JP2009269222A - 装飾用パネル - Google Patents

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Koji Korechika
孝二 是近
Tatsuo Funafuji
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Abstract

【課題】 光透過性基材に形成された装飾模様を可視領域の光を利用して任意の色で輝光表示を可能にし、かつ変化に富んだ見栄えの良い装飾用パネルを提供する。
【解決手段】 基材11の裏面11bに多数の反射面121を基材11の裏面11bに沿い配列形成することで装飾模様12を構成する。多数の反射面121で反射される光の輝度に1/fゆらぎの明暗を生じさせて装飾模様12に光の明暗を付ける。さらに、基材11を透過して光反射部材16に到達した光15cを回折し、この回折光を反射面121に向け反射させることにより、装飾模様12を際立たせるとともに上記光の明暗に合わせた濃淡色に着色する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両用インストルメントパネルの装飾または家具の扉表面や引き出し用鏡板の装飾、携帯電話機本体の表面の装飾、電化製品の表面の装飾などに使用される装飾用パネルに関し、さらに詳しくは、光透過性基材に形成された装飾用の模様パターンを可視領域の色光を利用して任意の色で輝光表示できるようにした装飾用パネルに関するものである。
従来、例えば自動車に用いられる装飾パネルとして、乗用車の後部端のリアコンビネーションランプ間に装着されるガーニッシュが知られている(特許文献1参照)。
この種の装飾パネルは、アクリル等の透明な合成樹脂材からなるカバーと、このカバーを自動車の車体に取り付けるための取付基材とを備え、カバーの外表面は平滑な面に加工されているとともに取付基材と相対向する内表面には細かい凹凸模様(シボ)が形成されている。また、カバーの内表面と相対向する取付基材の表面には平面的に連続した凹球状の魚眼を形成し、さらに、この凹球状の魚眼にシルバーメタリック塗料を塗布してメタリック塗膜面が形成されている。
このような装飾パネルにおいては、カバーを透過した光はカバー内表面の細かい凹凸模様(シボ)により複雑に散乱され、この散乱光が取付基材のメタリック塗膜面に入射されると、凹球状の魚眼形状からくる凹面鏡の作用によって、その入射光の反射の乱れが集約された反射光となり、これにより、フレネルレンズの効果を出して、奥行きの深さを表現できる装飾パネルを提供できるようにしている。
特開平4−78632号公報
しかし、このような従来の装飾パネルでは、装飾パネルを構成する取付基材のメタリック塗膜面は凹球状の凹面鏡からなり、この凹面鏡でカバーの凹凸模様で散乱されて入射される光を集約された反射光、すなわち凹面鏡の大きさに応じた径のスポット光として反射するものであるため、このスポット状反射光の輝度はほとんど均一であるとともに、装飾パネルに対し視点を変えてもスポット光の輝度は変化しない。その結果、インストルメントパネルやドアートリムなどの自動車内装部品の装飾や電化製品などの装飾には変化が乏しく、かつ見栄えが低いという問題があった。
本発明は上記のような従来の問題を解決するためになされたもので、光透過性基材に形成された装飾模様を可視領域の光を利用して任意の色で輝光表示できるとともに、変化に富んだ見栄えの良い光学的装飾を可能にし、併せて見る者の視覚に作用して、癒し、くつろぎ、または安らぎを与える光学的装飾効果を発揮できる装飾用パネルを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために請求項1発明は、装飾用パネルであって、光入射面及び該光入射面と反対の面の少なくとも一方の面に装飾模様を有する有色透明または無色透明もしくは有色半透明な基材と、前記基材の前記光入射面と反対の面に空間を介して対向配置され、前記基材を透過した光を少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光反射部材とを備え、前記装飾模様は、前記基材に入射される入射光を反射しまたは透過するとともに前記反射する光の輝度に不規則に変化する1/fゆらぎを与えて前記装飾模様に光の明暗を生じさせるための三次元形状を呈する複数の反射面を前記少なくとも一方の面に沿い配列形成することで構成されることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の装飾用パネルにおいて、前記光反射部材は、該光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング層を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の装飾用パネルにおいて、前記光反射部材は、前記基材を透過して前記光反射部材に入射される光を回折光に変換して少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光学素子であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3記載の装飾用パネルにおいて、前記光学素子は、入射光を回折光に変換して反射する反射型回折格子、ホログラムフィルム、光ディスクの何れかであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の装飾用パネルにおいて、前記光反射部材は不透明な基板上に設けられ、前記光反射部材を含む前記基板は不透明な支持部材を介して前記基材の前記光入射面と反対の面に固定されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5記載の装飾用パネルにおいて、前記支持部材は、前記光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング枠部を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1記載の装飾用パネルにおいて、前記反射面は、三角屋根型、台形屋根型、半球屋根型、半楕円球屋根型等の凹状または凸状の三次元形状を呈することを特徴とする。
請求項8の発明は、装飾用パネルであって、光入射面及び該光入射面と反対の面の少なくとも一方の面に装飾模様を有する有色透明または無色透明もしくは有色半透明な基材と、前記基材の前記光入射面と反対の面に空間を介して対向配置され、前記基材を透過した光を少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光反射部材とを備え、前記装飾模様は、前記基材に入射される入射光を反射または透過するとともに当該反射する光の輝度を不規則に変化させて前記装飾模様に光の明暗を生じさせるためにカオス理論の式に基づいた三次元形状を呈する複数の反射面を前記少なくとも一方の面に沿い配列形成することで構成されることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8記載の装飾用パネルにおいて、前記光反射部材は、該光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング層を有することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項9または10記載の装飾用パネルにおいて、前記光反射部材は、前記基材を透過して前記光反射部材に入射される光を回折光に変換して少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光学素子であることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項10記載の装飾用パネルにおいて、前記光学素子は、入射光を回折光に変換して反射する反射型回折格子、ホログラムフィルム、光ディスクの何れかであることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項8乃至10の何れか1項に記載の装飾用パネルにおいて、前記光反射部材は不透明な基板上に設けられ、前記光反射部材を含む前記基板は不透明な支持部材を介して前記基材の前記光入射面と反対の面に固定されていることを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項12記載の装飾用パネルにおいて、前記支持部材は、前記光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング枠部を有することを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項8記載の装飾用パネルにおいて、前記反射面は、三角屋根型、台形屋根型、半球屋根型、半楕円球屋根型等の凹状または凸状の三次元形状を呈することを特徴とする。
本発明の装飾用パネルによれば、基材の光入射面及びこれと反対の面の何れか一方の面に沿い配列形成した三次元形状の複数の反射面から装飾模様を構成し、この反射面により反射される光の輝度に不規則に変化する1/fゆらぎを与えて装飾模様に光の明暗を生じさせ、さらに、基材を透過した光を光反射部材により回折光に変換して装飾模様に向け反射するように構成したので、基材の装飾模様の色を看者と装飾用パネルに対する視角または光入射角度及び回折光に応じて変化させることができるとともに、装飾模様に1/fゆらぎによる変化に富んだ見栄えの良い光学的装飾が可能になり、併せて見る者の視覚に作用して、癒し、くつろぎ、または安らぎを与える光学的装飾効果を発揮できる。
また、本発明の装飾用パネルによれば、カオス理論の式に基づいた三次元形状の複数の反射面を前記基材の光入射側の面と反対の面との何れか一方の面に沿い配列形成することで装飾模様を構成し、この反射面により反射される光の輝度に不規則に変化する明暗を生じさせて装飾模様に光の明暗を付け、さらに、基材を透過した光を光反射部材により回折光に変換して装飾模様に向け反射するように構成したので、基材の装飾模様の色を看者と装飾用パネルに対する視角または光入射角度及び回折光が装飾用パネルを見る角度に応じて回折光により変化させることができるとともに、光の不規則なゆらぎによる変化に富んだ見栄えの良い光学的装飾が可能になり、併せて見る者の視覚に作用して、癒し、くつろぎ、または安らぎを与える光学的装飾効果を発揮できる。
また、本発明によれば、光反射部材は空間を介して基材の光入射面と反対の面に対向配置されているため、光反射部材による回折の効果を高めることができ、装飾用パネルの見栄えを強調することができる。
また、また、本発明によれば、トリミング層または光反射部材の支持部材を利用して装飾模様をトリミングするように構成したので、基材の装飾模様がその他の部分よりも目立たせることができ、装飾用パネルの見栄えを更に強調することができる。
次に、本発明にかかる装飾用パネルの実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の装飾用パネルは、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明にかかる実施の形態1を示す装飾用パネルの平面図、図2は図1の2−2線に沿う拡大断面図、図3は本実施の形態1における装飾用パネルの基材に形成された多数の反射面を基材の裏面(光入射面と反対の面に相当)側から見た時の一例を示す一部の拡大斜視図、図4は図3の4−4線に沿う箇所に対応する基材とこれに組み付けられる光反射部材、基板及び支持部材を含めた装飾用パネルの一部を拡大して示した断面図、図5は図3の5−5線に沿う箇所に対応する基材とこれに組み付けられる光反射部材、基板及び支持部材を含めた装飾用パネルの一部を拡大して示した断面図、図6は本実施の形態1における装飾用パネルの反射面及び光反射部材の光に対する作用を模式的に示す断面図である。
本実施の形態1に示す装飾用パネル10は、図1及び図2に示すように、基材11、基板13、光反射部材16、支持部材17、トリミング層18などを含んで構成される。
基材11は、アクリルやポリカーボネートなどの透明な合成樹脂材またはガラス等の一定厚さの透明な板材から構成される。この基材11の光入射面11aと反対の面11bには、例えばモルフォ蝶をデザイン化してなる装飾模様12が形成されている。
なお、基材11に成形に使用される材料は、無色透明な合成樹脂材やガラスなどに限らず、有色透明または有色半透明な材料で成形することができる。
基板13は、基材11の光入射面(基材11の表面)11aと反対の面(基材11の裏面)11bに光反射部材16を相対向して配置するためのもので、不透明な樹脂製の板材からなり、光反射部材16は基板13の上面、すなわち装飾模様12の形成領域を含めた基材11の裏面11bに積層されている。
光反射部材16は、基材11を透過して光反射部材16に入射される光を回折光に変換して装飾模様12の箇所を含めた光入射面11aと反対の面11bに向け反射させるものであり、反射型回折格子、ホログラムフィルム、CD,DVDのようなピットからなる反射面を有する光ディスク等から構成される。
光入射面11aと反対の面11bと対向する光反射部材16の面には、光反射部材16で反射される回折光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して装飾模様12をトリミングするトリミング層18が形成されている。このトリミング層18は装飾模様12全体の構図を整えるとともに装飾模様12の全部または一部に光反射部材16からの回折光を反射させて装飾模様12を回折光で装飾するためのものである。
支持部材17は、光反射部材16を含む基板13を基材11の光入射面11aと反対の面11bに固定するとともに基材11と光反射部材16との間に0.2mm以上10mm以下の空間14を形成するためのものであり、不透明な樹脂材から構成される。
なお、装飾用パネル10の照明光15には、各種照明灯の光または太陽光等の自然光などが用いられる。
前記装飾模様12は、図2及び図3に示すように、基材11の光入射面11aと反対の面である基材11の裏面11bに、三角屋根型の三次元形状を呈する反射面121を裏面11bに沿い任意のピッチで配列形成することで構成される。これにより、反射面121を基材11の光入射面11a側から見た場合、反射面121の空間14との界面121aは凹状の三次元形状を呈することになる。
このような反射面121は、基材11にその光入射面11a側から入射された入射光を反射または透過するとともに当該反射する光の輝度に1/fゆらぎの明暗を生じさせて装飾模様12に光の明暗を付けるためのものである。
次に、反射面121で生成される反射光の輝度に不規則に変化する明暗を生じさせる場合の具体例について図3〜図5を参照して説明する。
反射面121は、図3に示すように、三角屋根型の基本形状を呈し、この基本形状に1/fゆらぎを生じさせるのに必要な凹状の三次元形状を付与することにより構成される。この凹状の反射面121は、その空間14との界面の反射による輝度に木漏れ日または小川の水の流れに似た不規則に変化する明暗を生じせるものであり、その形状は数1に示す1/fゆらぎ関数f(x)より決定される。
すなわち、1/fゆらぎ関数f(x)で決定される凹状反射面121aは、周波数の違う複数のサイン曲線(2x:周波数)に適当な係数2−i(2−i:振幅(強さ))をかけて加算した形状となる。これをグラフに表すと図7に示す曲線711のようになる。
なお、符号712は周波数の異なる複数のサイン曲線を示す。また、1/fは、1/fゆらぎ関数f(x)を決める周波数成分の強さ、すなわち振幅が周波数fに反比例する式を表している。
上記反射面121は、図3〜図5に示すように、予め決めた一定の間隔L(0<L<10mm)で行、列方向に連続して配列され、そして、互いに隣接する各行の反射面121は列方向に1L分ずらして配列されている。また、三角屋根型の凹状反射面121の深さhは、0≦h≦20mmの範囲に設定される。また、三角屋根型の凹状反射面121の反射角θ1は、その材質がポリカーボネートの場合、約40度であり、さらに、三角屋根型の凹状反射面121の傾斜角θ2は、0≦θ2≦90°の範囲に設定される。
このような本実施の形態1に示す装飾用パネル10において、図6に示すように、基材11の光入射側の面(表面)11aが照明光15により照射されると、この照明光15は図6に示すように入射光15aとなって基材11内を進行し多数の反射面121に達する。そして、反射面121に達した入射光15aの一部は1/fゆらぎ関数f(x)より決定された反射面121の空間14との界面121aの形状に応じて矢印15bのように基材11の表面11a側へ反射される。これに伴い、基材11の表面11aから出射される反射光15bの輝度に1/fゆらぎ関数f(x)に応じて不規則に変化する明暗パターンを生じさせるとともに光波長のシフトによる色収差を生じさせる。
また、多数の反射面121の空間14との界面121aを透過して光反射部材16に到達した光15cは、光反射部材16回折作用によって回折光となり、反射面121に向けて反射される。これにより、図1に示すように装飾用パネル10の表面には、モルフォ蝶をデザイン化してなる装飾模様12が、看る者と装飾用パネル10に対する視角または光入射角度によって変化する色によって着色表示される。すなわち、装飾模様12は、これを構成する反射面121の空間14との界面121aに応じて不規則に変化する光の明暗と光反射部材16からの回折光によって変化する光色とが合成された濃淡色に着色される。
上記のような本実施の形態1に示す装飾用パネル10によれば、基材11の光入射側である表面11aと反対の面である裏面11bに多数の反射面121を基材11の裏面11bに沿い配列形成することで装飾模様12を構成し、そして、多数の反射面121を三角屋根型の三次元形状を呈する凹状反射面とすることにより、この反射面121で反射される光の輝度に1/fゆらぎの明暗を生じさせて装飾模様12に光の明暗を付け、さらに、多数の反射面121の凹状反射面121aを透過して光反射部材16に到達する光15cに光反射部材16の回折作用による回折光を反射面121に向け反射させ、看る者と装飾用パネル10に対する視角または光の入射角度に応じて装飾模様12の色を変化させるとともに、上記光の明暗に合わせて装飾模様を表示するように構成したので、基材11に形成された装飾模様12を可視領域の光を利用して変化する色で輝光表示させることができるとともに、装飾模様12に対し1/fゆらぎによる変化に富んだ見栄えの良い光学的装飾が可能になり、回折光が装飾模様12の部分のみを透過して装飾模様12を際立たせ、併せて装飾用パネル10を見る者の視覚に作用して、癒し、くつろぎ、または安らぎを与える光学的装飾効果を発揮させることができる。
また、本実施の形態1によれば、光反射部材16は空間14を介して基材11の光入射面と反対の面11bに対向配置されているため、光反射部材16による回折の効果を高めることができ、装飾用パネル10の見栄えを強調することができる。
また、本実施の形態1によれば、トリミング層18を利用して装飾模様12をトリミングするように構成したので、基材11の装飾模様12をその他の部分よりも目立たせることができ、装飾用パネル10の見栄えを更に強調することができる。
また、光反射部材16に既存の反射型回折格子やホログラムフィルム、CD,DVDのような光ディスクを用いることにより、低コストで回折光を発生させることができ、装飾用パネルを低コストで製作することができる。
なお、本実施の形態1にかかる装飾用パネルの基材の反射面の基本形状は、上記実施の形態に示した三角屋根型のものに限らず、台形屋根型、半球屋根型の他、小反射部での反射光の輝度に不規則に変化する明暗を生じさせることができる形状のものであれば、どのような形状のものでも良い。
また、本実施の形態1にかかる装飾用パネル10の基材11の反射面121を形成する三次元の凹状反射面は、数2に示す1/fゆらぎ関数で決定される形状のものに限らず、乱数表を利用して反射面121の形状を決定するようにすることもできる。
また、本実施の形態1の装飾用パネル10の基材11に形成される装飾模様12は、本実施の形態1に示したモルフォ蝶をデザイン化したものに限らず、車両用インストルメントパネルの装飾または家具の扉表面や引き出し用鏡板の装飾、携帯電話機本体の表面の装飾、電化製品の表面の装飾などに使用される装飾用パネルや、文字、ロゴマーク、木目などをデザイン化したものであってもよい。
(実施の形態2)
図8により、本発明にかかる装飾用パネルの実施の形態2について説明する。
この図8に示す装飾用パネル10は、上記図2に示したトリミング層18を省略し、これに代えて、支持部材17を利用して装飾模様12をトリミングするようにしたものである。
すなわち、図8に示すように、支持部材17の内側縁部17aを空間14の内側へ向け延在し、この延在縁部17aを装飾模様12の輪郭に合わせてカットすることにより、装飾模様12をトリミングした。この支持部材17の内側縁部17aが光反射部材16で反射される回折光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して装飾模様12をトリミングするトリミング枠部を構成する。
このようなトリミング方法においても、上記実施の形態1に示したトリミング層18によるトリミング方式と同様な効果を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる装飾用パネルの実施の形態3について図9〜図11を参照して説明する。
図9は本発明にかかる実施の形態2の装飾用パネルを模式的に示す平面図、図10は図9の9−9線に沿う拡大断面図、図11は本実施の形態3における装飾用パネルの基材に形成された多数の反射面を基材の裏面(光入射面と反対の面に相当)側から見た時の一例を示す一部の斜視図、図12は図11の11−11線に沿う拡大断面図、図13は本実施の形態3における装飾模様の表面形状の一例を示す波形図、図14は本実施の形態3における装飾用パネルの三次元形状の反射面及び光反射部材の光に対する作用を模式的に示す断面図である。
本実施の形態3に示す装飾用パネル20は、図9及び図10に示すように、基材21、基板23、光反射部材26、支持部材27、トリミング層28などを含んで構成される。
基材21は、アクリルやポリカーボネートなどの透明な合成樹脂材またはガラス等の一定厚さの透明な板材から構成される。この基材21の光入射面21aと反対の面21bには、例えばモルフォ蝶をデザイン化してなる装飾模様22が形成されている。
なお、基材21に成形に使用される材料は、無色透明な合成樹脂材やガラスなどに限らず、有色透明または有色半透明な材料で成形することができる。
基板23は、基材21の光入射面(基材21の表面)21aと反対の面(基材11の裏面)21bに光反射部材16を相対向して配置するためのもので、不透明な樹脂製の板材からなり、光反射部材26は基板23の上面、すなわち装飾模様22の形成領域を含めた基材21の裏面21bに積層されている。
光反射部材26は、基材21を透過して光反射部材26に入射される光を回折光に変換して装飾模様22の箇所を含めた光入射面21aと反対の面21bに向け反射させるものであり、反射型回折格子、ホログラムフィルム、CD,DVDのようなピットからなる反射面を有する光ディスク等から構成される。
光入射面21aと反対の面21bと対向する光反射部材26の面には、光反射部材26で反射される回折光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して装飾模様22をトリミングするトリミング層28が形成されている。このトリミング層28は装飾模様12全体の構図を整えるとともに装飾模様22の全部または一部に光反射部材26からの回折光を反射させて装飾模様22を回折光で装飾するためのものである。
支持部材27は、光反射部材26を含む基板23を基材21の光入射面21aと反対の面21bに固定するとともに基材21と光反射部材26との間に0.2mm以上10mm以下の空間24を形成するためのものであり、不透明な樹脂材から構成される。
なお、装飾用パネル20の照明光15には、各種照明灯の光または太陽光等の自然光などが用いられる。
前記装飾模様22は、図11及び図12に示すように、基材21の光入射面21aと反対の面である基材21の裏面21bに、形状が不揃いな三次元形状を呈する反射面221を裏面21bに沿い任意のピッチで配列形成することで構成される。これにより、反射面221を基材21の光入射面21a側から見た場合、反射面221の空間24との界面221aは凹状の三次元形状を呈することになる。
このような反射面221は、基材21にその光入射面21a側から入射された入射光を反射または透過するとともに当該反射する光の輝度に不規則に変化する明暗を生じさせて装飾模様22に光の明暗を付けるためのものである。
次に、反射面221で生成される反射光の輝度に不規則に変化する明暗を生じさせる場合の具体例について図14を参照して説明する。
反射面221は、カオス理論の関数に基づいて形成された不規則な三次元形状を呈している。
カオス理論の関数は数多く存在するが、本実施例の反射面の三次元形状は、数1に示すロジスティック関数により決定されている。
ロジスティック関数は、生物の個体数が世代を経てどのように変動するかを示すモデルである。ここで、a:は繁殖率を表し、Xn:はn世代目の個体数を表し、Xn+1:はn+1世代目の個体数を表す。ここで、繁殖率aを定数とし、世代nを横軸に、個体数Xnを縦軸に取り、aに任意の数字を投入すると、例えば図13に示すような波形の曲線が得られる。図13の波形を縦方向または横方向に伸縮させることで、加工可能な波形に修正すると、不規則な三次元形状の反射面221からなる装飾模様22の表面形状を得ることができる。
このような第2の実施の形態に示す装飾用パネル20において、図14に示すように、基材21の光入射側の面(表面)21aが照明光15により照射されると、この照射光15は、上記実施の形態1に示す場合と同様に入射光15aとなって基材21内を進行し反射面221に達する。そして、反射面221に達した入射光15aの一部はロジスティック関数により決定された反射面221の形状に応じて矢印15bのように基材21の表面21aへ反射される。これに伴い、基材21aから出射される反射光15bの輝度に光の明暗パターンを生じさせる。
また、反射面221を透過して光反射部材26に到達した光15cは、光反射部材26の回折作用によって回折光となり、反射面221に向けて反射される。これにより、図9に示すように装飾用パネル20の表面には、例えばモルフォ蝶をデザイン化してなる装飾模様22が、看る者と装飾用パネル20に対する視角または光入射角度によって変化する色によって着色表示される。すなわち、装飾模様22は、これを構成する反射面221に応じて不規則に変化する光の明暗と光反射部材26からの回折光によって変化する光色とが合成された濃淡色に着色される。
したがって、本実施の形態3に示す装飾用パネル20によれば、基材21の光入射側である表面21aと反対の面である裏面21bに反射面221で装飾模様22を構成することにより、反射面221で反射される光の輝度に明暗を生じさせて装飾模様22に光の明暗を付け、さらに、反射面221を透過して光反射部材26に到達する光15cに光反射部材26の回折作用による回折光を反射面121に向け反射させ、看る者と装飾用パネル20に対する視角または光の入射角度に応じて装飾模様22の色を変化させ、かつ上記光の明暗に合わせて装飾模様を表示するように構成したので、基材21に形成された装飾模様22を可視領域の光を利用して変化する色で輝光表示させることができるとともに、装飾模様22に対し光のゆらぎによる変化に富んだ見栄えの良い光学的装飾が可能になり、回折光が装飾模様12の部分のみを透過して装飾模様12を際立たせ、併せて装飾用パネル20を見る者の視覚に作用して、癒し、くつろぎ、または安らぎを与える光学的装飾効果を発揮させることができる。
また、本実施の形態3によれば、光反射部材26は空間24を介して基材21の光入射面と反対の面21bに対向配置されているため、光反射部材26による回折の効果を高めることができ、装飾用パネル20の見栄えを強調することができる。
また、本実施の形態3によれば、トリミング層28を利用して装飾模様22をトリミングするように構成したので、基材21の装飾模様22がその他の部分よりも目立たせることができ、装飾用パネル20の見栄えを更に強調することができる。
また、光反射部材26に既存の反射型回折格子やホログラムフィルム、CD,DVDのような光ディスクを用いることにより、低コストで回折光を発生させることができ、装飾用パネルを低コストで製作することができる。
(実施の形態4)
図15により、本発明にかかる装飾用パネルの実施の形態4について説明する。
この図15に示す装飾用パネル20は、上記図10に示したトリミング層28を省略し、これに代えて、支持部材27を利用して装飾模様22をトリミングするようにしたものである。
すなわち、図15に示すように、支持部材27の内側縁部27aを空間44の内側へ向け延在し、この延在縁部27aを装飾模様22の輪郭に合わせてカットすることにより、装飾模様22をトリミングした。この支持部材27の内側縁部27aが光反射部材26で反射される回折光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して装飾模様22をトリミングするトリミング枠部を構成する。
このようなトリミング方法においても、上記実施の形態3に示したトリミング層28によるトリミング方式と同様な効果を得ることができる。
なお、本実施の形態3の装飾用パネル20の基材21に形成される装飾模様22は、本実施の形態3に示したロジスティック関数によって決定されるものに限らず、カオス理論の関数に基づいて決定されるものであれば、どのような形状のものでも良い。
また、本発明の装飾用パネルにおいては、上記実施例の形態に示したモルフォ蝶をデザイン化してなる装飾用模様やモルフォ蝶の色合いを発現した光学的装飾を表すものに限らず、白、黄色、紅、緑、青などの単色又はこれらの色が混ぜ合わされた色合いのハリ光沢又は真珠光沢を有するオパールのような華飾性を発現することも可能である。
本発明にかかる実施の形態1を示す装飾用パネルの平面図である。 図1の2−2線に沿う拡大断面図である。 本実施の形態1における装飾用パネルの基材に形成された多数の反射面を基材の裏面(光入射面と反対面に相当)側から見た時の一例を示す一部の拡大斜視図である。 図3の4−4線に沿う箇所に対応する基材とこれに組み付けられる光反射部材、基板及び支持部材を含めた装飾用パネルの一部を拡大して示した断面図である。 図3の5−5線に沿う箇所に対応する基材とこれに組み付けられる光反射部材、基板及び支持部材を含めた装飾用パネルの一部を拡大して示した断面図である。 本実施の形態1における装飾用パネルの反射面及び光反射部材の光に対する作用を模式的に示す断面図である。 本発明の1/fゆらぎ関数で決定される凹状反射面の形状特性を表した場合の一例を示すグラフである。 本発明にかかる実施の形態2を示す装飾用パネルの断面図である。 本発明にかかる実施の形態2の装飾用パネルを模式的に示す平面図である。 図9の9−9線に沿う拡大断面図である。 本実施の形態3における装飾用パネルの基材に形成された多数の反射面を基材の裏面(光入射面と反対面に相当)側から見た時の一例を示す一部の斜視図である。 図11の11−11線に沿う拡大断面図である。 本実施の形態3における装飾模様の表面形状の一例を示す波形図である。 本実施の形態3における装飾用パネルの三次元形状の反射面及び光反射部材の光に対する作用を模式的に示す断面図である。 本発明にかかる実施の形態4を示す装飾用パネルの断面図である。
符号の説明
10,20 装飾用パネル
11,21 基材
11a,21a 基材の表面
11b,21b 基材の裏面
12,22 装飾模様
121,221 反射面
121a,221a 界面
13,23 基板
14,24 空間
16,26 光反射部材
17,27 支持部材
17a,27a 縁部(トリミング枠部)
18,28 トリミング層

Claims (14)

  1. 光入射面及び該光入射面と反対の面の少なくとも一方の面に装飾模様を有する有色透明または無色透明もしくは有色半透明な基材と、
    前記基材の前記光入射面と反対の面に空間を介して対向配置され、前記基材を透過した光を少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光反射部材とを備え、
    前記装飾模様は、前記基材に入射される入射光を反射しまたは透過するとともに前記反射する光の輝度に不規則に変化する1/fゆらぎを与えて前記装飾模様に光の明暗を生じさせるための三次元形状を呈する複数の反射面を前記少なくとも一方の面に沿い配列形成することで構成される、
    ことを特徴とする装飾用パネル。
  2. 前記光反射部材は、該光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング層を有することを特徴とする請求項1記載の装飾用パネル。
  3. 前記光反射部材は、前記基材を透過して前記光反射部材に入射される光を回折光に変換して少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光学素子であることを特徴とする請求項1または2記載の装飾用パネル。
  4. 前記光学素子は、入射光を回折光に変換して反射する反射型回折格子、ホログラムフィルム、光ディスクの何れかであることを特徴とする請求項3記載の装飾用パネル。
  5. 前記光反射部材は不透明な基板上に設けられ、前記光反射部材を含む前記基板は不透明な支持部材を介して前記基材の前記光入射面と反対の面に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装飾用パネル。
  6. 前記支持部材は、前記光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング枠部を有することを特徴とする請求項5記載の装飾用パネル。
  7. 前記反射面は、三角屋根型、台形屋根型、半球屋根型、半楕円球屋根型等の凹状または凸状の三次元形状を呈することを特徴とする請求項1記載の装飾用パネル。
  8. 光入射面及び該光入射面と反対の面の少なくとも一方の面に装飾模様を有する有色透明または無色透明もしくは有色半透明な基材と、
    前記基材の前記光入射面と反対の面に空間を介して対向配置され、前記基材を透過した光を少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光反射部材とを備え、
    前記装飾模様は、前記基材に入射される入射光を反射または透過するとともに当該反射する光の輝度を不規則に変化させて前記装飾模様に光の明暗を生じさせるためにカオス理論の式に基づいた三次元形状を呈する複数の反射面を前記少なくとも一方の面に沿い配列形成することで構成される、
    ことを特徴とする装飾用パネル。
  9. 前記光反射部材は、該光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング層を有することを特徴とする請求項8記載の装飾用パネル。
  10. 前記光反射部材は、前記基材を透過して前記光反射部材に入射される光を回折光に変換して少なくとも前記装飾模様の箇所に向け反射させる光学素子であることを特徴とする請求項9または10記載の装飾用パネル。
  11. 前記光学素子は、入射光を回折光に変換して反射する反射型回折格子、ホログラムフィルム、光ディスクの何れかであることを特徴とする請求項10記載の装飾用パネル。
  12. 前記光反射部材は不透明な基板上に設けられ、前記光反射部材を含む前記基板は不透明な支持部材を介して前記基材の前記光入射面と反対の面に固定されていることを特徴とする請求項8乃至10の何れか1項に記載の装飾用パネル。
  13. 前記支持部材は、前記光反射部材で反射される反射光が前記装飾模様の箇所以外に反射されるのを遮断して前記装飾模様をトリミングするトリミング枠部を有することを特徴とする請求項12記載の装飾用パネル。
  14. 前記反射面は、三角屋根型、台形屋根型、半球屋根型、半楕円球屋根型等の凹状または凸状の三次元形状を呈することを特徴とする請求項8記載の装飾用パネル。
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