JP2009274416A - ポリプロピレン系樹脂多層発泡シート - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂多層発泡シート Download PDF

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Abstract

【課題】 比較的厚手で、かつ軽量性と高い剛性、優れた外観を両立でき、各種包装資材や自動車部材等に好適に用いることが出来る、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートを提供する
【解決手段】 シート厚み方向の気泡数が6個以上、好ましくは7個以上であるポリプロピレン系樹脂発泡シートを、押出ラミネート法により非発泡樹脂層を介して2枚以上積層してなる、厚さ3〜10mmのポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。非発泡樹脂層は厚みが10〜200μm、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを押出ラミネート法により2枚以上積層してなるポリプロピレン系樹脂多層発泡シートに関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、耐熱性、耐薬品性等に優れるという特徴があり、これまで熱成形により食品容器とされ、使用されている。さらに、耐熱性や耐薬品性等の性能に加えて、近年その発泡素材であることよりくる軽量性や緩衝性を特徴として、各種包装資材や自動車部材の素材として注目されてきている。
このような分野では、発泡素材であるがゆえの軽量性や緩衝性に加え、例えば、3〜10mmという、食品容器分野で使用されているポリプロピレン系樹脂発泡シートと比べると比較的厚手であり、かつ剛性に優れるものが求められている。
熱可塑性樹脂発泡シートを得る方法としては、熱可塑性樹脂を押出機で溶融させ、得られた溶融物と発泡剤とを高温高圧下で混練した後、混合物を環状のスリットをもつサーキュラーダイを通じて低圧域に押し出し、環状スリット径よりも外径の大きい円筒状冷却筒(マンドレル)により延伸・冷却して、発泡シートを製造する押出発泡法がよく知られている。
一方、このような方法による押出発泡シートの製造においては、サーキュラーダイより大気中に押出し発泡させるため、大気圧中に押しだされた円筒状の樹脂は、押出直後における発泡シートの気泡の成長に伴う体積膨張のため、環状スリットの断面積より、断面積が大きい円筒状発泡体となる。そのため、押し出された円筒状の発泡体は、周方向(発泡シートの巾方向)に波打った状態にて押し出される。そのような発泡体の波打ちはコルゲートと呼ばれ、シート巾方向に周期的で、押出方向に連続した、発泡シートの厚みムラや気泡径のムラとなって現れる(以下、このコルゲートに起因した発泡シートの厚みムラや気泡径のムラをコルゲート筋と称する場合もある)。
特にポリプロピレン系樹脂を用いた押出発泡において、押出直後における発泡シートの気泡の成長が早いことに起因して、コルゲート筋が顕著に表れやすい。さらに、前記厚み範囲のような、高い厚みのポリプロピレン系樹脂発泡シートを得ようとすると、コルゲート筋はより顕著となりやすい。発泡シートのコルゲート筋は、発泡シートの外観を損ねるとともに、シート巾方向と押出方向の物性にバラツキが生じやすいという問題がある。
このような問題は、例えばシートの発泡倍率を小さくし、押出直後の体積膨張自体を小さくすることで改善することができるが、そのようにした場合、必然的に得られる発泡シートの坪量が大きくなり、発泡シートの特徴である軽量性が損なわれるという問題があった。
また、押出発泡条件の調整等により、得ようとする発泡シートの気泡が少なくなるようコントロールし、発泡体全体の体積膨張速度を遅くすることでも改善できるが、そのようにして得られた発泡シートは気泡が大きなものとなるため、外観を損なうという問題があった。
このような背景の下、軽量性を損なわずに、比較的厚手のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る手段が提案されている。
例えば、特許文献1には、特定の無架橋ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする複数枚の発泡シートを、幅方向と押出方向を一致させて溶融接着することにより積層されてなる、厚さ3.0〜20mm、密度0.02〜0.3g/cmの特定の気泡構造および独立気泡率の発泡体積層シートが開示されている。
この発泡体積層シートは、初期厚みの薄い複数枚の発泡シートを積層して得られるがために、前記のコルゲートによる厚みムラや気泡径のムラが大きくなるといった問題を解消することが出来る。しかしながら、この発泡体積層シートは複数枚の発泡シートを接着する方法として熱風で発泡シート表面を溶融したのちに接着するという方法で製造されるために、発泡シートの接着面の気泡が破壊され、発泡シートの剛性が低下しやすいという問題があった。
特開平7−227930号公報
以上のように、これまで軽量性と高い剛性を両立し、加えて発泡シートの気泡が細かく外観の優れた、比較的厚手のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得ることが出来ないという課題があった。
本発明者らは、前記課題に鑑み、検討を重ねた結果、特定形状の気泡を有するポリプロピレン系樹脂発泡シートを押出ラミネート法によって複数枚積層せしめることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち本発明は、比較的厚手で、かつ軽量性と高い剛性、優れた外観を両立でき、各種包装資材や自動車部材等に好適に用いることが出来る、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、以下の構成を有するものである。
1). シート厚み方向の気泡数が6個以上であるポリプロピレン系樹脂発泡シートを、押出ラミネート法により非発泡樹脂層を介して2枚以上積層してなる、厚さ3〜10mmのポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
2). 押出ラミネート法によってポリプロピレン系樹脂発泡シートに挟まれる非発泡樹脂層の厚みが10〜200μmであることを特徴とする、1)記載のポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
3). ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの最外面の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂非発泡層が積層されている1)または2)に記載のポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
4). 密度90〜230kg/m、坪量400〜1500g/m、独立気泡率60%以上であることを特徴とする、1)〜3)いずれか1に記載のポリプロピレン系樹多層発泡シート。
5). 三点曲げ試験によって測定される曲げ弾性率が80〜400MPaであることを特徴とする、1)〜4)いずれか1に記載のポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
本発明により、軽量性・外観を損ねることなく、十分な剛性を示し、各種包装資材や自動車部材等に好適に用いることが出来る、比較的厚手のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートが提供される。
本発明の第一の特徴は、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートにおいて、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを、押出ラミネート法により非発泡樹脂層を介して2枚以上積層することによって、例えば図1に示すような構成のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートとすることにある。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいて、シート厚みが薄ければ、発泡倍率が高く、気泡が小さくても、発泡シートの製造時に発生するコルゲートによる厚みムラや気泡径のムラが少ないシートを得ることが出来る。そのようにして得られたポリプロピレン系樹脂発泡シートを複数枚積層し多層発泡シートとすることにより、発泡倍率が高く、かつ気泡が小さいにも関わらず、コルゲートによる厚みムラや気泡径のムラが少なく、外観に優れた比較的厚手のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得ることが出来る。
ここで、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートに用いられるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、シートの厚み方向の気泡数が6個以上であり、7個以上が好ましい。シート厚み方向の気泡数が6個未満となると、発泡シートの気泡径が大きくなりすぎ、外観を損ねる傾向にあり好ましくない。さらに押出ラミネート法による発泡シート積層時、発泡シート表面の気泡による凹凸が非発泡樹脂層の厚みよりも大きくなる場合があり、十分な接着力を得られ難い傾向にあるため好ましくない。
さらに本発明は、押出ラミネート法によって、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを複数枚積層することを特徴とする。押出ラミネート法により積層することによって、発泡シートの接着面全体で、均一かつ十分な接着力を得ることが可能であり、かつ接着面の発泡シートの気泡を破壊することがないため、得られる多層発泡シートの剛性低下を生じさせることがない。
このような押出ラミネート法により、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートを得る代表的な具体例を図2に基づいて説明する。発泡シート1a、1bと、それらに挟まれる非発泡樹脂層2とからなる多層発泡シート3を製造する方法としては、発泡シート1aをニップロール5に、発泡シート1bを冷却ロール6に沿わせながら、ニップロール5と冷却ロール6との間に繰り出し、Tダイ4から非発泡樹脂層2をフィルム状に押出し、ニップロール5と冷却ロール6との隙間8に繰り出し、ニップロール5と冷却ロール6とで発泡シート1aと非発泡樹脂層2と発泡シート1bとを圧着、引取りすることにより、発泡シートおよび発泡シートに挟まれる非発泡樹脂層とからなる積層発泡シート3を得る。
なお、このとき押出されて非発泡樹脂層2となる樹脂の温度は、製造工程での取り扱いの面、非発泡樹脂層の厚みコントロールの面、発泡シートと非発泡樹脂層との界面の接着強度の面から、200〜260℃の範囲として積層することが好ましい。また、エアギャップ7(Tダイ4から出た非発泡樹脂層2が発泡シート1a、1bに圧着されるまでの距離)を変更することにより、発泡シートからの非発泡樹脂層のはみ出しなどを調整することができると共に、発泡シートと非発泡樹脂層との界面での接着強度を改善することができる。
なお、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの厚みは3〜10mmの範囲にあることが好ましい。発泡シートの厚みが3mm未満の場合、緩衝性や剛性が不足する傾向にあり、10mmより大きい場合、折り曲げ加工等の加工性や熱成形性に劣る傾向にあるため好ましくない。本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの厚みは、押出ラミネートにより積層する前の、各種厚みのポリプロピレン系樹脂発泡シートを適宜選択することによって調整することが出来る。
さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、所望するシート厚みやシート剛性によって、図3に示すように、複数枚のポリプロピレン系樹脂発泡シートを積層していても良い。このような多層発泡シートは、前記押出ラミネート法の工程を繰り返すことで容易に製造することが出来る。
本発明の発泡シートに挟まれる非発泡樹脂層の厚みは10〜200μmの範囲にあることが好ましく、さらには20〜180μm、特には40〜140μmが好ましい。10μm以下の場合、ポリプロピレン系樹脂発泡シート同士を接着する強度が十分でなくなる傾向にあり、一方、200μmを越える場合、軽量性が悪化する傾向にあり、ともに好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、さらに高い剛性を付与するために、図4または図5に示すようにシートの最外面の少なくとも片面に非発泡樹脂層が積層されていても良い。このような多層発泡シートは、予め押出ラミネート法等により非発泡樹脂層を積層した積層発泡シートを積層する発泡シートとして用い、前記押出ラミネート法によって積層することで製造することが出来る。最外面の非発泡樹脂層の厚みは、接着性および軽量性の観点から、10〜200μmの範囲にあることが好ましく、さらに20〜180μmであることがより好ましい。
このように、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは 発泡シート層および非発泡樹脂層の構成を適宜選択することにより、所望の厚みと剛性を幅広い範囲で容易に調整することが可能である。
本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、軽量性、緩衝性、剛性の観点から、密度としては90〜230kg/mであることが好ましく、110〜210kg/mがより好ましい。坪量としては、400〜1500g/mが好ましく、さらには500〜1200g/mが、特には550〜1200g/mが特に好ましい。なお、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの密度および坪量は、発泡シートの積層に用いるポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度および坪量、非発泡樹脂層の坪量によって調整することが出来る。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの独立気泡率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。独立気泡率が60%より小さい場合には、得られる発泡シートの剛性に劣る場合がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの三点曲げ試験によって測定される曲げ弾性率は80〜400MPaであることが好ましく、100〜350MPaであることがさらに好ましい。曲げ弾性率が80MPa未満であると発泡シートの剛性が低くなる傾向があり、400MPaより大きくなると、発泡シートの剛性が高すぎて、非包装物の緩衝性が悪くなる傾向や、各種の箱や容器等の包装資材とするための二次加工における加工性に劣る傾向がある。
なお、本発明における発泡シートの曲げ弾性率の測定は、図6に示すように、発泡シートを巾10mmに切り出し試験片とし、JIS K 7203に準拠し、支点間距離50mm、曲げ楔半径5mm、曲げ試験速度10mm/分の試験条件による三点曲げ試験の加重−たわみ曲線から得られる曲げ弾性率を測定し、試験片5点分の測定平均値を曲げ弾性率とした。
以下、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの製造方法について詳述する。
本発明において用いられる、積層されるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの効果を損なわない範囲のポリプロピレン系樹脂発泡シートである以外は、製造する方法には特に制限はない。例えば、Tダイやサーキュラーダイを用いた押出発泡法などが好ましい方法として挙げられる。それら押出発泡法のうち、比較的高い発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得やすい点から、基材樹脂を押出機内で溶融させるとともに発泡剤と混練し、この溶融混練物を押出機先端に取り付けた環状のサーキュラーダイを通して低圧下に押出して発泡することによりポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る押出発泡法が好ましい。
本発明においてポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを製造する装置に特に限定はなく、単軸押出機や二軸押出機などの押出機を複数台連結したタンデム押出機、押出機先端にギアポンプを連結した装置など、慣用の押出発泡装置を使用することができる。
前記、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に用いられる基材樹脂のポリプロピレン系樹脂としては、その溶融粘度が高く、高い発泡倍率の発泡シートを得やすいという点から、直鎖線状のポリプロピレン系樹脂(以下、「原料ポリプロピレン系樹脂」ということもある)に対して電子線を照射して長鎖分岐を導入したもの(例えば、サンアロマー社製HMS−PP、等)、または、原料ポリプロピレン系樹脂に対してイソプレン単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂が好ましい。特に、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体およびラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂が、製造が容易であり、安価に製造し得る点、かつ発泡シートの製造に適する溶融粘度の調整が容易である点、から、好ましい。
前記原料ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体などの結晶性の重合体があげられ、剛性が高く、安価であるという点からは前記ポリプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点からは前記プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。
前記原料ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのランダム共重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
前記原料ポリプロピレン系樹脂において、プロピレンと共重合しうるほかの単量体としては、エチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体およびビニル単量体よりなる単量体の群から選ばれた1種または2種以上の単量体があげられる。これらの単量体のうち、エチレンまたはブテン−1が安価である点から好ましい。
前記原料ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイト(以下MFR)は、0.1〜5g/10min(230℃、加重2.16kgf)であることが、安価かつ、他の原料の無駄なく本発明に用いられる改質ポリプロピレン系樹脂を得ることができるという点で好ましい。
前記原料ポリプロピレン系樹脂には、必要に応じて、ほかの樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
前記のほかの樹脂またはゴムとしては、たとえばポリエチレン;ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、プロピレン含有量が75重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合体;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン/ジエン系単量体共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレン/ビニル単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン系重合体; スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体ブロック共重合体; アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体などがあげられる。
原料ポリプロピレン系樹脂に対するこれらほかの樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、前述のように本発明の効果を損なわない範囲内にあればよいものであるが、通常、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して30重量部以下である。
本発明において、前記原料ポリプロピレン系樹脂と溶融混練することができる前記ラジカル重合性単量体としては、ポリプロピレン系樹脂にグラフト共重合が可能であって、溶融混練の際にポリプロピレン系樹脂の主鎖切断に伴う大幅な粘度低下を起こさないものが好ましい。ラジカル重合性単量体としては、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を用いることが好ましい。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンなどをあげることができる。
共役ジエン化合物の具体例としては、イソプレン、1,3−ブタジエン、クロロプレンなどをあげることができる。これら単量体の一種または二種以上を用いることができる。これらの中では安価かつ取り扱いしやすいという点からスチレン、イソプレンが好ましく、さらに反応が均一に進みやすいという点からイソプレンがさらに好ましい。
前記ラジカル重合性単量体の添加量に制限はないが、溶融混練を通じて十分反応が進むという点から、通常、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがさらに好ましく、特には0.15〜2重量部が好ましい。
前記ラジカル重合性単量体には、必要に応じて、ほかのビニル単量体を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
ほかのビニル単量体は前記ラジカル重合性単量体以外の単量体であり、その具体例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジルなどをあげることができる。
前記ラジカル重合性単量体に前記のほかのビニル単量体を添加する場合、ほかのビニル単量体の添加量が、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、300重量部以下であることが好ましく、100重量部以下であることがさらに好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、一分間半減期温度が高く、水素引き抜き能が高い有機過酸化物があげられる。ラジカル重合開始剤としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルを用いることが好ましい。
パーオキシケタールの具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどをあげることができる。
ジアルキルパーオキサイドの具体例としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などをあげることができる。
ジアシルパーオキサイドの具体例としては、ベンゾイルパーオキサイドなどをあげることができる。
パーオキシエステルの具体例としては、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどをあげることができる。これらラジカル重合開始剤の1種または2種以上があげられ、より効率的な反応を起こすことができるという点でパーオキシエステルが特に好ましく用いられる。
前記ラジカル重合開始剤の添加量が、改質ポリプロピレン系樹脂の発泡性が良好で、かつ経済的であるという点から、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部の範囲内にあることが好ましく、0.05〜2重量部の範囲内にあることがさらに好ましい。
さらに、前記原料ポリプロピレン系樹脂には必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
これらの原料ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤およびそのほか添加される材料の混合の順序および方法はとくに制限されるものではなく、たとえば原料ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を混合したのち溶融混練してもよいし、原料ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を溶融混練した後にラジカル重合性単量体を加えてさらに溶融混練してもよい。
前記手法により改質ポリプロピレン系樹脂を得た後に、必要に応じて添加される添加剤や他の樹脂と溶融混練してもよいし、さらに原料ポリプロピレンの一部を改質してマスターバッチとした後に残余の原料ポリプロピレン系樹脂と溶融混練してもよい。
溶融混練時の加熱温度は、樹脂の種類などにより異なるが、通常、130〜400℃であることが、原料ポリプロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ熱分解せず、充分な発泡性をうることができるという点で好ましい。また、溶融混練の時間(ラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤を混合してからの時間)は、一般に1〜60分間である。
また、前記の溶融混練の装置としては、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型攪拌機またはダブルヘリカルリボン攪拌機などの縦型攪拌機など高分子材料を適宜の温度に加熱し得、適宜のせん断応力を与えながら混練しうる装置があげられる。これらのうち、とくに単軸または2軸押出機が生産性の点から好ましい。
本発明で用いられる改質ポリプロピレン系樹脂のMFRは、0.01〜1.5g/10min(230℃、加重2.16kgf)であり、0.05〜1.4g/10minがより好ましく、0.1〜1.2g/10minが特に好ましい。MFRが0.01g/10min未満の場合には、MFRが低すぎるため流動性が悪く、発泡シート化が困難となり好ましくない。またMFRが1.5g/10minを超える場合には、発泡シート化時の溶融張力が十分とならず、高発泡倍率で、独立気泡の高いポリプロピレン系樹脂発泡シートを得ることが困難になる傾向にある。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に用いる基材樹脂として、前記改質ポリプロピレン系樹脂を単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。さらに、基材樹脂には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ブテン系樹脂などを混合した樹脂混合物も使用できる。
また基材樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
さらに基材樹脂には、発泡シートの気泡径を本発明の効果を得るための大きさにコントロールすることを目的に、必要に応じて、重炭酸ソーダ−クエン酸混合物またはタルクなどの気泡核形成剤を併用しても良い。必要に応じて用いられる気泡核形成剤の添加量には特に制限はないが、通常、基材樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部であることが好ましい。
本発明における前記発泡剤としては、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、無機ガス類が好ましく用いられる。脂肪族炭化水素類の具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどをあげることができる。脂環式炭化水素類の具体例としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどをあげることができる。
ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどをあげることができる。無機ガス類の具体例としては、窒素、炭酸ガス、空気などをあげることができる。これらは単独または2種以上混合して使用しても良い。
本発明における発泡剤の添加量は発泡剤の種類および所望の発泡シート密度によって選択されるが、例えば、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=85/15wt%)を用いる場合、発泡シートの基材樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましい。
前述したように、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートに用いられるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、シートの厚み方向の気泡数が6個以上のシートを用いるがで、7個以上であることが好ましい。
さらに、該ポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。独立気泡率が60%より小さい場合には、得られるポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの剛性に劣る場合がある。
さらに該ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、得られるポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの軽量性、剛性、コルゲートの観点から、密度としては90〜230kg/mであることが好ましく、さらには90〜210kg/mが、特には95〜150kg/mが好ましい。坪量としては、160〜800g/mが好ましく、さらには180〜600g/mが、特には190〜500g/mが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートを複数枚積層し、ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートを製造する方法は、前述の押出ラミネート法により非発泡樹脂層を介して積層する以外、特に制限はない。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの積層に用いられる非発泡樹脂層、または積層されるポリプロピレン系樹脂発泡シートに予め積層される非発泡樹脂層は、主としてポリオレフィン系樹脂を主たる基材として用いられることが好ましく、そのうち、ポリプロピレン系樹脂であることが積層発泡シートとの接着性、さらにリサイクル性の観点からより好ましい。そのような具体例としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンとほかの単量体とのランダム重合体などがあげられるが、剛性が高く、安価であるという点からは前記ポリプロピレン単独重合体が好ましく、低温脆性という点からは前記プロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとほかの単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンとほかの単量体とのランダム重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
また、非発泡ポリプロピレン系樹脂層においては、ポリプロピレン系樹脂を単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。更に、ポリプロピレン系樹脂には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ブテン系樹脂などを混合したものも使用できる。
非発泡樹脂層を形成する樹脂のMFRに特段の限定はないが、加工性の観点から温度の条件下におけるMFRは、3〜20g/10min(230℃、荷重2.16kgf)の範囲内にあることが好ましい。
また非発泡樹脂層を形成する樹脂には必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を使用して樹脂混合物として用いてもよい。
このようにして得られる本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、軽量性、外観に優れ、十分な剛性を示すことから、各種包装資材や自動車部材等に好適に用いることが出来る。
つぎに本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(発泡シートの密度の測定) JIS−K6767に準じ測定した。
(発泡シートの独立気泡率の測定) ASTM D2856に記載の方法に準じエアピクノメータにより測定した。
(発泡シートの厚み測定) 発泡シートの幅方向において、100mm間隔に測定点を設け、各測定点の厚みをシックネスゲージ(Mitutoyo社製、DIGIMATIC INDICATOR)を用いて測定し、各点の測定値の平均値を該発泡シートの厚みとした。
(発泡シートの厚み方向のセル数測定) 発泡シートの幅方向に等間隔に10点の測定点を設け、測定点における厚み方向の気泡数をルーペ(peacock社製、pocket・micro×10)を用いて測定した。その後、各点の測定値の平均を、厚み方向の気泡数とした。
(発泡シートの曲げ弾性率の測定) 発泡シートを巾10mm×長さ120mmに切り出し試験片とし、JIS K 7203に準拠し、オリエンテック社製万能試験機テンシロンを用いて、支点間距離50mm、曲げ楔半径5mm、曲げ試験速度10mm/分の試験条件による三点曲げ試験の加重−たわみ曲線から得られる曲げ弾性率を測定し、試験片5点分の測定平均値を曲げ弾性率とした。なお、試験は、MD(シート押出方向)とTD(シート巾方向)とでそれぞれ測定を行った。
(発泡シートの外観評価) 発泡シートの外観を以下の基準に従い評価した。
○:発泡シート表面の気泡径が小さいことに加えて、発泡シートに残るコルゲート筋が小さく目立たないため、良好な外観である。
×:発泡シート表面の気泡径は小さいが、発泡シートに残るコルゲート筋が大きく目立っているため、外観を損なっている。
×:発泡シートに残るコルゲート筋は小さく目立たないものの、発泡シート表面の気泡径が大きいため、外観を損なっている。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートの基材樹脂)
プライムポリマー社製ホモポリプロピレンF113Gおよびラジカル重合開始剤(t−ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート)0.35重量部を、リボンブレンダーで攪拌混合した配合物を、計量フィーダを用いて(株)日本製鋼所製、同方向二軸押出機(TEX44XCT−38:スクリュー径44mmφ、最大スクリュー有効長(L/D)38)に供給し、液添ポンプを用いて押出機途中からイソプレンを供給し、前記二軸押出機中で溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。押出機のシリンダー部の設定温度は、イソプレン圧入までは180℃、イソプレン圧入以降は200℃とし、スクリュー回転速度を150rpmに設定した。得られた改質ポリプロピレン系樹脂のMFRは、0.3g/10min(230℃、加重2.16kgf)であった。
(非発泡樹脂層の基材樹脂) プライムポリマー社製ホモポリプロピレンJ105G(MFR=10g/10min(230℃、加重2.16kgf))を非発泡層用ポリプロピレン系樹脂として使用した。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートA−1〜3の製造方法)
前記改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部、および気泡核形成剤(大日精化(株)製、PO510K)0.4〜0.6重量部をリボンブレンダーにて撹拌混合した配合物を、90−125mmφタンデム型押出機に供給し、シリンダー温度200℃に設定した第1段押出機(90mmφ)中にて溶融させた後、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=85/15wt%)を、前記気泡核形成剤を加えた改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部あたり1〜4重量部となるようにを圧入混合し、160℃(ダイスの樹脂流入部に設置した温度センサーによって測定)に設定した第2段押出機(125mmφ)中で冷却し、サーキュラーダイ(127mmφ)より大気圧下に吐出し、外径335mmおよび本体長さ800mmの冷却筒にて成形しながら引き取りつつ延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これをカッターで切り開くことにより1035mm幅の発泡シートA−1〜3を得た。得られた発泡シートの物性は、表1に示す値となった。
(ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートX−1の製造方法)
図2に示す押出ラミネート設備を用いて、発泡シートA−1を発泡シート1aおよび1bとして繰り出し、前記非発泡樹脂層2をTダイ4から厚みが120μmとなるようフィルム状に押出し、ニップロール5と冷却ロール6とで圧着しながら引取り、多層発泡シートX−1を製造した。得られた多層発泡シートX−1の構成を表2に示す。
(ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートX−2の製造方法)
発泡シートA−2を発泡シート1aおよび1bとして用いる以外は、多層発泡シートX−1の製造方法と同様の方法で、多層発泡シートX−2を製造した。得られた多層発泡シートX−2の構成を表2に示す。
(ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートX−3の製造方法)
第一工程において、発泡シートA−1とA−3とを厚み50μmの非発泡樹脂層により積層し、第二工程において、第一工程で得られた多層発泡シートと発泡シートA−1とを厚み50μmの非発泡樹脂層により、発泡シートA−3が中央層となるように積層し、多層発泡シートX−3を製造した。得られた多層発泡シートX−3の構成を表2に示す。
(ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートX−4の製造方法)
予め押出ラミネート法によって、発泡シートA−1に厚さ70μmの非発泡樹脂層を積層し、得られた積層発泡シートを、発泡シート1aおよび1bとした以外は、多層発泡シートX−1の製造方法と同様の方法で、多層発泡シートX−4を製造した。得られた多層発泡シートX−4の構成を表2に示す。
(ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートX−5の製造方法)
発泡シートA−2を用いた以外は、多層発泡シートX−4の製造方法と同様の方法で、多層発泡シートX−5を製造した。得られた多層発泡シートX−5の構成を表2に示す。
(ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートX−6の製造方法)
図7に示す配管を通して熱風発生装置と連結された熱風ノズル11を有する設備を用いて、発泡シートA−1を発泡シート1aおよび1bとして繰り出し、熱風発生装置より送られる300℃の熱風を発泡シート接着表面へ吹きつけ、接着表面を溶融状態にした後、ニップロール5と冷却ロール6とで圧着しながら引取り、多層発泡シートX−6を製造した。得られた多層発泡シートX−6の構成を表2に示す。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートY−1〜4の製造方法)
気泡核形成剤0.3〜1.5重量部とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=85/15wt%)を、気泡核形成剤を加えた改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部あたり0.2〜5重量部となるように圧入混合した以外は、発泡シートA−1〜3の製造方法と同様の方法で、発泡シートY−1〜4を得た。得られた発泡シートの物性は、表3に示す値となった。
(実施例1〜5、比較例1〜5)
実施例1〜5、比較例1〜5の発泡シートの物性および評価結果を表3に示す。表3に示すように実施例1〜5の多層発泡シートは、優れた軽量性、剛性、外観を有する発泡シートであった。比較例1および3の発泡シートは、軽量性は優れるものの、発泡シート表面に残るコルゲート筋の影響で、TDの曲げ弾性率が低く剛性に劣り、かつ外観を損なっていた。比較例2の発泡シートは、軽量性、剛性に優れるものの、発泡シート表面の気泡径が大きいため外観を損なっていた。比較例4の発泡シートは、密度が高いことによって、剛性、外観は優れるものの、軽量性を損なっていた。比較例5の発泡シートは、軽量性、外観は優れるものの、十分な剛性を得ることができなかった。
以上のように、本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートは、比較的厚手で、かつ軽量性と高い剛性、優れた外観を両立しており、各種包装資材や自動車部材等に好適に用いることが出来る。
本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの構成の一例を示す図 本発明に係る押出ラミネート法を示す概略図 本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの構成の一例を示す図 本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの構成の一例を示す図 本発明のポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの構成の一例を示す図 曲げ弾性率の測定方法を示す図 発泡シートX−6の製造方法を示す図
符号の説明
1 ポリプロピレン系樹脂発泡シート
1a、1b 発泡シート
2 非発泡樹脂層
3 ポリプロピレン系樹脂多層発泡シート
4 Tダイ
5 ニップロール
6 冷却ロール
7 エアギャップ
8 ニップロール5と冷却ロール6とで形成される隙間
9 曲げ試験片
10 曲げジグ
11 熱風ノズル

Claims (5)

  1. シート厚み方向の気泡数が6個以上であるポリプロピレン系樹脂発泡シートを、押出ラミネート法により非発泡樹脂層を介して2枚以上積層してなる、厚さ3〜10mmのポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
  2. 押出ラミネート法によってポリプロピレン系樹脂発泡シートに挟まれる非発泡樹脂層の厚みが10〜200μmであることを特徴とする、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
  3. ポリプロピレン系樹脂多層発泡シートの最外面の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂非発泡層が積層されている請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
  4. 密度90〜230kg/m、坪量400〜1500g/m、独立気泡率60%以上であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載のポリプロピレン系樹多層発泡シート。
  5. 三点曲げ試験によって測定される曲げ弾性率が80〜400MPaであることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂多層発泡シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017222128A (ja) * 2016-06-17 2017-12-21 積水化学工業株式会社 多層発泡体、及び多層発泡体の製造方法

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