JP2009271321A - 変色性地理教習具及びそれを用いた変色性地理教習具セット - Google Patents

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Abstract

【課題】 地理名の暗記に適した利便性に富む変色性地理教習具及びそれを用いた変色性地理教習具セットを提供する。
【解決手段】 支持体2に形成された地図の絵柄3上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸水状態で不透明であり、吸水状態で透明化する多孔質層を設け、且つ、多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層を配設してなり、前記撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層が吸水状態で透明化することにより像が視覚判別される教習具であって、前記像は地理名であり、地理名に対応する地図上に現出する変色性地理教習具1、前記変色性地理教習具と水付着具とからなる変色性地理教習具セット。
【選択図】 図2

Description

本発明は変色性地理教習具及びそれを用いた変色性地理教習具セットに関する。
従来、地図上に地理名が形成された教習具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記教習具は、常に地理名が視認されるため、地理名を暗記する用途には必ずしも満足のいくものではなかった。
実開昭63−1559号公報
本発明は、地図上の地理名が常に視認されず、水の適用により現出するため、意外性を有し、地理名を暗記する用途に適した地理教習具を提供しようとするものである。
本発明は、支持体に形成された地図の絵柄上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸水状態で不透明であり、吸水状態で透明化する多孔質層を設け、且つ、多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層を配設してなり、前記撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層が吸水状態で透明化することにより像が視覚判別される教習具であって、前記像は地理名であり、地理名に対応する地図上に現出する変色性地理教習具を要件とする。
更には、前記地理名が国名、都道府県名、市町村名から選ばれることを要件とする。
更には、前記変色性地理教習具と水付着具とからなる変色性地理教習具セットを要件とする。
本発明は、地理名の暗記に適した利便性に富む変色性地理教習具及びそれを用いた変色性地理教習具セットを提供できる。
前記支持体は、紙、合成紙、ゴム、プラスチック、アルミニウム等の金属、石材、ガラス、布帛、木材等の各種材料によるシート状物或いは立体物が用いられる。
前記支持体上には非変色性染料や顔料を含むインキにより地図の絵柄を形成する。
前記地図の絵柄上には低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸水状態で不透明であり、吸水状態で透明化する多孔質層が設けられる。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、液体を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
尚、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造させる珪酸(以下、乾式法珪酸と称する)であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が好適である。
この点を以下に説明する。
珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるものと、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別される。
乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した構造であるのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した構造部分を有している。
従って、湿式法珪酸は乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いた系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、多孔質層は水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
尚、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の汎用の低屈折率顔料を併用することもできる。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2質量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部未満の場合には、前記多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2質量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いて耐擦過強度を高めることが好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
前記多孔質層の塗布量は5〜50g/m、好ましくは、10〜30g/mである。
5g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、50g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
なお、前記多孔質層中には、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料を添加したり、一般染料や顔料、蛍光染料や蛍光顔料を添加して色変化を多様化することができる。
前記変色性地理教習具は、支持体上に非変色性インキにより地図の絵柄を形成し、次いで、低屈折率顔料とバインダー樹脂を含むインキにより多孔質層を地図の絵柄上に形成する。
従って、この状態では地理名が視認されず、地図の絵柄と多孔質層が視認されるのみである。
前記多孔質層に水を付着させて地理名を現出させるため、多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層を配設する。
前記撥水性樹脂層は、シリコン系、パラフィン系、ポリエチレン系、アルキルエチレン尿素系、フッ素系等の撥水性樹脂を含む撥水処理液を印刷、塗布、吹き付け、筆記、或いはスタンプ手段により付着させた後、浸透乾燥して得られ、多孔質層に内在し、共存状態にある撥水性樹脂層である。
前記撥水性樹脂のうち、フッ素系撥水剤が撥水効果及び加工適性の面で効果的であり、固形分として1〜50g/m、好ましくは2〜30g/mの範囲の付着量が有効である。
印刷方法としては、スクリーン印刷、グラビヤ印刷、オフセット印刷等が例示でき、特にスクリーン印刷は、スクリーンの開孔率、孔径、線径等の調整により、目的に応じた文字を比較的簡易に形成できる。
前記多孔質層は、非吸水状態では不透明であり、吸水状態では透明化して下層の様相を透視できる。
撥水性樹脂層は多孔質層の一部に内在し、共存状態に配設されているので、撥水性樹脂層の共存箇所の多孔質層は、撥水効果により吸水状態が形成されず、不透明状態が保持されている(前記撥水性樹脂層は透明性であるため、多孔質層の不透明状態が透視できる)。
従って、常態(非吸水状態)では、判別し難い撥水性樹脂層と多孔質層が、撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層への吸水により判別可能となる。
前記撥水性樹脂層は、国名、都道府県名、市町村名、地域名、山名、山脈名、海名、湖名、河川名、半島名等の像(抜き像を含む)である。
本発明の変色性地理教習具は、支持体上に非変色性インキにより地図の絵柄を形成し、次いで、低屈折率顔料とバインダー樹脂を含むインキを付着させて多孔質層を地図の絵柄上に形成し、前記多孔質層上から、地理名に対応する地図上に撥水性樹脂を含有する撥水加工液を付着させ、多孔質層内に浸透させた後、乾燥させることにより、多孔質層に内在し、共存状態にある地理名の像からなる撥水性樹脂層を形成して得られる。
また、地図上の地理名が現出しない箇所には、地図に関連する問題を非変色性インキにより形成し、その近傍に多孔質層と撥水性樹脂層を設けて問題の答えが現出するよう構成してもよい。
前記変色性地理教習具に水を付着させる水付着具としては、先端部に筆穂や繊維ペン体等を有する筆記又は塗布具、容器内に水を収容し、且つ、容器内の水を導出する繊維体や刷毛を設けた筆記具又は塗布具、ローラー形態の塗布具、噴霧器等が挙げられる。
前記水付着具と、変色性地理教習具とを組み合わせて変色性地理教習具セットを得ることもできる。
なお、好ましい水付着具としては、容器内に水を収容し、且つ、容器内の水を導出する連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記具又は塗布具であり、携帯性を有すると共に、教習具としての実用性を高めることができる。
前記における連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体は、水を適宜量、吸収し、吐出させるものであればよく、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、その他各種プラスチックの連続気孔体や繊維を集束させた毛筆状のもの、繊維の樹脂加工又は熱溶着加工によるもの、フェルト、不織布形態のものを挙げることができ、形状、寸法は目的に応じて任意に設定できる。
以下に実施例を示す。尚、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1(図1参照)
支持体2として白色の合成紙表面に、赤色のオフセット印刷用油性インキを用いて日本地図の絵柄3を形成した。なお、前記地図の絵柄の周囲(海)は青色で印刷し、県境を白色細線で印刷してなる。
更に、前記地図の絵柄全面に、湿式法微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30質量%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、及び水性インキ架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、70℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に、フッ素樹脂系撥水剤〔商品名:ディックガードDF−30、大日本インキ化学工業(株)製、固形分10重量%〕80部、油性系インキ用増粘剤1.0部、油性系溶剤19.0部を均一に混合攪拌してなる無色透明スクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて、地図の絵柄の各県に対応した県名からなる像(抜き文字)を印刷し、70℃で2分間乾燥硬化させ、多孔質層中に撥水性樹脂層を内在形成して変色性地理教習具を得た。
前記変色性地理教習具は、地図の絵柄が淡赤色の像にて識別され、県の形状は多孔質層を介して視認される白色細線にて識別することができる。
前記変色性地理教習具に水を収容したペンを用いて、多孔質層上の北海道の位置に水を付着させると、多孔質層が水の吸液により透明化して撥水性樹脂層による赤色の「ほっかいどう」の抜き文字が現出する。
前記文字は水が蒸発すると、再び元の淡赤色に戻り、前記様相変化は繰り返し行うことができ、水の適用により何度も繰り返し行うことができるため、教材として好適であった。
実施例2
支持体として白色の合成紙表面に、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色からなるオフセット印刷用油性インキを用いて世界地図の絵柄を形成した。なお、前記地図の絵柄は、各国を赤色、ピンク色、紫色、青色、緑色、橙色、地図の周囲(海)を黄色に色分けして印刷されており、国の形状は色によって識別可能に構成されている。
更に、前記地図の絵柄全面に、湿式法微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30質量%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、及び水性インキ架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、70℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に、フッ素樹脂系撥水剤〔商品名:ディックガードDF−30、大日本インキ化学工業(株)製、固形分10重量%〕80部、油性系インキ用増粘剤1.0部、油性系溶剤19.0部を均一に混合攪拌してなる無色透明スクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて、地図の絵柄の各国に対応した国名からなる像(抜き文字)を印刷し、70℃で2分間乾燥硬化させ、多孔質層中に撥水性樹脂層を内在形成して変色性地理教習具を得た。
前記変色性地理教習具は、国の形状が白色の多孔質層を介して視認される淡赤色、淡ピンク色、淡紫色、淡青色、淡緑色、淡橙色の像にて識別される。
前記変色性地理教習具に水を収容したペンを用いて、多孔質層上のアメリカの位置に水を付着させると、多孔質層が水の吸液により透明化して撥水性樹脂層による青色の「アメリカ」の抜き文字が現出する。
前記文字は水が蒸発すると、再び元の淡青色に戻り、前記様相変化は繰り返し行うことができ、水の適用により何度も繰り返し行うことができるため、教材として好適であった。
実施例3
支持体として白色の合成紙表面に、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色からなるオフセット印刷用油性インキを用いて日本地図の絵柄を形成した。前記地図の絵柄は、日本国土を緑色、周囲の海洋を青色に印刷してなり、更に各海洋には赤色の楕円がそれぞれ印刷されてなる。
前記海洋に印刷された赤色の楕円上に、湿式法微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30質量%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、及び水性インキ架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、70℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に、フッ素樹脂系撥水剤〔商品名:ディックガードDF−30、大日本インキ化学工業(株)製、固形分10重量%〕80部、油性系インキ用増粘剤1.0部、油性系溶剤19.0部を均一に混合攪拌してなる無色透明スクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて、各海洋に対応した地理名からなる像(抜き文字)を印刷し、70℃で2分間乾燥硬化させ、多孔質層中に撥水性樹脂層を内在形成して変色性地理教習具を得た。
前記変色性地理教習具は、海洋の部分に白色の多孔質層を介して淡赤色の楕円の像が視認される。
前記変色性地理教習具に水を収容したペンを用いて、日本の南東に位置する海洋部分の多孔質層上を筆記すると、多孔質層が水の吸液により透明化して下層の撥水性樹脂層による赤色の「たいへいよう」の抜き文字が現出する。
前記文字は水が蒸発すると、再び元の淡赤色に戻り、前記様相変化は繰り返し行うことができ、水の適用により何度も繰り返し行うことができるため、教材として好適であった。
実施例4
支持体として白色の合成紙表面に、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色からなるオフセット印刷用油性インキを用いて日本地図の絵柄を形成した。なお、前記地図の絵柄は、北海道をピンク色、東北地方を青色、関東地方を橙色、中部地方を緑色、近畿地方を赤色、中国地方を青色、四国地方を黄緑色、九州地方を橙色、地図の周囲(海)を黄色で印刷し、県庁所在地に白色円形像、県境を白色細線で印刷してなる。
更に、前記地図の絵柄全面に、湿式法微粒子状珪酸〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30質量%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、及び水性インキ架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、70℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に、フッ素樹脂系撥水剤〔商品名:ディックガードDF−30、大日本インキ化学工業(株)製、固形分10重量%〕80部、油性系インキ用増粘剤1.0部、油性系溶剤19.0部を均一に混合攪拌してなる無色透明スクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて、地図の絵柄の各県に対応した県名からなる像(抜き文字)と、白色円形像の近傍に県庁所在地名からなる像(抜き像)を印刷し、70℃で2分間乾燥硬化させ、多孔質層中に撥水性樹脂層を内在形成して変色性地理教習具を得た。
前記変色性地理教習具は、北海道は淡ピンク色、東北地方は淡青色、関東地方は淡橙色、中部地方を淡緑色、近畿地方を淡赤色、中国地方を淡青色、四国地方を淡黄緑色、九州地方は淡橙色の像にて識別され、県の形状は多孔質層を介して視認される白色細線にて識別することができる。
前記変色性地理教習具に水を収容したペンを用いて、多孔質層上の愛知県の位置に水を付着させると、多孔質層が水の吸液により透明化して撥水性樹脂層による緑色の「あいち」の抜き文字が現出し、白色円形像の近傍に水を付着させると、多孔質層が水の吸液により透明化して撥水性樹脂層による緑色の「なごや」の抜き文字が現出する。
前記文字は水が蒸発すると、再び元の淡緑色に戻り、前記様相変化は繰り返し行うことができ、水の適用により何度も繰り返し行うことができるため、教材として好適であった。
実施例5
実施例1及び2の変色性地理教習具(印刷シート)と容器内に水を収容し、且つ、容器内の水を導出する連続気孔を有する繊維加工体をペン先部材として適用した筆記具からなる水付着具と組み合わせて変色性地理教習具セットを得た。
前記変色性地理教習具セットは、日本の都道府県名と世界の国名を、水付着具の適用によって視認することができるため、都道府県や国の位置や形状と、地理名を関連づけて習得することが可能であり、水の適用により何度も繰り返し行うことができるため、教材として好適であった。
本発明の変色性地理教習具の一実施例を示す説明図である。 図1の変色性地理教習具に水を付着させた状態を示す説明図である。
符号の説明
1 変色性地理教習具
2 支持体
3 地図の絵柄

Claims (4)

  1. 支持体に形成された地図の絵柄上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸水状態で不透明であり、吸水状態で透明化する多孔質層を設け、且つ、多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層を配設してなり、前記撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層が吸水状態で透明化することにより像が視覚判別される教習具であって、前記像は地理名であり、地理名に対応する地図上に現出する変色性地理教習具。
  2. 前記地理名が国名、都道府県名、市町村名から選ばれる請求項1記載の変色性地理教習具。
  3. 請求項1又は2記載の変色性地理教習具と水付着具とからなる変色性地理教習具セット。
  4. 前記水付着具が筆記具又は塗布具である請求項3記載の変色性地理教習具セット。
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