JP2009275809A - 復元機能付きエネルギ吸収装置 - Google Patents

復元機能付きエネルギ吸収装置 Download PDF

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Abstract

【課題】付着の切れた復元部材にフレームの復元機能を持たせた架構において、鋼材に効率的にエネルギ吸収の機能を付与する。
【解決手段】水平力の作用時に相対変位を生じ得る、並列するフレーム部材2、2の間に耐力部材3を配置し、引張力を負担したときに復元力を発揮する復元部材4を耐力部材3との付着が切れた状態で、その耐力部材3を貫通して配置し、その両端部をフレーム部材2、2に定着させた架構において、
対向するフレーム部材2、2と耐力部材3との間に、この両者間の相対変位時に引張力を負担して降伏し得る引張部材5をフレーム部材2と耐力部材3から分離した状態で介在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は例えば柱・梁の架構(フレーム)において地震時に相対変位を生じ得る柱間、もしくは梁間等のフレーム部材間の相対変位を利用してエネルギを吸収し、相対変位後に原形に復帰する機能を有する復元機能付きエネルギ吸収装置に関するものである。
水平力作用時の柱・梁の架構(フレーム)の変形を利用してフレーム内で振動エネルギを吸収する場合、メインテナンスが不要であることから、鉄筋等の鋼材の塑性変形能力を利用した弾塑性履歴吸収型の鋼材ダンパーが多用される。
一方、フレームが変形を生じた後にフレームを原形に復帰させるために、フレーム内にアンボンドPC鋼材等、付着の切れた弾性(復元)部材を架設することが行われる(特許文献1、2参照)。弾性部材は水平力により、ある向きにフレームが変形したときに、鋼材ダンパーが塑性化し、復元機能を喪失している場合にも、フレームを強制的に原形に復帰させることで、鋼材ダンパーが正負の繰り返し加力(交番荷重)を受ける状態に戻す働きをする。
図7に鉛直方向にアンボンドPC鋼材が貫通し、上下面から鋼材ダンパーとしての鉄筋が突出した耐力壁を上下の梁部材間に配置した、従来の復元機能付きエネルギ吸収装置の例を示す。アンボンドPC鋼材が耐力壁の内部に位置する区間はグリース等により周囲との付着が切れた状態にあり、端部は梁部材内に定着され、耐力壁から突出する鉄筋は梁部材に定着されている。上下の梁部材が相対変位を生じたときには、引張側となる鉄筋が引張力により降伏してエネルギを吸収するが、図7の例では鉄筋が圧縮力を負担する状態にもあるから、降伏する以前に座屈する可能性がある。
特開平7−133647号公報(請求項1、請求項2、段落0018〜0021、図1、図8) 特開2007−16449号公報(請求項1、段落0038〜0039、図3、図4)
特許文献2では鋼材ダンパーを構成し、弾性変形から塑性変形へ移行する棒部材31が柱のコンクリート(PC柱10)の表面から露出する筒部材34に挿通し、柱の外部においてナット33Cにより定着されているため、棒部材31の降伏後にはナット(固定部材)33Cを取り外すことで、棒部材31を交換することが可能になっている(段落0039)。
棒部材31は一端において柱のコンクリート中に埋設されている被螺合部材32Aに螺合し、他端において梁のコンクリート(PC梁20)の外部に露出する筒部材34を挿通し、梁のコンクリートの外周に固定された板状部材33Aにナット33Cにより定着されている。このため、棒部材31は見かけ上、圧縮力の負担から解放された状態にあり、圧縮力を負担しない状態に置かれている。
但し、筒部材34は梁のコンクリートの外部に露出していることから、柱との相対回転変位によっては圧縮力を負担し得る状態にあるため、圧縮力の程度によっては座屈する可能性がある。従って筒部材34が座屈したときに、棒部材31が圧縮力を負担する状態に置かれるため、棒部材31が圧縮力の負担から完全に解放されていることにはならない。
筒部材34は梁のコンクリートの軸方向に沿って配置されていることで、筒部材34に座屈を起こす程の圧縮力が作用しないことも考えられる。その場合には、筒部材34を挿通している棒部材31に引張力が作用しても棒部材31が容易に降伏に至る程の引張力を作用させることが難しいことを意味するため、仮に棒部材31が降伏することがあるとしても、その塑性化後のエネルギ吸収能力に限界があることになる。
本発明は上記背景より、付着の切れた弾性(復元)部材にフレームの復元機能を持たせた架構において、鋼材に効率的にエネルギ吸収の機能を付与し得る復元機能付きエネルギ吸収装置を提案するものである。
請求項1に記載の発明の復元機能付きエネルギ吸収装置は、水平力の作用時に相対変位を生じ得る、並列するフレーム部材の間に耐力部材が配置され、引張力を負担したときに復元力を発揮する復元部材が前記耐力部材との付着が切れた状態で、その耐力部材を貫通して前記フレーム部材間に配置され、その両端部が前記フレーム部材に定着された架構に組み込まれ、前記耐力部材を含むエネルギ吸収装置であり、
対向する前記フレーム部材と前記耐力部材との間に、この両者間の相対変位時に引張力を負担して降伏し得る引張部材が前記フレーム部材と前記耐力部材から分離した状態で介在していることを構成要件とする。
フレーム部材は梁部材や柱部材等であり、並列するフレーム部材の間に配置される耐力部材は例えば耐震壁(耐力壁)や間柱等の耐震要素に相当する。復元部材は耐力部材を貫通し、耐力部材との付着が切れた状態で並列する二つのフレーム部材と耐力部材内に配置され、両端部がフレーム部材に定着されることで、フレーム部材の相対変位時には弾性域内でフレーム部材の変位に追従して伸長し、相対変位の終息と共に耐力部材を原形に復帰させる。
復元部材には主に付着の切れた(アンボンド)PC鋼材、繊維強化プラスチックが使用されるが、引張部材より相対的に引張強度の高い材料であれば、引張部材の降伏時にも弾性変形内に留まるため、復元部材の材料は問われない。復元部材にはフレーム部材間に相対変位が生じていない時点で予め張力(緊張力)が与えられていることもある。復元部材に予め緊張力が与えられることで、緊張力がない場合より復元の効果が高まるため、耐力部材を原形に復帰させる能力が向上する。
復元部材は相対変位後に、伸長時に生じている伸長量に応じた復元力によってフレーム部材と耐力部材を原位置に復帰させる。復元部材の耐力部材を貫通している区間が耐力部材との付着が切れた状態にあることで、復元部材が耐力部材にプレストレスを与えることはなく、定着されている両端部から材軸方向を向く張力の反力を耐力部材のフレーム部材側の両端に与える。
図1に示すように耐力部材のフレーム部材側の両端がフレーム部材に接触した状態にある場合には、耐力部材自身が弾性域内において面内変形を起こしたときに変形前の状態に復帰しようとするため、復元部材の復元機能を補う働きをする。
引張部材が対向するフレーム部材と耐力部材との間に、双方から分離した状態で介在することで、フレーム部材と耐力部材間に両者間距離が増大する向きの相対変位が生じたときにその相対変位量に応じた引張変形を強制的に起こし、弾性変形後に降伏してエネルギを吸収する。引張部材がフレーム部材と耐力部材に接続されていれば、フレーム部材と耐力部材間に両者間距離が縮小する向きの相対変位が生じたときに、両者から圧縮力を受けるが、双方から分離し、フレーム部材と耐力部材に間接的に接続されることで、請求項3に記載のように軸部材等との接続の仕方によって圧縮力を受ける状態から解放され、座屈の発生を回避することが可能になる。
引張部材が圧縮力を受けることから解放されることで、引張部材にはフレーム部材の相対変位量に関係なく、引張力のみを作用させ、純粋に引張力によって降伏させることができる。この結果、引張部材が圧縮力を負担する場合との対比では、引張力と圧縮力を交互に受けることによる疲労の影響を受けることがなく、疲労による早期の降伏が回避されるため、効果的にエネルギを吸収することが可能である。
引張部材は具体的には請求項2に記載のようにフレーム部材と耐力部材の対向する各面から突出し、引張部材に引張力を伝達する軸部材に連結されることにより、フレーム部材と耐力部材の相対変位時に軸部材から引張力を伝達される状態に置かれる。引張部材が軸部材から圧縮力を受けないようにする上では、引張部材と軸部材は互いに接近する向きの相対移動が許容され、遠ざかる向きの相対移動が拘束される状態に連結される。フレーム部材と耐力部材のそれぞれから突出する軸部材はフレーム部材と耐力部材のそれぞれに埋設、またはボルト接合等の手段により固定される。
引張部材が軸部材から圧縮力を受けず、引張力のみを受ける状態に置かれる場合には、前記のように純粋に引張力によって降伏することができるため、疲労による降伏が回避される。引張部材には鋼材の他、繊維強化プラスチックが使用され、引張部材が軸部材に先行して引張降伏するよう、引張部材の引張強度は軸部材の引張強度より相対的に低く設定される。例えば軸部材に高強度鋼材が使用される場合には引張部材に普通鋼材が使用され、軸部材に普通鋼材が使用される場合には引張部材に低降伏点鋼材が使用される。
引張部材はフレーム部材と耐力部材間の相対変位時に引張力を負担してエネルギを吸収することから、引張部材の架設方向は相対変位の発生方向、すなわち相対変位時にフレーム部材と耐力部材間の距離が増大する方向が効率的であるため、引張部材はフレーム部材と耐力部材が対向する方向に軸方向を向けて配置されることが適切である。
フレーム部材と耐力部材の相対変位時に引張部材が軸部材から引張力のみを伝達される状態に置かれることは、請求項3に記載のように軸部材が圧縮力を受けようとするときに引張部材に対して軸方向に相対移動自在に接続され、軸部材から圧縮力を伝達されないことにより可能になる。軸部材はフレーム部材と耐力部材が互いに接近する向きの相対変位を生ずるときに圧縮力を受けようとするから、そのときに軸部材と引張部材が相対移動可能であることで、引張部材が圧縮力の負担から解放される。
具体的には軸部材と引張部材が双方に跨るスリーブ(カプラー)状の継手部材7に、例えば軸部材6が継手部材7から分離する向きに係止可能であり、且つ軸部材6が引張部材5に接近する向きに相対移動自在に連結されることで(図2)、引張部材5が圧縮力の伝達から解放された状態になる。この場合に引張部材5を継手部材7にねじ(螺合)により接続しておけば、降伏し、役目を終えた引張部材5を軸部材6と継手部材7を使用可能状態に置いたまま、交換することが可能である。図2では軸部材6を継手部材7に継手部材7の軸方向に相対移動自在に、且つ継手部材7から分離する向きに係止し得る状態に連結している。
引張部材に圧縮力を負担させないことはまた、請求項4に記載のようにフレーム部材が対向する面間の、耐力部材の周囲に、二つのフレーム部材間の相対変位時に圧縮力を負担する圧縮部材を配置しておくことによっても可能である。
この場合、フレーム部材と耐力部材が互いに接近する向きに相対変位しようとしたときには、圧縮部材が圧縮力を負担することで、この接近する向きの相対変位の発生が阻止され、フレーム部材と耐力部材との間の距離に変化が生じることがないため、フレーム部材から引張部材に圧縮力が伝達されることがない。従って軸部材と引張部材が継手部材により引張力と圧縮力の伝達が可能な状態に連結されていても、引張部材に圧縮力を負担させない状態が得られる。
水平力の作用時に相対変位を生じ得る、並列するフレーム部材間に、付着が切れた復元部材が貫通した耐力部材が配置された架構において、対向するフレーム部材と耐力部材との間に、この両者間の相対変位時に引張力を負担して降伏し得る引張部材をフレーム部材と耐力部材から分離させた状態で介在させるため、引張部材に圧縮力を負担させることなく、引張力を負担させて降伏させることができる。この結果、引張部材を疲労によって降伏させることがないため、引張部材によって効果的にエネルギを吸収することが可能になる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1−(a)は水平力の作用時に相対変位を生じ得る、並列するフレーム部材2、2の間に耐力部材3が配置された架構に組み込まれ、対向するフレーム部材2と耐力部材3との間に、この両者間の相対変位時に引張力を負担して降伏し得る引張部材5を介在させた復元機能付きエネルギ吸収装置1の構成例を示す。並列するフレーム部材2、2間には復元部材4が耐力部材3との付着が切れた状態で、その耐力部材3を貫通して配置され、その両端部がフレーム部材2、2に定着される。引張部材5はフレーム部材2、2と耐力部材3から分離した状態で各フレーム部材2と耐力部材3との間に介在する。
フレーム部材2は梁部材、もしくは柱部材等であり、梁部材には基礎も含まれる。耐力部材3は主に耐震壁(耐力壁)や間柱、あるいはブレースを組み込んだ耐震要素であるが、並列するフレーム部材2、2間の相対変位に追従して変形することができれば、必ずしも耐震要素である必要はない。フレーム部材2が柱部材である場合、図1に示す復元機能付きエネルギ吸収装置1は横向きで配置される。
耐力部材3が耐震要素である場合、耐力部材3は構面内のフレーム部材2、2の相対変位を阻止するように機能することから、フレーム部材2には接触した状態で、またはフレーム部材2、2間の相対変位開始時に接触し得る程度のクリアランスを確保した状態で両フレーム部材2、2間に配置される。フレーム部材2と耐力部材3は共に鉄筋コンクリート造であるか、鉄骨造であるかの構造種別を問わない。
耐力部材3の内部には引張力を負担したときに復元力を発揮する、アンボンドPC鋼材、棒鋼等の復元部材4が耐力部材3との付着が切れた状態で、その耐力部材3を貫通してフレーム部材2、2間に配置される。復元部材4の両端部はフレーム部材2、2の内部、または外部(耐力部材3に関してフレーム部材2の外側)に定着される。復元部材4の少なくとも耐力部材3の内部に位置する区間は耐力部材3との付着が切れた状態にあり、復元部材4は耐力部材3にプレストレスを与えない。復元部材4はその周囲にグリースを塗付する、あるいは復元部材4をスリーブ内に挿通する等により耐力部材3との付着が切れた状態になる。
復元部材4はそれが発揮する復元力によってフレーム部材2、2の復元に伴って耐力部材3を変形前の状態に復帰させる働きをするから、フレーム部材2、2が対向する方向を向いて両フレーム部材2、2間に架設される。図面では耐力部材3内に1本の復元部材4を配置した様子を示しているが、複数本の復元部材4を配置することもある。復元部材4のフレーム部材2内部、あるいは外部での定着位置は問われないが、復元力の発揮時にフレーム部材2に損傷を与えないようにする上では耐力部材3との境界面から離れた箇所が適切である。定着の手段は任意であり、フレーム部材2を構成するコンクリート中に単に付着させるだけのこともある。
各フレーム部材2と耐力部材3が対向する部分に引張部材5が介在することから、フレーム部材2と耐力部材3との間に引張部材5を配置するための空間(領域)を確保するために、耐力部材3の一部は切り欠かれ、この切り欠かれた領域に引張部材5が配置される。図面ではフレーム部材2との相対変位量が大きくなる箇所として耐力部材3の四隅位置を切り欠いているが、耐力部材3とフレーム部材2間に対向する空間が確保されればよいため、切り欠き位置はこれには限定されない。
引張部材5は耐力部材3の切り欠き位置において、フレーム部材2と耐力部材3が相対変位を生ずる方向に軸方向が向いた状態で配置され、フレーム部材2と耐力部材3の対向する面間距離が拡大する向きの相対変位時に軸方向引張力を負担し、弾性域を超える引張応力によって降伏する。
引張部材5には鋼材の場合には図1に示すような鉄筋、棒鋼、形鋼等の他、図3に示すような鋼製の筒状部材等が使用される。引張部材5にはこの他、後述の軸部材6や継手部材7との接続のためのナットやプレート等を一体化することができれば、繊維強化プラスチックも使用される。引張部材5は軸部材6との接続方法を調整することにより、または図1−(a)に示すように耐力部材3の周囲に圧縮部材8を設置することにより、フレーム部材2と耐力部材3の対向する面間距離が縮小する向きの相対変位時に圧縮力を負担しない状態に置かれる。
図1−(a)に示す圧縮部材8は引張力を負担しないため、並列するフレーム部材2、2間には転倒しない程度に拘束された状態で、単純に設置されれば足りる。圧縮部材8はフレーム部材2、2間の相対変位の開始と同時に圧縮力を負担できるよう、フレーム部材2と耐力部材3に接触した状態で、または実質的に圧縮力負担の機能を発揮できる程度のクリアランスをおいてフレーム部材2と耐力部材3間に設置される。
フレーム部材2と耐力部材3の互いに対向する面からは引張部材5に引張力を伝達する軸部材6が突出し、図1−(b)、(c)に示すように継手部材7を介して引張部材5に連結される。軸部材6は引張部材5の軸と同一軸線上に位置する。フレーム部材2から突出する軸部材6は一部がフレーム部材2中に埋設されることにより、またはボルト接合や溶接等により接合されることによりフレーム部材2に固定された状態で対向する耐力部材3側へ突出する。耐力部材3から突出する軸部材6も同様である。
引張部材5が圧縮力を負担しない状態は、例えば図2に示すように継手部材7の引張部材5側の端部の内周面に雌ねじ部7aを形成する一方、軸部材6側の端部の内周面に雌ねじを形成することなく、抜け止め用の被係止部7bを形成し、雌ねじ部7aに引張部材5の端部に形成した雄ねじ部5aを螺合させ、被係止部7bに軸部材6の端部を係止させることで得られる。継手部材7の引張部材5側の端部は開放し、継手部材7内周面の、雌ねじ部7b以外の区間は雌ねじのない円筒面になる。
軸部材6を被係止部7bに係止させることは、例えば軸部材6の端部に、雌ねじの切られた円筒状のスリーブ6aを螺合させて一体化させ、スリーブ6aを継手部材7の雌ねじ部7a側から軸方向に摺動自在に挿通させることで得られる。
図2の場合、引張部材5は継手部材7に対して相対移動することができないが、軸部材6は継手部材7に対して相対移動可能であるため、フレーム部材2と耐力部材3との間に両者間距離が小さくなる向きの相対変位が生じたときには軸部材6が継手部材7に対し、引張部材5側へ相対移動することで引張部材5への引張力の作用を回避する。
軸部材6に螺合したスリーブ6aが雌ねじ部7b側の開口から抜け出せる状態にしながら、単純に雌ねじ部7bに引張部材5の雄ねじ部5aを螺合させるとすれば、軸部材6の径が引張部材5の径より小さくなるが、図2に示すように引張部材5の雄ねじ部5a以外の区間(軸部)の径を絞ることにより引張部材5の径を軸部材6の径以下に抑えることができる。
図2の場合、引張部材5が引張力を負担して降伏し、エネルギ吸収の機能を果たした後には引張部材5を逆向きに回転させ、継手部材7から抜き取ることにより引張部材5の交換を行うことが可能である。また継手部材7の内周面を被係止部7b側から雌ねじ部7a(開口)側へ向かって径が拡大する加工をしておくことで、軸部材6に螺合した状態で継手部材7の被係止部7bに係止しているスリーブ6aを引張部材5側の開口から離脱させることもできる。
図1−(b)、(c)に示すように継手部材7として両端部に雌ねじ部を有するカプラー等を使用し、引張部材5と軸部材6を共に継手部材7に螺合等により固定状態で接続した場合には、フレーム部材2と耐力部材3の対向する面間距離が縮小する向きの相対変位時に引張部材5に軸方向圧縮力を負担させる可能性がある。但し、図1−(a)に示すように耐力部材3の幅方向両側等、耐力部材3の周囲に圧縮部材8を設置し、圧縮部材8に圧縮力を負担させることで、引張部材5への圧縮力の作用を回避することは可能である。
圧縮部材8はフレーム部材2と耐力部材3との間の相対変位量が最も大きくなる箇所に設置されることが適切であり、図1−(a)では耐力部材3の中心に関して引張部材5の外側に配置している。圧縮部材8にはプレキャストコンクリート等のコンクリート造の他、鉄骨製の部材が使用される。
引張部材5と軸部材6を継手部材7に固定状態で接続することはこの他、引張部材5と軸部材6の周面にリブを形成しておき、両者を継手部材7内に挿通した状態で継手部材7内にモルタルや接着剤等の充填材を充填する方法(スリーブ継手等の機械式継手全般)によっても行われる。
図3は引張部材5に圧縮力を負担させずに、引張力のみを負担させる図2以外の具体例を示す。ここでは引張部材5に鉄筋ではなく、筒状の部材を使用した場合を示しているが、引張力によって軸部材6に先行して降伏する機能を発揮すれば、更には軸部材6から分離自在に接続可能であれば、引張部材5の形態は問われず、引張部材5は鳥籠形その他の形状にも形成される。
図3−(b)、(c)は外周の軸方向にフランジ51aを有し、そのフランジ51aにおいて互いに接合される例えば半円筒形の引張部材構成材51、51を接合することにより構成される引張部材5の構成例を示す。引張部材構成材51の軸方向の両端面には軸部材6を係止させるための被係止部51bが形成される。この被係止部51bには軸部材6の引張部材5側の端部に螺合等により接合される係止部材61が係止する。引張部材構成材51は必ずしも円筒形の引張部材5を半割りにした形である必要はなく、引張部材5は周方向に3個以上の引張部材構成材51に分割されることもある。
2個の引張部材構成材51、51は双方のフランジ51a、51aが互いに重なった状態で両者を貫通するねじ等によって分解自在に接合され、引張部材5が役目を終えた場合には分解されることで、未使用の引張部材5に交換される。引張部材構成材51、51の接合時には各軸部材6の端部に係止部材61を接合し、各係止部材61を一方の引張部材構成材51の被係止部51bに係止させた状態で、他方の係止部材61を重ね、ねじでフランジ51a、51aを連結することにより接合される。
図4−(a)は図3に示す引張部材5が軸部材6、6から引張力を受けるときの様子を示す。このときには、各軸部材6の係止部材61が引張部材5の被係止部51bに係止することで、引張部材5が引張力を負担し、弾性域を超える引張応力を受けたときにフランジ51a以外の本体部50が降伏する。(b)はフレーム部材2と耐力部材3の対向する面間距離が縮小する向きの相対変位を生じたときの様子を示す。このときには、係止部材61が引張部材5の内部を軸方向に摺動可能であることで、軸部材6、6が相対移動を生ずるため、引張部材5が引張力を負担することはない。
図5−(a)〜(c)は降伏の時期を調整した引張部材5の形成例を示す。(a)は引張部材5(引張部材構成材51)自体を軸部材6の鋼材より降伏点の低い低降伏点鋼材で製作した場合、(b)、(c)は引張部材構成材51のフランジ51a以外の本体部50に複数の孔を形成し、本体部50の軸に直交する断面の一部を欠損させた場合である。(b)は軸方向に長い孔を形成した場合、(c)は多数の小孔を形成した場合である。図2に示す継手部材7を図5−(a)〜(c)に示す引張部材5に置き換えることも可能である。その場合、図2における引張部材5と軸部材6が共に図5における軸部材6となる。
上下のフレーム部材2、2が図6に示すように相対変位を生じたときには、引張部材5がその相対変位に追従し、フレーム部材2と耐力部材3との間の距離が増大する側、すなわち図6中、耐力部材3の右上と左下に位置する引張部材5が引張力を負担する。この相対変位は正負の向きに繰り返されるから、フレーム部材2、2が逆向きに相対変位したときには図6中、耐力部材3の右下と左上に位置する引張部材5が引張力を負担する。
フレーム部材2、2が図6の向きに相対変位した後は耐力部材3の内部を貫通し、両フレーム部材2、2に定着されている復元部材4が復元力を発揮し、フレーム部材2、2を相対変位前の状態に復帰させようとするため、フレーム部材2、2が逆向きに相対変位する以前に、引張部材5の伸び変形(引張歪み)は一旦、0、もしくは0に近い値に戻される。従ってフレーム部材2、2が図6の逆向きに相対変位するときには、歪みが0に近い状態から増大するため、履歴ループは常に原点、もしくはその付近を通る曲線を描くことになる。引張部材5は履歴ループの面積分のエネルギを吸収する。
図6ではフレーム部材2、2の相対変位が構面内方向に生じた場合を示しているが、引張部材5によるエネルギ吸収効果は構面外方向に生じた場合にも発揮される。
(a)は対向するフレーム部材と耐力部材との間に引張部材を介在させ、耐力部材の周囲に圧縮部材を配置した様子を示した斜視図、(b)は(a)の引張部材と軸部材を示した斜視図、(c)は(b)の引張部材と軸部材を継手部材によって接続した様子を示した斜視図である。 継手部材の一端に引張部材が螺合し、他端に軸部材が係止することにより引張部材に圧縮力を作用させない接続例を示した縦断面図である。 (a)は対向するフレーム部材と耐力部材との間に圧縮力を負担しない引張部材を介在させた様子を示した斜視図、(b)は(a)の引張部材部分の拡大図、(c)は(b)の引張部材を分解した様子を示した斜視図である。 (a)は図3−(b)に示す引張部材が引張力を負担したときの様子を示した斜視図、(b)は圧縮力が作用しようとするときの様子を示した斜視図である。 (a)〜(c)は図3−(b)に示す引張部材の変形例を示した斜視図である。 フレーム部材が構面内方向に相対変位した場合の耐力部材と引張部材の挙動を示した概念図である。 従来の復元機能付きエネルギ吸収装置を示した斜視図である。
符号の説明
1……復元機能付きエネルギ吸収装置、
2……フレーム部材、3……耐力部材、4……復元部材、
5……引張部材、5a……雄ねじ部、51……引張部材構成材、51a……フランジ、51b……被係止部、50……本体部、
6……軸部材、6a……スリーブ、61……係止部材、
7……継手部材、7a……雌ねじ部、7b……被係止部、
8……圧縮部材。

Claims (4)

  1. 水平力の作用時に相対変位を生じ得る、並列するフレーム部材の間に耐力部材が配置され、引張力を負担したときに復元力を発揮する復元部材が前記耐力部材との付着が切れた状態で、その耐力部材を貫通して前記フレーム部材間に配置され、その両端部が前記フレーム部材に定着された架構に組み込まれ、前記耐力部材を含むエネルギ吸収装置であり、
    対向する前記フレーム部材と前記耐力部材との間に、この両者間の相対変位時に引張力を負担して降伏し得る引張部材が前記フレーム部材と前記耐力部材から分離した状態で介在していることを特徴とする復元機能付きエネルギ吸収装置。
  2. 前記フレーム部材と前記耐力部材の対向する各面から、前記引張部材に引張力を伝達する軸部材が突出し、前記引張部材に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の復元機能付きエネルギ吸収装置。
  3. 前記フレーム部材と前記耐力部材の対向する各面から、前記引張部材に引張力を伝達する軸部材が突出し、この各軸部材は圧縮力を受けようとするときに前記引張部材に対して軸方向に相対移動自在に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の復元機能付きエネルギ吸収装置。
  4. 前記フレーム部材が対向する面間の、前記耐力部材の周囲に、前記二つのフレーム部材間の相対変位時に圧縮力を負担する圧縮部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の復元機能付きエネルギ吸収装置。
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