JP2009274842A - 巻上機用軸受への給脂方法およびその装置 - Google Patents

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嘉寛 西尾
Akio Tateyama
秋雄 館山
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Abstract

【課題】複数の軸受への給脂を、閉塞することなく確実に、しかも簡便に行うことができる、軸受への給脂方法について提供する。
【解決手段】複数の軸受1を並列に配置した巻上機において、軸受に潤滑脂を供給するに当り、軸受列に沿って延び、かつ各々が各軸受に連通する複数の充填口4が開口された給脂通路2内に、一端側に潤滑脂の注入口5を有しかつ他端側に給脂口を有する供給管7を挿入し、供給管の注入口を前記いずれかの充填口に合わせ、注入口から前記充填口に潤滑脂を流し込み、軸受に潤滑脂を供給する。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉄鋼製造所などで重量物を扱う荷役機械、例えば、巻上機に用いられている軸受への給脂装置およびその方法に関するものである。
例えば、図1に示すようなレ一ドルクレーンの巻上機は、その軸受への給脂箇所(給脂口100)が多いこともあり、給脂作業に危険を伴う箇所には、集中給脂構造を用いることが一般的である。
すなわち、従来は、図1、図2に示すように、給脂口100から伸びた一本の給脂穴101から、巻上機の軸受102の数だけ分配され、その末端を各軸受102本体に接続され、潤滑脂圧力が均等になるように穴径が調整された潤滑脂充填ロ103より、例えばグリスガン104を介して、潤滑脂105を軸受に供給するのが一般的である。
このような構造のため、図3に示すように、潤滑脂105の劣化による粘度の低下により、いずれかの潤滑脂充填口103が閉塞または抵抗の増大を招いた際、圧力抵抗が少ない潤滑脂充填ロ103に集中することになり、真に潤滑を必要とする部位に適正量のグリースを給脂できなくなる。その結果、潤滑切れをひき起こす原因となり、予定よりも早期にベアリングを損耗させてしまう。
これらの不具合を解消する方法としては、潤滑脂の圧送性、吸引性、詰まりにくさという点から、潤滑脂自体を改善することが主流であった。しかし、このような方法のみでは、潤滑脂の経時的な劣化による硬化物起因の管内の閉塞に対しては、抜本的な改善策とは成りえない。
また、特許文献1にあるような、分配された軸受直近の潤滑脂充填日毎に自動弁を設け、各軸受に適正量給脂できる自動集中給脂装置も提案されているが、この構造方法では、自動弁や多岐にわたる給脂管により装置の規模が大きくなり、起重機上などでは、手狭となりメンテナンス作業時の障害になってしまう。
特開平5−179250号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み開発されたものであり、複数の軸受への給脂を、意図しない閉塞を招くことなく、確実にしかも簡便に行うことができる、軸受への給脂方法を提案することを目的とする。さらに、本発明では、複数の軸受への給脂を確実かつ簡便に行うことを可能にする軸受の給脂装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、個々の軸受の良好な潤滑状態を維持し、コンパクトでありながら長寿命化を可能にするための、給脂方法について様々な試行錯誤を行い、装置の改良を重ねた結果、各軸受に至る前に潤滑脂の供給路を分岐させない給脂方法および給脂装置を見い出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の巻上機軸受への給脂方法は、複数の軸受を並列に配置した巻上機において、該軸受に潤滑脂を供給するに当り、前記軸受列に沿って延び、かつ各々が各軸受に連通する複数の充填口が開口された給脂通路内に、一端側に潤滑脂の注入口を有しかつ他端側に給脂口を有する供給管を挿入し、該供給管の注入口を前記いずれかの充填口に合わせ、前記注入口から前記充填口に潤滑脂を流し込み、軸受に潤滑脂を供給することを特徴とするものである。
また、この方法の実施に直接使用する装置は、巻上機において並列配置した複数の軸受の列に沿って、給脂通路を設け、該給脂通路内に、各々が各軸受に連通する複数の充填口を開口させると共に、一端側に潤滑脂の注入口を有しかつ他端側に給脂口を有する供給管を挿入配置し、該供給管の注入口を供給通路の軸方向に移動可能としたことを特徴とするものである。
ここで、前記供給管は、前記注入口を有する外管と、前記給脂口から前記注入口へ延びる内管とからなり、前記外管の一端側に、前記給脂通路の断面形状を有し、かつ少なくとも前記注入口を隔てて離間された一対のシール材間に区画される、ヘッドを有することが好ましい。
また、前記ヘッドを区画するシール材の相互間隔が、前記充填口の直径の2〜4倍であることが好ましい。
さらに、前記供給管は、前記注入口の移動位置制御機構を有すること、そしてこの移動位置制御機構は遠隔操作機能を有することが好ましい。
本発明によれば、複数の軸受への給脂を、その経路途上で閉塞することなく確実に、しかも簡便に行うことができるため、該軸受での潤滑切れを無くし、常に良好な潤滑状態を持続させ、その結果、軸受の長寿命化が達成される。
以下、本発明の給脂方法について、図4を参照して具体的に説明する。なお、図4は、本発明の給脂方法の実施に直接使用する装置の構成を示す模式図である。
図4において符号1は巻上機の軸受であり、これら複数の軸受1の列に沿って、給脂通路2を設けてある。図示例では、3対の軸受1に対して、各1本計2本の給脂通路2を設けてある。該給脂通路2には、各々が各軸受1に油路3を介して連通する複数の充填口4を開口させる。さらに、給脂通路2内に、一端側に充填口4への潤滑脂の注入口5を有し、かつ他端側に給脂口6を有する供給管7を挿入する。
この供給管7は、図5に示すように、注入口5を有する外管7aと、前記給脂口6から注入口5へ延びる、外管7aの内径と同等の外径を有する内管7bとからなり、給脂口6から内管7b内に供給された潤滑脂105は外管7aの注入口5を介してのみ外側に供給される。
また、外管7aの一端側は、前記給脂通路2の断面と同じ形状を有する、一対のシール材8aおよび8bを設けてシリンダー状の構造とする。すなわち、シール材8aおよび8bは、給脂通路2の壁面に隙間なく、かつ摺動可能に設けられる。すなわち、ヘッド位置合わせ移動の摺動抵抗増加を防止する適正な公差および形状を有する、例えば注射器のシリンダー様の構造を有する。これらシール材8aおよび8bは、少なくとも注入口5を隔てて離間されることによって、シール材の相互間を液密に区画する。この区画をヘッド9とする。
さらに、供給管7は、注入口5を有するヘッド9が、図6(a)〜(c)に示すように、給脂通路2の軸方向に移動可能なものにすることが重要である。図6に示す構造では、供給管7の給脂口6側の端部を、シリンダー10に結合し、このシリンダー10を油圧や電動で作動させることによって、ヘッド9を給脂通路2の軸方向に移動可能とする。
以上の構成になる給脂装置は、まず、給脂通路2内に挿入した供給管7を上記に従って移動させ、ヘッド9の注入口5を所望の充填口4に合わせる。ついで、供給管7に、例えば図4に示すように、グリスガン104を介して給脂口6から潤滑脂105を内管7b内に供給する。供給された潤滑脂105は注入口5からヘッド9内に一旦貯留される。
上述したように、このヘッド9は、シール材8aおよび8b間で液密に区画されているから、ヘッド9内に貯留された潤滑脂105は定圧に保持される。そして、一定の圧力が付与された潤滑脂105は、充填口4から軸受1に向かって流し込まれ、油路3を経由して軸受に潤滑脂105を供給することができる。
以上の工程を、各軸受1の充填口4毎に行うことによって、適切に潤滑脂105の供給を実現できる。従って、軸受における潤滑切れを無くし、常に良好な潤滑状態を持続できるようになる。各工程では、選択した充填ロ4への位置合わせが容易に可能であり、装置自体も簡潔な構造であるところも利点である。
ここで、図5に示すように、ヘッド9を区画するシール材8aおよび8bの相互間隔Lは、前記充填口4の直径Dの2〜4倍であることが好ましい。なぜなら、相互間隔Lが2D未満では、間隔が狭すぎて所定の充填口4への位置合わせが難しくなること、突出圧力の緩衝作用が弱くなり安定したシール性能が保持できなくなること、および充填口4自体の大きさが給脂口からの距離に応じて大小変化するので、その平均直径の少なくとも2倍は必要になるからである。一方、相互間隔Lが4Dを超えると、給脂圧力が安定するまでに要する時間が嵩み、その間に供給された油脂量が正確に把握できなくなるからである。
また、供給管7は、その移動位置制御機構を付設することによって、遠隔からの自動運転が可能である。図7に示す例は、潤滑脂105の貯留タンク11からポンプ12にて潤滑脂105を供給管7に圧送するに際し、その圧送量を検出器13で検知し、圧送量を制御するもので、切替弁14を介して、隣接する供給管7側へも潤滑脂105の圧送を可能としている。
一方、ヘッド9の注入口5を所望の充填口4に合わせるための、移動位置制御機構は、
上述したシリンダー10を油圧にて作動させるための油圧制御を行う、電動弁15を備え、この電動弁15を圧力計16からの信号に基づいて演算器17にて制御するものである。従って、ヘッド9を所望の位置で停止可能である。なお、同図において、符号18はシリンダー10の作動油であり、ポンプ19によってシリンダー10へ圧送される。
以上、巻上機の軸受への給脂について述べたが、本発明が、巻上機以外の軸受の給脂にも適用できることは勿論である。
巻上機の軸受を示す図である。 従来の軸受への給脂方法を示す図である。 従来の軸受への給脂方法の問題を説明する図である。 本発明の軸受への給脂方法を示す図である。 供給管のヘッドの詳細を示す図である。 供給管の移動を示す図である。 供給管の移動位置制御機構を説明する図である。
符号の説明
1 軸受
2 給脂通路
3 油路
4 充填口
5 注入口
6 給脂口
7 供給管
8a、8b シール材
9 ヘッド
10 シリンダー

Claims (6)

  1. 複数の軸受を並列に配置した巻上機において、該軸受に潤滑脂を供給するに当り、前記軸受列に沿って延び、かつ各々が各軸受に連通する複数の充填口が開口された給脂通路内に、一端側に潤滑脂の注入口を有しかつ他端側に給脂口を有する供給管を挿入し、該供給管の注入口を前記いずれかの充填口に合わせ、前記注入口から前記充填口に潤滑脂を流し込み、軸受に潤滑脂を供給することを特徴とする巻上機軸受への給脂方法。
  2. 巻上機において並列配置した複数の軸受の列に沿って、給脂通路を設け、該給脂通路内に、各々が各軸受に連通する複数の充填口を開口させると共に、一端側に潤滑脂の注入口を有しかつ他端側に給脂口を有する供給管を挿入配置し、該供給管の注入口を供給通路の軸方向に移動可能としたことを特徴とする巻上機軸受への給脂装置。
  3. 前記供給管は、前記注入口を有する外管と、前記給脂口から前記注入口へ延びる内管とからなり、前記外管の一端側に、前記給脂通路の断面形状を有し、かつ少なくとも前記注入口を隔てて離間された一対のシール材間に区画される、ヘッドを有する請求項2に記載の巻上機軸受への給脂装置。
  4. 前記ヘッドを区画するシール材の相互間隔が、前記充填口の直径の2〜4倍である請求項3に記載の巻上機軸受への給脂装置。
  5. 前記供給管は、前記注入口の移動位置制御機構を有する請求項2ないし4のいずれかに記載の巻上機軸受への給脂装置。
  6. 前記移動位置制御機構は遠隔操作機能を有する請求項5に記載の巻上機軸受への給脂装置。
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