JP2009269286A - コード供給装置、コード補強部材の製造方法及びコード貼付装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被成形体Tへのコード供給装置10であって、周縁にコード22を案内する溝を備え、前記コード22を被成形体Tに圧接する貼り付けローラ12と、前記貼り付けローラ12の一側又は両側に配置されかつ前記貼り付けローラ12の肉厚部に遊嵌した前記貼り付けローラ12よりも大径のガイドリング14を有し、前記ガイドリング14は上記圧接時に、前記貼り付けローラ12の回転中心に対して前記貼り付けローラ12とガイドリング14の略径差に相当する距離だけ退却して、ガイドリング14による前記コード22の貼り付けを可能にした。
【選択図】図1
Description
このタイヤ1は、図5に示すように、トレッド部2と、一対のサイドウォール部3と、ビード部4と、ビード部内に埋設されたビードコア7相互間に設けた少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層5を有し、かつこのカーカス層に対して1本または複数本のスチールコードを実質的にタイヤ周方向に向かう角度でスパイラル状にタイヤ軸線方向に巻回したスチールモノスパイラルベルト6と、を有している。
図6は、特許文献2に記載された従来のコード貼付装置を概略的に示す図である。
コード貼付装置は、それぞれコード(プライ)が2本ずつ巻き付けられた第1、第2のボビン20から送り出された第1、第2のコード22をカーカス24に導くための2条巻きタイプの一対のヘッドと、一対のヘッドに備えられた貼り付けローラ12からなるコード供給装置を備えている。
第1及び第2コード22がトレッド部の一端から他端に向かってカーカスの外周面に螺旋状に巻き付けられることにより、各々2本ずつのコード22によるスパイラルベルトが完成する。
図7Aに示すように、貼り付けローラ12にはその外周面に2本のコードを案内する案内溝12a、12bが形成されており、これらの案内溝12a、12bにそれぞれコードが嵌合されて、被成形体である例えばタイヤTのカーカス面にまで導かれる。また、貼り付けローラ12はタイヤTの、ここではカーカス24面に圧接してコード22を貼り付けていく。
なお、実際のコードの貼り付けは、上記貼り付けローラ12と対称形のローラを一対にして用い、一度にコードを4条巻きすることが行われている。したがって、上記の従来例ではその片側半分を示し他の半分は省略している。
しかしながら、案内溝の深さを一旦最適に設定しても、被成形体に対するコードの貼り付けを繰り返して行ううちに、回転する貼り付けローラ12の外周面が摩耗して上記案内溝が浅くなり、その結果糸落ちの頻度が増すことになる。
即ち、コードに残留応力による捻れが生じ、コードがその状態で貼り付けローラに進入するとコードが貼り付けローラの溝から容易に転がり落ちる。実際にはこのコードの捻れが糸落ちの第一の要因になっている。そこで、従来はコード供給装置の後端の挿入口角度を調整することで捻れ進入防止を図っているが、捻れが留まり続けると飽和状態になり、捻れを適当なタイミングで解かないと結局糸落ちが発生する。ところが、案内溝については上述のとおりの問題があり、他方適当なタイミングで上記捻れを解放する作業は煩雑であり、作業能率上も好ましくはない。
従来の貼り付けローラには以上のように糸落ちの問題があり、その課題解決は容易ではなく、したがって、糸落ちせずにしかも被成形体との接着を可能にするコード供給装置が求められている。
また、他の目的は糸落ちしないコード供給装置を用いてコード補強部材を製造することである。
本発明の第2の発明はコード貼付装置であって、上記コード供給装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第3の発明は、コードを被成形体に貼り付けてコード補強部材を製造する方法であって、前記コードを、自身の径よりも大径のガイドリンクを側面に備えた貼り付けローラに供給する工程と、前記コードを前記ローラにより被成形体に貼り付ける貼り付け工程と、を有し、前記貼り付け工程において、前記ガイドリングを前記ローラに対して相対移動させて前記コードを被成形体に貼り付けることを特徴とする。
これにより、貼り付けローラが被成形体に圧接するときに、ガイドリングが上記ローラに対して偏心しながら回転する。大径のガイドリングが上記ローラに対して偏心することで、上記ローラの周縁をガイドリングが取り囲み、コードに対しては糸落ちを防止する側壁となると共に、圧接部では、上記ローラに案内されるコードの先端とガイドリングの先端とが面一になるまでガイドリングが退却するため、上記ローラによる被成形体に対するコードの貼り付けを確実に行い、コード補強部材を製造することができる。
ここで、コード供給装置10は、従来と同様の例えば外周面に2条の凹部であるコード溝が形成された貼り付けローラ12と、この貼り付けローラ12よりも大径のリングからなるガイドリング14とを備えており、その両者の回転中心を一致させたときには、貼り付けローラ12とガイドリング14との径差により、貼り付けローラ12の外周に沿ってガイドリング14が側壁の機能を果たしコードの外れ、即ち糸落ちを防止する。
なお、図1では上記貼り付けローラ12等は片側半分のみを示しており他の半分は省略している。実際には図示のものと対称形の構造を有する残りの半分と組み合わせて用いられる(図4参照)。また、その場合、ガイドリングは、糸落ちの観点から各貼り付けローラ12に対応して1個ずつその外側に配置することが好ましいが、必ずしも一対の貼り付けローラ12の両側に配置する必要はなく、糸落ちし易い方にのみに配置してもよい。
図2は、コード供給装置10の上部断面図であり、図2Aは、図1における点Aとローラの回転中心を通る断面図を、また、図2Bは同様に点Bとローラの回転中心を通る断面図を示す。
図示のように、貼り付けローラ12は、従来のものと同様に、例えばその外周面に2条のコード用の凹部である案内溝を有し、ここでは、その貼り付けローラ12の図示右側面にガイドリング14と固定部材である固定リング16とが配置されている。
貼り付けローラ12の図示右面は、貼り付けローラ12の外周部に続き、その中心方向は肉厚部12Cに形成されており、その肉厚部12Cの図示右面に固定部材である固定リング16が、例えば皿ビス16aにより固定されている。
なお、既に述べたように、図示の例は4条巻きを前提にその片側半分を示したものであるが、2条巻きで用いるときは、貼り付けローラ12の一方の側(右側)にのみ設けたガイドリング14と固定リング16を、貼り付けローラ12の両側に設ける構成にすることもできる。また、案内溝も2条に限らず任意であり、1条でも3条以上でもよい。
ガイドリング14の貼り付けローラ12に対する上記偏心により、図1又は図2Bに示すように、タイヤTとの接触点以外の部分では貼り付けローラ12の回りにこれよりも大径のガイドリング14の側壁14aが現れ、コードの糸落ちを防止しつつ、しかも未加硫ゴムで被覆されたコードの被形成体即ちタイヤTのカーカス24面への貼り付けを円滑に行うことができる。
図示のように、貼り付けローラ12には、その肉厚部12cの直径方向反対側の位置に固定リング16を取り付けるための2つのビス穴13が形成されている。また、その中心には回転軸15(図4)が挿入される軸受17を挿入する回転軸孔12(1)dと、これと連通しかつこの孔よりも小径の中心軸孔12(2)dからなる中心孔12dが設けられている。
また、固定リング16の円環部には、貼り付けローラ12のビス穴13と整合する直径方向反対側の位置にビス孔16bを備えている。
したがって、貼り付けローラ12の肉厚部12cにガイドリング14を遊嵌し、貼り付けローラ12の肉厚部12cの側面側に固定リング16を配置して、その状態で貼り付けローラ12のビス穴13に対して固定リング16のビス孔16bを整合させて皿ビス16a(図2A)を取り付けることにより、貼り付けローラ12と固定リング16とが一体に連結される。
なお、固定リング16は必ずしも図示のリング形状に限らず、貼り付けローラ12の肉厚部12c側面に連結したときに、間にガイドリング14を遊嵌できる空間Gが形成できるものであればその形状は任意である。
図4に示すように、貼り付けローラ12の固定リング16と反対側の面、つまり、2個の貼り付けローラ12の肉厚部12cを互いに外側にして重ねたときの内面側には、一端部が上記小径の孔12(2)dに開口し、かつ外周側に向かって延びる複数本の溝として形成され、かつ適所で屈曲して上記貼り付けローラ12を横断して後述する空間G’に開口する通気路12eが形成されている。また、同回転軸15には、一端側が上記小径の孔12(2)dに連通すると共に他端側が回転軸15の軸方向に延びた通気路15aが形成されている。また、通気路15aには図示しない加圧空気の供給源が外部通気路15bを介して接続されている。
なお、対称的に配置された他方の貼り付けローラ12、ガイドリング14、固定リング16においても同様である。
加圧空気の供給源は、上記コード供給装置の稼働時に自動的に作動を開始し、停止時に自動的に停止するように構成することが好ましい。
即ち、適宜のコード供給源、例えば上記従来の貼付装置と同様に例えばボビンに巻いたコードを上記コード供給装置に供給する。上記コード供給装置は、供給されたコードを適宜の駆動装置で回転駆動される被成形体に貼り付けながら被成形体の回転軸方向に移動する。これによりコードを被成型体上にその赤道面に対して小角度を維持しながら螺旋状に巻き付けて、コード補強部材を得ることができる。
各コードについて、それぞれ同数のコード供給回数についてその糸落ちの発生率を求めた。
コードA(ケプラーコード)では、従来型のコード供給装置では糸落ちの発生率は2%であったが、本発明の実施品では0であった。
コードB(スチールコード)では、従来型のコード供給装置では糸落ちの発生率は4%であったが、本発明の実施品では0であった。
コードC(スチールウエービィコード;振幅0.7mm)では、従来型のコード供給装置では糸落ちの発生率は100%であったが、本発明の実施品では0であった。
以上のように、本発明の実施品では、いかなる素材、形状であっても、貼り付けローラからの糸落ちが発生しないことが分かった。
Claims (7)
- 周縁にコードを案内する凹部を備え、前記コードを被成形体に貼り付ける貼り付けローラと、前記ローラの一側又は両側に配置されかつ前記ローラよりも大径のガイドリングと、を有し、前記ガイドリングは前記ローラの回転軸に対して軸移動可能であることを特徴とするコード供給装置。
- 請求項1に記載されたコード供給装置であって、
前記ガイドリングは前記ローラの回転軸に遊嵌されていることを特徴とするコード供給装置。 - 請求項1又は2に記載されたコード供給装置において、
前記ガイドリングを前記ローラとの間で保持するための固定部材を、前記ローラに取り付けたことを特徴とするコード供給装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載されたコード供給装置において、
前記ローラの当接ヘッド部の溝底とガイドリングの最外端の距離が、前記コードの径の1/2以上であることを特徴とするコード供給装置。 - 請求項2又は3に記載されたコード供給装置において、
前記遊嵌状に取り付けたガイドリングの内径部と、前記ローラの側面と、前記固定部材の側面間で区画される空間に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段を有することを特徴とするコード供給装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載されたコード供給装置を備えたことを特徴とするコード貼付装置。
- コードを被成形体に貼り付けてコード補強部材を製造する方法であって、
前記コードを、自身の径よりも大径のガイドリンクを側面に備えた貼り付けローラに供給する工程と、前記コードを前記ローラにより被成形体に貼り付ける貼り付け工程と、を有し、前記貼り付け工程において、前記ガイドリングを前記ローラに対して相対移動させて前記コードを被成形体に貼り付けることを特徴とするコード補強部材の製造方法。
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