JP2009269835A - 2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアートの製造方法及びそれを用いる重合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不純物として含まれるハロゲン化合物の含有率が1%以下(但し、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるピーク面積の合計を100%とする)のα−ブロモイソブチロニトリルと、フェニルジチオカルボン酸マグネシウムブロミドとを反応させる2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアートの製造方法。可逆的付加−解裂型連鎖移動重合における連鎖移動剤として、前記製造方法により得られる2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアートの未精製品を用いる重合方法。
【選択図】なし
Description
分子量分布の狭い重合体及びブロック共重合体を得るには、高度な重合制御機能が必要とされる。
リビングラジカル重合としては、その重合機構により数種の重合方法が知られているが、中でも、重合中の連鎖移動が可逆的に進行する重合機構は、分子量分布が狭い重合体及びブロック共重合体を得るための重合方法として有用である。このような重合方法として、可逆的付加−開裂型連鎖移動(以下、「RAFT」という。)重合が提案されている(特許文献1)。
RAFT重合は、金属触媒等を必要としないことから、得られる重合体から金属を除去する必要がないことを特徴とする。
この方法は、フェニルグリニャールと二硫化炭素から合成した中間体を、そのまま次の段階の反応に用いることができる点が優れており、RAFT−1の製造法として最も適している。
しかしながら、特許文献1の方法で得られるRAFT−1は、収率が43質量%と低く、RAFT剤として使用するには、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等を用いて精製することが必要であった。
特許文献1の例9の方法では、J.Roczniki Chem.,1927年 7巻 74頁の記載に従い、アセトンシアンヒドリンに三臭化燐を添加する方法でα−ブロモイソブチロニトリルを合成している。しかし、この方法で得られるα−ブロモイソブチロニトリルは、不純物としてハロゲン化合物を多く含有しており、このハロゲン化合物が、得られるRAFT−1の収率を低下させていた。
不純物として含まれるハロゲン化合物の量を所定値以下に低減したα−ブロモイソブチロニトリルを原料として用いることにより、RAFT−1を高収率で得ることができる。
本発明の第二の態様は、可逆的付加−解裂型連鎖移動重合における連鎖移動剤として、請求項1又は2に記載の製造方法により得られるRAFT−1の未精製品を用いる重合方法である。
本発明の重合方法によれば、分子量分布が狭い重合体、又はブロック共重合体を効率良く重合することができる。
ここで、「不純物X」は、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子)を含み、かつα−ブロモイソブチロニトリルに該当しない化合物である。
BriB中の不純物Xの含有率は、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるピーク面積値として求められる。具体的には、該含有率は、水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフを用いて当該BriBについて分析した際に検出されるピークの全ピーク面積の合計(100%)に対する不純物Xのピーク面積の割合(%)として求められる。
一方、BriB中の不純物Xの含有率が1%を越えれば、BriBとフェニルジチオカルボン酸MgBrの反応において、不純物Xとフェニルジチオカルボン酸MgBrとの副反応が起こり、RAFT−1の収率が低下し、得られるRAFT−1の純度が低下する。純度の低いRAFT−1をRAFT剤として用いた場合には、重合を制御することが非常に困難となるため、これをRAFT剤として用いるには、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等による精製を行なうことが必要となる。
不純物Xとして、具体的には、当該BriBを合成する際に用いられる四塩化炭素等の含ハロゲン溶媒が挙げられる。
NBSを用いてイソブチロニトリルの臭素化を行なう反応において、NBSに対するイソブチロニトリルの使用量は、イソブチロニトリルの使用量と等モルであってもよいが、NBSを効率的に用いられることから、イソブチロニトリルを、NBSの使用量に対して1.5〜2倍モル使用することが好ましい。
溶媒の使用量は特に限定されないが、用いるイソブチロニトリルの質量に対して5〜10倍程度が好ましい。
また、臭素化反応を効率的に行なうには、NBS1モルに対して2〜4モルの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」という。)を添加して上記反応を行なうことが好ましい。AIBNが無添加の場合、2〜3時間反応させても、反応がほとんど進行しない場合がある。
次に、得られた濾液を洗浄する。洗浄は、重亜硫酸ナトリウムの5〜10質量%程度の水溶液を用いて行なうことが出来る。
洗浄後、常圧で蒸留を行なう。これにより、得られたBriBと、溶媒及び過剰のイソブチロニトリルとを分離することができる。
このとき、減圧で蒸留を行なうと、四塩化炭素等の溶媒と共にBriBが留出してしまうため、BriBの収率が低下してしまう。BriBと溶媒とを蒸留により効率よく分離するには、ビグリュー管、オールダーショー、充填塔等を用いることが好ましい。
また、フェニルグリニャールは、ブロモベンゼンを原料として用い、一般的なグリニャール試薬と同様の製法により調製できる。具体的には、アルゴンで置換してアルゴン雰囲気とした反応容器に、マグネシウムと、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒とを入れ、ここに沃素等の活性化剤を添加し、ブロモベンゼンのエーテル系溶媒溶液を滴下、反応させることにより調製できる。
また、フェニルグリニャールと二硫化炭素との反応時、及びフェニルジチオカルボン酸MgBrとBriBとの反応時においては、反応系内のアルゴン置換を充分に行なっておくことが好ましい。アルゴン置換が不充分で反応系内に空気が残存する場合、空気中の水分とフェニルグリニャール又はフェニルジチオカルボン酸MgBrとの副反応が生じて、フェニルジチオカルボン酸MgBrやRAFT−1の収率が低下するおそれがある。
ブロモベンゼンの滴下速度が速すぎる場合、反応温度の制御が困難となり、副反応が生じるおそれがある。また、滴下速度が遅すぎる場合、生成したフェニルグリニャールと原料であるブロモベンゼンとが反応する副反応が生じ、結果としてRAFT−1の収率が低下する。
ブロモベンゼンの滴下が終了した後、反応を充分に進めるため、30〜60分程度、反応液を40〜45℃に保って熟成することが好ましい。
反応温度が高すぎる場合、二硫化炭素が蒸発し、フェニルジチオカルボン酸MgBrの収率、更にはRAFT−1の収率が低下するおそれがある。反応温度が低すぎる場合、フェニルグリニャールと二硫化炭素との反応が進行しにくく、RAFT−1の収率が低下するおそれがある。
二硫化炭素の滴下が終了した後、反応を充分に進めるため、1〜2時間程度、反応液を40℃に保って熟成することが好ましい。
フェニルジチオカルボン酸MgBrとBriBとを反応させる際の反応温度は、53℃以上が好ましく、55〜60℃がより好ましい。前記特許文献1の例9では反応は50℃で実施するとしているが、50℃では反応が遅く、収率の向上効果が充分に得られないおそれがある。
反応終了後、反応液中のRAFT−1を回収する。RAFT−1の回収は、公知の方法により実施できる。たとえば、反応液を冷却して氷水を加え、THF等の溶媒を留去した反応処理液に、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤を加えてRAFT−1をエーテル相に抽出する。
次いで、該エーテル相を、飽和食塩水で洗浄してから無水硫酸マグネシウム等で乾燥し、濾過後に濾液を減圧で濃縮することでRAFT−1を得ることができる。
このRAFT−1は、そのまま、精製することなく、RAFT剤としてRAFT重合に供することが可能である。
本発明の重合方法は、RAFT重合における連鎖移動剤(RAFT剤)として、本発明の製造方法により得られたRAFT−1の未精製品を用いること以外は公知のRAFT重合と同様の方法により実施できる。
本発明において、「RAFT−1の未精製品」とは、本発明の製造方法により得られたRAFT−1の、精製処理を施されていないものを意味する。
ここでいう、「精製処理」とは、前述の抽出、洗浄、濾過等の処理では除けない成分の分離・除去を意味する。
本発明のRAFT重合に用いられるRAFT−1の使用量は、重合させようとする単量体の合計量1モルに対し、0.00005〜1モルが好ましい。
以上の点から、本発明においてRAFT重合により重合させる単量体として、好ましいものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はそのエステル;ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有ビニル単量体;スチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
両者の併用割合は特に限定はないが、RAFT−1 1モルに対し、ラジカル重合開始剤0.1〜10モルが適切である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステルが挙げられる。これらの中では、ベンゾイルパーオキシドが好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、AIBN、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
溶媒としては、例えば、トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;水溶液を用いることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合は、室温〜200℃の範囲、好ましくは50〜150℃の範囲で行なうことができる。
また、該重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0〜2.0が好ましく、1.0〜1.8がより好ましい。
純度の低いRAFT−1を精製することなくRAFT重合に用いて場合、得られる重合体の分子量分布が広くなったり、単量体の重合転化率から計算された理論上の分子量と実測の分子量が大きく異なったりするという不具合が生じるが、本発明の重合方法においては、RAFT−1を精製しないにも関わらず、これらの不具合を生じることなく、分子量分布の狭い重合体を製造できる。
従って、本発明の重合方法により得られた重合体は、各種用途に使用することができる。該用途としては特に限定されないが、例えば、分子量分布が狭いことを利用した塗料用組成物、ブロックポリマーが合成可能であることを利用した熱可塑性組成物、熱又は光による硬化性組成物、粘着剤用組成物、接着剤用組成物、更には、フィルムやシート等の成形材料が挙げられる。
以下の各実施例及び比較例においては、以下の(1)〜(4)の各種測定を行なった。
GC分析を以下の分析条件により行ない、そのピーク面積比から、BriBの純度及びBriBに含まれる不純物の濃度を求めた。
カラム :キャピラリーカラムDB−1(ジーエルサイエンス(株)製、カラム長:30m、カラム内径:0.53mm、キャピラリー内フィルム厚:5μm)。
キャリアガス:ヘリウム。
カラム温度 :50℃で3分保持、10℃/分で昇温、200℃で10分間保持。
注入口温度 :220℃。
検出器温度 :220℃。
検出器 :FID。
重合転化率は、1H−NMRにより求めた。分析条件は以下の通り。
装置:JNM−EX270(日本電子(株)製)。
溶媒:重クロロホルム。
メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルの重合では、重合体と単量体由来のアルコキシル基の水素と、単量体由来のC−C二重結合の水素のピークの積分比から計算した。
スチレンの重合では重合体と単量体由来のベンゼン環の水素と、単量体由来のC−C二重結合の水素のピークの積分比から計算した。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ポリメタクリル酸メチルをスタンダードとしてゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
装置 :HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム :TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(東ソー(株)製、4.6×35mm)、TSK−GEL SUPER HZM−N(東ソー(株)製、6.0×150mm)×2直列接続。
溶離液 :クロロホルム。
測定温度:40℃。
流速 :0.6mL/分。
ブロモベンゼンの使用量から換算したRAFT−1の理論生成量を100質量%として収率を求めた。
冷却管、温度計を備えた3000mlの四口フラスコに、四塩化炭素1790g、NBS275g(1.5mol)、イソブチロニトリル121.9g(1.75mol)、AIBN3.75gを投入し、オイルバスにてバス温を85℃になるまでゆっくりと昇温させた。
10時間還流してNBSの分解物の結晶が浮いてきたので反応を終了し、反応液を冷却した。
減圧濾過でコハク酸イミドを除去した濾液を、重亜硫酸ナトリウム10質量%水溶液で洗浄し、更に水で洗浄してから硫酸マグネシウムで乾燥した。
硫酸マグネシウムを濾別した後、反応液を常圧にて蒸留した。
102〜130℃の留分を集めると、BriBが175g得られた。
GC分析の結果、上記BriBの純度は92.5%であり、不純物として、イソブチロニトリル:7.2%、四塩化炭素:0.1%、AIBNの分解物(2,3−ジシアノ−2,3−ジメチルブタン):0.2%が含まれていた。
室温でブロモベンゼンの20質量%を滴下すると、反応が開始して内温が上がってきたのでフラスコを氷浴で冷却し、反応液を40℃に保つように残りのブロモベンゼンを滴下した。
滴下終了後、氷浴を外し、反応液を37〜40℃で1時間攪拌した。その後、ブロモベンゼンのなくなった滴下ロートにシリンジで二硫化炭素61ml(1.0mol)を投入し、40℃のオイルバスで加温しながら内温が42℃を超えないようにゆっくり二硫化炭素を滴下した。
BriB滴下終了後、内温(反応温度)を56℃に昇温させ、24時間攪拌を続けた。
24時間後に反応液中に氷水を投入し、反応液を減圧で濃縮し、THF約500mlを留去してからジエチルエーテル1500mlで2回抽出した。
抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮すると、225gのRAFT−1−1(粗生物)が得られた(収率100質量%)。
このRAFT−1−1(粗生物)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(粗生物の10倍量のシリカゲルを用い、ジエチルエーテル:ヘキサン=1:20(vol/vol)の混合溶媒で流出)で精製し、162.5gのRAFT−1−1(精製品)を得た(収率72質量%)。
結果を表1に示す。
蒸留する際に110〜142℃の留分を集めた以外は実施例1と同様に行ない、BriBを得た。
GC分析の結果、上記BriBの純度は92.0%であり、不純物として、イソブチロニトリル:6.3%、四塩化炭素:0.4%、AIBNの分解物(2,3−ジシアノ−2,3−ジメチルブタン):1.3%が含まれていた。
このBriBを用い、BriB滴下終了後に内温を53〜55℃に昇温させたこと以外は、実施例1と同様にしてRAFT−1の製造を行なった。
その結果、210gのRAFT−1−2(粗生物)が得られた(収率95質量%)。
このRAFT−1−2(粗生物)を、実施例1と同様、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、157.6gのRAFT−1−2(精製品)を得た(収率71質量%)。
結果を表1に示す。
蒸留する際に90〜130℃の留分を集めた以外は実施例1と同様に行ない、BriBを得た。
GC分析の結果、上記BriBの純度は90.5%であり、不純物として、イソブチロニトリル:8.0%、四塩化炭素:1.2%、AIBNの分解物(2,3−ジシアノ−2,3−ジメチルブタン):0.3%が含まれていた。
このBriBを164.5g(純度90%として1.0モル)用い、BriB滴下終了後に内温を50℃に昇温させたこと以外は、実施例1と同様にしてRAFT−1の製造を行なった。
その結果、94.4gのRAFT−1−3(粗生物)が得られた(収率47質量%)。
このRAFT−1−3(粗生物)を、実施例1と同様、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、60.5gのRAFT−1−3(精製品)を得た(収率30質量%)。
結果を表1に示す。
BriB滴下終了後に内温を53℃に昇温させたこと以外は、比較例1と同様にしてRAFT−1の製造を行なった。
その結果、176.7gのRAFT−1−4(粗生物)が得られた(収率88質量%)。
このRAFT−1−4(粗生物)を、実施例1と同様、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、60.3gのRAFT−1−4(精製品)を得た(収率30質量%)。
結果を表1に示す。
50mLシュレンクに、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という。)10.7g(0.107mol)、トルエン10.7g、及び実施例1で得られたRAFT−1−1(粗生物)75mg(0.34mmol)を投入し、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。
次いで、AIBN28mg(0.17mmol)を添加した後、内温が65℃になるまで昇温させ、6時間保持し重合を行なった。
6時間後、重合温度を低下させ、室温まで下げた。
得られた重合溶液を用い、1H−NMR測定及びGPC測定を行なった。1H−NMR測定により重合転化率を求めると54質量%であった。また、GPC測定結果より、得られたポリメタクリル酸メチル(以下、「PMMA」という。)のMnは17,600、Mw/Mnは1.23であった。
結果を表2に示す。
MMA10.7g(0.107mol)及びトルエン10.7gの代わりに、アクリル酸n−ブチル(以下、「nBA」という。)13.7g(0.107mol)及びトルエン13.7gを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、ポリアクリル酸n−ブチル(以下、「PnBA」という。)を得た。
6時間後の重合転化率は46質量%であり、得られたPnBAのMnは17,000、Mw/Mnは1.33であった。
結果を表2に示す。
MMA10.7g(0.107mol)及びトルエン10.7gの代わりに、スチレン(以下、「St」という。)11.1g(0.107mol)及びトルエン11.1gを用いたこと、重合温度を90℃にしたこと以外は、実施例3と同様にして、ポリスチレン(以下、「PSt」という。)を得た。
6時間後の重合転化率は33質量%であり、得られたPStのMnは8,200、Mw/Mnは1.25であった。
結果を表2に示す。
RAFT−1−1(粗生物)75mg(0.34mmol)の代わりに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製後のRAFT−1−1(精製品)75mg(0.34mmol)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、PMMAを得た。
6時間後の重合転化率は57質量%であり、得られたPMMAのMnは16,100、Mw/Mnは1.22であった。
結果を表2に示す。
RAFT−1−1(粗生物)75mg(0.34mmol)の代わりに、比較例1で合成したRAFT−1−3(粗生物)75mg(0.34mmol)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、PMMAを得た。
6時間後の重合転化率は32質量%であり、得られたPMMAのMnは15,500、Mw/Mnは1.45であった。
結果を表2に示す。
また、表2から明らかなように、不純物Xの含有率が1%以下のBriBを用いて合成したRAFT−1を用いることにより、カラムクロマトグラフィーによる精製前の粗生物を用いた場合でも、実施例3〜5に示すように、非常に分子量分布の狭いPMMA、PnBA、及びPStが得られた。この結果は、カラムクロマトグラフィーによる精製後のRAFT−1による重合結果である参考例1と比較しても遜色ない結果であり、この結果から、本発明の製造方法により得られるRAFT−1が、RAFT剤として用いる際に精製の手間が必要ないことが確認できた。
Claims (3)
- 不純物として含まれるハロゲン化合物の含有率が1%以下(但し、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるピーク面積の合計を100%とする)のα−ブロモイソブチロニトリルと、フェニルジチオカルボン酸マグネシウムブロミドとを反応させる2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアートの製造方法。
- 前記α−ブロモイソブチロニトリルとフェニルジチオカルボン酸マグネシウムブロミドとを反応させる際の反応温度が53℃以上である請求項1に記載の製造方法。
- 可逆的付加−解裂型連鎖移動重合における連鎖移動剤として、請求項1又は2に記載の製造方法により得られる2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾアートの未精製品を用いる重合方法。
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