JP2009270746A - 空調システム - Google Patents

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Masaaki Imai
正昭 今井
Yoshinori Inoue
良則 井上
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Abstract

【課題】冷温流体を冷却又は暖める冷温熱源装置11と,複数の冷暖房箇所の各々に配設した冷暖房用熱交換器12と,前記冷温熱源装置に対する冷温流体循環経路16と,冷温流体循環用ポンプとを備えて成る空調システムにおいて,その設備費の低減を図る。
【解決手段】前記冷温流体循環経路16は,前記各冷暖房箇所又はその近傍を通って最も遠い冷暖房箇所に至りこの部分から前記冷温熱源装置に戻る閉ループ状であり,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路12a及び出口管路12bは,前記冷温流体循環経路のうちその流れ方向に沿って異なった箇所に,冷温流体の流れ方向に対して入口管路が上流側に出口管路が下流側に位置するように接続されており,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路又は出口管路には,前記冷温流体循環経路における冷温流体を前記冷暖房用熱交換器に送り込むようにした個別ポンプ17が設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は,地域又はビルディング等の広域の複数箇所に設けられ冷房又は暖房箇所を,この複数の冷房又は暖房箇所に対して共通する冷温熱源装置によって,一斉に,冷房又は暖房する場合に適用される空調システムに関するものである。
この種の空調システムの一つに,単体の冷温熱源装置において冷却又は暖めた冷温流体を,当該冷温熱源装置と複数個の冷暖房用熱交換器との間を循環ポンプにて循環することにより,前記各冷暖房用熱交換器の設置箇所を冷房又は暖房するものがある。
この形式の空調システムにおいては,図1に示すように,水等の冷温流体を冷却又は暖めるようにした冷温熱源装置1と,複数個の冷暖房用熱交換器2とを備え,前記各冷暖房用熱交換器2を,前記冷温熱源装置1から延びる冷温液体供給管路3と,前記冷温熱源装置1に戻る冷温液体戻り管路4との間に並列に接続する一方,前記冷温熱源装置1における冷温流体を当該冷温熱源装置1と前記各冷暖房用熱交換器2との間を図に矢印で示すように循環するための回転式の循環ポンプ5を備えるという構成にしている。
先行技術としての特許文献1には,前記構成の空調システムにおいて,前記各冷暖房用熱交換器2の各々に,冷温流体の流量制御弁6を設けて,前記各冷暖房用熱交換器2に対する冷温流体の流量を,その各々における流量制御弁6にて増減調節することにより,前記各冷暖房用熱交換器2の設置箇所を所定の温度に維持するように構成することが記載されている。
しかし,この構成によると,前記各冷暖房用熱交換器2の各々に設けた流量制御弁6には,これを冷温流体が通過するときの流れ抵抗が存在することにより,この分,エネルギー的に無駄であり,しかも,冷温流体における全体の循環を前記循環ポンプ5にて行うことにより,この循環ポンプ5における全揚程には,前記流量制御弁6における流れ抵抗を余分に加算しなければならないから,循環ポンプの大型化及び高価格化を招来するのであった。
そこで,別の先行技術としての特許文献2は,図2に示すように,前記各冷暖房用熱交換器2の各々に,前記流量制御弁6を設けることに代えて,電動モータ駆動の個別ポンプ7を設け,この個別ポンプ7における回転数をインバータにて制御することにより,当該冷暖房用熱交換器2の設置箇所を所定温度に維持することを提案している。
特開2003−207190号公報 特開2005−147528号公報
この特許文献2に記載の技術によると,流量制御弁による無駄なエネルギーの損失を無くすることができ,しかも,前記各冷暖房用熱交換器ごとに設けた個別ポンプ7は,冷温流体を全体に循環することに要する全抵抗のうち個々の冷暖房用熱交換器2を通過することに要する流れ抵抗を分担することにより,前記循環ポンプ5における全揚程を,前記流量制御弁がない分及び前記個別ポンプ7が分担する分だけ低くできるから,その小型化及び低価格化を図ることができる利点がある。
しかし,その反面,前記冷温熱源装置1と前記各冷暖房用熱交換器2との間に冷温流体
を循環する場合における循環経路の長さは,前記各冷暖房用熱交換器2のうち前記冷温熱源装置1に近い部位に位置する冷暖房用熱交換器2においては短く,前記冷温熱源装置1より遠い部位に位置する冷暖房用熱交換器2においては長いというように,各冷暖房用熱交換器2の各々について相違する。
従って,前記各冷暖房用熱交換器2の各々における個別ポンプ7としては,同じ揚程性能のものを使用することができず,前記各冷暖房用熱交換器2の各々における循環経路の長さに適合する揚程性能するものを使用しなければならないから,その選定が極めて面倒であるばかりか,全体の設備費が嵩むという問題があった。
そこで,前記各冷暖房用熱交換器2の各々に個別ポンプ7を設ける場合には,前記各冷暖房用熱交換器2から前記冷温熱源装置1への冷温液体戻り管路4aを,図3に示すように構成している。
すなわち,前記冷温液体戻り管路4aを,前記各冷暖房用熱交換器2のうち前記冷温熱源装置1に近い位置の冷暖房用熱交換器2から遠い位置の冷暖房用熱交換器2に至る第1部分4a′と,前記各冷暖房用熱交換器2のうち前記冷温熱源装置1より遠い位置の冷暖房用熱交換器2から前記冷温熱源装置1に戻る第2部分4a″とで,U型のリーバスリターン方式に構成することにより,前記冷温熱源装置1と前記各冷暖房用熱交換器2との間における循環経路の長さを,前記各冷暖房用熱交換器2の各々について略同じに揃えるという構成にしている。
この構成によると,前記各冷暖房用熱交換器2の各々における個別ポンプ7の揚程性能を略同じに揃えることができ,換言すると,前記各冷暖房用熱交換器2の各々に,略同じ揚程性能の個別ポンプを使用することができる。
しかし,その反面,前記冷温液体戻り管路4aが,第1部分4a′と,第2部分4a″とを有するU型のリーバスリターン方式の構成であることにより,この前記冷温液体戻り管路4aにおける全体の長さが,第1部分4a′の分だけ余分に長くなるから,その配管に要するコストが大幅にアップするばかりか,前記冷温液体戻り管路4aのうち前記第1部分4a′を設置するための容積を確保しなければならないという問題を招来するのであった。
本発明は,複数個の各冷暖房用熱交換器2の各々に個別ポンプを設ける場合に,前記した問題を解消することを技術的課題とする。
この技術的課題を達成するために本発明の請求項1は,
「冷温流体を冷却又は暖める冷温熱源装置と,複数の冷暖房箇所の各々に配設した冷暖房用熱交換器と,前記冷温熱源装置の冷温流体を取り出したのち再び前記冷温熱源装置に戻すように循環する冷温流体循環経路と,この冷温流体循環経路に設けられる冷温流体循環用ポンプとを備えて成る空調システムにおいて,
前記冷温流体循環経路は,前記各冷暖房箇所又はその近傍を通って最も遠い冷暖房箇所に至りこの部分から前記冷温熱源装置に戻る閉ループ状であり,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路及び出口管路は,前記冷温流体循環経路のうちその流れ方向に沿って異なった箇所に,冷温流体の流れ方向に対して入口管路が上流側に出口管路が下流側に位置するように接続されており,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路又は出口管路には,前記冷温流体循環経路における冷温流体を前記冷暖房用熱交換器に送り込むようにした個別ポンプが設けられている。」
ことを特徴としている。
また,本発明の請求項3は,
「冷温流体を冷却又は暖める冷温熱源装置と,複数の冷暖房箇所の各々に配設した冷暖房用熱交換器と,前記冷温熱源装置の冷温流体を取り出したのち再び前記冷温熱源装置に戻すように循環する冷温流体循環経路と,この冷温流体循環経路に設けられる冷温流体循環用ポンプとを備えて成る空調システムにおいて,
前記冷温流体循環経路は,前記各冷暖房箇所又はその近傍を通って最も遠い冷暖房箇所に至りこの部分から前記冷温熱源装置に戻る閉ループ状であり,前記各冷暖房用箇所の各々には,間接式熱交換器が設けられ,この間接式熱交換器の一次側における入口管路及び出口管路は,前記冷温流体循環経路のうちその流れ方向に沿って異なった箇所に,冷温流体の流れ方向に対して入口管路が上流側に出口管路が下流側に位置するように接続されており,前記各間接式熱交換器の一次側における入口管路又は出口管路には,前記冷温流体循環経路における冷温流体を間接式熱交換器の一次側に送り込むようにした一次個別ポンプが設けられている一方,前記各間接式熱交換器における二次側と,前記各冷暖房用熱交換器との間は,冷温流体が二次個別ポンプにて循環するように構成されている。」
ことを特徴としている。
請求項1の記載において,前記冷温熱源装置において冷却又は暖められた冷温流体は,前記冷温流体循環経路に設けた循環ポンプにより,前記冷温熱源装置から閉ループ状の冷温流体循環経路を流れ,この冷温流体循環経路から再び前記冷温熱源装置に戻って,ここで冷却又は暖められることが繰り返される。
前記冷温流体循環経路には,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路及び出口管路が,入口管路を上流側に出口管路を下流側に位置するように接続されていることにより,前記冷温流体循環経路を流れる冷温流体の一部は,前記各冷暖房用熱交換器の各々に,その各々に設けた個別ポンプにて入口管路より取り入れられ,当該各冷暖房用熱交換器における冷暖房に使用されたのち,出口管路から再び前記冷温流体循環経路に戻される。
そして,これを,前記各冷暖房用熱交換器ごとに行うことにより,前記各冷暖房用熱交換器を設置した複数の冷暖房箇所を同時に冷暖房することができる。
この場合,前記冷温流体循環経路における循環ポンプは,前記冷温熱源装置における冷温流体を,前記閉ループ状の冷温流体循環経路を通るように循環することに使用される一方,前記各冷暖房用熱交換器ごとに設けた個別ポンプは,前記冷温流体循環経路を流れる冷温流体を当該冷暖房用熱交換器に流すことに使用されるから,前記各個別ポンプとしては,その揚程が,前記各冷暖房用熱交換器,その入口管路及び出口管路等における全体の流れ抵抗を越えるものであれば良く,前記各冷暖房用熱交換器,ひいては,複数の各冷暖房箇所の各々について同じ揚程性能のものに構成することができる。
しかも,前記冷温流体循環経路は,閉ループ状に構成すれば良く,前記各個別ポンプにおける揚程性能を揃えることのために,前記図3に図示したように,その一部をU型のリーバスリターン方式の構成にする必要はなく,前記冷温流体循環経路の全長を短くできるできるから,この配管に要するコストを大幅に低減できるとともに,その設置するスペースの縮小を達成できる。
また,請求項3の記載によると,前記請求項1の記載と同様の効果を有することに加えて,前記各冷暖房用熱交換器を,前記冷温流体循環経路との間に設けた間接式熱交換器にて,前記冷温流体循環経路から前記各冷暖房用熱交換器への熱移動を行うことができる状態のもとで,前記冷温流体循環経路との連通を遮断した構成にできるから,前記各冷暖房用熱交換器における圧力を,前記冷温流体循環経路における圧力よりも低くすることがで
きる。
換言すると,広い地域の冷暖房の場合に,前記冷温流体循環経路が非常に長くなることで,その圧力を高くしなければならないときにおいても,前記各冷暖房用熱交換器における圧力を低くすることができる。
しかも,その各一次個別ポンプ及び二次個別ポンプの各々を,前記請求項1における個別ポンプと同様に,各間接式熱交換器及び各冷暖房用熱交換器,ひいては,複数の各冷暖房箇所の各々について同じ揚程性能のものに構成することができる。
特に,請求項2の記載によると,前記各冷暖房箇所における冷暖房用熱交換器の入口管路及び出口管路の長さを短くできる。
また,請求項4の記載によると,前記各冷暖房箇所における間接式熱交換器の入口管路及び出口管路の長さを短くできるから,これらの配管に要するコストを大幅に低減できるとともに,その設置スペースの縮小を達成できる。
更にまた,請求項5の記載によると,冷温流体における温度制御を,冷温流体循環経路に設けた流量制御弁によって行う場合に比べて,消費エネルギーの低減を図ることができる利点がある。
以下,本発明の実施の形態を図面について説明する。
図4は,本発明における第1の実施の形態を示す。
この図において,符号Aは,多層階を有するビルディングを示し,このビルディングAにおける地下階層には,冷温熱源装置11が設置され,各階層における冷暖房箇所の各々には,冷暖房用熱交換器12が設置されている。
前記冷温熱源装置11は,水等の冷温流体を冷却又は暖めるという構成であり,冷房の場合には,例えば冷凍機が使用され,暖房の場合には,例えばボイラー等の加熱装置が使用される。
一方,前記冷暖房用熱交換器12は,これを設置した各階層における冷暖房箇所を,前記冷温熱源装置11にて冷却又は暖めた冷温流体との間接的な熱交換にて冷房又は暖房するという構成である。
また,前記冷暖房用熱交換器12は,各階層における冷暖房箇所が複数個である場合には,その各冷暖房箇所に配設するように複数個にして,この直列又は並列に接続した構成にすることができる。
前記冷温熱源装置11には,ビルディングAにおける各階層(各冷暖房箇所)を通って最上階(複数の冷暖房箇所のうち前記冷温熱源装置11から最も遠い冷暖房箇所)に至るまで延びる冷温液体供給管路13が接続され,この冷温液体供給管路13は前記最上階(最も遠い冷暖房箇所)において,当該最上階から前記冷温熱源装置11に戻る冷温液体戻り管路14に接続されており,これら冷温液体供給管路13と冷温液体戻り管路14とによって,閉ルーフ状にした冷温流体循環経路16を構成している。
前記冷温流体循環経路17における前記冷温液体供給管路13及び前記冷温液体戻り管
路14のうちいずれか一方又は両方には,電動モータにて駆動される回転式の循環ポンプ15が設けられ,この循環ポンプ15により,前記冷温熱源装置11における冷温流体を,前記冷温流体循環経路16を通って図に矢印で示すように循環するという構成にしている。
前記各冷暖房用熱交換器12の各々には,当該冷暖房用熱交換器12への入口管路12aと,当該冷暖房用熱交換器12からの出口管路12bとが設けられ,この入口管路12a及び出口管路12bは,前記冷温流体循環経路16のうち前記各冷暖房用熱交換器12が設置されている各階層(各冷暖房箇所)の部分,又は各階層(各冷暖房箇所)に近似する部分に接続されている。
この接続に際しては,前記冷温液体供給管路13における流れ方向に対し,前記入口管路12aが上流側に位置し,前記出口管路12bが下流側に位置するように構成されている。
前記各冷暖房用熱交換器12における入口管路12a及び出口管路12bのうちいずれか一方には,電動モータにて駆動される回転式の個別ポンプ17が設けられ,この個別ポンプ17により,前記入口管路12aから入って来る冷温流体を冷暖房用熱交換器12に流したのち,出口管路12bから流出するように構成している。
この場合,別の実施の形態においては,前記各冷暖房用熱交換器12における入口管路12a及び出口管路12bは,前記冷温流体循環経路16における前記冷温液体戻り管路14に,同様にして接続するという構成にすることができる。
なお,前記冷温流体循環経路16のうち前記各冷暖房用熱交換器12における入口管路12a及び出口管路12bが接続される部分,つまり,前記冷温液体供給管路13又は前記冷温液体戻り管路14は,ビルディングAにおける各階層(各冷暖房箇所)を通るか,或いは,各階層(各冷暖房箇所)の近傍(例えば,外側)を通るように配設するという構成にできる。
また,前記各冷暖房用熱交換器12の個別ポンプ17における回転数は,前記各冷暖房用熱交換器12の設置箇所ごとに設けられている温度センサ18による温度検出に応じて,所定の冷房温度又は暖房温度を維持するように,換言すると,前記各暖房用熱交換器12において所定の空調負荷を得るようにインバータにて制御されている。
更にまた,前記冷温流体循環ポンプ15における回転数は,前記冷温流体循環経路16のうち冷温液体戻り管路14に設けた温度センサ36による温度検出に応じて,前記循環する冷温流体が前記冷温熱源装置11から出て行くときの温度T1と前記冷温流体が前記冷温熱源装置11に戻るときの温度T2との温度差を,所定値に維持するようにインバータにて制御されている。
この構成において,前記冷温液体循環管路16を循環する冷温流体は,前記冷暖房用熱交換器12が設置されている各階層において,その一部が,前記各冷暖房用熱交換器12の各々に,その各々に設けた個別ポンプ17にて入口管路12aより取り入れられ,当該各冷暖房用熱交換器12における冷房又は暖房に使用されたのち,出口管路12aから再び前記冷温流体循環経路16に戻される。
そして,これを,前記冷温流体循環経路16の流れ方向に沿って各階層に配設された各冷暖房用熱交換器12ごとに行うことにより,前記各冷暖房用熱交換器12を設置した各
階層(複数の冷暖房箇所)を冷房又は暖房することができる。
前記した構成において,前記各階層の冷暖房用熱交換器12において,冷房又は暖房に利用することができる温度差は,前記冷温熱源装置11において冷却又は暖めるときの温度差を,一本の冷温流体循環経路16に対して接続される前記冷暖房用熱交換器12の個数で割り算した値になる。
例えば,冷房の場合,前記循環する冷温流体が前記冷温熱源装置11から出て行くときの温度T1が7℃で,前記冷温流体が前記冷温熱源装置11に戻るときの温度T2が17℃になるように,前記冷温流体循環ポンプ15の回転数をインバータ制御することにより,その間の温度差10℃を,各階層(複数の冷暖房箇所)での冷房に利用することができるできる。
また,暖房の場合,前記循環する冷温流体が前記冷温熱源装置11から出て行くときの温度T1が45℃で,前記冷温流体が前記冷温熱源装置11に戻るときの温度T2が35℃になるように,前記冷温流体循環ポンプ15の回転数をインバータ制御することにより,その間の温度差10℃を,各階層(複数の冷暖房箇所)での暖房に利用できる。
つまり,前記冷温流体循環ポンプ15の回転数を,前記冷温熱源装置11に戻るときにおける冷温流体の温度を前記複数の冷暖房箇所のうち最も遠い冷暖房箇所において所定の冷暖房負荷を得ることができる温度T2に維持するように,インバータにて制御するように構成している。
なお,本発明においては,前記した制御を,前記冷温流体循環経路16中に設けた流量制御弁にて行うように構成しても良いが,前記したように,冷温流体循環ポンプ15の回転数制御によって行うという構成にした場合には,冷温流体循環経路16における流れ抵抗がこれに流量制御弁を設けない分だけ低くなるから,前記冷温流体循環ポンプ15を駆動することに要する消費エネルギーを低減できる。
そして,前記循環ポンプ15は,前記冷温熱源装置11における冷温流体を,前記冷温流体循環経路16を通るように循環することに使用される一方,前記各冷暖房用熱交換器12ごとに設けた個別ポンプ17は,前記冷温流体循環経路16を循環する冷温流体を当該冷暖房用熱交換器12に流すことに使用されるから,前記各個別ポンプ17としては,その揚程が,前記各冷暖房用熱交換器12,その入口管路12a及び出口管路12bにおける全体の流れ抵抗を越えるものであれば良く,前記各冷暖房用熱交換器12,ひいては,複数の冷暖房箇所の各々について同じ揚程性能に構成することができる。
その一方で,前記冷温流体循環経路16は,閉ループ状に構成すれば良く,前記各個別ポンプ17における揚程を揃えることのために,前記図3に図示したように,その一部をU型のリーバスリターン方式の構成にすることを必要性としない。
次に,図5は,本発明における第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は,ビルディングAにおける各階層(複数の冷暖房箇所)の各々に,冷暖房用熱交換器12を設置することに加えて,間接式熱交換器35を設置したものである。
前記各間接式熱交換器35の一次側35′においては,当該一次側35′への入口管路35a及び出口管路35bを,閉ルーフ状に構成した冷温流体循環経路16のうち前記各階層(各冷暖房箇所)における部分に,前記入口管路35aが上流側に位置し前記出口管路35bが下流側に位置するように接続する一方,前記入口管路35a及び出口管路35bのうちいずれか一方に一次個別ポンプ17aを設けて,前記冷温流体循環経路16における冷温流体を前記間接式熱交換器35の一次側35′に図に矢印で示すように循環するという構成にしている。
一方,前記各間接式熱交換器35の二次側35″においては,前記冷暖房用熱交換器12との間を循環管路に構成して,この循環管路に設けた二次個別ポンプ17bにより,冷温流体が前記二次側35″と前記冷暖房用熱交換器12との間を,図に矢印で示すように循環する構成にしている。
この第2の実施の形態において,前記した以外の構成は,前記第1の実施の形態と同様である。
この第2の実施の形態においては,前記各冷暖房用熱交換器12を,前記冷温流体循環経路16との間に設けた間接式熱交換器35にて,前記冷温流体循環経路16から前記各冷暖房用熱交換器12への熱移動を行うことができる状態のもとで,前記冷温流体循環経路16との連通を遮断した構成にできる。
この場合,前記間接式熱交換器35の一次側35′と前記冷温流体循環経路16との間の一次個別ポンプ17aは,専ら,冷温流体循環経路16における冷温流体を前記一次側35′を流すことに使用されるから,前記各一次個別ポンプ17aとしては,その揚程が,前記一次側35′,入口管路35a及び出口管路35bにおける全体の流れ抵抗を越えるものであれば良く,前記各間接式熱交換器35の各々について同じ揚程性能のものに構成することができる。
また,前記間接式熱交換器35の二次側35″と前記冷暖房用熱交換器12との間の二次個別ポンプ17bは,専ら,冷温流体を前記二次側35″と冷暖房用熱交換器12との間を循環することに使用されるから,前記各二次個別ポンプ17bとしては,その揚程が,前記二次側35″及び冷暖房用熱交換器12における全体の流れ抵抗を越えるものであれば良く,前記各冷暖房用熱交換器12及び各間接式熱交換器35の各々について同じ揚程性能のものに構成することができる。
その一方で,前記冷温流体循環経路16は,閉ループ状に構成すれば良く,前記各個別ポンプ17における揚程を揃えることのために,前記図3に図示したように,その一部をU型のリーバスリターン方式の構成にすることを必要性としない。
なお,この第2の実施の形態において,前記各一次個別ポンプ17a及び各二次個別ポンプ17bにおける回転数は,前記各冷暖房用熱交換器12の設置箇所ごとに設けられている温度センサ18a,18bによる温度検出に応じて,所定の冷房温度又は暖房温度を維持するように,換言すると,前記各暖房用熱交換器12において所定の空調負荷を得るようにインバータにて制御されている。
また,前記冷温流体循環ポンプ15における回転数は,前記第1の実施の形態の場合と同様に,冷温流体循環経路16のうち冷温液体戻り管路14に設けた温度センサ36による温度検出に応じて,前記循環する冷温流体が前記冷温熱源装置11から出て行くときの温度T1と前記冷温流体が前記冷温熱源装置11に戻るときの温度T2との温度差を,所定値に維持するようにインバータにて制御されている。
ところで,前記冷温熱源装置11における出口温度T1を,冷房に際して7℃というように低くことが要求される場合には,前記冷温熱源装置11として冷凍機が使用される。
しかし,前記出口温度T1をより高くしても良い場合には,図6及び図7に示す蒸発式の冷温熱源装置11を使用することができる。
図6は,蒸発式の冷温熱源装置11の一つの例を示している。
この図6において,符号19は,密閉構造にした第1容器を,符号20は,同じく密閉構造にした第2容器を各々示し,これら両容器19,20のうちいずれか一方又は両方には,前記第1容器19及び前記第2容器20内の両方を大気圧より低い減圧にするための真空ポンプ21等の真空発生装置が接続されている。
前記第1容器19の底部と前記第2容器20の底部とは,連通管22を介して互いに接続されている一方,前記第1容器19の底部には,前記冷温流体循環経路16における前記冷温液体供給管路13が接続されている一方,この第1容器19内の上部に設けたノズル23には,前記冷温流体循環経路16における冷温液体戻り管路14が接続されている。
従って,前記第1容器19内における冷温流体は,前記循環ポンプ15にて,前記冷温液体循環管路16を流れたのち,再び,前記第1容器19内の上部にノズル23から噴出して戻るというように循環される。
一方,前記第2容器20内における水等の冷温流体は,循環ポンプ24を備えた供給管路25にて汲み出され,密閉型に構成した放吸熱用熱交換器26に送られ,この放吸熱用熱交換器26から戻り管路27を介して再び前記第2容器20内の上部に設けたノズル28から噴出するように戻すという循環を行うように構成している。
この場合,前記放吸熱用熱交換器26は,屋外に設置した通風塔29の内部に設けられ,その外側を,ポンプ30にて循環する水を散布することに加えて,フアン31にて大気の空気を強制通風することにより,冷却(放熱)と吸熱とを行うように構成している。
更に,前記第1容器19の上部と前記第2容器20の上部の間は,蒸気ダクト32を介して接続され,この蒸気ダクト32の途中には,回転式蒸気圧縮機における一つの例であるところのルーツ式圧縮機33が設けられており,このルーツ式圧縮機33は,正逆回転が可能の構成である。
この構成において,冷房に際しては,前記冷温熱源装置11におけるルーツ式圧縮機33を,図6に矢印33′で示すように,前記第1容器19から前記第2容器20の方向に蒸気圧縮を行うように正回転にする。
これにより,前記第1容器19における冷温流体は沸騰蒸発し,この沸騰蒸発にて所定温度に冷却され,その冷却された冷温流体は,循環ポンプ15にて,冷温液体循環管路16を通って,再び,前記第1容器19に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第1容器19内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記ルーツ式圧縮機33にて圧縮されたのち前記第2容器20に至り,ここにおける冷温流体にて凝縮され,この蒸気凝縮にて温度が高くなった冷温流体は放吸熱用熱交換器26に送られてここでの大気空気との熱交換にて冷却(放熱)されたのち再び前記第2容器20に戻って蒸気を凝縮することを繰り返す。
また,暖房に際しては,前記冷温熱源装置11におけるルーツ式圧縮機33を,今度は,図6に矢印33″で示すように,前記第2容器20から前記第1容器19の方向に蒸気圧縮を行うように逆回転にする。
これにより,前記第2容器20における冷温流体は沸騰蒸発し,この沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち放吸熱用熱交換器26に送られ,ここで大気空気との熱交換にて暖
め(吸熱)られたのち再び前記第2容器20に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第2容器20内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記ルーツ式圧縮機33で圧縮されたのち前記第1容器19に至り,ここにおける冷温流体にて凝縮され,この蒸気凝縮にて温度が高くなるように暖められた冷温流体は,循環ポンプ15にて冷温液体循環管路16を通って,再び,前記第1容器19に戻って蒸気凝縮することを繰り返す。
前記図6に示す,一つの例としての蒸発式冷温熱源装置11は,前記第1容器19の上部と前記第2容器20の上部とを接続する蒸気ダクト32に設けたルーツ式圧縮機33を正逆回転することにより,冷房と暖房とを行うように構成した場合であった。
図7は,別の例としての蒸発式冷温熱源装置11を示すものである。
この別の例としての蒸発式冷温熱源装置11は,前記蒸気ダクト32に,前記ルーツ式圧縮機33等の蒸気圧縮機に対するバイパス弁34を設け,冷房のときには,前記バイパス弁34を閉じた状態で,前記ルーツ式圧縮機33を矢印33′の方向に蒸気圧縮を行うように回転駆動するにより,第1容器19において冷温流体を冷却しているが,暖房のときには,前記ルーツ式圧縮機33を停止した状態で,前記バイパス弁34を開くことによって,第2容器20で発生した蒸気を,第1容器19に導き,この蒸気により,当該第1容器19から前記冷温流体循環経路16を通り,再び,第1容器19に戻るように循環する冷温流体を暖めるという構成にしたものである。
なお,前記図6又は図7に図示した蒸発式の冷温熱源装置11において,放吸熱用熱交換器26における放熱又は吸熱に際しては,前記したように,大気空気を使用することに代えて,地下水を使用するか,或いは,地下熱を使用する構成にすることができる。
先行技術による空調システムを示す図である。 別の先行技術による空調システムを示す図である。 更に別の先行技術による空調システムを示す図である。 本発明における第1の実施に形態による空調システムを示す図である。 本発明における第2の実施に形態による空調システムを示す図である。 本発明の実施に形態の空調システムに使用する冷温熱源装置の一例を示す図である。 本発明の実施に形態の空調システムに使用する冷温熱源装置の別の例を示す図である。
符号の説明
11 冷温熱源装置
12 冷暖房用熱交換器
12a 冷暖房用熱交換器への入口管路
12b 冷暖房用熱交換器からの出口管路
13 冷温液体供給管路
14 冷温液体戻り管路
15 循環ポンプ
16 冷温液体循環経路
17 個別ポンプ
35 熱交換器
35′ 熱交換器の一次側
35″ 熱交換器の二次側
35a 一次側への入口管路
35b 一次側からの出口管路
17a 一次個別ポンプ
17b 二次個別ポンプ

Claims (5)

  1. 冷温流体を冷却又は暖める冷温熱源装置と,複数の冷暖房箇所の各々に配設した冷暖房用熱交換器と,前記冷温熱源装置の冷温流体を取り出したのち再び前記冷温熱源装置に戻すように循環する冷温流体循環経路と,この冷温流体循環経路に設けられる冷温流体循環用ポンプとを備えて成る空調システムにおいて,
    前記冷温流体循環経路は,前記各冷暖房箇所又はその近傍を通って最も遠い冷暖房箇所に至りこの部分から前記冷温熱源装置に戻る閉ループ状であり,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路及び出口管路は,前記冷温流体循環経路のうちその流れ方向に沿って異なった箇所に,冷温流体の流れ方向に対して入口管路が上流側に出口管路が下流側に位置するように接続されており,前記各冷暖房用熱交換器の入口管路又は出口管路には,前記冷温流体循環経路における冷温流体を前記冷暖房用熱交換器に送り込むようにした個別ポンプが設けられていることを特徴とする空調システム。
  2. 前記請求項1の記載において,前記冷温流体循環経路のうち前記各冷暖房用熱交換器の入口管路又は出口管路が接続される部分は,前記各冷暖房用熱交換器の各々が設置されている冷暖房箇所に位置していることを特徴とする空調システム。
  3. 冷温流体を冷却又は暖める冷温熱源装置と,複数の冷暖房箇所の各々に配設した冷暖房用熱交換器と,前記冷温熱源装置の冷温流体を取り出したのち再び前記冷温熱源装置に戻すように循環する冷温流体循環経路と,この冷温流体循環経路に設けられる冷温流体循環用ポンプとを備えて成る空調システムにおいて,
    前記冷温流体循環経路は,前記各冷暖房箇所又はその近傍を通って最も遠い冷暖房箇所に至りこの部分から前記冷温熱源装置に戻る閉ループ状であり,前記各冷暖房用箇所の各々には,間接式熱交換器が設けられ,この間接式熱交換器の一次側における入口管路及び出口管路は,前記冷温流体循環経路のうちその流れ方向に沿って異なった箇所に,冷温流体の流れ方向に対して入口管路が上流側に出口管路が下流側に位置するように接続されており,前記各間接式熱交換器の一次側における入口管路又は出口管路には,前記冷温流体循環経路における冷温流体を間接式熱交換器の一次側に送り込むようにした一次個別ポンプが設けられている一方,前記各間接式熱交換器における二次側と,前記各冷暖房用熱交換器との間は,冷温流体が二次個別ポンプにて循環するように構成されていることを特徴とする空調システム。
  4. 前記請求項3の記載において,前記冷温流体循環経路のうち前記各間接式熱交換器の一次側における入口管路又は出口管路が接続される部分は,前記各間接式熱交換器の各々が設置されている冷暖房箇所又はその近傍に位置していることを特徴とする空調システム。
  5. 前記請求項1〜4のいずれかの記載において,前記冷温流体循環ポンプの回転数は,前記冷温熱源装置に戻るときにおける冷温流体の温度を前記複数の冷暖房箇所のうち最も遠い冷暖房箇所において所定の冷暖房負荷を得ることができる温度に維持するように制御されていることを特徴とする空調システム。
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