無線通信装置の構成図である。先の実施の形態1では、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する容量性結合手段として、回路素子6を適用する場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、容量性結合手段として回路素子6の代わりに平板状物体11を用いる場合について説明する。
本実施の形態2の無線通信装置において、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する手段として用いられる平板状物体11は、誘電体や磁性体からなる平板状物体12と導電性物体13とで形成されている。
渦巻状導電性物体2と導電性物体13との間に静電容量が発生し、その静電容量値は、渦巻状導電性物体2の巻線幅、平板状物体12の厚さ、導電性物体13の大きさで概ね決定される。静電容量値を高くしたい場合には、平板状物体12を誘電体とすることが望ましいが、所望の静電容量値が得られれば、平板状物体12の材質は任意でよい。
以上のように、実施の形態2によれば、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する平板状物体を渦巻状導電性物体の巻線間に配置する構成を備えることにより、第1の周波数帯と第2の周波数帯の両周波数帯において、渦巻状導電性物体をアンテナ導体として共用することが可能となる。
この結果、先の実施の形態1と同様に、HF帯用コイル導体をUHF帯用アンテナ導体として利用することができ、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることができる。さらに、先の実施の形態1の構成と比較して、部品点数を低減することが可能になる。
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3における無線通信装置の構成図である。先の実施の形態2では、渦巻状導電性物体2を一方の面に形成するとともに、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する容量性結合手段として、平板状物体11を適用する場合について説明した。これに対して、本実施の形態3では、渦巻状導電性物体2を平板状物体1の表面および裏面の両面上に形成するとともに、容量性結合手段として平板状物体11の代わりに、渦巻状導電性物体2の巻線幅を部分的に太くした場合について説明する。
このような構成とすることにより、渦巻状導電性物体2の巻線間の静電容量を部分的に大きくすることができる。従って、先の実施の形態1において回路素子6をキャパシタにした場合と同等の効果を得るとともに、部品点数を低減することが可能になる。
以上のように、実施の形態3によれば、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する構造として、渦巻状導電性物体を平板状物体の表面および裏面の両面上に形成するとともに、渦巻状導電性物体の巻線幅を部分的に太くした構成を備えることにより、第1の周波数帯と第2の周波数帯の両周波数帯において、渦巻状導電性物体をアンテナ導体として共用することが可能となる。
この結果、先の実施の形態1、2と同様に、HF帯用コイル導体をUHF帯用アンテナ導体として利用することができ、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることができる。さらに、先の実施の形態1の構成と比較して、部品点数を低減することが可能になる。
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4における無線通信装置の構成図である。先の実施の形態3では、渦巻状導電性物体2を平板状物体1の表面および裏面の両面上に形成するとともに、容量性結合手段として平板状物体11の代わりに、渦巻状導電性物体2の巻線幅を部分的に太くした場合について説明した。これに対して、本実施の形態4では、渦巻状導電性物体2を平板状物体1の表面のみに形成し、容量性結合手段として、渦巻状導電性物体2の巻線形状を部分的に変形し(図7の下段参照)、巻線間に部分的にインターディジタルキャパシタ14を形成した場合について説明する。
このような構成とすることにより、渦巻状導電性物体2の巻線間の静電容量を部分的に高めることができる、さらに、先の実施の形態3に比べて、平板状物体1の表面に形成された導電性物体と平板状物体1の裏面に形成された導電性物体とを接続する導電性物体8の数を低減することができ、製作コストを低減することが可能となる。
以上のように、実施の形態4によれば、第1の周波数帯の電流を通し、第2の周波数帯の電流を遮断する周波数特性を有する構造として、渦巻状導電性物体を平板状物体の表面のみに形成し、渦巻状導電性物体の巻線形状を部分的に変形し、巻線間に部分的にインターディジタルキャパシタを形成した構成を備えることにより、第1の周波数帯と第2の周波数帯の両周波数帯において、渦巻状導電性物体をアンテナ導体として共用することが可能となる。
この結果、先の実施の形態1〜3と同様に、HF帯用コイル導体をUHF帯用アンテナ導体として利用することができ、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることができる。さらに、先の実施の形態3の構成と比較して、製作コストを低減することが可能になる。
実施の形態5.
本実施の形態5では、第1の周波数帯の通信距離の低下を防止する構成について説明する。図8は、本発明の実施の形態5における無線通信装置の構成図であり、先の実施の形態4における図7の構成を改良した構成を例示している。
先の実施の形態1〜4において、集積回路5の入出力端子と渦巻状導電性物体2とは、導電性物体7によって電気的に接続されている。また、導電性物体7と渦巻状導電性物体2との接続点近傍において、渦巻状導電性物体2の巻線間が部分的にインターディジタルキャパシタ14などの容量性リアクタンスによって接続されている。
ここで、容量性リアクタンスの絶対値は、第1の周波数帯で低く、第2の周波数帯において高くなるように設計される。従って、導電性物体7と渦巻状導電性物体2との接続点間の電圧は、零にはならない。また、導電性物体7自身が有するインダクタンス成分によっても集積回路5の入出力端子間に電圧が発生する。
このように、第1の周波数帯において、集積回路5の入出力端子間に電圧が発生し、集積回路5に第1の周波数帯の電流が流入してしまう。この結果、集積回路5の抵抗成分によって、第1の周波数帯の電力が消費されてしまい、第1の周波数帯の通信距離が低下するという問題が生じる。
これを防ぐためには、図8に示すように、集積回路5の入出力端子に対して、電気的に並列に容量性リアクタンスを挿入すればよい。図8では、容量性リアクタンスの一形態として、平行平板キャパシタ15が挿入されている場合を例示している。この平行平板キャパシタ15は、第2の容量性結合手段に相当する。
このような構成とし、平行平板キャパシタ15の静電容量を適当な値に選定すれば、導電性物体7と渦巻状導電性物体2との接続点から集積回路5をみた第2の周波数帯におけるインピーダンスにほとんど影響を与えることなく、第1の周波数帯において集積回路5の入出力端子を略短絡状態にすることができる。従って、集積回路5での第1の周波数帯の電力消費は、ほとんどなくなり、通信距離低下の問題を解消できる。
以上のように、実施の形態5によれば、集積回路の入出力端子に対して、電気的に並列に容量性リアクタンスを挿入することにより、集積回路での第1の周波数帯の電力消費ほとんどなくなり、通信距離低下の問題を解消することができる。この結果、先の実施の形態1〜4で説明した無線通信装置の通信性能向上を図ることが可能となる。
なお、先の図8では、電気的に並列に挿入される容量性リアクタンスの一例として、平行平板キャパシタ15を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。平行平板キャパシタ15と同様の効果が得られれば、チップキャパシタやインターディジタルキャパシタなど任意の構成でよい。また、先の実施の形態1でも述べたような共振器を、電気的に並列に挿入される容量性リアクタンスとしてもよい。
実施の形態6.
先の実施の形態5では、第1の周波数帯の通信距離の低下を防止する構成について説明した。これに対して、本実施の形態6では、第2の周波数帯の通信距離の低下を防止する構成について説明する。図9は、本発明の実施の形態6における無線通信装置の構成図であり、先の実施の形態4における図7の構成を改良した構成を例示している。
先の実施の形態1〜5において、第2の周波数帯の通信性能を考えた場合、渦巻状導電性物体2に流れる第2の周波数帯の電流によって、渦巻状導電性物体2の内側に紙面垂直方向の磁界が生成される。この磁界は、当然ながら、導電性物体3の内側にも存在するので、第2の周波数帯において、集積回路4と集積回路5とが磁界を介して結合されることになる。従って、第2の周波数帯の電力の一部が第1の周波数帯通信用の集積回路4の抵抗成分によって消費され、第2の周波数帯の通信距離が低下するという問題が生じる。
これを防ぐためには、図9に示すように、集積回路4の入出力端子と導電性物体3との間に平行平板キャパシタ16を電気的に直列に挿入すればよい。この平行平板キャパシタ16は、第3の容量性結合手段に相当する。このような構成とし、平行平板キャパシタ16の静電容量を適当な値に選定すれば、第1の周波数帯の通信性能に悪影響を与えることなく、集積回路4による第2の周波数帯の電力の消散を防ぐことができ、第2の周波数帯の通信性能を良好に保つことが可能となる。
以上のように、実施の形態6によれば、集積回路の入出力端子に対して、電気的に並列に容量性リアクタンスを挿入することにより、集積回路での第2の周波数帯の電力の消散を防ぐことができ、通信距離低下の問題を解消することができる。この結果、先の実施の形態1〜5で説明した無線通信装置の通信性能向上を図ることが可能となる。
なお、図9では、電気的に並列に挿入された容量性リアクタンスの一例として、平行平板キャパシタ16を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。平行平板キャパシタ16と同様の効果が得られれば、チップキャパシタやインターディジタルキャパシタなど任意の構成でよい。また、先の実施の形態1でも述べたような共振器を、電気的に並列に挿入される容量性リアクタンスとしてもよい。
また、本実施の形態1〜6で説明した無線通信装置は、クレジット機能または認証機能を有する無線通信に適用することができる。そして、第1の周波数帯をUHF帯(300MHzから3000MHz)に、第2の周波数帯をHF帯(3MHz〜30MHz)に含めることで、各アンテナの実装面積をできるだけ大きくし、HF帯、UHF帯各単体の通信距離と同等の通信距離を有するHF帯/UHF帯共用RFIDカード型タグによる無線通信装置を得ることができる。
本発明の実施の形態1における無線通信装置の構成図である。 本発明の実施の形態1における無線通信装置の数値電磁界解析による検証を行うための解析モデルである。 本発明の実施の形態1における無線通信装置のスミスチャートである。 本発明の実施の形態1における無線通信装置のスミスチャートである。 本発明の実施の形態2における無線通信装置の構成図である。 本発明の実施の形態3における無線通信装置の構成図である。 本発明の実施の形態4における無線通信装置の構成図である。 本発明の実施の形態5における無線通信装置の構成図である。 本発明の実施の形態6における無線通信装置の構成図である。
符号の説明
1 平板状物体、2 渦巻状導電性物体(第2の導体)、3 導電性物体(第1の導体)、4 集積回路(第1の集積回路)、5 集積回路(第2の集積回路)、6 回路素子(容量性結合手段)、7、8、9、10 導電性物体、11 平板状物体(容量性結合手段)、12 平板状物体、13 導電性物体、14 インターディジタルキャパシタ(容量性結合手段)、15 平行平板キャパシタ(第2の容量性結合手段)、16 平行平板キャパシタ(第3の容量性結合手段)。

Claims (11)

  1. 第1の周波数帯での通信機能を有する第1の集積回路が接続された第1の導体と、
    第2の周波数帯での通信機能を有する第2の集積回路が接続された第2の導体と
    を備えた無線通信装置であって、
    前記第2の導体は、渦巻形状の巻線導体で構成され、
    前記巻線導体の隣接する巻線間の複数箇所に設けられ、前記巻線間を容量性リアクタンスにより接続する容量性結合手段をさらに備えることを特徴とする無線通信装置。
  2. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記容量性結合手段は、キャパシタであることを特徴とする無線通信装置。
  3. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記容量性結合手段は、共振器であることを特徴とする無線通信装置。
  4. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記容量性結合手段は、平板状物体と導電性物体を前記巻線間上に積層して構成され、前記導電性物体と前記巻線との間に前記平板状物体が配置されることを特徴とする無線通信装置。
  5. 請求項4に記載の無線通信装置において、
    前記平板状物体は、誘電体であることを特徴とする無線通信装置。
  6. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記容量性結合手段は、前記第2の導体の巻線幅を部分的に太くして巻線間距離を小さくすることにより構成されることを特徴とする無線通信装置。
  7. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記容量性結合手段は、前記第2の導体の巻線形状を部分的に変形して前記巻線間に形成されたインターディジタルキャパシタで構成されることを特徴とする無線通信装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の無線通信装置において、
    前記第2の集積回路の入出力端子間を容量性リアクタンスにより接続する第2の容量性結合手段をさらに備えることを特徴とする無線通信装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の無線通信装置において、
    前記第1の集積回路の入出力端子間を容量性リアクタンスにより接続する第3の容量性結合手段をさらに備えることを特徴とする無線通信装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の無線通信装置において、
    前記第1の導体と前記第2の導体とが接していることを特徴とする無線通信装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の無線通信装置において、
    前記第1の周波数帯は、UHF帯(300MHzから3000MHz)に含まれ、
    前記第2の周波数帯は、HF帯(3MHz〜30MHz)に含まれる
    ことを特徴とする無線通信装置。
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