JP2009270176A - 表面強化被膜の形成方法及び表面強化製品 - Google Patents

表面強化被膜の形成方法及び表面強化製品 Download PDF

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Abstract

【課題】ブラスト加工装置による錫粉体の噴射という比較的簡単な作業により,セラミックスの被膜に匹敵する高い硬度を有する酸化錫の被膜を,切削工具の刃先部や機械部品の摺動部等に高い付着強度で形成して表面強化被膜とする。
【解決手段】平均粒径を10〜100μm,好ましくは平均粒径20〜50μmの酸化錫の粉体,又は表面に酸化膜が形成された平均粒径を10〜100μm,好ましくは平均粒径20〜50μmの錫の粉体を,ブラスト加工装置により圧縮気体と共に噴射圧力0.5MPa以上,又は噴射速度200m/sec以上で被処理製品に噴射して衝突させる。これにより,被処理製品の表面に1ミクロン以下の厚みで酸化錫の被膜を形成し,これを前述の表面強化被膜とした。
【選択図】図2

Description

本発明は表面強化被膜の形成方法及び表面強化製品に関し,より詳細には切削工具,金属成形用金型,歯車,シャフト等の摺動部等の表面を強化して,耐摩耗性の向上や表面の高硬度化を図ることのできる表面強化被膜の形成方法,及び前記表面強化被膜の形成により表面強化された表面強化製品に関する。
加工対象に対して刃先を摺接させた状態で使用されるバイト等の切削工具は,高硬度であると共に耐摩耗性を有することが求められており,このような要求に対応するために,母材自体を高硬度なものとする他,浸炭や窒化等の表面処理を行うことにより,刃先部等を強化することが一般に行われている。
また,このような耐摩耗性等が要求される製品に対する他の表面強化方法としては,例えば前述の切削工具の歯先部分にセラミックコーティングを施すことも一般に行われており,このようなセラミックコーティング方法としては,プラズマ溶射,PVD法(物理気相蒸着),CVD法(化学気相蒸着)等が知られている。
しかし,これらの方法により切削工具等の被処理製品の表面強化を行う場合,大掛かりな処理装置が必要であり初期投資が多大なものとなる。そのため,比較的簡単な方法によって行うことができる表面強化方法が要望されている。
なお,ブラスト加工装置等によって被処理製品の表面に金属粉体を噴射するという比較的簡単な方法により,被処理製品の表面に金属粉体の構成成分によって構成される被膜を形成する技術が存在する(特許文献1〜3参照)。
このうち,特許文献1には,「常温拡散・浸透メッキ方法」として,「金属成品又はセラミック又はこれらの混合体から成る被処理成品の表面に,被覆金属粉体を噴射速度80m/sec 以上又は噴射圧力3kg/cm2以上で噴射し,前記被覆金属粉体の組成物中の元素を金属成品又はセラミック又はこれらの混合体の表面に拡散させる」(特許文献1の請求項1)ことが提案されており,また,この特許文献1の「0084」欄には,前記被覆金属粉体として,軟質金属である「錫」の使用可能性について言及している。
また,特許文献2は,被処理製品の表面に光触媒機能を発揮する酸化金属の被膜を形成する方法を開示しており,このような酸化金属被膜の形成を,平均粒径が200μm以下の金属粉体を,噴射圧力0.3MPa以上で噴射することにより行うことを開示し(特許文献2「0030」欄),このような噴射金属粉体の一例として,「錫」の粉体の使用について言及する(特許文献2「0028」欄)。
なお,このようにして形成された光触媒機能を発揮する酸化金属の被膜は,「被膜の表面から内部に入るに従って酸素との結合がわずかづつ欠乏気味となる構造」(引用文献2「0031」欄)を有し,この構造によって,可視光の照射によっても光触媒機能を発揮するものとなっている。
さらに,被処理製品の摺動部表面に錫等の軟質金属の粉体と,二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤の粉体を混合して噴射することにより,軟質金属よりなる母層中に固体潤滑剤の分散された潤滑性被膜を形成することも提案されている(特許文献3の特許請求の範囲参照)。
この発明の先行技術文献情報としては,次のものがある。
特開平8−333671号公報 特開2002−85981号公報 特開2002−161371号公報
ところで,金属である錫の硬度は,ビッカース硬さで5kg/mm2程度であるが,その酸化物である酸化錫では,1650kg/mm2という高い硬度を示す。従って,このような高硬度の酸化錫の被膜を被処理製品の表面に高い付着強度で形成することができれば,形成された酸化錫の硬質被膜によって,母材である被処理製品の表面強化を行うことができ,前述したセラミックス被膜の形成に代わる表面強化技術として適用することができるものと考えられる。
そして,このような酸化錫の被膜を,ブラスト加工装置による錫粉体の噴射という比較的簡単な方法で行うことができれば,プラズマ溶射,PVD法(物理気相蒸着),CVD法(化学気相蒸着)等によってセラミックス被膜を形成するための高価な装置が不要となる。
ここで,前掲の特許文献1では,金型やギヤ等の機械部品の摺動部に対して被膜の形成を行うことを開示するものの,このような摺動部に対する被膜の形成に使用される噴射粉体は,クロム合金等によって構成されたものであり,軟質金属である錫によって切削工具等の表面強化を行うことができることの記載はない。
なお,特許文献1には,噴射粉体としての錫の使用に言及するものの,錫粉体の噴射によって形成される被膜が,酸化錫であることの記載がない。また,特許文献1の方法で仮に酸化錫の被膜が形成できたとしても,ここで形成される酸化錫の被膜は,特許文献2に記載の酸化金属被膜と同様の構造を有するものと考えられ,後述するように切削工具の刃先等に形成したとしても容易に剥離してしまう。
特許文献3にも,錫粉体を噴射することにより形成される被膜が酸化錫の被膜であることの記載はない。しかも,特許文献3において,錫等の軟質金属被膜を形成することによる潤滑性の向上は,このようにして形成された軟質金属被膜が剪断強さが低いこと,すなわち他部材との接触により容易に変形することにより得ているのであり(特許文献3「0029」〜「0032」欄),形成される軟質金属被膜は,あくまでも「軟質」という性質を維持していることが必要で,これを高硬度なものとして形成すれば,上記潤滑原理は実現し得ないこととなる。
一方,前述した特許文献2では,被処理製品の表面に形成される被膜は,これを酸化金属の被膜であると記載する。従って,錫粉体を噴射して形成された被膜は,酸化錫の被膜であるということになる。
そこで,試みに特許文献2に記載の方法によって酸化錫の被膜を切削工具の刃先に形成して使用してみたところ,このようにして形成された酸化錫の被膜は,数回の使用によって容易に剥離してしまい,セラミックス被膜等に代わり得る表面強化被膜としての用途に使用することはできなかった。
このような事実に鑑み,本発明の発明者は上記のような剥離が生じる原因を検討したところ,引用文献2に記載の方法によって形成された酸化錫の被膜が,「被膜の表面から内部に入るに従って酸素との結合がわずかづつ欠乏気味となる構造」(引用文献2「0031」欄)を有することに原因があるのではないかとの予測を立てた。
すなわち,前記構造の酸化錫被膜では,酸素との結合量が多い被膜の表面付近の硬度は比較的高いが,表面から内部に入るに従って酸素が欠乏するに従い,被膜の硬度も低下し,酸化錫被膜の内部は軟質なものとなっている。そのため,前記構造の酸化錫被膜では,酸素との結合量の少ない軟質部分の上に,酸素との結合量が多く高硬度となっている表面部分が形成された構造となっており,この酸化錫被膜の形成部に他部材を高い圧力で摺接すると,下層の軟質部分が変形する一方,この軟質部分の変形に追従して変形し得ない高硬度の表面部分が破断して,この破断の生じた部分を基点とした剥離が生じるのではないかとの予測を立てたのである。
上記予測に基づけば,形成される酸化錫被膜の内部における酸素量を増大させて,内部硬度を上昇させることができれば,上記で予想した原理に基づく剥離の発生を解消し得ることとなる。
しかし,このような構造を備えた酸化錫被膜を,錫粉体の噴射によって形成すべく,噴射粉体の粒径,噴射圧力,噴射速度等の噴射条件を調整するも,このような噴射条件の調整によっては,形成される酸化錫被膜の付着強度を,切削工具の刃先や機械部品の摺動部に形成する表面強化被膜と成し得る程に向上させることはできなかった。
そこで本発明は,酸化錫の被膜をブラスト加工装置等による錫粉体の噴射という比較的簡単な方法によって形成するものでありながら,形成された酸化錫の被膜が,切削工具の刃先部や機械部品の摺動部等に形成した場合であっても使用中に剥離せず,従ってこれらの表面強化被膜として使用し得る酸化錫被膜の形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明の表面強化被膜の形成方法は,表面に酸化膜が形成された平均粒径10〜100μm,好ましくは平均粒径20〜50μmの錫の粉体を,噴射圧力0.5MPa以上,又は噴射速度200m/sec以上で被処理製品に噴射することにより,被処理製品の表面に酸化錫の被膜を1μm以下の厚みで形成することを特徴とする(請求項1)。
上記表面強化被膜の形成方法において,前記酸化錫被膜の形成を行う前に,前記被処理製品に対し平均粒径37〜74μmの例えばハイス鋼等の鋼球を,噴射圧力0.3MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理(表7中の「前処理1」)を行うことができる(請求項2)。
また,前記前処理(表7中の「前処理1」)に代え,又は前記前処理(表7中の「前処理1」)を行った後の被処理製品に対し,平均粒径20〜63μmの例えばアルミナ・シリカ等のセラミックビーズを,噴射圧力0.2MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理(表4,5に示す「前処理」)を行った後,前記酸化錫被膜の形成を行うものとしても良い(請求項3,4)。
なお,前記被処理製品は,これを金属,セラミックス,又はこれらの混合体により形成されたものとすることができる(請求項5)。
また,本発明の表面強化製品は,被処理製品の表面に前記いずれかの方法で酸化錫被膜を形成したものである(請求項6〜10)。
以上に説明した本発明の構成により,本発明の表面強化被膜の形成方法,及び表面強化製品は,以下の顕著な効果を有する。
噴射粉体として,酸化錫の粉体,又は表面に酸化膜が形成された錫の粉体を使用すること,噴射粉体の粒径,噴射圧力又は噴射速度を所定の条件に調整すること,及び前記錫粉体の噴射によって形成される酸化錫被膜の厚みを1μm以下に調整することにより,切削工具の刃先部や,機械部品の摺動部等に形成した場合であっても,剥離を生じることなくこれらの表面を強化する機能を有する酸化錫被膜を形成することができた。
このようにして形成された酸化錫の被膜は,HV1000kg/mm2以上の高硬度であり,セラミックス等の被膜に代わり得る表面強化被膜として使用することができるものであり,このような表面強化被膜を錫粉体の噴射という比較的簡単な処理によって形成することができ,各種製品の耐摩耗性の向上に伴う寿命の向上を図ることができた。
また,本発明の方法により表面強化被膜を形成することにより,被処理製品が金属である場合,その表面付近の残留応力を向上させることができ,これに伴い疲労強度の向上に伴う寿命の向上をも図ることができた。
酸化錫被膜の形成前に,前述した鋼球及び/又はセラミックビーズの噴射による前処理を行う場合には,ピーニング効果により被処理製品の表面強度の向上が得られると共に,潤滑油の供給が行われる摺動部等にあっては,鋼球及び/又はセラミックビーズの衝突時に被処理製品の表面に形成された凹凸が油溜まりとして作用することにより,前述した表面強化被膜の形成との相乗効果により,耐摩耗性等の一層の向上を得ることができた。
なお,ハイス鋼等の鋼球を噴射した場合には,アルミナ・シリカ等のセラミックビーズを使用する場合に比較して噴射する鋼球の粒径が大きいことから,被処理製品の内部深く迄強度の向上を図ることができる一方,被処理製品の表面が荒れる。一方,セラミックビーズを噴射した前処理では,被処理製品の表面からの深さ方向に対する強度向上は,鋼球を使用する場合に比較して劣るものの,被処理製品の表面荒れを少なくすることができ,用途に応じてこれらの前処理を適宜選択することができた。
なお,前記両前処理の特性より,鋼球の噴射後,セラミックビーズの噴射を行う複合型の前処理を行った場合には,被処理製品の内部深く迄強度の向上を得ることができると共に,表面荒れの少ない前処理を行うことができた。
被処理製品は,これを金属,セラミックス又はこれらの混合体のいずれによって形成されたものを対象とした場合であっても,前記酸化錫の被膜を形成することができると共に,形成された酸化錫の被膜を,被処理製品の表面に対する付着強度の高いものとすることができた。
次に,本発明の実施形態につき以下説明する。
〔着眼点〕
錫の粉体を被処理製品の表面に噴射することにより酸化錫の被膜を形成できることは既に公知であるところ,このようにして形成された酸化錫の被膜は,切削工具の刃先や機械部品の摺動部に形成した場合,容易に剥離してしまうものであることは前述した通りである。
そして,本発明の発明者は,このような剥離が生じる原因を,前記方法によって形成された酸化錫の被膜が,表面から内部に入るに従って酸素との結合が欠乏する構造を有する点にあるとの予測に基づき,酸化錫被膜の内部における酸素との結合量を増大させるべく,噴射粉体の粒径,噴射圧力や噴射速度等の噴射条件を調整するも,これによって形成された酸化錫被膜の付着強度を向上させることができなかった点についても前述した通りである。
ところで,前述した従来の酸化錫被膜の形成方法において,噴射粉体は「錫」であり,形成される被膜は,錫の酸化物である「酸化錫」の被膜であり,このことから錫粉体は,被処理製品の表面に衝突した際の発熱によって酸化し,これにより被処理製品の表面に形成される錫被膜は酸化錫の被膜になるものと思われる。
このような酸化によって,形成される被膜は酸化錫となるのであるから,衝突時の発熱による酸化という酸化のメカニズムが,形成された酸化錫被膜における酸素との結合構造を決定付けているものと考えられる。
そこで,本発明の発明者は,被処理製品に対して被膜の構成成分を提供する錫粉体側を当初より酸素と結合させてその表面に酸化膜を形成し,錫粉体の衝突時,被処理製品の表面に形成される酸化錫被膜にこの酸化膜を取り込ませることにより,形成される酸化錫被膜の内部における酸素量を増大させることができ,これにより形成される酸化錫被膜の付着強度を向上させることができるのではないかと考えた。
また,被膜の表面から内部に入るに従って酸素が欠乏する構造は,形成する被膜の厚みが増すに従い顕著に表れることが確認されている。
このように,本発明の発明者は,上記着眼点に基づき,表面に酸化膜が形成された錫の粉体を噴射することによる酸化錫被膜の形成を行うと共に,形成された酸化錫被膜が剥離し難い膜厚を求めた結果,前記噴射粉体の使用と共に,膜厚を1μm以下とすることにより,切削工具の刃先や,機械部品の摺動部等の強化を行い得る参加錫被膜を形成することができることを見出し,本発明を完成するに至ったものである。
〔被膜方法概要〕
以上の着眼点から,本発明の表面強化被膜の形成方法は,表面に酸化膜が形成された平均粒径10〜100μm,好ましくは平均粒径20〜50μmの錫の粉体を,噴射圧力0.5MPa以上又は噴射速度200m/sec以上で被処理製品に噴射することにより,被処理製品の表面に厚み1μm以下で付着強度の高い酸化錫の被膜を形成するものである。
〔噴射粉体〕
本発明の表面強化被膜の製造方法では,前述のように噴射粉体として表面に酸化膜の形成された錫粉体使用し,このような噴射粉体は,一例として噴射粉体である錫粉体を水アトマイズ法によって製造することにより得ることができる。
ここで,水アトマイズ法では,溶融した錫を高圧水と衝突させることにより溶融錫の粉粒化と急冷凝固を瞬時に行うことによって粉体を得るものであり,このようにして得られた錫粉体は,水との衝突時の急冷によってその表面が酸化して表面が酸化膜によって覆われた錫の粉体となる。
使用する噴射粉体の粒径は,平均粒径10〜100μm,好ましくは20〜50μmのものを使用する。噴射粉体の衝突によって被処理製品の表面に被膜を形成するためには,衝突時の発熱により噴射粉体に温度上昇を生じさせる必要があり,この温度上昇は,噴射粉体の衝突速度に比例して上昇するものとなる。
上記粒径の範囲の噴射粉体であれば,噴射時に使用する圧縮気体によって生じた気流に乗り易く,高速で噴射粉体を被処理製品の表面に衝突させることができ,酸化錫被膜の形成を好適に行うことができる。
なお,使用する噴射粉体の個々の粒子の形状は,球状であっても良く,又は多角形状であっても良く,更にはこれらが混在したものであっても良く,その形状は特に限定されない。
〔噴射方法〕
前述の噴射粉体の噴射には,噴射粉体を圧縮空気等の圧縮気体と共に噴射する既知の各種のブラスト加工装置を使用することができ,このブラスト加工装置の噴射方式は,直厚式,重力式,サクション式等の既知の如何なる方法によって行うものであって良く,前述した噴射圧力又は噴射速度で噴射粉体を噴射し得るものであれば特に限定されない。
噴射粉体の噴射は,噴射圧力0.5MPa以上,又は噴射速度200m/sec以上で行う。噴射粉体が被処理製品の表面に衝突した際に生じる温度上昇は速度に比例し,被処理製品の表面に噴射粉体を好適に溶融付着させるためには,噴射粉体を高速で噴射する必要がある。
特に,本発明の方法で使用する噴射粉体は,表面に酸化膜が形成されていると共に,この酸化膜(酸化錫)は,錫(未酸化)に対して融点が上昇していることから,前述した高い噴射圧力,噴射速度での噴射が要求される。
〔被処理製品〕
本発明の表面強化被膜の形成対象とする被処理製品は,前述した噴射粉体を,前述した噴射圧力又は噴射速度による噴射,衝突によって酸化錫の被膜を形成可能なものであれば,各種材質,形状,用途のものを使用することができ,好ましくは金属,セラミック又はこれらの混合体から成る被処理製品を処理対象とする。
被処理製品の材質によっては,形成される酸化錫被膜との間に必要な付着強度が得られない場合があり,このような場合には,被膜の形成前に予めブラストによる前処理を施すものとしても良い。
また,被処理製品の表面強度の向上,用途によっては表面強度の向上に加え凹凸の形成による油溜まりの形成を目的として,前記被処理製品に対し平均粒径37〜74μmのハイス鋼等の鋼球を,噴射圧力0.3MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理を行い,又は前記前処理に代え,又は前記前処理の後に,被処理製品に対し平均粒径20〜63μmのアルミナ・シリカビーズ等のセラミックビーズを,噴射圧力0.2MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理を,表面強化被膜である前記酸化錫被膜の形成前に行うものとしても良い。
〔作用〕
以上のように,表面に酸化膜の形成された平均粒径10〜100μmの錫粉体,好ましくは20〜50μmの錫粉体を,0.5MPa以上,又は噴射速度200m/sec以上という比較的高速で噴射して被処理製品の表面に衝突させると,噴射された錫粉体は,被処理製品の表面に衝突し,弾き返される際にその一部が被処理製品の表面に溶着付着,又は拡散・浸透,被覆して酸化錫の被膜が形成される。
前述した噴射圧力又は噴射速度で被処理製品の表面に錫粉体を高速で噴射すると,錫粉体は被処理製品の表面に対する衝突前後の速度変化により熱エネルギーが生じる。この熱エネルギーは,錫粉体が衝突した変形部分のみで行われるので,錫粉体及びこの錫粉体が衝突した被処理製品の表面付近に局部的に温度上昇が起こる。
また,温度上昇は錫粉体の衝突前の速度に比例するので,錫粉体の噴射速度を高速にすると,錫粉体及び被処理製品の表面の温度を高温に上昇させることができる。このとき錫粉体が被処理製品の表面で加熱されるために,この温度上昇によって錫粉体の温度上昇部分において酸化が生じると共に,噴射粉体の表面に形成された酸化膜を含む噴射粉体の一部分が,その温度上昇により被処理製品の表面に溶融付着,拡散浸透,又は被覆して被膜が形成されるものと考えられる。
同時に,噴射粉体の衝突によってショットピーニングとしての表面加工熱処理等の効果が得られるものである。したがって,この際に付与された残留応力等により,被処理製品の疲労強度の上昇に伴い長寿命化等も同時に達成される。
金属としての錫は,ビッカース硬さで5kg/mm2程度の軟質な金属であるが,この錫の酸化物である酸化錫は,最大でビッカース硬さで約1650kg/mm2という高硬度の物質であり,このようにして形成された酸化錫の被膜の硬度は,ジルコニア(HV1100kg/mm2程度),アルミナ(HV1800kg/mm2程度),炭化ケイ素(HV2200kg/mm2程度),窒化アルミニウム(HV1000kg/mm2程度)等のセラミックスと比較しても,遜色のない硬度を備えたものであり,この被膜の形成により被処理製品の表面の高硬度化が図られると共に,耐摩耗性が向上する。
しかも,このようにして形成された酸化錫の被膜は,切削工具の刃先部や,機械部品の摺動部等,高荷重で他部材との摺接が行われる部分にこれを形成して使用した場合であっても,剥離等が生じ難いものであった。
また,錫は融点が232℃と低いが,酸化錫の融点は1630℃と高温である。このため,切削工具の刃先や機械部品の摺動部等に使用した場合であっても,摩擦熱に耐え得る熱特性を有するものとなっている。
このように,本発明の方法により形成された酸化錫の被膜が,被処理製品の表面に対し高い付着強度で形成されている理由は必ずしも明らかではないが,噴射粉体として表面に酸化膜が形成された錫粉体を使用したことにより,被処理製品の表面に形成される酸化錫被膜の形成の際に,少なくとも噴射粉体表面の酸化錫(酸化膜)が,形成される酸化錫被膜中に取り込まれることと,噴射粉体が被処理製品の表面に衝突した際の発熱に伴う酸化との相乗効果によって,形成された酸化錫被膜における酸素の結合量を,被膜の厚み方向の全域に亘り増加させることができ,かつ,形成する被膜の厚みを1μm以下という比較的薄いものとして形成したことにより,被膜の厚み方向における酸素の結合量を全域に亘り略均一にすることができたことによるものと考えられる。
なお,このようにして形成される酸化錫の被膜は,1μm以下と極めて薄いものであることから,錫粉体の噴射を行う被処理製品の形状は,これを最終製品の形状に可及的に近似させた形状(所謂「ニアネットシェイプ」)とすることができ,設計などに際して形成する被膜の膜厚に対する考慮が不要であるといった利点もある。
次に,本発明の方法により被処理製品の表面に,噴射粉体の噴射によって酸化錫の被膜である表面強化被膜を形成した例を実施例として以下に説明する。
1.実施例1
切削加工用のCBNチップに対し,本発明の方法により表面強化被膜(酸化錫被膜)の形成を行った。表面強化被膜の形成条件を下記の表1に,上記処理によってCBNチップに形成された表面強化被膜の膜厚を測定した結果を表2にそれぞれ示す。
以上のようにして,本発明の方法により表面強化被膜が形成されたCBNチップを使用して,クロムモリブデン鋼(SCM420)製のシャフト(浸炭品:表面硬度HV700)の切削を行った。
処理対象としたCBNチップは,未処理の状態で使用する場合,通常,前記シャフト200本の加工により使用不能となるが,上記本発明の方法で表面強化被膜が形成されたCBNチップにあっては,5倍の1000本の加工後においても摩耗が生じておらず,また,チッピングなどの欠けが少なく,シャフトを正常に加工することができた。
なお,上記シャフトを1000本加工した後の3つのCBNチップ(サンプルA〜C)の表面に形成されている表面強化被膜の膜厚を測定した結果を,下記の表3に示す。
表3に示すように,上記シャフトを1000本加工した後のCBNチップの表面に形成されている表面強化被膜は,未使用の状態(表2参照)に比較してその膜厚が減少してはいるものの,未だCBNチップの表面には表面強化被膜の存在が確認できた。
このことから,本発明の方法によって形成された表面強化被膜は,切削工具の刃先等の高荷重での摺接が生じる部分に使用した場合であっても剥離が生じない程の付着強度を有するものであり,また,上記の通りの長寿命化が達成されていることから,被処理製品であるCBNチップの耐摩耗性の向上に大きく貢献していることが判る。
2.実施例2
超硬チップに対し,下表4に示すように微粉用ブラスト装置を使用した前処理を行った後,本発明の方法による表面強化被膜の形成を行った。処理対象とした切削用チップは,その表面にセラミック被膜(WC)が形成されており,下表4に示した前処理は,ピーニング効果によってこのWC被膜のつなぎ材である母材中のCOの強化を行うと共に,WC,COの微細化を可能とする。
以上のようにして,本発明の方法により表面被膜が形成された超硬チップを使用して,クロムモリブデン鋼(SCM420)製のシャフト(浸炭品:表面硬度HV700)の切削を行った。
処理対象とした超硬チップは,未処理の状態で使用する場合,通常,前記シャフト150本の加工により使用不能となる。このような寿命は,表4中に記載した「前処理」を行うことによっても改善することができない。
しかし,本発明の方法で表面強化被膜が形成された超硬チップにあっては,未処理の場合の3倍である450本の加工後においても摩耗が生じておらず,また,チッピングなどの欠けが少なく,前記シャフトを正常に加工することができるものであった。
3.実施例3
サーメットチップ(SKD−11熱処理品)に対し,前処理として微粉用ブラスト装置により表5の前処理を行った後,下記の表6に示す条件で本発明の方法による表面強化被膜の形成を行った。
以上のようにして,本発明の方法により表面強化被膜が形成されたサーメットチップを使用して,クロムモリブデン鋼(SCM420)製のシャフト(浸炭品:表面硬度HV700)の切削を行った。
処理対象としたサーメットチップは,未処理の状態で使用する場合,通常,前記シャフト200本の加工により使用不能となる。このような寿命は,前述した「前処理」を行うことによっても改善することができない。
しかし,上記本発明の方法で表面強化被膜が形成されたサーメットチップでは,未処理のサーメットチップに対して3倍である600本の加工後においても摩耗が生じておらず,また,チッピングなどの欠けが少なく,シャフトを正常に加工することができた。
4.実施例4
マトリックスハイス(YXR−3)の熱処理品である転造用Vロールダイスに対し,下記の表7に示す前処理を行った後,表8に示す加工条件で本発明の表面強化被膜の形成を行った。
以上のようにして,本発明の方法により表面強化被膜が形成されたVロールダイスを使用して転造を行った。
未処理のVロールダイスの寿命は通常3万個程度の加工が限度であり,また,前記二種類の前処理(前処理1,前処理2)を共に行うことにより,加工個数を延ばすことができるが,その個数は9万個程度が限度である。
これに対し,上記本発明の処理によって更に表面強化被膜が形成されたVロールダイスにあっては,加工個数を18万個に迄伸ばすことができた。
Vロールダイスのこのような寿命の向上は,セラミックコーティングによっても得ることができない効果であり,しかも,上記表面強化被膜の形成により,製品の仕上がり面も従来のものと比較して良くなっている。
5.実施例5
マトリックスハイス(YXR−3)の熱処理品である高張力鋼板用絞り金型に対し,前記表7に示した2種類の前処理を行った後,下記の表9に示す処理条件で本発明の表面強化被膜を形成した。
以上のようにして,本発明の方法により表面強化被膜が形成された絞り金型を使用して高張力鋼板の絞り加工を行った。
未処理の絞り金型の寿命は通常2万個程度であり,また,前述した二種類の前処理のみを行った場合には加工個数を延ばすことができたものの,4万個程度を限度とする。
これに対し,上記前処理後の絞り金型に対し,本発明の処理によって表面強化被膜を形成した場合には,8万個の加工が可能となった。
絞り金型のこのような寿命の向上は,セラミックコーティングによっても得ることができない効果であり,しかも,上記表面強化被膜の形成により,製品に発生する傷が減少した。
6.実施例6
機械構造用炭素鋼(S45C)製の機械ディスク板に上記表7に示した前処理のうち,「前処理1」と同様の処理(但し,噴射時間については片面3分×2方向。)を行った後,下記の表10に示す処理条件で本発明の表面強化被膜の形成を行った。
アズ・ロールド鋼(S45C)製の機械ディスク板(ブレーキディスク)において,未処理の場合には,その寿命は107回を達成することができるものとはなっていなかった。
また,前述の前処理(表7の「前処理1」)を行うことにより,その寿命を延ばすことができるものの,107回程度が限度である。
これに対し,本発明の方法により表面強化被膜が形成された機械ディスク板(ブレーキディスク)にあっては,1桁多い108回迄,その寿命を延ばすことができた。
また,本発明の方法により表面強化被膜が形成された機械ディスク板(ブレーキディスク)にあっては,ブレーキの鳴きがなくなり,停止をスムーズに行うことができた。
なお,この種のブレーキディスクにあっては,ディスク板を強化すると,パットの寿命が短くなるという問題が生じるが,本発明の方法により表面強化被膜の形成された機械ディスク(ブレーキディスク)にあっては,ディスク板の寿命のみならず,パットの寿命についても延長するものであった。
7.実施例7
織物機械用のスライドレールに対して表7に示した前処理1,前処理2の双方を共に行った後(但し,噴射時間については「前処理1」について 2分間×2方向,「前処理2」について2分間×2方向。),下記の表11に示す処理条件で本発明の表面強化被膜の形成を行った。
本実施例で処理対象とした上記スライドレールは,セラミックス製の部品が摺動するために異常摩耗が発生するが,前記スライドレールは織物機械(織機)の部品であり,製品である織物に対して潤滑油が付着することを防止するために注油を行うことなく使用されていた部品である。
そのため,未処理の状態の前記スライドレールでは,約5000時間の使用で交換が必要となっていた。
また,表7に示したと同様の前処理を行うことにより寿命を延ばすことができるが,それも7500時間程度が限度である。
これに対し,本発明の方法により表面強化被膜が形成されたスライドレールにあっては,15000時間の使用が可能となり,大幅に寿命を延長することができるものとなった。
なお,未処理のスライドレールでは,前述した異常摩耗によって使用時に鉄粉が発生し,この鉄粉が錆びて織物に付着して製品価値を下げるという問題を生じていたが,本発明の方法により処理されたスライドレールでは,このような異常摩耗,従って鉄粉の発生がなく,錆びによる織物の汚染といった問題についても解消できるものであった。
8.実施例8
SCM435の浸炭品である,タッパー(タップ加工機)の駆動軸に対して,表7に示した前処理1,2(但し噴射時間については「前処理1」について2分,「前処理2」について2分。)をいずれも行った後,下記の表12に示す加工条件により本発明の表面強化被膜の形成を行った。
処理対象としたタッパーに使用されている駆動軸にあっては,摺動時の音の発生,異常摩耗により寿命が短いこと等が問題となっており,寿命については通常106回程度の使用により使用できないものとなっていた。
また,前述した表7に示した処理を行うことにより寿命を伸ばすことは可能であるが,この方法による寿命の延長も107回程度が限度であり,これ以上の長寿命化は望めない。
しかし,本発明の方法により表面強化被膜が形成されたタッパー駆動軸にあっては,更に1桁多い108回までその寿命を延長することができた。
また,摺動時の音の発生が減少し,作動音が静かになると共に,タップネジの加工精度も向上した。
なお,未処理の上記タッパー駆動軸に対し,前処理のみ(表7の前処理1及び前処理2)を行った例(比較例)と,前記前処理後のタッパー駆動軸に対して,更に上記表12に示した本発明の表面強化被膜の形成を行った例(実施例)のそれぞれに対し,残留応力の測定,硬さ測定,表面粗さ測定を行った結果を,下記の表13〜15に,前記比較例及び実施例の表面を撮影した電子顕微鏡写真をそれぞれ図1,2に示す。
上記表13に示す残留応力の測定結果から明らかなように,本発明の方法により表面強化被膜の形成を行ったタッパー駆動軸(実施例)にあっては,前処理のみを行ったタッパー駆動軸(比較例)に比較して残留応力が増加していることが確認された。
このような残留応力の増加より,本発明の方法により表面強化被膜の形成されたタッパー駆動軸(実施例)にあっては,前処理のみを行ったタッパー駆動軸(比較例)に対し,疲労強度等の向上という効果も得られるものであることが判る。
また,表14に示した硬度測定結果より,本発明の方法により表面強化被膜の形成されたタッパー駆動軸(実施例)では,前処理のみを行ったタッパー駆動軸(比較例)に対して表面付近の硬度が上昇していることが確認できた。
このような表面付近の硬度の上昇は,比較例のタッパー駆動軸には存在しない酸化錫被膜(表面強化被膜)の形成により得られているものであり,本発明の方法により好適に酸化錫の被膜である表面強化被膜が形成されていることが確認できると共に,高硬度であるこの表面強化被膜により,前述したように摺動製品の寿命向上といった母材の表面強化が図られていることが判る。
なお,表15に示したように,本発明の方法により表面強化被膜が形成されたタッパー駆動軸(実施例)の表面あらさは,前処理のみを行ったタッパー駆動軸(比較例)に比較し,Rmaxで0.7μmの上昇が見られた。
図2(B)として添付した顕微鏡写真より,形成された錫被膜の最大付着量は0.7μm程度であり,図中に暗く写っている部分が0.1μm程度であると思われ,これにより前記条件によって形成された表面強化被膜の膜厚は,Rmaxの増加分である約0.7μmであると考えられる。
9.その他(未酸化の錫粉体を使用した被膜形成)
本発明の方法と同様の方法により,ガスアトマイズ法によって得られた未酸化の錫粉体を噴射して被処理製品の表面に被膜を形成した場合,形成された被膜は軟質であり,水アトマイズ法によって得られた錫粉体を噴射粉体とした場合のように,硬質の酸化錫の被膜を形成することはできなかった。
また,未酸化の錫被膜を使用する場合,比較的短時間の噴射によって膜厚が2〜3μmと本発明のものと比較して厚くなり,膜厚を1μm以下の厚さに制御することができなかった。
このようにして形成された錫の被膜は,これを例えば機械部品の摺動部等に形成することで,被膜を構成する錫成分が剥離して移動,移着を繰り返すことによる潤滑性の向上により母材の摩耗を防止し得ることが予測できるものの,このようにして得られる耐摩耗性は,本発明の方法によるものとは全く異なる原理によるものである。
以上説明した本発明の表面強化被膜の形成方法は,各種被処理製品を対象としてこれを行うことができ,特に他部材と摺接される機械部品等の摺動部,例えば各種のシャフト,軸受,ギヤ等の動力伝達部材の噛合部乃至は接触部,自動車やオートバイ等のブレーキディスク,ブレーキロータ,クラッチ板,各種切削工具の刃先部,絞り・曲げ・圧延用等の各種金型,その他,表面強化が必要とされる各種用途に使用することができ,その用途は限定されない。
前処理後のタッパー駆動軸(実施例8の比較例)の表面電子顕微鏡写真であり,(A)は500倍,(B)は2000倍である。 表面強化被膜形成後のタッパー駆動軸(実施例8の本願例)の表面電子顕微鏡写真であり,(A)は500倍,(B)は2000倍である。

Claims (10)

  1. 表面に酸化膜が形成された平均粒径10〜100μmの錫の粉体を,噴射圧力0.5MPa以上,又は噴射速度200m/sec以上で被処理製品に噴射することにより,被処理製品の表面に酸化錫の被膜を1μm以下の厚みで形成することを特徴とする表面強化被膜の形成方法。
  2. 前記被処理製品に対し平均粒径37〜74μmの鋼球を,噴射圧力0.3MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理を行った後,前記酸化錫被膜の形成を行うことを特徴とする請求項1記載の表面強化被膜の形成方法。
  3. 前記被処理製品に対し平均粒径20〜63μmのセラミックビーズを,噴射圧力0.2MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理を行った後,前記酸化錫被膜の形成を行うことを特徴とする請求項1記載の表面強化被膜の形成方法。
  4. 請求項2に記載の前処理を行った被処理製品の表面に対し,更に請求項3に記載の前処理を行った後,前記酸化錫被膜の形成を行うことを特徴とする請求項1記載の表面強化被膜の形成方法。
  5. 前記被処理製品が金属,セラミックス,又はこれらの混合体により形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の表面強化被膜の形成方法。
  6. 表面に酸化膜が形成された平均粒径10〜100μmの錫の粉体を,噴射圧力0.5MPa以上,又は噴射速度200m/sec以上で被処理製品に噴射することにより,厚さ1μm以下の酸化錫の被膜を表面強化被膜として形成した表面強化製品。
  7. 平均粒径37〜74μmの鋼球を,噴射圧力0.3MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理を行った後の前記被処理製品に対し,前記酸化錫の被膜を形成したことを特徴とする請求項6記載の表面強化製品。
  8. 平均粒径20〜63μmのセラミックビーズを,噴射圧力0.2MPa以上,又は噴射速度100m/sec以上で噴射する前処理を行った後の前記被処理製品に対し,前記酸化錫の被膜を形成したことを特徴とする請求項6記載の表面強化製品。
  9. 請求項7に記載の前処理を行った被処理製品の表面に対し,更に請求項8に記載の前処理を行った後,前記酸化錫の被膜を形成したことを特徴とする請求項6記載の表面強化製品。
  10. 前記被処理製品が金属,セラミックス,又はこれらの混合体によって形成されていることを特徴とする請求項6〜9いずれか1項記載の表面強化製品。
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