JP2009276263A - 材料の機械的特性の評価装置および切削装置 - Google Patents

材料の機械的特性の評価装置および切削装置 Download PDF

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逸雄 西山
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文修 斎藤
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Abstract

【課題】材料を切削して、その機械的特性を表す指標を求める。
【解決手段】試料切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定し、それらを基に剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する。
【効果】剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsは、材料の機械的特性に依存し、切削刃幅bや切削深さdには依存しないため、材料の機械的特性を表す指標として好適に利用することが出来る。
【選択図】図3

Description

本発明は、材料の機械的特性の評価装置および切削装置に関し、さらに詳しくは、材料を切削してその機械的特性を表す指標を求めることが出来る材料の機械的特性の評価装置およびその指標に基づいて切削の制御を行う切削装置に関する。
従来、切削刃で試料の表層に切り込み試料の表層を切削し、その切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定する塗膜付着強度・剪断強度測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
他方、切削刃で試料の表層に切り込んだ後、ある深さで切削刃を試料の表面に平行に且つ切削刃稜線に直交する方向に移動して試料の表層を切削し(これを水平2次元切削と呼ぶ)、その水平2次元切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを基に剪断角φを求める数式が知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。
特開2006−349398号公報 西山逸雄、高橋健造「表面−界面切削法による定量的測定方法」、色材、62〔12〕744〜748、1989 西山逸雄、木嶋芳雄、黒木健「表面−界面切削法(SAICAS法)による材料強度の深さ方向解析」、材料システム、第10巻、81〜86、平成3年9月
上記従来の塗膜付着強度・剪断強度測定装置では、試料切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定することが出来た。
しかし、切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvは、材料の機械的特性に依存するだけでなく、切削刃幅bや切削深さdにも依存するため、材料の機械的特性を表す指標として利用し難い問題点があった。
そこで、本発明の目的は、材料を切削して、その機械的特性を表す指標を求めることが出来る材料の機械的特性の評価装置およびその指標に基づいて切削の制御を行う切削装置を提供することにある。
第1の観点では、本発明は、切削刃で試料の表層に切り込み試料の表層を切削する切削手段と、前記切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定する切削抗力測定手段と、前記切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvに基づいて剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する算出手段とを具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第1の観点による材料の機械的特性の評価装置では、試料切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定し、それらを基に剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する。剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsは、材料の機械的特性に依存し、切削刃幅bや切削深さdには依存しないため、材料の機械的特性を表す指標として好適に利用することが出来る。
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdまたは切削水平距離kに対する剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つの変化を表す指標を算出する変化指標算出手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第2の観点による材料の機械的特性の評価装置では、例えば切削深さdまたは切削水平距離kに対する剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsの変化を表す関数を算出する。この指標は、特に積層材料の機械的特性を表す指標として好適に利用することが出来る。
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による材料の機械的特性の評価装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、atan()を逆正接関数とするとき、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2に基づいて剪断角φを算出することを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
前記非特許文献1および非特許文献2で知られている数式は、水平2次元切削を前提としていた。ところが、本願発明の発明者は、鋭意研究し、切削刃を試料の表面に平行な方向だけでなく深さ方向へも移動し且つ切削刃稜線に直交する方向に移動する切削(これを切込み2次元切削と呼ぶ)の場合でも前記非特許文献1および非特許文献2で知られている数式が成立することを見い出した。
すなわち、上記第3の観点による材料の機械的特性の評価装置では、水平2次元切削の場合だけでなく、切込み2次元切削の場合でも、
φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2
に基づいて剪断角φを算出する。
第4の観点では、本発明は、前記第1から第3のいずれかの観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdに対する前記剪断角φのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第4の観点による材料の機械的特性の評価装置では、切削深さdに対する剪断角φのグラフを描画するので、試料の表面からの深さに依存する機械的性質の変化が判る。従って、特に積層材料の機械的特性を評価するのに好適に利用することが出来る。
第5の観点では、本発明は、前記第1から第4のいずれかの観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削水平距離kに対する前記剪断角φのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第5の観点による材料の機械的特性の評価装置では、切削水平距離kに対する剪断角φのグラフを描画するので、試料の表面に平行な水平位置に依存する材料の機械的性質の変化が判る。従って、特に積層材料の機械的特性を評価するのに好適に利用することが出来る。
第6の観点では、本発明は、前記第1から第5のいずれかの観点による材料の機械的特性の評価装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2,bを切削刃幅,dを切削深さとするとき、τs=sinφ・(Fh・cosφ−Fv・sinφ)/(b・d)に基づいて剪断応力τsを算出することを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第6の観点による材料の機械的特性の評価装置では、試料切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定し、それらを基に、
τs=sinφ・(Fh・cosφ−Fv・sinφ)/(b・d)
により剪断応力τsを算出する。
第7の観点では、本発明は、前記第6の観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdに対する前記剪断応力τsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第7の観点による材料の機械的特性の評価装置では、切削深さdに対する剪断応力τsのグラフを描画するので、試料の表面からの深さに依存する材料の機械的性質の変化が判る。従って、特に積層材料の機械的特性を評価するのに好適に利用することが出来る。
第8の観点では、本発明は、前記第6または第7のいずれかの観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削水平距離kに対する前記剪断応力τsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第8の観点による材料の機械的特性の評価装置では、切削水平距離kに対する剪断応力τsのグラフを描画するので、試料の表面に平行な水平位置に依存する材料の機械的性質の変化が判る。従って、特に積層材料の機械的特性を評価するのに好適に利用することが出来る。
第9の観点では、本発明は、前記第1から第8のいずれかの観点による材料の機械的特性の評価装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2,bを切削刃幅,dを切削深さとするとき、σs=sinφ・(Fh・sinφ+Fv・cosφ)/(b・d)に基づいて剪断面垂直応力σsを算出することを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第9の観点による材料の機械的特性の評価装置では、試料切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定し、それらを基に、
σs=sinφ・(Fh・sinφ+Fv・cosφ)/(b・d)
に基づいて剪断面垂直応力σsを算出する。
第10の観点では、本発明は、前記第9の観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdに対する前記剪断面垂直応力σsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第10の観点による材料の機械的特性の評価装置では、切削深さdに対する剪断面垂直応力σsのグラフを描画するので、試料の表面からの深さに依存する材料の機械的性質の変化が判る。従って、特に積層材料の機械的特性を評価するのに好適に利用することが出来る。
第11の観点では、本発明は、前記第9または第10の観点による材料の機械的特性の評価装置において、切削水平距離kに対する前記剪断面垂直応力σsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置を提供する。
上記第11の観点による材料の機械的特性の評価装置では、切削水平距離kに対する剪断面垂直応力σsのグラフを描画するので、試料の表面に平行な水平位置に依存する材料の機械的性質の変化が判る。従って、特に積層材料の機械的特性を評価するのに好適に利用することが出来る。
第12の観点では、本発明は、切削刃で切削対象の表層に切り込み切削対象の表層を切削する切削手段と、前記切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定する切削抗力測定手段と、前記切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvに基づいて剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する算出手段と、前記剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つに基づいて切削を制御する切削制御手段を具備したことを特徴とする切削装置を提供する。
上記第12の観点による切削装置では、試料切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定し、それらを基に剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する。剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsは材料の機械的特性に依存しているため、剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsから切削中の材料の変化を知ることが出来る。よって、例えば切込み角ψ>0で切込み2次元切削中に剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsが特定の値になったら切削を止めたり、切削条件を切り替えたりする切削制御を行えば、異なる材料を積層した切削対象中の特定の材料の表層側だけを切削することが出来る。
第13の観点では、本発明は、前記第12の観点による切削装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、atan()を逆正接関数とするとき、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2に基づいて剪断角φを算出することを特徴とする切削装置を提供する。
前記非特許文献1および非特許文献2で知られている数式は、水平2次元切削を前提としていた。ところが、本願発明の発明者は、鋭意研究し、切込み2次元切削の場合でも前記非特許文献1および非特許文献2で知られている数式が成立することを見い出した。
すなわち、上記第13の観点による切削装置では、水平2次元切削の場合だけでなく、切込み2次元切削の場合でも、
φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2
に基づいて剪断角φを算出する。
第14の観点では、本発明は、前記第12または第13の観点による切削装置において、前記切削制御手段は、前記剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つに基づいて、切込み角ψ,切削深さd,切削水平距離kおよび切削速度の少なくとも1つを制御することを特徴とする切削装置を提供する。
上記第14の観点による切削装置では、例えば切込み角ψ>0で切込み2次元切削中に剪断角φが特定の値になったら切込み角ψ=0での切削に変えるといった切削制御を行えるので、異なる材料を積層した切削対象中の特定の材料までを切削することが出来る。
本発明の材料の機械的特性の評価装置によれば、材料の機械的特性を表す指標として好適に利用することが出来る剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを得ることが出来る。
本発明の切削装置によれば、剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを制御パラメータとして切削を制御することが出来る。例えば、異なる材料を積層した切削対象中の特定の材料までを切削するといったことが出来る。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
図1は、実施例1にかかる材料の機械的特性の評価装置100の構成説明図である。
この材料の機械的特性の評価装置100は、基台1と、第1辺21を水平(xy方向)に保って基台1に支持され且つ第2辺22を第1辺21と平行を保って弾性変形しうる水平用弾性平行リング2と、第1辺31を垂直(z方向)に保って水平用弾性平行リング2の第2辺22にスペーサ12を介して支持され且つ第2辺32を第1辺31と平行を保って弾性変形しうる垂直用弾性平行リング3と、水平用弾性平行リング2の第2辺22の一端に水平ロッド6aを介し水平力を加えて水平用弾性平行リング2を弾性変形させるための水平用フォースコイル6と、垂直用弾性平行リング3の第2辺32の一端に垂直ロッド7aを介して垂直力を加えて垂直用弾性平行リング3を弾性変形させるための垂直用フォースコイル7と、水平変位量を測定するための水平位置センサ9と、垂直変位量を測定するための垂直位置センサ11と、垂直用弾性平行リング3の第2辺32に取り付けられた移動ヘッド4と、その移動ヘッド4の下端に取り付けられた切削刃5と、水平面内および垂直方向に移動可能なxyzステージ14と、試料Sを固定するためにxyzステージ14に設置された試料ホルダ15と、垂直力Fv=0のときに移動ヘッド4や切削刃5の重量で垂直用弾性平行リング3が弾性変形しないように移動ヘッド4や切削刃5の重量を支えるための支点41,天秤42および重り43と、出力インタフェース40a,入力インタフェース40bおよびパソコン40とを具備している。
パソコン40は次の動作を行う。
(a)出力インタフェース40aを介して、水平用フォースコイル6,垂直用フォースコイル7およびxyzステージ14を駆動する。
(b)入力インタフェース40bを介して、水平位置センサ9および垂直位置センサ11の出力を読み込む。
(c)水平用フォースコイル6の駆動信号から切削抗力水平成分Fhを取得する。
(d)垂直用フォースコイル7の駆動信号から切削抗力垂直成分Fvを取得する。
(e)切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvに基づいて、剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsを算出する。
(f)切削深さdに対する剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフを描画する。
(g)切削水平距離kに対する剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフを描画する。
(h)水平位置センサ9および垂直位置センサ11の出力、切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fv、および、剪断角φに基づいて、水平用フォースコイル6,垂直用フォースコイル7およびxyzステージ14を制御する。
図2は、試料Sの表層を切削刃5で切削している状態を示す断面図である。
切削深さdは、試料Sの表面から切削刃5の先端までの垂直距離である。
剪断面Spは、切削刃5の先端線と試料Sの表面における切りくずRの基端線を結ぶ面である。
剪断角φは、水平面に対して剪断面Spが成す角度である。
切込み角ψは、水平面に対して切削刃5の進行方向が成す角度である。
すくい角αは、切削刃5の先端線を通る垂直面に対して切削刃5の上面が成す角である。
摩擦角βは、切削刃5の上面に対する垂直面に対し切削抗力Rが成す角である。
剪断力Fsは、切削抗力Rの、剪断面Spに沿った成分である。
剪断面垂直力Fnは、切削抗力Rの、剪断面Spに垂直な成分である。
−水平2次元切削の場合−
試料Sの表面から目標切削深さDまで切り込んだ後、切込み角ψ=0゜で切削刃5を移動して試料Sを切削する。このとき、切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvは、図2より、式(1),(2)と表される。
Fh=Fn・sinφ+Fs・cosφ …(1)
Fv=Fn・cosφ−Fs・sinφ …(2)
剪断面Spの面積Asは、切削刃幅bと切削深さdと剪断角φから、
As=b・d/sinφ …(3)
と表せる。
剪断応力τsは、
τs=Fs/As=Fs・sinφ/b・d …(4)
また、剪断面垂直応力σsは、
σs=Fn/As=Fn・sinφ/b・d …(5)
となる。
(4)(5)式で(1)(2)式を変形すれば、
Fh=b・d(σs・sinφ+τs・cosφ)/sinφ …(1')
Fv=b・d(σs・cosφ+τs・sinφ)/sinφ …(2')
一方、図2より、切削抗力Rは、
R=Fs/cos(φ+β−α)
=As・τs/cos(φ+β−α)
=b・d・τs/(sinφ・cos(φ+β−α)) …(6)
と表される。
他方、図2より、切削抗力水平成分Fhと切削抗力垂直成分Fvは、
Fh=R・cos(β−α) …(7)
Fv=R・sin(β−α) …(8)
となる。
(7)(8)式より、
tan(β−α)=Fv/Fh …(9)
となる。
切削刃5が切削水平距離kだけ進んだときの切削の仕事Wは、
W=Fh・k
=R・cos(β−α)・k
=b・d・τs・cos(β−α)・k/(sinφ・cos(φ+β−α)) …(10)
となる。
剪断面Spは、切削の仕事Wが最小となる方向に形成されるものと考えられる(M.E.Merchant,J.Appl.Phys.16,(1945)318 )。すなわち、
dW/dφ=0 …(11)
を満たすφが剪断角φとなるから、
φ=π/4−(β−α)/2 …(12)
と求まる。
(9)式を(12)式に適用すれば、
φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2 …(12')
となる。
また、(1')(2')式を変形すると、
τs=sinφ・(Fh・cosφ−Fv・sinφ)/(b・d) …(13)
σs=sinφ・(Fh・sinφ+Fv・cosφ)/(b・d) …(14)
となる。
−切込み2次元切削の場合−
切込み角ψ>0゜で切削刃5を移動して試料Sを切削する。この切込み2次元切削においても、(1)〜(9)式が成立する。
切削刃5が切込み角ψの方向に距離Lだけ進んだときの切削の仕事Wは、
W=(Fh・cosψ+Fn・sinψ)L
=b・d・τs[cos(β−α)・cosψ+sin(β−α)・sinψ]L/(sinφ・cos(φ+β−α)) …(15)
と表される。剪断角φは分母だけに含まれ、(10)式と同じ形である。したがって、切削の仕事Wが最小となる(11)式の条件から求めた剪断角φの(12)式は、この場合にも成立つ。よって、(12')〜(14)式も成り立つ。
図3は、切込み2次元切削を行う場合の動作を示すフロー図である。
ステップS1では、操作者は、切削刃幅b、水平削速度Vh、切込み角ψを入力する。切込み角ψは、例えば0.01゜〜10゜である。
ステップS2では、操作者は、切削を止める時の深さである終了切削深さD’を入力する。
ステップS3では、操作者は、切削刃5を初期位置に移動する。切削刃5の初期位置は、切削刃5が試料Sの表面に当接しない位置(例えば切削刃5の先端が試料Sの表面から10nm〜100nm上にある位置)または試料Sの表面に当接した位置のいずれでもよい。なお、切削刃5が試料Sの表面に当接しない位置を初期位置とする場合は、切削抗力水平成分Fh>0且つ切削抗力垂直成分Fv>0となった位置を切削深さd=0とする。また、切削刃5が試料Sの表面に当接した位置を初期位置とする場合は、初期位置を切削深さd=0とする。
ステップS4では、操作者は、切削開始の指示を入力する。操作者から切削開始の指示が入力されると、パソコン40は、ステップS7の処理へ進む。
ステップS7では、パソコン40は、切削抗力水平成分Fh,切削抗力垂直成分Fv,切削深さdおよび切削水平距離kを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψで試料Sに切り込み、試料Sの表層を切削する。
ステップS8では、パソコン40は、切削深さdが終了切削深さD’に達してないならばステップS9へ進み、切削深さdが終了切削深さD’に達したならばステップS12へ進む。
ステップS9では、パソコン40は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2、に基づいて剪断角φを算出する。
ステップS10では、パソコン40は、τs=sinφ・(Fh・cosφ−Fv・sinφ)/(b・d)、に基づいて剪断応力τsを算出し、σs=sinφ・(Fh・sinφ+Fv・cosφ)/(b・d)、に基づいて剪断応力τsを算出する。
ステップS11では、切削深さdに対する剪断角φ、剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフを描画する。そして、ステップS7に戻る。
ステップS12では、切削深さdに対する剪断角φ、剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの変化を表す指標を算出する。例えば、切削深さdに対する剪断角φ、剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフをn(≧3)次関数でカーブフィティングし、得られたn次関数の係数を変化指標として出力する。そして、処理を終了する。
図4は、切削深さdに対する剪断角φのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S1,S2の表面から100nm上にある位置を切削刃5の初期位置として試料S1,S2を切込み角ψ=1.1゜で切込み2次元切削した場合に得られたグラフである。試料S1,S2は、均一物質である。
終了切削深さD’≧1.4μmとすれば、試料S1,S2の機械的特性を表している剪断角φを得ることが出来る。
図5は、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S1,S2の表面から100nm上にある位置を切削刃5の初期位置として試料S1,S2を切込み角ψ=1.1゜で切込み2次元切削した場合に得られたグラフである。試料S1,S2は、均一物質である。
終了切削深さD’≧1.4μmとすれば、試料S1,S2の機械的特性を表している剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsを得ることが出来る。
図6は、切削深さdに対する剪断角φのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S3,S4の表面に付いた位置を切削刃5の初期位置として試料S3,S4を切込み角ψ=1.1゜で切込み2次元切削した場合に得られたグラフである。試料S3,S4は、均一物質である。
終了切削深さD’≧1.4μmとすれば、試料S3,S4の機械的特性を表している剪断角φを得ることが出来る。
図7は、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S3,S4の表面に付いた位置を切削刃5の初期位置として試料S3,S4を切込み角ψ=1.1゜で切込み2次元切削した場合に得られたグラフである。試料S3,S4は、均一物質である。
終了切削深さD’≧1.4μmとすれば、試料S3,S4の機械的特性を表している剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsを得ることが出来る。
図8は、水平2次元切削を行う場合の動作を示すフロー図である。
ステップS1では、操作者は、切削刃幅b、水平削速度Vh、切込み角ψを入力する。切込み角ψは、例えば0.01゜〜10゜である。
ステップS2’では、操作者は、水平切削を始める時の深さである目標切削深さD、目標切削深さDに達した後から切削を止めるまでに進む水平距離である終了切削水平距離Kを入力する。
ステップS3では、操作者は、切削刃5を初期位置に移動する。切削刃5の初期位置は、切削刃5が試料Sの表面に当接しない位置または試料Sの表面に当接した位置のいずれでもよい。
ステップS4では、操作者は、切削開始の指示を入力する。操作者から切削開始の指示が入力されると、パソコン40は、ステップS5の処理へ進む。
ステップS5では、パソコン40は、切削深さdを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψで試料Sに切り込み、試料Sの表層を切削する。
ステップS6では、パソコン40は、切削深さdが目標切削深さDに達してないならば切削を継続し、切削深さdが目標切削深さDに達したならばステップS7へ進む。
ステップS7では、パソコン40は、切削抗力水平成分Fh,切削抗力垂直成分Fv,切削深さdおよび切削水平距離kを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψ=0で試料Sの表層を切削する。
ステップS8’では、パソコン40は、切削水平距離kが終了切削水平距離Kに達してないならばステップS9へ進み、切削水平距離kが終了切削水平距離Kに達したならばステップS12’へ進む。
ステップS9では、パソコン40は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2、に基づいて剪断角φを算出する。
ステップS10では、パソコン40は、τs=sinφ・(Fh・cosφ−Fv・sinφ)/(b・d)、に基づいて剪断応力τsを算出し、σs=sinφ・(Fh・sinφ+Fv・cosφ)/(b・d)、に基づいて剪断応力τsを算出する。
ステップS11’では、切削水平距離kに対する剪断角φ、剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフを描画する。そして、ステップS7に戻る。
ステップS12’では、切削水平距離kに対する剪断角φ、剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの変化を表す指標を算出する。例えば、切削水平距離kに対する剪断角φ、剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフをn(≧3)次関数でカーブフィティングし、得られたn次関数の係数を変化指標として出力する。そして、処理を終了する。
図9は、切削水平距離kに対する剪断角φのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S1,S2の表面から0.5mm上にある位置を切削刃5の初期位置として試料S1,S2に切り込み、目標切削深さD=0.7μmとD=1.4μmの異なる切削深さで水平切削した場合に得られたグラフである。試料S1,S2は、均一物質である。
終了切削水平距離K≧10μmとすれば、試料S1,S2の機械的特性を表している剪断角φを得ることが出来る。
図10は、切削水平距離kに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S1,S2の表面から100nm上にある位置を切削刃5の初期位置として試料S1,S2に切り込み、目標切削深さD=1.4μmで水平切削した場合に得られたグラフである。試料S1,S2は、均一物質である。
終了切削水平距離K≧50μmとすれば、試料S1,S2の機械的特性を表している剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsを得ることが出来る。
図11は、切削深さdに対する剪断角φのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S3,S4の表面に付いた位置を切削刃5の初期位置として試料S3,S4に切り込み、目標切削深さD=0.5μmで水平切削した場合に得られたグラフである。試料S3,S4は、均一物質である。
終了切削水平距離K≧50μmとすれば、試料S3,S4の機械的特性を表している剪断角φを得ることが出来る。
図12は、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsのグラフの例示図である。
このグラフは、切削刃5の先端が試料S3,S4の表面に付いた位置を切削刃5の初期位置として試料S3,S4を切込み角ψ=1.1゜で切込み2次元切削した場合に得られたグラフである。試料S3,S4は、均一物質である。
終了切削水平距離K≧50μmとすれば、試料S3,S4の機械的特性を表している剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsを得ることが出来る。
図13は、機械的特性が異なる4つの層L1〜L4がベース材Bの表面に積層された試料Sの断面図である。層L1〜L4は、例えば塗布,メッキ,蒸着,スパッタリング,イオン照射等により積層または改質されたものである。
図14は、図13に示す如き試料Sの積層表面の所望の層まで切り込んでから水平切削する場合の切削制御の動作を示すフロー図である。
ステップC1では、操作者は、切込み初期のノイズを回避するために試料Sの表面から切り込む最小の深さである最小切削深さD”、水平削速度Vh、切込み角ψを入力する。最小切削深さD”は、例えば0.4μmである。切込み角ψは、例えば0.01゜〜10゜である。
ステップC2では、操作者は、水平切削を始める時の剪断角φである目標剪断角Φ、目標剪断角Φとの許容誤差である許容剪断角幅ΔΦ、目標剪断角Φの層に達した後から水平切削を止めるまでに進む水平距離である終了切削水平距離Kを入力する。例えば、図13に示す試料Sの層L3まで切削するなら、Φ=Φ3を入力する。なお、図13の層L1の厚さは最小切削深さD”より厚いものとする。
ステップC3では、操作者は、切削刃5を初期位置に移動する。切削刃5の初期位置は、切削刃5が試料Sの表面に当接しない位置または試料Sの表面に当接した位置のいずれでもよい。
ステップC4では、操作者は、切削開始の指示を入力する。操作者から切削開始の指示が入力されると、パソコン40は、ステップC6の処理へ進む。
ステップC6では、パソコン40は、切削深さdを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψで試料Sに切り込む。
ステップC7では、切削深さdが最小切削深さD”に達してないならばステップS6に戻り、切削深さdが最小切削深さD”に達したならばステップS8へ進む。
ステップC8では、パソコン40は、切削抗力水平成分Fh,切削抗力垂直成分Fvを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψで試料Sに切り込み、試料Sの表層を切削する。
ステップC9では、パソコン40は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2、に基づいて剪断角φを算出する。
ステップC10では、パソコン40は、Φ−ΔΦ≦Φ≦Φ+ΔΦ、が成立しないならばステップC8に戻り、Φ−ΔΦ≦Φ≦Φ+ΔΦ、が成立するならばステップC13へ進む。
ステップC13では、パソコン40は、切削水平距離kを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψ=0で試料Sの表層を切削する。
ステップC14では、パソコン40は、切削水平距離kが終了切削水平距離Kに達してないならばステップC13に戻り、切削水平距離kが終了切削水平距離Kに達したならば切削を止める。
図15は、図13に示す如き試料Sの積層表面の所望の層まで切り込んでから水平切削する場合の切削制御の動作を示す別のフロー図である。
ステップC1では、操作者は、切込み初期のノイズを回避するために試料Sの表面から切り込む最小の深さである最小切削深さD”、水平削速度Vh、切込み角ψを入力する。最小切削深さD”は、例えば0.4μmである。切込み角ψは、例えば0.01゜〜10゜である。
ステップC2’では、操作者は、水平切削を始めるまでに切り込む層の数である目標層数N、一つの層の剪断角Φの振れ幅である許容剪断角変化幅δ、目標層数Nまで切り込んだ後から水平切削を止めるまでに進む水平距離である終了切削水平距離Kを入力する。例えば、図13に示す試料Sの層L3まで切削するなら、N=3を入力する。なお、図13の層L1の厚さは最小切削深さD”より厚いものとする。
ステップC3では、操作者は、切削刃5を初期位置に移動する。切削刃5の初期位置は、切削刃5が試料Sの表面に当接しない位置または試料Sの表面に当接した位置のいずれでもよい。
ステップC4では、操作者は、切削開始の指示を入力する。操作者から切削開始の指示が入力されると、パソコン40は、ステップC5の処理へ進む。
ステップC5では、パソコン40は、層数カウンタn=1に初期化する。
ステップC6では、パソコン40は、切削深さdを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψで試料Sに切り込む。
ステップC7では、切削深さdが最小切削深さD”に達してないならばステップS6に戻り、切削深さdが最小切削深さD”に達したならばステップS8へ進む。
ステップC8では、パソコン40は、切削抗力水平成分Fh,切削抗力垂直成分Fvを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψで試料Sに切り込み、試料Sの表層を切削する。
ステップC9では、パソコン40は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2、に基づいて剪断角φを算出する。
ステップC10’では、パソコン40は、最新に算出した今回剪断角φと直前に算出した前回剪断角φの差が許容剪断角変化幅δより小さいならステップC8に戻り、小さくないならステップC11へ進む。
ステップC11では、パソコン40は、層数カウンタnの値が目標層数Nに達していないならステップC12へ進み、層数カウンタnの値が目標層数Nに達したならステップC13へ進む。
ステップC12では、パソコン40は、層数カウンタnを1だけインクリメントする。そして、ステップC8に戻る。
ステップC13では、パソコン40は、切削水平距離kを取得しながら、水平削速度Vh,切込み角ψ=0で試料Sの表層を切削する。
ステップC14では、パソコン40は、切削水平距離kが終了切削水平距離Kに達してないならばステップC13に戻り、切削水平距離kが終了切削水平距離Kに達したならば切削を止める。
図14,図15では、剪断角φを基に切削を制御したが、同様に、剪断応力τsや剪断面垂直応力σsを基に切削を制御することも可能である。
実施例1の材料の機械的特性の評価装置100によれば次の効果が得られる。
(a)平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定し、それらを基に剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出するが、剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsは、材料の機械的特性に依存するだけであり、切削刃幅bや切削深さdには依存しないため、切込み2次元切削の場合でも水平切削の場合でも、材料の機械的特性を表す指標として好適に利用することが出来る。
(b)剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsを基にした切削制御を行うことが出来るので、例えば切込み2次元切削中に剪断角φ,剪断応力τsまたは剪断面垂直応力σsが特定の値になったら切削を止めるといった切削制御を行うことが出来る。
本発明の材料の機械的特性の評価装置は、例えば表面材料の機械的特性を調べるのに利用できる。
本発明の切削装置は、例えば積層材料の表面を切削するのに利用できる。
実施例1に係る材料の機械的特性の評価装置を示す構成説明図である。 試料の表面を切削している状態を示す断面図である。 実施例1に係る切込み2次元切削の動作を示すフロー図である。 試料に切削刃が接触しない初期位置から切込み2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断角φの変化を示すグラフである。 試料に切削刃が接触しない初期位置から切込み2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの変化を示すグラフである。 試料に切削刃が接触した初期位置から切込み2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断角φの変化を示すグラフである。 試料に切削刃が接触した初期位置から切込み2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの変化を示すグラフである。 実施例1に係る水平2次元切削の動作を示すフロー図である。 試料に切削刃が接触しない初期位置から水平2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断角φの変化を示すグラフである。 試料に切削刃が接触しない初期位置から水平2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの変化を示すグラフである。 試料に切削刃が接触した初期位置から水平2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断角φの変化を示すグラフである。 試料に切削刃が接触した初期位置から水平2次元切削した場合において、切削深さdに対する剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの変化を示すグラフである。 試料の積層表面を示す断面図である。 削除対象層の剪断角Φを指定して行う水平2次元切削制御の動作を示すフロー図である。 削除対象層の数Nを指定して行う水平2次元切削制御の動作を示すフロー図である。
符号の説明
4 移動ヘッド
5 切削刃
6 水平用フォースコイル
7 垂直用フォースコイル
9 水平位置センサ
11 垂直位置センサ
40 パソコン
100 材料の機械的特性の評価装置
S 試料

Claims (14)

  1. 切削刃で試料の表層に切り込み試料の表層を切削する切削手段と、前記切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定する切削抗力測定手段と、前記切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvに基づいて剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する算出手段とを具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  2. 請求項1に記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdまたは切削水平距離kに対する剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つの変化を表す指標を算出する変化指標算出手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の材料の機械的特性の評価装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、atan()を逆正接関数とするとき、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2に基づいて剪断角φを算出することを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdに対する前記剪断角φのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削水平距離kに対する前記剪断角φのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の材料の機械的特性の評価装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2,bを切削刃幅,dを切削深さとするとき、τs=sinφ・(Fh・cosφ−Fv・sinφ)/(b・d)に基づいて剪断応力τsを算出することを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  7. 請求項6に記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdに対する前記剪断応力τsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削水平距離kに対する前記剪断応力τsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の材料の機械的特性の評価装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2,bを切削刃幅,dを切削深さとするとき、σs=sinφ・(Fh・sinφ+Fv・cosφ)/(b・d)に基づいて剪断面垂直応力σsを算出することを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  10. 請求項9に記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削深さdに対する前記剪断面垂直応力σsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載の材料の機械的特性の評価装置において、切削水平距離kに対する前記剪断面垂直応力σsのグラフを描画するグラフ描画手段を具備したことを特徴とする材料の機械的特性の評価装置。
  12. 切削刃で切削対象の表層に切り込み切削対象の表層を切削する切削手段と、前記切削中の切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvを測定する切削抗力測定手段と、前記切削抗力水平成分Fhおよび切削抗力垂直成分Fvに基づいて剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つを算出する算出手段と、前記剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つに基づいて切削を制御する切削制御手段を具備したことを特徴とする切削装置。
  13. 請求項12に記載の切削装置において、前記剪断角φを算出する算出手段は、atan()を逆正接関数とするとき、φ=π/4−atan(Fv/Fh)/2に基づいて剪断角φを算出することを特徴とする切削装置。
  14. 請求項12または請求項13に記載の切削装置において、前記切削制御手段は、前記剪断角φ,剪断応力τsおよび剪断面垂直応力σsの少なくとも1つに基づいて、切込み角ψ,切削深さd,切削水平距離kおよび切削速度の少なくとも1つを制御することを特徴とする切削装置。
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